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特許7439101膜の有効酸化物厚さを変更するための水素化及び窒化処理
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】膜の有効酸化物厚さを変更するための水素化及び窒化処理
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240219BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240219BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20240219BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20240219BHJP
   C23C 16/56 20060101ALI20240219BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20240219BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H01L29/78 301G
H01L29/78 301P
H01L29/78 301F
H01L21/28 B
C23C16/34
C23C16/56
H01L29/58 G
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021540083
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 US2019056894
(87)【国際公開番号】W WO2020146030
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】16/244,051
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グラウイ, フォード
(72)【発明者】
【氏名】スウェンバーグ, ヨハネス エフ.
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハング, スティーブン シー.エイチ.
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0365480(US,A1)
【文献】特開2011-017081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0317199(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0125536(US,A1)
【文献】特開2016-125104(JP,A)
【文献】特開2008-172209(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0322880(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 21/28
C23C 16/34
C23C 16/56
H01L 29/423
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイス内に構造体を形成する方法であって、
基板の表面の上に形成された高誘電率誘電体層上に金属窒化物キャッピング層を堆積させることと、
堆積された前記金属窒化物キャッピング層の露出面を、水素含有種を含む第1のガスと、窒素含有種を含む第2のガスとを含むプラズマに曝露させること
を含み、前記第1のガス中の前記水素含有種が窒素を含む、方法。
【請求項2】
前記堆積された金属窒化物キャッピング層の前記露出面を前記プラズマに曝露した後に、前記露出面上にケイ素含有層を堆積させることと、
前記ケイ素含有層に熱アニール処理を行うことと、
前記ケイ素含有層を除去すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高誘電率誘電体層上に犠牲層を堆積させることと、
前記犠牲層上にケイ素含有層を堆積させることと、
前記犠牲層及び前記ケイ素含有層に熱アニール処理を行うことと、
前記高誘電率誘電体層上に前記金属窒化物キャッピング層を堆積させる前に、前記犠牲層及び前記ケイ素含有層を除去すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属窒化物キャッピング層がチタン及び窒素を含み、前記水素含有種がアンモニアを含み、前記窒素含有種が窒素ガス(N)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水素含有種がアンモニアを含み、前記窒素含有種が窒素ガス(N)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記露出面を前記水素含有種及び前記窒素含有種に曝露させることが、前記露出面をアルゴン(Ar)に曝露させることをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
半導体デバイス内に構造体を形成する方法であって、
半導体基板上に高誘電率誘電体層を堆積させることと、
前記高誘電率誘電体層上にキャッピング層を堆積させることと、
前記キャッピング層の露出面をプラズマ励起水素種及びプラズマ励起窒素種に曝露させることと、
前記露出面を空気に曝露させることと、
特定の時間及び特定の温度で前記高誘電率誘電体層及び前記キャッピング層に熱アニール処理を行うこと
を含み、前記プラズマ励起水素種がアンモニアを含み、前記プラズマ励起窒素種が窒素ガス(N)を含む、方法。
【請求項8】
前記高誘電率誘電体層を堆積させる前に、二酸化ケイ素含有界面層を形成することをさらに含み、前記二酸化ケイ素含有界面層上に後続して前記高誘電率誘電体層が形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記露出面上にケイ素含有層を堆積させることと、
前記ケイ素含有層に第二次熱アニール処理を行うことと、
前記ケイ素含有層を除去すること
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記高誘電率誘電体層上に犠牲層を堆積させることと、
前記犠牲層上にケイ素含有層を堆積させることと、
前記犠牲層及び前記ケイ素含有層に第三次熱アニール処理を行うことと、
前記犠牲層及び前記ケイ素含有層を除去すること
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記露出面を前記プラズマ励起水素種及び前記プラズマ励起窒素種に曝露させる前に、前記露出面が前記プラズマ励起水素種に曝露される処理チャンバに対して無酸素プラズマトリートメント処理を行うことをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記露出面を前記プラズマ励起水素種及び前記プラズマ励起窒素種に曝露しながら、前記半導体基板に基板バイアスが印加される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
半導体デバイス内に構造体を形成する方法であって、
半導体基板上に高誘電率誘電体層を堆積させることと、
前記構造体の一部を形成するために、前記高誘電率誘電体層上にキャッピング層を堆積させることであって、前記一部が、当該キャッピング層及び前記高誘電率誘電体層を含み、堆積された当該キャッピング層が、露出面を有する、キャッピング層を堆積させることと、
前記露出面をプラズマ励起水素種及びプラズマ励起窒素種に曝露させること
を含み、前記プラズマ励起水素種がアンモニアを含み、前記プラズマ励起窒素種が窒素ガス(N)を含む、方法。
【請求項14】
前記露出面を前記プラズマ励起水素種及び前記プラズマ励起窒素種に曝露させながら、前記半導体基板に基板バイアスが印加される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記金属窒化物キャッピング層が、チタン、タンタル、及びタングステンからなる群から選択された金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記露出面を前記プラズマに曝露させながら、前記基板に基板バイアスが印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記基板の表面に二酸化ケイ素含有界面層を形成することをさらに含み、
前記高誘電率誘電体層が、前記基板上に形成された前記二酸化ケイ素含有界面層上に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記露出面をプラズマ励起水素種及びプラズマ励起窒素種に曝露させる前に、前記露出面が前記プラズマ励起水素種に曝露される処理チャンバ内に前記基板が配置されていないときに、前記処理チャンバ内の少なくとも1つの表面に対して無酸素プラズマトリートメント処理を行うことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記キャッピング層が、窒素及び金属を含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書に記載された実施形態は、概して、半導体基板を処理するための方法及び装置に関し、より具体的には、膜の有効酸化物厚さ(effective oxide thickness)を変更する水素化及び窒化処理に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]集積回路においては、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:metal oxide semiconductor field effect transistor)のような、より小さなトランジスタが大変望ましい。第1に、より小さなトランジスタは、所与のチップ面積内により多くのトランジスタを形成することを可能にし、それによってチップサイズを減少させる。第2に、より小さなトランジスタは、概して、より大きなトランジスタよりも速くスイッチすることができ、それによって、チップ性能が改善される。
【0003】
[0003]MOSFETのサイズを縮小するための1つのアプローチは、スケーリングである。スケーリングでは、トランジスタの長さ、トランジスタの幅、及び酸化物(又は誘電体)の厚さなどの重要なデバイス寸法を比例して縮小する。このアプローチでは、トランジスタサイズを小さくしてもトランジスタチャネル抵抗は変化しないが、サイズ縮小に伴って、トランジスタのゲート容量とRC遅延が比例して減少する。
【0004】
[0004]しかしながら、MOSFETを将来の技術ノードによって要求されるサイズに縮小するためには、MOSFETにおける誘電体厚さの減少は極めて重要であるが、重大な妥協点も存在する。具体的には、MOSFETの従来の酸化物/酸窒化物誘電体層の厚さの線形減少に伴い、ゲートリークが急激に増加する結果、電力消費が増加するということである。さらに、誘電体層の厚さが今ではわずかな原子層に過ぎず、信頼性の懸念が高まっている。したがって、ゲートリークを急激に増加させることなく、トランジスタにおける酸化物厚さ又は有効酸化物厚さ(EOT)を減少できる任意の手段が非常に望ましい。本出願は、このような必要性及び他の必要性に対処するものである。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本明細書に記載された実施形態は、概して、半導体デバイス内の導電性構造体における界面及びバルクO原子を低減するための連続的な水素化及び窒化処理に関する。一実施形態では、半導体デバイス内に構造体を形成する方法が提供される。この方法は、半導体基板上に高誘電率誘電体層を堆積させることと、構造体の一部を形成するために、高誘電率誘電体層上にキャッピング層を堆積させることであって、堆積されたキャッピング層が露出面を含む、キャッピング層を堆積させることと、露出面をプラズマ励起水素種及びプラズマ励起窒素種に曝露させることを含む。基板の一部は、キャッピング層及び高誘電率誘電体を含む。
【0006】
[0006]一実施形態では、半導体デバイス内に構造体を形成する方法は、半導体基板上に高誘電率誘電体層を堆積させることと、構造体の一部を形成するために、高誘電率誘電体層上に金属窒化物層を堆積させることであって、前記一部が、金属窒化物層及び高誘電率誘電体層を含み、第1の有効酸化物厚さを有し、堆積された金属窒化物層が、露出面を有する、金属窒化物層を堆積させることと、第1の有効酸化物厚さを第2の有効酸化物厚さに減少させるために、露出面を、非酸化性プラズマ励起水素種、次いでプラズマ励起窒素種に順次曝露させることを含む。
【0007】
[0007]別の実施形態では、半導体装置内に構造体を形成する方法は、半導体基板上に高誘電率誘電体層を堆積することと、高誘電率誘電体層上に金属窒化物層を堆積させることと、露出面を、プラズマ励起水素種、次いでプラズマ励起窒素種に順次曝露させた後に、露出面を、プラズマ励起水素種、次いでプラズマ励起窒素種に順次曝露させることと、露出面を空気に曝露させることと、露出面を空気に曝露させた後、特定の時間及び特定の温度で高誘電率誘電体層及び金属窒化物層に熱アニール処理を行うことを含む。
【0008】
[0008]別の実施形態では、半導体デバイス内に構造体を形成する方法は、半導体基板上に高誘電率誘電体層を堆積させることと、構造体の一部を形成するために、高誘電率誘電体層上に金属窒化物層を堆積させることであって、前記一部が、金属窒化物層及び高誘電率誘電体層を含み、第1の有効酸化物厚さを有し、堆積された金属窒化物層が、露出面を有する、金属窒化物層を堆積させることと、露出面を、非酸化性プラズマ励起水素種、次いでプラズマ励起窒素種に連続的に曝露させることによって、第1の有効酸化物厚さを第2の有効酸化物厚さに減少させることを含む。
【0009】
[0009]別の実施形態では、半導体デバイス内に構造体を形成する方法が提供される。この方法は、半導体基板上に高誘電率誘電体層を堆積させることと、高誘電率誘電体層上にキャッピング層を堆積させることと、キャッピング層の露出面をプラズマ励起水素種及びプラズマ励起窒素種に曝露させることと、露出面を空気に曝露させることと、特定の時間及び特定の温度で高誘電率誘電体層及びキャッピング層に熱アニール処理を行うことを含む。
【0010】
[00010]別の実施形態では、半導体デバイス内に構造体を形成する方法が提供される。この方法は、半導体基板上に高誘電率誘電体層を堆積させることと、構造体の一部を形成するために、高誘電率誘電体層上にキャッピング層を堆積させることであって、堆積されたキャッピング層が露出面を含む、キャッピング層を堆積させることと、露出面をプラズマ励起水素種及びプラズマ励起窒素種に曝露させることを含み、プラズマ励起水素種はアンモニアを含み、プラズマ励起窒素種は窒素ガス(N)を含む。構造体の一部は、キャッピング層及び高誘電率誘電体を含む。
【0011】
[00011]別の実施形態では、半導体デバイス内に構造体を形成する方法が提供される。この方法は、基板の表面の上に形成された高誘電率誘電体層上に金属窒化物キャッピング層を堆積させることと、堆積された金属窒化物キャッピング層の露出面を、水素含有種を含む第1のガスと、窒素含有種を含む第2のガスとを含むプラズマに曝露させることを含み、第1のガス中の水素含有種は窒素を含む。
【0012】
[00012]別の実施形態では、半導体デバイス内に構造体を形成する方法が提供される。この方法は、半導体基板上に高誘電率誘電体層を堆積させることと、高誘電率誘電体層上にキャッピング層を堆積させることと、キャッピング層の露出面をプラズマ励起水素種及びプラズマ励起窒素種に曝露させることと、露出面を空気に曝露させることと、特定の時間及び特定の温度で高誘電率誘電体層及びキャッピング層に熱アニール処理を行うことを含む。
【0013】
[00013]別の実施形態では、半導体デバイス内に構造体を形成する方法が提供される。この方法は、半導体基板上に高誘電率誘電体層を堆積させることと、構造体の一部を形成するために、高誘電率誘電体層上にキャッピング層を堆積させることであって、前記一部が、キャッピング層及び高誘電率誘電体層を含み、堆積されたキャッピング層が、露出面を有する、キャッピング層を堆積させることと、露出面をプラズマ励起水素種及びプラズマ励起窒素種に曝露させることを含み、プラズマ励起水素種はアンモニアを含み、プラズマ励起窒素種は窒素ガス(N)を含む。
【0014】
[00014]本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって、得ることができる。そのうちの幾つかの実施形態は添付の図面で例示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、添付の図面は、この開示の典型的な実施形態のみを例示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の一実施形態に係る、半導体デバイスの一部として基板上に形成される接触構造体の断面図を示す。
図2A-2E】本開示の一実施形態に係る、接触構造体の製造の種々の段階における、図1の接触構造体内の金属窒化物層の概略図である。
図3】本開示の一実施形態に係る、処理前に堆積且つ熱アニールされたTiN膜に対するX線光電子分光(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)スペクトル310と、処理後に同じように堆積且つ熱アニールされたTiN膜に対するXPSスペクトル320とのグラフである。
図4】本開示の1つ又は複数の態様を実施するように構成された処理チャンバの側断面図である。
図5】本開示の1つ又は複数の態様を実施するように構成されたマルチチャンバ処理システムの上面図である。
図6】本開示の幾つかの実施形態に係る、接触構造体内のバルク及び界面酸素を低減するための処理ステップのフロー図を示す。
図7A-7E】本開示の様々な実施形態に係る、図6の処理の種々の段階に対応する半導体デバイスの概略断面図である。
図8】本開示の幾つかの実施形態に係る、接触構造体内のバルク及び界面酸素を低減するための処理ステップのフロー図を示す。
図9】本開示の幾つかの実施形態に係る、接触構造体内のバルク及び界面酸素を低減するための処理ステップのフロー図を示す。
図10】本開示の一実施形態に従って形成された金属ゲート構造体の断面図を示す。
図11】本開示の様々な実施形態に係る、金属ゲート構造体における有効酸化物厚さ(EOT)を減少させるための処理ステップのフロー図を示す。
図12A-12J】本開示の様々な実施形態に係る、図11の処理の種々の段階に対応する半導体デバイスの概略断面図である。
図13】本開示の様々な実施形態に係る、単一ステップの水素化及び窒化処理を用いて金属ゲート構造体をトリートメントするための処理ステップのフロー図を示す。
図14A-14J】本開示の様々な実施形態に係る、図13の処理の種々の段階に対応する半導体デバイスの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0024]理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及びフィーチャは、さらなる記述がなくても、他の実施形態に有益に組み込むことができると考えられている。
【0017】
[0025]本明細書に記載された実施形態は、概して、基板上に形成される半導体デバイス内の構造体における層を窒化するための方法及び装置に関する。単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理は、導電性構造体に含まれる金属層又は金属層のスタック(例えば、金属キャッピング層の堆積前に熱アニールされる金属層)に対して実行され得る。様々な実施形態では、単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理は、熱アニール処理の前、熱アニール処理の後、又は熱アニール処理の前と後の両方に実行することができる。各実施形態では、導電性構造体中の窒素原子濃度が有利に増加することにより、導電性構造体中の電気抵抗が減少する。このような導電性構造体のうちの1つが図1に示されている。
【0018】
界面及びバルク酸素が低減した導電性構造体
[0026]図1は、本開示の一実施形態に係る、半導体デバイスの一部として半導体基板110上に形成された導電性構造体100、又は接触構造体の断面図を示す。導電性構造体100は、電流を伝導するように構成された半導体デバイスの任意の部分であってもよく、したがって、電気抵抗の減少により恩恵を受ける。図1に示される実施形態では、導電性構造体100は、ソース又はドレイン構造体101に電気接触を設けるための接触構造体として例示されており、導電性構造体100が形成されて半導体基板110上で化学機械研磨(CMP)のような平坦化処理が完了した後の状態で示されている。例えば、導電性構造体100は、電界効果トランジスタ(FET)のための接触構造体であってもよい。
【0019】
[0027]導電性構造体100は、絶縁材料120に形成された空洞であるコンタクトウェル109、すなわち開孔内に配置される。シャロートレンチアイソレーション(STI:shallow trench isolation)と代替的に呼ばれる絶縁材料120は、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、又はそれらの複数の層などの1つ又は複数の誘電体材料を含んでもよい。絶縁材料120は、高密度プラズマ(HDP:high-density plasma)、流動性化学気相堆積(FCVD:flowable chemical vapor deposition)、テトラエチルオルトケイ酸塩(TEOS:tetraethyl orthosilicate)などによって形成され得る。導電性構造体100は、複数の金属層のスタック(例えば、第1の金属層102、金属窒化物層103、並びに第1の金属層102及び金属窒化物層103の上に配置される少なくとも導電性部分)を含み得る。導電性部分は、キャッピング層104及び/又は導電層106を含み得る。
【0020】
[0028]ソース又はドレイン構造体101は、半導体基板110から、又は半導体基板110上に堆積された異なる半導体材料から形成され得る。後者の場合、異なる半導体材料は、シリコン-ゲルマニウム、III-V族化合物半導体材料などを含み得る。例えば、幾つかの実施形態では、エピタキシャル処理を行って、ソース又はドレイン構造体101を成長させてもよい。
【0021】
[0029]第1の金属層102は、ソース又はドレイン構造体101上に形成される。第1の金属層102は、適切な熱アニール処理の後に、ソース又はドレイン構造体101との界面にケイ素化合物105を形成するように選択された1つ又は複数の金属を含む。例えば、幾つかの実施形態では、第1の金属層102は、チタン(Ti)を含んでいるか、又は全体的にTiで構成されており、約40Åから約50Åの厚さを有し得る。金属窒化物層103は、第1の金属層102上に形成され、金属窒化物を含み、例えば、導電性構造体100内の拡散障壁層として機能する。幾つかの実施形態では、金属窒化物層103は、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、及び/又は窒化タングステン(W)を含み、約10Åから20Åの厚さを有し得る。キャッピング層104は、典型的には、ケイ素化合物105が導電性構造体100内に形成される熱アニール処理の後に、金属窒化物層103上に形成され、1つ又は複数の金属を含む。幾つかの実施形態では、導電性構造体100は、別個に形成された導電層106(コバルト、銅、ルテニウム、ニッケル、タングステン、アルミニウム、若しくは他の有用な金属、又はこれらの合金などの金属を含んでもよい)を含み得る。幾つかの実施形態では、キャッピング層104は、Coを含み、約10Åから20Åの厚さを有し得る。他の実施形態では、キャッピング層104は、コンタクトウェル109の残りの部分を完全に充填する金属(例えば、コバルト)を含む。
【0022】
[0030]前述のように、第1の金属層102及び/又は金属窒化物層103中のO原子の存在が、導電性構造体100の実効導電率に悪影響を及ぼす。第1に、任意の金属層中の酸化物が、形成された金属層のバルク導電率を増加させる。第2に、界面酸化物、すなわち、金属窒化物層103とキャッピング層104との間の界面に形成される金属酸化物は、金属窒化物層103とキャッピング層104との間の接着不良をもたらし、潜在的に、導電性構造体100の実効断面積を著しく減少させるボイドを生じさせる。残念ながら、導電性構造体100の金属層のバルク部分には、低濃度のO原子が大抵いつもある程度は存在する。さらに、多くの場合、より高い濃度の酸化物が、製造工程間に空気に曝される金属表面に形成され得る。本開示の実施形態によれば、連続的な水素化及びプラズマ窒化処理を通して、導電性構造体100中のバルク及び界面O原子の存在を低減することができる。このような連続的な処理が、どのように導電性構造体100中のバルク及び界面O原子を低減するかについての物理的モデルが、図2Aから2E及び図3Aから3Dに示されている。
【0023】
界面及びバルク酸素を減少させる物理的モデル
[0031]図2Aから2Eは、本開示の一実施形態に係る、接触構造体100の製造の種々の段階における接触構造体100内の金属窒化物層103の概略図である。図2Aから2Eは、金属窒化物層103の1つの可能な表面終端部を示しているだけであり、典型的なTiN構造体を表しているに過ぎないことに留意されたい。幾つかの実施態様では、金属窒化物層103は、TiN層に関連付けられた任意の他の可能な表面終端部又は結晶構造を有し得る。
【0024】
[0032]図2Aでは、金属窒化物層103の部分200は、金属窒化物層103が第1の金属層102上に堆積された直後、且つ部分200が空気に曝される前の状態で概略的に示されている。部分200は、最終的にその上にキャッピング層104が堆積される、部分200の表面201を含む。図示されるように、部分200は、NaCl型立方構造を有しており、主にTi元素とN原子から構成されている。さらに、部分200は、表面201の下方の部分200のバルク領域に典型的に配置された低濃度の(クロスハッチングされた)バルクO原子211を含む。バルクO原子211は、部分200の形成に用いられる堆積処理中、処理環境で見付かる汚染によって組み込まれることがある。さらに、部分200は、概して、空孔213を含む。空孔213は、原子が欠落している部分200の結晶格子内の部位である。空孔213は、窒化物層103が空気に曝されたときに部分200内でさらなる酸化が生じ得る位置である。金属窒化物層103が原子層堆積(ALD)処理によって形成される場合、従来の化学気相堆積(CVD)又は物理的気相堆積(PVD)処理に比べて、ALD処理において見出される膜の核形成及び成長機構に起因して、空孔213が比較的一般的であることに留意されたい。したがって、本開示の実施形態のうちの1つ又は複数は、従来のPVD又はCVD型の処理ではなく、ALD処理によって形成された膜に使用された場合、大きな利点をもたらし得る。
【0025】
[0033]図2Bでは、金属窒化物層103を堆積した処理システムから除去された後の部分200が示されている。例えば、部分200が形成された半導体基板110は、熱アニール処理に備えて空気に曝され得る。典型的には、アニール処理チャンバのような従来の熱処理チャンバは、第1の金属層102及び金属窒化物層103を形成するために使用される処理システムとは異なる処理システムで操作される。その理由としては、最先端のデバイスノードアプリケーションを形成するために必要とされる清浄度、熱管理制御、及び真空レベル要件の違いが挙げられる。これにより、図2Bでは、部分200は空気に曝された後の状態で示されている。図示のように、表面201は部分的に酸化されており、表面O原子212は、表面201上に配置された空孔213の大部分又はすべてを占めている。場合によっては、部分200が空気に曝された結果、部分200内に配置された空孔213の一部はバルクO原子211で占められている。
【0026】
[0034]図2Cでは、部分200は、図1に示されるようにケイ素化合物105を形成するために熱アニール処理を受けた後の状態で示される。残りの空孔213の一部又は全部は、バルクO原子211又は表面O原子212で充填される。幾つかの実施形態では、バルクO原子211は、さらに部分200内に配置されたN原子の一部を置換し得る。したがって、アニール処理は、概して、部分200内のバルクO原子211及び表面O原子212の両方の数を増加させる。表面201上の表面O原子212の深さがたった1つ又は2つの単分子層であっても、導電性構造体100の抵抗率への影響は著しい場合があり、特に、先進的なデバイスノード(例えば、65nm技術ノード以下)に関連付けられるような、より小さなデバイス構造体に対して顕著であり得る。
【0027】
[0035]図2Dでは、部分200は、本開示の様々な実施形態に係る、部分200に含まれるバルクO原子211及び/又は表面O原子212と反応する水素原子に曝された後の状態で示されている。幾つかの実施形態では、バルクO原子211及び/又は表面O原子212は、熱水素化処理の一部として、熱解離水素ガス(H)からの水素原子と反応するが、他の実施形態では、バルクO原子211及び/又は表面O原子212は、プラズマ水素化処理の一部として、水素含有プラズマからの水素原子と反応する。
【0028】
[0036]熱水素化処理は、特定の処理条件下(部分200を少なくとも約550℃から約650℃に加熱することを含む)で、適切な急速熱処理チャンバ内で実施され得る。プラズマ水素化処理は、特定の処理条件下で適切なプラズマ処理チャンバ内で実行され得る。例示的なプラズマ処理チャンバ及びプラズマ処理条件は、それぞれ、プラズマ水素化処理に関連して以下で説明される。図示されるように、水素化処理は、表面201から表面O原子212を減少させるか、さもなければその全て又は実質的に全てを除去し、空孔213を残す。さらに、プラズマ水素化処理は、表面201の下方に配置されたバルクO原子211の一部又は全てを除去することもできる。
【0029】
[0037]図2Eでは、本開示の様々な実施形態に係る、プラズマ窒化処理を受けた後の状態の部分200が示されている。プラズマ窒化処理は、特定の処理条件下で適切なプラズマ処理チャンバ内で実行され得る。例示的なプラズマ処理チャンバ及びプラズマ処理条件は、それぞれ、プラズマ窒化処理に関連して以下で説明される。幾つかの実施形態では、プラズマ窒化処理は、プラズマ水素化処理を実行するチャンバと同じプラズマ処理チャンバ内で実行してもよい。さらに、プラズマ又は熱水素化処理とプラズマ窒化処理との間に空気侵入(air break)が生じない。すなわち、部分200は、プラズマ又は熱水素化処理の後、及びプラズマ窒化処理の前に、空気に曝されることはない。
【0030】
[0038]図示されるように、窒化処理によって、空孔213がN原子で充填され、表面201には、表面O原子212がほとんど又は全く配置されなくなる。したがって、表面201がN原子で飽和することがあり、その結果、キャッピング層104が堆積される前に表面201が再び空気に曝された場合であっても、表面201のその後の酸化が大幅に低減されるか、又はなくなる。したがって、金属窒化物層103の表面201とキャッピング層104との間の接着が改善される。加えて、表面201の下方の一部の又は全ての空孔が、バルクO原子211の代わりにN原子で充填され得、金属窒化物層103、第1の金属層102、及び導電性構造体100の導電率が全体的にさらに改善される。
【0031】
[0039]図3は、本開示の一実施形態に係る、処理前に堆積且つ熱アニールされたTiN膜に対するX線光電子分光(XPS)スペクトル310と、処理後に同じように堆積且つ熱アニールされたTiN膜に対するXPSスペクトル320とのグラフである。この処理は、プラズマ又は熱水素化処理と、それに続くプラズマ窒化処理とを含む。熱アニール処理は、約550℃から600℃の間の温度での、窒素ガス(N)又はアンモニウム(NH)環境中急速熱処理である。プラズマ水素化処理は、約340℃から500℃の間の温度、約10mTorrから150mTorrの間の処理圧力、約250Wから2000Wの間のプラズマ出力、約5sccmから100sccmの間のH流量、及び約250sccmから2000sccmの間のアルゴン(Ar)流量で、約30秒から約200秒の間、誘導結合プラズマ(ICP)チャンバ内で基板ペデスタルに実行される。プラズマ窒化処理は、約350℃から500℃の間の温度、約10mTorrから100mTorrの間の処理圧力、約250Wから2000Wの間のプラズマ電力、約5sccmから100sccmの間のNH流量、約300sccmから500sccmの間の窒素(N)流量、及び約20sccmから500sccmの間のアルゴン(Ar)流量で、約30秒から約200秒の間、同じICPチャンバ内で基板ペデスタルに実行され得る。
【0032】
[0040]当技術分野で周知のように、TiN膜のXPSスペクトルは、複数のピークを含み得、それぞれが異なるチタン含有材料の異なる相対濃度を示す。例えば、ほぼ458.5eVの結合エネルギーにおけるTi-Oピークは、概して、Ti-O結合の存在を示し、したがって、チタン含有材料中にO原子が存在することを示しており、ほぼ457eVの結合エネルギーにおけるTi-O-Nピークは、概して、Ti-O-N結合の存在を示し、したがって、チタン含有材料中にN原子及びO原子が存在することを示しており、ほぼ454.9eVの結合エネルギーにおけるTi-Nピークは、概して、Ti-N結合の存在を示し、したがって、チタン含有材料中に窒素(N)原子が存在することを示している。
【0033】
[0041]XPSスペクトル310は、上述の熱アニール処理が行われた後の、堆積されたTiN膜のためのTi 2pシェルに関連付けられ、XPSスペクトル320は、上述のプラズマ水素化処理、次いで上述のプラズマ窒化処理が行われた後の、堆積され且つ熱アニールされたTiN膜のためのTi 2pシェルに関連付けられる。図示されるように、Ti-O結合の存在を示すピーク及びTi-O-N結合の存在を示すピークは、XPSスペクトル310よりもXPSスペクトル320の方が著しく低く、TiN膜におけるO原子の存在の減少を明らかに示している。さらに、Ti-N結合の存在を示すピークは、XPSスペクトル310よりもXPSスペクトル320の方が著しく高く、TiN膜におけるN原子の濃度の増加を明らかに示している。このように、アニール処理後に水素化及び窒化処理を行うことにより、金属窒化膜103中のO原子の濃度を著しく減少させることができ、金属窒化膜103中のN原子の濃度を著しく増加させることができる。
【0034】
[0042]図2Aから図2E、及び図3は、窒化金属層103に対するアニール後の連続的水素化及び窒化処理の効果を示す。幾つかの実施形態では、熱アニール処理の前に、部分200に対して、プラズマ又は熱水素化処理、次いでプラズマ窒化処理を利用することは、同様の有利な効果を有し得る。具体的には、(図2Eに示すように)プラズマ窒化処理により、表面201が、ほとんど又は完全にN原子で飽和し得るので、表面201のその後の空気曝露及び熱アニールによって酸化はほとんど生じないか、又は全く生じない。その結果、部分200で発見されるバルクO原子211の濃度及び表面201上の表面O原子212の濃度が著しく増加することはない。
【0035】
連続的な水素化及び窒化のためのシステムの概要
[0043]図4は、本開示の1つ又は複数の態様を実施するように構成されたプラズマ処理チャンバ400の概略断面図である。プラズマ処理チャンバ400は、誘導結合プラズマ(ICP)処理チャンバなどの任意の適切なプラズマ処理チャンバであってもよい。図4に示されるように、処理チャンバ400は、チャンバ壁406、チャンバリッド408、及びチャンバ壁406内に配置された基板支持ペデスタル404を含み得る。典型的には、チャンバ壁406は、電気接地416に連結される。チャンバリッド408は、石英などの任意の適切な誘電体から構成され得る。幾つかの実施形態では、誘電体リッド408は、異なる形状(例えば、ドーム形状)が仮定されてもよい。幾つかの実施形態では、チャンバリッド408は、プラズマ種からの保護のために、イットリウム含有酸化物などのセラミックコーティングでコーティングされてもよい。一実施形態では、セラミックコーティングは、化合物YAl及び固溶体Y2-xZr(Y-ZrO固溶体)から構成される高性能材料(HPM:high performance material)である。セラミックコーティングは、約100ミクロンから約300ミクロン(例えば、約200ミクロン)の範囲の厚さを有し得る。
【0036】
[0044]チャンバリッド408の上方には、少なくとも1つの誘導コイル素子410を含む高周波(RF)アンテナが配置され得る(2つの同軸コイル素子が示されている)。幾つかの実施形態では、誘導コイル素子410が、チャンバ壁406の少なくとも一部の周りに配置され得る。図示のように、誘導コイル素子410の一端が、第1のインピーダンス整合ネットワーク412を介して、RF電源414に連結され得、他端が、電気接地417に接続され得る。電源414は、典型的に、2から160MHzの範囲の調整可能な周波数で最大10キロワット(kW)を生成することができ、13.56MHzが典型的な動作周波数である。誘導コイル素子410に供給されるRF電力は、1から100kHzの範囲の周波数でパルス化(すなわち、オン状態とオフ状態との間で切り替える)されてもよく、又は電力サイクル化(すなわち、電力入力を高レベルから低レベルに変動させる)されてもよい。
【0037】
[0045]RFアンテナの誘導コイル素子410とチャンバリッド408との間には、遮蔽電極418が介在し得る。図4に示されるように、遮蔽電極418は、電気接地419に対して、交互に電気的に、フローティング状態であるか、又はスイッチ420のような電気的接続を確立且つ遮断するための任意の適切な手段を介して連結されてもよい。
【0038】
[0046]幾つかの実施形態では、検出器422をチャンバ壁406に取り付けて、チャンバ400内のガス混合物がいつプラズマに励起されたかの判断を容易にすることができる。検出器422は、例えば、励起ガスによって放射される放射線を検出するか、又は発光分光法(OES)を使用して、発生したプラズマに関連する光の1つ又は複数の波長の強度を測定し得る。
【0039】
[0047]ペデスタル404は、第2のインピーダンス整合ネットワーク424を介して、バイアス電源426に連結され得る。バイアス電源426は、概して、RF電源414と同様に、2から160MHzの範囲の調整可能な周波数及び0から10kWの間の電力を有するRF信号を生成することが可能である。任意に、バイアス電源426は、直流(DC)又はパルスDC源であってもよい。
【0040】
[0048]動作では、半導体基板のような基板428がペデスタル404上に配置される。ガス混合物434を形成するために、処理ガスが、ガスパネル430から入口ポート432を介して供給される。本明細書に記載された処理のうちの1つ又は複数において使用され得る典型的な処理ガスは、以下に記載される。入口ポート432は、HPMなどのセラミックコーティングでコーティングすることができる。RF電源414から電力を印加することによって、ガス混合物434が、処理チャンバ400内のプラズマ436にエネルギー付与することができる。チャンバ本体400の内部の圧力は、スロットルバルブ438及び真空ポンプ440を使用して制御され得る。幾つかの実施形態では、チャンバ壁406の温度は、液体含有導管(図示せず)を使用して制御され得る。この液体含有導管は、チャンバ壁406若しくはチャンバ壁406内に埋め込まれた加熱素子(例えば、加熱カートリッジ又はコイル)を貫通するか、又は処理チャンバ400の周囲に巻き付けられている(例えば、加熱ラップ若しくはテープ)。
【0041】
[0049]基板428の温度は、ペデスタル404の温度を安定化させることによって、制御することができる。幾つかの実施形態では、ガス源442からのヘリウム(He)ガスは、ガス導管444を介して、基板428の下方のペデスタル表面に形成されたチャネル(図示せず)に供給され得る。ヘリウムガスは、ペデスタル404と基板428との間の熱伝達を促進し得る。処理中、ペデスタル404が定常状態温度まで加熱され得、次いで、ヘリウムガスが基板428の均一な加熱を促進し得る。ペデスタルは、ペデスタル404内に埋め込まれた抵抗ヒータのような加熱素子(図示せず)、又はペデスタル404若しくは基板428の上方にあるときにこれらに概して向けられているランプによって加熱されてもよい。このような熱的制御を用いて、基板428が約20から約350℃の間の温度に維持され得る。
【0042】
[0050]本明細書に記載される処理チャンバ400の構成要素の制御を可能にするために、コントローラ446が設けられ得る。コントローラ446は、概して、中央処理装置(CPU)448、メモリ450、及びCPU448用の支持回路452を含む。コントローラ446は、RF電源414、スイッチ420、検出器422、及びバイアス電源426とインターフェース接続し得る。
【0043】
[0051]コントローラ446は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために産業用設定で使用できる任意の適切な形態の汎用コンピュータプロセッサであってもよい。CPU448用のメモリ450又は他のコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又はローカル若しくは遠隔の任意の他の形態のデジタル記憶装置のような、任意の容易に利用可能なメモリ形態のうちの1つ又は複数であってもよい。従来の方法でプロセッサを支持するために、支持回路452がCPU448に連結されてもよい。これらの回路には、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、及びサブシステム等が含まれてもよい。幾つかの実施形態では、プラズマにエネルギーを与え、プラズマを維持するための、本明細書で開示される技術は、ソフトウェアルーチンとしてメモリ450に記憶され得る。さらに、ソフトウェアルーチンは、CPU448によって制御されているハードウェアから遠隔に位置する第2のCPU(図示せず)によって記憶且つ/又は実行されてもよい。
【0044】
[0052]本開示の幾つかの実施形態によれば、基板上で熱アニールが実行される前及び/又は後に、基板上で、熱又はプラズマ水素化処理に続いて、プラズマ窒化処理(以下で「連続的な水素化/窒化処理」と呼ばれる)が実行される。連続的な水素化/窒化処理は、容量結合プラズマ処理又は誘導結合プラズマ処理を含み得る。幾つかの実施形態では、水素化/窒化処理のためのプラズマは、処理チャンバ400の外側の遠隔プラズマ源内で形成されてもよく、他の実施形態では、プラズマ処理のためのプラズマは、インシトゥ(その場)で、すなわち処理チャンバ400内で形成されてもよい。水素化及び窒化は、同一のステップ(以下では、「単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理」と呼ぶ)で行うことができる。幾つかの実施形態では、単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理のためのプラズマは、処理チャンバ400の外側の遠隔プラズマ源内で形成されてもよく、他の実施形態では、プラズマ処理のためのプラズマは、インシトゥ(その場)、すなわち処理チャンバ400内で形成されてもよい。
【0045】
[0053]プラズマ水素化処理では、プラズマ励起されたHラジカル及び/又はイオンが、バルクO原子211及び/又は表面O原子212と反応して、空孔213を生成する。熱水素化処理の場合、解離したH原子がバルクO原子211及び/又は表面O原子212と反応して、空孔213を生成する。窒化処理では、Nラジカル及び/又はイオンが空孔213を占有する。
【0046】
[0054]プラズマ水素化処理の間、処理チャンバ400内の処理環境は、概して、解離したH原子、Hラジカル、及び/又はHイオンなどのH原子の存在に起因して、比較的低い濃度のO原子を含むことに留意されたい。したがって、プラズマ水素化処理中の処理チャンバ400内の処理環境は、窒化処理中の処理チャンバ400内の処理環境、又は金属窒化物層の堆積中の処理チャンバ内の処理環境よりも低い濃度のO原子を含み得る。しかしながら、水素化又は窒化の両方にとって、O原子の濃度がより低いことが概して有利である。したがって、幾つかの実施形態では、任意のO種の形跡を除去するために、プラズマ水素化処理及び/又は窒素化処理の前に、H処理などのプラズマ処理で処理チャンバを調整することができる。
【0047】
[0055]本明細書に記載された水素化/窒化処理又は単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理で処理される金属窒化物層が約200Å以下の厚さを有する薄膜である場合、ICP処理は、概して、水素化又は窒化のいずれかの間に金属窒化物層に損傷を与える可能性がより低い。具体的には、ICP処理では、プラズマシースが、典型的には、CCPチャンバ内のものよりも小さく、したがって、プラズマシースを通って移動するイオンは、典型的には、比例してより少ないエネルギー(例えば、10から20eVなど、数10eV程度のエネルギー)を有する。これとは対照的に、CCPチャンバ内のイオンは、典型的に、数100eV程度(例えば、>200から400eV)のエネルギーを有し、その結果、金属窒化物層に重大な損傷を与え得る。さらに、ICP処理は、CCP又は遠隔プラズマ処理を使用した場合よりも、金属窒化物層からより多くの酸素を除去することができる。これは、他の種類の処理チャンバで使用されるCCP及び遠隔プラズマ源に比べて、ICP処理チャンバの中及び基板の近傍において概して形成される、イオン、ラジカル、及びその他のプラズマ励起種の密度がより高いことに起因する。これとは対照的に、CCP及び遠隔プラズマ源からのラジカルの濃度は比較的低い。
【0048】
[0056]プラズマ処理のためのプラズマがインシトゥ(その場)で形成される実施形態では、プラズマは、誘導コイル素子410、第1のインピーダンス整合ネットワーク412、RF電源414、並びに幾つかの実施形態では、第2のインピーダンス整合ネットワーク424及びバイアス電源426を介して形成され得る。これらの実施形態では、プラズマ処理は、特定のプラズマ種(すなわち、イオン、中性原子、及び/又はラジカル)を生成するように選択された1つ又は複数の処理ガスを処理チャンバ400内に導入することを含み得る。より具体的には、プラズマ水素化処理の場合、1つ又は複数の処理ガスは、プラズマ励起水素種を生成するように選択され、プラズマ窒化処理の場合、1つ又は複数の処理ガスは、プラズマ励起窒素種を生成するように選択される。したがって、プラズマ水素化処理の場合、1つ又は複数の処理ガスは、水素(H)及び/又はDを含んでもよく、プラズマ窒化処理の場合、1つ又は複数の処理ガスは、窒素(N)又はアンモニア(NH)を含んでもよい。代替的に又は追加的に、プラズマ処理は、アルゴン(Ar)などの1つ又は複数のキャリア及び/又は不活性ガスを処理チャンバ400内へ導入することを含み得る。単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理の場合、1つ又は複数の処理ガスは、水素(H)、D、窒素(N)、アンモニア(NH)、又はヒドラジン(N)を含み得る。
【0049】
[0057]幾つかの実施形態では、プラズマ水素化処理は、主に、水素(H)から実質的になる処理ガスを含むプラズマの形成を含み、プラズマから供給される反応種を形成する。Hを用いて形成されるプラズマ(例えば、誘導結合プラズマ)を使用する水素含有種の形成は、H含有処理ガスを使用する熱水素化処理よりも、水素含有ラジカル及びイオンが著しく多くなり、これにより、プラズマ水素化処理の有効性が改善され、反応性ガスを含有する不純な水素を使用したときに見出される不要な反応を低減することに留意されたい。
【0050】
[0058]幾つかの実施形態では、1つ又は複数の処理ガスは、RF電源414などのRF電源によって通電される。RF電力は、2%から70%のデューティサイクルでパルス化することができ、約100Wから約2500Wの範囲であり得る。RF電力は、約100Wから約2500Wの範囲の連続波であってもよい。処理チャンバは、プラズマ処理中に約10mTorrから約200mTorrの範囲のチャンバ圧力を有し得るが、処理温度(例えば、ペデスタル404の温度)は、20℃から約500℃の範囲であってもよい。
【0051】
[0059]例示的な実施形態では、プラズマ水素化処理は、約400℃と約500℃との間の処理温度、約5mTorrと約20mTorrとの間のチャンバ圧力、約1000Wと約2000Wとの間のRF電力、及び約175Vと約250Vとの間のバイアス電圧で、約20sccmと約40sccmとの間のH流、及び約400sccmと約500sccmとの間のAr流を伴って、約50秒と約300秒との間の期間にわたって実行される。処理チャンバ400内部のプラズマから発生するプラズマ励起水素種は、部分的に形成された導電性構造体(例えば、導電性構造体100)の金属窒化物層(例えば、金属窒化物層103)の露出面に存在する一部又は全ての酸化物を低減することができる。幾つかの実施形態では、プラズマ励起水素種は、導電性構造体100の第1の金属層102のような、金属窒化物層又は導電性構造体の他の金属層のバルク材料に存在するO原子の一部又はすべてを低減することもできる。このようなO原子の低減は、図2D及び図3Bに関連して以上で説明されている。
【0052】
[0060]別の例示的な実施形態では、プラズマ窒化処理は、約400℃と約500℃との間の処理温度、約5mTorrと約25mTorrとの間のチャンバ圧力、約1000Wと約2000Wとの間のRF電力、及び約175Vと約250Vとの間のバイアス電圧で、約20sccmと約40sccmとの間のNH流、約400sccmと約600sccmとの間のN流、及び約400sccmと約500sccmとの間のAr流を伴って、約50秒と約300秒との間の期間にわたって実行される。処理チャンバ400内部のプラズマから発生するプラズマ励起窒素種は、部分的に形成された導電性構造体の金属窒化物層の露出面(例えば、金属窒化物層103の表面201)を飽和させることができる。幾つかの実施形態では、プラズマ励起窒素種は、導電性構造体の金属窒化物層又は他の金属層のバルク材料に存在する空孔を充填することもできる。このような窒化は、図2E及び図3Cに関連して以上で説明されている。
【0053】
[0100]幾つかの実施形態では、単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理は、約30秒から約150秒の間の期間にわたって、約10mTorrから約100mTorrの間のチャンバ圧力、約350℃から約500℃の間の処理温度(例えば、基板ペデスタル温度)、及び約300Wから約2000Wの間のRF電力で、約5sccmから約100sccmの間のNH流量、約50sccmから約1000sccmの間のN流量、約1から約1000sccmの間のヘリウム(He)流量を伴って実行され、約2MHzから約160MHzの周波数、及び約0kWから約10kWの間のバイアス電力で基板バイアスが印加される。
【0054】
[0101]幾つかの実施形態では、単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理は、約85秒から約95秒の間の期間にわたって、約15mTorrから約25mTorrの間のチャンバ圧力、約350℃から約500℃の間の処理温度、及び約300Wから約1600Wの間のRF電力で、約10sccmから約40sccmの間のNH流量、約200sccmから約550sccmの間のN流量、及び約200sccmから約550sccmの間のAr流量を伴って、基板バイアス電力を印加せずに、実行される。
【0055】
[0061]プラズマ処理のためのプラズマが遠隔で形成される実施形態では、プラズマは、任意の技術的に実現可能な遠隔プラズマ源を介して形成され得る。当該実施形態では、プラズマ処理は、プラズマ励起水素種又はプラズマ励起窒素種を生成するように選択された1つ又は複数の処理ガスを遠隔プラズマ源に導入することを含み得る。代替的に又は追加的に、遠隔プラズマ処理は、アルゴン(Ar)などの1つ又は複数のキャリア及び/又は不活性ガスを遠隔プラズマ源に導入することを含み得る。次いで、遠隔的に生成されたプラズマ種は、処理チャンバ400内に流入し、処理チャンバ400内に配置された基板上に形成された導電性構造体の金属窒化物層を処理する。上述したように、プラズマ種がプラズマ励起水素種であるか又はプラズマ励起窒素種であるかによって、金属窒化物層内の界面及びバルクO原子が低減されるか、又は金属窒化物層の窒化が強化される。
【0056】
[0062]幾つかの実施形態では、プラズマ水素化処理よりも熱水素化処理を使用して、金属窒化物層を水素原子に曝露することができる。当該実施形態では、熱水素化処理は、概して、高温(例えば、約500℃から約650℃)で行われる。このような高温では、Hガスは、個々の原子に解離し、次いで、この個々の原子は、金属窒化物層103中のO原子と反応して、空孔213を生成し得る。さらに、当該実施形態では、熱水素化処理が、概して、処理チャンバ400とは異なる処理チャンバ内で実行される。例えば、幾つかの実施形態では、熱水素化処理は、急速熱処理チャンバ内で行われる。当該実施形態では、サリサイド化処理(salicidation process)が熱水素化処理と同時に実行されてもよく、これによって、後続のアニール処理をなくしていく。
【0057】
[0063]金属窒化物層を水素原子に曝露するために熱アニール処理が利用される実施形態では、プラズマ窒化処理は、金属窒化物層103を空気に曝す空気侵入なしに実行される。例えば、当該実施形態では、マルチチャンバ処理システムのあるチャンバは熱水素化処理を実行するように構成してもよく、同じマルチチャンバ処理システムの別のチャンバはプラズマ窒化処理を実行するように構成してもよい。したがって、金属窒化物層103が形成された基板は、熱水素化処理を受け、次いで、空気に曝露されることなく、プラズマ窒化チャンバに直接移送され得る。
【0058】
[0064]図5は、本開示の1つ又は複数の態様を実施するように構成されたマルチチャンバ処理システム500の上面図である。マルチチャンバ処理システム500は、半導体デバイスを形成するために、シリコンウエハなどの個々の基板上に1つ又は複数の製造処理を実行するように構成されている。マルチチャンバ処理システム500は、移送チャンバ506、バッファチャンバ508、単一ウエハロードロック510及び512、処理チャンバ514、516、518、520、522、及び524、予熱チャンバ523及び525、並びにロボット526及び528の一部又はすべてを含む。単一ウエハロードロック510及び512は、加熱素子513を含み、バッファチャンバ508に取り付けられ得る。処理チャンバ514、516、518、及び520は、移送チャンバ506に取り付けられる。処理チャンバ522及び524は、バッファチャンバ508に取り付けられる。マルチチャンバ処理システム500の動作は、コンピュータシステム530によって制御される。コンピュータシステム530は、本明細書で提供される本発明の動作を実施するように構成された任意のデバイス又は複数のデバイスの組合せであり得る。したがって、コンピュータシステム530は、コントローラ若しくはコントローラのアレイ、及び/又は実行されると本発明の動作を実行するソフトウェアで構成された汎用コンピュータであってもよい。適切なマルチチャンバ処理システム500の一例は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.によって製造されるEndura(登録商標)RTM CLシステムである。
【0059】
[0065]処理チャンバ514、516、518、520、522、及び524の各々は、半導体デバイス内の導電性構造体(例えば、電界効果トランジスタ(FET)のための接触構造体)の製造における1つ又は複数の処理ステップを実行するように構成され得る。より具体的には、処理チャンバ514、516、518、520、522、及び524は、1つ又は複数の金属堆積チャンバ、表面洗浄及び準備チャンバ、熱アニール及び/又は熱水素化チャンバ、並びにプラズマ水素化/窒化チャンバを含み得る。
【0060】
[0066]例えば、シリコンソース又はドレイン構造体上に形成されたTi-TiN-Coスタックを含む接触構造体の場合、幾つかの実施形態では、マルチチャンバ処理システム500は、このような導電性構造体の製造処理において、幾つかの処理ステップを連続的に実行するように構成され得る。当該実施形態では、処理チャンバ514は、シリコンソース又はドレイン構造体の露出面に表面洗浄及び準備処理を実行するように構成されてもよく、処理チャンバ516は、準備されたシリコンソース又はドレイン構造体にTi及びTiN層を連続的に堆積するように構成されてもよく、処理チャンバ522及び/又は524は、Ti/TiN層及びソース又はドレイン構造体上で急速熱処理(RTP)又は他の熱アニール処理を実行することによってケイ素化合物を形成するように構成されてもよく、処理チャンバ518は、アニールされたTi/TiN層上にCoキャッピング層を堆積するように構成されてもよく、処理チャンバ520は、熱アニール処理の前又は後に、水素化処理、次いで窒化処理を実行するように構成されてもよい。したがって、当該実施形態では、接触構造体の1つ又は複数の層の空気侵入と結果として生じる望ましくない酸化とがない状態で、完全な接触構造体を形成することができる。
【0061】
[0067]代替の実施形態では、完全な接触構造体を形成するためのすべての処理ステップが、単一のマルチチャンバ処理システム500で実行されるわけではない。例えば、幾つかの実施形態では、マルチチャンバ処理システム500は、金属堆積処理チャンバを含み得るが、熱アニールケイ素化処理は、異なる基板処理システムで実行してもよい。このような実施例では、熱アニール処理の前に空気侵入が生じる。そして、このような空気侵入は、金属窒化物層の界面表面上の及び接触構造体の金属窒化物層のバルク材料中のO原子の存在を増加させ得ることが知られている。しかしながら、マルチチャンバ処理システム500を金属堆積チャンバ及び1つ又は複数のプラズマ処理チャンバの両方で構成することができるので、空気侵入の前に、連続的なプラズマ(又は熱)水素化/プラズマ窒化処理又は単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理を実行することができる。したがって、第1の金属層102及び金属窒化物層103を堆積した後、そして、基板をマルチチャンバ処理システム500から取り除き、空気に曝される前に、マルチチャンバ処理システム500は、基板上に連続的な水素化/窒化処理又は単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理を実行するように構成することができる。上述のように、空気侵入前に金属窒化物層103の露出面を窒化することにより、空気侵入中及びその後の熱アニール処理中の露出面の酸化を大幅に低減することができる。
【0062】
[0068]幾つかの実施形態では、マルチチャンバ処理システム500は、1つ又は複数の熱アニール及びプラズマ処理チャンバを含み得る。当該実施形態では、連続的な水素化及び窒素化処理又は単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理を熱アニール処理の後に実行することができ、これにより、アニール前の空気侵入によって、且つ熱アニール処理自体によって導入されたO原子を除去する。典型的には、熱アニーリング処理は、処理構成要素(例えば、シール、処理キット構成要素、ポンプなど)が熱処理中に達成する高温のゆえに、最先端のデバイスノードに必要とされる所望の低い酸素レベルを維持することができない。
【0063】
[0069]代替的に又は追加的に、連続的な水素化/窒化処理又は単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理は、熱アニール処理の前に実行されてもよい。したがって、当該実施形態では、金属窒化物層103の堆積の後、及び熱アニール処理の前に空気侵入が発生しなかったとしても、熱アニール処理を実行する前に、金属窒化物層のバルク部分に存在する界面O原子及びO原子を低減又は排除することができる。したがって、幾つかの構成では、連続的な水素化及びプラズマ窒化処理又は単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理は、熱アニール処理の前に、さらに熱アニール処理の後で空気侵入が生じる前に実行することができる。
【0064】
[0070]幾つかの実施形態では、マルチチャンバ処理システム500は、キャッピング層104及び/又は導電層106を堆積させるように構成された1つ又は複数の金属堆積チャンバ、並びに連続的な水素化及び窒化処理又は単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理を実行する1つ又は複数のプラズマ処理チャンバを含み得る。当該実施形態では、導電性構造体内にキャッピング層を堆積させる前に、連続的な水素化及び窒化処理又は単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理を実行することができ、これにより、空気侵入によって、且つケイ素化合物105を形成するための熱アニール処理によって導入された界面及びバルクO原子が除去される。当該実施形態では、連続的な水素化及び窒化処理と、キャッピング層104及び/又は導電層106の堆積との間に空気侵入は生じないことに留意されたい。したがって、当該実施形態では、熱アニーリング処理とキャッピング層104の堆積との間に空気侵入が生じる場合、金属窒化物層のバルク部分に存在する界面O原子及びO原子を低減又は排除することができる。
【0065】
接触構造体におけるバルク及び界面酸素の低減
[0071]図6は、本開示の幾つかの実施形態に係る、接触構造体内のバルク及び界面酸素を低減するための処理ステップのフロー図を示す。図7Aから図7Eは、本開示の様々な実施形態に係る、図6の処理の種々の段階に対応する半導体デバイスの概略断面図である。図7Aから図7Eは、空洞109を充填する、第1の金属層102、金属窒化物層103、及びキャッピング層104が、選択的に堆積されているように示している(例えば、図1に示されるように、層は空洞109の上に共形的に形成されていない)が、これは、本明細書に記載された開示の範囲の限定を意図しているわけではなく、したがって、第1の金属層102、金属窒化物層103、及びキャッピング層104を選択的に又は非選択的に形成することができ、1つ又は複数の追加の層が含まれてもよい。
【0066】
[0072]ステップ601の前に、洗浄処理又は他の表面準備処理を、図7Aのソース又はドレイン構造体101の露出面701のようなコンタクトが形成される半導体基板の表面に実行することができる。幾つかの実施形態では、ドライエッチング処理を実行して、表面701上の自然酸化物を除去することができる。例えば、従来のプラズマエッチング、又はカリフォルニア州サンタクララに所在するApplied Materials, Inc.から入手可能なSiCoNi(商標)エッチング処理のような、遠隔プラズマ支援型ドライエッチング処理を実行することができる。SiCoNi(商標)エッチング処理では、コンタクトが形成される半導体基板の表面は、H、NF、及び/又はNHプラズマ種(例えば、プラズマ励起水素及びフッ素種)に曝露される。例えば、幾つかの実施形態では、このような表面は、H、NF、及びNHプラズマの同時曝露を経験し得る。SiCoNi(商標)エッチング処理は、SiCoNi(商標)Precleanチャンバ内で実行することができる。SiCoNi(商標)Precleanチャンバは、Producer(商標)GT、Centura(商標)AP、及びEnduraプラットフォームを含む様々なマルチ処理プラットフォームのうちの1つに統合することができ、これらはすべて、Applied Materialsから入手可能である。
【0067】
[0073]方法600は、ステップ601で開始する。ステップ601では、図7Bに示されるように、第1の金属層102及び金属窒化物層103が、半導体基板上に堆積される。例えば、幾つかの実施態様では、Ti層、次いでTiN障壁層が堆積される。任意の適切なPVD、CVD、又はALD処理を使用して、このような堆積を実行することができる。したがって、堆積処理は、選択的処理であってもよく、又は非選択的堆積処理であってもよい。選択的堆積処理では、第1の金属層102及び金属窒化物層103が表面701に堆積されるが、半導体基板110の他の表面には堆積されない。一方で、非選択的処理では、第1の金属層102及び金属窒化物層103は、半導体基板110の全てのマスクされていない表面に堆積され得る。幾つかの実施形態では、ステップ601の堆積は、上述の表面準備処理の後、空気侵入なしに実行される。すなわち、半導体基板は、表面準備処理とステップ601の堆積との間の空気に曝露されない。当該実施形態では、ステップ601の堆積と表面準備処理は、それぞれ、同じマルチチャンバ処理システム(例えば、マルチチャンバ処理システム500)の異なるチャンバによって実行されてもよい。
【0068】
[0074]ステップ603では、熱アニール処理は、第1の金属層102、金属窒化物層103、及びソース又はドレイン構造体101を含む半導体基板110に行われる。熱アニール処理は、図7Cに示すように、ケイ素化合物105を形成する。例えば、幾つかの実施形態では、約500℃から約600℃の間のピーク温度に達するスパイクアニール処理が、ステップ603で実行され得る。または、代わりに任意の他の適切なアニール処理を実行して、ソース又はドレイン構造体101と、ステップ601で堆積された第1の金属層102との間にケイ素化合物105を形成することができる。
【0069】
[0075]幾つかの実施形態では、ステップ603を実行するためのチャンバは、ステップ601の金属堆積を実行する同じマルチチャンバ処理システムのチャンバとして構成されてもよい。したがって、当該実施形態では、ステップ603の熱アニール処理は、ステップ601の金属堆積の後に空気侵入なしで行われ、これにより、金属窒化物層103の表面702に存在する界面Oがさらに低減する。しかしながら、このようなマルチチャンバ処理システムの構成は、上述した理由により一般的ではなく、概して、ステップ601とステップ603との間に空気侵入が生じる。
【0070】
[0076]ステップ604では、連続的な水素化/プラズマ窒化処理が、金属窒化物層103の表面702に行われる。すなわち、表面702は、図7Dに示されるように、水素原子及びプラズマ励起窒素種703に曝露される。幾つかの実施形態では、ステップ604では、プラズマ水素化処理、次いでプラズマ窒化処理が実行される。水素化処理がプラズマ水素化処理である実施形態では、プラズマ水素化処理及びプラズマ窒化処理の両方が、処理チャンバ400内で、図4に関連して以上で説明された処理パラメータを使用して実行され得る。代替的に、プラズマ水素化処理は、マルチチャンバ処理システム500の処理チャンバ514、516、518、520、522、及び524のうちの1つにおいて実行されてもよいが、プラズマ窒化処理は、処理チャンバ514、516、518、520、522、及び524のうちの別のチャンバにおいて実行されてもよい。
【0071】
[0077]前述のように、幾つかの実施形態では、金属窒化物層103の表面702は、熱水素化処理を介して水素原子に曝露される。当該実施形態では、ステップ604の熱水素化処理は、マルチチャンバ処理システム500の処理チャンバ514、516、518、520、522、及び524のうちの1つ(例えば、処理ガスとしてHガスを使用するように構成された急速熱処理チャンバ)内で実行される。さらに、当該実施形態では、プラズマ窒化処理は、処理チャンバ514、516、518、520、522、及び524のうちの別のチャンバ(例えば、図4のプラズマ処理チャンバ400と同様の処理チャンバ)内で実行される。このように、熱水素化処理とプラズマ窒化処理がそれぞれ異なる処理チャンバで行われても、これら2つの処理の間で空気侵入が発生することはない。
【0072】
[0078]ステップ605では、図7Eに示されるように、キャッピング層104が、アニールされた第1の金属層102及び金属窒化物層103上に堆積される。例えば、一実施形態では、金属キャッピング層は、Co層又はコバルト含有合金の層である。金属窒化物層103の表面702に存在し得る界面O原子がステップ604の間に除去されるので、キャッピング層104と金属窒化物層103との間の接着は、従来の技術で形成された接触構造体の接着よりも改善される。さらに、金属窒化物層103内のO原子の除去が、導電性構造体100の電気抵抗率を低下させる。
【0073】
[0079]幾つかの実施形態では、ステップ604の連続的な水素化及び窒化処理の後に空気侵入が生じないように、ステップ604及び605は、同じマルチチャンバ処理システムで行われる。その結果、大気への曝露中に起こり得る金属窒化物層103の酸化が回避される。他の実施形態では、ステップ604の連続的な水素化及び窒化処理を実行するための処理チャンバは、ステップ605を実行するための処理チャンバとは異なるマルチチャンバ処理システムで構成されてもよい。当該実施形態では、ステップ604の窒化処理が金属窒化物層103の表面を完全に窒化し、これにより、ステップ604と605の間の空気侵入中に起こり得る酸化を最小限に抑えるか、又はさもなければ防止することに留意されたい。
【0074】
[0080]図8は、本開示の幾つかの実施形態に係る、接触構造体内のバルク及び界面酸素を低減するための処理ステップのフロー図を示す。ステップ801の前に、図7に関連して上述したように、洗浄処理又は他の表面準備処理を実行することができる。
【0075】
[0081]方法800は、ステップ801で開始する。ステップ801では、金属層102及び金属窒化物層103が、ソース又はドレイン構造体101上に堆積される。ステップ801は、方法600のステップ601と実質的に類似し得る。
【0076】
[0082]ステップ802では、連続的な水素化/プラズマ窒化処理が、金属窒化物層103の表面702に行われる。つまり、表面702が、水素原子及びプラズマ励起窒素種に曝露される。ステップ802は、方法600のステップ604と実質的に類似し得る。しかしながら、ステップ604とは異なり、ステップ802の連続的な水素化/プラズマ窒化処理は、熱アニール処理の前に実行されることに留意されたい。さらに、幾つかの実施形態では、ステップ802は、ステップ803を実行するための熱アニールチャンバを含むマルチチャンバ処理システムの一部として構成されたチャンバ(例えば、急速熱処理チャンバ)内で実行される。当該実施形態では、ステップ801で堆積された第1の金属層102及び金属窒化物層103内のO原子の影響は、このようなO原子がステップ803のアニール処理の前に除去されるので、さらに低下する。
【0077】
[0083]ステップ803では、熱アニール処理が、第1の金属層102、金属窒化物層103、及びソース又はドレイン構造体101を含む半導体基板110に行われる。ステップ803は、方法600のステップ603と実質的に類似し得る。代替的に、ステップ802で熱水素化処理が行われる実施形態では、ステップ802で熱アニール処理が実行され、ステップ803は飛ばしてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、ケイ素化合物105が形成される熱アニール処理は、ステップ802の熱水素化処理と同じ処理チャンバ内で実行される。当該実施形態では、熱アニール処理は、熱水素化処理と同時に、熱水素化処理の直前に、又は熱水素化処理の直後に実施してもよい。
【0078】
[0084]任意のステップ804では、プラズマ処理が、金属窒化物層103の表面702に行われる。ステップ804は、方法600のステップ604と実質的に類似し得る。したがって、ステップ804が実行される方法800の実施形態では、ステップ803の熱アニール処理の前及び後に、連続的な水素化/窒化処理が実行される。幾つかの実施形態では、ステップ804で実行される連続的な水素化/窒化処理は、ステップ802で実行されるプラズマトリートメント処理と実質的に同じである。他の実施形態では、ステップ804の連続的な水素化/窒化処理は、ステップ802の連続的な水素化/窒化処理とは異なってもよい。例えば、ステップ802で利用される連続的な水素化/窒化処理の処理パラメータは、ステップ804で利用される連続的な水素化/窒化の処理パラメータとは異なっていてもよい。
【0079】
[0085]ステップ805では、キャッピング層104及び/又は導電層106が、アニールされた第1の金属層102及び金属窒化物層103上に堆積される。ステップ805は、方法600のステップ605と実質的に類似し得る。同様に、幾つかの実施形態では、ステップ804及び805は、ステップ804のプラズマトリートメント処理の後に空気侵入が発生しないように、同じマルチチャンバ処理システムで実行されてもよい。その結果、空気に曝される間に生じ得る金属窒化物層103の酸化が回避され、キャッピング層104と金属窒化物層103との間の接着は、従来の技術により形成される接触構造体の接着よりも改善される。
【0080】
[0086]図9は、本開示の幾つかの実施形態に係る、接触構造体内のバルク及び界面酸素を低減するための処理ステップのフロー図を示す。ステップ901の前に、方法600に関連して上述したように、洗浄処理又は他の表面準備処理が実行され得る。図示されるように、方法900は、ステップ901で開始する。ステップ901では、第1の金属層102及び金属窒化物層103が、ソース又はドレイン構造体101上に堆積される。ステップ901は、方法600のステップ601と実質的に類似し得る。ステップ902では、連続的な水素化/窒化処理が金属窒化物層103の表面702に行われる。ステップ902は、方法800のステップ802と実質的に類似し得る。ステップ903では、熱アニール処理が、第1の金属層102、金属窒化物層103、及びソース又はドレイン構造体101を含む半導体基板110に行われる。ステップ903は、方法600のステップ603と実質的に類似し得る。ステップ905では、キャッピング層104が、アニールされた第1の金属層102及び金属窒化物層103上に堆積される。ステップ905は、方法600のステップ605と実質的に類似し得る。したがって、方法900では、連続的な水素化/窒化処理は、ステップ903の熱アニール処理の前に実行されるが、ステップ903の熱アニール処理の後には実行されない。連続的な水素化/窒化処理は、概して、プラズマ又は熱水素化処理及びプラズマ窒化処理を含む。
【0081】
[0087]方法600及び800は、基板上に接触構造体を形成することについて記載されているが、同様に、方法600及び800は、基板上に他の導電性構造体を形成するために利用してもよい。したがって、金属窒化物層を含む任意の導電性構造体は、方法600又は800によって形成されることによって恩恵を得ることができる。
【0082】
EOTを低減した金属ゲート構造体
[0088]本開示の様々な実施形態によれば、連続的な水素化及び窒化処理は、高誘電率誘電体/金属ゲートスタックの製造において利用され、スタックの有効酸化物厚(EOT:effective oxide thickness)を減少させる。
当該実施形態では、スタックのEOTは、漏れの増加やフラットバンド電圧シフトに伴う妥協(トレードオフ)なしに減少する。この漏れの増加やフラットバンド電圧シフトは、スタック中の高誘電率誘電体層が、単に厚さが減少するか、又はさもなければ従来の技術により縮小する場合に発生することで知られている。このようなスタックの1つを図10に示す。
【0083】
[0089]図10は、本開示の一実施形態に従って形成された金属ゲート構造体1000の断面図を示す。金属ゲート構造体1000が、MOSFET又は他のFETのように、半導体デバイスの一部として半導体基板1001上に形成される。金属ゲート構造体1000は、半導体基板1001上に形成される複数の材料層のスタックであり、例えば、半導体基板1001上に配置された界面層1002、界面層1002上に配置された高誘電率誘電体層1003、高誘電率誘電体層1003上に配置された金属窒化物キャッピング層1004、及び金属窒化物キャッピング層1004上に配置された金属ゲート電極層1005を含む。図10に示す実施形態では、金属ゲート構造体1000の種々の層は、半導体基板1001上に形成された単純な膜スタックとして示される。実際には、金属ゲート構造体1000は、図1の絶縁材料120と類似の絶縁材料又は誘電材料内に形成されたコンタクトウェル又は他の空洞内に形成され得る。したがって、界面層1002、高誘電率誘電体層1003、金属窒化物キャッピング層1004、及び金属ゲート電極層1005のうちの1つ又は複数は、このような空洞内に共形的に堆積された材料層であってもよい。
【0084】
[0090]半導体基板1001は、金属ゲート構造体1000が形成され得る任意の適切な半導体基板であってもよい。したがって、半導体基板1001は、任意の適切な半導体材料(Si(ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、シリコン-ゲルマニウム(Si-Ge)、シリコン-ゲルマニウム-カーボン(SiGeC)、ガリウム(Ga)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化インジウム(InP)、及び他のすべてのIII/V又はII/VI族化合物半導体を含むが、これらに限定されない)から形成されてもよい。代替的に又は追加的に、半導体基板1001は、例えば、Si/Si-Ge、半導体オン・インシュレータ(SOI)又はSi-Geオン・インシュレータ(SiGOI)のような層状半導体であってもよい。さらに、幾つかの実施形態では、半導体基板1001は、界面酸化物層1002に近接するnドープ領域又はpドープ領域などのドープ領域及び/又は非ドープ領域を含む。
【0085】
[0091]界面酸化物層1002は、半導体基板1001と高誘電率誘電体層1003との間の半導体基板1001上に配置され、金属ゲート構造体1000における用途に適した界面酸化物層として構成される。半導体基板1001がSi含有材料を含む実施形態では、界面酸化物1002層は、酸化ケイ素(SiO)、酸窒化ケイ素(SiNO、SiNO、SiO)、及び/又は窒化酸化ケイ素(nitrided silicon oxide)を含み得る。半導体基板1001がSi含有半導体材料以外である実施形態では、界面酸化物層1002は、半導体酸化物、半導体酸窒化物、及び/又は窒化半導体酸化物(nitrided semiconducting oxide)を含み得る。
【0086】
[0092]界面酸化物層1002は、任意の適切な熱又は湿式成長技法(例えば、酸化又は酸窒化)によって形成することができる。例えば、限定するわけではないが、界面酸化物層1002は、湿式化学酸化処理によって形成されてもよい。湿式化学酸化処理には、半導体基板1001(例えば、HF最終処理された半導体表面)の洗浄された表面を、水酸化アンモニウム、過酸化水素、及び水の混合物で処理することが含まれる。代替的に、界面酸化物層1002は、HF最終処理された半導体表面を、オゾン化水溶液中で処理することによって形成されてもよい。代替的に、界面酸化物層1002は、任意の適切な熱酸化技法によって形成されてもよい。
【0087】
[0093]界面酸化物層1002の厚さは、金属ゲート構造体1000が一部を構成する半導体デバイスの関数である。加えて、界面酸化物層1002は、高誘電率誘電体層1003、金属窒化物キャッピング層1004、及び金属ゲート電極層1005よりも著しく薄い。典型的には、界面酸化物層1002は、約0.5から2.0nmの厚さを有するが、幾つかの実施形態では、界面酸化物層1002はより厚い場合がある。幾つかの実施形態では、金属ゲート構造体1000の形成の後に発生するデバイスの製造のための熱処理が、界面酸化物層1002の厚さをさらに増加させ得る。
【0088】
[0094]高誘電率誘電体層1003は、金属ゲート構造体1000内のゲート誘電体層又は他の誘電体層であってもよく、いわゆる「高誘電率誘電体」材料を含む。より具体的には、高誘電率誘電体層1003は、SiOの誘電率よりも大きい誘電率を有する1つ又は複数の材料(例えば、少なくとも約4.0、又は理想的には少なくとも約10.0の誘電率を有する材料)を含む。さらに、高誘電率誘電体層1003に含まれる高誘電率誘電体材料は、集積回路での使用に適している。したがって、高誘電率誘電体層1003に含まれる1つ又は複数の高誘電率誘電体材料は、高誘電率に加えて、理想的には、ドーパントの拡散を防止する能力、ブレークダウン性能を妥協し得る電気的欠陥の少なさ、優れた熱安定性、及び高い再結晶温度も有する。このような高誘電率誘電体層1003に使用するのに適した高誘電率誘電体材料の例には、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び/又は金属ケイ酸塩が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、高誘電率誘電体層1003は、酸化ハフニウム(Hf)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ケイ酸ハフニウム(HfSi1ーx)又は他のハフニウムベースの誘電体、酸化ランタン(La)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、アルミン酸ランタン(LaAlO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ケイ酸ハフニウム(HfSi1ーx)、酸化ランタン(La)、及び/又はこれらの多層スタックのうちの1つ又は複数を含む。
【0089】
[0095]高誘電率誘電体層1003は、例えば、酸化、窒化、又は酸窒化処理などの熱成長処理を含む、任意の適切な堆積方法によって形成することができる。代替的に、高誘電率誘電体層1003は、1つ又は複数の堆積処理(例えば、化学気相堆積(CVD)、プラズマ化学気相堆積(PECVD)、金属有機化学気相堆積(MOCVD)、原子層堆積(ALD)、蒸発、反応性スパッタリング、化学溶液堆積、及び/又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない)によって形成されてもよい。
【0090】
[0096]高誘電率誘電体層1003の厚さ1003Aは、その中に含まれる誘電体材料、高誘電率誘電体層1003を形成するために使用される処理、並びに金属ゲート構造体1000が含まれる半導体デバイスの形状と動作によって変動し得る。幾つかの実施形態では、高誘電率誘電体層1003の厚さ1003Aは、約1.0nmから約20nmである。
【0091】
[0097]金属窒化物キャッピング層1004は、高誘電率誘電体層1003上に配置される金属層であり、典型的には、高誘電率誘電体層1003上の導電性保護層として構成される。したがって、幾つかの実施形態では、金属窒化物キャッピング層1004は、半導体基板1001及び/又は高誘電率誘電体層1003の望ましくない酸化を防止するように構成される。さらに、当該実施形態では、金属窒化物キャッピング層1004は、金属窒化物キャッピング層1004の堆積後に発生する熱アニール処理の間、高誘電率誘電体層1003から酸素を放散することを可能にするように構成され得る。当該実施形態では、金属窒化物キャッピング層1004は、熱アニール処理中に、高誘電率誘電体層1003と金属窒化物キャッピング層1004との間に形成される界面層1009から酸素を放散することを可能にするようにさらに構成され得る。
【0092】
[0098]幾つかの実施態様では、金属窒化物キャッピング層1004は、TiN、窒化タンタル(TaN)、窒化タンタルシリコン(TaSiN)等の金属窒化物を含む。幾つかの実施態様では、高誘電率誘電体層1003上への窒化物キャッピング層1004の堆積は、高誘電率誘電体層1003と金属窒化物キャッピング層1004との間の界面に配置された界面層1009の形成をもたらし得ることに留意されたい。幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載された連続的なプラズマ水素化及び窒化処理が金属窒化物キャッピング層1004の露出面に施された場合、界面層1009は、連続的に除去されるか、又は厚さが低減される。
【0093】
[0099]金属窒化物キャッピング層1004は、PVD処理、CVD処理、PECVD処理、MOCVD処理、ALD蒸着処理、反応性スパッタリング、化学溶液堆積、及び/又はこれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない、任意の適切な堆積方法によって形成されてもよい。
【0094】
[00100]幾つかの実施態様では、金属窒化物キャッピング層1004は、高誘電率誘電体層1003及び金属ゲート電極層1005よりも著しく薄い。例えば、高誘電率誘電体層1003が、約20nmから約40nmの厚さ1003Aを有するHfO層であり、金属ゲート電極層1005が、約20nmから約40nmの厚さを有するTiN層である、金属ゲート構造体1000の実施形態では、金属窒化物キャッピング層1004は、約5nmから約15nmの厚さ1004Aを有し得る。
【0095】
[00101]幾つかの実施形態では、金属窒化物キャッピング層1004の厚さ1004Aは、高誘電率誘電体層1003及び/又は界面層1009からの酸素原子の拡散を促進するように選択される。具体的には、当該実施形態では、厚さ1004Aは、窒化金属キャッピング層1004の堆積後に発生する熱アニール処理の間、高誘電率誘電体層1003及び/又は界面層1009からO原子が拡散するように選択される。当該実施形態では、厚さ1004Aは、熱アニール処理の間に金属窒化物キャッピング層1004を通過するO原子の拡散長未満であるように選択される。一実施例では、このような熱アニール処理のうちの1つは、1から2秒にわたって、約700から約900℃のピーク温度で金属ゲート構造体1000に対して行われるスパイクアニール処理である。
【0096】
[00102]金属ゲート電極層1005は、金属窒化物キャッピング層1004上に形成される金属層であり、1つ又は複数の堆積された金属層を含む。幾つかの実施形態では、金属ゲート電極層1005は、金属ゲート構造体1000のゲート電極及び/又は仕事関数金属(work function metal)として構成される。当該実施形態では、金属ゲート電極層1005に含まれる1つ又は複数の金属層は、金属ゲート構造体1000と、金属ゲート構造体1000が含まれる半導体デバイスとの動作を促進する集合ゲート電極仕事関数値を有するように選択される。金属ゲート電極1005は、CVD、PECVD、MOCVD、ALD、蒸発、反応性スパッタリング、化学溶液堆積、及び/又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、任意の適切な堆積方法によって形成されてもよい。
【0097】
[0100]幾つかの実施態様では、金属ゲート電極層1005は、TiNなどのp-金属ゲート材料である。代替的に、幾つかの実施態様では、金属ゲート電極層1005は、n-金属ゲートである。金属ゲート電極層1005の使用に適したn-金属としては、炭化チタンアルミニウム(TiAlC)が含まれる。
【0098】
EOTを低減した金属ゲート構造体の形成
[0101]様々な実施形態によれば、金属ゲート構造体1000の製造中、金属ゲート電極層1005の堆積の前に、金属窒化物キャッピング層1004に対して連続的なプラズマ水素化及び窒化処理が行われる。当該実施形態では、金属ゲート構造体1000のEOTは低減するが、金属ゲート構造体1000の漏れ電流は予想よりも低い程度で増加する。さらに、当該実施形態では、金属ゲート構造体1000は、通常、低減されたEOTに関連付けられるフラットバンド電圧シフトをほとんど又は全く示さない。
【0099】
[0102]例えば、金属ゲート構造体1000の一実施形態では、界面酸化物層1002は、約1から2nmの厚さを有し、高誘電率誘電体層1003は、約2から3nmの厚さ1003Aを有し、金属窒化物キャッピング層1004は、約3から4nmの厚さ1004Aを有する。当該実施形態では、本明細書に記載された連続的なプラズマ水素化及び窒化処理を用いて金属窒化物キャッピング層1004を処理する上で1つの測定可能な効果は、金属ゲート構造体1000の測定されたEOTが約1Å(すなわち、約9Åから約8Åまで)減少することである。このような金属窒化物キャッピング層1004の処理の別の効果は、(-1Vのフラットバンド電圧での)漏れ電流が、約2.4倍(すなわち、約0.268A/cmから約0.658A/cmまで)増加することである。これとは対照的に、当技術分野で周知の確立されたスケーリングの動向によれば、金属ゲート構造体1000のEOTを代わりに従来の技術によって低減する(例えば、厚さ1003Aを約1Å縮小する)場合、漏れ電流は、約10倍増加すると予想される。したがって、本明細書に記載された連続的なプラズマ水素化及び窒化処理を用いて金属窒化物キャッピング層1004を処理することは、金属窒化物キャッピング層1004の厚さ1004Aを単に縮小することに関連して、増加した漏れ電流の約4分の1で、金属ゲート構造体1000のEOTを減少させる効果を有することが分かった。
【0100】
[0103]さらに、上述のEOTの低減にも関わらず、金属ゲート構造体1000が連続的なプラズマ水素化及び窒化処理で形成される場合、金属ゲート構造体1000において測定されるフラットバンド電圧シフトは、実質的に一定に留まることが示されている。したがって、金属窒化物キャッピング層1004への連続的なプラズマ水素化及び窒化処理の適用により、フラットバンド電圧シフトと、結果的なデバイス設計への影響とがない状態で、EOTを低減した金属ゲート構造体1000を製造することが可能になる。
【0101】
[0104]図11は、本開示の様々な実施形態に係る、金属ゲート構造体内のEOTを低減するための処理ステップのフロー図を示す。図12Aから図12Jは、本開示の様々な実施形態に係る、図11の処理の種々の段階に対応する半導体デバイスの概略断面図である。
【0102】
[0105]方法1100は、ステップ1101で開始する。ステップ1101では、図12Aに示されるように、高誘電率誘電体層1003が、界面酸化物層1002上に堆積される。高誘電率誘電体層1003は、図10に関連して以上で説明した任意の適切な堆積方法を介して形成されてもよい。
【0103】
[0106]ステップ1102では、図12Bに示されるように、金属窒化物キャッピング層1004が、高誘電率誘電体層1003上に堆積される。金属窒化物キャッピング層1004は、図10に関連して以上で説明された任意の適切な堆積方法を介して形成されてもよい。幾つかの実施態様では、金属窒化物キャッピング層1004の堆積は、界面層1009の形成をもたらす。界面層1009は、高誘電率誘電体層1003と金属窒化物キャッピング層1004との間の界面に配置される。当該実施形態では、界面層1009は、概して、空孔(図2Aの空孔213と類似し得る)、及び/又はステップ1102の堆積処理中に処理環境に存在する汚染によってその中に組み込まれたO原子を含む。
【0104】
[0107]任意選択的なステップ1103では、図12Bに示す露出面1201が空気に曝露される。例えば、幾つかの実施形態では、金属窒化物キャッピング層1004は、図5のマルチチャンバ処理システム500のような1つの処理システム内で堆積されるが、半導体基板1001に対して行われる次の処理ステップは、異なる処理システム内で行われる。したがって、当該実施態様では、金属窒化物層1004の堆積後に半導体基板1001が空気に曝露される。金属窒化物キャッピング層1004がマルチチャンバ処理システムの1つのチャンバ内に堆積され、ステップ1104が同じマルチチャンバ処理システムのうちの別の1つ又は2つの処理チャンバ内で実行される実施形態では、任意選択的なステップ1103は実行されない。
【0105】
[0108]ステップ1102で堆積された金属窒化物キャッピング層1004が、後で除去される犠牲金属窒化物層である実施形態では、方法1100はステップ1131に進む。ステップ1102で堆積された金属窒化物キャッピング層1004が金属ゲート構造体1000内で保持される実施形態では、方法1100はステップ1104に進む。幾つかの実施形態では、犠牲金属窒化物層は、金属窒化物キャッピング層1004の除去について選択的である、後続の湿式又は乾式エッチング処理を用いて除去され得る。
【0106】
[0109]ステップ1104では、図12Cに示すように、連続的なプラズマ水素化及び窒化処理が、金属窒化物キャッピング層1004の表面1201に行われる。プラズマ水素化及び窒化処理は、図4に関連して以上で説明したプラズマ水素化及び窒化処理と実質的に同様であり得る。さらに、プラズマ水素化処理は、非酸化性プラズマ励起水素種を含み、いかなる酸化性プラズマ励起水素種も含まない。
【0107】
[0110]幾つかの実施形態では、ステップ1104のプラズマ水素化処理は、約30秒から約150秒の間、約20mTorrから約100mTorrの間のチャンバ圧力、約400℃から約500℃の間の処理温度(例えば、基板ペデスタル温度)、及び約500Wから約1500Wの間のRF電力で、約20sccmから約100sccmの間のHの流量、及び約900sccmから約980sccmの間のArの流量を伴って実行される。幾つかの実施形態では、Hの流量は、チャンバに導入される全処理ガスの約1%から約15%の間である。幾つかの実施形態では、ステップ1104のプラズマ水素化処理は、約85秒から約95秒の間、約45mTorrから約55mTorrの間のチャンバ圧力、約425℃から約475℃の間の処理温度、及び約700Wから約800Wの間のRF電力で、約45sccmから約55sccmの間のHの流量、及び約965sccmから約955sccmの間のArの流量を伴って実行される。
【0108】
[0111]幾つかの実施形態では、ステップ1104のプラズマ窒素化処理は、約30秒から約150秒の間、約10mTorrから約50mTorrの間のチャンバ圧力、約400℃から約500℃の間の処理温度、及び約500Wから約1500Wの間のRF電力で、全処理ガス流量の約1%から約10%の間のNHの流量、全処理ガス流量の約45%から約55%の間のNの流量、及び処理ガス流量の残量に等しくなるように選択されたArの流量を伴って実行される。幾つかの実施形態では、ステップ1104のプラズマ窒素化処理は、約85秒から約95秒の間、約15mTorrから約25mTorrの間のチャンバ圧力、約425℃から約475℃の間の処理温度、及び約700Wから約800Wの間のRF電力で、全処理ガス流量の約2%から約3%の間のNHの流量、全処理ガス流量の約45%から約55%の間のNの流量、及び処理ガス流量の残量に等しくなるように選択されたArの流量で実行される。
【0109】
[0112]要約すると、ステップ1104では、表面1201は、プラズマ水素化処理で生成されたプラズマ励起水素種に曝露され、表面1201に存在する酸化物の一部又は全部が低減する。さらに、幾つかの実施形態では、このようなプラズマ励起水素種は、金属窒化物キャッピング層1004のバルク材料中に存在する酸素(O)原子の一部又は全部を低減することもできる。さらに、ステップ1104では、表面1201は、プラズマ窒化処理で生成されたプラズマ励起窒素種に曝露され、それにより、表面1201をN原子で飽和させ、幾つかの実施形態では、金属窒化物キャッピング層1004のバルク材料に存在する空孔をN原子で充填する。したがって、幾つかの実施形態では、界面層1009は、図12Dに示すように、除去されるか、又は大幅に低減する。
【0110】
[0113]幾つかの実施形態では、ステップ1104のプラズマ水素化処理は、ステップ1104のプラズマ窒化処理と同じ処理チャンバ(例えば、図4の処理チャンバ400)内で実行される。代替的に、ステップ1104のプラズマ水素化処理は、マルチチャンバ処理システムの第1の処理チャンバ内で実行されるが、ステップ1104のプラズマ窒化処理は、同じマルチチャンバ処理システムの第2の処理チャンバ内で実行される。いずれの場合も、表面1201は、ステップ1104のプラズマ水素化処理とプラズマ窒化処理との間で空気に曝露されないことに留意されたい。したがって、いずれの実施形態においても、表面1201は、プラズマ励起水素種に曝露された後、且つプラズマ励起窒素種に曝露される前に、空気に曝露されない。
【0111】
[0114]幾つかの実施形態では、処理チャンバ内でプラズマ水素化処理を実行する前に、例えば、処理チャンバ内の微量の酸素汚染を低減するために、無酸素調節処理(oxygen-free conditioning process)が処理チャンバ内で実行される。当該実施形態では、処理チャンバは、基板が配置されずに、且つ基板が上述のプラズマ水素化処理で処理される前に、無酸素プラズマで処理される。基板をチャンバに導入する前のこのような処理チャンバのプラズマトリートメントは、プラズマエブリィウエハ(PEW:plasma every wafer)処理又はPEW処理と呼ばれることがある。
【0112】
[0115]幾つかの実施形態では、このようなPEW処理には、N、NH、Ar、H、又はこれらの任意の適切な組合せなどの1つ又は複数の非酸素含有ガスを処理チャンバ内に導入することと、1つ又は複数のガスを励起して無酸素プラズマを形成することとが含まれる。代替的に、PEW処理には、プラズマ含有ラジカル及び/又はN、H、若しくはNHのイオン、又はこれらの任意の適切な組み合わせを処理チャンバ内に導入することが含まれてもよく、プラズマは、処理チャンバの外側の遠隔プラズマ源内で形成される。一実施形態では、NHガス、又はNHガスとArガスとの組み合わせが、処理チャンバ内に導入される。別の実施形態では、Hガス、又はHガスとArガスとの組み合わせが、処理チャンバ内に導入される。さらに別の実施形態では、Nガス、又はNガスとArガスとの組み合わせが、処理チャンバ内に導入される。
【0113】
[0116]典型的には、基板を導入する前の処理チャンバのプラズマトリートメントには、処理チャンバ内に水素及び/又は窒素含有プラズマを導入又は形成することが含まれる。幾つかの実施形態では、PEW処理中に処理チャンバ内のプラズマから生成されたラジカル(例えば、N、NH、及び/又はH)は、処理チャンバ内の微量のO原子と反応する。
【0114】
[0117]幾つかの実施形態では、PEW処理の間、処理チャンバ内に導入された1つ又は複数のガスは、図4のRF電源414のようなRF電源によって通電される。RF電力は、2%から70%のデューティサイクルでパルス化され得、約100Wから約2500Wの範囲であってもよい。RF電力は、約100Wから約2500Wの範囲の連続波であってもよい。当該実施形態では、ステップ1104のPEW処理は、約20秒から約100秒の間、約10mTorrから約200mTorrのチャンバ圧力、約400℃から約500℃の処理温度、及び約250Wから約750WのRF電力で、約50sccmから約200sccmのH流量、及び約450sccmから約550sccmのO流量を伴って実行される。
【0115】
[0118]任意選択的なステップ1105では、露出面1201が空気に曝露される。例えば、幾つかの実施形態では、上述の連続的な水素化及び窒化処理は、ある処理システムで実行されるが、半導体基板1001に対して実行される次の処理ステップは、異なる処理システムで実行される。したがって、当該実施態様では、金属窒化物層1004の堆積後に半導体基板1001が空気に曝露される。連続的な水素化及び窒化処理が、マルチチャンバ処理システムの1つのチャンバ内で実行され、ステップ1106が、同じマルチチャンバ処理システムの別の処理チャンバ内で実行される実施形態では、任意選択的なステップ1105は実行されない。
【0116】
[0119]犠牲ケイ素含有層が、続いて堆積され、金属ゲート構造体1000の形成の一部として除去される実施形態では、方法1100は、ステップ1105からステップ1121へと進む。金属ゲート構造体1000を形成する際に犠牲ケイ素層が堆積されない実施形態では、方法1100はステップ1106へと進む。犠牲ケイ素含有層は、堆積層を形成するために1つ又は複数のケイ素含有前駆体ガスを用いるCVD又はALD処理を使用することによって形成することができる。
【0117】
[0120]ステップ1106では、ポストキャップアニール(post-cap anneal)のような熱アニール処理が、半導体基板1001、界面層1002、高誘電率誘電体層1003、及び金属窒化物キャッピング層1004上で行われる。例えば、幾つかの実施形態では、ステップ1106でスパイクアニール処理が実行され、約600から900℃のピーク温度に達する。ポストキャップアニールは、部分的に形成された金属ゲート構造体1000上で行われ、界面を滑らかにし、不飽和結合を修復し、金属窒化物キャッピング層に熱エネルギーを注入する。
【0118】
[0121]ステップ1107では、図12Eに示されるように、金属ゲート電極層1005が、処理された金属窒化物キャッピング層1004上に堆積され、それによって、金属ゲート構造体1000の形成が完了する。金属ゲート電極1005は、図10に関連して以上で説明した任意の適切な堆積方法によって形成され得る。
【0119】
[0122]ステップ1121では、図12Fに示されるように、犠牲ケイ素層1202が、金属窒化物キャッピング層1004上に堆積される。ステップ1121は、金属窒化物キャッピング層1004の表面1201が、ステップ1104の連続的なプラズマ水素化及び窒化処理、並びにステップ1105の任意選択的な空気曝露によって処理された後に実行される。
【0120】
[0123]犠牲ケイ素層1202は、アモルファスシリコンなどの任意の適切なケイ素含有材料を含んでもよく、CVD処理のような当技術分野で周知の任意の適切な堆積処理を使用して堆積されてもよい。犠牲ケイ素層1202は、金属窒化物キャッピング層1004上に堆積され、後続の熱アニール処理(例えば、いわゆるポストキャップアニール処理)中、金属窒化物キャッピング層1004、界面層1009(まだ存在する場合)、及び高誘電率誘電体層1003における酸化物の形成を低減する。幾つかの実施形態では、ポストキャップアニール処理は、大気熱アニール処理を含む。その結果、界面層1002、高誘電率誘電体層1003、及び金属窒化物キャッピング層1004を含む、金属ゲート構造体1000の非常に薄い層のさらなる酸化が発生することがあり、これにより、金属ゲート構造体1000のEOTが増加する。しかしながら、犠牲ケイ素層1202の存在が、プレキャップアニール処理の間、金属ゲート構造体1000の層を大気中のO原子から遮蔽することができる。さらに、犠牲ケイ素層1202は、熱アニーリング処理中、高誘電率誘電体層1003、界面層1009(まだ存在する場合)、及び金属窒化物キャッピング層1004から放散されるO原子と反応し、これを保持することができる。したがって、犠牲ケイ素層1202は、後続の熱アニール処理中に金属ゲート構造体1000の一部の望ましくない酸化の可能性を最小限に抑えるか、又はなくす。
【0121】
[0124]ステップ1122では、ポストキャップアニールなどの熱アニール処理が、半導体基板1001、界面層1002、高誘電率誘電体層1003、金属窒化物キャッピング層1004、及び犠牲ケイ素層1202上で行われる。ステップ1122の熱アニール処理は、上述のステップ1106の熱アニール処理と実質的に類似し得る。
【0122】
[0125]ステップ1123では、犠牲ケイ素層1202が、金属ゲート構造体1000から除去される。任意の技術的に実行可能な除去処理をステップ1123で利用することができ、これには、選択的湿式エッチング処理、プラズマベースの乾式エッチング処理、化学機械研磨処理、又はこれらの任意の組み合わせが含まれる。次に、方法1100はステップ1107に進む。ステップ1107では、金属ゲート構造体1000の最終層が堆積される。
【0123】
[0126]ステップ1131では、図12Gに示されるように、犠牲ケイ素層1203が金属窒化物キャッピング層1004上に堆積される。犠牲ケイ素層1203は、ステップ1131で堆積された犠牲ケイ素層1202と実質的に類似し得る。しかしながら、ステップ1131では、金属窒化物キャッピング層1004は、連続的なプラズマ水素化及び窒化処理で処理されていないことに留意されたい。その結果、金属窒化物キャッピング層1004は、図示されるように、依然として界面層1009を含み得る。
【0124】
[0127]ステップ1132では、ポストキャップアニールなどの熱アニール処理が、半導体基板1001、界面層1002、高誘電率誘電体層1003、金属窒化物キャッピング層1004、界面層1009、及び犠牲ケイ素層1203上で行われる。ステップ1132の熱アニール処理は、上述のステップ1106の熱アニール処理と実質的に類似し得る。
【0125】
[0128]ステップ1133では、図12Hに示されるように、犠牲ケイ素層1203、金属窒化物キャッピング層1004、及び界面層1009が、金属ゲート構造体1000から除去される。任意の技術的に実行可能な除去処理又は処理の組み合わせをステップ1123において使用することができ、これには、選択的湿式エッチング処理、プラズマベースの乾式エッチング処理、化学機械研磨処理、又はこれらの任意の組み合わせが含まれる。次に、方法1100はステップ1134に進む。
【0126】
[0129]ステップ1134では、図12Iに示されるように、最終的な金属窒化物キャッピング層1204が、高誘電率誘電体層1003上に堆積される。最終的な金属窒化物キャッピング層1204は、金属窒化物キャッピング層1004と実質的に類似し得、界面層1009も含み得る。
【0127】
[0130]任意選択的なステップ1135では、図12Iに示す露出面1205が空気に曝露される。例えば、幾つかの実施形態では、最終的な金属窒化物キャッピング層1204が、ある処理システム内で堆積されるが、半導体基板1001に対して行われる次の処理ステップ、すなわちステップ1136が、異なる処理システム内で行われる。したがって、当該実施形態では、半導体基板1001は、最終的な金属窒化物層1204の堆積後に空気に曝露される。最終的な金属窒化物キャッピング層1204がマルチチャンバ処理システムの1つのチャンバ内に堆積され、ステップ1136が同じマルチチャンバ処理システムの別の1つ又は2つの処理チャンバ内で実行される実施形態では、任意選択的なステップ1135は実行されない。
【0128】
[0131]ステップ1136では、図12Jに示すように、連続的なプラズマ水素化及び窒化処理が、最終的な金属窒化物キャッピング層1204の表面1205に行われる。ステップ1136で実行される連続的なプラズマ水素化及び窒化処理は、ステップ1104で使用される処理と実質的に同様であり得る。結果的に、ステップ1136の間に界面層1009を除去又は低減することができ、これにより、最終的な金属窒化物キャッピング層1204、界面層1009、及び幾つかの実施形態では、高誘電率誘電体層1003に存在するO原子を除去する。その結果、高誘電率誘電体層1003の厚さ1003Aを縮小させることなく、金属ゲート構造体1000のEOTが低減される。
【0129】
[0132]ステップ1136で連続的なプラズマ水素化及び窒化処理が実行された後、方法1100はステップ1107へと進む。ステップ1107では、金属ゲート構造体1000の最終層が堆積される。ステップ1136及び1107が異なる処理システムで実行される実施形態では、半導体基板1001は、必然的に空気に曝される。しかしながら、ステップ1136のプラズマ窒化処理は、最終的な金属窒化物キャッピング層1204の露出面1205を完全に又はほぼ完全に窒化することができるので、空気に曝露されている間、概して、その酸化はほとんど又は全く起こらない。
【0130】
単一ステップの窒素-水素化トリートメント
[0133]方法1300は、ステップ1301で開始する。ステップ1301では、図14Aに示されるように、高誘電率誘電体層1003が、界面酸化物層1002上に堆積される。界面酸化物層1002は、任意の適切な方法(例えば、下層の半導体基板1001の化学酸化、下層の基板の熱酸化、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)等)によって堆積され得る。高誘電率誘電体層1003は、図10に関連して以上で説明した任意の適切な堆積方法を介して形成されてもよい。高誘電率誘電体層1003は、酸化可能な任意の高誘電率材料を含み得る。一実施形態によれば、高誘電率誘電体層1003は、二酸化ケイ素(SiO)又は酸化ハフニウム(HfO)を含む。
【0131】
[0134]ステップ1302では、図14Bに示されるように、キャッピング層1404が、高誘電率誘電体層1003上に堆積される。キャッピング層1404は、図10に関連して以上で説明された任意の適切な堆積方法によって形成されてもよい。キャッピング層1404は、金属窒化物を含み得る。キャッピング層は、一実施形態によれば、窒化チタン(TiN)、窒化タングステン(WN)、窒化タンタル(TaN)、又は窒化チタンシリコン(TiSiN)などの金属窒化物を含み得る。幾つかの実施態様では、キャッピング層1404の堆積は、高誘電率誘電体層1003とキャッピング層1404との間の界面に配置される界面層1409の形成をもたらす。当該実施形態では、界面層1409は、概して、空孔(図2Aの空孔213と類似し得る)などの欠陥、及び/又はステップ1302の堆積処理中に処理環境に存在する汚染によってその中に組み込まれたO原子を含む。欠陥から欠陥への電子ホッピングに起因して、欠陥が望ましくない電荷移動を可能ならしめる場合がある。電荷移動は、電流の漏れ又は絶縁破壊を生じさせる場合があり、金属ゲート構造体1000の電気的な信頼性を低下させる。
【0132】
[0135]任意選択的なステップ1303では、図14Bに示す露出面1401が空気に曝露される。例えば、幾つかの実施形態では、キャッピング層1404は、図5のマルチチャンバ処理システム500のような1つの処理システム内で堆積されるが、半導体基板1001に対して行われる次の処理ステップは、異なる処理システム内で行われる。したがって、当該実施形態では、半導体基板1001は、キャッピング層1404の堆積後に空気に曝露される。キャッピング層1404がマルチチャンバ処理システムの1つのチャンバ内に堆積され、ステップ1304が同じマルチチャンバ処理システムのうちの別の1つ又は2つの処理チャンバ内で実行される実施形態では、任意選択的なステップ1303は実行されない。
【0133】
[0136]ステップ1302で堆積されたキャッピング層1404が、後に除去される犠牲層である実施形態では、方法1400は、ステップ1331へと進む。ステップ1302で堆積されたキャッピング層1404が金属ゲート構造体1000内に保持される実施形態では、方法1300はステップ1304へと進む。幾つかの実施形態では、犠牲層は、キャッピング層1404の除去に対して選択的な後続の湿式又は乾式エッチング処理の使用により除去されてもよい。
【0134】
[0137]ステップ1304では、図14Cに示すように、単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理が、キャッピング層1404の表面1401に行われる。単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理は、金属ゲート構造体1000などのワークピースを処理プラズマに曝露することを含み、処理プラズマは、窒素含有ガス及び水素含有ガスを含む。幾つかの実施形態では、水素含有ガスは、アンモニア(NH)、ヒドラジン(N)、又はアジ化水素(HN)などの窒素及び水素含有ガスの両方を実質的に含む。一例では、水素含有ガスは、アンモニア(NH)を含み、窒素含有ガスは(N)を含む。一実施形態によれば、処理プラズマは、水素及び窒素の両方を含む単一ガス(例えば、ヒドラジン(N)又はアンモニア(NH))を含み得る。一実施形態によれば、処理プラズマは、追加の中性キャリアガス(例えば、アルゴン(Ar)又はヘリウム(He))を含んでもよい。一例では、処理プラズマ内に含まれる処理ガスは、アンモニア(NH)、窒素(N)、及びアルゴン(Ar)又はヘリウム(He)などの中性キャリアガスを実質的に含む。さらに、ステップ1304の単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理中、バイアス電源426によってバイアスを基板に印加することができる。バイアス電源426は、概して、RF電源414と同様に、約2MHzから約160MHzの範囲の調整可能な周波数、及び約0kWから約10kWの間の電力を有するRF信号を生成することが可能である。バイアス電力は、堆積された原子を再配列することにより、成長した膜の共形性を改善する。
【0135】
[0138]幾つかの実施形態では、ステップ1304の単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理は、約30秒から約150秒の間、約10mTorrから約100mTorrの間のチャンバ圧力、約350℃から約500℃の間の処理温度(例えば、基板ペデスタル温度)、及び約300Wから約2000Wの間のRF電力で、約5sccmから約100sccmの間のNH流量、約50sccmから約1000sccmの間のN流量、及び約1から約1000sccmの間のヘリウム(He)流量を伴って実行され、約2MHzから約160MHzの周波数、及び約0kWから約10kWの間のバイアス電力が印加される。
【0136】
[0139]幾つかの実施形態では、ステップ1304の単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理は、約85秒から約95秒の間、約15mTorrから約25mTorrの間のチャンバ圧力、約425℃から約475℃の間の処理温度、及び約900Wから約1100Wの間のRF電力で、約15sccmから約35sccmの間のNH流量、約450sccmから約550sccmの間のN流量、及び約450sccmから約500sccmの間のAr流量を伴って、基板バイアス電力を印加せずに実行される。
【0137】
[0140]要約すると、ステップ1304では、表面1401は、プラズマ処理で生成されたプラズマ励起水素及び窒素種に曝露され、表面1401上に存在する酸化物の一部又は全部が窒化物に変換される。したがって、幾つかの実施形態では、図14Dに示すように、界面層1409の厚さ増加がなくなるか、又は厚さ増加が大幅に低減される。界面層1409は依然として残るが、層の厚み増加は生じない。界面層1409の低減又は窒化がEOTを低減し、金属ゲート構造体1000の仕事関数を変化させる。
【0138】
[0141]幾つかの実施形態では、ステップ1304の単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理を実行する前に、例えば、処理チャンバ内の微量の酸素汚染を低減するために、無酸素調節処理が処理チャンバ内で実行される。当該実施形態では、処理チャンバは、基板が配置されずに、且つ基板が上述の上述の単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理で処理される前に、無酸素プラズマで処理される。
【0139】
[0142]任意選択的なステップ1305では、露出面1401が空気に曝露される。例えば、幾つかの実施形態では、ステップ1304の上記の単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理は、ある処理システムで実行されるが、半導体基板1001に対して実行される次の処理ステップは、異なる処理システムで実行される。したがって、当該実施形態では、半導体基板1001は、層1404の堆積後に空気に曝露される。ステップ1304の単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理が、マルチチャンバ処理システムの1つのチャンバ内で実行され、ステップ1306が、同じマルチチャンバ処理システムの別の処理チャンバ内で実行される実施形態では、任意選択的なステップ1305は実行されない。
【0140】
[0143]犠牲ケイ素含有層が、続いて堆積され、金属ゲート構造体1000の形成の一部として除去される実施形態では、方法1300は、ステップ1305からステップ1321へと進む。金属ゲート構造体1000を形成する際に犠牲ケイ素層が堆積されない実施形態では、方法1300はステップ1306へと進む。犠牲ケイ素含有層は、堆積層を形成するために1つ又は複数のケイ素含有前駆体ガスを用いるCVD又はALD処理を使用することによって形成することができる。
【0141】
[0144]ステップ1306では、ポストキャップアニールなどの熱アニール処理が、半導体基板1001、界面層1002、高誘電率誘電体層1003、及びキャッピング層1404上で行われる。例えば、幾つかの実施形態では、スパイクアニール処理がステップ1306で実行され、約600℃から約900℃のピーク温度に達する。ポストキャップアニールは、部分的に形成された金属ゲート構造体1000上で行われ、界面を滑らかにし、不飽和結合を修復し、キャッピング層1404に熱エネルギーを注入する。
【0142】
[0145]ステップ1307では、図14Eに示されるように、金属ゲート電極層1005が処理されたキャッピング層1404上に堆積され、それによって、金属ゲート構造体1000の形成が完了する。金属ゲート電極1005は、図10に関連して以上で説明した任意の適切な堆積方法によって形成され得る。
【0143】
[0146]ステップ1321では、図14Fに示すように、犠牲ケイ素層1202が、キャッピング層1404上に堆積される。ステップ1321は、キャッピング層1404の表面1401が、ステップ1304の単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理、並びにステップ1305の任意選択的な空気曝露によって処理された後に実行される。
【0144】
[0147]ステップ1322では、ポストキャップアニールなどの熱アニール処理が、半導体基板1001、界面層1002、高誘電率誘電体層1003、キャッピング層1404、及び犠牲ケイ素層1202上で行われる。ステップ1322の熱アニール処理は、上述のステップ1306の熱アニール処理と実質的に類似し得る。
【0145】
[0148]ステップ1323では、犠牲ケイ素層1202が、金属ゲート構造体1000から除去される。任意の技術的に実行可能な除去処理をステップ1323で利用することができ、これには、選択的湿式エッチング処理、プラズマベースの乾式エッチング処理、化学機械研磨処理、又はこれらの任意の組み合わせが含まれる。次に、方法1300はステップ1307へと進む。ステップ1307では、金属ゲート構造体1000の最終層が堆積される。
【0146】
[0149]ステップ1331では、図14Gに示すように、犠牲ケイ素層1203がキャッピング層1404上に堆積される。犠牲ケイ素層1203は、ステップ1331で堆積された犠牲ケイ素層1202と実質的に類似し得る。しかしながら、ステップ1331では、キャッピング層1404は、単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理で処理されていないことに留意されたい。その結果、キャッピング層1404は、図示のように、依然として界面層1409を含み得る。
【0147】
[0150]ステップ1332では、ポストキャップアニールなどの熱アニール処理が、半導体基板1001、界面層1002、高誘電率誘電体層1003、キャッピング層1404、界面層1409、及び犠牲ケイ素層1203上で行われる。ステップ1332の熱アニール処理は、上述のステップ1306の熱アニール処理と実質的に類似し得る。
【0148】
[0151]ステップ1333では、図14Hに示されるように、犠牲ケイ素層1203、キャッピング層1404、及び界面層1409が、金属ゲート構造体1000から除去される。任意の技術的に実行可能な除去処理又は処理の組み合わせをステップ1333において使用することができ、これには、選択的湿式エッチング処理、プラズマベースの乾式エッチング処理、化学機械研磨処理、又はこれらの任意の組み合わせが含まれる。次に、方法1300はステップ1334に進む。
【0149】
[0152]ステップ1334では、図14Iに示されるように、最終的なキャッピング層1404fが、高誘電率誘電体層1003上に堆積される。最終的なキャッピング層1404fは、キャッピング層1404と同じ材料から構成されてもよく、最終的なキャッピング層は、界面層1409をさらに含んでもよい。
【0150】
[0153]任意選択的なステップ1335では、図14Iに示す露出面1405が空気に曝露される。例えば、幾つかの実施形態では、最終的なキャッピング層1404fが、ある処理システム内で堆積されるが、半導体基板1001に対して実行される次の処理ステップ、すなわちステップ1336が、異なる処理システム内で実行される。したがって、当該実施形態では、半導体基板1001は、最終的なキャッピング層1404fの堆積後に空気に曝露される。最終的なキャッピング層1404fが、マルチチャンバ処理システムの1つのチャンバ内で堆積され、ステップ1336が、同じマルチチャンバ処理システムのうちの別の1つ又は2つの処理チャンバ内で実行される実施形態では、任意選択的なステップ1335は実行されない。
【0151】
[0154]ステップ1336では、図14Jに示されるように、単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理が、最終的なキャッピング層1404の表面1405に行われる。ステップ1336で実行される単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理は、ステップ1304で利用される処理と実質的に類似し得る。結果的に、ステップ1336の間に界面層1409の厚さを除去又は低減することができ、これにより、最終的なキャッピング層1404f、界面層1009、及び幾つかの実施形態では、高誘電率誘電体層1003に存在するO原子を除去する。その結果、高誘電率誘電体層1003の厚さ1003Aを縮小させることなく、金属ゲート構造体1000のEOTが低減される。
【0152】
[0155]ステップ1336で単一ステップのプラズマ水素化及び窒化処理が実行された後、方法1300はステップ1307へと進む。ステップ1307では、金属ゲート構造体1000の最終層が堆積される。ステップ1336及び1307が異なる処理システムで実行される実施形態では、半導体基板1001は、必然的に空気に曝露される。しかし、ステップ1336のプラズマ窒化処理は、最終的なキャッピング層1404fの露出面1405を完全に又はほぼ完全に窒化することができるので、空気に曝露されている間、概して、その酸化はほとんど又は全く起こらない。
【0153】
[0156]本明細書に開示される実施形態では、連続的な水素化及び窒化処理、又は単一ステップの水素化及び窒化処理のいずれかを利用して、従来の方法で形成される類似の構造体に比べてEOTが低減された金属ゲート構造体を形成することが可能になる。プラズマ水素化処理、次いで、プラズマ窒化処理を、膜スタック内の金属窒化物層に対して実行し、幾つかの実施形態では、膜スタックの層内に配置されたO原子を除去し、幾つかの実施形態では、膜スタック内に配置された酸素含有界面層の厚さ増加を低減又は防止し、幾つかの実施形態では、膜スタックの層にN原子を追加する。その結果、付随的なフラットバンド電圧シフトがわずかな状態で、又は全くない状態で、金属ゲート構造体のEOTが減少する。さらに、金属ゲート構造体は、従来の技術で形成された類似の金属ゲート構造体に関連する漏れ電流増加の4分の1程度の漏れ電流の増加で機能する。
【0154】
[0157]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び追加の実施形態を考案してもよい。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図12H
図12I
図12J
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図14H
図14I
図14J