(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】画像形成装置用天板および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/00 20060101AFI20240214BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B41J29/00 B
B41J29/00 A
G03G21/16 161
(21)【出願番号】P 2020085039
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐樹
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-328814(JP,A)
【文献】特開2006-102121(JP,A)
【文献】特開2007-062159(JP,A)
【文献】特開2010-162779(JP,A)
【文献】実開昭59-176562(JP,U)
【文献】特開2016-188891(JP,A)
【文献】特開2006-320447(JP,A)
【文献】実開昭49-010826(JP,U)
【文献】特開2007-188106(JP,A)
【文献】特開平11-254788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に配置される画像形成装置用天板であって、
前記画像形成装置の上面に配置されたときに、前記画像形成装置の外形より外側に存在する突出部を有し、
前記突出部の下側面に
、前記画像形成装置の外形より内側になる位置まで溝を設けた
ことを特徴とする画像形成装置用天板。
【請求項2】
前記溝は、前記天板の全周に設ける
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用天板。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の画像形成装置用天板を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置用天板および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタに天板を載せる構成が考えられ既に知られている。例えば、特許文献1には、プリンタ上面スペースの利用および排紙部のほこり堆積を防止する目的で、プリンタの上に天板を載せる構成が開示されている。
しかし、天板が机上と同じ役目を果たすために、横に飲み物の入ったカップを置いてパソコンを操作するなどのユーザーの使い方も考えられる。このような場合、飲み物をこぼしたときなど、液体が天板の側面を伝って機内に入りこみ、画像形成装置の故障を引き起こす可能性があるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、画像形成装置に配置される天板において、天板の上面でこぼれた液体が側面を伝って画像形成装置内に入りこむことを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、画像形成装置に配置される画像形成装置用天板であって、
前記画像形成装置の上面に配置されたときに、前記画像形成装置の外形より外側に存在する突出部を有し、
前記突出部の下側面に、前記画像形成装置の外形より内側になる位置まで溝を設けた
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、画像形成装置に配置される天板において、天板の上面でこぼれた液体が側面を伝って画像形成装置内に入りこむことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態の天板を配置した画像形成装置の一例を説明する斜視図である。
【
図2】
図1に示した画像形成装置の構成例を説明する模式図である。
【
図3】一実施形態の天板の裏面に設ける溝を説明する断面図である。
【
図4】一実施形態の天板の裏面に設ける溝の一例を説明する図である。
【
図5】一実施形態の天板と画像形成装置の上面との関係例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0008】
まず、本発明の一実施形態に係る画像形成装置用天板(以下適宜「一実施形態の天板」と称する)を用いる画像形成装置の一例について説明する。
図1は、一実施形態の天板300を配置した画像形成装置1の斜視図である。
図1に示されるX軸方向は画像形成装置1の幅方向であり、Y軸方向は画像形成装置1の高さ方向であり、Z軸方向は画像形成装置1の奥行き方向である。
【0009】
画像形成装置1は、物品の載置可能な上面を有する天板300と、画像形成装置1への操作入力を受け付ける操作部400と、シートに画像を形成する画像形成部60と、排出されたシートなどの記録媒体を収容する排出収容部(「排紙部」とも称する)200とを少なくとも備える。天板300は、
図1に示すように平らな上面を広く設けてあり、例えば天板300の上面に画像形成した書類を置いてメモを記入したり、ノートPCを置いて作業することが可能である。
【0010】
画像形成装置1は、また、画像形成部60に供給されるシートを載置する内部シート載置部10と、画像形成部60に供給されるシートを載置する第2の内部シート載置部15とを装置内部に備える。
【0011】
排出収容部200には、排出されたシートが載置されるシート載置面(排出シート載置部)240(
図2に示す)と、排出されたシートが載置される第2のシート載置面(第2の排出シート載置部)250とが配置されている。
【0012】
排出収容部200は、画像形成装置1の高さ方向(Y軸方向)の上側は天板300に覆われ、画像形成装置1の幅方向(X軸方向)の右側は側面510に覆われ、画像形成装置1の奥行き方向(Z軸方向)の後ろ側は後側面520に覆われている。
【0013】
排出収容部200には、画像形成装置1の奥行き方向(Z軸方向)前側の前側面、及び画像形成装置1の幅方向(X軸方向)の左側の左側面に開口する開口部210が形成されており、この開口部210を介して、シート載置面240と、第2のシート載置面250が、画像形成装置1の外部に露出している。これにより、シート載置面240、または、第2のシート載置面250に排出されたシートを容易に画像形成装置1から取り出すことができる。
天板300は、脚330を設けることが好ましい。脚330は、排紙部200の上方に配置される天板300の部分を支え、天板300の安定感を向上させる。
【0014】
図2は、
図1に示した画像形成装置の構成例を説明する模式図であり、
図1に示した画像形成装置1の幅方向(X軸方向)および高さ方向(Y軸方向)を含む平面での断面図であって、奥行き方向(Z軸方向)の前側から見た断面図である。
【0015】
画像形成装置1は、内部シート載置部10に載置されたシートを画像形成部60に給送する内部シート給送部11と、第2の内部シート載置部15に載置されたシートを画像形成部60に給送する第2の内部シート給送部16と、内部シート給送部11および第2の内部シート給送部16から給送されるシートを搬送するシート搬送部40と、上述した画像形成部60により形成された画像をシート上に定着させる定着部70と、画像が定着したシートを排出するシート排出部80とを備える。
【0016】
シート搬送部40は、画像形成部60に向けてシートを搬送する搬送ローラ対42、43と、定着部70より下流側でシートの搬送先を切り替える搬送切替部(図示せず)と、画像が定着したシートを反転して搬送する第2の搬送ローラ対44、45と、第2の搬送ローラ対44、45から搬送されるシートを搬送ローラ対42、43に向けて搬送する第3の搬送ローラ対46、47とを備える。
【0017】
画像形成部60は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー各色のトナーを収納するトナー収納部62B、62C、62M、62Yと、画像に対応する画像書き込み光を生成する書き込み部63と、書き込み部63が生成した画像書き込み光によりブラック、シアン、マゼンタ、イエロー各色の画像を形成する画像形成ユニット64B、64C、64M、64Yと、画像形成ユニット64B、64C、64M、64Yが形成した各色の画像を重ね合わせてシートに転写する転写部66を備える。
【0018】
転写部66は、画像形成ユニット64B、64C、64M、64Yにより形成された各色の画像が重ね合わされて一次転写される中間転写ベルト67と、中間転写ベルト67上に転写された画像をシートに二次転写する二次転写部68とを備える。
【0019】
シート排出部80は、シート載置面240に向けてシートを排出するシート排出口81と、シートをシート排出口81に向けて搬送するシート排出ローラ対82、83と、第2のシート載置面250に向けてシートを排出する第2のシート排出口84と、シートを第2のシート排出口84に向けて搬送する第2のシート排出ローラ対85、86とを備える。排出収容部200は、シート排出口81および第2のシート排出口84が臨む空間であり、シート排出口81および第2のシート排出口84から排出されたシートを収容するように形成される。シートは、画像形成装置1の幅方向(横方向、X軸方向)の左側に向けて、シート排出口81および第2のシート排出口84から排出される。
【0020】
片面画像形成の場合、シート搬送部40およびシート排出部80は、画像形成部60により画像形成された面が下向きになるように、シート排出部80からシートを排出する。
【0021】
片面画像形成の場合、定着部70から搬送されるシートは、搬送切替部により、シート排出ローラ対82、83または第2のシート排出ローラ対85、86へ向けて搬送され、シート排出口81または第2のシート排出口84から排出される。
【0022】
両面画像形成の場合、定着部70から搬送されるシートは、搬送切替部により、第2のシート排出口84へ向けて搬送される。そして、シートは、第2のシート排出口84から完全に排出される前に、第2のシート排出ローラ対85、86が逆回転することにより、第2の搬送ローラ対44、45に向けて反転して搬送される。
【0023】
次に、一実施形態の天板について説明する。一実施形態の天板は、画像形成装置1の上面に配置されたときに、天板の大きさを画像形成部の外形より一回り大きくした突出部を有し、突出部の下面側に溝を持たせたことを特徴とする。
図2では、円形の破線で囲んだ部分に示すように、天板300は、画像形成装置1の外形より外側に存在する、長さL(Lは正の数値)の突出部を有する例を示す。
以下、図面を参照して一実施形態の天板について説明する。
【0024】
図3は、一実施形態の天板の裏面に設ける溝を説明する断面図であり、(A)は溝の一例であり、(B)は溝の他の大きさの例である。
図3(A)に示すように、天板300は、画像形成装置1の外形より外側に存在する、長さLの突出部340を有する。突出部340は、天板300の一部分であり、天板300のうち、画像形成装置1の外形を構成する側壁500の外側(側壁500の右側の面の外側)とする。
【0025】
天板300は、突出部340の下側面に溝311を有する。突出部340の下側面は、天板300の裏面310の一部分であり、裏面310うち、突出部340の範囲の部分とする。溝311は、幅W(Wは正の数値)、深さd(dは正の数値)の大きさで形成される。
【0026】
図3において、(A)の天板300は、溝311を突出部340の下側面のみ(側壁500より外側のみ)に設けた例であり、(B)の天板300は、溝311を、突出部340の下側面から、画像形成装置1の外形(側壁500の右側面)より内側になる位置まで設けた例である。
図3(B)の溝311は、幅Wより大きい幅Waとし、側壁500より内側まで溝311を設けた例を示しているが、幅Waの大きさはこれに限られるものではない。
また、側壁500は、一例であり、図中、側壁500の右側を画像形成装置1の外形とする。なお、説明を容易にするため、
図3では、天板300は、画像形成装置1の上面のうち、
図3に示す側壁500より高い箇所で接触させて配置されるものとし、側壁500と天板300の裏面310とが接触していない箇所を用いて表している。
さらに、側壁500が溝311に入り込む場合であってもよい。
【0027】
図4は、一実施形態の天板の裏面に設ける溝の一例を説明する図であり、(A)は天板300の裏面310全体を示す図、(B)は(A)に示す破線で囲んだ部分を拡大した斜視図、(C)は(A)に示す二点破線で囲んだ部分を拡大した斜視図である。
図4(A)に示すように、溝311は、天板300の裏面310の全周に設けることが好ましい。また、溝311は、天板300の外周に沿って設けられるとよい。
【0028】
また、溝311は、画像形成装置1の上面の形状に応じて、幅Wまたは深さdを変更するとよい。
図5は、一実施形態の天板と画像形成装置の上面との関係例を説明する図であり、(A)は天板300の裏面310の一例を示す図、(B)は、画像形成装置1の上面の一例を示す図、(C)は(B)に示すVC-VC線に沿った断面を示す図である。
図5(A)は、
図4(A)と同じ天板300の裏面310に画像形成装置1の外形を破線で示した図であり、天板300は、画像形成装置1の外形より一回り大きい部分を有することを示している。
【0029】
また、天板300の外形は、画像形成装置1に操作部400を配置する位置に応じて、切り欠き部分を有する。切り欠き部分は画像形成装置1の外形より内側に位置し、突出部340が存在しない部分となる。
突出部340が存在しない部分であっても、前述した通り、天板300の外周に沿って、溝311が全周に設けられるとよい。例えば、
図4、5に示すように、突出部340に加え、画像形成装置1の外形より内側に位置する切り欠き部分についても溝311を設けるとよい。
一方、天板は、少なくとも突出部340に溝311を設け、突出部340が存在しない部分には溝311を設けない構成であってもよい。
【0030】
図5(B)、(C)に示すように、画像形成装置1の上面は、凸形状540が設けられている。(C)は(B)に示すVC-VC線における断面図である。凸形状540は、画像形成装置1の外形を構成する側面530と交わる上面の奥行き方向(Z軸方向)の一方の端部に設けられた例である。
画像形成装置1の上面が、
図5(B)、(C)に示す凸形状540を有する場合には、
図4(B)に示すように、溝311の幅Wを大きくすると、天板300を配置したときに、画像形成装置1の上面の凸形状540が溝311に収まり、天板300の上面が傾くことなく、水平にすることができる。
このように、天板300に設けられる溝311は、画像形成装置1の上面の形状に応じて、幅Wまたは深さdを変更することが好ましい。
【0031】
図4、5では、画像形成装置1の操作部400の配置に応じて、天板300に切り欠きがあり、天板300の外形が画像形成装置1の外形より内側に存在する部分を有する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、画像形成装置の上面に操作部などが配置されない場合には、画像形成装置1の外形(設置面積)に沿って、天板300の全周が突出部340を有するように構成できる。
さらに、一実施形態の天板は、画像形成装置1の上面に着脱可能(取り付け取り外し可能)であることが好ましい。例えば、
図4、5を参照して前述したように、溝311の幅Wを、凸形状540が収まるように広くすると、凸形状540が溝311に掛かりやすくなり、取り付けが容易になる。
【0032】
以上説明した通り、本発明の一実施形態の天板は、例えば、画像形成装置に配置される天板であって、天板の大きさは画像形成装置の設置面積よりも大きく、画像形成装置よりも突出している天板の裏面に溝を設けた。
このようにすると、天板の上面でこぼれた液体が側面を伝って画像形成装置の内部に入りこむことを防ぐことができる。
一実施形態の天板を用いない場合には、例えば、画像形成装置に配置する天板は、画像形成装置からの突出量「長さL」を大きくすることにより、同様の効果を得る手段が考えられる。しかしながら、一実施形態の天板の構成にすることで、天板の大きさを小さくすることでき、機器としての小型化、設置面積低減が可能になる。
【0033】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0034】
1 画像形成装置
200 排紙部(排出収容部)
300 天板
310 裏面
311 溝
320 上面
340 突出部
540 凸形状
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】