IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7438243基板をパッケージングするための平坦化方法
<>
  • 特許-基板をパッケージングするための平坦化方法 図1
  • 特許-基板をパッケージングするための平坦化方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】基板をパッケージングするための平坦化方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240216BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240216BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
H01L21/304 621D
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021574255
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-22
(86)【国際出願番号】 US2020035778
(87)【国際公開番号】W WO2020256932
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】201941023935
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ハンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァハヴェルベク, スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボルティ, タパシュ
(72)【発明者】
【氏名】リアント, プラユディ
(72)【発明者】
【氏名】ゴラディア, プレルナ ソンサリア
(72)【発明者】
【氏名】シー, グァン フアイ
(72)【発明者】
【氏名】パク, ギバク
(72)【発明者】
【氏名】ブッフ, チンタン
(72)【発明者】
【氏名】カン, ピン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】フン, アレックス
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197708(JP,A)
【文献】特開2017-148920(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143797(WO,A1)
【文献】特開2013-176835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/00
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の平坦化のための方法であって:
研磨装置内にポリマー材料を含む基板を配置することと;
基板の表面を第1の研磨プロセスに曝すことであって、前記第1の研磨プロセスが:
粉砕スラリを前記研磨装置の研磨パッドに供給することを含み、前記粉砕スラリは:
1.2μmと53μmとの間のグリットサイズを有し、酸化鉄(Fe)、ダイヤモンド(C)、及び窒化ホウ素(BN)からなる群から選択される材料を含む、第1の複数のコロイド粒子;
非イオン性ポリマー分散剤;及び
水性溶媒を含む、
前記基板の表面を前記第1の研磨プロセスに曝すことと;
前記基板の表面を第2の研磨プロセスに曝すことであって、前記第2の研磨プロセスが:
研磨スラリを前記研磨装置の前記研磨パッドに供給することを含み、前記研磨スラリは:
25nmと500nmとの間のグリットサイズを有する第2の複数のコロイド粒子を含む、
前記基板の表面を前記第2の研磨プロセスに曝すことと
を含み、
前記非イオン性ポリマー分散剤が、ポリビニルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択され、前記非イオン性ポリマー分散剤が、1:1と1:4との間の分散剤:水性溶媒の体積比で水性溶媒と混合される、
方法。
【請求項2】
前記粉砕スラリ中の前記第1の複数のコロイド粒子の重量パーセントが2%と20%との間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー材料が、ポリイミド、ポリアミド、パリレン、及びシリコーンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の複数のコロイド粒子が、25nmと250nmとの間のグリットサイズを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の複数のコロイド粒子が、シリカ、アルミナ、セリア、酸化鉄、ジルコニア、チタニア、及び炭化ケイ素からなる群から選択される材料を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の複数のコロイド粒子が、前記第1の複数のコロイド粒子の材料とは異なる材料から形成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記研磨スラリ中の前記第2の複数のコロイド粒子の重量パーセントが1%と25%との間である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記研磨スラリが、水、アルミナ、及び水酸化カリウムのうちの1つ又は複数をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
基板の平坦化のための方法であって:
基板を第1の研磨プロセスに曝すことであって、前記第1の研磨プロセスが:
粉砕スラリで前記基板を研磨することを含み、前記粉砕スラリは、1μmと55μmとの間のグリットサイズを有し、酸化鉄(Fe)、ダイヤモンド(C)、及び窒化ホウ素(BN)からなる群から選択される材料を含む、第1の複数のコロイド粒子を含む、前記基板を前記第1の研磨プロセスに曝すことと;
前記基板の表面を第2の研磨プロセスに曝すことであって、前記第2の研磨プロセスが:
研磨スラリで前記基板を研磨することを含み、前記研磨スラリは、20nmと500nmとの間のグリットサイズを有する第2の複数のコロイド粒子を含む、前記基板の表面を前記第2の研磨プロセスに曝すことと
を含み、
前記粉砕スラリ中の前記第1の複数のコロイド粒子の重量パーセントが2%と20%との間であり、
前記粉砕スラリが、ポリビニルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される非イオン性ポリマー分散剤をさらに含み、
前記非イオン性ポリマー分散剤が、1:1と1:4との間の分散剤:水性溶媒の体積比で水性溶媒と混合される、方法。
【請求項10】
前記第2の複数のコロイド粒子が、シリカ、アルミナ、セリア、酸化鉄、ジルコニア、ダイヤモンド、窒化ホウ素、チタニア、及び炭化ケイ素からなる群から選択される材料を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の複数のコロイド粒子が、前記第1の複数のコロイド粒子の材料とは異なる材料を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記研磨スラリ中の前記第2の複数のコロイド粒子の重量パーセントが1%と25%との間である、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記基板が、ポリイミド、ポリアミド、パリレン、又はシリコーンを含むポリマー基板である、請求項に記載の方法。
【請求項14】
基板の平坦化のための方法であって:
研磨装置に、ポリイミド、ポリアミド、パリレン、及びシリコーンからなる群から選択されるポリマー材料を含む基板を配置することと;
基板の表面を第1の研磨プロセスに曝すことであって、前記第1の研磨プロセスが:
粉砕スラリを前記研磨装置の研磨パッドに供給することを含み、前記研磨パッドは前記基板の表面に押し付けられ、毎分50回転と毎分100回転との間の速度で回転され、前記粉砕スラリは:
1.2μmと20μmとの間のグリットサイズ、及び2%と20%との間の重量パーセントを有し、酸化鉄(Fe)、ダイヤモンド(C)、及び窒化ホウ素(BN)からなる群から選択される材料を含む、第1の複数のコロイド粒子;
ポリビニルピロリドンを含む非イオン性ポリマー分散剤;及び
水性媒体を含む、前記非イオン性ポリマー分散剤が、1:1の分散剤:水性溶媒の体積比で水性溶媒と混合される、
前記基板の表面を前記第1の研磨プロセスに曝すことと;
前記基板の表面を第2の研磨プロセスに曝すことであって、前記第2の研磨プロセスが:
研磨スラリを前記研磨装置の前記研磨パッドに供給することであって、前記研磨スラリは:
25nmと200nmとの間のグリットサイズ及び1%と25%との間の重量パーセントを有する第2の複数のコロイド粒子を含み、前記第2の複数のコロイド粒子が前記第1の複数のコロイド粒子と異なる材料から形成される、
前記研磨スラリを前記研磨装置の前記研磨パッドに供給すること;及び
前記第1及び前記第2の複数のコロイド粒子をリサイクルして、前記粉砕スラリ及び前記研磨スラリを再形成すること
を含む前記基板の表面を前記第2の研磨プロセスに曝すことと
を含む、方法。
【請求項15】
基板の平坦化のための方法であって:
研磨装置内にポリマー材料を含む基板を配置することと;
基板の表面を第1の研磨プロセスに曝すことであって、前記第1の研磨プロセスが:
粉砕スラリを前記研磨装置の研磨パッドに供給することを含み、前記粉砕スラリは:
1.2μmと53μmとの間のグリットサイズを有する第1の複数のコロイド粒子;
非イオン性ポリマー分散剤;及び
水性溶媒を含む、
前記基板の表面を前記第1の研磨プロセスに曝すことと;
前記基板の表面を第2の研磨プロセスに曝すことであって、前記第2の研磨プロセスが:
研磨スラリを前記研磨装置の前記研磨パッドに供給することを含み、前記研磨スラリは:
25nmと500nmとの間のグリットサイズを有する第2の複数のコロイド粒子を含む、
前記基板の表面を前記第2の研磨プロセスに曝すことと
を含み、
前記非イオン性ポリマー分散剤が、ポリビニルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択され、
前記非イオン性ポリマー分散剤が、1:1と1:4との間の分散剤:水性溶媒の体積比で水性溶媒と混合される、方法。
【請求項16】
基板の平坦化のための方法であって:
研磨装置に、ポリイミド、ポリアミド、パリレン、及びシリコーンからなる群から選択されるポリマー材料を含む基板を配置することと;
基板の表面を第1の研磨プロセスに曝すことであって、前記第1の研磨プロセスが:
粉砕スラリを前記研磨装置の研磨パッドに供給することを含み、前記研磨パッドは前記基板の表面に押し付けられ、毎分50回転と毎分100回転との間の速度で回転され、前記粉砕スラリは:
1.2μmと20μmとの間のグリットサイズ、及び2%と20%との間の重量パーセントを有する第1の複数のコロイド粒子;
ポリビニルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される非イオン性ポリマー分散剤;及び
水性媒体を含む、
前記基板の表面を前記第1の研磨プロセスに曝すことと;
前記基板の表面を第2の研磨プロセスに曝すことであって、前記第2の研磨プロセスが:
研磨スラリを前記研磨装置の前記研磨パッドに供給することであって、前記研磨スラリは:
25nmと200nmとの間のグリットサイズ及び1%と25%との間の重量パーセントを有する第2の複数のコロイド粒子を含む、
前記研磨スラリを前記研磨装置の前記研磨パッドに供給すること;及び
前記第1及び前記第2の複数のコロイド粒子をリサイクルして、前記粉砕スラリ及び前記研磨スラリを再形成すること
を含む前記基板の表面を前記第2の研磨プロセスに曝すことと
を含み、
前記非イオン性ポリマー分散剤が、1:1と1:4との間の分散剤:水性溶媒の体積比で水性溶媒と混合される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
分野
本開示の実施形態は、概して、基板上の表面及び基板上に形成された層上の表面の平坦化に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、高度なパッケージング用途のための基板上の表面の平坦化に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
化学機械平坦化(CMP)は、基板上に堆積されている材料の層を平坦化又は研磨するために高密度集積回路の製造において通常使用される1つのプロセスである。化学的機械的平坦化及び研磨は、粗面、凝集した材料、結晶格子の損傷、引っかき傷、及び汚染された層若しくは材料などの望ましくない表面トポグラフィー並びに表面欠陥を除去するのに有用である。化学的機械的平坦化は、フィーチャを埋めるために堆積された余分な材料を除去することによって基板上にフィーチャを形成し、その後のパターン化操作のために均一な表面を提供するのにも役立つ。
【0003】
従来のCMP技術では、キャリアアセンブリに取り付けられた基板キャリア又は研磨ヘッドは、CMP装置のプラテンに取り付けられた研磨パッドと接触するようにその中に固定された基板を配置する。キャリアアセンブリは、基板に制御可能な負荷、すなわち圧力を提供して、基板を研磨パッドに押し付ける。外部の駆動力により、研磨パッドが基板に対して移動する。したがって、CPM装置は、研磨組成物またはスラリを分散させながら、基板の表面と研磨パッドとの間に研磨又は摩擦運動を生じさせて、化学的活性及び機械的活性の両方に影響を与える。
【0004】
近年、ポリマー材料は、多くの高度なパッケージング用途用のポリマーの多様性のために、集積回路チップの製造における材料層としてますます使用されている。しかしながら、従来のCMP技術は、ポリマーの化学的性質に関連して低減された除去率に起因して、ポリマー材料の平坦化には非効率的である。それゆえ、ポリマー材料層の平坦化は、高度なパッケージング構造の製造における制限要因になる。
【0005】
したがって、当技術分野では、ポリマー材料表面の改善された平坦化のための方法及び装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
概要
本開示の実施形態は、概して、基板上の表面及び基板上に形成された層上の表面の平坦化に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、ポリマー材料層の表面などの高度なパッケージング用途用の基板上の表面の平坦化に関する。
【0007】
一実施形態では、基板平坦化の方法が提供される。本方法は、ポリマー材料で形成された基板を研磨装置に配置することを含む。基板の表面は、粉砕スラリが研磨装置の研磨パッドに供給される第1の研磨プロセスに曝される。粉砕スラリは、約1.2μmと約53μmとの間のグリットサイズを有するコロイド粒子、非イオン性ポリマー分散剤、及び水性溶媒を含む。次に、基板表面は、研磨スラリが研磨装置の研磨パッドに供給される第2の研磨プロセスに曝される。研磨スラリは、約25nmと約500nmとの間のグリットサイズを有するコロイド粒子を含む。
【0008】
図面の簡単な説明
本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約された実装のより具体的な説明は、実装を参照することによって得ることができ、そのいくつかは添付の図面に示されている。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得るため、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ここに記載の実施形態による研磨装置の概略的な断面図を示している。
図2】ここに記載の実施形態による、基板表面平坦化のプロセスのフロー図を示している。
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合は、図に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用されている。一実施の要素及び機能は、さらに説明することなく、他の実施に有益に組み込むことができると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本開示の実施形態は、概して、基板上の表面及び基板上に形成された層上の表面の平坦化に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、ポリマー材料層の表面など、高度なパッケージング用途用の基板上の表面の平坦化に関する。一実施形態では、本方法は、第1の研磨プロセス中に粉砕スラリの存在下で研磨表面に対して基板表面を機械的に研磨して、基板上に形成された材料の一部を除去すること;及び次に、第2の研磨プロセス中に研磨スラリの存在下で研磨表面に対して基板表面を化学的機械的に研磨して、第1の研磨プロセスによって引き起こされた粗さ又は不均一性を低減することを含む。
【0012】
本開示の様々な実施の完全な理解を提供するために、特定の細部が以下の説明及び図1及び図2に示されている。基板の平坦化及び研磨にしばしば関連する周知の構造体及びシステムを説明する他の細部は、様々な実施の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、以下の開示には記載されていない。
【0013】
図に示されている詳細、寸法、角度、及びその他の特徴の多くは、特定の実施形態の単なる例示である。したがって、他の実施形態は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の詳細、構成要素、寸法、角度、及び特徴を有することができる。さらに、本開示のさらなる実施形態は、以下に説明するいくつかの細部を用いることなく実施することができる。
【0014】
ここで説明する実施形態は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials、Inc.から入手可能なREFLEXION(登録商標)、REFLEXION(登録商標) LK(商標)、REFLEXION(登録商標) LK Prime(商標)、及びMIRRA MESA(登録商標)研磨システムなどの化学機械研磨システムを使用して実行できる平坦化プロセスを参照して、以下に説明される。平坦化及び研磨プロセスを実行することができる他のツールもまた、ここに記載の実施から利益を得るように適合させることができる。さらに、ここに記載の平坦化プロセスを可能にする任意のシステムを有利に使用することができる。ここに記載の装置の説明は例示的なものであり、ここに記載の実施形態の範囲を限定するものとして解釈又は判断されるべきではない。
【0015】
図1は、ポリマー基板110などの、高度なパッケージング用途用の材料層を平坦化するために使用され得る例示的な化学機械研磨装置100を示している。典型的には、研磨パッド105は、研磨パッド105とプラテン102との間に配置された感圧接着剤などの接着剤を使用して、研磨装置100のプラテン102に固定される。プラテン102及びその上に取り付けられた研磨パッド105に面する基板キャリア108は、基板110を研磨パッド105の研磨面に対して研磨するように促す一方で、基板110の異なる領域に対して異なる圧力を加えるように構成された可撓性ダイヤフラム111を含む。基板キャリア108は、基板110を取り囲むキャリアリング109をさらに含む。
【0016】
研磨中、キャリアリング109に下向きの力がかかると、キャリアリング109が研磨パッド105に対して押し付けられ、したがって、基板110が基板キャリア108から滑り落ちるのを防ぐ。基板キャリア108は、キャリア軸114の周りを回転する一方で、可撓性ダイヤフラム211は、研磨パッド105の研磨表面に対して基板110の所望の表面を押し付ける。プラテン102は、プラテン軸104を中心に、基板キャリア108の回転方向とは反対の回転方向に回転する一方で、基板キャリア108は、プラテン102の中心領域からプラテン102の外径まで前後にスイープして、研磨パッド105の不均一な摩耗をいくぶん低減する。図1に示されるように、プラテン102及び研磨パッド105は、研磨される基板110の表面の表面積よりも大きい表面積を有する。しかしながら、いくつかの研磨システムでは、研磨パッド105は、研磨される基板110の表面の表面積よりも小さい表面積を有する。終点検出システム130は、プラテン開口部122を通って、さらにプラテン開口部122上に配置された研磨パッド105の光学的に透明な窓フィーチャ106を通して、光を基板110に向ける。
【0017】
研磨中、流体116は、プラテン102上に配置された流体ディスペンサ118を介して研磨パッド105に導入される。典型的には、流体116は、研磨流体、研磨若しくは粉砕スラリ、洗浄流体、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、流体116は、pH調整剤及び/又は化学的に活性な構成要素を含む研磨流体であり、例えば、研磨パッド105の研磨剤と併せて、基板110の材料表面の化学的機械研磨及び平坦化を可能にするための酸化剤などである。
【0018】
図2は、ここに記載の実施形態による、基板の表面を平坦化するためのプロセス200のフロー図である。プロセス200は、基板を研磨装置100などの研磨装置に配置することにより、操作210で開始する。単層として説明及び描写されているが、基板は、1つ又は複数の材料層及び/又はその上に形成された1つ又は複数の構造体を含み得る。例えば、基板は、1つ又は複数の金属層、1つ又は複数の誘電体層、1つ又は複数の相互接続構造体、1つ又は複数の再分配構造体、及び/又は他の適切な層及び/又は構造体を含み得る。
【0019】
一例では、基板は、結晶性シリコン(例えば、Si<100>又はSi<111>)、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコンゲルマニウム、ドープされた若しくはドープされていないポリシリコン、ドープされた若しくはドープされていないシリコンウエハ、パターン化若しくはパターン化されていないウエハ、シリコンオンインシュレータ(SOI)、カーボンドープシリコンオキシド、窒化ケイ素、ドープシリコン、及びその他の適切なシリコン材料を含む。一例では、基板は、ポリイミド、ポリアミド、パリレン、シリコーン、エポキシ、ガラス繊維強化エポキシ成形コンパウンド、セラミック粒子が配置されたエポキシ樹脂、及び他の適切なポリマー材料などのポリマー材料を含む。
【0020】
さらに、基板は、様々な形態及び寸法を有し得る。一実施形態では、基板は、約100mmと約400mmとの間など、約50mmと約500mmとの間の直径を有する円形基板である。例えば、基板は、直径が約150mmと約350mmとの間、例えば、約200mmと約300mmとの間の円形基板である。いくつかの実施形態では、円形基板は、約200mm、約300mm、又は約310mmの直径を有する。別の例では、基板は、約100mmと約600mmとの間など、約50mmと約650mmとの間の幅を有する多角形基板である。例えば、基板は、約300mmと約400mmとの間など、約200mmと約500mmとの間の幅を有する多角形基板である。いくつかの実施形態では、基板は、最大約500mmの横方向寸法及び最大約1mmの厚さを有するパネル形状を有する。一実施形態では、基板は、約0.5mmと約1.5mmとの間の厚さを有する。例えば、基板は、約0.7mmと約1.4mmとの間、例えば、約1mmと約1.2mmとの間、例えば、約1.1mmの厚さを有する円形基板である。他の形態及び寸法もまた企図される。
【0021】
操作220において、平坦化される基板の表面は、研磨装置における第1の研磨プロセスに曝される。第1の研磨プロセスは、基板から所望の厚さの材料を除去するために利用される。一実施形態では、第1の研磨プロセスは、研磨装置の研磨パッドに供給される粉砕スラリを利用する機械的研磨プロセスである。粉砕スラリは、分散剤を含む溶液中に分散されたコロイド粒子を含む。一実施形態では、粉砕スラリで利用されるコロイド粒子は、シリカ(SiO)、アルミナ(AL)、セリア(CeO)、酸化鉄(Fe)、ジルコニア(ZrO)、ダイヤモンド(C)、窒化ホウ素(BN)、チタニア(TiO)などの研磨材料から形成される。一実施形態では、コロイド粒子は、炭化ケイ素(SiC)から形成される。
【0022】
第1の研磨プロセスに利用されるコロイド粒子は、グリットサイズが約1μm~約55μmの範囲、例えば約1.2μmと約53μmとの間である。例えば、コロイド粒子は、約1.2μmと約50μmとの間;約1.2μmと約40μmとの間;約1.2μmと約30μmとの間;約1.2μmと約20μmとの間;約1.2μmと約10μmとの間;約5μmと約50μmとの間;約5μmと約40μmとの間;約5μmと約30μmとの間;約5μmと約20μmとの間;約5μmと約15μmと間;約10μmと約55μmとの間;約20μmと約55μmとの間;約30μmと約55μmとの間;約40μmと約55μmとの間;約50μmと約55μmとの間のグリットサイズを有する。粉砕スラリに分散されたコロイド粒子のグリットサイズを大きくすると、機械的粉砕プロセス中に材料が基板から除去される速度が速くなる可能性がある
【0023】
粉砕スラリ中のコロイド粒子の重量パーセントは、約1%~約25%の範囲であり、例えば、約2%と約20%との間である。例えば、粉砕スラリ中のコロイド粒子の重量パーセントは、約5%~約15%;約6%~約14%;約7%~約13%;約8%~約12%;約9%~約11の範囲にある。一実施形態では、粉砕スラリ中のコロイド粒子の重量パーセントは約10%である。
【0024】
コロイド粒子の粉砕効率を高めるために、粉砕スラリ中の分散剤が選択される。一実施形態では、分散剤は、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレングリコール(EG)、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びポリビニルピロリドン(PVP)を含む非イオン性ポリマー分散剤であるがこれらに限定されない。一例では、分散剤は、分子量が最大2,000のPEGである。例えば、分散剤は、PEG 200、PEG 400、PEG 600、PEG 800、PEG 1000、PEG 1500、又はPEG2000であり得る。分散剤は、約1:1の体積/体積(v/v)と約1:4(v/v)との間の分散剤:水又は水性溶媒の比で、水又は水を含む水性溶媒と混合される。例えば、分散剤は、約1:2(v/v)の分散剤:水又は水性溶媒の比で水又は水性溶媒と混合される。
【0025】
いくつかの実施形態において、粉砕スラリは、水酸化カリウム(KOH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化アンモニウム(NHOH)、硝酸(HNO)のようなpH調整剤をさらに含む。粉砕スラリのpHは、1つ又は複数のpH調整剤を添加することにより、所望のレベルに調整することができる。
【0026】
第1の研磨プロセスの間、基板表面と研磨パッド105などの研磨パッドは、約15ポンド/平方インチ(psi)未満の圧力で接触される。基板からの所望の厚さの材料の除去は、約10psi以下、例えば、約1psi~約10psiの圧力を有する機械的粉砕プロセスで実施することができる。プロセスの一態様では、基板表面と研磨パッドは、約5psiと約10psiとの間など、約3psiと約10psiとの間の圧力で接触される。研磨パッドと基板表面が接触する圧力を増加させると、一般に、第1の研磨プロセス中に材料が基板から除去され得る速度が増加する。
【0027】
一実施形態では、プラテンは毎分約50回転(rpm)~約100rpmの速度で回転され、基板キャリアは約50rpm~約100rpmの速度で回転される。プロセスの一態様では、プラテンは約70rpmと約90rpmとの間の速度で回転され、基板キャリアは約70rpmと約90rpmとの間の速度で回転される。
【0028】
上記のような第1の研磨プロセス中の基板の機械的研磨は、従来の平坦化及び研磨プロセスと比較して、基板材料の改善された除去率を達成することができる。例えば、約6μm/分と約10μm/分との間のポリイミド材料の除去速度を達成することができる。別の例では、約6μm/分と約12μm/分との間のエポキシ材料の除去速度を達成することができる。さらに別の例では、約4μm/分と約6μm/分との間のケイ素(シリコン)材料の除去速度を達成することができる。
【0029】
第1の研磨プロセスの完了後、今や厚みが薄くなっている基板の表面は、操作230で同じ研磨装置内の第2の研磨プロセスに曝される。第2の研磨プロセスは、第1の研磨プロセスによって引き起こされる粗さ又は不均一性を低減するために利用される。一実施形態では、第2の研磨プロセスは、機械的研磨プロセスに関して説明したよりも微細なコロイド粒子を有する研磨スラリを利用するCPMプロセスである。
【0030】
一実施形態では、第2の研磨プロセスに利用されるコロイド粒子は、グリットサイズが約20nm~約500nm、例えば、約25nmと約300nmとの間の範囲である。例えば、コロイド粒子は、約25nmと約250nmとの間;約25nmと約200nmとの間;約25nmと約150nmとの間;約25nmと約100nmとの間;約25nmと約75nmとの間;約25nmと約50nmとの間;約100nmと約300nmとの間;約100nmと約250nmとの間;約100nmと約225nmとの間;約100nmと約200nmとの間;約100nmと約175nmとの間;約100nmと約150nmとの間;約100nmと約125nmとの間;約150nmと約250nmとの間;約150nmと約250nmとの間;約150と約225nmとの間;約150nmと約200nmとの間;約150nmと約175nmとの間のグリットサイズを有する。研磨スラリに分散されたコロイド粒子のグリットサイズを大きくすると、一般に、第2の研磨プロセス中に材料が基板から除去され得る速度が増加する。
【0031】
研磨スラリに利用されるコロイド粒子は、SiO2、AL、CeO、Fe、ZrO、C、BN、TiO、SiCなどから形成される。一実施形態では、研磨スラリで利用されるコロイド粒子は、粉砕スラリ中のコロイド粒子と同じ材料から形成される。別の実施形態では、研磨スラリで利用されるコロイド粒子は、粉砕スラリ中のコロイド粒子とは異なる材料から形成される。
【0032】
研磨スラリ中のコロイド粒子の重量パーセントは、約1%~約30%の範囲であり、例えば、約1%と約25%との間である。例えば、粉砕スラリ中のコロイド粒子の重量パーセントは、約1%~約15%;約1%~約10%;約1%~約5%;約10%~約30%;約10%~約25%の範囲である。
【0033】
いくつかの実施形態において、コロイド粒子は、水、アルミナ(Al)、KOHなどを含む溶液中に分散される。研磨スラリは、約5と約10との間など、約4~約10の範囲のpHを有し得る。例えば、研磨スラリは、約9など、約7~約10の範囲のpHを有する。研磨スラリのpHを所望のレベルに調整するために、1つ又は複数のpH調整剤を研磨スラリに添加することができる。例えば、研磨スラリのpHは、TMAH、NHOH、HNOなどの添加によって調整することができる。
【0034】
第2の研磨プロセスの間、基板表面と研磨パッドは、約15psi未満の圧力で接触される。基板表面の平滑化は、約10psi以下、例えば、約2psi~約10psiの圧力を有する第2の研磨プロセスで実施することができる。プロセスの一態様では、基板表面と研磨パッドは、約5psiと約10psiとの間など、約3psiと約10psiとの間の圧力で接触される。
【0035】
一実施形態では、プラテンは、第2の研磨プロセス中に約50rpm~約100rpmの速度で回転され、基板キャリアは、約50rpm~約100rpmの速度で回転される。プロセスの一態様では、プラテンは約70rpmと約90rpmとの間の速度で回転され、基板キャリアは約70rpmと約90rpmとの間の速度で回転される。
【0036】
第1及び/又は第2の研磨プロセスの後、使用されたスラリは、その後の再利用のために、スラリ管理及び回収システムを通して処理され得る。例えば、研磨装置は、プラテン102などの研磨プラテンの下に配置されたスラリ回収ドレンを含み得る。スラリ回収ドレンは、1つ又は複数のフィルタを有するスラリ回収タンクに流体結合して、サイズに基づいて、使用済みの粉砕および研磨スラリから再利用可能なコロイド粒子を分離することができる。次に、分離されたコロイド粒子を洗浄し、さらなる研磨プロセスのために新しいバッチのスラリに再導入することができる。
【0037】
研磨及び粉砕スラリは、スラリ管理及び回収システム内で絶えず循環又は撹拌され得る。スラリの絶え間ない循環又は撹拌は、コロイド粒子の沈降を防ぎ、スラリ中のコロイド粒子の実質的に均一な分散を維持する。一例では、スラリ管理及び回収システムは、システム全体にスラリを圧送するための1つ又は複数の渦ポンプを含む。開放型及び球状のポンプチャネルは、コロイド粒子がポンプを詰まらせるリスクを低減し、したがって、スラリ管理及び回収システム内でのスラリの効率的な循環を可能にする。さらなる例では、スラリ管理および回収システムは、貯蔵されたスラリを絶えず攪拌するように構成された混合装置を有する1つ又は複数のスラリ封じ込めタンクを含む。
【0038】
ここに記載のプロセスによって平坦化された基板は、減少したトポグラフィー欠陥、改善されたプロファイル均一性、改善された平面性、及び改善された基板仕上げを示したことが観察された。さらに、ここに記載のプロセスは、ポリマー材料などの高度なパーケージング用途用の基板とともに利用される様々な材料の改善された除去速度を提供する。
【0039】
上記は本開示の実施に関するものであるが、本開示の他のさらなる実施は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2