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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】半導体レーザ装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/022 20210101AFI20240219BHJP
【FI】
H01S5/022
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019150572
(22)【出願日】2019-08-20
(65)【公開番号】P2021034450
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】小川 尚史
(72)【発明者】
【氏名】市川 将嗣
(72)【発明者】
【氏名】高野 哲至
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-222726(JP,A)
【文献】特表2018-526316(JP,A)
【文献】特開2012-073416(JP,A)
【文献】特開2010-272641(JP,A)
【文献】特開2015-111661(JP,A)
【文献】国際公開第2018/100868(WO,A1)
【文献】特開2011-119699(JP,A)
【文献】国際公開第2013/140432(WO,A1)
【文献】特開平09-138326(JP,A)
【文献】特開昭63-121829(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0170629(US,A1)
【文献】特開2006-245136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体の上面に接合された半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子の光出射面に直接接合され、無機材料からなる透光性部材と、
を備え、
前記光出射面側から見て、前記透光性部材は前記半導体レーザ素子の発光領域よりも大きく、前記透光性部材は前記支持体の端面にも直接接合されており、
前記光出射面及び前記端面は連続した平坦面を構成している半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記半導体レーザ素子と前記透光性部材との間には、厚さが1nm以下の金属含有層が形成されている請求項記載の半導体レーザ装置。
【請求項3】
支持体と、
前記支持体の上面に接合された半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子の光出射面に直接接合され、無機材料からなる透光性部材と、
を備え、
前記半導体レーザ素子と前記透光性部材との間には、前記半導体レーザ素子の材料を含む第1非晶質層と、前記透光性部材の材料を含む第2非晶質層とが形成されており、前記第1非晶質層は前記第2非晶質層に接しており、
前記光出射面側から見て、前記透光性部材は前記半導体レーザ素子の発光領域よりも大きく、前記透光性部材は前記支持体の端面にも直接接合されている半導体レーザ装置。
【請求項4】
支持体と、
前記支持体に接合された半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子の光出射面に直接接合され、無機材料からなる透光性部材と、
を備え、
前記半導体レーザ素子と前記透光性部材との間には、前記半導体レーザ素子の材料を含む第1非晶質層と、前記透光性部材の材料を含む第2非晶質層とが形成されており、前記第1非晶質層は前記第2非晶質層に接している半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記半導体レーザ素子は、ガリウム及び窒素を含む請求項1~のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
【請求項6】
前記半導体レーザ素子は、レーザダイオードである請求項1~のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
【請求項7】
前記半導体レーザ素子は、半導体光増幅器である請求項1~のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
【請求項8】
前記半導体レーザ素子の光入射面に直接接合され、無機材料からなる他の透光性部材をさらに備えた請求項記載の半導体レーザ装置。
【請求項9】
前記光入射面側から見て、前記他の透光性部材は前記半導体レーザ素子の発光領域よりも大きく、前記他の透光性部材は前記支持体の端面にも直接接合されている請求項記載の半導体レーザ装置。
【請求項10】
前記半導体レーザ素子は、
素子本体部と、
前記素子本体部の表面に形成され、前記他の透光性部材の光出射面に直接接合された光学膜と、
を有する請求項またはに記載の半導体レーザ装置。
【請求項11】
前記他の透光性部材は、
部材本体部と、
前記部材本体部の表面に形成され、前記半導体レーザ素子に直接接合された光学膜と、
を有する請求項10のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
【請求項12】
前記半導体レーザ素子は、
素子本体部と、
前記素子本体部の表面に形成され、前記透光性部材に直接接合された光学膜と、
を有する請求項1~のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
【請求項13】
前記透光性部材は、
部材本体部と、
前記部材本体部の表面に形成され、前記半導体レーザ素子に直接接合された光学膜と、
を有する請求項1~12のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
【請求項14】
前記透光性部材は、光ファイバーである請求項1~13のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
【請求項15】
前記透光性部材は、レンズである請求項1~13のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
【請求項16】
前記透光性部材は、回折光学素子である請求項1~13のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
【請求項17】
前記透光性部材は、レーザーゲイン媒質である請求項1~13のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
【請求項18】
前記透光性部材は、非線形光学結晶である請求項1~13のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
【請求項19】
半導体レーザ素子を支持体の上面に接合する工程と、
前記半導体レーザ素子の光出射面及び前記支持体の端面を含む第1面を平坦化する工程と、
前記平坦化した第1面に無機材料からなる透光性部材を直接接合する工程と、
を備えた半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項20】
前記平坦化する工程は、前記第1面を研磨する工程を有する請求項19記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項21】
前記平坦化する工程は、前記第1面に光学膜を形成する工程を有する請求項19記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項22】
前記直接接合は固相接合である請求項1921のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項23】
前記直接接合は原子拡散接合である請求項1922のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項24】
前記直接接合は表面活性化接合である請求項1922のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項25】
半導体レーザ素子を支持体に接合する工程と、
前記半導体レーザ素子の光出射面を含む第1面を平坦化する工程と、
前記平坦化した第1面に無機材料からなる透光性部材を固相接合する工程と、
を備えた半導体レーザ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体レーザ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザダイオード(Laser Diode:LD)又は半導体光増幅器等の半導体レーザ素子と、レンズ等の透光性部材を組み合わせた半導体レーザ装置が開発されている。このような半導体レーザ装置においては、半導体レーザ素子の光出射面が光集塵により汚染されて、レーザ光の出力が低下する問題がある。特許文献1には、半導体レーザ素子と透光性部材との間にシリコーンオイルを充填し、これを変性させることにより、半導体レーザ素子の光出射面における光集塵を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-003889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、光学特性が精度よく制御された半導体レーザ装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る半導体レーザ装置は、支持体と、前記支持体に接合された半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子の光出射面に直接接合され、無機材料からなる透光性部材と、を備える。
【0006】
本発明の一実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法は、半導体レーザ素子を支持体に接合する工程と、前記半導体レーザ素子の光出射面を含む第1面を平坦化する工程と、前記平坦化した第1面に無機材料からなる透光性部材を直接接合する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
実施形態によれば、光学特性が精度良く制御された半導体レーザ装置及びその製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
図3】第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の半導体レーザ素子と透光性部材の接合面を示す一部拡大断面図である。
図4A】第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す図である。
図4B】第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す図である。
図4C】第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す図である。
図4D】第1の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す図である。
図4E】第1の実施形態に係る半導体レーザ装置において、保護部材を設けた例を示す斜視図である。
図5】第2の実施形態に係る半導体レーザ装置の半導体レーザ素子と透光性部材の接合面を示す一部拡大断面図である。
図6A】第2の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す図である。
図6B】第2の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す図である。
図7】第3の実施形態に係る半導体レーザ装置の半導体レーザ素子と透光性部材の接合面を示す一部拡大断面図である。
図8A】第3の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す図である。
図8B】第3の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す図である。
図9】第4の実施形態に係る半導体レーザ装置の半導体レーザ素子と透光性部材の接合面を示す一部拡大断面図である。
図10】第5の実施形態に係る半導体レーザ装置の半導体レーザ素子と透光性部材の接合面を示す一部拡大断面図である。
図11】第6の実施形態に係る半導体レーザ装置の半導体レーザ素子と透光性部材の接合面を示す一部拡大断面図である。
図12】第7の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す斜視図である。
図13】第7の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
図14】第8の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
図15】第9の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
図16】第10の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
図17】第11の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
図18】第12の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ装置1は、支持体41と、支持体41に接合された半導体レーザ素子21と、半導体レーザ素子21の光出射面21aに直接接合され、無機材料からなる透光性部材31と、を有する。
【0010】
支持体41は、半導体レーザ素子21を搭載可能な上面41aを持つ部材である。支持体41の熱膨張率は、半導体レーザ素子21の熱膨張率に近いことが好ましい。半導体レーザ素子21がGaN系半導体材料により形成されている場合は、支持体41は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)若しくは酸化アルミニウム(AlO)等の絶縁材料、シリコン(Si)、炭化シリコン(SiC)若しくはダイヤモンド(C)等の半導体材料、又は、銅(Cu)等の導電材料によって形成することができる。支持体41には、半導体レーザ素子21に電力を供給する配線が設けられていてもよい。
【0011】
半導体レーザ素子21は、支持体41の上面41aに設けられ、支持体41に対して固定されている。半導体レーザ素子21は、例えばレーザダイオード(LD)である。半導体レーザ素子21は、例えば、一般式が、InAlGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で示され、ガリウム及び窒素を含む窒化ガリウム系化合物半導体によって形成することができる。当該一般式で示される具体的な半導体としては、例えば、GaN、AlGaN、InGaN、AlGaInN等が挙げられる。半導体レーザ素子21は、光出射面21aからレーザ光100を出射する。半導体レーザ素子21の光出射面21a及び支持体41の端面41bは、連続した平坦面を構成している。言い換えると、光出射面21aと端面41bの間には段差がなく、面一とされている。
【0012】
透光性部材31は無機材料からなり、例えば、ガラス、石英、サファイア又はダイアモンドを含んでいてもよい。本実施形態においては、透光性部材31の機能及び形状は特に限定しない。例えば、透光性部材31は、半導体レーザ素子21から出射したレーザ光100に対して所定の光学的効果を加える光学部材であってもよい。後述する他の実施形態において説明するように、例えば、透光性部材31は凸レンズ若しくは凹レンズ、回折格子、又は光ファイバー等の所定の形状を有し、レーザ光100の波面や経路を制御してもよい。
【0013】
半導体レーザ素子21の光出射面21a側から見て、透光性部材31は半導体レーザ素子21の光出射面21aの発光領域よりも大きい。半導体レーザ素子21の光出射面21a及び支持体41の端面41bは、透光性部材31の光入射面31aに直接接合されている。
【0014】
直接接合には、固相接合及び液相接合があり、固相接合には、原子拡散接合(Atomic Diffusion Bonding:ADB)及び表面活性化接合(Surface Activated Bonding:SAB)等、いくつかの方法があるが、半導体レーザ素子21の光出射面21a及び支持体41の端面41bと透光性部材31は、いずれの方法によって直接接合されていてもよい。本実施形態においては、原子拡散接合(ADB)によって直接接合されている例を説明する。
【0015】
図3に示すように、半導体レーザ素子21と透光性部材31との間には、金属含有層91が形成されている。後述するように、金属含有層91は、原子拡散接合によって半導体レーザ素子21と透光性部材31とを直接接合した結果、形成されたものである。金属含有層91は、半導体レーザ素子21の成分及び透光性部材31の成分に加えて、金属、例えば、アルミニウム(Al)を含有する。
【0016】
半導体レーザ素子21及び透光性部材31においては、原子が規則的に配列されており、単結晶を形成している。金属含有層91においては、原子の配列がやや乱れているが、乱れの程度は小さく、空隙は実質的に存在しない。金属含有層91の厚さtは、数原子層程度であり、例えば5nm以下であり、例えば1nm以下である。金属含有層91はレーザ光100の波長と比較して十分に薄いため、レーザ光100の特性には実質的に影響を及ぼさない。なお、例えば、透光性部材31をサファイアによって形成し、後述する金属層93a及び93bをアルミニウムによって形成した場合、半導体レーザ素子21から透光性部材31にかけて成分分析を行うと、金属含有層91に相当する領域においては、透光性部材31に相当する領域と比較して、(Al/O)比が若干高くなった。
【0017】
次に、本実施形態に係る半導体レーザ装置1の製造方法について説明する。
本実施形態に係る半導体レーザ装置1の製造方法は、半導体レーザ素子21を支持体41に接合する工程と、半導体レーザ素子21の光出射面21aを含む第1面92を平坦化する工程と、平坦化した第1面92に無機材料からなる透光性部材31を直接接合する工程と、を備える。直接接合は、例えば、固相接合によって行い、例えば、原子拡散接合(ADB)によって行う。
【0018】
以下、より具体的に説明する。
先ず、図4Aに示すように、半導体レーザ素子21を支持体41の上面41aに接合する。接合方法は特に限定されず、例えば、接着剤を用いた接着でもよく、半田を用いた接合でもよく、これらを併用してもよい。
次に、図4Bに示すように、半導体レーザ素子21の光出射面21a及び支持体41の端面41bを含む第1面92を研磨する。これにより、第1面92を平坦化する。
【0019】
次に、図4Cに示すように、半導体レーザ素子21及び支持体41からなる構造体と、透光性部材31を、真空チャンバー201内に装入する。そして、真空チャンバー201内を排気して、真空にする。このとき、真空チャンバー201内の圧力は、5.0×10-7Pa以下とすることが好ましい。
【0020】
次に、平坦化した第1面92、及び、透光性部材31の光入射面31aに、金属を堆積させる。例えば、スパッタリング法により、アルミニウムを堆積させる。これにより、第1面92に金属層93aが形成されると共に、光入射面31aに金属層93bが形成される。金属層93a及び93bの厚さは、それぞれ、スパッタレート換算で0.05nm以上0.5nm以下とし、例えば、0.2nm程度とする。なお、図4C及び図4Dにおいて、金属層93a及び93bは実際よりも厚く描かれている。
【0021】
次に、図4Dに示すように、同じ真空チャンバー201内で、真空を破らずに、支持体41及び半導体レーザ素子21の第1面92と、透光性部材31の光入射面31aとを、金属層93a及び93bを介して当接させ、加圧する。これにより、金属層93a及び93bを構成する金属原子と、支持体41を構成する原子と、半導体レーザ素子21を構成する原子が相互に固相拡散し、金属層93a及び93bが金属含有層91に変化する。これにより、支持体41の端面41b及び半導体レーザ素子21の光出射面21aに、透光性部材31が原子拡散接合される。このようにして、本実施形態に係る半導体レーザ装置1が製造される。
【0022】
なお、半導体レーザ素子21に透光性部材31を直接接合した後、図4Eに示すように、半導体レーザ装置1の上面に保護部材51を設けてもよい。保護部材51は、半導体レーザ素子21の上面及び側面を覆い、外部雰囲気から半導体レーザ素子21を保護する。保護部材51は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はフッ素樹脂等の樹脂材料により形成することができる。
【0023】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る半導体レーザ装置1においては、半導体レーザ素子21の光出射面21aが透光性部材31の光入射面31aに直接接合されている。このため、光出射面21aが大気に曝されることがなく、光集塵を抑制できる。
【0024】
また、半導体レーザ素子21が透光性部材31に直接接合されているため、光出射面21aとの光入射面31aとの間に、反射率及び屈折率等の光学特性に影響を及ぼす部材が存在しない。このため、半導体レーザ装置1は、半導体レーザ素子21と透光性部材31の光学特性で定まるとおりの、波面、経路、出力及び波長等の特性をもつレーザ光100を得ることができる。言い換えると、半導体レーザ装置1は光学特性が精度よく制御されている。
【0025】
これに対して、仮に、透光性部材31を半導体レーザ素子21に接着剤層を介して接着すると、接着剤層がレーザ光100の特性に影響を及ぼす可能性がある。接着剤層の反射率及び屈折率等の光学特性を正確に見積もることは困難であるため、半導体レーザ装置の光学特性を設計どおりに実現することは困難である。例えば、接着剤層の屈折率分布の不均一性により、レーザ光の波面が歪む等の不具合が発生する場合がある。
【0026】
更に、本実施形態においては、半導体レーザ素子21を支持体41に接合した後、透光性部材31に直接接合している。これにより、直接接合時の加圧により、半導体レーザ素子21が破損することを抑制できる。また、半導体レーザ素子21を支持体41に接合してから研磨することにより、半導体レーザ素子21の光出射面21aを精度よく研磨して平坦化することができる。光出射面21a及び光入射面31aを原子レベルまで平坦化することにより、光出射面21aと光入射面31aとの距離が原子間距離に近くなり、直接接合が効果的に発生し、半導体レーザ素子21を透光性部材31に強固に接合することができる。
【0027】
なお、本実施形態においては、金属層93a及び93bをアルミニウムにより形成する例を示したが、これには限定されない。金属層93a及び93bには、一般的な光学薄膜に使用される材料が使用可能である。例えば、金属層93a及び93bの材料には、アルミニウム(Al)、金(Au)、チタン(Ti)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、セリウム(Ce)、及び、クロム(Cr)からなる群より選択された1種以上の金属を使用可能である。また、固相接合の際には、必要に応じて、熱処理を施してもよい。
【0028】
<第2の実施形態>
本実施形態に係る半導体レーザ装置2の基本的な構成は、第1の実施形態に係る半導体レーザ装置1の構成と同様である。本実施形態においては、透光性部材31が、半導体レーザ素子21の光出射面21aに、表面活性化接合(SAB)によって直接接合されている。
【0029】
図5に示すように、半導体レーザ素子21と透光性部材31との間には、半導体レーザ素子21の材料からなる第1非晶質層94aと、透光性部材31の材料からなる第2非晶質層94bとが形成されており、第1非晶質層94aは第2非晶質層94bに接している。第1非晶質層94a及び第2非晶質層94bの厚さは、それぞれ、数nm程度である。
【0030】
次に、本実施形態に係る半導体レーザ装置2の製造方法について説明する。
先ず、図4A及び図4Bに示す工程を実施する。
【0031】
次に、図6Aに示すように、半導体レーザ素子21及び支持体41からなる構造体と、透光性部材31を、真空チャンバー202内に装入する。そして、真空チャンバー202内を排気して、真空にする。
【0032】
次に、平坦化した第1面92、及び、透光性部材31の光入射面31aに、不活性ガス、例えば、アルゴンガス(Ar)をイオン注入する。これにより、第1面92及び光入射面31aが活性化する。この結果、半導体レーザ素子21の光出射面21aに第1非晶質層94aが形成されると共に、透光性部材31の光入射面31aに第2非晶質層94bが形成される。
【0033】
次に、図6Bに示すように、同じ真空チャンバー202内で、真空を破らずに、第1非晶質層94aと第2非晶質層94bとを接触させて、加圧する。これにより、活性化した第1非晶質層94aと第2非晶質層94bとが表面活性化接合され、透光性部材31が支持体41及び半導体レーザ素子21に直接接合される。このようにして、本実施形態に係る半導体レーザ装置2が製造される。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0034】
<第3の実施形態>
図7に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ装置3においては、半導体レーザ素子21に、素子本体部21c及び光学膜21dが設けられている。光学膜21dは、素子本体部21cの表面に形成されており、半導体レーザ素子21の光出射面21aを構成する。したがって、透光性部材31は、半導体レーザ素子21の光学膜21dに直接接合されている。直接接合は、例えば、原子拡散接合(ADB)であり、光学膜21dと透光性部材31との間に、金属含有層91が形成されている。すなわち、半導体レーザ装置3においては、レーザ光100の経路に沿って、半導体レーザ素子21の素子本体部21c、光学膜21d、金属含有層91及び透光性部材31がこの順に配列されている。
【0035】
光学膜21dは、光出射面21aの平坦化のために設けられており、さらに、反射率の調整のために設けられる場合もある。光学膜21dがレーザ光100の波長に対して十分に薄い場合、例えば、光学膜21dの厚さが数nm以下の場合は、光学膜21dはレーザ光100に実質的に影響を及ぼさず、光出射面21aの平滑化のみに寄与する。一方、光学膜21dの厚さがレーザ光100の波長と同程度以上である場合は、平滑化と共に反射率の調整にも寄与する。この場合、光学膜21dは、例えば、半導体レーザ素子21及び透光性部材31に対して反射防止膜又は部分透過膜となる単層膜又は多層膜である。
【0036】
光学膜21dが単層膜である場合、光学膜21dの屈折率は、半導体レーザ素子21の素子本体部21cの屈折率及び透光性部材31の屈折率に近い値であることが好ましい。例えば、素子本体部21cが窒化ガリウム(GaN)により形成されている場合は、窒化ガリウムの屈折率は、その発光波長に対して、約2.4であるため、光学膜21dの屈折率は、窒化ガリウムの発光波長に対して、2.1以上2.8以下の範囲であることが好ましい。これにより、レーザ光100の反射率を0.5%程度に抑えることができる。光学膜21dの屈折率は、2.3以上2.6以下の範囲であることがより好ましい。光学膜21dの材料として、例えば、酸化チタン(TiO)を用いることができる。酸化チタンの屈折率は、窒化ガリウムの発光波長に対して、約2.5である。
【0037】
光学膜21dが多層膜である場合は、低屈折率層と高屈折率層を所定の周期で交互に積層させてもよい。これにより、各層の反射光を干渉させて、全体の反射率を調整することができる。各層の組成は、レーザ光100の波長、半導体レーザ素子21の素子本体部21cに対する付着性等を考慮して選択する。例えば、低屈折率層を酸化シリコン(SiO)により形成し、高屈折率層を酸化チタンにより形成することができる。酸化シリコンの屈折率は、窒化ガリウムの発光波長に対して、約1.5である。
【0038】
次に、本実施形態に係る半導体レーザ装置3の製造方法について説明する。
先ず、図8Aに示すように、支持体41の上面41aに半導体レーザ素子21の素子本体部21cを搭載する。このとき、支持体41の端面41bと素子本体部21cの光出射面21aが連続した第1面92を構成するようにする。なお、図4Bに示すように、第1面92を研磨してもよい。
【0039】
次に、図8Bに示すように、例えば、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)により、第1面92に光学膜21dを形成する。成膜後の表面粗さや段差に応じて、必要と判断された場合には、第1面92に対して、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)等の研磨処理を施す。これにより、第1面92が平坦化される。
【0040】
次に、図4C及び図4Dに示す工程を実施して、半導体レーザ素子21及び支持体41に透光性部材31を原子拡散接合(ADB)により直接接合する。このようにして、本実施形態に係る半導体レーザ装置3が製造される。
【0041】
本実施形態によれば、光学膜21dを形成し、必要に応じて研磨処理を施すことにより、半導体レーザ素子21の光出射面21aを高精度に平坦化することができる。また、光学膜21dの設計によっては、半導体レーザ素子21と透光性部材31との間の反射率を調整することができる。この結果、半導体レーザ装置3の光学特性の設計の自由度及び調整の精度が向上する。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0042】
<第4の実施形態>
図9に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ装置4においては、透光性部材31に、部材本体部31c及び光学膜31dが設けられている。光学膜31dは、部材本体部31cの表面に形成されており、透光性部材31の光入射面31aを構成する。したがって、半導体レーザ素子21及び支持体41は、透光性部材31の光学膜31dに直接接合されている。直接接合は、例えば、原子拡散接合(ADB)であり、半導体レーザ素子21及び支持体41と光学膜31dとの間に、金属含有層91が形成されている。すなわち、半導体レーザ装置4においては、レーザ光100の経路に沿って、半導体レーザ素子21、金属含有層91、光学膜31d及び部材本体部31cがこの順に配列されている。
【0043】
光学膜31dの構成及び機能は、第3の実施形態における光学膜21dの構成及び機能と同様である。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
【0044】
<第5の実施形態>
本実施形態は、前述の第3の実施形態と第4の実施形態を組み合わせた例である。すなわち、本実施形態に係る半導体レーザ装置5においては、光学膜は半導体レーザ素子21と透光性部材31の双方に設けられている。
【0045】
図10に示すように、半導体レーザ素子21には素子本体部21c及び光学膜21dが設けられており、透光性部材31には部材本体部31c及び光学膜31dが設けられており、光学膜21dが光学膜31dに直接接合されている。これにより、光学膜21dと光学膜31dの間には金属含有層91が形成されている。したがって、レーザ光100の経路に沿って、半導体レーザ素子21の素子本体部21c、光学膜21d、金属含有層91、透光性部材31の光学膜31d及び部材本体部31cが、この順に配列されている。
【0046】
本実施形態によれば、半導体レーザ素子21及び透光性部材31の双方に光学膜を設けることにより、半導体レーザ素子21の光出射面21a及び透光性部材31の光入射面31aの双方をより平滑化することができる。この結果、半導体レーザ装置5の光学特性をより向上させることができる。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
【0047】
<第6の実施形態>
図11に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ装置6は、第5の実施形態に係る半導体レーザ装置5と比較して、半導体レーザ素子21と透光性部材31との直接接合を、表面活性化接合(SAB)によって行っている点が異なっている。このため、半導体レーザ装置6においては、金属含有層91は形成されておらず、半導体レーザ素子21の光学膜21dには第1非晶質層94aが形成されており、透光性部材31の光学膜31dには第2非晶質層94bが形成されている。第1非晶質層94aは第2非晶質層94bに接している。第1非晶質層94aは光学膜21dの材料からなり、第2非晶質層94bは光学膜31dの材料からなる。本実施形態に係る半導体レーザ装置6の製造方法は、第2の実施形態と同様である。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、第5の実施形態と同様である。
【0048】
<第7の実施形態>
図12及び図13に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ装置7においては、支持体41上に半導体レーザ素子22が設けられている。半導体レーザ素子22は、半導体光増幅器である。半導体レーザ素子22は、光入射面22bに入射したレーザ光101を増幅して、光出射面22aからレーザ光102を出射する。半導体レーザ素子22の光出射面22aは支持体41の端面41bと連続した平坦面を構成しており、半導体レーザ素子22の光入射面22bは支持体41の端面41cと連続した平坦面を構成している。支持体41の端面41bと端面41cとは、相互に反対側に位置している。
【0049】
また、半導体レーザ装置7においては、透光性部材31及び32が設けられている。透光性部材32は無機材料からなり、その組成は例えば、透光性部材31と同様である。本実施形態においては、透光性部材32の機能及び形状は特に限定しないが、例えば、第1の実施形態において説明した透光性部材31の機能及び形状と同様である。透光性部材32の組成、機能及び形状は、透光性部材31の組成、機能及び形状と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0050】
半導体レーザ素子22の光出射面22a及び支持体41の端面41bは、透光性部材31の光入射面31aに直接接合されている。また、半導体レーザ素子22の光入射面22b及び支持体41の端面41cは、透光性部材32の光出射面32aに直接接合されている。直接接合の方法は特に限定されず、例えば、固相接合であってもよく、例えば、原子拡散接合(ADB)又は表面活性化接合(SAB)であってもよい。半導体レーザ素子22の光出射面22a及び光入射面22b、並びに、支持体41の端面41b及び端面41cの平坦化の方法も特に限定されず、例えば、研磨又は光学膜の形成であってもよい。
【0051】
半導体レーザ素子22の光出射面22a側から見て、透光性部材31は半導体レーザ素子22の光出射面22aの発光領域よりも大きい。また、半導体レーザ素子22の光入射面22b側から見て、透光性部材32は半導体レーザ素子22の光入射面22bの発光領域よりも大きい。なお、「発光領域」とは、レーザ光101の光束が通過する領域である。
【0052】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る半導体レーザ装置7においては、半導体レーザ素子22の光入射面22bが透光性部材32の光出射面32aに光学的に結合されている。このため、透光性部材32から半導体レーザ素子22にレーザ光101を導入することができる。半導体レーザ素子22は、入射したレーザ光101を増幅して、光出射面22aからレーザ光102を出射する。
【0053】
また、透光性部材32の光出射面32aにおけるレーザ光101が出射する領域は、半導体レーザ素子22に直接接合されている。このため、この領域が大気に曝されることがない。このため、光集塵を抑制できる。
【0054】
更に、半導体レーザ素子22が透光性部材32に直接接合されているため、透光性部材32の光出射面32aと半導体レーザ素子22の光入射面22bとの間に、反射率及び屈折率等の光学特性に影響を及ぼす部材が存在しない。このため、半導体レーザ素子22と透光性部材32の光学特性で定まるとおりの、波面、経路、出力及び波長等の特性をもつレーザ光101を半導体レーザ素子22に入射させることができ、半導体レーザ素子22から、半導体レーザ素子22と透光性部材33の光学特性で定まるとおりの、波面、経路、出力及び波長等の特性をもつレーザ光102を出射させることができる。したがって、半導体レーザ装置7は、光学特性が精度よく制御されている。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0055】
<第8の実施形態>
図14に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ装置8においては、半導体レーザ素子22の出力側に透光性部材33が設けられており、半導体レーザ素子22の入力側に透光性部材39が設けられている。透光性部材33及び39は、凸レンズである。透光性部材33の光入射面33aは、支持体41の端面41b及び半導体レーザ素子22の光出射面22aに直接接合されている。透光性部材39の光出射面39aは、支持体41の端面41c及び半導体レーザ素子22の光入射面22bに直接接合されている。半導体レーザ素子22は、第7の実施形態において説明したように、半導体光増幅器である。直接接合は、例えば、原子拡散接合(ADB)又は表面活性化接合(SAB)である。
【0056】
本実施形態によれば、凸レンズである透光性部材39によって集光したレーザ光101を、波面や経路等が精度良く制御された状態で、半導体レーザ素子22に入射させることができる。また、半導体レーザ素子22から出力したレーザ光102を、凸レンズである透光性部材33によって集光することができる。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、第7の実施形態と同様である。なお、透光性部材として凹レンズ又はプリズムを設けてもよい。
【0057】
<第9の実施形態>
図15に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ装置9においては、半導体レーザ素子22の出力側に、透光性部材34が設けられている。透光性部材34は、回折格子34cが設けられた回折光学素子(Diffractive Optical Elements:DOE)である。透光性部材34の光入射面34aは、支持体41の端面41b及び半導体レーザ素子22の光出射面22aに直接接合されている。
【0058】
本実施形態によれば、半導体レーザ素子22から出力したレーザ光102を、回折格子34cが設けられた透光性部材34によって回折させて、種々のパターンにモード整形することができる。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、第7の実施形態と同様である。
【0059】
<第10の実施形態>
図16に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ装置10においては、半導体レーザ素子22の出力側に、透光性部材35が設けられている。透光性部材35は、レーザーゲイン媒質である。レーザーゲイン媒質は、例えば、チタンサファイア結晶又は希土類ドープガラスや希土類ドープ固体単結晶等である。透光性部材35の光入射面35aは、支持体41の端面41b及び半導体レーザ素子22の光出射面22aに直接接合されている。
【0060】
本実施形態によれば、半導体レーザ素子22から出力したレーザ光102によって、レーザーゲイン媒質である透光性部材35を励起し、発光させることができる。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、第7の実施形態と同様である。
【0061】
<第11の実施形態>
図17に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ装置11においては、半導体レーザ素子22の出力側に、透光性部材36が設けられている。透光性部材36は、非線形光学結晶である。非線形光学結晶は、例えば、BBO(ベータホウ酸バリウム:β-BaB)結晶又はLiNbO結晶等である。透光性部材36の光入射面36aは、支持体41の端面41b及び半導体レーザ素子22の光出射面22aに直接接合されている。
【0062】
本実施形態によれば、半導体レーザ素子22から出力したレーザ光102を、非線形光学結晶である透光性部材36によって波長変換することができる。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、第7の実施形態と同様である。
【0063】
<第12の実施形態>
図18に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ装置12においては、半導体レーザ素子22の入力側及び出力側に、それぞれ、透光性部材37及び透光性部材38が設けられている。透光性部材37及び38は光ファイバーである。光ファイバーである透光性部材37の光入射面37aは、半導体レーザ素子22の光出射面22aに直接接合されている。光ファイバーである透光性部材38の光出射面38aは、半導体レーザ素子22の光入射面22bに直接接合されている。
【0064】
透光性部材37は光出射面22aにおけるレーザ光102が出射する領域に直接接合されていればよく、光出射面22a側から見て、透光性部材37は半導体レーザ素子22よりも小さくてもよい。また、透光性部材38は、透光性部材38内を伝播したレーザ光101が半導体レーザ素子22に確実に入射するような位置に接合されていればよく、光入射面22b側から見て、透光性部材38は半導体レーザ素子22よりも小さくてもよい。
【0065】
本実施形態によれば、光ファイバーである透光性部材38内を伝播したレーザ光101が、半導体レーザ素子22に入射する。そして、半導体レーザ素子22がレーザ光101を増幅してレーザ光102を生成する。半導体レーザ素子22から出射したレーザ光102は、光ファイバーである透光性部材37に入射し、透光性部材37内を伝播する。本実施形態における上記以外の構成、製造方法及び効果は、第7の実施形態と同様である。
【0066】
前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。前述の各実施形態においては、半導体レーザ素子がLD又は半導体光増幅器である例を示したが、本発明はこれには限定されない。直接接合の方法も、原子拡散接合(ADB)及び表面活性化接合(SAB)には限定されず、例えば、プラズマ活性化接合等の他の方法でもよい。透光性部材の例も、前述の各実施形態において例示した形態には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、例えば、車載用照明装置、ディスプレイ装置及びプロジェクタ装置等の光源に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12:半導体レーザ装置
21、22:半導体レーザ素子
21a、22a:光出射面
21b、22b:光入射面
21c:素子本体部
21d:光学膜
31、32、33、34、35、36、37、38、39:透光性部材
31a、33a、34a、35a、36a、37a:光入射面
32a、38a:光出射面
31c:部材本体部
31d:光学膜
34c:回折格子
41:支持体
41a:上面
41b、41c:端面
51:保護部材
91:金属含有層
92:第1面
93a、93b:金属層
94a、94b:非晶質層
100、101、102:レーザ光
201、202:真空チャンバー
t:厚さ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18