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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20240214BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20240214BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B65H37/04 D
B65H7/02
G03G15/00 480
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020079463
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021172509
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 永康
(72)【発明者】
【氏名】津野 昭弘
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-087693(JP,A)
【文献】特開平11-180629(JP,A)
【文献】特開平05-186123(JP,A)
【文献】特開2007-204272(JP,A)
【文献】特開2009-263027(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0215515(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102190195(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/04
B65H 7/02
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート束を綴じる綴じ手段と、
前記綴じ手段が綴じ処理を行う綴じ位置への出入口を閉鎖する閉鎖手段と、
前記出入口が閉鎖される閉鎖位置に前記閉鎖手段を移動させる駆動手段と、
前記閉鎖手段が前記閉鎖位置まで移動したときに、前記綴じ手段が綴じ処理を実行可能状態に切り替える切替手段と、
を有し、
前記閉鎖手段は、前記閉鎖位置に移動して前記切替手段を操作する回避動作部と、前記駆動手段からの駆動力により前記回避動作部を前記閉鎖位置へ移動させるように連結する駆動連結部と、を備え、
前記回避動作部と前記駆動連結部の連結状態は、前記閉鎖位置までの前記回避動作部の移動が阻害されたときに解除される、
ことを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記連結状態は、前記回避動作部の前記閉鎖位置への移動が前記シート束よりも厚い異物により阻害されたときに解除される、
請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記連結状態は、前記回避動作部と前記駆動連結部との嵌合によりに形成される、
請求項2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記回避動作部と前記駆動連結部の連結は、連結弾性部材により形成されていて、
前記連結弾性部材による連結状態は、前記駆動連結部に連動する前記回避動作部の前記閉鎖位置への移動が阻害されたことで前記回避動作部に加わる力が前記連結弾性部材の付勢力よりも大きいときに解除される、
請求項1に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記閉鎖手段は、前記閉鎖位置への移動によって前記切替手段を操作する一の部位が前記閉鎖位置への移動方向とは反対方向へ付勢されていて、
前記一の部位に対する付勢力は、前記駆動手段による駆動力よりも弱い力である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記綴じ手段による綴じ動作の駆動力も供給する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記閉鎖手段は前記出入口の全体を覆う閉鎖部材を有する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項8】
装置外部から前記綴じ位置への進入路を形成する開口を開閉可能なカバー手段と、
前記カバー手段の開閉状態を検知するカバー検知手段と、
を有し、
前記切替手段と前記カバー検知手段の状態の組み合わせに基づいて前記綴じ処理の実行可能又は不能状態を切り替える、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置により画像が形成されたシートによるシート束に綴じ処理を実行する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の後処理装置と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シートに画像を形成する画像形成装置が知られている。また、シートの端部を整合するシート整合機能や整合されたシートの束に綴じ処理を行う後処理装置も知られている。そして画像形成装置と後処理装置を含み、画像が形成されたシートの束を綴じて排出する画像形成システムも知られている。
【0003】
従来の後処理装置において、綴じ処理の対象となるシート束とは異なる物体(異物)がステイプラユニットの綴じ処理空間(処理領域)に入り込むことを防止するシャッタ機構を備えるものも知られている。従来のシャッタ機構には、処理領域における異物の存在有無を検知するセンサを備えるものもある。
【0004】
綴じユニット近傍を覆うように構成されたシャッタを備え、センサがシート束と異物との厚みの差を検出することで、シート束を綴じユニットから取り除いた場合においても、シート束よりも厚みのある異物の進入を防ぐ技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の技術では、ステイプラユニットの処理領域に異物が進入している状態、特に、シート束の厚みに近い厚さをもつ異物が存在してもシャッタが閉じられることがあり、その場合、シャッタにより異物にダメージを与える恐れがある。また、異物が挟まれた状態でシャッタが閉まったときに、その異物を除去するには、一旦シャッタを開ける操作が必要になり、保守の効率が低下するので、シャッタを開けずに異物を除去しようとするとシャッタを破損する恐れもある。
【0006】
本発明は、ステイプラユニットを動作させる前にシャッタ機構が閉じるときに異物が挟まっているときは、異物の厚み方向にシャッタの閉じ動作を回避させる後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は後処理装置に関し、シート束を綴じる綴じ手段と、前記綴じ手段が綴じ処理を行う綴じ位置への出入口を閉鎖する閉鎖手段と、前記出入口が閉鎖される閉鎖位置に前記閉鎖手段を移動させる駆動手段と、前記閉鎖手段が前記閉鎖位置まで移動したときに、前記綴じ手段が綴じ処理を実行可能状態に切り替える切替手段と、を有し、前記閉鎖手段は、前記閉鎖位置に移動して前記切替手段を操作する切替操作部と、前記駆動手段からの駆動力により前記切替操作部を前記閉鎖位置へ移動させるように連結する駆動連結部と、を備え、前記切替操作部と前記駆動連結部の連結状態は、前記閉鎖位置までの前記切替操作部の移動が阻害されたときに解除される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ステイプラユニットを動作させる前にシャッタ機構が閉じるときに異物が挟まっているときは、異物の厚み方向にシャッタの閉じ動作を回避させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る画像形成システムの実施形態における構成例を示す図。
図2】本発明に係る後処理装置の実施形態を示す上面視図。
図3】後処理装置の側面視図。
図4】後処理装置の第一実施形態に係るステイプルモード動作時の側面視図。
図5】第一実施形態に係るステイプルモード動作時の上面視図。
図6】第一実施形態に係るステイプルモード動作時の上面視図。
図7】第一実施形態に係るスティプル位置に移動するときの上面視図。
図8】第一実施形態に係る綴じ処理後のシート束を落下させるときの上面視図。
図9】第一実施形態に係るステイプラユニットの基本構成を示す図。
図10】第一実施形態に係るステイプラユニットの構成を示す図。
図11】第一実施形態に係るステイプラユニットの構成を示す図。
図12】第一実施形態に係るステイプルモード動作のフローチャート。
図13】第二実施形態に係るステイプラユニットの構成を示す図。
図14】第三実施形態に係るステイプラユニットの構成を示す図。
図15】第四実施形態に係るステイプラユニットの構成を示す図。
図16】第五実施形態に係るステイプラユニットの構成を示す図。
図17】第六実施形態に係るステイプラユニットの構成を示す図。
図18】第七実施形態に係るステイプラユニットの構成を示す図。
図19】第八実施形態に係るステイプラユニットの構成を示す図。
図20】第九実施形態に係るステイプラユニットの構成を示す図。
図21】第九実施形態に係るステイプラユニットの制御パターンを示す図。
図22】第九実施形態に係るステイプルモード動作のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ実施形態に係る後処理装置及び画像形成システムについて説明する。また以下の説明では、シートの一例として紙媒体を例示しているが、例えばプラスチック製、布製、金属製のシートなどでも適用可能である。
【0011】
<全体構成>
図1は、画像形成システムの概略を示す図である。画像形成システム1は、画像形成装置100、シート積載機能やシート整合機能及びシート束綴じ機能を有する後処理装置200、及び画像読み取り装置300を有する。
【0012】
画像形成装置100は、カラー画像を形成する間接転写方式タンデム型の画像形成ユニットであり、媒体としてのシートPに画像を形成する画像形成部として機能する。画像形成装置100は、四色の作像ステーション111が配置された作像部110、作像部110の下方に隣接して設けられた光書き込み部113を有する。画像形成装置100は、作像部110の下方に設けられた給紙部120、給紙部120でピックアップされたシートPを二次転写部140及び定着部150に搬送させるために案内する給紙搬送路130を有する。画像形成装置100は、画像が定着されたシートPを後処理装置200に搬送させるために案内する排紙経路160、一面に画像が形成されたシートを反転(スイッチバック)し、他方面に画像形成させるために給紙搬送路130に案内する両面搬送路170を有する。
【0013】
作像部110の作像ステーション111は、YMCK各色用の感光体ドラムと、この感光体ドラムの外周に沿って配置された帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニット等を有する。作像部110は、感光体ドラムに形成された画像が一次転写ユニットによって転写される中間転写ベルト112と、感光体ドラムに色毎に画像を書き込む光書き込み部113とを有する。光書き込み部113は、作像ステーション111の下側に配置され、中間転写ベルト112は作像ステーション111の上側に配置されている。中間転写ベルト112は、複数の支持ローラによって回転可能に支持されている。そのうちの一つの支持ローラ114は、二次転写部140で中間転写ベルト112を介して二次転写手段としての二次転写ローラ115と対向し、中間転写ベルト112上の画像をシートPの面に二次転写できるようになっている。なお、このような画像形成プロセスとして、上記以外に公知なものを採用してもよい。
【0014】
給紙部120は、給紙トレイ121、ピックアップローラ122、給紙搬送ローラ123を有し、給紙トレイ121からピックアップしたシートを給紙搬送路130に沿って上方に送り出す。送り出されたシートPは、二次転写部140で画像が転写され、定着部150に送られる。定着部150は、定着ローラと加圧ローラを備え、シートPが両者間のニップを通過する過程で、加熱及び加圧が行われ、トナーがシートPに定着される。
【0015】
定着部150の下流には、排紙経路160と両面搬送路170が設けられ、分岐部材としての分岐爪161によってどちらか一方の搬送路にシートPが導かれるように切り替えられることで、後処理装置200側に搬送される場合と、両面搬送路170に搬送される場合とで搬送路が選択される。なお、分岐爪161のシート搬送方向上流側の直近には分岐搬送ローラ162が設けられ、シートPへ搬送力を付与している。
【0016】
後処理装置200は、画像形成装置100から搬送された画像形成済みシートPに所定の処理(例えば揃え処理)を施し、最下流に位置する排出トレイ204に積載するもので、詳細については後述する。また、後処理装置200は、画像形成装置100から搬送された画像形成済みシートPに揃え処理を施して形成されたシート束Pbの端部に、所定の後処理(例えば綴じ処理)を施し、最下流に位置する排出トレイ204に積載する。なお、図1に示すように画像読み取り装置300を備えた場合には、後処理装置200は、画像形成装置100と画像読み取り装置300との間であって、画像形成装置100の筐体に形成された、本来はシートPの排出先として利用される空間部に装着される。これにより、空間の有効利用を図り、省スペース化を促進することができる。
【0017】
後処理装置200内に配置される制御部260は、例えば中央演算装置、主記憶装置、補助記憶装置などを含む基板であり、ソフトウェア処理により各ハードウェアを動作させるユニットである。制御部260は、各搬送路に設置されるセンサから、シートPの有無を示す検出信号を入力し、検出信号に基づき後処理装置200内でのシートPの搬送制御を行うとともに、後述の各ユニットの動作制御を行う。なお、画像形成装置100内に備えられる制御部が、制御部260と通信することによって、画像形成システム1が制御されるようになっているが、これに代えて、統括的に後処理装置200内の各ユニット及び後処理装置200内の各処理ユニットの制御を行ってもよい。
【0018】
画像読み取り装置300は、コンタクトガラス上にセットされた原稿を光走査して原稿面の画像を読み取る。画像読み取り装置300自体の構成及び機能は公知なものを採用してもよい。
【0019】
上記のように構成された画像形成装置100は、画像読み取り装置300から読み取られた原稿データあるいは外部のパーソナルコンピュータなどから転送された印刷データに基づいて、書き込みに使用する画像データを生成する。そして、画像データに基づいて光書き込み部113が各感光体ドラムに対して光書き込みを行い、各作像ステーション111で色毎に形成された画像が順次、中間転写ベルト112に転写される。これにより中間転写ベルト112上に四色の画像が重畳されたカラー画像が形成される。一方、給紙トレイ121からは画像形成に応じてシートが給送される。シートPは、二次転写部140の直前のレジストローラ位置で一旦停止し、中間転写ベルト112上の画像先端とタイミングを合わせて送り出され、二次転写部140で二次転写され、定着部150へと送り込まれる。
【0020】
定着部150で画像が定着されたシートPは、片面印刷の場合及び両面印刷の両面印刷後の場合には、分岐爪161の切り替え動作により排紙経路160側へ搬送され、両面印刷の場合には両面搬送路170側へ搬送される。両面搬送路170に搬送されたシートは、反転後、二次転写部140に再度送り込まれて他側の面に画像が形成され、排紙経路160に搬送される。排紙経路160に搬送されたシートは、後処理装置200に搬送され、後処理装置200で綴じ処理などの所定処理が施され、あるいは処理なしで排出トレイ204に排紙される。
【0021】
<後処理装置の概要>
図2は、後処理装置200の上面視図であり、図3は側面視図である。図2図3は、共に本実施形態に適用される基本的な構成を示している。後処理装置200は、シートPの搬送方向上流側から入口ローラ対202、紙面検知フィラー211、後端基準フェンス210、排紙ローラ対203、シートPの幅方向の側端(端部)を揃えて、整合されたシート束Pbを形成するシート揃え手段としてのジョガーフェンス205、206、後端ガイド208、先端ストッパ207及び排出トレイ204を備えている。後処理装置200は、後処理装置200の構成に加えて、ステイプラユニット209(綴じ手段)を備えている。
【0022】
シートPの搬送方向に向かって右側に相当する奥側のジョガーフェンス205と、シートPの搬送方向に向かって左側に相当する手前側のジョガーフェンス206は、ガイド軸213に支持され、ガイド軸213の軸方向に移動可能に設けられている。また、ジョガーフェンス205、206は、シート後端受け部212を備えている。シートPは図2に示す+X方向から-X方向に向かって搬送されてくる。シートPの搬送方向の下流方向にはシートPの先端を整合するシート先端揃え手段としての先端ストッパ207が設けられている。
【0023】
後処理装置200のシート受入部には画像形成装置100の排紙搬送路からシートPを受け入れるガイド板が配置される。このガイド板のシートPの搬送方向最上流に入口ローラ対202が配置される。そして、最下流側に排出トレイ204にシートPをシフトして排紙する機能を有する排紙ローラ対203が配置される。
【0024】
シートPは、入口モータにより入口ローラ対202及び排紙ローラ対203が回転することで、ガイド板に沿って後処理装置200内を搬送される。
【0025】
ジョガーフェンス205、206は、排紙ローラ対203から排紙されるシートPの幅方向(Y方向)の端部を積載する積載部と、積載されたシートPの幅方向の側端と接触してシートPの幅方向の揃えを行うための揃え部とを有しており、積載手段としても機能する。
【0026】
後処理装置200の排紙動作としては、シートPをジョブごとに異なる位置にシフトして排紙するシフトモードと、そのまま排紙するストレート排紙モードと、複数枚のシートPをシート束Pbとして綴じて排紙するステイプルモードとの3つのモードがある。シフトモードおよびストレート排紙モードの動作は従前と同様であるため、以降、ステイプルモードにおける各部の構成や動作について説明する。
【0027】
以下、後処理装置200におけるステイプルモードの動作について説明する。ステイプルモードは、ステイプラユニット209を用いてシート束Pbの端部を綴じる綴じ処理を行うための動作モードである。したがって、後処理装置200において整合処理を行った後に、ステイプラユニット209による綴じ処理が実行される。以下において説明するステイプルモードの動作は、後処理装置200による整合処理が行われ、整合処理の後に後処理装置200による綴じ処理が行われる一連の動作である。
【0028】
図4及び図5は、後処理装置200のステイプルモードの動作について説明する側面視図及び上面視図である。ステイプルモード時には、図4及び図5に示すように、排出トレイ204、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207がシート受け位置へと移動する。このとき、図4及び図5において点線で示す位置、すなわち、ジョガーフェンス205、206の底面から30mm下方に排出トレイ204は移動する。また、ジョガーフェンス205、206は、排紙されるシートPに対してそれぞれ7mmほど外側の位置をシート受け位置として、このシート受け位置に移動する。なお、先端ストッパ207のシート受け位置は、ジョガーフェンス205、206の搬送方向上流側のシート後端受け部212からシート長に25mmを加算した長さに相当する位置に設定することが望ましい。
【0029】
紙面検知フィラー211は、排出トレイ204の移動が終了すると後端基準フェンス210の搬送方向上流側に退避する。紙面検知フィラー211は、排出トレイ204に載置されている最上位のシートPの上面に接触し、その上面の位置がジョガーフェンス205、206の底面から30mm以下になった場合には紙面検知センサONにし、30mmより大きい場合には紙面検知センサをOFFにする。紙面検知フィラー211の位置によって位置検知センサのON/OFFが切り替わることで、シートPの積載高さが検知される。
【0030】
また、排出トレイ204、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207の移動と同時にステイプラユニット209が所定の綴じ位置へ綴じユニット移動モータにより移動される。
【0031】
各ユニットがシート受入位置に移動した後(移動完了後)、排紙ローラ対203からシートがジョガーフェンス205、206に排紙され、用紙後端が排紙ローラ対203から抜けるタイミングにて上部に待機していた後端ガイド208が排出トレイ204に向けて下降する。この動作により用紙後端が排紙ローラ対203から落下しないまま次の用紙が排紙されて。ジャム発生の原因となることを防ぐことができる。
【0032】
後端ガイド208下降後、図6に示すように、先端ストッパ207が待機位置(シート受け位置)から搬送方向上流側へ移動する。そして、ジョガーフェンス205、206に受けられているシートPに対して先端ストッパ207が、図6の実線で示される端部揃え位置に移動する。これによって、シートPの搬送方向の先端及び後端は、先端ストッパ207とシート後端受け部212によって挟まれるので、搬送方向端部の位置揃えが行なわれる。この搬送方向端部の位置揃えと同時に、ジョガーフェンス205、206がそれぞれ内側へ移動して、シートPの幅方向を挟み込むことで側端部の位置揃えが行われる。位置揃えが完了した後、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207、後端ガイド208は再び待機位置へと移動する。
【0033】
上記の位置揃え動作をシートPの一枚目から最終シートまで繰り返す。そして、最終のシートの位置揃え動作が完了すると、先端ストッパ207がジョガーフェンス205、206間(シート受け位置)から退避する。そして、ジョガーフェンス205、206は、シートPの幅方向の挟み込み位置を相対的に保持したまま図7のように奥側に配置されているステイプラユニット209が綴じ処理を処理領域(処理空間)に相当する綴じ位置まで移動する。このジョガーフェンス205、206の移動により、側端が整合されたシート束Pbを綴じ位置まで移動させる。ジョガーフェンス205、206が綴じ位置まで移動完了後、ステイプラユニット209により綴じ処理が行われる。
【0034】
ステイプラユニット209による綴じ処理完了後、ジョガーフェンス205、206をシートPの幅方向の位置揃えを行っていた位置まで移動させる。また、先端ストッパ207もシートPの搬送方向の位置揃え位置まで移動させる。その後、図8において実線で示すように、ジョガーフェンス205、206及び先端ストッパ207の移動完了後、ジョガーフェンス205、206が互いに離反するように外側に移動する。これによって、ジョガーフェンス205、206の下部に位置する排出トレイ204にシート束Pbを落下させる。そして、シート束Pbが排出トレイ204に落下した後、ジョガーフェンス205、206及び先端ストッパ207は、次に搬送されてくるシートPを受け入れるために、シート受け位置へと移動する。
【0035】
ジョガーフェンス205、206からシートPを落下させた後、紙面検知フィラー211が退避位置から復帰して、排出トレイ204に積載されているシート束Pbの高さを検知する。その検知結果に応じて、積載されたシート束Pbの厚み相当の位置に、排出トレイ204を下降させる。この下降動作によって、ジョガーフェンス205、206の底面から排出トレイ204上の最上部のシートPまでの距離が一定に保たれるため、多数枚の積載が可能になる。なお、全ての印刷ジョブが完了すると排出トレイ204は最下部(イニシャル位置)まで下降する。
【0036】
<ステイプラユニット209の基本構成>
図9は、本実施形態に係るステイプラユニット209の基本構成を例示している。ステイプラユニット209は、クリンチャ部291とドライバ部292とを備える。クリンチャ部291が稼働し、ドライバ部292が突出させた綴じ針Nを押圧する空間(隙間)が綴じ処理の行われる処理領域に相当する。シート束Pbの側端部が、ジョガーフェンス205、206によって綴じ位置としての処理領域に移動(進入)した後、ドライバ部292が綴じ針Nを突出させてシート束Pbの端部を貫通させる。その後、クリンチャ部291が、シート束Pbを貫通した綴じ針Nの端部(先端)を押圧して折り曲げるようにする。これのようにして、シート束Pbへの綴じ処理が実行される。なお、シート束Pbに対して綴じ針Nを折り曲げて固定させるように上下動をするクリンチャ部291の動作及びドライバ部292が綴じ針Nを突出させてシート束Pbを貫通させる動作は、制御部260によって制御されるステープラ駆動源によって行われる。
【0037】
<第一実施形態>
図10は、ステイプラユニット209の第一実施形態を示す。図10(a)は、処理領域にシート束Pbが移動(進入)した状態であって、綴じ処理の実行前段階を例示している。図10(b)は、処理領域にあるシート束Pbに対して綴じ処理を実行している段階を例示している。図10(c)は、処理領域にシート束Pbがあり、かつ処理領域に異物F(例えば、ユーザの手指の一部)が進入している状態で綴じ処理を実行するときに生ずる回避段階を例示している。
【0038】
図10に示すように、ステイプラユニット209は、クリンチャ部291、ドライバ部292、閉鎖手段としてのシャッタ293、駆動手段としてのシャッタ駆動部296、切替手段としての切替スイッチ297を備えている。クリンチャ部291とドライバ部292はすでに説明をしているので詳細を省略する。
【0039】
シャッタ293は、クリンチャ部291が綴じ針を押圧する綴じ処理が行われる空間(綴じ位置)へシート束Pbを移動させる出入口となる開口を閉鎖し、閉鎖位置に移動するときに移動が阻害されたときは閉鎖動作を回避させる回避動作部294と、回避動作部294を閉鎖位置に移動させる駆動力を伝達するための駆動連結部295と、を備える。なお、閉鎖位置は、回避動作部294が、開口からシート束Pb以外の物(異物)が進入することを阻止するために、綴じ位置を含む空間を外部から遮る位置である。
【0040】
回避動作部294は、駆動連結部295と連結するための連結部としての連結穴2941を有する。駆動連結部295は、連結穴2941に嵌合する連結部としての突起部2951を備える。回避動作部294は、シャッタ駆動部296からの駆動力により駆動連結部295が移動するときに連結部としての突起部2951と連結穴2941が嵌合状態(連結状態)を維持されたままであれば、駆動連結部295の移動に連動して、閉鎖位置に移動するように構成されている。
【0041】
駆動連結部295は、回避動作部294に駆動力を伝達するための突起部2951の他に、シャッタ駆動部296からの駆動力を受ける駆動力受け部としてのラックギア2952を備えている。突起部2951は、半球状であって、回避動作部294の移動が阻害された状態で駆動連結部295が移動を続けるときには嵌合状態(連結状態)が解除される程度の嵌合度合いで回避動作部294の連結穴2941に嵌合するように形成されている。
【0042】
シャッタ駆動部296は、駆動源としての閉鎖駆動モータ2961と、閉鎖駆動モータ2961の駆動軸に固定される閉鎖駆動ギアとしてのピニオンギア2962とを備える。ピニオンギア2962は、ラックギア2952と噛み合っていて、閉鎖駆動モータ2961が駆動したときに、駆動連結部295を垂直方向に移動させる駆動力を伝達する。
【0043】
切替手段としての切替スイッチ297は、回避動作部294が閉鎖位置に移動したときにオンになる操作が行われる位置に配置されている。切替スイッチ297は、ステイプラユニット209への動作電源を供給する給電回路の開閉を担う。切替スイッチ297がオンになることで、ステイプラユニット209による綴じ動作が実行される「実行可能状態」になる。
【0044】
<シャッタ293の動作(回避動作含む)>
続いて、シャッタ293を含むステイプラユニット209の動作について説明する。制御部260は、シート束Pbが綴じ位置に移動させられたとき、まず、閉鎖駆動モータ2961を駆動させ、ピニオンギア2962を回転させる。これによって、駆動連結部295を切替スイッチ297方向に移動させる。駆動連結部295の移動と連動して、回避動作部294が閉鎖位置に向かって移動する(図10(a))。
【0045】
回避動作部294が閉鎖位置に移動すると、移動方向に設置されている切替スイッチ297が回避動作部294によって操作(押下)される。切替スイッチ297が押下されると、ステイプラユニット209のドライバ部292への給電回路が閉じて、綴じ手段としてのドライバ部292とクリンチャ部291が綴じ動作を実行できる実行可能状態に切り替わる。これによって、綴じ針の突出と、クリンチャ部291の押圧動作が行われる。すなわち、切替スイッチ297が操作されることで、ドライバ部292が備える駆動源が動作可能な状態になり、またクリンチャ部291も動作可能になる。
【0046】
このとき、回避動作部294によって開口は閉鎖されていて、綴じ位置にはシート束Pbのみがある。すなわち、回避動作部294の移動によってステイプラユニット209が綴じ動作を実行可能状態になっているとき、開口は回避動作部294によって外部と遮られていて、異物Fの進入は阻止されている状態になる。これによって、回避動作部294に異物Fが挟まることや、綴じ動作が実行可能状態のときに異物Fが綴じ位置に進入することを防ぐことができる。
【0047】
一方、制御部260によって閉鎖駆動モータ2961が駆動されて駆動連結部295が移動を開始し、これに連動して回避動作部294が閉鎖位置に向かって移動している途中において、回避動作部294の移動が阻害されると、連結状態が解除される。例えば、出入口に異物Fが存在しているときや、綴じ位置まで異物Fが進入してしまっている状態であれば、回避動作部294とドライバ部292との間に異物Fが挟まってしまう状態になる。このような状態になると、回避動作部294は閉鎖位置まで移動できず、移動が阻害される。
【0048】
回避動作部294の移動が異物Fによって阻害されても、駆動連結部295は閉鎖駆動モータ2961の駆動力によって移動を続けるので、突起部2951が連結穴2941から外れて嵌合状態(連結状態)が解除される。回避動作部294は、駆動連結部295との連結が解除されると、駆動力を失って停止する。この場合、回避動作部294は、閉鎖位置に至らずに停止する。
【0049】
回避動作部294が閉鎖位置に移動せずに停止すると、上記にて説明したとおり、切替スイッチ297が操作されず、綴じ処理は実行不能状態になる。すなわち、回避動作部294によって綴じ処理が回避されることになる。
【0050】
本実施形態に係るステイプラユニット209は、所定の綴じ枚数となるシート束Pbの厚みと、異物Fの厚みの差を検出することができるので、シャッタ293とドライバ部292との間の隙間が、所定の綴じ枚数のシート束Pbの厚みよりも狭いときには、切替スイッチ297を操作して綴じ処理を実行可能状態にする。
【0051】
ここで、所定の綴じ枚数は、例えば普通紙の最大綴じ枚数であり、使用する紙厚によっては最大綴じ枚数を増減することがある。隙間が所定の綴じ枚数の厚みよりも広いときには、ステイプラユニット209のドライバ部292への給電は行われない。したがって、シート束Pbを綴じる時にシート束Pbが取り除かれて、空いた空間に異物Fが進入しても、ドライバ部292への給電は遮断したままにできる。
【0052】
図10(a)に例示しているように、シート束Pbを構成するシートPの側端の曲がりが大きいときは、シート束Pbを開口から進入させて綴じ位置に移動させるときは、開口の隙間よりも狭い隙間でシャッタ293が待機しているほうがよい。これは、シャッタ293とドライバ部292の段差にシートPが引っ掛からないようにするためである。
【0053】
シート束Pbを綴じる際、シャッタ293は開口を閉鎖する閉状態になっているが、この閉状態でシャッタ293は所定の綴じ枚数の厚さまで出入口を閉じている。しかし、ステイプラユニット209は、所定の綴じ枚数以下のシート束Pbに対する綴じ動作も行うので、ドライバ部292とクリンチャ部291による綴じ動作は、シャッタ293によって綴じられた出入口に形成される隙間が所定の綴じ枚数よりも狭い隙間でも実行できる。
【0054】
なお、駆動連結部295は、シャッタ293の隙間(開口の開口量)を可変させることができればよいので、シャッタ293を移動させる駆動構成は、閉鎖駆動モータ2961とラックランドピニオン機構の組み合わせに限定されるものではない。例えば、ベルト伝達や電磁ソレノイドを利用する構成でもよい。
【0055】
本実施形態に係るステイプラユニット209によれば、シャッタ293の位置を、シート束Pbを綴じ位置に出入りさせるための出入口を広く開いた開状態にする位置とするか、異物Fの進入を防止するように出入口を閉じた閉状態にする位置(閉鎖位置)かを切り替えることができる。この位置切替動作によって、シャッタ293を広く開けた位置にすることで、側端の曲がりが大きいシート束Pbを開口に進入させるときの搬送抵抗を小さくすることができる。
【0056】
また、突起部2951と連結穴2941の嵌合力は、回避動作部294が切替スイッチ297を押下する力よりも強く設定されている。また、回避動作部294の移動が阻止されて停止したときにシャッタ駆動部296によって駆動連結部295を移動させようとする力よりは弱く設定されている。したがって、回避動作部294の閉鎖位置への移動が阻止されて停止したときに、回避動作部294への駆動力の伝達が遮断されて、回避動作部294は自重で異物Fを挟んだ状態で停止する。このとき異物Fに掛かる力は小さいので、異物Fを容易に引き抜いて除去することができる。
【0057】
<戻し動作>
続いて、図10(c)に例示したように、回避動作部294と駆動連結部295の連結状態が解除されたとき、すなわち、連結穴2941と突起部2951の嵌合が外れたときに、嵌合状態に戻す動作について図11を用いて説明する。
【0058】
図11(a)に例示するように、回避動作部294と駆動連結部295の連結状態が解除された状態から、図10(a)に例示した状態に戻すときは、連結穴2941から外れた突起部2951をユーザが手作業で戻してもよい。
【0059】
また、シャッタ駆動部296を駆動して、開口を開くようにシャッタ293を移動させることで、連結穴2941に突起部2951が嵌合するようにしてもよい。その場合、図11に示すようにステイプラユニット209の上方に配置される壁298を利用する。図11(a)の状態から、制御部260がシャッタ駆動部296を動作させて、駆動連結部295を上方に移動させると、突起部2951と回避動作部294の摩擦によって回避動作部294も上方に移動する。このとき、図11(b)に示すように、駆動連結部295よりも上方にある回避動作部294が先に壁298に当たる。その後も、シャッタ駆動部296を駆動させると、回避動作部294は壁298に当たって止まった状態のまま、駆動連結部295が上方に移動する。その結果、図11(c)に示すように、突起部2951が連結穴2941に嵌合して元の状態に戻すことができる。
【0060】
なお、回避動作部294と駆動連結部295の連結方法は、上記のように、連結穴2941と突起部2951を嵌合させる形式に限定されるものではない。例えば、摩擦伝動を利用した動力を伝達する方法でもよい。その場合、切替スイッチ297を押下する力よりも摩擦を大きくし、回避動作部294を押し下げる駆動力は、駆動連結部295に対して回避動作部294が滑り出す力よりも大きくなるように構成すればよい。
【0061】
また、シャッタ駆動部296からの駆動力で所定の方向に移動する駆動連結部295の移動は、直線移動に限定されるものではなく、回転移動であってもよい。同様に、回避動作部294の移動も、直線移動に限定されるものではなく、回転移動であっても、閉鎖位置に移動して出入口を弊社する構成になればよい。
【0062】
[ステイプルモードの動作手順]
図12は、上記で説明したステイプラユニット209におけるステイプルモードの一連の動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、制御部260からの指示(制御信号)に基づき行われる。なお、動作の詳細については上記のとおりであることから、ここでは簡略的な説明とする。
【0063】
ステイプルモードの動作開始時、排出トレイ204及びジョガーフェンス205、206はホーム位置からシート受入位置へ移動され、ステイプラユニット209はホーム位置から規定のスティプル位置へ移動される(S1201)。そして先端ストッパ207は、ホーム位置からシート受入位置へ移動され、紙面検知フィラー211は検知位置から退避される(S1202)。
【0064】
排紙ローラ対203からシートが排紙されると(S1203)、後端ガイド208が下降してシートを上方から押さえ(S1204)、ジョガーフェンス205、206及び先端ストッパ207によるシート揃えが行われる(S1205)。シート揃えが行われた後、ジョガーフェンス205、206及び先端ストッパ207は、シート受入位置へ移動されて、後端ガイド208は上昇される(S1206)。
【0065】
制御部260は、最終シートであるかを判定し(S1207)、最終シートで無い場合(S1207:No)、処理はS1203に戻り、最終シートになるまでS1203からS1207が繰り返される。最終シートである場合(S1207:Yes)、先端ストッパ207が退避位置に移動する(S1208)。その後、ジョガーフェンス205、206は、シート束Pbを保持した状態でステイプルポジションへ移動される(S1209)。
【0066】
ジョガーフェンス205、206がステイプルポジションに移動した後、制御部260は、シャッタ駆動部296を駆動させてシャッタ293を閉鎖位置に移動させる(S1210)。シャッタ293が閉鎖位置に移動したら、ドライバ部292への給電回路が閉じるので、ステイプラユニット209による綴じ処理が実行される(S1211)。綴じ処理が終了すると、シャッタ駆動部296を動作させて、シャッタ293を閉鎖位置から元の位置に戻す(S1212)。
【0067】
シャッタ293が元の位置に戻り、開口が開放された後に、ジョガーフェンス205、206は、シート放出位置へ移動される(S1213)。ジョガーフェンス205、206の移動後、先端ストッパ207も元の位置に戻される(S1214)。そしてジョガーフェンス205、206は、相互で離間するように移動されてシート束Pbを落下させる(S1215)。
【0068】
シート束Pbが排出トレイ204の上に落下した後、紙面検知フィラー211は検知位置へ復帰(移動)され、ジョガーフェンス205、206はシート受入位置へ移動されて(S1216)、排出トレイ204が降下する(S1217)。この降下は、紙面検知センサがOFFになるまで行われる(S1218:Noのループ)。紙面検知センサがOFFになると(S1218:Yes)、排出トレイ204の降下が停止される(S1219)。
【0069】
その後、制御部260は、ジョブが完了したかを判定し(S1220)、完了していない場合(S1220:No)、処理はS1202に戻る。ジョブが完了すると(S1220:Yes)、排出トレイ204、ジョガーフェンス205、206、先端ストッパ207、ステイプラユニット209は、ホーム位置へ移動されて(S1221)、図12のフローチャートは終了する。なお、ジョガーフェンス205、206のシート受入位置への移動は、S1216で行われるのではなく、S1220の直前に行われるようにしてもよい。
【0070】
以上説明したように、シャッタ293が開口を閉じてから綴じ処理を行うことにより(S1211)、所定の綴じ枚数の厚さ以下の隙間のときには切替スイッチ297によってステイプラユニット209のドライバ部292に給電されて綴じ処理が行われる。所定の綴じ枚数の厚さよりもシャッタ293の隙間が広いときは、切替スイッチ297は動作せずステイプラユニット209のドライバ部292に給電されないため綴じ処理が実行されない。このとき切替スイッチ297の信号をトリガーとして綴じ処理の信号を送信する場合には、綴じ処理を行う制御信号も送信されないようにしてもよい。
【0071】
<第二実施形態>
次にステイプラユニット209の別の実施形態を説明する。図13に示すように本実施形態に係るステイプラユニット209aは、すでに説明をしたクリンチャ部291、ドライバ部292、シャッタ293、シャッタ駆動部296、切替スイッチ297と同様に構成を備えているが、シャッタ293の詳細な構成において相違点がある。以下、相違点を中心に説明する。
【0072】
本実施形態に係るシャッタ293aは、閉鎖位置に移動するときに移動が阻害されたときは閉鎖動作を回避させる回避動作部294aと、回避動作部294aを閉鎖位置に移動させる駆動力を伝達するための駆動連結部295aと、を備える。
【0073】
回避動作部294aは、駆動連結部295aと連動させる連結部としての被連結突起部2942を有する。駆動連結部295aは、連結弾性部材としてのトーションスプリング2956と、連結突起部2953と、を有する。トーションスプリング2956は、一方の端部が被連結突起部2942に固定され、他方の端部が連結突起部2953に固定されている。トーションスプリング2956は巻き戻し方向に付勢するものであって回避動作部294aは下方に付勢されている。
【0074】
トーションスプリング2956の付勢力は、切替スイッチ297を操作する力(押下する力)よりも大きな力に設定すればよい。シャッタ駆動部296が動作して駆動連結部295aを下方に移動させると、トーションスプリング2956も一緒に移動する。このとき、他方の端部は連結突起部2953に固定されているので、一方の端部側の被連結突起部2942には押し下げる方向に力が加わる。したがって、駆動連結部295aの下方への移動と連動して回避動作部294aも下方、すなわち切替スイッチ297に向かって移動する。
【0075】
回避動作部294aが閉鎖位置まで移動すれば、切替スイッチ297が押下されて、クリンチャ部291とドライバ部292が綴じ動作を実行可能な状態になる。
【0076】
なお、連結弾性部材には、引っ張りスプリングや圧縮スプリング、ゴムなどの弾性部材を用いてもよい。いずれの弾性部材を用いる場合においても、切替スイッチ297を押す力よりも大きな力(付勢力)を発揮できるものであればよい。
【0077】
ステイプラユニット209aのように、回避動作部294aの連動に弾性部材を利用することで、出入口に異物Fが挟まった状態になったとき(図13(c)参照)、異物Fを引き抜けば、連結弾性部材によって連結状態は戻るので回避動作への復帰が容易である。また、異物Fを挟んだ状態から異物Fを引き抜くとシャッタ293が元の位置に戻り、切替スイッチ297を押下して、綴じ処理が実行可能な状態に移行する可能性がある。しかし、ステイプラユニット209aであれば、異物Fが引き抜かれなければ綴じ処理の実行可能状態になることはないので、異物Fがクリンチャ部291などで挟まれることは回避される。
【0078】
<第三実施形態>
次に、ステイプラユニット209のさらに別の実施形態を説明する。図14に示すように本実施形態に係るステイプラユニット209bは、すでに説明をしたクリンチャ部291、ドライバ部292、シャッタ293、シャッタ駆動部296、切替スイッチ297と同様に構成を備えているが、シャッタ293とシャッタ駆動部296の詳細な構成において相違点がある。以下、相違点を中心に説明する。
【0079】
シャッタ293bを構成する回避動作部294bは、出入口を閉鎖する機能を発揮する閉鎖部分と、切替スイッチ297bを操作する機能を発揮するスイッチ操作部を備えていて、駆動連結部295bの駆動力によって回動するように構成されている。
【0080】
駆動連結部295bは、シャッタ駆動部296bの駆動によって回動する扇状ギア2954と、扇状ギア2954の回転軸に取り付けられたトーションスプリング2956bと、を有している。トーションスプリング2956bの一方の端部は、連結突起部2953bに固定されていて、他方の端部は、回避動作部294bに形成されている被連結突起部2942bに固定されている。トーションスプリング2956bは巻き込み方向に付勢力を有する連結弾性部材であって、回避動作部294bを出入口の閉鎖方向に付勢する。
【0081】
シャッタ駆動部296bは回転軸にギアが固定されているモータであって、扇状ギア2954と噛み合っている。シャッタ駆動部296bの回転によって、扇状ギア2954は時計回り(CW)に回動するように構成されている。扇状ギア2954に形成されている連結突起部2953bは、トーションスプリング2956bの一方の端部を時計回りに押す。トーションスプリング2956bは巻き込み方向に付勢されているので、トーションスプリング2956bの他方の端部に固定されている被連結突起部2942bは時計回りに付勢される。
【0082】
制御部260が、綴じ処理を実行するための一連の制御において、シャッタ駆動部296bを回転させると、扇状ギア2954がと時計回りに回動し、被連結突起部2942bを時計回りに付勢するので、回避動作部294bが出入口を閉鎖する状態になる(図14(b))。このとき、回避動作部294bのスイッチ操作部分も時計回りに回動し、その結果、切替スイッチ297bが押下される。切替スイッチ297bは、ドライバ部292とクリンチャ部291の駆動部への給電回路の開閉を行うので、押下されることで給電回路が閉じて、ドライバ部292とクリンチャ部291が綴じ処理を実行可能の状態になる。
【0083】
なお、本実施形態に係る連結弾性部材においても、引っ張りスプリングや圧縮スプリング、ゴムなどの弾性部材を用いてもよい。いずれの弾性部材を用いる場合においても、切替スイッチ297を押す力よりも大きな力(付勢力)を発揮できるものであればよい。
【0084】
<第四実施形態>
次に、ステイプラユニット209のさらに別の実施形態を説明する。図15に示すように本実施形態に係るステイプラユニット209cは、ステイプラユニット209cの側面にシャッタ駆動部296cが配置されていて、ステイプラユニット209cの反対側面に切替スイッチ297cが配置されている。シャッタ293cを構成する、第一シャッタ部2931と第二シャッタ部2932は本来一体的に構成されていて、駆動連結部295c側を第一シャッタ部2931とし、回避動作部294c側を第二シャッタ部2932とする。
【0085】
駆動連結部295c側において、シャッタ駆動部296cからの駆動力が伝達されて、出入口を閉鎖する機能を発揮する閉鎖部分と、切替スイッチ297cを操作する機能を発揮するスイッチ操作部を備える。
【0086】
シャッタ293cの一の部分である第二シャッタ部2932側には、図15(c)に例示するように弾性部材としての引っ張りコイルバネ2933が設けられている。引っ張りコイルバネ2933は、第二シャッタ部2932を切替スイッチ297cの操作方向とは反対方向に第二シャッタ部2932を付勢する弾性部材である。
【0087】
図15(a)に例示するように、シャッタ駆動部296cによってシャッタ293cは一体的に動作するが、図15(b)に例示するように壊れている状態は、第一シャッタ部2931と第二シャッタ部2932が分断されて、駆動連結部295cからの駆動力は回避動作部294cへ伝達されない状態になる。このとき、回避動作部294cは駆動連結部295cの動作に連動せずに動作可能な状態になる。
【0088】
この場合、図15(b)に例示するように回避動作部294cは自重により下方へ移動し、切替スイッチ297cを押下する可能性がある。そして、駆動連結部295c側に異物Fが挟まっていても綴じ動作が実行可能な状態になってしまう。
【0089】
そこで、図15(c)に例示するように、第二シャッタ部2932が駆動連結部295cと独立しても下方に移動しないように引っ張りコイルバネ2933によって付勢することで、シャッタ293cが異物Fを挟み込んだ状態ではステイプラユニット209cが綴じ動作を実行不能な状態になる。すなわち、本実施形態によれば、シャッタ293cが壊れてしまって、回避動作部294cと駆動連結部295cが分断されても、異物Fが挟まっているときには綴じ動作を行えないように制御できる。なお、引っ張りコイルバネ2933の付勢力は、分断されたシャッタ293cが自重で垂れ下がらないような小さな力であればよい。
【0090】
<第五実施形態>
次に、ステイプラユニット209のさらに別の実施形態を説明する。図16に示すステイプラユニット209dは、すでに説明をした構成と相違する部分を含むシャッタ293dを備える。以下シャッタ293dを中心に説明する。
【0091】
回避動作部294dは、駆動連結部295dと連動させる連結部としての被連結突起部2942と、回避検知突起部2934と、を有する。駆動連結部295aは、連結弾性部材としてのトーションスプリング2956と、連結突起部2953と、検知棒2955と、を有する。検知棒2955は、駆動連結部295aに設けられたピンに回動可能に固定されていて、ピンを回転中心として自由端側が弧を描くように移動する。
【0092】
ステイプラユニット209dは、シャッタ293dを動作させる駆動源であるシャッタ駆動部296が綴じ動作を実行するドライバ部292やクリンチャ部291の駆動源を兼ねる。したがって、先にシャッタ293が動作して出入口を閉鎖し異物Fの進入を防ぐ閉鎖状態にしてから、ドライバ部292を動作させるように、制御部260が制御する。
【0093】
この場合、同じ駆動源を用いているため、ドライバ部292等への給電回路には電流が流れている状態である。そのため、シャッタ293dが動作後に、シート束Pbよりも厚みのある異物Fを挟んだ場合には、ドライバ部292等への給電を停止しなければならない。
【0094】
そこで、異物Fが挟まれたとき、すなわち、回避動作部294dが駆動連結部295と連動して閉鎖位置に移動することが阻害されたとき、検知棒2955が回避検知突起部2934によって押し上げられるようにする。切替スイッチ297dは、押し上げられた検知棒2955によって操作可能な位置に配置されている。切替スイッチ297dが操作されると、ドライバ部292等への給電を遮断する。
【0095】
以上のように、本実施形態に係るステイプラユニット209dによれば、シャッタ293dがシート束Pbよりも厚みのある異物Fを挟んだ位置では切替スイッチ297dが検知しする。また、シート束Pbを挟んだ位置では切替スイッチ297dを検知しない。これによって、安全性を保つことができる。
【0096】
<第六実施形態>
次にステイプラユニット209の別の実施形態を説明する。図17に示すように本実施形態に係るステイプラユニット209eは、シャッタ293eによって、綴じ位置(クリンチャ部291とドライバ部292によって綴じ処理が実行される空間)の全周を覆うように構成されている。
【0097】
例えば、ステイプラユニット209のシャッタ293では、端部の曲がりが大きいシート束Pbを綴じ位置に受け入れるためには、シートPの搬送抵抗を小さくする必要があり、それ故、ステイプラユニット209への出入口の開口面積を広く設ける必要があった。開口面積が広いと、綴じ動作を実行したときに生ずる音が放射状に広がる。
【0098】
そこで、ステイプラユニット209eでは、シャッタ293eによって綴じ位置の開口部分をシート束Pbの厚み相当まで覆うように構成し、綴じ動作時に生ずる騒音の遮音を可能にしている(図17(b)参照)。
【0099】
<第七実施形態>
次にステイプラユニット209のさらなる別の実施形態を説明する。これまで説明をしたステイプラユニット209は、シート束Pbの端部に対する綴じ処理を実行するものである。本実施形態に係るステイプラユニット209fは、シート束Pbに対して、搬送方向中間部分において綴じ処理を行う中綴じユニットの例である。
【0100】
図18に示すように本実施形態に係るステイプラユニット209fは、すでに説明をしたステイプラユニット209と基本的な構成は同様であるが詳細な部分で異なる点がある。以下、相違点について主に説明する。
【0101】
図18(a)に示すように、ステイプラユニット209fは、綴じ針Nを押し出すドライバ部292fと、綴じ針Nを曲げるクリンチャ部291fが、二つの部位に分離して配置され、シート束Pbを長さ方向の中央付近で挟み込む位置に綴じ位置を設定する。ステイプラユニット209fでは、クリンチャ部291fの位置は固定されて動かずに、ドライバ部292f側が動作する構成を例示している。
【0102】
したがって、ドライバ部292fが配置されている側に、シャッタ293f(回避動作部294fと駆動連結部295f)が配置されていて、シャッタ293fはドライバ部292fの移動方向と連動するように構成されている。また、回避動作部294f側には切替スイッチ297fが配置されていて、駆動連結部295fと連動できない状態になったときには、切替スイッチ297fが押下されないように構成されている。
【0103】
切替スイッチ297fが押下されないときは、ドライバ部292fは動作せず、クリンチャ部291fとの間の隙間である綴じ位置に異物Fが進入したときは、ドライバ部292fの動作を実行不能状態にする。
【0104】
なお、中綴じの場合は綴じ位置がシート束Pbの中央付近になるので、そこに異物Fが進入しないように、ステイプラユニット209fのシャッタ293fは、ユニット全周を覆わなければならない。
【0105】
<第八実施形態>
次にステイプラユニット209のさらなる別の実施形態を説明する。図19に示すステイプラユニット209gは、シート束Pbに対して、搬送方向中間部分において綴じ処理を行う中綴じユニットの別例である。
【0106】
本実施形態に係るステイプラユニット209gは、シート束Pbに対して異なる複数箇所で中綴じ処理を実行可能なユニットである。ステイプラユニット209gのように、複数に分割されているユニットの場合、複数の綴じ位置において同時に綴じ動作が実行されることになる。したがって、閉鎖部材としてのシャッタ293fは、綴じ位置の全体を覆うように、一体となっているものを用いることが好適である。
【0107】
<第九実施形態>
次にステイプラユニット209のさらなる別の実施形態を説明する。本実施形態に係るステイプラユニット209は、これまで説明をしたステイプラユニット209等の構成に加えて、図20に示すように、後処理装置200の筐体の一部を構成するカバー手段としての保護カバー2981と、保護カバー2981によって操作されるカバー検知手段としての保護スイッチ2982と、を有している。保護カバー2981は、装置外部から後処理装置200内部への進入路となる開口を開閉するカバーである。
【0108】
これまで説明をしたステイプラユニット209等は、異物Fの厚みがシート束Pbの厚みよりも厚い場合に機能するものである。しかし、異物F(例えば、ユーザの手指)よりもシート束Pbの方が厚い場合もある。この場合、これまでの実施形態に係るシャッタ293等のみでは、綴じ動作を実行することができない。すなわち、想定される異物Fの厚みよりも厚いシート束Pbに対する綴じ処理を実行可能にするには、さらなる制御手段が必要となる。
【0109】
そこで、本実施形態に係るステイプラユニット209hは、異物Fがステイプラユニット209hの設置空間である装置内部に入り込むことを防止する保護カバー2981の開閉状態と連携することで綴じ動作の実行可否が制御される。
【0110】
保護カバー2981が開放位置にあるとき(図20において点線で表記)、保護スイッチ2982は押下されず、保護カバー2981が閉鎖位置にあるとき(図20において実線で表記)保護スイッチ2982は押下されるように構成されている。保護スイッチ2982が押下されいて、かつ切替スイッチ297も押下されているときだけ、ドライバ部292等への給電回路を閉じるように構成することで、ステイプラユニット209hの綴じ位置に異物Fが挟まる可能性があるときには、綴じ動作を実行しないように制御できる。
【0111】
例えば、図21において、切替スイッチ297の状態と保護スイッチ2982の状態組み合わせと、ステイプラユニット209hへの給電状態を例示する。それぞれのスイッチの状態は「ON」を「1」とし「OFF」を「0」で表してある。また、ステイプラユニット209hへの給電は、給電状態を「1」で表し、給電されていない状態を「0」で表してある。
【0112】
図21に例示するように、ステイプラユニット209hの給電回路において、切替スイッチ297と保護スイッチ2982のいずれか一方がONのときに、ユニットへの給電を行うようにする。すなわち、ステイプラユニット209hの給電回路には、切替スイッチ297と保護スイッチ2982によるOR回路を形成するよう回路構成を用いればよい。
【0113】
ステイプラユニット209hによれば、所定の綴じ枚数よりも分厚いシート束Pbに対する綴じ動作を実行することができる。そして、異物Fとシート束Pbとの厚みの差を検出することができるので、シャッタ293とドライバ部292の隙間が所定の綴じ枚数よりも狭いときには切替スイッチ297の作動によって、綴じ処理が実行される。
【0114】
そして、隙間が所定の綴じ枚数のよりも広いときにはドライバ部292への給電は停止するので、シート束Pbへの綴じ動作を実行する最中に、シート束Pbが綴じ位置から取り除かれて、異物Fが綴じ位置に進入しても、綴じ動作を実行不能な状態に制御できる。
【0115】
図22は、ステイプラユニット209hにおける一連の動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、制御部260からの指示(制御信号)に基づき行われ、すで、図12を用いて説明をしたステイプラユニット209の動作手順と共通する部分が多い。以下、相違点を中心に説明する。
【0116】
ステイプルモードの動作開始した後に、制御部260が最終のシートPを判定した後(S2207:Yes)、シート束Pbの枚数が所定の綴じ枚数よりも多いか否かを判定する(S2208)。所定の枚数よりも多いとき(S2208:Yes)、保護カバー2981を閉じてから(S2209)、先端ストッパ207を退避位置に移動させる(S2210)。所定の枚数が所定の綴じ枚数よりも少ないときは(S2208:No)、保護カバー2981を閉じずに、先端ストッパ207を退避位置に移動させる(S2210)。
【0117】
その後、ジョガーフェンス205、206を、シート束Pbを保持した状態でステイプルポジションへ移動し(S2211)、シャッタ293を閉鎖位置に移動させ(S2212)、図21に例示した表に従って綴じ処理が実行される(S2213)。
【0118】
綴じ処理が終了した後、シート束Pbの枚数が所定の綴じ枚数よりも多いか否かを再度判定して(S2214)、所定の枚数よりも多いとき(S2214:Yes)、保護カバー2981を開けてから(S2215)、シャッタ293を元の位置に戻す(S2216)。所定の枚数が所定の綴じ枚数よりも少ないときは(S2214:No)、保護カバー2981は開いた状態のままでシャッタ293を元の位置に戻す(S2216)。
【0119】
S2217以降は、S1213以降と同様であるから、説明を省略する。
【0120】
以上説明したように、ステイプラユニット209hによれば、保護カバー2981が閉じられている間は後処理装置200の内部のシートP及びシート束Pbを取り出すことができずに不便であるため、ステイプラユニット209hのシャッタ293が閉じているときには保護カバー2981を閉じる必要がない。これによって、少ない枚数の綴じ処理を行うときには、シャッタ293による切替スイッチ297の操作に基づいて安全性を確保すればよいので保護カバー2981を閉じなくても安全を損なうことはない。すなわち、後処理装置200が動作中に装置内部にあるシートP及びシート束Pbを取り出す利便性を確保することができる。
【0121】
また、例えばユーザの手指よりも厚みのあるシート束Pbに対する綴じ処理を実行するときには、保護カバー2981と保護スイッチ2982によって、装置前面の開口を閉じて、不用意に手指を入れていないことを検知してユーザの安全を確保できるようにする。
【0122】
なお、上記の各実施形態を相互に組み合わせて実装してもよい。
【0123】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1 :画像形成システム
100 :画像形成装置
200 :後処理装置
202 :入口ローラ対
203 :排紙ローラ対
204 :排出トレイ
205 :ジョガーフェンス
206 :ジョガーフェンス
207 :先端ストッパ
208 :後端ガイド
209、209a、209b、209c、209d、209e、209f、209g、209h :ステイプラユニット
210 :後端基準フェンス
211 :紙面検知フィラー
212 :シート後端受け部
213 :ガイド軸
260 :制御部
291、291f :クリンチャ部
292、292f :ドライバ部
293、293a、293b、293c、293d、293e、293f :シャッタ
294、294a、294b、294c、294d、294f :回避動作部
295、295a、295b、295c、295d、295f :駆動連結部
296、296b、296c :シャッタ駆動部
297、297b、297c、297d、297f :切替スイッチ
298 :壁
300 :画像読み取り装置
2931 :第一シャッタ部
2932 :第二シャッタ部
2933 :引っ張りコイルバネ
2934 :回避検知突起部
2941 :連結穴
2942、2942b :被連結突起部
2951 :突起部
2952 :ラックギア
2953、2953b :連結突起部
2954 :扇状ギア
2955 :検知棒
2956、2956b :トーションスプリング
2961 :閉鎖駆動モータ
2962 :ピニオンギア
2981 :保護カバー
2982 :保護スイッチ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0125】
【文献】特開2002-087693号公報
図1
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図5
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