(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/01 20060101AFI20240214BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240214BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20240214BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G03G15/01 L
G03G21/00 370
G03G15/01 J
G03G15/16
G03G15/00 303
(21)【出願番号】P 2020049873
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 智昭
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃典
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-132562(JP,A)
【文献】特開2012-173606(JP,A)
【文献】特開2016-099522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 21/00
G03G 15/16
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトに対する接離機構が設けられず、潜像を不可視トナーによって顕像化した不可視画像を前記中間転写ベルトに転写する第1画像形成ステーションと、
潜像を可視トナーによって顕像化した可視画像を前記中間転写ベルトに転写する第2画像形成ステーションと、
前記中間転写ベルトに転写される前記不可視画像および前記可視画像の濃度を検知する検知部と、
前記中間転写ベルトに転写される前記不可視画像および前記可視画像を転写紙に転写する紙転写部と、を備え、
前記第1画像形成ステーションは、
前記第2画像形成ステーションによって前記可視画像を前記中間転写ベルトに転写しないとき、前記検知部による濃度の検知用の調整パターンの潜像を不可視トナーによって顕像化した前記不可視画像を前記中間転写ベルトに転写し、
前記第2画像形成ステーションは、
前記中間転写ベルトに対して接離可能に設けられ、前記調整パターンの潜像を可視トナーによって顕像化した前記可視画像を前記中間転写ベルトに転写しない、
前記不可視トナーは、転写紙に定着されると、可視領域においては透明となり、転写紙においては、人間の眼には見えない、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1画像形成ステーションは、前記中間転写ベルトにおいて、前記調整パターン以外の潜像の前記不可視画像が転写される領域以外の領域に、前記調整パターンの潜像を不可視トナーによって顕像化した前記不可視画像を転写する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1画像形成ステーションは、前記中間転写ベルトにおいて、前記可視画像が転写される領域以外の領域に、前記調整パターンの潜像を不可視トナーによって顕像化した前記不可視画像を転写する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1画像形成ステーションは、前記中間転写ベルトにおいて、前記検知部によって濃度を検知可能な領域にのみ、前記調整パターンの潜像を不可視トナーによって顕像化した前記不可視画像を転写する、請求項1から3のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記調整パターンの潜像を不可視トナーによって顕像化した前記不可視画像のうち、前記調整パターン以外の潜像の前記不可視画像および前記可視画像と重なった領域の濃度の検知結果を、前記不可視画像および前記可視画像の濃度の調整に用いない、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction Peripheral)等のカラー画像形成装置では、ブラック(K)の画像形成ステーションは、中間転写ベルトに対して常に当接しており、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の画像形成ステーションは、モノクロの画像の印刷時において、中間転写ベルトから離間する、という構成をとる場合が多い。この場合、イエロー,マゼンタ,シアンの画像形成ステーションでのみ印刷を行う場合でも、ブラックの画像形成ステーションを駆動させる必要があるが、ブラックの画像を印刷しないため、ブラックのトナーが劣化して、ブラックの画像の濃度が変わることがある。そのため、ブラックの画像形成ステーションを駆動する場合、ブラックの画像の濃度を調整する動作を行う必要がある。これは、Kの画像形成ステーションが不可視トナーによって潜像を顕像化する場合も、Kの画像形成ステーションに中間転写ベルトに対する接離機構を設けない場合は同様である。
【0003】
そこで、特許文献1には、中間転写ベルトにおいて、印刷画像が形成されない領域に対して、濃度の調整用のパターンを形成する技術が開示されている。また、特許文献2には、濃度の調整用のパターンを転写紙に転写する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、中間転写ベルトに対する印刷画像の形成を停止することなく、濃度の調整用のパターンを中間転写ベルトに形成することが可能となるが、濃度の調整用のパターンの形成に用いたトナーが廃トナーボックスに捨てられる。また、特許文献2記載の技術では、濃度の調整用のパターンの形成に用いたトナーが廃トナーボックスに捨てられることは防ぐことができるが、濃度の調整用のパターンが用紙に転写され、人間の眼で見えてしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、濃度の調整用のパターンの形成に用いたトナーが廃トナーボックスに捨てられたり、転写紙に転写される濃度の調整用のパターンが人間の眼で見えてしまうことを抑制したりすることを可能とする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトに対する接離機構が設けられず、潜像を不可視トナーによって顕像化した不可視画像を前記中間転写ベルトに転写する第1画像形成ステーションと、潜像を可視トナーによって顕像化した可視画像を前記中間転写ベルトに転写する第2画像形成ステーションと、前記中間転写ベルトに転写される前記不可視画像および前記可視画像の濃度を検知する検知部と、前記中間転写ベルトに転写される前記不可視画像および前記可視画像を転写紙に転写する紙転写部と、を備え、前記第1画像形成ステーションは、前記第2画像形成ステーションによって前記可視画像を前記中間転写ベルトに転写しないとき、前記検知部による濃度の検知用の調整パターンの潜像を不可視トナーによって顕像化した前記不可視画像を前記中間転写ベルトに転写し、前記第2画像形成ステーションは、前記中間転写ベルトに対して接離可能に設けられ、前記調整パターンの潜像を可視トナーによって顕像化した前記可視画像を前記中間転写ベルトに転写しない、前記不可視トナーは、転写紙に定着されると、可視領域においては透明となり、転写紙においては、人間の眼には見えない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、調整パターンの形成に用いたトナーが廃トナーボックスに捨てられたり、調整パターンが転写紙に転写され、人間の眼で見えたりすることを抑制しつつ、調整パターンを中間転写ベルト102に転写することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置が有する画像形成ステーションの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成装置において中間転写ベルトに転写される不可視調整パターン画像および可視画像の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態にかかる画像形成装置において中間転写ベルトに転写される不可視調整パターン画像および不可視画像の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態にかかる画像形成装置において中間転写ベルトに転写される不可視調整パターン画像および可視画像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態にかかる画像形成装置において不可視調整パターン画像の濃度の検知結果の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態にかかる画像形成装置において不可視調整パターン画像の濃度の検知結果の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施の形態にかかる画像形成装置が有するトナー濃度検知センサの配置の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、本実施の形態にかかる画像形成装置が有するトナー濃度検知センサの検知領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の構成の一例を示す図である。まず、
図1を用いて、本実施の形態にかかる画像形成装置1の構成の一例について説明する。
【0011】
本実施の形態にかかる画像形成装置1は、
図1に示すように、複数の画像形成ステーション101-I,101-C,101-M,101-Yと、中間転写ベルト102と、トナー濃度検知センサ103と、紙転写部104と、定着装置105と、を有する。なお、以下の説明では、複数の画像形成ステーション101-I,101-C,101-M,101-Yを区別しない場合には、画像形成ステーション101と記載する。
【0012】
画像形成ステーション101-Iは、潜像を不可視トナー(例えば、IR(Infra-Red)トナー)によって顕像化した不可視画像を中間転写ベルト102に転写する画像形成ステーションである。本実施の形態では、画像形成ステーション101-Iは、中間転写ベルト102に対して後述する感光体ドラム205(
図2参照)が常に当接している。
【0013】
画像形成ステーション101-Cは、潜像をシアンの可視トナーによって顕像化した可視画像を中間転写ベルト102に転写する画像形成ステーションである。画像形成ステーション101-Mは、潜像をマゼンタの可視トナーによって顕像化した可視画像を中間転写ベルト102に転写する画像形成ステーションである。画像形成ステーション101-Yは、潜像をイエローの可視トナーによって顕像化した可視画像を中間転写ベルト102に転写する画像形成ステーションである。本実施の形態では、画像形成ステーション101-C,101-M,101-Yは、中間転写ベルト102に対して後述する感光体ドラム205(
図2参照)が接離可能に設けられている。
【0014】
中間転写ベルト102は、画像形成ステーション101によって不可視画像および可視画像が転写される。トナー濃度検知センサ103は、中間転写ベルト102に転写される不可視画像および可視画像の濃度を検知する検知部の一例である。
【0015】
紙転写部104は、中間転写ベルト102に転写される不可視画像および可視画像を、搬送路Lを搬送される転写紙に転写する紙転写部の一例である。定着装置105は、転写紙に転写される不可視画像および可視画像を、当該転写紙に定着させる。本実施の形態では、定着装置105は、熱および圧力の少なくとも一方によって不可視画像および可視画像を転写紙に定着させる。
【0016】
本実施の形態では、画像形成ステーション101-Iは、トナー濃度検知センサ103による濃度の検知用の調整パターンの潜像を不可視トナーによって顕像化した不可視画像(以下、不可視調整パターン画像と言う)を中間転写ベルト102に転写する。また、画像形成ステーション101-C,101-M,101-Yは、当該調整パターンの潜像を可視トナーによって顕像化した可視画像を中間転写ベルト102に転写しない。これにより、調整パターンの形成に用いたトナーが廃トナーボックスに捨てられたり、調整パターンが転写紙に転写され、人間の眼で見えたりすることを抑制しつつ、調整パターンを中間転写ベルト102に転写することができる。
【0017】
図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置が有する画像形成ステーションの構成の一例を示す図である。次に、
図2を用いて、本実施の形態にかかる画像形成装置1が有する画像形成ステーション101の構成の一例について説明する。
【0018】
本実施の形態では、画像形成ステーション101は、
図2に示すように、露光装置201、帯電装置202、現像装置203、除電装置204、および感光体ドラム205を有する。
【0019】
露光装置201は、レーザダイオード(LD)から、帯電した感光体ドラム205に対してレーザ光を照射して、転写紙に印刷する画像の潜像(静電潜像)を形成する。帯電装置202は、感光体ドラム205の表面全体を均一に帯電させる。
【0020】
現像装置203は、感光体ドラム205の表面に形成される潜像(静電潜像)にトナー(不可視トナーまたは可視トナー)を付着させて、当該潜像を顕像化する。除電装置204は、感光体ドラム205に形成される不可視画像および可視画像が紙転写部104によって転写紙に転写された後、感光体ドラム205の表面を除電して、感光体ドラム205の表面に残留するトナーを取れ易くする。図示しないクリーニング装置は、感光体ドラム205の表面に残留するトナーを除去する。
【0021】
図3は、本実施の形態にかかる画像形成装置において中間転写ベルトに転写される不可視調整パターン画像および可視画像の一例を示す図である。次に、
図3を用いて、本実施の形態にかかる画像形成装置1において中間転写ベルト102に転写される不可視調整パターン画像P1~P10および可視画像G1の一例について説明する。
【0022】
画像形成ステーション101-C,101-M,101-Yは、
図3に示すように、リンゴ、バナナ、ミカン、および籠の潜像を可視トナーによって顕像化した可視画像G1を中間転写ベルト102に転写する。また、画像形成ステーション101-Iは、
図3に示すように、階調が異なる複数のパッチを含む調整パターンの潜像を不可視トナーによって顕像化した不可視調整パターン画像P1~P10を、中間転写ベルト102に転写する。不可視調整パターン画像P1~P10は、不可視トナーによって顕像化されるので、転写紙においては、人間の眼には見えない。
【0023】
不可視トナーは、転写紙に定着されると、可視領域においては透明となるが、転写紙に転写される前は有色である。そのため、中間転写ベルト102上に転写された不可視調整パターン画像P1~P10は、可視領域のセンサ(すなわち、トナー濃度検知センサ103)によって検知することができる。よって、定着装置105によって転写紙に定着前の不可視調整パターン画像P1~P10(すなわち、中間転写ベルト102に転写された不可視調整パターン画像P1~P10)は、トナー濃度検知センサ103によってその濃度を検知可能である。そして、画像形成装置1は、トナー濃度検知センサ103による不可視調整パターン画像P1~P10の濃度の検知結果に基づいて、画像形成ステーション101によって中間転写ベルト102に転写する不可視画像および可視画像の濃度を調整する。
【0024】
これにより、不可視調整パターン画像P1~P10の形成に用いた不可視トナーが廃トナーボックスに捨てられたり、不可視調整パターン画像P1~P10が転写紙に転写された後、人間の眼で見えたりすることを抑制することができる。
【0025】
図4は、本実施の形態にかかる画像形成装置において中間転写ベルトに転写される不可視調整パターン画像および不可視画像の一例を示す図である。次に、
図4を用いて、本実施の形態にかかる画像形成装置1において中間転写ベルト102に転写される不可視調整パターン画像P1~P10および不可視画像G2の一例について説明する。
【0026】
画像形成ステーション101-Iは、
図4に示すように、不可視トナーによって顕像化する不可視画像G2(例えば、QRコード(登録商標)等、不可視トナーで顕像化する画像)を中間転写ベルト102に転写する。なお、不可視画像G2は、不可視トナーによって顕像化されているため、画像形成装置1から排紙される転写紙(言い換えると、定着装置105によって不可視トナーが定着された後の転写紙)においては、その画像を、人間の眼で見ることは困難である。また、画像形成ステーション101-Iは、
図4に示すように、不可視調整パターン画像P1~P10を、中間転写ベルト102に転写する。
【0027】
また、不可視画像G2と、不可視調整パターン画像P1~P10と、を同じ転写紙に転写する場合、画像形成ステーション101-Iは、中間転写ベルト102において、不可視画像G2(すなわち、調整パターン以外の潜像の不可視画像G2)が転写される領域以外の領域に対して、不可視調整パターン画像P1~P10を転写する。すなわち、画像形成ステーション101-Iは、転写紙において、不可視画像G2が転写(印刷)されない領域に対して、不可視調整パターン画像P1~P10を転写(印刷)する。これにより、不可視画像G2に対して影響を与えたり、不可視調整パターン画像P1~P10に他の画像が重なったりすることを防止する。また、トナー濃度検知センサ103によるトナー濃度の検知結果が、不可視調整パターン画像P1~P10の実際のトナー濃度よりも薄くなる等の影響を抑制できる。その結果、転写紙に印刷する画像のトナー濃度の調整精度を向上させることができる。
【0028】
不可視画像G2がQRコード等である場合、転写紙において、不可視調整パターン画像P1~P10が転写された領域内にQRコードが存在しなければ、不可視調整パターン画像P1~P10と不可視画像G2とが同じ転写紙に印刷されていても、QRコードの読み取りには影響はない。よって、不可視画像G2がQRコード等である場合、画像形成ステーション101-Iは、上述したように、中間転写ベルト102において、不可視画像G2が転写される領域以外の領域に対して、不可視調整パターン画像P1~P10を転写する。
【0029】
図5は、本実施の形態にかかる画像形成装置において中間転写ベルトに転写される不可視調整パターン画像および可視画像の一例を示す図である。次に、
図5を用いて、本実施の形態にかかる画像形成装置において中間転写ベルト102に転写される不可視調整パターン画像P1~P10および可視画像G1の一例について説明する。
【0030】
可視画像G1および不可視調整パターン画像P1~P10を同じ転写紙に転写(印刷)する場合、画像形成ステーション101-Iは、
図5に示すように、中間転写ベルト102において、可視画像G1が転写される領域と同じ領域に対して、不可視調整パターン画像P1~P10を転写することも可能である。言い換えると、画像形成ステーション101-C,101-M,101-Yは、
図5に示すように、中間転写ベルト102において、不可視調整パターン画像P1~P10が転写される領域と同じ領域に対して、可視画像G1を転写することも可能である。
【0031】
中間転写ベルト102において、不可視調整パターン画像P1~P10と、可視画像G1と、が同じ領域に対して転写されたとしても、画像形成装置1から排紙される転写紙においては、不可視調整パターン画像P1~P10を、人間の眼で見ることは困難であり、転写紙における可視画像G1の視認性に対する影響を抑制できる。
【0032】
図6および
図7は、本実施の形態にかかる画像形成装置において不可視調整パターン画像の濃度の検知結果の一例を示す図である。
図6および
図7において、縦軸は、トナー濃度検知センサ103による不可視調整パターン画像P1~P10の濃度(以下、トナー濃度と言う)の検知結果を表し、横軸は、時間を表す。次に、
図6および
図7を用いて、本実施の形態にかかる画像形成装置1のトナー濃度検知センサ103による不可視調整パターン画像P1~P10の濃度の検知結果の一例について説明する。
【0033】
図3および
図4に示す不可視調整パターン画像P1~P10(中間転写ベルト102の移動方向に並ぶ不可視調整パターン画像P1~P10)のトナー濃度をトナー濃度検知センサ103によって検知した場合、トナー濃度検知センサ103によるトナー濃度の検知結果は、
図6に示すように、時間の経過とともに(すなわち、不可視調整パターン画像P1、不可視調整パターン画像P2、...、不可視調整パターン画像P10の順に)、徐々に濃くなっていく。不可視調整パターン画像P1~P10は、不可視調整パターン画像P1、不可視調整パターン画像P2、...、不可視調整パターン画像P10の順に濃度が徐々に濃くなっていくものとする。
【0034】
図3および
図4に示す不可視調整パターン画像P1~P10は、中間転写ベルト102において、可視画像G1とは異なる領域に転写されている。そのため、トナー濃度検知センサ103によるトナー濃度の検知結果は、
図6に示すように、中間転写ベルト102に転写された不可視調整パターン画像P1~P10の実際のトナー濃度に近くなる。
【0035】
図5に示す不可視調整パターン画像P1~P10も、不可視調整パターン画像P1、不可視調整パターン画像P2、...、不可視調整パターン画像P10の順に濃度が徐々に濃くなっていくものとする。しかしながら、
図5に示す不可視調整パターン画像P1~P10は、中間転写ベルト102において、その一部が、可視画像G1と同じ領域に転写されている。そのため、トナー濃度検知センサ103によるトナー濃度の検知結果は、
図7に示すように、不可視調整パターン画像P1~P10と、可視画像G1と、が重なった領域については、不可視調整パターン画像P1~P1(例えば、不可視調整パターン画像P6)の実際のトナー濃度とならない。
【0036】
よって、不可視調整パターン画像P1~P10と、可視画像G1と、が重なった領域のトナー濃度の検知結果に基づいて、画像形成ステーション101に中間転写ベルト102に転写する不可視画像および可視画像の濃度を調整すると、転写紙に印刷される画像の薄くなる等の影響が生じる可能性がある。そこで、本実施の形態では、画像形成ステーション101-Iは、中間転写ベルト102において、可視画像G1が転写される領域以外の領域に、不可視調整パターン画像P1~P10を転写することが好ましい。これにより、トナー濃度検知センサ103によるトナー濃度の検知結果を、不可視調整パターン画像P1~P10の実際のトナー濃度よりも薄くなる等の影響を抑制できる。その結果、転写紙に印刷する画像のトナー濃度の調整精度を向上させることができる。
【0037】
図8は、本実施の形態にかかる画像形成装置が有するトナー濃度検知センサの配置の一例を説明するための図である。
図9は、本実施の形態にかかる画像形成装置が有するトナー濃度検知センサの検知領域の一例を示す図である。次に、
図8および
図9を用いて、画像形成ステーション101-Iによる不可視調整パターン画像P1~P10の転写処理の一例について説明する。
【0038】
本実施の形態では、複数のトナー濃度検知センサ103が、中間転写ベルト102の移動方向に直交する主走査方向Dに向かって、予め設定される間隔を空けて配置されている。そのため、中間転写ベルト102の主走査方向Dの全ての領域のトナー濃度を検知することは困難である。そこで、本実施の形態では、画像形成ステーション101-Iは、
図9に示すように、中間転写ベルト102の主走査方向Dにおいて、複数のトナー濃度検知センサ103のそれぞれがトナー濃度を検知可能な検知可能領域R1~R3に対して、不可視調整パターン画像P1~P10を転写する。
【0039】
すなわち、画像形成ステーション101-Iは、中間転写ベルト102において、トナー濃度検知センサ103によってトナー濃度を検知可能な領域にのみ、不可視調整パターン画像P1~P10を転写する。これにより、中間転写ベルト102において、トナー濃度検知センサ103によってトナー濃度を検知できない領域に対して不可視調整パターン画像P1~P10が転写されることを防止できる。その結果、トナー濃度検知センサ103によって不可視調整パターン画像P1~P10のトナー濃度を確実に検知することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、画像形成装置1は、不可視調整パターン画像P1~P10のうち、当該不可視調整パターン画像P1~P10以外の不可視画像、および可視画像と重なった不可視調整パターン画像P1~P10のトナー濃度の検知結果を、不可視画像および可視画像の濃度の調整に用いない。これにより、中間転写ベルト102に対して、不可視調整パターン画像P1~P10と、可視画像(または不可視画像)と、が重ねて転写された場合でも、不可視画像および可視画像の濃度の調整に及ぼす影響を少なくすることができる。
【0041】
このように、本実施の形態にかかる画像形成装置1によれば、調整パターンの形成に用いたトナーが廃トナーボックスに捨てられたり、調整パターンが転写紙に転写され、人間の眼で見えたりすることを抑制しつつ、調整パターンを中間転写ベルト102に転写することができる。
【0042】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 画像形成装置
101 画像形成ステーション
102 中間転写ベルト
103 トナー濃度検知センサ
104 紙転写部
105 定着装置
201 露光装置
202 帯電装置
203 現像装置
204 除電装置
205 感光体ドラム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【文献】特開2012-230335号公報
【文献】特開2013-015808号公報