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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】AM装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/20 20210101AFI20240219BHJP
   B22F 10/32 20210101ALI20240219BHJP
   B22F 12/50 20210101ALI20240219BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240219BHJP
【FI】
B22F10/20
B22F10/32
B22F12/50
B33Y30/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020137004
(22)【出願日】2020-08-14
(65)【公開番号】P2022032799
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 弘行
(72)【発明者】
【氏名】新村 朋世
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-104769(JP,A)
【文献】米国特許第5876550(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0354035(US,A1)
【文献】特開2017-030225(JP,A)
【文献】特開2017-075362(JP,A)
【文献】特開2016-060169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00-12/90
B29C 64/00-64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形物を製造するためのAM装置であって、前記AM装置は、
DEDノズルを有し、前記DEDノズルは、
DEDノズル本体と、
前記DEDノズル本体の先端に設けられたレーザー光を出射するためのレーザー口、および前記レーザー口に連通する、前記DEDノズル本体内をレーザー光が通過するためのレーザー通路と、
前記DEDノズル本体の先端に設けられた粉体材料を出射するための粉体口、および前記粉体口に連通する、前記DEDノズル本体内を粉体材料が通過するための粉体通路と、を有し、
前記AM装置はさらに、前記DEDノズルの前記レーザー口および前記粉体口の周囲を囲い、且つ、前記レーザー光の出射方向の下流側が開口しているカバーを有し、
前記カバーは、前記カバーの内側へガスを供給するためのガス供給路を有し、前記ガス供給路は、全体として前記DEDノズル本体に向かってガスを導くように向き決めされており、前記ガス供給路は、ラティス構造層を含む、
AM装置。
【請求項2】
請求項1に記載のAM装置であって、
前記ラティス構造層は、複数の柱構造を含む、
AM装置。
【請求項3】
請求項2に記載のAM装置であって、
前記ラティス構造層は、複数の柱構造は、前記ガス供給路の入り口側では疎に、出口側では密になるように配置されている、
AM装置。
【請求項4】
造形物を製造するためのAM装置であって、前記AM装置は、
DEDノズルを有し、前記DEDノズルは、
DEDノズル本体と、
前記DEDノズル本体の先端に設けられたレーザー光を出射するためのレーザー口、および前記レーザー口に連通する、前記DEDノズル本体内をレーザー光が通過するためのレーザー通路と、
前記DEDノズル本体の先端に設けられた粉体材料を出射するための粉体口、および前記粉体口に連通する、前記DEDノズル本体内を粉体材料が通過するための粉体通路と、を有し、
前記AM装置はさらに、前記DEDノズルの前記レーザー口および前記粉体口の周囲を囲い、且つ、前記レーザー光の出射方向の下流側が開口しているカバーを有し、
前記カバーは、前記カバーの内側へガスを供給するためのガス供給路を有し、前記ガス供給路は、全体として前記DEDノズル本体に向かってガスを導くように向き決めされており、
前記カバーは、前記カバーを冷却するための冷却機構を有する、
AM装置。
【請求項5】
請求項4に記載のAM装置であって、
前記カバーの前記冷却機構は、冷媒を通過させるための冷媒通路を有する、
AM装置。
【請求項6】
請求項5に記載のAM装置であって、
前記冷媒通路は、前記カバーの側壁に形成されている、
AM装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載のAM装置であって、
前記冷媒通路は、前記冷媒通路の表面に凹凸構造を有する、
AM装置。
【請求項8】
請求項5から7に記載のAM装置であって、
前記冷媒通路は、ラティス構造を有する、
AM装置。
【請求項9】
請求項4から8に記載のAM装置であって、
前記カバーの前記冷却機構は、ペルチェ素子を有する、
AM装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、AM装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元物体を表現したコンピュータ上の三次元データから、三次元物体を直接的に造形する技術が知られている。たとえば、Additive Manufacturing(AM)(付加製造)法が知られている。一例として、デポジション方式のAM法としてダイレクトエナジーデポジション(DED)がある。DEDは、金属材料を局所的に供給しながら適当な熱源を用いて基材と共に溶融、凝固させることで造形を行う技術である。また、AM法の一例として、パウダーベッドフュージョン(PBF)がある。PBFは、二次元的に敷き詰められた金属紛体に対して、造形する部分に熱源であるレーザービームや電子ビームを照射して、金属紛体を溶融・凝固または焼結させることで三次元物体の各層を造形する。PBFでは、このような工程を繰り返すことで、所望の三次元物体を造形することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第4724299号明細書
【文献】特表2019-500246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のDEDやPBFにより造形を行う場合、造形場所の酸素濃度を下げるために、造形場所付近を不活性ガスでパージすることが行われることがある。このときパージガスの流速が大きいと、たとえばDEDによる材料粉末およびキャリアガスの流れを乱し、造形を不安定にすることがある。また、PBFでパージガスを使用すると、予め敷き詰めてある材料粉末を吹き飛ばしてしまい、予定している造形を困難にすることがある。一方で、パージガスの流速が小さいと、造形場所の酸素を十分に排除することができないことがある。本願は、AM法による造形時に、パージガスの流速を適度に維持しつつ造形場所の酸素濃度を十分に下げるためのAM装置の構造を提供することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
造形物を製造するためのAM装置が提供され、前記AM装置は、DEDノズルを有し、前記DEDノズルは、DEDノズル本体と、前記DEDノズル本体の先端に設けられたレーザー光を出射するためのレーザー口、および前記レーザー口に連通する、前記DEDノズル本体内をレーザー光が通過するためのレーザー通路と、前記DEDノズル本体の先端に設けられた粉体材料を出射するための粉体口、および前記粉体口に連通する、前記DEDノズル本体内を粉体材料が通過するための粉体通路と、を有し、前記AM装置はさらに、前記DEDノズルの前記レーザー口および前記粉体口の周囲を囲い、且つ、前記レーザー光の出射方向の下流側が開口しているカバーを有し、前記カバーは、前記カバーの内側へガスを供給するためのガス供給路を有し、前記ガス供給路は、全体として前記DEDノズル本体に向かってガスを導くように向き決めされており、前記ガス供給路は、ラティス構造層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態による、造形物を製造するためのAM装置を概略的に示す図である。
図2】一実施形態によるDEDノズルの断面を概略的に示す図である。
図3】一実施形態によるDEDノズルに取り付けられるカバーの断面を概略的に示す図である。
図4図3に示されるカバーを斜め上方から見た斜視図である。
図5図3に示されるカバーの一部を上方から見た上面図である。
図6】一実施形態による、内カバーを単独で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明に係る造形物を製造するためのAM装置の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0008】
図1は、一実施形態による、造形物を製造するためのAM装置を概略的に示す図である。図1に示されるように、AM装置100は、ベースプレート102を備える。ベースプレート102上に造形物Mが造形されることになる。ベースプレート102は、造形物Mを支持することができる任意の材料から形成されるプレートとすることができる。一実施形態において、ベースプレート102は、XYステージ104の上に配置される。XYステージ104は、水平面内で直交する二方向(x方向、y方向)に移動可能なステージ104である。なお、XYステージ104は、高さ方向(z方向)に移動可能なリフト機構に連結されていてもよい。また、一実施形態においては、XYステージ104はなくてもよい。
【0009】
一実施形態において、図1に示されるように、AM装置100は、DEDヘッド200を備える。DEDヘッド200は、レーザー源202、材料粉体源204、およびガス源206に接続されている。DEDヘッド200は、DEDノズル250を有する。DEDノズル250は、レーザー源202、材料粉体源204、およびガス源206からのレーザー、材料粉体、およびガスを噴射するように構成される。一実施形態において、図1に示されるようにDEDノズル250には、カバー300が取り付けられている。カバー300は、DEDノズル250の噴射口の周りを囲うように構成されている。
【0010】
DEDヘッド200は任意のものとすることができ、たとえば公知のDEDヘッドを使用することができる。DEDヘッド200は、移動機構220に連結されており、移動可能に構成される。移動機構220は、任意のものとすることができ、たとえば、レールなどの特定の軸に沿ってDEDヘッド200を移動可能なものとしてもよく、あるいは、任意の位置および向きにDEDヘッド200を移動させることができるロボットから構成されてもよい。一実施形態として、移動機構220は、直交する3軸に沿ってDEDヘッド200を移動可能に構成することができる。
【0011】
一実施形態によるAM装置100は、図1に示されるように制御装置170を有する。制御装置170は、AM装置100の各種の動作機構、たとえば上述のDEDヘッド200や各種の動作機構などの動作を制御するように構成される。制御装置170は、一般的なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
【0012】
図2は一実施形態によるDEDノズル250の断面を概略的に示す図である。図示の実施形態によるDEDノズル250は、全体として切頭円錐形状のDEDノズル本体259を備える。図示の実施形態によるDEDノズル250は、DEDノズル本体259の中心にレーザー251が通過するレーザー通路252を備える。レーザー通路252を通ったレーザーは、DEDノズル本体259のレーザー口252aから放出される。また、DEDノズル本体259は、レーザー通路252の外側に、材料粉体および材料粉体を輸送す
るためのキャリアガスが通過する粉体通路254を備える。粉体通路254を通った材料粉体は粉体口254aから放出される。さらに、DEDノズル本体259は、粉体通路254の外側に、シールドガスが通過するシールドガス通路256を備える。シールドガス通路256を通ったシールドガスは、ガス口256aから放出される。
【0013】
粉体通路254は、DEDノズル250から排出される材料粉体がレーザー251の集光点251aと実質的に同一の位置に収束するように構成される。なお、図2において材料粉体およびキャリアガスの流れは破線で示されている。キャリアガスは、たとえばアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスとすることができる。キャリアガスとして、空気より重いアルゴンガスを使用することがより望ましい。なお、キャリアガスに不活性ガスを用いることで、材料粉体が溶融して形成される溶融池を不活性ガスで覆うことで酸化を防止することができる。ただし、粉体口254aから放出されるキャリアガスの流れにより、その外側の空気が巻き込まれることがある。そこで、図2に示されるDEDノズル250は、粉体材料およびキャリアガスが排出される粉体通路254の外側に配置されたシールドガス通路256からシールドガスを低速で供給することで、周囲の空気が巻き込まれることを防止することができる。キャリアガスにより周囲の空気(特に酸素)が巻き込まれることを防止することで、造形時に金属酸化膜が生成されることを抑制でき、また、濡れ性の良い溶融池を形成することができる。図2において、シールドガスの流れは矢印で示されている。なお、シールドガスは、キャリアガスと同一の種類のガスとすることができる。
【0014】
図3は、一実施形態によるDEDノズル250に取り付けられるカバー300の断面を概略的に示す図である。図4は、図3に示されるカバー300を斜め上方から見た斜視図である。図5は、図3に示されるカバー300の一部を上方から見た上面図である。
【0015】
図3、4に示されるように、カバー300は、内カバー302および外カバー304を備える。内カバー302は略円筒形状である、内カバー302は下側が開放されている。内カバー302は、DEDノズル250のレーザー口252a、粉体口254a、ガス口256aを囲うように配置されている。外カバー304は、間隔をあけて内カバー302を囲うように配置されており、内カバー302よりも径の大きな略円筒形状である。外カバー304も内カバー302と同様に下側が開放されている。
【0016】
内カバー302と外カバー304とは、連結部材306により連結される。連結部材306は、内カバー302から外側に延びる突起である。かかる突起が外カバー304に形成される凹部に嵌合することで内カバー302と外カバー304とが連結される。
【0017】
図3に示される実施形態において、カバー300は、第1上カバー310および第2上カバー312を備える。第1上カバー310は、内カバー302の上端部に連結されている。なお、内カバー302と第1上カバー310とは一体的な構造物としてもよく、別部材として形成したものを連結させたものでもよい。第2上カバー312は、第1上カバー310の上方に配置されている。
【0018】
第1上カバー310および第2上カバー312は、DEDノズル250のノズル本体259が通るための中心孔320を備える。図3に示されるように、中心孔320は、ノズル本体259の直径よりも大きく、ノズル本体259の側面は、第1上カバー310および第2上カバー312に接触しない。図3に示されるように、ノズル本体259の肩部257を第2上カバー312に係合させることで、ノズル本体259の側面を第1上カバー310および第2上カバー312に接触させずに、DEDノズル250の先端がカバー300の内側に配置されるようにカバー300をDEDノズル250に位置決めすることができる。
【0019】
第1上カバー310と第2上カバー312との間には、ガス供給路314が画定されている。第2上カバー312には、ガス供給路314にパージガスを供給するためのガス供給口316が設けられている。ガス供給口316は、第2上カバー312の外側付近、すなわち内カバー302の近くに配置されている。ガス供給口316から供給されたパージガスは、ガス供給路314を通って全体としてDEDノズル250の方に向かって流れる。上述のように、第1上カバー310および第2上カバー312の中心孔320とノズル本体259の側面との間は隙間があるので、ガス供給路314を通ったパージガスはノズル本体259の側面に向けて供給され、また、内カバー302および第1上カバー310で囲まれる空間内にパージガスが供給される。
【0020】
なお、ガス供給口316から供給されるパージガスは、たとえばアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスとすることができる。パージガスは、空気より重いアルゴンガスを使用することがより望ましい。ガス供給口316から供給されるパージガスとして、上述のキャリアガスおよびシールドガスと同一の種類のガスを使用することができる。
【0021】
一実施形態において、ガス供給路314はラティス構造層330を含む。一実施形態において、ラティス構造層330は、ガス供給路314に配置される複数の柱332を備える。図3に示される実施形態において、複数の柱332は、第1上カバー310から第2上カバーに向けて延びる円柱形状の柱332である。一実施形態において、複数の柱332を備える第1上カバー310は、AM法あるいは他の任意の方法により造形される。また、一実施形態において、複数の柱332を備える第2上カバー312をAM法あるいは他の任意の方法により造形してもよい。あるいは、複数の柱332を備えるラティス構造層330を、第1上カバー310および第2上カバー312とは別の部材としてAM法を含む任意の方法で造形してもよい。
【0022】
一実施形態において、複数の柱332は、ガス供給路314の入り口側では疎に、出口側では密になるように配置されている。たとえば、図5に示されるように、半径方向に並ぶ複数の柱332の列を多数設けることで、ガス供給路314の出口側となる半径方向内側で柱332が密となり、ガス供給口316が配置されている半径方向外側で柱332が疎となる構造とすることができる。図5に示される実施形態において、柱332の断面は円形であるが、他の実施形態として、柱332の断面形状は四角形や三角形などの多角形、あるいは十字形など任意の形状とすることができる。
【0023】
上述の実施形態において、ガス供給路314はラティス構造層330を含むので、ガス供給口316から供給されたパージガスは、ラティス構造層330においてパージガスが拡散されながらガス供給路314を通り、第1上カバー310および第2上カバー312の中心孔320からDEDノズル250に向けて緩やかに供給される。そのため、パージガスの流速を適度に低減しながら、カバー300により造形場所の酸素濃度を下げることができる。
【0024】
一実施形態において、カバー300は、カバー300を冷却するための冷却機構を備える。図6は、内カバー302を単独で示す斜視図である。一実施形態において、図3に示されるように、内カバー302は、内部に冷媒を流すための冷媒通路340を備える。冷媒通路340は、円筒形の内カバー302を円周方向に延びる。また、カバー300は、冷媒通路340に冷媒を供給するための冷媒供給口342を備える。図3に示される実施形態において、冷媒供給口342は、上述した内カバー302と外カバー304とを連結する連結部材306の1つに形成された開口とすることができる。また、内カバー302は、冷媒通路340から冷媒を排出するための冷媒排出口344を備える。図6に示される実施形態において、冷媒排出口344は、内カバー302の上端に形成されている。
【0025】
冷媒供給口342および冷媒排出口344は、図示しない熱交換機やポンプなどを備える冷媒供給ラインに連結される。冷媒供給口342から供給された冷媒は、内カバー302に形成され冷媒通路340を通って冷媒排出口344から排出される。冷媒通路340を通る冷媒により、内カバー302は冷却される。
【0026】
カバー300を備えるDEDノズル250を使用して造形を行う場合、造形対象物Mへ照射したレーザーの反射エネルギーは、DEDノズル250およびカバー300、特に内カバー302で受けることになる。また、カバー300内を不活性ガスでパージするので、カバー300内におけるDEDノズル250の周囲においてガスの流れが緩やかになる。そのため、造形時にDEDノズル250やカバー300の温度が上昇しやすく、造形を不安定にすることがある。上述の実施形態のように、カバー300に冷却機構を設けることで、造形時にDEDノズル250やカバー300の温度上昇を抑制することができる。なお、冷媒としては、たとえば純水やその他の液体を使用することができる。
【0027】
一実施形態において、冷媒通路340の壁面に凹凸を設けるようにしてもよい。冷媒通路の壁面に凹凸を設けることで、冷媒による熱交換面積を大きくすることができ、冷媒の利用効率を高めることができる。また、一実施形態において、冷媒通路340は、ラティス構造を備えるものとしてもよい。ラティス構造は、冷媒通路340内の熱交換面積を大きくできるものであればよく、たとえば冷媒通路340内に配置される複数の柱構造としてもよいし、冷媒通路340の内部をメッシュ構造となるようにしてもよい。
【0028】
一実施形態において、冷媒通路340を備える内カバー302は、任意の金属またはプラスチック等の材料からAM法またはその他の任意の方法で製造することができる。
【0029】
また、一実施形態において、冷却機構は、冷媒および冷媒通路を使用せずに、ペルチェ素子などの冷却素子を使用してもよい。たとえば、ペルチェ素子を内カバー302やDEDノズル250に取り付けてもよい。
【0030】
一実施形態において、DEDノズル250あるいは内カバー302に温度計を設けてもよい。一実施形態において、温度計で測定した温度に応じて冷却機構を制御するようにすることで、DEDノズル250または内カバー302の温度を一定に維持することができる。
【0031】
上述の実施形態から少なくとも以下の技術的思想が把握される。
[形態1]造形物を製造するためのAM装置が提供され、前記AM装置は、DEDノズルを有し、前記DEDノズルは、DEDノズル本体と、前記DEDノズル本体の先端に設けられたレーザー光を出射するためのレーザー口、および前記レーザー口に連通する、前記DEDノズル本体内をレーザー光が通過するためのレーザー通路と、前記DEDノズル本体の先端に設けられた粉体材料を出射するための粉体口、および前記粉体口に連通する、前記DEDノズル本体内を粉体材料が通過するための粉体通路と、を有し、前記AM装置はさらに、前記DEDノズルの前記レーザー口および前記粉体口の周囲を囲い、且つ、前記レーザー光の出射方向の下流側が開口しているカバーを有し、前記カバーは、前記カバーの内側へガスを供給するためのガス供給路を有し、前記ガス供給路は、全体として前記DEDノズル本体に向かってガスを導くように向き決めされており、前記ガス供給路は、ラティス構造層を含む。
【0032】
[形態2]形態2によれば、形態1によるAM装置において、前記ラティス構造層は、複数の柱構造を含む。
【0033】
[形態3]形態3によれば、形態2によるAM装置であって、前記ラティス構造層は、複数の柱構造は、前記ガス供給路の入り口側では疎に、出口側では密になるように配置されている。
【0034】
[形態4]形態4によれば、造形物を製造するためのAM装置が提供され、前記AM装置は、DEDノズルを有し、前記DEDノズルは、DEDノズル本体と、前記DEDノズル本体の先端に設けられたレーザー光を出射するためのレーザー口、および前記レーザー口に連通する、前記DEDノズル本体内をレーザー光が通過するためのレーザー通路と、前記DEDノズル本体の先端に設けられた粉体材料を出射するための粉体口、および前記粉体口に連通する、前記DEDノズル本体内を粉体材料が通過するための粉体通路と、を有し、前記AM装置はさらに、前記DEDノズルの前記レーザー口および前記粉体口の周囲を囲い、且つ、前記レーザー光の出射方向の下流側が開口しているカバーを有し、前記カバーは、前記カバーの内側へガスを供給するためのガス供給路を有し、前記ガス供給路は、全体として前記DEDノズル本体に向かってガスを導くように向き決めされており、前記カバーは、前記カバーを冷却するための冷却機構を有する。
【0035】
[形態5]形態5によれば、形態4によるAM装置において、前記カバーの前記冷却機構は、冷媒を通過させるための冷媒通路を有する。
【0036】
[形態6]形態6によれば、形態5によるAM装置において、前記冷媒通路は、前記カバーの側壁に形成されている。
【0037】
[形態7]形態7によれば、形態5または6によるAM装置において、前記冷媒通路は、前記冷媒通路の表面に凹凸構造を有する。
【0038】
[形態8]形態8によれば、形態5から形態7のいずれか1つの形態によるAM装置において、前記冷媒通路は、ラティス構造を有する。
【0039】
[形態9]形態9によれば、形態4から形態8のいずれか1つの形態によるAM装置において、前記カバーの前記冷却機構は、ペルチェ素子を有する。
【符号の説明】
【0040】
100…AM装置
170…制御装置
200…DEDヘッド
202…レーザー源
204…材料粉体源
206…ガス源
250…DEDノズル
252…レーザー通路
254…粉体通路
256…シールドガス通路
257…肩部
259…ノズル本体
300…カバー
302…内カバー
304…外カバー
306…連結部材
310…第1上カバー
312…第2上カバー
314…ガス供給路
316…ガス供給口
320…中心孔
330…ラティス構造層
332…柱
340…冷媒通路
342…冷媒供給口
344…冷媒排出口
M…造形対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6