(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】光発熱性複合材料、ナノクラスター、物質送達担体及び医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 33/44 20060101AFI20240215BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20240215BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240215BHJP
A61K 47/52 20170101ALI20240215BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
A61K33/44
A61K41/00
A61K45/00
A61K47/52
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2021504943
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2020008812
(87)【国際公開番号】W WO2020184271
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2019045505
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】都 英次郎
(72)【発明者】
【氏名】于 躍
(72)【発明者】
【氏名】西川 正浩
(72)【発明者】
【氏名】劉 明
(72)【発明者】
【氏名】鄭 貴寛
【審査官】辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-202458(JP,A)
【文献】RYU, T.K. et al.,Selective Photothermal Tumor Therapy Using Nanodiamond-Based Nanoclusters with Folic Acid,Adv. Funct. Mater.,2016年, Vol.26,pp.6428-6436,doi:10.1002/adfm.201601207
【文献】ITO, S. et al,Development of Fluorescence-Emitting Antibody Labeling Substance by Near-Infrared Ray Excitation,Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,1995年,Vol. 5, No. 22,pp.2689-2694
【文献】平野 達 ほか,インドシアニングリーン(ICG)の光照射による一重項酸素発生と組織障害性,日レ医誌,2007年,Vol.28, No.2,pp.122-128
【文献】MAZIUKIEWICZ, D. et al.,NDs@PDA@ICG Conjugates for Photothermal Therapy of Glioblastoma Multiforme,Biomimetics,2019年01月11日,Vol.4, Article 3,pp.1-17,doi.org/10.3390/biomimetics4010003
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00-9/72
A61K31/00-33/44
A61K47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)
CNM-(Y
1-R)
n1 (I)
(式中、CNMはカーボンナノ材料を示す。Y
1は2価の連結基を示す。Rは蛍光物質又は色素に由来する基を示す。n1は1以上の整数を示す。)
で表される光発熱性複合材料が自己組織化したナノクラスター。
【請求項2】
Y
1で表される2価の連結基が、-NH-、-O-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-O-CO-O-、及び、-NH-CO-NH-からなる群から選ばれるいずれかの基である、請求項1に記載のナノクラスター。
【請求項3】
カーボンナノ材料がカーボンナノダイヤモンド又はカーボンナノドットである、請求項1又は2に記載のナノクラスター。
【請求項4】
カーボンナノ材料がカーボンナノダイヤモンドである、請求項3に記載のナノクラスター。
【請求項5】
前記カーボンナノ材料がOH、COOH及びNH
2からなる群から選ばれる少なくとも1種の表面基を有し、Rで表される蛍光物質又は色素に由来する基は前記表面基を介してカーボンナノ材料に結合されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のナノクラスター。
【請求項6】
さらに有効成分と複合化した、請求項1~5のいずれか1項に記載のナノクラスター。
【請求項7】
有効成分が生理活性物質、蛍光物質または又は色素である、請求項6に記載のナノクラスター。
【請求項8】
請求項6~7のいずれか1項に記載のナノクラスターを含む、有効成分の送達担体。
【請求項9】
医薬と複合化した請求項6~7のいずれか1項に記載のナノクラスターを含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光発熱性複合材料、ナノクラスター、物質送達担体及び医薬組成物に関する。
【0002】
本明細書及び図面において、以下の略号を用いる:
ND:nano diamond
CND:carbon nano diamond
CNDp:carbon nano diamond particle
SP:super nano particle (or クラスター)
ICG:Indocyanine Green
PTX:Paclitaxel
MES:2-(N-morpholino)ethanesulfonate
ND-ori:原料(original nano diamond)
PTX@ICG-ND-SP:ICG修飾されたNDから構成されるクラスター(SP)とPTXの複合体
ICG-ND-SP:ICGを結合したCND複合材料が自己組織化したナノクラスター
本明細書において、NDはCNDと同義で使用する場合がある。
【背景技術】
【0003】
ナノダイヤモンド(以下、NDと称する)は、ダイヤモンド固有の性質に加え、平均粒径が小さく、比表面積が大きいという特徴を有しており、更には、比較的安価であり、入手が容易という利点がある。NDは、爆発法や高温高圧法によって製造することができる。 NDは毒性の低さ、優れた生体適合性及び安定した蛍光特性を有することから、生物医療分野での応用が幅広く研究されている。
【0004】
カーボンナノダイヤモンド(以下、「CND」と称する)は、ダイヤモンド固有の性質に加え、平均粒径が小さく、比表面積が大きいという特徴を有しており、更には、比較的安価であり、入手が容易という利点がある。CNDは、爆発法や高温高圧法などによって製造することができる(特許文献1)。CNDは毒性の低さ、優れた生体適合性及び安定した蛍光特性を有することから、生物医療分野での応用が幅広く研究されている。さらに、特許文献2、3は、修飾されたCND及びその製造方法について開示する。
【0005】
CNDの光発熱作用を利用したガンハイパーサーミアに関わる研究は既に報告されているが(非特許文献1)、CND自身の光発熱作用は著しく弱い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-202458号公報
【文献】特開2017-186234号公報
【文献】特開2017-186235号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】T.-K. Ryu, S. W. Baek, R. H. Kang, S.-W. Choi, Adv. Funct. Mater. 2016, 26, 6428.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、腫瘍の治療などに応用できる光発熱作用の強い材料を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の光発熱性複合材料、ナノクラスター、物質送達担体及び医薬組成物を提供するものである。
項1. 下記式(I)
CNM-(Y1-R)n1 (I)
(式中、CNMはカーボンナノ材料を示す。Y1は2価の連結基を示す。Rは蛍光物質又は色素に由来する基を示す。n1は1以上の整数を示す。)
で表される光発熱性複合材料。
項2. Y1で表される2価の連結基が、-NH-、-O-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-O-CO-O-、及び、-NH-CO-NH-からなる群から選ばれるいずれかの基である、項1に記載の光発熱性複合材料。
項3. カーボンナノ材料がカーボンナノダイヤモンド又はカーボンナノドットである、項1又は2に記載の光発熱性複合材料。
項4. カーボンナノ材料がカーボンナノダイヤモンドである、項3に記載の光発熱性複合材料。
項5. 前記カーボンナノ材料がOH、COOH及びNH2からなる群から選ばれる少なくとも1種の表面基を有し、Rで表される蛍光物質又は色素に由来する基は前記表面基を介してカーボンナノ材料に結合されている、項1~4のいずれか1項に記載の光発熱性複合材料。
項6. 項1~5のいずれかに記載の光発熱性複合材料が自己組織化したナノクラスター。
項7. さらに有効成分と複合化した、項6に記載のナノクラスター。
項8. 有効成分が生理活性物質、蛍光物質または又は色素である、項7に記載のナノクラスター。
項9. 項7~8のいずれか1項に記載のナノクラスターを含む、有効成分の送達担体。
項10. 医薬と複合化した項7~8のいずれか1項に記載のナノクラスターを含む医薬組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の複合材料は光発熱性に優れるため、この複合材料を腫瘍部位に分布させ、光を照射することにより、抗腫瘍作用を示すことができる。また、抗腫瘍剤をさらに含むナノクラスターは医薬組成物として有用である。蛍光物質、色素をさらに含むナノクラスターに含ませることで、さらに光発熱性を増強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ICG-ND-SPの合成とキャラクタリゼーション。a) ICG-ND-SPの合成スキーム。ND-oriのアミノ基とICG-NHSのスクシンイミジル基を脱水縮合反応によって共有結合後、超音波照射(sonication)により自己組織化ICG-ND-Pナノクラスター(ICG-ND-SP fluorescent nanocluster)を調製。b)動的光散乱法(DLS)によるICG-ND-SPのサイズ分布分析。c) ICG-ND-SPの透過型電子顕微鏡(TEM)像。右上の写真はICG-ND-SPのTEM高倍率像。d) ICG-ND-SP分散水溶液(ICG濃度 = 18.75 μg ml
-1, ND濃度 = 75 μg ml
-1)とICG-NHS (ICG濃度 = 18.75 μg ml
-1)のUV-Vis-NIR吸収スペクトル解析。e) ICG-ND-SP分散水溶液とICG-NHS (ICG濃度 = 2 μg ml
-1)水溶液の蛍光(FL)強度。f) ICG濃度をあらかじめ0.75 μg ml
-1に調整したICG-ND-SP分散水溶液とICG-NHS水溶液のFL強度解析。ND濃度は3 μg ml
-1。
【
図2】ICG-ND-SPの細胞内透過ならびに分布挙動。a) 様々な蛍光分子修飾ND-SPの細胞毒性。各種ND-SPをヒト骨肉腫細胞(U2OS)に24時間インキュベーションした後に細胞毒性を評価。b) ICG(ICG濃度 = 1.5 μg ml
-1)あるいはICG-ND-SP(ICGならびにND 濃度はそれぞれ1.5、6 μg ml
-1に調整)を37℃、5%CO
2環境下で4時間インキュベートした際のU2OS細胞の蛍光顕微鏡像。細胞はPBSで洗浄後、4%パラホルムアルデヒド(PFA)で 固定している。
【
図3】薬物担持体としてのPTX@ICG-ND-SPのIn vitro における抗がん作用。a) PTXとICG-ND-SPの非共有的な相互作用を利用したPTX@ICG-ND-SPの合成方法。b) PTXの複合化前(ICG-ND-SP)と複合化後(PTX@ICG-ND-SP)のICG-ND-SPのUV-Vis-NIR吸収スペクトル。c) ICG-ND-SPとPTX@ICG-ND-SPのDLS測定結果。d) アブラキサン(FDA認可のPTXベースの市販のナノメディシン)、PTX@ND-ori、PTX@ICG-ND-SPのヒト卵巣ガン(SKOV3)細胞に対する24時間インキュベート後の抗がん活性。
【
図4】光導入ICG-ND-SPのIn vitro抗がん活性評価。a) レーザー照射したPBS緩衝液、ND-ori、ICG、ICG-ND-SPの各レーザー照射時間における温度測定。ICGとND濃度はそれぞれ0.75、3 mg ml
-1に設定。b) 各レーザー照射時間におけるICG-ND-SP濃度が温度上昇に与える影響。c) レーザー照射した又はしていないPBS緩衝液、ND-ori、ICG、ICG-ND-SPからのROS発生挙動。ICGとND濃度はそれぞれ75、300 μg ml
-1に設定。d) レーザー照射したPBS緩衝液、ND-ori、ICG、ICG-ND-SPの各レーザー照射時間におけるSKOV3細胞の生存割合。e) レーザー照射後24時間経過した後の細胞生存割合。ICGとND濃度はそれぞれ25、100 μg ml
-1に設定。f) 3分間レーザー照射後24時間インキュベートしたICG-ND-SPとPTX@ICG-ND-SP のSKOV3細胞の生存割合。PTX、ICG、 ND濃度は10、75、300 μg ml
-1に設定。
【
図5】薬物担持体としてのICG-ND-SPのIn vivo 抗がん作用。a) ICG-ND-SPを用いたIn vivo 抗がん実験の方法。異なる処理を施したb) マウスの体重ならびにc) 固形ガン体積。PBS緩衝液、ND-ori、ICG-ND-SP、PTX@ICG-ND-SPを分散した滅菌水を腹腔内投与した。投与濃度はPTX(5 mg kg
-1)、ICG(7.5 mg kg
-1)、ND(30 mg kg
-1)に設定の上、投与を実施した。
【
図6】785-nmレーザーを照射(レーザー出力 = 1 W (~80 mW/mm
2)、レーザー照射時間 = 180秒)し、かつ、PBS、ND-ori、ICG-ND-SP又はPTX@ICG-ND-SPを投与したa) マウス体表面の熱画像ならびにb) 固形ガンの温度。投与濃度はPTX(1.25 mg kg
-1)、ICG(1.88 mg kg
-1)、ND(7.5 mg kg
-1)に設定。熱測定時のマウス体表面は約33℃であった。
【
図7】光発熱的、光線力学的、薬物療法的作用のin vivo検証。a) ICG-ND-SPを活用した多次元抗がん作用を検証するための実験デザイン。b) 7日後と14日後にPBS、ND-ori、ICG-ND-SP、PTX@ICG-ND-SPを固形ガン(SKOV3)に直接投与し、右側の固形ガンにレーザー照射(レーザー強度 = 1 W (~80 mW/mm
2)、レーザー照射時間 = 180秒)した際のマウスの写真。c) 785-nmレーザーを照射した右側の固形ガンのサイズ。d) レーザーを照射していない左側の固形ガンのサイズ。e) レーザー照射後の体重の推移。投与濃度はPTX(1.25 mg kg
-1)、ICG(1.88 mg kg
-1)、ND(7.5 mg kg
-1)に設定。
【
図8】近赤外蛍光バイオイメージングを用いたPTX@ICG-ND-SPの生体内分布挙動。a) PTX@ICG-ND-SP(PTX濃度 = 5 mg kg
-1、ICG濃度 = 7.5 mg kg
-1、ND濃度 = 30 mg kg
-1)を尾静脈投与したSKOV3細胞からなる固形ガンを有するマウスの蛍光像。破線の円は固形ガンの位置を示す。b) 異なる時間軸における固形ガンの対応放射効率。c)摘出した固形ガンならびに臓器のEx vivo蛍光像。d) PTX@ICG-ND-SP投与後24時間経過した固形ガンならびに臓器の定量的放射効率。
【
図9】様々な蛍光色素を化学修飾したND-SPの合成とキャラクタリゼーション。a) ND-oriと蛍光色素を化学修飾したND-SPのTEM像。b) ND-oriと蛍光色素を化学修飾したND-SPのDLS解析。c) ND-oriとICG-ND-SPのTGA曲線。
【
図10】様々な蛍光色素を化学修飾したND-SPの光学特性評価。a-c) 各種ND-SPのUV-Vis-NIR 吸収スペクトル。a) PBA(1-pyrenebutyric acid)濃度は14.4 μg ml
-1。PBA-ND-SP中のPBAとND濃度は1.5、30 μg ml
-1に設定。b) BODIPY-NHS濃度は1.34 μg ml
-1。BODIPY-ND-SP中のBODIPYとND濃度は1、75 μg ml
-1に設定。c) Alexa568-NHS濃度は6.9 μg ml
-1。 Alexa568-ND-SP中のAlexa568とND濃度は4、30 μg ml
-1に設定。d-f) 各種ND-SPの蛍光(FL)強度。d) PBA濃度は0.14 ng ml
-1。PBA-ND-SP中の PBAとND 濃度は3、60 ng ml
-1に設定。e) BODIPY-NHS濃度は5 ng ml
-1。BODIPY-ND-SP中のBODIPYとND濃度は40、3000 ng ml
-1に設定。f) Alexa568-NHS濃度は5 ng ml
-1。Alexa568-ND-SP中のAlexa568とND濃度は 20、1500 ng ml
-1に設定。
【
図11】各種ND-SPの蛍光顕微鏡観察。a) ICG-ND-SP(ICG濃度 = 1.5 μg ml
-1、ND濃度 = 6 μg ml
-1)、ICG(1.5 μg ml
-1)、ND-ori(ND濃度 = 6 μg ml
-1)をU2OS細胞と5%CO
2雰囲気下で4時間、37℃でインキュベートした後の近赤外蛍光ライブイメージング。蛍光色素を用いないコントロール実験も同条件で実施した。b) PBA-ND-SP(PBA濃度 = 0.3 μg ml
-1、ND濃度 = 6 μg ml
-1)を24時間インキュベートしたU2OS細胞の蛍光顕微鏡像。c) Alexa568-ND-SP(Alexa568濃度 = 0.8 μg ml
-1、ND濃度 = 60 μg ml
-1)あるいは BODIPY-ND-SP(BODIPY濃度 = 0.8 μg ml
-1、ND濃度 = 60 μg ml
-1)を6時間インキュベートしたU2OS細胞の蛍光顕微鏡像。核ならびに細胞骨格(アクチン)はそれぞれHoechst 33342とPhallodinを用いて染色した。b)とc)の細胞は4% PFAで固定している。
【
図12】PTX@ICG-ND-SPの水中分散安定性。a) PTX@ICG-ND-SP(PTX、ICG、ND-ori濃度は0.2、0.06、0.6 mg ml
-1)のMilliQ水中で7日間インキュベートした際の写真。b) PTX@ICG-ND-SP 水溶液の各時点(0、1、2、3、7日)におけるDLS解析結果。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、光発熱性複合材料の製造原料として使用するカーボンナノ材料(CNM)は、カーボンナノダイヤモンド、カーボンナノドットを包含する。
【0013】
本発明の光発熱性複合材料は、下記式(I)
CNM-(Y1-R)n1 (I)
(式中、CNMはカーボンナノ材料を示す。Y1は2価の連結基を示す。Rは蛍光物質又は色素に由来する基を示す。n1は1以上の整数を示す。)
で表される。
【0014】
n1は1以上の整数、例えば1~30、1~20、1~15、1~10、1~8、又は、1~6の整数を示す。
【0015】
Y1で表される2価の連結基としては、-NH-、-O-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-O-CO-O-、-NH-CO-NH-が挙げられる。Rは蛍光物質又は色素に由来する基である。ここで、蛍光物質又は色素としては、量子ドット、Alexa Fluor-350、Alexa Fluor-430、Alexa Fluor-488、Alexa Fluor-532、Alexa Fluor-546、Alexa Fluor-555、Alexa Fluor-568、Alexa Fluor-594、Alexa Fluor-633、Alexa Fluor -647、Alexa Fluor-660、Alexa Fluor-680、Alexa Fluor-750、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、BODIPY CR-6G、BOPIPY 530/550、BODIPY FL、BODIPY 505/515、インチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、イソチオシアン酸エオシン、PE、Rhodamine B、BODIPY 580/605、Texas Red、APC、インドシアニングリーン、4-アセトアミド-4’-イソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸、アクリジン、アクリジンイソチオシアネート、5-(2’-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS),4-アミノ-N-[3-ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド-3,5ジスルホネート(Lucifer Yellow VS),N-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、ブリリアントイエロー、クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン(AMC)、7-アミノ-4-トリフルオロメチルクマリン(クマリン151)),シアノシン、4’,6-ジアミニジノ-2-フェニルインドール(DAPI),5’,5”-ジブロモピロガロール-スルホネフタレイン(Bromopyrogallol Red),7-ジエチルアミノ-3-(4’-イソシアナトフェニル)-4-メチルクマリン,ジエチレントリアミン四酢酸、4,4’-ジイソチオシアナトジヒドロ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸、4,4’-ジイソチオシアナトスチルベン-2,2’-ジスルホン酸、塩化5-[ジメチルアミノ]ナフタレン-1-スルホニル(DNS),4-(4’-ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、4-ジメチルアミノフェニルアゾフェニル-4’-イソチオシアネート(DABITC)、エオシン、エオシンイソチオシアネート、エリスロシン、エリスロシンB、エリスロシンイソチオシアネート、エチジウム、5-カルボキシフルオレセイン(FAM),5-(4,6-ジクロロトリアジン-2-イル)アミノフルオレセイン(DTAF),2’,7’-ジメトキシ-4’5’-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE),フルオレセイン,ヘキサクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(HEX),テトラクロロフルオレセイン(TET)、フルオレスカミン、IR144、IR1446、マラカイトグリーンイソチオシアネート、4-メチルウンベリフェロン、オルトクレゾールフタレイン、ニトロチロシン、パラローザニリン、フェノールレッド、B-フィコエリスリン、R-フィコエリスリン、o-フタルジアルデヒド、Oregon Green、ヨウ化プロピジウム、ピレン、酪酸ピレン、酪酸スクシンイミジル1-ピレン)、リアクティブレッド4、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX),6-カルボキシローダミン(R6G),リサミンローダミンB塩化スルホニル、ローダミンB、ローダミン123、ローダミングリーン,ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リボフラビン、ロゾール酸、アクリジン、アニリンブラック、インダンスレン、コンゴーレッド、メチレンブルー、ニュートラルレッド、フェノールフタレイン、フクシン、パラレッド、モーブ、カロチン、キサントフィル、クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、リコピン、ルテイン、フラバノン、アントクロール、アントシアニン、カテキン、メラニン、クロロフィル、チトクロム、ヘモグロビン、ヘモバナジン、ヘモシアニン、ポルフィリン、ポルフィン、ミオグロビン、フィコシアニン、ビリベルジン、ビリルビン、アリザリン、アントラキノン、インディゴ、クルクミン、ゲニステイン、コチニール、シコニン、タンニン、ベルベリン、リトマス、ロドプシンなどが挙げられる。本明細書において、Alexa Fluorを「Alexa」と略すことがある。
【0016】
Rで表される「蛍光物質又は色素に由来する基」は、蛍光物質又は色素を結合させるときに使用する原料に由来するY1以外の部分を全て含む。例えば、
(i)n1個のNH2基を有するカーボンナノ材料:CNM(NH2)n1と、
(ii)ICG誘導体のN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(ICG-NHS)とを反応させて
(iii)光発熱性複合材料:CNM-(Y1-R)n1 を下記反応式に従い製造する。
【0017】
【0018】
(RはICGに由来する基を示す。n1は1以上の整数である。Y1は下記に示す。)
の反応の場合において、ICG-NHS、ICG、R、Y1の構造を以下に示す
【0019】
【0020】
上記の「R」は、ICG自体ではないが、ICGの蛍光を発する構造を含み、かつ、ICGを導入するための試薬であるICG-NHSに由来する基であるので、「蛍光物質又は色素に由来する基」に該当する。ICG-NHS以外の蛍光物質又は色素を導入するための試薬についても同様である。
【0021】
なお、Y1(NHCO)は、CNM表面のNH2基に由来するNHとICG-NHSの反応性基であるCO-O-(スクシンイミド)に由来するCOが結合したものであり、Y1はCNMの表面基(NH2、COOH、OHなど)に由来するNH、CO、COO、Oなどと、蛍光物質又は色素を導入するための試薬の反応性基(NH2、COOH、OH、NCO、酸ハライド、酸無水物、活性エステル、ハロゲン原子など)に由来するNH、CO、COO、O、CONHなどが結合することにより形成され得る。
【0022】
また、蛍光物質又は色素自体がその光吸収又は蛍光特性に実質的に影響しない反応性基(NH2、COOH、OHなど)を有する場合、必要に応じて縮合剤(ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、水溶性DCC、カルボニルジイミダゾールなど)を用いてCNMと蛍光物質又は色素を反応させることで光発熱性複合材料を得ることができ、この場合のR(蛍光物質又は色素に由来する基)は、蛍光物質又は色素から反応に関与する反応性基を除いた部分である。そのときの例を以下に示す。
CNM(NH2)n1 + R-COOH → CNM(NHCOR)n1
CNM(NH2)n1 + R-NCO → CNM(NHCONHR)n1
CNM(COOH)n1 + R-NH2 → CNM(CONHR)n1
CNM(COOH)n1 + R-OH → CNM(CO-OR)n1
CNM(OH)n1 + R-COX → CNM(O-COR)n1
CNM(OH)n1 + R-NCO → CNM(O-CONHR)n1
上記式において、XはOH、ハロゲン原子(Cl、Br、I)、O-スクシンイミジル、マレイミド、O-Me、OEt、O-Buなどのエステルに由来する基を示し、Rは蛍光物質又は色素から反応性基(NH2、COOH、OH、COX)を除いた部分であり、蛍光物質又は色素に由来する基に該当する。n1は1以上の整数である。
【0023】
表面にOH、COOH、NH2などの基を多数有するカーボンナノ材料(CNM)は公知であり、このような材料を用いて以下のスキーム(1)~(10)に従い、本発明の光発熱性複合材料を得ることができる。
スキーム
【0024】
【0025】
【0026】
(式中、XはOH、ハロゲン原子(Cl、Br、I)、O-スクシンイミジル、マレイミド、O-Me、OEt、O-Buなどのエステルに由来する基を示す。CNMはカーボンナノ材料を示す。n1は1以上の整数を示す。n2は0以上の整数を示す。Rは蛍光物質又は色素に由来する基である。)
上記スキーム(1)~(10)の反応は常法に従い行うことができ、OH、NH2又はCOOHの表面基を有するカーボンナノ材料1gに対し、R-COX、R-NH2、R-OH、R-X、R-NCO、R-O-CO-Xのいずれかの化合物を1mg~過剰量使用し、0℃から溶媒の沸騰する温度において1~24時間反応させることで目的とする生成物を得ることができる。溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、トルエンなどの芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
【0027】
本発明のナノクラスターは、光発熱性複合材料を水又は緩衝液などの適当な水性媒体に懸濁させ、超音波照射により自己組織化させて作製することができる。超音波照射後、ナノクラスターを形成していない光発熱性複合材料を遠心分離などの精製操作により除去し、ナノクラスターを分離することができる。
【0028】
本発明のナノクラスターは、有効成分を含む適当な溶媒に懸濁させることにより、有効成分と複合化させることができる。有効成分はナノクラスターの表面又は内部に存在する。有効成分としては、生理活性物質並びに、前記蛍光物質、前記色素が挙げられる。
【0029】
有効成分と複合化した本発明のナノクラスターは、哺乳動物(ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウサギ、イヌ、ネコなど)の生体内または皮膚に投与もしくは適用した場合に、有効成分を徐々に放出する。有効成分が生理活性物質、の場合には、ナノクラスターは生理活性物質(特に医薬)の送達担体として機能する。有効成分が蛍光物質又は色素の場合、光発熱性を増強することができ、がんの温熱療法、光線力学療法に有用である。また、バイオイメージングにも有用である。
【0030】
したがって、有効成分と複合化した本発明のナノクラスターは、医薬品もしくは医薬組成物として有用である。医薬品の剤形としては、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、丸剤、チュアブル錠、注射剤、坐剤、シロップ剤、軟膏剤、硬膏剤などが挙げられる。また、本発明のナノクラスターは、有効成分を徐々に放出するので、有効成分の送達担体としても有用である。
【0031】
生理活性物質は、医薬、核酸、タンパク質を含む。医薬としては、抗腫瘍剤、抗高血圧剤、抗低血圧剤、抗精神病剤、鎮痛剤、抗鬱剤、抗躁剤、抗不安剤、鎮静剤、催眠剤、抗癲癇剤、オピオイドアゴニスト、喘息治療剤、麻酔剤、抗不整脈剤、関節炎治療剤、鎮痙剤、ACEインヒビター、鬱血除去剤、抗生物質、抗狭心症剤、利尿剤、抗パーキンソン病剤、気管支拡張剤、抗利尿剤、利尿剤、抗高脂血症剤、免疫抑制剤、免疫調節剤、制吐剤、抗感染症剤、抗新生物剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗糖尿病剤、抗アレルギー剤、解熱剤、抗痛風剤、抗ヒスタミン剤、止痒剤、骨調節剤、心血管剤、コレステロール低下剤、抗マラリア剤、鎮咳剤、去痰剤、粘液溶解剤、鼻詰り用薬剤、ドパミン作動剤、消化管用薬剤、筋弛緩剤、神経筋遮断剤、副交感神経作動剤、プロスタグランジン、興奮薬、食欲抑制剤、甲状腺剤又は抗甲状腺剤、ホルモン、抗偏頭痛剤、抗肥満剤、抗炎症剤などが挙げられる。好ましい医薬は抗腫瘍剤である。抗腫瘍剤としては、ホルモン療法剤(例えば、ホスフェストロール、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、ダナゾール、アリルエストレノール、ゲストリノン、メパルトリシン、ラロキシフェン、オルメロキフェン、レボルメロキシフェン、抗エストロゲン(例、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェンなど)、ピル製剤、メピチオスタン、テストロラクトン、アミノグルテチイミド、LH-RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリンなど)、ドロロキシフェン、エピチオスタノール、スルホン酸エチニルエストラジオール、アロマターゼ阻害薬(例、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタンなど)、抗アンドロゲン(例、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミドなど)、5α-レダクターゼ阻害薬(例、フィナステリド、エプリステリドなど)、副腎皮質ホルモン系薬剤(例、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロンなど)、アンドロゲン合成阻害薬(例、アビラテロンなど)、レチノイドおよびレチノイドの代謝を遅らせる薬剤(例、リアロゾールなど)などが挙げられ、なかでもLH-RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリンなど))、アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード-N-オキシド、クロラムブチル、シクロフォスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、トシル酸インプロスルファン、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、フォテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロミド、トレオスルファン、トロフォスファミド、ジノスタチンスチマラマー、カルボコン、アドゼレシン、システムスチン、ビゼレシン)、代謝拮抗剤(例えば、メルカプトプリン、6-メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスファート、塩酸アンシタビン、5-FU系薬剤(例、フルオロウラシル、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミテフールなど)、アミノプテリン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、フォリネイトカルシウム、レボフォリネイトカルシウム、クラドリビン、エミテフール、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドキシウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチン)、抗癌性抗生物質(例えば、アクチノマイシンD、アクチノマイシンC、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルチノスタチン、ミスラマイシン、ザルコマイシン、カルチノフィリン、ミトタン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシン)、植物由来抗癌剤(例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセル、ドセタクセル、ビノレルビン、カンプトテシン、塩酸イリノテカン)、免疫療法剤(BRM)(例えば、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポイエチン、リンホトキシン、BCGワクチン、コリネバクテリウムパルブム、レバミゾール、ポリサッカライドK、プロコダゾール)、細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤(例えば、トラスツズマブ(ハーセプチン(商標);抗HER2抗体)、ZD1839(イレッサ)、グリーベック(GLEEVEC)などの抗体医薬)が挙げられる。抗腫瘍剤の対象となる癌の種類としては、結腸・直腸癌、肝臓癌、腎臓癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、胆道癌、胆のう・胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、皮膚癌、脳腫瘍等が挙げられ、好ましくは結腸・直腸癌、胃癌、頭頸部癌、肺癌、乳癌、膵臓癌、胆道癌、肝臓癌が挙げられる。
【0032】
核酸としては、特に制限はなく、DNA、RNA、DNAとRNAのキメラ核酸、DNA/RNAのハイブリッド等いかなるものであってもよい。また、核酸は1~3本鎖のいずれも用いることができるが、好ましくは1本鎖又は2本鎖である。核酸は、プリンまたはピリミジン塩基のN-グリコシドであるその他のタイプのヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格を有するその他のオリゴマー(例えば、市販のペプチド核酸(PNA)等)または特殊な結合を含有するその他のオリゴマー(但し、該オリゴマーはDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する)などであってもよい。さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたもの、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を持つもの、例えば蛋白質(ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シグナルペプチドなど)や糖(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有しているもの、インターカレート化合物(例えば、アクリジン、プソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であってもよい。好ましい核酸としては、siRNAなどのRNAが挙げられる。
【0033】
siRNAとは、標的遺伝子のmRNAもしくは初期転写産物のヌクレオチド配列又はその部分配列(好ましくはコード領域内)(初期転写産物の場合はイントロン部分を含む)に相同なヌクレオチド配列とその相補鎖からなる二本鎖オリゴRNAである。siRNAに含まれる、標的ヌクレオチド配列と相同な部分の長さは、通常、約18塩基以上、例えば約20塩基前後(代表的には約21~23塩基長)の長さであるが、RNA干渉を引き起こすことが出来る限り、特に限定されない。また、siRNAの全長も、通常、約18塩基以上、例えば約20塩基前後(代表的には約21~23塩基長)の長さであるが、RNA干渉を引き起こすことが出来る限り、特に限定されない。
【0034】
標的ヌクレオチド配列と、siRNAに含まれるそれに相同な配列との関係については、100%一致していてもよいし、塩基の変異があってもよい(少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%以上の同一性の範囲内であり得る)。
【0035】
siRNAは、5’又は3’末端に5塩基以下、好ましくは2塩基からなる、塩基対を形成しない、付加的な塩基を有していてもよい。該付加的塩基は、DNAでもRNAでもよいが、DNAを用いるとsiRNAの安定性を向上させることができる。このような付加的塩基の配列としては、例えばug-3’、uu-3’、tg-3’、tt-3’、ggg-3’、guuu-3’、gttt-3’、ttttt-3’、uuuuu-3’等の配列が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0036】
siRNAは任意の標的遺伝子に対するものであってよい。siRNAは、その発現亢進が対象疾患の発症および/または増悪に関与する遺伝子を標的とするものであることが好ましく、より具体的には、その遺伝子に対するアンチセンス核酸が、臨床もしくは前臨床段階に進んでいる遺伝子や新たに知られた遺伝子を標的とするもの等が挙げられる。
【0037】
siRNAは、1種のみで使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
タンパク質としては、酵素、受容体、抗体、抗原、インターフェロン、インターロイキンなどのサイトカインなどが挙げられる。
【0039】
本発明のナノクラスターの平均粒径は、1~1000nm程度、好ましくは3~800nm程度、より好ましくは5~500nm程度、さらに好ましくは10~300nm程度、特に30~250nm程度である。
【0040】
ナノクラスターのゼータ電位としては、好ましくは5~30mV程度、より好ましくは10~25mV程度である。
【0041】
1つの好ましい実施形態において、本発明のナノクラスターが有効成分と複合化している場合、ナノクラスター100質量部に対し、有効成分を好ましくは5~50質量部程度、より好ましくは10~20質量部程度含む。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことは言うまでもない。
実施例1
<実験方法>
(1) ND超粒子複合体の合成: ND(直径 = 4~5 nm)は既報の調製法に従い合成した(V. V. Danilenko, Combust., Explos. Shock Waves 2005, 41, 577; V. Y. Dolmatov, J. Superhard Mater. 2008, 30, 233; V. Y. Dolmatov, V. Myllymaki and A. Vehanen, J. Superhard Mater. 2013, 35, 143.)。合成したNDを硝酸で精製し、水素ガス雰囲気下で焼成した。NDの元素分析[C (92.20 %), H (0.74%), and N (2.30%) contents]は有機元素分析装置(Micro Corder JM10; J-Science Lab Co., Ltd, Kyoto, Japan)により解析した。精製したNDをビーズミル(Sand Grinder LSG-4U; Aimex Co., Ltd, Tokyo, Japan)によって蒸留水中に分散させた。次いで、当該ND分散液を遠心に掛け、水に不溶なNDを除去した。得られた上澄み分散液(ND-ori)をさらなる実験に利用した。0.1 mlのND-ori分散液(ND濃度 = 30 mg ml-1)と1 mgのICG-NHS(Goryo Chemical, Hokaido, Japan)を5 mlの2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid(MES)緩衝液(pH 6.0, 100 mM)にバス型超音波照射装置(出力, 80 W; 発振周波数, 40 kHz)(USD-2R; AS ONE, Osaka, Japan)を用いて5分間超音波照射することで溶解させた。当該混合物をさらに1.5時間、室温で激しくスターラーで撹拌した後、遠心分離を用いてMill-Q水で3回洗浄し、未反応物質を除去した。遠心分離によって得られたペレットをパルス型超音波照射装置(VCX-600; Sonics, Danbury, CT, USA)を用いて10分間超音波を照射することで1 mlのMill-Q水に再分散させた。当該ICG-ND-SP分散液を引き続き実験に利用した。また、ICG-ND-SP分散液中のICG濃度(~0.75 mg ml-1)ならびにND濃度(~3 mg ml-1)はUV-Vis-NIR分光光度計(V-730 BIO; Jasco, Tokyo, Japan)と 熱重量測定(TGA)(Q 500; TA Instruments, New Castle, DE, USA)を用いて見積もった。
【0043】
BODIPY-ND-SPとAlexa568-ND-SPは ICG-ND-SPと同様の手法により合成した。具体的には、BODIPY FL NHS Ester(Succinimidyl Ester)(1 mg; Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)あるいはAlexa Fluor 568 NHS Ester(Succinimidyl Ester)(1 mg; Invitrogen)をICG-NHSの代わりに反応溶液に加えた。調製後、BODIPY(ca. 0.04 mg ml-1)とAlexa Fluor568分子(ca. 0.04 mg ml-1)がND表面(ca. 3 mg ml-1)に共有結合していることが、UV-Vis-NIR分光光度計により明らかとなった。
【0044】
PBA-ND-SPは、合成に使用する蛍光分子重量、water soluble carbodiimide(WSC)の添加、反応溶液の体積、反応時間が異なる点を除いて、基本的には他の蛍光分子修飾ND-SPと同様の手法により合成した。簡潔には、1 mlのND-ori溶液(ND濃度 = 30 mg ml-1)、10 mgの4-phenylbutyric acid(PBA)(Tokyo Chemical Industry, Tokyo, Japan)、10 mgのWSCを9 mlのMES buffer (pH 6.0, 100 mM)にPBAが完全に溶解するまでバス型超音波照射装置を用いて20分間超音波を照射した。反応液を1.5時間室温でスターラーを用いて激しく攪拌後、溶液を遠心分離機に掛け、Milli-Q水で3回洗浄し、未反応物を除去した。得られたペレットをパルス型超音波照射装置(VCX-600; Sonics, Danbury, CT, USA)を用いて10分間超音波照射することで10 mlのMilli-Q水に再分散させた。得られたPBA-ND-SP分散液(PBA濃度: ~0.15 mg ml-1、ND濃度: ~3 mg ml-1)をさらなる実験に用いた。
【0045】
PTX@ICG-ND-SP複合体は次の方法で調製した。洗浄したICG-ND-SPペレットに10 mgのPTX(Wako)と10 mlのMilli-Q添加後、パルス型超音波照射装置により10分間超音波照射した。得られた混合物は遠心分離機を用いてMilli-Q水で洗浄後、利用するまで4℃で保存した。PTX@ND-oriは、10 mgのPTX、1 mlのND-ori、9 mlのMilli-Q水をパルス型超音波照射装置により10分間超音波照射することで作製した。AbraxaneはTaiho Pharmaceutical Co., Ltd.より購入したものを化学修飾等はすること無くそのまま実験に使用した。
【0046】
(2) ND-SPのキャラクタリゼーション:調製したND-SPの構造ならびにモルフォロジーは高分解透過型電子顕微鏡(TEM)(EM-002B; Topcon, Tokyo, Japan)を用いて120 kVの加速電圧で測定した。
【0047】
ND-SPの流体力学直径は、動的光散乱装置(DLS)(Photal FPAR-1000; Otsuka Electronics, Osaka, Japan)により測定した。
【0048】
ND-SP、蛍光色素、PTXとの複合体の分光学的スペクトルプロファイルや濃度はUV-Vis-NIR分光光度計により測定した。
【0049】
ND-SP、蛍光色素、ND-oriの蛍光特性は 蛍光光度計(FP-6500 or FP-8500; Jasco, Tokyo)とマイクロプレートリーダー(Infinite M200 PRO; Tecan, Mannedorf, Switzerland)を用いて解析した。
【0050】
(3)細胞培養と細胞毒性評価: ヒト骨肉腫細胞(U2OS)ならびにヒト卵巣腺腫細胞(SKOV3)は、the Japanese Collection of Research Bioresources Cell Bank(Tokyo, Japan)より分譲し、10% fetal bovine serum、2 mM L-glutamine、1 mM sodium pyruvate、gentamycin、penicillin-streptomycin(100 IU ml-1)、Hank's balanced salt solution(Life Technologies, Carlsbad, CA, USA)を含むDulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)(Gibco, Grand Island, NY, USA)で培養した。細胞は37℃、5%のCO2 雰囲気下の加湿チャンバー中で培養した。
【0051】
細胞生存割合は Cell Counting Kit (CCK)-8(Dojindo Laboratories, Kumamoto, Japan)とそのマニュアルに従い評価した。細胞を96-well plate( × 103 cells well-1))に播種し、一晩インキュベートした。次いで、細胞を薬物あるいはナノ複合体分散溶液に暴露させ、新鮮な培養液で洗浄後、CCK-8溶液中でインキュベートした。最後に450 nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定することで細胞生存割合を算出した。
【0052】
(4)蛍光顕微鏡イメージング: U2OS 細胞をイメージング用ガラスボトムディッシュに播種し、一晩インキュベートした。ディッシュの底辺に接着した細胞に各種の蛍光色素を化学修飾したND-SP分散水溶液を加え、6時間あるいは24時間、37℃ 、5% CO2雰囲気下でインキュベートした。なお、細胞核はHoechst 33342(1 μg ml-1; Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA, USA)を用いて10分間染色した。PBS緩衝液で3回洗浄後、ライブイメージングのために細胞はRPMI 1640 Phenol Red-free medium(Thermo Fisher Scientific)で維持した。PBA-ND-SPを用いたイメージングの際には、Actin(cytoskeleton)を Phallodin(Thermo Fisher Scientific)を用いて染色した。固定化イメージングにおいては、細胞を4% paraformaldehyde溶液あるいはprechilled methanol/acetone混合液(v:v,1:1)を用いて室温で10分間染色し、PBS緩衝液で洗浄後、観察した。ICG-ND-SPの近赤外(NIR)蛍光イメージは、ミラーユニット(IRDYE800-33LP-A-U01; Semrock)と 電子増倍 CCDカメラ(DP80; Olympus)を搭載する蛍光顕微鏡により観察した。PBA-ND-SP、BODIPY-ND-SP、Alexa568-ND-SP複合体の細胞内イメージングは、共焦点レーザー顕微鏡(LSM 5 PASCAL, Carl Zeiss Inc, Tokyo, Japan)を用いた。
【0053】
(5)温度測定: レーザー照射したICG-ND-SP 分散液の温度変化は以下の方法で調査した。ICG-ND-SPを分散させたMilli-Q水(200 μl, ICGとND濃度はそれぞれ 0.75 mg ml-1、3 mg ml-1) を石英製セル(GL Science, Tokyo, Japan)に加えた。サンプルに785 nmの波長のファイバーカップル型の連続波レーザー(レーザースポット径, ~4 mm; 最大出力, 1 W, ~80 mW mm-2; BRM-785-1.0-100-0.22-SMA; B&W Tek, Newark, DE, USA)を5分間照射した。同様にICG-ND-SPを含まないPBS緩衝液もコントロールとしてレーザー照射した。レーザー照射時の溶液の温度変化は温度センサー(AD-5601A; A&D, Tokyo, Japan)を用いて測定した。ICG-NHSならびにND-ori溶液中のICGとND濃度は、あらかじめUV-Vis-NIR分光光度計により測定したICG-ND-SP複合体中のICGとND濃度と同じになるように調整した。
【0054】
ICG-ND-SP複合体の光発熱挙動に与える ICGとNDの濃度の影響は、ICG-ND-SP 分散液(原液)をDMEM培地で希釈することで調査した。
【0055】
(6) ROS検出: ROS分析は底辺が透明でメインボディが黒色の96-well plate(Thermo Fisher Scientific)と一重項酸素検出試薬singlet oxygen sensor green(SOSG)(Invitrogen)を用いた。ICG-ND-SPを分散させたMilli-Q水(100 μL)を、SOSGを含むPBS緩衝液で希釈した。ICG、ND、SOSGの当該系中の終濃度は、それぞれ75 μg ml-1、300 μg ml-1、1 μMであった。次いで、サンプルに785 nmの波長の近赤外レーザーを出力1 W(ca. 80 mW mm-2)、5分間照射した。ナノ複合体を含まないPBS緩衝液をコントロールとして用いた。ROS発生に伴う緑色蛍光はマイクロプレートリーダー(励起波長485 nm、蛍光波長535 nm)を用いて測定した。
【0056】
(7)レーザー照射したICG-ND-SPによるガン細胞排除効果: 細胞生存割合を評価するためにSKOV3細胞(5 × 103 cells/well)を96-well plateに播種し一晩インキュベートした。細胞は各種サンプル(ND-ori、ICG、ICG-ND-SP、PTX@ICG-ND-SP)を含む100 μlのDMEM培地あるいはナノ複合体を含まないPBS緩衝液で処理後、レーザー(波長785 nm、出力1 W, ~80 mW mm-2)を照射した。レーザー照射後、細胞を洗浄し、新鮮な培地中でインキュベートした。細胞生存性はCCK-8 kitを用いて、レーザー照射直後ならびにレーザー照射後24時間インキュベートしたサンプルを調査した。なお、系中のICGとNDの濃度は25 and 100 μg ml-1になるように注意深く調整した。
【0057】
(8) In vivo抗ガンアッセイ: 雌のBALB/cAJc-nu/nuマウス(n = 4; 8週齢, 平均体重 = 18 g)を Japan SLC(Hamamatsu, Japan)から入手し、特定病原体を除去(SPF)した環境下で飼育した。動物実験は、産業技術総合研究所の動物実験倫理委員会により審査され、産業技術総合研究所理事長より承認された動物実験計画に沿って実施した。SKOV3細胞を担持したガンモデルマウスは、1 × 106個の細胞を含む100 μlの培地/Matrigel(Dow Corning, Corning, NY, USA)混合溶液(v/v, 1:1)をマウスの両方の太ももに注入することで作製した。2週間後、ガン体積が50 mm3に達したマウスの腹腔内に2日に一度のペースで200 μlの各種サンプル[ICG-ND-SP(ICG, 7.5 mg kg-1; ND-ori, 30 mg kg-1)を含む滅菌水、PTX(5 mg kg-1)を含む 10% Cremophor EL(Sigma-Aldrich)、PTX@ICG-ND-SPを含む滅菌水(PTX, 5 mg kg-1; ICG, 7.5 mg kg-1; ND-ori, 30 mg kg-1)、PBS緩衝液(コントロール)]を投与した。ガンのサイズ、健康状態(マウス体重)を2日に一度観測した。
【0058】
(9) In vivo複数ガン療法: 8週齢の雌のヌードマウス(平均体重 = 18 g, N = 3; BALB/cSlc-nu/nu, Japan SLC)の両側の背にSKOV3細胞(1 × 106)を含む培地/Matrigel(Dow Corning, Corning, NY, USA)混合溶液(v/v, 1:1)を皮下投与した。移植3週間後、3匹ずつのマウスを4つのグループに分け、固形ガンに50 μlの各種サンプル[PBS、ICG-ND-SP(ICG, 1.88 mg kg-1; ND-ori, 7.5 mg kg-1)を含む滅菌水、ND-ori(7.5 mg kg-1)を含む滅菌水、PTX@ICG-ND-SP(PTX, 1.25 mg kg-1; ICG, 1.88 mg kg-1; ND-ori, 7.5 mg kg-1)を含む滅菌水]をシリンジで投与した。右側の固形ガンにのみ3日に一度のペースで近赤外レーザー[波長785 nm、出力(1 W, ~80 mW/mm2)]を3分間照射した。なお、固形ガンのサイズがレーザースポット(直径~ 4 mm)よりも大きい時は、固形ガン表面の2ヵ所に各3分間ずつレーザーを照射した。IRサーモグラフィー(i7; FLIR, Nashua, NH, USA)を用いてレーザー照射時のマウスの体表面を測定した。In vivo抗ガンアッセイと同様にガンのサイズ、健康状態(マウス体重)を2日に一度観測した。
【0059】
(10) ND-SPのガンモデルマウス生体内分布: SKOV3から成るガンモデルマウスの尾静脈にPTX@ICG-ND-SP(PTX, 5 mg kg-1; ICG, 7.5 mg kg-1; ND-ori, 30 mg kg-1)を含む200 μlの滅菌水を投与した。マウスならびに腫瘍組織の近赤外蛍光像をIVIS Imaging Spectrum System(PerkinElmer, MA, USA)を用いて測定した。励起波長ならびに蛍光波長はそれぞれλex = 740 nm, λem = 800 nmである。また画像解析はIVIS Living Imaging 3.0 software(Perkin-Elmer)を用いた。
【0060】
(11)血液検査: 全血算(CBC)ならびに生化学パラメータは Japan SLC and Oriental Yeast Co.(Tokyo, Japan)より測定された。具体的には、10週齢の雌のBALB/cSlcマウス(n = 5; 平均体重 = 21 g; Japan SLC)に200 μlの各種サンプル[ICG-ND-SPを含む滅菌水(ICG, 7.5 mg kg-1; ND-ori, 30 mg kg-1)あるいはPBS緩衝液]を尾静脈より投与した。血液サンプルはナノ複合体投与後7日後ならびに28日後に採血した。結果を表1、表2に示す。
【0061】
【0062】
【0063】
データの統計解析
データ中の±は標準偏差、nは使用したサンプル数を示している。データの統計解析は、Student's t-testを用いた。*、**、***は、それぞれ< 0.05、< 0.005、< 0.001のp値を示している。