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特許7435958間葉系幹細胞増殖促進用組成物及び認知機能改善用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】間葉系幹細胞増殖促進用組成物及び認知機能改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/82 20060101AFI20240214BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALI20240214BHJP
   A61K 36/70 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 36/81 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240214BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240214BHJP
【FI】
A61K36/82
C12N5/0775
A61K36/70
A61K36/81
A61P25/28
A61P43/00 105
A23L33/105
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019022458
(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公開番号】P2019137681
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】P 2018021848
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成29年度農林水産省「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(73)【特許権者】
【識別番号】307014555
【氏名又は名称】北海道公立大学法人 札幌医科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110002480
【氏名又は名称】弁理士法人IPアシスト
(72)【発明者】
【氏名】本望 修
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 祐典
(72)【発明者】
【氏名】山本 万里
【審査官】馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0051678(KR,A)
【文献】国際公開第2014/065369(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107320516(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0105871(US,A1)
【文献】国際公開第2016/190307(WO,A1)
【文献】Nutrients,2017年,9,789
【文献】Nutritional Neurosciences,2005年,8,111-120
【文献】European Review for Medical and Pharmacological Sciences,2014年,vol.18,p.1806-1812
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00
A61P 43/00
A61K 36/70
A61K 36/82
A61K 36/81
A61P 25/28
A23L 33/105
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶品種サンルージュ(品種登録第21262号)、バレイショ品種シャドークイーン(品種登録第17574号)又はバレイショ品種ノーザンルビー(品種登録第17447号)の乾燥粉末又は蒸熱粉砕物を有効成分として含有する、経口的に摂取するための間葉系幹細胞増殖促進用組成物(ただし、サンルージュの乾燥粉末又は蒸熱粉砕物を有効成分として含有する間葉系幹細胞増殖促進用かつ認知機能改善用の組成物を除く)。
【請求項2】
間葉系幹細胞増殖促進用かつ認知機能改善用である、請求項1に記載の組成物(ただし、サンルージュの乾燥粉末又は蒸熱粉砕物を有効成分として含有する組成物を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間葉系幹細胞の増殖、特に生体内での間葉系幹細胞の増殖を促進するための組成物、及び哺乳動物、特にヒトの認知機能を改善するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化が急速に進む現代社会において、高齢者における認知機能の低下は社会問題となっている。アルツハイマー病等を発症原因とするいわゆる認知症による機能低下は、患者本人のQOLの低下に留まらず、介護等の周囲への負担の増大及び医療費の増大を招く原因となっている。また、自然な老化に伴う比較的軽度な認知機能の低下であっても、当人が日常生活を営む上で様々な支障の原因となり、特に高齢化と共にその影響はより深刻なものとなり得る。そのため、医療費等の社会福祉費用の軽減及び対象者のQOL向上の観点から、認知機能の低下を予防する又は認知機能を改善することのできる手段への期待は高い。
【0003】
医学的に認知症と診断された患者に対しては、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を示すドネペジルやガランタミン等の適応が行われている。しかし、これらの薬物による治療は対症療法であり、また副作用の懸念がある。
【0004】
認知機能の改善に有効な食品中の機能性成分として、イチョウ葉フラボノイド配糖体・テルペンラクトン(コリン作動性の神経伝達物質の利用効率向上)、鶏由来プラズマローゲン(海馬の神経細胞の新生促進、アミロイドβの蓄積抑制、神経炎症抑制作用)、魚やオーランチオキトリウム由来DHA(海馬での神経細胞新生の促進、アミロイドβタンパク質凝集の抑制、シナプス膜流動性促進による神経伝達物質NMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)の受容体の活性化、脳血流量増加による脳への酸素供給の促進)、大豆由来ホスファチジルセリン(ホスファチジルセリン誘導D-セリンのNMDA型グルタミン酸受容体の活性化)等が報告されており、機能性表示食品として販売されている。
【0005】
一方、損傷を受けた脳機能を治療する又は改善する有効な手段として、間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell: MSC)を利用した再生医療が提唱されている。例えば、生体から採取して体外で培養、増殖させた間葉系幹細胞を、各種神経疾患モデル動物及びヒトに対して経静脈的に全身投与することで脳梗塞や脊髄損傷の後遺症を改善し得ることが報告されている(例として非特許文献1~5)。しかしながら、投与用の間葉系幹細胞の調製には特別な設備を要すること、自家移植の場合は投与前に当該患者から間葉系幹細胞を採取して培養する必要があること等の理由から、間葉系幹細胞の投与は既に発症した患者の治療の場面に留まっている。徐々に発症して経過が長期にわたるいわゆる慢性疾患、例えば神経変性疾患や慢性炎症性疾患等においても、間葉系幹細胞は、その組織修復作用、抗炎症作用及び線維化抑制作用等の様々な作用により発症の阻止や病態進行の抑制に寄与するものと期待されるが、これらの疾患に罹患した者に対してその明確な症状があらわれる前に治療的に間葉系幹細胞を投与すること、及びこれらの疾患に罹患するおそれがある者に対して予防的に間葉系幹細胞を投与することは、対象者の発見の困難性及び経済性の面で現実的ではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Iihoshi S. et al., Brain Res. 2004;1007:1-9.
【文献】Nomura T. et al., Neuroscience. 2005;136:161-169.
【文献】Honma T. et al., Exp. Neurol. 2006;199:56-66.
【文献】Honmou O. et al., Brain. 2011;134:1790-1807.
【文献】Morita T. et al., Neuroscience. 2016;335:221-31.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、間葉系幹細胞、特に生体内に存在する間葉系幹細胞の有効利用に資する新たな手段を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特定の成分を含有する食品が生体内での間葉系幹細胞の増殖を促進し、また前記食品が認知機能を改善するという新たな知見を見出し、以下の発明を完成させた。
(1)β-カロテン含有食品、ルチン含有食品、アントシアニン含有食品及びフラボノール含有食品よりなる群から選択される1又は2以上の食品を有効成分として含有する間葉系幹細胞増殖促進用組成物。
(2)β-カロテン含有食品がニンジンである、(1)に記載の組成物。
(3)ルチン含有食品がダッタンソバである、(1)に記載の組成物。
(4)アントシアニン含有食品が、茶品種サンルージュ(品種登録第21262号)及びその系統品種、バレイショ品種シャドークイーン(品種登録第17574号)及びその系統品種並びにバレイショ品種ノーザンルビー(品種登録第17447号)及びその系統品種よりなる群から選択される食品である、(1)に記載の組成物。
(5)アントシアニンのアグリコンが、デルフィニジン、シアニジン、ペチュニジン又はペラルゴニジンである、(1)又は(4)に記載の組成物。
(6)フラボノール含有食品が、茶品種サンルージュ(品種登録第21262号)又はその系統品種の茶である、(1)に記載の組成物。
(7)フラボノールが、ミリセチン、ケンフェロール又はケルセチンである、(1)又は(6)に記載の組成物。
(8)β-カロテン含有食品、ルチン含有食品、アントシアニン含有食品及びフラボノール含有食品よりなる群から選択される1又は2以上の食品を有効成分として含有する認知機能改善用組成物。
(9)β-カロテン含有食品がニンジンである、(8)に記載の組成物。
(10)ルチン含有食品がダッタンソバである、(8)に記載の組成物。
(11)アントシアニン含有食品が、茶品種サンルージュ(品種登録第21262号)及びその系統品種、バレイショ品種シャドークイーン(品種登録第17574号)及びその系統品種並びにバレイショ品種ノーザンルビー(品種登録第17447号)及びその系統品種よりなる群から選択される食品である、(8)に記載の組成物。
(12)アントシアニンのアグリコンが、デルフィニジン、シアニジン、ペチュニジン又はペラルゴニジンである、(8)又は(11)に記載の組成物。
(13)フラボノール含有食品が、茶品種サンルージュ(品種登録第21262号)又はその系統品種の茶である、(8)に記載の組成物。
(14)フラボノールが、ミリセチン、ケンフェロール又はケルセチンである、(8)又は(13)に記載の組成物。
(15)β-カロテン、ルチン、アントシアニン及びフラボノールよりなる群から選択される1又は2以上の物質を有効成分として含有する間葉系幹細胞増殖促進用組成物。
(16)アントシアニンのアグリコンが、デルフィニジン、シアニジン、ペチュニジン又はペラルゴニジンである、(15)に記載の組成物。
(17)フラボノールが、ミリセチン、ケンフェロール又はケルセチンである、(15)に記載の組成物。
(18)β-カロテン、ルチン、アントシアニン及びフラボノールよりなる群から選択される1又は2以上の物質を有効成分として含有する認知機能改善用組成物。
(19)アントシアニンのアグリコンが、デルフィニジン、シアニジン、ペチュニジン又はペラルゴニジンである、(18)に記載の組成物。
(20)フラボノールが、ミリセチン、ケンフェロール又はケルセチンである、(18)に記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の間葉系幹細胞増殖促進用組成物は、これを投与された又は摂取した哺乳動物の体内で間葉系幹細胞数を増加させることができ、これにより様々な疾患に対する予防的及び/又は治療的な効果を発揮することが期待される。また本発明の間葉系幹細胞増殖促進用組成物は、これを含む適当な培地中で間葉系幹細胞を培養することで細胞数を増加させることができる。間葉系幹細胞の培養における細胞数の増加は、間葉系幹細胞を含有する医薬の製造において有利である。さらに、本発明の認知機能改善用組成物は、これを投与された又は摂取した哺乳動物の認知機能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ニンジン含有餌料、サンルージュ含有餌料、ダッタンソバ含有餌料又はシャドークイーン含有餌料を10週間摂取させたラットにおける骨髄又は末梢血1 mL中の間葉系幹細胞数を示すグラフである。
図2】ニンジン含有餌料、サンルージュ含有餌料、ノーザンルビー含有餌料、シャドークイーン含有餌料若しくはダッタンソバ含有餌料を10週間摂取させた、又はβ-カロテンを投与したラットにおける骨髄中の間葉系幹細胞数を示すグラフである。
図3】ニンジンジュースを5週間摂取させたラットにおける新奇物体認識試験及びモリス水迷路試験の結果を示すグラフである。
図4】ニンジンジュースを5週間摂取させたラットにおける骨髄又は末梢血1 mL中の間葉系幹細胞数を示すグラフである。
図5】ニンジン含有餌料、サンルージュ含有餌料、ダッタンソバ含有餌料又はシャドークイーン含有餌料を5週間摂取させたラットにおける新奇物体認識試験及びモリス水迷路試験の結果を示すグラフである。
図6】ニンジン含有餌料、サンルージュ含有餌料、ダッタンソバ含有餌料又はシャドークイーン含有餌料を5週間摂取させたラットにおける骨髄又は末梢血1 mL中の間葉系幹細胞数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、β-カロテン含有食品、ルチン含有食品、アントシアニン含有食品及びフラボノール含有食品よりなる群から選択される1又は2以上の食品を有効成分として含有する間葉系幹細胞増殖促進用組成物に関する。
【0012】
間葉系幹細胞は、間葉系組織の間質細胞の中に存在する多分化能および自己複製能を有する幹細胞である。間葉系幹細胞は、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、筋細胞といった間葉系に属する細胞に分化するだけでなく、神経細胞や肝細胞などにも胚葉を超えて分化することが知られている。
【0013】
本発明の間葉系幹細胞増殖用組成物は、間葉系幹細胞の増殖を促進する作用、すなわち間葉系幹細胞の増殖能を向上させ、その数を増加させる作用を有する。本発明の間葉系幹細胞増殖用組成物は、骨髄、末梢血、脂肪、脳など体組織に存在しているいずれの間葉系幹細胞に対しても使用することができ、好ましくは骨髄由来又は末梢血由来の間葉系幹細胞、特に骨髄由来の間葉系幹細胞に対して使用することができる。
【0014】
本発明の間葉系幹細胞増殖促進用組成物は、インビトロでの間葉系幹細胞の培養、及びインビボすなわち生体内における間葉系幹細胞の増殖のいずれにおいても利用することができる。本発明の間葉系幹細胞増殖促進用組成物を投与する又は摂取させる対象は、体内における間葉系幹細胞の増殖促進が望まれる哺乳動物であり、例としてマウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サル、ヒト等を挙げることができるが、ヒトが特に好ましい。
【0015】
インビトロにおける間葉系幹細胞に対する増殖促進作用は、本発明の間葉系幹細胞増殖促進用組成物の存在下で間葉系幹細胞を培養し、組成物の非存在下で培養した場合と比較して間葉系幹細胞の数がより多いことをもって確認することができる。
【0016】
生体内における間葉系幹細胞に対する増殖促進作用は、本発明の間葉系幹細胞増殖促進用組成物を適当な動物、好ましくはマウス、ラットその他の実験動物に投与した又は摂取させたときに、組成物を投与しない又は摂取させない場合と比較して、生体内における間葉系幹細胞の数が、好ましくは骨髄又は末梢血中の間葉系幹細胞の数がより多いことをもって確認することができる。生体内における間葉系幹細胞の数は、モデル動物から採取した骨髄又は末梢血に対して培養等の公知の方法を適用することで測定することができる。
【0017】
本発明の間葉系幹細胞増殖促進用組成物は、生体内で間葉系幹細胞の増殖を促すことで組織修復、抗炎症、線維化抑制等の機能を発揮し、様々な疾患に対して予防的及び/又は治療的に作用することが期待される。本発明の間葉系幹細胞増殖促進用組成物により予防及び/又は治療され得る疾患としては、例えば、脳梗塞、脊椎損傷、認知症、神経変性疾患等の神経疾患;心筋梗塞等の心血管疾患;関節リウマチ、炎症性腸疾患等の炎症性疾患;糖尿病及びその合併症;腎臓病等を挙げることができる。
【0018】
本発明はさらに、β-カロテン含有食品、ルチン含有食品、アントシアニン含有食品及びフラボノール含有食品よりなる群から選択される1又は2以上の食品を有効成分として含有する認知機能改善用組成物を提供する。
【0019】
本発明の認知機能改善用組成物は、哺乳動物に投与する又は摂取させることで、当該動物の認知機能を改善することができる。本発明において認知機能とは、記憶、判断、計算、理解、学習、思考、言語等を含む脳の高次の機能をいい、その改善とは、それらいずれかの機能を維持する又は機能の低下を妨げること、機能低下の進行速度を減少させること、及び低下した機能を回復させることを含むものとして理解される。したがって、本発明の認知機能改善用組成物は、認知機能維持用組成物及び認知機能低下抑制用組成物と表すこともできる。
【0020】
本発明の認知機能改善用組成物を投与する又は摂取させる対象は、認知機能の改善が望まれる哺乳動物であり、例としてマウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サル、ヒト等を挙げることができるが、ヒトが特に好ましい。認知機能改善作用は、本発明の認知機能改善用組成物を投与した又は摂取させた適当な動物、好ましくマウス、ラットその他のモデル動物を被験体として、認知機能を測定する公知の方法を実施して認知機能を評価し、組成物を投与等しなかったモデル動物の認知機能の評価と比較することで確認することができる。モデル動物の認知機能を測定する公知の方法としては、新奇物体認識試験、Morris水迷路試験、放射状迷路試験等を挙げることができる。
【0021】
本発明の間葉系幹細胞増殖促進用組成物及び認知機能改善用組成物は、β-カロテン含有食品、ルチン含有食品、アントシアニン含有食品及びフラボノール含有食品よりなる群から選択される1又は2以上の食品を有効成分として含有する。
【0022】
β-カロテンは、植物に存在するカロテノイドの一種で、赤橙色色素の一つとして知られている化合物で、プロビタミンAとも呼ばれる。β-カロテンを多く含有する食用植物としては、例えばニンジン(Daucus carota subsp. Sativus)、シソ、モロヘイヤ、パセリ、バジル、ホウレンソウ、シュンギク、ニラ、カボチャ、コマツナ、チンゲンサイその他の緑黄色野菜を挙げることができ、好ましくはニンジンである。
【0023】
ルチンは、植物に存在するフラボノイド配糖体の一種で、ケルセチンとルチノースからなる。ルチンを多く含有する食用植物としては、例えばダッタンソバ(Fagopyrum tataricum)を含むソバ、アスパラガス、柑橘類等を挙げることができ、好ましくはダッタンソバ、特に品種名「満天きらり」(品種登録第23414号)又はその系統品種のダッタンソバである。
【0024】
アントシアニンは、植物に存在するフラボノイドの一種で、アグリコンであるアントシアニジンに糖鎖、有機酸等が結合した構造を有する。本発明において好ましいアントシアニンは、そのアグリコンがデルフィニジン、シアニジン、ペチュニジン又はペラルゴニジンであるアントシアニンである。デルフィニジン系アントシアニンとしては、例えば、デルフィニジン-3-O-β-ガラクトピラノシド、デルフィニジン-3-O-β-(6-トランス-p-クマロイル)ガラクトピラノシド、デルフィニジン-3-O-β―(6-シス-p-クマロイル)ガラクトピラノシド、デルフィニジン-3-O-β-グルコピラノシド、デルフィニジン-3-O-β-(6-トランス-p-クマロイル)グルコピラノシド等が挙げられる。シアニジン系アントシアニンとしては、例えば、シアニジン-3-O―β―ガラクトピラノシド、シアニジン-3-O-β-グルコピラノシド、シアニジン-3-O-β-(6-トランス-p-クマロイル)ガラクトピラノシド、シアニジン-3-O-β-(6-トランス-p-クマロイル)グルコピラノシド等が挙げられる。
【0025】
本発明においては、特にデルフィニジン-3-O-β-ガラクトピラノシド、シアニジン-3-O―β―ガラクトピラノシド、デルフィニジン-3-O-β-グルコピラノシド、シアニジン-3-O-β-グルコピラノシド、デルフィニジン-3-O-β-(6-トランス-p-クマロイル)ガラクトピラノシド、デルフィニジン-3-O-β―(6-シス-p-クマロイル)ガラクトピラノシド等、が好ましい。ペラルゴニジン系アントシアニンとしては、ペタニン、ペチュニジン系アントシアニンとしては、ペラニンが好ましい。
【0026】
デルフィニジン、シアニジン系アントシアニンを多く含有する食用植物としては、例えばカシス、ブルーベリー、ビルベリー、ラズベリー、クランベリー、カシス、アサイー等のベリー類、ハスカップ、ブドウ、ザクロ、ナス、桑の実、黒豆その他の赤紫色又は青紫色の野菜又は果物、及び品種名「茶中間母本農6号」(品種登録第16016号)、品種名「サンルージュ」(品種登録第21262号)等の茶(Camellia sinensis, Camellia taliensis)を挙げることができ、好ましくは品種名「サンルージュ」又はその系統品種の茶である。また、ペチュニジン系アントシアニンであるペタニンやペラルゴニジン系アントシアニンであるペラニンを多く含有する食用植物としては、品種名「インカパープル」(品種登録第8550号)、「キタムラサキ」(品種登録第14041号)、品種名「シャドークイーン」(品種登録第17574号)、品種名「インカレッド」(品種登録第8551号)、品種名「ノーザンルビー」(品種登録第17447号)等のバレイショ(Solanum tuberosum L.)を挙げることができ、好ましくは品種名「シャドークイーン」、品種名「ノーザンルビー」又はそれらの系統品種のバレイショである。
【0027】
フラボノールは、様々な野菜や果実に含まれる3-ヒドロキシフラボン骨格を有するフラボノイドの一種で、フェノール性OHの位置により多数の物質が存在する。本発明において好ましいフラボノールは、ミリセチン(IUPAC;3,3',4',5',5,7-hexahydroxy-2-phenylchromen-4-one)、ケンフェロール(3,4',5,7-tetrahydroxy-2-phenylchromen-4-one)、ケルセチン(3,3',4',5,7-pentahydroxy-2-phenylchromen-4-one)であり、これらのフラボノールを多く含む食用植物として、例えば、茶、クルミ、ブロッコリー、キャベツ、ケール、タマネギ、豆類、ブドウ、ベリー、トマト、イチゴ、リンゴ、柑橘類、ソバ等を挙げることができ、好ましくは茶、特に品種名「サンルージュ」(品種登録第21262号)又はその系統品種の茶である。
【0028】
本発明における系統品種とは、当該品種の親品種、並びに当該品種及びその親品種から生じる後代の育種系統や品種を意味する。例えば、サンルージュは茶中間母本農6号の交雑により育種された品種であることから、茶中間母本農6号はサンルージュの系統品種であり、またシャドークイーンはキタムラサキの交雑により育種された品種であることから、キタムラサキはシャドークイーンの系統品種である。
【0029】
β-カロテン含有食品、ルチン含有食品、アントシアニン含有食品及びフラボノール含有食品は、それぞれβ-カロテン、ルチン、アントシアニン、フラボノールを多く含有する食用の生物(動物、植物、菌類等)又はその加工物をいい、好ましくは先に挙げた各成分を多く含有する食用植物の中からそれぞれ一種又は二種以上を適宜選択して使用することができる。β-カロテン含有食品、ルチン含有食品、アントシアニン含有食品及びフラボノール含有食品は、本発明の組成物が動物又は植物等の生物そのものとならないかぎり、その形態及び形状を限定することなく本発明の組成物において使用することができる。
【0030】
上述のように、β-カロテン含有食品、ルチン含有食品、アントシアニン含有食品及びフラボノール含有食品はいずれも各成分を多く含有する食品として間葉系幹細胞増殖促進作用及び認知機能改善作用を示すことから、各食品に多く含まれるβ-カロテン、ルチン、アントシアニン及びフラボノールが前記作用に関与していると考えられる。このように、本発明は、β-カロテン、ルチン、アントシアニン及びフラボノールよりなる群から選択される1又は2以上の物質を有効成分とする間葉系幹細胞増殖促進用組成物又は認知機能改善用組成物も提供する。これらの組成物において、β-カロテン、ルチン、アントシアニン及びフラボノールは、いずれもそれらを含有する植物その他の生物材料から、当業者に知られた方法によって精製又は部分精製して使用することができる。
【0031】
本発明の間葉系幹細胞増殖促進用組成物及び認知機能改善用組成物は、飲食品、医薬品又は医薬部外品として提供することができ、したがって飲食品組成物、医薬組成物又は医薬部外品組成物と表すこともできる。また、本発明の組成物は、経口又は経腸摂取用の組成物であってもよい。本発明の組成物の形態に制限はなく、例えば搾汁(ジュース)、ペースト、乾燥粉末、エキス等の形態であり得る。また、本発明の組成物は製剤化されていてもよく、好ましくは錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤等の経口剤の形態であり得る。本発明の間葉系幹細胞増殖促進用組成物及び認知機能改善用組成物は、その態様に応じて、それぞれ間葉系幹細胞増殖促進剤及び認知機能改善剤と表すこともできる。
【0032】
本発明における飲食品組成物は、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において経口摂取又は経管摂取可能なものであればよく、経口摂取若しくは経管栄養が可能な担体若しくは賦形剤、又は有効成分以外の飲食品を含有することができる。本発明において、飲食品組成物は、飲料(飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む)、調味料を含む一般的な加工食品、サプリメント、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)を幅広く含むものとして理解される。
【0033】
本発明において特に好ましい飲食品組成物は、間葉系幹細胞増殖促進作用、認知機能改善作用又はそれらから科学的に導かれる好ましい作用が表示される保健機能食品(特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品)である。
【0034】
飲食品組成物は、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類などの任意の助剤を添加して任意の形状の飲食品組成物として製造することができる。
【0035】
本発明における医薬組成物及び医薬部外品組成物は、薬学的に許容される担体若しくは添加剤、又は有効成分以外の生理活性物質を含有することができる。薬学的に許容される担体若しくは添加剤は当業者に周知であり、当業者が通常の実施能力の範囲内で、例えば第十七改訂日本薬局方その他の規格書に記載された成分から製剤の形態に応じて適宜選択して使用することができる。また、医薬組成物及び医薬部外品組成物の投与方法は特に限定されず、製剤の形態に応じて適宜決定される。
【0036】
医薬組成物及び医薬部外品組成物における本発明の有効成分以外の生理活性物質としては、好ましくは、認知症その他の神経変性疾患の治療薬、例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害作用を示すドネペジルやガランタミン等を挙げることができる。
【0037】
本発明の組成物における各有効成分の含有量及び対象への投与量又は摂取量は、組成物の種類、用法、対象の年齢、投与経路その他の条件などに応じて、体重60kgの成人への1日当たりの投与量又は摂取量が、β-カロテン換算で1mg~100mg、ルチン換算で50mg~1000mg、アントシアニン換算で1mg~500mg、フラボノール換算で2mg~500mgでの範囲内となるように適宜調節すればよい。これらの量は、1日に1回若しくは複数回に分けて、又は間歇的に投与する又は摂取させることができる。
【0038】
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【実施例
【0039】
実施例1-1.間葉系幹細胞増殖促進作用の評価
ニンジンジュース(商品名「完全生搾りジュース」(ニンジン100%のストレートジュース)、伊橋産業株式会社、品種名 向陽二号)、三ヶ日産温州みかん6倍濃縮ジュース、緑茶(品種名サンルージュ)、ダッタンソバ(品種名 満天きらり)及びバレイショ(品種名 シャドークイーン)を用意し、それらの乾燥粉末又は蒸熱粉砕物をそれぞれ10%配合したラット用ペレット餌(HOKUDO社AIN-76Aベース)を製造した。各餌の成分分析の結果を表1に示す。
【表1】
【0040】
SDラット(雄、33週齢)を、コントロール群、ニンジンジュース摂取群、サンルージュ摂取群、ダッタンソバ摂取群、温州みかん摂取群及びシャドークイーン摂取群(n=10/群)に分け、上で調製した各ペレット餌を自由摂取させて10週間飼育した。コントロール群には、いずれの農産物も含まない標準ペレット餌を摂取させた。各群におけるペレット餌の摂取量から算出されるヒト60kg体重換算の1日当たりの推定機能性成分の摂取量は、ニンジンのβ-カロテン:7mg、サンルージュのアントシアニン:12mg、サンルージュのフラボノール:40 mg、ダッタンソバのルチン:150mg、シャドークイーンのアントシアニン:50mgであった。
【0041】
飼育終了後、各群のラットから骨髄(大腿骨2本、頸骨2本)及び末梢血を採取し、既報(Kim S. et al., Brain Res. 2006; 1123, 27-33. Ukai R et al., J. Neurotrauma. 2007; 24: 508-520.)の方法に従い、ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)で25mLに希釈し、加熱不活化した10%FBS(末梢血は30%FBS)、2mL L-グルタミン、100U/mLペニシリン、0.1mg/mLストレプトマイシンを添加し、5%CO2雰囲気下37℃で10日間インキュベートした後、細胞数をカウントした。
【0042】
結果を図1に示す。コントロール群と比較して、ニンジンジュース摂取群、サンルージュ摂取群、ダッタンソバ摂取群及びシャドークイーン摂取群において、ラット体内の骨髄間葉系幹細胞数及び末梢血間葉系幹細胞数がいずれも増加していることが確認された。
【0043】
実施例1-2.間葉系幹細胞増殖促進作用の評価
実施例1-1で用意した農産物に加えて、緑茶(品種名べにふうき)及びバレイショ(品種名 いんかのめざめ、ノーザンルビー)を用意し、それらの蒸熱粉砕物をそれぞれ10%配合したラット用ペレット餌(HOKUDO社AIN-76Aベース)を製造した。。
【0044】
SDラット(雄、33週齢)を、10群(n=10/群)に分け、8群に上で又は実施例1-1で調製した8種のペレット餌のいずれかを自由摂取させて10週間飼育した。残りの2群には標準ペレット餌を摂取させ、1群にβ-カロテンを0.1μg/0.5ml を連日腹腔内に注射で投与し(協和発酵バイオ株式会社:デュナリエラカロチン製剤水溶性バイオカロチン02(デュナリエラ由来β-カロチン2%含有乳化液を、生食で薄めたもの。)、1群はコントロール群とした。
【0045】
飼育終了後、実施例1-1と同様にして、各群のラットの骨髄間葉系幹細胞の数をカウントした。結果を図2に示す。コントロール群と比較して、β-カロテン投与群、ニンジンジュース摂取群、サンルージュ摂取群、ノーザンルビー摂取群、シャドークイーン摂取群及びダッタンソバ摂取群において、ラット体内の骨髄間葉系幹細胞数が増加していることが確認された。
【0046】
実施例2-1.認知機能改善作用の評価
(1)新奇物体認識試験
高血圧に加えて認知機能低下を呈するSHRラットを認知症モデル動物として用いた。SHRラット(雄、20週齢、三協ラボサービス(株)より購入)をコントロール群及びニンジンジュース摂取群(n=7/群)に分け、コントロール群には標準ペレット餌を、ニンジンジュース摂取群には試験飼育開始から14日間(20週齢から22週齢まで)は標準ペレット餌を、その後(23週齢から)は水の代わりにニンジンジュース(商品名「とくべつなプレミアムにんじんジュース」(ニンジン100%のストレートジュース、品種名 あけみ五寸)、株式会社一粒万倍)を自由摂取させて5週間飼育した。
【0047】
両群のラットに対して、試験飼育開始時及び試験飼育期間中1週毎に新奇物体認識試験を行い、認知機能の変化を経時的に調べた。新奇物体認識試験の内容は次の通りである。まず、オープンフィールドに全く同一の物体(プラスチック玩具;縦2cm、横3cm、高さ5cm程度)を2つ入れ、ラットに10分間自由に探索させた。24時間後、同様に10分間自由探索させてラットを訓化させ、4時間後にオープンフィールド内の物体のうち1つを新奇物体に変更し、本試験として5分間自由に探索させた。2つの物体の総探索時間に対する新奇物体の探索時間の割合(新奇/新奇+既存物体探索時間)を求め、50%以上を正常な認知機能とした。物体の位置は訓化試験、本試験共に全く同じ位置に設置した。
【0048】
(2)モリス水迷路試験
(1)と同様に水又はニンジンジュースで5週間飼育した認知症モデルラットに対してモリス水迷路試験を5日間行い、認知機能の変化を調べた。モリス水迷路試験は、円形のプールに水をはり、ラットが避難できる足場を水面下1cm程度の場所に作り、ラットが避難場所に到達するまでの時間を測定することで行った。初日のみ60秒間自由に探索させ、2日目から到達時間を記録した。
【0049】
結果を図3に示す。図中の上のグラフの縦軸は総探索時間に占める新奇物体に対する探索時間の割合(%)を、横軸は試験飼育開始後の飼育時間(週)を表す。また下のグラフの縦軸は遊泳時間(秒)を、横軸はモリス水迷路試験開始後の学習時間(日)を表す。いずれの試験においても、コントロール群における認知機能低下の進行と比較して、ニンジンジュース摂取群において、認知機能の改善が確認された。
【0050】
(3)間葉系幹細胞数の測定
(1)と同様に標準ペレット餌又はニンジンジュース配合ペレット餌で5週間飼育した認知症モデルラットを用いて、実施例1-1に記載された方法に従って骨髄間葉系幹細胞数及び末梢血間葉系幹細胞数を測定した。結果を図4に示す。コントロール群と比較して、ニンジンジュース摂取群において、ラット体内の骨髄間葉系幹細胞数及び末梢血間葉系幹細胞数がいずれも増加していることが確認された。
【0051】
実施例2-2.認知機能改善作用の評価
認知症モデルラットであるSHRラット(雄、20週齢、三協ラボサービス(株)より購入)をコントロール群、ニンジンジュース摂取群、サンルージュ摂取群、ダッタンソバ摂取群及びシャドークイーン摂取群(n=7/群)に分け、コントロール群には標準ペレット餌を自由摂取させて5週間飼育した。残りの群には試験飼育開始から14日間(20週齢から22週齢まで)は標準ペレット餌を、その後(23週齢から)は実施例1-1又は1-2で製造したニンジンジュース配合ペレット餌、サンルージュ配合ペレット餌、ダッタンソバ配合ペレット餌又はシャドークイーン配合ペレット餌を自由摂取させて5週間飼育した。その後、各群のラットに対して、実施例2-1と同様にして新奇物体認識試験を行った。
【0052】
また、上記と同じ条件で飼育した認知症モデルラットを用いて、実施例2-1と同様にしてモリス水迷路試験を行った。
【0053】
両試験の結果を図5に示す。モリス水迷路試験の結果は、学習開始後5日目のものである。ニンジンジュース摂取群、サンルージュ摂取群、ダッタンソバ摂取群及びシャドークイーン摂取群のいずれにおいても、コントロール群と比較した認知機能の改善が確認された。
【0054】
さらに、上記と同じ条件で飼育した認知症モデルラットを用いて、実施例1-1に記載された方法に従って骨髄間葉系幹細胞数及び末梢血間葉系幹細胞数を測定した。結果を図6に示す。ニンジンジュース摂取群、サンルージュ摂取群、ダッタンソバ摂取群及びシャドークイーン摂取群のいずれにおいても、コントロール群と比較して骨髄間葉系幹細胞数及び末梢血間葉系幹細胞数が増加していることが確認された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6