(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】組成物、ソルダーレジスト組成物、硬化物及び硬化物の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240214BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20240214BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20240214BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240214BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20240214BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240214BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20240214BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240214BHJP
C08F 290/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G03F7/004 502
G03F7/004 506
G03F7/027
H05K3/28 C
H05K3/28 D
C08L101/00
C08K5/10
C08K3/36
C08K3/22
C08K3/013
C08F290/00
(21)【出願番号】P 2019191101
(22)【出願日】2019-10-18
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2018201242
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金原 有希子
(72)【発明者】
【氏名】中屋敷 哲千
(72)【発明者】
【氏名】末吉 孝
(72)【発明者】
【氏名】清水 蓮
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/021023(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/043353(WO,A1)
【文献】特開2015-132791(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170182(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170183(WO,A1)
【文献】特開平04-011626(JP,A)
【文献】特開2006-111803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08F 290/00-290/14
G03F 7/004-7/04
G03F 7/06
G03F 7/075-7/115
G03F 7/16-7/18
H05K 3/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(A)で表される化合物と、
オキシムエステル系光重合開始剤及びアシルホスフィン系重合開始剤を含む光ラジカル重合開始剤と、
光硬化性成分を含む硬化性成分と、
シリカ又は酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の
充填剤とを含み、
前記
充填剤の含有量が前記硬化性成分100質量部に対して、5質量部以上200質量部以下であることを特徴とするソルダーレジスト組成物。
【化1】
(式中、環A
1は、ベンゼン環を表し、
R
101は、それぞれ独立に、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R
102は、酸素原子側末端のメチレン基が-CO-O-で置換された、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基であるか、或いは、下記一般式(C-1)、(C-2)、(C-3)、(C-4)、(C-5)、(C-6)、(C-7)、(C-8)、(C-9)及び(C-10)から選ばれる式で表される基であり、
R
101に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、炭素-炭素二重結合、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-若しくは-SO
2-から選ばれた基又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合があり、
複数のR
101同士は結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成している場合があり、
複数のR
101及びR
102はそれぞれ同じである場合も異なる場合もあり、nは、1~10の整数を表し、dは、0~4の整数を表し、kは、1以上の整数を表し、d及びkの合計は、環A
1が取り得る置換基の数より少なく、
Xは、n価の基を表す。)
【化2】
(式中、R
111、R
113、R
116、R
118、R
119、R
120、R
123、R
126、R
128、R
131及びR
133は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R
112、R
114、R
117、R
121、R
122、R
124、R
125、R
127、R
129、R
130、R
132、R
134及びR
135は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R
115は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R
111、R
112、R
113、R
114、R
115、R
116、R
117、R
118、R
119、R
120、R
121、R
122、R
123、R
124、R
125、R
126、R
127、R
128、R
129、R
130、R
131、R
132、R
133、R
134及びR
135に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-若しくは-SO
2-から選ばれた基又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合があり、
R’は、水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
複数のR
111同士、複数のR
113同士、複数のR
116同士、複数のR
118同士、複数のR
119同士、複数のR
120同士、複数のR
123同士、複数のR
126同士、複数のR
128同士、複数のR
131同士及び複数のR
133同士は、それぞれ結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成している場合があり、
複数のR
111、R
112、R
113、R
114、R
116、R
117、R
118、R
119、R
120、R
123、R
125、R
126、R
127、R
128、R
129、R
130、R
131、R
132、R
133、R
134及びR
135は、それぞれ同じである場合があり、異なる場合があり、
b11、b12、b13、b16、b17、b18、b19及びb21は、それぞれ独立に0~4の整数を表し、
b14、b15及びb20は、それぞれ独立に0~5の整数を表し、
*は、結合箇所を表す。)
【請求項2】
前記硬化性成分が、熱硬化性成分を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のソルダーレジスト組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のソルダーレジスト組成物の硬化物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のソルダーレジスト組成物に含まれる前記硬化性成分同士を重合する工程を含むことを特徴とする硬化物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、耐久性に優れた硬化物を形成可能な組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板には、通常、不要な部分へのはんだ付着防止、高温・高湿度などの外部環境からのプリント配線板保護のために、ソルダーレジストが設けられている。
このようなソルダーレジストの形成に用いられるソルダーレジスト組成物としては、紫外線照射後、現像することにより画像形成し、熱及び/又は光照射で仕上げ硬化(本硬化)する感光性樹脂組成物等のネガ型組成物が知られている(特許文献1~3)。
また、ソルダーレジスト組成物としては、光等で分解する樹脂を含むポジ型組成物が知られている(特許文献3)
【0003】
例えば、特許文献1~3には、エポキシ化合物と不飽和カルボン酸の反応生成物に酸無水物を付加した感光性樹脂、光重合開始剤、希釈剤及びエポキシ化合物を含む組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-53215号公報
【文献】特開2017-111453号公報
【文献】特開2016-139832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ソルダーレジストは、ソルダーレジスト形成時の加熱処理、プリント配線板のソルダーレジスト以外の部材の形成のための加熱処理、実装時のはんだ付けの際に、高温条件下に晒される場合がある。
また、ソルダーレジストは、ソルダーレジスト形成時の光照射処理、プリント配線板のソルダーレジスト以外の部材の形成のための光照射処理、プリント配線板使用時等に、紫外線等の光に晒される場合がある。
しかしながら、従来のソルダーレジストは、耐久性が不十分であり、例えば、上述のような高温条件下等でソルダーレジストにクラックが生じ、プリント配線板の保護が不十分になるといった不具合があった。
【0006】
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐久性に優れた硬化物を形成可能な組成物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、耐久性向上のために、酸化防止剤の添加を検討した。しかしながら、酸化防止剤を添加しても十分な耐久性、特に耐熱性が得られなかった。
これに対して、加熱処理前は酸化防止能が抑制された状態であり、加熱処理後に酸化防止能を発揮する潜在性酸化防止剤を添加した場合には、高温条件下に晒した場合でも、硬化物へのクラック発生が抑制されることを見出した。
本発明者等は、これらの知見に基づいて、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本開示は、下記一般式(A)で表される化合物(以下、化合物Aと称する場合がある。)と、硬化性成分と、を含むことを特徴とする組成物を提供する。
【0009】
【0010】
(式中、環A1は、五員環又は六員環の炭化水素環及び五員環又は六員環の複素環の少なくとも一方からなる環を表し、
R101は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R102は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基を表し、
R101及びR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基並びにR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、炭素-炭素二重結合、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-若しくは-SO2-から選ばれた基又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合があり、
複数のR101同士は結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成している場合があり、
複数のR101及びR102はそれぞれ同じである場合も異なる場合もあり、
nは、1~10の整数を表し、
dは、0~4の整数を表し、
kは、1以上の整数を表し、d及びkの合計は、環A1が取り得る置換基の数より少なく、
Xは、n価の基を表す。)
【0011】
本開示によれば、上記化合物Aを含むため、耐久性に優れた硬化物を形成可能となる。
【0012】
本開示においては、上記R102が、酸素原子側末端のメチレン基が-CO-O-で置換された、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基であることが好ましい。上記R102が、上述の基であることで、上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成容易となるからである。
【0013】
本開示においては、上記硬化性成分が、光硬化性成分及び熱硬化性成分の少なくとも一方を含むことが好ましい。上記各成分を含むことで、上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成容易となるからである。
【0014】
本開示は、上述の組成物からなることを特徴とするソルダーレジスト組成物を提供する。
【0015】
本開示によれば、上述の組成物からなることで、耐久性に優れたソルダーレジストを形成可能となる。
【0016】
本開示は、上述の組成物の硬化物を提供する。
【0017】
本開示によれば、上述の組成物の硬化物であることで、耐久性に優れたものとなる。
【0018】
本開示は、上述の組成物又は上述のソルダーレジスト組成物に含まれる上記硬化性成分同士を重合する工程を含むことを特徴とする硬化物の製造方法を提供する。
【0019】
本開示によれば、上記化合物Aを含むため、上記重合する工程の実施が容易なものとなる。
【発明の効果】
【0020】
本開示は、耐久性に優れた硬化物を形成可能な組成物を提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、組成物、それからなるソルダーレジスト組成物、硬化物及び硬化物の製造方法に関するものである。
以下、本開示の組成物、それからなるソルダーレジスト組成物、硬化物及び硬化物の製造方法について詳細に説明する。
【0022】
A.組成物
まず、本開示の組成物について説明する。
本開示の組成物は、下記一般式(A)で表される化合物と、硬化性成分と、を含むことを特徴とするものである。
【0023】
【0024】
(式中、環A1は、五員環又は六員環の炭化水素環及び五員環又は六員環の複素環の少なくとも一方からなる環を表し、
R101は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R102は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基を表し、
R101及びR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基並びにR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、炭素-炭素二重結合、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-若しくは-SO2-から選ばれた基又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合があり、
複数のR101同士は結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成している場合があり、
複数のR101及びR102はそれぞれ同じである場合も異なる場合もあり、
nは、1~10の整数を表し、
dは、0~4の整数を表し、
kは、1以上の整数を表し、d及びkの合計は、環A1が取り得る置換基の数より少なく、
Xは、n価の基を表す。)
【0025】
本開示によれば、上記化合物Aを有することにより、耐久性に優れた硬化物を形成可能となる。
ここで、上記化合物Aを含むことにより、耐久性に優れた硬化物が得られる理由については、以下のように推察される。
すなわち、上記化合物Aは、保護基R102を脱離して、フェノール性水酸基を生成することで、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤として機能する。
このため、上記硬化物は、紫外線吸収能、酸化防止能を有するものとすることが容易となる。その結果、上記硬化物は耐久性に優れたものとなる。
また、上記化合物Aは、フェノール性水酸基が保護基R102で保護されているため、光硬化性成分等の硬化性成分の硬化阻害を抑制できる。
このため、上記組成物は、硬化性成分同士が十分に硬化した硬化物を得ることができる。その結果、上記硬化物は耐久性に優れたものとなる。
また、上述のように上記化合物Aは、硬化阻害が抑制されているため、硬化性成分同士の硬化を阻害することなく、その添加量を増加することが容易となる。この観点からも、硬化物の耐久性向上が容易となる。
以上のことから、上述の成分を含む組成物は、耐久性に優れた硬化物を容易に得ることができるのである。
また、このような優れた耐久性を有する硬化物は、例えば、プリント配線板上の配線等を保護するソルダーレジストとして用いた場合には、プリント配線板を安定的に保護でき、信頼性を向上できる。
【0026】
本開示の組成物は、上記化合物Aと、硬化性成分とを含むものである。
以下、本開示の組成物の各成分について詳細に説明する。
【0027】
1.化合物A
上記化合物Aは、下記一般式(A)で表されるものである。
【0028】
【0029】
(式中、環A1は、五員環又は六員環の炭化水素環及び五員環又は六員環の複素環の少なくとも一方からなる環を表し、
R101は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R102は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基を表し、
R101及びR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基並びにR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、炭素-炭素二重結合、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-若しくは-SO2-から選ばれた基又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合があり、
複数のR101同士は結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成している場合があり、
複数のR101及びR102はそれぞれ同じである場合も異なる場合もあり、
nは、1~10の整数を表し、
dは、0~4の整数を表し、
kは、1以上の整数を表し、d及びkの合計は、環A1が取り得る置換基の数より少なく、
Xは、n価の基を表す。)
【0030】
上記一般式(A)で表される化合物は、Xで表されるn価の特定の原子又は基に、n個の特定の基が結合した構造を有する。このn個の基は、互いに同じであるか、又は異なっている。nの値は1~10であり、合成の容易さの点から、好ましくは1~6であり、より好ましくは、1~4である。
【0031】
上記一般式(A)におけるA1で表される環は、五員環又は六員環の炭化水素環及び五員環又は六員環の複素環の少なくとも一方からなる環を表す。
したがって、上記環A1は、ベンゼン環のような、1つの六員環の炭化水素環のみからなるものであってもよく、ナフタレン環のような2以上の六員環の炭化水素環からなる縮合環、インドール環のような1つの六員環の炭化水素環と1つの五員環の複素環とからなる縮合環であってもよい。
五員環の炭化水素環としては、シクロペンタジエン、フェロセン等の五員環の芳香族炭化水素環が挙げられる。
五員環の複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリジン、ピラゾリジン、ピラゾール、イミダゾール、イミダゾリジン、オキサゾール、イソキサゾール、イソオキサゾリジン、チアゾール、イソチアゾール、イソチアゾリジン等が挙げられる。
六員環の炭化水素環としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ペリレン、ピレン等の六員環の芳香族炭化水素環が挙げられる。
六員環の複素環としては、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオモルフォリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン等が挙げられる。
上記環A1のうち、五員環及び六員環の縮合環、炭化水素環及び複素環の縮合環等としては、例えば、フルオレン、キノリン、イソキノリン、インドール、ユロリジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾトリアゾール、アズレン、カルバゾール等が挙げられる。
【0032】
上記R101で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0033】
上記R101及びR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基としては、芳香族炭化水素環及び複素環を含まないものであればよく、例えば、炭素原子数1~40のアルキル基、炭素原子数2~40のアルケニル基、炭素原子数3~40のシクロアルキル基、炭素原子数4~40のシクロアルキルアルキル基及びこれらの基の水素原子の1つ又は2つ以上が後述する置換基により置換された基等が挙げられる。
【0034】
上記R101及びR102に用いられる炭素原子数1~40のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、iso-プロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、iso-ブチル、アミル、iso-ペンチル、tert-ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、iso-ヘプチル、tert-ヘプチル、1-オクチル、iso-オクチル、tert-オクチル、アダマンチル等が挙げられる。
【0035】
上記R101及びR102に用いられる炭素原子数2~40のアルケニル基としては、例えば、ビニル、エチレン、2-プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、4-ペンテニル、3-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、4-ヘプテニル、3-オクテニル、3-ノネニル、4-デセニル、3-ウンデセニル、4-ドデセニル及び4,8,12-テトラデカトリエニルアリル等が挙げられる。
R101及びR102に用いられる炭素原子数3~40のシクロアルキル基とは、3~40の炭素原子を有する、飽和単環式又は飽和多環式アルキル基を意味する。上記炭素原子数3~40のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン及びビシクロ[1.1.1]ペンタニル等が挙げられる。
【0036】
上記R101及びR102に用いられる炭素原子数4~40のシクロアルキルアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、シクロアルキル基で置換された炭素原子数4~40の基を意味する。上記炭素原子数4~40のシクロアルキルアルキル基としては、例えば、シクロプロピルメチル、2-シクロブチルエチル、3-シクロペンチルプロピル、4-シクロヘキシルブチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、2-シクロノニルエチル、2-シクロデシルエチル、3-3-アダマンチルプロピル及びデカハイドロナフチルプロピル等が挙げられる。
【0037】
上記R101等に用いられる脂肪族基としては、アルキル基の末端のメチレン基が-O-で置き換えられたアルコキシ基も用いることができる。
上記アルコキシ基としては、例えば、メチルオキシ、エチルオキシ、iso-プロピルオキシ、ブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、tert-ブチルオキシ、iso-ブチルオキシ、アミルオキシ、iso-アミルオキシ、tert-アミルオキシ、ヘキシルオキシ、2-ヘキシルオキシ、3-ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4-メチルシクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2-ヘプチルオキシ、3-ヘプチルオキシ、iso-ヘプチルオキシ、tert-ヘプチルオキシ、1-オクチルオキシ、iso-オクチルオキシ、tert-オクチルオキシ等が挙げられる。
【0038】
上記R101及びR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基としては、芳香族炭化水素環を含むものであればよく、例えば、炭素原子数6~35のアリール基、炭素原子数7~35のアリールアルキル基及びこれらの基の水素原子の1つ又は2つ以上が後述する置換基により置換された基等が挙げられる。
【0039】
上記R101及びR102に用いられる炭素原子数6~35のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル等が挙げられる。
【0040】
上記R101及びR102に用いられる炭素原子数7~35のアリールアルキル基としては、ベンジル、フルオレニル、インデニル、9-フルオレニルメチル基等が挙げられる。
【0041】
上記R101及びR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、複素環を含むものであればよく、例えば、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2-ピロリジノン-1-イル、2-ピペリドン-1-イル、2,4-ジオキシイミダゾリジン-3-イル、2,4-ジオキシオキサゾリジン-3-イル及びこれらの基の水素原子の1つ又は2つ以上が後述する置換基により置換された基等が挙げられる。
【0042】
上記R102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基としては、水素原子が未置換のシリル基、水素原子が他の置換基で置換された置換シリル基及びこれらの基の水素原子の1つ又は2つ以上が後述する置換基により置換された基等が挙げられる。
上記置換シリル基としては、モノアルキルシリル基、モノアリールシリル基、ジアルキルシリル基、ジアリールシリル基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、モノアルキルジアリールシリル基、ジアルキルモノアリールシリル基といったシリル基が挙げられる。
上記モノアルキルシリル基としては、モノメチルシリル基、モノエチルシリル基、モノブチルシリル基、モノイソプロピルシリル基、モノデカンシリル、モノイコサンシリル基、モノトリアコンタンシリル基等が挙げられる。
上記モノアリールシリル基としては、モノフェニルシリル基、モノトリルシリル基、モノナフチルシリル基、モノアンスリルシリル基等が挙げられる。
上記ジアルキルシリル基としては、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジイソプロピルシリル基、ジブチルシリル基、ジオクチルシリル基、ジデカンシリル基等が挙げられる。
上記ジアリールシリル基としては、ジフェニルシリル基、ジトリルシリル基等が挙げられる。
上記トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリブチルシリル基、トリオクチルシリル基等が挙げられる。
上記トリアリールシリル基としては、トリフェニルシリル基、トリトリルシリル基等が挙げられる。
上記モノアルキルジアリールシリル基としては、メチルジフェニルシリル基、エチルジフェニルシリル基等が挙げられる。
上記ジアルキルモノアリールシリル基としては、ジメチルフェニルシリル基、メチルエチルフェニル基等が挙げられる。
【0043】
上記R101及びR102に用いられる脂肪族基、芳香族炭化水素環含有基、複素環含有基及びシリル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、炭素-炭素二重結合、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-又は-SO2-から選ばれた基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられたもの又は置き換えられていないものとすることができる。また、R’は、水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基を表す。
なお、隣り合わない条件で組み合わせるとは、隣接するメチレン基が、上記基で置き換えられている場合に限定されず、隣接していない2つのメチレン基が、それぞれ、-O-CO-および-CO-O-のような異なる基に置き換えられている場合も含むものである。
R’に用いられる炭素原子数1~8のアルキル基としては、上記R1に用いられるアルキル基のうち所定の炭素原子数を満たすものを用いることができる。
なお、上記炭素原子数1~40の脂肪族基中のメチレン基が置換されている場合の炭素原子数とは、メチレン基が置換された後の炭素原子数を指し、メチレン基が置換される前の炭素原子数を指すのではない。以下、その他の基中のメチレン基が置換されている場合も同じである。
また、上記炭素原子数1~40の脂肪族基の水素原子が置換されている場合の炭素原子数とは、水素原子が置換された後の炭素原子数を指し、水素原子が置換される前の炭素原子数を指すのではない。以下、その他の基中の水素原子が置換されている場合も同じである。
【0044】
上記R101及びR102に用いられる脂肪族基、芳香族炭化水素環含有基、複素環含有基及びシリル基等の各官能基は、特に断りがない限り、置換基を有していない無置換の基又は置換基を有している基である。
上記脂肪族基、芳香族炭化水素環含有基、複素環含有基及びシリル基中の水素原子の1つ又は2つ以上を置換する置換基、より具体的には、上述のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、複素環含有基及びシリル基中の水素原子の1つ又は2つ以上を置換する置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2-クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4-トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、n-オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2-エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N-メチル-アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2-ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N-ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N-ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t-ブトキシカルボニルアミノ、n-オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N-メチル-メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N-ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、リン酸基又はカルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、リン酸基の塩等が挙げられる。
【0045】
上記化合物Aを加熱処理によりR102が脱離容易な化合物とする観点からは、上記R102は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基の酸素原子側末端のメチレン基が-CO-O-に置き換えられているもの、すなわち、-CO-O-で酸素原子側末端が置換された、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基であることが好ましい。
上記R102は、より具体的には、-CO-O-で酸素原子側末端が置換された、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基であることが好ましく、特に、-CO-O-で酸素原子側末端が置換された、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40のアルキル基、すなわち、-CO-O-R´´(R´´は置換基を有している場合もある炭素原子数1~39のアルキル基)で表される基であることが好ましい。
本開示において、上記R´´は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~20のアルキル基であることが好ましく、なかでも、置換基を有している場合もある炭素原子数1~8のアルキル基であることが好ましく、特に、無置換の炭素原子数1~8のアルキル基であることが好ましく、なかでも特に、無置換の炭素原子数3~6のアルキル基であることが好ましく、なかでも特に、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、iso-ブチル、n-ペンチル、iso-ペンチル、tert-ペンチルであることが好ましく、なかでも特に、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、すなわち、R102が、-CO-O-C4H9で表される基であることが好ましく、なかでも特にR´´がtert-ブチルであること、すなわち、R102が、-CO-O-tert-ブチル基であることが好ましい。
上記R102が、上述の基であることで、上記化合物Aは、加熱処理によるR102の脱離制御が容易となるからである。
【0046】
上記化合物Aに含まれる保護基R102が加熱処理により脱離する温度としては、上記組成物の用途等に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、80℃以上300℃以下とすることができ、なかでも、100℃以上290℃以下であることが好ましく、特に、120℃以上280℃以下であることが好ましく、なかでも特に、150℃以上250℃以下であることが好ましく、180℃以上240℃以下であることが好ましい。
脱離温度は、示差熱分析法により5質量%の熱減量を示した温度とすることができる。
測定方法としては、例えば、STA(示差熱熱重量同時測定装置)を用い、試料約5mg、窒素200mL/min雰囲気下、昇温開始温度30℃、昇温終了温度500℃、昇温速度10℃/minで昇温した際における、試料についての熱減量を測定し、30℃時点の試料重量に対して5質量%減量した時点の温度を脱離温度とすることができる。
示差熱熱重量同時測定装置としては、STA7000((株)日立ハイテクサイエンス製)を用いることができる。
【0047】
上記化合物Aを光照射によりR102が脱離容易な化合物とする観点からは、上記R102は、下記一般式(C-1)、(C-2)、(C-3)、(C-4)、(C-5)、(C-6)(C-7)、(C-8)、(C-9)及び(C-10)で表される基であることが好ましく、なかでも、下記一般式(C-1-a)、(C-2-a)、(C-3-a)、(C-4)、(C-5)、(C-6)、(C-7-a)、(C-7―b)、(C-8-a)、(C-9)及び(C-10-a)で表される基であることが好ましく、特に、下記一般式(C-1-a)で表される基であることが好ましい。
上記R102が、上述の基であることで、上記化合物Aは、光照射処理によるR102の脱離制御が容易となるからである。
【0048】
【0049】
【0050】
(式中、R111、R113、R116、R118、R119、R120、R123、R126、R128、R131及びR133は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R112、R114、R117、R121、R122、R124、R125、R127、R129、R130、R132、R134及びR135は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R115は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119、R120、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134及びR135に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-若しくは-SO2-から選ばれた基又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合があり、
R’は、水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
複数のR111同士、複数のR113同士、複数のR116同士、複数のR118同士、複数のR119同士、複数のR120同士、複数のR123同士、複数のR126同士、複数のR128同士、複数のR131同士及び複数のR133同士は、それぞれ結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成している場合があり、
複数のR111、R112、R113、R114、R116、R117、R118、R119、R120、R123、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134及びR135は、それぞれ同じである場合があり、異なる場合があり、
b11、b12、b13、b16、b17、b18、b19及びb21は、それぞれ独立に0~4の整数を表し、
b14、b15及びb20は、それぞれ独立に0~5の整数を表し、
*は、結合箇所を表す。)
【0051】
上記R102が化合物Aから脱離する光の波長は、例えば、365nmの波長を含むものとすることができ、より具体的には、250nm以上450nm以下の波長の光を含むものとすることができ、好ましくは280nm以上380nm以下の波長の光を含むものとすることができる。
上記化合物AからR102を脱離するために照射される光の積算光量は、例えば、1000mJ/cm2以上10000mJ/cm2以下とすることができ、1000mJ/cm2以上5000mJ/cm2以下であることが好ましく、2000mJ/cm2以上4000mJ/cm2以下であることがより好ましい。
ラジカル重合性化合物からなる光硬化性成分等を含む組成物の硬化のために照射される光の積算光量としては、通常、1000mJ/cm2未満とすることができる。したがって、積算光量が上述の範囲であることで、例えば、光硬化性組成物への適用が容易となるからである。
一方、上記化合物Aは、光照射処理によるR102の脱離が抑制される積算光量としては、所望の硬化阻害抑制効果が得られるものであればよく、1000mJ/cm2未満とすることができる。
【0052】
なお、R102が脱離するとは、硬化物に所望の耐久性等を付与できるものであればよく、例えば、R102の脱離率が50%以上となることとすることができ、なかでも、80%以上となることが好ましい。
上記脱離率の測定は、以下の方法を用いることができる。
(1)化合物Aの0.01質量%アセトニトリル溶液を調製する。
(2)上記溶液を1cm角石英セルに充填する。
(3)高圧水銀ランプUL750(HOYA製)を20mW/cm2に調整し、溶液で満たされた石英セルに対して、脱離処理(上記溶液を所定の温度に加熱する加熱処理又は所定の積算光量となる光照射処理)を行う。
(4)脱離処理後の溶液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて、化合物Aに由来する230nmのピークが全て消失した場合に100%脱離したと仮定して算出する。
【0053】
上記R111、R112、R113、R114、R116、R117、R118、R119、R120、R123、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131、R132、R133、R134及びR135(以下、これらの官能基をまとめてR111等と称する場合がある。)に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、上記R101等に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基と同様の基が挙げられる。
【0054】
上記R111、R113、R116、R118、R119、R120、R123、R126、R128、R131及びR133は、水酸基以外の基であることが好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基等であることが好ましい。水酸基以外の基とすることで、上記R102が化合物Aから容易に脱離するものとなり、且つ化合物Aの合成が容易となるからである。
上記R111及びR123は、ニトロ基、メトキシ基等のアルコキシ基、メチル基等の炭素原子数1~40のアルキル基等であることが特に好ましい。上記R102が化合物Aから容易に脱離するものとなり、且つ化合物Aの合成が容易となるからである。
上記R113、R116、R118、R119、R120、R126、R128、R131及びR133は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基であることが好ましい。上記R102が化合物Aから容易に脱離するものとなり、且つ化合物Aの合成が容易となるからである。
上記R116は、隣接する2つのR116同士が結合してベンゼン環を形成することが好ましい。上記R102が化合物Aから容易に脱離するものとなり、且つ化合物Aの合成が容易となるからである。
【0055】
上記R118及びR119で表される置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基又は置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基中のメチレン基が-O-置き換わっている場合、上記メチレン基を置き換わる-O-は、アルキル基及びアリールアルキル基をそれぞれ中断するように含まれる場合、すなわち、脂肪族基及び芳香族炭化水素環含有基の端部以外のメチレン基に置き換わっている場合がある。
【0056】
上記R112は、水素原子、カルボキシル基、炭素原子数1~5のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基であることが特に好ましい。保護基R102が化合物Aから容易に脱離するものとなり、且つ化合物Aの合成が容易となるからである。
上記R114、R117、R121、R124、R125、R127、R129及びR130は、なかでも、水素原子、炭素原子数1~40のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。上記R102が化合物Aから容易に脱離するものとなり、且つ化合物Aの合成が容易となるからである。
上記R115及びR122は、炭素原子数1~5のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0057】
上記b11、b12、b13、b16、b17、b18、b19、b20及びb21は、それぞれ独立に0~4の整数とすることができるが、合成の容易さの観点から、0~3の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0~1であることが更に好ましく、0であることが特に好ましい。
上記b4及びb5は、それぞれ独立に0~5の整数とすることができるが、合成の容易さの観点から、0~3の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0~1であることが更に好ましく、0であることが特に好ましい。
【0058】
本開示の化合物Aに含まれるR102の種類は、kが2以上である場合、化合物A当たり1種類である場合があり、2種類以上である場合があるが、化合物Aの合成を容易にする観点から、1種類であることが好ましい。
【0059】
上記dは、0~4の整数である。
上記dは、環A1に結合するR101の結合数を示すものであり、環A1に応じて適宜設定できるものである。例えば、環A1が1つの五員環のみからなる環である場合には、0~3の整数とすることができ、環A1が1つの六員環のみからなる環である場合には、0~4の整数とすることができる。
上記dは、合成の容易さの観点からは、0~3の整数とすることができ、0~2であることが好ましい。
上記d及びkの合計は、環A1が取り得る置換基の数より少ないものである。ここで、環A1が取り得る置換基の数より少ないとは、Xが結合することを考慮し、環A1が取り得る置換基の数マイナス1で表される数値以下の整数とすることができ、例えば、A1が1つの五員環からなる環である場合には、1~4の整数とすることができ、環A1が1つの六員環からなる環である場合には、1~5の整数とすることができる。
上記kは、1以上の整数を表すものであり、d及びkの合計は、環A1が取り得る置換基の数より少ないものである。例えば、環A1が1つの五員環からなる環である場合には、上記kは、1~4の整数とすることができ、環A1が1つの六員環からなる環である場合には、1~5の整数とすることができる。
上記kは、1~3の整数とすることができ、合成の容易さの観点から、1~2であることが好ましい。
【0060】
上記Xはn個の基であり、nが2以上の整数である場合、R102でフェノール性水酸基が保護されたn個の特定の基同士を連結する連結基として用いられるものである。
上記X基としては、具体的には、直接結合、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、下記(II-a)若しくは(II-b)で表される基、>C=O、>NR53、-OR53、-SR53、-NR53R54又はnと同数の価数を有する、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基若しくは置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R53及びR54は、水素原子、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有を表し、
X、R53及びR54に用いられる脂肪族基、芳香族炭化水素環含有基及び複素環含有基のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-、-SO2-若しくは窒素原子又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換わっている場合もあり、上記芳香族炭化水素環及び複素環は、それぞれ他の環と縮合されている場合もある。
但し、X基が窒素原子、リン原子又は下記(II-a)若しくは(II-b)で表される結合基の場合、nは3であり、X基が酸素原子又は硫黄原子、>C=O、-NH-CO-、-CO-NH-又は>NR53で表される結合基の場合、nは2であり、X基が水素原子、-OR53、-SR53又は-NR53R54の場合、nは1であり、X基は、ベンゼン環と一緒になって環を形成している場合もある。
【0061】
【0062】
(*は、結合箇所を表す。)
【0063】
上記Xに用いられるnと同数の価数を有する、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基の構造は、上記化合物Aの用途等に応じて適宜設定することができる。
上記脂肪族基は、直鎖、分岐鎖、環状(脂環式炭化水素)及びこれらの組合せのいずれも用いることができる。
また、上記脂肪族基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-、-SO2-若しくは窒素原子又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換わっている場合もある。
上記nが1である場合、上記置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基は、上記R101等に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基と同様の基を用いることができる。
上記脂肪族基は、nが2以上である場合、上記R101等に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基から水素原子の一部が外れた構造とすることができる。
上記Xに用いられるnが2の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基としては、具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブチルジイル等のアルキレン;上記アルキレンのメチレン鎖が-O-、-S-、-CO-O-、-O-CO-で置き換えられたもの;エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等のジオールの残基;エタンジチオール、プロパンジチオール、ブタンジチオール、ペンタンジチオール、ヘキサンジチオール等のジチオールの残基及びこれらの基が後述する置換基により置換された基等が挙げられる。
上記Xに用いられるnが3の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基としては、具体的には、プロピリジン、1,1,3-ブチリジン等のアルキリジン及びこれらの基が後述する置換基により置換された基が挙げられる。
【0064】
上記Xに用いられるnと同数の価数を有する、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基の構造は、上記化合物Aの用途等に応じて適宜設定することができる。
また、上記芳香族炭化水素環含有基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-、-SO2-若しくは窒素原子又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換わっている場合もある。
上記Xに用いられるnと同数の価数を有する、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基としては、nが1である場合、上記R101等に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基と同様の基を用いることができる。
上記芳香族炭化水素環含有基は、nが2以上である場合、上記R101等に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基から水素原子の一部が外れた構造とすることができる。
上記Xに用いられるnが2の置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基としては、具体的には、フェニレン、ナフチレン等のアリーレン基;カテコール、ビスフェノール等の二官能フェノールの残基;2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等及びこれらの基が後述する置換基により置換された基が挙げられる。
上記Xに用いられるnが3の置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基としては、具体的には、フェニル-1,3,5-トリメチレン及びこれらの基が後述する置換基により置換された基が挙げられる。
【0065】
上記Xに用いられるnと同数の価数を有する、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基の構造は、上記化合物Aの用途等に応じて適宜設定することができる。
また、上記複素環含有基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-、-SO2-若しくは窒素原子又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換わっている場合もある。
上記Xに用いられるnと同数の価数を有する、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、nが1である場合、上記R101等に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基と同様の基を用いることができる。
上記Xに用いられるnと同数の価数を有する、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、nが1である場合、上記R101等に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基と同様の基を用いることができる。
上記複素環含有基としては、nが2以上である場合、上記R101等に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基から水素原子の一部が外れた構造とすることができる。
上記Xに用いられるnが2の置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、具体的には、ピリジン環、ピリミジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、トリアジン環、フラン環、チオフェン環、インドール環等を有する基及びこれらの基が後述する置換基により置換された基が挙げられる。
上記Xに用いられるnが3の置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、具体的には、イソシアヌル環を有する基、トリアジン環を有する基及びこれらの基の水素原子の1つ又は2つ以上が後述する置換基により置換された基が挙げられる。
【0066】
R53及びR54に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有としては、上記R101等に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有と同様の基が挙げられる。
【0067】
上記X基は、nが2であるとき、下記一般式(1)で表される基を用いることができる。
上記X基は、nが3であるとき、下記一般式(2)で表される基を用いることができる。
上記X基は、nが4であるとき、下記一般式(3)で表される基を用いることができる。
上記X基は、nが5であるとき、下記一般式(4)で表される基を用いることができる。
上記X基は、nが6であるとき、下記一般式(5)で表される基を用いることができる。
【0068】
(化7)
*―Z1―Y1―Z2―* (1)
【0069】
(上記一般式(1)中、Y1は、単結合、-NR57-、二価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基若しくは置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基、又は、下記(1-1)~(1-3)で表されるいずれかの置換基を表し、
上記Y1に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-若しくは-NH-又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換わっている場合もあり、
Z1及びZ2は、それぞれ独立に、直接結合、-O-、-S-、>CO、-CO-O-、-O-CO-、-SO2-、-SS-、-SO-、>NR58又は>PR58を表し、
R57及びR58は、水素原子、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
*は、結合箇所を表す。)
【0070】
【0071】
(上記式中、R59は水素原子、置換基を有している場合もあるフェニル基、又は炭素原子数3~10のシクロアルキル基を表し、
R60は炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、
c1は0~5の整数であり、
*は、結合箇所を表す。)
【0072】
【0073】
(上記式中、*は、結合箇所を表す。)
【0074】
【0075】
(上記式中、R61及びR62は、それぞれ独立に、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基、炭素原子数6~20のアリールオキシ基、炭素原子数6~20のアリールチオ基、炭素原子数6~20のアリールアルケニル基、炭素原子数7~20のアリールアルキル基、炭素原子数2~20の複素環含有基又はハロゲン原子を表し、
上記R61及びR62に用いられるアルキル基及びアリールアルキル基中のメチレン基は、炭素-炭素二重結合、-O-又は-S-で置き換わっている場合もあり、
R61は、隣接するR61同士で環を形成している場合もあり、
c2は0~4の数を表し、
c3は0~8の数を表し、
c4は0~4の数を表し、
c5は0~4の数を表し、
c4とc5の数の合計は2~4であり、
*は、結合箇所を表す。)
【0076】
【0077】
(上記一般式(2)中、Y11は、三価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
Z1、Z2及びZ3は、それぞれ独立に、直接結合、-O-、-S-、>CO、-CO-O-、-O-CO-、-SO2-、-SS-、-SO-、>NR62、PR62、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R62は、水素原子、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
Y11、Z1、Z2、Z3及びR62に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基中のメチレン基は、炭素一炭素二重結合、-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-又は-SO2-で置き換わっている場合もあり、
*は、結合箇所を表す。)
【0078】
【0079】
(上記一般式(3)中、Y12は、炭素原子又は四価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
Y12に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基中のメチレン基は、-COO-、-O-、-OCO-、-NHCO-、-NH-又は-CONH-で置き換わっている場合もあり、
Z1~Z4は、それぞれ独立に、上記一般式(2)におけるZ1~Z3で表される基と同じ範囲の基であり、
*は、結合箇所を表す。)
【0080】
【0081】
(上記一般式(4)中、Y13は、五価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
Y13に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基中のメチレン基は、-COO-、-O-、-OCO-、-NHCO-、-NH-又は-CONH-で置き換わっている場合もあり、
Z1~Z5は、それぞれ独立に、上記一般式(2)におけるZ1~Z3で表される基と同じ範囲の基であり、
*は、結合箇所を表す。)
【0082】
【0083】
(上記一般式(5)中、Y14は、単結合、六価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
Y14に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基中のメチレン基は、-COO-、-O-、-OCO-、-NHCO-、-NH-又は-CONH-で置き換わっている場合もあり、
Z1~Z6は、それぞれ独立に、上記一般式(2)におけるZ1~Z3で表される基と同じ範囲の基であり、
*は、結合箇所を表す。)
【0084】
上記一般式(1)においてY1に用いられる二価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基としては、上記Xに用いられるnが1である場合の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族から水素原子が1つ外れた構造とすることができる。
上記二価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基としては、より具体的には、メタン、エタン、プロパン、iso-プロパン、ブタン、sec-ブタン、tert-ブタン、iso-ブタン、ヘキサン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、ヘプタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、iso-ヘプタン、tert-ヘプタン、1-メチルオクタン、iso-オクタン、tert-オクタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、2,4-ジメチルシクロブタン、4-メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、アダマンタン、ノルボルネン等の脂肪族化合物の2つの水素原子が、Z1及びZ2で置換された二価の基が挙げられる。
これらの基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合がある。
【0085】
上記一般式(1)において、Y1に用いられる二価の置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基としては、上記Xに用いられるnが1である場合の置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基から水素原子が1つ外れた構造とすることができる。
上記二価の置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基としては、より具体的には、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル等の芳香族炭化水素環含有化合物が、Z1及びZ2で置換された二価の基等が挙げられる。
【0086】
上記一般式(1)において、Y1に用いられる二価の置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、上記Xに用いられるnが1である場合の置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基から水素原子が1つ外れた構造とすることができる。
上記二価の置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、より具体的には、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ヘキサヒドロトリアジン、フラン、テトラヒドロフラン、クロマン、キサンテン、チオフェン、チオラン等の複素環含有化合物が、Z1及びZ2で置換された二価の基が挙げられる。
【0087】
上記一般式(1)において、Y1で用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基の水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は炭素原子数1~8のアルコキシ基で置換されている場合がある。
【0088】
上記一般式(1)において、R57及びR58に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基は、上述したR53及びR54として例示した内容と同様とすることができる。
【0089】
上記一般式(1)において、Z1及びZ2は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
【0090】
上記一般式(1-1)において、R59で用いられる炭素原子数3~10のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへブチル基、シクロオクチル基等及びこれらの基が炭素原子数1~10のアルキル基若しくは炭素原子数1~10のアルコキシ基で置換された基等が挙げられる。
【0091】
上記一般式(1-1)において、R60に用いられる炭素原子数1~10のアルキル基及び炭素原子数1~10のアルコキシ基としては、上記R101等として例示した内容のうち、所定の炭素原子数を満たすものが挙げられる。
上記一般式(1-1)で表される基における、R60に用いられる炭素原子数2~10のアルケニル基としては、上記R101等として例示したもののうち、所定の炭素原子数を満たすものを挙げることができる。
上記R60におけるアルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲン原子で置換されている場合もあり、その置換位置は制限されない。
なお、上記フェニル基、シクロアルキル基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基等の各官能基は、置換基を有している場合があるものであり、特に断りがない限り、置換基を有していない無置換である又は置換基を有しているものである。
このようなフェニル基、シクロアルキル基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基等の水素原子を置換する置換基としては、R101等に用いられる脂肪族基等の水素原子を置換する置換基と同様の内容とすることができる。
【0092】
上記一般式(1-3)において、R61及びR62で用いられる炭素原子数1~10のアルキル基、炭索原子数6~20のアリール基、炭素原子数7~20のアリールアルキル基としては、上記R101等として例示した内容のうち、所定の炭素原子数を満たすものが挙げられる。
上記一般式(1-3)において、R61及びR62で用いられる炭素原子数6~20のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、2-メチルフェニルオキシ、3-メチルフェニルオキシ、4-メチルフェニルオキシ、4-ビニルフェニル二オキシ、3-iso-プロピルフェニルオキシ、4-iso-プロピルフェニルオキシ、4-ブチルフェニルオキシ、4-tert-ブチルフェニルオキシ、4-へキシルフェニルオキシ、4-シクロヘキシルフェニルオキシ、4-オクチルフェニルオキシ、4-(2-エチルヘキシル)フェニルオキシ、2,3-ジメチルフェニルオキシ、2,4-ジメチルフェニルオキシ、2,5-ジメチルフェニルオキシ、2.6-ジメチルフェニルオキシ、3.4-ジメチルフェニルオキシ、3.5-ジメチルフェニルオキシ、2,4-ジーtert-ブチルフェニルオキシ、2,5-ジーtert-ブチルフェニルオキシ、2,6-ジーtert-ブチルフェニルオキシ、2.4-ジーtert-ペンチルフェニルオキシ、2,5-tert-アミルフェニルオキシ、4-シクロへキシルフェニルオキシ、2,4,5-トリメチルフェニルオキシ、フェロセニルオキシ等の基及びこれらの基がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0093】
上記一般式(1-3)において、R61及びR62で用いられる炭素原子数6~20のアリールチオ基としては、上記ハロゲン原子で置換されている場合もある炭素原子数6~20のアリールオキシ基の酸素原子を硫黄原子に置換した基等が挙げられる。
【0094】
上記一般式(1-3)において、R61及びR62で用いられる炭素原子数8~20のアリールアルケニル基としては、上記ハロゲン原子で置換されている場合もある炭素原子数6-20のアリールオキシ基の酸素原子をビニル、アリル、1-プロペニル、イソプロペニル、2-ブテニル、1,3-ブタジエニル、2-ペンテニル、2-オクテニル等のアルケニル基で置換した基等が挙げられる。
【0095】
上記一般式(1-3)において、R61及びR62で用いられる炭素原子数2~20の複素環含有基としては、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ヘキサヒドロトリアジン、フラン、テトラヒドロフラン、クロマン、キサンテン、チオフェン、チオフラン等の基及びこれらの基がハロゲン原子で置換された基等が挙げられる。
なお、上記アルキル基、アリールアルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルケニル基、複素環含有基等の各官能基は、置換基を有している場合があるものであり、特に断りがない限り、置換基を有していない無置換である又は置換基を有しているものである。
このようなアルキル基、アリールアルキル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルケニル基、複素環含有基等の水素原子を置換する置換基としては、R101等に用いられる脂肪族基等の水素原子を置換する置換基と同様の内容とすることができる。
【0096】
上記一般式(2)において、Y11に用いられる三価の炭素原子数3~35の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~35の芳香環含有炭化水素基及び炭素原子数2~35の複素環含有基としては、上記Xに用いられるnが1である場合の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基から水素原子が2つ外れた構造とすることができる。
上記Y11に用いられる脂肪族基、芳香族炭化水素環含有基及び複素環含有基としては、より具体的には、それぞれ独立に、上記一般式(1)におけるY1の説明で例示した脂肪族化合物、芳香族炭化水素環含有化合物及び複素環含有化合物が、それぞれZ1、Z2及びZ3で置換された三価の基が挙げられる。
これらの基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合がある。
【0097】
上記一般式(2)において、Z1、Z2及びZ3に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、二価のものであればよく、例えば、nが2である場合のXに用いられる、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基として列記したものと同様とすることができる。
上記一般式(2)において、Z1、Z2及びZ3は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
【0098】
上記一般式(3)において、Y12に用いられる四価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、上記Xに用いられるnが1である場合の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基から水素原子が3つ外れた構造とすることができる。
上記Y12に用いられる脂肪族基、芳香族炭化水素環含有基及び複素環含有基としては、より具体的には、それぞれ独立に、上記一般式(1)におけるY1の説明で例示した脂肪族化合物、芳香族炭化水素環含有化合物及び複素環含有化合物が、それぞれZ1、Z2、Z3及びZ4で置換された四価の基が挙げられる。
これらの基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合がある。
【0099】
上記一般式(3)において、Z1、Z2、Z3及びZ4は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
【0100】
上記一般式(4)において、Y13に用いられる五価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、上記Xに用いられるnが1である場合の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基から水素原子が4つ外れた構造とすることができる。
上記Y13に用いられる脂肪族基、芳香族炭化水素環含有基及び複素環含有基としては、より具体的には、それぞれ独立に、上記一般式(1)におけるY1の説明で例示した脂肪族化合物、芳香族炭化水素環含有化合物及び複素環含有化合物が、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5で置換された五価の基が挙げられる。
これらの基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合がある。
【0101】
上記一般式(4)において、Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
【0102】
上記一般式(5)において、Y14に用いられる六価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、それぞれ独立に、上記Xに用いられるnが1である場合の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基から水素原子が5つ外れた構造とすることができる。
上記Y14に用いられる脂肪族基、芳香族炭化水素環含有基及び複素環含有基としては、より具体的には、それぞれ独立に、上記一般式(1)におけるY1の説明で例示した脂肪族化合物、芳香族炭化水素環含有化合物及び複素環含有化合物が、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6で置換された六価の基が挙げられる。
これらの基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合がある。
【0103】
上記一般式(5)において、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5及びZ6は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
【0104】
本開示において、上記Xは、(1)nが2のとき、下記一般式(101)若しくは(102)で表される置換基又は下記群1から選ばれる基、(2)nが3のとき、下記群2から選ばれる基、(3)nが4のとき、下記群3から選ばれる基、(4)nが5のとき、下記群4から選ばれる基、(5)nが6のとき、下記群5から選ばれる基、であることが、原料の入手や製造が容易であるため好ましい。
【0105】
【0106】
(式中、Y111及びY115は、それぞれ独立に、置換基を有している場合もある炭素原子数1~8の脂肪族基を表し、
Y112及びY114は、それぞれ独立に、-O-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-NR213-、-CO-NR213-又は-NR213-CO-で表される基を表し、
R213は、水素原子又は置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基を表し、
Y113は、-CR214R215-、-NR216-、二価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は下記一般式(103)で表される置換基を表し、
R214及びR215は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基又は炭素原子数7~20のアリールアルキル基を表し、
R216は、水素原子、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
Y111、Y115、R13、Y113及びR216に用いられる脂肪族基、芳香族炭化水素環含有基及び複素環含有基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、-COO-、-O-、-OCO-、-NHCO-、-NH-又は-CONH-で置き換わっている場合があり、
*は、結合箇所を表す。)
【0107】
【0108】
(式中、Y116及びY118は、それぞれ独立に、-NR217-又はメチレン基が酸素原子で置き換わっている場合もある炭素原子数1~8の脂肪族基を表し、
Y117は、直接結合、-O-、-S-、-SO2-、-CR218R219-又は上述の(1-1)、(1-2)若しくは(1-3)で表されるいずれかの置換基を表し、
R217は、水素原子又は置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基を表し、
R218及びR219は、それぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子で置換されている場合もある炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
*は、結合箇所を表す。)
【0109】
【0110】
(式中、R31は、水素原子、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
*は、結合箇所を表す。)
【0111】
【化18】
(式中、Y
119及びY
120は、それぞれ独立に、置換基を有している場合もある炭素原子数1~8の脂肪族基を表し、
*は、結合箇所を表す。)
【0112】
【0113】
(式中、R32は、上記一般式(1)におけるR57と同じ基であり、基中に二つ以上ある場合、同じである場合も異なる場合もあり、Z11は上記一般式(2)におけるZ1~Z3で表される基と同じ範囲の基を表し、
*は、結合箇所を表す。)
【0114】
【0115】
(式中、R32は、上記一般式(1)におけるR57と同じ基であり、基中に二つ以上ある場合、同じである場合も異なる場合もあり、Z11は上記一般式(2)におけるZ1~Z3で表される基と同じ範囲の基を表し、
*は、結合箇所を表す。)
【0116】
【0117】
(式中、Z10、Z11、Z12、Z13及びZ14は上記一般式(2)におけるZ1~Z3で表される基と同じ範囲の基を表し、
*は、結合箇所を表す。)
【0118】
【0119】
(上記式中、Z10、Z11、Z12、Z13、Z14及びZ15は上記一般式(2)におけるZ1~Z3で表される基と同じ範囲の基を表し、
*は、結合箇所を表す。)
【0120】
なお、Y111、Y115、Y116、Y118、Y119及びY120に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~8の脂肪族基としては、Y1等に用いられる2価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基として例示した内容のうち、所定の炭素原子数を満たすものが挙げられる。
上記式(101)において、Y111及びY115は、同一であっても、異なるものであってもよい。
上記式(102)におけるY116及びY118も、上記式(103)におけるY119及びY120も、同様に、同一であっても、異なるものであってもよい。
Y113に用いられる、二価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基としては、Y1等に用いられる二価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基と同様の内容とすることができる。
R213、R216、R217及びR31に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基としては、R53及びR54等に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基と同様の内容とすることができる。
R214、R215、R218及びR219に用いられる炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数6~20のアリール基及び炭素原子数7~20のアリールアルキル基としては、R101等に用いられる炭素原子数1~40のアルキル基、炭素原子数6~35のアリール基及び炭素原子数7~35のアリールアルキル基のうち所定の炭素原子数を満たすものと同様の内容とすることができる。
上記群2及び群3の各式中に含まれる複数のZ11同士、上記群4の各式中に含まれるZ10~14及び上記群5の各式中に含まれるZ10~Z15は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
【0121】
上記化合物Aのなかでも、保護基R102が脱離することにより、酸化防止能が発現する潜在性酸化防止剤として用いることが容易であるとの観点からは、下記一般式(A1)で表される化合物(以下、化合物A1と称する場合がある。)を好ましく用いることができる。
上記組成物は、上記化合物A1を含むことにより、例えば、耐熱性により優れたものとなる。
【0122】
【0123】
(式中、R102は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基を表し、
R12及びR13は、水素原子又は置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基を表し、
R14は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R102、R12、R13及びR14に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基並びにR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、炭素-炭素二重結合、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-若しくは-SO2-から選ばれた基又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合があり、
R’は、水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
複数のR14同士は、それぞれ結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成している場合もあり、
複数のR14は、それぞれ同じである場合も異なっている場合もあり、
n1は、1~10の整数を表し、
a1は、0~2の整数を表し、
Xaは、n1価の基を表す。)
【0124】
上記R102、R12、R13及びR14に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基、R102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基並びにR’に用いられるアルキル基としては、上記一般式(A)中に用いられるR101及びR’として例示した内容のうち、所定の炭素原子数を満たすものを挙げることができる。
【0125】
上記R102は、フェノール性水酸基を保護するものである。
このような一般式(A1)中のR102としては、上記一般式(A)中のR102と同様とすることができる。
【0126】
上記R12及びR13は、水素原子、置換基を有している場合もある炭素原子数1~10の脂肪族基であることが好ましく、なかでも、置換基を有していない無置換の炭素原子数1~10のアルキル基であることが好ましく、特に、-C4H9で表される炭素原子数4のアルキル基であることが好ましく、なかでも特にtert-ブチル基であることが好ましい。
上記R12及びR13は、少なくとも一方が、炭素原子数1~40のアルキル基であることが好ましく、なかでも、R12及びR13の両者が、炭素原子数1~40のアルキル基であることが好ましい。
上記R12及びR13の両者は、例えば、tert-ブチル基等の置換基を有していない無置換の炭素原子数1~10のアルキル基であることが好ましい。
上記R12及びR13が上述の基であることで、上記化合物A1は、保護基R102の脱離前後で、酸化防止能の変化が大きいものとなるからである。また、上記化合物A1は、硬化阻害の発生が抑制できるからである。さらに、合成が容易となるからである。
【0127】
上記R14としては、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基であることが好ましい。
上記R14が上述の基であることで、上記化合物A1は、保護基R102の脱離前後で、酸化防止能の変化が大きいものとなるからである。また、上記化合物A1は、硬化阻害の発生が抑制できるからである。さらに、合成が容易となるからである。
【0128】
上記n1は、1~10の整数であるが、このようなn1については、上記nと同様とすることができる。耐熱性に優れた硬化物を得ることが容易となるからである。
【0129】
上記a1は、0~2の整数であるが、合成の容易さの観点から、0~1であることが好ましく、0であることが好ましい。
【0130】
上記Xa基は、n1価の基を表すものである。
このようなXa基としては、上記X基と同様の内容とすることができる。
本開示においては、n1が2である場合、Xa基は、上記一般式(101)で表される基であることが好ましい。
上記一般式(101)中、Y111は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~3の脂肪族基であることが好ましく、なかでも、無置換の炭素原子数1~3のアルキレン基であることが好ましい。
上記一般式(101)中、Y112及びY114は、-O-であることが好ましい。
上記一般式(101)中、Y113は、一般式(103)で表される基であることが好ましい。
上記一般式(103)中、Y119及びY120は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~5の脂肪族基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数2~5の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましい。
本開示においては、n1が2である場合、Xa基は、上記一般式(102)で表される基も好ましく用いることができる。
上記一般式(102)中、Y117は、-CR18R19-であることが好ましく、なかでも、R18及びR19が水素原子又は炭素原子数1~4の脂肪族基であることが好ましく、R18が水素原子で、R19が、炭素原子数1~4の脂肪族基であることが好ましい。
本開示においては、n1が3である場合、Xa基は、群2中の(II-2)、(II-3)、(II-6)で表される基であることが好ましい。
一般式(II-2)、(II-3)及び(II-6)中、Z11は、直接結合又は置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基であることが好ましく、直接結合又は無置換の炭素原子数1~5のアルキレン基であることが好ましい。
一般式(II-2)、(II-3)及び(II-6)中、各式に含まれる複数のZ11は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
なかでも本開示においては、一般式(II-2)中の3つのZ11のうち、少なくとも1つが直接結合であり、少なくとも1つが無置換の炭素原子数1~5のアルキレン基であることが好ましい。また、一般式(II-3)及び(II-6)中、Z11の全てが、無置換の炭素原子数1~5のアルキル基であることが好ましい。
一般式(II-2)中、R32は、水素原子又は置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基であることが好ましく、なかでも、水素原子又は置換基を有している場合もある炭素原子数1~5の脂肪族基であることが好ましく、特に、水素原子であることが好ましい。
本開示においては、nが4である場合、Xa基は、群3中の(III-1)で表される基であることが好ましい。一般式(III-1)中、Z11は、置換基を有している場合があり、メチレン基が炭素一炭素二重結合、-O-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-又は-SO2-で置き換わっている場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基であることが好ましく、メチレン基が、-O-CO-又は-CO-O-で置き換わっている炭素原子数1~5のアルキレン基であることが好ましい。
本開示においては、nが1である場合、Xa基は、水素原子又はR14と同様の基であることが好ましい。
Xa基が上述の基であることで、上記化合物A1は、保護基R102の脱離後に、安定的に酸化防止能を発揮可能となるからである。
【0131】
上記Xa基のベンゼン環との結合位置は、ベンゼン環内の結合し得るいずれの位置であってもよいが、例えば、上記R102-O-の結合位置に対して、パラ位であることが好ましい。
上記結合位置が上述の位置であることで、上記化合物A1は、保護基R102の脱離前後で、酸化防止能の変化が大きいものとなるからである。
【0132】
化合物A1の具体例としては、具体的には、国際公開第2014/021023号に具体的に記載された化合物等を挙げることができる。
【0133】
上記化合物A1の製造方法は、所望の構造を得ることができる方法であれば特に限定されないが、例えば、国際公開第2014/021023号に記載の方法と同様の方法とすることができる。
上記化合物A1において、R102が、(C-1)~(C-10)等である場合の具体例としては、下記に表される化合物が挙げられる。
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
上記一般式(A)で表される化合物のなかでも、保護基R102が脱離することにより、紫外線吸収能が発現する潜在性紫外線吸収剤として用いることが容易であるとの観点からは、下記一般式(B1)、(B2)又は(B3)で表される化合物(以下、それぞれ、化合物B1、化合物B2及び化合物B3と称する場合がある。)を好ましく用いることができる。
上記組成物は、上記化合物B1~B3を含むことにより、例えば、耐光性により優れたものとなる。
【0150】
【0151】
(式中、R1-1及びR1-2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基又は-O-R102を表し、
R1-1及びR1-2の少なくとも一方は、上記-O-R102であり、
R3及びR4は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R102は、それぞれ独立に、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基を表し、
複数のR3同士及び複数のR4同士は、それぞれ結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成している場合もあり、
複数のR3及びR4は、それぞれ同じである場合も異なっている場合もあり、
R1-1、R1-2、R3、R4及びR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基並びにR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、炭素-炭素二重結合、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-若しくは-SO2-から選ばれた基又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合があり、
R’は、水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
m1は、1~10の整数を表し、
b1は、0~4の整数を表し、
b2は、0~2の整数を表し、
Xb1は、m1価の基を表す。)
【0152】
【0153】
(式中、R2-1及びR2-2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基又は-O-R102を表し、
R2-1及びR2-2の少なくとも一方は、上記-O-R102であり、
R5及びR6は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R102は、それぞれ独立に、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基を表し、
複数のR5同士及び複数のR6同士は、それぞれ結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成している場合もあり、
複数のR5及びR6は、それぞれ同じである場合も異なっている場合もあり、
R2-1、R2-2、R5、R6及びR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基並びにR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、炭素-炭素二重結合、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-若しくは-SO2-から選ばれた基又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合があり、
R’は、水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
m2は、1~10の整数を表し、
b3は、0~4の整数を表し、
b4は、0~3の整数を表し、
Xb2は、m2価の基を表す。)
【0154】
【0155】
(式中、R3-1、R3-2、R3-3及びR3-4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基又は-O-R102を表し、
R3-1及びR3-2の少なくとも一方は、上記-O-R102であり、
R3-3及びR3-4の少なくとも一方は、上記-O-R102であり、
R7、R8及びR9は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基を表し、
R102は、それぞれ独立に、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基を表し、
複数のR7同士及び複数のR8同士は、それぞれ結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成している場合もあり、
複数のR7及びR8は、それぞれ同じである場合も異なっている場合もあり、
R3-1、R3-2、R3-3、R3-4、R7、R8、R9及びR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基並びにR102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基中のメチレン基の1つ又は2つ以上は、炭素-炭素二重結合、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CO-O-、-S-CO-、-CO-S-、-S-CO-O-、-O-CO-S-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-NR’-、-S-S-若しくは-SO2-から選ばれた基又はこれらの基が隣り合わない条件で組み合わせた基で置き換えられている場合があり、
R’は、水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基を表し、
m3は、1~10の整数を表し、
m31は、1の整数を表し、
m32は、0~2の整数を表し、
m31及びm32の合計は、1~3の整数を表し、
b5は、0~2の整数を表し、
b6は、0~3の整数を表し、
b7は、0~[3-(m31+m32)]の整数を表し、
Xb3は、m3価の基を表す。)
【0156】
上記R1-1、R1-2、R2-1、R2-2、R3-1、R3-2、R3-3及びR3-4、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR102(以下、これらの官能基をまとめてR1等と称する場合がある。)に用いられる、ハロゲン原子、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基及び置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基、R102に用いられる置換基を有している場合もある炭素原子数0~40のシリル基並びにR’に用いられるアルキル基としては、上記一般式(A)中に用いられるR101、R102及びR’として例示した内容のうち、所定の炭素原子数を満たすものを挙げることができる。
【0157】
一般式(B1)において、上記R1-1及びR1-2は、少なくとも一方が、上記-O-R102である。
上記R1-1及びR1-2は、合成容易の観点からは、一方が、上記-O-R102であることが好ましい。
上記R1-1及びR1-2は、紫外線吸収能の変化を大きいものとする観点からは、R1-1及びR1-2の両者が-O-R102であることが好ましい。
上記R1-1及びR1-2は、一方のみが-O-R102である場合、他方は水素原子、水酸基、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基又は置換基を有している場合もある炭素原子数2~35の複素環含有基であることが好ましく、なかでも水素原子、置換基を有している場合もある炭素原子数1~5の脂肪族基であることが好ましく、特に、水素原子、置換基を有している場合もある炭素原子数1~5のアルキル基であることが好ましく、なかでも特に、水素原子、置換基を有していない無置換の炭素原子数1~5のアルキル基であることが好ましい。上記R1-1及びR1-2の他方が、上記官能基であることで、上記化合物B1は、保護基R102の脱離前後で、紫外線吸収能の変化が大きいものとなるからである。また、上記化合物B1は、硬化阻害の発生が抑制できるからである。
一般式(B2)において、上記R2-1及びR2-2は、少なくとも一方が、上記-O-R102である。
また、一般式(B3)において、上記R3-1及びR3-2は、少なくとも一方が、上記-O-R102であり、上記R3-3及びR3-4は、少なくとも一方が、上記-O-R102である。
このような、R2-1及びR2-2、R3-1及びR3-2並びにR3-3及びR3-4の内容については、上記R1及びR2と同様とすることができる。
【0158】
上記R102は、フェノール性水酸基を保護するものである。
このような一般式(B1)~(B3)中のR102としては、上記一般式(A)中のR102と同様とすることができる。
【0159】
上記R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、ハロゲン原子、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数1~40のアルキル基、水素原子を置換する置換基としてエチレン性不飽和基を有する炭素原子数1~40のアルキル基、端部のメチレン基が-O-で置き換えられた炭素原子数1~40のアルキル基(炭素原子数1~40のアルコキシ基)、メチレン基の1つ又は2つ以上が-O-CO-で置き換えられた炭素原子数1~40のアルキル基、又は端部のメチレン基が-O-で置き換えられ、かつ、鎖中のメチレン基が-O-CO-で置き換えられた炭素原子数1~40のアルキル基(炭素原子数1~39のアルコキシ基)であることが好ましく、特に、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、水素原子を置換する置換基としてエチレン性不飽和基を少なくとも有する炭素原子数1~10のアルコキシ基、メチレン基が-O-CO-で置き換えられた炭素原子数1~10のアルキル基、又はメチレン基が-O-CO-で置き換えられた炭素原子数1~10のアルコキシ基であることが好ましい。
上記R4は、なかでも、炭素原子数1~10のアルキル基であることが好ましく、なかでも、炭素原子数4~10のアルキル基であることが好ましい。
上記R5は、なかでも、端部のメチレン基が-O-で置き換えられた炭素原子数1~40のアルキル基(炭素原子数1~40のアルコキシ基)であることが好ましく、特に、端部のメチレン基が-O-で置き換えられた炭素原子数1~10のアルキル基(炭素原子数1~10のアルコキシ基)であることが好ましく、特に、端部のメチレン基が-O-で置き換えられた炭素原子数1~5のアルキル基(炭素原子数1~5のアルコキシ基)であることが好ましい。
上記R7及びR8は、なかでも、炭素原子数1~40のアルキル基、端部のメチレン基が-O-で置き換えられた炭素原子数1~40のアルキル基(炭素原子数1~40のアルコキシ基)、端部のメチレン基が-O-で置き換えられ、かつ、鎖中のメチレン基が-O-CO-で置き換えられた炭素原子数1~40のアルキル基(炭素原子数1~39のアルコキシ基)であることが好ましく、特に、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換基としてエチレン性不飽和基を少なくとも有する炭素原子数1~10のアルコキシ基、メチレン基が-O-CO-で置き換えられた炭素原子数1~20のアルコキシ基であることが好ましく、なかでも特に、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数5~15のアルコキシ基、置換基としてエチレン性不飽和基を少なくとも有する炭素原子数1~5のアルコキシ基、メチレン基が-O-CO-で置き換えられた炭素原子数5~15のアルコキシ基であることが好ましい。
上記R9は、置換基を有している場合もある炭素原子数6~35の芳香族炭化水素環含有基であることが好ましく、なかでも、フェニル基等の置換基を有している場合もある炭素原子数6~12の芳香族炭化水素環含有基であることが好ましい。
上記R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9が、上述の基であることで、上記化合物B1~B3は、保護基R102の脱離前後で、紫外線吸収能の変化が大きいものとなるからである。また、上記化合物B1~B3は、硬化阻害の発生が抑制できるからである。さらに、合成が容易となるからである。
【0160】
上記b1は、0~4の整数であるが、合成の容易さの観点からは、それぞれ独立に、0~3の整数であることが好ましく、なかでも、0~2の整数であることが好ましく、特に、0~1であることが好ましい。
上記b2は、0~2の整数であるが、溶解性の観点から、1~2であることが好ましい。
上記b3は、0~4の整数であるが、合成の容易さの観点からは、それぞれ独立に、0~3の整数であることが好ましく、なかでも、0~2の整数であることが好ましく、特に、0~1であることが好ましい。
上記b4は、0~3の整数であるが、合成の容易さの観点から、0~2の整数であることが好ましく、なかでも1~2であることが好ましい。
上記b5は、0~2の整数であるが、合成の容易さの観点から、1~2の整数であることが特に好ましい。
上記b6は、0~3の整数であるが、合成の容易さの観点から、0~1の整数であることが好ましく、0であることが好ましい。
上記b7は、0~[3-(m31+m32)]の整数を表すが、合成の容易さの観点から、0~1の整数であることが好ましく、0であることが好ましい。
【0161】
上記m1は、1~10の整数であるが、耐光性に優れた硬化物を得るとの観点からは、2以上であることが好ましく、なかでも、2~6の整数であることが好ましく、特に、2~4の整数であることが好ましい。
上記m2は、1~10の整数であるが、耐光性に優れた硬化物を得るとの観点からは、1~5の整数であることが好ましく、特に、1~2の整数であることが好ましい。
上記m3は、1~10の整数であるが、耐光性に優れた硬化物を得るとの観点からは、1~5の整数であることが好ましく、特に、1~2の整数であることが好ましい。
上記m31は、1の整数を表し、m32は、0~2の整数を表し、m31及びm32の合計は、1~3の整数を表す。
化合物Bの潜在性解除前後で紫外線吸収能の変化が大きいものとなる観点から、上記m31及びm32の合計は2~3の整数であることが好ましく、3であることが特に好ましい。
【0162】
上記一般式(B1)、(B2)及び(B3)で表される化合物B1~化合物B3は、Xb1、Xb2及びXb3(以下、これらをまとめてXbと称する場合がある。)で表されるm1価、m2価又はm3価(以下、m価と称する場合がある。)の基に、m1個、m2個又はm3個(以下、m個と称する場合がある。)の特定の基が結合した構造を有する。このm個の特定の基は、互いに同じであるか又は異なる。
【0163】
上記Xbは、m価の基を表すものである。
このようなXb基としては、上記X基と同様の内容とすることができる。
【0164】
上記Xb基は、mが2である場合、置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基を好ましく用いることができる。
なかでも本開示においては、無置換の炭素原子数1~10のアルキレン基であることが好ましく、特に、無置換の炭素原子数1~5のアルキレン基であることが好ましい。
また、上記Xb基は、mが2である場合、上記一般式(101)で表される基も好ましく用いることができる。
上記一般式(101)中、Y111及びY115は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~4の脂肪族基であることが好ましく、なかでも、無置換の炭素原子数1~4のアルキレン基であることが好ましい。
また、Y111及びY115は、置換基を有している場合もある炭素原子数1~8の脂肪族基の結合箇所側端部のメチレン基が、-COO-、-O-、-OCO-、-NHCO-、-NH-又は-CONH-で置き換わっていることが好ましく、なかでも、-O-で置き換わっていることが好ましい。
上記一般式(101)中、Y112及びY113は、-CO-、-CO-O-、-O-CO-で表される基であることが好ましく、なかでも-CO-O-、-O-CO-で表される基であることが好ましい。
上記一般式(101)中、Y113は、二価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~40の脂肪族基であることが好ましく、なかでも、二価の置換基を有している場合もある炭素原子数1~20の脂肪族基であることが好ましく、特に、二価の無置換の炭素原子数4~15のアルキレン基であることが好ましい。また、Y113は、炭素原子数1~40の脂肪族基である場合、直鎖又は分岐のアルキレン基のいずれも用いることができるが、なかでも、分岐のアルキレン基であることが好ましい。
本開示においては、上記Xb1は、m1=1のとき、水素原子又はR4と同様の基であることが好ましい。
上記Xb2は、m2=1のとき、水素原子又はR6と同様の基であることが好ましい。
上記Xb3は、m3=1のとき、水素原子又はR7と同様の基であることが好ましい。
Xb基が上述の基であることで、上記化合物B1~B3は、保護基R102の脱離後に、安定的に紫外線吸収能を発揮可能となるからである。
【0165】
上記Xb基のベンゼン環との結合位置としては、ベンゼン環内の結合し得るいずれの位置であってもよいが、例えば、-O-R102の結合位置に対して、オルト位又はメタ位であることが好ましい。
【0166】
上記化合物B1~B3の具体例としては、具体的には、国際公開第2014/021023号に具体的に記載された化合物等を挙げることができる。
【0167】
上記化合物B3については、下記で表される化合物等も挙げることができる。
【0168】
【0169】
上記化合物B1~B3において、R102が、(C-1)~(C-10)等である場合の具体例としては、下記に表される化合物が挙げられる。
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
上記化合物B1~B3の製造方法は、所望の構造を得ることができる方法であれば特に限定されないが、例えば、国際公開第2014/021023号に記載の方法と同様の方法とすることができる。
【0175】
(3)化合物A
上記化合物の分子量としては、潜在性添加剤としての機能を発現可能なものであればよく、例えば、200以上3000以下であることが好ましく、なかでも、500以上2000以下であることが好ましい。上記分子量が上述の範囲であることで、分散安定性に優れたものとなるからである。
【0176】
上記化合物Aの種類としては、組成物中に1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。上記組成物は、例えば、2種類以上5種類以下の化合物Aを含むことができる。
例えば、上記化合物Aとして、上記化合物A1と、化合物B1~B3と、を組み合わせて用いてもよい。この場合、紫外線吸収能及び酸化防止能の両者に優れた硬化物を得ることが容易となる。
【0177】
上記化合物Aの含有量としては、硬化物に所望の耐久性を付与できるものであればよく、添加する化合物Aの種類等に応じて適宜設定されるものである。
上記化合物Aの含有量としては、例えば、上記組成物の固形分100質量部に中に、0.01質量部以上20質量部以下とすることができ、0.05質量部以上10質量部以下であることが好ましく、なかでも、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、上記組成物は、紫外線吸収能、酸化防止能等に優れ、耐久性に優れた硬化物を安定的に形成できるものとなるからである。
なお、固形分とは、溶剤以外のすべての成分を含むものである。
上記化合物Aの含有量は、溶剤等の含有量によって異なるものであるが、例えば、組成物100質量部中に、0.001質量部以上20質量部以下とすることができ、なかでも、0.005質量部以上10質量部以下であることが好ましい。耐久性に優れた硬化物を安定的に形成できるものとなるからである。
上記化合物Aの含有量としては、上記化合物A及び硬化性成分の合計100質量部に中に、0.01質量部以上20質量部以下とすることができ、0.05質量部以上15質量部以下であることが好ましく、なかでも、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、上記組成物は、紫外線吸収能、酸化防止能等に優れ、耐久性に優れた硬化物を安定的に形成できるものとなるからである。
【0178】
2.硬化性成分
上記硬化性成分としては、耐久性に優れた硬化物を形成可能なものであればよく、光硬化性成分及び熱硬化性成分の少なくとも一方を用いることができる。
本開示においては、パターニングが容易となる観点から、光硬化性成分を含むことが好ましく、さらに、耐久性に優れたものとなる観点からは、光硬化性成分及び熱硬化性成分の両者を含むことが好ましい。
【0179】
(1)光硬化性成分
上記光硬化性成分としては、光ラジカル開始剤により硬化するラジカル重合性化合物からなるものとすることができる。
上記ラジカル重合性化合物としては、アクリル基、メタクリル基、ビニル基等のエチレン性不飽和結合を分子内に1つ以上有する化合物を挙げることができる。
上記ラジカル重合性化合物は、カルボキシル基を有する化合物であってもよく、カルボキシル基を有しない化合物であってもよい。
上記組成物は、パターニングが容易となる観点からは、カルボキシル基を有する化合物を含むことが好ましい。
【0180】
(a)カルボキシル基を有する化合物
カルボキシル基を有する化合物としては、カルボキシル基と、エチレン性不飽和基を有し、所望のアルカリ現像性を付与できるものであればよい。
上記カルボキシル基を有する化合物としては、具体的には、以下の(1-1)~(1-7)で示されるカルボキシル基含有樹脂を好ましく用いることができる。
(1)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物のエポキシ基と不飽和カルボン酸のカルボキシル基をエステル化反応(全エステル化又は部分エステル化、好ましくは全エステル化)させ、生成した水酸基にさらに飽和又は不飽和の多塩基酸又は多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(2)不飽和基含有化合物と1分子中に1つの環状エーテル基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる共重合体に不飽和カルボン酸を反応させた後、さらに飽和又は不飽和の多塩基酸又は多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3)1分子中に水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と不飽和基含有化合物と1分子中に1つの環状エーテル基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物との共重合体に不飽和カルボン酸を反応させた後、さらに飽和又は不飽和の多塩基酸又は多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(4)不飽和基含有化合物と不飽和カルボン酸との共重合体に1分子中に水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を部分的に反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(5)無水マレイン酸等の不飽和多塩基酸無水物とスチレン等のビニル基を有する芳香族炭化水素との共重合体に、1分子中に水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(6)1分子中に少なくとも2個のオキセタン環を有する多官能オキセタン化合物に不飽和カルボン酸を反応させ、得られた変性オキセタン樹脂中の一級水酸基に対して飽和又は不飽和の多塩基酸又は多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドとの反応生成物に不飽和カルボン酸を反応させ、得られた反応生成物に飽和又は不飽和の多塩基酸又は多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0181】
上記多官能エポキシ化合物としては、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するものであればよい。
上記多官能エポキシ化合物としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε - カプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA 型、ビスフェノールF 型、ビスフェノールA D 型等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、о - クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA ノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
また、これらの樹脂にBr、Cl等のハロゲン原子を導入したものも使用可能である。
これらの多官能エポキシ化合物は単独で使用してもよく、また2 種以上を混合して使用してもよい。
【0182】
上記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸を挙げることができ、なかでも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸との反応方法は特に限定されず、例えば、多官能エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とを適当な溶剤中で加熱することにより反応させることができる。
【0183】
上記多塩基酸又はその無水物としては、多飽和、不飽和のいずれも使用可能である。
上記多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3 - メチルテトラヒドロフタル酸、4 - メチルテトラヒドロフタル酸、3 - エチルテトラヒドロフタル酸、4 - エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3 - メチルヘキサヒドロフタル酸、4 - メチルヘキサヒドロフタル酸、3 - エチルヘキサヒドロフタル酸、4 - エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられる。
上記多塩基酸無水物としては、上記多塩基酸の無水物が挙げられる。
【0184】
上記不飽和基含有化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレンなどが挙げられる。また、後述するカルボキシル基を有しない化合物等も用いることができる。
上記1分子中に1つの環状エーテルと1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートモノグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート等が挙げられる。
上記1分子中に水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と不飽和基含有化合物としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどが挙げられる。
【0185】
なお、(メタ)アクリル基は、アクリル基及びメタクリル基の両者を含むものである。
また、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートの両者を含むものである。
【0186】
上記カルボキシル基含有樹脂としては、後述する「7.カルボキシル基を有する重合体」に記載の重合体のうち、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基等のエチレン性不飽和基を有するものも用いることができる。
【0187】
上記カルボキシル基含有樹脂の市販品としては、例えば、ZAR-2000、ZFR-1122、FLX-2089、ZCR-1601H(以上、日本化薬(株)製)、サイクロマーP(ACA)Z-250(ダイセル化学工業(株)製)、リポキシSP-4621(昭和高分子(株)製)等を挙げることができる。
【0188】
上記カルボキシル基含有樹脂の酸価としては、耐久性に優れた硬化物を形成可能なものであればよく、例えば、40mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが好ましく、なかでも、50mgKOH/g以上130mgKOH/g以下であることが好ましい。
上記酸価が上述の範囲内であることで、上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成容易となるからである。また、上記組成物は、パターニングが容易となるからである。
【0189】
上記カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量としては、耐久性に優れた硬化物が得られるものであればよいが、パターニングが容易となる観点からは、例えば、2000以上150000以下であることが好ましく、なかでも、5000以上100000以下であることが好ましい。
上記重量平均分子量が上述の範囲であることで、上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成容易となるからである。また、上記組成物は、パターニングが容易となるからである。
なお、上記重量平均分子量Mwは、例えば、東ソー(株)製のHLC-8120GPCを用い、溶出溶剤を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN-メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、20650、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS-2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK-GEL ALPHA-M×2本(東ソー(株)製)として測定して得ることができる。
また、測定温度は40℃とすることができ、流速は1.0mL/分とすることができる。
【0190】
上記カルボキシル基を有する化合物の含有量としては、耐久性に優れた硬化物を形成可能なものであればよく、例えば、上記組成物の固形分100質量部中に、5質量部以上85質量部以下であることが好ましく、なかでも、20質量部以上70質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成容易となるからである。また、上記組成物は、パターニングが容易となるからである。
【0191】
(b)カルボキシル基を有しない化合物
上記カルボキシル基を有しない化合物としては、エチレン性不飽和基を1つ以上有し、かつ、カルボキシル基を有しないものであればよく、例えば、アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸亜鉛、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ビスフェノールZジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記カルボキシル基を有しない化合物としては、モノ(2-アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等のリン酸エステル構造を有する(メタ)アクリレート等も用いることができる。
上記カルボキシル基を有しない化合物としては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、およびエポキシアクリレートなども用いることができる。このようなウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、およびエポキシアクリレートの市販品としては、例えば、特開2018-53215号公報に記載のものを用いることができる。
【0192】
上記カルボキシル基を有しない化合物のうち、室温で液状であるものを、上記カルボキシル基含有樹脂等を溶解する希釈剤として用いてもよい。
【0193】
上記カルボキシル基を有しない化合物の含有量としては、耐久性に優れた硬化物を形成可能なものであればよく、例えば、上記組成物の固形分100質量部中に、1質量部以上85質量部以下であることが好ましい。
上記カルボキシル基を有しない化合物の含有量としては、耐久性に優れた硬化物を形成可能なものであればよく、上記組成物が上記カルボキシル基を有する化合物を含む場合には、例えば、上記カルボキシル基を有する化合物100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下であることが好ましく、より好ましくは、5質量部以上70質量部以下であることが好ましい。
上記含有量が上述の範囲であることで、上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成容易となるからである。また、上記組成物は、パターニングが容易となるからである。
【0194】
(c)その他
上記光硬化性成分の含有量としては、耐久性に優れた硬化物を形成可能なものであればよく、例えば、上記組成物の固形分100質量部中に、5質量部以上85質量部以下であることが好ましく、なかでも、20質量部以上70質量部以下であることが好ましく、特に、30質量部以上60質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成容易となるからである。また、上記組成物は、パターニングが容易となるからである。
また、上記光硬化性成分の含有量は、パターニング性等に優れたものとなるとの観点からは、硬化性成分100質量部中に10質量部以上であることが好ましく、なかでも、30質量部以上であることが好ましく、特に、50質量部以上であることが好ましい。
上記光硬化性成分の含有量としては、組成物の用途等に応じて適宜設定できるが、例えば、組成物100質量部中に、1質量部以上99質量部以下とすることができ、10質量部以上90質量部以下であることが好ましく、なかでも、20質量部以上80質量部以下であることが好ましく、特に、30質量部以上60質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、例えば、上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成可能だからである。
上記光硬化性成分の含有量は、上記組成物を硬化性組成物として使用可能となるものであればよいが、化合物A及び光硬化性成分の合計100質量部中に、1質量部以上99.9質量部以下とすることができ、50質量部以上99.8質量部以下であることが好ましく、なかでも、80質量部以上99.5質量部以下であることが好ましく、90質量部以上99.2質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることにより、上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成可能だからである。
また、上記化合物A及光硬化性成分の含有量としては、組成物の用途等に応じて適宜設定できるが、例えば、組成物100質量部中に、1質量部以上99質量部以下とすることができ、10質量部以上75質量部以下であることが好ましく、なかでも、20質量部以上60質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、例えば、上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成可能だからである。
【0195】
(2)熱硬化性成分
上記熱硬化成分としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、アミノ樹脂、多官能エポキシ化合物、不飽和ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン誘導体、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、シクロカーボネート化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂等が挙げられる。
上記多官能エポキシ化合物としては、上記「(1)光硬化性成分」の「(a)カルボキシル基を有する化合物」の項に記載の多官能エポキシ化合物を用いることができる。
上記多官能エポキシ化合物の市販品としては、例えば、特開2018-53215号公報に記載のものを用いることができる。
上記イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、多官能オキセタン化合物としては、例えば、特開2017-111453号公報に記載のイソシアネート基又はブロック化イソシアネート基を有する化合物、多官能オキセタン化合物を用いることができる。
上記アミノ樹脂としては、例えば、特開2017-111453号公報に記載のメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等を用いることができる。
上記熱硬化性成分としては、後述する「7.カルボキシル基を有する重合体」に記載の重合体のうち、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、メルカプト基、イソシアネート基等を有するものも用いることができる。
【0196】
上記熱硬化性成分の含有量としては、耐久性に優れた硬化物を形成可能なものであればよく、例えば、上記組成物の固形分100質量部中に、5質量部以上85質量部以下であることが好ましく、なかでも、10質量部以上60質量部以下であることが好ましい。
上記熱硬化性成分の含有量としては、組成物の用途等に応じて適宜設定できるが、例えば、組成物100質量部中に、1質量部以上99質量部以下とすることができ、2質量部以上50質量部以下であることが好ましく、なかでも、3質量部以上30質量部以下であることが好ましく、特に、5質量部以上20質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、例えば、上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成可能だからである。
上記熱硬化性成分の含有量は、上記組成物を硬化性組成物として使用可能となるものであればよいが、化合物A及び熱硬化性成分の合計100質量部中に、1質量部以上99.9質量部以下とすることができ、50質量部以上99.8質量部以下であることが好ましく、なかでも、80質量部以上99質量部以下であることが好ましく、90質量部以上98質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることにより、上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成可能だからである。
また、上記化合物A及熱硬化性成分の含有量としては、組成物の用途等に応じて適宜設定できるが、例えば、組成物100質量部中に、1質量部以上99質量部以下とすることができ、3質量部以上50質量部以下であることが好ましく、なかでも、5質量部以上25質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、例えば、上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成可能だからである。
【0197】
(3)硬化性成分
上記硬化性成分の含有量としては、耐久性に優れた硬化物を形成可能なものであればよく、例えば、上記組成物の固形分100質量部中に、5質量部以上85質量部以下であることが好ましく、なかでも、20質量部以上70質量部以下であることが好ましく、特に、30質量部以上65質量部以下であることが好ましい。上記組成物は、耐久性に優れた硬化物を形成容易となるからである。
上記硬化性成分の含有量は、組成物の用途等に応じて異なるものであるが、化合物A及び硬化性成分の合計100質量部中に、1質量部以上99.9質量部以下とすることができ、50質量部以上99.8質量部以下であることが好ましく、なかでも、90質量部以上99.5質量部以下であることが好ましく、95質量部以上99.3質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることにより、上記組成物は、硬化物に対して容易に紫外線吸収能等を容易に付与できる組成物を提供することができるからである。
また、上記化合物A及び硬化性成分の含有量としては、組成物の用途等に応じて適宜設定できるが、例えば、組成物100質量部中に、1質量部以上99質量部以下とすることができ、20質量部以上85質量部以下であることが好ましく、なかでも、40質量部以上65質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、例えば、上記組成物は、感度に優れたネガ型組成物として用いることができるからである。また、硬化阻害が少なく、硬化物に対して容易に紫外線吸収能等を容易に付与できる組成物を提供することができるからである。
【0198】
3.光ラジカル重合開始剤
上記組成物は、硬化性成分として光硬化性成分を含む場合、光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。
上記光ラジカル重合開始剤としては、光照射により、ラジカルを発生する化合物であればよく、例えば、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、アルキルフェノン系光重合開始剤、α - アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤等を用いることができる。
このようなオキシムエステル系光重合開始剤、アルキルフェノン系光重合開始剤、α - アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤としては、具体的には、特開2018-053215号公報に記載のものを用いることができる。
【0199】
上記光ラジカル重合開始剤の含有量としては、所望の硬化性が得られるものであればよく、例えば、光硬化性成分100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、なかでも1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲であることで、硬化性に優れたものとなるからである。
【0200】
4.熱硬化触媒
上記組成物は、硬化性成分として、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物等の環状エーテル基、環状チオエーテル基を有する化合物を含む場合、熱硬化触媒を含むことが好ましい。
上記熱硬化触媒としては、イミダゾール誘導体、ジシアンジアミド等のアミン化合物、ヒドラジン化合物、リン化合物、S-トリアジン誘導体等が挙げられる。
このような熱硬化触媒及びその市販品としては、例えば、特開2017-11143号公報に記載のものを用いることができる。
上記熱硬化触媒の含有量としては、所望の硬化性が得られるものであればよく、例えば、上述の環状エーテル基、環状チオエーテル基を有する化合物100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下とすることができる。
【0201】
5.充填剤
上記組成物は、耐久性により優れた硬化物の形成が容易となる等の観点から、充填剤を含むものであってもよい。
上記充填剤としては、無機充填剤、有機充填剤を用いることができる。
上記無機充填剤としては、シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物等の封止材料に配合されるものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、シリカゲル等のシリカ類; アルミナ、酸化鉄、三酸化アンチモン等の金属酸化物; 窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素等のセラミックス; マイカやモンモリロナイト等の鉱物; 水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物或いはこれらを有機変性処理等により改質したもの; 炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩或いはこれらを有機変性処理等により改質したもの; 金属ホウ酸塩、カーボンブラック等の顔料; 炭素繊維、グラファイト、ウィスカ、カオリン、タルク、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスマイクロスフィア、シリカガラス、層状粘土鉱物、クレー、炭化ケイ素、石英、アルミニウム、亜鉛等が挙げられる。
上記有機充填剤としては、アクリルビーズ、ポリマー微粒子、透明樹脂ビーズ、木粉、パルプ、木綿チップ等が挙げられる。
【0202】
本開示においては、なかでも、シリカ類、金属酸化物、金属酸塩が好ましく、結晶シリカ、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンが特に好ましい。
上記充填剤の平均粒径は、所望の耐久性を得られるものであればよく、上記組成物の用途によっても異なるものであるが、例えば、ソルダーレジスト用途の場合には、10nm以上100μm以下とすることが好ましい。
なお、上記平均粒径の測定方法としては、レーザー回折・散乱法を用いることができる。具体的には、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製SALD-2000J)等を用いることができる。平均粒径は、累積粒度分布の微粒側から累積50%となる粒径(メディアン径)とすることができる。
【0203】
上記充填剤の含有量としては、耐久性に優れた硬化物を形成可能なものであればよく、例えば、上記硬化性成分100質量部に対して、5質量部以上500質量部以下であることが好ましく、なかでも、5質量部以上200質量部以下であることが好ましい。
【0204】
6.色材
上記組成物は、必要に応じて、色材を含むことができる。
上記色材としては、顔料、染料、天然色素等が挙げられる。
上記顔料としては、例えば、ニトロソ化合物;ニトロ化合物;アゾ化合物;ジアゾ化合物;キサンテン化合物;キノリン化合物;アントラキノン化合物;クマリン化合物;フタロシアニン化合物;イソインドリノン化合物;イソインドリン化合物;キナクリドン化合物;アンタンスロン化合物;ペリノン化合物;ペリレン化合物;ジケトピロロピロール化合物;チオインジゴ化合物;ジオキサジン化合物;トリフェニルメタン化合物;キノフタロン化合物;ナフタレンテトラカルボン酸;アゾ染料、シアニン染料の金属錯体化合物;レーキ顔料;ファーネス法、チャンネル法又はサーマル法によって得られるカーボンブラック、或いはアセチレンブラック、ケッチェンブラック又はランプブラック等のカーボンブラック;上記カーボンブラックをエポキシ樹脂で調整又は被覆したもの、上記カーボンブラックを予め溶媒中で樹脂で分散処理し、20~200mg/gの樹脂を吸着させたもの、上記カーボンブラックを酸性又はアルカリ性表面処理したもの、平均粒径が8nm以上でDBP吸油量が90ml/100g以下のもの、950℃における揮発分中のCO及びCO2から算出した全酸素量が、カーボンブラックの表面積100m2当たり9mg以上であるもの;黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、フラーレン;アニリンブラック、ピグメントブラック7、チタンブラック;酸化クロム緑、ミロリブルー、コバルト緑、コバルト青、マンガン系、フェロシアン化物、リン酸塩群青、紺青、ウルトラマリン、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、合成鉄黒、アンバー、体質顔料等の有機又は無機顔料を用いることができる。これらの顔料は単独で、或いは複数を混合して用いることができる。
【0205】
上記顔料としては、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリ-ン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0206】
上記染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。
【0207】
上記色材の含有量は、所望の外観等を得られるものであればよく、上記硬化性成分100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下である。
【0208】
7.カルボキシル基を有する重合体
上記組成物は、パターニングが容易となる観点からは、カルボキシル基を有する重合体を含むことが好ましい。上記重合体を含むことで、上記組成物は、パターニングが容易となるからである。
【0209】
上記カルボキシル基を有する重合体は、カルボキシル基を有する構造単位を(以下、「構造単位(U1)」という。)有するものであればよく、特に制限をされないが、メタクリロイル基、アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、メルカプト基、イソシアネート基等の架橋性基を有する構造単位(以下、「構造単位(U2)」という。)、シリル基を有する構造単位(以下「構造単位(U3)」という。)を有することが好ましい。
上記カルボキシル基を有する重合体は、上記構造単位(U1)~(U3)以外の構造単位(以下、「構造単位(U4)」という。)を有していてもよい。
【0210】
上記構造単位(U1)としては、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「化合物(u1)」という。)に由来する構造単位であることが好ましい。
上記化合物(u1)としては、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸、ジカルボン酸の無水物等を挙げることができる。上記モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等を;
上記ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等を;
上記ジカルボン酸の無水物としては、上記したジカルボン酸の無水物等を、それぞれ挙げることができる。
【0211】
これらのうち、共重合反応性、得られる共重合体の現像液に対する溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸または無水マレイン酸が好ましい。
そして、化合物(u1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0212】
上記構造単位(U2)としては、エポキシ基またはオキセタニル基を有する重合性不飽和化合物(以下、「化合物(u2)」という。)に由来する構造単位であることが好ましい。
上記化合物(u2)は、エポキシ基を有する重合性不飽和化合物およびオキセタニル基を有する重合性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0213】
エポキシ基を有する重合性不飽和化合物として、例えば、(メタ)アクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステル、α-アルキルアクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステル、重合性不飽和結合を有するグリシジルエーテル化合物等を;
オキセタニル基を有する重合性不飽和化合物として、例えば、オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等を、それぞれ挙げることができる。
【0214】
上記化合物(u2)について、それらの具体例としては、
(メタ)アクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-メチルグリシジル、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7-エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシル(メタ)アクリレート、等を;
α-アルキルアクリル酸オキシラニル(シクロ)アルキルエステルとして、例えば、α-エチルアクリル酸グリシジル、α-n-プロピルアクリル酸グリシジル、α-n-ブチルアクリル酸グリシジル、α-エチルアクリル酸6,7-エポキシヘプチル、α-エチルアクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシル等を;
重合性不飽和結合を有するグリシジルエーテル化合物として、例えば、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル等を;
オキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、3-((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3-((メタ)アクリロイルオキシメチル)-3-エチルオキセタン、3-((メタ)アクリロイルオキシメチル)-2-メチルオキセタン、3-((メタ)アクリロイルオキシエチル)-3-エチルオキセタン、2-エチル-3-((メタ)アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3-メチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン等を、それぞれ挙げることができる。
【0215】
これら具体例のうち、特に、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2-メチルグリシジル、メタクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシル、メタクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルメタアクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート、3-メタクリロイルオキシメチル-3-エチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタンまたは3-エチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタンが、重合性の点から好ましい。
【0216】
上述した化合物(u2)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0217】
上記構造単位(U2)のうち、架橋性基として、メタクリロイル基又はアクリロイル基を有する構造単位としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構造単位を好ましく用いることができる。
上記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構造単位は、重合体中のカルボキシル基にエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られる。反応後の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構造単位は、下記式(U)で表される構造単位であることが望ましい。
【0218】
【化47】
(式中、R
1000およびR
1001は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。cは、1~6の整数である。R
1002は、下記式(Uα)または下記式(Uβ)で表される2価の基であり、*は結合手を表す。)
【0219】
【化48】
(式(Uα)中、R
1003は、水素原子またはメチル基である。上記式(Uα)および上記式(Uβ)中、*は、結合手を示す。)
【0220】
上記式(U)で表される構造単位について、例えば、カルボキシル基を有する共重合体に、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2-メチルグリシジル等の化合物を反応させた場合、式(U)中のR1002は、式(Uα)となる。一方、カルボキシル基を有する共重合体に、メタクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル等の化合物を反応させた場合、式(U)中のR1002は、式(Uβ)となる。
【0221】
上述した重合体中のカルボキシル基とエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等の不飽和化合物との反応においては、必要に応じて適当な触媒の存在下において、好ましくは重合禁止剤を含む重合体の溶液に、エポキシ基を有する不飽和化合物を投入し、加温下で所定時間攪拌する。上記触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。上記重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール等が挙げられる。反応温度は、70℃~100℃が好ましい。反応時間は、8時間~12時間が好ましい。
【0222】
上記カルボキシル基を有する重合体の構成単位比率において、架橋性基として(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構造単位の含有比率は、カルボキシル基を有する重合体全構成単位のうちの10モル%~70モル%であることが好ましく、20モル%~50モル%であることがより好ましい。
【0223】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構造単位比率が上述の範囲であることで、耐熱性及び現像時の現像不良が少なくなり、現像残渣の発生が抑制できる。
【0224】
上記構造単位(U3)としては、シリル基を有する重合性不飽和化合物(以下、「化合物(u3)」という。)に由来する構造単位であることが好ましい。
【0225】
上記化合物(u3)としては、例えば、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルエチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0226】
上述の化合物(u3)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0227】
上記構造単位(U4)は、上記(U1)~(U3)以外の構造単位であり、上記(u1)~(u3)以外の重合性不飽和化合物(以下、「化合物(u4)」という。)に由来する構造単位であることが好ましい。
上記化合物(u4)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル、含酸素複素5員環または含酸素複素6員環を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、共役ジエン化合物およびその他の重合性不飽和化合物を挙げることができる。これらの具体例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル等を;
(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル、(メタ)アクリル酸2-(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル等を;
(メタ)アクリル酸アリールエステルとして、例えば、アクリル酸フェニル等を;
(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル等を;
不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルとして、例えば、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル等を;
含酸素複素5員環または含酸素複素6員環を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラン-2-イル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラン-2-イル、(メタ)アクリル酸2-メチルテトラヒドロピラン-2-イル等を;
ビニル芳香族化合物として、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等を;
共役ジエン化合物として、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン等を;
その他の重合性不飽和化合物として、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等を、それぞれ挙げることができる。
【0228】
以上で挙げた化合物(u4)のうち、共重合反応性の点から、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸2-メチルグリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル、スチレン、p-メトキシスチレン、メタクリル酸テトラヒドロフラン-2-イル、1,3-ブタジエン等が好ましい。
【0229】
化合物(u4)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0230】
本実施形態における好ましいカルボキシル基を有する重合体は、上記のような化合物(u1)~(u4)を、それぞれ、以下の割合で含む重合性不飽和化合物の混合物を共重合することにより、合成することができる。
また、得られた共重合体中の化合物(u1)に由来する構造単位中のカルボキシル基に対して、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させることで、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する構造単位を有するものとすることができる。
【0231】
化合物(u1):好ましくは0.1モル%~30モル%、より好ましくは1モル%~20モル%、さらに好ましくは5モル%~15モル%
化合物(u2):好ましくは1モル%~95モル%、より好ましくは10モル%~60モル%、さらに好ましくは20モル%~30モル%
化合物(u3):好ましくは50モル%以下、より好ましくは1モル%~40モル%、さらに好ましくは10モル%~30モル%
化合物(u4):好ましくは80モル%以下、より好ましくは1モル%~60モル%、さらに好ましくは25モル%~50モル%
の範囲で使用することが好ましい。
【0232】
化合物(u1)~化合物(u4)を上記の範囲で含有する重合性不飽和化合物の混合物を共重合して得られたカルボキシル基を有する重合体を含有する重合性組成物は、良好な塗布性が損なわれることなく高い解像度が達成されるから、高精細なパターンであっても特性のバランスが高度に調整された硬化膜を与えることができることから好ましい。
【0233】
カルボキシル基を有する重合体の重量平均分子量(Mw)としては、パターニングが容易となるものであればよく、例えば、上記「2.硬化性成分」の「(1)光硬化性成分」に記載のカルボキシル基含有樹脂と同様とすることができる。上記重合体を使用することにより、良好な塗布性が損なわれることなく高い解像度が達成されるから、高精細なパターンであっても特性のバランスが高度に調整された硬化膜を与えることができることとなる。
【0234】
カルボキシル基を有する重合体は、上記のような重合性不飽和化合物の混合物を、好ましくは適当な溶媒中において、好ましくはラジカル重合開始剤の存在下で重合することにより製造することができる。
【0235】
上記重合に用いられる溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸3-メトキシブチル、シクロヘキサノールアセテート、ベンジルアルコール、3-メトキシブタノール等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0236】
上記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス-(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、4,4’-アゾビス(4―シアノバレリン酸)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0237】
上記カルボキシル基を有する重合体の好ましい例として下記[化合物U1]及び[化合物U2]を挙げることができる。
【0238】
[重合体U1]
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル4質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート190質量部を仕込み、引き続きメタクリル酸55質量部、メタクリル酸ベンジル45質量部、並びに分子量調節剤としてのα-メチルスチレンダイマー2質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇し、この温度を4時間保持した後、100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより共重合体を含有する溶液を得る。
次いで、この共重合体を含む溶液に、テトラブチルアンモニウムブロミド1.1質量部、重合禁止剤としての4-メトキシフェノール0.05質量部を加え、空気雰囲気下90℃で30分間攪拌後、メタクリル酸グリシジル74質量部を入れて90℃のまま10時間反応させることで得られる重量平均分子量Mw9000の重合体U1を挙げることができる。
上記重合体U1は、構造単位(U1)、構造単位(U2)及び構造単位(U4)を有するものである。
【0239】
[重合体U2]
冷却管および攪拌機を備えたフラスコに、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル5質量部および酢酸3-メトキシブチル250質量部を仕込み、さらにメタクリル酸18質量部、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン-8-イル25質量部、スチレン5部、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン20質量部およびメタクリル酸グリシジル32質量部を仕込んで窒素置換した後、緩やかに撹拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇する。この温度を5時間保持して重合することで得られる重量平均分子量Mw12000の重合体U2を挙げることができる。
上記重合体U2は、構造単位(U1)、構造単位(U2)、構造単位(U3)及び構造単位(U4)を有するものである。
【0240】
8.添加剤
上記組成物は、必要に応じて、上記各成分を溶解又は分散する有機溶剤、水等の溶剤、色材を分散させる分散剤、熱重合禁止剤;可塑剤;接着促進剤;消泡剤;レベリング剤;表面調整剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;分散助剤;凝集防止剤;密着促進剤;架橋剤;増粘剤、エラストマー等の有機重合体、連鎖移動剤、増感剤、界面活性剤、シランカップリング剤等の慣用の添加物を加えることができる。
上記シランカップリング剤、エラストマー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機溶剤、熱重合禁止剤等については、例えば、特開2017-111453号公報に記載のものを用いることができる。
【0241】
9.組成物
上記組成物の製造方法としては、上記各成分を混合可能な方法であればよく、公知の混合手段を用いることができる。
【0242】
上記組成物の用途としては、光及び熱の少なくとも一方により硬化することが要求される用途であることが好ましく、例えば、熱硬化性塗料、光硬化性塗料或いはワニス、熱硬化性接着剤、光硬化性接着剤、プリント基板、或いはカラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、デジタルカメラ等のカラー表示の液晶表示パネルにおけるカラーフィルタ、CCDイメージセンサのカラーフィルタ、フォトスペーサ、ブラックカラムスペーサ、プラズマ表示パネル用の電極材料、タッチパネル、タッチセンサー、粉末コーティング、印刷インク、印刷版、接着剤、歯科用組成物、光造形用樹脂、ゲルコート、電子工学用のフォトレジスト、電気メッキレジスト、エッチングレジスト、液状及び乾燥膜の双方、はんだレジスト、種々の表示用途用のカラーフィルタを製造するための或いはプラズマ表示パネル、電気発光表示装置、及びLCDの製造工程において構造を形成するためのレジスト、電気及び電子部品を封入するための組成物、ソルダーレジスト、磁気記録材料、微小機械部品、導波路、光スイッチ、めっき用マスク、エッチングマスク、カラー試験系、ガラス繊維ケーブルコーティング、スクリーン印刷用ステンシル、ステレオリトグラフィによって三次元物体を製造するための材料、ホログラフィ記録用材料、画像記録材料、微細電子回路、脱色材料、画像記録材料のための脱色材料、マイクロカプセルを使用する画像記録材料用の脱色材料、印刷配線板用フォトレジスト材料、UV及び可視レーザー直接画像系用のフォトレジスト材料、プリント回路基板の逐次積層における誘電体層形成に使用するフォトレジスト材料、3D実装用フォトレジスト材料或いは保護膜等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
本開示においては、なかでも、耐久性に優れた硬化物が要求される用途であることが好ましく、カラーフィルタ、フォトスペーサ、ブラックカラムスペーサ、電極材料、フォトレジスト、ソルダーレジスト、オーバーコート、絶縁膜、ブラックマトリクス、隔壁材等に好ましく用いることができ、特に、ソルダーレジストに好ましく用いることができる。
【0243】
B.ソルダーレジスト組成物
次に、本開示のソルダーレジスト組成物について説明する。
本開示のソルダーレジスト組成物は、上述の組成物からなることを特徴とするものである。
【0244】
本開示によれば、上述の組成物からなることで、耐久性に優れたソルダーレジストを形成可能となる。
なお、上記組成物の内容については、上記「A.組成物」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0245】
上記ソルダーレジスト組成物は、上記組成物からなるものであるが、液状であってもよく、ドライフィルム状であってもよい。
液状であるものとしては、上記組成物自体を用いることができる。
ドライフィルム状であるものとしては、25℃で固体状であればよく、液状の組成物の乾燥塗膜等を用いることができる。
ドライフィルム状のソルダーレジスト組成物は、例えば、キャリアフィルム上に形成された積層体として用いられてもよい。
上記積層体は、必要に応じてドライフィルム状ソルダーレジスト組成物から剥離可能なカバーフィルムが、ドライフィルム状ソルダーレジスト組成物上に積層されていてもよい。
このような積層体の形成方法としては、キャリアフィルムに上記組成物の乾燥塗膜からなるドライフィルム状ソルダーレジスト組成物を形成した後に、カバーフィルムをその上に積層するか、カバーフィルムに同様の方法によりドライフィルム状ソルダーレジスト組成物を形成した後、この積層体をキャリアフィルムに積層することでドライフィルム状のソルダーレジスト組成物を得る方法が挙げられる。
キャリアフィルムとしては、2~150μmの厚みのポリエステルフィルム等の熱可塑性フィルムが用いられる。
カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用することができるが、上記組成物の乾燥塗膜との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいものが好ましい。
上記積層体を用いて、ソルダーレジストをプリント配線板上に形成する方法としては、積層体からカバーフィルムを剥がし、ドライフィルム状ソルダーレジスト組成物と回路形成された基材を重ね、ラミネーター等を用いて張り合わせ、回路形成された基材上にドライフィルム状ソルダーレジスト組成物を形成する。形成されたドライフィルム状ソルダーレジスト組成物に対し、硬化性成分同士を重合する工程として、光照射処理、加熱処理等を実施する方法が挙げられる。
【0246】
C.硬化物
次に、本開示の硬化物について説明する。
本開示の硬化物は、上述の組成物又は上述のソルダーレジスト組成物の硬化物であることを特徴とするものである。
【0247】
本開示によれば、上述の組成物を用いることで、耐久性に優れたものとなる。
【0248】
本開示の硬化物は、上述の組成物を用いるものである。
以下、本開示の硬化物について詳細に説明する。
なお、上記組成物の内容については、上記「A.組成物」及び「B.ソルダーレジスト組成物」の項に記載の内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0249】
上記硬化物は、硬化性成分同士が重合した重合体を有するものである。
【0250】
上記硬化物に含まれる化合物Aは、フェノール性水酸基が保護基R102で保護され、紫外線吸収能、酸化防止能等が不活化状態のものであっても、保護基R102が脱離してフェノール性水酸基が発生し、紫外線吸収能、酸化防止能等が活性状態であってもよいが、耐久性に優れたものとする観点からは、活性状態であることが好ましい。
【0251】
上記硬化物の平面視形状については、上記硬化物の用途等に応じて適宜設定することができ、例えば、ドット状、ライン状等のパターン状であることが好ましい。上記硬化物は、ソルダーレジスト等のパターン状の膜としての使用が容易となるからである。
【0252】
上記硬化物の用途等については、上記「A.組成物」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0253】
上記硬化物の製造方法としては、上記組成物の硬化物を所望の形状となるように形成できる方法であれば特に限定されるものではない。
このような製造方法としては、例えば、後述する「D.硬化物の製造方法」の項に記載の製造方法を用いることができる。
【0254】
D.硬化物の製造方法
次に、本開示の硬化物の製造方法について説明する。
本開示の硬化物の製造方法は、上述の組成物又は上述のソルダーレジスト組成物に含まれる硬化性成分同士を重合する工程を含むことを特徴とするものである。
【0255】
本開示によれば、上記化合物Aを含むため、上記重合する工程の実施が容易なものとなる。
【0256】
本開示の製造方法は、重合する工程を含むものである。
以下、本開示の製造方法の各工程について詳細に説明する。
【0257】
1.重合する工程
本開示の製造方法における重合する工程は、上記硬化性成分同士を重合するものである。
ここで、硬化性成分同士を重合する方法としては、硬化性成分の種類に応じて異なるものであるが、硬化性成分が光硬化性成分を含む場合には、所望のパターン形状を有するマスクを介して、組成物に光照射する方法等を用いることができる。
組成物に照射される光としては、波長300nm~450nmの光を含むものとすることができる。
上記光照射の光源としては、例えば、低圧水銀、中圧水銀、高圧水銀、超高圧水銀、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク、発光ダイオード等を挙げることができる。
上記照射される光としては、レーザー光を用いてもよい。レーザー光としては、波長340~430nmの光を含むものを用いることができる。
レーザー光の光源としては、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、YAGレーザー、及び半導体レーザー等の可視から赤外領域の光を発するものも用いることができる。
なお、これらのレーザーを使用する場合には、上記組成物は、可視から赤外の当該領域を吸収する増感色素を含むことができる。
【0258】
上記重合方法は、例えば、組成物が、硬化性成分として熱硬化性成分を含む場合には、組成物に対して加熱処理を行うことができる。
加熱温度としては、上記組成物を安定的に硬化できるものであればよく、140℃~180℃とすることができる。
加熱時間としては、10秒~3時間程度行うことができる。
【0259】
上記重合方法の種類は、1種類のみを含むものであってもよく、2種類以上を含むものであってもよい。
例えば、硬化性成分として光硬化性成分及び熱硬化性成分の両者を含む場合には、光照射処理を行った後、加熱処理を行うことができる。
【0260】
2.脱離する工程
上記製造方法は、上記化合物Aから保護基R102を脱離する工程を含むことができる。
このような工程を含むことで、耐久性に優れた硬化物を容易に形成できるからである。
【0261】
本工程における保護基R102を脱離する方法としては、例えば、上記化合物Aを加熱処理する方法、上記化合物Aに光照射処理する方法等が挙げられる。
上記化合物Aを加熱処理する方法としては、例えば、組成物の塗膜をホットプレート、オーブン等で加熱する方法を挙げることができる。
上記化合物Aに対する加熱温度としては、保護基R102が脱離する温度以上の温度とすることができる。
また、上記加熱温度は、上記組成物が酸触媒、塩基触媒等を含む場合には、保護基R102単独で観察される脱離温度以下とすることができる。
上記加熱温度は、上記「A.組成物」の「1.化合物A」の項に記載の内容と同様とすることができる。
加熱時間としては、5分以上3時間以下とすることができる。
【0262】
上記化合物Aに光照射処理する方法としては、例えば、組成物又は硬化物に対して光照射する方法等を用いることができる。
組成物又は硬化物に照射される光の波長としては、上記「A.組成物」の「1.化合物A」の項に記載の内容と同様とすることができる。
上記光照射の光源としては、上記「1.重合する工程」に記載の光源を用いることができる。
上記化合物Aに対する積算光量としては、保護基R102が脱離する積算光量以上とすることができる。
上記積算光量は、例えば、上記「A.組成物」の「1.化合物A」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0263】
本工程の実施タイミングとしては、所望の耐久性を有する硬化物を得られるものであればよい。
例えば、上記実施タイミングは、本工程が光照射処理する工程であり、上記組成物が硬化性成分として光硬化性成分を含む場合、上記重合する工程と同時に実施されるものであってもよい。
また、上記実施タイミングは、本工程が加熱処理する工程であり、上記組成物が硬化性成分として光硬化性成分を含む場合、上記重合する工程において、光硬化性成分同士を重合する光照射処理の後であることが好ましい。
本工程が加熱処理する工程である場合、本工程の実施タイミングは、上記重合する工程における、熱硬化性成分同士を硬化する加熱処理又は後述するポストベーク工程と同時に実施されるものであってもよい。
【0264】
3.その他の工程
上記硬化物の製造方法は、上記重合する工程及び脱離する工程以外に、必要に応じてその他の工程を含むものであってもよい。
上記その他の工程としては、上記重合する工程後に、組成物の塗膜中の未硬化部分を除去してパターン状硬化物を得る現像工程、上記重合する工程後に、硬化物を加熱処理して、物理的強度を向上するポストベーク工程、上記重合する工程前に、組成物を加熱処理して上記組成物中の溶剤を除去するプリベーク工程、上記重合する工程前に、上記組成物の塗膜を形成する工程等を挙げることができる。
【0265】
上記現像工程における未重合部分を除去する方法としては、例えば、アルカリ現像液を未重合部分に塗布する方法を挙げることができる。
上記アルカリ現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液や、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ現像液として一般的に使用されているものを用いることができる。
上記現像工程の実施タイミングとしては、上記重合する工程後であればよいが、パターニング精度よく、パターン状硬化物を製造することができるとの観点からは、脱離する工程前であることが好ましい。
上記ポストベーク工程における加熱条件としては、重合する工程により得られた硬化物の強度等を向上できるものであればよく、例えば、130℃以上250℃以下で20分間~90分間とすることができる。
上記プリベーク工程における加熱条件としては、組成物中の溶剤を除去し、上記組成物の乾燥塗膜を形成できるものであればよく、例えば、70℃以上150℃以下で30秒~300秒間とすることができる。
上記塗膜を形成する工程で、組成物の塗膜を形成する方法としては、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の方法を用いて、上記組成物を塗布する方法が挙げられる。
上記塗膜は、基材上に形成することができる。
上記基材としては、硬化物の用途等に応じて適宜設定することができ、例えば、予め回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙-フェノール樹脂、紙-エポキシ樹脂、ガラス布-エポキシ樹脂、ガラス-ポリイミド、ガラス布/不繊布-エポキシ樹脂、ガラス布/紙-エポキシ樹脂、合成繊維-エポキシ樹脂、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネートエステル等の複合材を用いた全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を用いることができる。
また、上記硬化物は、基材上で形成された後、基材から剥離して用いても、基材から他の被着体に転写して用いてもよい。
また、上記基材としては、上述のキャリアフィルム、カバーフィルム等も用いることができる。
【0266】
4.その他
上記製造方法により製造される硬化物及びその用途等については、上記「C.組成物」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0267】
E.積層体
本開示の積層体は、回路基板と、上述の組成物の硬化物からなるソルダーレジストと、を有することを特徴とするものである。
【0268】
本開示によれば、上記ソルダーレジストが、上述の組成物を用いて形成されたものであるため、回路基板の安定性に優れたものとなる。
【0269】
上記ソルダーレジストは、上述の組成物の硬化物からなるものである。
ここで、上記組成物については、上記「A.組成物」及び「B.ソルダーレジスト組成物」に記載の内容と同様とすることができる。
上記硬化物については、上記「C.硬化物」の項に記載の内容と同様とすることができる。
上記ソルダーレジストの平面視形状としては、はんだの付着防止、高温、高湿度等の外部環境からの保護が求められる箇所を覆う形状であればよく、回路基板の種類等に応じて適宜設定されるものである。
上記回路基板としては、絶縁性基板と、上記絶縁性基板上に形成されたパターン状の配線層とを有する、公知のプリント配線板、フレキシブルプリント配線板等を用いることができる。
【0270】
F.組成物2
本開示の組成物2は、上記化合物Aと、ポジ型樹脂とを含むことを特徴とするものである。
ここで、上記化合物Aについては、上記「A.組成物」の「1.化合物A」の項に記載の内容と同様とすることができる。
また、上記ポジ型樹脂としては、公知のポジ型樹脂を用いることができる。
このようなポジ型樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
また、ポジ型樹脂と共に用いられる溶解阻害剤としては、例えば、キノンジアジド化合物が挙げられる。
【0271】
本開示によれば、上記化合物Aを含むため、例えば、露光箇所を現像除去してパターニングした後に、加熱処理等により紫外線吸収能や、酸化防止能を発現可能となる。また、パターニング前には、紫外線吸収能等の機能が不活化されている。
このため、上記組成物2は、パターニングが容易となると共に、耐久性に優れた組成物を容易に得ることができるのである。
【0272】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0273】
以下、実施例等を挙げて本開示をさらに詳細に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0274】
[製造例1-1]
フェノール化合物(下記化合物A1´-1)0.01mol、二炭酸ジ-tert-ブチル0.05mol及びピリジン30gを混合し、窒素雰囲気下、室温で4-ジメチルアミノピリジン0.025molを加え、60℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、反応液をイオン交換水150gに注ぎ、クロロホルム200gを加えて油水分離を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、残渣にメタノール100gを加えて晶析を行った。得られた白色粉状結晶を60℃で3時間減圧乾燥させ、目的物(下記一般式(A1-1))を得た。得られた白色粉状結晶が目的物であることは1H-NMRにて確認した。結果を下記表1に示す。
なお、得られた化合物は、加熱処理により活性化できるものである。
【0275】
[製造例1-2~1-8]
製造例1-1と同様にして、下記一般式フェノール化合物A1´-2、A1´-3を用いて、下記一般式A1-2、A1-3を合成した。
また、製造例1-1と同様にして、下記一般式フェノール化合物B1´-1、B2´-1、B3´-1、B3´-2及びB3´-3を用いて、下記一般式B1-1、B2-1、B3-1、B3-2及びB3-3を合成した。
得られた化合物が目的物であることは1H-NMRにて確認した。結果を下記表1に示す。
なお、得られた化合物は、いずれも加熱処理により活性化できるものである。
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】
[製造例2-1]
下記式(S1)中のフェノール化合物(A1´―4)0.003mol、炭酸カリウム0.0062mol及びDMF10gを混合し、窒素雰囲気下、室温でo-ニトロベンジルクロリド0.0075molを滴下し、10時間撹拌し、下記反応により化合物A(化合物A1)に該当する下記一般式(I-1-151)で表される化合物I-1-151を得た。反応液に酢酸エチル50g、イオン交換水50gを加えて油水分離を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、シリカカラム(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)にて分離した。分離後、メタノールで洗浄し、得られた白色固体を40℃で2時間減圧乾燥させ、目的物を得た。得られた白色固体が目的物であることは、1H-NMRにて確認した。下記表1に示す。
なお、得られた化合物は、光照射処理により活性化できるものである。
【0280】
【0281】
[製造例3-1]
下記式(S2)中のフェノール化合物(B1´-2)0.005mol、炭酸カリウム0.005mol及びDMF12gを混合し、窒素雰囲気下、室温でo-ニトロベンジルクロリド0.0075molを滴下し、80℃で2時間撹拌し、下記反応により化合物A(化合物B1)に該当する化合物II-1-2を得た。反応液に酢酸エチル50g、イオン交換水50gを加えて油水分離を行った。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、メタノールで晶析を行った。得られた白色固体を45℃で2時間減圧乾燥させ、目的物(化合物II-1-2)を得た。得られた白色固体が目的物であることは、1H-NMR、IRにて確認した。NMRの結果を下記表1に示す。
なお、得られた化合物は、光照射処理により活性化できるものである。
【0282】
【0283】
[製造例3-2~3-7]
o-ニトロベンジルクロリドを変更した以外は、製造例3-1と同様にして下記化合物II-1-3、II-1-8、II-1-33、II-1-36、II-1-29、II-1-35を得た。
具体的には、化合物II-1-3では、2-エチルニトロベンゼンに対して、1.1当量のN-ブロモスクシンイミドと0.01当量のAIBNをクロロベンゼン溶媒中で90℃で4時間加熱撹拌した。酢酸エチルで油水分離し、水洗後、シリカカラムにて精製し、対応するベンジルブロマイド化合物を得た。このベンジルブロマイド化合物をo-ニトロベンジルクロリドの代わりに使用して化合物II-1-3を得た。
化合物II-1-8では、2-エチルニトロベンゼンの代わりに、4-クロロ-2-ニトロトルエンを用いた。
化合物II-1-33、II-1-36、II-1-29、II-1-35では、o-ニトロベンジルクロリドの代わりにそれぞれ、4'-メトキシフェナシルブロミド、2-ブロモ-2-フェニルアセトフェノン、2-ブロモ-2‘-ニトロアセトフェノン、4-ブロモメチル-7-メトキシクマリンを用いて得た。
また、得られた白色固体が目的物であることは、1H-NMRにて確認した。結果を下記表1に示す。
なお、得られた化合物は、いずれも光照射処理により活性化できるものである。
【0284】
【0285】
[製造例3-8~3-12]
o-ニトロベンジルクロリドを変更した以外は、製造例3-1と同様にして下記化合物II-1-41~II-1-45を得た。
具体的には、化合物II-1-41では、4-メトキシ-2-ニトロトルエンに対して、1.1当量のN-ブロモスクシンイミドと0.01当量のAIBNをクロロベンゼン溶媒中で90℃で4時間加熱撹拌した。酢酸エチルで油水分離し、水洗後、シリカカラムにて精製し、対応するベンジルブロマイド化合物を得た。このベンジルブロマイド化合物をo-ニトロベンジルクロリドの代わりに使用して化合物II-1-41を得た。
化合物II-1-42~II-1-44では、4-メトキシ-2-ニトロトルエンの代わりに、それぞれ、3-クロロ-2-ニトロトルエン、3-メトキシ-2-ニトロトルエン及び3-メトキシ-2-ニトロ-6-ブロモトルエンを用いた。
化合物II-1-45では、o-ニトロベンジルクロリドの代わりに2-ブロモ-2‘-メチルアセトフェノンを用いて得た。
また、得られた白色固体が目的物であることは、H-NMRにて確認した。
[製造例3-13]
o-ニトロベンジルクロリドの代わりに4-(2-ブロモアセチル)フェニルt-ブチルカーボネートに変更し、製造例3-1と同様にして中間体化合物を得た。その後、中間体化合物0.0035molを酢酸エチル5mlに溶解させ、4M HCl酢酸エチル溶液5mL入れ、50℃で10時間加熱撹拌した。反応液の溶媒を留去し、シリカカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)にて単離し、目的物(化合物II-1-46)を得た。得られた白色固体が目的物であることは、H-NMRで確認した。
【0286】
[製造例3-14]
フェノール化合物(上記式(B1´-2))0.004molをピリジン40mLに溶解させ、NPPOC-Cl(2-(2-ニトロフェニル)プロピルクロロホルメ-ト)0.006molを滴下し、6時間室温で撹拌した。反応液に酢酸エチル200g、イオン交換水50gを加えて油水分離を行った。有機層を希塩酸で2回、イオン交換水で3回洗浄し、溶媒を留去し、シリカカラム(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)にて単離した。得られた白色固体をヘキサンで分散後、45℃で2時間減圧乾燥させ、目的物(化合物II-1-47)を得た。得られた白色固体が目的物であることは、H-NMRにて確認した。
【0287】
[製造例3-15~3-17]
フェノール化合物を上記式(B1´-1)、上記式(B3´-3)、下記式(B2´-2)にした以外は、実施例1と同様にして下記化合物II-1-48~II-1-50を得た。
【0288】
【0289】
【0290】
【0291】
【0292】
【0293】
[製造例4-1]
特開2017-111453号公報の合成例1と同様の方法により、溶剤以外の固形分の酸価88mgKOH/g、固形分濃度71%のカルボキシル基含有樹脂の樹脂溶液を得た。
【0294】
[製造例4-2]
特開2017-111453号公報の合成例2と同様の方法により、溶剤以外の固形分の酸価89mgKOH/g、固形分濃度65%のカルボキシル基含有樹脂の樹脂溶液を得た。
【0295】
[実施例1~58、比較例1~13]
下記表4~表10に記載の配合に従って、化合物A、酸化防止剤、紫外線吸収剤、硬化性成分(光硬化性成分、熱硬化性成分)、光ラジカル重合開始剤、硬化触媒、その他添加剤を配合して組成物を得た。
また、各成分は以下の材料を用いた。
なお、表中の配合量は、各成分の質量部を表すものである。
【0296】
(潜在性酸化防止剤)
A1:製造例1-1で製造した化合物A1-1(潜在性酸化防止剤、加熱脱離基)
A2:製造例1-2で製造した化合物A1-2(潜在性酸化防止剤、加熱脱離基)
A3:製造例1-3で製造した化合物A1-3(潜在性酸化防止剤、加熱脱離基)
A4:製造例1-4で製造した化合物B1-1(潜在性紫外線吸収剤、加熱脱離基)
A5:製造例1-5で製造した化合物B2-1(潜在性紫外線吸収剤、加熱脱離基)
A6:製造例1-6で製造した化合物B3-1(潜在性紫外線吸収剤、加熱脱離基)
A7:製造例1-7で製造した化合物B3-2(潜在性紫外線吸収剤、加熱脱離基)
A8:製造例1-8で製造した化合物B3-3(潜在性紫外線吸収剤、加熱脱離基)
A9:製造例2-1で製造した化合物I-1-151(潜在性酸化防止剤、光脱離基)
A10:製造例3-1で製造した化合物II-1-2(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A11:製造例3-2で製造した化合物II-1-3(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A12:製造例3-3で製造した化合物II-1-8(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A13:製造例3-4で製造した化合物II-1-33(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A14:製造例3-5で製造した化合物II-1-36(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A15:製造例3-6で製造した化合物II-1-29(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A16:製造例3-7で製造した化合物II-1-35(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A17:製造例3-8で製造した化合物II-1-41(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A18:製造例3-9で製造した化合物II-1-42(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A19:製造例3-10で製造した化合物II-1-43(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A20:製造例3-11で製造した化合物II-1-44(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A21:製造例3-12で製造した化合物II-1-45(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A22:製造例3-13で製造した化合物II-1-46(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A23:製造例3-14で製造した化合物II-1-47(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A24:製造例3-15で製造した化合物II-1-48(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A25:製造例3-16で製造した化合物II-1-49(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
A26:製造例3-17で製造した化合物II-1-50(潜在性紫外線吸収剤、光脱離基)
【0297】
(酸化防止剤)
B1:製造例1-1で使用した化合物A1´-1(酸化防止剤)
B2:製造例1-2で使用した化合物A1´-2(酸化防止剤)
B3:製造例1-3で使用した化合物A1´-3(酸化防止剤)
B4:製造例2-1で使用した化合物A1´―4(酸化防止剤)
(紫外線吸収剤)
B5:製造例1-4で使用した化合物B1´-1(紫外線吸収剤)
B6:製造例1-5で使用した化合物B2´-1(紫外線吸収剤)
B7:製造例1-6で使用した化合物B3´-1(紫外線吸収剤)
B8:製造例1-7で使用した化合物B3´-2(紫外線吸収剤)
B9:製造例1-8で使用した化合物B3´-3(紫外線吸収剤)
B10:製造例3-1で使用した化合物B1´-2(紫外線吸収剤)
B11:製造例3-17で使用した化合物B2´-2(紫外線吸収剤)
【0298】
(光硬化性成分:カルボキシル基を含む化合物)
C1:製造例4-1で製造したカルボキシル基含有樹脂の樹脂溶液(固形分の酸価88mgKOH/g、固形分濃度71%)
C2:製造例4-2で製造したカルボキシル基含有樹脂の樹脂溶液(固形分の酸価89mgKOH/g、固形分濃度65%)
C3:ビスフェノールF型エポキシアクリレートの酸無水物添加物(日本化薬(株)製ZFR-1122、固形分65質量%)。
C4:ビスフェノールA型エポキシアクリレートの酸無水物添加物(日本化薬(株)製ZAR-2000、固形分65質量%)。
C5:酸変性ウレタン化エポキシメタクリレート樹脂(日本化薬(株)製FLX-2089、固形分65質量%)。
C6:ビスフェノールノボラック構造の多官能エポキシを有するカルボキシル基含有樹脂(日本化薬(株)製ZCR-1601H、固形分65質量%)。
【0299】
(光硬化性成分:カルボキシル基を含まない化合物)
D1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
D2:ダイセル・サイテック社製EBECRYL8402、2官能ウレタンアクリレート
D3:東亞合成社製アロニックスM-6200、2官能ポリエステルアクリレート
D4:日本化薬社製カヤマーPM-2、ビス(2-メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、リン酸エステル構造を有するメタクリレートモノマー
D5:トリメチロールプロパントリアクリレート
D6:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
D7:日本化成社製4HBA、4-ヒドロキシブチルアクリレート
【0300】
(熱硬化性成分)
E1:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製NC3000)
E2:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製YX-4000)
E3:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製エピクロン860)
E4:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製エピクロンN-660)
E5:フェノ-ルノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製エピクロンN770)
E6:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成(株)製YDF-2004)
E7:メチル化メラミン樹脂(Mw-100LM:(株)三和ケミカル製)
【0301】
(光ラジカル重合開始剤)
F1:IRGACURE TPO(BASFジャパン社製)
F2:IRGACURE OXE02(BASFジャパン社製)
【0302】
(硬化触媒)
G1:ジシアンジアミド(硬化触媒)
G2:イミダゾール系硬化触媒(硬化触媒、四国化成工業社製2PHZ)
【0303】
(充填剤)
H1:シリカ(充填剤、アドマテックス社製SO-E5)
H2:硫酸バリウム(充填剤、堺化学社製B-30)
H3:タルク(充填剤、富士タルク社製LMS200)
H4:酸化チタン(充填剤、石原産業社製TIPAQUE R-820)
(その他添加剤)
I1:pigment blue 15(色材)
I2:pigment yellow 14(色材)
J1:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤)
【0304】
[評価]
実施例及び比較例について、下記のヒートショック試験を行った。
【0305】
1.評価用サンプル
実施例及び比較例で得られた各組成物を1.6mmの厚さのFR-4銅張り積層板に対し、硬化後の膜厚が30μmとなるように塗布した後、80℃で30分間乾燥した。
次いで、3000mJ/cm2の積算光量で紫外線露光した。
次いで、230℃で90分間加熱処理し、評価用サンプルを得た。
【0306】
2.耐熱性試験
評価用サンプル100枚について、-30℃で1時間保持し、次に80℃に昇温して1時間保持する操作を1サイクルとし、これを合計100サイクル繰り返すヒートショック試験を行った。
この試験をそれぞれの評価用サンプル100枚ずつについて行ない、試験後の評価用サンプルを目視で観察し、硬化物に生じたクラックの有無を確認した。結果を下記表4~表10に示す。
なお、クラック数は、評価用サンプル100枚のうち、クラックが発生した評価用サンプルの枚数を示すものである。
〇:10枚以下
△:10枚超30枚以下
×:30枚超50枚以下
【0307】
3.耐光性試験
評価用サンプルに対して、メタルハライドランプを用いて、波長350nmの積算光量が150J/cm2となるように光照射を行った。
次いで、JIS-D0202の試験方法に従って、評価用サンプルの塗膜に、1mm×1mmの大きさの碁盤目を100個刻み、セロハンテープによるピーリングテスト後の、はがれの状態を目視観察し、以下の基準で評価した。結果を下記表4~表10に示す。
残った碁盤目の数で表し、数が多い方が密着性が良いことを示す。
〇:90個以上
△:50個以上90個未満
×:50個未満
【0308】
4.フォトリソ性評価
ガラス基板上に実施例及び比較例の組成物をスピンコートし、ホットプレートを用いて、90℃で120秒間プリベークを行った後、23℃で60秒間冷却した。
その後、超高圧水銀ランプを用いてフォトマスク(マスク開口50μm)を介して露光した(露光ギャップ300μm、露光量500mJ/cm2)。
現像液として0.04質量%KOH水溶液を用いて60秒間現像した後、よく水洗し、クリーンオーブンを用いて150℃で60分ポストベークを行い、パターンを定着させ、評価用サンプルを得た。
得られたパターンを光学顕微鏡で観察し、マスク開口に対応する部分の線幅を測定した。得られた線幅がマスク開口50μmを基準として、±2.5μmの範囲内であるものを〇、±2.5μmを超え±5μmの範囲内であるものを△、±5μmを超えるものを×とした。結果を下記表4~表10に示す。
なお、設定線幅に対して差がないほど線幅が制御されており、フォトリソ性良好であると判断できる。
【0309】
【0310】
【0311】
【0312】
【0313】
【0314】
【0315】
【0316】
[まとめ]
実施例及び比較例より、化合物Aを使用することで、フェノール性水酸基を有する酸化防止剤又は紫外線吸収剤を使用した場合と比較して、耐熱性評価及び耐光性評価が良好となることが確認できた。
また、比較例2及び比較例3を比較したところ、比較例2より比較例3において、クラックが生じた評価用サンプルの増加が観察された。
一方、実施例1、実施例9及び実施例10を比較したところ、実施例1、実施例9及び実施例10の順でクラックが生じた評価用サンプルの減少が観察された。
この結果より、化合物Aは、硬化性成分同士の重合阻害が少ないため、添加量が増えた場合でも硬化が十分に進行した硬化物を形成できると共に、その添加量に応じて、耐熱性向上を図ることができたためと推察される。