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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】接合システムおよび接合方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240219BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 N
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023511461
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2022015840
(87)【国際公開番号】W WO2022210839
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2021059944
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】304019355
【氏名又は名称】ボンドテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】山内 朗
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-056507(JP,A)
【文献】特開平01-163951(JP,A)
【文献】特開平07-283286(JP,A)
【文献】特開2021-034406(JP,A)
【文献】特開2001-085500(JP,A)
【文献】特開2017-162919(JP,A)
【文献】特開平08-330202(JP,A)
【文献】特開平07-211763(JP,A)
【文献】特開2002-064042(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0071807(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの被接合物を接合する接合システムであって、
減圧下で前記2つの被接合物の位置決めを行う位置決め工程を実行した後、減圧下で前記2つの被接合物を接触させる接触工程を実行する接合装置と、
前記2つの被接合物を前記接合装置へ搬送する搬送装置と、を備え、
前記接合装置と前記搬送装置とは、互いに離間した位置に固定された状態で、前記接合装置と前記搬送装置とがシール部材を介して当接した第1状態と、前記第1状態から前記シール部材が収縮して前記接合装置と前記搬送装置とが離間した第2状態と、を繰り返し、
前記搬送装置は、前記接合装置に当接した前記第1状態で、前記2つの被接合物を前記接合装置へ搬送し、
前記接合装置は、前記搬送装置が前記接合装置から離間した前記第2状態であり且つ少なくとも前記搬送装置で発生し前記接合装置へ伝達する振動を除振しながら、前記位置決め工程および前記接触工程を実行する、
接合システム。
【請求項2】
前記接合装置は、前記2つの被接合物のうちのいずれか一方を保持する第1保持部および前記2つの被接合物のうちの他方を保持する第2保持部が設置されるトッププレートへ伝達する振動を相殺するように前記トッププレートを能動的に振動させることで前記トッププレートへ伝達する振動を除去しながら、前記位置決め工程および前記接触工程を実行する、
請求項1に記載の接合システム。
【請求項3】
前記接合装置は、
減圧状態に維持される第1チャンバと、
前記第1チャンバの一部に設けられた第1ゲートと、
前記第1ゲートを開閉駆動する第1ゲート駆動部と、
前記第1チャンバの外側において前記第1ゲートを囲繞するように設けられた第1枠体と、を有し、
前記搬送装置は、
減圧状態に維持される第2チャンバと、
前記第2チャンバの一部に設けられた第2ゲートと、
前記第2ゲートを開閉駆動する第2ゲート駆動部と、
前記第2チャンバの外側において前記第2ゲートを囲繞するように設けられ、前記第1枠体に対向するとともに、前記第1枠体から離間した状態で配置される第2枠体と、
環状であり、内側に流体が充填される充填領域が形成されるとともに、前記第1枠体と前記第2枠体との間に配置され、前記充填領域に流体が充填されることにより膨張して前記第1枠体に密着し前記第1枠体と前記第2枠体との間の領域を密封する前記第1状態と、前記充填領域内の流体が排出されることにより収縮して前記第1枠体と前記第2枠体との少なくとも一方から離間した状態となる前記第2状態と、をとりうる前記シール部材と、
前記シール部材を前記第1状態と前記第2状態とのいずれか一方となるように流体を前記充填領域へ充填したり前記充填領域に充填された流体を排出したりするシール駆動部と、
前記シール部材が前記第1状態であり、前記第1ゲートと前記第2ゲートとが開状態であるときに、前記第2チャンバ内から前記第1チャンバ内へ前記2つの被接合物の少なくとも一方を搬送する搬送手段と、を有する、
請求項1または2に記載の接合システム。
【請求項4】
2つの被接合物を接合する接合システムであって、
減圧下で前記2つの被接合物の位置決めを行う位置決め工程を実行した後、減圧下で前記2つの被接合物を接触させる接触工程を実行する接合装置と、
前記2つの被接合物を前記接合装置へ搬送する搬送装置と、を備え、
前記接合装置は、
減圧状態に維持される第1チャンバと、
前記第1チャンバの一部に設けられた第1ゲートと、
前記第1ゲートを開閉駆動する第1ゲート駆動部と、
前記第1チャンバの外側において前記第1ゲートを囲繞するように設けられた第1枠体と、を有し、
前記搬送装置は、
減圧状態に維持される第2チャンバと、
前記第2チャンバの一部に設けられた第2ゲートと、
前記第2ゲートを開閉駆動する第2ゲート駆動部と、
前記第2チャンバの外側において前記第2ゲートを囲繞するように設けられ、前記第1枠体に対向するとともに、前記第1枠体から離間した状態で配置される第2枠体と、
環状であり、内側に流体が充填される充填領域が形成されるとともに、前記第1枠体と前記第2枠体との間に配置され、前記充填領域に流体が充填されることにより膨張して前記第1枠体に密着し前記第1枠体と前記第2枠体との間の領域を密封する第1状態と、前記充填領域内の流体が排出されることにより収縮して前記第1枠体と前記第2枠体との少なくとも一方から離間した状態となる第2状態と、をとりうるシール部材と、
前記シール部材を前記第1状態と前記第2状態とのいずれか一方となるように流体を前記充填領域へ充填したり前記充填領域に充填された流体を排出したりするシール駆動部と、
前記シール部材が前記第1状態であり、前記第1ゲートと前記第2ゲートとが開状態であるときに、前記第2チャンバ内から前記第1チャンバ内へ前記2つの被接合物の少なくとも一方を搬送する搬送手段と、を有し、
前記搬送装置は、前記接合装置に当接した状態で、前記2つの被接合物を前記接合装置へ搬送し、
前記接合装置は、前記搬送装置から離間した状態で、前記位置決め工程および前記接触工程を実行し、
前記第1チャンバの真空度は、前記第2チャンバの真空度よりも高く、
前記搬送装置が、前記第2チャンバ内から前記第1チャンバ内へ前記2つの被接合物の少なくとも一方を搬送する際、前記シール部材が前記第状態であり且つ前記第1ゲートと前記第2ゲートとが閉状態である状態において、前記第2ゲート駆動部が、前記第2ゲートを開状態にした後、前記第1ゲート駆動部が前記第1ゲートを開状態にすることにより前記シール部材の内側に存在するガスが前記第1チャンバ内へ流入するのを抑制する
接合システム。
【請求項5】
前記第1ゲート駆動部、前記第2ゲート駆動部、前記シール駆動部および前記搬送手段を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記搬送手段を制御して前記2つの被接合物の少なくとも一方を前記第2チャンバ内から前記第1チャンバ内へ搬送する前に、前記シール駆動部を制御して前記シール部材を前記第2状態から前記第1状態にした後、前記第2ゲート駆動部を制御して前記第2ゲートを開状態にし、その後、前記第1ゲート駆動部を制御して前記第1ゲートを開状態にする、
請求項3に記載の接合システム。
【請求項6】
前記接合装置は、
前記第1チャンバ内において前記2つの被接合物のうちのいずれか一方を保持する第1保持部と、
前記第1チャンバ内において前記2つの被接合物のうちの他方を保持する第2保持部と、
前記2つの被接合物の相対的な位置を測定する位置測定部と、
前記第1保持部と前記第2保持部とのうちの少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させる保持部駆動部と、を更に有する、
請求項3乃至5のいずれか1項に記載の接合システム。
【請求項7】
前記接合装置が載置される第1架台と、
前記第1架台とは異なり、前記搬送装置が載置される第2架台と、を更に備え、
前記第1架台と前記第2架台とは、互いに離間して配置されている、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の接合システム。
【請求項8】
減圧状態に維持される第1チャンバ、前記第1チャンバ内において前記2つの被接合物のうちのいずれか一方を保持する第1保持部、前記第1チャンバ内において前記2つの被接合物のうちの他方を保持する第2保持部、および、前記2つの被接合物の相対的な位置を測定する位置測定部が鉛直上方に配置されるトッププレートと、
防振機構を有し、鉛直上方において前記トッププレートを移動自在に支持するプレート支持部と、を有する、
請求項7に記載の接合システム。
【請求項9】
前記プレート支持部は、前記第1架台の鉛直上方に配置され、
前記トッププレートに伝達する振動を検出する振動検出部と、
前記トッププレートを前記プレート支持部に対して相対的に移動させるプレート駆動部と、
前記振動検出部により検出される前記振動に基づいて、前記振動を相殺するように前記トッププレートを移動させるよう前記プレート駆動部を制御する除振制御部と、を有する、
請求項8に記載の接合システム。
【請求項10】
前記第1架台は、
前記トッププレートと、
前記プレート支持部と、
前記トッププレートに伝達する振動を検出する振動検出部と、
前記トッププレートを前記プレート支持部に対して相対的に移動させるプレート駆動部と、
前記振動検出部により検出される前記振動に基づいて、前記振動を相殺するように前記トッププレートを移動させるよう前記プレート駆動部を制御する除振制御部と、を有する、
請求項8に記載の接合システム。
【請求項11】
2つの被接合物を接合する接合方法であって、
搬送装置が、接合装置にシール部材を介して当接した第1状態で、前記2つの被接合物を前記接合装置へ搬送する搬送工程と、
前記搬送装置が、前記接合装置から離脱し前記接合装置から離間した状態となる離脱工程と、
前記接合装置が、減圧下で前記2つの被接合物のうちのいずれか一方に対する他方の位置決めを行う位置決め工程と、
前記接合装置が、減圧下で前記2つの被接合物を接触させる接触工程と、を含み、
前記接合装置と前記搬送装置とは、互いに離間した位置に固定された状態で、前記第1状態と、前記第1状態から前記シール部材が収縮して前記接合装置と前記搬送装置とが離間した第2状態と、を繰り返し、
前記接合装置が、前記搬送装置が前記接合装置から離間した前記第2状態であり且つ少なくとも前記搬送装置で発生し前記接合装置へ伝達する振動を除振しながら、前記位置決め工程および前記接触工程を行う
接合方法。
【請求項12】
前記接合装置が、前記2つの被接合物それぞれを保持する被接合物保持部が設置されるトッププレートへ伝達する振動を相殺するように前記トッププレートを能動的に振動させることで前記トッププレートへ伝達する振動を除去しながら、前記位置決め工程および前記接触工程を実行する、
請求項11に記載の接合方法。
【請求項13】
前記接合装置は、減圧状態に維持される第1チャンバと、前記第1チャンバの一部に設けられた第1ゲートと、前記第1チャンバの外側において前記第1ゲートを囲繞するように設けられた第1枠体と、を有し、
前記搬送装置は、減圧状態に維持される第2チャンバと、前記第2チャンバの一部に設けられた第2ゲートと、前記第2チャンバの外側において前記第2ゲートを囲繞するように設けられ、前記第1枠体に対向するとともに、前記第1枠体から離間した状態で配置される第2枠体と、環状であり、内側に流体が充填される充填領域が形成されるとともに、前記第1枠体と前記第2枠体と間に配置され、前記充填領域に流体が充填されることにより膨張して前記第1枠体に密着し前記第1枠体と前記第2枠体との間の領域を密封する前記第1状態と、前記充填領域内の流体が排出されることにより収縮して前記第1枠体と前記第2枠体との少なくとも一方から離間した状態となる前記第2状態と、をとりうる前記シール部材と、を有し、
前記搬送工程の前に、前記搬送装置が、流体を前記充填領域へ充填することにより、前記シール部材を前記第2状態から前記第1状態にするシール部材当接工程を更に含む、
請求項11または12に記載の接合方法。
【請求項14】
前記シール部材当接工程の後、前記第2ゲートを開状態にする第2ゲート開放工程と、
前記第2ゲート開放工程の後、前記第1ゲートを開状態にする第1ゲート開放工程と、を更に含む、
請求項13に記載の接合方法。
【請求項15】
2つの被接合物を接合する接合方法であって、
搬送装置が、接合装置に当接した状態で、前記2つの被接合物を前記接合装置へ搬送する搬送工程と、
前記搬送装置が、前記接合装置から離脱し前記接合装置から離間した状態となる離脱工程と、
前記接合装置が、前記搬送装置が前記接合装置から離間した状態で、減圧下で前記2つの被接合物のうちのいずれか一方に対する他方の位置決めを行う位置決め工程と、
前記接合装置が、前記搬送装置が前記接合装置から離間した状態で、減圧下で前記2つの被接合物を接触させる接触工程と、を含み、
前記接合装置は、減圧状態に維持される第1チャンバと、前記第1チャンバの一部に設けられた第1ゲートと、前記第1チャンバの外側において前記第1ゲートを囲繞するように設けられた第1枠体と、を有し、
前記搬送装置は、減圧状態に維持される第2チャンバと、前記第2チャンバの一部に設けられた第2ゲートと、前記第2チャンバの外側において前記第2ゲートを囲繞するように設けられ、前記第1枠体に対向するとともに、前記第1枠体から離間した状態で配置される第2枠体と、環状であり、内側に流体が充填される充填領域が形成されるとともに、前記第1枠体と前記第2枠体と間に配置され、前記充填領域に流体が充填されることにより膨張して前記第1枠体に密着し前記第1枠体と前記第2枠体との間の領域を密封する第1状態と、前記充填領域内の流体が排出されることにより収縮して前記第1枠体と前記第2枠体との少なくとも一方から離間した状態となる第2状態と、をとりうるシール部材と、を有し、
前記第1チャンバの真空度は、前記第2チャンバの真空度よりも高く、
前記搬送工程の前に、前記搬送装置が、流体を前記充填領域へ充填することにより、前記シール部材を前記第2状態から前記第1状態にするシール部材当接工程と、
前記シール部材当接工程の後、前記第2ゲートを開状態にする第2ゲート開放工程と、
前記第2ゲート開放工程の後、前記第1ゲートを開状態にすることにより前記シール部材の内側に存在するガスが前記第1チャンバ内へ流入するのを抑制する第1ゲート開放工程と、を更に含む、
接合方法。
【請求項16】
前記接合装置を第1架台に設置し、前記搬送装置を前記第1架台とは異なり且つ前記第1架台から離間して配置された第2架台に設置した状態で、前記搬送工程、前記離脱工程、前記位置決め工程および前記接触工程を行う、
請求項11乃至15のいずれか1項に記載の接合方法。
【請求項17】
前記位置決め工程および前記接触工程において、前記接合装置が有する前記2つの被接合物のうちのいずれか一方を保持する第1保持部と、前記2つの被接合物のうちの他方を保持する第2保持部と、前記2つの被接合物の相対的な位置を測定する位置測定部と、前記第1保持部と前記第2保持部とのうちの少なくとも一方を他方に対して相対的に移動させる保持部駆動部と、が鉛直上方に配置されるトッププレートと、防振機構を有し、鉛直上方において前記トッププレートを移動自在に支持するプレート支持部と、を用いる、
請求項16に記載の接合方法。
【請求項18】
前記位置決め工程および前記接触工程において、前記プレート支持部を、前記第1架台の鉛直上方に配置し、前記トッププレートに伝達する振動を検出し、検出した前記振動に基づいて、前記トッププレートを前記プレート支持部に対して相対的に移動させる、
請求項17に記載の接合方法。
【請求項19】
前記位置決め工程および前記接触工程において、前記トッププレートに伝達する振動を検出し、検出した前記振動に基づいて、前記トッププレートを前記プレート支持部に対して相対的に移動させる、
請求項17に記載の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合システムおよび接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの被接合物の一方をステージに保持し他方をヘッドに保持した状態で、両被接合物の位置ずれ量を測定し、その位置ずれ量に基づいて被接合物の位置合わせを行った後、被接合物同士を接合する接合装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-066287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された接合装置は、被接合物を受け入れるための導入ポートと、導入ポートに載置された被接合物を接合装置内へ搬送するための搬送装置と、一緒に組み合わされて1つの接合システムとして提供されるのが一般的である。この場合、搬送装置で発生する振動が接合装置に伝達すると、接合装置においてヘッドがステージに対して相対的に振動してしまい、両被接合物の相対的な位置ずれ量を精度良く測定できない虞がある。そして、両被接合物の位置ずれ量の測定精度が低いと、両被接合物を高い位置精度で接合することが困難になる。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、被接合物同士を高い位置精度で接合することができる接合システムおよび接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る接合システムは、
2つの被接合物を接合する接合システムであって、
減圧下で前記2つの被接合物の位置決めを行う位置決め工程を実行した後、減圧下で前記2つの被接合物を接触させる接触工程を実行する接合装置と、
前記2つの被接合物を前記接合装置へ搬送する搬送装置と、を備え、
前記接合装置と前記搬送装置とは、互いに離間した位置に固定された状態で、前記接合装置と前記搬送装置とがシール部材を介して当接した第1状態と、前記第1状態から前記シール部材が収縮して前記接合装置と前記搬送装置とが離間した第2状態と、を繰り返し、
前記搬送装置は、前記接合装置に当接した前記第1状態で、前記2つの被接合物を前記接合装置へ搬送し、
前記接合装置は、前記搬送装置が前記接合装置から離間した前記第2状態であり且つ少なくとも前記搬送装置で発生し前記接合装置へ伝達する振動を除振しながら、前記位置決め工程および前記接触工程を実行する。
【0007】
他の観点から見た本発明に係る接合方法は、
2つの被接合物を接合する接合方法であって、
搬送装置が、接合装置にシール部材を介して当接した第1状態で、前記2つの被接合物を前記接合装置へ搬送する搬送工程と、
前記搬送装置が、前記接合装置から離脱し前記接合装置から離間した状態となる離脱工程と、
前記接合装置が、減圧下で前記2つの被接合物のうちのいずれか一方に対する他方の位置決めを行う位置決め工程と、
前記接合装置が、減圧下で前記2つの被接合物を接触させる接触工程と、を含み、
前記接合装置と前記搬送装置とは、互いに離間した位置に固定された状態で、前記第1状態と、前記第1状態から前記シール部材が収縮して前記接合装置と前記搬送装置とが離間した第2状態と、を繰り返し、
前記接合装置が、前記搬送装置が前記接合装置から離間した前記第2状態であり且つ少なくとも前記搬送装置で発生し前記接合装置へ伝達する振動を除振しながら、前記位置決め工程および前記接触工程を行う
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接合装置が、搬送装置が接合装置から離間した状態で、減圧下で2つの被接合物の位置決めを行う位置決め工程を実行した後、減圧下で2つの被接合物を接触させる接触工程を実行する。これにより、接合装置において位置決め工程および接触工程を実行する際、搬送装置で発生した振動による位置ずれ量の誤差の影響が低減されるので、その分、2つの被接合物同士を高い位置精度で接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る基板接合システムの概略構成図である。
図2A】実施の形態に係る接合装置および搬送装置の一部のシール部材が第2状態の場合の概略断面図である。
図2B】実施の形態に係る接合装置および搬送装置の一部のシール部材が第1状態の場合の概略断面である。
図3】実施の形態に係るシール駆動部の概略図である。
図4】実施の形態に係る活性化処理装置の概略正面図である。
図5】実施の形態に係る接合装置の概略正面図である。
図6A】接合する2つの基板の一方に設けられた2つのアライメントマークを示す図である。
図6B】接合する2つの基板の他方に設けられた2つのアライメントマークを示す図である。
図7A】アライメントマークが互いにずれている状態を示す概略図である。
図7B】アライメントマークが互いにずれている状態を示す概略図である。
図8】実施の形態に係る接合装置の一部の概略図である。
図9】実施の形態に係る接合システムが実行する接合方法の流れを示すフローチャートである。
図10A】実施の形態に係る接合システムの搬送装置により基板が搬送される様子を示す図である。
図10B】実施の形態に係る接合システムの搬送装置からロードロック部へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図11A】実施の形態に係る接合システムのロードロック部から搬送装置へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図11B】実施の形態に係る接合システムの搬送装置から活性化処理装置へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図12A】実施の形態に係る接合システムの搬送装置からロードロック部へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図12B】実施の形態に係る接合システムのロードロック部から搬送装置へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図13A】実施の形態に係る接合システムの搬送装置から洗浄装置へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図13B】実施の形態に係る接合システムの洗浄装置から搬送装置へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図14A】実施の形態に係る接合システムの搬送装置からロードロック部へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図14B】実施の形態に係る接合システムのロードロック部から搬送装置へ基板が受け渡される様子を示す図である。
図15A】実施の形態に係る接合システムのシール部材が第1状態になった様子を示す図である。
図15B】実施の形態に係る接合システムの搬送装置により基板が接合装置へ搬送される様子を示す図である。
図16】実施の形態に係る除振ユニットのプレート駆動部を動作させた場合と停止させた場合とにおける振動振幅の周波数スペクトルを示す図である。
図17】変形例に係る接合装置の概略正面図である。
図18】変形例に係る接合装置および搬送装置の一部を示す概略断面図である。
図19】変形例に係る接合装置の一部および搬送装置の概略正面図である。
図20】変形例に係る接合装置の概略正面図である。
図21】変形例に係る接合システムが実行する接合方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る接合システムについて、図を参照しながら説明する。本実施の形態に係る接合システムは、2の被接合物を接合する接合システムである。この接合システムは、接合装置と搬送装置とを備える。接合装置は、第1架台に設置され、減圧下で2つの被接合物の位置決めを行う位置決め工程を実行した後、減圧下で前記2つの被接合物を接触させる接触工程を実行する。搬送装置は、第1架台とは異なり且つ第1架台から離間して配置された第2架台に設置され、2つの被接合物を前記接合装置へ搬送する。そして、接合装置は、搬送装置が接合装置から離間した状態で、前述の位置決め工程および接触工程を実行する。また、接合システムは、活性化処理装置と洗浄装置とを備え、2つの被接合物を接合装置へ搬送する前に、活性化処理装置において、2つの被接合物の接合面について活性化処理を行った後、洗浄装置において、2つの被接合物の接合面を洗浄する。
【0011】
本実施の形態に係る接合システムは、図1に示すように、導入ポート811、812と、取り出しポート813と、搬送装置82、84、86と、洗浄装置3と、活性化処理装置2と、接合装置1と、ロードロック部83、85と、搬送装置82、84、86、洗浄装置3、活性化処理装置2、接合装置1およびロードロック部83、85の動作を制御する制御部9と、を備える。また、接合システムは、接合装置1を支持する第1架台42と、第1架台42とは異なり且つ第1架台42から離間して配置された第2架台41と、を備える。第2架台41は、導入ポート811、812、取り出しポート813、搬送装置82、84、86、洗浄装置3、活性化処理装置2およびロードロック部83、85を纏めて支持する。第1架台42は、例えば耐震架台であり、第2架台41は、例えば鉛直上側にグレーチングが設けられた架台である。
【0012】
搬送装置82は、先端部に基板を保持する保持部が設けられたアームを有する搬送ロボット821を備える。搬送ロボット821は、導入ポート811、812および取り出しポート813の並び方向に沿って移動可能であるとともに、旋回することによりアームの先端部の向きを変更することができる。搬送装置82には、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ(図示せず)が設けられている。これにより、搬送装置82内はパーティクルが極めて少ない大気圧環境になっている。
【0013】
洗浄装置3は、搬送されてきた基板に向けて水、洗浄液またはNガスを吐出しながら洗浄する。洗浄装置3は、基板を支持するステージ(図示せず)と、ステージを鉛直方向に直交する面内で回転させる回転駆動部(図示せず)と、超音波またはメガソニック振動を与えた水、洗浄液またはNガスを吐出する洗浄ノズル(図示せず)と、を有する。そして、洗浄装置3は、洗浄ノズルを基板W1、W2の径方向へ揺動させながら洗浄ノズルから超音波を印加した水を基板の接合面に吹き付けながら、ステージを回転させることにより基板W1、W2の接合面全面を洗浄する。そして、洗浄装置3は、洗浄ノズルによる水の吐出を停止させた状態でステージを回転させることにより基板W1、W2をスピン乾燥する。洗浄装置3にも、搬送装置82と同様に、HEPAフィルタ(図示せず)が設けられている。
【0014】
ロードロック部83は、チャンバ831と、チャンバ831内に連通する排気管(図示せず)と、排気管を通じてチャンバ831内の気体を排出する真空ポンプ(図示せず)と、排気管に介挿された排気弁(図示せず)と、を備える。ロードロック部83は、排気弁を開状態にして真空ポンプを作動させてチャンバ831内の気体を、排気管を通してチャンバ831外へ排出することにより、チャンバ831内の気圧を低減(減圧)する。また、ロードロック部83は、チャンバ831における搬送装置82側に配設されたゲート8331と、チャンバ831における搬送装置84側に配設されたゲート8321と、ゲート8331、8321それぞれを開閉駆動するゲート駆動部8332、8322と、を備える。また、ロードロック部83は、チャンバ831内において基板W1、W2の姿勢を調整するアライメント機構(図示せず)を備える。ゲート8331、8321は、それぞれ、チャンバ831における搬送装置82側に貫設された開口(図示せず)と搬送装置84側に貫設された開口(図示せず)とを覆うように設けられている。また、ロードロック部83は、チャンバ831と、チャンバ831内に連通する排気管(図示せず)と、排気管を通じてチャンバ831内の気体を排出する真空ポンプ(図示せず)と、排気管に介挿された排気弁(図示せず)と、を備える。ロードロック部83は、排気弁を開状態にして真空ポンプを作動させてチャンバ831内の気体を、排気管を通してチャンバ831外へ排出することにより、チャンバ831内の気圧を低減(減圧)する。また、ロードロック部83は、チャンバ831における搬送装置82側に配設されたゲート8331と、チャンバ831における搬送装置84側に配設されたゲート8321と、ゲート8331、8321それぞれを開閉駆動するゲート駆動部8332、8322と、を備える。ゲート駆動部8332、8322は、制御部9から入力される制御信号に基づいて、ゲート8331、8321を開閉駆動する。また、ロードロック部85も、ロードロック部83と同様に、チャンバ851と排気管(図示せず)と真空ポンプ(図示せず)と排気弁(図示せず)とを備える。また、ロードロック部85は、チャンバ851における搬送装置82側に配設されたゲート8531と、チャンバ851における搬送装置86側に配設されたゲート8521と、ゲート8531、8521それぞれを開閉駆動するゲート駆動部8532、8522と、を備える。ゲート駆動部8532、8522は、制御部9から入力される制御信号に基づいて、ゲート8531、8521を開閉駆動する。
【0015】
搬送装置84は、チャンバ843と、チャンバ843内に連通する排気管(図示せず)と、排気管を通じてチャンバ831内の気体を排出する真空ポンプ(図示せず)と、排気管に介挿された排気弁(図示せず)と、基板W1、W2を搬送する搬送ロボット841と、を備える搬送手段である。また、搬送装置84は、排気弁を開状態にして真空ポンプを作動させてチャンバ831内の気体を、排気管を通してチャンバ831外へ排出することにより、チャンバ831内を減圧状態で維持する。また、搬送装置84は、チャンバ843における接合装置1側に配設されたゲート8421と、ゲート8421を開閉駆動するゲート駆動部8422と、を備える。チャンバ843は、接合装置1側に貫設された開口(図示せず)と、ロードロック部83側に貫設された開口(図示せず)と、を有する第2チャンバである。ゲート8421は、チャンバ841における接合装置1側に貫設された開口(図示せず)を覆うようにチャンバ841の一部に設けられた第2ゲートである。ゲート駆動部8421は、搬送ロボット841が基板W1、W2を接合装置1内へ搬送する際、ゲート8421を開状態にする第2ゲート駆動部である。また、チャンバ841におけるロードロック部83側に貫設された開口は、ロードロック部83のゲート8321により覆われている。搬送ロボット841は、先端部に基板を保持する保持部が設けられたアームを有し、旋回することによりアームの先端部の向きを変更することができる。また、保持部は、例えば静電チャックであり、基板W1、W2における接合面側とは反対側を吸着保持する。
【0016】
また、搬送装置84は、図2Aに示すように、チャンバ843の外側においてゲート8421を囲繞するように設けられた枠体712と、環状であり枠体712における後述する接合装置1の枠体713に対向する側において枠体712の全周に亘って配設されたシール部材711と、を備える。枠体712は、枠体713に対向し、枠体713から離間して配置される第2枠体である。枠体712における枠体713に対向する面側には、シール部材711が嵌入される溝712aが全周に亘って形成されている。シール部材711は、例えば合成ゴムから管状に形成され、内側に空気その他気体等の流体が充填される充填領域S71を有する。シール部材711は、内側の充填領域S71に流体が充填されることにより膨張して、図2Bに示すように、枠体713に密着して枠体713と枠体712との間の領域S72を密封する第1状態をとる。一方、シール部材711は、内側の充填領域S72内の流体が排出されることにより収縮して枠体713から離間した状態となる第2状態をとる。
【0017】
更に、搬送装置84は、シール部材711を前述の第1状態と第2状態とのいずれか一方となるように気体をシール部材711の充填領域S71へ充填したり充填領域S71に充填された気体を排出したりするシール駆動部714を備える。シール駆動部714は、例えば図3に示すように、一端部でシール部材711の内側の充填領域S71に連通する入排出管L70と、入排出管L70の他端部に接続された逆止弁CV7と、一端部が逆止弁CV7に接続され他端部がタンクT7に接続された導入管L71と、を備える。また、シール駆動部714は、タンクT7内に気体を供給する圧縮機CPR7と、導入管L71に介挿された電磁弁V71と、導入管L71内の圧力を計測する圧力計M71と、を備える。更に、シール駆動部714は、入排出管L70に接続された排出管L72と、排出管L72に介挿された電磁弁V72と、入排出管L70の圧力を計測する圧力計M72と、を備える。ここで、圧縮機CPR7は、圧力計M71の圧力が予め設定された圧力で維持されるようにタンクT7へ気体を供給する。また、制御部9は、圧力計M72により計測される圧力に基づいて、電磁弁V71、V72を制御する。具体的には、制御部9は、電磁弁V72を閉状態にするとともに電磁弁V71を開状態にすることにより、気体をシール部材711の充填領域S71へ充填することにより、シール部材711を第2状態から第1状態に変化させる。一方、制御部9は、電磁弁V71を閉状態にするとともに電磁弁V72を開状態にすることにより、シール部材711の充填領域S71に充填された気体をシール部材711外へ排出することにより、シール部材711を第1状態から第2状態に変化させる。
【0018】
図1に戻って、搬送装置86は、搬送装置84と同様に、チャンバ863と排気管(図示せず)と真空ポンプ(図示せず)と排気弁(図示せず)と搬送ロボット861と、を備える。また、搬送装置86は、チャンバ863における活性化処理装置2側に配設されたゲート8621と、ゲート8621を開閉駆動するゲート駆動部8622と、を備える。チャンバ863は、活性化処理装置2側に貫設された開口(図示せず)と、ロードロック部85側に貫設された開口(図示せず)と、を有する。ゲート8621は、チャンバ861における活性化処理装置2側に貫設された開口(図示せず)を覆うように配置されている。また、チャンバ861におけるロードロック部85側に貫設された開口は、ロードロック部85のゲート8521により覆われている。搬送ロボット861は、搬送ロボット841と同様に、先端部に基板を保持する保持部が設けられたアームを有し、旋回することによりアームの先端部の向きを変更することができる。また、保持部は、例えば静電チャックであり、基板W1、W2における接合面側とは反対側を吸着保持する。
【0019】
活性化処理装置2は、基板の接合面に対して、窒素ガスを用いた反応性イオンエッチングと窒素ラジカルの照射との少なくとも一方を行うことにより接合面を活性化する活性化処理を行う。活性化処理装置2は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を発生させる装置であり、図4に示すように、ステージ210と、処理チャンバ212と、プラズマチャンバ213と、プラズマチャンバ213の外側に巻回された誘導コイル215と、誘導コイル215へ高周波電流を供給する高周波電源216と、を有する。プラズマチャンバ213は、例えば石英ガラスから形成されている。また、活性化処理装置2は、窒素ガス供給部220Aと、酸素ガス供給部220Bと、を有する。窒素ガス供給部220Aは、窒素ガス貯留部221Aと、供給弁222Aと、供給管223Aと、を有する。酸素ガス供給部220Bは、酸素ガス貯留部221Bと、供給弁222Bと、供給管223Bと、を有する。ステージ210には、基板W1、W2が載置される。処理チャンバ212は、プラズマチャンバ213内に連通している。処理チャンバ212は、排気管201bと排気弁201cとを介して真空ポンプ201aに接続されている。活性化処理装置2は、排気弁201cを開状態にして真空ポンプ201aを作動させて処理チャンバ212内の気体を、排気管202bを通して処理チャンバ212外へ排出することにより、処理チャンバ212内の気圧を低減(減圧)する。
【0020】
高周波電源216としては、誘導コイル215へ例えば27MHzの高周波電流を供給するものを採用することができる。そして、プラズマチャンバ213内にNガスが導入された状態で、高周波電流が誘導コイル215へ供給されると、プラズマチャンバ213内にプラズマPLMが形成される。ここで、誘導コイル215によりプラズマチャンバ213内にプラズマ中に含まれるイオンがトラップされるため、プラズマチャンバ213と処理チャンバ212との間の部分にトラップ板が無い構成であってもよい。誘導コイル215と、高周波電源216と、窒素ガス供給部220Aとから、プラズマチャンバ213内にプラズマPLMを発生させステージ210に支持された基板W1、W2の接合面へプラズマ中のNラジカルを供給するプラズマ発生源が構成される。なお、ここでは、活性化処理装置2として、誘導コイル215と、高周波電源216と、を備えるICPを発生させる装置である例について説明したが、これに限定されるものではなく、代わりにプラズマチャンバ213の外側に配置された平板電極と平板電極に電気的に接続された高周波電源と、プラズマチャンバ213と処理チャンバ212との間の部分に配置されプラズマ中のイオンをトラップするトラップ板と、を備える容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)を発生させる装置であってもよい。この場合、高周波電源としては、例えば27MHzの高周波バイアスを印加するものを採用することができる。そして、高周波電源からプラズマチャンバ内へ供給される電力は、例えば250Wに設定される。バイアス印加部217は、ステージ210に支持された基板W1、W2に高周波バイアスを印加する高周波電源である。このバイアス印加部217としては、例えば13.56MHzの高周波バイアスを発生させるものを採用することができる。このように、バイアス印加部217により基板W1、W2に高周波バイアスを印加することにより、基板W1、W2の接合面の近傍に運動エネルギを有するイオンが繰り返し基板W1、W2に衝突するシース領域が発生する。そして、このシース領域に存在する運動エネルギを有するイオンにより基板W1、W2の接合面がエッチングされる。
【0021】
図1に戻って、接合装置1は、活性化処理装置2において活性化処理された後、洗浄装置3により接合面が洗浄された基板W1、W2同士を接合する。接合装置1は、図5に示すように、チャンバ120と、ステージ141と、ヘッド142と、ステージ駆動部143と、ヘッド駆動部144と、支持機構147と、基板加熱部1481、1481と、位置測定部150と、除振ユニット160と、を備える。なお、以下の説明において、適宜図5の±Z方向を上下方向、XY方向を水平方向として説明する。ステージ141とヘッド142とは、チャンバ120内において、鉛直方向で互いに対向し且つステージ141がヘッド142よりも-Z方向側に位置するように配置されている。ステージ141は、その+Z方向側の面で基板W1を保持する第1保持部であり、ヘッド142は、その-Z方向側の面で基板W2を保持する第2保持部である。ステージ141とヘッド142とは、例えば透光性を有するガラスのような透光性材料から形成されている。ステージ141およびヘッド142には、それぞれ、基板W1、W2を保持する静電チャック(図示せず)と、基板W1、W2の中央部を押圧する押圧機構1431、1432と、が設けられている。
【0022】
チャンバ120は、基板W1、W2が配置される領域S1を予め設定された基準真空度以上の真空度で維持する第1チャンバである。チャンバ120は、排気管121bと排気弁121cとを介して真空ポンプ121aに接続されている。排気弁121cを開状態にして真空ポンプ121aを作動させると、チャンバ120内の気体が、排気管121bを通してチャンバ120外へ排出され、チャンバ120内が減圧雰囲気で維持される。また、排気弁121cの開閉量を変動させて排気量を調節することにより、チャンバ120内の気圧(真空度)を調節することができる。また、チャンバ120の一部には、位置測定部150により基板W1、W2間における相対位置を測定するために使用される窓部153が設けられている。また、チャンバ120の一部には、基板W1、W2を入出させるための開口部120aが設けられている。そして、ゲート1211が、チャンバ120の開口部120aを覆うように設けられている。
【0023】
ステージ駆動部143は、ステージ141をXY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりすることができる保持部駆動部である。ステージ駆動部143が、X方向、Y方向、Z軸周りの回転方向において、ステージ141をヘッド142に対して相対的に移動させることにより、ステージ141に保持された基板W1とヘッド142に保持された基板W2とのアライメントが可能となる。
【0024】
ヘッド駆動部144は、ヘッド142を鉛直上方または鉛直下向(図5の矢印AR1参照)へ昇降させる。また、ヘッド駆動部144は、ヘッド142のステージ141に対する傾きを調整するためのピエゾアクチュエータ1411と、ヘッド142に加わる圧力を測定するための圧力センサ1412と、を有する。圧力センサ1412は、例えばヘッド142が平面視で円形である場合、ヘッド142の周方向における3箇所に配設されている。
【0025】
ヘッド駆動部144は、ヘッド142を鉛直方向へ移動させることにより、ステージ141とヘッド142とを互いに近づけたり、ヘッド142をステージ141から遠ざけたりする。ヘッド駆動部144がヘッド142を鉛直下方へ移動させることにより、ステージ141に保持された基板W1とヘッド142に保持された基板W2とが接触する。そして、基板W1、W2同士が接触した状態においてヘッド駆動部144がヘッド142に対してステージ141に近づく方向への駆動力を作用させると、基板W2が基板W1に押し付けられる。また、ヘッド駆動部144には、ヘッド駆動部144がヘッド142に対してステージ141に近づく方向へ作用させる駆動力を測定する圧力センサ148が設けられている。圧力センサ148の測定値から、ヘッド駆動部144により基板W2が基板W1に押し付けられたときに基板W1、W2の接合面に作用する圧力が検出できる。圧力センサ148は、例えばロードセルから構成される。
【0026】
支持機構147は、チャンバ120内へ搬送される基板W1、W2を受け取る。支持機構147は、基板W1、W2を支持する支持部材1471と、支持部材1471を昇降させる支持部材駆動部1472と、を有する。支持部材1472は、略L字状の形状を有し、先端部がステージ141の周部に形成された段部(図示せず)まで延在している。また、支持機構147は、例えば3つ設けられ、この場合、支持部材1471は、基板W1、W2の周部における3箇所を支持する。また、支持部材1471の先端部には、先端部で基板W1、W2を支持する突起(図示せず)が配設されていてもよい。そして、支持機構147は、支持部材1471の先端部がステージ141に載置された基板W1、W2の周部に当接した状態で、支持部材1471を+Z方向へ駆動することにより、基板W1、W2を持ち上げる。この支持機構147は、ステージ141に固定されており、ステージ141とともに移動する。
【0027】
位置測定部150は、鉛直方向に直交する方向(XY方向、Z軸周りの回転方向)における、基板W1と基板W2との位置ずれ量を測定する。位置測定部150は、第1撮像部151と、第2撮像部152と、ミラー154、155と、を有する。第1撮像部151と第2撮像部152とは、ステージ141における基板W1を保持する側とは反対側に配置されている。第1撮像部151および第2撮像部152は、それぞれ、撮像素子(図示せず)と同軸照明系(図示せず)とを有している。同軸照明系の光源としては、基板W1、W2およびステージ141、チャンバ120に設けられた窓部153を透過する光(例えば赤外光)を出射する光源が用いられる。
【0028】
例えば図6Aおよび図6Bに示すように、基板W1には、2つのアライメントマークMK1a、MK1bが設けられ、基板W2には、2つのアライメントマークMK2a、MK2bが設けられている。接合装置1は、位置測定部150により両基板W1、W2に設けられた各アライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bの位置を認識しながら、両基板W1、W2の位置合わせ動作(アライメント動作)を実行する。より詳細には、接合装置1は、まず、位置測定部150により基板W1、W2に設けられたアライメントマークMK1a、MK1b、MK2a、MK2bを認識しながら、基板W1、W2の大まかなアライメント動作(ラフアライメント動作)を実行して、2つの基板W1、W2を対向させる。その後、接合装置1は、位置測定部500により2つの基板W1、W2に設けられたアライメントマークMK1a、MK2a、MK1b、MK2bを同時に認識しながら、更に精緻なアライメント動作(ファインアライメント動作)を実行する。
【0029】
ここで、図5の破線矢印SC1、SC2に示すように、第1撮像部151の同軸照明系の光源から出射された光は、ミラー154で反射されて上方に進行し、窓部153および基板W1、W2の一部あるいは全部を透過する。基板W1、W2の一部あるいは全部を透過した光は、基板W1、W2のアライメントマークMK1a,MK2aで反射され、下向きに進行し、窓部153を透過してミラー154で反射されて第1撮像部151の撮像素子に入射する。また、第2撮像部502の同軸照明系の光源から出射された光は、ミラー155で反射されて上方に進行し、窓部153および基板W1、W2の一部あるいは全部を透過する。基板W1、W2の一部あるいは全部を透過した光は、基板W1、W2のアライメントマークMK1a,MK2aで反射され、下向きに進行し、窓部153を透過してミラー155で反射されて第2撮像部152の撮像素子に入射する。このようにして、位置測定部150は、図7Aおよび図7Bに示すように、2つの基板W1、W2のアライメントマークMK1a,MK2aを含む撮影画像GAaと、2つの基板W1、W2のアライメントマークMK1b,MK2bを含む撮影画像GAbと、を取得する。なお、第1撮像部151による撮影画像GAaの撮影動作と第2撮像部152による撮影画像GAbの撮影動作とは、略同時に実行される。また、光源がヘッド142に設けられており、光源からの光が、ヘッド142側から第1撮像部151および第2撮像部152に導入される構成であってもよい。
【0030】
図5に戻って、基板加熱部1481、1482は、例えば電熱ヒータであり、それぞれステージ141、ヘッド142に設けられている。基板加熱部1481、1482は、ステージ141およびヘッド142に保持されている基板W1,W2に熱を伝達することにより基板W1、W2を加熱する。また、基板加熱部1481、1482の発熱量を調節することにより、基板W1,W2やそれらの接合面の温度を調節できる。また、基板加熱部1481、1482は、加熱部駆動部(図示せず)に接続されており、加熱部駆動部は、図1に示す制御部9から入力される制御信号に基づいて、基板加熱部1481、1482へ電流を供給することにより基板加熱部1481、1482を発熱させる。
【0031】
除振ユニット160は、いわゆるアクティブ除振台であり、チャンバ120、ステージ141、ヘッド142、ステージ駆動部143、ヘッド駆動部144、基板加熱部1481、1482および位置測定部150を纏めて支持する。除振ユニット160は、図8に示すうように、トッププレート161と、トッププレート161の鉛直下方、即ち、-Z方向側に配置されるベースプレート165と、防振機構を有しベースプレート165に固定されるとともに、+Z方向側においてトッププレート161を鉛直方向および水平方向へ移動自在に支持するプレート支持部162と、を有する。ここで、チャンバ120、ステージ141、ヘッド142、ステージ駆動部143、ヘッド駆動部144、基板加熱部1481、1482および位置測定部150は、トッププレート161の鉛直上方側、即ち、+Z方向側に設置される。プレート支持部162は、例えば空気バネ、コイルバネ等を用いた防振機構を有し、トッププレート161を鉛直方向および水平方向に沿って移動自在に支持する。また、除振ユニット160は、更に、トッププレート161に伝達する振動を検出する振動検出部164と、トッププレート161をプレート支持部162に対して相対的に移動させるプレート駆動部163と、トッププレート161に伝達する振動を低減するようにプレート駆動部163を制御する除振制御部169と、を有する。振動検出部164は、トッププレート161に加わる3次元方向、即ち、XYZ方向における振動を検出する。プレート駆動部423は、油圧式アクチュエータ、電磁式アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ、ピエゾアクチュエータ、リニア式アクチュエータ等からなり、トッププレート161に対してZ軸方向または水平方向へ作用する力を印加する。除振制御部169は、振動検出部164により検出される振動に基づいて、トッププレート161がその振動を相殺するように移動するようにプレート駆動部423を制御する。
【0032】
また、接合装置1は、図2Aに示すように、チャンバ120の外側においてゲート1211を囲繞するように設けられた枠体713と、ゲート1211を駆動するゲート駆動部1212と、を備える。枠体713は、枠体712に対向して配置される第1枠体であり、搬送装置84のシール部材711が第1状態になると、シール部材711が枠体713の全周に密着した状態となる。ところで、基板W1、W2を接合装置1のチャンバ120内へ搬送する際、その都度チャンバ120を大気開放してしまうと、基板W1、W2の搬送後に再度チャンバ120内の真空度を高めるまでに時間を要してしまう。このため、本実施の形態に係る接合システムでは、接合装置1のチャンバ120内を高い真空度で維持しつつ、ロードロック部83および搬送装置84のチャンバ843から接合装置1のチャンバ120へ基板W1、W2を搬送することが要請される。一方、接合装置1において基板W1、W2同士を接合する際には、搬送装置84と接合装置1とが切り離された状態にして振動の影響を低減する必要がある。このため、本実施の形態に係る接合システムでは、前述のような枠体712、713とシール部材711とを備える構成となっている。
【0033】
図1に戻って、制御部9は、例えばパーソナルコンピュータを有する制御システムであり、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを有する。メモリは、CPUが実行するプログラムを記憶する。制御部9は、圧力センサ148および位置測定部150から入力される計測信号を計測情報に変換して取得する。また、制御部9は、第1撮像部151および第2撮像部152から入力される撮影画像信号を撮影画像情報に変換して取得する。更に、制御部9は、保持部駆動部、ピエゾアクチュエータ1411、押圧機構を駆動する押圧駆動部、加熱部駆動部、ステージ駆動部403およびヘッド駆動部404それぞれへ制御信号を出力することによりこれらの動作を制御する。制御部9は、図7Bに示すように、第1撮像部501から取得した撮影画像GAaに基づいて、基板W1、W2に設けられた1組のアライメントマークMK1a,MK2a相互間の位置ずれ量dxa、dyaを算出する。なお、図7Bは、1組のアライメントマークMK1a,MK2aが互いにずれている状態を示している。同様に、制御部9は、第2撮像部502から取得した撮影画像GAbに基づいて、基板W1、W2に設けられた他の1組のアライメントマークMK1b,MK2b相互間の位置ずれ量dxb、dybを算出する。その後、制御部9は、これら2組のアライメントマークの位置ずれ量dxa、dya、dxb、dybと2組のマークの幾何学的関係とに基づいて、X方向、Y方向およびZ軸周りの回転方向における2つの基板W1、W2の相対的な位置ずれ量dx、dy、dθを算出する。そして、制御部9は、算出した位置ずれ量dx、dy、dθが低減されるように、ヘッド402をX方向およびY方向へ移動させたり、Z軸周りに回転させたりする。このようにして、接合装置1は、2つの基板W1、W2の水平方向における位置ずれ量dx、dy、dθを補正するアライメント動作を実行する。また、制御部9は、活性化処理装置2、搬送装置82、84、86、洗浄装置3、ゲート駆動部8332、8322、8532、8522、8622、8422、1212、シール駆動部714へ制御信号を出力することによりこれらの動作を制御する。
【0034】
次に、本実施の形態に係る接合システムについて、基板W1、W2が接合システムに投入されてから基板W1、W2が接合されて接合システムから取り出されるまでの動作の流れを図9乃至図15を参照しながら説明する。ここで、基板W1、W2は、予め導入ポート811、812に配置されているものとする。基板W1、W2としては、例えば、Si基板、ガラス基板、酸化物基板(例えば、酸化ケイ素(SiO)基板、アルミナ基板(Al)等)、窒化物基板(例えば、窒化ケイ素(SiN)、窒化アルミニウム(AlN))のいずれかからなる。なお、基板W1、W2の少なくとも一方は、その接合面に金属部分と絶縁膜とが露出しているものであってもよい。或いは、基板W1、W2の少なくとも一方は、その接合面に酸化物または窒化物を堆積することにより形成された絶縁膜が露出しているものであってもよい。ここでは、基板W1がガラス基板または酸化物基板であり、基板W2がSi基板または窒化物基板であるとして説明する。また、導入ポート811には、例えば接合装置1においてヘッド142に保持される基板W2が配置され、導入ポート812には、例えば接合装置1においてステージ141に載置される基板W1が配置される。
【0035】
まず、図9に示すように、接合システムは、基板W1、W2を導入ポート811、812からロードロック部85へ搬送する(ステップS101)。ここで、基板W2が導入ポート811に配置されている場合、搬送ロボット821は、図10Aの矢印AR11に示すように、基板W2を導入ポート811から取り出す。そして、搬送ロボット821は、図10Aの矢印AR12に示すように、基板W2を保持した状態で、搬送装置82におけるロードロック部85へ基板W2を搬入する位置まで移動する。なお、基板W1が、導入ポート812に配置されている場合、搬送ロボット821は、基板W1を導入ポート812から取り出した後、基板W1を保持した状態でそのまま待機する。次に、ロードロック部85のゲート8531が開放されるとともに、搬送ロボット821が、図10Aの矢印AR13に示すように、アームの先端部がロードロック部85側を向くように旋回する。続いて、搬送ロボット821は、図10Bの矢印AR14に示すように、アームを伸張させることによりアームの先端部をロードロック部85のチャンバ851内へ挿入する。そして、基板W1、W2が、アームの先端部からロードロック部85のチャンバ851内に設けられたステージへ移載される。その後、搬送ロボット821は、基板W1、W2のチャンバ851内のステージへの移載が完了すると、図11Aの矢印AR15に示すように、アームを収縮させる。そして、ロードロック部85は、ゲート8531を閉じた後、チャンバ851内を減圧する。
【0036】
次に、図9に示すように、接合システムは、基板W1、W2をロードロック部85から活性化処理装置2へ搬送する(ステップS102)。ここで、図11Aに示すように、ロードロック部85がゲート8521を開放した後、搬送ロボット861が、アームの先端部をロードロック部85側に向けた状態でアームを伸張させる。そして、搬送ロボット861は、ロードロック部85のチャンバ851内において、基板W1、W2がステージからアームの先端部へ移載されると、矢印AR16に示すように、アームを収縮させることにより基板W1、W2をチャンバ851から取り出す。その後、ロードロック部85は、ゲート8521を閉じる。次に、搬送ロボット861は、図11Bの矢印AR17に示すように、アームの先端部が活性化処理装置2側を向くように旋回する。そして、搬送装置86は、ゲート8621を開放する。続いて、搬送ロボット861は、アームを伸張させてアームの先端部を活性化処理装置2内へ挿入する。そして、矢印AR18に示すように、基板W1、W2が、搬送ロボット861のアームの先端部から活性化処理装置2のステージ210(図4参照)へ移載される。その後、搬送ロボット861がアームを収縮させた後、搬送装置86は、ゲート8621を閉じる。
【0037】
図9に戻って、続いて、活性化処理装置2は、基板W1、W2それぞれの互いに接合される接合面の少なくとも一方に対して、窒素ガスを用いた反応性イオンエッチングと窒素ラジカルの照射との少なくとも一方を行うことにより接合面を活性化する活性化処理工程を行う(ステップS103)。ここにおいて、活性化処理装置2は、接合面を活性化処理する対象となる基板の種類によって処理シーケンスが異なる。活性化処理装置2は、基板W1、即ち、ガラス基板または酸化物基板の接合面を活性化処理する場合、まず、図2に示す供給弁222Aを開くことにより窒素ガス貯留部221Aから供給管223Aを通じて処理チャンバ212内にNガスを導入する。次に、活性化処理装置2は、高周波電源216から誘導コイル215への高周波電流の供給を停止させた状態で、バイアス印加部217によりステージ210に載置された基板W1、W2に高周波バイアスを印加する。これにより、基板W1の接合面に対して、Nガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)が行われる。続いて、活性化処理装置2は、高周波電源216から誘導コイル215への高周波電流の供給を開始して、Nガスでプラズマを発生させる。このとき、活性化処理装置2は、バイアス印加部217による基板W1への高周波バイアスの印加を停止する。このようにして、基板W1の接合面にNラジカルが照射される。
【0038】
一方、活性化処理装置2は、基板W2、即ち、Siまたは窒化物基板の接合面を活性化処理する場合、まず、供給弁222Bを開くことにより酸素ガス貯留部221Bから供給管223Bを通じて処理チャンバ212内にOガスを導入する。次に、活性化処理装置2は、高周波電源216から誘導コイル215への高周波電流の供給を停止させた状態で、バイアス印加部217によりステージ210に載置された基板W2に高周波バイアスを印加する。これにより、基板W2の接合面に対して、Oガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)が行われる。続いて、活性化処理装置2は、供給弁622Bを閉じてOガス貯留部621Bからチャンバ612内へのOガスの供給を停止することにより、チャンバ612内のOガスを排気する。その後、活性化処理装置2は、供給弁222Aを開くことにより窒素ガス貯留部221Aから供給管223Aを通じて処理チャンバ212内にNガスを導入する。その後、活性化処理装置2は、高周波電源216から誘導コイル215への高周波電流の供給を開始して、Nガスでプラズマを発生させる。このとき、活性化処理装置2は、バイアス印加部217による基板W2への高周波バイアスの印加を停止する。このようにして、基板W2の接合面にNラジカルが照射される。
【0039】
図9に戻って、その後、搬送装置86が、基板W1、W2を活性化処理装置からロードロック部85へ搬送する(ステップS104)。ここでは、搬送装置86がゲート8621を開放すると、搬送ロボット861が、アームを伸張させてアームの先端部を活性化処理装置2内へ挿入する。そして、活性化処理装置2内において、基板W1、W2がステージ210からアームの先端部へ移載される。次に、搬送ロボット861は、アームを収縮させることにより、図12Aの矢印AR19に示すように、基板W1、W2を活性化処理装置2から取り出す。続いて、搬送ロボット861は、矢印AR20に示すように、アームの先端部がロードロック部85側を向くように旋回すると、ロードロック部85のゲート8521が開放される。その後、搬送ロボット861が、アームを伸張させてアームの先端部をロードロック部85のチャンバ851内へ挿入する。そして、基板W1、W2がアームの先端部からチャンバ851内のステージへ移載される。次に、搬送ロボット861が、図12Bの矢印AR21に示すように、アームを収縮させるとともに、ロードロック部85がゲート8521を閉じる。
【0040】
次に、搬送装置82は、基板W1、W2をロードロック部85から洗浄装置3へ搬送する(ステップS105)。ここで、ロードロック部85がゲート8531を開放した後、搬送ロボット821が、アームの先端部をロードロック部85側に向けた状態でアームを伸張させてアームの先端部をロードロック部85のチャンバ851内へ挿入する。そして、基板W1、W2が、チャンバ851内のステージから搬送ロボット821のアームの先端部へ移載される。その後、搬送ロボット821が、図12Bの矢印AR22に示すように、アームを収縮させることにより基板W1、W2をロードロック部85から取り出した後、ロードロック部85はゲート8531を閉じる。次に、搬送ロボット821は、矢印AR23に示すように、アームの先端部が洗浄装置3側を向くように旋回する。続いて、搬送ロボット821は、図13Aの矢印AR24に示すように、基板W1、W2を保持した状態で、搬送装置82における基板W1、W2を洗浄装置3へ搬入する位置まで移動する。その後、搬送ロボット821が、アームを伸張させてアームの先端部を洗浄装置3内へ挿入する。そして、矢印AR25に示すように、基板W1、W2が搬送ロボット821のアームの先端部から洗浄装置3のステージへ移載される。
【0041】
図9に戻って、続いて、洗浄装置3は、水を基板W1、W2の接合面に吹き付けながら接合面を洗浄する水洗浄工程を実行する(ステップS106)。ここで、洗浄装置3は、洗浄ヘッドから超音波を印加した水を基板W1、W2の接合面に吹き付けながら、基板W1、W2が載置されたステージをXY方向へスキャンさせて基板W1、W2の接合面全面を洗浄する。これにより、基板W1、W2の接合面に付着した異物が除去される。続いて、洗浄装置3は、洗浄ヘッドによる水の吐出を停止させてから、ステージを回転させることにより基板をスピン乾燥することにより洗浄処理を完了する。
【0042】
その後、搬送装置82が、基板W1、W2を洗浄装置3からロードロック部83へ搬送する(ステップS107)。ここでは、搬送ロボット821が、アームを伸張させてアームの先端部を洗浄装置3内へ挿入し、基板W1、W2をステージからアームの先端部へ移載する。次に、搬送ロボット821は、アームを収縮させることにより、図13Bの矢印AR26に示すように、基板W1、W2を洗浄装置3から取り出す。続いて、搬送ロボット821は、矢印AR27に示すように、基板W1、W2を保持した状態で、アームの先端部がロードロック部83側を向くように旋回する。その後、ロードロック部83がゲート8331を開放すると、搬送ロボット821が、図14Aの矢印AR29に示すように、アームを伸張させることによりアームの先端部をロードロック部83のチャンバ831内へ挿入する。そして、基板W1、W2が、アームの先端部からチャンバ831内のステージへ移載される。次に、搬送ロボット821は、基板W1、W2のチャンバ831内のステージへの移載が完了すると、図14Bの矢印AR30に示すように、アームを収縮させる。そして、ロードロック部83がゲート8331を閉じる。
【0043】
図9に戻って、次に、搬送装置84のシール駆動部714が、気体をシール部材711の充填領域S71へ充填することにより、シール部材711を図2Aに示す第2状態から図2Bに示す第1状態にするシール部材当接工程を実行する(ステップS108)。図9に戻って、続いて、搬送装置84が第2ゲートであるゲート8421を開放する第2ゲート開放工程を実行する(ステップS109)。これにより、図2Bに示す枠体713と枠体712との間の領域S72に存在する空気が、搬送装置84のチャンバ843内に存在する気体を排気するための真空ポンプにより領域S72外へ排出される。その後、図9に示すように、接合装置1が第1ゲートであるゲート1211を開放する第1ゲート開放工程を実行する(ステップS110)。
【0044】
次に、搬送装置84が、基板W1、W2をロードロック部83から接合装置1へ搬送する搬送工程を実行する(ステップS111)。ここでは、ロードロック部83がゲート8321を開放した後、搬送ロボット841が、アームの先端部をロードロック部83側に向けた状態でアームを伸張させてアームの先端部をロードロック部83のチャンバ831内に挿入する。そして、ロードロック部83のチャンバ831内において、基板W1、W2が、ステージからアームの先端部へ移載されると、搬送ロボット841は、図14Bの矢印AR31に示すように、アームを収縮させることにより基板W1、W2をロードロック部83から取り出す。次に、ロードロック部83がゲート8321を閉じる。続いて、搬送ロボット841は、図15A矢印AR31に示すように、アームの先端部が接合装置1側を向くように旋回する。ここで、搬送ロボット841は、ロードロック部83から接合装置1においてヘッド142に支持される基板W2を取り出した場合、旋回すると同時にアームの先端部を反転させる。その後、搬送ロボット841は、アームを伸張させてアームの先端部を接合装置1内へ挿入する。そして、図15Bの矢印AR32に示すように、基板W2が、搬送ロボット841のアームの先端部から接合装置1のヘッド142へ移載される、或いは、基板W1が、搬送ロボット841のアームの先端部から接合装置1のステージ141へ移載される。そして、搬送ロボット841が、アームを収縮させる。
【0045】
図9に戻って、続いて、接合装置1がゲート1211を閉じ、搬送装置84がゲート8421を閉じる(ステップS112)。その後、搬送装置84のシール駆動部714が、シール部材711の充填領域S71内の気体を排出することによりシール部材711を収縮させることで、シール部材を接合装置1の枠体713から離間した第2状態にする離脱工程を実行する(ステップS113)。
【0046】
その後、接合装置1は、基板W1、W2同士を予め設定された距離まで接近させた後、位置測定部150により測定される位置ずれ量に基づいて、基板W2の基板W1に対する位置決め(アライメント)を行う位置決め工程を実行する(ステップS114)。次に、接合装置1は、ヘッド142を再びステージ141に近づけることにより、2つの基板W1、W2を接触させた後、2つの基板W1、W2が互いに密着する方向へ圧力を加えるとともに基板W1、W2を加熱することにより、2つの基板W1、W2を接合する(ステップS115)。このとき、基板W1、W2の接合面同士は、OH基または水分子により覆われている。これにより、基板W1、W2の接合面同士を接触させることにより、基板W1、W2同士が、OH基間または水分子間の水素結合により仮接合される。ここで、接合装置1は、押圧機構1431、1432により基板W1、W2の中央部を押圧して撓ませた状態で基板W1、W2の中央部同士を突き合わせた後、基板W1、W2の中央部から周部に向かって接合面同士を接触させることにより基板W1、W2同士を仮接合する。
【0047】
続いて、搬送装置84のシール駆動部714が、再び、シール部材711を前述の第2状態から前述の第1状態にするシール部材当接工程を実行する(ステップS116)。その後、搬送装置84がゲート8421を開放する第2ゲート開放工程を実行した後(ステップS117)、接合装置1がゲート1211を開放する第1ゲート開放工程を実行する(ステップS118)。次に、搬送装置84が、互いに接合された基板W1、W2を接合装置1からロードロック部84へ搬送する(ステップS119)。ここでは、搬送ロボット841が、アームを伸張させてアームの先端部を接合装置1内へ挿入する。そして、互いに接合された基板W1、W2が、接合装置1のステージ141またはヘッド142から搬送ロボット841のアームの先端部へ移載される。次に、搬送ロボット841が、アームを収縮させることにより、接合装置1から互いに接合された基板W1、W2を取り出す。続いて、搬送ロボット841は、アームの先端部がロードロック部83側を向くように旋回する。その後、搬送ロボット841が、アームの先端部をロードロック部83側に向けた状態でアームを伸張させることによりアームの先端部をロードロック部83のチャンバ831内へ挿入する。そして、チャンバ831内において、互いに接合された基板W1、W2が、アームの先端部からステージへ移載されると、搬送ロボット841は、アームを収縮させる。
【0048】
その後、接合装置1がゲート1211を閉じ、搬送装置84がゲート8421を閉じる(ステップS120)。このとき、搬送装置84のシール駆動部714が、適宜シール部材711を収縮させることで、シール部材を接合装置1の枠体713から離間した第2状態にする離脱工程を実行する。
【0049】
次に、搬送装置82が、互いに接合された基板W1、W2をロードロック部83から取り出しポート813へ搬送する(ステップS121)。ここで、ロードロック部83がチャンバ831内を大気開放した後ゲート8331を開放すると、搬送ロボット821が、アームの先端部をロードロック部83側に向けた状態でアームを伸張させてアームの先端部をチャンバ831内へ挿入する。そして、互いに接合された基板W1、W2が、チャンバ831内のステージから搬送ロボット821のアームの先端部へ移載される。その後、搬送ロボット821が、アームを収縮させることにより互いに接合された基板W1、W2をロードロック部83から取り出した後、ロードロック部83がゲート8331を閉じる。続いて、搬送ロボット821は、アームの先端部がロードロック部83側とは反対側を向くように旋回する。その後、搬送ロボット821は、互いに接合された基板W1、W2を保持した状態で、アームを伸張させてアームの先端部を取り出しポート813内へ挿入して互いに接合された基板W1、W2を取り出しポート813内に配置する。
【0050】
ここで、接合装置1において、除振ユニット160が互いに接合された基板W1、W2の位置ずれ量に与える影響について説明する。図16において、周波数スペクトルSPE1は、除振ユニット160によりプレート駆動部163が動作している場合のステージ141およびヘッド142振動振幅の周波数依存性を示し、周波数スペクトルSPE2は、除振ユニット160のプレート駆動部163が停止している場合のステージ141およびヘッド142の振動振幅の周波数依存性を示す。また、破線は、0.1μmの振動振幅を示すラインである。図16に示すように、周波数スペクトルSPE2は、6Hz付近において、振幅が0.1μmを超えていた。これに対して、周波数スペクトルSPE1では、6Hz付近の振幅が0,1μm未満に低減されている。
【0051】
また、除振ユニット160のプレート駆動部163が停止している状態で接合した複数組の基板W1、W2の位置ずれ量と、除振ユニット160のプレート駆動部163が動作している状態で接合した複数組の基板W1、W2について、基板W1、W2同士の位置ずれ量を比較した。その結果、除振ユニット160のプレート駆動部163が停止している場合の位置ずれ量が100nm程度であったのに対して、除振ユニット160のプレート駆動部163が動作している場合の位置ずれ量は40nm程度に低減されることが判った。これは、除振ユニット160によりステージ141およびヘッド142の特に6Hz付近の周波数の振動成分の振幅が0.1μm未満に低減されたことにより、互いに接合される基板W1、W2同士の位置ずれ量が0.1μm以下に低減されたことを反映しているものと考えられる。その結果、位置ずれ量0.1μm以下の位置精度での基盤W1、W2同士の接合に成功した。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態に係る接合システムでは、搬送装置84が、接合装置1が設置された第1架台42とは異なり且つ第1架台42から離間して配置された第2架台41に設置されている。そして、接合装置1が、搬送装置84が接合装置1から離間した状態で、減圧下で基板W1に対する基板W2の位置決めを行う位置決め工程を実行した後、減圧下で基板W1,W2を接触させる接触工程を実行する。これにより、接合装置1において位置決め工程および接触工程を実行する際、搬送装置84で発生した振動による位置ずれ量の誤差の影響が低減されるので、その分、基板W1、W2同士を高い位置精度で接合することができる。
【0053】
また、本実施の形態に係る接合装置1は、チャンバ120の外側においてゲート1211を囲繞するように設けられた枠体713を備える。一方、搬送装置84は、チャンバ843の外側においてゲート8421を囲繞するように設けられ、枠体713に対向するとともに、枠体713から離間した状態で配置される枠体712と、シール部材711と、を備える。ここで、シール部材711は、枠体712における枠体713に対向する側において枠体712の全周に亘って配設され、充填領域S71に気体が充填されることにより膨張して枠体713に密着し前述の第1状態をとり、充填領域S71内の気体が排出されることにより収縮して枠体713から離間した第2状態をとる。これにより、搬送装置84は、減圧下において、ロードロック部83から接合装置1へ基板W1、W2を搬送することができる。
【0054】
更に、本実施の形態に係る制御部9は、基板W1、W2を接合装置1のチャンバ120内へ搬送する前に、シール駆動部714を制御してシール部材711を前述の第1状態にした後、ゲート駆動部8422を制御してゲート8421を開状態にし、その後、ゲート駆動部1212を制御してゲート1211を開状態にする。これにより、シール部711を第1状態にした直後においてゲート8421、1211の間の存在する空気が、チャンバ120側に流入することを抑制することができる。従って、チャンバ120内の真空度および清浄度を高めることができる。例えばチャンバ120が超高真空である場合、ゲート8421、1211の間に存在する空気が、チャンバ120内に流入すると、チャンバ120内の真空度をいわゆる超高真空に維持できなくなる。これに対して、本実施の形態に係る接合システムでは、ゲート8421、1211の間に存在する空気を搬送装置84のチャンバ843側へ流出させるので、チャンバ120内の真空度をいわゆる超高真空に維持することができる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば図17に示すように、接合装置2001が載置される第1架台2042が、いわゆるアクティブ除振台であってもよい。なお、図16において、実施の形態と同様の構成については図5と同一の符号を付している。ここで、接合装置2001は、除振ユニットを備えていない点で実施の形態に係る接合装置1と相違する。第1架台2042は、接合装置2001が鉛直上方、即ち、+Z方向側に設置されるトッププレート2421と、防振機構を有し、地面に設置されるとともに、+Z方向側においてトッププレート2421を移動自在に支持するプレート支持部2422と、を有する。プレート支持部2422は、例えば空気バネ、コイルバネ等を用いた防振機構を有し、トッププレート2421をZ軸方向に沿って移動自在に支持する。また、第1架台2042は、更に、トッププレート421に伝達する振動を検出する振動検出部2424と、トッププレート2421をプレート支持部2422に対して相対的に移動させるプレート駆動部2423と、トッププレート2421に伝達する振動を低減するようにプレート駆動部2423を制御する除振制御部2429と、を有する。プレート駆動部2423および除振制御部2429は、実施の形態1で説明したプレート駆動部163および除振制御部169と同様の構成である。
【0056】
本構成によれば、接合装置2001として除振ユニットを備えない構成とすることができるので、その分、接合装置2001の構成の簡素化並びに軽量化を図ることができる。
【0057】
実施の形態では、搬送装置84が、環状であり枠体712における接合装置1の枠体713に対向する側において枠体712の全周に亘って配設されたシール部材711を備える例について説明した。但し、これに限らず、例えば接合装置1が、環状であり枠体713における搬送装置84の枠体712に対向する側において枠体713の全周に亘って配設されたシール部材(図示せず)を備えるものであってもよい。或いは、図18に示すように、搬送装置84が、シール部材が設けられていない枠体5712を備えており、接合装置1の枠体713と、枠体5712との間に、シール部材5711A、5711Bが設けられた枠体5715が配置されたものであってもよい。枠体5715には、枠体5712、713それぞれに対向する面側に環状の溝5715a,5715bが形成されており、各溝5715a、5715bそれぞれに、環状のシール部材5711A、5711Bが嵌入されている。或いは、シール部材5711A、5711Bの内側の領域が連通してなる1つの環状のシール部材を構成するものであってもよい。
【0058】
実施の形態では、搬送装置84が搬送ロボット841を備える例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば図19に示すように、搬送装置3084が、長尺であり接合装置3001のチャンバ3120に設けられた開口部3120bに挿通され一端部に基板W1、W2を保持する保持部3845が設けられた支持棒3841と、支持棒3841の他端部で支持棒3841を支持する支持体3842と、支持体3842を駆動する支持体駆動部3843と、を有するものであってもよい。なお、図19において、実施の形態と同様の構成については図5と同一の符号を付している。ここで、接合装置3001は、チャンバ3120以外の構成については実施の形態で説明した接合装置1と同様の構成である。また、搬送装置3084は、チャンバ3120内の真空度を維持するためにチャンバ3120の開口3120bの外周部と支持体3842との間に介在するベローズ3844を有する。支持体駆動部3843は、例えば支持体3842が固定されたスライダ(図示せず)をX軸方向へ摺動自在に支持するレール(図示せず)と、スライダをX軸方向へ駆動するためのボール螺子機構(図示せず)と、を有する。支持体駆動部3843は、矢印AR3003に示すように、支持体3842を支持棒3841がチャンバ3120内へ挿脱される方向へ駆動することにより、基板W1、W2をロードロック部83と接合装置3001とのいずれか一方から他方へ搬送する。また、この搬送装置3084を採用する場合、接合装置1のチャンバ3120は、ロードロック部83のゲート8321との間で枠体712、713およびシール部材711を介して接続される構成とすればよい。
【0059】
本構成によれば、ベローズ3844を採用した搬送手段であるため、チャンバ3120内をいわゆる超高真空状態で維持することができる。
【0060】
実施の形態において、2つの基板W1、W2のいずれか一方のみにNRIE処理とNラジカル処理とを行い、他方はNRIE処理とNラジカル処理との少なくとも一方を行わない活性化処理を行う構成であってもよい。
【0061】
実施の形態では、接合装置1が、基板W1、W2の接合面全体が互いに接触した状態で、基板W1、W2に圧力を加えるとともに、熱処理を行う例について説明した。但し、これに限らず、例えば接合装置1が、基板W1、W2の接合面全体が互いに接触した状態で、基板W1、W2に圧力を加えるだけで熱処理を行わない構成であってもよい。或いは、接合装置1が、基板W1、W2の接合面全体が互いに接触した状態で、基板W1、W2の熱処理のみ実行し圧力を加えない構成であってもよい。また、接合装置1とは異なる装置において、基板W1、W2への加圧、熱処理が行われてもよい。例えば接合装置1が、基板W1、W2の仮接合までを実行し、その後、他の加熱装置(図示せず)において熱処理が行われてもよい。
【0062】
実施の形態では、活性化処理装置2において基板W1、W2の接合面を活性化する活性化処理を行う例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図20に示す接合装置4001のように、チャンバ120内において基板W1、W2の接合面へ粒子ビームを照射する粒子ビーム源191、192を備えるものであってもよい。なお、図20において実施の形態と同様の構成については図5と同一の符号を付している。粒子ビーム源191、192としては、例えば高速原子ビーム(FAB、Fast Atom Beam)源、イオンガン等を採用することができる。本変形例に係る接合システムは、実施の形態に係る接合システムにおいて、ロードロック部85、搬送装置86および活性化処理装置2を備えていない構成とすることができる。また、本変形例に係る接合システムでは、実施の形態に係る接合システムにおいて、搬送装置84の代わりに図19に示す搬送装置3084を採用してもよい。
【0063】
ここで、本変形例に係る接合システムについて、基板W1、W2が接合システムに投入されてから基板W1、W2が接合されて接合システムから取り出されるまでの動作の流れについて図21を参照しながら説明する。まず、接合システムは、基板W1、W2を導入ポート811、812から洗浄装置3へ搬送する(ステップS401)。ここで、基板W1、W2としては、例えば、Si基板、サファイア基板を含むアルミナ基板(Al)、酸化ガリウム(Ga)、窒化物基板(例えば、窒化ケイ素(SiN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN))、GaAs基板、炭化ケイ素(SiC)基板、タンタル酸リチウム(Lt:LiTaO)基板、ニオブ酸リチウム基板(Ln:LiNbO)、ダイヤモンド基板などのいずれかからなる被接合物である。或いは、基板W1、W2として、接合面にAu、Cu、Al、Ti等の金属から形成された電極が設けられた基板であってもよい。
【0064】
次に、洗浄装置3は、水を基板W1、W2の接合面に吹き付けながら接合面を洗浄する水洗浄工程を実行する(ステップS402)。水洗浄工程での処理内容は、実施の形態で説明したステップS106の処理と同様である。続いて、搬送装置82が、基板W1、W2を洗浄装置3からロードロック部83へ搬送する(ステップS403)。ここで、ロードロック部83が、搬送された基板W1、W2を加熱するための基板加熱部(図示せず)を備えており、搬送された基板W1、W2を加熱することにより基板W1、W2の接合面に付着した水分を除去するようにしてもよい。その後、搬送装置84のシール駆動部714が、気体をシール部材711の充填領域S71へ充填することにより、シール部材711を実施の形態で説明した図2Aに示す第2状態から図2Bに示す第1状態にするシール部材当接工程を実行する(ステップS404)。図20に戻って、次に、搬送装置84がゲート8421を開放する第2ゲート開放工程を実行する(ステップS405)。続いて、接合装置4001がゲート1211を開放する第1ゲート開放工程を実行する(ステップS406)。
【0065】
次に、搬送装置84が、基板W1、W2をロードロック部83から接合装置4001へ搬送する搬送工程を実行する(ステップS407)。続いて、接合装置4001がゲート1211を閉じ、搬送装置84がゲート8421を閉じる(ステップS408)。その後、搬送装置84のシール駆動部714が、シール部材711の充填領域S71内の気体を排出することによりシール部材711を収縮させることで、シール部材を接合装置4001の枠体713から離間した第2状態にする離脱工程を実行する(ステップS409)。
【0066】
次に、接合装置4001は、チャンバ120内が減圧雰囲気の状態で2つの基板W1、W2それぞれの接合面を活性化する活性化処理工程を行う(ステップS410)。ここでは、接合装置4001が、粒子ビーム源191、192から放射される粒子ビームを基板W1、W2の接合面へ照射することにより、基板W1、W2の接合面に対して活性化処理を行う。続いて、接合装置4001は、基板W1、W2同士を予め設定された距離まで接近させた後、位置測定部150により測定される位置ずれ量に基づいて、基板W2の基板W1に対する位置決め(アライメント)を行う位置決め工程を実行する(ステップS411)。その後、接合装置4001は、ヘッド142を再びステージ141に近づけることにより、2つの基板W1、W2を接触させた後、2つの基板W1、W2が互いに密着する方向へ圧力を加えることにより、2つの基板W1、W2を接合する(ステップS412)。本変形例の場合、基板W1、W2の接合面には、活性化処理により形成されたダングリングボンドが存在する。これにより、基板W1、W2の接合面同士を接触させることにより、基板W1、W2同士が、ダングリングボンドを介して接合される。例えば基板W1、W2の接合面に金属領域が露出している場合には、基板W1、W2の加熱処理を併用してもよい。
【0067】
次に、搬送装置84のシール駆動部714が、再び、シール部材711を前述の第2状態から前述の第1状態にするシール部材当接工程を実行する(ステップS413)。続いて、搬送装置84がゲート8421を開放する第2ゲート開放工程を実行した後(ステップS414)、接合装置4001がゲート1211を開放する第1ゲート開放工程を実行する(ステップS415)。その後、搬送装置84が、互いに接合された基板W1、W2を接合装置1からロードロック部84へ搬送する(ステップS416)。次に、接合装置4001がゲート1211を閉じ、搬送装置84がゲート8421を閉じる(ステップS417)。次に、搬送装置82が、互いに接合された基板W1、W2をロードロック部83から取り出しポート813へ搬送する(ステップS418)。
【0068】
本構成によれば、チャンバ120内をいわゆる超高真空状態で維持しながら活性化処理工程を行った後接合できるので、超高真空中での基板W1、W2同士の直接接合に適用できる。
【0069】
実施の形態では、接合装置1の除振ユニット160がいわゆるアクティブ除振台である例について説明したが、これに限らず、例えば除振ユニット160が、トッププレート161を、単に空気バネ、磁気バネ等の防振機構を有する支持部により支持してなるいわゆるパッシブ除振台であってもよい。
【0070】
実施の形態では、基板W1、W2同士を接合する例について説明したが、これに限らず、例えば基板とチップとを接合する構成であってもよい。
【0071】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【0072】
本出願は、2021年3月31日に出願された日本国特許出願特願2021-059944号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2021-059944号の明細書、特許請求の範囲および図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、例えばCMOS(Complementary MOS)イメージセンサやメモリ、演算素子、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の製造に好適である。
【符号の説明】
【0074】
1,2001,3001,4001:接合装置、2:活性化処理装置、3:洗浄装置、9:制御部、41:第2架台、42,3042:第1架台、82,84,86,3084:搬送装置、83,85:ロードロック部、120,831,843,851,863,3120:チャンバ、120a,3120b:開口部、121a,201a:真空ポンプ、121b,201b:排気管、121c,201c:排気弁、141:ステージ、142:ヘッド、143:ステージ駆動部、144:ヘッド駆動部、147:支持機構、148:圧力センサ、150:位置測定部、151:第1撮像部、152:第2撮像部、153:窓部、154,155:ミラー、161,2421:トッププレート、162,2422:プレート支持部、163,2423:プレート駆動部、164,2424:振動検出部、169,2429:除振制御部、191,192:粒子ビーム源、212:処理チャンバ、213:プラズマチャンバ、215:誘導コイル、216,217:高周波電源、220A:窒素ガス供給部、220B:酸素ガス供給部、221A:窒素ガス貯留部、221B:酸素ガス貯留部、222A,222B:供給弁、223A,223B:供給管、711,5711A,5711B:シール部材、712,713,5712,5715:枠体、712a,5715a,5715b:溝、714:シール駆動部、811,812:導入ポート、813:取り出しポート、821,841,861:搬送ロボット、1211,8321,8331,8421,8521,8531,8621:ゲート、1212,8322,8332,8422,8522,8532,8622:ゲート駆動部、1431,1432:押圧機構、1471:支持部材、1472:支持部材駆動部、1481,1481:基板加熱部、3841:支持棒、3842:支持体、3843:支持体駆動部、3844:ベローズ、3845:保持部、CPR7:圧縮機、CV7:逆止弁、L70:入排出管、L71:導入管、L72:排出管、M71,M72:圧力計、T7:タンク、V71,V72:電磁弁、W1,W2:基板
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21