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特許7437987ダイボンディング装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ダイボンディング装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240216BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240216BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/60 311T
H01L21/66 J
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020051130
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021150586
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小橋 英晴
(72)【発明者】
【氏名】保坂 浩二
(72)【発明者】
【氏名】吉山 仁晃
(72)【発明者】
【氏名】小野 悠太
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-011048(JP,A)
【文献】特開2020-013841(JP,A)
【文献】特表2016-530521(JP,A)
【文献】特開2019-054203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/60
H01L 21/66
G01N 21/00
G01N 21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイを撮像する撮像装置と、
白色光源と光学フィルタとを有し、前記ダイを前記撮像装置の光学系軸に対して斜めから照明する照明装置と、
前記撮像装置および前記照明装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記ダイに形成されたクラックを検出する場合前記白色光源からの光に前記光学フィルタを透過させて可視光領域において緑色よりも短い波長の光を前記ダイに照射すると共に、前記撮像装置により前記ダイを撮像し、
前記ダイの位置を認識する場合、前記白色光源からの光に前記光学フィルタを透過させないで白色光を前記ダイに照射すると共に、前記撮像装置で前記ダイを撮像するように構成されるダイボンディング装置。
【請求項2】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記光学フィルタはショートパスフィルタで構成されるダイボンディング装置。
【請求項3】
請求項2のダイボンディング装置において、
前記ショートパスフィルタはシアンフィルタで構成されるダイボンディング装置。
【請求項4】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記照明装置は前記光学系軸に対して0度超30度以下の入射角で前記ダイを照明するダイボンディング装置。
【請求項5】
請求項4のダイボンディング装置において、
前記照明装置は前記光学系軸に対して5度以上15度以下の入射角で前記ダイを照明するダイボンディング装置。
【請求項6】
請求項1のダイボンディング装置において、
さらに、前記ダイが貼り付けられたダイシングテープを保持するウェハリングホルダを有するダイ供給部を備え、
前記制御装置は前記撮像装置および前記照明装置を用いて前記ダイシングテープに貼り付けられたダイを撮像するように構成されるダイボンディング装置。
【請求項7】
請求項1のダイボンディング装置において、
さらに、前記ダイを基板または既にボンディングされているダイ上にボンディングするボンディングヘッドを備え、
前記制御装置は前記撮像装置および前記照明装置を用いて前記基板またはダイ上にボンディングされたダイを撮像するように構成されるダイボンディング装置。
【請求項8】
請求項1のダイボンディング装置において、さらに、
前記ダイをピックアップするピックアップヘッドと、
前記ピックアップされたダイが載置される中間ステージと、
を備え、
前記制御装置は前記撮像装置および前記照明装置を用いて前記中間ステージの上に載置されたダイを撮像するように構成されるダイボンディング装置。
【請求項9】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記ダイは繰り返しパターンで構成される領域の面積がそうでない領域の面積よりも大きいダイボンディング装置。
【請求項10】
請求項1のダイボンディング装置において、
前記ダイは半導体記憶装置であるダイボンディング装置。
【請求項11】
(a)請求項1乃至5の何れか1項のダイボンディング装置にダイが貼付されたダイシングテープを保持するウェハリングホルダを搬入する工程と、
(b)基板を搬入する工程と、
(c)前記ダイをピックアップする工程と、
(d)前記ピックアップしたダイを前記基板または既に前記基板にボンディングされているダイ上にボンディングする工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程は前記ピックアップされたダイを中間ステージに載置し、
前記(d)工程は前記中間ステージに載置されたダイをピックアップする
半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項11において、さらに
(e)前記(c)工程の前に、前記撮像装置および前記照明装置を用いて前記ダイの外観を検査する工程を備える半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項11の半導体装置の製造方法において、さらに
(f)前記(d)工程の後に、前記撮像装置および前記照明装置を用いて前記ダイの外観を検査する工程を備える半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項12の半導体装置の製造方法において、さらに
(g)前記(c)工程の後であって前記(d)工程の前に、前記撮像装置および前記照明装置を用いて前記ダイの外観を検査する工程を備える半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はダイボンディング装置に関し、例えばダイのクラックを検査するダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一部に半導体チップ(以下、単にダイという。)を配線基板やリードフレーム等(以下、単に基板という。)に搭載してパッケージを組み立てる工程があり、パッケージを組み立てる工程の一部に、半導体ウェハ(以下、単にウェハという。)からダイを分割する工程(ダイシング工程)と、分割したダイを基板の上に搭載するボンディング工程とがある。ボンディング工程に使用される半導体製造装置がダイボンダ等のダイボンディング装置である。
【0003】
ダイシング工程において、ダイシング時の切削抵抗などによりダイに切断面から内部に延びるクラックが発生することがある。そのため、ボンディング工程において、ダイをカメラで撮像して表面検査(外観検査)が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-54203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリイミド膜等で形成されるダイ表面の保護膜(表面保護膜)は照明装置からの照射光が透過できる層であるので、表面保護膜の厚さや表面保護膜下に形成された凹凸のパターン等によっては、表面保護膜の上面または下面からシリコン等の基板に向かって形成されたクラックの検出が困難な場合がある。
【0006】
本開示の課題は、クラックの認識精度を向上することが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、ダイボンディング装置は、ダイを撮像する撮像装置と、ダイを撮像装置の光学系軸に対して斜めから照明する照明装置と、撮像装置および照明装置を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、ダイに形成されたクラックを検出するため、ダイに照明装置により可視光領域において緑色よりも短い波長の光を照射すると共に、撮像装置によりダイを撮像するように構成される。
【発明の効果】
【0008】
上記ダイボンディング装置によれば、クラックの認識精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ダイボンダの構成例を示す概略上面図
図2図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図
図3図1のダイ供給部の主要部を示す概略断面図
図4図1のダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図
図5図1のダイボンダにおけるダイボンディング工程を説明するフローチャート
図6】斜光照明を説明する模式図
図7】クラックおよびその背景を説明する図
図8】照明色による模様の見え方の違いを説明する図
図9】視野内座標とダイ表面のクラックと背景照度の測定結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、本開示者らが検討した技術について図6から図9を用いて説明する。図6は斜光照明を説明する模式図である。図7はクラックおよびその背景を説明する図であり、図7(a)は背景に対するクラックの明度コントラストの差が大きい場合の画像を示す図であり、図7(b)は背景に対するクラックの明度コントラストの差が小さい場合の画像を示す図である。図8は照明色による模様の見え方の違いを説明する図であり、図8(a)は照明色が青の場合の画像であり、図8(b)は照明色が緑の場合の画像であり、図8(c)は照明色が赤の場合の画像である。図9は視野内座標とダイ表面のクラックと背景照度の測定結果を示すグラフであり、図9(a)は白色照明の場合であり、図9(b)は青色照明の場合であり、図9(c)は赤色照明の場合である。
【0011】
カメラによる画像でのクラック検査機能を設計する場合、その照明構成は「背景を明るくして見たいものを暗く写す」明視野方式と、「背景を暗くして、見たいものを明るく写す」暗視野方式がある。一般に微細な傷を検査する場合は暗視野方式のほうがよい。ウェハ表面は鏡面に近く、暗視野方式による検査を行うには、光を斜めから当てる照明方式である斜光照明がよい。図6に示すように、ダイDのクラックを検出する場合、照明装置LDの斜光照明の入射角(θ)は撮像装置CMの光学系の軸にできるだけ近い(入射角(θ)をできるだけ0に近づける)ほうがクラックを光らせやすい。本明細書では、この照明をハイアングルクラック検出照明という。
【0012】
ポリイミド膜等で形成される表面保護膜の薄膜化、表面メモリの多積層化などにより、メモリセル層の分光反射率が変化する。このため、ハイアングルクラック検出照明では、図7(b)に示すように、ダイ表面のメモリアレイMARYのメモリセル上に縞模様などの模様が浮かび上がることがある。この縞模様が背景に出現すると縞模様とクラックCRKの区別が難しくなる。すなわち、この縞模様がクラック領域とその他の領域の分離を画像処理で行う際の障害となり、背景に対して明度コントラストの差が少ないクラックの検出や、クラック長の正確な測定を困難にする。メモリアレイMARYのように繰り返しパターンにより構成された領域の面積が他の領域の面積よりも大きい場合に影響が大きい。
【0013】
図8に示すように、本縞模様が使用する斜光照明の照明波長を長いものにするとより際立ち、短いものにするとより消失して見えなくなる。
【0014】
また、ダイ表面のクラックと背景照度を測定すると、図9(a)に示すように、白色の照明では部分的に明度が明るくなる部分(A)があり、これはクラックであり、図9(a)の(B)は背景の明度であり、(C)はメモリセルが浮かび上がり明るくなる領域であり、(D)は全反射している領域となっている。図9(a)の(C)に示す白色の照明ではメモリセルが浮かび上がり明るくなる領域は、図9(b)の青色の照明にはその領域が存在せず、図9(c)に示す赤色の照明ではメモリセルが浮かび上がって極端に明るくなる領域が存在している。したがって、白色の照明において背景明度が明るくなる部分があるのは、白色内の赤色成分が原因であることがわかる。
【0015】
照明色による上記の差異は、
(a)表面保護膜の吸収スペクトルの違い(青色の方が吸収されやすい)
(b)表面保護膜の光干渉(赤色の方が干渉しやすい)
(c)シリコン表層のメモリ層でのシャント部分(ダイ表面)の反射スペクトルの違い(赤色の方が反射しやすい)
によるものである。
【0016】
すなわち、可視光領域では波長が長い方がダイ表面の反射率が高い為で、それにポリイミド膜の介在で、透過および干渉が発生し、ダイ表面のセル模様を可視化しているためである。これに対し、波長が短い方はその特性が少なく、クラックの拡散光のみを反射するためである。
【0017】
そこで、図6に示すように、実施形態におけるダイボンディング装置BDは、撮像装置CMと、照明装置LDと、を備えている。照明装置LDは、表面に縞模様が浮かび上がらないように可視光領域における波長が緑色よりも短い色の光の照明を用いる。例えば、光源として青色LEDや紫LEDを使用する。用いる光源は青色を発光させる光源(例えば、青色LED)以外に白色光源にショートパスフィルタを透過させたものでも良い。ここで、ショートパスフィルタは、鋭い立ち上がりで、短波長側の光を透過させ、長波長側の光をカットさせることができる波長(色)分離用フィルタである。この光学フィルタとしてのショートパスフィルタは例えば、赤をカットして青色を透過するシアンフィルタ等が好ましい。
【0018】
また、照明装置LDは斜光照明であるのが好ましい。さらに、斜光照明はハイアングルがより好ましい。照明装置LDは斜光リング照明であってもよいし、斜光バー照明であってもよい。入射角(θ)は、例えば、0度超30度以下が好ましく、5度以上15度以下がより好ましい。
【0019】
これにより、クラックと背景のコントラストをより高くすることができる。カメラにコントラストの違いとして写せるクラックとしては、より薄く(低コントラスト)に写るものとその背景との分離が容易になる為、幅のより細いクラックの検出が可能になる。また、背景の縞模様のない製品と同等の検査感度を得ることができる。これにより、検査感度向上し、検査が安定化する。
【0020】
また、ダイや基板の位置決めまたは位置検査(以下、位置認識と総称する。)を行う場合は、白色光源の照明を用いる。なお、照明は白色光源(白色LED等)を用い、ダイクラック検出時は、ショートパスフィルタを透過させて青色光や紫色光を照射し、位置認識時は、ショートパスフィルタを透過させないで白色光を照射するようにしてもよい。また、ダイや基板の位置決めまたは位置検査にダイクラック検出用とは別の光源を設けるようにしてもよい。
【0021】
以下、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【実施例
【0022】
図1は実施例に係るダイボンダの概略を示す上面図である。図2図1において矢印A方向から見たときに、ピックアップヘッド及びボンディングヘッドの動作を説明する図である。
【0023】
ダイボンダ10は、大別して、基板Sに実装するダイDを供給するダイ供給部1と、ピックアップ部2、中間ステージ部3と、ボンディング部4と、搬送部5、基板供給部6と、基板搬出部7と、各部の動作を監視し制御する制御部8と、を有する。Y軸方向がダイボンダ10の前後方向であり、X軸方向が左右方向である。ダイ供給部1がダイボンダ10の手前側に配置され、ボンディング部4が奥側に配置される。ここで、基板Sには、最終1パッケージとなる、一つ又は複数の製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)がプリントされている。
【0024】
まず、ダイ供給部1は基板SのパッケージエリアPに実装するダイDを供給する。ダイ供給部1は、ウェハ11を保持するウェハ保持台12と、ウェハ11からダイDを突き上げる点線で示す突上げユニット13と、を有する。ダイ供給部1は図示しない駆動手段によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを突上げユニット13の位置に移動させる。
【0025】
ピックアップ部2は、ダイDをピックアップするピックアップヘッド21と、ピックアップヘッド21をY方向に移動させるピックアップヘッドのY駆動部23と、コレット22を昇降、回転及びX方向移動させる図示しない各駆動部と、を有する。ピックアップヘッド21は、突き上げられたダイDを先端に吸着保持するコレット22(図2も参照)を有し、ダイ供給部1からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。ピックアップヘッド21は、コレット22を昇降、回転及びX方向移動させる図示しない各駆動部を有する。
【0026】
中間ステージ部3は、ダイDを一時的に載置する中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識する為のステージ認識カメラ32を有する。
ボンディング部4は、中間ステージ31からダイDをピックアップし、搬送されてくる基板SのパッケージエリアP上にボンディングし、又は既に基板SのパッケージエリアPの上にボンディングされたダイの上に積層する形でボンディングする。ボンディング部4は、ピックアップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット42(図2も参照)を備えるボンディングヘッド41と、ボンディングヘッド41をY方向に移動させるY駆動部43と、基板SのパッケージエリアPの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディング位置を認識する基板認識カメラ44とを有する。このような構成によって、ボンディングヘッド41は、ステージ認識カメラ32の撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップし、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板にダイDをボンディングする。
【0027】
搬送部5は、基板Sを掴み搬送する基板搬送爪51と、基板Sが移動する搬送レーン52と、を有する。基板Sは、搬送レーン52に設けられた基板搬送爪51の図示しないナットを搬送レーン52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによって移動する。このような構成によって、基板Sは、基板供給部6から搬送レーン52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後、基板搬出部7まで移動して、基板搬出部7に基板Sを渡す。
【0028】
制御部8は、ダイボンダ10の各部の動作を監視し制御するプログラム(ソフトウェア)を格納するメモリと、メモリに格納されたプログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、を備える。
【0029】
次に、ダイ供給部1の構成について図3を用いて説明する。図3図1のダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【0030】
ダイ供給部1は、水平方向(XY方向)に移動するウェハ保持台12と、上下方向に移動する突上げユニット13と、を備える。ウェハ保持台12は、ウェハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウェハリング14に保持され複数のダイDが接着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、を有する。突上げユニット13は支持リング17の内側に配置される。
【0031】
ダイ供給部1は、ダイDの突き上げ時に、ウェハリング14を保持しているエキスパンドリング15を下降させる。その結果、ウェハリング14に保持されているダイシングテープ16が引き伸ばされダイDの間隔が広がり、突上げユニット13によりダイD下方よりダイDを突き上げ、ダイDのピックアップ性を向上させている。なお、薄型化に伴いダイを基板に接着する接着剤は、液状からフィルム状となり、ウェハ11とダイシングテープ16との間にダイアタッチフィルム(DAF)18と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けている。ダイアタッチフィルム18を有するウェハ11では、ダイシングは、ウェハ11とダイアタッチフィルム18に対して行なわれる。従って、剥離工程では、ウェハ11とダイアタッチフィルム18をダイシングテープ16から剥離する。なお、以降では、ダイアタッチフィルム18の存在を無視して、説明する。
【0032】
ダイボンダ10は、ウェハ11上のダイDの姿勢を認識するウェハ認識カメラ24と、中間ステージ31に載置されたダイDの姿勢を認識するステージ認識カメラ32と、ボンディングステージBS上の実装位置を認識する基板認識カメラ44とを有する。認識カメラ間の姿勢ずれ補正しなければならないのは、ボンディングヘッド41によるピックアップに関与するステージ認識カメラ32と、ボンディングヘッド41による実装位置へのボンディングに関与する基板認識カメラ44である。本実施例ではウェハ認識カメラ24、ステージ認識カメラ32および基板認識カメラ44と共に実施形態で説明した照明装置を用いてダイDのクラックを検出する。
【0033】
制御部8について図4を用いて説明する。図4は制御系の概略構成を示すブロック図である。制御系80は制御部8と駆動部86と信号部87と光学系88とを備える。制御部8は、大別して、主としてCPU(Central Processor Unit)で構成される制御・演算装置81と、記憶装置82と、入出力装置83と、バスライン84と、電源部85とを有する。記憶装置82は、処理プログラムなどを記憶しているRAMで構成されている主記憶装置82aと、制御に必要な制御データや画像データ等を記憶しているHDDで構成されている補助記憶装置82bとを有する。入出力装置83は、装置状態や情報等を表示するモニタ83aと、オペレータの指示を入力するタッチパネル83bと、モニタを操作するマウス83cと、光学系88からの画像データを取り込む画像取込装置83dと、を有する。また、入出力装置83は、ダイ供給部1のXYテーブル(図示せず)やボンディングヘッドテーブルのZY駆動軸等の駆動部86を制御するモータ制御装置83eと、種々のセンサ信号や照明装置などのスイッチ等の信号部87から信号を取り込み又は制御するI/O信号制御装置83fとを有する。光学系88には、ウェハ認識カメラ24、ステージ認識カメラ32、基板認識カメラ44が含まれる。制御・演算装置81はバスライン84を介して必要なデータを取込み、演算し、ピックアップヘッド21等の制御や、モニタ83a等に情報を送る。
【0034】
制御部8は画像取込装置83dを介してウェハ認識カメラ24、ステージ認識カメラ32および基板認識カメラ44で撮像した画像データを記憶装置82に保存する。保存した画像データに基づいてプログラムしたソフトウェアにより、制御・演算装置81を用いてダイDおよび基板SのパッケージエリアPの位置決め、並びにダイDおよび基板Sの表面検査を行う。制御・演算装置81が算出したダイDおよび基板SのパッケージエリアPの位置に基づいてソフトウェアによりモータ制御装置83eを介して駆動部86を動かす。このプロセスによりウェハ上のダイの位置決めを行い、ピックアップ部2およびボンディング部4の駆動部で動作させダイDを基板SのパッケージエリアP上にボンディングする。使用するウェハ認識カメラ24、ステージ認識カメラ32および基板認識カメラ44はグレースケール、カラー等であり、光強度を数値化する。
【0035】
図5図1のダイボンダにおけるダイボンディング工程を説明するフローチャートである。
【0036】
実施例のダイボンディング工程では、まず、制御部8は、ウェハ11を保持しているウェハリング14をウェハカセットから取り出してウェハ保持台12に載置し、ウェハ保持台12をダイDのピックアップが行われる基準位置まで搬送する(ウェハローディング(工程P1))。次いで、制御部8は、ウェハ認識カメラ24によって取得した画像から、ウェハ11の配置位置がその基準位置と正確に一致するように微調整を行う。
【0037】
次に、制御部8は、ウェハ11が載置されたウェハ保持台12を所定ピッチでピッチ移動させ、水平に保持することによって、最初にピックアップされるダイDをピックアップ位置に配置する(ダイ搬送(工程P2))。ウェハ11は、予めプローバ等の検査装置により、ダイ毎に検査され、ダイ毎に良、不良を示すマップデータが生成され、制御部8の記憶装置82に記憶される。ピックアップ対象となるダイDが良品であるか、不良品であるかの判定はマップデータにより行われる。制御部8は、ダイDが不良品である場合は、ウェハ11が載置されたウェハ保持台12を所定ピッチでピッチ移動させ、次にピックアップされるダイDをピックアップ位置に配置し、不良品のダイDをスキップする。
【0038】
制御部8は、ウェハ認識カメラ24によってピックアップ対象のダイDの主面(上面)を撮影し、取得した画像からピックアップ対象のダイDの上記ピックアップ位置からの位置ずれ量を算出する。制御部8は、この位置ずれ量を基にウェハ11が載置されたウェハ保持台12を移動させ、ピックアップ対象のダイDをピックアップ位置に正確に配置する(ダイ位置決め(工程P3))。
【0039】
次いで、制御部8は、ウェハ認識カメラ24によって取得した画像から、ダイDの表面検査を行う(工程P4)。ここで、制御部8は、表面検査で問題があるかどうかを判定し、ダイDの表面に問題なしと判定した場合には次工程(後述する工程P9)へ進むが、問題ありと判定した場合には、表面画像を目視で確認するか、さらに高感度の検査や照明条件などを変えた検査を行い、問題がある場合はスキップ処理し、問題がない場合は次工程の処理を行う。スキップ処理は、ダイDの工程P9以降をスキップし、ウェハ11が載置されたウェハ保持台12を所定ピッチでピッチ移動させ、次にピックアップされるダイDをピックアップ位置に配置する。
【0040】
制御部8は、基板供給部6で基板S搬送レーン52に載置する(基板ローディング(工程P5))。制御部8は、基板Sを掴み搬送する基板搬送爪51をボンディング位置まで移動させる(基板搬送(工程P6))。基板認識カメラ44にて基板を撮像して位置決めを行う(基板位置決め(工程P7))。
【0041】
次いで、制御部8は、基板認識カメラ44によって取得した画像から、基板SのパッケージエリアPの表面検査を行う(工程P8)。ここで、制御部8は、表面検査で問題があるかどうかを判定し、基板SのパッケージエリアPの表面に問題なしと判定した場合には次工程(後述する工程P9)へ進むが、問題ありと判定した場合には、表面画像を目視で確認するか、さらに高感度の検査や照明条件などを変えた検査を行い、問題がある場合はスキップ処理し、問題がない場合は次工程の処理を行う。スキップ処理は、基板SのパッケージエリアPの該当タブへの工程P10以降をスキップし、基板着工情報に不良登録を行う。
【0042】
制御部8は、ダイ供給部1によってピックアップ対象のダイDを正確にピックアップ位置に配置した後、コレット22を含むピックアップヘッド21によってダイDをダイシングテープ16からピックアップし(ダイハンドリング(工程P9))、中間ステージ31に載置する(工程P10)。制御部8は、中間ステージ31に載置したダイの姿勢ずれ(回転ずれ)の検出をステージ認識カメラ32にて撮像して行う(工程P11)。制御部8は、姿勢ずれがある場合は中間ステージ31に設けられた旋回駆動装置(不図示)によって実装位置を有する実装面に平行な面で中間ステージ31を旋回させて姿勢ずれを補正する。
【0043】
制御部8は、ステージ認識カメラ32によって取得した画像から、ダイDの表面検査を行う(工程P12)。ここで、制御部8は、表面検査で問題があるかどうかを判定し、ダイDの表面に問題なしと判定した場合には次工程(後述する工程P13)へ進むが、問題ありと判定した場合には、表面画像を目視で確認するか、さらに高感度の検査や照明条件などを変えた検査を行い、問題がある場合は、そのダイを図示しない不良品トレーなどに載置してスキップ処理し、問題がない場合は次工程の処理を行う。スキップ処理は、ダイDの工程P13以降をスキップし、ウェハ11が載置されたウェハ保持台12を所定ピッチでピッチ移動させ、次にピックアップされるダイDをピックアップ位置に配置する。
【0044】
制御部8は、コレット42を含むボンディングヘッド41によって中間ステージ31からダイDをピックアップし、基板SのパッケージエリアPまたは既に基板SのパッケージエリアPにボンディングされているダイにダイボンディングする(ダイアタッチ((工程P13))。
【0045】
制御部8は、ダイDをボンディングした後、そのボンディング位置が正確になされているかを検査する(ダイと基板の相対位置検査(工程P14))。このとき、後述するダイの位置合わせと同様にダイの中心と、タブの中心を求め、相対位置が正しいかを検査する。
【0046】
次いで、制御部8は、基板認識カメラ44によって取得した画像から、ダイDおよび基板Sの表面検査を行う(工程P15)。ここで、制御部8は、表面検査で問題があるかどうかを判定し、ボンディングされたダイDの表面に問題なしと判定した場合には次工程(後述する工程P9)へ進むが、問題ありと判定した場合には、表面画像を目視で確認するか、さらに高感度の検査や照明条件などを変えた検査を行い、問題がある場合はスキップ処理し、問題がない場合は次工程の処理を行う。スキップ処理では、基板着工情報に不良登録を行う。
【0047】
以後、同様の手順に従ってダイDが1個ずつ基板SのパッケージエリアPにボンディングする。1つの基板のボンディングが完了すると、基板搬送爪51で基板Sを基板搬出部7まで移動して(基板搬送(工程P16))、基板搬出部7に基板Sを渡す(基板アンローディング(工程P17))。
【0048】
以後、同様の手順に従ってダイDが1個ずつダイシングテープ16から剥がされる(工程P9)。不良品を除くすべてのダイDのピックアップが完了すると、それらダイDをウェハ11の外形で保持していたダイシングテープ16およびウェハリング14等をウェハカセットへアンローディングする(工程P18)。
【0049】
クラックの外観検査は、ダイ位置認識を行う場所であるダイ供給部、中間ステージ、およびボンディングステージの少なくとも1か所で行うが、すべての箇所で行うのがより好ましい。ダイ供給部で行えば、早くクラックを検出することができる。中間ステージに行えば、ダイ供給部で検出できなかったクラックまたはピックアップ工程以降で発生したクラック(ボンディング工程よりも前に顕在化しなかったクラック)をボンディング前に検出することができる。また、ボンディングステージに行えば、ダイ供給部および中間ステージで検出できなかったクラック(ボンディング工程よりも前に顕在化しなかったクラック)またはボンディング工程以降で発生したクラックを、次のダイを積層するボンディング前に、または基板排出前に検出することができる。
【0050】
以上、本開示者らによってなされた発明を実施形態および実施例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0051】
例えば、実施例ではダイ位置認識の後にダイ外観検査認識を行っているが、ダイ外観検査認識の後にダイ位置認識を行ってもよい。
【0052】
また、実施例ではウェハの裏面にDAFが貼付されているが、DAFはなくてもよい。
【0053】
また、実施例ではピックアップヘッドおよびボンディングヘッドをそれぞれ1つ備えているが、それぞれ2つ以上であってもよい。また、実施例では中間ステージを備えているが、中間ステージがなくてもよい。この場合、ピックアップヘッドとボンディングヘッドは兼用してもよい。
【0054】
また、実施例ではダイの表面を上にしてボンディングされるが、ダイをピックアップ後ダイの表裏を反転させて、ダイの裏面を上にしてボンディングしてもよい。この場合、中間ステージは設けなくてもよい。この装置はフリップチップボンダという。
【0055】
また、実施例ではボンディングヘッドを備えるが、ボンディングヘッドがなくてもよい。この場合は、ピックアップされたダイは容器等に載置される。この装置はピックアップ装置という。
【符号の説明】
【0056】
BD・・・ダイボンディング装置
CM・・・撮像装置
CNT・・・制御装置
D・・・ダイ
LD・・・照明装置
図1
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