IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友金属鉱山株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-フレキシブルコンテナバッグ用受台 図1
  • 特許-フレキシブルコンテナバッグ用受台 図2
  • 特許-フレキシブルコンテナバッグ用受台 図3
  • 特許-フレキシブルコンテナバッグ用受台 図4
  • 特許-フレキシブルコンテナバッグ用受台 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】フレキシブルコンテナバッグ用受台
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240214BHJP
   B65D 88/30 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B65B69/00 101
B65D88/30
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020042086
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021142998
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136825
【弁理士】
【氏名又は名称】辻川 典範
(72)【発明者】
【氏名】青木 公佑
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-026385(JP,A)
【文献】特開昭54-096810(JP,A)
【文献】特開2007-031107(JP,A)
【文献】特開平11-091871(JP,A)
【文献】実開昭57-044082(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
B65D 88/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルコンテナバッグの底部を部分的に開封してその内容物である帯電しやすく且つ可燃性の粉粒体を排出する際に使用するフレキシブルコンテナバッグ用受台であって、該フレキシブルコンテナバッグの底部を収容させつつ前記開封する部分を露出させる開口部が形成された凹部を有しており、該凹部はその上面側に静電気除去用の複数の電極が該開口部から離れた場所に設けられていることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグ用受台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナバッグ内の可燃性内容物を排出する際に用いる受台に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルコンテナバッグ(以下、フレコンバッグとも称する)は、セメント材料、砂、及び砂利等の土建工事材料、青果物、米、豆、麦、及び澱粉等の食料品、硫黄、肥料、及び樹脂ペレット等の化学品に代表される粉状体や粒状体(以下、粉粒体と称する)を運搬したり保管したりする際に使用する容量1~2m程度の略立方体形状又は略円筒体形状の袋状の包材である。現在市販されているフレコンバッグは、使い捨てを想定したいわゆるワンウエイタイプのものと、繰り返し使用を想定したいわゆるランニングタイプのものとに大別することができる。
【0003】
上記粉粒体からなる内容物をフレコンバッグからホッパーやタンク等の容器に向けて排出する際、前者のワンウエイタイプでは、該フレコンバッグの底部を刃物で切り裂いて開封する。一方、後者のランニングタイプでは、あらかじめフレコンバッグの底部に排出用の筒状の排出口が設けられており、この排出口を緊縛している緊縛紐を解くことで開封することができる。
【0004】
上記のいずれのタイプのフレコンバッグにおいても、吊りベルトやワイヤーなどの吊り下げ用部材が上方でループするように取り付けられており、この吊り下げ用部材のループ部分を、クレーンのフック部やフォークリフトのフォーク部に引掛けることで、該フレコンバッグを持ち上げ、吊り下げた状態のまま運搬することができる。このように吊り下げ用部材によって吊り下げた状態のまま所定の位置まで運搬した後は、この吊り下げた姿勢のままのフレコンバッグに対して、前述したように底部を刃物で切り裂いたり緊縛紐を解いたりして開封することで、該フレコンバッグ内に充填されている内容物をホッパーやタンク等の容器に向けて排出させる。
【0005】
上記のフレコンバッグの開封作業は、該フレコンバッグの下方で行う必要があるため、万一フレコンバッグが落下した場合は下敷きになる危険があった。そこで特許文献1には、吊り下げた姿勢のままのフレコンバッグを専用の受台に載置して、該フレコンバッグ内の内容物を安全に排出する技術が開示されている。また、特許文献2には、上記のフレコンバッグの開封作業を安全に行なうべく、3辺に柵が設けられた略矩形の座板の中心部から該3辺以外の一辺に至る領域に切欠部が設けられたフレコンバッグ用の受台を用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-035326号公報
【文献】特開2002-337823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
銅製錬の浮遊選鉱工程等では硫化剤として硫化水素ガスを用いることがあり、その工業的な製造方法の一つに、水素と硫黄を反応させる方法がある。この製造方法では、原料として使用する硫黄は一般的にフレコンバッグに充填された荷姿で業者から納入されるため、該硫黄をフレコンバッグから原料ホッパーや反応タンク等の容器に投入する必要がある。
【0008】
上記の硫黄原料の投入の際、前述したようにフレコンバッグをホイストクレーン等で吊り上げた姿勢のままフレコンバッグ用受台に載置することで、落下による下敷きの問題を防ぐことができるが、フレコンバッグ内の内容物が硫黄粉末のように可燃性の粉粒体であれば、該ホイストクレーン等でフレコンバッグを運搬する際の振動等によって生じる静電気により該粉粒体が発火するおそれがあった。
【0009】
更に、上記硫黄のように絶縁体からなる粉粒体の場合は、充填時等の摩擦で生じた静電気が該粉粒体内に蓄積して帯電する。このようにして粉粒体内に蓄積した静電気は、作業員に電気ショックを与えるおそれがあるうえ、硫黄の品質を低下させることもある。また、フレコンバッグの開封時は、フレコンバッグの排出口から上記シュートの内側にかけて粉塵が飛散しやすくなるため、この粉塵の飛散範囲内でブラシ放電が発生し、これが粉塵爆発や火災の原因となるおそれがあった。なお、ブラシ放電については、児玉勉著の「静電気による爆発とその防止対策」、電気設備学会誌、2009年8月、Vol29、No.8、p.624-627に記載されている。
【0010】
本発明は、上記した帯電しやすく且つ可燃性の粉粒体を内容物として収容するフレコンバッグが抱える問題に鑑みてなされたものであり、フレコンバッグの底部を開封してその下方に位置する容器の投入口やシュートに向けて該内容物を排出するに際して、静電気に起因する問題が発生するのを抑制することができるフレキシブルコンテナバッグ用受台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るフレキシブルコンテナバッグ用受台は、フレキシブルコンテナバッグの底部を部分的に開封してその内容物である帯電しやすく且つ可燃性の粉粒体を排出する際に使用するフレキシブルコンテナバッグ用受台であって、該フレキシブルコンテナバッグの底部を収容させつつ前記開封する部分を露出させる開口部が形成された凹部を有しており、該凹部はその上面側に静電気除去用の複数の電極が該開口部から離れた場所に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フレキシブルコンテナバッグ内において絶縁破壊電圧を超えて帯電した状態で充填されている内容物を、その静電気を電極に放電させることができるので、問題を生じさせることなく安全に下方に排出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るフレキシブルコンテナバッグ用受台に載置したフレキシブルコンテナバッグからタンク上部のシュートに向けて内容物を排出している様子を示す模式的な正面図である。
図2】本発明に係るフレキシブルコンテナバッグ用受台の実施形態の斜視図である。
図3図2のフレキシブルコンテナバッグ用受台の平面図である。
図4図2のフレキシブルコンテナバッグ用受台の凹部の上面側に設けられている電極の様々な具体例の斜視図である。
図5】本発明のフレキシブルコンテナバッグ用受台の他の実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のフレキシブルコンテナバッグ用受台の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この本発明の実施形態の受台が対象とするフレコンバッグは、導電性を有する袋で形成されるものであれば特に限定はなく、例えばシバタ工業株式会社製のタイプCのフレコンバッグである帯電防止クロスエスコンを挙げることができる。また、対象とするフレコンバッグの容量及びサイズも特に限定はないが、フォークリフトで運搬したりパレットに載せて保管したりすることを考慮すると、容量は0.8m以上2.0m以下程度が一般的であり、サイズは幅900×奥行き900×高さ1000mm程度が一般的である。
【0015】
図1に示すように、このフレコンバッグ1の内容物をシュート2を介してタンク3に向けて排出する場合は、先ずフレコンバッグ1をホイストクレーン等の搬送機械4で吊り上げて本発明の実施形態のフレコンバッグ用受台5の上方にまで運搬し、その位置でフレコンバッグ1を徐々に降下させてその底部をフレコンバッグ用受台5の凹部内に収めるようにして支持する。この凹部は、その少なくとも最も深い部分から粉粒体が排出されるように開口しているので、前述したようにフレコンバッグ1の底部を部分的に切り裂いて開封するか、緊縛紐を解いて開封することによって、内容物をシュート2に向けて排出することができる。
【0016】
上記のフレコンバッグ用受台5の構造について図2を参照しながら具体的に説明する。この図2に示す本発明の実施形態のフルコンバッグ用受台5は、水平方向に互いに離間する平面視矩形の1対の板状部材10からなり、該1対の板状部材10は、4本の脚部と、これら4本の脚部を補強する上段枠及び中段枠とからなる架台6の上に設けられている。この架台6は、タンク3の上部投入口から上方に突出する円筒状のシュート2を囲むように該タンク3の上面に設置されている。
【0017】
上記のフレコンバッグ用受台5を構成する1対の板状部材10の材質は、内容物が充填されたフレコンバッグ1を支持できる十分な強度を有するのであれば特に限定はなく、ステンレス等の耐食性金属、塗装した金属、樹脂、木材等を使用することができるが、これらの中では、耐候性及び耐腐性に優れているうえ電気を通しにくいので樹脂が最も好ましい。
【0018】
この1対の板状部材10は、互いに対向する側において、お椀をその中心軸を含む面で2分割したような形状にそれぞれ窪んでおり、全体としてフレコンバッグ1の底部を収容しながら支持できる凹部11を形成している。この1対の板状部材10において、該凹部11と、それ以外の水平部12との境となる屈曲部分13を真上から見た形状は、図3に示すように、上記の水平方向に互いに離間する離間部分における離間方向の中間点を中心とする円弧状になっている。
【0019】
これにより、凹部11内に収容したフレコンバッグ1が倒れにくくなるので、該フレコンバッグ1を安定的に支持することができる。また、フレコンバッグ1の底部の開封部位を露出させることができるので、フレコンバッグ1内の内容物を下方のシュート2に向けてスムーズに排出することができる。すなわち、1対の板状部材10は、上記したように互いに水平方向に離間しているので、結果的にフレコンバッグ用受台5は、上記円弧状の中心部を含み該フレコンバッグ用受台5の一端部からその反対側の他端部まで横断する領域にフレコンバッグ1の底部の上記開封部位を露出させる開口部14を有することになる。
【0020】
上記のように、フレコンバッグ1の底部を安定的に支持するため、凹部11の最も深い部分の深さは、100mm以上250mm以下であるのが望ましい。この深さが100mm未満では、フレコンバッグ1の底部を安定的に支持できなくなるおそれがある。逆に、この深さが250mmを超えると、後述する電極にフレコンバッグ1が引っかかりやすくなり、上記搬送機械4による昇降作業に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0021】
本発明の実施形態のフレコンバッグ用受台5の凹部11の上面側には、静電気除去用の複数の電極15が設けられている。これら複数の電極15の各々は、図4に示すように、外径dが10mm以上30mm以下、高さhが10mm以上30mm以下の(a)略半球形状、(b)略半楕円形状、(c)略切頭円錯形状、(d)略円筒形状等の形状に形成されているのが好ましく、これらの中ではフレコンバッグ1が破れないように先端部に丸みを持たせた(a)略半球形状又は(b)略半楕円形状が特に好ましい。上記複数の電極15を上記凹部11の上面側に突出させて設けることで、フレコンバッグ1の底部側の表面を該電極15により確実に接触させることができる。上記複数の電極15の各々には、好ましくはその下部から接地用の導電線16が延出している。これら導電線16は、一般的な接地手段により接地している。
【0022】
上記複数の電極15の材質は、静電気を効果的に除去できるのであれば特に限定はなく、各種の導電性部材を用いることができるが、ステンレス製であるのが好ましい。また、上記複数の電極15は、合計の個数が3個以上12個以下であるのが好ましい。これら複数の電極15の設置位置はフレコンバッグ1の大きさや形状により適宜定められるが、図3に示すように、上記の円弧状の屈曲部分13の中心点Oを中心とする直径Dが275mm以上600mm以下、より好ましくは約450mmの円周上に周方向に均等に設置することが好ましい。この位置に電極15を設けることで、フレコンバッグ1をフレコンバッグ用受台1の上方から徐々に降下させたときにこれら電極15に最初に触れさせることができるうえ、開口部14からある程度離れた場所において、確実にフレコンバッグ1に帯電した静電気を除去することができる。
【0023】
上記のように、本発明の一具体例のフレコンバッグ用受台5は、凹部11を有しているので、フレコンバッグ1を安定的に支持することができ、また接地された電極15が凹部11の開口部14から離れた場所に配置されているので、静電気をより安全な位置で除去することができる。すなわち、凹部のない平坦な導電性部材からなる受台の中央部に開口部を設けると共に、該受台自体を接地させた構造のフレコンバッグ用受台の場合は、フレコンバッグを支持したときに不安定になるうえ、シュートに最も近い中央の開口部で静電気が放電されるおそれがあるので好ましくない。
【0024】
以上、本発明の実施形態のフレキシブルコンテナバッグ用受台について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で種々の変更例や代替例を含むことができる。例えば上記実施形態のフレコンバッグ用受台5は、1対の板状部材10で構成されるものであったが、これに限定されるものではなく、図5(a)に示すフレコンバッグ用受台105のように、中央部に開口部114を有する1枚の略正方形の板状部材110で受台105を構成してもよい。この場合は、その水平部112と凹部111との境となる屈曲部分113を真上から見た形状が円形となり、この円形の中心部の領域にのみフレコンバッグ1の底部を部分的に露出させる開口部114が設けられ、その周りに複数の電極115が配置されることになる。
【0025】
あるいは、図5(b)に示すフレコンバッグ用受台205のように、1枚の略コの字状の板状部材210で受台205を構成してもよい。この場合は、その水平部212と凹部211との境となる屈曲部分213を真上から見た形状が円弧状となりこの円弧の中心部から該受台205の一端部に至る領域にフレコンバッグ1の底部を露出させる開口部214が設けられ、その開口部214を除いて複数の電極215が配置されることになる。更に、略立方体形状のフレコンバッグを支持できるようにフレコンバッグ用受台の水平部と凹部との境となる屈曲部分が略正方形又はその一部が開口部のために欠けた形状であってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 フレキシブルコンテナバッグ
2 シュート
3 タンク
4 搬送機械
5、105、205 フレコンバッグ用受台
6 架台
10、110、210 板状部材
11、111、211 凹部
12、112、212 水平部
13、113、213 屈曲部分
14、114、214 開口部
15、115、215 電極
16 導電線
図1
図2
図3
図4
図5