(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】原稿読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20240214BHJP
H04N 1/10 20060101ALI20240214BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H04N1/04 Z
H04N1/10
G03B27/62
(21)【出願番号】P 2020085027
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】河村 一茂
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-005252(JP,U)
【文献】特開2006-310937(JP,A)
【文献】特開2003-140278(JP,A)
【文献】特開2010-169865(JP,A)
【文献】特開2001-334734(JP,A)
【文献】特開平5-80268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/10
G03B 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取領域を備える原稿載置部と、
前記原稿載置部に載置された原稿の読取領域外に接着部を設けた表示部材と、
前記表示部材を支持するとともに前記接着部の被接着面を有する透明な支持部材と、
前記表示部材と載置された前記原稿とを押さえる圧板部と、
前記読取領域と前記接着部とを含んだ走査範囲を移動可能であって、前記接着部に光を照射可能な光走査手段と、
を有する原稿読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の原稿読取装置において、
前記接着部は光硬化型接着剤を塗布されることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の原稿読取装置において、
前記表示部材の前記接着部以外の領域には経時硬化型の接着剤が塗布されることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の原稿読取装置において、
前記圧板部が前記経時硬化型の接着剤によって仮止めされた前記表示部材を押さえた状態で前記光走査手段によって前記光硬化型接着剤を硬化することを特徴とする原稿読取装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の原稿読取装置において、
前記表示部材は、前記光走査手段の主走査方向に延びた直線状の部材であって、前記接着部は前記主走査方向における当該表示部材の両端に形成されることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項6】
請求項5に記載の原稿読取装置において、
前記表示部材の前記支持部材と対面する側であって、前記接着部に挟まれた位置に濃度補正部を備えることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1つに記載の原稿読取装置において、
前記圧板部は、当該圧板部が閉じられたときに前記表示部材の前記接着部に当接して上方から押圧する押圧部を有することを特徴とする原稿読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1つに記載の原稿読取装置と、
前記原稿読取装置を用いて読み取った文字または画像を記録媒体の表面に形成する画像形成部と、を有する画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトガラス上に載置された原稿の文字や画像等を光学走査ユニットを走査させることで読み取るための原稿読取装置が搭載された複合機やコピー機等の画像形成装置が広く知られている。
【0003】
原稿読取装置において、原稿を載置するコンタクトガラス等で構成される原稿載置部を境に上下で分離して開閉可能とした構成が知られている。
さて、このような画像形成装置においては、操作方法の指示等を表示するために、デカルと呼ばれる表示部材を装置に貼り付ける構成が知られている。
特に原稿のサイズの判別に用いられるスケールデカルは、原稿載置部には十分な接着面積の確保が難しく、また端部が特に剥がれ易いという問題が生じていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、サイズアップをしないようにかつ端部の剥がれを防止する表示部材を備えた原稿読取装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の原稿読取装置は、読取領域を備える原稿載置部と、前記原稿載置部に載置された原稿の読取領域外に接着部を設けた表示部材と、前記表示部材を支持するとともに前記接着部の被接着面を有する透明な支持部材と、前記表示部材と載置された前記原稿とを押さえる圧板部と、前記読取領域と前記接着部とを含んだ走査範囲を移動可能であって、前記接着部に光を照射可能な光走査手段と、を有する原稿読取装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、サイズアップをしないようにデカルの端部の剥がれを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示した画像形成装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図3に示した原稿読取装置に原稿を載置したときの一例を示す図である。
【
図5】
図4に示した原稿読取装置から透明部材を取り外した状態を示す図である。
【
図6】
図4に示した原稿読取装置の断面の構成の一例を示す図である。
【
図7】透明部材と表示部材の構成の一例を示す図である。
【
図8】
図3に示した原稿読取装置を下面から見たときの一例を示す図である。
【
図9】原稿読取装置に表示部材を取り付ける際の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態の一例として
図1に画像形成装置100の概略構成を示す。
本発明の第1の実施形態における画像形成装置100は、画像を記録媒体上に形成する画像形成部101と、原稿載置部に載置された原稿から文字や画像などを読み込むための所謂スキャナ機能を有する走査読取部102と、走査読取部102の上部に開閉可能な態様で備えられた原稿搬送読取部103と、制御部104と、を有している。
【0009】
画像形成部101は、
図2に示すようにいわゆる電子写真方式の画像形成を行う画像形成部である。
画像形成部101は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(Bk)の各色に対応した複数の感光体ドラム81と、それぞれの感光体ドラム81を囲んで配置された帯電部82と、露光装置83と、現像装置84と、転写ローラ85と、クリーニング装置86と、を有している。
なお、本実施形態においては、感光体ドラム81と、帯電部82と、露光装置83と、現像装置84と、転写ローラ85と、クリーニング装置86と、をそれぞれの色ごとに設けた所謂カラー画像を形成する画像形成部101について述べるが、かかる構成に限定されるものではない。
画像形成部101はまた、それぞれの感光体ドラム81に形成されたトナー像を転写される中間転写ベルト90と、中間転写ベルト90に対してシートPをタイミングを見計らって搬送するレジストローラ92と、中間転写ベルト90からシートPへとトナー像を転写する転写装置87と、シートPに形成されたトナー像を定着させる定着装置88と、定着後にシートPを排出するための排出トレイ89と、を有している。
画像形成部101の下方には、記録媒体であるシートPを貯留したカセット91が備えられており、カセット91からシートPが一枚ずつ取り出されてレジストローラ92で待機し、中間転写ベルト90に形成されたトナー像に先頭を一致させて、転写装置87へ送り込まれる。
【0010】
帯電部82は、回転する感光体ドラム81の表面を一様に帯電する。
露光装置83は、一様に帯電した感光体ドラム81の表面にレーザー光を走査して静電潜像を形成する。
現像装置84は、静電潜像にトナーを供給してトナー像として現像する。
転写ローラ85は、感光体ドラム81の表面のトナー像を中間転写ベルト90へと転写する。
クリーニング装置86は、転写後の感光体ドラム81上に残留したトナーを除去して次の画像形成に備えさせる。
【0011】
中間転写ベルト90は、2次転写ローラ93を含む複数のローラに巻きかけられた無端状ベルトであって、図中A方向へと回転する。
中間転写ベルト90は、2次転写位置Nにおいて、2次転写ローラ93と対向する2次転写対向ローラ94が中間転写ベルト90に当接して、ニップ部を形成している。
2次転写位置Nにおいて、2次転写対向ローラ94と2次転写ローラ93との間に中間転写ベルト90をシートPとともに挟みこみ、2次転写バイアスをかけて中間転写ベルト90表面のトナー像をシートPに転写する。
【0012】
中間転写ベルト90からトナー像を転写されたシートPは、定着装置88で熱と圧力とを加えられて、表面にトナー像が溶融、定着される。定着済みのシートPは、排出トレイ89へ排出して積載される。
【0013】
制御部104は、CPU(Central Processing Unit)、メインメモリ(MEM-P)、ノースブリッジ(NB)、サウスブリッジ(SB)等を有する計算機である。
制御部104はまた、AGP(Accelerated Graphics Port)バス、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ローカルメモリ(MEM-C)を有している。
制御部104はまた、HD(Hard Disk)、HDD(Hard Disk Drive)、PCIバス、ネットワークI/Fを有している。
【0014】
CPUは、メインメモリに記憶されたプログラムに従って、データを加工・演算したり、上述した各部の動作を制御したりするものである。メインメモリは制御部104の記憶領域としてはたらき、制御部104の各機能を実現させるプログラムやデータを記憶する。あるいはこのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、FD、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0015】
ローカルメモリ(MEM-C)は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いる。HDは、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HDDは、CPUの制御にしたがってHDに対するデータの読み出し又は書き込みを制御する。ネットワークI/Fは、通信ネットワークを介して情報処理装置等の外部機器と情報を送受信する。
【0016】
制御部104は、通信ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御するための通信制御手段として動作する。
【0017】
原稿搬送読取部103は、搬送前の原稿Sを載置する原稿トレイ40と、原稿トレイ40に載置された原稿Sを1枚ずつ分離して走査読取部102へと搬送する各種ローラ等と、を有している。
原稿搬送読取部103は、
図3に示すように走査読取部102との間で上下に回動するように設けられたヒンジ部42と、下部に取り付けられた圧板部41と、を備え、走査読取部102と上下で分離して開閉可能な態様で走査読取部102の上部に取り付けられている。
【0018】
走査読取部102は、原稿搬送読取部103によって搬送されて、原稿載置部として機能するコンタクトガラス7に乗せられた原稿Sを光学的に読み取ることによりRGB画像情報を生成する。具体的には、走査読取部102はコンタクトガラス7上に表面を下にして載置された原稿Sに下方から光を当て、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)、またはCIS(Contact Image Sensor)などの読取センサで受光することによってRGB画像情報を読み取る。なお、RGB画像情報とは、シートPに形成される画像を表す情報であり、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の明度を含むものである。
【0019】
走査読取部102には、
図3に示すように、筐体4aと、筐体4a内に備えられ、主走査方向たるC方向に延びてB方向に移動して走査可能な光走査手段たる光学走査ユニット16と、原稿載置部たるコンタクトガラス7と、コンタクトガラス7上に配置された透明部材11と、を有している。
走査読取部102はまた、透明部材11上に貼り付けられた表示部材であるデカル15と、後述するようにデカル15の接着部に対向する面に設けられた開口部13と、を有している。
以降の説明では、特に走査読取部102のコンタクトガラス7上に原稿Sを配置して画像を読み取る構成について説明するが、原稿搬送読取部103によって原稿Sを搬送しながら読み取る構成としても良く、かかる構成に限定されるものではない。
【0020】
光学走査ユニット16は、光源、レンズ、電荷結合素子(CCD)、及びミラーを保持し、駆動手段によって
図3に矢印B方向で示した副走査方向に移動可能なスキャナであり、光走査手段として機能する。
光学走査ユニット16は、コンタクトガラス7上に載置された原稿Sに対して光源からの光を主走査方向であるC方向に沿って走査するとともに、B方向に移動することによって原稿Sの2次元カラー画像を読み取る。本実施形態では特に、コンタクトガラス7の上方へ向けてZ方向、Z方向に垂直な平面のうち、副走査方向に沿った方向をX方向、主走査方向に沿った方向をY方向とする。
光学走査ユニット16の走査領域は、少なくともコンタクトガラス7の範囲内を走査可能であって、後述するように少なくともY方向に読取領域Wの外側にある開口部13を含み、X方向に白基準板33を含む範囲に光を照射可能である。このように、光学走査ユニット16の走査領域は、読取領域Wよりも広くなるように設定されている。
【0021】
透明部材11は、
図4に示すように、コンタクトガラス7のうち、原稿Sを読み取り可能な範囲である読取領域Wよりも主走査方向に長く延びた直線状の透明な部材であって、デカル15を支持する透明な支持部材である。ここで「透明」とは光学走査ユニット16からの照射光をある程度透過することを指し、後述するように接着部18へと照射される光量の確保のため、少なくとも接着部18へと塗布される光硬化型接着剤に照射されるべき波長の範囲内において透過率が高いものであることが望ましい。
なお、本実施形態では、読取領域Wは破線で示しており、コンタクトガラス7の露出した領域と略同一の領域であることを示している。
透明部材11には、コンタクトガラス7と反対側すなわち上面側にデカル15が貼り付けられている。
【0022】
デカル15は、例えば原稿Sのサイズを判別するために文字や目盛り等が表示されたスケールデカルなどの表示部材であって、本実施形態では
図4で示したように、コンタクトガラス7の読取領域W内に載置された原稿Sのサイズを計測するために用いられる。
なお、デカル15はかかる構成に限定されるものではなく、例えば画像形成装置100の使用方法等を記載するものであっても良い。
また、デカル15はコンタクトガラス7や筐体4aに直接貼り付けられる構造であっても良い。その場合には、コンタクトガラス7がデカル15を支持する透明な支持部材として機能する。
【0023】
図5は
図3に示した走査読取部102をZ方向側である上側から見たときの図である。なお、ここでは説明のため透明部材11を外した態様で示している。
コンタクトガラス7のうち、外周部分には上部に不透明な筐体4aが覆うように配置されている。
筐体4aには、読取領域WよりもY方向について外側に開口部13が設けられている。このような開口部13があることによって、
図6(b)で特に示すように、光学走査ユニット16からの光を、開口部13と透明部材11とを介して接着部18へと照射することが可能である。
【0024】
図6(a)に斜線で示したように、デカル15の透明部材11と当接する側の面(裏面)には、読取領域Wよりも主走査方向たるY方向の外側に2つの接着部18が設けられている。
接着部18は、本実施形態においてはデカル15の両端部を占めるように塗布された光硬化型接着剤であり、所定の波長の光を照射することによって硬化する。
図6(b)には
図6(a)にA-A’断面を示す。かかるA-A’断面から明らかなように、接着部18は、透明部材11を走査読取部102に取り付けたとき、開口部13に対向する位置に配置されており、光学走査ユニット16が点灯して開口部13に光が入射すると、透明部材11を透過して接着部18へと照射される。
【0025】
また、デカル15の主走査方向の両端部に取り付けられた接着部18の間には、
図7に示すように経時で接着材が硬化する両面テープ31が貼り付けられている。
なお、
図7(a)は透明部材11に貼り付けたデカル15を裏面側(コンタクトガラス7の裏側)から見た図であり、
図7(b)はデカル15を表面側(上面側)から見た図を示している。
なお、本実施形態においては、両面テープ31を読取領域Wの副走査方向であるX方向の外側に配置しているが、両面テープ31はデカル15の読取領域Wと重複する部分に跨るように配置されても良い。
【0026】
また、本実施形態では、デカル15の被接着面の裏側には、
図8に示すように主走査方向において開口部13の間に、画像濃度を補正するための白基準板33が設けられている。
かかる白基準板33は、照射された光を反射する白色の部材であって、制御部104がRGB画像情報を読み取る際に、白基準板33に反射され読み取られた光をもって「白色」の基準とすることで、読取画像の濃度の補正を行う濃度補正部である。
このように、主走査方向において開口部13の間に白基準板33を配置することとすれば、画像濃度の調整のために白基準板33に照射する位置に光学走査ユニット16を配置するときに、副走査方向における開口部13の位置に光学走査ユニット16が配置されることとなる。すなわち、光学走査ユニット16が、かかる画像濃度の調整の際に主走査方向に光を走査することで、読取領域Wの外側に配置された開口部13から光が透過して接着部18へと照射されることとなる。そのため、別途光学走査ユニット16が接着部18へと光を照射するための位置を設ける必要がなく、省スペース化が可能となる。
【0027】
このように、開口部13を読取領域Wの外側に複数配置するとともに、かかる複数の開口部13のY方向における間の部分を白基準板33とすることで、省スペース化が可能となる。
また、白基準板33の位置は、両面テープ31が貼り付けられる位置と重複する箇所に当たる。そのため光学走査ユニット16からの光が透明部材11を透過して両面テープ31に反射してしまい、意図しない迷光となることをも防止することができる。
なお、上述の形態において、白基準板33は筐体4aに設けられたものでも、透明部材11に設けられたものであっても、コンタクトガラス7に設けられたものであっても良い。
最も好ましくは、透明部材11におけるデカル15が接着される被接着面の裏側、すなわち透明部材11がコンタクトガラス7と当接する側の面に設けられる。このような位置とすれば、原稿Sに照射される光と同等の光が白基準板33に照射されることとなるから、白基準板33に反射された光が、原稿Sの白色に相当するように対応させればよくなり、読取画像の濃度の補正が容易となるためである。
また、本実施形態では、Z方向から見たときにかかる白基準板33と重複するようにデカル15の両面テープ31が貼付されている。このような構成とすれば、両面テープ31を別途貼り付ける位置が必要なくなり、より透明部材11の幅を抑制することで省スペース化が可能となる。
【0028】
なお、本実施形態では、デカル15を透明部材11に貼り付けて、筐体4aの開口部13から光を照射する構成としたが、デカル15をコンタクトガラス7の上面に、白基準板をコンタクトガラス7の下面に貼り付ける構成として、コンタクトガラス7の下側から光学走査ユニット16によって光を照射する構成であっても良い。
【0029】
また、既に述べたように搬送読取部103の下部には、圧板部41が備えられている。
かかる圧板部41には、圧板部41が閉じられたときにデカル15に当接して上方から押圧する押圧部12が設けられている。
具体的には、押圧部12は、平坦な圧板部41から下方へと突出した主走査方向に延びる直線状の凸条部分であり、その幅は
図6に示したようにデカル15の幅と略同一であることが望ましい。
原稿Sがコンタクトガラス7上に配置された状態で搬送読取部103が閉じられると、圧板部41が原稿Sを押さえるとともに、押圧部12がデカル15に上方から当接して押圧する。
光学走査ユニット16の動作は、基本的には搬送読取部103が閉じた状態で行われるから、かかる構成とすることで、デカル15の位置を押圧部12が押圧しながら接着部18を硬化させることができる。
【0030】
さて、このような表示部材であるデカル15は、擦れたり部品の反り等によって、特に端部が剥がれてしまったりして交換が必要なことがある。また、工場出荷時にも、当然ながらデカル15を貼り付ける必要がある。
そこで、ユーザーやサービスマンなどの操作者が、デカル15を筐体4aに貼り付け、固定する際の動作についても
図9を用いて説明を行う。
【0031】
まず、透明部材11の上部を清掃し、接着可能なように綺麗な面を露出させる(ステップS101)。具体的には例えば古くなった既存のデカルを剥がしたりすることで、透明部材11の上部の被接着面を接着可能な状態とする。
【0032】
次いで、両面テープ31をデカル15に貼り付けた上で、ステップS101において清掃した透明部材11の被接着面に貼り付ける(ステップS102)。
かかるステップS102によって、デカル15が透明部材11上に仮止めされる。
【0033】
搬送読取部103を閉じる(ステップS103)と、既に述べたように押圧部12がデカル15に上方から当接して押圧するから、デカル15の位置がずれることなく、仮止め状態のまま維持される。
なお、かかる仮止め状態においては、当然のことながら
図6に示したように、開口部13の位置は、接着部18と対向する位置となっている。
【0034】
さらに、操作者は、画像形成装置100の動作モードからデカル貼り付けモードを選択する(ステップS104)。
かかるデカル貼り付けモードは、具体的には光学走査ユニット16を貼り付け位置である副走査方向最端部に寄せられた状態へと移動させるモードであり、ステップS104においてデカル貼り付けモードが選択されると、制御部104は、光学走査ユニット16の位置を貼り付け位置まで移動させるとともに、光源を点灯させて光を照射する(ステップS105)。
光学走査ユニット16が光源を点灯させると、筐体4aに開けられた開口部13から光が接着部18へと照射されるので、光学走査ユニット16は接着部18が光硬化を完了させるまで発光を維持する(ステップS106)。
接着部18の光硬化型接着剤が硬化した後、光学走査ユニット16は光源を消灯して任意の待機位置まで移動する(ステップS107)。
光学走査ユニット16が待機位置に戻ると、画像形成装置100は作業完了した旨を表示してかかる表示部材の固定動作を終了する(ステップS108)。
【0035】
本実施形態では、画像形成装置100は、読取領域Wを備えるコンタクトガラス7と、コンタクトガラス7に載置された原稿Sの読取領域Wの外に接着部18を設けたデカル15と、デカル15を支持するとともに接着部18の被接着面を有する透明部材11と、を有している。
また、画像形成装置100はデカル15と載置された原稿Sとを押さえる圧板部41と、読取領域Wと接着部18とを含んだ走査範囲を移動可能であって、接着部18に光を照射可能な光学走査ユニット16と、を有している。
【0036】
一般的には、デカル15の貼り付けの際には、被接着面側の反りや歪みが少ないことが好ましい。また、画像形成装置100の小型化のためには、被接着面の面積や接着部18の面積の増大によって剥がれにくくする構成とすることは難しい。
そこで本発明においては、圧板部41に押圧部12を設けるとともに、デカル15が真っすぐ押圧された状態で接着部18を光によって硬化させる。
かかる構成によれば、走査読取部102と原稿搬送読取部103とのサイズアップをしないようにかつデカル15の端部の剥がれを防止することができる。
このように圧板部41がデカル15を押さえることで、治具等を使用することなくデカル15の貼り付けが可能となる。
また、かかる光硬化型接着剤は、一般的に硬化したときの接着強度が経時硬化型の接着剤よりも高く、剥離しやすいデカル15の端部に設けられることがより好ましい。
【0037】
また本実施形態では、接着部18は光硬化型接着剤を塗布された後に光学走査ユニット16によって光を照射されることで硬化する。
かかる構成によれば、特に剥がれの発生しやすい端部において、比較的接着力の強い光硬化型接着剤を用いることができるので、端部の剥がれをより抑制することができる。
【0038】
また本実施形態では、デカル15の接着部18以外の領域には経時硬化型の接着剤である両面テープ31が塗布される。
かかる構成によれば、光硬化型接着剤による硬化よりも前に、デカル15の位置を仮止めしながら、光の照射時に当該仮止め位置において固定可能なので、例えばデカル15の取付位置を変更したい場合にも、光硬化型接着剤の硬化前であればある程度変更することができる。
【0039】
また本実施形態では、圧板部41が両面テープ31によって仮止めされたデカル15を押さえた状態で光学走査ユニット16によって光を照射されて光硬化型接着剤を硬化する。
かかる構成によれば、光硬化型接着剤による硬化よりも前に、デカル15の位置を仮止めしながら、光の照射時に当該仮止め位置において固定可能なので、例えばデカル15の取付位置を変更したい場合にも、光硬化型接着剤の硬化前であればある程度変更することができる。
【0040】
また本実施形態では、デカル15は、光学走査ユニット16の主走査方向に延びた直線状の部材であって、接着部18は主走査方向におけるデカル15の両端に形成される。
かかる構成によれば、接着部18が読取領域Wと被らずに配置できる。
また本実施形態では、主走査方向における接着部18に挟まれた位置に濃度補正部たる白基準板33を備えている。
かかる構成によれば、画像濃度の調整に必要な白基準板33を接着部18の間に配置できるので、接着部18を設けたことによるサイズアップの必要がなく、省スペース化に寄与する。
また本実施形態では、画像形成装置100は走査読取部102と原稿搬送読取部103と画像形成部101と、を有し、画像形成部101は走査読取部102と原稿搬送読取部103とを用いて読み取った文字または画像をシートPの表面に形成する。
かかる構成によれば、画像形成装置100のサイズアップをしないようにかつデカル15の端部の剥がれを防止することができる。
【0041】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0042】
例えば、本実施形態では、原稿搬送読取部103と走査読取部102とを原稿読取装置として備えた画像形成装置100について説明を行ったが、所謂ADFとしての原稿搬送読取部103がなく、走査読取部102と圧板部41とを有する画像形成装置として本発明を適用しても良い。
【0043】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0044】
7 原稿載置部
11 支持部材
15 表示部材
16 光学走査ユニット(光走査手段)
18 接着部
33 白基準板(濃度補正部)
41 圧板部
100 画像形成装置
101 画像形成部
102 走査読取部(原稿読取装置)
103 原稿搬送読取部(原稿読取装置)
P 用紙(記録媒体)
S 原稿
W 読取領域
Y 主走査方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【文献】特開2000-340964号公報
【文献】特開2006-058432号公報
【文献】特開2008-061058号公報
【文献】実用新案登録第3027524号公報