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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】回転塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/08 20060101AFI20240216BHJP
   B05C 9/10 20060101ALI20240216BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B05C11/08
B05C9/10
H01L21/30 564C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019226498
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021094511
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】石井 友
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-309404(JP,A)
【文献】特開2007-005392(JP,A)
【文献】特開2000-317376(JP,A)
【文献】特開平02-273569(JP,A)
【文献】特開2002-361155(JP,A)
【文献】特開昭57-135067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 7/00-21/00
H01L 21/30
H01L 21/46
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持して回転する回転テーブルと、
前記ワークの表面に塗布液を滴下する塗布ノズルと、
前記ワークの表面に洗浄液を吐出する洗浄ノズルと、
前記回転テーブルの周囲を覆うように構成され、前記ワークから飛散する塗布液を受け止めるカバー部材と、
前記ワークの表面に前記洗浄液を供給する際に、前記カバー部材の内壁面に異物が付着することを抑制する汚染抑制手段と、
を備え、
前記汚染抑制手段は、前記回転テーブルと前記カバー部材とを前記回転テーブルの回転軸の方向に相対移動させる相対動手段であって、前記洗浄ノズルから前記ワークの表面に前記洗浄液を吐出する場合には、前記カバー部材を前記回転テーブルの周囲から外れた位置に相対移動させる相対移動手段を備える、
転塗布装置。
【請求項2】
ワークを保持して回転する回転テーブルと、
前記ワークの表面に塗布液を滴下する塗布ノズルと、
前記ワークの表面に洗浄液を吐出する洗浄ノズルと、
前記回転テーブルの周囲を覆うように構成され、前記ワークから飛散する塗布液を受け止めるカバー部材と、
前記ワークの表面に前記洗浄液を供給する際に、前記カバー部材の内壁面に異物が付着することを抑制する汚染抑制手段と、
を備え、
前記汚染抑制手段は、前記カバー部材の内壁面を流体で遮蔽する流体遮蔽手段を備える、
転塗布装置。
【請求項3】
前記流体遮蔽手段は、洗浄液を吐出する洗浄液吐出管を備える、
請求項に記載の回転塗布装置。
【請求項4】
前記流体遮蔽手段は、エアーを噴出するエアー噴出管を備える、
請求項に記載の回転塗布装置。
【請求項5】
ワークを保持して回転する回転テーブルと、
前記ワークの表面に塗布液を滴下する塗布ノズルと、
前記ワークの表面に洗浄液を吐出する洗浄ノズルと、
前記回転テーブルの周囲を覆うように構成され、前記ワークから飛散する塗布液を受け止めるカバー部材と、
前記ワークの表面に前記洗浄液を供給する際に、前記カバー部材の内壁面に異物が付着することを抑制する汚染抑制手段と、
を備え、
前記汚染抑制手段は、
前記カバー部材の内側に、異物を吸引する吸引口と、異物吸引路とを有する異物吸引手段と、
前記回転テーブルと前記カバー部材とを前記回転テーブルの回転軸の方向に相対移動させる相対移動手段とを備え、
前記吸引口は前記回転テーブルの回転軸の方向における前記カバー部材の端部の近傍、且つ、前記回転テーブルよりも高い位置にあり、
前記洗浄ノズルから前記ワークの表面に前記洗浄液を吐出する場合には、前記相対移動手段は前記回転テーブルを前記吸引口の近傍に相対移動させ、前記異物吸引手段は前記吸引口及び前記異物吸引路を介して前記回転テーブルから飛散する前記異物を吸引する、
転塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェハに塗布液を塗布する回転塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造では各種の膜をウェハの表面上に形成しつつ、ウェハを加工している。例えば、露光時にはウェハの表面にレジスト膜を形成したり、グルービング(溝加工)の際にはデバイス層を保護する保護膜を形成したりする。これらの膜を形成するために様々な塗布装置が提供されている。塗布装置のノズルから種々の塗布液がウェハ表面に供給され、その塗布液を乾燥させる等の処理により膜が形成される。塗布液を形成する前後には洗浄液でウェハを洗浄する洗浄工程が行われる。
【0003】
ここで、塗布工程を行う装置と洗浄工程を行う装置と別々に設けるとウェハ加工装置全体の大きさが大きくなるという問題があった。そこで、塗布工程と洗浄工程とを1つの装置で行うことにより、装置を小型化(小フットプリント化)する試みがなされている。
【0004】
例えば、特許文献1は保護膜形成とウェハ洗浄とに兼用される保護膜形成兼洗浄手段を有するレーザー加工装置を開示している。特許文献1に記載の保護膜形成兼洗浄手段では、保護膜を形成する際には樹脂液をウェハ上に供給しながらテーブルを回転させ、ウェハを洗浄する際には洗浄水をウェハ上に供給しながらテーブルを回転させる。保護膜の形成及びウェハの洗浄はテーブルの周囲を取り囲む洗浄水受け容器内で行われるため、ウェハ上から樹脂液及び洗浄水がテーブルの周囲に飛散することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-322168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の技術では、保護膜の形成(塗布)と洗浄とが同じ手段の中で行われる。このため、保護膜の形成後に洗浄を行う場合は、保護膜の形成時にウェハから飛散してカバー部材(カップ)に付着した樹脂液が、保護膜の洗浄時にウェハから飛散した洗浄水によってはじかれて舞い上がり、ウェハ上に再度付着するという問題があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、洗浄機能を有する回転塗布装置において、塗布時にウェハから飛散してカバー部材に付着した塗布液(異物)が、洗浄時にウェハに再度付着してウェハを汚染することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る回転塗布装置は、ワークを保持して回転する回転テーブルと、ワークの表面に塗布液を滴下する塗布ノズルと、ワークの表面に洗浄液を吐出する洗浄ノズルと、回転テーブルの周囲を覆うように構成され、ワークから飛散する塗布液を受け止めるカバー部材と、ワークの表面に洗浄液を供給する際に、カバー部材の内壁面に異物が付着することを抑制する汚染抑制手段と、を備える。
【0009】
好ましくは、汚染抑制手段は、回転テーブルとカバー部材とを回転テーブルの回転軸の方向に相対移動させる相対動手段であって、洗浄ノズルからワークの表面に洗浄液を吐出する場合には、カバー部材を回転テーブルの周囲から外れた位置に相対移動させる相対移動手段を備える。
【0010】
例えば、相対移動手段は、塗布ノズルからワークの表面に塗布液を吐出する場合には回転テーブルから飛散した塗布液がカバー部材によって遮蔽されるように回転テーブルをカバー部材に対して相対的に移動させ、洗浄ノズルからワークの表面に洗浄液を吐出する場合には、回転テーブルから飛散した洗浄液及び汚れがカバー部材に当たらないように回転テーブルをカバー部材に対して相対的に移動させる。
【0011】
これにより、洗浄時には、ワークから飛散した汚れ及び洗浄液がカバー部材に当たらないため、塗布時にカバー部材に付着した塗布液(異物)はカバー部材から舞い上がることが抑制される。延いては、塗布液がワークに再度付着する問題を抑制することができる。また、ワークの洗浄後に塗布を行う場合には、洗浄時にワークから飛散した汚れはカバー部材に付着していないため、カバー部材からの汚れ(異物)がワーク上に付着することも抑制される。
【0012】
好ましくは、汚染抑制手段は、カバー部材の内壁面を流体(液体/気体)で遮蔽する流体遮蔽手段を備える。例えば、流体遮蔽手段は、洗浄ノズルからワークの表面に洗浄液を吐出する場合に、カバー部材の内壁面へ流体を供給してもよい。また、例えば、流体遮蔽手段は、塗布ノズルからワークの表面に塗布液を吐出する場合に、カバー部材の内壁面へ流体を供給してもよい。洗浄時には、カバー部材は流体により回転テーブル上のワークから遮蔽されるため、塗布時にカバー部材に付着した塗布液(異物)がワークに付着してワークを汚染する問題を抑制することができる。
【0013】
更に、洗浄時にワークから飛散する汚れ(異物)は流体によって遮蔽されるため、カバー部材に付着しない。そのため、ワークの洗浄後に塗布を行う場合に、洗浄中にカバー部材に付着した汚れが塗布中にカバー部材からワーク上に落下することも抑制される。
【0014】
好ましくは、汚染抑制手段は、カバー部材の内側且つ回転テーブルの外側に配置された筒状の遮蔽部材であって、回転テーブルに対して回転テーブルの回転軸の方向に移動可能な遮蔽部材を備え、洗浄ノズルからワークの表面に洗浄液を吐出する場合には、遮蔽部材は、カバー部材の内側を回転テーブルから遮蔽するよう移動し、塗布ノズルからワークの表面に塗布液を吐出する場合には、遮蔽部材は、カバー部材の内側を回転テーブルに対して露出するよう移動する。
【0015】
これにより、ワークを洗浄する際には、カバー部材は遮蔽部材によって回転テーブル上のワーク上から遮蔽されるため、塗布時にワークから飛散してカバー部材に付着した塗布液(異物)が、カバー部材からワーク上に再度付着する問題が抑制される。また、ワークの洗浄時に飛散した汚れ(異物)は遮蔽部材によって遮蔽されるため、カバー部材に汚れは付着していない。そのため、洗浄後に塗布を行う場合に汚れがカバー部材からワーク上に付着することも防止される。
【0016】
好ましくは、汚染抑制手段は、カバー部材の内側に、異物を吸引する吸引口と、異物吸引路とを有する異物吸引手段と、回転テーブルとカバー部材とを回転テーブルの回転軸の方向に相対移動させる相対移動手段とを備え、吸引口は回転テーブルの回転軸の方向におけるカバー部材の端部の近傍、且つ、回転テーブルよりも高い位置にあり、洗浄ノズルからワークの表面に洗浄液を吐出する場合には、相対移動手段は回転テーブルを吸引口の近傍に相対移動させ、異物吸引手段は吸引口及び異物吸引路を介して回転テーブルから飛散する異物を吸引する。
【0017】
洗浄時に回転テーブルが吸引口の近傍に位置するように、回転テーブルをカバー部材に対して相対的に移動させ、回転テーブルから飛散する洗浄液及び汚れを吸引口及び異物吸引路を介して吸引する。これにより、洗浄時にワーク上から飛散した洗浄液及び汚れにより、塗布時にカバー部材に付着した塗布液(異物)がはじかれてカバー部材から舞い上がり、ワーク上に再度付着するという問題は抑制される。また、ワークの洗浄時に飛散した汚れ(異物)は吸引されるため、汚れがカバー部材に付着することが抑制される。そのため、洗浄後に塗布を行う場合に汚れがカバー部材からワーク上に付着することも抑制される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、洗浄機能を有する回転塗布装置において、塗布時にウェハから飛散してカップに付着した塗布液(異物)が、洗浄時にウェハに再度付着してウェハを汚染することを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】洗浄機能を有する回転塗布装置の斜視図
図2】第1実施形態に係る回転塗布装置の概略構成図
図3】制御部の機能ブロック図
図4】第1実施形態に係る回転塗布装置の動作を説明する図
図5】第1実施形態の変形例に係る回転塗布装置の動作を説明する図
図6】第2実施形態に係る回転塗布装置の概略構成図
図7】第2実施形態に係る回転塗布装置の動作を説明する図
図8】第3実施形態に係る回転塗布装置の概略構成図
図9】第3実施形態に係る回転塗布装置の動作を説明する図
図10】第4実施形態に係る回転塗布装置の概略構成図
図11】第4実施形態に係る回転塗布装置の動作を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。以下の説明において、例として、被塗布媒体(ワーク)をウェハとするが、被塗布媒体を限定する趣旨ではない。
【0021】
本発明の各実施形態では、洗浄機能を有する回転塗布装置は、塗布時にウェハから飛散してカバー部材に付着した塗布液(異物)が、洗浄時にウェハに再度付着してウェハを汚染することを抑制する汚染抑制機構(汚染抑制手段)を備える。
【0022】
<第1実施形態>
まず、図1及び図2を用いて洗浄機能を有する回転塗布装置の構成について説明する。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は互いに直交する方向であり、X軸方向は水平方向、Y軸方向はX軸方向に直交する水平方向、Z軸方向は上下方向(垂直方向)である。図1及び図2に示す回転塗布装置100は、テーブル10と、カバー部材(コート釜)20、塗布機構30と、洗浄機構40と、テーブル駆動装置(テーブル回転装置)50と、筐体55と、制御部60とを備える。
【0023】
テーブル10は水平方向に平行であり、不図示の吸引装置を用いてウェハ12を吸着保持する。例えば、平板状のウェハ12の中心がテーブル10の中心とほぼ一致するように、ウェハ12はテーブル10上に載置される。あるいは、ウェハ12はダイシングテープ(不図示)を介してフレーム(不図示)に固定された状態で、テーブル10上に載置されてもよい。
【0024】
カバー部材20は、テーブル10の周囲を覆うように構成され、ウェハ12から飛散する塗布液を受け止める。例えば、カバー部材20は、略円筒形(中空円筒形)を有し、テーブル10の周囲に立設される。なお、図1では、カバー部材20の内側に配置されたテーブル等の位置関係を示すために、カバー部材20の一部(図1においてカバー部材20の手前側の半円筒部分)の図示を省略している。Z軸方向におけるカバー部材20の上端の高さは、テーブル10の上面(ウェハ保持面)の高さより高く形成されている。カバー部材20は回転塗布を行う際にウェハ12の表面上から飛散した塗布液を遮蔽し、回転塗布装置100においてカバー部材20の外側に配置される他の機器が塗布液で汚染されることを防止する。
【0025】
また、回転塗布装置100の周囲に更に、筐体55を設けてもよい。筐体55は、回転塗布装置100の外壁を構成し、回転塗布装置100の各部を内部に配置した状態でこれらを囲繞する。なお、筐体55の内側に配置されたテーブル10等の位置関係を示すために、筐体55の一部(図1において手前側)の図示を省略している。筐体55は、回転塗布装置100の周辺に配置された機器が汚染されることを防止する。
【0026】
塗布機構30は塗布液をウェハ12上に供給する。塗布機構30は、塗布ノズル31、塗布液供給管34、塗布ノズル駆動部35、塗布液流量制御弁36、塗布液タンク37及びポンプ38を備える。
【0027】
塗布ノズル31は塗布液供給管34の一端に接続され、塗布液供給管34の他端は塗布液タンク37に接続される。すなわち、塗布液供給管34は、塗布ノズル31と塗布液タンク37との間を連通する管路を構成する。これにより、塗布液タンク37から塗布液供給管34を介して塗布ノズル31に塗布液が供給され、塗布ノズル31から塗布液がウェハ12上に滴下される。塗布液供給管34は、Z軸に平行な回転軸(塗布液供給管34の中心軸)を中心に回転可能に構成される。
【0028】
塗布液供給管34上には下流側(塗布ノズル31側)から上流側(塗布液タンク37側)に向かって順に、ポンプ38、及び塗布液流量制御弁36が配置される。なお、キャビテーション対策等のために、ポンプ38、及び塗布液流量制御弁36の配置の順番を逆にしてもよい。ポンプ38として、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、ロータリーポンプ等の任意のポンプを使用可能である。塗布時には、塗布ノズル31はテーブル10の上方に位置しており、テーブル10上のウェハ12に塗布液を吐出する。
【0029】
塗布ノズル駆動部35は塗布液供給管34を駆動することにより、塗布ノズル31をZ軸に平行な回転軸周りに回転させたり、塗布ノズル31をZ軸方向に移動(上下動)させたりする。塗布ノズル駆動部35は、塗布時には塗布ノズル31を所定の塗布位置に移動させ、洗浄時には、塗布ノズル31をカバー部材20の外側の所定の退避位置に移動させる(後述)。
【0030】
塗布ノズル駆動部35は、不図示の回転モータ、線形アクチュエータ、塗布ノズル31の移動量及び回転量を検出する位置センサ等を含む。位置センサとして、例えばエンコーダが挙げられる。位置センサの検出結果から塗布ノズル31とテーブル10とのX、Y、及びZ軸方向の相対位置(相対距離)を得ることができる。塗布ノズル駆動部35の構成は公知であるため、詳しい説明を省略する。
【0031】
洗浄機構40はウェハ12上に洗浄液を流し、ウェハ12を洗浄する。洗浄液は塗布膜の種類に応じて適宜選択される。洗浄液として、例えば水が挙げられる。洗浄機構40は、洗浄ノズル41、洗浄液供給管44、洗浄ノズル駆動部45、洗浄液流量制御弁46、洗浄液タンク47及びポンプ48を備える。
【0032】
洗浄ノズル41は洗浄液供給管44の一端に接続され、洗浄液供給管44の他端は洗浄液タンク47に接続される。すなわち、洗浄液供給管44は、洗浄ノズル41と洗浄液タンク47とを連通する管路を構成する。これにより、洗浄液タンク47から洗浄液供給管44を介して洗浄ノズル41に洗浄液が供給され、洗浄ノズル41から洗浄液がウェハ12上に吐出される。洗浄液供給管44は、Z軸に平行な回転軸(洗浄液供給管44の中心軸)を中心に回転可能に構成される。
【0033】
洗浄ノズル駆動部45は洗浄液供給管44を駆動することにより、洗浄ノズル41をZ軸に平行な回転軸周りに回転させたり洗浄ノズル41をZ軸方向に移動(上下動)させたりする。洗浄ノズル駆動部45は、ウェハ12の洗浄時には洗浄ノズル41を所定の洗浄位置に移動させ、塗布時には、洗浄ノズル41をカバー部材20の外側にある所定の退避位置に移動させる(後述)。
【0034】
洗浄機構40の構成は塗布機構30の構成とほぼ同様であるため、これ以降の詳しい説明は省略する。
【0035】
テーブル駆動装置50は、不図示の回転モータ及び回転量を検出する回転量センサを含む。テーブル駆動装置50は、テーブル10の中心を通りテーブル10面に垂直な(Z軸に平行な)回転軸を中心にしてテーブル10を回転させる。テーブル駆動装置50の構成は公知であるため、詳しい説明を省略する。
【0036】
第1実施形態に係る回転塗布装置100では、汚染抑制機構として、テーブル10とカバー部材20とのZ軸方向の相対位置を変更するテーブル相対移動部(相対移動手段)51を更に備える。テーブル相対移動部51はテーブル10をZ軸方向に平行な方向に移動させる(上下動させる)線形アクチュエータ(不図示)及びテーブル10の移動量を検出する位置センサ(不図示)を含む。線形アクチュエータ及び位置センサは公知であるため、詳しい説明を省略する。
【0037】
制御部60は塗布ノズル駆動部35、塗布液流量制御弁36、ポンプ38、洗浄ノズル駆動部45、洗浄液流量制御弁46、ポンプ48、テーブル駆動装置50及びテーブル相対移動部51を制御する。
【0038】
図3は制御部60の機能ブロック図である。制御部60は、例えば、インターフェース61、塗布ノズル駆動制御部62、塗布液流量制御部63、洗浄ノズル駆動制御部64、洗浄液流量制御部65、テーブル駆動制御部66及び汚染抑制機構制御部67を備える。インターフェース61はユーザや各機器との間で命令やデータをやり取りする手段であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、ディスプレイ、スピーカ、データ通信機器(ネットワーク接続機器)等である。
【0039】
塗布ノズル駆動制御部62はユーザからの命令及び位置センサからのデータに基づいて塗布ノズル駆動部35を制御する。塗布液流量制御部63はユーザからの命令に基づいて塗布液流量制御弁36及びポンプ38を制御することにより塗布ノズル31に供給される塗布液の流量を制御する。
【0040】
洗浄ノズル駆動制御部64はユーザからの命令及び位置センサからのデータに基づいて洗浄ノズル駆動部45を制御する。洗浄液流量制御部65はユーザからの命令に基づいて洗浄液流量制御弁46及びポンプ48を制御することにより洗浄ノズル41に供給される塗布液の流量を制御する。
【0041】
テーブル駆動制御部66はユーザからの命令及び回転量センサからのデータに基づいてテーブル駆動装置50によるテーブル10の回転を制御する。汚染抑制機構制御部67は汚染抑制機構を制御する。第1実施形態では、汚染抑制機構制御部67は、ユーザからの命令及び位置センサからのデータに基づいてテーブル相対移動部51によるテーブル10の上下動を制御する。
【0042】
塗布ノズル駆動制御部62、塗布液流量制御部63、洗浄ノズル駆動制御部64、洗浄液流量制御部65、テーブル駆動制御部66及び汚染抑制機構制御部67は、例えばプロセッサを用いて実現される。図3では機能に応じて各制御部62から67を別々に分けて示しているが、実際は1つのプロセッサで実現することも可能である。更に、制御部60は、ROM(Read Only Memory)(不図示)及びRAM(Random Access Memory)(不図示)等を備える。ROMに記憶されている制御プログラム等の各種プログラムがRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムがプロセッサによって実行されることにより、各種の演算処理や制御処理が実行される。
【0043】
次に、図4を用いてテーブル10、塗布ノズル31及び洗浄ノズル41の動作について説明する。図4において、H1は塗布時のテーブル10の上面の高さ位置を示し、H2はカバー部材20の上端の高さ位置を示し、H3は洗浄時のテーブル10の上面の高さ位置を示す。
【0044】
図4の符号4Aは塗布を行う際の塗布ノズル31とテーブル10とカバー部材20との相対位置を示す。塗布を行う際には、まず、テーブル10のZ軸方向の位置(高さ位置)がH1になるようにテーブル駆動装置50はテーブル10を移動させる。テーブル10の上面の高さ位置H1はカバー部材20の上端の高さ位置H2よりも低い。
【0045】
続いて、塗布ノズル駆動部35は、塗布ノズル31を回転及び上下動させ、塗布ノズル31をカバー部材20の外側にある退避位置からテーブル10の上方の塗布位置に移動させる。例えば、図4の符号4Aでは、テーブル10の中心の上方近傍が塗布位置である。この時、塗布液の飛散を低減する観点から、塗布ノズル31の高さ位置はカバー部材20の上端の高さ位置H2よりも低いことが望ましいが、塗布位置はこの位置に限定されない。この時、洗浄ノズル41はカバー部材20の外側にある所定の退避位置に退避している。
【0046】
この状態で塗布ノズル31から塗布液をウェハ12上に供給しながら、テーブル駆動装置50によりテーブル10を回転させる。ウェハ12上の塗布液が遠心力によりウェハ12全体に広がり、塗布膜13が形成される。テーブル10の上面の高さ位置H1はカバー部材20の上端の高さ位置H2よりも低いため、ウェハ12上から飛散した塗布液はカバー部材20により遮蔽される。したがって、回転塗布装置100の筐体55の内部(より詳しくはカバー部材20の外側)は塗布液によって汚染されない。
【0047】
塗布液の供給が終わると、符号4Aにおいて点線で示すように、カバー部材20を乗り越えられるように、カバー部材20の上端の高さ位置H2よりも高い位置まで塗布ノズル駆動部35は塗布ノズル31をZ軸方向上向きに移動させる(上昇させる)。続いて、塗布ノズル駆動部35は塗布ノズル31を回転及び下降させて、塗布ノズル31をカバー部材20の外側にある退避位置に退避させる。
【0048】
図4の符号4Bは洗浄を行う際の洗浄ノズル41とテーブル10とカバー部材20との相対位置を示す。ウェハ12を洗浄する際には、まず、テーブル10の高さ位置がH3になるようにテーブル駆動装置50はテーブル10を移動させる。テーブル10の上面の高さ位置H3はカバー部材20の上端の高さ位置H2よりも高い。この時、塗布ノズル31及び洗浄ノズル41はカバー部材20の外側にある退避位置に退避している。
【0049】
続いて、洗浄ノズル駆動部45は洗浄ノズル41を回転させ、洗浄ノズル41をカバー部材20の外側にある退避位置からテーブル10の上方の洗浄位置に移動させる。例えば、図4の符号4Bでは、テーブル10の中心の上方近傍が洗浄位置である。この時、塗布ノズル31はカバー部材20の外側にある所定の退避位置したままである。
【0050】
この状態で洗浄ノズル41から洗浄液をウェハ12上に供給しながら、テーブル駆動装置50によりテーブル10を回転させて、ウェハ12全体を洗浄することができる。洗浄ノズル41は、洗浄液のみを吐出する一流体ノズルでもよいし、気体とともに洗浄液を吐出する二流体ノズルでもよい。気体として例えば空気や窒素が挙げられる。
【0051】
テーブル10の上面の高さ位置H3はカバー部材20の上端の高さ位置H2よりも高いため、ウェハ12上から飛散した洗浄液及び汚れはカバー部材20に当たらない。そのため、塗布時にウェハ12から飛散してカバー部材20に付着した塗布液(異物)が、洗浄時に洗浄液によってはじかれてカバー部材20から舞い上がり、ウェハ12上に再度付着するという問題は抑制される。
【0052】
洗浄が終わると、洗浄ノズル駆動部45は洗浄ノズル41を回転及び下降させて、洗浄ノズル41をカバー部材20の外側にある退避位置に退避させる。
【0053】
洗浄後に塗布を行う場合は、図4に示す符号4Bの状態から符号4Aに示す状態になるようにテーブル10、塗布ノズル31及び洗浄ノズル41を移動させる。ここで、洗浄時にウェハ12から飛散した汚れはカバー部材20に付着していない。そのため、洗浄後に塗布を行う場合において、洗浄中にカバー部材20に付着した汚れ(異物)が、塗布中にカバー部材20からウェハ12上に落下することも抑制される。
【0054】
このように、本実施形態に係る回転塗布装置100では、洗浄時と塗布時とでテーブル10とカバー部材20とのZ軸方向の相対位置(高さ位置)を変える。これにより、塗布時にウェハ12から飛散してカバー部材20に付着した塗布液が、洗浄時にウェハ12に再度付着してウェハ12を汚染する問題を抑制する。
【0055】
更に、塗布後に洗浄を行う場合には、洗浄時にウェハ12から洗い流された汚れはカバー部材20に付着していないため、塗布時にカバー部材20から汚れが落下してウェハ12を汚染することも防止される。
【0056】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態ではテーブル10を上下動させることにより、洗浄時と塗布時とでテーブル10とカバー部材20とのZ軸方向の相対位置(高さ位置)を変える。第1実施形態の変形例として、テーブル10の代わりにカバー部材20を上下動させてもよい。
【0057】
この場合、図5に示すように、回転塗布装置100は、汚染抑制機構としてカバー部材駆動装置(相対移動手段)57を備える。カバー部材駆動装置57は不図示の線形アクチュエータによりカバー部材20をZ軸方向に平行に移動させる(上下動させる)。
【0058】
図5において符号5Aは塗布を行う際の塗布ノズル31とテーブル10とカバー部材20との相対位置を示し、符号5Bは洗浄を行う際の洗浄ノズル41とテーブル10とカバー部材20との相対位置を示す。図5において、H2は塗布時のカバー部材20の上端の高さ位置を示し(図4の高さ位置H2と同じ)、H4は洗浄時のカバー部材20の上端の高さ位置を示す。
【0059】
図5の符号5Aの状態は図4の符号4Aの状態と同じであるため、符号5Aについての説明を省略する。洗浄を行う際は、カバー部材駆動装置57は塗布時のカバー部材20の上端の高さ位置をH2からH4になるようにカバー部材20を上昇させる。ここで、高さ位置H4は、ウェハ12上から飛散した洗浄液及び汚れがカバー部材20に当たらないような位置である。この状態で洗浄ノズル41から洗浄液をウェハ12上に供給しながら、テーブル駆動装置50によりテーブル10を回転させる。
【0060】
図5に示す変形例においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
<第2実施形態>
図6は第2実施形態に係る回転塗布装置200の概略構成図である。第2実施形態に係る回転塗布装置200は、汚染抑制機構として洗浄液吐出管70(流体遮蔽手段)と、洗浄液タンク71と、洗浄液吐出管70と洗浄液タンク71との間に設けられた流量制御弁72とを備える。汚染抑制機構制御部67は、ユーザからの命令等に基づいて流量制御弁72を制御する。
【0062】
洗浄液吐出管70は、カバー部材20の内壁面を洗浄液(流体)で遮蔽する。洗浄液吐出70は、例えば、中空円筒形のカバー部材20においてZ軸方向の上端の内周に沿って設けられ、カバー部材20の内壁面に向かって洗浄液(流体)を吐出する複数の孔(不図示)を有する。洗浄液は塗布液の種類に応じて適宜選択される。洗浄液として例えば水が挙げられる。洗浄水を加圧する必要はないが、若干加圧してもよい。洗浄液タンク71は洗浄液を洗浄液吐出管70に供給し、洗浄液の流量は流量制御弁72を用いて制御される。
【0063】
次に、図7を用いて第2実施形態に係る回転塗布装置200の動作について説明する。図7において符号7A及び符号7Bは、それぞれ塗布時及びウェハ12の洗浄時におけるテーブル10近傍の状態を示す。図7において、図4と同様に、H1は塗布時のテーブル10の上面の高さ位置を示し、H2はカバー部材20の上端の高さ位置を示す。
【0064】
符号7Aに示すように、回転塗布装置200では、テーブル10がカバー部材20の内部に位置した状態(つまり、図4のテーブル10の高さ位置がH1である状態)で塗布が行われる。テーブル10の上面の高さ位置H1はカバー部材20の上端の高さ位置H2よりも低いため、ウェハ12上から飛散した塗布液はカバー部材20により遮蔽される。
【0065】
符号7Bに示すように、ウェハ12を洗浄する際におけるテーブル10とカバー部材20との位置関係は塗布時と同じである。第2実施形態では、ウェハ12を洗浄しながら、カバー部材20を洗浄する。つまり、洗浄ノズル41から洗浄液を吐出しながらテーブル10を回転させてウェハ12を洗浄するウェハ12の洗浄と並行して、洗浄液吐出管70の複数の孔からカバー部材20の内壁に沿って流れおちるように洗浄液を吐出してカバー部材20を洗浄する。カバー部材20の内壁に沿って流れる洗浄液は、塗布時にカバー部材20に付着した塗布液を洗い流す。第2実施形態では、ウェハ12の洗浄時にテーブル10とカバー部材20とのZ軸方向の相対位置を変更する必要はない。そのため、第2実施形態では、塗布液供給管34を支持するノズルアーム(不図示)と洗浄ノズル41を支持するノズルアーム(不図示)とを統合して一本のノズルアームで構成してもよい。
【0066】
このように、第2実施形態ではウェハ12の洗浄時にカバー部材20を洗浄するため、塗布時にウェハ12から飛散してカバー部材20に付着した塗布液が、洗浄時にウェハ12に再度付着してウェハ12を汚染する問題を抑制することができる。
【0067】
更に、ウェハ12の洗浄時にウェハ12から飛散する汚れは、カバー部材20の内壁に沿って流れる洗浄液によって遮蔽されるため、カバー部材20に付着しない。そのため、ウェハ12の洗浄後に塗布を行う場合に、洗浄中にカバー部材20に付着した汚れが塗布中にカバー部材20からウェハ12上に落下することも抑制される。
【0068】
なお、一例としてウェハ12の洗浄と並行してカバー部材20を洗浄する場合について説明したが、カバー部材20の洗浄のタイミングはこの例に限定されない。カバー部材20の洗浄を、塗布液の塗布及びウェハ12の洗浄の前後に行うことにしてもよい。あるいは、カバー部材20の洗浄を、塗布液の塗布中に行うことにしてもよい。
【0069】
このように、第2実施形態に係る回転塗布装置200も、第1実施形態に係る回転塗布装置100と同様の効果を実現することができる。
【0070】
<第2実施形態の変形例>
第2実施形態では洗浄液を吐出しているが、第2実施形態の変形例では洗浄液に代えてエアーを噴出してもよい。この場合、第2実施形態の変形例に係る回転塗布装置は、図6に示す第2実施形態に係る回転塗布装置200における洗浄液吐出管70及び洗浄液タンク71の代わりに、エアー噴出管(流体遮蔽手段)及びエアタンク(不図示)を備える。エアー噴出管の構成は洗浄液吐出管70とほぼ同様である。エアー(流体)として、例えば空気が挙げられる。
【0071】
エアー噴出管は、カバー部材20の内壁面をエアー(流体)で遮蔽する。第2実施形態の変形例では、エアーが、エアー噴出管73の複数の孔(不図示)からカバー部材20の内壁に沿って下向きに流れるように噴出される。ウェハ12の洗浄と並行してエアーを吐出することにより、塗布時にカバー部材20に付着した塗布液はエアーによりテーブル10上のウェハ12から遮蔽される。そのため、塗布時にウェハ12から飛散してカバー部材20に付着した塗布液が、洗浄時にウェハ12に再度付着してウェハ12を汚染する問題を抑制することができる。
【0072】
また、ウェハ12の洗浄時にウェハ12から飛散する汚れは、エアーによって遮蔽されるため、カバー部材20に付着しない。そのため、ウェハ12の洗浄後に塗布を行う場合に、洗浄中にカバー部材20に付着した汚れが塗布中にカバー部材20からウェハ12上に落下することも抑制される。
【0073】
第2実施形態の変形例おいて、エアーを吐出するタイミングは第2実施形態でのカバー部材20を洗浄するタイミングと同様に、適宜変更可能である。
【0074】
<第3実施形態>
図8は第3実施形態に係る回転塗布装置300の概略構成図である。第3実施形態に係る回転塗布装置300は、汚染抑制機構としてスクリーン80と、リブ(不図示)と、グリッパ82と、スクリーン駆動装置81とを備える。スクリーン80と、リブと、グリッパ82と、スクリーン駆動装置81とは、遮蔽部材に相当する。
【0075】
スクリーン80は、カバー部材20の内側、且つ、テーブル10の外側に配置される。スクリーン80は円筒形(中空円筒形)であり、カバー部材20とテーブル10との間に垂直に展開及び格納可能に設けられる(高さ方向に伸縮自在に立設される)。スクリーン80が展開された状態は、遮蔽部材がカバー部材20をテーブル10から遮蔽する遮蔽位置に相当し、スクリーン80が格納された状態は、遮蔽部材が遮蔽位置から退避する退避位置に相当する。
【0076】
スクリーン80の下端は例えば回転塗布装置300の筐体等の任意の部材に固定され、不動に構成される。スクリーン80の上端は複数のグリッパ82により把持される。スクリーン80としては、例えば、蛇腹折りの幕、ルーバー幕等が挙げられる。スクリーンの素材としては、樹脂等が挙げられる。
【0077】
カバー部材20とテーブル10との間に、(又はカバー部材20の内壁近傍に)複数の柱状のリブ(不図示)が(Z軸方向に平行に)立設されており、複数のグリッパ82は各々リブに沿って上下動可能である。スクリーン駆動装置81は、不図示のモータ又は不図示の線形アクチュエータを有する。スクリーン駆動装置81は、スクリーン80の上端を把持するグリッパ82をリブに沿って上昇させることによりスクリーン80を展開し、グリッパ82を下降させることによりスクリーン80を格納する。第3実施形態において、汚染抑制機構制御部67はユーザの指示等に基づいてスクリーン駆動装置81を制御する。
【0078】
次に、図9を用いて第3実施形態に係る回転塗布装置300の動作について説明する。図9において符号9A及び符号9Bはそれぞれ塗布時及びウェハ12の洗浄時の回転塗布装置300を示す。符号9Aに示すように、第2実施形態と同様に、回転塗布装置300ではテーブル10がカバー部材20の内部に位置し、且つ、スクリーン80を格納した状態(退避位置)で塗布が行われる。塗布時にウェハ12上から飛散した塗布液はカバー部材20により遮蔽される。
【0079】
ウェハ12を洗浄する際には、符号9Bに示すように、スクリーン駆動装置81によりスクリーン80が展開されている(遮蔽位置)。第3実施形態でも、テーブル10とカバー部材20とのZ軸方向の相対位置を変更する必要はない。ウェハ12上から飛散した洗浄液及び汚れはスクリーン80によって遮蔽されるため、カバー部材20に当たらない。そのため、塗布時にウェハ12から飛散してカバー部材20に付着した塗布液が、洗浄時にカバー部材20からウェハ12上に再度付着するという問題は抑制される。
【0080】
更に、洗浄後に塗布を行う場合には、ウェハ12の洗浄時に飛散した汚れはスクリーン80によって遮蔽されるため、カバー部材20に汚れは付着していない。そのため、汚れがカバー部材20からウェハ12上に再度付着することも抑制(防止)される。つまり、第3実施形態に係る回転塗布装置300も、第1実施形態に係る回転塗布装置100と同様の効果を実現することができる。
【0081】
<第4実施形態>
図10は第4実施形態に係る回転塗布装置400の概略構成図である。第4実施形態に係る回転塗布装置400は、汚染抑制機構として隔壁90と、ポンプ91と、第1実施形態のテーブル相対移動装置51とを備える。隔壁90とポンプ91とは異物吸引手段に相当する。
【0082】
隔壁90は円筒板であり、カバー部材20とテーブル10との間に立設される。隔壁の素材として、例えば金属、具体的にはステンレススチールが挙げられるが、この例示に限定する趣旨ではない。
【0083】
ポンプ91は、隔壁90とカバー部材20との間で画定された空間93を減圧する。また、ポンプ91により減圧を行うため、第4実施形態ではカバー部材20の上端の形状が若干変更されている。具体的には、カバー部材20の上端と隔壁90の上端との間にZ軸方向に隙間92を形成するように、カバー部材20の上端はテーブル10側に略直角に折り曲げられる。第4実施形態において、汚染抑制機構制御部67は、テーブル相対移動装置51を制御するだけでなく、ユーザの指示等に基づいてポンプ91の駆動を制御する。
【0084】
次に、図11を用いて第4実施形態に係る回転塗布装置400の動作について説明する。図11において符号11A及び符号11Bはそれぞれ塗布時及びウェハ12の洗浄時の回転塗布装置400を示す。符号11Aに示すように、第2実施形態と同様に、回転塗布装置400ではテーブル10がカバー部材20の内部に位置した状態で塗布が行われるため、ウェハ12上から飛散した塗布液はカバー部材20により遮蔽される。
【0085】
ウェハ12を洗浄する際には、まず、符号11Bに示すように、間隙92の高さ位置の近傍までテーブル10を上昇させる。更に、ポンプ91によりカバー部材20と隔壁90とで画定される空間93を減圧すると、間隙92を通って空間93に引き込まれる空気の流れが生じる。この状態でウェハ12の洗浄を行うと、ウェハ12上から飛散した洗浄液及び汚れは、空気の流れによって隙間92を介して空間93に引き込まれ、空気とともに排気口(不図示)から排出される。つまり、隙間92が洗浄液(異物)及び汚れ(異物)の吸引口となる。カバー部材20に洗浄液及び汚れが当たらないため、塗布時にウェハ12から飛散してカバー部材20に付着した塗布液(異物)が、洗浄時に洗浄液によってはじかれてカバー部材20から舞い上がり、ウェハ12上に再度付着するという問題は抑制される。
【0086】
また、塗布後に洗浄を行う場合には、洗浄時にウェハ12から洗い流された汚れはカバー部材20に付着していないため、塗布時にカバー部材20から汚れが落下してウェハ12を汚染することも防止される。このように、第4実施形態に係る回転塗布装置400も、第1実施形態に係る回転塗布装置100と同様の効果を実現することができる。
【0087】
<効果>
以上説明したように、洗浄機能を有する回転塗布装置100、200、300及び400によれば、ウェハから飛散してカバー部材に付着した塗布液又は汚れがウェハに再度付着してウェハを汚染することを抑制することができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0089】
10…テーブル、12…ウェハ、13…塗布膜、20…カバー部材、30…塗布機構、31…塗布ノズル、34…塗布液供給管、35…塗布ノズル駆動部、36…塗布液流量制御弁、37…塗布液タンク、38…ポンプ、40…洗浄機構、41…洗浄ノズル、44…洗浄液供給管、45…洗浄ノズル駆動部、46…洗浄液流量制御弁、47…洗浄液タンク、48…ポンプ、50…テーブル駆動装置、51…テーブル相対移動部、55…筐体、57…カバー部材駆動装置、60…制御部、61…インターフェース、62…塗布ノズル駆動制御部、63…塗布液流量制御部、64…洗浄ノズル駆動制御部、65…洗浄液流量制御部、66…テーブル駆動制御部、67…汚染抑制機構制御部、70…洗浄液吐出管、71…洗浄液タンク、72…流量制御弁、80…スクリーン、81…スクリーン駆動装置、82…グリッパ、90…隔壁、91…ポンプ、92…間隙、93…空間、100、200、300、400…回転塗布装置
図1
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図10
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