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特許7435721ワイヤハーネスの製造支援装置及び製造支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ワイヤハーネスの製造支援装置及び製造支援方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/012 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
H01B13/012 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022201367
(22)【出願日】2022-12-16
(62)【分割の表示】P 2019039554の分割
【原出願日】2019-03-05
(65)【公開番号】P2023051975
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 賢司
(72)【発明者】
【氏名】青木 克樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 来布
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213160(JP,A)
【文献】特開2008-099407(JP,A)
【文献】特開2002-318610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布線図上に電線を順次布線してワイヤハーネスを製造する装置であって、
布線する前記電線の導通チェック処理を行う導通チェック部と、
前記電線の導通チェック処理が完了した時刻を記憶部に記憶させる時刻記憶部と、
前記記憶部に記憶された時刻を基に、前記ワイヤハーネスの製造の進捗状況を求める進捗状況管理部と、
進捗状況を表示するための管理用表示器を備え、
前記導通チェック部が、前記電線が所定の正常範囲内にあると判定したときに、前記時刻記憶部は、前記導通チェック部による前記電線の導通チェック処理が完了した時刻を前記記憶部に記憶させ、
前記進捗状況管理部は、布線する前記電線の総本数に対する、前記導通チェック部により正常の範囲内にあると判定された前記電線の本数の比である本数割合を含む進捗状況表示画面を、前記管理用表示器に表示し、
前記管理用表示器の前記進捗状況表示画面は、前記本数割合を表す棒グラフを製造ラインごとに上下方向に並べて表示し、
前記棒グラフは、前記進捗状況表示画面の左右方向に伸びるように表示され、
前記製造ラインごとの前記棒グラフの幅は全て同じであると共に、それぞれの前記棒グラフの両端の位置は上下方向で一致している、
ワイヤハーネスの製造支援装置。
【請求項2】
前記管理用表示器の前記進捗状況表示画面は、前記本数割合と共に、布線する前記電線の総本数と、前記導通チェック部により正常の範囲内にあると判定された前記電線の本数を併せて表示する、
請求項に記載のワイヤハーネスの製造支援装置。
【請求項3】
前記管理用表示器の前記進捗状況表示画面は、前記本数割合と共に、前記ワイヤハーネスの標準作業時間と、前記ワイヤハーネスの製造開始からの経過時間を併せて表示する、
請求項に記載のワイヤハーネスの製造支援装置。
【請求項4】
前記管理用表示器の前記進捗状況表示画面は、前記本数割合と共に、前記ワイヤハーネスの標準作業時間に対する前記ワイヤハーネスの製造開始からの経過時間の比である経過時間の割合を併せて表示する、
請求項に記載のワイヤハーネスの製造支援装置。
【請求項5】
布線図上に電線を順次布線し、
布線した前記電線の導通チェック処理を行い、
前記電線の導通チェック処理が完了した時刻を記憶部に記憶させ、
前記記憶部に記憶された時刻を基に、前記電線から構成されるワイヤハーネスの製造の進捗状況を求める、ワイヤハーネスの製造支援方法であって、
前記電線の前記導通チェック処理を行って前記電線が所定の正常範囲内にあるかを判定し、正常範囲内にあると判定したときに、前記電線の導通チェック処理が完了した時刻を前記記憶部に記憶させ、
布線する前記電線の総本数に対する、前記導通チェック処理により正常の範囲内にあると判定された前記電線の本数の比である本数割合を含む進捗状況を表示させ、
前記本数割合を表す棒グラフは、製造ラインごとに上下方向に並べて表示されるとともに、左右方向に伸びるように表示され、
前記製造ラインごとの前記棒グラフの幅は全て同じであると共に、それぞれの前記棒グラフの両端の位置は上下方向で一致している、
ワイヤハーネスの製造支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスの製造支援装置及び製造支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電車等の鉄道車両に用いられるワイヤハーネスは、複数の電線を束ねて構成されている。ワイヤハーネスを製造する際には、予め設定した電線長となるように各電線を切断し、各電線を原寸大の布線図に沿って布線し、布線した電線や電線束の所定位置に付属部品を取り付けてワイヤハーネスの組立てを行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2016/0064121A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤハーネスを製造する際には、作業ミスが発生しないように適切な管理を行う事が望まれる。また、ワイヤハーネスの製造支援装置では、製造工程の最適化や効率化を行うために、作業の進捗状況を把握し、電線の布線にかかる時間等を管理することが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、作業の進捗状況の把握を容易に行うことが可能なワイヤハーネスの製造支援装置及び製造支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、布線図上に電線を順次布線してワイヤハーネスを製造する装置であって、布線する前記電線の導通チェック処理を行う導通チェック部と、前記電線の導通チェック処理が完了した時刻を記憶部に記憶させる時刻記憶部と、前記記憶部に記憶された時刻を基に、前記ワイヤハーネスの製造の進捗状況を求める進捗状況管理部と、を備え、前記導通チェック部が、前記電線が所定の正常範囲内にあると判定したときに、前記時刻記憶部は、前記導通チェック部による前記電線の導通チェック処理が完了した時刻を前記記憶部に記憶させる、ワイヤハーネスの製造支援装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、布線図上に電線を順次布線し、
布線した前記電線の導通チェック処理を行い、前記電線の導通チェック処理が完了した時刻を記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶された時刻を基に、前記電線から構成されるワイヤハーネスの製造の進捗状況を求める、ワイヤハーネスの製造支援方法であって、前記電線の前記導通チェック処理を行って前記電線が所定の正常範囲内にあるかを判定し、正常範囲内にあると判定したときに、前記電線の導通チェック処理が完了した時刻を前記記憶部に記憶させる、ワイヤハーネスの製造支援方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業の進捗状況の把握を容易に行うことが可能なワイヤハーネスの製造支援装置及び製造支援方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係るワイヤハーネスの製造支援装置を示す概略構成図である。
図2】制御装置の入出力を示すブロック図である。
図3】作業レシピ情報の一例を示す図である。
図4】(a)は布線図とバーコードの表示例を示す図であり、(b)はその要部拡大図である。
図5】リングマークとマークテープを付した電線の端部を示す図である。
図6】進捗状況表示画面の一例である。
図7】制御装置の制御フローを示すフロー図である。
図8】制御装置の制御フローを示すフロー図である。
図9図7のエリアラベル処理のフロー図である。
図10図7の導通チェック処理のフロー図である。
図11】導通チェックの指示の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係るワイヤハーネスの製造支援装置を示す概略構成図である。本実施の形態で製造するワイヤハーネスは、例えば、電車の機器間配線に用いられるものである。図2は、制御装置の入出力を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、ワイヤハーネスの製造支援装置10は、布線図上に電線11を順次布線してワイヤハーネスを製造する装置であって、電線供給装置12と、電線供給装置12から供給された電線11を切断する電線切断機13と、実寸大の布線画像を表示する表示器14を有する作業台15と、電線供給装置12や電線切断機13の制御、及び表示器14の表示制御等を行う制御装置16と、を備えている。
【0013】
電線11は、線状の導体の外周に絶縁体を被覆したものであるが、電線11は、例えば、LANケーブルのように、複数本の線状の導体の外周にそれぞれ絶縁体を被覆し、それらを外部シースで一括被覆し一体化したものであってもよい。ここで、絶縁体は、絶縁性の樹脂からなり、1層もしくは複数層であってもよい。外部シースは、絶縁体の間を埋めるように充実式押出しにより形成されてもよいし、チューブ状であってもよい。
【0014】
電線供給装置12は、電線11が巻き付けられたリール121と、リール121を回転可能に支持する支持部材122と、リール121から供給された電線11を保持してレール124上を走行し電線11を搬送する(引き出す)搬送ロボット125と、を有している。リール121には、巻き付けられている電線11の品種を識別するための電線識別コード121aが付されている。レール124は、作業台15の上方に設けられており、支持板126を介して作業台15に固定されている。電線切断機13は、内蔵された切断刃(不図示)を用い、搬送ロボット125により引き出された電線11を切断する。支持部材122に支持されるリール121を変更することにより、電線切断機13により切断される電線11の種類を変更できる。
【0015】
作業台15は、電線11の布線作業を行うための台であり、その上面に、実寸大の布線画像を表示する液晶ディスプレイ等の表示器14が設けられている。なお、例えば数10mと長いワイヤハーネスを製造する場合には、複数の表示器14を並べて配置してもよい。また、表示器14を保護するために、表示器14上にアクリル等の透明な部材からなる保護用板を載置してもよい。電線切断機13で切断された電線11を、順次表示器14に表示された布線画像に沿わせるように配置(布線)し、テープ巻き、保護材の装着等を行うことで、ワイヤハーネスの製造が行われる。
【0016】
制御装置16は、電線供給装置12や電線切断機13の制御、表示器14の表示制御等を行うものであり、演算素子、メモリ、インターフェイス、ハードディスク、ソフトウェア等を適宜組み合わせて実現されている。本実施の形態では、制御装置16はパーソナルコンピュータを用いて構成されている。制御装置16は、後述する作業の進捗状況を表示するための管理用表示器16aを有している。
【0017】
制御装置16は、布線画像データ171、作業レシピ情報172等を記憶する記憶部17を有している。布線画像データ171は、表示器14に表示する布線画像の画像データである。作業レシピ情報172は、電線11の布線順序を時系列で並べたデータベースである。
【0018】
図3に示すように、作業レシピ情報172では、例えば、各電線11の両端部それぞれについて(From及びTo)、接続先のエリア(接続先の機器等)を示すエリアラベル(Area label)、端部の位置を示すサイド(Side)、後述するポップアップバーコードの表示位置を示す座標情報(X及びY)、後述するリングマークの番号(Ring mark)等が設定されている。また、作業レシピ情報172では、各電線11の電線長の設計値(length)、電線11の品種(Cable Part No.)が設定されている。なお、作業レシピ情報172の具体的な内容については、これに限定されるものではなく、適宜設定可能である。
【0019】
図2に示されるように、制御装置16は、作業台15の表示器14の表示制御を行う表示制御部161と、電線11の切断制御を行う電線切断制御部162と、電線11の端部に取り付ける識別票をプリンタ18に印刷する印刷制御部163と、各電線11の導通チェック処理を行う導通チェック部164と、を有している。制御装置16には、作業台15の表示器14、コードリーダ19、搬送ロボット125、電線切断機13、プリンタ18、及び導通チェック用のテスタ20が接続されている。なお、図2の例では、テスタ20が複数台設けられ、それぞれのテスタ20にプローブが接続されているが、1台のテスタ20に対して複数のプローブが接続され、複数の電線11の導通を同時に検査できるものであってもよい。
【0020】
表示制御部161は、記憶部17に記憶された布線画像データ171を基に、表示器14に原寸大の布線画像を表示する。本実施の形態では、表示制御部161は、ポップアップバーコード表示部161aを有している。ポップアップバーコード表示部161aは、作業レシピ情報172を参照して、表示器14に、電線11の布線順にしたがって識別コードを順次表示させる。また、ポップアップバーコード表示部161aにより、布線が終わった電線11に関する識別コードは、表示が消去される。すなわち、ポップアップバーコード表示部161aは、現在、布線されている電線11に関する識別情報のみを表示する。
【0021】
図4(a),(b)に示すように、本実施の形態では、ポップアップバーコード表示部161aは、布線を行う電線11を特定可能なバーコード(ポップアップバーコード)を生成し、生成したバーコード142を、表示器14における作業レシピ情報172の座標情報で指定された座標に表示する。バーコード142は、表示器14に表示されている布線図141上に重なるように表示される。布線図141には、布線された状態の複数(例えば、3本)の電線11の電線画像11aが含まれる。電線11には端部が2つ存在するため、本実施の形態では、表示器14における電線11の両端部の付近にそれぞれバーコード142を表示するようにしている。なお、作業レシピ情報172に予めバーコード142の画像情報を記憶させておき、その画像情報を取得して指定座標にバーコードを表示するようポップアップバーコード表示部161aを構成してもよい。
【0022】
なお、ポップアップバーコード表示部161aが表示する識別コードは、バーコード142に限らず、例えば二次元コード(QRコード(登録商標))であってもよい。ポップアップバーコード表示部161aは、本発明のコード表示部の一態様であり、本発明の識別コード提示手段を構成するものである。
【0023】
電線切断制御部162は、電線供給装置12及び電線切断機13を制御し、電線11を指定の長さに切断する制御を行う。電線切断制御部162は、作業レシピ情報172から、電線長の設計値を取得し、電線11を搬送ロボット125よって所定長さ引き出し、電線切断機13により引き出した電線11を切断することで、電線長の設計値で指定された長さの電線11を得る。
【0024】
印刷制御部163は、電線11の端部に取り付ける識別票をプリンタ18に印刷する。本実施の形態では、電線11の両端に識別票を取り付けるため、作業台15の両端にそれぞれプリンタ18を配置している(図1参照)。また、本実施の形態では、プリンタ18を用いて、識別票としてのリングマーク、及び、電線11を特定可能な二次元コード(QRコード(登録商標))が付されたマークテープを印刷する。なお、コードリーダ19とテスタ20についても、電線11の両端で作業ができるように、2つずつ備えられている(図2では1つのみ示している)。
【0025】
図5に示すように、プリンタ18で印刷されたリングマーク181及びマークテープ182は、各電線11の両端部にそれぞれ付される。本実施の形態では、マークテープ182に二次元コード182aを印刷しているが、マークテープ182にバーコードを印刷してもよい。また、電線11の分岐部分の近傍には、当該分岐部分から延出された電線11の接続先のエリア(作業レシピ情報172におけるエリアラベル(Area label))を示すエリアラベルテープ183が取り付けられる。エリアラベルテープ183には、マークテープ182と同様に、エリアラベル接続先のエリアを特定可能な二次元コード183aが印刷されている。マークテープ182及びエリアラベルテープ183は、二次元コード182a,183aが印刷された粘着シールであり、その一部を電線11に巻き付けるようにして電線11に取り付けられる。
【0026】
リングマーク181は、リング状の部材であり、内周に電線11を挿入することで電線11に取り付けられる。本実施の形態では、リングマーク181の内径は電線11の外径よりも大きく形成され、電線11の長手方向に移動可能に取り付けられている。リングマーク181よりも電線11の端部側にマークテープ182が位置することにより、電線11の長手方向に移動可能なリングマーク181が電線11の端部より抜けることが抑制されている。
【0027】
なお、本実施の形態では、識別票としてリングマーク181及びマークテープ182を用いたが、例えばリングマーク181を省略してマークテープ182のみとしてもよい。また、識別票として、ICタグ、RFIDタグ等を用いることも当然に可能である。さらに、マークテープ182、リングマーク181、及びエリアラベルテープ183に印刷される情報は、電線11の外周上(外部シースの外周上)に印刷されていてもよい。
【0028】
導通チェック部164は、電線11の布線後に各電線11の導通をチェックするものであり、電線11の両端部において、電線11の導体にテスタ20のプローブを接触させた際の導体抵抗を求め、導体抵抗が所定の正常範囲内にあるかを判定することで、導通チェックを行うものである。本実施の形態では、導通チェック部164は、電線11の布線後に、表示制御部161を介して表示器14に導通チェックの指示を表示し、導通チェック後に表示を消去するように構成されている。この点の詳細については後述する。
【0029】
(進捗状況を表示する構成)
本実施の形態に係るワイヤハーネスの製造支援装置10は、布線する前記電線の識別コードを提示する識別コード提示手段2と、識別コードを読み込む読込手段3と、識別コードが読込手段3により読まれた時刻を記憶部17に記憶させる時刻記憶部4と、記憶部に記憶された時刻を基に、ワイヤハーネスの製造の進捗状況を求める進捗状況管理部5と、を備えている。
【0030】
本実施の形態では、識別コード提示手段2は、表示器14に、電線11の布線順にしたがって識別コード(ここではバーコード)を順次表示させるコード表示部としてのポップアップバーコード表示部161aからなる。読込手段3は、表示器14に表示されたバーコードを読込可能なコードリーダ19からなる。
【0031】
また、ワイヤハーネスの製造支援装置10は、コードリーダ19により読み込まれた識別票(マークテープ182の二次元コード182a)のコード情報と、表示器14に表示された識別コード(バーコード142)のコード情報とが対応しているかを判定する対応判定部6を備えている。本実施の形態では、マークテープ182の二次元コード182aのコード情報と、表示器14に表示されたバーコード142のコード情報とを一致させるようにしており、対応判定部6は、コードリーダ19により読み込んだ二次元コード182aのコード情報と、バーコード142のコード情報とが一致しているかを判定するように構成されている。
【0032】
また、対応判定部6は、判定の結果、二次元コード182aとバーコード142のコード情報が一致しなかった場合には、表示制御部161を介して、表示器14にアラート情報を表示するように構成されている。なお、例えば作業台15の近傍に音や光等により警報を発する警報装置を備え、二次元コード182aとバーコード142のコード情報が一致しなかった場合に警報装置を作動させるように対応判定部6を構成してもよい。
【0033】
時刻記憶部4は、時計機能を内蔵しており、電線11を布線する毎に、電線11を布線した後の時刻を記憶部17に記憶させる。本実施の形態では、時刻記憶部4は、コードリーダ19により識別コード(バーコード142)が読まれた時刻を記憶部17に記憶させる。本実施の形態では、時刻記憶部4は、対応判定部6の判定の結果、二次元コード182aのコード情報と、バーコード142のコード情報とが一致していると判定されたときに、バーコード142が読まれた時刻を記憶部17に進捗管理情報173として記憶する。
【0034】
なお、これに限らず、対応判定部6によって、二次元コード182aのコード情報とバーコード142のコード情報とが一致していると判定された時刻を、識別コードが読まれた時刻として記憶するようにしてもよい。つまり、「識別コードが読まれた時刻」とは、厳密に識別コードが読み込まれた時刻である必要はなく、識別コードが読まれたことにより発生する所定の判定処理等(本実施の形態においては、二次元コード182aのコード情報とバーコード142のコード情報とが一致していると判定する処理)が終了した時刻を、「識別コードが読まれた時刻」として記憶してもよい。なお、時刻記憶部4が時刻を記憶する詳細なタイミング等については、後に図7~10のフロー図を用いて詳述する。
【0035】
進捗状況管理部5は、記憶部17に記憶された時刻、すなわち進捗管理情報を基に、ワイヤハーネスの製造の進捗状況を求め、求めた進捗状況を管理用表示器16aに表示する。本実施の形態では、管理用表示器16aとして、制御装置16として用いるパーソナルコンピュータに取り付けられたモニタを用いたが、制御装置16とは別体に設けられたモニタ、例えば工場等に設けられた大画面のモニタを、管理用表示器16aとして用いてもよい。
【0036】
より具体的には、進捗状況管理部5は、進捗管理情報を基に、布線済みの電線11の本数、未布線の電線11の本数、布線する電線11の総本数に対する布線済みの電線11の本数の割合、予め設定された標準作業時間(目標作業時間)、作業開始からの経過時間等を求め、進捗状況表示画面として管理用表示器16aに表示する。
【0037】
図6は、進捗状況表示画面の一例である。図6に示すように、進捗状況表示画面51では、例えば、工場の製造ラインごとに、進捗状況を表示するように構成されている。ここでは、一例として、ラインA,Bの2つの製造ラインの個別進捗状況表示部52を表示する場合を示しているが、表示する製造ライン数はこれに限定されない。また、各個別進捗状況表示部52の表示形態についても、例えば棒グラフや円グラフを用いて進捗状況を表示する等、様々な表示形態を採用することができる。各個別進捗状況表示部52の表示内容についても、図示のものに限定されず、例えば、標準作業時間(目標作業時間)に対する経過時間の割合を表示する等、適宜設定可能である。
【0038】
(制御装置16における制御フロー)
図7~10は、制御装置16における制御フローを示すフロー図である。制御装置16では、工場の各製造ラインについて、それぞれ図7~10の制御フローを実行する。
【0039】
図7に示すように、まず、ステップS1にて、表示制御部161が、記憶部17に記憶された布線画像データ171を基に、表示器14に布線図141を表示する。その後、ステップS2にて、変数nに初期値1を代入し、ステップS3にて、作業者ID読込み・記憶処理を行う。作業者IDとは、作業者毎に割り当てられた作業者を特定するためのコードであり、例えば名札等にバーコードとして表示されている。作業者ID読込み・記憶処理では、コードリーダ19による作業者ID(バーコード)の読込み処理を行うと共に、読み込んだ作業者IDの情報を記憶部17に記憶する。なお、ステップS3の作業者ID読込み・記憶処理では、表示制御部161が、表示器14に、作業者IDを読み込む指示を表示するようにしてもよい。
【0040】
以下、n番目に布線する電線11を第n電線11と呼称する。ステップS3にて作業者IDが読み込まれた後、ステップS4にて、時刻記憶部4が、現在の時刻を作業開始時刻、及び第1電線の布線開始時刻として、記憶部17に進捗管理情報として記憶する。その後、ステップS5にて、進捗状況管理部5が、進捗状況表示画面51の進捗情報を更新する。
【0041】
その後、ステップS6にて、リール121のコード読込・記憶処理を行う。リール121のコード読込・記憶処理では、コードリーダ19による電線識別コード121aの読込み処理を行うと共に、読み込んだ電線識別コード121aの情報を記憶部17に記憶する。なお、ステップS6のリール121のコード読込・記憶処理では、表示制御部161が、表示器14に、電線識別コード121aを読み込む指示を表示するようにしてもよい。
【0042】
その後、ステップS7にて、電線切断制御部162が、第n電線11の使用電線がリール121にセットされているかを判定する。すなわち、リール121の電線識別コード121aの情報に含まれる電線11の品種が、作業レシピ情報172における第n電線11の品種と一致しているかを電線切断制御部162が判定する。ステップS7でNOと判定された場合、ステップS8にて、電線切断制御部162が、表示制御部161を介して、表示器14に、リール交換指示を表示した後、ステップS6に戻る。
【0043】
ステップS7でYESと判定された場合、ステップS9にて、表示制御部161が、第n電線11の識別コード(バーコード142)を表示器14に表示する。識別コード(バーコード142)は、第n電線11の両端に表示される。その後、ステップS10にて、電線切断制御部162が、電線供給装置12及び電線切断機13を制御して、第n電線11を作業レシピ情報172に設定された電線長に切断する。なお、ステップS10の電線11の切断は、バーコード142のコードリーダ19による読込をトリガとして実行されてもよい。作業者は、ステップS10で切断された電線11を、表示器14に表示された布線画像データ171、及び識別コード(バーコード142)を目印にして配置する。
【0044】
その後、ステップS11にて、エリアラベル処理を行う。図9に示すように、ステップS11のエリアラベル処理では、まず、ステップS111にて、印刷制御部163が、作業レシピ情報172(エリアラベル(Area label)の情報)を参照して、第n電線11がそのエリアで最初に布線される電線11であるかを判定する。ステップS111にてNOと判定された場合、そのままリターンし、図7のステップS12に進む。
【0045】
ステップS111でYESと判定された場合、ステップS112にて、印刷制御部163が、プリンタ18によりエリアラベルテープ183を印刷する。その後、ステップS113にて、表示制御部161がエリアラベルに対応したコード(バーコードまたは二次元コード)を表示器14に表示し、ステップS114にて、エリアラベルテープ183の二次元コード183a及び表示コードの読込処理を行う。作業者は、プリンタ18で印刷されたエリアラベルテープ183を、表示器14上に配置された電線11の所定箇所(電線11の分岐部分の近傍)に貼付し、エリアラベルテープ183の二次元コード183aと、表示器14に表示されたコードとをコードリーダ19により読み込む。なお、エリアラベルテープ183を電線11に貼付ける位置を表示器14に表示してもよい。例えば、エリアラベルテープ183を貼付け位置と対応する位置(あるいはその近傍)にもエリアラベルに対応したコードを表示することにより、エリアラベルテープ183の貼付け位置を表示してもよい。また、色や枠等により、エリアラベルテープ183の貼付け位置を表示してもよい。
【0046】
その後、ステップS115にて、対応判定部6が、ステップS114で読み込んだ2つのコード、すなわちエリアラベルテープ183の二次元コード183aと、表示器14に表示されたコードが一致しているか(あるいは対応しているか)を判定する。ステップS115でNOと判定された場合、ステップS116にて、対応判定部6が、表示制御部161を介して、表示器14にアラート情報(例えば「エリアラベルが一致しません」等のメッセージ)を表示し、ステップS114に戻る。ステップS115でYESと判定された場合、リターンし、図7のステップS12に進む。
【0047】
図7に戻り、ステップS12では、印刷制御部163が、作業レシピ情報172を参照して、第n電線11のリングマーク181及びマークテープ182を印刷する。作業者は、プリンタ18で印刷されたリングマーク181及びマークテープ182を、表示器14上に配置された電線11の端部に取り付ける。その後、ステップS13にて、導通チェック処理を行う。
【0048】
図10に示すように、ステップS13の導通チェック処理では、まず、ステップS131にて、導通チェック部164が、表示制御部161を介して、表示器14に、導通チェックの指示の表示を行う。図11に示すように、導通チェック表示143は、バーコード142と一部重なり合うように表示され、バーコード142の位置は作業者が確認できるものの、バーコード142の読み取りができない状態とされる。これにより、導通チェック前にバーコード142の読み取りがなされ次工程へと進んでしまうことが抑制される。また、バーコード142の一部が作業者に視認できるため、導通チェック後のバーコード142の読み取りをスムーズに行うことが可能になる。本実施の形態では、導通チェック表示143として、「Check Conductivity, black」といった表示を行っており、導通チェックを行う電線11の色(外皮の色、ここではblack)を提示することで、導通チェックの際のミスの抑制を図っている。
【0049】
図10に戻り、ステップS131で導通チェックの指示の表示を行った後、ステップS132にて、導通チェック部164が、テスタ20の出力を基に、第n電線11の導通チェックを行う。具体的には、導通チェック部164が、テスタ20の出力を基に第n電線11の抵抗値を演算し、演算した抵抗値が所定の正常値範囲に含まれる場合に、導通チェックが合格であると判定する。
【0050】
ステップS132でNOと判定された場合、ステップS133にて、導通チェック部164が、表示制御部161を介して、表示器14にアラート情報を表示し、ステップS132に戻る。なお、ステップS132にて所定回数不合格(NO)を繰り返した場合には、図7のステップS7に戻り、第n電線11の布線をやり直すように構成してもよい。この場合、導通チェックに不合格となった電線11は破棄される。ステップS132にてYESと判定された場合、すなわち導通チェックに合格した場合、ステップS134にて、導通チェック部164が、表示制御部161を介して、表示器14から導通チェック表示143を消去し、リターンする(図7のステップS14に進む)。
【0051】
図7に戻り、ステップS14では、マークテープ182の二次元コード182a、及び識別コード(バーコード142)の読込処理を行う。作業者は、電線11の端部に付されたマークテープ182の二次元コード182aと、表示器14に表示された識別コード(バーコード142)とをコードリーダ19により読み込む。
【0052】
その後、ステップS15にて、対応判定部6が、ステップS14で読み込んだ2つのコード、すなわちマークテープ182の二次元コード182aと識別コード(バーコード142)とが一致しているか(あるいは対応しているか)を判定する。ステップS15にてNOと判定された場合、ステップS16にて、対応判定部6が、表示制御部161を介して、表示器14にアラート情報(例えば「電線の識別コードが一致しません」等のメッセージ)を表示し、ステップS15に戻る。
【0053】
ステップS15でYESと判定された場合、ステップS17にて、時刻記憶部4が、作業レシピ情報172を参照し、第n電線11が布線する最後の電線11であるかを判定する。ステップS17でNOと判定された場合、ステップS18にて、時刻記憶部4が、現在の時刻を、第n電線布線終了時刻、及び、第n+1電線布線開始時刻とし、記憶部17に進捗管理情報173として記憶する。その後、ステップS19にて、進捗状況管理部5が、進捗状況表示画面51の進捗情報を更新する。その後、ステップS20にて変数nをインクリメントした後、ステップS7に戻り次の電線11の布線作業を開始する。
【0054】
ステップS17でYESと判定された場合、図8のステップS21に進む。ステップS21では、時刻記憶部4が、現在の時刻を、第n電線布線終了時刻とし、記憶部17に進捗管理情報173として記憶する。その後、ステップS22にて、進捗状況管理部5が、進捗状況表示画面51の進捗情報を更新する。なお、進捗状況表示画面51に表示される進捗情報の更新のタイミングは、所定の時間間隔であってもよい。
【0055】
その後、ステップS23にて、表示制御部161が、表示器14に、テープ巻き作業コードを表示する。このとき、テープを巻く位置が表示器14に表示される。テープを巻く位置は、例えば、色または枠等で表示される。その後、ステップS24にて、テープ巻き作業コード読込処理を行う。作業者は、表示器14の表示を基に、複数の電線11を束ねてテープを巻いた後に、コードリーダ19によりテープ巻き作業コードを読み込む。ステップS24にてテープ巻き作業コードが読み込まれたら、ステップS25にて、時刻記憶部4が、現在の時刻を、テープ巻き作業開始時刻とし、記憶部17に進捗管理情報173として記憶する。その後、ステップS26にて、進捗状況管理部5が、進捗状況表示画面51の進捗情報を更新する。
【0056】
その後、ステップS27にて、表示制御部161が、表示器14に、保護材装着作業コードを表示する。このとき、保護材を装着する位置が表示器14に表示される。保護材を装着する位置は、例えば、色または枠等で表示される。その後、ステップS28にて、保護材装着作業コード読込処理を行う。作業者は、表示器14の表示を基に、保護材を装着した後に、コードリーダ19により保護材装着作業コードを読み込む。ステップS28にて保護材装着作業コードが読み込まれたら、ステップS29にて、時刻記憶部4が、現在の時刻を、テープ巻き作業終了時刻、及び保護材装着作業開始時刻とし、記憶部17に進捗管理情報173として記憶する。その後、ステップS30にて、進捗状況管理部5が、進捗状況表示画面51の進捗情報を更新する。
【0057】
その後、ステップS31にて、表示制御部161が、表示器14に、検査作業コードを表示する。その後、ステップS32にて、検査作業コード読込処理を行う。作業者は、所定の検査を行った後に、コードリーダ19により検査作業コードを読込む。ステップS32にて検査作業コードが読み込まれたら、ステップS33にて、時刻記憶部4が、現在の時刻を、保護材装着作業終了時刻、及び検査作業開始時刻とし、記憶部17に進捗管理情報173として記憶する。その後、ステップS34にて、進捗状況管理部5が、進捗状況表示画面51の進捗情報を更新する。
【0058】
その後、ステップS35にて、表示制御部161が、表示器14に、作業終了コードを表示する。その後、ステップS36にて、作業終了コード読込処理を行う。ステップS36にて作業終了コードが読み込まれたら、ステップS37にて、時刻記憶部4が、現在の時刻を、検査作業終了時刻、及び作業終了時刻とし、記憶部17に進捗管理情報173として記憶する。その後、ステップS38にて、進捗状況管理部5が、進捗状況表示画面51の進捗情報を更新する。その後、処理を終了する。
【0059】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るワイヤハーネスの製造支援装置10では、布線する電線11の識別コード(バーコード142)を提示する識別コード提示手段2と、識別コード(バーコード142)を読み込む読込手段3と、識別コード(バーコード142)が読込手段3により読まれた時刻を記憶部17に記憶させる時刻記憶部4と、記憶部17に記憶された時刻を基に、ワイヤハーネスの製造の進捗状況を求める進捗状況管理部5と、を備えている。
【0060】
これにより、布線する電線11の照合を行いながら電線11の布線を行うことになるため、作業ミスの発生を抑制できる。また、識別コード(バーコード142)を読み込んだ時刻を記憶しておくことにより、電線11の布線時の作業履歴を残すことができると共に、作業の進捗状況を容易に調べることができるようになる。さらに、識別コード(バーコード142)を読み込んだ時刻を記憶することにより、管理者が各作業にかかった時間を知ることができ、製造工程の最適化や効率化に寄与する。
【0061】
なお、例えば作業完了時にボタンを押す等して、作業履歴や作業時刻を取得することも考えられるが、この場合、作業時に作業者が誤ってボタンを押してしまうおそれがあり、信頼性に乏しい。このような誤操作を防ぐためには、読込手段3を、識別コード(バーコード142)を光学的に読み込む方式とすることがより望ましいといえる。
【0062】
(変形例)
上記実施の形態では、識別コード(バーコード142)が読まれた時刻を基に、ワイヤハーネスの製造の進捗状況を求めたが、導通チェック処理が完了した時刻を基に、ワイヤハーネスの製造の進捗状況を求めることも可能である。この場合、時刻記憶部4は、導通チェック部164による電線11の導通チェックが完了した時刻を記憶部17に記憶させるよう構成される。制御フローにおいては、上述の図7におけるステップS14~S16を省略し、ステップS13の導通チェック処理が完了した時刻を、ステップS18にて第n電線布線終了時刻、及び、第n+1電線布線開始時刻として記憶するとよい。この場合、布線する電線11の照合を省略することによって、作業時間の短縮を図ることができ、作業効率を向上させることが可能になる。
【0063】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0064】
[1]布線図(141)上に電線(11)を順次布線してワイヤハーネスを製造する装置であって、前記電線(11)を布線する毎に、前記電線(11)を布線した後の時刻を記憶部(17)に記憶させる時刻記憶部(4)と、前記記憶部(17)に記憶された時刻を基に、前記ワイヤハーネスの製造の進捗状況を求める進捗状況管理部(5)と、を備えた、ワイヤハーネスの製造支援装置(10)。
【0065】
[2]布線する前記電線(11)の識別コード(142)を提示する識別コード提示手段(2)と、前記識別コード(142)を読み込む読込手段(3)と、を備え、前記時刻記憶部(4)は、前記識別コード(142)が前記読込手段(3)により読まれた時刻を前記記憶部(17)に記憶させる、[1]に記載のワイヤハーネスの製造支援装置。
【0066】
[3]前記布線図(141)を表示する表示器(14)を備え、前記識別コード提示手段(2)は、前記表示器(14)に、前記電線(11)の布線順にしたがって前記識別コード(142)を順次表示させるコード表示部(161a)を含む、[2]に記載のワイヤハーネスの製造支援装置(1)。
【0067】
[4]前記識別コード(142)がバーコードまたは二次元コードであり、前記読込手段(3)が、前記バーコードまたは二次元コードを読込可能なコードリーダ(19)である、[3]に記載のワイヤハーネスの製造支援装置(10)。
【0068】
[5]前記電線(11)のそれぞれに識別票(182)が取り付けられており、前記読込手段(3)により読み込まれた前記識別票(182)と前記識別コード(142)とが対応しているかを判定する対応判定部(6)を備えた、[2]乃至[4]の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造支援装置(10)。
【0069】
[6]進捗状況を表示するための管理用表示器(16a)を備え、前記進捗状況管理部(5)は、布線する前記電線(11)の総本数に対する布線済みの前記電線(11)の本数の割合を含む進捗状況表示画面(51)を、前記管理用表示器に表示する、[1]乃至[5]の何れか1項に記載のワイヤハーネスの製造支援装置(10)。
【0070】
[7]布線する前記電線(11)の導通チェック処理を行う導通チェック部(164)を備え、前記時刻記憶部(4)は、前記導通チェック部(164)による前記電線(11)の導通チェックが完了した時刻を記憶部(17)に記憶させる、[1]に記載のワイヤハーネスの製造支援装置。
【0071】
[8]布線図(141)上に電線(11)を順次布線してワイヤハーネスを製造する方法であって、前記電線(11)を布線する毎に、前記電線(11)を布線した後の時刻を記憶部(17)に記憶させ、前記記憶部(17)に記憶された時刻を基に、前記ワイヤハーネスの製造の進捗状況を求める、ワイヤハーネスの製造支援方法。
【0072】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0073】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、表示器14に布線画像を表示したが、これに限らず、紙に印刷された布線図を用いてもよい。この場合、識別コード提示手段2としては、例えばモニタに識別コードを順次表示するように構成されたものを用いてもよいし、布線図あるいは不線図とは別の紙に一覧印刷された識別コード(バーコード等)を識別コード提示手段2として用いることも可能である。
【0074】
また、上記実施の形態では、テープ巻き作業、保護材装着作業、検査作業の各作業については、作業前にバーコードを読み込み、バーコードを読み込んだ時刻を対応する作業の開始時刻としたが、これに限らず、作業後にバーコードを読み込むようにし、バーコードを読み込んだ時刻を対応する作業の終了時刻としてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態では、電線11の布線等の各作業が終わる毎に進捗情報を更新したが、進捗情報の更新タイミングはこれに限定されず、例えば、進捗状況管理部5が、所定の時間間隔で進捗管理情報173を参照することで、進捗情報の更新を行ってもよい。また、例えば、制御フロー中で各作業が終わる毎に完了作業数を表す変数をカウントアップし、当該変数と全体の作業数とから、進捗情報を得るように進捗状況管理部5を構成してもよい。
【0076】
また、進捗状況表示画面51には、ワイヤハーネス全体を製造する際の標準作業時間に加え、現在行っている作業の標準作業時間を表示してもよい。この場合、各作業の標準作業時間は、各作業の作業時間の履歴等から個別に設定されていてもよいし、単純にワイヤハーネス全体を製造する際の標準作業時間を作業数で除することで設定されていてもよい。
【0077】
さらに、上記実施の形態では言及しなかったが、ワイヤハーネスの製造にかかった時間(作業開始から作業終了までの時間)の履歴を基に、標準作業時間を自動で補正する標準作業時間補正部を、制御装置16に搭載してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10…ワイヤハーネスの製造支援装置
2…識別コード提示手段
3…読込手段
4…時刻記憶部
5…進捗状況管理部
6…対応判定部
11…電線
14…表示器
141…布線図
142…バーコード(識別コード)
16…制御装置
16a…管理用表示器
161…表示制御部
161a…ポップアップバーコード表示部(コード表示部)
17…記憶部
182…マークテープ(識別票)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11