(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】所定の圧力を担う装置ジャケット部と内部に配置された骨組体系物から構成される装置
(51)【国際特許分類】
B01J 3/04 20060101AFI20240216BHJP
F27D 1/00 20060101ALI20240216BHJP
C04B 35/80 20060101ALI20240216BHJP
B01J 3/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B01J3/04 A
F27D1/00 D
F27D1/00 G
C04B35/80
B01J3/00 B
(21)【出願番号】P 2021506679
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2019071031
(87)【国際公開番号】W WO2020030598
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-08-04
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】コリオス,グリゴリオス
(72)【発明者】
【氏名】ツェルス,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】アッペル,ハーゲン
(72)【発明者】
【氏名】ベルンナット,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】グレンク,フリードリヒ
(72)【発明者】
【氏名】フリック,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】オルベルト,ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】シャイフ,フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】アンデルロール,クリストファー アレク
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-137187(JP,A)
【文献】特開平01-127889(JP,A)
【文献】特開平05-052484(JP,A)
【文献】特開2000-241081(JP,A)
【文献】特開2002-364985(JP,A)
【文献】特開2003-329370(JP,A)
【文献】特開2005-055010(JP,A)
【文献】特開2012-225633(JP,A)
【文献】国際公開第2013/179409(WO,A1)
【文献】特開2016-020767(JP,A)
【文献】特表2013-501911(JP,A)
【文献】特表2006-527351(JP,A)
【文献】特表平02-502374(JP,A)
【文献】実開昭57-060100(JP,U)
【文献】独国特許発明第102015202277(DE,B3)
【文献】独国実用新案第000008714113(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 3/00 - 3/08
C04B 35/05
C04B 35/107
C04B 35/622 - 35/84
F27D 1/00 - 1/18
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの
所定の圧力を担う装置ジャケット部と、
該装置ジャケット部の内部に配置された少なくとも1つのモジュール
式骨組体系物から構成され、該モジュール式骨組体系物は、2つの異なる
ブリッジ種類から
構成されている装置であって、
複数の横向きブリッジが少なくとも1つの角柱又は円柱を形成し、
及び複数の側方ブリッジが、前記角柱又は前記円柱の内部に突出し、
前記横向きブリッジ及び
前記側方ブリッジが、相互に入り込んだ状態に差込可能であり、及び/又は1つ以上の接続要素の助けを借りて接続可能であり、前記
ブリッジの材料はセラミック繊維複合材料を含む
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記モジュール
式骨組体系物は自立型である
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記
ブリッジの材料は、
繊維複合
酸化材料を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記
横向きブリッジが、波形、角度付き若しくは平面状のシートの形態、又は円柱のシェルの形態をとり、及び前記
側方ブリッジが、波形又は平面状のシートの形態をとる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、前記
横向きブリッジから形成され、
相互に重ねて配置されている複数の層を有する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
放射方向に見て、複数の平行な
、又は中心を同じくする楕円円弧状の
横向きブリッジが使用され、
該横向きブリッジが上面視において、
相互に内側に配置された多角形又は
相互に内側に配置された楕円形として配置されている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
円周方向に隣接する前記
横向きブリッジの間の隙間に、
分離ブリッジが差込み可能である
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記
横向きブリッジの相互に重なって配置された2つの層の間に、
平面ブリッジが挿入可能である
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、基礎
部によって支持され
ており、
及び解除可能な接続
手段によって前記
基礎部に接続されている
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記モジュール
式骨組体系物内に配置された耐火レンガのライニングを有する
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記
骨組体系物は複数のボックスに分割されることができ、1つの前記ボックスは、
放射方向に見て、2つの隣接して平行な
、又は中心を同じくする楕円円弧
状の
横向きブリッジ、及び対応する
側方ブリッジ、及び周囲方向に隣接する前記
横向きブリッジの間の間隙
部、ないしは有利なことには、この間隙
部に差し込まれた前記
分離ブリッジによって囲まれており、及び
前記ボックスはそれぞれ1~2000個の耐火レンガ又は触媒で充填され、
及び前記レンガは垂直及び水平方向に層状に配置され、
及び
前記レンガと前記ボックス
の間の境界を付けるブリッジが、間隙
であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記耐火レンガの前記ライニングは、
放射方向に連続して配置され、
(i)発泡セラミック、
(ii)焼結鋳造又は押出セラミック、又は、
(i)発泡セラミック、(ii)焼結鋳造又は押出セラミック及び(iii)圧縮セラミック繊維、又は、
(i)発泡セラミック、(ii)焼結鋳造又は押出セラミック、(iii)圧縮セラミック繊維及び(iv)真空成形された繊維板又は微孔質ヒュームドシリカ
を含む板から構成された複数のレンガパッキングを含むレンガアセンブリを含む
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記レンガと前記隣接する
ブリッジとの間の隙間、及び/又は
周囲方向
に隣接する前記レンガパッキングの間の隙間は、断熱マットで少なくとも部分的に充填されている
ことを特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記モジュール
式骨組体系物と前記
所定の圧力を担う装置ジャケット部との間には、連続的な隙間が存在する
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記隙間は、有向ガス流によってパージされる
ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の装置の使用であって、
- 炭化水素を水蒸気及び/又は二酸化炭素で改質することによる合成ガスの調製
- 炭化水素の熱分解による副産物としての水素と炭素の調製
- メタン及びアンモニアから、又はプロパン及びアンモニアからのシアン化水素の調製
- 炭化水素の蒸気分解によるオレフィンの調製
- メタンのカップリングによるエチレン、アセチレン、及び/又はベンゼンの調製
- アルカンの脱水素によるオレフィンの調製
- エチルベンゼンの脱水素によるスチレンの調製
- アルカン又はオレフィンの脱水素によるジオレフィンの調製
- アルコールの脱水素によるアルデヒドの調製
- 二酸化炭素と炭素からのBoudouard反応による一酸化炭素の調製
- 触媒上の水熱分解による水素及び酸素の調製
のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの所定の圧力を担う装置ジャケット部と、該装置ジャケット部(シェル)の内部に配置され且つセラミック繊維複合材料から構成される、少なくとも1つのモジュール式骨組体系物とから構成される装置、モジュール式骨組体系物に加えて耐火レンガを含むモジュール式モジュールライニング装置、及びこの装置を高温反応器、特に電気加熱式高温反応器のために使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸熱反応は、例えば鉱物油留分の分解、天然ガス又はナフサの改質、プロパンの脱水素、ベンゼンへのメタンの脱水素芳香化、又は炭化水素の熱分解など、化学工業における価値創造チェーンの開始時に頻繁に発生する。工業的及び経済的利益を達成するためには、500℃から1700℃の温度が要求される。このことの主な理由は、平衡変換の熱力学的限界にある。
【0003】
化学工業における基礎製品の調製のための吸熱反応は、高温のため、反応器を環境から効果的に断熱する必要がある。しかも、いくつかの反応では耐圧性の反応ゾーンが必要であり、したがって、反応チャンバは、所定の入口及び出口に至るまで環境から気密的に密閉されなければならない。さらに、上述した吸熱反応のいくつかは、還元条件下で行われる。しかも、吸熱反応は、熱の供給のための効果的な構想を必要とする。直接電気加熱の場合、反応器内部、例えば床は、さらに、横方向の反応器シェルから電気的に絶縁されていなければならない。
【0004】
DE8714113U1は、モジュール式圧力容器を記載しており、その所定の圧力を担うジャケット部は、互いに重ね合わされた平坦な金属リングで構成されており、それらは垂直に配置された張力要素によって任意に一緒に保持される。容器ベース及び/又は蓋は、任意で、容器壁から軸に向かって星形に延びる近接した隣接の個別のリブ要素から形成可能である。内側の容器壁にセラミックの平坦な絶縁層があってもよく、さらに、この絶縁層は、「ベスト」と呼ばれる薄い金属層によって保護されてもよいことが記載されている。この先行技術の欠点は、セラミック絶縁層が、所定の圧力を担うジャケット部に固定的に結合されていることである。さらに、セラミック層を反応ボリュームから分離する金属ベストは、導電性であり、セラミックライニングよりも熱安定性が低い。その結果、この解決策は、電気加熱可能なパッキングを有する反応器には適用できない。さらに、所定の圧力を担うジャケット部、セラミック絶縁層及び金属ベストからなるユニットがどのように熱膨張を補償するかについては開示されていない。
【0005】
US2,982,622は、吸熱反応の電気加熱に関する概念を開示している。これは、導電性粒子を流動床として反応チャンバに通すことを含む。
【0006】
電極は粒子床に電流を誘導するのに使われ、該電極はこのようにして抵抗加熱器として機能し、反応チャンバに直接加熱をもたらす。ガス流及び粒子流の対向流は、装置内で効率的な熱統合を実現し、高温領域が反応チャンバの中央部に位置し、一方反応器の上縁部と下縁部が冷たいままになる。この原理は、工業関連の多くの重要な吸熱反応に適用できる。出願番号PCT/EP2019/051466のPCT出願は、電気加熱の実行を具体化し、及び吸熱反応を実行するための加熱可能なパック型装置を開示し、そこでは垂直に配置された電極が導電性固体パッキング内に配置され、及び電極が反応器の上部ドーム又は下部ドームの全体を介して接続され、電流伝導性接続要素が電極との大きな接触面積を有する。
【0007】
高温反応用の反応器では、反応器の所定の圧力を担う金属ジャケット部を高温の影響から保護し、熱損失を低減し、及び/又は金属ジャケット部を電力から保護するためのライニングが典型的に使用される。これらのライニングは、部分的に、非常に高い温度及び圧力、化学的な腐食攻撃、粒子による浸食、及び熱サイクル応力に耐えなければならない。熱サイクル応力は、例えば、バッチ式運転モードや低温プロセス材料の導入によって生じる可能性がある。
【0008】
化学高温反応のための耐火ライニングに要求されるものは、したがって多様であり、その中には相反するものもある。第一に高い断熱容量と低い見掛け密度/高い気孔率が要求され、第二に十分な機械的強度と同様に良好な加工性が要求される。また、様々な雰囲気下での高い熱安定性が要求される。
【0009】
熱ライニングを必要としない反応器概念、例えばルージ圧力ガス化炉は、水による強制冷却を有する二重壁圧力ジャケット(シェル)を有する。この概念の利点は、構築が簡易であり及び反応器の質量が軽く、反応器ジャケットへの熱応力が低いことである。しかし、この概念の欠点は、構造と制御技術が複雑であり、冷却システムの停止保証(フェイルセーフ作動)がないことである。さらに、この概念は、電流を床に通さなければならない直接電気加熱の反応器には適さない。この場合、床と所定の圧力を担う装置ジャケット部(圧力定格反応器シェル)の間に短絡が発生する。
【0010】
典型的には、耐火レンガがライニングに使用される。当然に、これらの焼成された耐火物は、例えば、体積比で13%から20%の範囲の開放気孔率を有する。スラグ、溶融物又はガスのようなプロセス物質は、これらの開いた気孔に侵入し、化学反応によってレンガを破壊し、及び/又は構造の熱力学的特性を完全に変化させる可能性がある。周期的な化学的攻撃や周期的な熱応力及び熱力学的応力は、摩耗の促進及び損傷、例えば数ミリの厚さを有する可能性のある大きな断片の剥離をもたらす。したがって、寿命は限られており、特定の摩耗度に達した場合には、それぞれのライニングを交換する必要があり、これには高い不便さとコストが伴う。
【0011】
これらの多孔質材料のさらなる欠点は、約10バール以上の比較的高い反応圧力でレンガ内に(熱)対流が存在し得ることであり、これは管壁への熱の伝達を高め、したがって断熱性能を低下させ得る。
【0012】
先行技術で開示されている耐火レンガ材料としては、Al2O3(コランダム)、リン酸塩結合Al2O3、セメント結合Al2O3、クロムコランダムAl2O3-Cr2O3(「オーレックス75」及び「オーレックス90」、レーデックス-BCF)、MgO-Cr2O3、Cr2O3、Al2O3-Cr2O3-ZrO2(「ジクロム60」)、Cr2O3-ZrO2(「ジクロム90」)、AlPO4、CrPO4(「オーレックス95P」)[Gehre,P.(2013)]が含まれる。Korrosions-und thermoschockbestaendige Feuerfestmaterialien fuer Flugstromvergasungsanlagen auf Al2O3-Basis-Werkstoffentwicklung und Korrosionsuntersuchungen[Al2O3に基づくエントレインドフローガス化プラントのための耐食性及び耐熱衝撃性の耐火材料-材料開発及び腐食研究]Thesis,Technische Universitaet Bergakademie Freiberg,第2.3.1章]。耐火性材料として知られているのは、炭化ケイ素及び炭素、好ましくはグラファイトの形態のものである。特定の耐熱衝撃性を有するものとして開示されている耐火レンガ材料は、6質量%のZrO2-Cr2O3-Al2O3である。
【0013】
また、DE102015202277及びWO89/5285に耐火レンガ材料として開示されているのは、発泡セラミックで構成されたレンガ材料である。耐火レンガのみからなるライニングの構造の欠点は、水平方向の力、例えば床の荷重を吸収するために支持しなければならないことである。さらに、耐火レンガのみからなるライニングは、構造物の熱膨張に起因する亀裂が生じやすい。支持がなければ、レンガはライニングから外れる可能性がある。その結果、ライニングは構造的に弱くなり、崩壊及び/又はその断熱作用を喪失して、装置のシェルに損傷を与える可能性がある。
【0014】
熱的に安定した支持構造の探索は、部品の熱処理のためのプロセスの分野でも知られている。WO2011/18516及びWO2004/11562は、フレームワーク要素としてブリッジ状の繊維セラミック、例えば炭素繊維強化炭素複合材料からなる平面的なモジュール製品支持部材を開示している。これらの支持体の欠点は、それらが支持基材上に緩く支承されているだけだということである。しっかりした固定なしに、例えば床の荷重から生じるような水平方向の力を吸収することができない。さらに、製品支持部材は、熱的及び電気的に絶縁層としての機能を有していない。
【0015】
US8,211,524は、金属基板をセラミック絶縁層に接続するセラミック繊維複合材料からなるアンカー構造を開示している。セラミック繊維複合材料の構造体は、金属層とセラミック層に突出し、それらに形状嵌合的な方法で接合されている。このアンカー構造の欠点は、セラミック層と金属層の両方に強固に接合されていることである。この接続は、構造体を破壊せずには分離することができない。
【0016】
ライニングは現在、例えば、高炉プロセス、合成ガスへの炭化水素の部分酸化、冶金(炭化物プロセス)などで商業的に使用されている。例えば、高炉はゾーンごとに適切な材料:(i)39~42質量%のAl2O3(従来品)又はより新材料の超耐火レンガを含む耐火レンガを用いた、炉頂部、(ii)39~42質量%のAl2O3(従来品)又はより新材料のコランダム、SiC-Si3N4を含む耐火レンガを用いた、シャフト、(iii)62質量%のAl2O3、ムライト(従来品)又はより新材料のSiSiCを含む耐火レンガを用いた、胴部、(iv)42~62質量%のAl2O3、ムライト、カーボン(従来)又はより新材料であるSiC、クロムコランダムを含む耐火レンガを用いた、ボッシュ、(v)42~62質量%のAl2O3、ムライト、カーボン(従来)又は超微細孔を有するより新材料であるカーボン/グラファイトを含む炉床、でライニングされている。
【0017】
先行技術は、ライニング用の取り付け具の様々な実施を開示している(Deutsche Gesellschaft Feuerfest-und Schornsteinbau e.V.[耐火物及び煙突建設ドイツ協会]からの「Feuerfestbau」[耐火物構造]):工業用装置では、耐火材料は、典型的には、アンカーによって支持構造、例えば鋼構造物に接続されている。アンカーは、セラミック材料又は金属材料からなることができる。セラミック製アンカーは、常に金属製保持要素によって鋼構造物に接合される。保持(アンカー)レンガは、高温側(内側)の材料と同じ品質である必要がある。タイプ及び材料の選択は、構成要素の構造及び熱応力及び腐食応力から生じる要件に依存する。耐火レンガを用いて壁を構築し、特定の間隔で、特定の鋼製アンカーで金属製の壁に固定することも記載されている。レンガ構造を固定し、熱膨張を制御するために、特定の間隔でレンガを支持する耐熱鋼の金属製コンソールの配置が必要である。レンガは従来のレンガとほぼ同じ大きさであり、通例の方法でモルタルで結合されている。また、全てのレンガは、保護すべきパイプ壁にプレート状の取付具で固定されていることが記載されている。例えば、全てのプレートは、一方面ではパイプ壁に溶接されたピンによって支持されており、及び壁方向に保持されており、及び他方面ではSiCモルタルによってパイプ壁に接合されている。あるいは、全てのプレートは、パイプ壁から斜め上方に突出するプレート固定ピンに懸架されている。また、耐火ブロックと鋼製アンカーを備えた工業用オーブンの断熱ライニングも開示されており、そこでは鋼製アンカーが先端部でブロックの溝に噛み合い、ブロックが硬化した耐火物組成物によって円周方向に形状嵌合的な方法で固定されるように、円周方向の溝が各レンガの奥行部分に形成されている。
【0018】
先行技術に記載されている全てのライニングは、通常は金属製の壁である所定の圧力を担う反応器ジャケット部上に支持されている。ライニングの支持体として所定の圧力を担う壁を使用する選択は、この建設ユニットの簡単な構造において利点を有する。
【0019】
ライニングの弱点は、金属製アンカーとアンカーレンガの間の接続にある。材料の膨張係数が異なることと、温度差及び機械的応力の組み合わせの結果、これらの接続は分離してしまう可能性がある。その結果、ライニングは広い範囲で定着を失う可能性がある。そのため、ブロックがライニングから脱落することがある。結果として生じる隙間は、結果的に損傷につながる可能性がある。例えば、反応ゾーンと所定の圧力を担う反応器壁との間の断熱が弱くなり、したがって所定の圧力を担う反応器壁が過熱する。また、例えば、反応ゾーンの床からの粒子が隙間に入り込み、床と所定の圧力を担う反応器壁の間の電気的短絡を引き起こす可能性もある。
【0020】
ライニングシステムで頻繁に発生する問題は、例えば、ライニングと所定の圧力を担う反応器壁は熱膨張係数が異なり、さらに異なる速度で加熱されるため、温度が過度に急激に変化した場合にライニングが損傷しやすいということである。個々のレンガの動きの自由度は固定具によって制限されているため、急激な温度変化があった場合には、レンガの応力のかからない変形又は動きが阻害され、レンガが破損するか又は固定具が損傷することがある。これは、例えば過ち(故障)の結果として、温度の急激な局所的変化のたった1度の発生でも起こり得る。
【0021】
熱膨張の差の補償は、先行技術では、ライニングのレンガ間の伸縮継手(伸縮目地)の使用によって達成される。これらの伸縮継手の弱点は、ライニングの構造に隙間が形成されることであり、その隙間へ粒子及びガスが反応ゾーンから侵入する可能性がある。これは、定められていない望ましくないバイパス流を発生させる可能性がある。起動時にこの問題を回避するためには、通常3K/分より低い非常に遅い加熱速度を選択する必要がある。結果として生じる長い起動時間は、高温反応器の有効キャパシティーを著しく損なう可能性がある。
【0022】
所定の圧力を担う壁へのライニングの機械的接続は、装置の組み立て、アクセス性、及び修理の容易性を制限する。例えば、反応器ベースから反応器ジャケット部を持ち上げることができない。さらに、破損した個々のレンガは、ライニングを完全に撤去することによってのみ、修理又は交換することができる。
【0023】
先行技術に開示されたライニングでは、要約すると、以下の要求が未解決のままである:
ライニングの電気的絶縁性が十分に確保されていない。
【0024】
反応器ジャケット部の能動的冷却は、安全性の観点から危険である(フェイルセーフ作動、反応器内容物の汚染、望ましくない副反応)。
【0025】
温度及び/又は圧力の変動は、ライニングを破壊し、続く反応器構造の損傷を引き起こす可能性がある。
【0026】
ライニングの質量が大きいため、反応器の取り扱いが困難である。
【0027】
例えば故障後の組み立て及び分解が困難かつ複雑である。
【0028】
起動及びシャットダウン特性、たとえば障害発生時の冷却などが、遅くて鈍い。
【0029】
その結果、高温圧力反応に対しては、高温域でのライニングの良好な断熱性及び低いガス透過性、並びにライニングと所定の圧力を担うジャケット部との間の機械的及び電気化学的分離のための解決策が不足している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【文献】DE8714113U1
【文献】US2,982,622
【文献】PCT/EP2019/051466
【文献】DE102015202277
【文献】WO89/5285
【文献】WO2011/18516
【文献】WO2004/11562
【文献】US8,211,524
【文献】US8,211,524
【非特許文献】
【0031】
【文献】Korrosions-und thermoschockbestaendige Feuerfestmaterialien fuer Flugstromvergasungsanlagen auf Al2O3-Basis-Werkstoffentwicklung und Korrosionsuntersuchungen[Al2O3に基づくエントレインドフローガス化プラントのための耐食性及び耐熱衝撃性の耐火材料-材料開発及び腐食研究]Thesis,Technische Universitaet Bergakademie Freiberg,第2.3.1章]
【文献】Deutsche Gesellschaft Feuerfest-und Schornsteinbau e.V.[耐火物及び煙突建設ドイツ協会]からの「Feuerfestbau」[耐火物構造])」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
したがって、基本的な目的は、電気的及び/又は熱的な絶縁材として機能し、かつ、所定の圧力を担う反応器ジャケット部から機械的に分離されるモジュール式自立装置を開示することであった。さらなる目的は、反応器ジャケット部からのライニングの機械的分離を達成するために、高温反応のライニングのためのモジュール式自立型骨組(フレームワーク)を開示することであった。さらなる目的は、反応器内の反応ゾーンと所定の圧力を担う反応器ジャケット部(圧力定格反応器シェル)との間の装置に関して簡単な電気的絶縁を可能にするライニングを開示することであった。さらなる目的は、60バールまでの反応圧力に耐え、同時にその断熱効果を確実に保持するライニングを開示することであった。さらなる目的は、高められた化学的耐食性、高められた熱サイクル安定性、及び材料の剥離に対する高められた抵抗性により、長寿命を示すライニングを開示することであった。
【課題を解決するための手段】
【0033】
驚くべきことに、少なくとも1つの所定の圧力を担う装置ジャケット部と、該装置ジャケット部の内部に配置された少なくとも1つのモジュール式骨組体系物から構成され、該モジュール式骨組体系物は、2つの異なるブリッジ種類から構成されている装置システムが示されたが、該装置システムは、複数の横向きブリッジが少なくとも1つの角柱又は円柱を形成し、及び複数の側方ブリッジが、前記角柱又は前記円柱の内部に突出し、前記横向きブリッジ及び前記側方ブリッジが、相互に入り込んだ状態に差込可能であり、及び/又は1つ以上の接続要素の助けを借りて接続可能であり、前記ブリッジの材料はセラミック繊維複合材料を含むことを特徴とするものである。
【0034】
さらに開示されているのは、発泡セラミック材料を含む耐火レンガを有する、セラミック繊維複合材料を含む自立型骨組体系物(フレームワークシステム)であり、ここでレンガは本発明のモジュール式骨組体系物によって支持されている。
【0035】
内部に配置されたモジュール式骨組体系物の説明は次のとおりである:
好ましくは、横向きブリッジは、底面が多角形である正多角柱、又は底面が円である均質な円柱を形成する。
【0036】
好ましくは、切欠きは、スロット又は穴の形態をとり、有利には、DIN24041に記載されているような穴の形状、例えば、長孔、好ましくは角張った長孔、又は丸みを帯びたコーナーを有する長孔の形態をとる。
【0037】
使用される接続要素は、有利には、横向きブリッジ及び側方ブリッジとの間の形状嵌合接続及び/又は粘着接続であってよく、例えば、組合わせプラグ接続及び接着剤接合、好ましくは、ほぞ継ぎ、さねはぎ又はあり継ぎである。
【0038】
本発明における「骨組(フレームワーク)」は、好ましくは、互いに交差して接続され、可能なライニングの側方力を面で受け入れる(吸収する)ことができる垂直ブリッジ(vertikale Stege:ドイツ語)を意味すると理解される。骨組は、有利にはライニングを、放射(半径)方向及び円周方向に境界を定め得るセグメントに分割することができる。
【0039】
本発明における「自立型」は、60MPaまでの圧力であっても、いかなる支持体、特に壁によるいかなる側方向の支持体も必要としない骨組を意味するものと理解される。骨組内では、流動損失及び可能な床のサイロ力と呼ばれるものによって、約0.5MPaの応力を支配できる。
【0040】
「所定の圧力を担う装置ジャケット部又は所定の圧力を担う反応器ジャケット部」とは、容器の内部と環境との間の圧力差に耐える、容器の境界部を意味するものと理解される。所定の圧力を担う反応器ジャケット部は、本質的には3つの部分:容器の下端部、上端部及び側壁を備える。
【0041】
「ライニング」とは、モルタル又はセメントにより接着可能なシート、レンガ又はモールディングからなる防護部を意味するものと理解され、これらは気密性又は遮断性の中間層を含み、さらに、施された層及びセラミック製の内装物は、熱的、機械的及び化学的な影響に対して十分に抵抗力を有するものと理解される(DIN 28060及びDIN 28071)。1986年以降、ドイツ語のAusmauerung[レンガ-ライニング]はAuskleidung[ライニング]に置き換えられている(DIN 28071)。
【0042】
「セグメント」は、円周方向の
骨組のモジュールユニットを意味すると理解される。
横向きブリッジは、
放射方向(半径方向
)におけるセグメントの区切りを定義する。
側方ブリッジは、円周方向におけるセグメントの位置を定義し、円周方向の隣接する
横向きブリッジ間の隙間、又はこれらの隙間に挿入される分離
ブリッジが、セグメントを円周方向に
境界付ける(
図2~
図4参照)。
【0043】
「ボックス」とは、
放射方向に見て、2つの
隣接して平行な、
又は中心を同じくする楕円円弧
状の、好ましくは平行な、
又は中心を同じくする円曲線状
の横向きブリッジ、対応する
側方ブリッジ、
及び場合により、周囲方向に隣接する
上記横向きブリッジの間の間隙部、
ないしは有利
なことには、この間隙
部に差し込まれた前記分離
ブリッジによって囲まれた領域を意味すると理解される(
図2~
図4参照)。
【0044】
「正面」又は「前側」という言葉は、反応器の内部に向けられた領域を意味するものと理解される。「後面」、「外側」又は「裏側」という言葉は、反応器の外円周に向けられた領域を意味するものと理解される。「頂部」、「底部」、及び「側面」という言葉は、直立した反応器に関するものであると理解される。「下」、「中央」、「上」という言葉は、測地学的な意味で使用される。
【0045】
「セラミック繊維複合材料」は、繊維強化セラミック、特に酸化物セラミックを意味するものと理解され、例えば、M.Schmuecker,「Faserverstaerkte oxidkeramische Werkstoffe」[繊維強化酸化物セラミック材料],Materialwissenschaften und Werkstofftechnik,2007年,38,No.9,698~704頁に記載されているような材料を意味する。セラミック繊維複合材料は、繊維骨組(フレームワーク)、織物、不織布スクリム、セラミック繊維編物及び/又は組紐、並びに焼結セラミック粉末のフィラーマトリックスを含む。
【0046】
したがって、繊維複合材料は、セラミック粒子のマトリックスであって、該セラミック粒子の間はセラミック繊維、特に50mmより長い繊維長を有する連続繊維が巻線形態又は織物として埋め込まれた、セラミック粒子のマトリックスによって特徴付けられる。これらは、繊維強化セラミック、複合セラミック、又は繊維セラミックと呼ばれている。マトリックス及び繊維は、原則として、公知の任意のセラミック材料から構成されていてもよく、カーボンもこれに関連してセラミック材料として扱われる。
【0047】
「酸化繊維複合セラミック又は酸化繊維複合材料」は、セラミック、酸化繊維及び/又は非酸化繊維を含む酸化セラミック粒子のマトリックスを意味すると理解される。
【0048】
繊維及び/又はマトリックスの好ましい酸化物は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、希土類、Th、U、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、B、Al、Ga、Si、Ge、Sn、Li、Na、K、Rb、Cs、Re、Ru、Os、lr、Pt、Rh、Pd、Cu、Ag、Au、Cd、In、Tl、Pb、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、の群からの元素の酸化物及びこれらの酸化物の混合物である。
【0049】
混合物は、有利には、繊維及びマトリックスの双方の材料として適している。繊維とマトリックスは一般的に同じ材料で作られる必要はない。
【0050】
原則として、二成分混合物だけでなく、三成分混合物及びそれ以上の混合物も適切であり、重要である。混合物において、個々の成分は等モル量で存在してもよいが、有利な混合物は、ドーピングを含む一成分が1%未満の濃度で存在する、混合物の個々の成分の濃度が著しく異なるものである。
【0051】
特に有利な混合物は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム及び酸化イットリウムの二元混合物及び三元混合物(例えば酸化ジルコニウム強化酸化アルミニウム);炭化ケイ素と酸化アルミニウムの混合物;酸化アルミニウムと酸化マグネシウムの混合物(MgOスピネル);酸化アルミニウムと酸化ケイ素の混合物(ムライト);ケイ酸アルミニウムとケイ酸マグネシウムの混合物、酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び酸化マグネシウムの三元混合物(コーディエライト);ステアタイト(ケイ酸マグネシウム);酸化ジルコニウム強化酸化アルミニウム;安定化酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)又は酸化イットリウム(Y2O3)の形態の安定剤、使用される他の安定剤には、酸化セリウム(CeO2)、酸化スカンジウム(ScO3)又は酸化イッテルビウム(YbO3)が含まれ;さらにチタン酸アルミニウム(酸化アルミニウム及び酸化チタンの化学量論的混合物);窒化ケイ素及び酸化アルミニウム(シリコンアルミニウム酸窒化物(silicon aluminum oxynitride)SIALON)。
【0052】
使用される酸化ジルコニウム強化酸化アルミニウムは、有利には10~20mol%のZrO2を有するAl2O3である。ZrO2は、有利には、10~20mol%、好ましくは16mol%のCaO、10~20mol%、好ましくは16mol%のMgO、又は5~10mol%、好ましくは8mol%のY2O3(「完全に安定化された酸化ジルコニウム」)、又は1~5mol%、好ましくは4mol%のY2O3(「部分的に安定化された酸化ジルコニウム」)を用いて安定化させることができる。有利な三元混合物は、例えば、80%のAl2O3、18.4%のZrO2、及び1.6%のY2O3である。
【0053】
前述の材料(混合物及び個々の成分)と同様に、酸化セラミックマトリックス中の玄武岩(basalt)、窒化ホウ素、炭化タングステン、窒化アルミニウム、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛及び/又は炭化ホウ素の繊維も考えられる。
【0054】
有用な繊維は、酸化繊維、炭化繊維、窒化繊維又はC繊維(C fiber)、及びSiBCN繊維のクラスで覆われた補強繊維を含む。より具体的には、セラミック複合材料の繊維は、酸化アルミニウム、ムライト、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム及び/又は炭素繊維である。ムライトは、酸化アルミニウムと酸化ケイ素の固溶体からなる。酸化物セラミック(Al2O3、SiO2、ムライト)又は非酸化物セラミック(C、SiC)の繊維を使用が好ましい。
【0055】
耐クリープ性繊維、すなわちクリープ範囲内(1400℃以下の温度範囲内)で、残留する変形、つまりクリープ伸びが経時的に増加しないか、最小である繊維を使用することが有利に可能である。3M社は、NEXTEL繊維について、70MPaの引張荷応力で1000時間後の1%の持続伸び(残留伸び)について、以下の限界温度:NEXTEL440:875℃、NEXTEL550及びNEXTEL610:1010℃、NEXTEL720:1120℃(参照:Nextel(商標)Ceramic Textiles Technical Notebook、3M、2004年)を報告している。
【0056】
繊維は、有利には1~50μm、好ましくは5~20μm、より好ましくは8~15μmの直径を有する。それらは、有利には、通常平織り又はサテン織りで織り込まれ、繊維シート(textile sheet)を得、ホースを形成するために編まれ、又は繊維束(fiber bundle)としてフォーム(形状物)の周りに巻き付けられる。セラミック複合システムの製造のために、繊維束又は織布は、例えば、後のセラミックマトリックスの成分、有利にはAl2O3又はムライトを含むスリップ(slip)で含浸される(Schmuecker,M.(2007),Faserverstaerkte oxidkeramische Werkstoffe,Materialwissenschaft und Werkstofftechnik,38(9),698~704頁)。700℃超で熱処理すると、有利には50MPa超、好ましくは70MPa超、さらに好ましくは100MPa超、特に120MPa超の引張強度を有する、セラミック繊維及びセラミックマトリックスで構成される高強度の複合構造が最終的に得られる。
【0057】
好ましくは、使用されるセラミック繊維複合材料は、SiC/Al2O3、SiC/ムライト、C/Al2O3、C/ムライト、Al2O3/Al2O3、Al2O3/ムライト、ムライト/Al2O3及び/又はムライト/ムライトである。ここで、スラッシュの前の材料は繊維の種類を示し、スラッシュの後の材料はマトリックスの種類を示す。セラミック繊維複合構造に使用されるマトリックス系はまた、シロキサン、Si前駆体、及び例えば酸化ジルコニウムを含む多様な異なる酸化物であってもよい。好ましくは、セラミック繊維複合材料は少なくとも99質量%のAl2O3及び/又はムライトを含む。
【0058】
本発明では、酸化物セラミック繊維に基づく繊維複合材料、例えば3M(商標)NEXTEL(商標)312、NEXTEL(商標)440、NEXTEL(商標)550、NEXTEL(商標)610、NEXTEL(商標)720、又はメーカーWalter E.C.Pritzkow SpezialkeramikからのMvM 1415N、MvM 1415N-2220、AvM 1415N、AvM 1415N-3000、FW12及び/又はFW30製品を使用することが好ましい。NEXTEL610、NEXTEL720、及びAVM1415N-3000、及び/又はFW12及び/又はFW30の製品を使用すること特に好ましい。さらに、日本のNitivyからの繊維を使用することが有利に可能である。
【0059】
マトリックスは、有利には、繊維の充填レベル(複合構造の繊維の体積による割合)を20%~40%で有し;複合構造の全固形分は、有利には、50%~80%である。酸化物セラミック繊維に基づく繊維複合セラミックは、酸化ガス雰囲気中及び還元ガス雰囲気中で化学的に安定であり(すなわち、1200℃の空気中で15時間以上保存しても質量変化がなく(参考:Nextel(商標)Ceramic Textiles Technical Notebook,3M,2004年))、1300℃を超える温度で熱的に安定である。繊維複合セラミックは、準延性変形特性を有する。そのため、熱サイクルに対して安定しており、準延性破壊特性を有する。したがって、破壊が起きる前に成分の不具合の前兆が示される。
【0060】
繊維複合材料は、有利には20%~50%の多孔度を有する;したがってそれはDIN 623-2の定義による気密ではない。繊維複合材料は、有利には1500℃まで、好ましくは1400℃まで、より好ましくは1300℃までの長期使用温度を有する。繊維複合材料は、有利には、50MPa超、好ましくは70MPa超、より好ましくは100MPa超、特に120MPa超の強度を有する。繊維複合材料は、有利には、0.2%~1%の弾性変形の降伏点を有する。繊維複合材料は、有利には、DIN EN 993-11に従った熱サイクル安定性を有する。繊維複合材料は、有利には、4~8.5の熱膨張係数[ppm/K]を有する。繊維複合材料は、有利には
【数1】
の熱伝導率を有する。
【0061】
セラミック繊維複合材料は、有利には、CVI(化学蒸気浸透)法、熱分解、特にLPI(液体ポリマー浸透)法、又はLSI(液体シリコン浸透)法などの化学反応によって製造することができる。
【0062】
骨組(フレームワーク
)は、有利には、円周方向でモジュール
式に構成されている(
図2~
図4参照)。
骨組は、有利には、上向き方向でモジュール
式に構成されている(
図5及び
図6参照)。円周方向におけるモジュールユニットは、セグメントと呼ばれる。垂直方向におけるモジュールユニットは、層と呼ばれる。モジュール
式骨組は、少なくとも2つの異なるタイプの
ブリッジ種類を有する。
このブリッジの第1の
種類は
、セグメント、好ましくはライニングセグメンントの区切り
(境界)を
半径方向に定義する。これらのブリッジ(Steg)は、
横向きブリッジと呼ばれる。
ブリッジの第2の
種類は、円周方向におけるセグメント、好ましくはライニングセグメントの位置を定義する。これらの
ブリッジは、
側方ブリッジと呼ばれる。
【0063】
有利には、
骨組は、さらなる
ブリッジ状の要素を含んでいてもよい。このような要素は、有利には、円周方向に隣接する2つの
横向きブリッジの間の隙間に挿入される(
図5参照)。これらの要素は、分離
ブリッジとも呼ばれる。あるいは、セグメントの横方向の決定は、有利には、追加の
側方ブリッジによって達成され得る。
【0064】
さらなる要素
が、有利には、
横向きブリッジの互いに重なり合う2つの層の間に水平に挟み込まれてよい(
図7参照)。これらの要素は、平面
ブリッジと呼ばれる。平面
ブリッジは、有利には、可能なライニングの多孔質構造における大面積対流クラスターの形成に対する障壁を形成し得る。さらに、平面
ブリッジは、有利には、
骨組全体を分解することなく、ライニングの可能なレンガの局所的に限定された交換を可能にする。
【0065】
横向きブリッジは、有利には、平面状若しくは角度付き長方形の板、又は円柱シェルの形態をとる(「円柱とは、閉じた母線を有する円柱面と2つの平行な平面によって拘束される図形、円柱の主表面である」、Bronstein、251頁、
図2.49)。
【0066】
さらに、横向きブリッジ(トランスバース要素)は、波形シートの形態をとってもよい。波形は正弦波状又は三角形であってよい。振幅は、有利には、1mm~100mm、好ましくは2mm~50mm、特に3mm~20mmである。波長は、有利には、2mm~500mm、好ましくは5mm~200mm、特に10mm~100mmである。
【0067】
上面図では、
横向きブリッジは、1つ以上の多角形、好ましくは正多角形、又は1つ以上の同心楕円形、好ましくは1つ以上の同心円を形成する。上面図における波形の
横向きブリッジは、周期関数又はトロコイドの形状を有する。
側方ブリッジ(ラテラル要素
)は、有利には星形に配置されている(
図2~
図5参照)。
【0068】
多角形の基底面を有する角柱は、有利には、3~60個の横向きブリッジ、好ましくは4~40個の横向きブリッジ、特に6~24個の横向きブリッジを有する。楕円形、特に円形の基底面を有する円柱は、有利には、好ましくは円弧の形で、3~60個の楕円形の横向きブリッジ、好ましくは4~40個の横向きブリッジ、特に6~24個の横向きブリッジを有する。好ましくは楕円、特に円を基底面とする円柱の直径、又は多角形、好ましくは正多角形の対角線は、有利には、0.2m~20mの間、好ましくは0.5m~15mの間、特に1m~10mの間である。
【0069】
円周方向に隣接する2つの横向きブリッジ間の隙間の大きさは、有利には、0~200mm、好ましくは1~100mm、さらに好ましくは2~50mm、特に3~20mmである。
【0070】
任意に、円周方向に隣接する
横向きブリッジの端部は重なってもよい(
図8参照)。重なりの大きさは、有利には200~20mmである。重ね継手は、有利には、熱安定性の高いセメントで充填され、及び/又は、有利にはセラミック繊維複合材料、例えばOCMCから製造されるリベットで接合される。
【0071】
シート状又は円柱状の横向きブリッジは、有利には、100mm~5m、好ましくは200mm~3m、特に500mm~2mの高さ(要素高)を有する。横向きブリッジは、有利には、100mm~5m、好ましくは250mm~3m、特に500mm~2mの長さを有する。横向きブリッジは、有利には、0.2mm~20mm、好ましくは0.5mm~10mm、特に1mm~5mmの厚さを有する。
【0072】
有利には、上面視で多角形、好ましくは正多角形、又は楕円形、好ましくは円形を形成する
横向きブリッジは、同じ高さ、幅、及び厚さを有する。有利には、モジュール
式骨組(モジュールフレームワーク
)は、
横向きブリッジから形成され、均一な角柱又は円柱の形で、互いに重ねて配置された複数の層を有し、有利には、1層から100層、好ましくは2層から50層、特に3層から30層である(
図4及び5を参照)。
【0073】
重ね合わせた要素の全高は、有利には100mm~50m、好ましくは200mm~20m、特に500mm~10mである。
【0074】
モジュール式骨組体系物(モジュールフレームワーク)では、すべての相互に重ね合わされる層の横向きブリッジの高さは、有利には同一である(ブリッジ高さ)。
【0075】
有利には、上面視で、同心の多角形、好ましくは正多角形、又は同心の楕円形、好ましくは円として配置される、平行な
横向きブリッジ又は同心楕円弧状の
横向きブリッジ、好ましくは平行な
横向きブリッジ又は同心円弧状の
横向きブリッジを使用することができる(
図2~5参照)。有利には、2~20個の平行な
横向きブリッジ又は同心楕円弧状の
横向きブリッジ、好ましくは、平行
横向きブリッジ又は同心円弧状の
横向きブリッジが使用され、好ましくは2~5個である。
横向きブリッジで構成される、
放射方向(半径方向
)で隣接する多角形、好ましくは正多角形、又は隣接する楕円形、好ましくは円形の間の距離は、好ましくは10mm~1000mm、好ましくは20mm~500mm、より好ましくは40mm~250mmである。有利には、この距離は、半径方向で隣接するすべての
横向きブリッジについて同じである。
【0076】
側方ブリッジは、有利には、平面状又は波状の長方形(矩形)シートの形態をとる。
【0077】
波形は正弦波又は三角形であってよい。振幅は、有利には、1mm~100mm、好ましくは2mm~50mm、特に3mm~20mmである。波長は、有利には、2mm~500mm、好ましくは5mm~200mm、特に10mm~100mmである。
【0078】
側方ブリッジは、有利には横向きブリッジに直交して配置される。
【0079】
側方ブリッジは、有利には、100mm~5m、好ましくは200mm~3m、特に500mm~2mの高さ(ブリッジ高さ)を有する。側方ブリッジは、有利には、50mm~2m、好ましくは100mm~1m、特に200mm~500mmの幅を有する。側方ブリッジは、有利には0.2mm~20mm、好ましくは0.5mm~10mm、特に1mm~5mmの厚さを有する。
【0080】
相互に重ね
た複数の
側方ブリッジの場合、中間
側方ブリッジは、高さ、幅及び厚さが同じである(
図6参照)。中間層の
側方ブリッジの高さは、有利には、
横向きブリッジの
ブリッジ高
さの90%~110%、好ましくは
横向きブリッジの
ブリッジ高
さの95%~105%、より好ましくは
横向きブリッジの
ブリッジ高
さの98%~102%に相当し、特に
横向きブリッジの
ブリッジ高
さと同一である。最下層と最上層の
ブリッジ高
さは、中間層の
ブリッジ高
さと異なっていてもよい。有利には、最下層の
ブリッジ高
さは、中間
ブリッジの
ブリッジ高
さよりも10%~90%、好ましくは20%~75%、より好ましくは30%~60%、低いか高い。有利には、最上層の
ブリッジ高
さは、中間
ブリッジの
ブリッジ高
さよりも10%~90%、好ましくは20%~75%、より好ましくは30%~60%、低いか高い。最下層の
側方ブリッジが中間
側方ブリッジよりも低い場合、最上層の
ブリッジは、有利には、中間
側方ブリッジよりも同じ比率だけ高い。最下層の
側方ブリッジが中間
側方ブリッジよりも高い場合、最上層の
ブリッジは、有利には、中間
側方ブリッジよりも同じ比率だけ低い。有利には、
側方ブリッジの上縁は、最上層の
横向きブリッジの上縁と面一で終わっており、これは、上向き又は下向き方向の垂直のオフセット
(ズレ)が、有利には、
ブリッジ高
さの5%未満、好ましくは2%未満であることを意味する。最下の
側方ブリッジと、最上の
側方ブリッジの幅及び厚さは、有利には、中間
側方ブリッジと同一である。
【0081】
代替的に、各層において、横向きブリッジ及び側方ブリッジの上縁は、有利には面一で終わっており、これは、上向き又は下向き方向の垂直のオフセット(ズレ)が、有利には、ブリッジ高さの5%未満、好ましくは2%未満であることを意味する。各層において、横向きブリッジと側方ブリッジの高さは有利には同一である。この構成は、平面ブリッジの使用に特に適している。
【0082】
有利には、モジュール式骨組では、相互に重なる側方ブリッジの数と、相互に重なる横向きブリッジの数の差は2未満であり、その数は、好ましくは同一である。
【0083】
任意の分離ブリッジは、有利には、長方形のシートの形態をとる。
【0084】
分離
ブリッジは、有利には、角柱、好ましくは正角柱
又は、円柱、好ましくは直円柱
状態で、円周方向に隣接する
横向きブリッジの間に配置される(
図4及び5参照)。有利には、分離
ブリッジは、角柱、好ましくは均一な角柱
(正角柱)、又は円柱、好ましくは
正円柱
状態で、円周方向で隣接する
横向きブリッジの間に形成された隙
間に挿入される。
【0085】
分離ブリッジは、有利には、100mmから5m、好ましくは200mmから3m、特に500mmから2mの高さを有する。分離ブリッジは、有利には50mmから2m、好ましくは100mmから1m、特に200mmから500mmの長さを有する。分離ブリッジは、有利には0.2mmから20mm、好ましくは0.5mmから10mm、特に1mmから5mmの厚さを有する。
【0086】
分離ブリッジと側方ブリッジの長さの比は、有利には0.9~1.25である。分離ブリッジと側方ブリッジの高さの比は、有利には0.5~50、好ましくは0.75~10、より好ましくは0.9~5である。有利には、分離ブリッジの上縁は、最上層の横向きブリッジの上縁と面一で終わっており、これは、上向き又は下向き方向の垂直のオフセット(ズレ)が、有利には、要素高の5%未満、好ましくは2%未満であることを意味している。有利には、最上層で、分離ブリッジの上縁は、側方ブリッジの上縁と面一で終わっており、これは、上向き又は下向き方向の垂直のオフセット(ズレ)が、有利にはブリッジ高さの5%未満、好ましくは2%未満であることを意味している。
【0087】
任意の平面ブリッジは、横向きブリッジの形状に依存し、有利には、台形シート(長方形の横向きブリッジの場合)又は環状セグメントの形のシート(円弧形状の横向きブリッジの場合)である。
【0088】
平面
ブリッジは、有利には、
相互に重ねた
横向きブリッジの2つの層の間に水平に挿入される(
図7参照)。平面
ブリッジは、有利には、これらが
側方ブリッジに挿入され得るように、切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットを有する。有利には、平面
ブリッジは、
横向きブリッジの上縁の上に横たわっている。
【0089】
台形平面ブリッジは、有利には、100mm~5m、好ましくは200mm~3m、特に500mm~2mの底辺の長さを有する。さらに、台形平面ブリッジは、有利には、50mm~2m、好ましくは100mm~1m、特に200mm~500mmの高さを有する。台形角度、すなわち、正台形の底辺と等脚との間の鋭角な内角は、有利には30°~88°、好ましくは45°~86°、特に60°~84°である。例として、60セグメントに対して87°が有利であり、40セグメントに対して85.5°が有利であり、24セグメントに対して82.5°が有利である。さらに、台形平面ブリッジは、有利には0.2mm~20mm、好ましくは0.5mm~10mm、特に1mm~5mmの厚さを有する。
【0090】
環状セグメントの形態の平面ブリッジは、有利には、0.1m~10m、好ましくは0.25m~7.5m、特に0.5m~5mの外半径を有する。さらに、環状セグメントの形態の平面ブリッジは、有利には、50mm~2m、好ましくは100mm~1m、特に200mm~500mmの幅を有する。さらに、環状セグメントの形態の平面ブリッジは、6°~120°、好ましくは9°~90°、より好ましくは15°~60°の角度セクタ(Winkelausschnitt:ドイツ語)を有する。さらに、台形の平面ブリッジは、有利には、0.2mm~20mm、好ましくは0.5mm~10mm、特に1mm~5mmの厚さを有する。
【0091】
平面
ブリッジと分離
ブリッジは、同様に、有利には、1つの要素に結合されていてもよい(
図11参照)。
【0092】
骨組(フレームワーク
)は、有利には、切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットを介して互いに挿入することができる
ブリッジ(Steg:ドイツ語)からなる。
横向きブリッジ及び
側方ブリッジは、有利には交差する方式で互いに挿入される(
図4及び
図5参照)。
【0093】
モジュール
式に構成された骨組は、有利には、セグメント及び層ごとに、半径方向に1~20個の隣接する
横向きブリッジ、好ましくは2~10個の
横向きブリッジ、より好ましくは2~5個の
横向きブリッジを含む。モジュール
式の
骨組は、有利には、セグメント及び層ごとに、1~10個の
側方ブリッジ、好ましくは1~5個の
側方ブリッジ、より好ましくは1~3個の
側方ブリッジを含む(
図2参照)。
【0094】
最下層及び中間層の側方ブリッジ及び横向きブリッジは、有利には、高さに関して互いにズレている。一層内の側方ブリッジの上縁と横向きブリッジの上縁との間の垂直ズレ(Versatz)は、ブリッジ高さの-90%~+90%、好ましくはブリッジ高さの-75%~75%、より好ましくはブリッジ高さの-60%~+60%である。有利には、最上層で、分離ブリッジの上縁は、横向きブリッジの上縁と面一で終わっており、これは、上向き又は下向き方向の垂直ズレが、有利にはブリッジ高さの5%未満、好ましくは2%未満であることを意味する。その結果、それらは有利には互いに支持し、複数のセグメントからなる剛性のある自立形状を形成する。横向きブリッジは、半径方向(放射方向)のセグメントの区切りを定義し、側方ブリッジは、円周方向のセグメントの区切りを定義する。
【0095】
有利には、層ごとに3~60個、好ましくは4~40個、より好ましくは6~24個の、同一のセグメントが形成される。セグメントは、有利には、全高にわたって分離
ブリッジによって互いに分離される(
図5参照)。
【0096】
横向きブリッジは、有利には、同一セグメントの同一層に配置された各側方ブリッジのための切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットを有する。単一の側方ブリッジの場合には、切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットは、横向きブリッジの中央に配置される。複数の側方ブリッジの場合、切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットは、横向きブリッジの中央に対称に配置され、それらの間の距離は、有利には5mm~2m、好ましくは10mm~1m、特に好ましくは20mm~500mmである。
【0097】
中間層の側方ブリッジは、有利には、同一セグメントの同一層に有利に配置された各横向きブリッジのための、切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットを有する。単一の横向きブリッジの場合には、切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットは、有利には、反応器ジャケット部に面した側方ブリッジの縁から5mm~2m、好ましくは10mm~1m、特に20mm~500mm後方に配置されている。複数の横向きブリッジの場合、隣接する2つの切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットの間の距離は、有利には、10mm~2m、好ましくは20mm~1m、特に30mm~500mmである。
【0098】
有利には、すべての横向きブリッジの切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットは、下方向に開口している。一つのセグメントのすべての横向きブリッジ及び一つのセグメントの中間層の側方ブリッジの切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットの長さは、有利には、ブリッジ高さの10%~90%、好ましくはブリッジ高さの25%~75%、より好ましくはブリッジ高さの40%~60%、特にはブリッジ高さの半分に対応する。
【0099】
有利には、中間層の側方ブリッジの切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットは、下方向に開口している。中間層の側方ブリッジの切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットの長さは、有利には、ブリッジ高さと横向きブリッジの切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットの長さの間の差の90%~110%、好ましくはブリッジ高さと横向きブリッジの切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットの長さの間の差の95%~105%、より好ましくは要素高と横向きブリッジの切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットの長さの間の差の98%~102%に対応し;特に、要素高と横向きブリッジの切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットの長さの間の差と同一である。
【0100】
有利には、側方ブリッジは、最下層に切欠きを有していない。その高さは、有利には、横向きブリッジの切欠きの高さの90%~110%、好ましくは、横向きブリッジの切欠きの高さの95%~105%、より好ましくは、横向きブリッジの切欠きの高さの98%~102%に対応し;特に、横向きブリッジの切欠きの高さと同一である。最上層の側方ブリッジは、上縁及び下縁に、切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットの対をなす配置を有する。切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットの長さは、中間層の側方ブリッジの切欠き、好ましくはスロット又は開口部、特にスロットの長さに対応している。
【0101】
ボックスは、
半径方向に隣接する2つの平行な、又は同心楕円弧の形態の、好ましくは平行な、又は同心楕円弧の形態の横向きブリッジ、及び対応する
側方ブリッジ、及び円周方向に隣接する
横向きブリッジ間の間隙又は該隙間に有利に挿入された分離
ブリッジ、によって囲まれた領域を意味すると理解される(
図2のハッチングされた領域部分5a~b;
図3のハッチングされた領域部分5a~d;
図4及び
図5のハッチングされた領域部分5a~f)。上面図では、ボックスは、有利には、
四つ角の断面を有するか、又は環状セグメントの形態の断面を有する(
図2~5参照)。各セグメントは、有利には1~50個のボックス、好ましくは2~25個のボックス、特に3~15個のボックスを有する。
【0102】
本発明のこのモジュール式骨組体系物(モジュールフレームワークシステム)は、有利には、ライニング、特に150℃~1900℃、好ましくは400℃~1700℃、特に600℃~1500℃の温度範囲の高温プロセス用化学反応器のライニングのための骨組支持体として使用することができる。
【0103】
本発明のこのモジュール式骨組体系物はまた、触媒、特にモノリス触媒(すなわち、軸流又は半径流を有する固定床反応器で使用される触媒バスケット)のための支持構造としても有利であり得る。
【0104】
さらに、本発明のモジュール式骨組体系物は、電気絶縁、特に反応器内部の電気絶縁として使用することができる。
【0105】
さらに、本発明のモジュール式骨組体系物は、放射線遮蔽として使用することができる。
【0106】
上面図では、本発明のモジュール式骨組体系物は、ライニングによって占有される反応器の断面を、長方形、台形、又は環状セグメント形状のボックスプロファイルに分割する。ボックスは、有利には、耐火レンガ及び/又は触媒、特にモノリス触媒で充填される。あるいは、ボックスは充填されていないままである。
【0107】
ボックスの上面図における断面は、有利には、1~2000個のレンガ、好ましくは2~500個のレンガ、より好ましくは3~200個のレンガで充填されており、それらは互いに並んで及び/又は連続して配置されている。ボックス内のレンガの合計は、パッキングと呼ばれる。上面図におけるパッキングは、有利には、長方形、台形又は環状セグメント状の断面を有し、半径方向に向けられた側面は有利には互いに平行であり、狭い底辺は有利には内側に向けられている。
【0108】
耐火レンガは、有利には六面体、好ましくは角柱状の形状を有する。有利には、上面と下面、及び前面と後面は、それぞれ互いに平行である。有利には、上面及び下面は、六面体の他の面に対して直角である。
【0109】
レンガは、有利には、半径方向(放射方向)に層状に配置される。半径方向において、パッキングは、有利には、1~40層、好ましくは1~20層、より好ましくは1~10層を含む。レンガは、有利には、垂直方向に層状に配置されている。高さに関して、パッキングは、1~1000層、好ましくは1~500層、より好ましくは2~200層、特に3~100層を含む。
【0110】
円周方向には、有利には、1~200個、好ましくは2~150個、特に3~100個のレンガがボックスの中に並んで配置されている。
【0111】
有利には、パッキング内のレンガ間の継目は、モルタル又は接着剤で充填されるか、又は乾式継目として実行される。好ましくは、レンガ間の継目は乾式継目として実行され、これは、成形レンガの接合にモルタル又は接着剤を使用しないことを意味する。
【0112】
有利には、パッキングのレンガは、ヘッダーコースとして、ストレッチャーコースとして、ソルジャーコースとして、ローロックコースとして、フラットコースとして、ストレッチャーボンドとして、ヘッダーボンドとして、ブロックボンドとして、又はクロスボンドとして敷設される(Deutsche Gesellschaft Feuerfest-und Schornsteinbau e.V.からの「Feuerfestbau」、76頁参照)。好ましくは、パッキングのレンガは、ストレッチャーボンド、ヘッダーボンド、ブロックボンド又はクロスボンドとして敷設される。より好ましくは、パッキングのレンガは、ブロックボンド又はクロスボンドとして敷設される。
【0113】
半径方向に層から層への敷設モードの組み合わせも可能である。例えば、2つの層を有するパッキングの場合、有利には、半径方向に内層はクロスボンド(十字積み)を、及び外層は有利には、てき弾層(Grenadierschicht:ドイツ語)として実行することが可能である。この組み合わせは、パッキングのレンガ間の継目を相対してずらすことを達成する。このようにして、隣接するレンガ間に形成される可能性のある隙間が遮られる。このようにして、ライニングを通るガス状の反応媒体の不適切な流れを効果的に減少させることができる。
【0114】
レンガとブリッジの間、又はモジュール式骨組体系物の異なるパッキングのレンガ間に、有利には、1つの隙間が存在する。レンガと隣接するブリッジとの間の間隙、又はパッキンの円周方向に隣接するレンガ間の間隙は、有利には1~50mm、好ましくは1~25mm、より好ましくは1~10mmである。この隙間の効果は、個々のレンガが互いに移動できることである。この隙間はまた、ライニングの構築におけるレンガの挿入を容易にする。さらに、隙間は、パッキングが妨げられることなく、すなわち応力のない方法で熱膨張するために必要な空間を提供する。
【0115】
任意に、ブリッジとパッキングとの間の隙間、又はパッキングの円周方向の隣接するレンガ間の隙間は、後述するように断熱マットによって埋めることができる。
【0116】
有利には、パッキングの上縁と骨組の上縁との間の垂直ズレは、50mm未満、好ましくは20mm未満、より好ましくは10mm未満であり;パッキングの上縁は、特に骨組の上縁と面一で終わって、すなわち、上向き又は下向きの方向の垂直ズレは、有利には、横向きブリッジの高さの5%未満、好ましくは2%未満である。これは、例えば、パッキングの1層でレンガを適当な大きさに切断することによって達成することができる。
【0117】
一般に、パッキングの層継目部と、及び重ねて配置された骨格の下層と中間層の横向きブリッジの間の継目部との間には、垂直ズレが存在する。直接重ねて配置された2つの横向きブリッジとパッキングの次の層の継目部との間の垂直ズレは、有利には、1つのレンガ高の0%~50%、好ましくは、1つのレンガ高の20%~50%である。平面ブリッジが使用される特定の場合には、重ねて配置された2つの横向きブリッジ間の継目部は、重ねて配置されたレンガの2列間の層の結合部の高さにある。重ねて配置された2つの横向きブリッジ間の継目部と、重ねて配置されたレンガの2列間の最も近い層の継目部との間の垂直方向のズレは、有利には10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。
【0118】
レンガの側面は、有利には平面であってよい。あるいは、側面は、適切な形状の付属物(スプリング/バネ)及び凹部(溝)を有していてもよく、したがって、バネと溝の接続(DIN 1057を参照)によって形状嵌合的な方式で接合することができる。
【0119】
パッキングの内層は、有利には前側で反応ゾーンと接触しており、有利には本発明の骨組によって横方向及び裏側面が境界付けられている。
【0120】
本発明における「耐火レンガ」とは、セラミック製品及び600℃以上の使用温度を有する材料を意味するものと理解される。定義(DIN 51 060)では、SK 17(=ISO 150)よりも大きいコーンドロップポイント(約1500℃に対応)を有する材料のみが、耐火物と呼ばれることができる。この限界温度は鉄の融点にほぼ対応しており、関税や鉱業法の目的で重要な意味がある。
【0121】
レンガライニングの内側(内壁)のレンガは、有利には、以下の特性プロファイルを有する:(i)1000℃~1700℃の温度範囲で良好な断熱性、(ii)高強度、(iii)耐摩耗性、(iv)低開放気孔率、(v)熱サイクル安定性、(vi)電気絶縁性。断熱性は、熱伝導率が2W/m/K未満、好ましくは1W/m/K未満で良好である。高い強度は、冷間圧縮強度が5MPa超、好ましくは10MPa超に与えられる。耐摩耗性が高いことは、材料の硬度と相関がある。セラミック発泡体の開放気孔率は、閉気孔の割合が1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上の場合、低い。材料がDIN V ENV 820-3に従ったテストに合格している場合、熱サイクルの安定性が高い。電気絶縁性は、比電気抵抗が109Ωm以上、好ましくは1011Ωm以上であれば良好である。
【0122】
レンガの特性、特に組成、強度、形状、及び寸法については、DIN 1057(自立煙突用レンガ)、1081(耐火物製品:長方形耐火レンガ)、1082(耐火物製品:アーチレンガ)に規定されている。
【0123】
耐火レンガは、有利には、耐火材料から作られた成形レンガである。耐火レンガの材料は、有利には、プロセス温度及びプロセス条件に応じて選択されるべきである。さらに、材料の選択は、有利には、ライニング内の半径方向の位置(層)に応じて選択されるべきである。
【0124】
好ましくは、媒体と接触する内層の材料は、DIN EN12475分類に従ったセラミック発泡体又は耐火材料、特にアルミナ-シリカ製品、例えば耐火レンガ、コランダム、ムライト、コーディエライト、又は塩基性製品、例えばマグネシア、マグネシア-酸化クロム、マグネシアスピネル、マグネシア-ジルコン、又は炭素結合した塩基性レンガ、特にコランダム、ムライト、コーディエライトから作られる。セラミック発泡体は、例えば、DE102015202277及びWO07/22750に記載されている。特に好適なのは、Halfoam Alumina(商標)の商品名が与えられている閉気孔発泡セラミック材料である。
【0125】
最も好ましくは、内層の成形レンガは、Halfoam Alumina(商標)の商品名を与えられた発泡セラミック材料からなる。
【0126】
本発明はさらに、セラミック発泡体、特に閉気孔発泡体を含む成形レンガに関する。有利には、本発明の成形レンガは、アルミナ-シリカ製品、例えば耐火レンガ、コランダム、ムライト、コーディエライト、又は塩基性製品、例えばマグネシア、マグネシア-酸化クロム、マグネシア-スピネル、マグネシア-ジルコン、又は炭素結合した塩基性レンガ、特にコランダム、ムライト、コーディエライトから作られるセラミック発泡体を含む。
【0127】
本発明は、さらに、半径方向に連続して配置された複数のレンガパッキングの層を含むレンガアセンブリに関する。
【0128】
内側からの第2の層の材料は、有利には、以下の特性プロファイルを有する:1500℃以上の熱安定性、1W/m/K以下、好ましくは0.5W/m/K以下の熱伝導率、1MPa以上、好ましくは2MPa以上の冷間圧縮強度。この特性プロファイルは、発泡体及び鋳造又は押出成形された軽量耐火レンガが有するものである。例として、この層には、Halfoam、Carath FL(登録商標)、PROMATON(登録商標)などの市販品が使用される。
【0129】
内側からの第3の層の材料は、有利には、以下の特性のプロファイルを有する:1200℃以上の熱安定性、0.5W/m/K以下、好ましくは0.2W/m/K以下の熱伝導率、0.5MPa以上、好ましくは1MPa以上の冷間圧縮強度。この特性のプロファイルは、有利には、真空成形された繊維板が有するものである。例として、この層には、PROMATON(登録商標)又はALTRA(登録商標)のような市販品が使用される。
【0130】
内側からの第4の層の材料は、有利には、以下の特性のプロファイルを有する:1000℃以上の熱安定性、0.2W/m/K以下、好ましくは0.05W/m/K以下の熱伝導率、0.1MPa以上、好ましくは0.2MPa以上の冷間圧縮強度。この特性のプロファイルは、有利には、真空成形された繊維板又は微孔質ヒュームドシリカの板が有するものである。この層には、例えば、ALTRA(登録商標)又はMICROTHERM(登録商標)のような市販品が使用される。
【0131】
本発明はさらに、半径方向に連続して配置され、(i)発泡セラミック、(ii)焼結鋳造又は押出セラミック、又は、(i)発泡セラミック、(ii)焼結鋳造又は押出セラミック及び(iii)圧縮セラミック繊維、又は、(i)発泡セラミック、(ii)焼結鋳造又は押出セラミック、(iii)圧縮セラミック繊維及び(iv)真空成形された繊維板又は微孔質ヒュームドシリカを含む板で構成される複数のレンガパッキングを含むレンガアセンブリに関する。
【0132】
成形レンガ、好ましくはセラミック発泡体からなるライニングの内層の表面は、未処理であってもよいし、コーティングされていてもよい。コーティングは、有利には、ライニングの表面を密封し、摩耗保護として機能する。コーティング、例えば保護層は、有利には、端面(前面:Stirnseite:ドイツ語)及び/又は裏面及び/又は上端面及び/又は下端面及び/又は左右の側面に塗布され、好ましくは、端面及び/又は裏面及び/又は上端面及び/又は下端面に塗布され、より好ましくは、端面及び/又は裏面に塗布され、特に、端面に塗布される。端面(前面)とは、反応器の内部に面する成形レンガの面を指す。保護層は、有利には耐火性セラミック、例えばZrO2、YO2、Si3N4、Al2O3、好ましくはAl2O3からなる。保護層の厚さは、有利には100μm~2mm、好ましくは200μm~1mmである。コーティングの気孔率(空隙含有率)は、有利には50%未満、好ましくは25%未満、より好ましくは10%未満、特に5%未満である。コーティングは、当業者に知られたコーティング方法、例えば、塗装法、ディップコーティング、フレーム溶射、プラズマ溶射によって、成形レンガに塗布することができる。
【0133】
有利には、コーティングは、多層構造、例えば、非多孔性セラミックの1つの薄層及び多孔性セラミックの1つ以上のより厚い層とからなる。
【0134】
好適なコーティング材料の例としては、Aremco Coatings(コーティングスリップ)が挙げられる:PP-634-AL、634-SIC、634-YO、634-ZO、Oerlikon Metco(フレーム溶射及びプラズマ溶射)、LWK PlasmaCeramic(プラズマコーティング)、Polytec Cotronics(コーティングスリップ、キャスティングコンパウンド)などが挙げられる。
【0135】
成形レンガは、有利には、長方形のレンガについてはDIN 1081 (1988)に、アーチレンガ又はウェッジレンガについてはDIN 1082 (1988)に従って、当業者に周知の寸法を有している。任意に、レンガを個々の寸法に切断することが可能である。
【0136】
垂直方向において、耐火レンガは、1コース(Schicht:ドイツ語)の異なる層(Lage)で異なる高さを有していてもよい。これは、例えば、成形レンガをてき弾層とランナー層(Laeuferschicht:ドイツ語)として交互に敷設することで達成することができる。このようにして、(i)軸方向温度勾配が低い領域での過剰な継目、又は(ii)軸方向温度勾配が高い領域での個々のレンガ内の高い機械的応力を回避することが可能となる。
【0137】
耐火レンガのパッキングの縁部は、有利には、隣接するブリッジ又は隣接するブリッジ間の隙間に平行である。レンガと隣接するブリッジとの間の隙間、又は円周方向でレンガに隣接するパッキング間の隙間は、有利には1mm~50mm、好ましくは1mm~25mm、より好ましくは1mm~10mmである。これらの隙間は、有利には、鉱物繊維からなる断熱マットで少なくとも部分的に充填される。
【0138】
断熱マットは、ブリッジの平坦な側面に任意で固定される。設置の間、断熱マットは、有利には、フィルムに真空気密に溶接され、排気される。こうして調製されたマットは、有利には、横向きブリッジ及び/又は側方ブリッジ及び/又は分離ブリッジ及び/又は横向きブリッジに、好ましくは横向きブリッジ及び/又は側方ブリッジに、より好ましくは横向きブリッジに接合される。設置後、フィルムは有利には穿孔される。その結果、マットは膨張し、レンガを支える。この手順は、例えばWO2014/125024に記載されている。
【0139】
断熱マットには、以下に記載の商品名を有する材料が適している:ALSIFLEX-1600、ALSIFLEX-1600ペーパー、PROMAFELT-1600、SILCAFELT-160、THERMOFRAXブランケット(フレキシブルマット)、THERMOFRAXボード(真空成形)又はTHERMOFRAXフェルト/ペーパー(セラミックペーパー及びフェルト)。
【0140】
有利には、本発明の骨組(フレームワーク)は、基礎、例えば基礎プレートによって支持される。基礎プレートは、有利には、モジュール式の骨組を固定し、耐火物パッキングの質量を受け取るのに役立つ。基礎プレートは、代替的に、一パート又はセグメント化された形態であってもよい。基礎プレートは、好ましくはセグメント化されており、各要素は、有利には、本発明のモジュール式骨組体系物のセグメントを支える。
【0141】
基礎の代わりに、本発明の骨組を屋根に固定してもよい。
【0142】
基礎プレートは、有利には、下部ドーム上に緩く又はしっかりと支持されている。好ましくは、基礎プレートは、下部ドームのフランジに着脱可能に接続されている。より好ましくは、基礎プレートは下部ドームのフランジにねじ止めされている。
【0143】
有利には、基礎プレートは環状である。有利には、基礎プレートの頂面及び底面は平面であり、互いに平行である。基礎プレートの厚さは、1mm~500mm、好ましくは2mm~300mm、より好ましくは3mm~200mmである。リングの幅は、50mm~2m、好ましくは100mm~1m、特に200mm~500mmである。
【0144】
上面視において、基礎プレートの外縁は、有利には、OCMC骨組の外側横向きブリッジを越えて突出している。外側横向きブリッジに対する基礎プレートの外縁の超過分は、有利には0mm~200mm、好ましくは5mm~100mm、より好ましくは10mm~50mmである。上面視において、基礎プレートの内縁は、有利には、ライニングの内層によって覆われている。基礎プレートの内縁に対するライニングの内縁の超過分は、有利には0mm~100mm、好ましくは0mm~50mm、より好ましくは0mm~20mmである。基礎プレートは、有利には頂面に溝を有する。溝は、有利には、骨組の最下層にある横向きブリッジ、側方ブリッジ、及び任意の分離ブリッジを支持し、案内するための台座として機能する。溝の配置は、有利には、骨組の上面視におけるブリッジのパターンに対応している。溝は、有利には1mm~500mm、好ましくは2mm~300mm、より好ましくは3mm~200mmの深さを有する。溝は、有利には0.2mm~20mm、好ましくは0.5mm~10mm、特に1mm~5mmの幅を有する。溝は、使用されるブリッジの厚さよりも、有利には1%~100%、好ましくは2%~50%、より好ましくは5%~20%広い。有利には、骨組の最下層の側方ブリッジ及び横向きブリッジは、基礎プレートに固定的な方法で接合される。接合は、例えば、ねじ接続による圧入法で、ダボによる形状嵌合法で、又は接着剤による粘着接合法で確立することができる。有利には、基礎プレートは、金属、プラスチック及び/又はセラミック、好ましくは金属、より好ましくは鋼からなる。任意に、基礎プレートの表面は、電気的に導電性又は電気的に絶縁性である。金属製基礎プレートの場合、電気絶縁表面層は、有利には、エナメル、セラミック及び/又はプラスチックからなる。好ましくは、基礎プレートの表面は、領域的に電気的に絶縁性である。より好ましくは、基礎プレートの上面及び外周は電気的に絶縁されている。
【0145】
基礎プレートは、有利には、それによってライニング全体又はセグメントごとに反応器から持ち上げて組み立てることができるリフティング装置のための固定要素を有している。
【0146】
有利には、多機能基礎プレートと呼ばれるものを使用することが可能である。この基礎プレートは、任意に、以下の特徴のうちの1つ以上を有する。(i)基礎プレートは、有利には、反応器の中央まで連続している。反応ゾーンの領域において、基礎プレートは、有利には、ガス及び固体の流れのための開口部を有する。(ii)基礎プレートは、有利には、下部ドームのフランジとして構成されている。(iii)基礎プレートは、有利には、電気加熱移動床反応器又は固定床反応器の下部電極を担持する。
【0147】
有利な組み合わせは、反応器ジャケット部の内側に断熱材を有するものであり;例えば、金属シェル内に封入された断熱ボードを用いる。断熱ボードは、有利には、総気孔率が45%以上99%未満、好ましくは60%以上99%未満、より好ましくは70%以上99%未満の多孔質である。有利には、断熱ボードは、ケイ酸カルシウム、バーミキュライト、ロックウール、グラスウール又はヒュームドシリカを含む。有利には、断熱ボードは、閉鎖された金属シェルに収容されている。金属シェルは、有利には、折り目をつけたり、溶接したり、又は半田付けしたりすることによって閉鎖シェルとなったシートから構成される。シェルは、有利には、その裏面に固定要素、好ましくはフック及び/又はループを備えている。これらの固定要素によって、それらは、有利には、圧力定格反応器シェル上の対応する固定具に吊り下げられる。
【0148】
本発明はさらに、装置、好ましくは本発明のモジュール式骨組体系物(モジュールフレームワークシステム)及び所定の圧力を担う装置ジャケット部を有する反応器、好ましくは本発明のモジュール式骨組体系物、ライニング及び所定の圧力を担う反応器ジャケット部に関する。
【0149】
反応器の断面積は、有利には0.005m2~200m2、好ましくは0.05m2~100m2、より好ましくは0.2m2~50m2、特に1m2~20m2である。反応器ジャケット部の高さは、有利には0.1m~100mの間、好ましくは0.2m~50mの間、より好ましくは0.5m~20mの間、特に1m~10mの間である。反応器ジャケット部の等価直径に対する高さの比は、有利には0.01から100、好ましくは0.05から20、より好ましくは0.1から10、最も好ましくは0.2から5である。反応器ジャケット部の壁厚は、有利には1mm~300mm、好ましくは5mm~200mm、より好ましくは10mm~100mmである。
【0150】
反応器ジャケット部のための好ましい材料は、例えば材料番号1.4541、1.4571の鋼合金である。
【0151】
有利には、モジュール式骨組体系物と所定の圧力を担う反応器ジャケット部との間には、連続的な隙間が存在する。隙間幅は、有利には0mm~100mm、好ましくは2mm~50mm、より好ましくは5mm~50mmである。
【0152】
モジュール式骨組体系物と所定の圧力を担うジャケット部との間の隙間は、任意に、緩い(バラの)粒子の床で満たされてもよい。粒子は、セラミック又は金属であってよい。粒子は、形状が規則的、例えば、球状、円柱状、角柱状であってもよく、又は不規則であってもよい。粒子は、中実、多孔質又は中空であってもよい。粒子は、同じサイズであっても異なったサイズであってもよい。床の粒子は、有利には0.05mm~100mm、好ましくは0.1mm~50mm、より好ましくは0.5mm~10mmの等価直径を有する。粒子の等価直径は、粒子と等しい体積の球の直径である。
【0153】
モジュール式骨組体系物と所定の圧力を担うジャケット部との間の隙間は、任意に、有向ガス流によってパージされてもよい。使用されるパージガスは、有利には、CO2、H2O、N2、H2、N2、希薄空気(N2で希釈された空気)及び/又はArである。パージガス流は、有利には、上部ドームを介して環状に導入され、ライニングの基礎プレートを介して引き抜かれる。あるいは、パージガス流は、ライニングの基礎プレートを介して環状に導入され、ドームを介して引き抜かれる。パージガス流は、有利には、反応ゾーンを所定の圧力を担う反応器ジャケット部から分離するガスカーテンを形成する。これにより、所定の圧力を担う反応器ジャケット部の内部に堆積物が形成されるのを防止することができ;さらに、所定の圧力を担うジャケット部を冷却することができる。
【0154】
任意に、モジュール式骨組体系物は、所定の圧力を担うジャケット部の側壁に対して支持されていてもよい。支持体は、OCMC、モノリシックセラミック、セラミックファイバーからなる織物、金属、又はこれらの材料の組み合わせで構成されてよい。それらは、骨組と所定の圧力を担うジャケット部の側壁との間に緩く(バラで)案内されてもよいし、OCMC骨組又は反応器壁の所定の圧力を担うジャケット部に固定的に接合されてもよい。接合は、粘着性又は形状嵌合であってよい。これらの支持物は、好ましくは、モジュール式骨組体系物と所定の圧力を担うジャケット部の間で緩く(バラで)支持される。
【0155】
軸方向温度勾配が大きい反応器においては、専ら高い熱安定性を有し反応ボリュームの熱的及び電気的絶縁区切りとしての機能が要求される反応器の領域のみに、モジュール式骨組体系物を配置することが有利であり得る。この場合、所定の圧力を担うジャケット部の縁部領域は、有利には絶縁されていないままにすることができる。
【0156】
有利には、反応器は電気的に加熱される(PCT/EP2019/051466参照)。
【0157】
有利には、本発明の装置は、上部、中間及び下部装置部を有し、そこでは、垂直配置の少なくとも1つの電極対が中間部に設置/配置され、全ての電極が有利には導電性固体パッキング内に配置/埋め込まれている。有利には、上部装置部及び下部装置部は、ドームの形態であり、105S/m~108S/mの比導電率を有する。中間装置部は、有利には固体パッキングから電気的に絶縁されている。有利には、上部装置部及び下部装置部は、同様に、中間装置部から電気的に絶縁されている。有利には、上部電極は上部装置部を介して接続され、下部電極は下部装置部を介して接続され、又は電極はそれぞれこれらの部分と電気的に接触している1つ以上の接続要素を介して接続されている。有利には、対応する電流導通要素の断面積に対する上部電極及び/又は下部電極、好ましくは上部電極及び下部電極の断面積の比、又は接続要素を使用しない場合、対応する電流導通装置部に対する上部電極及び/又は下部電極、好ましくは上部電極及び下部電極の断面積の比は、0.1~10、好ましくは0.3~3、特に0.5~2である。
【0158】
本発明の装置、特に反応器において、以下の高温反応を行うことが好ましい:
・炭化水素を水蒸気及び/又は二酸化炭素で改質する合成ガスの調製、炭化水素の熱分解による水素と熱分解炭素の同時生成。好適な担体材料は、特に炭素質顆粒、炭化ケイ素含有顆粒、ニッケル含有金属顆粒である。
・メタン及びアンモニアから、又はプロパン及びアンモニアからのシアン化水素の調製。好適な担体材料は、特に炭素質顆粒である。
・炭化水素の蒸気分解によるオレフィンの調製。好適な担体材料は、特に炭素質顆粒、炭化ケイ素含有顆粒である。
・メタンのカップリングによるエチレン、アセチレン、ベンゼンの調製。
・アルカンの触媒脱水素によるオレフィンの調製、例えばプロパンからのプロピレン又はブタンからのブテンの調製。好適な担体材料は、特に、脱水素触媒で被覆された炭化ケイ素含有顆粒、又は鉄含有成形体である。
・エチルベンゼンの触媒脱水素によるスチレンの調製。好適な担体材料は、特に脱水素触媒で被覆された炭化ケイ素含有顆粒、又は鉄含有成形体である。
・アルカン又はオレフィンの触媒脱水素によるジオレフィンの調製、例えばブテンから又はブタンからのブタジエンの調製。好適な担体材料は、特に、脱水素化触媒で被覆された炭化ケイ素含有顆粒、又は鉄含有成形体である。
・アルコールの触媒脱水素によるアルデヒドの調製、例えばメタノールからの無水ホルムアルデヒドの調製。好適な担体材料は、特に、脱水素触媒で被覆された銀含有顆粒又は炭化ケイ素含有顆粒、又は鉄含有成形体である。
・CO2と炭素からBoudouard反応によるCOの調製。適当な担体材料は、特に炭素質顆粒である。
・触媒上での触媒水熱分解による水素及び酸素の調製。好適な担体材料は、特に、開裂触媒、例えばフェライトで被覆された炭化ケイ素含有顆粒又は鉄含有顆粒である。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【
図1】耐火レンガを充填したOCMC
骨組の周りの
所定の圧力を担う反応器
ジャケット部で構成された反応器セグメントの図である。 凡例: 1=3つの
横向きブリッジで構成されるパッキング 2a=中間層の
側方ブリッジ 2b=最下層の
側方ブリッジ 2c=最上層の
側方ブリッジ 6=OCMC
骨組のボックスに挿入された耐火レンガのパッキング
(一包) 8=
所定の圧力を担う反応器
ジャケット部
【
図2】1層あたり4つの
横向きブリッジと3つの
側方ブリッジとを有する、
横向きブリッジ(1)と
側方ブリッジ(2)から形成されたセグメント化された
骨組のセグメントの上面図である。
横向きブリッジは円柱シェルとして、
側方ブリッジは平面シートとして
仕上げられている。
【
図3】1層あた
り横向きブリッジと
、1つの横向きブリッジを有する側方ブリッジから形成されたセグメント化された
骨組の上面図である。 左側:12のセグメント、平面シートとして
仕上られた
横向きブリッジ、
横向きブリッジごとに1つの
側方ブリッジ 中央:18のセグメント、円弧状として
仕上げられた横向きブリッジ、
横向きブリッジごとに1つの
側方ブリッジ 右側:12のセグメント、角度付き
(曲げられた)シェルとして構築される
横向きブリッジ、
横向きブリッジごとに2つの
側方ブリッジ それぞれの場合のハッチングされた領域は、セグメントの範囲を表す。5a,5b,5c...とラベル付けされた部分は、セグメント内の
ブリッジによって形成されるボックスである。
【
図4】1層あたり
横向きブリッジと、2つの
横向きブリッジを有する
側方ブリッジから形成されたセグメント化された
骨組の上面図である。 左側:12のセグメント、平面シートとして
仕上げられた
横向きブリッジ、
横向きブリッジごとに1つの
側方ブリッジ 中央:18のセグメント、円弧状として
仕上げられた
横向きブリッジ、
横向きブリッジごとに1つの
側方ブリッジ 右側:12のセグメント、角度付きシェルとして構築される
横向きブリッジ、
横向きブリッジごとに2つの
側方ブリッジ それぞれの場合のハッチングされた領域は、セグメントの範囲を表す。5a,5b,5c...とラベル付けされた部分は、セグメント内の
ブリッジによって形成されるボックスである。
【
図5】1層あた
り横向きブリッジ、
側方ブリッジ及び
1つの横向きブリッジを有する分離
ブリッジから形成されたセグメント化された
骨組の上面図である。 左側:12のセグメント、平面シートとして
仕上げられた横向きブリッジ、
横向きブリッジあたり1つの
側方ブリッジ、セグメント間の各隙間に1つの緩い
(バラの)分離
ブリッジ 中央:18のセグメント、円弧状として
仕上げられた横向きブリッジ、
横向きブリッジごとに1つの
側方ブリッジ、セグメント間の各隙間に1つの緩い
(バラの)分離
ブリッジ 右側:12のセグメント、角度付き
(曲げられた)シェルとして構築される
横向きブリッジ、横向きブリッジごとに2つの
側方ブリッジ、セグメント間の各隙間に1つの緩い
(バラの)分離
ブリッジ それぞれの場合のハッチングされた領域は、セグメントの範囲を表す。5a,5b,5c...とラベル付けされた部分は、
ブリッジによって形成される
セグメント内のボックスである。
【
図6】シート状の
横向きブリッジと
側方ブリッジからなる
骨組内のセグメントの斜視図である。半径方向
(放射方向)には、3つの
横向きブリッジが連続して配置され、中央の
側方ブリッジによって接続されている。
骨組は6つの層からなる。 中央:
骨組-要素、上側にスロットを有する
横向きブリッジ(1、高さh)、中間層の
側方ブリッジ(2a、高さh)、下層の
側方ブリッジ(2b、高さ1.5h)及び上層の
側方ブリッジ(2c,高さ0.5h)。下部と上部の
側方ブリッジの異なる高さの結果として、異なる層の
ブリッジは相互にかみ合っている。 右側:
横向きブリッジ、
側方ブリッジ、及び断熱マットに埋め込まれた耐火レンガのパッキングからなるセグメントの断面の斜視図である。 凡例: 1=3つの
横向きブリッジで構成されるパッキング 2a=中間層の
側方ブリッジ 2b=最下層の
側方ブリッジ 2c=最上層の
側方ブリッジ 6=OCMC
骨組のボックスに挿入された耐火レンガのパッキング
(一包) 8=OCMC
骨組の耐火レンガのパッケージを固定するための断熱マット
【
図7】シート状の
横向きブリッジ、
側方ブリッジ及び平面
ブリッジからなる
骨組内のセグメントの斜視図である。半径方向には、3つの
横向きブリッジが連続して配置され、中央の
側方ブリッジによって接続されている。
骨組は4つの層からなる。
横向きブリッジは層の間に挿入されている。 右側:
骨組-要素、下面にスロットを有する
横向きブリッジ(1、高さh)、頂部にスロットを有する
側方ブリッジ(2、高さh)、内側にスロットを有する平面
ブリッジ(3)。 凡例: 1=3つの
横向きブリッジで構成されるパッキング 2=
側方ブリッジ 3=平面
ブリッジ
【
図8】(実施例「一列の
横向きブリッジを有する
骨組」に対応):一列の
横向きブリッジを有する例示的な
骨組の上面図である。隣接する
横向きブリッジ間の重ね継手の詳細を示す拡大図である。 凡例: 9=リベット 10=結合セメント
【
図9】(実施例「放射線遮蔽として多数の
横向きブリッジを有する
骨組」に対応。) 左側:半径方向に多数の
横向きブリッジの列を有する例示的な
骨組の上面図。 右側:
側方ブリッジ(2)と、
側方ブリッジに挿入される
横向きブリッジ(1)の束の詳細側面図。
【
図10】(プロファイル化された
側方ブリッジを有する
骨組): 左側:多数のプロファイル化された
側方ブリッジ及び分離
ブリッジを有する例示的な
骨組のセグメントの上面図 中央:重ねて配置された複数の層の正面図 右側:重ねて配置された複数の層の側面図 凡例: 1=
横向きブリッジ 2=プロファイルされた
側方ブリッジ 4=分離
ブリッジ
【
図11】:複雑な
(複合化した)ブリッジ形態の斜視図である。 頂部:平面
ブリッジと分離
ブリッジの組み合わせ 中央:平面
ブリッジ、分離
ブリッジ、及び
横向きブリッジ(外側)の組み合わせ。 底部:平面
ブリッジ、分離
ブリッジ、及び2つの
横向きブリッジ(内側及び外側)の組み合わせ。
【
図12】:
所定の圧力を担うジャケット部の長さに対して
部分的に切り取った骨組体系物を有する反応器の図である。
【0160】
繊維強化酸化物セラミック、特にOCMCは、高い熱安定性と高い強度、延性及び熱衝撃安定性を兼ね備えている。材料は、1200℃を超えるまでこれらの特性を定常的に保持する。より高い温度になると、材料は徐々に脆くなるが、形状を維持し、顕著な残留強度を維持する。また、これらの材料は、低い熱伝導率と低い電気伝導率を有し、これにより、これらの材料は絶縁体として適格である。OCMCで作られた骨組(フレームワーク)は、反応器のパッキング、高温固定床、又は流動床(移動床又は流動床)を所定の圧力を担う反応器の壁から隔てるバリアを形成する。電流が反応器パッキングを通って導かれる場合、OCMC骨組はまた、反応器パッキングと所定の圧力を担うジャケット部の間の効果的な電気絶縁を形成する。ブリッジ間の形状嵌合接合により、骨組の応力のない熱膨張が可能になる。これにより、高温及び場所及び時間に関する顕著な温度勾配が特徴的な反応器内の運転条件を制御することが可能になる。
【0161】
発泡セラミック及び繊維強化酸化物セラミック、特にHalfoam及びOCMCの新規材料の特性は、以下の利点をもたらす:発泡セラミック、特にHalfoamは、特に1000°Cを超える高温で良好な断熱作用を伴う高強度と形状の真正性を兼ね備えている。この材料は1700℃まで使用可能である。繊維強化酸化物セラミック、特にOCMCは、高い熱安定性と高強度及び延性を兼ね備えている。材料は、1200℃を超えるところまでこれらの特性を定常的に保持する。より高い温度になると、材料は徐々に脆くなるが、形状を維持し、顕著な残留強度を維持する。
【0162】
2つの材料を組み合わせることにより、圧力反応器の自立型軽量ライニングを実現することができる。ライニングに作用する力は、OCMC骨組によって吸収される。これにより、成形レンガを、熱膨張の際に互いに柔軟に動くことができるように緩く配置することができる。OCMC骨組と耐火物パッキングの純粋な形状嵌合結合は、著しい温度変化(場所や時間に関して)の場合に、低い応力で変形することができる柔軟な構造を可能にする。
【0163】
Halfoamレンガの断熱効果により、薄い層で1500℃(反応ゾーン温度)から1200℃未満への温度低下を可能にする。その結果、複数の利点がある:ライニングは、より薄くすることができ、先行技術と比較してはるかに軽量である。OCMC製の支持骨組のブリッジは、エイジングから効果的に保護される。OCMCは熱伝導率が低いため、支持骨組のフィン作用により熱橋(伝熱経路:Kaeltebruecke:ドイツ語)が解消される。
【0164】
発泡セラミックと繊維強化酸化物セラミック、特にAlOxをベースにしたHalfoamとOCMCは、熱膨張係数が同一である。その結果、ライニングの隙間は、全温度範囲にわたって変化せず、ライニングを通る不定の漏れの流れを防ぐことができる。OCMCフレームワークにおいて断熱マットに耐火物パッキングを埋め込むことで、継ぎ目がなく柔軟性があり、温度変化に対して安定した接続が可能になる。
【0165】
達成された固有の安定性の結果として、ライニングは、所定の圧力を担う反応器ジャケット部による支持を必要としない。その結果、ライニングと反応器ジャケット部との間に連続した隙間を形成することが可能となる。ライニングは、反応器ジャケット部とは別に組立及び分解が可能である。その結果、反応器の組み立てや摩耗しやすい要素の修理及び交換が簡単になる。より具体的には、ライニングは、反応器の外側に予め組み立てられ、反応器内に完全に吊り込まれる。その結果、ライニングの修理又は更新の際に、反応器の停止時間を最小限に抑えることができる。
【0166】
電気加熱反応器の場合、ライニングの材料は電気絶縁体であり、反応ゾーンの床と所定の圧力を担う反応器ジャケット部との間の効果的な絶縁層を構成する。ライニングと反応器ジャケット部の間の隙間は、床と反応器ジャケット部の間の、追加の信頼性が高い、温度に依存しない電気絶縁を確実にする。
【0167】
非多孔質で滑らかな外層によるライニングの内側のコーティングは、プラスの付随効果がある:外層は、例えば移動床の粒子による摩耗に対して効果的な保護を与える。外層の滑らかな表面は、壁の上に固体堆積物が形成されることを困難にする。堆積物は表面に緩く付着しているだけで、移動床の粒子の動きによって剥離され得る。反応ゾーンからのガスのバイパスのために起こる壁への透過性は低下する。非多孔質セラミックの薄層と、多孔質セラミックの1層以上の厚層とからなる多層構造は、熱衝撃の結果としての亀裂に耐性がある。
【0168】
ライニングのレイヤーバイレイヤー構造は、個々の層に、断熱効果と熱安定性に関する最適なそれぞれの特性をする断熱材料を使用することを可能にする。OCMC骨組の平行又は同心の横向きブリッジによるライニングの半径方向の分割は、不具合に対して寛容な構造方式を可能にする:耐火物パッキングの一部が破損しても、層は無傷のままであり、これらは、反応ゾーンから所定の圧力を担う反応器ジャケット部まで温床の破過を防ぎ、したがって、破損した反応器の制御された停止を可能にする。
【0169】
特に圧力反応器の場合に関連性がある:OCMCシート及び/又は耐火レンガの表面の任意のシールは、ライニングの断熱効果を明確に低下させる大面積の対流サイクルの形成を抑制することができる。
【0170】
実施例:
先行技術:
工業用反応器に耐火コンクリートの多層ライニングを施した。反応ゾーンの直径は3000mmであった。ベッドに電気を供給するための電極は、3000mm間隔で離れて垂直に配置されていた。ライニングは以下の層で構成されていた:
【表1】
【0171】
ライニングはアンカーによって反応器ジャケット部に固定されていた。所定の圧力を担う反応器ジャケット部の内径は3640mmであった。設計では、ライニングの熱伝達係数は2.14W/(m2K)であった。設計によると、反応器からの電力損失は、反応器長さで32kW/m、反応器の外側の温度は75℃であった。最高温度1400℃,絶対圧力1.6barでの反応器運転では、熱損失は84kW/mまで上昇し、反応器の外側の温度は局所的に300℃まで上昇した。反応器を開くと、ライニングに亀裂が見つかった。反応器壁の内側の目に見える亀裂は不規則に走っており、大きさや程度(広がり)にばらつきがあった。測定された最も長い亀裂は1000mm;測定された最も大きい亀裂幅は3mmであった。ライニングは所々で破損していた。これにより、ライニングに面積500cm2及び5cmまでの深さを有する凹みが生じていた。この損傷は、ライニングの断熱効果の低下によって説明される。その結果、反応器の性能及びプロセスのエネルギー消費量が低下した。さらに、所定の圧力を担う反応器ジャケット部は、過剰な温度上昇により弱体化した。これらの理由により、反応器の安全な運転を継続することができなかった。
【0172】
実施例1:反応器内部の電気絶縁体としての本発明のモジュール式骨組の使用
本実施例は、本発明の解決策の最も簡単な構成を示すものである。抵抗加熱床を有する移動床反応器は、例えば炭化水素の熱分解に使用される。反応ゾーンの直径は3000mmである。床に電力を供給するための電極は、互いに3000mmの間隔をおいて垂直に配置されている。所定の圧力を担う反応器ジャケット部は、内径3100mmを有する。反応器シェルの外側には冷却コイルが設置されており、ジャケット部温度は最高50°Cに制御されるように冷却コイルには水が流される。反応ゾーンはモジュール式骨組で囲まれている。骨組のブリッジは、OCMCで作られている。骨組は、横向きブリッジの列で構成されており、それぞれが側方ブリッジによって支持されている。すべてのブリッジの厚さは3mmである。骨組は、6つのセグメントと互いに重なった5つの層を有している。隣接するセグメントの横向きブリッジは、円周方向に互いに重なり合っている。重ね継手は、熱安定性の高いセメントで充填され、リベットで接続されている。その結果、骨組は、骨組と所定の圧力を担う反応器ジャケット部の間の環状空間から反応ゾーンの防塵閉鎖を形成する。CO2
が、骨組と所定の圧力を担う反応器ジャケット部との間の環状空間内に、パージガスとして流れる。反応ゾーンの中心部の温度は1400℃である。骨組の温度は425℃である。この解決策は、コンパクトで軽量な設計が注目に値する。反応ゾーンは、所定の圧力を担うジャケット部で囲まれた断面積の93.5%を占めている。OCMCブリッジで構成される骨組の質量は250kgである。さらに、骨組は、所定の圧力を担う反応器の壁に対する反応ゾーンの電気絶縁としての機能を果たす。同時に、骨組は、わずかな断熱効果を有している。その結果、骨組の内部では十分な低温が確立され、炭素質堆積物に対して骨組が清潔に保たれる。これにより、プロセスの信頼性の高い定常運転モードが可能となる。
【0173】
実施例2:放射線遮蔽としての本発明のモジュール式骨組としての使用
本実施例は、OCMCブリッジからなる骨組を想定した本発明の解決策の構成を示している。抵抗加熱床を有する移動床反応器は、例えば炭化水素の熱分解に使用される。反応ゾーンの直径は3000mmである。床に電力を供給するための電極は、互いに3000mmの間隔をおいて垂直に配置されている。所定の圧力を担う反応器ジャケット部は、内径3700mmを有する。反応器ジャケット部は、外側が絶縁されていない。反応ゾーンは、OCMCブリッジの骨組で囲まれている。骨組は、円周方向に12個のセグメントと、重ねて配置された10個の層を含んでいる。各セグメント内の各層は、側方ブリッジによってそれぞれ支持された60列の横向きブリッジを含んでいる。反応ゾーンと直接接触する内側の列の横向きブリッジの厚さは3mmである。これらの横向きブリッジの内側は、プラズマ溶射された保護層でコーティングされている。内側の列の隣接するセグメントの横向きブリッジは、円周方向に互いに重なり合っている。重ね継手は、熱安定性の高いセメントで充填され、リベットで接続されている。他の列では、横向きブリッジの厚さはそれぞれ1mmであり、半径方向に互いに2mmの距離にある。これらの横向きブリッジの端部は固定されていない。側方ブリッジの厚さは3mmである。CO2は、骨組と所定の圧力を担う反応器ジャケット部の間の環状空間内にパージガスとして流れる。この解決策は、比較的軽量で機械的堅牢性に優れた設計が注目に値する。骨組全体は、延性があり熱衝撃に耐性のあるOCMCで構成されている。互いに挿入されたブリッジは、熱応力から生じる変形を同時に補償できる機械的に安定な骨組を形成する。骨組の質量は、反応器長さで約1.6tn/mである。さらに、骨組は、所定の圧力を担う反応器の壁に対する反応ゾーンの電気絶縁としての機能を果たす。さらに、骨組は、内側から外側に向かって一列に配置され放射線遮蔽として機能する横向きブリッジによって、断熱材料としても有効である。横向きブリッジ間の距離が狭いため、ガス層が滞留し、断熱作用が助長されている。反応ゾーンの中心温度は1350℃である。骨組の内側の温度は1200℃である。断熱による熱損失は、反応器長さで45kW/mである。所定の圧力を担う反応器ジャケット部の温度は85℃である。
【0174】
実施例3(Halfoamと軽量耐火レンガ)
本実施例は、基本構成と直接比較できる本発明の解決策を示したものである。これは、半径方向に3層からなる厚さ320mmのライニングである。内層は、製造元Morgan Advanced Materials Haldenwanger GmbHからのHALFOAMで構成されている。2層目は、製造元Etex Building Performances GmbHからのPROMATON 28タイプの成形レンガで構成されている。3層目は、同じ製造者からのPROMATON 26タイプの成形レンガで構成されている。レンガはストレッチャーボンドとして敷設されている。OCMC骨組は、円形断面を有する18個のセグメントで構成されている。1個のセグメントは、1つの側方ブリッジと2つの横向きブリッジから構成されている。内側横向きブリッジは3.63mの直径を有し、ライニングの内層を取り囲んでいる。外側横向きブリッジは4.09mの直径を有し、ライニングの2つの外層を取り囲んでいる。ライニングの質量は約3.35tn/mである。外側横向きブリッジと反応器壁の間には、幅20mmの隙間が形成されている。移動床の中心温度は約1500℃である。表は、ライニングの半径方向の温度進行を示している。
【0175】
【0176】
反応器の中心温度1500℃での長さに基づく熱損失は15.2kW/mであった。
【0177】
この構成では、ライニングの内層が温度を大幅に低下させた:T=244K。その結果、温度は内側横向きブリッジまで、OCMC材料が顕著なエイジングを受けない程度まで低下した。
【0178】
本発明のライニングは、実施例1の参考構成よりもかなり軽量である。参考構成に対する本発明の構成のさらなる利点は、第1ライニング層の熱絶縁効果から明らかである。
1.移動床断面にわたる温度場は、軸と壁の温度差ΔT=73Kより均質である。
2.第1ライニング層の外側の温度は、OCMC材料で作られた支持骨組が定常的にその有利な機械的特性を保持するように、1200℃を十分下回る温度にまで低下する。さらなる利点は、反応器壁の温度が低いことである。これらの利点は、K99アルミナ製の耐火レンガと比較して、HALFOAMの優れた断熱特性に帰趨させることができる。
【0179】
実施例4(Halfoam、軽量耐火レンガ、超断熱材)
本実施例は、断熱効果及び質量に関して本発明の解決策の最適化されたバージョンを示している。これは、半径方向に4層からなる厚さ320mmのライニングである。2つの内層は、製造元Morgan Advanced Materials Haldenwanger GmbHからのHALFOAMで構成されている。3層目は、製造元Etex Building Performances GmbHからのPROMATON 28タイプの成形レンガで構成されている。第4の層は製造元Etex Building Performances GmbHからのMICORTHERM PANELで構成され、これらは外側の横向きブリッジの外側に接合されている。レンガはストレッチャーボンドとして敷設されている。OCMCフレームワークは、円形の断面を有する18個のセグメントで構成されている。1個のセグメントは、1つの側方ブリッジと2つの横向きブリッジから構成されている。内側の横向きブリッジは3.63mの直径を有し、ライニングの2つの内層を取り囲んでいる。外側の横向きブリッジは4.03mの直径を有し、ライニングの第3層を取り囲んでいる。ライニングの質量は約3.2tn/mである。外側の横向きブリッジと反応器壁の間には、幅20mmの隙間が形成されている。移動床の中心温度は約1500℃である。表は、ライニングの半径方向の温度進行を示している。
【0180】
超断熱材は反応器壁にカセットで固定された。
【0181】
【0182】
熱損失は9.15kW/mであり、すなわち、実施例1及び2の構成よりも大幅に低い。この構成では、ライニングの2つの内層は、OCMC材料が顕著なエイジングを受けない程度にまで温度を低下させる。第3層は、非常に強い絶縁効果を有するが熱安定性が約1000℃に制限されている超断熱材を使用することができる程度に温度を低下させる。
【0183】
本発明のライニングは、本発明の実施例2の構成よりも軽量である。実施例2の構成に対して本発明の構成のさらなる利点は、移動床の断面にわたるより均一な温度場(温度差:ΔT=36K)及び反応器壁におけるより低い温度(T=58℃)である。その結果、反応器の外側の接触保護を不要にすることができ、コスト削減と反応器へのアクセス性の向上を図ることができる。