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  • 特許-セメント系固化材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】セメント系固化材
(51)【国際特許分類】
   C09K 17/10 20060101AFI20240215BHJP
   C09K 17/06 20060101ALI20240215BHJP
   C09K 17/02 20060101ALI20240215BHJP
   C09K 103/00 20060101ALN20240215BHJP
【FI】
C09K17/10 P
C09K17/06 P
C09K17/02 P
C09K103:00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020056539
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021155546
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】土肥 浩大
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-350556(JP,A)
【文献】特開2004-231479(JP,A)
【文献】特開平10-218657(JP,A)
【文献】特開平02-097441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K17/00-17/52
C04B7/00-7/60
C04B28/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材齢7日の水和熱が380J/g以上のセメントを含む固化材であって、
塩素の含有量が1600ppm以上である、
セメント系固化材。
【請求項2】
前記セメントは、材齢7日の水和熱が400J/g以上である、請求項1に記載のセメント系固化材。
【請求項3】
前記セメントは、材齢7日の水和熱が450J/g以下である、請求項1又は請求項2に記載のセメント系固化材。
【請求項4】
塩素の含有量が1800ppm以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のセメント系固化材。
【請求項5】
塩素の含有量が2500ppm以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のセメント系固化材。
【請求項6】
ブレーン比表面積が3000cm/g以上4900cm/g以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセメント系固化材。
【請求項7】
石灰石粉、フライアッシュ、高炉スラグ粉、及び、シリカ質混合成分のうち1つ以上を含む混合材の含有量が、前記固化材の全体に対して内割の質量比で35%以下である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のセメント系固化材。
【請求項8】
前記セメントは、ポルトランドセメントである、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のセメント系固化材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント系固化材に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤改良のために、セメント系の固化材が使用されることが知られている。セメント系の固化材は、土に混ぜることにより固化して強度を発現させることによって、地盤を強化する。例えば特許文献1には、ポルトランドセメント、アルミナセメント、無水石膏、消石灰及び硫酸ナトリウムや硫酸アルミニウムなどの硬化促進剤からなる固化材が記載されている。また、特許文献2には、膨張材成分である3CaO・3Al・CaSOと無機塩化物からなる早強性セメント添加材が記載されている。しかしながら、膨張材成分を含んでいるため、地盤改良用の固化材として使用した場合には、地盤が膨張により盛り上がるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-35939号公報
【文献】特開昭55-32800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような固化材は、例えば混合後1時間から3時間程度の初期においても強度を発現することが求められている。従来においては、初期強度を実現するためには、固化材の添加量増加、加熱養生、硬化促進剤の添加などが必要となり、作業負荷が増加してしまうという問題がある。従って、作業負荷の増加を抑えつつ、高い初期強度を実現可能な固化材が求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高い初期強度を実現可能なセメント系固化材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るセメント系固化材は、材齢7日の水和熱が380J/g以上のセメントを含む固化材であって、塩素の含有量が1600ppm以上である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高い初期強度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、固化材を用いて地盤を強化する方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0010】
(固化材)
本実施形態に係る固化材Aは、土に混ぜられて地盤を強化する。本実施形態に係る固化材Aは、土中の水分と反応して固化することによって、強度を発現させる。本実施形態に係る固化材Aは、セメントCを含むセメント系固化材である。セメントCは、材齢7日の水和熱が380J/g以上であり、材齢7日の水和熱が400J/g以上であることが好ましい。また、セメントCは、材齢7日の水和熱が450J/g以下であることが好ましい。セメントCの材齢7日の水和熱が380J/g以上であることで、高い初期強度を適切に実現でき、セメントCの材齢7日の水和熱が450J/g以下であることで、長期強度の低下を抑制でき、スラリーの流動性が低くなることを抑制でき、また、製造量を適切に担保できる。
【0011】
なお、ここでのセメントCの材齢とは、セメントCの水和反応が開始してから、すなわちセメントCに水を添加してからの期間を指す。また、ここでの水和熱は、JIS R 5203で規定される方法で測定された値である。
【0012】
固化材Aにおいて、セメントCは、固化材Aの全体に対して、質量比で65%以上100%以下含有されることが好ましく、80%以上100%以下含有されることがより好ましい。セメントCがこの範囲含まれることで、高い初期強度を適切に実現できる。また、固化材Aは、不可避的不純物を除き、セメントC以外のセメントを含有しないことが好ましい。
【0013】
セメントCは、セメントクリンカー及び石膏を含むポルトランドセメントである。セメントCにおいて、セメントクリンカーは、セメントCの全体に対して、質量比で80%以上99%以下含有されることが好ましく、88%以上99%以下含有されることがより好ましく、95%以上99%以下含有されることが更に好ましい。セメントクリンカーの含有量がこの範囲となることで、上述の水和熱となるセメントCを適切に準備できる。
【0014】
セメントCに含まれるセメントクリンカーの鉱物組成は、ボーグ式算定のCS量が、40質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上75質量%以下、さらに好ましくは55質量%以上70質量%以下、である。
セメントCのセメントクリンカーの鉱物組成は、ボーグ式算定のCS量が、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上18質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上15質量%以下、である。
セメントCのセメントクリンカーの鉱物組成は、ボーグ式算定のCA量が、3質量%以上25質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは8質量%以上15質量%以下、である。
セメントCのセメントクリンカーの鉱物組成は、ボーグ式算定のCAF量が、3質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上13質量%以下、さらに好ましくは7質量%以上10質量%以下、である。セメントクリンカーの鉱物組成をこの範囲とすることで、上述の水和熱となるセメントCを適切に準備できる。なお、上述の数値範囲となるセメントCを準備する場合には、セメントクリンカーの鉱物組成及び石膏の含有量が異なる複数のサンプルを準備して、そのサンプルの水和熱を測定して、上述の数値範囲となるサンプルをセメントCとして取得できる。
【0015】
ボーグ式は、以下の通りである。
S量(質量%)=4.07×CaO(質量%)-7.60×SiO(質量%)-6.72×Al(質量%)-1.43×Fe(質量%)-2.85×SO(質量%)・・・(1)
S量(質量%)=2.87×SiO(質量%)-0.754×CS(質量%)・・・(2)
A量(質量%)=2.65×Al(質量%)-1.69×Fe(質量%)・・・(3)
AF量(質量%)=3.04×Fe(質量%)・・・(4)
【0016】
固化材Aは、セメントCに加えて、混合材Mを含んでいてもよい。混合材Mは、石灰石粉、フライアッシュ、高炉スラグ粉、及び、シリカ質混合成分の少なくとも1つを含む物質である。固化材Aにおいて、混合材Mの含有量は、固化材Aの全体に対して、内割の質量比で35%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。なお、シリカ質混合成分とは、二酸化ケイ素を60質量%以上含むものである。
【0017】
固化材Aは、固化材Aの全体に対する塩素の含有量が、質量比で、1600ppm以上であり、1800ppm以上であることが好ましい。また、固化材Aは、固化材Aの全体に対する塩素の含有量が、質量比で、2500ppm以下であることが好ましい。塩素の含有量を1600ppm以上とすることで、高い初期強度を適切に実現でき、2500ppm以下とすることで、製造設備の劣化防止を実現できる。塩素の含有量は、例えば蛍光X線測定を用いて測定される。なお、ここでの塩素は、固化材Aに含まれる塩素のうち、例えば水に溶出して水和反応に寄与する塩素を指し、水に溶出せずに水和反応に寄与しない塩素(例えば難溶性の塩化物由来の塩素)を含まないものとする。固化材Aに含まれる塩素は、セメントCに含まれていてもよいし、セメントC以外に含まれて固化材Aに添加されてもよい。セメントCに含まれる塩素は、水溶性の塩化物としてセメントCに含有されていることが好ましく、セメントC以外に含まれる塩素は、水溶性の塩化物として固化材Aに添加されていることが好ましい。水溶性の塩化物としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
【0018】
固化材Aは、ブレーン比表面積が、3000cm/g以上4900cm/g以下であることが好ましく、3500cm/g以上4900cm/g以下であることがより好ましい。また、固化材Aは、ブレーン比表面積が、4500cm/g以下であることが更に好ましい。ブレーン比表面積がこの範囲となることで、高い初期強度を適切に実現しつつ、スラリーの流動性の低下を抑制できる。
【0019】
(固化材を用いた地盤の強化方法)
次に、固化材Aを用いて地盤を強化する方法について説明する。図1は、固化材を用いて地盤を強化する方法を説明するフローチャートである。固化材Aを用いて地盤を強化すする際には、図1に示すように、固化材Aを準備して(ステップS10)、固化材Aを土壌に添加して混合する(ステップS12)。これにより、固化材Aに含まれるセメントCが土壌の水分と水和反応して硬化し、地盤を強化することができる。なお、土壌に対する固化材Aの添加量は、土壌の体積1mあたりに、30kg以上800kg以下であることが好ましく、100kg以上400kg以下であることがより好ましい。
【0020】
以上説明したように、本実施形態に係る固化材Aは、材齢7日の水和熱が380J/g以上のセメントCを含み、塩素の含有量が1600ppm以上である。本実施形態に係る固化材Aは、セメントCの水和熱が380J/g以上であり、かつ、固化材A全体の塩素の含有量が1600ppm以上であることで、高い初期強度を適切に実現できる。また、土壌に対する固化材Aの添加量の過度の増加や、加熱養生、硬化促進剤の添加などが不要となり、作業負荷の増加やコストの増加を抑制できる。
【0021】
また、セメントCは、材齢7日の水和熱が400J/g以上であることが好ましく、材齢7日の水和熱が450J/g以下であることが好ましい。
【0022】
また、固化材Aは、塩素の含有量が1800ppm以上であることが好ましく、塩素の含有量が2500ppm以下であることが好ましい。
【0023】
また、固化材Aは、ブレーン比表面積が3000cm/g以上4900cm/g以下であることが好ましい。
【0024】
また、固化材Aは、石灰石粉、フライアッシュ、高炉スラグ粉、及び、シリカ質混合成分のうち1つ以上を含む混合材Mの含有量が、固化材Aの全体に対して内割の質量比で、35%以下であることが好ましい。
【0025】
また、セメントCは、ポルトランドセメントであることが好ましい。
【0026】
(実施例)
次に、実施例について説明する。実施例においては、以降で説明する固化材を準備した。実施例では、セメントクリンカーの鉱物組成、石膏の含有量、塩化物の添加量などが異なる複数のサンプルを準備して、それぞれの固化材とした。固化材に含まれるセメントの材齢7日での水和熱は、JIS R 5203で規定される方法で測定した。また、固化材の塩素含有量は、JIS R 5202セメントの化学分析方法を用いて測定した。また、固化材のブレーン比表面積は、JIS R 5201セメントの物理試験方法を用いて測定した。
【0027】
そして、固化材を試料土に添加して、固化材を添加してから1時間(すなわち材齢1時間)における試料土の一軸圧縮強さを測定した。試料土は、JGS 0821-2009に規定された「安定処理土の締固めをしない供試体作製方法」で作製した。試料土への固化材の添加方法は、粉体添加とした。試料土の一軸圧縮強さの測定方法は、JIS A 1216とした。また、材齢1時間における試料土の一軸圧縮強さが200kN/m以上を、合格とした。
【0028】
表1に示すように、試料土としては、粘性土、砂質土、関東ローム、黒ぼくを用いた。試料土を粘性土及び砂質土とした場合の固化材の添加量は、試料土1mあたり、100kgとした。試料土を関東ローム及び黒ぼくとした場合の固化材の添加量は、試料土1mあたり、400kgとした。
【0029】
【表1】
【0030】
(実施例1)
表2に示すように、実施例1では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が380J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1712ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3000cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0031】
(実施例2)
表2に示すように、実施例2では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が395J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1722ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3020cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0032】
(実施例3)
表2に示すように、実施例3では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が401J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1715ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3010cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0033】
(実施例4)
表2に示すように、実施例4では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が421J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1712ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3020cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0034】
(実施例5)
表2に示すように、実施例5では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が442J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1706ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3080cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0035】
(実施例6)
表2に示すように、実施例6では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が450J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1710ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3050cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0036】
(比較例1)
表2に示すように、比較例1では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が351J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1722ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3040cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0037】
(比較例2)
表2に示すように、比較例2では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が369J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1725ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3090cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0038】
表2に示すように、材齢7日における水和熱が380J/gのセメントを用いた実施例においては、一軸圧縮強さが合格となっており、高い初期強度を実現できることが分かる。
【0039】
【表2】
【0040】
(実施例7)
表3に示すように、実施例7では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が384J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1600ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3050cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0041】
(実施例8)
表3に示すように、実施例8では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が389J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1623ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3080cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0042】
(実施例9)
表3に示すように、実施例9では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が380J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1700ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3020cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0043】
(実施例10)
表3に示すように、実施例10では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が395J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1800ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3020cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0044】
(実施例11)
表3に示すように、実施例11では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が382J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1862ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3010cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0045】
(実施例12)
表3に示すように、実施例12では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が395J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1915ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3030cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0046】
(実施例13)
表3に示すように、実施例13では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が388J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、2000ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3050cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0047】
(実施例14)
表3に示すように、実施例14では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が381J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、2321ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3040cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0048】
(実施例15)
表3に示すように、実施例15では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が380J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、2416ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3040cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0049】
(実施例16)
表3に示すように、実施例16では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が386J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、2500ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3060cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0050】
(実施例17)
表3に示すように、実施例17では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が414J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、2018ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3070cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0051】
(比較例3)
表3に示すように、比較例3では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が405J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1543ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3020cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0052】
(比較例4)
表3に示すように、比較例4では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が420J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1580ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3000cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0053】
(比較例5)
表3に示すように、比較例5では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が395J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1576ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3090cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0054】
表3に示すように、塩素含有量が1600ppm以上の固化材を用いた実施例においては、一軸圧縮強さが合格となっており、高い初期強度を実現できることが分かる。
【0055】
【表3】
【0056】
(実施例18)
表4に示すように、実施例18では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が380J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1720ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3000cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0057】
(実施例19)
表4に示すように、実施例19では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が395J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1724ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3250cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0058】
(実施例20)
表4に示すように、実施例20では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が382J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1731ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3450cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0059】
(実施例21)
表4に示すように、実施例21では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が395J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1711ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3500cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0060】
(実施例22)
表4に示すように、実施例22では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が388J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1722ppmで、固化材のブレーン比表面積が、4010cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0061】
(実施例23)
表4に示すように、実施例23では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が381J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1731ppmで、固化材のブレーン比表面積が、4350cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0062】
(実施例24)
表4に示すように、実施例24では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が380J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1710ppmで、固化材のブレーン比表面積が、4500cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0063】
(実施例25)
表4に示すように、実施例25では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が381J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1721ppmで、固化材のブレーン比表面積が、4900cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0064】
表4に示すように、ブレーン比表面積を高くすることで、より高い初期強度を実現できることが分かる。
【0065】
【表4】
【0066】
(実施例26)
表5に示すように、実施例26では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が380J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1720ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3020cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で35%とした。
【0067】
(実施例27)
表5に示すように、実施例27では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が395J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1724ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3250cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で30%とした。
【0068】
(実施例28)
表5に示すように、実施例28では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が382J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1731ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3450cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で25%とした。
【0069】
(実施例29)
表5に示すように、実施例29では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が395J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1711ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3480cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で20%とした。
【0070】
(実施例30)
表5に示すように、実施例30では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が388J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1722ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3470cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で10%とした。
【0071】
(実施例31)
表5に示すように、実施例31では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が381J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1731ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3330cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で5%とした。
【0072】
(実施例32)
表5に示すように、実施例32では、試料土として粘性土を用いて、固化材に含まれるセメントとしては、材齢7日における水和熱が381J/gのものを用いた。また、固化材の塩素含有量は、1710ppmで、固化材のブレーン比表面積が、3480cm/gであり、固化材への混合材の含有量は、固化材全体に対して内割の質量比で0%とした。
【0073】
表5に示すように、混合材の含有量を少なくしてセメントの含有量を多くすることで、より高い初期強度を実現できることが分かる。
【0074】
【表5】
【0075】
(実施例33-実施例40)
表6に示すように、実施例33から実施例40では、試料土として砂質土を用いた。実施例33から実施例40の固化材は、それぞれ、実施例1、実施例4、実施例9、実施例12、実施例20、実施例22、実施例28、実施例30のものを用いた。
【0076】
(実施例41-実施例48)
表6に示すように、実施例41から実施例48では、試料土として関東ロームを用いた。実施例41から実施例48の固化材は、それぞれ、実施例1、実施例4、実施例9、実施例12、実施例20、実施例22、実施例28、実施例30のものを用いた。
【0077】
(実施例49-実施例56)
表6に示すように、実施例49から実施例56では、試料土として黒ぼくを用いた。実施例49から実施例56の固化材は、それぞれ、実施例1、実施例4、実施例9、実施例12、実施例20、実施例22、実施例28、実施例30のものを用いた。
【0078】
(比較例6、比較例7)
表6に示すように、比較例6及び比較例7では、試料土として砂質土を用いた。比較例6及び比較例7の固化材は、それぞれ、比較例1、比較例5のものを用いた。
【0079】
(比較例8、比較例9)
表6に示すように、比較例8及び比較例9では、試料土として関東ロームを用いた。比較例8及び比較例9の固化材は、それぞれ、比較例1、比較例5のものを用いた。
【0080】
(比較例10、比較例11)
表6に示すように、比較例10及び比較例11では、試料土として黒ぼくを用いた。比較例10及び比較例11の固化材は、それぞれ、比較例1、比較例5のものを用いた。
【0081】
表6に示すように、試料土を変えても、材齢7日の水和熱が380J/g以上のセメントを含み、塩素の含有量が1600ppm以上の固化材を用いることで、高い初期強度を実現できることが分かる。
【0082】
【表6】
【0083】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0084】
A 固化材
C セメント
M 混合材
図1