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特許7439250半導体材料の単結晶を引き上げるための装置および方法
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  • 特許-半導体材料の単結晶を引き上げるための装置および方法 図1
  • 特許-半導体材料の単結晶を引き上げるための装置および方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】半導体材料の単結晶を引き上げるための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 15/30 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
C30B15/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022521528
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2020075732
(87)【国際公開番号】W WO2021069179
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】102019215575.8
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Einsteinstrasse 172,81677 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】ベルクマン,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ヨーデッケ,ベルナー
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-074789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0235454(US,A1)
【文献】特開2017-176675(JP,A)
【文献】実公昭46-013544(JP,Y1)
【文献】特開2000-095597(JP,A)
【文献】特公昭50-006192(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第1995484(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 15/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
坩堝(8)内に収容された融液(7)から半導体材料の単結晶(1)を引き上げるための装置であって、引き上げ軸(14)を回転させるための装置(20)を有し、坩堝軸(13)を回転させるための装置(21)を有し、駆動部(22)と前記引き上げ軸(14)との間のダブルウォームギアと、さらなる駆動部(31)と前記坩堝軸(13)との間のさらなるダブルウォームギアとによって特徴付けられる。装置。
【請求項2】
前記引き上げ軸の上部(28)と下部(29)との間のベローズカップリング(30)を特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記坩堝軸(13)の上部(38)と下部(37)との間のさらなるベローズカップリング(39)を特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記駆動部(22)の駆動軸(23)は、前記引き上げ軸(14)と平行に配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記駆動部(22)は、前記ダブルウォームギアのハウジングプレート(9)に堅固に取り付けられることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記さらなる駆動部(31)のさらなる駆動軸(32)が、前記坩堝軸(13)と平行に配置されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記さらなる駆動部(31)は、前記さらなるダブルウォームギアのさらなるハウジングプレート(40)に堅固に取り付けられることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
CZ法による融液からの半導体材料の単結晶の引き上げるための方法であって、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置を用いて前記半導体材料の単結晶を引き上げることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、坩堝に収容された融液から半導体材料の単結晶を引き上げるための装置、およびこの装置を使用して半導体材料の単結晶を引き上げるための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
先行技術/問題
半導体材料の単結晶は、種結晶上に成長する単結晶を坩堝に収容された融液から上方に引き上げるCZ法により製造されることが多い。工業規模では、特にシリコンなどの半導体材料の単結晶はこのようにして製造され、その後さらに半導体ウエハに加工され、その後電子部品に加工される。
【0003】
CZ法を用いる装置は、一般に、昇降可能な坩堝軸によって保持される坩堝と、成長する単結晶を融液から引き離すために使用される昇降可能な引き上げ軸とを備える。そのような装置の構成要素はさらに、各々、引き上げ軸を回転させるための、および坩堝軸を回転させるための、1つの装置を含む。単結晶成長は、超低ジッタ環境を必要とし、これが、引き上げ軸および坩堝軸の回転運動を行うための装置に特に重要性が加えられる理由である。
【0004】
EP 0 466 457 A1に示される装置は、引き上げ軸を回転させるための装置が、歯車を駆動するモータを備え、この歯車が、引き上げ軸上に取り付けられるウォームホイールに係合する。坩堝軸を回転させるための装置は、坩堝軸を直接駆動するモータを備える。
【0005】
この種の装置は、もはや超低ジッタ環境の提供に対する今日の要求を満たしていない。特に、比較的長波の振動が適切に抑制される保証はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、半導体材料の単結晶を引き上げるための装置および方法を提供することであり、半導体材料の単結晶を引き上げるための装置の、引き上げ軸および坩堝軸を回転させるための装置は、これらの装置の低ジッタ動作の保証を与えるような態様で設計される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、坩堝内に収容された融液から半導体材料の単結晶を引き上げるための装置であって、引き上げ軸を回転させるための装置を有し、坩堝軸を回転させるための装置を有し、駆動部と引き上げ軸との間のダブルウォームギアと、さらなる駆動部と坩堝軸との間のさらなるダブルウォームギアとによって特徴付けられる、装置によって達成される。
【0008】
この装置は、この目的を達成するだけでなく、引き上げ軸および坩堝軸の回転をもたらすための省スペースで保守にやさしい解決策も提供する。2つのダブルウォームギアは、比較的小さい遊び、および比較的顕著な滑らかな走行のため、注目に値する。特に、1rpm未満の坩堝軸の低い回転速度によって、および/または坩堝軸の回転方向の変化に続いてもたらされ得る長波振動は、効果的に抑制される。
【0009】
本発明者らは、引き上げ軸と引き上げ軸を回転させる駆動部との間、および坩堝軸と坩堝軸を回転させるさらなる駆動部との間に、各々、1つのダブルウォームギアを設置する必要があることを見出した。この種の構成では、それぞれの駆動部、好ましくは電気モータは、その軸がそれぞれのダブルウォームギアの第1のウォームを駆動し、引き上げ軸の回転軸の側方(または坩堝軸の回転軸の側方)において(それぞれ)、それぞれの回転軸から充分な距離を置いた位置を有する。それぞれの駆動部は、好ましくは、それぞれのダブルウォームギアのハウジングプレートに堅固に取り付けられる。したがって、それぞれの駆動部のばね取り付けはない。それぞれの駆動部の軸は、好ましくは、引き上げ軸(または坩堝軸)と(それぞれ)平行に配置される。それぞれのダブルウォームギアの第1のウォームは、それぞれのダブルウォームギアの第2のウォームの軸上に同軸に取り付けられるそれぞれの第1のウォームホイールに係合する。それぞれのダブルウォームギアの第2のウォームは、それぞれのダブルウォームギアの第2のウォームホイールに係合し、それぞれの第2のウォームホイールは、引き上げ軸(または坩堝軸)上に(それぞれ)同軸に取り付けられる。
【0010】
さらに、引き上げ軸および坩堝軸は、それぞれ、上部および下部に分割され、2つの部分は、各々、連結ベローを介して接続されることが好ましい。さらに、少なくとも引き上げ軸の場合、連結ベローは、引き上げ軸の上部を引き上げ軸の下部から電気的に絶縁するように構成される。これは、坩堝軸の下部を含む電流回路を介した融液の表面の検出の簡単な実現を可能にする。
【0011】
坩堝軸の駆動部は、好ましくは、坩堝軸の回転方向を逆転できるようにも設計される。
以下、2つの図面を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一例として、本発明を実施するために利用することができるCZ法による単結晶の引き上げのための装置を示す。
図2】本発明による装置の特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、一例として、本発明において利用することができる、融液7から半導体材料の単結晶1を引き上げるための装置10を示す。この装置は、チャンバ2と、ヒータ6と、坩堝8と、坩堝軸13と、引上げ軸14と、磁界発生コイル18とを備える。チャンバ2の一方の内壁には断熱材3が設けられている。チャンバ2の上部にはガス入口4があり、それを通してアルゴンなどの不活性ガスが導入され、チャンバ2の下部にはガス出口5がある。坩堝8は、半導体材料の融液7で満たされた内部坩堝を支持する。坩堝8の周囲には、固体半導体材料を溶融して溶融状態に維持するためのヒータ6が設けられている。坩堝軸13は、坩堝8の下端からチャンバの基部まで延在し、支持装置12によって取り付けられる。坩堝軸13は、支持装置12によって昇降および回転可能となっている。引き上げ軸14は、保持装置15によって上端で保持され、保持装置15の支援により、昇降、および回転軸Dの周りで回転させることができる。支持装置12および保持装置15は、コントローラ19によって制御される。磁界発生コイル18に電流を流すことによって、磁界、例えば水平磁界を融液7に印加できる。さらに、成長中の単結晶11の周囲に熱シールド(図示せず)を配置することもできる。参照符号16および17は種結晶ホルダおよび種結晶である。
【0014】
図2の例示によれば、保持装置15は引き上げ軸14を回転させるための装置20を備え、支持装置12は坩堝軸13を回転させるための装置21を備える。装置20および21は、本発明に従って設計される。
【0015】
引き上げ軸14を回転させるための装置20は、第1のウォーム24を駆動する駆動軸23を有する駆動部22を備える。第1のウォーム24は、第2のウォーム26の軸上に同軸に固定された第1のウォームホイール25に係合する。第2のウォーム26は、引き上げ軸14の上部28に同軸に固定された第2のウォームホイール27に係合する。第1および第2のウォーム24、26ならびに第1および第2のウォームホイール25、27はともにダブルウォームギヤを形成する。駆動部22は、ダブルウォームギアのハウジングプレート9に堅固に取り付けられる。引き上げ軸14の上部28と引き上げ軸14の下部29との間には、引き上げ軸14の上部28を引き上げ軸14の下部29から電気的に絶縁する第1のベローズカップリング30が配置されている。
【0016】
坩堝軸13を回転させるための装置21は、さらなる第1のウォーム33を駆動するさらなる駆動軸32を有するさらなる駆動部31を備える。さらなる第1のウォーム33は、さらなる第2のウォーム35の軸上に同軸に固定されたさらなる第1のウォームホイール34に係合する。さらなる第2のウォーム35は、坩堝軸13の下部37に同軸に固定されたさらなる第2のウォームホイール36に係合する。さらなる第1および第2のウォーム33、35ならびにさらなる第1および第2のウォームホイール34、36は、ともに、さらなるダブルウォームギアを形成する。さらなる駆動部31は、さらなるダブルウォームギアのさらなるハウジングプレート40に堅固に取り付けられる。坩堝軸13の下部37と坩堝軸13の上部38との間には、さらなるベローズカップリング39が配置されている。
【0017】
例示的な実施形態の上記の説明は、例の説明として理解されるべきである。それに応じてなされる開示は、一方では、当業者が本発明およびそれに関連付けられる利点を理解することを可能にし、他方では、当業者の理解は、記載される方法および構造の明白な変更ならびに修正も包含する。したがって、本発明は、すべてのそのような変更および修正、ならびに均等物も、特許請求の範囲の保護の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0018】
使用される参照符号のリスト
1 単結晶
2 チャンバ
3 断熱材
4 ガス入口
5 ガス出口
6 ヒータ
7 融液
8 坩堝
9 ハウジングプレート
10 引き上げ装置
11 成長する単結晶
12 支持装置
13 坩堝軸
14 引き上げ軸
15 取付装置
16 種結晶ホルダ
17 種結晶
18 磁界発生コイル
19 コントローラ
20 引き上げ軸を回転させるための装置
21 坩堝軸を回転させるための装置
22 駆動部
23 駆動軸
24 第1のウォーム
25 第1のウォームホイール
26 第2のウォーム
27 第2のウォームホイール
28 引き上げ軸の上部
29 引き上げ軸の下部
30 ベローズカップリング
31 さらなる駆動部
32 さらなる駆動軸
33 さらなる第1のウォーム
34 さらなる第1のウォームホイール
35 さらなる第2のウォーム
36 さらなる第2のウォームホイール
37 坩堝軸の下部
38 坩堝軸の上部
39 さらなるベローズカップリング
40 さらなるハウジングプレート
D 回転軸
図1
図2