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特許7438388荷電粒子ビーム検査における電荷蓄積低減に基づく画像向上
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-15
(45)【発行日】2024-02-26
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム検査における電荷蓄積低減に基づく画像向上
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/22 20060101AFI20240216BHJP
   H01J 37/28 20060101ALN20240216BHJP
【FI】
H01J37/22 502H
H01J37/28 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022555847
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2021058543
(87)【国際公開番号】W WO2021198394
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】63/005,074
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャン
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー,ステッフェン
(72)【発明者】
【氏名】オマホニー,マーク
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-014537(JP,A)
【文献】特開2008-076070(JP,A)
【文献】特開2012-033336(JP,A)
【文献】特開2000-195459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビーム検査システムにおいてより正確な検査画像を提供する方法であって、
異なる着地エネルギーにおいて得られる、サンプルの複数のテスト画像を取得することと、
前記複数のテスト画像の歪みを決定することと、
前記歪みに基づいて、検査中に前記サンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することと、
前記決定された着地エネルギーレベルに基づいて検査画像を取得することと、を含み、
前記複数のテスト画像の歪み量を決定することは、前記複数のテスト画像のうちの第1のテスト画像の第1の歪み量を、前記第1のテスト画像に対応する第1の基準画像に基づいて決定することを含む、方法。
【請求項2】
命令セットを格納するメモリと、前記命令セットを実行する少なくとも1つのプロセッサと、を含む装置であって、
前記命令セットは、前記装置に、
異なる着地エネルギーにおいて得られる、サンプルの複数のテスト画像を取得することと、
前記複数のテスト画像の歪みを決定することと、
前記歪みに基づいて、検査中に前記サンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することと、
前記決定された着地エネルギーレベルに基づいて検査画像を取得することと、を実施させ
前記複数のテスト画像の歪み量を決定することは、前記複数のテスト画像のうちの第1のテスト画像の第1の歪み量を、前記第1のテスト画像に対応する第1の基準画像に基づいて決定することを含む、装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記命令セットを実行して、前記装置に、
前記検査画像に対応する基準画像に基づいて前記検査画像を修正することを更に実施させる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記サンプルの前記取得された複数のテスト画像の各々は、前記サンプルの複数のテスト領域のうちのテスト領域に対応する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の歪みは、前記第1のテスト画像が拡大しているか又は縮小しているかどうかを示す情報を含む、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の歪みは、前記第1のテスト画像上のフィーチャと、前記第1の基準画像上の対応するフィーチャと、の間の変位に基づく、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記サンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することは、前記歪み量がゼロになることを可能にする前記着地エネルギーレベルを推定することを含む、請求項に記載の装置。
【請求項8】
より正確な検査画像を提供する方法を実施するために、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令セットを格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
異なる着地エネルギーにおいて得られる、サンプルの複数のテスト画像を取得することと、
前記複数のテスト画像の歪みを決定することと、
前記歪みに基づいて、検査中に前記サンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することと、
前記決定された着地エネルギーレベルに基づいて検査画像を取得することと、を含み、
前記複数のテスト画像の歪み量を決定することは、前記複数のテスト画像のうちの第1のテスト画像の第1の歪み量を、前記第1のテスト画像に対応する第1の基準画像に基づいて決定することを含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記命令セットは、前記検査画像に対応する基準画像に基づいて前記検査画像を修正することを更に実施するために、前記コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能である、請求項に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記サンプルの前記取得された複数のテスト画像の各々は、前記サンプルの複数のテスト領域のうちのテスト領域に対応する、請求項に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記第1の歪みは、前記第1のテスト画像が拡大しているか又は縮小しているかどうかを示す情報を含む、請求項に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記第1の歪みは、前記第1のテスト画像上のフィーチャと、前記第1の基準画像上の対応するフィーチャと、の間の変位に基づく、請求項に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記サンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することは、前記歪み量がゼロになることを可能にする前記着地エネルギーレベルを推定することを含む、請求項に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2020年4月3日に出願された米国特許出願第63/005,074号の優先権を主張し、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、画像向上技術に関し、より詳細には、荷電粒子ビーム検査におけるウェーハ上の電荷蓄積低減に基づく検査画像向上に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 集積回路(IC)の製造プロセスでは、未完成又は完成回路コンポーネントは、それらが設計に従って製造され、欠陥がないことを保証するために検査が行われる。走査電子顕微鏡(SEM)など、光学顕微鏡又は荷電粒子(例えば、電子)ビーム顕微鏡を利用する検査システムを採用することができる。ICコンポーネントの物理的なサイズが縮小し続けるにつれて、欠陥検出における精度及び歩留まりがより重要になる。
【0004】
[0004] 設計からのパターン/構造変位及び寸法偏差は、サブナノメートル(nm)の精度でSEM画像から測定され得る。これらの測定値は、製造されたICの欠陥を特定すること及び製造プロセスを制御することにおいて役立ち得る。検査中のウェーハ上の電荷蓄積は、SEM画像の歪み、焦点ぼけ及び異常階調レベルを引き起こし、それによりSEM画像からクリティカルディメンジョン及びオーバレイを測定する際並びに欠陥を検出する際に誤差を生じる場合がある。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本明細書で提供される実施形態は、粒子ビーム検査装置、より詳細には荷電粒子ビームを使用する検査装置を開示する。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビーム検査システムにおいて検査画像を向上させる方法が提供される。本方法は、異なる着地エネルギーにおいて得られる、サンプルの複数のテスト画像を取得することと、複数のテスト画像の歪みレベルを決定することと、歪みレベルに基づいて、検査中にサンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することと、決定された着地エネルギーレベルに基づいて検査画像を取得することと、を含む。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、画像向上装置は、命令セットを格納するメモリと、命令セットを実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を含み、命令セットは、装置に、異なる着地エネルギーにおいて得られる、サンプルの複数のテスト画像を取得することと、複数のテスト画像の歪みレベルを決定することと、歪みレベルに基づいて、検査中にサンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することと、決定された着地エネルギーレベルに基づいて検査画像を取得することと、を実施させる。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、画像を向上させる方法を実施するために、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令セットを格納する非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。本方法は、異なる着地エネルギーにおいて得られる、サンプルの複数のテスト画像を取得することと、複数のテスト画像の歪みレベルを決定することと、歪みレベルに基づいて、検査中にサンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することと、決定された着地エネルギーレベルに基づいて検査画像を取得することと、を含む。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビーム検査システムにおいて最適着地エネルギーを特定する方法が提供される。本方法は、異なる着地エネルギーにおいて得られる、サンプルの複数のテスト画像を取得することと、複数のテスト画像の歪みレベルを決定することであって、第1のテスト画像及び第1のテスト画像に対応する第1の基準画像を、第1のテスト画像及び第1の基準画像におけるフィーチャの位置に基づいて比較することを含むことと、歪みレベルに基づいて、検査中にサンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することと、を含む。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、荷電粒子ビーム検査システムにおいて検査画像を向上させる方法が提供される。本方法は、サンプルの第1のテスト画像及び第2のテスト画像を取得することであって、第1のテスト画像及び第2のテスト画像は、異なる着地エネルギーで得られることと、第1のテスト画像の第1の歪みレベル及び第2のテスト画像の第2の歪みレベルを決定することと、サンプルを検査するときの歪みレベルが実質的にゼロになることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することであって、第1の歪みレベル、第2の歪みレベル及び異なる着地エネルギーに基づくことと、決定された着地エネルギーレベルに基づいて検査画像を取得することと、を含む。
【0011】
[0011] 本開示の実施形態の他の利点は、添付の図面と併せて取り入れられる以下の説明から明らかになるであろう。以下の説明では、例示及び例として、本発明の特定の実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0012]本開示の実施形態と一致する、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムを示す概略図である。
図2】[0013]本開示の実施形態と一致する、図1の電子ビーム検査システムの一部であり得る例示的な電子ビームツールを示す概略図である。
図3A】[0014]中性電荷状態において撮影された検査画像におけるフィーチャ位置と基準フィーチャ位置との例示的な比較である。
図3B】[0015]負電荷状態において撮影された検査画像におけるフィーチャ位置と基準フィーチャ位置との例示的な比較である。
図3C】[0016]正電荷状態において撮影された検査画像におけるフィーチャ位置と基準フィーチャ位置との例示的な比較である。
図4】[0017]本開示の実施形態と一致する、例示的な画像向上装置のブロック図である。
図5】[0018]本開示の実施形態と一致する、サンプル上のテスト領域の例である。
図6】[0019]本開示の実施形態と一致する、歪み量を測定する例示的な方法を示す。
図7】[0020]本開示の実施形態と一致する、中性電荷状態に対応する着地エネルギーを特定するための例示的なグラフである。
図8】[0021]本開示の実施形態と一致する、マルチビーム検査システムにおいて画像を向上させるための例示的な方法を表すプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0022] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例は、添付の図面に示されている。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表現がない限り、異なる図面における同じ番号は、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明において記載される実装形態は、全ての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、開示される実施形態に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。例えば、いくつかの実施形態は、電子ビームの利用に関連して説明されるが、本開示は、そのように限定されない。他のタイプの荷電粒子ビームを同様に適用することができる。その上、光学撮像、写真検出、X線検出など、他の撮像システムを使用することができる。
【0014】
[0023] 電子デバイスは、基板と呼ばれるシリコン片上に形成された回路で構築される。多くの回路は、同じシリコン片上にまとめて形成することができ、集積回路又はICと呼ばれる。これらの回路のサイズは、劇的に減少しており、その結果、更に多くの回路を基板に適合させることができる。例えば、スマートフォンのICチップは、親指の爪ほどの大きさであるが、それにもかかわらず、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪のサイズの1/1000未満である。
【0015】
[0024] これらの極めて小さいICの作成は、多大な時間を要する複雑及び高価なプロセスであり、数百もの個々のステップを伴う場合が多い。1つのステップにおける誤差でさえ、完成ICに欠陥をもたらす可能性があり、完成ICが無用なものとなる。従って、製造プロセスの目標の1つは、プロセスで作成される機能可能なICの数を最大化するため、すなわちプロセスの総歩留まりを向上させるために、そのような欠陥を回避することである。
【0016】
[0025] 歩留まりを向上させる要素の1つは、十分な数の機能可能な集積回路を生産することを保証するために、チップ作成プロセスをモニタすることである。プロセスをモニタする方法の1つは、それらの形成の様々な段階でチップ回路構造を検査することである。検査は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して行うことができる。SEMは、これらの極めて小さい構造を撮像するために使用することができ、実際には構造の「ピクチャ」を撮影する。画像は、構造が正しく形成されたかどうか、また構造が正しい場所に形成されたかどうかを判断するために使用することができる。構造に欠陥がある場合、欠陥が再発する可能性が低くなるようにプロセスを調整することができる。
【0017】
[0026] 製造されたICの欠陥を特定する場合、SEM画像から測定されたパターン/構造のクリティカルディメンジョンを使用することができる。例えば、測定されたクリティカルディメンジョンから決定されたパターン間のシフト又はエッジ配置変動は、欠陥を特定すること及び製造プロセスを制御することにおいて役立ち得る。入る一次電子と、出る二次電子との間に不均衡がある場合、検査中、ウェーハ上に電荷が蓄積する可能性がある。そのような電荷蓄積は、SEM画像の著しい歪み、焦点ぼけ及び異常階調レベルを引き起こし、それによりSEM画像からクリティカルディメンジョンを測定する際に誤差を生じる場合がある。
【0018】
[0027] 本開示のいくつかの実施形態は、検査中にサンプル上の電荷を均衡させる能力を可能にするエネルギーレベルを特定するための技術を提供する。特定されたエネルギーレベルに基づいてサンプルを検査することは、より正確なSEM画像を提供することを支援し得、従ってサンプルの欠陥を高い精度及び効率で検出することを可能にする。本開示では、中性エネルギーレベルを特定すること及び特定された中性エネルギーレベルに基づいてサンプルを検査することが自動化され得る。
【0019】
[0028] 図面では、コンポーネントの相対寸法は、明確にするために拡大され得る。以下の図面の説明内では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に対する違いのみを説明する。本明細書で使用される場合、別段の具体的な記述がない限り、「又は」という用語は、実行不可能な場合を除いて、考えられる全ての組合せを包含する。例えば、コンポーネントがA又はBを含み得ることが記述される場合、別段の具体的な記述がない限り又は実行不可能でない限り、コンポーネントは、A若しくはB又はA及びBを含み得る。第2の例として、コンポーネントがA、B又はCを含み得ることが記述される場合、別段の具体的な記述がない限り又は実行不可能でない限り、コンポーネントは、A、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA、B及びCを含み得る。
【0020】
[0029] ここで、図1を参照すると、図1は、本開示の実施形態と一致する、例示的な電子ビーム検査(EBI)システム100を示す。図1に示されるように、荷電粒子ビーム検査システム100は、メインチャンバ10、装填・ロックチャンバ20、電子ビームツール40及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内に位置する。説明及び図面は、電子ビームを対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するために使用されないことが理解される。
【0021】
[0030] EFEM 30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM 30は、追加の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、検査予定のウェーハ(例えば、半導体ウェーハ若しくは他の材料で作られたウェーハ)又はサンプルを含むウェーハ前面開口式一体型ポッド(FOUP)を受け取る(以下では、ウェーハ及びサンプルは、集合的に「ウェーハ」と呼ばれる)。EFEM 30の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填・ロックチャンバ20にウェーハを移送する。
【0022】
[0031] 装填・ロックチャンバ20は、装填/ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、装填/ロック真空ポンプシステムは、大気圧を下回る第1の圧力に達するように装填・ロックチャンバ20内の気体分子を取り除く。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填・ロックチャンバ20からメインチャンバ10にウェーハを移送する。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、メインチャンバ真空ポンプシステムは、第1の圧力を下回る第2の圧力に達するようにメインチャンバ10内の気体分子を取り除く。第2の圧力に達した後、ウェーハに対して、電子ビームツール40による検査が行われる。いくつかの実施形態では、電子ビームツール40は、シングルビーム検査ツールを含み得る。他の実施形態では、電子ビームツール40は、マルチビーム検査ツールを含み得る。
【0023】
[0032] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続することができ、また他のコンポーネントにも電子的に接続することができる。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査システム100の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータであり得る。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填・ロックチャンバ20及びEFEM 30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部でもあり得ることが理解される。
【0024】
[0033] 本開示は、電子ビーム検査システムを収納するメインチャンバ10の例を提供するが、本開示の態様は、広い意味において、電子ビーム検査システムを収納するチャンバに限定されないことに留意すべきである。むしろ、前述の原理は、他のチャンバにも適用できることが理解される。
【0025】
[0034] ここで、図2を参照すると、図2は、本開示の実施形態と一致する、図1の例示的な荷電粒子ビーム検査システム100の一部であり得る例示的な電子ビームツール40の概略図を示す。電子ビームツール40(本明細書では装置40とも称される)は、電子源101、ガンアパーチャ103を有するガンアパーチャプレート171、プレビームレット形成機構172、コンデンサーレンズ110、供給源変換ユニット120、一次投影光学系130、サンプルステージ(図2に図示せず)、二次結像系150及び電子検出デバイス140を含む。一次投影光学系130は、対物レンズ131を含むことができる。電子検出デバイス140は、複数の検出要素140_1、140_2及び140_3を含むことができる。ビームセパレータ160及び偏向走査ユニット132は、一次投影光学系130内に配置することができる。装置40の一般的に知られている他の構成要素を必要に応じて追加/省略できることが理解され得る。
【0026】
[0035] 電子源101、ガンアパーチャプレート171、コンデンサーレンズ110、供給源変換ユニット120、ビームセパレータ160、偏向走査ユニット132及び一次投影光学系130は、装置100の主光軸100_1と位置合わせすることができる。二次結像系150及び電子検出デバイス140は、装置40の副光軸150_1と位置合わせすることができる。
【0027】
[0036] 電子源101は、カソード、抽出器又はアノードを含み得、一次電子は、カソードから放出され、次いで抽出又は加速され、一次ビームクロスオーバー(虚像又は実像)101sを形成する一次電子ビーム102を形成することができる。一次電子ビーム102は、クロスオーバー101sから放出されると視覚化することができる。
【0028】
[0037] 供給源変換ユニット120は、画像形成要素アレイ(図2に図示せず)、収差補償器アレイ(図示せず)、ビーム制限アパーチャアレイ(図示せず)及び事前曲げマイクロ偏向器アレイ(図示せず)を含み得る。画像形成要素アレイは、複数のマイクロ偏向器又はマイクロレンズを含んで、一次電子ビーム102の複数のビームレットを用いてクロスオーバー101sの複数の平行画像(虚像又は実像)を形成することができる。図2は、一例として3つのビームレット102_1、102_2及び102_3を示し、供給源変換ユニット120は、いかなる数のビームレットも処理できることが理解される。
【0029】
[0038] いくつかの実施形態では、供給源変換ユニット120は、ビーム制限アパーチャアレイ及び画像形成要素アレイ(両方とも図示せず)を備え得る。ビーム制限アパーチャアレイは、ビーム制限アパーチャを含み得る。必要に応じて、いかなる数のアパーチャも使用できることが理解される。ビーム制限アパーチャは、一次電子ビーム102のビームレット102_1、102_2及び102_3のサイズを制限するように構成され得る。画像形成要素アレイは、主光軸100_1に向けて角度を変化させることにより、ビームレット102_1、102_2及び102_3を偏向させるように構成された画像形成偏向器(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態では、偏向器は、主光軸100_1から離れるほど、より大きくビームレットを偏向させることができる。更に、画像形成要素アレイは、複数の層(図示せず)を含み得、偏向器は、別個の層に設けられ得る。偏向器は、互いに独立して個別に制御されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、偏向器は、サンプル1の表面上に形成されるプローブスポット(例えば、102_1S、102_2S及び102_3S)のピッチを調整するように制御され得る。本明細書で言及される場合、プローブスポットのピッチは、サンプル1の表面上の2つの直接隣接するプローブスポット間の距離として定義することができる。
【0030】
[0039] 画像形成要素アレイの中央に位置する偏向器は、電子ビームツール40の主光軸100_1と位置合わせされ得る。従って、いくつかの実施形態では、中央の偏向器は、ビームレット102_1の軌跡を直線に維持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、中央の偏向器は、省略され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、一次電子源101は、必ずしも供給源変換ユニット120の中心と位置合わせされなくてもよい。更に、図2は、ビームレット102_1が主光軸100_1上にある装置40の側面図を示すが、ビームレット102_1は、異なる側から見ると、主光軸100_1から外れ得ることが理解される。すなわち、いくつかの実施形態では、ビームレット102_1、102_2及び102_3の全てがオフアクシスであり得る。オフアクシス構成要素は、主光軸100_1に対してオフセットされ得る。
【0031】
[0040] 偏向されたビームレットの偏向角度は、1つ以上の判断基準に基づいて設定され得る。いくつかの実施形態では、偏向器は、オフアクシスビームレットを、半径方向外向きに又は主光軸100_1から離れるように(例示せず)偏向させることができる。いくつかの実施形態では、偏向器は、オフアクシスビームレットを、半径方向内向きに又は主光軸100_1に向かって偏向させるように構成され得る。ビームレットの偏向角度は、ビームレット102_1、102_2及び102_3がサンプル1上に垂直に着地するように設定され得る。対物レンズ131などのレンズに起因する画像のオフアクシス収差は、レンズを通過するビームレットの経路を調整することにより減らすことができる。従って、オフアクシスビームレット102_2及び102_3の偏向角度は、プローブスポット102_2S及び102_3Sが小さい収差を有するように設定され得る。オフアクシスプローブスポット102_2S及び102_3Sの収差を減らすために、ビームレットは、対物レンズ131の正面焦点又はその近くを通過するように偏向され得る。いくつかの実施形態では、偏向器は、プローブスポット102_1S、102_2S及び102_3Sが小さい収差を有しながら、ビームレット102_1、102_2及び102_3がサンプル1上に垂直に着地するように設定され得る。
【0032】
[0041] コンデンサーレンズ110は、一次電子ビーム102を集束するように構成される。供給源変換ユニット120の下流のビームレット102_1、102_2及び102_3の電流は、コンデンサーレンズ110の集束力を調整するか、又はビーム制限アパーチャアレイ内の対応するビーム制限アパーチャの径方向サイズを変えることにより変化させることができる。電流は、ビーム制限アパーチャの径方向サイズ及びコンデンサーレンズ110の集束力を変更することの両方により変えることができる。コンデンサーレンズ110は、その第1の原理的平面が移動可能となるように構成され得る調整可能コンデンサーレンズであり得る。調整可能コンデンサーレンズは、磁性を有するように構成することができ、その結果、オフアクシスビームレット102_2及び102_3は、回転角度を有して供給源変換ユニット120を照射することができる。回転角度は、集束力又は調整可能コンデンサーレンズの第1の主平面の位置に応じて変わる場合がある。それに応じて、コンデンサーレンズ110は、コンデンサーレンズ110の集束力が変えられながら、回転角度を不変に保つように構成され得る抗回転コンデンサーレンズであり得る。いくつかの実施形態では、コンデンサーレンズ110は、コンデンサーレンズ110の集束力及び第1の主平面の位置が変化した場合に回転角度が変わらない、調整可能な抗回転コンデンサーレンズであり得る。
【0033】
[0042] 電子ビームツール40は、プレビームレット形成機構172を含み得る。いくつかの実施形態では、電子源101は、一次電子を放出し、一次電子ビーム102を形成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ガンアパーチャプレート171は、一次電子ビーム102の周辺の電子を遮断して、クーロン効果を減らすように構成され得る。いくつかの実施形態では、プレビームレット形成機構172は、一次電子ビーム102の周辺の電子を更に切断して、クーロン効果を更に減らし得る。一次電子ビーム102は、プレビームレット形成機構172を通過した後、3つの一次電子ビームレット102_1、102_2及び102_3(又はビームレットの任意の他の番号)にトリミングされ得る。電子源101、ガンアパーチャプレート171、プレビームレット形成機構172及びコンデンサーレンズ110は、電子ビームツール40の主光軸100_1と位置合わせされ得る。
【0034】
[0043] プレビームレット形成機構172は、クーロンアパーチャアレイを含み得る。プレビームレット形成機構172の、本明細書ではオンアクシスアパーチャとも称される中央アパーチャと、供給源変換ユニット120の中央偏向器とは、電子ビームツール40の主光軸100_1と位置合わせされ得る。プレビームレット形成機構172は、複数のプリトリミングアパーチャ(例えば、クーロンアパーチャアレイ)を備え得る。図2では、3つのビームレット102_1、102_2及び102_3は、一次電子ビーム102が3つのプリトリミングアパーチャを通過し、一次電子ビーム102の残りの大部分が遮断されているときに生成される。すなわち、プレビームレット形成機構172は、3つのビームレット102_1、102_2及び102_3を形成しない、一次電子ビーム102からの電子の多く又は大部分をトリミングすることができる。プレビームレット形成機構172は、一次電子ビーム102が供給源変換ユニット120に入る前に、プローブスポット102_1S、102_2S及び102_3Sを形成するために最後的に使用されない電子を遮断することができる。いくつかの実施形態では、ガンアパーチャプレート171が電子源101の近くに設けられて、電子を早期に遮断することができる一方、プレビームレット形成機構172も設けられて、複数のビームレットの近傍の電子を更に遮断することができる。図2は、プレビームレット形成機構172の3つのアパーチャを示すが、必要に応じて任意の数のアパーチャがあり得ることが理解される。
【0035】
[0044] いくつかの実施形態では、プレビームレット形成機構172は、コンデンサーレンズ110の下方に配置され得る。プレビームレット形成機構172を電子源101のより近くに配置することにより、クーロン効果をより効果的に減らすことができる。いくつかの実施形態では、プレビームレット形成機構172を電子源101の十分近くに配置することができ、しかも依然として製造可能な場合、ガンアパーチャプレート171を省略することができる。
【0036】
[0045] 対物レンズ131は、検査のために、ビームレット102_1、102_2及び102_3をサンプル1上に集束させるように構成され得、サンプル1の表面上に3つのプローブスポット102_1s、102_2s及び102_3sを形成することができる。クーロン交互作用効果を減らすために、ガンアパーチャプレート171は、使用されない一次電子ビーム102の周辺電子を遮断することができる。クーロン交互作用効果は、プローブスポット102_1s、102_2s及び102_3sの各々のサイズを拡大させ、従って検査解像度を劣化させる可能性がある。
【0037】
[0046] ビームセパレータ160は、静電双極子場E1及び磁気双極子場B1(図2には両方とも図示せず)を生成する静電偏向器を含むウィーンフィルタタイプのビームセパレータであり得る。それらの場が印加された場合、静電双極子場E1によってビームレット102_1、102_2及び102_3の電子にかかる力は、磁気双極子場B1によって電子にかかる力に対して、大きさが等しく、方向が反対方向である。従って、ビームレット102_1、102_2及び102_3は、ビームセパレータ160をゼロ偏向角度で直線に通過することができる。
【0038】
[0047] 偏向走査ユニット132は、ビームレット102_1、102_2及び102_3を偏向させて、サンプル1の表面のあるセクションの3つの小さい走査エリアにわたってプローブスポット102_1s、102_2s及び102_3sを走査させることができる。プローブスポット102_1s、102_2s及び102_3sにおけるビームレット102_1、102_2及び102_3の入射に応答して、3つの二次電子ビーム102_1se、102_2se及び102_3seがサンプル1から放出され得る。二次電子ビーム102_1se、102_2se及び102_3seの各々は、二次電子(エネルギー≦50eV)及び後方散乱電子(50eVと、ビームレット102_1、102_2及び102_3の着地エネルギーとの間のエネルギー)を含むエネルギー分布を有する電子を含むことができる。ビームセパレータ160は、二次電子ビーム102_1se、102_2se及び102_3seを二次結像系150に向かって導くことができる。二次結像系150は、二次電子ビーム102_1se、102_2se及び102_3seを電子検出デバイス140の検出要素140_1、140_2及び140_3上に集束させることができる。検出要素140_1、140_2及び140_3は、対応する二次電子ビーム102_1se、102_2se及び102_3seを検出し、サンプル1の対応する走査エリアの画像を構築するために使用される対応する信号を生成するように構成することができる。
【0039】
[0048] 図2では、3つのプローブスポット102_1S、102_2S及び102_3Sによってそれぞれ発生した3つの二次電子ビーム102_1se、102_2se及び102_3seは、主光軸100_1に沿って電子源101に向けて上方に移動し、対物レンズ131及び偏向走査ユニット132を相次いで通過する。3つの二次電子ビーム102_1se、102_2se及び102_3seは、副光軸150_1に沿って二次結像系150に入るように、ビームセパレータ160(ウィーンフィルタなど)によって方向転換される。二次結像系150は、3つの検出要素140_1、140_2及び140_3を含む電子検出デバイス140上に3つの二次電子ビーム102_1se~102_3seを集束させる。従って、電子検出デバイス140は、3つのプローブスポット102_1S、102_2S及び102_3Sによってそれぞれ走査された3つの走査領域の画像を同時に生成することができる。いくつかの実施形態では、電子検出デバイス140及び二次結像系150は、1つの検出ユニット(図示せず)を形成する。いくつかの実施形態では、対物レンズ131、偏向走査ユニット132、ビームセパレータ160、二次結像系150及び電子検出デバイス140など(ただし、これらに限定されない)の、二次電子ビームの経路上の電子光学要素は、1つの検出システムを形成することができる。
【0040】
[0049] いくつかの実施形態では、コントローラ(例えば、図1のコントローラ50)は、画像処理システムを含み得、画像処理システムは、画像取得器(図示せず)及びストレージ(図示せず)を含む。画像取得器は、1つ又は複数のプロセッサを含み得る。例えば、画像取得器は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイス及び同様のもの又はそれらの組合せを含み得る。画像取得器は、中でもとりわけ、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はそれらの組合せなどの媒体を通して装置40の電子検出デバイス140に通信可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、画像取得器は、電子検出デバイス140から信号を受信し、画像を構築することができる。従って、画像取得器は、サンプル1の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成、取得画像へのインジケータの重畳及び同様のものなどの様々な後処理機能を実行することもできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を実行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリ及び同様のものなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器と結合し、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存し、及び後処理された画像を保存するために使用することができる。
【0041】
[0050] いくつかの実施形態では、画像取得器は、電子検出デバイス140から受信された1つ又は複数の撮像信号に基づいてサンプルの1つ又は複数の画像を取得することができる。撮像信号は、荷電粒子撮像を実施するための走査動作に対応し得る。取得画像は、複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得るか、又は複数の画像を伴い得る。単一の画像は、ストレージに格納することができる。単一の画像は、複数の領域に分割され得るオリジナルの画像であり得る。領域の各々は、サンプル1の特徴を含む撮像エリアを1つずつ含み得る。取得画像は、時系列にわたって複数回サンプリングされたサンプル1の単一の撮像エリアの複数の画像を含み得るか、又はサンプル1の異なる撮像エリアの複数の画像を含み得る。複数の画像は、ストレージに格納することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ50は、サンプル1の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理ステップを実行するように構成することができる。
【0042】
[0051] いくつかの実施形態では、コントローラは、検出された二次電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ/デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓中に収集された電子分布データは、ウェーハ表面に入射した一次ビームレット102_1、102_2及び102_3の各々の対応する走査経路データと組み合わせて、検査中のウェーハ構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル1の内部又は外部の構造の様々な特徴を明らかにするために使用することができ、従ってウェーハに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。
【0043】
[0052] いくつかの実施形態では、コントローラは、検査中にサンプル1を動かすように電動ステージ(図示せず)を制御することができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、電動ステージが、ある方向に一定の速さで継続的にサンプル1を動かせるようにすることができる。他の実施形態では、コントローラは、電動ステージが、走査プロセスのステップに応じて、サンプル1が動く速さを経時的に変更できるようにすることができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、二次電子ビーム102_1se、102_2se及び102_3seの画像に基づいて、一次投影光学系130又は二次結像系150の構成を調整することができる。
【0044】
[0053] 図2は、電子ビームツール40が3つの一次電子ビームを使用することを示すが、電子ビームツール40が2つ以上の一次電子ビームを使用し得ることが理解される。本開示は、装置40で使用される一次電子ビームの数を限定しない。
【0045】
[0054] ここで、図3Aを参照すると、図3Aは、中性電荷状態において撮影された検査画像におけるフィーチャ位置と基準フィーチャ位置との例示的な比較である。本開示では、中性電荷状態は、サンプル上に入射する一次電子がサンプルから放出される二次電子と均衡し、従ってサンプル上に電荷が蓄積していないときの検査中のサンプル状態を指すことができる。フィーチャは、サンプル上に形成されるパターン又は構造を指すことができる。図3Aでは、第1の検査画像300は、荷電粒子ビーム検査システム(例えば、図1の電子ビーム検査システム100)により得ることができる。例えば、第1の検査画像300は、電子検出要素140から電子検出信号に基づいて生成される電子ビーム画像であり得る。第1の検査画像300は、複数のフィーチャを含むサンプルの検査画像であり得る。図3Aでは、第1の検査画像300上のフィーチャの位置301は、円として示されている。単純化のために、図3Aの第1の検査画像300では、フィーチャのパターンが示されていないことが理解されるであろう。
【0046】
[0055] 図3Aは、検査画像300上に重畳されたフィーチャの基準位置302(例えば、正方形として示される)も示す。本開示の実施形態によれば、サンプル上のフィーチャの基準位置302は、サンプルに対応する基準画像から得ることができる。いくつかの実施形態では、基準画像は、サンプルのグラウンドトゥルース画像であり得る。グラウンドトゥルース画像は、中でもとりわけ、対応するパターンを含むウェーハ若しくはダイの生画像を含むことができるか、又は対応するパターンを含むウェーハ若しくはダイから測定されたグラウンドトゥルースウェハーマップを含むことができる。いくつかの実施形態では、基準画像は、対応するサンプルのウェーハ設計レイアウトを例えばGraphic Database System(GDS)形式、Graphic Database System II(GDS II)形式、Open Artwork System Interchange Standard(OASIS)形式、Caltech Intermediate Format(CIF)などの形式で含むことができる。ウェーハ設計レイアウトは、ウェーハを構築するためのパターンレイアウトに基づき得る。いくつかの実施形態では、中でもとりわけ、基準画像は、関連する平面幾何学的形状、テキスト及びウェーハ設計レイアウトに関する他の情報を表す、バイナリファイル形式において格納されたフィーチャ情報を含み得る。図3Aに示すように、中性電荷状態においてサンプルが検査される場合、第1の検査画像300上のフィーチャの位置301は、基準画像におけるフィーチャの基準位置302に合致する。
【0047】
[0056] しかしながら、負電荷状態又は正電荷状態などの電荷蓄積状態においてサンプルを検査する場合、検査画像は、歪む可能性がある。本開示では、負電荷状態は、サンプル上に入射する一次電子の量がサンプルから放出される二次電子の量よりも多く、従ってサンプル上に負電荷が蓄積しているときの検査中のサンプル状態を指すことができる。同様に、正電荷状態は、サンプル上に入射する一次電子の量がサンプルから放出される二次電子の量よりもより少なく、従ってサンプル上に正電荷が蓄積しているときの検査中のサンプル状態を指すことができる。
【0048】
[0057] 負電荷状態での検査画像におけるフィーチャ位置と基準フィーチャ位置との例示的な比較を表す図3Bに示すように、負電荷状態において撮影された第2の検査画像310は、拡大している可能性がある。図3Bでは、第2の検査画像310上のフィーチャの位置311の2つの位置間の距離(例えば、d)は、対応するフィーチャの2つの基準位置302間の基準距離(例えば、d)よりも大きい。正電荷状態での検査画像におけるフィーチャ位置と基準フィーチャ位置との例示的な比較を表す図3Cに示すように、正電荷状態において撮影された第3の検査画像320は、収縮している可能性がある。図3Cに示すように、第3の検査画像320上のフィーチャの位置321の2つの位置間の距離(例えば、d)は、対応するフィーチャの2つの基準位置302間の基準距離(例えば、d)よりも小さい。本開示では、画像拡大及び画像縮小を、(例えば、図3B図3C及び図6に示すように)サンプル上の電荷蓄積に起因して生じる歪みのタイプとして論じるが、焦点ぼけ、パターン形状歪み(例えば、ピロー形状又は非対称台形歪み)など、異なるタイプの歪みも電荷蓄積に起因して生じる可能性があることが理解される。
【0049】
[0058] 図3A図3Cに関して説明したように、サンプル上の電荷蓄積により、サンプルを走査するために使用される電子ビームが曲がり、検査画像上での著しいフィーチャ位置の歪み又は変位が生じる場合がある。このような歪みは、検査画像からクリティカルディメンジョン、エッジ変位などを検出する際に誤差につながる場合がある。本開示の実施形態は、サンプル上の電荷を均衡させ、それにより、より正確なSEM画像を提供する能力を可能にする着地エネルギーを決定する技術を提供することができる。
【0050】
[0059] 図4は、本開示の実施形態と一致する、例示的な画像向上装置400のブロック図である。様々な実施形態では、画像向上装置400は、荷電粒子ビーム検査システム(例えば、図1の電子ビーム検査システム100)の一部であり得るか又はそれとは別個であり得ることが理解される。いくつかの実施形態では、画像向上装置400は、コントローラ50の一部であり得、画像取得器、測定回路又は格納部などを含み得る。いくつかの実施形態では、画像向上装置400は、画像処理システムを含み得、画像取得器、格納部などを含み得る。
【0051】
[0060] 図4に図示したように、画像向上装置400は、テスト画像取得器410、テスト画像分析器420、検査条件コントローラ430及び検査画像取得器を含み得る。
【0052】
[0061] テスト画像取得器410は、本開示の実施形態と一致する複数のテスト画像を受信するように構成される。テスト画像は、サンプルの領域の検査画像であり得る。複数のテスト画像を異なる着地エネルギーにおいて撮影することができる。いくつかの実施形態では、複数のテスト画像をサンプルの異なるテスト領域について撮影することができる。例えば、テストのために複数のテスト領域を選択することができ、各テスト領域に対して、対応するテスト画像を撮影することができる。いくつかの実施形態では、サンプルの異なるテスト領域の複数のテスト画像を、例えばマルチビームSEMを介して同時に撮影することができる。この場合、複数のテスト画像のためのテスト領域を、間隔を空けて配置して、テスト中、あるテスト領域が他のテスト領域の電子ビームにより影響を受けないようにすることができる。いくつかの他の実施形態では、複数のテスト画像をサンプルの一領域について逐次的に撮影することができる。いくつかの実施形態では、テスト画像取得器410は、電子ビームツール40の電子検出デバイス140からの検出信号に基づいてテスト画像を生成し得る。いくつかの実施形態では、テスト画像取得器410は、コントローラ50に含まれる画像取得器の一部であり得るか又はそれとは別個であり得る。いくつかの実施形態では、テスト画像取得器410は、コントローラ50に含まれる画像取得器により生成されるテスト画像を得ることができる。いくつかの実施形態では、テスト画像取得器410は、テスト画像を格納する格納デバイス又はシステムからテスト画像を得ることができる。いくつかの実施形態では、処理時間及びリソースを減らすために、テスト画像をサンプルのごく一部について得ることができる。
【0053】
[0062] 本開示の実施形態によれば、画像拡大又は画像縮小などの画像歪みがその対応するテスト画像から測定されるように、サンプル上のテスト領域を選択することができる。図5は、本開示の実施形態と一致する、サンプル500上のテスト領域501の例を示す。図5に示すように、テスト領域501は、その中に複数のフィーチャ502を含むことができ、例示を目的として、テスト領域501の中心503も示される。図5は、規則的に配置されたフィーチャ502を示すが、テスト領域501に含まれるフィーチャ502は、規則的に配置されなくてもよいことが理解されるであろう。同様に、図5は、同じ形状を有するフィーチャ502を示すが、テスト領域501に含まれるフィーチャ502は、異なる形状を有することができる。いくつかの実施形態では、テスト領域501の領域は、一次電子ビーム(例えば、ビームレット102_1、102_2又は102_3)の視野に対応し得る。複数のフィーチャ502を有する領域をテスト領域501として選択することは、フィーチャ変位に基づいてテスト画像の画像歪み(例えば、画像拡大又は画像抽出)の測定を可能にするいくつかの方法の1つである。いくつかの実施形態では、サンプルは、テスト領域として設計又は指定された複数のフィーチャ502を含む領域を含むことができ、これは、その領域からのテスト画像の歪みレベルを決定する際に有利である。
【0054】
[0063] サンプル500の異なるテスト領域について、複数のテスト画像が撮影される場合、複数のテスト画像のために、サンプル500の異なる部分にある複数のテスト領域を選択することができる。同様に、複数のテスト領域の各々が複数のフィーチャ(例えば、502)を有することができる。いくつかの実施形態では、類似したパターン又はフィーチャを有する複数のテスト領域を選択することは、複数のテスト領域に対応する複数のテスト画像の変位測定値(例えば、歪みレベル)を比較する際に有利であり得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、テスト領域として設計又は指定され、及び互いに同じ形状を有する複数のフィーチャ502を含む複数の領域を含むことができ、これは、その領域からのテスト画像の歪みレベルを比較する際に有利である。いくつかの実施形態では、複数の領域は、各領域内の同じ相対位置にフィーチャを含むことができる。いくつかの実施形態では、隣接する2つのテスト領域間の距離は、十分に大きい可能性があり、テスト中、あるテスト領域が他のテスト領域の一次電子ビームにより影響を受けない。
【0055】
[0064] 図4を再び参照すると、テスト画像分析器420は、テスト画像501が歪んでいるかどうかを判断し、歪み量を測定するように構成される。本開示の実施形態によれば、テスト画像分析器420は、テスト画像を、テスト画像に対応する基準画像を参照することにより分析することができる。本開示の実施形態によれば、情報ファイル440は、テスト画像に対応する基準画像を含むことができる。情報ファイル440は、情報を格納する任意の手段、例えばファイル、ファイルのセット、データベース、データベースのセットであり得る。情報ファイル440は、例えば、テスト画像のためのテスト領域の基準画像を含むことができる。いくつかの実施形態では、情報ファイル440に含まれる基準画像は、対応するテスト領域のグラウンドトゥルース画像であり得る。グラウンドトゥルース画像は、中でもとりわけ、対応するパターンを含むウェーハ若しくはダイの生画像を含むことができるか、又は対応するパターンを含むウェーハ若しくはダイから測定されたグラウンドトゥルースウェハーマップを含むことができる。いくつかの実施形態では、情報ファイル440に含まれる基準画像は、Graphic Database System(GDS)形式、Graphic Database System II(GDS II)形式、Open Artwork System Interchange Standard(OASIS)形式、Caltech Intermediate Format(CIF)などの形式であり得る。いくつかの実施形態では、情報ファイル440に含まれる基準画像は、対応するテスト領域のウェーハ設計レイアウトを含むことができる。ウェーハ設計レイアウトは、ウェーハを構築するためのパターンレイアウトに基づき得る。ウェーハ設計レイアウトは、フォトリソグラフィマスク又はレチクルからウェーハにフィーチャを転写するために使用される1つ以上のフォトリソグラフィマスク又はレチクルに対応し得る。いくつかの実施形態では、中でもとりわけ、GDS又はOASIS形式の基準画像は、関連する平面幾何学的形状、テキスト及びウェーハ設計レイアウトに関する他の情報を表す、バイナリファイル形式において格納されたフィーチャ情報を含み得る。
【0056】
[0065] 例示及び単純化の目的のため、テスト画像分析器420の動作は、図3A図3Cの検査画像300、310及び320がテスト画像であるという想定で説明される。図3Aに関して、位置301は、第1のテスト画像300上のフィーチャ位置であり、基準位置302は、第1のテスト画像300に対応する第1の基準画像上の対応するフィーチャ位置であると想定する。図3Aに示すように、第1のテスト画像300上のフィーチャの位置301は、フィーチャの対応する基準位置302に合致する。この例では、テスト画像分析器420は、第1のテスト画像300が歪んでいないと判断することができる。
【0057】
[0066] 図3Bに関して、位置311は、第2のテスト画像310上のフィーチャ位置であり、基準位置302は、第2のテスト画像310に対応する第2の基準画像上の対応するフィーチャ位置であると想定する。図3Bに示すように、第2のテスト画像310上のフィーチャの位置311は、フィーチャの対応する基準位置302に合致せず、従って、テスト画像分析器420は、第2のテスト画像310が歪んでいると判断することができる。いくつかの実施形態では、第2のテスト画像310及び第2の基準画像上のフィーチャ距離の比較に基づいて、テスト画像分析器420は、第2のテスト画像310が拡大したか又は収縮したかどうかを判断することができる。例えば、テスト画像分析器420は、第2のテスト画像310の2つのフィーチャ位置311間の第1の距離dを、2つのフィーチャ位置311に対応する第2の基準画像上の2つの基準フィーチャ位置302間の第2の距離dと比較することができる。この例では、第1の距離dが第2の距離dより大きいため、テスト画像分析器420は、第2のテスト画像310が拡大したと判断することができる。
【0058】
[0067] いくつかの実施形態では、第2のテスト画像310上のフィーチャ位置311と、フィーチャに対応する基準フィーチャ位置302との間の距離に基づいて、テスト画像分析器420は、歪み量を決定することができる。図3Bに示すように、歪み量は、第2のテスト画像310上のフィーチャ位置311及び対応する基準フィーチャ位置302の中心間の第3の距離dに基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、歪み量の絶対値は、図3Bに示すように第2のテスト画像310上のフィーチャ位置311に応じて変化し得るため、第2のテスト画像310の判定基準場所(例えば、中心から特定の距離)におけるフィーチャ位置321の歪み量(例えば、d)を歪み量として用いることができる。いくつかの実施形態では、フィーチャが判定基準場所に存在しない場合、歪み量は、第2のテスト画像310におけるフィーチャ位置311の測定された歪み量に基づいて推定することができる。これにより、複数のテスト画像の歪み量間の比較を適切に行うことができる。いくつかの実施形態では、第2のテスト画像310の歪み量は、第2のテスト画像310における複数のフィーチャの変位量(例えば、第3の距離d)の平均に基づいて決定することができる。この例では、テスト画像分析器420は、第2のテスト画像310が歪んでおり(例えば、拡大しており)、及び歪み量が第3の距離d又は第2のテスト画像310におけるフィーチャの変位量の平均に対応すると判断することができる。
【0059】
[0068] 図3Cに関して、位置321は、第3のテスト画像320上のフィーチャ位置であり、基準位置302は、第3のテスト画像320に対応する第3の基準画像上の対応するフィーチャ位置であると想定する。図3Cに示すように、第3のテスト画像320上のフィーチャの位置321は、フィーチャの対応する基準位置302に合致せず、従って、テスト画像分析器420は、第3のテスト画像320が歪んでいると判断することができる。いくつかの実施形態では、第3のテスト画像320及び第3の基準画像上のフィーチャ距離の比較に基づいて、テスト画像分析器420は、第3のテスト画像320が拡大したか又は収縮したかどうかを判断することができる。例えば、テスト画像分析器420は、第3のテスト画像320上の2つのフィーチャ位置321間の第1の距離d1を、2つのフィーチャ位置321に対応する、第3の基準画像上の2つの基準フィーチャ位置302間の第2の距離d2と比較することができる。この例では、第1の距離d1は、第2の距離d2よりも小さいため、テスト画像分析器420は、第3のテスト画像320が縮小したと判断することができる。
【0060】
[0069] いくつかの実施形態では、第3のテスト画像320上のフィーチャ位置321と、フィーチャに対応する基準フィーチャ位置302との間の距離に基づいて、テスト画像分析器420は、歪み量を決定することができる。図3Cに示すように、歪み量は、第3のテスト画像320上のフィーチャ位置321及び対応する基準フィーチャ位置302の中心間の第3の距離d3に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、歪み量の絶対値は、図3Cに示すように第3のテスト画像320上のフィーチャ位置321に応じて変化し得るため、第3のテスト画像320の判定基準場所(例えば、中心から特定の距離)におけるフィーチャ位置321の歪み量(例えば、d)を歪み量として用いることができる。いくつかの実施形態では、フィーチャが判定基準場所に存在しない場合、歪み量は、第3のテスト画像320におけるフィーチャ位置321の測定された歪み量に基づいて推定することができる。これにより、複数のテスト画像の歪み量間の比較を適切に行うことができる。いくつかの実施形態では、第3のテスト画像320の歪み量は、第3のテスト画像320における複数のフィーチャの変位量(例えば、第3の距離d)の平均に基づいて決定することができる。この例では、テスト画像分析器420は、第3のテスト画像320が歪んでおり(例えば、縮小しており)、及び歪み量が第3の距離d又は第3のテスト画像320におけるフィーチャの変位量の平均に対応すると判断することができる。
【0061】
[0070] テスト画像(例えば、図3A図3Cの300、310又は320)の歪みレベルの決定を、テスト画像を基準画像に対して、テスト画像と基準画像の中心が合致するように位置合わせすることにより説明してきたが、歪みレベルを決定するいかなる方法も本開示の実施形態に適用できることが理解されるであろう。図6は、本開示の実施形態と一致する、歪みレベルを測定する例示的な方法を示す。図6に示すように、テスト画像610上の1つの角(例えば、左上隅)にあるフィーチャ位置611が基準画像上の対応するフィーチャ位置302に合致するように、テスト画像610と、対応する基準画像とを位置合わせすることにより、歪み量を分析し、決定することができる。この例では、歪み量は、別の角(例えば、1つの角に対する対角線上における反対側の角;図6では右下角)に位置する、テスト画像610のフィーチャ位置611と、対応する基準フィーチャ位置302との中心間の第3の距離d3に基づいて決定することができる。図6は、負電荷状態下で撮影されたテスト画像610の歪みレベルを測定する例示的な方法を示すが、同じ方法は、正電荷状態又は中性電荷状態下で撮影されたテスト画像の歪みレベルを測定するために適用できることに留意されたい。
【0062】
[0071] 上で論じたように、テスト画像分析器420は、テスト画像取得器410により取得された複数のテスト画像を分析するように構成される。本開示の実施形態によれば、決定された歪み傾向(例えば、拡大又は縮小)及び歪み量(例えば、変位量)に基づいて、テスト画像分析器420は、検査中にサンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーを決定するように構成される。図7は、本開示の実施形態と一致する、中性電荷状態に対応する着地エネルギーを特定するための例示的なグラフ700である。図7では、例えばテスト中に電子ビームを加速又は減速させるための、一次電子ビームに印加される電圧Vを用いて着地エネルギーが示されている。電子は、一定の電荷値を有するため、電子に印加される電圧は、電子がサンプル上に着地するときの電子のエネルギーの指標となり得る。
【0063】
[0072] 図7に示すように、グラフ700にテスト結果T~Tが示される。この例では、テスト結果T~Tは、テスト画像分析器420により7つのテスト画像(例えば、図3B又は図3Cのテスト画像310又は320)から決定された歪み量であり得る。例えば、第1、第2、第3及び第7のテスト結果T1、T2、T3及びT7は、テスト結果T1、T2、T3及びT7が画像拡大を示すという点で図3Bの第2のテスト画像310に類似した4つのテスト画像から得ることができる。同様に、第4、第5及び第6のテスト結果T4、T5及びT6は、テスト結果T4、T5及びT6が画像縮小を示すという点で図3Cの第3のテスト画像320に類似した3つのテスト画像から得ることができる。図7に示すように、各テスト結果T1~T7は、その対応する着地エネルギー及び歪み量に従ってグラフ700に配置されている。例えば、第1のテスト結果T1は、300Vの着地エネルギーで撮影されたテスト画像の歪み量を表す。同様に、第2~第7のテスト結果T2~T7がグラフ700に示される。いくつかの実施形態では、テスト結果T1~T7が異なるテスト領域のテスト画像から得られる場合、テスト結果T1~T7間での比較を公正にするために、グラフ700上の各テスト結果T1~T7についての歪み量は、判定基準場所における正規化された値又は歪み量であり得る。図7は、7つのテスト結果を表すが、本開示の実施形態に任意の数のテスト結果を適用できることが理解されるであろう。
【0064】
[0073] 歪んでいないテスト画像(例えば、図3Aの第1のテスト画像300)を得ることが不可能な場合がある。本開示の実施形態によれば、テスト画像分析器420は、テスト結果(例えば、T1~T7)に基づいて、検査中にサンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギー(本開示では、中性着地エネルギーとも称される)を決定するように構成される。いくつかの実施形態では、テスト画像分析器420は、グラフ700上でテスト結果(例えば、T1~T7)の曲線を補間することにより中性着地エネルギーを推定することができる。例えば、テスト結果T1~T7を接続する補間ラインL1を図7に示すように定めることでき、中性着地エネルギーE1又はE2を、補間ラインL1と、ゼロ変位を示す水平ラインである中性電荷状態ラインLとの交点において得ることができる。この例では、2つの着地エネルギーE及びEは、サンプルの中性の着地エネルギーとして推定される。
【0065】
[0074] 図4を再び参照すると、検査条件コントローラ430は、本開示の実施形態と一致するように、テスト画像分析器420の決定に従い、サンプルを検査するための検査条件を設定するように構成される。本開示の実施形態によれば、検査条件は、サンプルを検査するための一次電子ビームの着地エネルギーを含むことができる。中性着地エネルギー(例えば、E1又はE2)は、材料又は特性に特有のパラメータであり得るため、サンプルのいくつかの部分(例えば、テスト領域)から決定された中性着地エネルギーを使用してサンプル全体を検査することができる。いくつかの実施形態では、特定の材料を有するサンプルのために決定される中性着地エネルギーを使用して、同じ材料を有する他のサンプルを検査することもできる。いくつかの実施形態では、検査条件コントローラ430は、サンプルを検査するための着地エネルギーを、テスト画像分析器420により決定される中性着地エネルギーE1又はE2に設定することができ、この着地エネルギーは、サンプル上での電荷蓄積を回避することを可能にする。
【0066】
[0075] いくつかの実施形態では、着地エネルギーを中性着地エネルギーE1又はE2に設定することは、例えば、検査要件、制限などに起因して許容されない場合がある。例えば、サンプルは、より高いエネルギーレベルを有する電子ビーム電流から損傷を受け始める場合があるため、着地エネルギーは、特定のレベルよりも大きく設定されない場合がある。より低いエネルギーレベルでは、二次電子ビームが適切に放出されない場合があるため、着地エネルギーは、特定のレベルよりも小さく設定されない場合がある。又は、所望の解像度を有する検査画像を得るために、着地エネルギーは、特定のレベルよりも小さく設定されない場合がある。従って、いくつかの実施形態では、サンプルを検査するための着地エネルギーを中性着地エネルギーE1又はE2にできる限り近付けて設定することができる。また、一次電子ビームの着地エネルギーを制御することに加えて、検査中のサンプル上の帯電を抑制又は補償するために、検査条件コントローラ430が検査ツール較正を更に実施することができる。例えば、サンプル上の一次ビーム電流ドーズなどの他の検査条件も調整することができる。
【0067】
[0076] 本開示の実施形態によれば、検査画像取得器450は、サンプルの検査画像を取得することができる。検査画像は、検査条件コントローラ430により、着地エネルギーを使用することによって取得され得る。いくつかの実施形態では、検査画像取得器450は、電子ビームツール40の電子検出デバイス140からの検出信号に基づいてサンプルの検査画像を生成し得る。いくつかの実施形態では、検査画像取得器450は、コントローラ50に含まれる画像取得器の一部であり得るか又はそれとは別個であり得る。いくつかの実施形態では、検査画像取得器450は、コントローラ50に含まれる画像取得器により生成される検査画像を得ることができる。いくつかの実施形態では、検査画像取得器450は、検査画像を格納する格納デバイス又はシステムから検査画像を得ることができる。
【0068】
[0077] 上で論じたように、着地エネルギーを中性着地エネルギーE又はEに設定することは、例えば、検査要件、制限などに起因して許容されない場合があるか、又は推定した中性着地エネルギーE若しくはE2が正確でない場合がある。従って、着地エネルギーが検査条件コントローラ430により設定された状態では、電荷は、検査中に依然としてサンプル上に蓄積する可能性があり、サンプルから撮影された検査画像は、依然として歪みを有する可能性がある。
【0069】
[0078] 本開示の実施形態によれば、画像向上装置400は、図4に示すような画像修正器460を更に含むことができる。画像修正器460は、画像修正を実施して電荷蓄積効果を補償するように構成できる。いくつかの実施形態では、画像修正器460は、サンプルの検査画像に対応する基準画像を参照することにより、検査画像を修正することができる。例えば、画像修正器460は、情報ファイル440に含まれる基準画像を、検査画像取得器450により取得された検査画像と比較し、検査画像における誤差を修正することができる。いくつかの実施形態では、基準画像は、サンプル全体にわたる画像であり得る。
【0070】
[0079] いくつかの他の実施形態では、画像修正器460は、検査画像に所定のオフセットを適用することにより、検査画像を修正することができる。所定のオフセットは、複数の実験から得ることができる。いくつかの実施形態では、複数の実験的検査画像を、検査条件コントローラ430により設定された着地エネルギーを用いて撮影することができ、実験的検査画像ごとの誤差量(例えば、歪み量又は変位量)を例えば基準画像との比較により決定することができる。複数の実験的検査の誤差量の平均に基づいてオフセットを決定することができる。いくつかの実施形態では、処理時間及びリソースを減らすために、各実験的検査画像をサンプルのごく一部について得ることができる。いくつかの実施形態では、テスト画像と同様に、複数の実験的検査画像を同時に撮影することができる。いくつかの実施形態では、複数の実験的検査画像のために、テストのための複数のテスト領域を使用することもできる。
【0071】
[0080] 本開示の実施形態によれば、画像向上装置400の動作は、自動化され得る。本開示の実施形態によれば、例えば、テスト画像分析又は実験的検査画像分析のための画像処理時間及びリソースが十分に小さい場合、サンプルのための中性着地エネルギーを特定すること、中性着地エネルギーに基づく着地エネルギーを用いてサンプルを検査すること及びサンプルから撮影された検査画像を修正することがリアルタイムで実施され得る。
【0072】
[0081] 図8は、本開示の実施形態と一致する、マルチビーム検査システムにおいて画像を向上させるための例示的な方法を表すプロセスフローチャートである。例示を目的として、図4の画像向上装置400を参照して、画像を向上させる方法が説明される。
【0073】
[0082] ステップS810において、複数のテスト画像(例えば、図3A図3Cの300、310又は320)を得ることが可能である。ステップS810は、例えば、とりわけ、テスト画像取得器410によって実施され得る。テスト画像は、サンプルの領域の検査画像であり得る。複数のテスト画像を異なる着地エネルギーにおいて撮影することができる。いくつかの実施形態では、複数のテスト画像を、例えばマルチビームSEMを介してサンプルの異なるテスト領域について同時に撮影することができる。この場合、複数のテスト画像のためのテスト領域を、間隔を空けて配置して、テスト中、あるテスト領域が他のテスト領域の電子ビームにより影響を受けないようにすることができる。いくつかの他の実施形態では、複数のテスト画像をサンプルの一領域について異なる時間に逐次的に撮影することができる。いくつかの実施形態では、処理時間及びリソースを減らすために、テスト画像をサンプルのごく一部について得ることができる。
【0074】
[0083] 本開示の実施形態によれば、画像歪み(例えば、画像拡大又は画像縮小)がその対応するテスト画像から測定されるように、サンプル上のテスト領域を選択することができる。図5は、本開示の実施形態と一致する、サンプル500上のテスト領域501の例を示す。図5に示すように、テスト領域501は、その中に複数のフィーチャ502を含むことができ、例示を目的として、テスト領域501の中心503も示される。図5は、規則的に配置されたフィーチャ502を示すが、テスト領域501に含まれるフィーチャ502は、規則的に配置されなくてもよいことが理解されるであろう。同様に、図5は、同じ形状を有するフィーチャ502を示すが、テスト領域501に含まれるフィーチャ502は、異なる形状を有することができる。いくつかの実施形態では、テスト領域501の領域は、一次電子ビーム(例えば、ビームレット102_1、102_2又は102_3)の視野に対応し得る。複数のフィーチャ502を有する領域をテスト領域501として選択することは、フィーチャ変位に基づいてテスト画像の画像歪み(例えば、画像拡大又は画像抽出)の測定を可能にするいくつかの方法の1つである。いくつかの実施形態では、サンプルは、テスト領域として設計又は指定された複数のフィーチャ502を含む領域を含むことができ、これは、その領域からのテスト画像の歪みレベルを決定する際に有利である。
【0075】
[0084] サンプル500の異なるテスト領域について、複数のテスト画像が撮影される場合、複数のテスト画像のために、サンプル500の異なる部分にある複数のテスト領域を選択することができる。同様に、複数のテスト領域の各々が複数のフィーチャ(例えば、502)を有することができる。いくつかの実施形態では、サンプルは、テスト領域として設計された互いに同じ形状を有する複数のフィーチャ502を含む複数の領域を含むことができ、これは、その領域からのテスト画像の歪みレベルを比較する際に有利である。いくつかの実施形態では、複数の領域は、各領域内の同じ相対位置にフィーチャを含むことができる。いくつかの実施形態では、類似したパターン又はフィーチャを有する複数のテスト領域を選択することは、複数のテスト領域に対応する複数のテスト画像からの変位測定値を比較する際に有利であり得る。
【0076】
[0085] ステップS820において、取得したテスト画像が分析される。ステップS820は、例えば、とりわけ、テスト画像分析器420によって実施され得る。ステップS820において、歪みレベル(例えば、歪み傾向、歪み量など)を決定することができる。本開示の実施形態によれば、テスト画像は、テスト画像に対応する基準画像を参照することにより分析することができる。いくつかの実施形態では、基準画像は、対応するテスト領域のグラウンドトゥルース画像であり得る。グラウンドトゥルース画像は、中でもとりわけ、対応するパターンを含むウェーハ若しくはダイの生画像を含むことができるか、又は対応するパターンを含むウェーハ若しくはダイから測定されたグラウンドトゥルースウェハーマップを含むことができる。いくつかの実施形態では、基準画像は、Graphic Database System(GDS)形式、Graphic Database System II(GDS II)形式、Open Artwork System Interchange Standard(OASIS)形式、Caltech Intermediate Format(CIF)などの形式であり得る。いくつかの実施形態では、基準画像は、対応するテスト領域のウェーハ設計レイアウトを含むことができる。ウェーハ設計レイアウトは、ウェーハを構築するためのパターンレイアウトに基づき得る。ウェーハ設計レイアウトは、フォトリソグラフィマスク又はレチクルからウェーハにフィーチャを転写するために使用される1つ以上のフォトリソグラフィマスク又はレチクルに対応し得る。いくつかの実施形態では、中でもとりわけ、GDS又はOASIS形式の基準画像は、関連する平面幾何学的形状、テキスト及びウェーハ設計レイアウトに関する他の情報を表す、バイナリファイル形式において格納されたフィーチャ情報を含み得る。
【0077】
[0086] 例示及び単純化の目的のため、ステップS820は、図3A図3Cの検査画像300、310及び320がテスト画像であるという想定で説明される。図3Aに示すように、第1のテスト画像300上のフィーチャの位置301は、フィーチャの基準位置302に対応する。この例では、第1のテスト画像300は、歪んでいないと判断されることになる。
【0078】
[0087] 図3Bに示すように、第2のテスト画像310上のフィーチャの位置311は、フィーチャの対応する基準位置302に合致せず、従って、第2のテスト画像310は、歪んでいると判断されることになる。いくつかの実施形態では、第2のテスト画像310及び第2の基準画像上のフィーチャ距離の比較に基づいて、第2のテスト画像310が拡大したか又は収縮したかどうかが判断される。例えば、第2のテスト画像310上の2つのフィーチャ位置311間の第1の距離d1と、2つのフィーチャ位置311に対応する第2の基準画像上の2つの基準フィーチャ位置302間の第2の距離d2とを比較することができる。この例では、第1の距離d1が第2の距離d2よりも大きいため、第2のテスト画像310が拡大したと判断されることになる。
【0079】
[0088] いくつかの実施形態では、第2のテスト画像310上のフィーチャ位置311と、フィーチャに対応する基準フィーチャ位置302との間の距離に基づいて、歪み量を決定することができる。図3Bに示すように、歪み量は、第2のテスト画像310上のフィーチャ位置311及び対応する基準フィーチャ位置302の中心間の第3の距離d3に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、歪み量の絶対値は、図3Bに示すように第2のテスト画像310上のフィーチャ位置311に応じて変化し得るため、第2のテスト画像310の判定基準場所(例えば、中心から特定の距離)におけるフィーチャ位置321の歪み量(例えば、d3)を歪み量として用いることができる。いくつかの実施形態では、フィーチャが判定基準場所に存在しない場合、歪み量は、第2のテスト画像310におけるフィーチャ位置311の測定された歪み量に基づいて推定することができる。これにより、複数のテスト画像の歪み量間の比較を適切に行うことができる。いくつかの実施形態では、第2のテスト画像310の歪み量は、第2のテスト画像310における複数のフィーチャの変位量(例えば、第3の距離d3)の平均に基づいて決定することができる。この例では、第2のテスト画像310は、歪んでおり(例えば、拡大しており)、及び歪み量は、第3の距離d3又は第2のテスト画像310におけるフィーチャの変位量の平均に対応すると判断されることになる。
【0080】
[0089] 図3Cに示すように、第3のテスト画像320上のフィーチャの位置321は、フィーチャの対応する基準位置302に合致せず、従って、第3のテスト画像320は、歪んでいると判断されることになる。いくつかの実施形態では、第3のテスト画像320及び第3の基準画像上のフィーチャ距離の比較に基づいて、第3のテスト画像320が拡大したか又は収縮したかどうかが判断される。例えば、第3のテスト画像320上の2つのフィーチャ位置321間の第1の距離d1と、2つのフィーチャ位置321に対応する第3の基準画像上の2つの基準フィーチャ位置302間の第2の距離d2とを比較することができる。この例では、第1の距離d1が第2の距離d2よりも小さいため、第3のテスト画像320が縮小した判断されることになる。
【0081】
[0090] いくつかの実施形態では、第3のテスト画像320上のフィーチャ位置321と、フィーチャに対応する基準フィーチャ位置302との間の距離に基づいて、歪み量を決定することができる。図3Cに示すように、歪み量は、第3のテスト画像320上のフィーチャ位置321及び対応する基準フィーチャ位置302の中心間の第3の距離d3に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、歪み量の絶対値は、図3Cに示すように第3のテスト画像320上のフィーチャ位置321に応じて変化し得るため、第3のテスト画像320の判定基準場所(例えば、中心から特定の距離)におけるフィーチャ位置321の歪み量(例えば、d3)を歪み量として用いることができる。いくつかの実施形態では、フィーチャが判定基準場所に存在しない場合、歪み量は、第3のテスト画像320におけるフィーチャ位置321の測定された歪み量に基づいて推定することができる。これにより、複数のテスト画像の歪み量間の比較を適切に行うことができる。いくつかの実施形態では、第2のテスト画像320の歪み量は、第3のテスト画像320における複数のフィーチャの変位量(例えば、第3の距離d3)の平均に基づいて決定することができる。この例では、第3のテスト画像320は、歪んでおり(例えば、縮小しており)、及び歪み量は、第3の距離d3又は第3のテスト画像320におけるフィーチャの変位量の平均に対応すると判断されることになる。
【0082】
[0091] テスト画像(例えば、図3A図3Cの300、310及び320)の歪みレベルの決定を、テスト画像を基準画像に対して、テスト画像と基準画像の中心が合致するように位置合わせすることにより説明してきたが、歪みレベルを決定するいかなる方法も本開示の実施形態に適用できることが理解されるであろう。図6は、本開示の実施形態と一致する、歪みレベルを測定する例示的な方法を示す。図6に示すように、テスト画像610上の1つの角(例えば、左上隅)にあるフィーチャ位置611が基準画像上の対応するフィーチャ位置302に合致するように、テスト画像610と、対応する基準画像とを位置合わせすることにより、歪み量を分析し、決定することができる。この例では、歪み量は、別の角(例えば、1つの角に対する対角線上における反対側の角;図6では右下角)に位置する、テスト画像610のフィーチャ位置611と、対応する基準フィーチャ位置302との中心間の第3の距離d3に基づいて決定することができる。図6は、負電荷状態下で撮影されたテスト画像610の歪みレベルを測定する例示的な方法を示すが、同じ方法は、正電荷状態又は中性電荷状態下で撮影されたテスト画像の歪みレベルを測定するために適用できることに留意されたい。
【0083】
[0092] 図7は、本開示の実施形態と一致する、中性電荷状態に対応する着地エネルギーを特定するための例示的なグラフ700である。図7では、例えばテスト中に電子ビームを加速又は減速させるための、一次電子ビームに印加される電圧Vを用いて着地エネルギーが示されている。電子は、一定の電荷値を有するため、電子に印加される電圧は、電子がサンプル上に着地するときの電子のエネルギーの指標となり得る。
【0084】
[0093] 図7に示すように、グラフ700にテスト結果T1~T7が示される。この例では、テスト結果T1~T7は、歪み量であり得る。図7に示すように、各テスト結果T1~T7は、その対応する着地エネルギー及び歪み量に従ってグラフ700に配置されている。いくつかの実施形態では、テスト結果T1~T7が異なるテスト領域のテスト画像から得られる場合、テスト結果T1~T7間での比較を公正にするために、グラフ700上の各テスト結果T1~T7についての歪み量は、判定基準場所における正規化された値又は歪み量であり得る。本開示の実施形態によれば、ステップS820において、テスト結果(例えば、T1~T7)に基づいて、検査中にサンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギー(本開示では、中性着地エネルギーとも称される)を決定することができる。いくつかの実施形態では、中性着地エネルギーは、グラフ700上のテスト結果(例えばT1~T7)の曲線を補間することにより推定することができる。例えば、テスト結果T1~T7を接続する補間ラインL1を図7に示すように定めることでき、中性着地エネルギーE1又はE2を、補間ラインL1と、ゼロ変位を示す水平ラインである中性電荷状態ラインL2との交点において得ることができる。この例では、2つの着地エネルギーE1及びE2は、サンプルの中性の着地エネルギーとして推定される。
【0085】
[0094] 図8を再び参照すると、ステップS830において、サンプルを検査するための検査条件をステップS820の分析に従って制御することができる。ステップS830は、例えば、とりわけ、検査条件コントローラ430によって実施され得る。本開示の実施形態によれば、検査条件は、サンプルを検査するための一次電子ビームの着地エネルギーを含むことができる。中性着地エネルギー(例えば、E1及びE2)は、材料又は特性に特有のパラメータであり得るため、サンプルのいくつかの部分(例えば、テスト領域)から決定された中性着地エネルギーを使用してサンプル全体を検査することができる。いくつかの実施形態では、特定の材料を有するサンプルのために決定される中性着地エネルギーを使用して、同じ材料を有する他のサンプルを検査することもできる。いくつかの実施形態では、サンプルを検査するための着地エネルギーを、ステップS820において決定された中性着地エネルギーE又はEに設定することができ、これによりサンプル上での電荷蓄積を回避することが可能になる。
【0086】
[0095] いくつかの実施形態では、着地エネルギーを中性着地エネルギーE又はEに設定することは、例えば、検査要件、制限などに起因して許容されない場合がある。従って、いくつかの実施形態では、サンプルを検査するための着地エネルギーを中性着地エネルギーE又はEにできる限り近付けて設定することができる。また、一次電子ビームの着地エネルギーを制御することに加えて、検査中のサンプル上の帯電を抑制又は補償するために、検査ツール較正を更に実施することができる。例えば、サンプル上の一次ビーム電流ドーズなどの他の検査条件も調整することができる。
【0087】
[0096] ステップS840において、サンプルの検査画像を取得することができる。ステップS8740は、例えば、とりわけ、検査画像取得器420によって実施され得る。検査画像は、ステップS830において設定された着地エネルギーを使用して取得することができる。
【0088】
[0097] 上で論じたように、着地エネルギーを中性着地エネルギーE又はEに設定することは、例えば、検査要件、制限などに起因して許容されない場合があるか、又は推定した中性着地エネルギーE若しくはEが正確でない場合がある。従って、着地エネルギーがステップS830において設定された状態では、電荷は、検査中に依然としてサンプル上に蓄積する可能性があり、サンプルから撮影された検査画像は、依然として歪みを有する可能性がある。
【0089】
[0098] 本開示の実施形態によれば、本方法は、ステップS850を更に含むことができる。ステップS850において、画像修正を実施して電荷蓄積効果を補償することができる。いくつかの実施形態では、検査画像は、サンプルの検査画像に対応する基準画像を参照することにより修正することができる。例えば、基準画像を、ステップS840において取得された検査画像と比較することができ、比較に基づいて、検査画像上の誤差を修正することができる。ここでは、基準画像は、サンプル全体にわたる画像であり得る。
【0090】
[0099] いくつかの実施形態では、検査画像に所定のオフセットを適用することにより、検査画像を修正することができる。所定のオフセットは、複数の実験から得ることができる。いくつかの実施形態では、複数の実験的検査画像を、ステップS830において設定された着地エネルギーを用いて撮影することができ、実験的検査画像ごとの誤差量(例えば、歪み量又は変位量)を例えば基準画像との比較により決定することができる。複数の実験的検査の誤差量の平均に基づいてオフセットを決定することができる。いくつかの実施形態では、処理時間及びリソースを減らすために、各実験的検査画像をサンプルのごく一部について得ることができる。
【0091】
[00100] 本開示の態様は、以下の番号付けされた条項に記載される。
1.荷電粒子ビーム検査システムにおいて検査画像を向上させる方法であって、
異なる着地エネルギーにおいて得られる、サンプルの複数のテスト画像を取得することと、
複数のテスト画像の歪みレベルを決定することと、
歪みレベルに基づいて、検査中にサンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することと、
決定された着地エネルギーレベルに基づいて検査画像を取得することと、
を含む、方法。
2.検査画像に対応する基準画像に基づいて検査画像を修正することを更に含む、条項1に記載の方法。
3.サンプルの取得された複数のテスト画像の各々は、サンプルの複数のテスト領域のうちのテスト領域に対応する、条項1又は2に記載の方法。
4.複数のテスト画像の歪みレベルを決定することは、複数のテスト画像のうちの第1のテスト画像の第1の歪みレベルを、第1のテスト画像に対応する第1の基準画像に基づいて決定することを含む、条項1~3の何れか一項に記載の方法。
5.第1の歪みレベルは、第1のテスト画像が拡大しているか又は縮小しているかどうかを示す情報を含む、条項4に記載の方法。
6.第1の歪みレベルは、第1のテスト画像上のフィーチャと、第1の基準画像上の対応するフィーチャと、の間の変位に基づく第1の歪み量を含む、条項4に記載の方法。
7.サンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することは、歪みレベルに基づいて、歪み量がゼロになることを可能にする着地エネルギーレベルを推定することを含む、条項1~6の何れか一項に記載の方法。
8.第1の歪みレベルを決定することは、第1のテスト画像上の2つのフィーチャの第1の距離と、第1の基準画像上の対応する2つのフィーチャの第2の距離と、の間の比較に基づく、条項4に記載の方法。
9.複数のテスト領域の各々は、複数のフィーチャを含む、条項3に記載の方法。
10.検査画像に所定のオフセットを適用することにより、検査画像を修正することを更に含む、条項1に記載の方法。
11.所定のオフセットは、決定された着地エネルギーレベルに基づいて取得される、サンプルの一部に対応する実験的検査画像の誤差量に基づいて決定される、条項10に記載の方法。
12.命令セットを格納するメモリと、
命令セットを実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を含む画像向上装置であって、
命令セットは、装置に、
異なる着地エネルギーにおいて得られる、サンプルの複数のテスト画像を取得することと、
複数のテスト画像の歪みレベルを決定することと、
歪みレベルに基づいて、検査中にサンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することと、
決定された着地エネルギーレベルに基づいて検査画像を取得することと、
を実施させる、画像向上装置。
13.少なくとも1つのプロセッサは、命令セットを実行して、装置に、
検査画像に対応する基準画像に基づいて検査画像を修正することを更に実施させるように構成される、条項12に記載の装置。
14.サンプルの取得された複数のテスト画像の各々は、サンプルの複数のテスト領域のうちのテスト領域に対応する、条項12又は13に記載の装置。
15.複数のテスト画像の歪みレベルを決定することは、複数のテスト画像のうちの第1のテスト画像の第1の歪みレベルを、第1のテスト画像に対応する第1の基準画像に基づいて決定することを含む、条項12~14の何れか一項に記載の装置。
16.第1の歪みレベルは、第1のテスト画像が拡大しているか又は縮小しているかどうかを示す情報を含む、条項15に記載の装置。
17.第1の歪みレベルは、第1のテスト画像上のフィーチャと、第1の基準画像上の対応するフィーチャと、の間の変位に基づく第1の歪み量を含む、条項15に記載の装置。
18.サンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することは、歪みレベルに基づいて、歪み量がゼロになることを可能にする着地エネルギーレベルを推定することを含む、条項13~17の何れか一項に記載の装置。
19.画像を向上させる方法を実施するために、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令セットを格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、方法は、
異なる着地エネルギーにおいて得られる、サンプルの複数のテスト画像を取得することと、
複数のテスト画像の歪みレベルを決定することと、
歪みレベルに基づいて、検査中にサンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することと、
決定された着地エネルギーレベルに基づいて検査画像を取得することと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
20.命令セットは、検査画像に対応する基準画像に基づいて検査画像を修正することを更に実施するために、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能である、条項19に記載のコンピュータ可読媒体。
21.サンプルの取得された複数のテスト画像の各々は、サンプルの複数のテスト領域のうちのテスト領域に対応する、条項19又は20に記載のコンピュータ可読媒体。
22.複数のテスト画像の歪みレベルを決定することは、複数のテスト画像のうちの第1のテスト画像の第1の歪みレベルを、第1のテスト画像に対応する第1の基準画像に基づいて決定することを含む、条項19~21の何れか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
23.第1の歪みレベルは、第1のテスト画像が拡大しているか又は縮小しているかどうかを示す情報を含む、条項22に記載のコンピュータ可読媒体。
24.第1の歪みレベルは、第1のテスト画像上のフィーチャと、第1の基準画像上の対応するフィーチャと、の間の変位に基づく第1の歪み量を含む、条項22に記載のコンピュータ可読媒体。
25.サンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することは、歪みレベルに基づいて、歪み量がゼロになることを可能にする着地エネルギーレベルを推定することを含む、条項19~24の何れか一項に記載のコンピュータ可読媒体。
26.荷電粒子ビーム検査システムにおいて最適着地エネルギーを特定する方法であって、
異なる着地エネルギーにおいて得られる、サンプルの複数のテスト画像を取得することと、
複数のテスト画像の歪みレベルを決定することであって、第1のテスト画像と、第1のテスト画像に対応する第1の基準画像と、を第1のテスト画像と第1の基準画像とにおけるフィーチャの位置に基づいて比較することを含むことと、
歪みレベルに基づいて、検査中にサンプルが中性電荷状態になることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することと、
を含む、方法。
27.決定された着地エネルギーレベルに基づいて得られた検査画像を、検査画像に対応する基準画像に基づいて修正することを更に含む、条項26に記載の方法。
28.検査画像に所定のオフセットを適用することにより、検査画像を修正することを更に含む、条項26に記載の方法。
29.サンプルの取得された複数のテスト画像の各々は、サンプルの複数のテスト領域のうちのテスト領域に対応する、条項26~28の何れか一項に記載の方法。
30.荷電粒子ビーム検査システムにおいて検査画像を向上させる方法であって、
サンプルの第1のテスト画像及び第2のテスト画像を取得することであって、第1のテスト画像及び第2のテスト画像は、異なる着地エネルギーで得られることと、
第1のテスト画像の第1の歪みレベル及び第2のテスト画像の第2の歪みレベルを決定することと、
サンプルを検査するときの歪みレベルが実質的にゼロになることを可能にする着地エネルギーレベルを決定することであって、第1の歪みレベル、第2の歪みレベル及び異なる着地エネルギーに基づくことと、
決定された着地エネルギーレベルに基づいて検査画像を取得することと、
を含む、方法。
31.着地エネルギーレベルを決定することは、第1の歪みレベル、第2の歪みレベル及び異なる着地エネルギーに基づいて補間を実施することを含む、条項30に記載の方法。
32.検査画像に対応する基準画像に基づいて検査画像を修正することを更に含む、条項30又は31に記載の方法。
33.検査画像に所定のオフセットを適用することにより、検査画像を修正することを更に含む、条項30又は31に記載の方法。
【0092】
[00101] コントローラ(例えば、図1のコントローラ50)のプロセッサが、中でもとりわけ、画像検査、画像取得、ステージ位置決め、ビーム集束、電界調整、ビーム曲げ、コンデンサーレンズ調整、荷電粒子源の活性化、ビーム偏向及び方法800を実施するための命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体が提供され得る。非一時的な媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ又は他の任意の磁気データ記憶媒体、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、他の任意の光データ記憶媒体、ホールのパターンを有する任意の物理的な媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラム可能読み取り専用メモリ(PROM)、消去型プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、フラッシュEPROM又は他の任意のフラッシュメモリ、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ又はカートリッジ及びそれらのネットワーク接続バージョンを含む。
【0093】
[00102] 本開示の実施形態は、上記で説明し、添付の図面で示した通りの構造に限定されないことと、その範囲から逸脱することなく、様々な修正形態及び変更形態がなされ得ることとが理解されるであろう。本開示は、様々な実施形態と関連付けて説明されており、本明細書で開示される本発明の仕様及び実践を考慮することから、本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。仕様及び例は、単なる例示と見なされ、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【0094】
[00103] 上記の説明は、限定ではなく、例示を意図する。従って、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、説明されるように修正形態がなされ得ることが当業者に明らかであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8