(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物およびプリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240219BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20240219BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/027 515
H05K3/28 C
(21)【出願番号】P 2022578444
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 JP2022002892
(87)【国際公開番号】W WO2022163701
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2021012245
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】間中 薫
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-131679(JP,A)
【文献】特開2010-175608(JP,A)
【文献】特開2006-220861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/027
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、感光性モノマー、および有機溶剤を含む感光性樹脂組成物であって、
前記カルボキシル基含有樹脂が、2官能またはそれ以上の多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂を含み、
前記有機溶剤が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記感光性樹脂組成物が、テトラブチルアンモニウムブロマイドおよびテトラプロピルアンモニウムブロマイドから選択される少なくとも1種をさらに含み、
前記感光性樹脂組成物の25℃における粘度をA(dPa・s)とし、前記感光性樹脂組成物の25℃における体積固有抵抗値をB(MΩ)とすると、プロピレングリコールモノメチルエーテルを用いて前記感光性樹脂組成物の粘度をA
1=5.0(dPa・s)、A
2=1.5(dPa・s)に調整した時、A
1の時の体積固有抵抗値をB
1(MΩ)、A
2の時の体積固有抵抗値をB
2(MΩ)が、
下記式:
1.4≦(A
1-A
2)/(B
1-B
2)≦40
を満たすことを特徴とする、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記有機溶剤が
、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
およびジプロピレングリコールモノメチルエーテ
ルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含む、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、およびトリアジン環エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記感光性モノマーが、エチレン性不飽和二重結合を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
スプレーコーターでの塗布に用いられる、請求項1
~5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
ソルダーレジスト形成用として用いられる、請求項1~
6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
ソルダーレジスト層を備えるプリント配線板の製造方法であって、
請求項1~
7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を、スプレーコーターで基板上に塗布し、露光し、光および熱のいずれか少なくとも1種によって硬化させて、ソルダーレジスト層を形成することを特徴とする、プリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物に関し、特に、ソルダーレジスト形成用として好適に用いられる感光性樹脂組成物に関する。さらに、本発明は、該感光性樹脂組成物を用いたプリント配線板の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器などに用いられるプリント配線板において、プリント配線板に電子部品を実装する際には、不要な部分にはんだが付着するのを防止するために、回路パターンの形成された基板上の接続孔を除く領域にソルダーレジスト層が形成されている。
【0003】
近年の電子機器の軽薄短小化によるプリント配線板の高精度、高密度化に伴い、現在、ソルダーレジスト層は、基板に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥し、露光、現像によりパターン形成した後、パターン形成された樹脂を加熱ないし光照射によって本硬化させる、いわゆるフォトソルダーレジストによって形成されるのが主流となっている。さらに近年では生産性の観点から、スプレーコート法やカーテンコート法などの塗布方法が注目されている。スプレーコート法やカーテンコート法などは特性を考慮すると低粘度であるものが求められている。
【0004】
従来、基板上に有機溶剤を含む感光性樹脂組成物を塗布した場合、一見ムラが無く感光性樹脂組成物を塗布できていたとしても、塗布後や乾燥時にはじきやダレが発生して、乾燥後に均一な乾燥塗膜を形成できないという技術的課題が存在した。このような技術的課題に対して、カルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、感光性モノマー、および有機溶剤を含む低粘度の感光性樹脂組成物において、有機溶剤として、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることが提案されている(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で提案されている低粘度の感光性樹脂組成物を塗布した際にプリント配線板の回路のエッジ部分に十分な膜厚の樹脂層を形成することができないという技術的課題を発見した。
【0007】
したがって、本発明の目的は、低粘度に調整した場合であっても、塗布時のプリント配線板の回路のエッジ部分へのカバーリング性と現像性に優れる感光性樹脂組成物を提供することである。また、本発明の別の目的は、上記の感光性樹脂組成物を用いた低粘度領域での塗布によってプリント配線板の回路のエッジ部分にも十分な厚みのソルダーレジスト層を形成できるプリント配線板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究した結果、カルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、感光性モノマー、および有機溶剤を含む感光性樹脂組成物を低粘度に調整して塗布する際に、感光性樹脂組成物の粘度および体積固有抵抗値を特定の関係式を満たすように調節することで、上記課題を解決できるとの知見を得た。すなわち、本発明者は感光性樹脂組成物の粘度と体積固有抵抗値が直線関係にあることを見出し、感光性樹脂組成物の低粘度領域での塗布性と感光性樹脂組成物の現像性のバランスを考慮した結果、前述の直線の傾きが特定の範囲内にあることで、上記課題を解決できるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
【0009】
すなわち、本発明による感光性樹脂組成物は、カルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、感光性モノマー、および有機溶剤を含む感光性樹脂組成物であって、
前記感光性樹脂組成物の25℃における粘度をA(dPa・s)とし、前記感光性樹脂組成物の25℃における体積固有抵抗値をB(MΩ)とすると、プロピレングリコールモノメチルエーテルを用いて前記感光性樹脂組成物の粘度をA1=5.0(dPa・s)、A2=1.5(dPa・s)に調整した時、A1の時の体積固有抵抗値をB1(MΩ)、A2の時の体積固有抵抗値をB2(MΩ)が、
下記式:
1.4≦(A1-A2)/(B1-B2)≦40
を満たすことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の態様においては、感光性樹脂組成物は、第四級アンモニウム塩化合物をさらに含むことが好ましい。
【0011】
本発明の態様においては、前記第四級アンモニウム塩化合物が、テトラブチルアンモニウムブロマイド、およびテトラプロピルアンモニウムブロマイドから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0012】
本発明の態様においては、前記有機溶剤が、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコ-ルモノエチルエーテルアセテートからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0013】
本発明の態様においては、感光性樹脂組成物は、スプレーコーターでの塗布に用いられることが好ましく、特に静電スプレーでの塗布に用いられることがより好ましい。
【0014】
本発明の態様においては、感光性樹脂組成物は、ソルダーレジスト形成用として用いられることが好ましい。
【0015】
本発明の別の態様によれば、ソルダーレジスト層を備えるプリント配線板の製造方法であって、上記の感光性樹脂組成物を、スプレーコーターで基板上に塗布し、露光し、光および熱のいずれか少なくとも1種によって硬化させて、ソルダーレジスト層を形成することを特徴とするプリント配線板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低粘度に調整した場合の塗布であってもプリント配線板の回路のエッジ部分へのカバーリング性に優れる感光性樹脂組成物を提供することができる。さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、現像性に優れるものにすることができる。また、本発明の別の形態によれば、上記の感光性樹脂組成物を用いて、低粘度領域での塗布によってプリント配線板の回路のエッジ部分にも十分な厚みのソルダーレジスト層を形成できるプリント配線板の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[感光性樹脂組成物]
本発明による感光性樹脂組成物について説明する。本発明による感光性樹脂組成物は、少なくとも、カルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、感光性モノマー(反応性希釈剤)、および有機溶剤(非反応性希釈剤)を含み、第四級アンモニウム塩化合物、光重合開始剤、着色剤、硬化触媒、無機充填材、および添加剤等の他の成分をさらに含んでもよい。
【0018】
本発明においては、上記の有機溶剤や、必要に応じて無機充填材等を用いて感光性樹脂組成物の粘度を調節することができる。感光性樹脂組成物の粘度は、特に限定されずに、適宜、プロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈して、好適な粘度に調節することができる。通常、感光性樹脂組成物は、JIS Z8803:2011の10 円すい-平板形回転粘度計による粘度測定方法に準じ、25℃、5rpm、30秒値とし、コーン・ロータとして1°34′×R24を用いたコーンプレート型粘度計(東機産業株式会社製、TVE-33H)を用いて測定した粘度が、25℃で300dPa・s以下であり、好ましくは200dPa・s以下である。感光性樹脂組成物は、静電スプレー塗布の際には、通常1.3dPa・s以上5.0dPa・s以下に調節して用いられ、好ましくは1.5dPa・s以上4.5dPa・s以下に調節して用いられる。感光性樹脂組成物を上記粘度範囲に希釈して用いることで、低粘度領域での塗布時のプリント配線板の回路のエッジ部分に十分な膜厚の樹脂層を形成することができるため、はんだ耐熱性やめっき耐性を向上させることができる。
【0019】
本発明においては、感光性樹脂組成物の25℃における粘度をA(dPa・s)とし、感光性樹脂組成物の25℃における体積固有抵抗値をB(MΩ)とすると、プロピレングリコールモノメチルエーテルを用いて前記感光性樹脂組成物の粘度をA1=5.0(dPa・s)、A2=1.5(dPa・s)に調整した時、A1の時の体積固有抵抗値をB1(MΩ)、A2の時の体積固有抵抗値をB2(MΩ)が、
下記式:
1.4≦(A1-A2)/(B1-B2)≦40
を満たすものであり、好ましくは、
2.0≦(A1-A2)/(B1-B2)≦35
を満たすものであり、より好ましくは、
3.0≦(A1-A2)/(B1-B2)≦30
を満たすものであり、さらに好ましくは、
5.0≦(A1-A2)/(B1-B2)≦25
を満たすものであり、さらにより好ましくは、
10≦(A1-A2)/(B1-B2)≦20
を満たすものである。
本発明においては、上記式における「(A1-A2)/(B1-B2)」が1.4以上40以下である感光性樹脂組成物を用いることで、現像可能で、低粘度領域での塗布時のプリント配線板の回路のエッジ部分へのカバーリング性に優れるため、基板の凹凸部のムラを低減し、下地の回路の露出を防止することができる。この理由は必ずしも明らかではないが以下のように推察される。上記「(A1-A2)/(B1-B2)」は、感光性樹脂組成物を塗布する際に好適な粘度範囲に希釈した場合の体積固有抵抗値の変化を示すものである。上記「(A1-A2)/(B1-B2)」が1.4未満となる感光性樹脂組成物は、粘度上昇時の体積固有抵抗値の上昇幅が大き過ぎるため、低粘度に調整し塗布した際の感光性樹脂組成物の付着性が悪化すると考えられる。一方、40超となる感光性樹脂組成物は、粘度上昇時の体積固有抵抗値の上昇幅が小さ過ぎるため、感光性樹脂組成物の現像性が悪化すると考えられる。
また、B2の値は、通常0.01~5.0であり、好ましくは0.03~2.0であり、より好ましくは0.05~1.2であり、さらに好ましくは0.07~1.1であり、さらにより好ましくは0.1~1.0である。B2の値が上記範囲内であれば、現像可能で、低粘度領域での塗布時のプリント配線板の回路のエッジ部分へのカバーリング性に優れるため、基板の凹凸部のムラを低減し、下地の回路の露出を防止することができる。 なお、本発明においては、感光性樹脂組成物の25℃における体積固有抵抗値は、感光性組成物中に静電テスター(旭サナック株式会社製、商品名:EM-IV)の電極(電極面積:1cm2、電極間距離:1cm)を浸漬したときの体積固有抵抗値(MΩ)である。以下、本発明による感光性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
【0020】
[カルボキシル基含有樹脂]
カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種樹脂を使用できる。感光性樹脂組成物が、カルボキシル基含有樹脂を含むことにより、感光性樹脂組成物に対しアルカリ現像性を付与することができる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち感光性モノマーを併用することによって、組成物を感光性とする。
カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
【0021】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0022】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0023】
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和二重結合を有する者カルボン酸化合物との反応物部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0024】
(4)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0025】
(5)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0026】
(6)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0027】
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0028】
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0029】
(9)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0030】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0031】
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0032】
(12)前記(1)~(11)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0033】
カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40~150mgKOH/gであることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g以上とすることにより、アルカリ現像が良好になる。また、酸価を150mgKOH/gを以下とすることで、良好なレジストパターンの描画をし易くできる。より好ましくは、50~130mgKOH/gである。
【0034】
カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000~150,000であることが好ましい。重量平均分子量が2,000以上とすることにより、タックフリー性能や解像度を向上させることができる。また、重量平均分子量が150,000以下とすることで、現像性や貯蔵安定性を向上させることができる。より好ましくは、5,000~100,000である。
【0035】
カルボキシル基含有樹脂の配合量は、感光性樹脂組成物中において、固形分換算で、20質量%以上60質量%以下であることが好ましい。20質量%以上とすることにより硬化塗膜強度を向上させることができる。また60質量%以下とすることで粘性が適当となり、スプレーコーターでの塗布時のプリント配線板の回路のエッジ部分へのカバーリング性が向上する。より好ましくは、30質量%以上50質量%以下である。
【0036】
[熱硬化性樹脂]
本発明で用いられる熱硬化性樹脂としては、アミノ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用のものが挙げられる。これらの中でも好ましい熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である。
【0037】
使用することができるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
市販されるエポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER 828、806、807、834、YX8000、8034、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製のYD-128、YDF-170、ZX-1059、ST-3000、DIC株式会社製のEPICLON 830、840、850、N-695および日本化薬株式会社製のRE-310S等が挙げられる。
【0039】
感光性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂のエポキシ基の当量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基の当量1に対して、0.3~3.0であることが好ましい。0.3当量以上とすることで、硬化被膜におけるカルボキシル基の残存を防止して、良好な耐熱性や耐アルカリ性、電気絶縁性等を得ることができる。一方、上記配合量を3.0当量以下とすることで、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することを防止して、硬化被膜の強度等を良好に確保することができる。
【0040】
[熱硬化触媒]
本発明の感光性樹脂組成物には、熱硬化触媒をさらに配合することができる。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業株式会社製2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ株式会社製のU-CAT 3513N、ジメチルアミン系化合物の商品名)、DBU、DBN、U-CAT SA 102(いずれもアミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基およびオキセタニル基の少なくともいずれか1種とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独でまたは2種以上を混合して使用してもかまわない。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもできる。
【0041】
熱硬化触媒の配合量は、感光性樹脂組成物中に、エポキシ樹脂等分子中に環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分を含む場合、固形分換算で、分子中に環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上20質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上15.0質量部以下である。
【0042】
[感光性モノマー]
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性モノマーを含む。感光性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーである。感光性モノマーとしては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε-カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくともいずれか1種から適宜選択して用いることができる。このような感光性モノマーは、反応性希釈剤としても用いることができる。
【0043】
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などを感光性モノマーとして用いてもよい。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
【0044】
感光性モノマーの配合量は、感光性樹脂組成物中に、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して好ましくは1質量部以上50質量部以下、より好ましくは5質量部以上40質量部以下である。感光性モノマーの配合量を1質量部以上とすることにより、感光性樹脂組成物の光硬化性が向上する。また、配合量を50質量部以下とすることにより、硬化塗膜硬度を向上させることができる。
【0045】
感光性モノマーは、特にエチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有非感光性樹脂を使用した場合、組成物を光硬化性とするために感光性モノマーを併用する必要があるため、有効である。
【0046】
[有機溶剤]
本発明で用いられる有機溶剤には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。これらの有機溶剤の中でも、エステル類が好ましく、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル等がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルがさらに好ましい。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機溶剤の配合量は、感光性樹脂組成物を目的の粘度に応じて適宜設定することができる。これらの有機溶剤は工業用に提供されたものを開封して必要量取り出してすぐに使用し、使用後は密栓をして冷暗所に保管するのが好ましい。
【0047】
[第四級アンモニウム塩化合物]
本発明の感光性樹脂組成物には、第四級アンモニウム塩化合物をさらに配合することができる。第四級アンモニウム塩化合物としては、例えば、テトラアルキル(またはアリール)アンモニウム化合物が挙げられる。具体的には、テトラアルキルアンモニウムハライド、酢酸テトラアルキルアンモニウム、硫酸水素テトラアルキルアンモニウム、硫酸水素テトラアルキルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。これらの中でもスプレーコーターでの塗布時のプリント配線板の回路のエッジ部分のカバーリング性の向上の観点から、テトラアルキルアンモニウムハライドを使用することが好ましい。なお、第四級アンモニウム塩化合物の他にも、第四級ホスホニウム塩化合物、第三級スルホニウム塩化合物を使用してもよい。第四級アンモニウム塩化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
上記テトラアルキルアニモニウムハライドとして具体的には、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラデシルアンモニウムブロマイド、トリメチルセチルアンモニウムブロマイド、トリエチルセチルアンモニウムブロマイド、トリエチルメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリブチルアンモニウムブロマイド、フェニルトリメチルアンモニウムブロマイド、フェニルトリエチルアンモニウムブロマイド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、デシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドコセニルオクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロマイド等;
エチルトリメチルアンモニウムアイオダイド、エチルトリ-n-プロピルアンモニウムアイオダイド、フェニルトリエチルアンモニウムアイオダイド、フェニルトリメチルアンモニウムアイオダイド、テトラ-n-アミルアンモニウムアイオダイド、テトラ-n-ブチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラ-n-オクチルアンモニウムアイオダイド、テトラ-n-プロピルアンモニウムアイオダイド、トリエチルベンジルアンモニウムアイオダイド等が挙げられる。
【0049】
上記酢酸テトラアルキルアンモニウムとして具体的には、酢酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、酢酸ベンジルトリメチルアンモニウム、酢酸ベンジルトリエチルアンモニウム、酢酸ベンジルトリブチルアンモニウム;等が挙げられる。
【0050】
上記硫酸水素テトラアルキルアンモニウムとして具体的には、硫酸水素テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラエチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム等;が挙げられる。
【0051】
上記テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドとして具体的には、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、モノハイドロキシエチル・トリメチルアンモニウムハイドロオキサイド等;が挙げられる。
【0052】
第四級アンモニウム塩化合物としては、上記以外にもジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウムアセテート、ベンジルジメチルアンモニウムパークロレイトなどが挙げられる。
【0053】
第四級アンモニウム塩化合物としては、テトラブチルアンモニウムブロマイドおよびテトラプロピルアンモニウムブロマイド等が特に好ましいものとして挙げられる。
【0054】
第四級アンモニウム塩化合物の配合量は、感光性樹脂組成物中に、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上5質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上3質量部以下である。無機充填材の配合量が上記範囲内であれば、所望の粘度に調節しながら、硬化物の密着性、機械的強度、線膨張係数などの特性を向上させることができる。
【0055】
[光重合開始剤]
本発明において、上記した感光性樹脂組成物を光重合させるために使用される光重合開始剤としては、公知のものを用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等が挙げられる。なかでも、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0056】
α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1―プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、IGM Resins社製Omnirad 369、Omnirad 379、Omnirad 907などが挙げられる。
【0057】
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、IGM Resins社製Omnirad 819などが挙げられる。
【0058】
上記した光重合開始剤と併用して、光開始助剤または増感剤を用いてもよい。光開始助剤または増感剤としては、ベンゾイン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物などを挙げることができる。特に、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物を用いることが好ましい。チオキサントン化合物が含まれることにより、深部硬化性を向上させることができる。市販品としては、チオキサントン化合物としてLAMBSON社製DETX、ITXなどが挙げられる。これらの化合物は、光重合開始剤として用いることができる場合もあるが、光重合開始剤と併用して用いることが好ましい。また、光開始助剤または増感剤は1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0059】
なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、および増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として機能することがある。しかしながら、これらは組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストのライン形状および開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の精度を向上させることができる。
【0060】
[無機充填材]
本発明の感光性樹脂組成物には、無機充填材をさらに配合することができる。無機充填材としては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等が挙げられる。
【0061】
無機充填材の配合量は、感光性樹脂組成物中に、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは10質量部以上200質量部以下、より好ましくは20質量部以上150質量部以下である。無機充填材の配合量が上記範囲内であれば、所望の粘度に調節しながら、硬化物の密着性、機械的強度、線膨張係数などの特性を向上させることができる。
【0062】
[着色剤]
本発明の感光性樹脂組成物には、着色剤をさらに配合することができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
【0063】
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等があり、具体的には以下のようなカラ-インデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyersand Colourists)発行)番号が付されているものが挙げられる。
【0064】
モノアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269等が挙げられる。また、ジスアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 37,38,41等が挙げられる。また、モノアゾレーキ系赤色着色剤としては、Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68等が挙げられる。また、ベンズイミダゾロン系赤色着色剤としては、Pigment Red 171,175,176、185、208等が挙げられる。また、ぺリレン系赤色着色剤としては、Solvent Red 135,179,Pigment Red 123,149,166,178,179,190,194,224等が挙げられる。また、ジケトピロロピロール系赤色着色剤としては、Pigment Red 254,255,264,270,272等が挙げられる。また、縮合アゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 220,144,166,214,220,221,242等が挙げられる。また、アントラキノン系赤色着色剤としては、Pigment Red 168,177,216、Solvent Red 149,150,52,207等が挙げられる。また、キナクリドン系赤色着色剤としては、Pigment Red 122,202,206,207,209等が挙げられる。
【0065】
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられ、例えば、Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,60、染料系としては、Solvent Blue 35,63,68,70,83,87,94,97,122,136,67等を使用することができる。上記以外にも、金属置換若しくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0066】
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等が挙げられ、例えば、アントラキノン系黄色着色剤としては、Solvent Yellow 163,Pigment Yellow 24,108,193,147,199,202等が挙げられる。イソインドリノン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 110,109,139,179,185等が挙げられる。縮合アゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 93,94,95,128,155,166,180等が挙げられる。ベンズイミダゾロン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 120,151,154,156,175,181等が挙げられる。また、モノアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183等が挙げられる。また、ジスアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198等が挙げられる。
【0067】
その他、紫、オレンジ、茶色、黒、白等の着色剤を加えてもよい。具体的には、Pigment Black 1,6,7,8,9,10,11,12,13,18,20,25,26,28,29,30,31,32、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet13,36、C.I.Pigment Orange 1,5,13,14,16,17,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73、PigmentBrown 23,25、カーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。
【0068】
[他の成分]
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、消泡剤、難燃剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。また、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤およびレベリング剤の少なくともいずれか1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、防錆剤、蛍光増白剤などのような公知慣用の添加剤類の少なくとも何れか一種を配合することができる。
【0069】
本発明による感光性樹脂組成物は回路形成された基板を含む基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、カーテンコート法などの方法により塗布する。これらのなかでも、スプレーコート法による塗布を好適に使用することが出来る。特に、静電式のスプレーコート法による塗布をより好適に使用することが出来る。
【0070】
本発明による感光性樹脂組成物は、プリント配線板において、特に硬化膜を形成するために好適に使用され、ソルダーレジスト、層間絶縁材、マーキングインキ、カバーレイ、ソルダーダムの形成用として使用することができる。これらのなかでも、ソルダーレジスト形成用として好適に使用することができる。また、本発明による感光性樹脂組成物は、1液性でも2液性以上でもよい。
【0071】
[プリント配線板の製造方法]
本発明のプリント配線板の製造方法は、上記の感光性樹脂組成物を、スプレーコーターで基板上に塗布し、露光し、光および熱のいずれか少なくとも1種によって硬化させて、ソルダーレジスト層を形成するものである。以下、ソルダーレジスト層の形成方法について一例を説明する。
【0072】
ソルダーレジスト層は、感光性樹脂組成物を塗布方法に適した粘度に調整し、回路形成された基板上に、スプレーコーターにより全面塗布し、約60~100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることにより、タックフリーの乾燥塗膜を形成できる。乾燥後の膜厚は30~50μmであることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物を用いることで、回路のエッジ部分にも十分な膜厚のソルダーレジスト層を設けることができる。その後、接触式(または非接触方式)により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば0.3~3%炭酸ソーダ水溶液)により現像してレジストパターンが形成される。さらに、例えば約140~180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性などの諸特性に優れた硬化塗膜を形成することができる。
【0073】
上記回路形成された基板に使用される基材としては、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等を用いた高周波回路用銅張積層版等の材質を用いたもので全てのグレード(FR-4等)の銅張積層版、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0074】
また、活性エネルギー線照射に用いられる照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプまたはメタルハライドランプなどが適当である。その他、レーザー光線なども活性エネルギー線として利用できる。
【0075】
前記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などの希アルカリ水溶液が使用できる。
【実施例】
【0076】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。以下の調整、測定、評価はいずれも温度25℃、相対湿度50%の環境下で行った。
【0077】
<カルボキシル基含有樹脂の調製>
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、EPICLON N-695、エポキシ当量:220)220部を撹拌機および還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート214部を加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてジメチルベンジルアミン2.0部を加えた。この混合物を95~105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を80~90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物106部を加え、8時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして得られたカルボキシル基含有樹脂は、固形分65%、固形物の酸価100mgKOH/g、重量平均分子量Mw約3,500であった。 なお、得られた樹脂の重量平均分子量の測定は、GPCにより測定した。
【0078】
<感光性樹脂組成物の調製>
[実施例1~6、比較例1~3]
下記の表1および2中に示す配合に従い、フラスコ内に各成分を配合し、30分間撹拌機で分散させ、それぞれ感光性樹脂組成物を調製した。表中の配合量は、質量部を示す。調整した感光性樹脂組成物を用いて下記のように評価を行った。
【0079】
【0080】
【0081】
表1および2中の各成分の詳細は、以下の通りである。
※1:上記で合成したカルボキシル基含有樹脂
※2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:jER 828)
※3:トリアジン環エポキシ樹脂(日産化学工業株式会社製、商品名:TEPIC-S)
※4:ジシアンジアミド(日本カーバイド工業株式会社製、商品名:ジシアンジアミド)
※5:メラミン(日化トレーディング株式会社製、商品名:メラミン)
※6:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:KAYARAD DPHA)
※7:2-[4-(メチルチオ)ベンゾイル]-2-(4-モルホリニル)プロパン(IGM Resins株式会社製、商品名:Omnirad 907)
※8:2,4-ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社製、商品名:KAYACURE DETX-S)
※9:テトラブチルアンモニウムブロマイド(富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:テトラブチルアンモニウムブロミド)
※10:テトラプロピルアンモニウムブロマイド(富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:Tetrapropylammonium Bromide)
※11:硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製、商品名:B-100)
※12:フタロシアニングリーン(DIC株式会社製、商品名:FASTOGEN GREEN S)
※13:消泡剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KS-66)
※14:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
※15:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
※16:トルエン
【0082】
<粘度の調整>
上記の実施例および比較例で調整した感光性樹脂組成物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルを用いて希釈し、JIS Z8803:2011の10 円すい-平板形回転粘度計による粘度測定方法に準じ、25℃、5rpm、30秒値とし、コーン・ロータとして1°34′×R24を用いたコーンプレート型粘度計(東機産業株式会社製、TVE-33H)を用いて5rpmで測定した粘度(dPa・s)がA1=5.0(dPa・s)、A2=1.5(dPa・s)の2種類の感光性樹脂組成物を調整した。粘度調整の作業は60分以内で完了させた。希釈後の感光性樹脂組成物はポリエチレン容器にいれ、密栓した。
【0083】
<体積固有抵抗値の測定>
上記で調製したA1=5.0(dPa・s)、A2=1.5(dPa・s)に希釈後の各2種類の感光性樹脂組成物の温度を25℃にして、該組成物中に静電テスター(旭サナック株式会社製、商品名:EM-IV)の電極(電極面積:1cm2、電極間距離:1cm)を浸漬したときの体積固有抵抗値B(MΩ)を測定した。なお、粘度A1のときの体積固有抵抗値をB1(MΩ)、粘度A2のときの体積固有抵抗値をB2(MΩ)とした。さらに、「(A1-A2)/(B1-B2)」の値を算出した。測定結果および算出結果を表3および4に示した。体積固有抵抗値の測定は20分以内に完了させた。
【0084】
<回路エッジ部のカバーリング性>
上記の実施例および比較例で調製したA2=1.5(dPa・s)に希釈後の感光性樹脂組成物を用いて、バフ研磨後の長さ15cm、幅9.5cm、厚み1.6mm、回路厚35μmのFR-4銅張積層基板に静電スプレー塗布(吐出条件;wet.90g/m2)した。これを熱風循環式乾燥炉で80℃30分間の条件で乾燥させて溶剤を揮発させた後、300mJ/cm2の積算光量で露光した。次に、1%の炭酸ナトリウム水溶液で現像して未露光部の感光性樹脂組成物を除去した。その後、熱風循環式乾燥炉で150℃60分間の条件で感光性樹脂組成物を熱硬化させて、評価基板を作製した。回路エッジ部のカバーリング性を以下の基準にて評価し、評価結果を表3および4に示した。
[評価基準]
◎: 回路上がレジストで非常に良くカバーされた。
○: 回路上がレジストで十分にカバーされた。
△: 回路上でレジストの薄い部分が発生した。
×: 回路上にレジストが極端に薄い部分が発生した。
【0085】
<現像性>
<回路エッジ部のカバーリング性>で作製した評価基板の基板上のレジスト残渣を以下の基準にて評価し、評価結果を表3および4に示した。
◎:現像残渣がなかった。
〇:若干の現像残渣あったが、実用上問題無かった。
×:現像残渣があった。
【0086】
<はんだ耐熱性>
<回路エッジ部のカバーリング性>で作製した評価基板で、ロジン系フラックスを用いて、260℃で30秒、はんだフロー試験を行い、はんだ耐熱性を以下の基準にて評価し、評価結果を表3および4に示した。なお、現像性の評価が「×」であったものは評価せずに、評価結果は「-」とした。
[評価基準]
○:剥がれがなかった。
△:若干の剥がれがあった。
×:剥がれがあった。
【0087】
<無電解めっき耐性>
<回路エッジ部のカバーリング性>で作製した評価基板で無電解めっき耐性を以下の基準にて評価し、評価結果を表3および4に示した。なお、現像性の評価が「×」であったものは評価せずに、評価結果は「-」とした。
[評価基準]
○:剥がれがなかった。
△:若干の剥がれがあった。
×:剥がれがあった。
【0088】
【0089】
【0090】
表3および4の評価結果からも明らかなように、感光性樹脂組成物の25℃における粘度をA(dPa・s)とし、前記感光性樹脂組成物の25℃における体積固有抵抗値をB(MΩ)とすると、プロピレングリコールモノメチルエーテルを用いて前記感光性樹脂組成物の粘度をA1=5.0(dPa・s)、A2=1.5(dPa・s)に調整した時、A1の時の体積固有抵抗値をB1(MΩ)、A2の時の体積固有抵抗値をB2(MΩ)が、
式: 1.4≦(A1-A2)/(B1-B2)≦40
を満たす感光性樹脂組成物(実施例1~6)においては、カバーリング性、現像性、はんだ耐熱性、めっき耐性のそれぞれに関して優れていることがわかる。
一方、上記式を満たさない感光性樹脂組成物(比較例1~3)ではカバーリング性、現像性、はんだ耐熱性、めっき耐性のそれぞれをバランス良く向上させることができないことがわかる。