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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】給紙装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/00 20060101AFI20240214BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B65H9/00 B
G03G15/00 420
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020087340
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021181357
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】松原 勇太朗
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 範久
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-261244(JP,A)
【文献】特開2017-128433(JP,A)
【文献】特開2004-018127(JP,A)
【文献】特開2018-072436(JP,A)
【文献】特開平10-143020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 9/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給送されるシートを収容可能なシート収容部と、
所定のタイミングでシートを給送するレジスト部材と、
前記シート収容部から給送されたシートを前記レジスト部材に受け渡すべく搬送する中継部材と、
前記レジスト部材を駆動する第1駆動部材と、
前記中継部材を駆動する第2駆動部材と、
前記第1駆動部材の電流値を検出する電流値検出部材と、
シートの先端が停止している前記レジスト部材に到達した後、作動している前記中継部材と前記レジスト部材との間に前記シートの撓みが所定量形成された際に前記第1駆動部材を作動させると共に前記第2駆動部材を第1の態様で動作制御し、その後前記電流値検出部材により前記第1駆動部材の電流値が所定電流値に達すると、前記第2駆動部材を第2の態様で動作制御する制御手段とを有する給紙装置。
【請求項2】
請求項1記載の給紙装置において、
前記制御手段は、前記第1の態様時において前記第2駆動部材を停止させ、前記第2の態様時において前記中継部材が前記シートを搬送すべく前記第2駆動部材を駆動することを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項1記載の給紙装置において、
前記制御手段は、前記第1の態様時において前記中継部材が前記シートをシートの先端が前記レジスト部材に到達する前の搬送速度よりも低速の搬送速度で搬送すべく前記第2駆動部材を駆動させ、前記第2の態様時において前記中継部材が前記シートをシートの先端が前記レジスト部材に到達する前の搬送速度で搬送すべく前記第2駆動部材を駆動することを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一つに記載の給紙装置において、
前記第1駆動部材と前記第2駆動部材とが互いに共通の駆動源によって駆動されることを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一つに記載の給紙装置において、
前記制御手段は前記シートの厚みに応じて前記所定電流値を変更可能であり、前記制御手段は前記シートの厚みが厚くなるに連れて前記所定電流値を低く変更することを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一つに記載の給紙装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成に用いられる被記録媒体としてのシートに作像を行う作像部と、シートを作像部に向けて給送する給紙部と、給紙部から送られたシートを一時停止させ所定のタイミングで作像部に供給するレジスト手段とを備えた画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、画像形成部に設けられた回転体とレジスト手段とがそれぞれ異なる駆動手段によって駆動されているため、両者の間に回転変動差が生じて搬送中にシートが撓み、シート搬送ジャムが発生するという問題点があった。
そこで、回転体を駆動する駆動モータの電流値を検出手段によって検出し、回転体の回転速度を制御する技術が知られている(例えば「特許文献1」参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の画像形成装置では、給紙部とレジスト手段との間にレジスト手段に向けてシートを搬送する中継手段を有する構成が一般的である。レジスト手段は、作像部のタイミングに合わせて一時停止させたシートを搬送するため所定のタイミングで回転を開始するが、中継手段はレジスト手段が回転を再開したときには停止している。そして、レジスト手段が回転を開始した後、この回転開始をトリガとしてタイマ設定された所定時間後に中継手段が回転を開始する。このとき、中継手段とレジスト手段との間において撓んでいたシートが延ばされるが、中継手段の回転開始をレジスト手段の回転開始後の所定時間後に設定していても、シートに形成された撓みの解消が不完全となって異常画像やシート搬送ジャムが発生するという問題点がある。
本発明は、上述の問題点を解消してシート搬送ジャムの発生を防止可能な給紙装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、給送されるシートを収容可能なシート収容部と、所定のタイミングでシートを給送するレジスト部材と、前記シート収容部から給送されたシートを前記レジスト部材に受け渡すべく搬送する中継部材と、前記レジスト部材を駆動する第1駆動部材と、前記中継部材を駆動する第2駆動部材と、前記第1駆動部材の電流値を検出する電流値検出部材と、シートの先端が停止している前記レジスト部材に到達した後、作動している前記中継部材と前記レジスト部材との間に前記シートの撓みが所定量形成された際に前記第1駆動部材を作動させると共に前記第2駆動部材を第1の態様で動作制御し、その後前記電流値検出部材により前記第1駆動部材の電流値が所定電流値に達すると、前記第2駆動部材を第2の態様で動作制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、シートに形成された撓みが解消され用紙搬送ジャムの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態を適用可能な画像形成装置を説明する概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態に用いられる制御手段のブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態における給紙部の動作を説明する概略図である。
図4】本発明の第1の実施形態における給紙部の動作を説明するフローチャートである。
図5】本発明の第2の実施形態における給紙部の動作を説明するフローチャートである。
図6】本発明の第3の実施形態における給紙部の動作を説明する概略図である。
図7】本発明の第3の実施形態に用いられる制御手段のブロック図である。
図8】本発明の第3の実施形態における給紙部の動作を説明するフローチャートである。
図9】本発明の第1ないし第3の各実施形態の変形例に用いられる電流値検出部材により検知される電流値の閾値である所定値を説明する表である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示している。同図において画像形成装置としての複写装置1は、装置本体2の内部にスキャナ部3、書き込み部4、作像部5、定着部6、給紙装置としての給紙部7等を有している。
装置本体2の上部に配置されたスキャナ部3は、コンタクトガラス8、CISユニット9、スキャナモータ10、CISホームポジションセンサ11等を有し、コンタクトガラス8上に載置された原稿の画像をCISユニット9の移動により画像データとして読み取る周知の構成である。なお、スキャナ部3の上部には自動原稿読取装置(ADF)12が設けられている。
装置本体2の中段に配置された書き込み部4は、図示しないレーザ光源、ポリゴンミラー13、LDドライブボード14、ミラー15等を有し、スキャナ部3から送られた画像データまたは外部装置から送られた画像データに基づいて、後述する作像部5に設けられた像担持体に向けて露光光を出力する。
【0008】
書き込み部4の右方に配置された作像部5は、像担持体である感光体ドラム16、現像装置17、クリーニング装置18、帯電装置19、図示しない除電装置、転写ローラ20等を有している。その表面が一様に帯電された感光体ドラム16の表面には、書き込み部4から出力された露光光によりその一部分が露光されて静電潜像が形成される。形成された静電潜像には現像装置17から供給された現像剤が付着してトナー像が形成され、このトナー像が転写ローラ20によって後述する給紙部7から給送される、被記録媒体でありシートである用紙Pに転写される。作像部5の左方にはトナー供給ボトルホルダ21が設けられており、ここに装着されたトナーボトルが回転駆動されることによりトナーボトル内のトナーが現像装置17に補給される。
【0009】
転写ローラ20は、図示しない付勢部材によって感光体ドラム16に圧接されており、圧接部において転写ニップ部を形成している。転写ローラ20には図示しない電源から転写バイアスが印加され、接地された感光体ドラム16との間に位置する転写ニップ部において転写電界を形成する。転写ローラ20としては、金属製ローラあるいは芯金の周りに弾性層が被覆されているもの等が挙げられる。弾性層は、体積抵抗率1×10Ω・cm、厚さ2~10mm、ゴム硬度10~100度のものが好ましく、弾性層に代えて発泡層が被覆されているものを用いてもよい。
【0010】
作像部5の上方には、定着部6が配置されている。定着部6は、内部に熱源を有する加熱ローラ22及び加熱ローラ22に圧接する加圧ローラ23を有しており、表面にトナー像が転写された用紙Pは各ローラ22,23間に搬送される。各ローラ22,23間に搬送された表面にトナー像を有する用紙Pは、加熱ローラ22の熱及び加圧ローラ23の圧力によってその表面のトナー像を溶融及び圧着され、用紙P上に画像が定着される。
画像が定着された用紙Pは、定着部6の上方に配置された排出ローラ対24へと送られ、排出ローラ対24によって装置本体2の内部から排出されてスキャナ部3と作像部5との間の位置に設けられた排紙部25上に排出積載される。
【0011】
装置本体2の内部であって書き込み部4の下方に位置する部位には、給紙部7が配置されている。給紙部7は、シート収容部としての給紙トレイ26、ピックアップローラ27、給紙ローラ28、フリクションローラ29、中継ローラ対30、レジストローラ対31等を有している。
給紙トレイ26の内部には、多数枚の用紙Pが収容され、収容された用紙Pはピックアップローラ27によって繰り出される。繰り出された用紙Pは、給紙ローラ28及びフリクションローラ29によって重送を防止され、一枚ずつ給紙方向下流の中継ローラ対30を介して中継ローラ対30より下流のレジストローラ対31へと送られる。レジストローラ対31において一時停止された用紙Pは、スキューを修正された後に所定のタイミングでレジストローラ対31より下流の転写ニップ部へと給送され、上述と同様に画像形成された後に排紙部25上に排出積載される。
ここで用紙Pの両面に画像形成を行う場合には、用紙Pを挟持した排出ローラ対24を逆転させ、用紙Pを両面反転ローラ32へと搬送する。両面反転ローラ32に搬送された用紙Pは、先程とは反転された状態で再びレジストローラ対31の手前に到達し、その後は上述と同様に画像形成されて排紙部25上に排出される。
【0012】
上述の構成中、図2及び図3に示すように、レジストローラ対31は第1駆動部材であるレジストモータ33によって回転駆動され、中継ローラ対30は第2駆動部材である中継モータ34によって回転駆動される。それぞれDCブラシレスモータからなる各モータ33,34は、その動作を後述する制御手段35によって制御される。
またレジストモータ33には、レジストモータ33に負荷する電流値を検知する電流値検出部材としての電流値検出センサ36が接続されている。電流値検出センサ36による検出結果は制御手段35に送られる。
それぞれ図示しないCPU、ROM、RAM等の回路を有する周知のマイクロコンピュータからなる制御手段35は、各モータ33,34の動作を制御する。また制御手段35には電流値検出センサ36からの検出信号が入力され、この検出信号に基づいて制御手段35は中継モータ34の動作を制御する。なお、レジストモータ33、中継モータ34はステッピングモータでもよい。
【0013】
ここで、給紙部7での本発明の第1の実施形態における動作を、図3に示す概略図及び図4に示すフローチャートに基づいて説明する。図3(a)において、給紙トレイ26上から各ローラ27,28,29によって分離給送された一枚の用紙Pは、中継ローラ対30の回転により中継ローラ対30を介してレジストローラ対31へと給送され、停止しているレジストローラ対31のニップにその先端を突き当てられて搬送時に発生したスキューを修正される。このとき中継ローラ30は所定の搬送速度で用紙Pの搬送動作を継続しており、レジストローラ対31と中継ローラ対30との間の用紙Pには撓み37が形成される(ST01)。
撓み37が形成された後、感光体ドラム16上に形成されたトナー像が所定の位置に到達する所定のタイミングでレジストモータ33の駆動が開始され(ST02)、レジストローラ対31が回転を開始して用紙Pが搬送を開始される。これと同時に中継モータ34の駆動が停止されて(ST03)中継ローラ対30の作動が停止され、図3(b)に示すように撓み37が消滅していく。
【0014】
レジストローラ対31の回転開始と中継モータ34の作動停止に伴う撓み37の消滅により、レジストローラ対31と中継ローラ対30との間の用紙Pには、図3(c)に示すようにレジストローラ対31の搬送に伴う張力Tが作用する。そしてこの張力Tはレジストローラ対31を駆動するレジストモータ33に負荷として作用し、レジストモータ33に接続されている電流値検出センサ36の検知電流値が上昇する。すなわち、撓み37を解消する前は電流値検出センサ36の検知電流値は低く、撓み37が解消されると張力Tが作用して電流値検出センサ36の検知電流値は上昇する。
電流値検出センサ36による検出信号を受けた制御手段35は、検知された電流値が所定値に達したか否かを判断し(ST04)、この判断は検知された電流値が所定値に達するまで継続して行われる。なおここでいう所定値は、計測される電流値から換算される張力Tが用紙Pに対して影響を与えない最大値となる。
電流値検出センサ36によって検知された電流値が所定値に達すると、制御手段35は中継モータ34に作動信号を出力して中継モータ34が回転駆動され、図3(d)に示すように中継ローラ対30が図3(a)の通常の搬送速度で用紙Pの給送を再開する(ST05)。
【0015】
上述したように本発明の第1の実施形態によれば、用紙Pの先端が停止しているレジストローラ対31に到達した後、作動している中継ローラ対30とレジストローラ対31との間に用紙Pの撓み37が所定量形成された後、制御手段35がレジストモータ33を作動させると共に中継モータ34を停止させる。その後、制御手段35は、電流値検出センサ36により検知されたレジストモータ33の電流値が所定電流値に達すると、中継モータ34を通常の搬送速度で作動させる。
これにより、レジストローラ対31に接触してスキューを修正された用紙Pは、レジストローラ対31が作動して停止している中継ローラ対30との間に用紙Pの破損等の過度な張力Tが作用する前に中継ローラ対30が回転駆動することにより、適度な張力Tが作用した状態で作像部5に向けて給送されるので、用紙Pに形成された撓み37が解消され異常画像や用紙搬送ジャムの発生を防止できる。
【0016】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は上述した第1の実施形態と比較すると、中継モータ34の駆動制御が異なる点において相違しており、他の構成は同一である。第2の実施形態における動作を、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
給紙トレイ26上から各ローラ27,28,29によって分離給送された一枚の用紙Pは、停止しているレジストローラ対31のニップにその先端を突き当てられて一時停止され、搬送時に発生したスキューを修正される。この間、中継ローラ30は所定の搬送速度で用紙Pの搬送動作を継続しており、レジストローラ対31と中継ローラ対30との間の用紙Pには、第1の実施形態と同様の撓み37が形成される(ST11)。
【0017】
撓み37が形成された後、第1の実施形態と同様のタイミングでレジストモータ33の駆動が開始され(ST12)、レジストローラ対31が回転を開始して用紙Pが搬送を開始される。これと同時に中継モータ34の駆動が制御され、中継ローラ30は図3(a)の通常の搬送速度よりも低速の搬送速度に減速される(ST13)。中継ローラ対30搬送速度が減速されることにより、第1の実施形態と同様に用紙Pに形成されていた撓み37が消滅していく。
中継ローラ対30の搬送速度減速に伴う撓み37の消滅により、レジストローラ対31と中継ローラ対30との間の用紙Pには第1の実施形態よりも小さな張力が作用し、この張力が電流値検出センサ36によって検知される。電流値検出センサ36による検出信号を受けた制御手段35は、検知された電流値が所定値に達したか否かを判断し(ST14)、検知された電流値が所定値に達すると、制御手段35は中継モータ34に作動信号を出力して中継モータ34を作動制御し、中継ローラ対30が図3(a)の通常の搬送速度となるように増速され、用紙Pの給送が再開される(ST15)。
【0018】
この第2の実施形態によれば、用紙Pの先端が停止しているレジストローラ対31に到達した後、作動している中継ローラ対30とレジストローラ対31との間に用紙Pの撓み37が所定量形成された後、制御手段35がレジストモータ33を作動させると共に中継モータ34を通常の搬送速度よりも低速の搬送速度に減速させる。その後、制御手段35は、電流値検出センサ36により検知されたレジストモータ33の電流値が所定電流値に達すると、中継モータ34を通常の搬送速度で作動させる。
これにより、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができると共に、レジストローラ対31で一時停止された用紙Pに対して、レジストローラ対31が作動すると共に中継ローラ対30が通常の搬送速度よりも低速で作動する。このため、用紙Pに作用する張力を第1の実施形態に比して小さくでき、第1の実施形態において作用する張力Tでは耐えきれない厚さの用紙Pに対しても用紙搬送ジャムの発生を防止して良好な搬送を行うことができる。
【0019】
上述した第1及び第2の実施形態では、レジストローラ対31及び中継ローラ対30をそれぞれ別のレジストモータ33及び中継モータ34によって駆動する構成とした。この構成により、各ローラ対30,31をそれぞれ単独で駆動制御できるので、細かな制御が可能となる。
次に、本発明の第3の実施形態として、レジストローラ対31及び中継ローラ対30を共通の駆動源である駆動モータ38によって駆動する構成を、図6に示す概略図及び図7に示すブロック図及び図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0020】
図6に示すように、レジストローラ対31は第1クラッチ39を介して駆動モータ38に、中継ローラ対30は第2クラッチ40を介して駆動モータ38にそれぞれ接続されており、各クラッチ39,40が駆動モータ38からの駆動力を接続または遮断する。駆動モータ38には、第1の実施形態と同様の電流検知センサ36が接続されている。
図7は、第3の実施形態に用いられる制御手段41のブロック図である。それぞれ図示しないCPU、ROM、RAM等の回路を有する周知のマイクロコンピュータからなる制御手段41は、駆動モータ38及び各クラッチ39,40の動作を制御する。また制御手段41にも電流値検出センサ36からの検出信号が入力され、この検出信号に基づいて制御手段35は各クラッチ39,40の動作を制御する。
【0021】
図6(a)において、給紙トレイ26上から各ローラ27,28,29によって分離給送された一枚の用紙Pは、中継ローラ対30を介してレジストローラ対31へと給送され、第1クラッチ39により遮断されて作動を停止しているレジストローラ対31のニップにその先端を突き当てられて一時停止され、搬送時に発生したスキューを修正される。この間、駆動モータ38からの駆動力は接続されている第2クラッチ40によって中継ローラ対30に伝達されており、所定の搬送速度で中継ローラ30が用紙Pの搬送動作を継続していることから、レジストローラ対31と中継ローラ対30との間の用紙Pには撓み37が形成される(ST21)。
撓み37が形成された後、感光体ドラム16上に形成されたトナー像が所定の位置に到達する所定のタイミングで、遮断されていた第1クラッチ39が接続されて駆動モータ38の駆動力がレジストローラ対31に伝達され(ST22)、レジストローラ対31が回転を開始して用紙Pが搬送を開始される。これと同時に接続されていた第2クラッチ40が遮断されて駆動モータ38の駆動力が遮断され(ST23)、中継ローラ対30の作動が停止されて図6(b)に示すように撓み37が消滅していく。
【0022】
中継ローラ対30の作動停止に伴う撓み37の消滅により、レジストローラ対31と中継ローラ対30との間の用紙Pには、図6(c)に示すようにレジストローラ対31の搬送に伴う張力Tが作用する。そしてこの張力Tはレジストローラ対31を駆動するレジストモータ33に負荷として作用し、レジストモータ33に接続されている電流値検出センサ36の検知電流値が上昇する。
電流値検出センサ36による検出信号を受けた制御手段41は、検知された電流値が所定値に達したか否かを判断し(ST24)、検知された電流値が所定値に達すると、制御手段41は第2クラッチ40を接続させて中継モータ34を回転駆動させ、図6(d)に示すように中継ローラ対30が通常の搬送速度で用紙Pの給送を再開する(ST25)。
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができると共に、各ローラ対30,31を駆動するモータを一つにすることができ、消費電力の低減及び省スペース化を図ることができる。
【0023】
ここで、上述した各実施形態における、電流値検出センサ36によって検知される電流値の閾値である所定値について説明する。各実施形態中で述べている所定値は、例えば用紙Pとして普通紙が用いられた場合に対応している。各実施形態中において、普通紙とは坪量81g/m以下のものを用いた場合で、坪量79.9g/mのものが好ましい。
各実施形態において、用紙Pとして普通紙に代えて厚紙、例えば坪量211.3g/mのものが用いられた場合には、普通紙に対応した所定値を用いると中継ローラ対30が作動開始するタイミングが遅延し、用紙Pに過度な張力が作用して搬送ジャムが発生する。そこで用紙Pの紙種情報を操作パネルから入力し用紙Pとして厚紙が用いられる場合には、図9に示すように、所定値を普通紙の場合に比して低く設定することにより、用紙Pに対する過度な張力の作用が防止され、搬送ジャムの発生を防止できる。本実施形態では、厚紙は坪量81g/mを超えるもの、好ましくは坪量が106g/mを超えるものを厚紙とする。
なお、上述の例では使用される用紙Pを普通紙と厚紙との二種類としているが、用紙Pの種類を三種類以上としてそれぞれに対応する所定値を設定する構成としてもよい。
【0024】
上記実施形態及び各変形例では、画像形成装置として複写装置1を用いた例を示したが、画像形成装置としてはこれに限られず、プリンタ、ファクシミリ、複合機等の給紙装置や自動原稿読取装置(ADF)にも本発明は適用可能である。また本実施形態では、画像が形成される被記録媒体として用紙Pを用いる構成を示したが、この用紙Pとは記録紙には限定されず、厚紙、ハガキ、封筒、普通紙、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、OHPフィルム、樹脂フィルム等、画像形成可能な物質や画像形成された物質であればどのようなものを用いてもよい。
【0025】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0026】
1 画像形成装置(複写装置)
7 給紙装置(給紙部)
26 シート収容部(給紙トレイ)
30 中継部材(中継ローラ対)
31 レジスト部材(レジストローラ対)
33 第1駆動部材(レジストモータ)
34 第2駆動部材(中継モータ)
35,41 制御手段
37 撓み
38 共通の駆動源(駆動モータ)
P シート(用紙)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【文献】特開2002-326440号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9