(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-14
(45)【発行日】2024-02-22
(54)【発明の名称】研磨パッド、研磨パッドの製造方法及びそれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/24 20120101AFI20240215BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240215BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20240215BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20240215BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240215BHJP
【FI】
B24B37/24 C
H01L21/304 622F
C08G18/10
C08G18/00 F
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2021181530
(22)【出願日】2021-11-05
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0147994
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0147984
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ヘヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジャンウォン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョンウク
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-078839(JP,A)
【文献】再公表特許第2004/010487(JP,A1)
【文献】特開2004-296591(JP,A)
【文献】特開2019-188594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0184359(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/24
H01L 21/304
C08G 18/10
C08G 18/00
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨層を含み、
下記式1による値が0.8~1であり
前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、硬化剤及び発泡剤を含む組成物を硬化させた硬化物を含む、酸化膜及び窒化膜含有の研磨対象を研磨するための研磨パッド。
[式1]
前記Hは、
2cm×2cm(厚さ:2mm)の大きさに切り出した後、温度25℃及び湿度50±5%の環境で16時間静置し後、D型硬度計を使用し、30秒の測定条件下で測定された前記研磨層の研磨面の表面硬度(shore D)であり、
前記Mは、
万能試験機及び伸び計を使用し、グリップ距離60mm及び500mm/分の速度でテストしながら、破断直前の最高強度値を取得した後、取得した値を通じてStrain-Stress曲線の20~70%の領域での傾きを計算して導出された前記研磨層の弾性モジュラス(N/mm
2)であり、
前記Eは、
万能試験機及び伸び計を使用し、グリップ距離60mm及び500mm/分の速度でテストしながら、破断直前の最大変形量を測定した後、最初の長さに対する最大変形量の割合を百分率(%)で示した前記研磨層の伸び(%)である。
【請求項2】
前記研磨層の下記式2による値が0.6~1.2である、請求項1に記載の研磨パッド。
[式2]
ここで、
H、M及びEは、請求項1と同一である。
【請求項3】
前記研磨層の下記式3による値が1~1.7である、請求項1に記載の研磨パッド。
[式3]
ここで、
M及びEは、請求項1と同一である。
【請求項4】
前記研磨層の下記式4による値が1~1.7である、請求項1に記載の研磨パッド。
[式4]
ここで、
M及びHは、請求項1と同一である。
【請求項5】
前記研磨パッドの酸化膜(Oxide)及び窒化膜(Nitride)に対する研磨選択比(Ox RR/Nt RR)が25~40である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記研磨パッドは、研磨工程によって対象膜が平坦度から外れる程度を測定したディッシング(Dishing)の絶対値が1~100Åである、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
i)ウレタン系プレポリマーを製造するステップと、
ii)前記ウレタン系プレポリマー、発泡剤及び硬化剤を含む研磨層製造用組成物を製造するステップと、
iii)前記研磨層製造用組成物を硬化して研磨層を製造するステップとを含み、
前記研磨層の下記式1による値が0.8~1である、酸化膜及び窒化膜含有の研磨対象を研磨するための研磨パッドの製造方法。
[式1]
前記Hは、
2cm×2cm(厚さ:2mm)の大きさに切り出した後、温度25℃及び湿度50±5%の環境で16時間静置し後、D型硬度計を使用し、30秒の測定条件下で測定された前記研磨層の研磨面の表面硬度(shore D)であり、
前記Mは、
万能試験機及び伸び計を使用し、グリップ距離60mm及び500mm/分の速度でテストしながら、破断直前の最高強度値を取得した後、取得した値を通じてStrain-Stress曲線の20~70%の領域での傾きを計算して導出された前記研磨層の弾性モジュラス(N/mm
2)であり、
前記Eは、
万能試験機及び伸び計を使用し、グリップ距離60mm及び500mm/分の速度でテストしながら、破断直前の最大変形量を測定した後、最初の長さに対する最大変形量の割合を百分率(%)で示した前記研磨層の伸び(%)である。
【請求項8】
前記研磨層の下記式3による値が1~1.7である、請求項7に記載の研磨パッドの製造方法。
[式3]
ここで、
M及びEは、請求項7と同一である。
【請求項9】
1)研磨層を含む研磨パッドを提供するステップと、
2)前記研磨層の研磨面に半導体基板の被研磨面が当接するように相対回転させながら、前記半導体基板を研磨するステップとを含み、
前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、硬化剤及び発泡剤を含む組成物を硬化させた硬化物を含み、
前記研磨層は、下記式1による値が0.8~1であり、
前記半導体基板の被研磨面は、酸化膜及び窒化膜を含む、半導体素子の製造方法。
[式1]
前記Hは、
2cm×2cm(厚さ:2mm)の大きさに切り出した後、温度25℃及び湿度50±5%の環境で16時間静置し後、D型硬度計を使用し、30秒の測定条件下で測定された前記研磨層の研磨面の表面硬度(shore D)であり、
前記Mは、
万能試験機及び伸び計を使用し、グリップ距離60mm及び500mm/分の速度でテストしながら、破断直前の最高強度値を取得した後、取得した値を通じてStrain-Stress曲線の20~70%の領域での傾きを計算して導出された前記研磨層の弾性モジュラス(N/mm
2)であり、
前記Eは、
万能試験機及び伸び計を使用し、グリップ距離60mm及び500mm/分の速度でテストしながら、破断直前の最大変形量を測定した後、最初の長さに対する最大変形量の割合を百分率(%)で示した前記研磨層の伸び(%)である。
【請求項10】
前記研磨層の下記式3による値が1~1.7である、請求項9に記載の半導体素子の製造方法。
[式3]
ここで、
M及びEは、請求項9と同一である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的機械的平坦化(Chemical Mechanical Planarization、CMP)工程に使用される研磨パッド、その製造方法及びそれを用いた半導体素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程のうち、化学的機械的平坦化(CMP)工程は、ウエハ(wafer)をヘッドに付着してプラテン(platen)上に形成された研磨パッドの表面に接触するようにした状態で、スラリーを供給してウエハ表面を化学的に反応させながら、プラテンとヘッドを相対運動させ、機械的にウエハ表面の凹凸部分を平坦化する工程である。
【0003】
通常、半導体素子の素子分離膜を形成するCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程を行う場合、酸化膜とパッド窒化膜の研磨選択比を増加させるために酸化膜とパッド窒化膜との間の研磨速度の差が大きいセリア系の高選択度スラリーを使用する。しかし、セリア系の研磨剤を使用する場合、粒子間の凝集により沈殿現象が生じ、これを防止するために、既存の装備の代わりに沈殿を防止することができるスラリー沈殿防止装置を使用する必要があるという問題点がある。
【0004】
また、セリア系の研磨剤を使用する場合、酸化膜とパッド窒化膜との間の研磨選択比を増加させる化合物を添加するが、このような場合、多成分系スラリー供給装置を必要とし、セリア研磨粒子間の分散性にも影響を与えてスラリーの寿命を減少させるという問題点がある。
【0005】
このような問題を解決するために、スラリー供給装置の終端に、セリア研磨剤と追加される化合物とを混合する新しい装置を追加することが提案されているが、このような装置を追加しても研磨剤と追加の化合物との混合比を正確に制御するか、維持し難いという問題点がある。
【0006】
セリア系の研磨剤の場合、酸化膜に対する研磨速度がシリカ系のスラリーに比べて遅いため、研磨工程に必要な時間が増えるので、酸化膜のみ研磨される第1の次工程には、シリカ系のスラリーを使用し、酸化膜とパッド窒化膜とが同時に研磨される第2の次工程には、セリア系の研磨剤を使用する方法が提案されている。
【0007】
しかし、このような方法は、シリカ系のスラリーとセリア系の研磨剤との間のpHの差による凝集などのスラリー間の基本的な特性の差により欠陥が生じる可能性が高く、互いに異なるプラテン(platen)で互いに異なるヘッドを使用して研磨工程を行う必要があるので、工程が複雑になり、2つの装備を用いる必要があるという問題点がある。
【0008】
結果として、スラリー内の研磨剤の種類に応じて選択比の調節が容易でないという問題があり、これを解決するためには、スラリーに含まれる研磨剤の影響を受けずに、高い研磨選択比を生じ得る研磨パッドに関する開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、研磨パッド及びその製造方法を提供するものである。
【0010】
本発明の他の目的は、研磨速度、研磨プロファイルのような研磨工程に求められる研磨性能を維持し、研磨工程上でウエハに生じ得る欠陥を最小化し、互いに異なる材質の膜質が同時に研磨時にも同等の水準の平坦度を有するように研磨することができる研磨パッド及びその製造方法を提供するものである。
【0011】
本発明の他の目的は、CMP工程内の研磨パッドの適用時に、直接的な研磨テスト無しに、研磨パッドの物性値を通じて研磨工程上の性能と共に、最適の研磨選択比を制御するための研磨パッドを判別することができる研磨パッド及びその製造方法を提供することができる。
【0012】
本発明の他の目的は、研磨パッドを適用した半導体素子の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る研磨パッドは、研磨層を含み、下記式1による値が0.6~1.2である。
[式1]
【0014】
前記Hは、前記研磨層の研磨面の表面硬度(shore D)であり、
前記Mは、前記研磨層の弾性モジュラス(N/mm
2)であり、
前記Eは、前記研磨層の伸び(%)である。
【0015】
本発明の他の一実施形態に係る研磨パッドの製造方法は、i)プレポリマー組成物を製造するステップと、ii)前記プレポリマー組成物、発泡剤及び硬化剤を含む研磨層製造用組成物を製造するステップと、iii)前記研磨層製造用組成物を硬化して研磨層を製造するステップとを含み、前記研磨層は、下記式1による値が0.6~1.2である。
[式1]
【0016】
前記Hは、前記研磨層の研磨面の表面硬度(shore D)であり、
前記Mは、前記研磨層の弾性モジュラス(N/mm
2)であり、
前記Eは、前記研磨層の伸び(%)である。
【0017】
本発明の他の一実施形態に係る半導体素子の製造方法は、1)研磨層を含む研磨パッドを提供するステップと、2)前記研磨層の研磨面に半導体基板の被研磨面が当接するように相対回転させながら、前記半導体基板を研磨するステップとを含み、前記研磨層は、下記式1による値が0.6~1.2である。
[式1]
【0018】
【0019】
前記Hは、前記研磨層の研磨面の表面硬度(shore D)であり、
前記Mは、前記研磨層の弾性モジュラス(N/mm2)であり、
前記Eは、前記研磨層の伸び(%)である。
【0020】
【発明の効果】
【0021】
本発明の研磨パッドは、研磨速度、研磨プロファイルのような研磨工程に求められる研磨性能を維持し、研磨工程上でウエハに生じ得る欠陥を最小化し、互いに異なる材質の膜質が同時に研磨時にも同等の水準の平坦度を有するように研磨することができ、CMP工程内の研磨パッドの適用時に、直接的な研磨テスト無しに、研磨パッドの物性値を通じて研磨工程上の性能と共に、最適の研磨選択比を制御するための研磨パッドを判別することができる。
【0022】
また、前記研磨パッドを適用した半導体素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る半導体素子の製造工程の概略的な工程図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るディッシング(dishing)を測定するための概略的な工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0025】
本発明で使用される成分、分子量のような特性、反応条件などの量を表現する数はすべての事例において、用語「約」で修飾されるものと理解されるべきである。
【0026】
本発明で特に記述されない限り、すべての百分率、部、比などの重量基準である。
【0027】
本発明で「含む」とする場合、これは特に反対する記載がない限り、他の構成要素を除外することではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0028】
本発明で、「複数の」は、一つ超過を指す。
【0029】
本発明で、酸化膜は酸化ケイ素膜であり、窒化膜は窒化ケイ素膜であってもよいが、前記例示に限定されず、半導体基板の製造時に使用し得る対象膜質として、酸化または窒化した対象膜質をすべて意味するものであってもよい。
【0030】
本発明の一実施形態に係る研磨パッドは、研磨層を含み、下記式1による値が0.6~1.2であることを特徴とする。
[式1]
【0031】
前記Hは、前記研磨層の研磨面の表面硬度(shore D)であり、
前記Mは、前記研磨層の弾性モジュラス(N/mm
2)であり、
前記Eは、前記研磨層の伸び(%)である。
【0032】
また、本発明の研磨層は、下記式2による値が0.6~1.2であってもよい。
[式2]
【0033】
ここで、
H、M及びEは、前記式1で定義した通りである。
【0034】
前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、硬化剤及び発泡剤を含む組成物を硬化させた硬化物を含み、前記ウレタン系プレポリマーは、ポリオール、イソシアネートを反応させて製造することができる。
【0035】
前記研磨層の製造時に含まれ得る硬化剤の種類及び含有量などによって硬化剤のアミン基(-NH2)、及びアルコール基(-OH)のような硬化反応基及びプレポリマーのイソシアネート基(-NCO)の当量が決定され、モールドの成形温度に応じて硬化速度及び化学的反応の順次的順番が決定される。
【0036】
前記かかる要素によって研磨パッドの最終のウレタン系硬化構造が決定される。前記最終のウレタン系硬化構造により、研磨層の物理的/機械的物性である硬度、弾性モジュラス及び伸びなどの特性として発現することができる。
【0037】
特に、本発明の研磨層は、硬度、弾性モジュラス及び伸びによる前記式1による値が0.6~1.2であり、0.7~1.1であり、0.8~1であり、前記式2による値が0.6~1.2であり、0.7~1.1であり、0.8~1であってもよい。
【0038】
前記式1及び/または式2による値が前記範囲内に含まれる場合、酸化膜及び窒化膜含有の研磨対象の研磨性能のうち、特に研磨選択比を制御することができる。
【0039】
一般的に、酸化物層に対する窒化物層の研磨選択比は、ディッシング(Dishing)現象の防止と共に、ウエハに生じ得る欠陥を最小化することができるように調節されるべきである。
【0040】
酸化物層に対する窒化物層の研磨選択比が小さい場合には、隣接する窒化物層パターンの損失により酸化物層が過剰除去されるディッシング(dishing)現象が生じ、均一な表面平坦化を達成できないという問題がある。
【0041】
また、酸化物層に対する窒化物層の研磨選択比が大きい場合には、上層が過度に除去されて凹む現象(recess)が生じ、絶縁層あるいはバリア層が研磨粒子の物理的な作用によって崩れる現象(erosion)が深化することがある。
【0042】
すなわち、本発明の研磨パッドは、酸化膜及び窒化膜に対する研磨選択比を一定の範囲に制御され、半導体基板内の対象膜質に対する表面平坦化を達成することを特徴とする。
【0043】
前記式1及び式2は、硬度、弾性モジュラス及び伸びに対する重みを限定し、これによる値を計算したものであり、前記式による硬度、弾性モジュラス及び伸び間の関係を通じて、研磨パッドの酸化膜(Oxide)及び窒化膜(Nitride)の研磨選択比(Ox RR/Nt RR)を調節することができる。
【0044】
前記研磨パッドの研磨層は、ウレタン系フリーポリマーを含むもので、前記ウレタン系プレポリマーは、硬化構造により、硬度、弾性モジュラス及び伸びの物理/機械的な特徴に影響を及ぼすことができる。
【0045】
前記研磨層の物理的/機械的特性は、前記研磨層を含む研磨パッドを研磨工程に適用時に、研磨率に直接に影響を及ぼす要素に該当するもので、硬度、弾性モジュラス及び伸びの違いにより、対象膜に対する研磨率に違いが生じ得る。
【0046】
前記研磨率を調節することは、前述のように、各対象膜質に対する研磨率を微調節することにより、欠陥発生を防止することができる。つまり、研磨率の調節によってディッシング(dishing)、リセス(recess)、エロージョン(erosion)のような欠陥発生を防止することができる。前記対象膜質は、酸化物層及び窒化物層であってもよいが、前記膜質に制限されない。
【0047】
研磨層の物理的/機械的特性の硬度、弾性モジュラス及び伸びは、対象膜質の研磨率に影響を及ぼす重要な要素であり、硬度、弾性モジュラス及び伸びの値が特定の研磨率を示すことができるように調和されるとき、所望の研磨性能の発揮が可能である。
【0048】
そこで、本発明では、前記式1及び式2のように、硬度、弾性モジュラス及び伸びに対する重み付けをし、これに対する値を特定し、酸化膜及び窒化膜に対する研磨選択比を調節し、優れた研磨性能を発揮することができる。
【0049】
他の具現例として、CMP研磨工程上で、研磨パッドの使用は、研磨テストを通じて研磨選択比が工程に適したものであるかの確認が必要である。
【0050】
具体的に、CMP研磨工程上で酸化膜(Oxide)及び窒化膜(Nitride)に対する研磨速度の確認が必要であるが、該当研磨速度の確認は、直接的な研磨テストを通じて確認される数値のみを通じて確認可能であった。
【0051】
ただし、本発明の研磨パッドのように、前記研磨面の表面硬度、弾性モジュラス及び伸びに対する物性値を確認し、これを前記式1及び式2に代入して値を導出すると、酸化膜(Oxide)及び窒化膜(Nitride)に対する研磨選択比の予想数値を導出することができ、研磨テスト無しに、研磨パッドの使用を可能にすることができる。
【0052】
前記研磨パッドは、酸化膜(Oxide)に対する研磨率が1,500Å/min~2500Å/minであり、2,000Å/min~2,400Å/minであり、2,100Å/min~2,400Å/minであり、窒化膜(Nitride)に対する研磨率が35Å/min~100Å/minであり、40Å/min~90Å/minであり、45Å/min~80Å/minであってもよい。
【0053】
また、前記酸化膜(Oxide)及び窒化膜(Nitride)の研磨選択比(Ox RR/Nt RR)は、25~40、30~35、または、31~33であってもよい。
【0054】
前記本発明の研磨パッドは、前記酸化膜に対する研磨率及び窒化膜に対する研磨率が前記範囲内に含まれ、酸化膜(Oxide)及び窒化膜(Nitride)の研磨選択比(Ox RR/Nt RR)が前記範囲内に含まれ得る。つまり、酸化膜に対する研磨率及び窒化膜の研磨率がすべて前記範囲内に含まれ、同時に酸化膜(Oxide)及び窒化膜(Nitride)の研磨選択比の値も前記範囲内に含まれることを特徴とする。
【0055】
前記酸化膜及び窒化膜に対する研磨率及び研磨選択比が前記範囲内に含まれる場合、研磨性能が優れており、研磨率の調節によってディッシング(dishing)、リセス(recess)、エロージョン(erosion)のような欠陥発生を防止することができる。
【0056】
前記研磨選択比は、酸化膜及び窒化膜に対する研磨率を測定して計算されたものであり、具体的に、前記酸化膜に対する研磨率は、酸化ケイ素(SiOx)膜が蒸着された直径が300mmであるシリコンウエハを用い、研磨荷重が1.4psiであり、セリアスラリーを190ml/分の速度で研磨面に投入し、研磨パッドが装着された定盤を115rpmの速度で回転させ、60秒間酸化ケイ素膜を研磨した後、厚さを測定し、研磨前との厚さの差を用いて研磨率を計算した。
【0057】
前記窒化膜に対する研磨率は、SiN膜が蒸着された直径が300mmであるシリコンウエハを用い、研磨荷重が1.4psiであり、セリアスラリーを190ml/分の速度で研磨面に投入し、研磨パッドが装着された定盤を115rpmの速度で回転させ、60秒間SiN膜研磨した後、厚さを測定し、研磨前との厚さの差を用いて研磨率を計算した。
【0058】
前記研磨層の下記式1及び2の外に研磨層の弾性モジュラス及び伸びの関係に関する下記式3による値は、1~1.7であってもよい。
[式3]
【0059】
ここで、
Mは、前記研磨層の弾性モジュラス(N/mm
2)であり、
Eは、前記研磨層の伸び(%)である。
【0060】
また、前記研磨層の弾性モジュラス及び表面硬度の関係に関する下記式4による値は、1~1.7であってもよい。
[式4]
【0061】
ここで、
Mは、前記研磨層の弾性モジュラス(N/mm
2)であり、
Hは、前記研磨層の研磨面の表面硬度(shore D)である。
【0062】
前記式1及び2は、弾性モジュラス及び伸びに対する重みを限定し、前記式による表面硬度、弾性モジュラス及び伸び間の最適な組み合わせを確認するためのものである。
【0063】
前記式3及び4は、弾性モジュラス及び伸びの組み合わせ(式3)または弾性モジュラス及び表面硬度の組み合わせ(式4)を通じて、前記式3及び式4の範囲の値を満たす研磨パッドは、優れた研磨性能及び研磨工程上でウエハに生じ得る欠陥、特にディッシングの発生を最小化することができる。
【0064】
図2は、研磨パッドを用いて半導体基板を研磨し、研磨工程により生じるディッシングを確認するための工程図である。
【0065】
具体的に、直径が300mmであるウエハであり、Si基板(1)の一面に窒化膜(3)及び酸化膜(2)が蒸着されたもので、ライン(30)及びスペース(40)が、各100μmであるパターンが形成されたものを用いて研磨工程を行った。
【0066】
前記研磨工程の研磨条件は、研磨荷重が4.0psiであり、セリアスラリーを300ml/分の条件下で研磨面に投入しながら、研磨パッドが装着された定盤を87rpmで回転させながら、60秒間研磨した。前記研磨工程によって酸化膜の段差(50)が1200Å~1400Åであり、窒化膜の段差(20)が1000Åである。
【0067】
以後、40秒間前記と同一の研磨条件で、追加研磨工程を行い、ディッシング程度(60)を測定した。
【0068】
前記ディッシング値(Å)は、窒化膜の最大高さから酸化膜の最大高さまでの距離を測定したもので、絶対値を基準として、1Å~100Å、2Å~50Å、3Å~40Åの範囲で調節することができ、欠陥抑制効果に優れている。
【0069】
すなわち、従来の研磨パッドは、
図2と同じ方式で研磨工程を行い、ディッシングを測定した結果、100Åを超えており、本発明の研磨パッドと大きい差を示す。
【0070】
前記研磨パッドは、互いに異なる材質の膜質に対して同時に同等の水準の平坦度を有することができるようにするためには、研磨層の機械的物性に対する調節が非常に重要な要素となる。研磨パッドが、前記式3及び/または式4の値が1~1.7である条件を満たす場合、酸化膜及び窒化膜含有の研磨対象の研磨性能を、特にディッシング防止の面から目的とする水準に具現することができる。
【0071】
前記式3及び/または式4は、研磨パッド自体の機械的物性値を構成要素とするパラメータであって、これを満たす場合、研磨速度、研磨プロファイルのような研磨工程に求められる研磨性能を維持し、研磨工程上でウエハに生じ得る欠陥を最小化し、ディッシングを防止することができる。
【0072】
また、式1及び/または式2のように、前記式3及び/または式4を用いて計算された値が、本発明の範囲内に含まれる場合、研磨工程を直接適用する現場で複数の研磨パッドのうち対象膜質または停止膜による研磨パッドの選択が必要な場合には、直接的な研磨テスト無くても研磨パッドの物性値を通じて、前記式3及び/または式4の値を通じて研磨パッドの性能を直接的に判別することができ、欠陥発生の防止効果に優れた研磨パッドを選択することができる。
【0073】
これは、現場で研磨パッドを適用しようとする場合、直接的な研磨テストを通じて性能を確認する必要があるという煩わしさを回避でき、測定された研磨パッドの物性値を用いて、前記式3及び/または式4の値を満たす研磨パッドを容易に選択することができ、これを工程に適用する場合、研磨パッドへの性能だけでなく、欠陥防止、特にディッシング防止効果に優れている。
【0074】
本発明の他の一実施例において、前記研磨パッドは、研磨層の研磨面での表面硬度(shore D)が45~65であり、前記研磨層の弾性モジュラス(Modulus)が70N/mm2~200N/mm2であり、前記研磨層の伸びが60%~140%である。
【0075】
具体的に、前記研磨層の研磨面は、25℃での表面硬度(shore D)が45~65であり、50~60であり、55~59であってもよい。
【0076】
前記弾性モジュラスは、70~200N/mm2であり、100N/mm2~150N/mm2であり、105N/mm2~140N/mm2であってもよい。
【0077】
前記伸びは、70%~120%であり、75%~100%であり、77%~90%であってもよい。
【0078】
本発明の他の一実施例において、前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、硬化剤及び発泡剤を含む組成物から形成された硬化物を含む研磨層を含んでもよい。
【0079】
前記組成物に含まれる各成分を、以下に具体的に説明する。
【0080】
「プレポリマー(prepolymer)」とは、硬化物製造において、成形しやすいように重合度を中間段階で停止した比較的低い分子量を有する高分子を意味する。プレポリマーは、それ自体でまたは他の重合性化合物と反応させた後、最終硬化物に成形することができる。
【0081】
一具現例において、前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させて製造することができる。
【0082】
前記ウレタン系プレポリマーの製造に使用されるイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを使用することができる。
【0083】
前記イソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluenediisocyanate、2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluenediisocyanate、2,6-TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(p-phenylenediisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidinediisocyanate)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylenediisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethanediisocyanate)、イソホロンジイソシアネート(isoporonediisocyanate)、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含んでもよい。
【0084】
「ポリオール」とは、分子当たりヒドロキシ基(-OH)を少なくとも2以上含む化合物を意味する。前記ポリオールは、例えば、ポリエーテル系ポリオール(polyether polyol)、ポリエステル系ポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネート系ポリオール(polycarbonate polyol)、アクリル系ポリオール(acryl polyol)、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含んでもよい。
【0085】
前記ポリオールは、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含んでもよい。
【0086】
前記ポリオールは、約100g/mol~約3,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。前記ポリオールは、例えば、約100g/mol~約3,000g/mol、例えば、約100g/mol~約2,000g/mol、例えば、約100g/mol~約1,800g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0087】
一具現例において、前記ポリオールは、重量平均分子量(Mw)が、約100g/mol以上、約300g/mol未満である低分子量ポリオール及び重量平均分子量(Mw)が、約300g/mol以上、約1800g/mol以下である高分子量ポリオールを含んでもよい。
【0088】
前記ウレタン系プレポリマーは、約500g/mol~約3,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。前記ウレタン系プレポリマーは、例えば、約600g/mol~約2,000g/mol、例えば、約800g/mol~約1,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0089】
一具現例において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物を含んでもよいし、前記芳香族ジイソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)及び2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含んでもよい。前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのポリオール化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)及びジエチレングリコール(DEG)を含んでもよい。
【0090】
他の具現例において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物及び脂環族ジイソシアネート化合物を含んでもよいし、例えば、前記芳香族ジイソシアネート化合物は、2,4-トルエンジイソシアネート(2、4-TDI)及び2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含み、前記脂環族ジイソシアネート化合物は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を含んでもよい。前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのポリオール化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)及びジエチレングリコール(DEG)を含んでもよい。
【0091】
前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート末端基の含有量(NCO%)が、約5重量%~約11重量%、例えば、約5重量%~約10重量%、例えば、約5重量%~約8重量%、例えば、約8重量%~約10重量%であってもよい。前記範囲でNCO%を有する場合、適切な研磨パッド内の研磨層の物性を示し、研磨速度、研磨プロファイルのような研磨工程に求められる研磨性能を維持し、研磨工程上でウエハに生じ得る欠陥を最小化することができる。
【0092】
また、酸化膜(Oxide)及び窒化膜(Nitride)の研磨選択比(Ox RR/Nt RR)を調節し、ディッシング(dishing)、リセス(recess)、及びエロージョン(erosion)現象を防止してウエハ内の表面平坦化を達成することができる。
【0093】
前記ウレタン系プレポリマーのイソシアネート末端基の含有量(NCO%)は、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのイソシアネート化合物及びポリオール化合物の種類及び含有量、前記ウレタン系プレポリマーを製造する工程の温度、圧力、時間などの工程条件及び前記ウレタン系プレポリマーの製造に用いられる添加剤の種類及び含有量などを総合的に調節して設計することができる。
【0094】
前記硬化剤は、前記ウレタン系プレポリマーと化学的に反応して、前記研磨層の最終の硬化構造を形成するための化合物であって、例えば、アミン化合物またはアルコール化合物を含んでもよい。具体的に、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含んでもよい。
【0095】
例えば、前記硬化剤は、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(4,4'-methylene bis(2-chloroaniline);MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine;DETDA)、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenylmethane)、ジメチルチオトルエンジアミン(dimethylthio-toluene diamine;DMTDA)、プロパンジオールビスp-アミノベンゾエート(propanediol bis p-aminobenzoate)、メチレンビス-メチルアントラニレート(Methylene bis-methylanthranilate)、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenylsulfone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylene diamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含んでもよい。
【0096】
前記硬化剤の含有量は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約20重量部~約30重量部、約21重量部~約27重量部、例えば、約20重量部~約26重量部であってもよい。前記硬化剤の含有量が前記範囲を満たす場合、目的とする研磨パッドの性能を具現するのにさらに有利である。
【0097】
前記発泡剤は、前記研磨層内の気孔構造を形成するための成分であって、固相発泡剤、気相発泡剤、液相発泡剤及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含んでもよい。一具現例において、前記発泡剤は、固相発泡剤、気相発泡剤またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0098】
前記固相発泡剤の平均粒径は、約5μm~約200μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約21μm~約50μm、例えば、約25μm~約45μmであってもよい。前記固相発泡剤の平均粒径は、前記固相発泡剤が、後述の熱膨張した(expanded)粒子である場合、熱膨張した粒子自体の平均粒径を意味し、前記固相発泡剤が、後述の未膨張した(unexpanded)粒子である場合、熱または圧力によって膨張した後の粒子の平均粒径を意味することがある。
【0099】
前記固相発泡剤は、膨張性粒子を含んでもよい。前記膨張性粒子は、熱または圧力などによって膨張可能な特性を有する粒子であって、前記研磨層を製造する過程で加わる熱または圧力などによって最終の研磨層内での大きさが決定される。前記膨張性粒子は、熱膨張した(expanded)粒子、未膨張した(unexpanded)粒子、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。前記熱膨張した粒子は、熱によって事前に膨張した粒子であって、前記研磨層の製造過程で加わる熱または圧力による大きさの変化が小さいか、ほとんどない粒子を意味する。前記未膨張した粒子は、事前に膨張していない粒子であって、前記研磨層の製造過程で加わる熱または圧力によって膨張して最終の大きさが決定される粒子を意味する。
【0100】
前記膨張性粒子は、樹脂材質の外皮と、前記外皮で封入された内部に存在する膨張誘発成分とを含んでもよい。
【0101】
例えば、前記外皮は、熱可塑性樹脂を含んでもよいし、前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体及びアクリル系共重合体からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0102】
前記膨張誘発成分は、炭化水素化合物、クロロフルオロ化合物、テトラアルキルシラン化合物及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含んでもよい。
【0103】
具体的に、前記炭化水素化合物は、エタン(ethane)、エチレン(ethylene)、プロパン(propane)、プロペン(propene)、n-ブタン(n-butane)、イソブタン(isobutene)、n-ブテン(butene)、イソブテン(isobutene)、n-ペンタン(n-pentane)、イソペンタン(isopentane)、ネオペンタン(neopentane)、n-ヘキサン(n-hexane)、ヘプタン(heptane)、石油エーテル(petroleumether)、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含んでもよい。
【0104】
前記クロロフルオロ化合物は、トリクロロフルオロメタン(trichlorofluoromethane、CCl3F)、ジクロロジフルオロメタン(dichlorodifluoromethane、CCl2F2)、クロロトリフルオロメタン(chlorotrifluoromethane、CClF3)、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、CClF2-CClF2)、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含んでもよい。
【0105】
前記テトラアルキルシラン化合物は、テトラメチルシラン(tetramethylsilane)、トリメチルエチルシラン(trimethylethylsilane)、トリメチルイソプロピルシラン(trimethylisopropylsilane)、トリメチル-n-プロピルシラン(trimethyl-n-propylsilane)、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含んでもよい。
【0106】
前記固相発泡剤は、選択的に無機成分処理粒子を含んでもよい。例えば、前記固相発泡剤は、無機成分処理された膨張性粒子を含んでもよい。一具現例において、前記固相発泡剤は、シリカ(SiO2)粒子処理された膨張性粒子を含んでもよい。前記固相発泡剤の無機成分処理は、複数の粒子間の凝集を防止することができる。前記無機成分処理された固相発泡剤は、無機成分処理されていない固相発泡剤と発泡剤の表面の化学的、電気的及び/または物理的特性が異なることがある。
【0107】
前記固相発泡剤の含有量は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.5重量部~約10重量部、例えば、約1重量部~約3重量部、例えば、約1.3重量部~約2.7重量部、例えば、約1.3重量部~約2.6重量部であってもよい。
【0108】
前記研磨層の目的とする気孔構造及び物性に応じて前記固相発泡剤の種類及び含有量を設計することができる。
【0109】
前記気相発泡剤は、不活性ガスを含んでもよい。前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤とが反応する過程で投入され、気孔形成要素として使用することができる。
【0110】
前記不活性ガスは、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤との間の反応に関与しないガスであれば、種類は特に限定されない。例えば、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)、アルゴンガス(Ar)、ヘリウムガス(He)、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含んでもよい。具体的に、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)またはアルゴンガス(Ar)を含んでもよい。
【0111】
前記研磨層の目的とする気孔構造及び物性に応じて前記気相発泡剤の種類及び含有量を設計することができる
【0112】
一具現例において、前記発泡剤は、固相発泡剤を含んでもよい。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤のみからなってもよい。
【0113】
前記固相発泡剤は膨張性粒子を含み、前記膨張性粒子は熱膨張した粒子を含んでもよい。例えば、前記固相発泡剤は、熱膨張した粒子のみからなってもよい。前記未膨張した粒子を含まず、熱膨張した粒子のみからなる場合、気孔構造の可変性は低下するが、事前予測可能性が高くなり、前記研磨層の全領域にかけて均質な気孔特性を具現するのに有利である。
【0114】
一具現例において、前記熱膨張した粒子は、約5μm~約200μmの平均粒径を有する粒子であってもよい。前記熱膨張した粒子の平均粒径は、約5μm~約100μm、例えば、約10μm~約80μm、例えば、約20μm~約70μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約30μm~約70μm、例えば、約25μm~45μm、例えば、約40μm~約70μm、例えば、約40μm~約60μmであってもよい。前記平均粒径は、前記熱膨張した粒子のD50と定義される。
【0115】
一具現例において、前記熱膨張した粒子の密度は、約30kg/m3~約80kg/m3、例えば、約35kg/m3~約80kg/m3、例えば、約35kg/m3~約75kg/m3、例えば、約38kg/m3~約72kg/m3、例えば、約40kg/m3~約75kg/m3、例えば、約40kg/m3~約72kg/m3であってもよい。
【0116】
一具現例において、前記発泡剤は、気相発泡剤を含んでもよい。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤及び気相発泡剤を含んでもよい。前記固相発泡剤に関する事項は、前述の通りである。
【0117】
前記気相発泡剤は、窒素ガスを含んでもよい。
【0118】
前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマー、前記固相発泡剤及び前記硬化剤が混合される過程で、所定の注入ラインを通じて注入することができる。前記気相発泡剤の注入速度は、約0.8L/min~約2.0L/min、例えば、約0.8L/min~約1.8L/min、例えば、約0.8L/min~約1.7L/min、例えば、約1.0L/min~約2.0L/min、例えば、約1.0L/min~約1.8L/min、例えば、約1.0L/min~約1.7L/minであってもよい。
【0119】
前記研磨層を製造するための組成物は、界面活性剤、反応速度調節剤などのその他の添加剤をさらに含んでもよい。前記「界面活性剤」、「反応速度調節剤」などの名称は、該当物質の主な役割を基準にして任意に指す名称であり、それぞれの該当物質が必ずしも該当名称の役割に限る機能のみを行うわけではない。
【0120】
前記界面活性剤は、気孔同士の凝集または重畳などの現象を防止する役割を果たす物質であれば、特に制限されない。例えば、前記界面活性剤は、シリコン系界面活性剤を含んでもよい。
【0121】
前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.2重量部~約2重量部の含有量で使用することができる。具体的に、前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.2重量部~約1.9重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部から1.5重量部の含量で含まれてもよい。前記範囲内の含有量で界面活性剤を含む場合、気相発泡剤由来の気孔をモールド内で安定して形成及び維持することができる。
【0122】
前記反応速度調節剤は、反応促進または反応遅延の役割を果たすものであって、目的に応じて反応促進剤、反応抑制剤、またはこれらの両方を使用することができる。前記反応速度調節剤は、反応促進剤を含んでもよい。例えば、前記反応促進剤は、3次アミン系化合物及び有機金属系化合物からなる群より選択された1種以上の反応促進剤であってもよい。
【0123】
具体的に、前記反応速度調節剤は、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルブタンジアミン、2-メチル-トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、1,4-ジアザビサイクロ(2,2,2)オクタン、ビス(2-メチルアミノエチル)エーテル、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N、N,N、N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-メチル-2-アザノルボルネン、ジブチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫マリエート、ジブチル錫ジ-2-エチルヘキサノエート、及びジブチル錫ジメルカプチドからなる群より選択された1種以上を含んでもよい。具体的に、前記反応速度調節剤は、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン及びトリエチルアミンからなる群より選択された1種以上を含んでもよい。
【0124】
前記反応速度調節剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.05重量部~約2重量部の含有量で使用することができる。具体的に、前記反応速度調節剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.05重量部~約1.8重量部、例えば、約0.05重量部~約1.7重量部、例えば、約0.05重量部~約1.6重量部、例えば、約0.1重量部~約1.5重量部、例えば、約0.1重量部~約0.3重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~約1重量部の含有量で使用することができる。前記反応速度調節剤が、前述の含有量の範囲で使用される場合、プレポリマー組成物の硬化反応速度を適切に調節して所望の大きさの気孔及び硬度を有する研磨層を形成することができる。
【0125】
前記研磨パッドがクッション層を含む場合、前記クッション層は、前記研磨層を支持しながら、前記研磨層に加わる外部衝撃を吸収して分散させる役割を果たすことにより、前記研磨パッドを適用した研磨工程中の研磨対象に対する損傷及び欠陥発生を最小化することができる。
【0126】
前記クッション層は、不織布またはスエードを含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0127】
一具現例において、前記クッション層は、樹脂含浸不織布であってもよい。前記不織布は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含む繊維不織布であってもよい。
【0128】
前記不織布に含浸された樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、シリコンゴム樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ポリアミド系エラストマー樹脂及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれかを含んでもよい。
【0129】
以下、前記研磨パッドを製造する方法を詳細に説明することにする。
【0130】
本発明に係る他の具現例において、プレポリマー組成物を製造するステップと、前記プレポリマー組成物、発泡剤及び硬化剤を含む研磨層製造用組成物を製造するステップと、前記研磨層製造用組成物を硬化して研磨層を製造するステップとを含む研磨パッドの製造方法を提供することができる。
【0131】
前記プレポリマー組成物を製造するステップは、ジイソシアネート化合物及びポリオール化合物を反応させてウレタン系プレポリマーを製造する工程であってもよい。前記ジイソシアネート化合物及び前記ポリオール化合物に関する事項は、前記研磨パッドについて前述した通りである。
【0132】
前記プレポリマー組成物のイソシアネート基(NCO基)の含有量は、約5重量%~約15重量%、例えば、約5重量%~約8重量%、例えば、約5重量%~約7重量%、例えば、約8重量%~約15重量%、例えば、約8重量%~約14重量%、例えば、約8重量%~約12重量%、例えば、8重量%~約10重量%であってもよい。
【0133】
前記プレポリマー組成物のイソシアネート基の含有量は、前記ウレタン系プレポリマーの末端イソシアネート基、前記ジイソシアネート化合物のうち反応していない未反応のイソシアネート基等から由来してもよい。
【0134】
前記プレポリマー組成物の粘度は、約80℃で、約100cps~約1,000cpsであってもよいし、例えば、約200cps~約800cpsであってもよいし、例えば、約200cps~約600cpsであってもよいし、例えば、約200cps~約550cpsであってもよいし、例えば、約300cps~約500cpsであってもよい。
【0135】
前記発泡剤が固相発泡剤または気相発泡剤を含んでもよい。
【0136】
前記発泡剤が固相発泡剤を含む場合、前記研磨層製造用組成物を製造するステップは、前記プレポリマー組成物及び前記固相発泡剤を混合して第1の予備組成物を製造するステップと、前記第1の予備組成物と硬化剤とを混合して第2の予備組成物を製造するステップとを含んでもよい。
【0137】
前記第1の予備組成物の粘度は、約80℃で、約1,000cps~約2,000cpsであってもよいし、例えば、約1,000cps~約1,800cpsであってもよいし、例えば、約1,000cps~約1,600cpsであってもよいし、例えば、約1,000cps~約1,500cpsであってもよい。
【0138】
前記発泡剤が気相発泡剤を含む場合、前記研磨層製造用組成物を製造するステップは、前記プレポリマー組成物及び前記硬化剤を含む第3の予備組成物を製造するステップと、前記第3の予備組成物に前記気相発泡剤を注入して第4の予備組成物を製造するステップとを含んでもよい。
【0139】
一具現例において、前記第3の予備組成物は、固相発泡剤をさらに含んでもよい。
【0140】
一具現例において、前記研磨層を製造する工程は、第1の温度に予熱されたモールドを準備するステップと、前記予熱されたモールドに前記研磨層製造用組成物を注入して硬化させるステップと、硬化された前記研磨層製造用組成物を、前記予熱温度よりも高い第2の温度条件下で後硬化するステップとを含んでもよい。
【0141】
一具現例において、前記第1の温度は、約60℃~約120℃、例えば、約60℃~約100℃、例えば、約60℃~約80℃であってもよい。
【0142】
一具現例において、前記第2の温度は、約100℃~約130℃であってもよいし、例えば、約100℃~125℃であってもよいし、例えば、約100℃~約120℃であってもよい。
【0143】
前記研磨層製造用組成物を、前記第1の温度下で硬化させるステップは、約5分~約60分、例えば、約5分~約40分、例えば、約5分~約30分、例えば、約5分~約25分の間行ってもよい。
【0144】
前記第1の温度下で硬化された研磨層製造用組成物を、前記第2の温度下で後硬化するステップは、約5時間~約30時間、例えば、約5時間~約25時間、例えば、約10時間~約30時間、例えば、約10時間~約25時間、例えば、約12時間~約24時間、例えば、約15時間~約24時間の間行ってもよい。
【0145】
前記研磨パッドの製造方法は、前記研磨層の少なくとも一面を加工するステップを含んでもよい。前記加工ステップは、グルーブ(groove)を形成するものであってもよい。
【0146】
他の一実施例として、前記研磨層の少なくとも一面を加工するステップは、前記研磨層の少なくとも一面上にグルーブ(groove)を形成するステップ(1)と、前記研磨層の少なくとも一面を旋削(line turning)するステップ(2)と、前記研磨層の少なくとも一面を粗面化するステップ(3)のうち少なくとも一つのステップとを含んでもよい。
【0147】
前記ステップ(1)において、前記グルーブ(groove)は、前記研磨層の中心から所定の間隔で離間形成される同心円形のグルーブと、前記研磨層の中心から前記研磨層のエッジ(edge)まで連続連結される放射状のグルーブとの少なくとも一つを含んでもよい。
【0148】
前記ステップ(2)において、前記旋削(line turning)は、切削工具を用いて前記研磨層を所定の厚さだけ削り出す方法で行ってもよい。
【0149】
前記ステップ(3)において、前記粗面化は、前記研磨層の表面をサンディングローラー(Sanding roller)で加工する方法で行ってもよい。
【0150】
前記研磨パッドの製造方法は、前記研磨層の研磨面の裏面上にクッション層を積層するステップをさらに含んでもよい。
【0151】
前記研磨層と前記クッション層とは、融着着接着剤を介して積層してもよい。
【0152】
前記研磨層の研磨面の裏面上に前記融着着接着剤を塗布し、前記クッション層の前記研磨層と当接する表面上に前記融着着接着剤を塗布し、それぞれの融着着接着剤が塗布された面が当接するように、前記研磨層と前記クッション層とを積層した後、加圧ローラーを用いて二つの層を融着させることができる。
【0153】
別の一実施例において、研磨層を含む研磨パッドを提供するステップと、前記研磨層の研磨面に研磨対象の被研磨面が当接するように相対回転させながら、前記研磨対象を研磨するステップとを含む。
【0154】
図1は、一具現例に係る半導体素子製造工程の概略的な工程図を図示したものである。
図1を参照すると、前記一実施例に係る研磨パッド(110)を定盤(120)上に装着した後、研磨対象である半導体基板(130)を、前記研磨パッド(110)上に配置する。このとき、前記半導体基板(130)の被研磨面は、前記研磨パッド(110)の研磨面に直接接触される。研磨のために、前記研磨パッド上にノズル(140)を通じて研磨スラリー(150)が噴射されもよい。前記ノズル(140)を通じて供給される研磨スラリー(150)の流量は、約10cm
3/分~約1,000cm
3/分の範囲内で、目的に応じて選択されてもよいし、例えば、約50cm
3/分~約500cm
3/分であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0155】
以後、前記半導体基板(130)と前記研磨パッド(110)とは互いに相対回転して、前記半導体基板(130)の表面が研磨されてもよい。このとき、前記半導体基板(130)の回転方向及び前記研磨パッド(110)の回転方向は同一の方向であってもよいし、反対方向であってもよい。前記半導体基板(130)と前記研磨パッド(110)との回転速度は、それぞれ約10rpm~約500rpmの範囲で目的に応じて選択されてもよいし、例えば、約30rpm~約200rpmであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0156】
前記半導体基板(130)は、研磨ヘッド(160)に装着された状態で、前記研磨パッド(110)の研磨面に所定の荷重で加圧され、当接するようにした後、その表面が研磨されてもよい。前記研磨ヘッド(160)によって前記半導体基板(130)の表面に、前記研磨パッド(110)の研磨面に加わる荷重は、約1gf/cm2~約1,000gf/cm2の範囲で目的に応じて選択されてもよいし、例えば、約10gf/cm2~約800gf/cm2であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0157】
一具現例において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨パッド(110)の研磨面を研磨に適した状態に維持させるために、前記半導体基板(130)の研磨と同時にコンディショナー(170)を通じて前記研磨パッド(110)の研磨面を加工するステップをさらに含んでもよい。
【0158】
以下では、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は、本発明を具体的に例示するか、または説明するためのものに過ぎず、これにより本発明が限定されてはならない。
【0159】
実施例1
研磨パッドの製造
【0160】
ウレタン系プレポリマー、硬化剤、固相発泡剤の混合物注入ラインが備えられたキャスティング装備で、プレポリマータンクに未反応のNCOを9重量%有するウレタン系プレポリマーを充填し、硬化剤タンクにビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane、Ishihara社製品)を充填した。また、前記ウレタン系プレポリマー100重量部に対して、3重量部の固相発泡剤を予め混合した後、プレポリマータンクに注入した。
【0161】
それぞれの投入ラインを通じて、ウレタン系プレポリマー及び硬化剤をミキシングヘッドに一定の速度で投入しながら、撹拌した。このとき、ウレタン系プレポリマーのNCO基のモル当量と硬化剤の反応性基のモル当量とを1:1に合わせ、合計投入量を10kg/分の速度で維持した。
【0162】
撹拌された原料は、予熱された金型に注入し、1枚の多孔質ポリウレタンシートに製造した。以降に製造された多孔性ポリウレタンシートの表面を研削盤を使用して研削し、チップを使用してグルーブ加工(groove)する過程を経て、平均厚さ2mm、平均直径76.2cmの大きさに製造した。
【0163】
前記ポリウレタンシート及びスエード(基材層、平均厚さ:1.1mm)をホットメルトフィルム(製造社:SKC、製品名:TF-00)を用い、120℃で熱融着して研磨パッドを製造した。
【0164】
末端にNCO官能基を有するウレタン系プレポリマーは、次のように製造した。ジイソシアネート成分の総100重量部に対し、トルエンジイソシアネート90重量部及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート10重量部を混合した。ポリオール成分の総重量100重量部に対し、PTMEG(分子量(MW)1,000)90重量部及びDEG10重量部を混合した。前記ジイソシアネートの総量100重量部に対し、前記ポリオールの総量を152重量部にして各混合原料を準備した。前記各混合原料を4口フラスコに投入した後、80℃で反応させ、ウレタン基を有する予備組成物を製造した。常時予備組成物中のイソシアネート基(NCO基)の含有量は8.8~9.4%に製造した。
【0165】
実施例2~4及び比較例1~4は、金型の予熱温度を異ならせるか、または硬化剤の含有量を異ならせたことを除き、実施例1と同一に製造した。
【0166】
【表1】
(前記硬化剤は、ウレタン系プレポリマー100重量部基準である)
【0167】
試験例1
研磨パッドの物性及び研磨率の測定
【0168】
(1)硬度
【0169】
1)前記実施例及び比較例に従って製造された研磨パッドのShore D硬度を測定し、研磨パッドを2cm×2cm(厚さ:2mm)の大きさに切り出した後、温度25℃及び湿度50±5%の環境で16時間静置した。以後、Digital Shore Hardness Tester HPE IIIの硬度計(D型硬度計)を使用し、5ポイントを測定し、測定時間は30秒の条件下で、研磨パッドの硬度を測定した。
【0170】
(2)弾性モジュラス
前記実施例及び比較例に従って製造された研磨パッドのそれぞれに対して、万能試験機(UTM、AG-X Plus(SHIMADZU))を使用し、伸び計を使用し、グリップ距離60mm及び500mm/分の速度でテストしながら、破断直前の最高強度値を取得した後、取得した値を通じてStrain-Stress曲線の20~70%の領域での傾きを計算した。
【0171】
(3)伸び
前記実施例及び比較例に従って製造された研磨パッドのそれぞれに対して、万能試験機(UTM、AG-X Plus(SHIMADZU))を使用し、伸び計を使用し、グリップ距離60mm及び500mm/分の速度でテストしながら、破断直前の最大変形量を測定した後、最初の長さに対する最大変形量の割合を百分率(%)で示した。
【0172】
(4)研磨率の測定
<オキサイド(O)膜に対する研磨率>
【0173】
CMP研磨装備を使用し、TEOS-プラズマCVD工程により酸化ケイ素(SiOx)膜が形成さ直径300mmのシリコンウエハを設けた。以後、前記研磨パッドを貼り付けた定盤上にシリコンウエハの酸化ケイ素膜を下にしてセットした。以後、研磨荷重が1.4psiとなるように調整し、研磨パッド上に研磨スラリー(セリアスラリー)を190ml/分の速度で投入しながら、定盤を115rpmで60秒間回転させ、酸化珪素膜を研磨した。研磨後にシリコンウエハをキャリアから取り外し、回転式脱水機(spin dryer)に装着し、精製水(DIW)で洗浄した後、空気で15秒間乾燥した。乾燥されたシリコンウエハを光干渉式厚さ測定装置(製造社:Kyence社、モデル名:SI-F80R)を使用し、研磨前後の厚さの差を測定した。以後、前記式(1)を使用して研磨率を計算した。
【0174】
<シリコンナイトライド(SiN)膜に対する研磨率>
CMP研磨装備を使用し、CVD工程によってSiN膜が形成された直径300mmのシリコンウエハを設けた。以後、前記研磨パッドを貼り付けた定盤上にシリコンウエハのSiN膜を下にしてセットした。以後、研磨荷重が1.4psiとなるように調整して研磨パッド上に研磨スラリー(セリアスラリー)を190ml/分の速度で投入しながら、定盤を115rpmで60秒間回転させ、SiN膜を研磨した。研磨後にシリコンウエハをキャリアから取り外し、回転式脱水機(spin dryer)に装着し、精製水(DIW)で洗浄した後、空気で15秒間乾燥した。乾燥されたシリコンウエハを光干渉式厚さ測定装置(製造社:Kyence社、モデル名:SI-F80R)を使用し、研磨前後の厚さの差を測定した。以後、前記式(1)を使用して研磨率を計算した。
【0175】
<数学式1>
研磨率(Å/分)=研磨前後の厚さの差(Å)/研磨時間(分)
【0176】
前記物性測定方法により、実施例及び比較例の研磨パッドに対する物性及び前記研磨速度を測定し、その結果は、下記表2の通りである。
【0177】
【0178】
前記表2に示した値によると、実施例1~4の研磨パッドの場合、比較例に比べて硬度、モジュラス及び伸びにおいて一部違いがあった。特に研磨パッドの物性間の関係に係る式により、その値を確認した結果、実施例1は、式1による値が0.870であり、実施例2は、0.906であり、実施例3は、0.949であり、実施例4は、0.912であって、本発明の範囲内に含まれた。これに対し、比較例1は、0.589であり、比較例2は、1.249であって、本発明の範囲内に含まれなかった。
【0179】
また、式2による値を確認した結果でも、実施例1は、0.840であり、実施例2は、0.863であり、実施例3は、0.895であり、実施例4は、0.873であって、本発明の範囲内に含まれた。これに対し、比較例1は、0.587であり、比較例2は、1.281であって、本発明の範囲内に含まれなかった。
【0180】
前記式1及び2の値と共に、酸化膜及び窒化膜に対する研磨率を確認した結果によると、実施例1~4は、酸化膜に対して高い研磨率を示し、停止膜である窒化膜に対しては低い研磨率を示しており、研磨選択比が約31~33である。これに対し、比較例1及び2は、酸化膜に対する研磨率は、実施例に比べて低く、窒化膜に対する研磨率は実施例に比べて高いか等々な水準であり、研磨選択比が約21.8または約41.2であることが確認された。
【0181】
試験例2
ディッシング(Dishing)測定
【0182】
CMP研磨装備を使用し、
図2のようなパターンウエハ(SKW3-1、パターン密度50%)の直径300mmのシリコンウエハを設けた。以後、前記研磨パッドを貼り付けた定盤上にシリコンウエハの高密度プラズマ(HDP)膜を下にしてセットした。以後、研磨荷重が4.0psiとなるように調整して研磨パッド上に研磨スラリー(セリアスラリー)を300ml/分の速度で投入しながら、定盤を87rpmで60秒間回転させ、HDP膜を研磨した。研磨後にシリコンウエハをキャリアから取り外し、回転式脱水機(spin dryer)に装着し、精製水(DIW)で洗浄した後、空気で15秒間乾燥した。乾燥されたシリコンウエハを光干渉式厚さ測定装置(製造社:Kyence社、モデル名:SI-F80R)を使用し、研磨前後の厚さの差を測定した。
【0183】
本研磨で、酸化ケイ素膜の段差は1,200~1,400Åであり、窒化ケイ素膜の段差は1,000Åであり、初期段差が削除されたことを確認した後、再び同一の研磨過程を40秒間追加で行った(オーバーポリッシング)後、ディッシング程度を確認した。
【0184】
前記ディッシング(Å)は、窒化ケイ素膜の最大高さから酸化ケイ素膜の最大高さまでの距離を測定したものである。
【0185】
前記物性測定方法により、実施例及び比較例の研磨パッドの物性及び前記研磨パッドを用いた研磨工程を行った後、ディッシング(Dishing)を測定し、その結果は、下記表4の通りである。
【0186】
式3及び式4を計算するために、比較例3の硬度(H、shore D)は56であり、モジュラス(M、N/mm2)は102.1であり、伸び(E、%)は80.3であり、比較例4の硬度(H、shore D)は56.2であり、モジュラス(M、N/mm2)は182.7であり、伸び(E、%)は66.3である。
【0187】
【0188】
前記表3によると、前記ように測定された硬度、モジュラス及び伸びを用いて式3を計算した結果、実施例1は、1.043であり、実施例5は、2.145であり、実施例3は、1.244であり、実施例4は、1.133であって、本発明の範囲内に含まれた。これに対し、比較例3は、0.977であり、比較例4は、1.594であって、本発明の範囲の値の未満であるか、超過である。
【0189】
同一に、式4による値は、実施例1は、1.050であり、実施例2は、1.164であり、実施例3は、1.274であり、実施例4は、1.147であって、本発明の範囲内に含まれた。これに対し、比較例3及び4は、本発明の範囲の値に含まれなかった。
【0190】
前記式3及び4の結果によってディッシング程度を確認した結果、本発明の実施例4及び7は、それぞれ15Å、31Å、24Å及び-4Åであって、ディッシング発生程度が微微たるので、欠陥抑制効果に優れているが、比較例3は、227Åであり、比較例4は、105Åであって、実施例と大きい違いをあった。
【0191】
本発明の実施例の場合、特定の範囲内の値を示すことを確認し、該当範囲内の値を示す場合、研磨速度の調節が可能であることを確認した。
【0192】
以上で、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、後述の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態も、本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0193】
1:シリコン基板
2:酸化膜
3:窒化膜
10:研磨前の酸化膜の段差
20:窒化膜の段差
30:ライン
40:スペース
50:1次の研磨後の酸化膜の段差
50:2次の研磨後の酸化膜の段差
110:研磨パッド
120:定盤
130:半導体基板
140:ノズル
150:研磨スラリー
160:研磨ヘッド
170:コンディショナー