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特許74385465’位修飾ヌクレオシドおよびそれを用いたヌクレオチド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】5’位修飾ヌクレオシドおよびそれを用いたヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C07H 21/04 20060101AFI20240219BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240219BHJP
【FI】
C07H21/04 A
C07H21/04 B
C07H21/04 Z
C12N15/113 Z ZNA
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020572243
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2020005095
(87)【国際公開番号】W WO2020166551
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2019023514
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業「毒性ゼロに向けた革新的核酸医薬プラットフォーム構築-デュアル修飾型人工核酸の創製・探索・評価-」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(72)【発明者】
【氏名】小比賀 聡
(72)【発明者】
【氏名】山口 卓男
(72)【発明者】
【氏名】羽渕 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴雄
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徳幸
(72)【発明者】
【氏名】イスラム,エムディー アリフ
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-506701(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0156792(US,A1)
【文献】特表2005-506842(JP,A)
【文献】KEL'IN,A.V. et al,Structural Basis of Duplex Thermodynamic Stability and Enhanced Nuclease Resistance of 5'-C-Methyl P,Journal of Organic Chemistry,2016年,Vol.81, No.6,pp.2261-2279
【文献】HASSAN,A.E. et al,6-Methylpurine derived sugar modified nucleosides: Synthesis and evaluation of their substrate activ,Bioorganic Chemistry,2016年,Vol.65, No.1,pp.9-16,Abstract, Fig.1, Table 1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)で表される化合物またはその塩:
【化1】
(式中、
BaseおよびBaseはそれぞれ独立して、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、およびハロゲン原子からなり、
Gはシアノ基またはニトロ基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基を表す]を表し、
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
は水素原子でありかつRは水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12[式中、R12は水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
およびRは一緒になって以下の式:
【化2】
[式中、
21は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22およびR23は一緒になって、-(CHq1-[式中、q1は2から5の整数である]を表し;
24およびR25は、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24およびR25は一緒になって、=C(R36)R37[式中、R36およびR37は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26およびR27は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29は、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31、R32、およびR33は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34およびR35は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
mは0から2の整数であり;
nは0から1の整数であり;
pは0から1の整数であり;
は、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
は酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
10は水素原子でありかつR11は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12b[式中、R12bは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
10およびR11は一緒になって以下の式:
【化3】
[式中、
21bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22bおよびR23bは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22bおよびR23bは一緒になって、-(CHq2-[式中、q2は2から5の整数である]を表し;
24bおよびR25bは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24bおよびR25bは一緒になって、=C(R36b)R37b[式中、R36bおよびR37bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26bおよびR27bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29bは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31b、R32b、およびR33bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34bおよびR35bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m’は0から2の整数であり;
n’は0から1の整数であり;
p’は0から1の整数であり;
1bは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2bは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
は単結合であるか、または以下の式:
【化4】
[式中、
Baseは、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、
はシアノ基またはニトロ基であり、
13は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
14は水素原子でありかつR15は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12c[式中、R12cは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
14およびR15は一緒になって以下の式:
【化5】
[式中、
21cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22cおよびR23cは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22cおよびR23cは一緒になって、-(CHq3-[式中、q3は2から5の整数である]を表し;
24cおよびR25cは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24cおよびR25cは一緒になって、=C(R36c)R37c[式中、R36cおよびR37cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26cおよびR27cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29cは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31c、R32c、およびR33cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34cおよびR35cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m”は0から2の整数であり;
n”は0から1の整数であり;
p”は0から1の整数であり;
1cは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2cは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表す)。
【請求項2】
前記式(I)において、Mが単結合である、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
前記式(I)において、前記Baseおよび前記Baseが、それぞれ独立して、6-アミノプリン-9-イル基、2,6-ジアミノプリン-9-イル基、2-アミノ-6-クロロプリン-9-イル基、2-アミノ-6-フルオロプリン-9-イル基、2-アミノ-6-ブロモプリン-9-イル基、2-アミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル基、6-アミノ-2-メトキシプリン-9-イル基、6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル基、6-アミノ-2-フルオロプリン-9-イル基、2,6-ジメトキシプリン-9-イル基、2,6-ジクロロプリン-9-イル基、6-メルカプトプリン-9-イル基、2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、4-アミノ-2-オキソ-5-フルオロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、4-アミノ-2-オキソ-5-クロロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-メトキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-メルカプト-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-ヒドロキシ-5-メチル-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、または4-アミノ-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基である、請求項2に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
前記式(I)において、前記Baseおよび前記Baseが、それぞれ独立して以下の式:
【化6】
からなる群から選択される基である、請求項2に記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
前記式(I)において、Rがメチル基またはエチル基である、請求項2から4のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
前記式(I)において、R、R、R10およびR11がすべて水素原子である、請求項2から5のいずれかに記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
以下の式(II)で表されるヌクレオシド構造を少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドまたはその薬理学上許容される塩:
【化7】
(式中、
BaseおよびBaseはそれぞれ独立して、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、およびハロゲン原子からなり、
Gはシアノ基またはニトロ基であり、
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
は水素原子でありかつRは水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12[式中、R12は水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
およびRは一緒になって以下の式:
【化8】
[式中、
21は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22およびR23は一緒になって、-(CHq1-[式中、q1は2から5の整数である]を表し;
24およびR25は、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24およびR25は一緒になって、=C(R36)R37[式中、R36およびR37は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26およびR27は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29は、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31、R32、およびR33は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34およびR35は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
mは0から2の整数であり;
nは0から1の整数であり;
pは0から1の整数であり;
は、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
は酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
10は水素原子でありかつR11は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12b[式中、R12bは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
10およびR11は一緒になって以下の式:
【化9】
[式中、
21bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22bおよびR23bは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22bおよびR23bは一緒になって、-(CHq2-[式中、q2は2から5の整数である]を表し;
24bおよびR25bは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24bおよびR25bは一緒になって、=C(R36b)R37b[式中、R36bおよびR37bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26bおよびR27bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29bは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31b、R32b、およびR33bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34bおよびR35bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m’は0から2の整数であり;
n’は0から1の整数であり;
p’は0から1の整数であり;
1bは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2bは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
は単結合であるか、または以下の式:
【化10】
[式中、
Baseは、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、
はシアノ基またはニトロ基であり、
13は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
14は水素原子でありかつR15は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12c[式中、R12cは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
14およびR15は一緒になって以下の式:
【化11】
[式中、
21cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22cおよびR23cは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22cおよびR23cは一緒になって、-(CHq3-[式中、q3は2から5の整数である]を表し;
24cおよびR25cは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24cおよびR25cは一緒になって、=C(R36c)R37c[式中、R36cおよびR37cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26cおよびR27cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29cは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31c、R32c、およびR33cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34cおよびR35cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m”は0から2の整数であり;
n”は0から1の整数であり;
p”は0から1の整数であり;
1cは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2cは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表す)。
【請求項8】
前記式(II)において、Mが単結合である、請求項7に記載のオリゴヌクレオチドまたはその薬理学上許容される塩。
【請求項9】
前記式(II)において、Rがメチル基またはエチル基である、請求項8に記載のオリゴヌクレオチドまたはその薬理学上許容される塩。
【請求項10】
前記式(II)において、R、R、R10およびR11がすべて水素原子である、請求項8または9に記載のオリゴヌクレオチドまたはその薬理学上許容される塩。
【請求項11】
請求項7に記載のオリゴヌクレオチドまたはその薬理学上許容される塩の製造方法であって、
以下の式(I)で表される化合物またはその薬理学上許容される塩:
【化12】
(式中、
BaseおよびBaseはそれぞれ独立して、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、およびハロゲン原子からなり、
Gはシアノ基またはニトロ基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基を表す]を表し、
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
は水素原子でありかつRは水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12[式中、R12は水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
およびRは一緒になって以下の式:
【化13】
[式中、
21は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22およびR23は一緒になって、-(CHq1-[式中、q1は2から5の整数である]を表し;
24およびR25は、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24およびR25は一緒になって、=C(R36)R37[式中、R36およびR37は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26およびR27は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29は、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31、R32、およびR33は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34およびR35は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
mは0から2の整数であり;
nは0から1の整数であり;
pは0から1の整数であり;
は、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
は酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
10は水素原子でありかつR11は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12b[式中、R12bは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
10およびR11は一緒になって以下の式:
【化14】
[式中、
21bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22bおよびR23bは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22bおよびR23bは一緒になって、-(CHq2-[式中、q2は2から5の整数である]を表し;
24bおよびR25bは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24bおよびR25bは一緒になって、=C(R36b)R37b[式中、R36bおよびR37bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26bおよびR27bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29bは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31b、R32b、およびR33bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34bおよびR35bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m’は0から2の整数であり;
n’は0から1の整数であり;
p’は0から1の整数であり;
1bは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2bは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
は単結合であるか、または以下の式:
【化15】
[式中、
Baseは、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、
はシアノ基またはニトロ基であり、
13は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
14は水素原子でありかつR15は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12c[式中、R12cは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
14およびR15は一緒になって以下の式:
【化16】
[式中、
21cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22cおよびR23cは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22cおよびR23cは一緒になって、-(CHq3-[式中、q3は2から5の整数である]を表し;
24cおよびR25cは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24cおよびR25cは一緒になって、=C(R36c)R37c[式中、R36cおよびR37cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26cおよびR27cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29cは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31c、R32c、およびR33cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34cおよびR35cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m”は0から2の整数であり;
n”は0から1の整数であり;
p”は0から1の整数であり;
1cは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2cは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表す)
を用いてオリゴヌクレオチドを合成する工程を包含する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5’位修飾ヌクレオシドおよびそれを用いたヌクレオチドに関する。より詳細には、良好なヌクレアーゼ耐性能を有しかつ効率よく製造することのできる5’位修飾ヌクレオシドおよびそれを用いたヌクレオチドに関する。
【背景技術】
【0002】
核酸医薬による疾病の治療法として、アンチセンス法、アンチジーン法、アプタマー、siRNAなどがある。このうち、アンチセンス法は、疾病に関わるmRNAと相補的なオリゴヌクレオチド(アンチセンス鎖)を外部から導入し、二重鎖を形成させることにより、病原RNAの翻訳過程を阻害し、疾病の治療や予防を行う手法である。siRNAもこれに類似しており、生体に投与した二重鎖RNAによりmRNAからタンパク質への翻訳を阻害する。一方、アンチジーン法は、病原RNAを転写するDNA部位に対応する三重鎖形成オリゴヌクレオチドを外部から導入することによりDNAからRNAへの転写を抑制する。また、アプタマーは、短い核酸分子(オリゴヌクレオチド)であるため、疾病の原因となるタンパク質などの生体成分と結合することにより機能を発揮する。
【0003】
こうした核酸医薬の素材として、種々の人工核酸が開発されている。中でも核酸の糖部コンホメーションを架橋によって固定化した2’,4’-BNA(bridged nucleic acid、別名LNA)は一本鎖RNA(ssRNA)に対して優れた結合親和性を有することが報告されており(非特許文献1および2)アンチセンス法などの様々な核酸医薬への適応が期待されている。
【0004】
一方、核酸の5’位にメチル基を導入した人工核酸は、ヌクレアーゼ耐性能の面で優れた特性を有することが報告されている(特許文献1~3)。このため、5’位に置換基を導入した人工核酸についても診断や医薬への応用が期待されている。
【0005】
しかし、このような5’位に置換基を導入した人工核酸は、その合成においてジアステレオマーの分離を必要とするため(非特許文献3および4)、製造工程が全体として煩雑となり、工業的生産に向けたさらなる開発が所望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2010/048549号
【文献】国際公開第2010/048585号
【文献】国際公開第2010/077578号
【非特許文献】
【0007】
【文献】S.Obikaら, T. Tetrahedron Lett. 1997, 38, 8735-8738
【文献】S.Singhら, J. Chem. Commun. 1998, 455-456.
【文献】Yawmanら, J. Org. Chem. 1995, 60, 788-789
【文献】Manoharanら, J. Org. Chem. 2016, 81, 2261-2279
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的とするところは、良好なヌクレアーゼ耐性能を有し、かつその合成経路においてジアステレオマー分離操作を必要とすることなく効率的に製造することのできる5’位が修飾されたヌクレオシドおよびそれを用いたヌクレオチドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の式(I)で表される化合物またはその塩:
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、
BaseおよびBaseはそれぞれ独立して、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、およびハロゲン原子からなり、
Gはシアノ基またはニトロ基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基を表す]を表し、
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
は水素原子でありかつRは水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12[式中、R12は水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
およびRは一緒になって以下の式:
【0012】
【化2】
【0013】
[式中、
21は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22およびR23は一緒になって、-(CHq1-[式中、q1は2から5の整数である]を表し;
24およびR25は、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24およびR25は一緒になって、=C(R36)R37[式中、R36およびR37は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26およびR27は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29は、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31、R32、およびR33は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34およびR35は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
mは0から2の整数であり;
nは0から1の整数であり;
pは0から1の整数であり;
は、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
は酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
10は水素原子でありかつR11は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12b[式中、R12bは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
10およびR11は一緒になって以下の式:
【0014】
【化3】
【0015】
[式中、
21bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22bおよびR23bは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22bおよびR23bは一緒になって、-(CHq2-[式中、q2は2から5の整数である]を表し;
24bおよびR25bは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24bおよびR25bは一緒になって、=C(R36b)R37b[式中、R36bおよびR37bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26bおよびR27bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29bは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31b、R32b、およびR33bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34bおよびR35bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m’は0から2の整数であり;
n’は0から1の整数であり;
p’は0から1の整数であり;
1bは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2bは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
は単結合であるか、または以下の式:
【0016】
【化4】
【0017】
[式中、
Baseは、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、
はシアノ基またはニトロ基であり、
13は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
14は水素原子でありかつR15は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12c[式中、R12cは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
14およびR15は一緒になって以下の式:
【0018】
【化5】
【0019】
[式中、
21cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22cおよびR23cは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22cおよびR23cは一緒になって、-(CHq3-[式中、q3は2から5の整数である]を表し;
24cおよびR25cは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24cおよびR25cは一緒になって、=C(R36c)R37c[式中、R36cおよびR37cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26cおよびR27cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29cは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31c、R32c、およびR33cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34cおよびR35cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m”は0から2の整数であり;
n”は0から1の整数であり;
p”は0から1の整数であり;
1cは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2cは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表す)である。
【0020】
1つの実施形態では、上記式(I)において、Mは単結合である。
【0021】
さらなる実施形態では、上記式(I)において、上記Baseおよび上記Baseは、それぞれ独立して、6-アミノプリン-9-イル基、2,6-ジアミノプリン-9-イル基、2-アミノ-6-クロロプリン-9-イル基、2-アミノ-6-フルオロプリン-9-イル基、2-アミノ-6-ブロモプリン-9-イル基、2-アミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル基、6-アミノ-2-メトキシプリン-9-イル基、6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル基、6-アミノ-2-フルオロプリン-9-イル基、2,6-ジメトキシプリン-9-イル基、2,6-ジクロロプリン-9-イル基、6-メルカプトプリン-9-イル基、2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、4-アミノ-2-オキソ-5-フルオロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、4-アミノ-2-オキソ-5-クロロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-メトキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-メルカプト-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-ヒドロキシ-5-メチル-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、または4-アミノ-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基である。
【0022】
さらなる実施形態では、上記式(I)において、上記Baseおよび上記Baseは、それぞれ独立して以下の式:
【0023】
【化6】
【0024】
からなる群から選択される基である。
【0025】
さらなる実施形態では、上記式(I)において、Rはメチル基またはエチル基である。
【0026】
さらなる実施形態では、上記式(I)において、R、R、R10およびR11はすべて水素原子である。
【0027】
本発明はまた、以下の式(II)で表されるヌクレオシド構造を少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドまたはその薬理学上許容される塩:
【0028】
【化7】
【0029】
(式中、
BaseおよびBaseはそれぞれ独立して、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、およびハロゲン原子からなり、
Gはシアノ基またはニトロ基であり、
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
は水素原子でありかつRは水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12[式中、R12は水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
およびRは一緒になって以下の式:
【0030】
【化8】
【0031】
[式中、
21は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22およびR23は一緒になって、-(CHq1-[式中、q1は2から5の整数である]を表し;
24およびR25は、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24およびR25は一緒になって、=C(R36)R37[式中、R36およびR37は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26およびR27は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29は、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31、R32、およびR33は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34およびR35は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
mは0から2の整数であり;
nは0から1の整数であり;
pは0から1の整数であり;
は、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
は酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
10は水素原子でありかつR11は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12b[式中、R12bは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
10およびR11は一緒になって以下の式:
【0032】
【化9】
【0033】
[式中、
21bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22bおよびR23bは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22bおよびR23bは一緒になって、-(CHq2-[式中、q2は2から5の整数である]を表し;
24bおよびR25bは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24bおよびR25bは一緒になって、=C(R36b)R37b[式中、R36bおよびR37bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26bおよびR27bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29bは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31b、R32b、およびR33bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34bおよびR35bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m’は0から2の整数であり;
n’は0から1の整数であり;
p’は0から1の整数であり;
1bは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2bは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
は単結合であるか、または以下の式:
【0034】
【化10】
【0035】
[式中、
Baseは、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、
はシアノ基またはニトロ基であり、
13は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
14は水素原子でありかつR15は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12c[式中、R12cは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
14およびR15は一緒になって以下の式:
【0036】
【化11】
【0037】
[式中、
21cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22cおよびR23cは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22cおよびR23cは一緒になって、-(CHq3-[式中、q3は2から5の整数である]を表し;
24cおよびR25cは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24cおよびR25cは一緒になって、=C(R36c)R37c[式中、R36cおよびR37cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26cおよびR27cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29cは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31c、R32c、およびR33cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34cおよびR35cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m”は0から2の整数であり;
n”は0から1の整数であり;
p”は0から1の整数であり;
1cは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2cは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表す)である。
【0038】
1つの実施形態では、上記式(II)において、Mは単結合である。
【0039】
さらなる実施形態では、上記式(II)において、Rはメチル基またはエチル基である。
【0040】
さらなる実施形態では、上記式(II)において、R、R、R10およびR11はすべて水素原子である。
【0041】
本発明はまた、上記オリゴヌクレオチドまたはその薬理学上許容される塩の製造方法であって、
以下の式(I)で表される化合物またはその薬理学上許容される塩:
【0042】
【化12】
【0043】
(式中、
BaseおよびBaseはそれぞれ独立して、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、およびハロゲン原子からなり、
Gはシアノ基またはニトロ基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基を表す]を表し、
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
は水素原子でありかつRは水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12[式中、R12は水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
およびRは一緒になって以下の式:
【0044】
【化13】
【0045】
[式中、
21は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22およびR23は一緒になって、-(CHq1-[式中、q1は2から5の整数である]を表し;
24およびR25は、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24およびR25は一緒になって、=C(R36)R37[式中、R36およびR37は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26およびR27は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29は、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31、R32、およびR33は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34およびR35は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
mは0から2の整数であり;
nは0から1の整数であり;
pは0から1の整数であり;
は、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
は酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
10は水素原子でありかつR11は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12b[式中、R12bは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
10およびR11は一緒になって以下の式:
【0046】
【化14】
【0047】
[式中、
21bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22bおよびR23bは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22bおよびR23bは一緒になって、-(CHq2-[式中、q2は2から5の整数である]を表し;
24bおよびR25bは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24bおよびR25bは一緒になって、=C(R36b)R37b[式中、R36bおよびR37bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26bおよびR27bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29bは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31b、R32b、およびR33bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34bおよびR35bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m’は0から2の整数であり;
n’は0から1の整数であり;
p’は0から1の整数であり;
1bは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2bは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
は単結合であるか、または以下の式:
【0048】
【化15】
【0049】
[式中、
Baseは、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、
はシアノ基またはニトロ基であり、
13は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
14は水素原子でありかつR15は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12c[式中、R12cは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
14およびR15は一緒になって以下の式:
【0050】
【化16】
【0051】
[式中、
21cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22cおよびR23cは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22cおよびR23cは一緒になって、-(CHq3-[式中、q3は2から5の整数である]を表し;
24cおよびR25cは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24cおよびR25cは一緒になって、=C(R36c)R37c[式中、R36cおよびR37cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26cおよびR27cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29cは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31c、R32c、およびR33cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34cおよびR35cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m”は0から2の整数であり;
n”は0から1の整数であり;
p”は0から1の整数であり;
1cは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2cは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表す)
を用いてオリゴヌクレオチドを合成する工程を包含する、方法である。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、新規な5’位修飾ヌクレオシドおよびそれを用いたヌクレオチドが提供される。本発明の5’位修飾ヌクレオシドは、特定の臓器への集積などが懸念されるホスホロチオエート修飾核酸の代替とすることも可能である。本発明の5’位修飾ヌクレオシドはまた、その製造においてジアステレオマーの分離工程を必要としないため、工業的生産性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】5’-TTTTTTTTTX-3’の配列の各種オリゴヌクレオチドを3’-エキソヌクレアーゼで処理した場合の、未切断オリゴヌクレオチドの割合の経時変化を示すグラフである。
図2】ASO1およびASO2の各被験オリゴヌクレオチドを投与した場合ならびに生理食塩水投与の場合のマウス肝臓中の標的遺伝子NR3C1のmRNA量を示すグラフであり、生理食塩水を投与した場合のmRNA量を100とした場合の相対値にて表す各種オリゴヌクレオチドによるアンチセンス効果を示すグラフである。
図3】ASO3およびASO4の各被験オリゴヌクレオチドを投与した場合ならびに生理食塩水投与の場合のマウス肝臓中の標的遺伝子NR3C1のmRNA量を示すグラフであり、生理食塩水を投与した場合のmRNA量を100とした場合の相対値にて表す各種オリゴヌクレオチドによるアンチセンス効果を示すグラフである。
図4】ASO1およびASO2の各被験オリゴヌクレオチドを投与した場合ならびに生理食塩水投与の場合の血液中のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)およびアラニントランスアミナーゼ(ALT)の活性を示すグラフであり、ASO1投与の場合のALT値およびAST値のそれぞれを100とした場合の相対値にて表す。
図5】ASO3およびASO4の各被験オリゴヌクレオチドを投与した場合ならびに生理食塩水投与の場合の血液中のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)およびアラニントランスアミナーゼ(ALT)の活性を示すグラフであり、ASO3投与の場合のALT値およびAST値のそれぞれを100とした場合の相対値にて表す。
図6】5’-TTTTTTTTTX-3’の配列の各種オリゴヌクレオチドを3’-エキソヌクレアーゼで処理した場合の、未切断オリゴヌクレオチドの割合の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
まず、本明細書中で用いられる用語を定義する。
【0055】
本明細書において、用語「炭素数1から6の直鎖アルキル基」は、炭素数1~6の任意の直鎖アルキル基をいい、具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、またはn-ヘキシル基をいう。一方、用語「炭素数1から6のアルキル基」という場合は、炭素数1~6の任意の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基をいう。
【0056】
本明細書において、用語「炭素数1から6の直鎖アルコキシ基」は、炭素数1~6の任意の直鎖アルキル基を有するアルコキシ基を包含する。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基などが挙げられる。一方、用語「炭素数1から6のアルコキシ基」という場合は、炭素数1~6の任意の直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシ基をいう。また、用語「炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基」という場合は、上記「炭素数1から6の直鎖アルコキシ基」、ならびに「炭素数1から6の直鎖アルコキシ基」を構成する1つまたはそれ以上の水素原子が、同一または異なっていてもよい他の「炭素数1から6の直鎖アルコキシ基」で置換されたアルキル基をいう。このような「炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基」としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n-プロポキシメトキシ基、メトキシエトキシ基(例えば2-メトキシエトキシ基)、エトキシエトキシ基(例えば2-エトキシエトキシ基)、およびn-プロポキシエトキシ基が挙げられる。
【0057】
本明細書において、用語「炭素数1から6のシアノアルコキシ基」は、炭素数1~6の任意の直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシ基における少なくとも1つの水素原子がシアノ基で置換された基をいう。
【0058】
本明細書において、用語「炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基」は、炭素数1~6の任意の直鎖アルキル基を有するアルキルチオ基を包含する。例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基などが挙げられる。一方、用語「炭素数1から6のアルキルチオ基」という場合は、炭素数1~6の任意の直鎖、分岐鎖または環状のアルキルチオ基をいう。
【0059】
本明細書において、用語「炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基」は、炭素数1~6の任意の直鎖アルキル基を有するアルキルアミノ基を1つまたは2つ有するアルキルアミノ基を包含する。例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基などが挙げられる。
【0060】
本明細書において、用語「分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基」は、炭素数1~7の任意の直鎖アルキル基、炭素数3~7の任意の分岐鎖アルキル基、および炭素数3~7の任意の環状アルキル基を包含する。単に、「低級アルキル基」という場合もある。例えば、炭素数1~7の任意の直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、およびn-ヘプチル基が挙げられ、炭素数3~7の任意の分岐鎖アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基などが挙げられ、そして炭素数3~7の任意の環状アルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0061】
本明細書において、用語「分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基」は、炭素数2~7の任意の直鎖アルケニル基、炭素数3~7の任意の分岐鎖アルケニル基、および炭素数3~7の任意の環状アルケニル基を包含する。単に、「低級アルケニル基」という場合もある。例えば、炭素数2~7の任意の直鎖アルケニル基としては、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基などが挙げられ、炭素数3~7の任意の分岐鎖アルケニル基としては、イソプロペニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-メチル-2-ブテニル基などが挙げられ、そして炭素数3~7の任意の環状アルケニル基としては、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
【0062】
本明細書において、用語「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基」は、炭化水素のみで構成された、炭素数6~10の任意のアリール基と、当アリール基の環構造を構成する少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子、ならびにこれらの組合せ)で置換された、炭素数3~12の任意のヘテロアリール基とを包含する。当該炭素数6~10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、アズレニル基などが挙げられ、そして当該炭素数3~12の任意のヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピロリル基、キノリル基、インドリル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基などが挙げられる。
【0063】
本明細書において、用語「ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基」の例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、3-フェニルプロピル基、2-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基、2-フェニルブチル基、ピリジルメチル基、インドリルメチル基、フリルメチル基、チエニルメチル基、ピロリルメチル基、2-ピリジルエチル基、1-ピリジルエチル基、3-チエニルプロピル基などが挙げられる。
【0064】
本明細書において、用語「アシル基」の例としては、脂肪族アシル基および芳香族アシル基が挙げられる。具体的には、脂肪族アシル基の例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、3-メチルノナノイル基、8-メチルノナノイル基、3-エチルオクタノイル基、3,7-ジメチルオクタノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、1-メチルペンタデカノイル基、14-メチルペンタデカノイル基、13,13-ジメチルテトラデカノイル基、ヘプタデカノイル基、15-メチルヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、1-メチルヘプタデカノイル基、ノナデカノイル基、アイコサノイル基およびヘナイコサノイル基のようなアルキルカルボニル基;スクシノイル基、グルタロイル基、アジポイル基のようなカルボキシ化アルキルカルボニル基;クロロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基のようなハロゲノ低級アルキルカルボニル基;メトキシアセチル基のような低級アルコキシ低級アルキルカルボニル基;(E)-2-メチル-2-ブテノイル基のような不飽和アルキルカルボニル基が挙げられる。また、芳香族アシル基の例としては、ベンゾイル基、α-ナフトイル基、β-ナフトイル基のようなアリールカルボニル基;2-ブロモベンゾイル基、4-クロロベンゾイル基のようなハロゲノアリールカルボニル基;2,4,6-トリメチルベンゾイル基、4-トルオイル基のような低級アルキル化アリールカルボニル基;4-アニソイル基のような低級アルコキシ化アリールカルボニル基;2-カルボキシベンゾイル基、3-カルボキシベンゾイル基、4-カルボキシベンゾイル基のようなカルボキシ化アリールカルボニル基;4-ニトロベンゾイル基、2-ニトロベンゾイル基のようなニトロ化アリールカルボニル基;2-(メトキシカルボニル)ベンゾイル基のような低級アルコキシカルボニル化アリールカルボニル基;4-フェニルベンゾイル基のようなアリール化アリールカルボニル基などが挙げられる。好適には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基である。
【0065】
本明細書において、用語「シリル基」の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、メチルジ-t-ブチルシリル基、トリイソプロピルシリル基のようなトリ低級アルキルシリル基;ジフェニルメチルシリル基、ブチルジフェニルブチルシリル基、ジフェニルイソプロピルシリル基、フェニルジイソプロピルシリル基のような1~2個のアリール基で置換されたトリ低級アルキルシリル基などが挙げられる。好適には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基であり、さらに好適にはトリメチルシリル基である。
【0066】
本明細書において、用語「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。好適には、フッ素原子または塩素原子である。
【0067】
本明細書において、用語「核酸合成のアミノ基の保護基」、「核酸合成の水酸基の保護基」、「核酸合成の保護基で保護された水酸基」、「核酸合成の保護基で保護されたリン酸基」、「核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基」の「保護基」とは、核酸合成の際に安定してアミノ基、水酸基、リン酸基またはメルカプト基を保護し得るものであれば、特に制限されない。具体的には、酸性または中性条件で安定であり、加水素分解、加水分解、電気分解、および光分解のような化学的方法により開裂し得る保護基のことをいう。このような保護基としては、例えば、低級アルキル基、低級アルケニル基、アシル基、テトラヒドロピラニルまたはテトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロフラニルまたはテトラヒドロチオフラニル基、シリル基、低級アルコキシメチル基、低級アルコキシ化低級アルコキシメチル基、ハロゲノ低級アルコキシメチル基、低級アルコキシ化エチル基、ハロゲン化エチル基、1~3個のアリール基で置換されたメチル基、「低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基でアリール環が置換された1~3個のアリール基で置換されたメチル基」、低級アルコキシカルボニル基、「ハロゲン原子、低級アルコキシ基またはニトロ基で置換されたアリール基」、「ハロゲン原子またはトリ低級アルキルシリル基で置換された低級アルコキシカルボニル基」、アルケニルオキシカルボニル基、「低級アルコキシまたはニトロ基でアリール環が置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基」などが挙げられる。
【0068】
より具体的には、テトラヒドロピラニル基またはテトラヒドロチオピラニル基としては、テトラヒドロピラン-2-イル基、3-ブロモテトラヒドロピラン-2-イル基、4-メトキシテトラヒドロピラン-4-イル基、テトラヒドロチオピラン-4-イル基、4-メトキシテトラヒドロチオピラン-4-イル基などが挙げられる。テトラヒドロフラニル基またはテトラヒドロチオフラニル基としては、テトラヒドロフラン-2-イル基、テトラヒドロチオフラン-2-イル基が挙げられる。低級アルコキシメチル基としては、メトキシメチル基、1,1-ジメチル-1-メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、t-ブトキシメチル基などが挙げられる。低級アルコキシ化低級アルコキシメチル基としては、2-メトキシエトキシメチル基などが挙げられる。ハロゲノ低級アルコキシメチル基としては、2,2,2-トリクロロエトキシメチル基、ビス(2-クロロエトキシ)メチル基などが挙げられる。低級アルコキシ化エチル基としては、1-エトキシエチル基、1-(イソプロポキシ)エチル基などが挙げられる。ハロゲン化エチル基としては、2,2,2-トリクロロエチル基などが挙げられる。1~3個のアリール基で置換されたメチル基としては、ベンジル基、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、α-ナフチルジフェニルメチル基、9-アンスリルメチル基などが挙げられる。「低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基でアリール環が置換された1~3個のアリール基で置換されたメチル基」としては、4-メチルベンジル基、2,4,6-トリメチルベンジル基、3,4,5-トリメチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-メトキシフェニルジフェニルメチル基、4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル基、2-ニトロベンジル基、4-ニトロベンジル基、4-クロロベンジル基、4-ブロモベンジル基、4-シアノベンジル基などが挙げられる。低級アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基などが挙げられる。「ハロゲン原子、低級アルコキシ基またはニトロ基で置換されたアリール基」としては、4-クロロフェニル基、2-フロロフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-ニトロフェニル基、2,4-ジニトロフェニル基などが挙げられる。「ハロゲン原子またはトリ低級アルキルシリル基で置換された低級アルコキシカルボニル基」としては、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基、2-トリメチルシリルエトキシカルボニル基などが挙げられる。アルケニルオキシカルボニル基としては、ビニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基などが挙げられる。「低級アルコキシまたはニトロ基でアリール環が置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基」としては、ベンジルオキシカルボニル基、4-メトキシベンジルオキシカルボニル基、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル基、2-ニトロベンジルオキシカルボニル基、4-ニトロベンジルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0069】
1つの実施形態では、「核酸合成の水酸基の保護基」としては、例えば脂肪族アシル基、芳香族アシル基、1~3個のアリール基で置換されたメチル基、「低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、シアノ基でアリール環が置換された1~3個のアリール基で置換されたメチル基」、およびシリル基が挙げられる。あるいは、1つの実施形態では、「核酸合成の水酸基の保護基」としては、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ベンジル基、p-メトキシベンゾイル基、ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)基、[(トリイソプロピルシリル)オキシ]メチル(TOM)基、[(2-ニトロベンジル)オキシ]メチル(NBOM)基、ビス(アセトキシエトキシ)メチルエーテル(ACE)基、テトラヒドロ-4-メトキシ-2H-ピラン-2-イル(Mthp)基、1-(2-シアノエトキシ)エチル(CEE)基、2-シアノエトキシメチル(CEM)基、tert-ブチルジチオメチル(DTM)基、2-(4-トリルスルホニル)エトキシメチル(TEM)基、および4-(N-ジクロロアセチル-N-メチルアミノ)ベンジルオキシメチル(4-MABOM)基が挙げられる。
【0070】
1つの実施形態では、「核酸合成の保護基で保護された水酸基」の保護基としては、例えば脂肪族アシル基、芳香族アシル基、「1~3個のアリール基で置換されたメチル基」、「ハロゲン原子、低級アルコキシ基またはニトロ基で置換されたアリール基」、低級アルキル基、および低級アルケニル基が挙げられる。あるいは、1つの実施形態では、「核酸合成の保護基で保護された水酸基」の保護基としては、例えばベンゾイル基、ベンジル基、2-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、および2-プロペニル基が挙げられる。
【0071】
1つの実施形態では、「核酸合成のアミノ基の保護基」としては、例えばアシル基、好適には、ベンゾイル基が挙げられる。
【0072】
1つの実施形態では、「核酸合成の保護基で保護されたリン酸基」の「保護基」としては、例えば低級アルキル基、シアノ基で置換された低級アルキル基、アラルキル基、「ニトロ基またはハロゲン原子でアリール環が置換されたアラルキル基」、および「低級アルキル基、ハロゲン原子、またはニトロ基で置換されたアリール基」が挙げられる。あるいは、1つの実施形態では、「核酸合成の保護基で保護されたリン酸基」の「保護基」としては、例えば2-シアノエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、ベンジル基、2-クロロフェニル基、および4-クロロフェニル基が挙げられる。
【0073】
1つの実施形態では、「核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基」の「保護基」としては、例えば脂肪族アシル基および芳香族アシル基、好適には、ベンゾイル基が挙げられる。
【0074】
本明細書において、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基を表す]で表される基のうち、RがOR4aでありそしてRがNR5aである基は、「ホスホロアミダイト基」という(ここで、R4aは例えば炭素数1から6のシアノアルコキシ基であり、そしてR5aは例えば炭素数1から6のアルキル基である)。ホスホロアミダイト基としては、好適には、式-P(OCCN)(N(iPr))で表される基、または式-P(OCH)(N(iPr))で表される基が挙げられる。ここで、iPrはイソプロピル基を表す。
【0075】
本明細書において、用語「ヌクレオシド」および「ヌクレオシド類縁体」とは、プリンまたはピリミジン塩基と糖とが結合した「ヌクレオシド」のうち非天然型のもの、ならびに、プリンおよびピリミジン以外の芳香族複素環および芳香族炭化水素環でプリンまたはピリミジン塩基との代用が可能なものと糖が結合したものをいう。
【0076】
本明細書において、用語「人工オリゴヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド類縁体」とは、同一または異なる「ヌクレオシド」または「ヌクレオシド類縁体」がリン酸ジエステル結合で例えば2~50個結合した「オリゴヌクレオチド」の非天然型誘導体をいう。そのような類縁体としては、好適には、糖部分が修飾された糖誘導体;リン酸ジエステル部分がチオエート化されたチオエート誘導体;末端のリン酸部分がエステル化されたエステル体;プリン塩基上のアミノ基がアミド化されたアミド体が挙げられ、さらに好適には、糖部分が修飾された糖誘導体が挙げられる。
【0077】
本明細書において、用語「その塩」とは、本発明の式(I)または(II)で表される化合物の塩をいう。そのような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩などの金属塩;アンモニウム塩のような無機塩、t-オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N-メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N-ベンジル-フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩;フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン原子化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩のようなアリールスルホン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;および、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩が挙げられる。
【0078】
本明細書において、用語「その薬理学上許容される塩」としては、本発明の式(II)で表されるヌクレオシド構造を少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチド類縁体の塩をいう。そのような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩などの金属塩;アンモニウム塩のような無機塩、t-オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N-メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N-ベンジル-フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩;フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン原子化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩のようなアリールスルホン酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;および、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩が挙げられる。
【0079】
以下、本発明について詳述する。
【0080】
本発明の5’位修飾ヌクレオシドは、以下の式(I):
【0081】
【化17】
【0082】
(式中、
BaseおよびBaseはそれぞれ独立して、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、およびハロゲン原子からなり、
Gはシアノ基またはニトロ基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、核酸合成の水酸基の保護基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から7のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から7のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいアシル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいシリル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいリン酸基、核酸合成の保護基で保護されたリン酸基、-P(R)R[式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基を表す]を表し、
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
は水素原子でありかつRは水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12[式中、R12は水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
およびRは一緒になって以下の式:
【0083】
【化18】
【0084】
[式中、
21は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22およびR23は一緒になって、-(CHq1-[式中、q1は2から5の整数である]を表し;
24およびR25は、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24およびR25は一緒になって、=C(R36)R37[式中、R36およびR37は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26およびR27は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29は、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31、R32、およびR33は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34およびR35は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
mは0から2の整数であり;
nは0から1の整数であり;
pは0から1の整数であり;
は、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
は酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
10は水素原子でありかつR11は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12b[式中、R12bは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
10およびR11は一緒になって以下の式:
【0085】
【化19】
【0086】
[式中、
21bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22bおよびR23bは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22bおよびR23bは一緒になって、-(CHq2-[式中、q2は2から5の整数である]を表し;
24bおよびR25bは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24bおよびR25bは一緒になって、=C(R36b)R37b[式中、R36bおよびR37bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26bおよびR27bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29bは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31b、R32b、およびR33bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34bおよびR35bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m’は0から2の整数であり;
n’は0から1の整数であり;
p’は0から1の整数であり;
1bは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2bは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
は単結合であるか、または以下の式:
【0087】
【化20】
【0088】
[式中、
Baseは、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、
はシアノ基またはニトロ基であり、
13は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
14は水素原子でありかつR15は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12c[式中、R12cは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
14およびR15は一緒になって以下の式:
【0089】
【化21】
【0090】
[式中、
21cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22cおよびR23cは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22cおよびR23cは一緒になって、-(CHq3-[式中、q3は2から5の整数である]を表し;
24cおよびR25cは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24cおよびR25cは一緒になって、=C(R36c)R37c[式中、R36cおよびR37cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26cおよびR27cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29cは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31c、R32c、およびR33cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34cおよびR35cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m”は0から2の整数であり;
n”は0から1の整数であり;
p”は0から1の整数であり;
1cは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2cは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表す)で表される化合物またはその塩である。
【0091】
上記式(I)において、Base、BaseおよびBaseは互いに同一または異なっていてもよい。Base、BaseおよびBaseは、それぞれ独立して、例えばプリン塩基(すなわち、プリン-9-イル基)またはピリミジン塩基(すなわち、2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基)である。これらの塩基は、水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、およびハロゲン原子からなるα群より選択される任意の置換基を1以上有していてもよい。
【0092】
上記Base、BaseおよびBaseの具体例としては、アデニニル基、グアニニル基、シトシニル基、ウラシニル基、およびチミニル基、ならびに6-アミノプリン-9-イル基、2,6-ジアミノプリン-9-イル基、2-アミノ-6-クロロプリン-9-イル基、2-アミノ-6-フルオロプリン-9-イル基、2-アミノ-6-ブロモプリン-9-イル基、2-アミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル基、6-アミノ-2-メトキシプリン-9-イル基、6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル基、6-アミノ-2-フルオロプリン-9-イル基、2,6-ジメトキシプリン-9-イル基、2,6-ジクロロプリン-9-イル基、6-メルカプトプリン-9-イル基、2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、4-アミノ-2-オキソ-5-フルオロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、4-アミノ-2-オキソ-5-クロロ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-メトキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-メルカプト-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-ヒドロキシ-5-メチル-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、および4-アミノ-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基が挙げられる。
【0093】
あるいは、Base、BaseおよびBaseは、本発明の5’位修飾ヌクレオシドを核酸医薬に導入することを目的とした場合、以下の構造式:
【0094】
【化22】
【0095】
でそれぞれ表される基、ならびに、2-オキソ-4-ヒドロキシ-5-メチル-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、2-オキソ-4-アミノ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、6-アミノプリン-9-イル基、2-アミノ-6-ヒドロキシプリン-9-イル基、4-アミノ-5-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基、および2-オキソ-4-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基が好ましい。Base、BaseおよびBaseはまた、オリゴヌクレオチドの合成の際には、上記基を構成する水酸基およびアミノ基が保護基により保護されているものであることが好ましい。
【0096】
本発明の5’位修飾ヌクレオシドは、上記のように式(I)で表されるような構造、すなわち、所定のフラノース環を組み合わせて構成される、以下の式(I’)または(I”):
【0097】
【化23】
【0098】
(式(I’)中、Base、Base、G、R、R、R、R、R、R10およびR11は、上記式(I)で定義されるものと同様であり、そして式(I”)中、Base、Base、Base、G、G、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R14およびR15は、上記式(I)で定義されるものと同様である)で表されるダイマーまたはトリマーの構造を有する。ここで、式(I’)のダイマーを構成する各フラノース環の5’位には、それぞれ2つのRおよび2つの水素原子が結合している。式(I”)のトリマーを構成する各フラノース環の5’位には、それぞれ2つのR、2つの水素原子、および2つのR13が結合している。このような構造を有していることにより、本発明の5’位修飾ヌクレオシドは、同一分子内に含まれる各ピラノース環の5’位においてジアステレオマーの構造を有することはなく、従来の5’位に置換基を導入した人工核酸と比較して、その合成の際にジアステレオマーの分離を行う必要性から解放される。
【0099】
1つの実施形態では、上記式(I’)のダイマーにおけるRはメチル基である。1つの実施形態では、上記式(I”)のトリマーにおけるRおよびR13はともにメチル基である。
【0100】
1つの実施形態では、上記式(I’)のR、R、R10およびR11のすべては水素原子である。1つの実施形態では、上記式(I”)のR、R、R10、R11、R14およびR15のすべては水素原子である。
【0101】
上記式(I’)で表される本発明の5’位修飾ヌクレオシドは、式(I’)を構成する各フラノース環の5’位に、それぞれ2つのRおよび2つの水素原子が導入されていることにより、後述するオリゴヌクレオチドにおけるヌクレアーゼ耐性能が向上する。さらに、上記式(I”)で表される本発明の5’位修飾ヌクレオシドは、式(I”)を構成する各フラノース環の5’位に、それぞれ2つのR、2つの水素原子、および2つのR13が導入されていることにより、後述するオリゴヌクレオチドにおけるヌクレアーゼ耐性能が向上する。
【0102】
本発明において、オリゴヌクレオチドは、このような式(I)、あるいは式(I’)または(I”)で表される5’位修飾ヌクレオシドを用い、例えば、当該分野において周知のアミダイト法、またはM. Kuwaharaら、Nucleic Acids Res.,2008年,36巻,13号,4257-4265頁に記載されるような三リン酸化を経て容易に製造することができる。
【0103】
本発明のオリゴヌクレオチドまたはその薬理学上許容される塩(以下、これらをまとめて「本発明のオリゴヌクレオチド」を言うことがある)は、以下の式(II):
【0104】
【化24】
【0105】
(式中、
BaseおよびBaseはそれぞれ独立して、α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、ここで、該α群は、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、炭素数1から6の直鎖アルキル基、炭素数1から6の直鎖アルコキシ基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、炭素数1から6の直鎖アルキルチオ基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖アルキルアミノ基、核酸合成の保護基で保護されたアミノ基、およびハロゲン原子からなり、
Gはシアノ基またはニトロ基であり、
は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
は水素原子でありかつRは水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12[式中、R12は水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
およびRは一緒になって以下の式(CR01a)~(CR11a):
【0106】
【化25】
【0107】
[式中、
21は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22およびR23は一緒になって、-(CHq1-[式中、q1は2から5の整数である]を表し;
24およびR25は、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24およびR25は一緒になって、=C(R36)R37[式中、R36およびR37は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26およびR27は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28は、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29は、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31、R32、およびR33は、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34およびR35は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
mは0から2の整数であり;
nは0から1の整数であり;
pは0から1の整数であり;
は、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
は酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
10は水素原子でありかつR11は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12b[式中、R12bは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
10およびR11は一緒になって以下の式(CR01b)~(CR11b):
【0108】
【化26】
【0109】
[式中、
21bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22bおよびR23bは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22bおよびR23bは一緒になって、-(CHq2-[式中、q2は2から5の整数である]を表し;
24bおよびR25bは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24bおよびR25bは一緒になって、=C(R36b)R37b[式中、R36bおよびR37bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26bおよびR27bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28bは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29bは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31b、R32b、およびR33bは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34bおよびR35bは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m’は0から2の整数であり;
n’は0から1の整数であり;
p’は0から1の整数であり;
1bは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2bは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表し、
は単結合であるか、または以下の式:
【0110】
【化27】
【0111】
[式中、
Baseは、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよいプリン-9-イル基または2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-1-イル基を表し、
はシアノ基またはニトロ基であり、
13は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1または2のアルキル基であり、
14は水素原子でありかつR15は水素原子、ハロゲン原子;炭素数1から6の直鎖アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から6の直鎖アルコキシ基;または-OR12c[式中、R12cは水素原子、または核酸合成の水酸基の保護基である]であるか、あるいは
14およびR15は一緒になって以下の式(CR01c)~(CR11c):
【0112】
【化28】
【0113】
[式中、
21cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数2から6のアルケニル基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から10のアリール基、該α群から選択される任意の置換基を1以上有していてもよくそしてヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基、または核酸合成のアミノ基の保護基であり;
22cおよびR23cは、それぞれ独立して、水素原子;ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール基で置換されていてもよく、かつ分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3から12のアリール部分を有するアラルキル基;であるか、あるいは
22cおよびR23cは一緒になって、-(CHq3-[式中、q3は2から5の整数である]を表し;
24cおよびR25cは、それぞれ独立して、水素原子;水酸基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基;分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基;アミノ基;および核酸合成の保護基で保護されたアミノ基;からなる群から選択される基であるか、あるいは、
24cおよびR25cは一緒になって、=C(R36c)R37c[式中、R36cおよびR37cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、核酸合成の保護基で保護された水酸基、メルカプト基、核酸合成の保護基で保護されたメルカプト基、アミノ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルコキシ基、炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基、炭素数1から6のシアノアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルアミノ基を表す]を表し;
26cおよびR27cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
28cは、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、または炭素数1から6の直鎖または分岐鎖アルキルチオ基であり;
29cは、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、あるいは核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
31c、R32c、およびR33cは、それぞれ独立して、水素原子、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、あるいは核酸合成のアミノ基の保護基であり;
34cおよびR35cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルキル基、分岐または環を形成していてもよい炭素数1から6のアルコキシ基、アミノ基、または核酸合成の保護基で保護されたアミノ基であり;
m”は0から2の整数であり;
n”は0から1の整数であり;
p”は0から1の整数であり;
1cは、酸素原子、硫黄原子、またはアミノ基であり;そして
2cは酸素原子または硫黄原子である]
で表される二価の基を表す)で表されるヌクレオシド構造を少なくとも1つ含む。
【0114】
なお、本発明において、上記式(CR01a)~(CR11a)、(CR01b)~(CR11b)、および(CR01c)~(CR11c)で表される架橋構造のうち、式(CR07a)、(CR09a)、(CR07b)、(CR09b)、(CR07c)、および(CR09c)で表される構造は、当該架橋構造の周辺に存在する任意のアニオン(例えば、水酸化物イオン、リン酸イオン、塩化物イオン)により電気的に中性に保持されている。
【0115】
すなわち、本発明の上記式(II)のオリゴヌクレオチドは、以下の式(II’)または(II”):
【0116】
【化29】
【0117】
(式(II’)中、Base、Base、G、R、R、R、R10およびR11は、上記式(II)で定義されるものと同様であり、そして式(II”)中、Base、Base、Base、G、G、R、R、R、R10、R11、R13、R14およびR15は、上記式(II)で定義されるものと同様である)で表されるヌクレオシド構造を含む。
【0118】
1つの実施形態では、上記式(II’)のヌクレオシド構造を含むオリゴヌクレオチドにおけるRはメチル基またはエチル基である。1つの実施形態では、上記式(II”)のヌクレオシド構造を含むオリゴヌクレオチドにおけるRおよびR13はともにメチル基またはエチル基である。
【0119】
1つの実施形態では、上記式(II’)のR、R、R10およびR11のすべては水素原子である。1つの実施形態では、上記式(II”)のR、R、R10、R11、R14およびR15のすべては水素原子である。
【0120】
本発明のオリゴヌクレオチドは、上記式(II)、あるいは式(II’)または(II”)で表されるヌクレオシド構造を、任意の位置に少なくとも1つ有する。その位置および数は、特に限定されず、目的に応じて適宜設計され得る。
【0121】
このようなヌクレオシド構造を含むオリゴヌクレオチド(アンチセンス分子)は、従来の2’,4’-BNA/LNAを用いる場合と比較して、ヌクレアーゼ耐性能が飛躍的に向上する。また、公知の2’,4’-BNA/LNAに匹敵するssRNA結合親和性を有する。
【0122】
これらのことから、本発明の5’位修飾ヌクレオシドを用いて合成された本発明のオリゴヌクレオチドは、抗腫瘍剤、抗ウイルス剤をはじめとした、特定の遺伝子の働きを阻害して疾病を治療する医薬品(アンチセンス分子)としての有用性が期待される。
【0123】
特に、アンチセンス法では、相補センス鎖RNAに対する結合親和性および生体内DNA分解酵素への耐性の両方が必要とされる。一般的に、核酸は、一本鎖状態では、糖部の構造が絶えずDNA二重鎖に近い形と、DNA-RNA二重鎖やRNA二重鎖に近い形との間で揺らいでいることが知られている。一本鎖核酸が相補的なRNA鎖と二重鎖を形成する場合、その糖部構造は固定される。そこで、本発明の5’位修飾ヌクレオシドでは、糖部を予め二重鎖を形成する場合の状態に固定されているため、目的のRNA鎖と二重鎖を形成しやすく、安定に存在させることができる。また、核酸二重鎖は、水分子のネットワークと呼ばれる鎖のようにつながった水和水により安定化されていることも知られている。
【0124】
本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、賦形剤、結合剤、防腐剤、酸化安定剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤などの医薬の製剤技術分野において通常用いられる補助剤を配合して、非経口投与製剤またはリポソーム製剤とすることができる。また、例えば、当該技術分野で通常用いられる医薬用担体を配合して、液剤、クリーム剤、軟膏剤などの局所用の製剤を調製することができる。
【実施例
【0125】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0126】
(実施例1:5’位修飾ヌクレオシドの合成(1))
【0127】
【化30】
【0128】
(1-1)化合物2の合成
【0129】
【化31】
【0130】
Caruthersら、Tetrahedron Lett., 1996年,37巻,35号,6239-6242頁に記載の方法により作製した化合物1(4.26g,11.95mmol)をジクロロメタン(60mL)に溶解させた後、ヨードベンゼンジアセテート(PhI(A);8.47g,26.30mmol)を添加した。その後2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカル(TEMPO;430.4mg,2.75mmol)を0℃で添加し、室温で5時間撹拌した。反応終了後に水/アセトニトリル(=1:1(容量比),0.66mL)を添加し、室温で4時間撹拌した。反応終了後にメタノール(20mL)を添加した後、溶媒を減圧留去して、化合物2(粗生成物)を得た。この化合物2を精製することなく次の反応に用いた。
【0131】
(1-2)化合物3の合成
【0132】
【化32】
【0133】
上記で得られた化合物2(粗生成物)のジクロロメタン溶液(120mL)に、メタノール(4.8mL,0.12mol)と1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl;2.76g,14.39mmol)を添加し、0℃で4.5時間撹拌した。反応終了後に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1(容量比))により精製し、化合物3(3.84g,収率84%,2工程)を白色固体として得た。
【0134】
得られた化合物3の物性データを表1に示す。
【0135】
【表1】
【0136】
(1-3)化合物4の合成
【0137】
【化33】
【0138】
上記で得られた化合物3(3.00g,7.80mmol)を無水トルエンで共沸した後、無水テトラヒドロフラン(80mL)に溶解させ、窒素気流下にてメチルマグネシウムブロミド(CHMgBr;31mL,31.0mmol、THF中で1M)を-20℃にてゆっくり滴下し、4.5時間撹拌した。反応が完結しなかったため、さらにメチルマグネシウムブロミド(CHMgBr;7.8mL,7.8mmol、THF中で1M)を-20℃にてゆっくり滴下し、3.5時間撹拌した。反応終了後に塩化アンモニウム水溶液を添加し、酢酸エチルで抽出した。飽和重曹水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,酢酸エチル:n-ヘキサン=3:2(容量比))により精製し、化合物4(2.52g,収率84%)を白色固体として得た。
【0139】
得られた化合物4の物性データを表2に示す。
【0140】
【表2】
【0141】
(1-4)化合物5の合成
【0142】
【化34】
【0143】
上記で得られた化合物4(1.26g,3.28mmol)を無水トルエンで共沸した後、無水アセトニトリル(35mL)に溶解させ、5’-(4,4’-ジメトキシトリチル)-チミジン-3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト(DMT-dTホスホロアミダイト;3.69g,4.95mmol)および5-(ベンジルチオ)-1H-テトラゾール(BTT;0.98g,5.10mmol)を窒素気流下にて順次添加し、室温で3時間撹拌した。反応終了後に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1→5:2(容量比))により簡易に精製し、粗生成物として化合物5(3.48g)を得た。
【0144】
(1-5)化合物6の合成
【0145】
【化35】
【0146】
上記で得られた化合物5(3.48g)を、アセトニトリル(30mL)に溶解させ、tert-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP;4.6mL,70%水溶液,33.59mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。反応終了後に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を0℃にて添加し、酢酸エチルで抽出した。水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,メタノール:クロロホルム=1:20(容量比))により精製し、化合物6(3.24g,収率76%,2工程)を白色固体として得た。
【0147】
得られた化合物6の物性データを表3に示す。
【0148】
【表3】
【0149】
(1-6)化合物7の合成
【0150】
【化36】
【0151】
上記で得られた化合物6(0.64g,0.61mmol)を無水テトラヒドロフラン(6mL)に溶解し、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩(TEA・3HF;1.0mL, 6.13mmol)を0℃にて添加して15分間撹拌した後、室温で41.5時間撹拌した。反応終了後に酢酸エチル(30mL)を添加して溶液を希釈し、2%の重曹水で2回、水で1回洗浄した。水層を酢酸エチルで再抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で1回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,メタノール:クロロホルム=1:10(容量比))により精製し、化合物7(539mg,収率95%)を白色固体として得た。
【0152】
得られた化合物7の物性データを表4に示す。
【0153】
【表4】
【0154】
(1-7)化合物8の合成
【0155】
【化37】
【0156】
上記で得られた化合物7(3.98g,4.28mmol)を無水トルエンで共沸した後、無水アセトニトリル(43mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA;2.2mL,12.94mmol)と2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホロクロリダート(iPrNP(Cl)OCCN;1.8mL,6.46mmol)を窒素気流下にて順次添加し、室温で4時間撹拌した。反応終了後に酢酸エチルで希釈し、水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(diol-SiO,酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1→1:2(容量比))により精製した後、再沈殿(ヘキサン:クロロホルム=20:1(容量比))により、化合物8(3.25g,収率67%)を白色固体として得た。
【0157】
得られた化合物8の物性データを表5に示す。
【0158】
【表5】
【0159】
(実施例2:5’位修飾ヌクレオシドの合成(2))
【0160】
【化38】
【0161】
(2-1)化合物9の合成
【0162】
【化39】
【0163】
実施例1の(1-3)で得られた化合物4(494.7mg,1.29mmol)を無水トルエンで共沸した後、無水アセトニトリル(13mL)に溶解させ、5’-(4,4’-ジメトキシトリチル)-N-イソブチリル-2’-デオキシグアノシン-3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト(DMT-dG(ib)ホスホロアミダイト;1.66g,1.98mmol)、5-(ベンジルチオ)-1H-テトラゾール(BTT;372.6mg,1.94mmol)を窒素気流下で順次添加し、室温で2時間撹拌した。反応終了後に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた化合物9(2.51g;粗生成物)を、精製することなく次の反応に用いた。
【0164】
(2-2)化合物10の合成
【0165】
【化40】
【0166】
上記で得られた化合物9(2.51g)をアセトニトリル(11mL)に溶解させ、tert-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP;1.8mL,70%水溶液,13.14mmol)を添加し、室温で2時間撹拌した。反応終了後に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を0℃にて添加し、酢酸エチルで抽出した。水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,メタノール:クロロホルム=1:18→1:16)により精製し、化合物10(1.37g,収率94%,2工程)を白色固体として得た。
【0167】
得られた化合物10の物性データを表6に示す。
【0168】
【表6】
【0169】
(2-3)および(2-4)化合物11および化合物11’の合成
【0170】
上記で得られた化合物10を用い、以下の合成スキームにしたがって上記実施例1の(1-6)~(1-7)に記載した方法に基づいて化合物11’を得ることができる。
【0171】
【化41】
【0172】
(実施例3:5’位修飾ヌクレオシドの合成(3))
【0173】
【化42】
【0174】
(3-1)化合物12の合成
【0175】
【化43】
【0176】
上記実施例1の(1-7)で得られた化合物8(80.5mg,0.071mmol)を無水トルエンで共沸した後、無水アセトニトリル(0.5mL)に溶解させ、上記実施例1の(1-3)で得られた化合物4(21.9mg,0.057mmol)、5-(ベンジルチオ)-1H-テトラゾール(BTT;17.1mg,0.089mmol)を窒素気流下で順次添加し、室温で5.5時間撹拌した。反応終了後に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた化合物12(105.9mg;粗生成物)を、精製することなく次の反応に用いた。
【0177】
(3-2)化合物13の合成
【0178】
【化44】
【0179】
上記で得られた化合物12(105.9mg)をアセトニトリル(0.45mL)に溶解させ、tert-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP;71.3μL,70%水溶液,0.052mmol)を添加し、室温で1.5時間撹拌した。反応終了後に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を0℃にて添加し、酢酸エチルで抽出した。水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,メタノール:クロロホルム=1:12)により精製し、化合物13(33.1mg,収率42%,2工程)を白色固体として得た。
【0180】
得られた化合物13の物性データを表7に示す。
【0181】
【表7】
【0182】
(3-3)および(3-4)化合物14および化合物15の合成
【0183】
上記で得られた化合物13を用い、以下の合成スキームにしたがって上記実施例1の(1-6)~(1-7)に記載した方法に基づいて化合物15を得ることができる。
【0184】
【化45】
【0185】
(実施例4:5’位修飾ヌクレオシドの合成(4))
【0186】
【化46】
【0187】
(4-1)化合物16の合成
【0188】
【化47】
【0189】
化合物3(446mg,1.16mmol)を無水トルエンで共沸した後、無水テトラヒドロフラン(12mL)に溶解させ、窒素気流下にてエチルマグネシウムブロミド(C25MgBr;4.6mL,4.6mmol、THF中で1M)を-20℃にてゆっくり滴下し、同温度にて3.5時間撹拌した。反応終了後に塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。飽和重曹水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)により精製し、化合物16(364mg,76%)を白色固体として得た。
【0190】
得られた化合物16の物性データを表8に示す。
【0191】
【表8】
【0192】
(4-2)化合物17の合成
【0193】
【化48】
【0194】
上記で得られた化合物16(283mg,0.69mmol)を無水トルエンで共沸した後、無水アセトニトリル(7mL)に溶解させ、5’-(4,4’-ジメトキシトリチル)-チミジン-3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト(DMT-dTホスホロアミダイト;840.3mg,1.13mmol)および5-(ベンジルチオ)-1H-テトラゾール(BTT;198.9mg,1.03mmol)を窒素気流下で順次加え、室温にて4時間撹拌した。反応終了後に水を加え、酢酸エチルで抽出した。水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去し、粗生成物として化合物17(1.22g)を得た。この化合物17を精製することなく次の反応に用いた。
【0195】
(4-3)化合物18の合成
【0196】
【化49】
【0197】
上記で得られた化合物17(1.22g)をアセトニトリル(6.2mL)に溶解させ、tert-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP;0.7mL,70%水溶液,5.11mmol)を加え、室温で3.5時間撹拌した。反応終了後に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を0℃で加え、酢酸エチルで抽出した。水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,メタノール:クロロホルム=0:1→1:30)により簡易に精製し、粗生成物として化合物18(979mg)を得た。
【0198】
得られた化合物18の物性データを表9に示す。
【0199】
【表9】
【0200】
(4-4)化合物19の合成
【0201】
【化50】
【0202】
上記で得られた化合物18(979mg)を無水テトラヒドロフラン(6.9mL)に溶解し、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩(TEA・3HF;1.1mL,6.61mmol)を0℃で加えた後、室温で16.5時間撹拌した。反応が完結しなかったため、さらにトリエチルアミン三フッ化水素酸塩(TEA・3HF;0.6mL,3.61mmol)を0℃で加えた後、室温で6.5時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチル(30mL)を加えて溶液を希釈し、2%重曹水で2回、水で1回洗浄した。水層を酢酸エチルで再抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で1回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,メタノール:クロロホルム=0:1→1:30)により精製し、化合物19(425mg,65%(3工程以上))を白色固体として得た。
【0203】
得られた化合物19の物性データを表10に示す。
【0204】
【表10】
【0205】
(4-5)化合物20の合成
【0206】
【化51】
【0207】
上記で得られた化合物19(393mg,0.41mmol)を無水トルエンで共沸脱水した後、無水アセトニトリル(4.2mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA;0.25mL,1.47mmol)と2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホロクロリダート(iPrNP(Cl)OCCN;0.17mL,0.61mmol)を窒素気流下で順次加え、室温にて2.5時間撹拌した。溶媒を一部減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,メタノール:クロロホルム=0:1→1:35)により精製後、再沈殿(ペンタン:クロロホルム=20:1)により、化合物20(215mg,45%)を白色固体として得た。
【0208】
得られた化合物20の物性データを表11に示す。
【0209】
【表11】
【0210】
(実施例5:オリゴヌクレオチドの合成および精製)
実施例1で作製された化合物8をアミダイトブロックとして用い、以下のようにしてオリゴヌクレオチドを合成した。オリゴヌクレオチドを構成する化合物8以外の化合物については、特に表記がない限り、Proligo社から購入した。
【0211】
実施例1で作製された化合物8と、市販のdG(iBu)、dC(Bz)およびTのホスホロアミダイトを、アンチセンスオリゴヌクレオチドを構成する化合物として用いた。これらのアミダイトブロックを含む0.1Mの無水アセトニトリル溶液を調製し、GeneDesign社製nS-8 Oligonucleotides Synthesizerに仕込み、0.2μmolのスケールでオリゴ合成をトリチルオン条件で行った。活性化剤には5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT)アクチベーター(0.25Mアセトニトリル溶液)を用い、通常のホスホロアミダイト法に従って合成を行った。
【0212】
合成完了後、生成物を、28%アンモニア水溶液を用いて室温下で1.5時間処理してカラム担体からの切り出しを行い、次いで55℃で24時間静置することにより塩基部の脱保護およびリン酸ジエステル部の脱保護を行った。その後、簡易逆相カラム(Waters社製Sep-Pak(登録商標)Plus C18 Environmental Cartridges)により精製し、さらに逆相HPLCにて精製を行った。
【0213】
精製したオリゴヌクレオチドの組成をMALDI-TOF-MS測定により決定した。当該測定にあたり、まず、3-ヒドロキシピコリン酸水溶液(10mg/mL)とクエン酸二アンモニウム水溶液(1mg/mL)とを1:1の容量比で混合したマトリックス(1μL)を乾燥させたアンカーチップ上に、オリゴヌクレオチド水溶液(約50μM,1μL)を載せて再度乾燥させ、その後MALDI-TOF-MS測定を行った。分子量の測定をネガティブモードで行い、オリゴチミジル酸(7mer、9mer、11merおよび13mer)を外部標準として用いた。また、合成したオリゴヌクレオチドの定量を、吸光度測定装置(株式会社島津製作所製SHIMADZU UV-1800)を用いて260nmにおける紫外部吸収を測定することで行った。
【0214】
(実施例6:二重鎖形成能の評価)
実施例5に記載のようにして、以下の配列のオリゴヌクレオチドを合成および精製した:
5’-d(GCGTTXTTTGCT)-3’(配列番号1~2)
(1)X=チミジン(T)(配列番号1)
(2)X=5’-ジメチルチミジン(5’-diMe-T)(配列番号2)
【0215】
上記(2)の配列のオリゴヌクレオチドの合成の際、化合物8を用いて、オリゴヌクレオチドの配列の5’側から数えて5番目にチミジン(T)かつ6番目(「X」)に5’-ジメチルチミジン(5’-diMe-T)を並べた。
【0216】
標的鎖として一本鎖オリゴRNA5’-r(AGCAAAAAACGC)-3’(配列番号3)および一本鎖オリゴDNA5’-d(AGCAAAAAACGC)-3’(配列番号4)を用いて、各オリゴヌクレオチドの二重鎖形成能(結合親和性)を調べた。
【0217】
オリゴヌクレオチドの二重鎖形成能を、各種オリゴヌクレオチドと標的鎖とをアニーリング処理して二重鎖を形成させた後、T値を測定することにより調べた。より詳細には、各オリゴヌクレオチド(終濃度4μM)と塩化ナトリウム(終濃度100mM)のリン酸緩衝液(10mM,pH7.2,130μL)の混合液を沸騰水中に浴し、室温までゆっくり冷却した。その後、窒素気流下で5℃まで冷却し、測定を開始した。0.5℃/分で90℃まで昇温し、0.5℃間隔で260nmにおける吸光度をプロットした。T値を中線法により算出し、独立した3回の測定における平均値とした。結果を以下の表12に示す。表12中、一本鎖オリゴRNAに対する結果を「ssRNA」、一本鎖オリゴDNAに対する結果を「ssDNA」に示し、そして各オリゴヌクレオチドのTと、人工修飾核酸1塩基当たりのTm変動温度(「ΔT/mod.」)とを示す。
【0218】
【表12】
【0219】
化合物8を用いて合成した5’-ジメチルチミジン含有オリゴヌクレオチドの場合(上記(2))、一本鎖オリゴDNAおよび一本鎖オリゴRNAの両方とも、天然のオリゴヌクレオチド(上記(1))と比べてT値はわずかに低下したのみであり、結合親和性を損なわなかった。
【0220】
(実施例7:ヌクレアーゼ耐性能の評価)
実施例5に記載のようにして、以下の10merの配列のオリゴヌクレオチドを合成および精製し、被験オリゴヌクレオチドとして用いた:
5’-TTTTTTTTTX-3’
(3)X=ホスホロチオエートチミジン(ps-T)(ホスホロチオエート結合(ヌクレオチド間の結合部位のリン酸基を硫黄化(S化)した)
(4)X=5’-ジメチルチミジン(5’-diMe-T)
【0221】
上記(4)の配列のオリゴヌクレオチドの合成の際、化合物8を用いて、オリゴヌクレオチドの配列の5’側から数えて9番目にチミジン(T)かつ10番目(「X」)に5’-ジメチルチミジン(5’-diMe-T)を並べた。
【0222】
7.5μM被験オリゴヌクレオチドと10mM塩化マグネシウムを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に、2.5μg/mLの3’-エキソヌクレアーゼ(Crotalus adamanteus venom phosphodiesterase,CAVP)を加え、37℃でインキュベートした。インキュベーションの開始時(0分)、2.5分後、5分後、10分後、20分後、40分後にそれぞれ10μLずつ試料を取り出し、逆相HPLCで解析し、未切断のオリゴヌクレオチドの割合を算出した。また、評価は独立した3回の測定により導き出した。
【0223】
結果を図1に示す。図1中、黒菱形は上記(3)の結果、そして黒四角は上記(4)の結果を表す。図1から明らかなように、本実施例では、ホスホロチオエート化(PS)オリゴ(上記(3))において、ヌクレアーゼ処理40分後の未切断オリゴヌクレオチドの残存率は約20%以下に低下したのに対し、化合物8を用いて合成した5’-ジメチルチミジン含有オリゴヌクレオチド(上記(4))は、ヌクレアーゼ処理の40分後でも約80%が未切断で残存しており、分解されにくかった。このことから、5’-ジメチル修飾によって、ホスホロチオエート修飾と比べて高いヌクレアーゼ耐性が獲得できることが確認された。
【0224】
(実施例8:RNase H活性の評価)
実施例5に記載のようにして、以下の配列のオリゴヌクレオチドを合成および精製し、被験オリゴヌクレオチドとして用いた:
(5)5’-GttttttttG-3’(配列番号5)
(6)5’-GtttXtttXG-3’(配列番号6)
(7)5’-GtXttXttXG-3’(配列番号7)
(8)5’-G-3’(配列番号8)
、C、U:2’-O-メチル修飾
t=チミジン
X=5’-ジメチルチミジン(5’-diMe-T)
【0225】
上記(6)および(7)の配列のオリゴヌクレオチドの合成の際、化合物8を用いて、各配列中の「tX」の位置(5’側から数えて配列(6)の6番目-7番目および10番目-11番目、ならびに配列(7)の4番目-5番目、7番目-8番目および10番目-11番目)にチミジン(t)と5’-ジメチルチミジン(5’-diMe-T)とを並べた。
【0226】
50mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)と3mM塩化マグネシウム、10mMジチオトレイトールを含む混合溶液に、被験オリゴヌクレオチド(60pmol)とフルオレセインで標識された相補鎖RNA(5’-FAM-r(AGCAAAAAAAACGC)-3’(配列番号9))(300pmol)とを溶解させた。各試料を65℃まで加熱した後、室温までゆっくり冷却した。3.0ユニットの大腸菌由来RNase Hを各試料に加え、37℃にてインキュベートした。40分後、ホルムアミド/0.1Mエチレンジアミン四酢酸混合溶液(ホルムアミド:0.1Mエチレンジアミン四酢酸=14:1(容量比))を試料容積の3倍量加え、反応を停止させた。切断産物は20%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって解析した。なお、各配列の切断率をバンドの蛍光強度比によって、配列(8)の残存率を100%として算出した。結果を以下の表13に示す。
【0227】
【表13】
【0228】
5’-ジメチルチミジンを3個置きに導入したオリゴヌクレオチド(配列(6))は、5’-ジメチルチミジンを含まないオリゴヌクレオチド(配列(5))と同程度の切断率を示した。一方、5’-ジメチルチミジンを2個置きに導入したオリゴヌクレオチド(配列(7))は、5’-ジメチルチミジンを含まないオリゴヌクレオチド(配列(5))と比べるとやや低い切断率を示したが、切断は見られた。これらのことから、5’-ジメチル修飾は、RNase H誘導型アンチセンスオリゴヌクレオチドへの利用も可能であることを確認した。
【0229】
(実施例9:アンチセンス活性ならびに肝毒性の評価)
実施例5に記載のようにして、以下の配列のオリゴヌクレオチドを合成および精製し、被験オリゴヌクレオチドとして用いた。被験オリゴヌクレオチドの配列は、NR3C1のアンチセンスとして2種設計した:
ASO1:5’-G^T^C^t^c^t^t^t^a^c^c^T^G^G-3’(配列番号10)
ASO2:5’-G^T^C^t^c^tX^t^a^c^c^T^G^G-3’(配列番号11)
ASO3:5’-A^G^G^t^g^c^t^t^t^g^g^T^C^T-3’(配列番号12)
ASO4:5’-A^G^G^t^g^c^t^tX^g^g^T^C^T-3’(配列番号13)
a、g、cおよびt=DNA
A=LNA-A、G=LNA-G、C=LNA-5-メチルシトシン、T=LNA-T
X=5’-ジメチルチミジン(5’-diMe-T)
^=ホスホロチオエート結合(ヌクレオチド間の結合部位のリン酸基を硫黄化(S化)した)
【0230】
6週齢のマウス(C57BL/6NCrl、雄)の尾静脈に、上記被験オリゴヌクレオチド(20mg/kg)を投与した。コントロールとして生理食塩水を投与した。96時間後、吸入麻酔下(イソフルラン)で採血を行い、放血安楽死させた。その後、肝臓を採取し、肝臓重量の測定ならびにRNA抽出(TRIzolでホモジナイズ後、フェノール・クロロホルム抽出)を行った。血液中のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)およびアラニントランスアミナーゼ(ALT)の活性を自動分析装置(日本電子株式会社製JCA-BM6070)により測定した。また、標的遺伝子NR3C1ならびにハウスキーピング遺伝子GAPDHのmRNA発現量をリアルタイムPCR(使用キット:One Step SYBR PrimeScript RT-PCR Kit(タカラバイオ株式会社製)、プライマー配列:NR3C1 forward(actgtccagcatgccgctat)(配列番号14)、NR3C1 reverse(gcagtggcttgctgaattcc)(配列番号15)、GAPDH forward(gtgtgaacggatttggccgt)(配列番号16)、GAPDH reverse(gacaagcttcccattctcgg)(配列番号17))により測定した。
【0231】
得られた結果を図2図5に示す。図2および図3は、各被験オリゴヌクレオチドを投与した場合ならびに生理食塩水投与の場合のマウス肝臓中の標的遺伝子NR3C1のmRNA量を示すグラフであり、生理食塩水を投与した場合のmRNA量を100とした場合の相対値にて表す(図2:ASO1およびASO2、ならびに図3:ASO3およびASO4)。図4および図5は、各被験オリゴヌクレオチドを投与した場合ならびに生理食塩水投与の場合の血液中のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)およびアラニントランスアミナーゼ(ALT)の活性を示すグラフであり、5’-ジメチルチミジンを含まないオリゴヌクレオチド(ASO1またはASO3)投与の場合のALT値およびAST値のそれぞれを100とした場合の相対値にて表す(図4:ASO1およびASO2、ならびに図5:ASO3およびASO4)。
【0232】
図2および図3に示すように、ASO1とASO2の間、ならびにASO3とASO4との間で、RNA発現量はコントロールの生理食塩水投与の場合と比べて同程度に抑制された。よって、5’-ジメチルチミジンを含むオリゴヌクレオチドは、5’-ジメチルチミジンを含まないオリゴヌクレオチドと比べてアンチセンス活性はほぼ同程度であった。図4および図5に示すように、5’-ジメチルチミジンを用いたASO2およびASO4では、それぞれ5’-ジメチルチミジンを用いないASO1およびASO3と比較して、肝毒性の指標となるASTおよびALTの値を有意に減少させた。このことから、5’-ジメチル修飾によって、アンチセンスオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性を損なうことなく肝毒性を減少させることができることが確認された。
【0233】
(実施例10:5’-ジエチル修飾核酸のヌクレアーゼ耐性能の評価)
Xの化合物として化合物20のジエチルチミジン(5’-diEt-T)を用いたこと以外は実施例5に記載のようにして、以下の10merの配列のオリゴヌクレオチドを合成および精製し、被験オリゴヌクレオチドとして用いた:
5’-TTTTTTTTTX-3’
(9)X=ホスホロチオエートチミジン(ps-T)(ホスホロチオエート結合(ヌクレオチド間の結合部位のリン酸基を硫黄化(S化)した)
(10)X=5’-ジメチルチミジン(5’-diMe-T)
(11)X=5’-ジエチルチミジン(5’-diEt-T)
【0234】
上記(10)または(11)の配列のオリゴヌクレオチドの合成の際、化合物8または20を用いて、オリゴヌクレオチドの配列の5’側から数えて9番目にチミジン(T)かつ10番目(「X」)に5’-ジメチルチミジン(5’-diMe-T)または5’-ジエチルチミジン(5’-diEt-T)を並べた。
【0235】
7.5μM被験オリゴヌクレオチドと10mM塩化マグネシウムを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に、3.0μg/mLの3’-エキソヌクレアーゼ(Crotalus adamanteus venom phosphodiesterase,CAVP)を加え、37℃でインキュベートした。インキュベーションの開始時(0分)、2.5分後、5分後、10分後、20分後、40分後にそれぞれ10μMずつ試料を取り出し、逆相HPLCで解析し、未切断のオリゴヌクレオチドの割合を算出した。また、評価は独立した3回の測定により導き出した。
【0236】
結果を図6に示す。図6中、黒丸は上記(9)の結果(PS)、黒三角は上記(10)の結果(5’diMeT)、そして白菱形は上記(11)の結果(5’diEtT)を表す。図6から明らかなように、本実施例では、ホスホロチオエート化(PS)オリゴ(上記(9))において、ヌクレアーゼ処理20分以降で未切断オリゴヌクレオチドの残存率が約20%以下に低下したのに対し、化合物20を用いて合成した5’-ジエチルチミジン含有オリゴヌクレオチド(上記(11))は、化合物8を用いて合成した5’-ジメチルチミジン含有オリゴヌクレオチド(上記(10))と同様に、ヌクレアーゼ処理の40分後でも約60%が未切断で残存しており、分解されにくかった。このことから、5’-ジメチル修飾だけでなく、5’-ジエチル修飾によっても、ホスホロチオエート修飾と比べて高いヌクレアーゼ耐性が獲得できることが確認された。
【0237】
(実施例11:5’-ジエチル修飾核酸の二重鎖形成能の評価)
Xの化合物として化合物20のジエチルチミジン(5’-diEt-T)を用いたこと以外は実施例5に記載のようにして、以下の配列のオリゴヌクレオチドを合成および精製し、被験オリゴヌクレオチドとして用いた:
(12)5’-d(GCGTTTTTTGCT)-3’(配列番号1)
(13)5’-d(GCGTTXTTTGCT)-3’(配列番号18)
(14)5’-d(GCGTTXTXTGCT)-3’(配列番号19)
配列(13)および(14)中のXは、5’-ジエチルチミジン(5’-diEt-T)である。
【0238】
上記(13)の配列のオリゴヌクレオチドの合成の際、化合物20を用いて、オリゴヌクレオチドの配列の5’側から数えて5番目にチミジン(T)かつ6番目(「X」)に5’-ジエチルチミジン(5’-diEt-T)を並べた。上記(14)の配列のオリゴヌクレオチドについては、5’側から数えて5番目と7番目にチミジン(T)かつ6番目と8番目(「X」)に5’-ジエチルチミジン(5’-diEt-T)を並べた。
【0239】
標的鎖として一本鎖オリゴRNA5’-r(AGCAAAAAACGC)-3’(配列番号3)および一本鎖オリゴDNA5’-d(AGCAAAAAACGC)-3’(配列番号4)を用いて、各オリゴヌクレオチドの二重鎖形成能(結合親和性)を調べた。
【0240】
オリゴヌクレオチドの二重鎖形成能を、上記の実施例6と同様に評価した。結果を以下の表14に示す。表14中、一本鎖オリゴRNAに対する結果を「ssRNA」、一本鎖オリゴDNAに対する結果を「ssDNA」に示し、そして各オリゴヌクレオチドのTと、人工修飾核酸1塩基当たりのTm変動温度(「ΔT/mod.」)とを示す。
【0241】
【表14】
【0242】
化合物20を用いて合成した5’-ジエチルチミジン含有オリゴヌクレオチドの場合(上記(13)および(14))、一本鎖オリゴDNAおよび一本鎖オリゴRNAとも、天然のオリゴヌクレオチド(上記(12))と比べてT値はわずかに低下したのみであり、結合親和性を損なわなかった。5’-ジエチルチミジンの量を増やした場合、特にRNAに対する二重鎖形成能が損なわれなかった。
【産業上の利用可能性】
【0243】
本発明によれば、ホスホロチオエート修飾核酸の代替とすることが可能な新規な5’位修飾ヌクレオシドおよびそれを用いたヌクレオチドが提供される。本発明の5’位修飾ヌクレオシドはまた、その製造においてジアステレオマーの分離工程を必要としないため、工業的生産性にも優れている。本発明の5’位修飾ヌクレオシドを用いて得られるオリゴヌクレオチドは、例えば、核酸医薬への素材として有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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