IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7438104基板裏側の損傷の低減のための基板支持体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】基板裏側の損傷の低減のための基板支持体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240216BHJP
   H01L 21/324 20060101ALI20240216BHJP
   H01L 21/268 20060101ALI20240216BHJP
   H01L 21/26 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L21/324 Q
H01L21/268 G
H01L21/26 Q
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020515155
(86)(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 US2018050446
(87)【国際公開番号】W WO2019055406
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】15/703,961
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ヒューストン ジョエル エム
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ チェン-ション
(72)【発明者】
【氏名】ズー グォ-チュアン
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-279548(JP,A)
【文献】特開2011-155137(JP,A)
【文献】特開2010-219113(JP,A)
【文献】特開2017-5209(JP,A)
【文献】特開2005-101310(JP,A)
【文献】特開2015-8240(JP,A)
【文献】特開2006-313816(JP,A)
【文献】特開平7-58041(JP,A)
【文献】特開平5-47652(JP,A)
【文献】特開2002-261156(JP,A)
【文献】特開平10-50812(JP,A)
【文献】特開2006-93203(JP,A)
【文献】特開2005-33221(JP,A)
【文献】特開平10-242255(JP,A)
【文献】特表2010-509780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/324
H01L 21/268
H01L 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面を有する支持本体であって、アルミナ又は金属組成物から製作されており、前記支持本体の周縁部に配置されたシールバンドを含み、前記シールバンドが、その摩擦係数を低減させる材料によってコーティングされる、支持本体と、
前記第1の表面を通って前記支持本体内へ延びる1つまたは複数のレセプタクルと、
それぞれ前記1つまたは複数のレセプタクルのうちの対応するレセプタクル内に配置され、前記第1の表面から突出する1つまたは複数の突起であって、支持すべき基板の硬度以下の硬度を有する材料から製作されており、前記第1の表面の上に実質的に平面の支持面を少なくとも部分的に画定する1つまたは複数の突起と、
を備える基板支持体。
【請求項2】
前記1つまたは複数の突起が、前記支持本体から交換可能または切離し可能である、請求項1に記載の基板支持体。
【請求項3】
前記1つまたは複数の突起が、前記第1の表面より柔軟である、請求項1または2に記載の基板支持体。
【請求項4】
前記1つまたは複数の突起が、熱可塑性材料から作られる、請求項1、2、または3に記載の基板支持体。
【請求項5】
前記1つまたは複数の突起が、基板に接触して支持するための平坦化された頂面を有する、請求項1、2、3、または4に記載の基板支持体。
【請求項6】
前記突起が、25ミクロン~200ミクロンの高さを有する、請求項1、2、3、4、または5に記載の基板支持体。
【請求項7】
前記1つまたは複数のレセプタクルがねじ孔である、請求項1~6のいずれか1項に記載の基板支持体。
【請求項8】
前記1つまたは複数の突起が、前記ねじ孔に嵌合するためのねじ山を含む、請求項7に記載の基板支持体。
【請求項9】
前記1つまたは複数の突起が、前記支持本体の周りに配置された複数の突起である、請求項1~8のいずれか1項に記載の基板支持体。
【請求項10】
基板支持体であって、
第1の表面を有する支持本体であって、アルミナ又は金属組成物から製作されており、前記支持本体の周縁部に配置されたシールバンドを含み、前記シールバンドが、その摩擦係数を低減させる材料によってコーティングされる、支持本体と、
前記第1の表面を通って前記支持本体内へ延びる1つまたは複数のレセプタクルと、
それぞれ前記1つまたは複数のレセプタクルのうちの対応するレセプタクル内に配置され、前記第1の表面から突出する1つまたは複数の突起であって、支持すべき基板の硬度以下の硬度を有する材料から製作されており、前記第1の表面の上に実質的に平面の支持面を少なくとも部分的に画定する1つまたは複数の突起と、
前記第1の表面と前記基板支持体上に配置されたときの基板の裏側との間に画定される空間にガスまたは真空を供給するように前記支持本体を通って前記第1の表面へ配置された少なくとも1つのチャネルと
を備える基板支持体。
【請求項11】
前記1つまたは複数の突起のそれぞれが、前記基板を支持するための接触点を含み、前記接触点が、前記第1の表面より柔軟である、請求項10に記載の基板支持体。
【請求項12】
前記接触点が、熱安定性プラスチックから作られる、請求項11に記載の基板支持体。
【請求項13】
前記支持本体が、前記支持面上に形成されて前記少なくとも1つのチャネルに結合された複数の溝を備える、請求項10又は12に記載の基板支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、半導体製造機器に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)の製造では、様々な化学的および/または物理的反応が生じるように、基板を高い温度に加熱することができる。通常、基板を加熱するために熱処理が使用される。アニーリングなどの典型的な熱処理では、短時間で比較的大量の熱エネルギーを基板に提供し、その後ウエハを急速に冷却して熱処理を終了する必要がある。これらの熱処理中にプロセスチャンバ内の基板を固定するために、加熱されたチャックが使用される。
【0003】
一貫した熱均一性のために、チャックと基板との間で特定の量の制御された接触が必要とされ、本発明者らは、加熱されたチャックの支持面と基板との間の接触面積が問題となり、たとえば低温の基板が加熱によって膨張したとき、基板のうち支持面に接触する側に損傷を引き起こす可能性があることを観察した。接触面積を最小にする試みがなされてきたが、本発明者らは、接触表面積を最小にすることによって、増大された力が基板に作用し、基板の下面への損傷を集中および増大させることを観察した。本発明者らは、基板が接触領域より柔軟な材料であるとき、くぼみまたは引っ掻き傷の形で基板の裏側に追加の損傷が生じる可能性があるため、この状況がさらに問題となることを観察した。
【0004】
本発明者らは、チャックの継続使用により、基板支持体の反りおよび/または基板支持体と基板との間の接触領域の摩耗が生じる可能性もあることをさらに観察した。本発明者らは、反りおよび摩耗が基板の完全性および平面性にとって好ましくないことを観察した。
【0005】
したがって、本発明者らは、基板支持体の改善された実施形態を提供する。
【発明の概要】
【0006】
基板支持体および基板支持体を具備するプロセスチャンバの実施形態が提供される。いくつかの実施形態では、基板支持体が、第1の表面を有する支持本体と、第1の表面を通って支持本体内へ延びる1つまたは複数のレセプタクルと、それぞれ1つまたは複数のレセプタクルのうちの対応するレセプタクル内に配置され、第1の表面から突出する1つまたは複数の突起であって、第1の表面の上に実質的に平面の支持面を少なくとも部分的に画定する1つまたは複数の突起とを含む。裏側ウエハの損傷をなくす方法も開示される。
【0007】
いくつかの実施形態では、基板支持体は、第1の表面を有する支持本体と、第1の表面を通って支持本体内へ延びる1つまたは複数のレセプタクルと、それぞれ1つまたは複数のレセプタクルのうちの対応するレセプタクル内に配置され、第1の表面から突出する1つまたは複数の突起であって、第1の表面の上に実質的に平面の支持面を少なくとも部分的に画定する1つまたは複数の突起と、基板支持体上に配置されたときに第1の表面と基板の裏側との間に画定される空間にガスまたは真空を供給するように支持本体を通って第1の表面へ配置された少なくとも1つのチャネルとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、プロセスチャンバは、側壁および底部を有するチャンバ本体と、チャンバ本体内に配置された基板支持体とを含む。基板支持体は、本明細書に開示する実施形態のいずれかに記載のとおりである。
【0009】
本発明の他のさらなる実施形態は、以下に説明する。
【0010】
上記で簡単に要約し、以下により詳細に論じる本開示の実施形態は、添付の図面に示す本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうるため、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって範囲の限定であると解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示のいくつかの実施形態による基板支持体を有するプロセスチャンバの概略的な横断面図である。
図2A-2C】本開示のいくつかの実施形態による基板支持体の概略的な断面図である。
図3A】本開示のいくつかの実施形態による基板支持体で使用するための突起の例示的な形状の概略的な側断面図である。
図3B-3C】本開示のいくつかの実施形態による基板支持体で使用するための突起の概略的な等角図である。
図4A-4B】本開示のいくつかの実施形態による突起を有する基板支持体の概略的な断面図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による真空チャックアセンブリの概略的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするために、可能な場合、これらの図に共通する同一の要素を指すために、同一の参照番号を使用した。これらの図は、原寸に比例して描かれたものではなく、見やすいように簡略化されていることがある。さらなる記述がなくても、一実施形態の要素および特徴を他の実施形態に有益に組み込むことができる。
【0013】
本開示の実施形態は、従来の基板支持装置と比較すると、基板のうち基板支持体に接触する側(たとえば、裏側)に沿った基板の損傷を低減または解消する、改善された基板支持体および処理装置を提供する。本開示の実施形態は、有利には、半導体プロセスチャンバにおける基板のチャッキングなどの製造プロセス中に裏側基板の損傷を回避または低減することができ、基板の反りおよび不均一性をさらに制限または防止することができる。本開示の実施形態は、チャッキングを利用するプロセス、たとえば真空または静電チャックを使用するシリコンウエハ処理において、基板に接触する基板支持体で使用することができる。
【0014】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による基板支持体102を有するプロセスチャンバ100の断面図を概略的に示す。プロセスチャンバ100は、処理中に基板を支持する任意の基板処理チャンバとすることができる。いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ100は、半導体基板処理チャンバ、たとえば半導体ウエハを処理するチャンバとすることができる。いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ100は、支持されている基板を高い温度に加熱するように構成することができる。いくつかの非限定的な例では、プロセスチャンバ100は、アニーリングチャンバとすることができ、これはカリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能なものなどの半導体処理システムの一部とすることができ、またはプロセスチャンバ100は、「High Temperature Vacuum Chuck Assembly」という名称のLernerらの米国特許第8,698,048号に記載されているものなどの処理チャンバとすることができる。他の製造者から入手可能なものを含む他の処理チャンバを、本開示からの利益を得られるように適合することもできる。
【0015】
プロセスチャンバ100は、概して、チャンバ本体101を含む。チャンバ本体101は、プロセス体積114を画定する側壁106、底部108、およびリッド110を有する。プロセス体積114は、典型的に、チャンバ本体101のプロセス体積114の内外への基板120の動きを容易にする側壁106内のバルブ(図示せず)を介してアクセスされる。チャンバ本体101の側壁106および底部108は、概して、プロセス化学反応に適合している単体のアルミニウムまたは他の材料から製作されるが、複数片構造を含む他の構成を使用することもできる。
【0016】
基板支持体102は、チャンバ本体101内で中心に配置され、処理中に基板120を支持する。基板支持体102は、概して、第1の表面118を有する支持本体116を含む。実施形態では、支持本体116は、底部108を通って延びるシャフト122によって支持される。支持本体116は、概して円形の形状であり、石英、アルミナなどのセラミック、またはステンレス鋼、2相ステンレス鋼、チタン、合金鋼、工具鋼組成物などの金属組成物、およびこれらの組合せなどの材料から製作することができる。実施形態では、支持本体116は、以下にさらに説明するように、その摩擦係数を低減させるための材料によって少なくとも部分的にコーティングされる。
【0017】
実施形態では、支持本体116は、1つまたは複数のレセプタクル136と、1つまたは複数の突起138とを含み、1つまたは複数の突起138は、以下にさらに説明するように、レセプタクル136から切離し可能にレセプタクル136内に配置され、またはレセプタクル136に取外し可能に結合される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のレセプタクル136は、第1の表面118を通って支持本体116内へ延びる。1つまたは複数の突起138は、それぞれ1つまたは複数のレセプタクル136のうちの対応するレセプタクル内に配置され、第1の表面118から突出する。1つまたは複数の突起138は、第1の表面118の上に実質的に平面の支持面103を少なくとも部分的に画定する。図1を参照すると、D1は、第1の表面118の上の平面の支持面の高さを表し、平面の支持面103と第1の表面118との間の間隙を示す。実施形態では、平面の支持面は、第1の表面118の上に約0.05ミリメートル~5ミリメートル、または0.1ミリメートル~1ミリメートル、または約0.15ミリメートルである。実施形態では、平面の支持面は、支持本体116の第1の表面118全体の上に位置する。
【0018】
いくつかの実施形態では、支持本体116は、少なくとも1つの加熱要素124(想像線で示す)を含む。いくつかの実施形態では、加熱要素124は、支持本体116内に封入される。電極または抵抗加熱要素などの加熱要素124は、電気コネクタアセンブリ126を介して電源130に結合されており、処理中に支持本体116および支持本体116上に位置する基板120を所定の温度に制御可能に加熱する。いくつかの実施形態では、加熱要素124は、処理中に基板120を約20℃~750℃の温度に加熱するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の表面118と基板支持体上に配置されたときの基板120の裏側との間に画定される空間にガスまたは真空を供給するために、少なくとも1つのチャネル127(想像線で示す)が支持本体116を通って配置される。少なくとも1つのチャネル127は、ガスを提供するためにガス源128に結合することができ、または処理中に支持本体116上に位置する基板120に吸引力(たとえば、真空圧力)を提供するために真空源129に結合することができる。支持本体116は、静電チャックで使用するために好適なものなどのDC電極104(想像線で示す)および追加の電源105(想像線で示す)を含むことができる。支持本体116は、冷却要素、RF電極、および/または裏側ガス供給などの非限定的な例など、超小型電子デバイスの製造のための基板支持体で一般に見られる追加の要素を含むことができる。説明を簡単にするために、これらの追加の要素は示されていない。
【0019】
処理中、基板120は、チャンバ本体101内(たとえば、基板支持体の上)に配置することができる。基板120は、たとえば、ドープまたは非ドープシリコン基板、III-V化合物基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)基板、エピ基板、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネセンス(EL)ランプディスプレイなどのディスプレイ基板、発光ダイオード(LED)基板、太陽電池アレイ、太陽電池パネルなどとすることができる。いくつかの実施形態では、基板120は、半導体ウエハとすることができる。基板120は、何らかの特定のサイズまたは形状に限定されるものではない。基板は、とりわけ200mmの直径、300mmの直径、または450mmなどの他の直径を有する円形のウエハとすることができる。基板はまた、フラットパネルディスプレイの製造で使用される多角形のガラス基板など、任意の多角形、方形、矩形、曲線形、または他の円形以外のワークピースとすることができる。
【0020】
図2Aを次に参照すると、本開示のいくつかの実施形態による基板支持体102の一部分の概略的な断面図が示されており、突起は基板支持体102に取り付けられていない。基板支持体102は、上述した支持本体116の実施形態を含むことができ、1つまたは複数のレセプタクル136を含む。各レセプタクル136は、レセプタクル体積214を画定する1つまたは複数の側壁206、底部208、および第1の表面218内の開口212を有する。1つまたは複数のレセプタクル136の側壁206および底部208は、概して、図1で上述した支持本体116と同じ材料である。
【0021】
いくつかの実施形態では、図2Aに示すように、支持本体116の第1の表面218の上に、環状のシールバンド222(想像線で示す)を配置することができる。シールバンド222は、支持本体116と同じ材料から作ることができ、支持本体と一体化することができ、または支持本体に結合することができる。シールバンド222は、処理中に基板(図示せず)を基板の周縁部に沿って支持することができるような外径、内径、および高さを有する。第1の表面218の上のシールバンド222の高さは、複数の突起の高さと同じになるように選択することができ、したがってシールバンドおよび突起は、実質的に平面の支持面(たとえば、実質的に平面の支持面103、420)をともに画定する。シールバンド222は、基板(たとえば、120)と支持本体116との間のシールの形成を容易にし、したがっていくつかの実施形態では、基板を支持本体にチャッキングするために基板の裏側と支持本体との間の領域内で真空圧力を維持することができ、またはいくつかの実施形態では、たとえば基板支持体が静電チャックであるとき、基板の裏側と支持本体との間の領域に裏側ガスを提供することができる。図2Aにのみ示すが、本明細書に記載するシールバンドは、具体的には図1図2B図2C図3A図3C図4A図4B、および図5に示されている、本明細書に開示する他の実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができる。
【0022】
図2Aをさらに参照すると、いくつかの実施形態では、シールバンド222、および任意選択で第1の表面218は、その上に配置されたコーティング219を含むことができる。コーティング219は、シールバンド222および任意選択で第1の表面218の摩擦係数を低減させるのに十分な材料である。第1の表面218および/またはシールバンド222のコーティングは、その摩擦係数を低減させることができ、基板支持体の上に配置されたとき基板への損傷を低減または解消することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するように、第1の表面218全体をコーティングすることができる。実施形態では、コーティング219は、高温状態または高圧縮力状態下で長い寿命にわたって十分な構造的完全性を呈する。好適かつ有効なコーティングの非限定的な例には、高い強度および低い摩擦を呈し、ならびに多くのプロセス化学物質に耐えるものなどの減摩コーティングが含まれる。実施形態では、炭素もしくは炭素の窒化物化合物を含む薄膜コーティング219を施すことができ、ダイヤモンド様炭素を含むことができ、かつ/またはその組合せを含むことができる。この応用例に特に好適な1つの特有の減摩コーティングは、Balzers Oerlikonによって提供されるSTAR(登録商標)DLCおよびBALINIT(登録商標)DLCまたはIonbondによって提供されるaDLCなどのダイヤモンド様コーティング(DLC)である。しかし、これらの特徴を呈する他の減摩コーティングを施すこともできる。実施形態では、4面体非晶質炭素(ta-C)を施すことができる。実施形態では、コーティングは、約0.05μm~約5μmの厚さに施される。たとえば、シールバンド222および/または第1の表面218に、厚さ2μmのみのコーティングを施すことができる。
【0023】
図2Bを次に参照すると、本開示のいくつかの実施形態による基板支持体102の概略的な断面図が示されており、突起は基板支持体102に取り付けられていない。基板支持体102は、側壁206内に配置されたねじ山224を含むことができ、ねじ山224は、レセプタクル236内の底部208へ延びてねじ孔を作る。ねじ山224は、機械加工などの当技術分野で知られている任意の手段によって、レセプタクルに加えることができる。ねじ山224は、セラミック、アルミナ、もしくはステンレス鋼、2相ステンレス鋼、チタン、合金鋼、工具鋼組成物などの金属組成物、またはこれらの組合せなど、支持本体116と同じ材料から作ることができる。ねじ山224は、以下にさらに説明するように、突起からの嵌合または対応するねじ山に連結するようにサイズ設定および隔置することができる。
【0024】
図2Cを次に参照すると、本開示のいくつかの実施形態による基板支持体102の概略的な断面図が示されており、突起は基板支持体102に取り付けられていない。基板支持体102は、支持本体116内に配置されたレセプタクル247を示す。実施形態では、レセプタクル247は、レセプタクル体積214を画定する側壁206、底部208、および開口212を有する。1つまたは複数のレセプタクルの側壁206および底部208は、支持本体116の底部209に対して傾斜して形成される。いくつかの実施形態では、支持本体116の一部分は、レセプタクル247から突起を取り外さずに突起の上から基板を取り外すとき、支持本体116内に配置された1つまたは複数の突起(図示せず)に力を作用させることが可能である。
【0025】
本発明者らは、支持すべき基板の硬度以下の硬度を有する材料から製作された基板支持要素を使用することによって、基板の損傷を防止しまたは実質的に最小にすることができることを観察した。好適な基板支持材料の非限定的な例には、たとえば、熱安定性プラスチック、またはVESPEL(登録商標)ブランドのポリイミド系プラスチック、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびPBI(ポリベンゾイミダゾール)のCelazole(登録商標)ブランドのサーモプラスチックなどの熱可塑性材料が含まれる。上述した柔軟特性を呈する他のプロセス適合材料を使用することもできる。いくつかの実施形態では、基板に接触する要素(たとえば、突起138、309)は、全体としてこの材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、基板に接触する要素は、基板に接触する要素の少なくともいくつかの部分で、この材料から形成することができる。
【0026】
図3A図3Cを次に参照すると、本開示のいくつかの実施形態による突起の例示的な形状の概略図が示されている。突起309はすべて、同じ高さで形成され、基板(図示せず)の裏側に接触するように平坦化された頂面を有しており、突起309の頂面面積の和は、支持面310より大幅に小さく、それによって支持面310と基板(図示せず)との間の接触面積を低減させる。支持面310と基板(図示せず)との間の接触面積をより小さくすることで、実施形態では、支持面310全体を平坦化するのではなく、突起309だけを平面にする。さらに、接触面積をより小さくすることで、支持面313によって基板の裏側に損傷が引き起こされる可能性を低減させることができる。図3Cを参照すると、接触面積をさらに低減させるために、突起の頂面に小片315を加えることができる。いくつかの実施形態では、第1の表面の上の突起309の高さは、約25ミクロン~約200ミクロン、たとえば約50ミクロンとすることができ、突起309の幅または直径は、約500ミクロン~約5000ミクロンとすることができる。
【0027】
基板(図示せず)のくぼみおよび引っ掻き傷を防止するために、突起309の形状は、図3Aに示す平坦化された支持面313を有する半球状の突起などとすることができる。いくつかの実施形態では、突起309は、図3Bに示す丸められた方形の土台または図3Cに示す円形の土台上に形成することができる。上述した突起の形状、サイズ、およびパターンは、単なる例として示されており、本開示はそれに限定されない。1つまたは複数の突起309は、円筒形の小山、支柱、角錐、円錐、方形のブロック、可変サイズの突起、処理中に基板の平面性を確保する任意の他の形状を含むことができる。実施形態では、突起309は、支持本体116から切離し可能になるように、ねじ付きシャフト306を含む。図3Aおよび図3Cを参照すると、処理中にレセプタクル336から空気を逃すために、1つまたは複数の通気孔314を含むことができる。
【0028】
図4A図4Bは、本開示のいくつかの実施形態による突起を有する基板支持体の断面図を概略的に示す。図4Aを参照すると、一実施形態では、複数の突起312は、支持本体116から切離し可能であり、それぞれ1つまたは複数のレセプタクル436のうちの対応するレセプタクル内に配置され、第1の表面418から突出する。1つまたは複数の突起312は、第1の表面418の上に実質的に平面の支持面420を少なくとも部分的に画定する。一実施形態では、突起312の高さD1は、約10ミクロン~約50ミクロン、たとえば約25ミクロンとすることができ、突起312の幅または直径は、約500ミクロン~約5000ミクロンとすることができる。処理中にレセプタクル336から空気を逃すために、1つまたは複数の通気孔414を含むことができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、図4Bに示すように、複数の突起312は、別個に形成され、支持本体116から切り離されており、または支持本体116に取外し可能に結合される。実施形態では、突起309は、支持本体116から切離し可能になるように、ねじのない平滑なシャフト306を含む。1つまたは複数の突起312は、第1の表面418の上に実質的に平面の支持面420を少なくとも部分的に画定する。
【0030】
図5は、本開示の実施形態による真空チャックアセンブリの上面図を概略的に示す。支持本体500は、その上に基板(図示せず)を支持する支持面501を有する。処理中に基板が静止することができる支持面501上に、複数の突起508が形成される。一実施形態では、支持面501は直径300mmであり、その上に配置された基板の裏側表面積の約10%を占める100~500個の突起、たとえば150~200個の突起を有する。一実施形態では、突起508は、支持面501を横切って実質的に線形の配置で配置される。別の実施形態では、突起508は、支持面の中心から始まる放射状のパターンで配置される。一実施形態では、支持面501は直径200mmである。円形として示されているが、支持面501は、方形または矩形などの他の形状を含むことができることを理解されたい。
【0031】
図5をさらに参照すると、支持面501の周縁部にシールバンド502が配置される。処理中、シールバンド502は、支持面501と支持面501の上の平面の支持面(図示せず)との間に低圧領域を形成する。実施形態では、シールバンド502は、上述したように、その摩擦係数を低減させるのに好適な材料によってコーティングされる。支持面501は、支持面501と基板(図示せず)との間に1つまたは複数の接触点510をさらに含むことができる。実施形態では、1つまたは複数の接触点510は、上述したようにコーティングされず、支持面501および/または基板より柔軟である。
【0032】
図5をさらに参照すると、支持面501は、複数の溝504を含む。複数の溝504は、基板が真空下で処理中に平面の支持面上に配置されたとき、吸引力、たとえば均一の吸引力を作用させるためのパターンで形成される。
【0033】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、上記の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施形態を考案することができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5