(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20240219BHJP
C08F 20/06 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
C08J3/12 A CER
C08J3/12 CEZ
C08F20/06
(21)【出願番号】P 2020533154
(86)(22)【出願日】2019-08-16
(86)【国際出願番号】 KR2019010417
(87)【国際公開番号】W WO2020101150
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2020-06-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】10-2018-0139898
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ジェ・ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・フン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ギチュル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ユル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒチャン・ウ
【合議体】
【審判長】加藤 友也
【審判官】中村 和正
【審判官】磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/034147(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/114058(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J3/00-3/28
C08F
B01J20/00-20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部架橋剤および重合開始剤の存在下で、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して、第1架橋重合体を含む含水ゲル重合体を形成する段階(段階1);
前記含水ゲル重合体を乾燥する段階(段階2);
前記乾燥された重合体を、直径が710μm以上である粒子が製造された全体粒子の総重量に対して75.0wt%以上
90wt%以下になるように粉砕して、
直径が180μm未満である粒子が製造された全体粒子の総重量に対して8.0wt%以下になるように粉砕して、粒子を製造する段階(段階3)、および
前記粉砕された粒子を2次粉砕する段階(段階4)を含み、
前記段階4は、600μm以上850μm以下の直径範囲の中の基準直径を決定し、前記段階3で製造された粒子の中の直径が前記基準直径以上である粒子のみ2次粉砕し、前記基準直径は、710μmである、
高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記段階1は、発泡剤の存在下で行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記段階4で製造した粒子を、前記段階3で製造された粒子の中の2次粉砕していない粒子と合わせる、請求項1
または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記段階4で製造した粒子を、直径が850μm以下、150μm以上である粒子と、直径が150μm未満である粒子に分級する段階を追加的に含む、請求項
3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記段階3で製造された粒子の中の直径が150μm未満である粒子に水を添加して再造粒し、前記段階2に循環させる、請求項1から
4のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2018年11月14日付韓国特許出願第10-2018-0139898号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、微粉発生を減少させることができる高吸水性樹脂の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは自重の5百~1千倍程度の水分を吸収できる機能を有する合成高分子物質であって、開発業者ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などのそれぞれ異なる名前で名付けている。このような高吸水性樹脂は、生理用品として実用化され始め、現在は幼児用紙おむつなどの衛生用品のほか、園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での鮮度保持剤、およびシップ用などの材料に幅広く使用されている。
【0004】
最も多い場合に、このような高吸水性樹脂は、おむつや生理用ナプキンなど衛生材分野で幅広く使用されている。このような衛生材内で、前記高吸水性樹脂はパルプ内に広がった状態で含まれることが一般的である。しかし、最近は、より薄い厚さのおむつなどの衛生材を提供するための努力が続いており、その一環として、パルプの含量が減少したり、さらにパルプが全く使用されない、いわゆるパルプレス(pulpless)おむつなどの開発が積極的に進められている。
【0005】
このように、パルプの含量が減少したり、パルプが使用されない衛生材の場合、相対的に高吸水性樹脂が高い比率で含まれ、このような高吸水性樹脂粒子が衛生材内に不可避に多層含まれる。このように多層含まれる全体的な高吸水性樹脂粒子がより効率的に小便などの液体を吸収するためには、前記高吸水性樹脂が基本的に高い吸水性能および吸水速度を示す必要がある。
【0006】
特に、速い吸水速度を示すために表面積を増加させた高吸水性樹脂が製造されているが、表面積が増加し高吸水性樹脂の構造的強度が弱くて粗粉砕過程で微粉が多く発生する。微粉は作業環境を悪くすることはもちろん、微粉の再循環工程によって工程の負荷が高まる問題があり、これにより、高吸水性樹脂の物性は維持しながらも微粉の発生を減らすことができる製造方法が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高吸水性樹脂の優れた物性を維持しながらも微粉発生を減少させることができる高吸水性樹脂の製造方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、下記の段階を含む高吸水性樹脂の製造方法を提供する:
内部架橋剤および重合開始剤の存在下で、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して、第1架橋重合体を含む含水ゲル重合体を形成する段階(段階1);
前記含水ゲル重合体を乾燥する段階(段階2);
前記乾燥された重合体を、直径が710μm以上である粒子が製造された全体粒子の総重量に対して70.0wt%以上になるように粉砕して、粒子を製造する段階(段階3)、および
前記粉砕された粒子を2次粉砕する段階(段階4)を含む、
高吸水性樹脂の製造方法。
【0009】
高吸水性樹脂の製造方法は、大きく水溶性エチレン系不飽和単量体を重合して含水ゲル重合体を製造する段階と、これを乾燥した後に粉砕する段階を含む。高吸水性樹脂の特性を極大化するためには粒子の形態に製造されなければならず、特に直径150μm~850μm(180~850μm、または300~850μm)の粒子に製造された時、高吸水性樹脂としての特性が十分に発現されるので、粉砕段階は必須的に要求される。
【0010】
しかし、前記直径の範囲で粉砕するために含水ゲル重合体を粉砕すれば、直径が150μm以下(または、180μm以下)の粒子が製造され、これを一般に「微粉」という。このような微粉は、先ず製造過程で飛散する問題がある。これだけでなく、微粉は単純廃棄する代わりに、微粉に水を添加して再造粒して再び粉砕する方式で再利用するため、微粉発生量が高まるほど工程の負荷が大きくなる問題がある。特に、最近は高吸水性樹脂の速い吸水速度を実現するために、含水ゲル重合体の表面積を増加させる傾向があり、表面積が増加されることによって構造的強度が弱くなってこれを粉砕する場合、微粉発生量がさらに高まる。
【0011】
よって、本発明では後述のように含水ゲル重合体の粉砕時に微粉発生量を減らすことができるように微粉砕条件を限定することを特徴とし、高吸水性樹脂の物性は維持しながらも高吸水性樹脂の製造方法を改善することができる。
【0012】
以下、本発明を段階別に詳しく説明する。
【0013】
(段階1)
前記段階1は、含水ゲル重合体を形成する段階であって、内部架橋剤、および少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を含む単量体組成物を架橋重合する段階である。
【0014】
前記第1架橋重合体を構成する水溶性エチレン系不飽和単量体は、高吸水性樹脂の製造に通常使用される任意の単量体であってもよい。非制限的な例として、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、下記化学式1で表される化合物であってもよい:
【0015】
[化学式1]
R1-COOM1
【0016】
上記化学式1中、
R1は、不飽和結合を含む炭素数2~5のアルキル基であり、
M1は、水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0017】
好ましくは、前記単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれら酸の1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、および有機アミン塩からなる群より選択された1種以上であってもよい。このように水溶性エチレン系不飽和単量体としてアクリル酸またはその塩を使用する場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂を得ることができて、有利である。この他にも、前記単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタアクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどを使用することができる。
【0018】
ここで、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和されたものであってもよい。好ましくは、前記単量体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどのアルカリ物質で部分的に中和させたものを使用することができる。
【0019】
この時、前記単量体の中和度は、40~95モル%、または40~80モル%、または45~75モル%であってもよい。前記中和度の範囲は最終物性によって異にすることができるが、中和度が過度に高ければ中和された単量体が析出されて重合が円滑に行われにくいことがあり、逆に、中和度が過度に低ければ高分子の吸収力が大きく低下するだけでなく、取り扱いの困難な弾性ゴムのような性質を示すことがある。
【0020】
また、前記単量体組成物中の前記水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節することができ、好ましくは20~90重量%、または40~65重量%であってもよい。このような濃度範囲は、高濃度水溶液の重合反応で現れるゲル効果現象を用いて重合後に未反応単量体を除去する必要がないようにしながらも、後述の重合体の粉砕時に粉砕効率を調節するために有利であり得る。但し、前記単量体の濃度が過度に低くなれば、高吸水性樹脂の収率が低まることがある。逆に、前記単量体の濃度が過度に高まれば、単量体の一部が析出されるか、重合された含水ゲル重合体の粉砕時に粉砕効率が低下するなど、工程上の問題が生じ、高吸水性樹脂の物性が低下することがある。
【0021】
また、前記内部架橋剤としては、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の重合時に架橋結合の導入を可能にするものであればいかなる化合物も使用可能である。非制限的な例として、前記内部架橋剤は、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、トリアリールアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール、グリセリン、またはエチレンカーボネートのような多官能性架橋剤が単独使用または2以上併用されてもよく、これに制限されるわけではない。
【0022】
このような内部架橋剤は、前記単量体組成物に対して約0.001~1重量%の濃度で添加することができる。即ち、前記内部架橋剤の濃度が過度に低い場合、樹脂の吸水速度が低くなり、ゲル強度が弱くなることがあるため、好ましくない。逆に、前記内部架橋剤の濃度が過度に高い場合、樹脂の吸水力が低くなって、吸水体としては好ましくなくなることがある。
【0023】
また、前記段階1で、高吸水性樹脂の製造に一般に使用される重合開始剤を含むことができる。非制限的な例として、前記重合開始剤としては重合方法によって熱重合開始剤または光重合開始剤などを使用することができ、特に熱重合開始剤を使用することができる。但し、光重合方法によっても、紫外線照射などによって一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応の進行によってある程度の熱が発生するので、熱重合開始剤を追加的に含んでもよい。
【0024】
前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素、およびアスコルビン酸からなる群より選択された一つ以上の化合物を使用することができる。具体的に、過硫酸塩系開始剤としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na2S2O8)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K2S2O8)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH4)2S2O8)などが例に挙げられる。また、アゾ(Azo)系開始剤としては、2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(2,2-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロクロリド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitril)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などが例に挙げられる。より多様な熱重合開始剤については、Odian著書の“Principle of Polymerization(Wiley、1981年)”の203ページに開示されており、これを参照することができる。好ましくは、前記熱重合開始剤として、アスコルビン酸および過硫酸カリウムを使用する。
【0025】
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)、およびアルファ-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群より選択された一つ以上の化合物を使用することができる。そのうち、アシルホスフィンの具体例として、商用のlucirin TPO、即ち、2,4,6-トリメチル-ベンゾイル-トリメチルホスフィンオキシド(2,4,6-trimethyl-benzoyl-trimethyl phosphine oxide)を使用することができる。より多様な光重合開始剤については、Reinhold Schwalm著書の“UV Coatings:Basics、Recent Developments and New Application(Elsevier 2007年)”の115ページに開示されており、これを参照することができる。
【0026】
このような重合開始剤は、前記単量体組成物に対して約0.001~1重量%の濃度で添加することができる。即ち、前記重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなることがあり、最終製品に残存モノマーが多量で抽出されることがあるため、好ましくない。逆に、前記重合開始剤の濃度が前記範囲より高い場合、ネットワークをなす高分子鎖が短くなって水可溶成分の含量が高まり、加圧吸水能が低まるなど樹脂の物性が低下することがあるため、好ましくない。
【0027】
また、前記段階1は、発泡剤の存在下で行うことができる。前記発泡剤は、重合時に発泡が起こって含水ゲル重合体内気孔を形成して表面積を増やす役割を果たす。前記発泡剤は、無機発泡剤、または有機発泡剤を使用することができる。無機発泡剤の例としては、重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate)、炭酸ナトリウム(sodium carbonate)、重炭酸カリウム(potassium bicarbonate)、炭酸カリウム(potassium carbonate)、重炭酸カルシウム(calcium bicarbonate)、炭酸カルシウム(calcium bicarbonate)、重炭酸マグネシウム(magnesium bicarbonate)または炭酸マグネシウム(magnesium carbonate)が挙げられる。また、有機発泡剤の例としては、アゾジカーボンアミド(azodicarbonamide、ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(dinitroso pentamethylene tetramine、DPT)、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(p,p’-oxybisbenzenesulfonylhydrazide、OBSH)、およびp-トルエンスルホニルヒドラジド(p-toluenesulfonyl hydrazide、TSH)が挙げられる。
【0028】
また、前記発泡剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体重量に対して0.001~1重量%で使用することが好ましい。前記発泡剤の使用量が1重量%を超過する場合には、気孔が過度に多くなって高吸水性樹脂のゲル強度が低下し密度が小さくなって流通と保管に問題を招くことがある。
【0029】
この他にも、前記単量体組成物には、必要によって、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含んでもよい。
【0030】
そして、このような単量体組成物は、前述の単量体などの原料物質が溶媒に溶解された溶液の形態に準備できる。この時使用可能な溶媒としては、前述の原料物質を溶解させることができるものであればその構成の限定なく使用することができる。例えば、前記溶媒としては、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテート、N,N-ジメチルアセトアミド、またはこれらの混合物などを使用することができる。
【0031】
そして、前記単量体組成物の重合による含水ゲル状重合体の形成は、通常の重合方法で行うことができ、その工程は特に限定されない。非制限的な例として、前記重合方法は重合エネルギー源の種類によって大きく熱重合と光重合に分けられ、前記熱重合を行う場合にはニーダー(kneader)などの攪拌軸を有する反応器で行うことができ、光重合を行う場合には移動可能なコンベヤベルトが備えられた反応器で行うことができる。
【0032】
一例として、攪拌軸が備えられたニーダーなどの反応器に前記単量体組成物を投入し、これに熱風を供給するか反応器を加熱して熱重合することによって含水ゲル状重合体を得ることができる。この時、反応器に備えられた攪拌軸の形態によって、反応器の排出口に排出される含水ゲル状重合体は、数ミリメートル~数センチメートルの粒子として得られる。具体的に、得られる含水ゲル状重合体は、注入される単量体組成物の濃度および注入速度などによって多様な形態として得られ、通常(重量平均)粒径が2~50mmである含水ゲル状重合体が得られる。
【0033】
そして、他の一例として、移動可能なコンベヤベルトが備えられた反応器で前記単量体組成物に対する光重合を行う場合には、シート形態の含水ゲル状重合体を得ることができる。この時、前記シートの厚さは、注入される単量体組成物の濃度および注入速度によって異にすることができるが、シート全体が均一に重合されるようにしながらも生産速度などを確保するために、通常0.5~5cmの厚さに調節されることが好ましい。
【0034】
この時、このような方法で得られた含水ゲル重合体の通常含水率は、40~80重量%であってもよい。一方、本明細書全体で、「含水率」は、全体含水ゲル重合体重量に対して占める水分の含量であって、含水ゲル重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱を通じて重合体の温度を上げて乾燥する過程で、重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値と定義する。この時、乾燥条件は、常温で約180℃まで温度を上昇させた後に180℃で維持する方式で、総乾燥時間は温度上昇段階5分を含んで20分に設定して、含水率を測定する。
【0035】
(段階2)
前記段階2は、前記段階1で製造した含水ゲル重合体を乾燥する段階であって、後述の段階3の粉砕を準備する段階である。
【0036】
まず、含水ゲル重合体を乾燥することにおいては、必要によって前記乾燥段階の効率を高めるために、乾燥前に粗粉砕する段階をさらに経てもよい。この時、使用される粉砕機は構成の限定はないが、具体的に、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッタ(Turbo cutter)、ターボグラインダ(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、断片破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパ(chopper)、および円板式切断機(Disc cutter)からなる粉砕機器の群より選択されるいずれか1つを含むことができるが、前述の例に限定されない。
【0037】
この時、粗粉砕段階は、含水ゲル重合体の粒径が約2mm~約10mmとなるように粉砕することができる。粒径2mm未満に粉砕することは、含水ゲル重合体の高い含水率によって技術的に容易でなく、また、粉砕された粒子間で互いに凝集する現象が現れることもある。一方、粒径10mm超過に粉砕する場合、後に行われる乾燥段階の効率増大効果が微小であることがある。
【0038】
前記のように粗粉砕されるか、あるいは粗粉砕段階を経ていない重合直後の含水ゲル重合体に対して乾燥を行う。この時、前記乾燥段階の乾燥温度は、50~250℃であってもよい。乾燥温度が約50℃未満である場合、乾燥時間が過度に長くなり、最終的に形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがあり、乾燥温度が250℃を超過する場合、過度に重合体表面のみが乾燥されて、後に行われる粉砕工程で微粉が発生することもあり、最終的に形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがある。より好ましくは、前記乾燥は、150~200℃の温度で、さらに好ましくは160~190℃の温度で行うことができる。一方、乾燥時間の場合には、工程効率などを考慮して、20分~15時間行うことができるが、これに限定されない。
【0039】
前記乾燥工程として通常使用されるものであれば、その構成の限定なく選択して使用することができる。具体的には、熱風供給、赤外線照射、極超短波照射、または紫外線照射などの方法で乾燥段階を行うことができる。このような乾燥段階進行後の重合体の含水率は、0.05~10重量%であってもよい。
【0040】
(段階3)
前記段階3は、前記段階2で乾燥された重合体を粉砕して粒子を製造する段階であって、後述の段階4の粉砕段階と区分するために、本明細書では「1次粉砕」という。
【0041】
本発明では微粉発生を減らすために、前記1次粉砕によって直径が710μm以上である粒子が、製造された全体粒子の総重量に対して70.0wt%以上になるように粉砕することを特徴とする。
【0042】
従来の高吸水性樹脂の製造では、直径150μm~850μm(180~850μm、または300~850μm)の粒子を製造するために過度な粉砕を行い、これにより前記直径を有する粒子を製造することができるが、相対的に微粉の発生が高まる問題がある。よって、本発明では粉砕条件を緩和して相対的に直径の大きい粒子を多く製造して微粉の発生を減らすことができる。また、相対的に直径の大きい粒子が製造されるので、直径150μm~850μm(180~850μm、または300~850μm)の粒子を製造するために、後述の段階4のように「2次粉砕」を行う。
【0043】
好ましくは、前記段階3によって製造される粒子において、直径が710μm以上である粒子が、製造された全体粒子の総重量に対して75.0wt%以上、80.0wt%以上、または85.0wt%以上になるように粉砕する。また、前記直径が710μm以上である粒子が、製造された全体粒子の99wt%以下、95wt%以下、90wt%以下、または85wt%以下になるように粉砕する。この時、直径が710μm以上である粒子は最大直径が10mm以下であることが好ましい。
【0044】
好ましくは、前記段階3によって製造される粒子において、直径が180μm未満(または、150μm未満)である粒子が、製造された全体粒子の総重量に対して8.0wt%以下、5.0wt%以下、3.0wt%以下、または1.0wt%以下になるように粉砕する。
【0045】
一方、前記粉砕のために粉砕機を使用し、具体的に、ボールミル(ball mill)、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などを使用することができるが、上述の例に限定されるのではない。
【0046】
また、前記段階3で製造された粒子の中の直径が150μm未満(または、180μm未満)である粒子は、廃棄、または水を添加して再造粒して前記段階2に循環できる。
【0047】
(段階4)
前記段階4は、前記段階3で粉砕された粒子を再び粉砕する段階であって、前述の段階3の粉砕段階と区分するために、本明細書では「2次粉砕」という。
【0048】
前述のように、段階3で相対的に直径の大きい粒子を多く製造したため、直径150μm~850μm(180~850μm、または300~850μm)の粒子を製造するために2次粉砕する。この時使用できる粉砕機としては先に段階3で説明した粉砕機を使用することができる。
【0049】
好ましくは、前記段階4は、前記段階3で製造された粒子の中の直径が大きい粒子のみ選択的に2次粉砕することができる。前述のように、段階3で相対的に直径の大きい粒子を多く製造したため、直径が大きい粒子のみ再び粉砕することによって最終的に製造される粒子の直径分布を適切に調節することができる。また、これによって製造した粒子を、前記段階3で製造された粒子の中の2次粉砕していない粒子と合わせることができる。
【0050】
具体的に、前記段階4は、600μm以上850μm以下の直径範囲の中の基準直径を決定し、前記段階3で製造された粒子の中の直径が前記基準直径以上である粒子のみ2次粉砕することが好ましい。前記基準直径は、600μm、610μm、620μm、630μm、640μm、650μm、660μm、670μm、680μm、690μm、700μm、710μm、720μm、730μm、740μm、または750μmであってもよく、好ましくは710μmである。
【0051】
また、前記2次粉砕で製造される粒子の中、直径850μmおよび180μmを基準にして、直径が850μm以下180μm以上である粒子と、直径が180μm未満である粒子に分級する段階を追加することができる。または、前記2次粉砕で製造される粒子の中、直径850μmおよび150μmを基準にして、直径が850μm以下150μm以上である粒子と、直径が150μm未満である粒子に分級する段階を追加することができる。
【0052】
また、前記製造された直径が850μm以下150μm以上(または180μm以上)である粒子を高吸水性樹脂として使用することができる。
【0053】
(その他の段階)
また、本発明は、必要によって、前記製造した粒子の表面を架橋する段階を含むことができる。具体的に、表面架橋液の存在下で、前記製造した粒子を熱処理して表面架橋する段階を追加的に含んでもよい。
【0054】
前記表面架橋液は、2つ以上のエポキシ環を有する化合物、および2つ以上のヒドロキシを有する化合物から構成される群より選択されるいずれか一つ以上の表面架橋剤を含むことができる。
【0055】
好ましくは、前記表面架橋液は、2つ以上のエポキシ環を有する化合物および2つ以上のヒドロキシを有する化合物を全て含む。この場合、前記表面架橋液は、2つ以上のエポキシ環を有する化合物および2つ以上のヒドロキシを有する化合物を1:1.1~1:5の重量比で含む。
【0056】
前記2つ以上のエポキシ環を有する化合物の例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタリックアンヒドリドジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、およびN,N-ジグリシジルアニリンから構成される群より選択された1種以上の化合物が挙げられる。好ましくは、エチレングリコールジグリシジルエーテルを使用する。
【0057】
前記2つ以上のヒドロキシを有する化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびソルビトールから構成される群より選択された1種以上の化合物が挙げられる。好ましくは、プロピレングリコールを使用する。
【0058】
この時、前記表面架橋剤は、前記ベース樹脂100重量部に対して1重量部以下で使用することが好ましい。ここで、前記表面架橋剤の使用量は、前記表面架橋剤が2種以上使用される場合には、その総量を意味する。前記表面架橋剤の使用量が1重量部を超過する場合には、過度な表面架橋が行われて高吸水性樹脂の各種物性、特に乾燥度が悪くなることがある。また、前記表面架橋剤は、前記ベース樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上、0.02重量部以上、0.03重量部以上、0.04重量部以上、または0.05重量部以上使用することが好ましい。
【0059】
また、前記表面架橋液は、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテート、およびN,N-ジメチルアセトアミドからなる群より選択された1種以上の溶媒をさらに含んでもよい。好ましくは、水を含む。前記溶媒は、前記ベース樹脂粉末100重量部に対して0.5~10重量部で使用することができる。
【0060】
また、前記表面架橋液は、アルミニウム硫酸塩を追加的に含んでもよい。前記アルミニウム硫酸塩は、前記ベース樹脂粉末の100重量部を基準にして、0.02~0.3重量部で含まれ得る。
【0061】
また、前記表面架橋液は、無機充填剤を含むことができる。前記無機充填剤としては、シリカ、酸化アルミニウム、またはシリケートを含むことができる。前記無機充填剤は、前記ベース樹脂粉末の100重量部を基準にして、0.01~0.5重量部で含まれ得る。
【0062】
また、前記表面架橋液は、増粘剤を追加的に含んでもよい。このように増粘剤の存在下でベース樹脂粉末の表面を追加的に架橋すれば、粉砕後にも物性の低下を最小化することができる。具体的に、前記増粘剤としては、多糖類およびヒドロキシ含有高分子の中から選択された1種以上を使用することができる。前記多糖類としては、ガム系増粘剤とセルロース系増粘剤などを使用することができる。前記ガム系増粘剤の具体的な例としては、キサンタンガム(xanthan gum)、アラビアガム(arabic gum)、カラヤガム(karaya gum)、トラガカントガム(tragacanth gum)、ガティガム(ghatti gum)、グアーガム(guar gum)、ローカストビーンガム(locust bean gum)、およびサイリウムシードガム(psyllium seed gum)などが挙げられ、前記セルロース系増粘剤の具体的な例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、およびメチルヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。一方、前記ヒドロキシ含有高分子の具体的な例としては、ポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0063】
一方、前記表面架橋を行うためには、前記表面架橋液と前記ベース樹脂を反応槽に入れて混合する方法、前記ベース樹脂に表面架橋溶液を噴射する方法、連続的に運転されるミキサに前記ベース樹脂と表面架橋液を連続的に供給して混合する方法などを用いることができる。
【0064】
そして、前記表面架橋は、100~250℃の温度下で行うことができ、比較的高温で行われる前記乾燥および粉砕段階の後に連続的に行うことができる。この時、前記表面架橋反応は、1~120分、または1~100分、または10~60分間行うことができる。即ち、最小限度の表面架橋反応を誘導しながらも、過度な反応時に重合体粒子が損傷され物性が低下することを防止するために、前述の表面架橋反応の条件で行うことができる。
【発明の効果】
【0065】
前述のように、本発明による高吸水性樹脂製造方法は、乾燥された重合体の粉砕過程で同一な粒度分布を実現しながらも微粉発生量を減少させて、微粉再造粒、乾燥、粉砕および分級工程の負荷を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、発明の理解のために好ましい実施例が提示される。しかし、下記の実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明をこれらのみに限定するのではない。
【実施例】
【0067】
製造例:含水ゲル重合体乾燥物の製造
アクリル酸(100g)、架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(0.251g)、開始剤として過硫酸ナトリウム(0.09g)、光開始剤(I-819;0.008g)、発泡剤として炭酸水素ナトリウム(0.14g)、苛性ソーダ(NaOH;38.9g)、および水(144.1g)を混合して、単量体濃度が43重量%である単量体混合物を準備した。その後、前記単量体混合物を連続移動するコンベヤベルト上に投入し、紫外線を照射(照射量:2mW/cm2)して1分間UV重合を行って含水ゲル状重合体を得た。前記含水ゲル状重合体をミートチョッパー(ホール大きさ16mm)で粉砕して粗粉砕含水ゲル状重合体を得た。これを195℃温度の熱風乾燥機で40分間乾燥して含水ゲル重合体乾燥物を得た。
【0068】
実施例1
(段階1)
前記製造例で製造した含水ゲル重合体の乾燥物200gをLab Cutter mill(Universal Cutting Mill Pulverisette 19、Fritsch社)で粗粉砕(1次粉砕)した。この時、Rotorの回転速度は500rpmであり、mesh holeの直径は10mmであり、RotorとStatorの間隔は1.5mmに調節した。粗粉砕後、直径710μmおよび180μmを基準に分級し、全体粒子重量に対する直径710μm以上の粒子の比率は93.0wt%であり、直径180μm以下の粒子(微粉)の比率は1.7wt%であった。直径710μm以上の粒子(以下、「粒子1-1」という)と直径710μm未満の粒子(以下、「粒子1-2」という)に二種類に分級し、以下の段階2を行った。
【0069】
(段階2)
粗粉砕後、710μm以上の粒子(粒子1-1)のみ2段Lab Roll mill(Model 66 F Gran-U-Lizer、MPE社)で微粉砕(2次粉砕)した。この時、1段roll gapは0.30mmであり、2段roll gapは0.16mmであった。粉砕された粒子を先に段階1で製造した710μm未満の粒子(1-2粒子)と合わせた(以下、「粒子1-3」という)。
【0070】
前記製造された粒子(粒子1-3)を直径別に分級した結果を以下表1に示し、全体粒子重量に対する直径が850~600μmである粒子の比率は6.6wt%であり、直径が180μm未満である粒子(微粉)の比率は16.8wt%であった。
【0071】
実施例2
(段階1)
前記製造例で製造した含水ゲル重合体の乾燥物を120kg/hの速度でPilot Cutter mill(28/40 Ro Rotoplex、Hosokawa Alpine社)に供給して粗粉砕(1次粉砕)した。この時、Rotorの回転速度は460rpmであり、mesh holeの直径は8mmであり、RotorとStatorの間隔は0.2mmに調節した。粗粉砕後、直径710μmおよび180μmを基準にして分級し、全体粒子重量に対する直径710μm以上の粒子の比率は78.0wt%であり、直径180μm以下の粒子(微粉)の比率は7.3wt%であった。直径710μm以上の粒子(以下、「粒子2-1」という)と直径710μm未満の粒子(以下、「粒子2-2」という)に二種類に分級し、以下の段階2を行った。
【0072】
(段階2)
粗粉砕後、710μm以上の粒子(粒子2-1)のみ3段Pilot Roll mill(Model 666 F Gran-U-Lizer、MPE社)で微粉砕(2次粉砕)した。この時、1段roll gapは0.30mmであり、2段roll gapは0.28mmであり、3段roll gapは0.25mmであった。粉砕された粒子を先に段階1で製造した710μm未満の粒子(2-2粒子)と合わせた(以下、「粒子2-3」という)。
【0073】
前記製造された粒子(粒子2-3)を直径別に分級した結果を以下表1に示し、全体粒子重量に対する直径が850~600μmである粒子の比率は7.4wt%であり、直径が180μm未満である粒子(微粉)の比率は13.9wt%であった。
【0074】
実施例3
(段階1)
実施例2の段階1で、Lab Cutter millのRotorの回転速度を230rpmにしたことを除いては、同一な過程を行った。粗粉砕後、直径710μmおよび180μmを基準にして分級し、全体粒子重量に対する直径710μm以上の粒子の比率は85.6wt%であり、直径180μm以下の粒子(微粉)の比率は4.0wt%であった。直径710μm以上の粒子(以下、「粒子3-1」という)と直径710μm未満の粒子(以下、「粒子3-2」という)に二種類に分級し、以下の段階2を行った。
【0075】
(段階2)
粗粉砕後、710μm以上の粒子(粒子3-1)のみ3段Pilot Roll mill(Model 666 F Gran-U-Lizer、MPE社)で微粉砕(2次粉砕)した。この時、1段roll gapは0.30mmであり、2段roll gapは0.28mmであり、3段roll gapは0.23mmであった。粉砕された粒子を先に段階1で製造した710μm未満の粒子(3-2粒子)と合わせた(以下、「粒子3-3」という)。
【0076】
前記製造された粒子(粒子3-3)を直径別に分級した結果を以下表1に示し、全体粒子重量に対する直径が850~600μmである粒子の比率は7.9wt%であり、直径が180μm未満である粒子(微粉)の比率は12.9wt%であった。
【0077】
実施例4
(段階1)
実施例2の段階1で、Lab Cutter millのRotorの回転速度を173rpmにしたことを除いては、同一な過程を行った。粗粉砕後、直径710μmおよび180μmを基準にして分級し、全体粒子重量に対する直径710μm以上の粒子の比率は85.9wt%であり、直径180μm以下の粒子(微粉)の比率は3.1wt%であった。直径710μm以上の粒子(以下、「粒子4-1」という)と直径710μm未満の粒子(以下、「粒子4-2」という)に二種類に分級し、以下の段階2を行った。
【0078】
(段階2)
粗粉砕後、710μm以上の粒子(粒子4-1)のみ3段Pilot Roll mill(Model 666 F Gran-U-Lizer、MPE社)で微粉砕(2次粉砕)した。この時、1段roll gapは0.30mmであり、2段roll gapは0.28mmであり、3段roll gapは0.25mmであった。粉砕された粒子を先に段階1で製造した710μm未満の粒子(4-2粒子)と合わせた(以下、「粒子4-3」という)。
【0079】
前記製造された粒子(粒子4-3)を直径別に分級した結果を以下表1に表し、全体粒子重量に対する直径が850~600μmである粒子の比率は7.7wt%であり、直径が180μm未満である粒子(微粉)の比率は12.5wt%であった。
【0080】
比較例1
(段階1)
前記製造例で製造した含水ゲル重合体の乾燥物200gをLab Cutter mill(Universal Cutting Mill Pulverisette 19、Fritsch社)で粗粉砕(1次粉砕)した。この時、Rotorの回転速度は2800rpmであり、mesh holeの直径は8mmであり、RotorとStatorの間隔は0.4mmに調節した。粗粉砕後、直径710μmおよび180μmを基準にして分級し、全体粒子重量に対する直径710μm以上の粒子の比率は64.6wt%であり、直径180μm以下の粒子(微粉)の比率は9.8wt%であった。直径710μm以上の粒子(以下、「粒子C1-1」という)と直径710μm未満の粒子(以下、「粒子C1-2」という)に二種類に分級し、以下の段階2を行った。
【0081】
(段階2)
粗粉砕後、710μm以上の粒子(C-1粒子)のみ2段Lab Roll mill(Model 66 F Gran-U-Lizer、MPE社)で微粉砕(2次粉砕)した。この時、1段roll gapは0.30mmであり、2段roll gapは0.15mmであった。粉砕された粒子を先に段階1で製造した710μm未満の粒子(粒子C1-2)と合わせた(以下、「粒子C1-3」という)。
【0082】
前記製造された粒子(粒子C1-3)を直径別に分級した結果を以下表1に示し、全体粒子重量に対する直径が850~600μmである粒子の比率は6.5wt%であり、直径が180μm未満である粒子(微粉)の比率は20.0wt%であった。
【0083】
比較例2
(段階1)
実施例2の段階1で、Lab Cutter millのRotorの回転速度を690rpmにしたことを除いては、同一な過程を行った。粗粉砕後、直径710μmおよび180μmを基準にして分級し、全体粒子重量に対する直径710μm以上の粒子の比率は68.2wt%であり、直径180μm以下の粒子(微粉)の比率は11.7wt%であった。直径710μm以上の粒子(以下、「粒子C2-1」という)と直径710μm未満の粒子(以下、「粒子C2-2」という)に二種類に分級し、以下の段階2を行った。
【0084】
(段階2)
粗粉砕後、710μm以上の粒子(粒子C2-1)のみ3段Pilot Roll mill(Model 666 F Gran-U-Lizer、MPE社)で微粉砕(2次粉砕)した。この時、1段roll gapは0.30mmであり、2段roll gapは0.28mmであり、3段roll gapは0.23mmであった。粉砕された粒子を先に段階1で製造した710μm未満の粒子(C2-2粒子)と合わせた(以下、「粒子C2-3」という)。
【0085】
前記製造された粒子(粒子C2-3)を直径別に分級した結果を以下表1に示し、全体粒子重量に対する直径が850~600μmである粒子の比率は7.3wt%であり、直径が180μm未満である粒子(微粉)の比率は17.2wt%であった。
【0086】
実験例
前記実施例および比較例で製造した粒子(粒子1-3、2-3、3-3、4-3、C1-3、およびC2-3)に対して、直径が180μm未満である粒子(微粉)を除いた残りの粒子に対して以下の物性を測定した。
【0087】
(1)見かけ密度(bulk density、B/D)
標準流動度測定装置オリフィスを通じて前記実施例および比較例で製造した粒子100gを流して体積100mL容器に受け、前記粒子が水平になるように削って、前記粒子の体積を100mLに調節した後、容器を除いた粒子のみの重量を測定した。そして、前記粒子のみの重量を粒子の体積である100mLで割って単位体積当り粒子の重量に該当する見かけ密度を求めた。
【0088】
(2)ボルテックス(Vortex)
100mLのビーカーに、0.9重量%のNaCl溶液50mLを入れた後、攪拌機を用いて600rpmで攪拌しながら、前記実施例および比較例で製造した粒子2gをそれぞれ添加した。そして、攪拌によって生じる液体の渦巻き(vortex)がなくなって、なめらかな表面が生じるまでの時間を測定し、その結果をボルテックス除去時間と示した。
【0089】
前記結果を下記表1に示した。
【0090】
【0091】
前記実施例と比較例を比較すれば、粗粉砕機のrotor速度とmesh holeの直径を大きくして直径710μm以上の粒子が多く製造されるように調節した結果、直径180μm以下の粒子(微粉)の発生が顕著に減るのを確認することができる。また、類似の粒径分布を有することができるように微粉砕する場合にも微粉発生が減るのを確認することができ、製造される物性には大きな差がないのを確認することができる。したがって、既存の物性を実現しながらも微粉発生を減らすことができるのを確認することができる。