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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】サンプリングボックス
(51)【国際特許分類】
   B01L 1/00 20060101AFI20240219BHJP
   B25J 21/02 20060101ALI20240219BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
B01L1/00 D
B25J21/02
G01N1/10 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023104982
(22)【出願日】2023-06-27
【審査請求日】2023-08-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 匡裕
(72)【発明者】
【氏名】大坪 嵩啓
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112945629(CN,A)
【文献】特表2022-536538(JP,A)
【文献】特開2015-116639(JP,A)
【文献】中国実用新案第212680239(CN,U)
【文献】特開2004-183951(JP,A)
【文献】特開2003-114174(JP,A)
【文献】米国特許第05950642(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00- 1/04
A61J 3/00- 3/10
B25H 1/20
B25J 21/02
C12M 1/00- 1/42
F24F 7/06- 7/10
G01N 1/00- 1/44
G21F 7/00- 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリング容器を洗浄する第1室と、
前記第1室内に位置し、前記サンプリング容器に試料を採取する第2室と、
外気側から前記第1室内に向かって位置する第1グローブと、
前記外気側から前記第2室内に向かって位置する第2グローブと、
前記第1室の外面に位置する第1扉と、
前記第2室の外面のうち、前記第1グローブを用いて開閉可能な場所に位置する第2扉と、
前記第1室の上面に位置する第1HEPAフィルターと、
前記第2室の上面に位置する第2HEPAフィルターと、
を含み、
前記第1室および前記第2室が陽圧室である、
サンプリングボックス。
【請求項2】
前記第2室の外面は、前記試料が流れるノズルの先端開口を通す開口部を、さらに有する、請求項1に記載のサンプリングボックス。
【請求項3】
前記第2室の床面の下部に第2廃液室が、さらに位置し、
前記第2室の床面は、前記第2廃液室まで貫通する複数の貫通孔を有する、
請求項1または2に記載のサンプリングボックス。
【請求項4】
前記第1室の床面の下部に第1廃液室が、さらに位置し、
前記第1室の床面は、前記第1廃液室まで貫通する複数の貫通孔を有する、
請求項1または2に記載のサンプリングボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリングボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体工場などで使用されるシリコンウエハーなどの洗浄液として、高純度の硫酸が使用されている。このような高純度の硫酸は、例えば、特許文献1に記載のような方法で製造される。製造後、サンプリングを行い、製造された硫酸の検品が行われる。
【0003】
サンプリングは、製品を検品するために行われる。そのため、サンプリング容器に不純物などが付着していると、サンプリング容器に採取した製品の検品を高精度で行うことができない。例えば、外気と接触しているサンプリング容器は、外気によって汚染される可能性がある。そのため、サンプリング容器に採取した製品は、実際に製造された製品よりも多くの不純物などが検出される場合があり、不純物が、サンプリング容器の汚染に起因するものなのか、あるいは実際の製品に含まれるものなのか区別することができない。その結果、サンプリング容器の汚染に起因する不純物であったとしても、最悪の場合、製品が廃棄処分されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公平4-21604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、出荷環境に近い状態で、検品用の製品をサンプリング容器に採取することができるサンプリングボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)サンプリング容器を洗浄する第1室と、サンプリング容器に試料を採取する第2室と、外気側から第1室内に向かって位置する第1グローブと、外気側から第2室内に向かって位置する第2グローブと、第1室の外面に位置する第1扉と、第2室の外面のうち、第1グローブを用いて開閉可能な場所に位置する第2扉とを含み、第1室および第2室が陽圧室であるサンプリングボックス。
(2)第2室の外面は、試料が流れるノズルの先端開口を通す開口部を、さらに有する、上記(1)に記載のサンプリングボックス。
(3)第2室の床面の下部に第2廃液室が、さらに位置し、第2室の床面は、第2廃液室まで貫通する複数の貫通孔を有する、上記(1)または(2)に記載のサンプリングボックス。
(4)第1室の床面の下部に第1廃液室が、さらに位置し、第1室の床面は、第1廃液室まで貫通する複数の貫通孔を有する、上記(1)~(3)のいずれかに記載のサンプリングボックス。
(5)第2室は、第1室の内部に位置する、上記(1)~(4)のいずれかに記載のサンプリングボックス。
(6)第1室の外面に第1HEPAフィルターが、さらに位置している、上記(1)~(5)のいずれかに記載のサンプリングボックス。
(7)第2室の外面に第2HEPAフィルターが、さらに位置している、上記(1)~(6)のいずれかに記載のサンプリングボックス。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るサンプリングボックスは、上記のような構成を有することによって、出荷環境に近い状態で、検品用の製品をサンプリング容器に採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るサンプリングボックスの一部を示す説明図である。
図2図1に示す矢印A方向から見たサンプリングボックスの外観を示す説明図である。
図3図1に示す面(正面)と反対の面(背面)から見たサンプリングボックスの外観を示す説明図である。
図4図1に示す矢印A方向から見たサンプリングボックスの内部を示す説明図である。
図5】本発明の他の実施形態に係るサンプリングボックスの一部を示す説明図である。
図6図5に示す矢印B方向から見たサンプリングボックスの内部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係るサンプリングボックスを、図1~4に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るサンプリングボックス10の一部を示す説明図である。
【0010】
図1に示す一実施形態に係るサンプリングボックス10は、第1室1および第2室2の2つの室で構成されている。具体的には、第1室1の内部に第2室2が位置している。
【0011】
第1室1は、サンプリング容器を洗浄するための室である。第1室1は、第1グローブ11および第1扉12を含む。第1グローブ11は、外気側から第1室1内に向かって位置している。第1グローブ11は、作業者が手(腕)を入れて、第1室1内で作業することができるように設けられている。第1グローブ11が設けられていると、第1室1内での作業中に、第1室1内の密室状態を維持することができる。そのため、第1室1内での作業中に、第1室1内が外気によって汚染されにくくなる。
【0012】
図2に示すように、第1グローブ11は、通常、右手用および左手用の2つ設けられている。図2は、図1に示す矢印A方向から見たサンプリングボックス10の外観を示す説明図である。第1グローブ11が設けられる位置は、第1室1の大きさ、サンプリングボックス10が設置される位置などを考慮し、作業者が作業しやすい位置であれば限定されない。第1グローブ11は、第1室1内を密閉に保つために、ホースバンドなどで縛着されることが好ましい。
【0013】
第1扉12は、図1に示すように、第1室1の外面に位置している。第1扉12は、外気側と第1室1とを隔てる扉である。第1室1内を清浄な状態に保つため、第1扉12は第1室1を密閉するように位置している。
【0014】
第1扉12は、例えば、第1室1へのサンプリング容器の出し入れのために使用される。第1扉12は、外開きの扉であることが好ましく、第1扉12を外開きにすることで、第1扉12に付着した異物を第1室1に入ることを防ぐことができる。第1扉12の大きさは、例えば、サンプリング容器の出し入れが可能な大きさであれば限定されない。第1扉12が設けられる位置は、第1室1の大きさ、サンプリングボックス10が設置される位置などを考慮して決定される。
【0015】
第1室1は陽圧室であり、第1室1の内部は、陽圧状態を維持できるように構成されている。第1室1が陽圧室であることによって、第1扉12を開けた場合に、第1室1の内部から外気側に空気が流れる。そのため、第1室1内に外気が侵入しにくくなり、第1室1内が外気で汚染されにくくなる。
【0016】
第1室1の内部において陽圧状態を維持するための方法は、限定されない。例えば、図1に示すように、第1室1の外面に位置する第1HEPAフィルター31によって、第1室1の内部が陽圧状態に維持される。第1室1の外面は、第1室1の側面以外に第1室1の上面も包含する。さらに、第1室1の内部には、第1室1内の空気を入れ替えるための排気口を有してもよい。排気口を設ける場合、第1室1の内部を陽圧に維持するために、第1室1内から外気へ空気の排気量を調節できるようにすることが好ましい。
【0017】
HEPAフィルターは、「High Efficiency Particulate Air Filter」の略称である。HEPAフィルターは、JIS規格において、「定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有しており、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を有するエアフィルター」と規定されている。HEPAフィルターは、電動付きHEPAフィルターを用いることが好ましい。第1HEPAフィルター31を用いることによって、清浄な空気で第1室1の内部を陽圧状態に維持することができる。図1には、第1HEPAフィルター31が2つ記載されている。しかし、第1HEPAフィルター31の数は限定されず、少なくとも1つの第1HEPAフィルター31が設けられていればよい。
【0018】
図2に示すように、第1室1の外面に超純水用弁4が設けられている。超純水用弁4は、第1室1内に位置するノズルの先端開口から出る超純水の流量を調節するための弁である。第1室1の外面は、図3に示すように、このノズルの先端開口を通す開口部41を有する。図3は、図1に示す面(正面)と反対の面(背面)から見た、すなわち図面の奥から手前に向かって見たサンプリングボックス10の外観を示す説明図である。ノズルの先端高さは、第1室1にサンプリング容器を配置した後に、サンプリング容器の入り口高さより高い位置に配置されることが好ましい。開口部41に通されるノズルの長さや太さは、ノズルを通る液量で共振が発生しないよう考慮して決定される。超純水は、例えば、第1室1でサンプリング容器を洗浄するために使用される。超純水としては、例えば、17MΩ・cm以上の比抵抗値を有し、金属含有量が検出限界以下である超純水が挙げられる。
【0019】
一実施形態に係るサンプリングボックス10において、第1室1の床面13の下部には、第1廃液室14が位置している。第1廃液室14は、第1室1で生じる廃液を一時的に貯留する室である。具体的には、第1室1でサンプリング容器を洗浄した後の洗浄水が、廃液として第1廃液室14に貯留される。
【0020】
第1室1の床面13は、廃液が第1廃液室14に流れるような構造を有する。このような構造としては、例えば、第1室1の床面13の1か所に第1廃液室14まで貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔に向かって廃液が流れるように、第1室1の床面13が傾斜している構造、第1室1の床面13に第1廃液室14まで貫通する複数の貫通孔が形成されている構造などが挙げられる。
【0021】
これらの構造のうち、第1室1の床面13に第1廃液室14まで貫通する複数の貫通孔が形成されている構造が、第1室1の床面13を傾斜面にしなくても、貫通孔から廃液が第1廃液室14に流れる点で好ましい。第1廃液室14まで貫通する複数の貫通孔が形成された第1室1の床面13としては、例えば、パンチングプレートなど網目構造を有するプレートが挙げられる。第1廃液室14に貯留された廃液は、第1廃液室14に設けられた廃液用の配管を通ってサンプリングボックス10の外部に排出される。さらに、第1室1の床面13に網目構造を有するプレートを設けることで、サンプリング容器からこぼれた製品が、床面13に当たり、液はねすることを防止することができる。
【0022】
第1室1、第1グローブ11、第1扉12、第1室1の床面13および第1廃液室14は、製造された製品によって腐食されない材料で形成されているのが好ましい。例えば、製品が硫酸の場合、硫酸によって腐食されない材料で形成されているのが好ましい。
【0023】
第1室1は、作業する点を考慮すると透明であることが好ましく、例えば、アクリル樹脂、石英ガラスなどで形成されているのが好ましい。第1扉12は、透明性を要求されないものの、第1室1と同様、例えば、アクリル樹脂、石英ガラスなどで形成されているのが好ましい。第1グローブ11は、例えば、ニトリルゴム、シリコンゴムなどのゴム類で形成されているのが好ましい。第1室1の床面13および第1廃液室14は、例えば、ステンレス鋼、アクリル樹脂、ガラスなどで形成されているのが好ましい。第1グローブ11および第2グローブ21は、耐酸性用の化学防護用手袋であることが好ましい。
【0024】
第1室1には、必要に応じて、サンプリング容器またはサンプリング容器の蓋を一時的に置くことができるスペースや台、洗浄後のサンプリング容器に付着している水を除去するために、クリーンエアーガン、ドライヤーなどの装置が設けられていてもよい。このような装置が設けられていると、洗浄後のサンプリング容器に付着している水を短時間で除去することができる。
【0025】
次に、第2室2について説明する。第2室2は、サンプリング容器に試料(製品)を採取するための室である。第2室2は、第2グローブ21および図4に示す第2扉22を含む。図4は、図1に示す矢印A方向から見たサンプリングボックス10の内部を示す説明図である。
【0026】
第2グローブ21は、外気側から第2室2内に向かって位置している。第2グローブ21は、作業者が手(腕)を入れて、第2室2内で作業することができるように設けられている。第2グローブ21が設けられていると、第2室2内での作業中に、第2室2内の密室状態を維持することができる。そのため、第2室2内での作業中に、第2室2内が外気によって汚染されにくくなる。さらに、第2グローブ21が設けられていると、例えば、硫酸などのように危険な製品を採取する際にも、安全に作業を行うことができる。
【0027】
図1に示すように、第2グローブ21は、通常、右手用および左手用の2つ設けられている。第2グローブ21が設けられる位置は、第2室2の大きさ、サンプリングボックス10が設置される位置などを考慮し、作業者が作業しやすい位置であれば限定されない。
【0028】
第2扉22は、図4に示すように、第2室2の外面のうち、第1グローブ11を用いて開閉可能な場所に位置している。第2扉22は、第1室1と第2室2とを隔てる扉である。第2室2内を清浄な状態に保つため、第2扉22は第2室2を密閉するように位置しているのが好ましい。
【0029】
第2扉22は、例えば、第2室2へのサンプリング容器の出し入れのために使用される。例えば、第2扉22は、第1室1側に開く扉とすることが好ましい。第2扉22の大きさは、例えば、サンプリング容器の出し入れが可能な大きさであり、第1室1内に配置された物に触れないような大きさであれば限定されない。第2扉22の位置は、第1室1および第2室2の大きさ、サンプリングボックス10が設置される位置などを考慮して決定される。
【0030】
第2室2は陽圧室であり、第2室2の内部は、陽圧状態を維持できるように構成されている。第2室2が陽圧室であることによって、第2扉22を開けた場合に、第2室2内に第1室1内の空気が侵入しにくくなり、第2室2内をより清浄に維持することができる。
【0031】
図2に示すように、第2室2の外面にサンプリング用弁5が設けられている。サンプリング用弁5は、第2室2内に位置するノズルの先端開口から出る製品の流量を調節するための弁である。第2室2の外面は、図3に示すように、このノズルの先端開口を通す開口部51を有する。ノズルの先端開口から出る製品が、サンプリング容器に採取される。開口部51の配置および数は、特に限定されず、サンプリングボックス10の大きさに合わせ、所望の製品をサンプリングする位置などを考慮して決定される。ノズルの先端の向きは、所望の製品をサンプリングしやすい位置に適宜調整すればよく、ノズルの向きや位置を固定するサポートを付けてもよい。
【0032】
一実施形態に係るサンプリングボックス10において、第2室2の床面23の下部には、第2廃液室24が位置している。第2廃液室24は、第2室2で生じる廃液を一時的に貯留する室である。具体的には、サンプリング容器を洗浄(共洗い)に使用した製品や第2室2でサンプリング容器に採取する際にサンプリング容器に入らなかった製品が、廃液として第2廃液室24に貯留される。
【0033】
第2室2の床面23は、廃液が第2廃液室24に流れるような構造を有する。このような構造としては、例えば、第2室2の床面23の1か所に第2廃液室24まで貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔に向かって廃液が流れるように、第2室2の床面23が傾斜している構造、第2室2の床面23に第2廃液室24まで貫通する複数の貫通孔が形成されている構造などが挙げられる。
【0034】
これらの構造のうち、第2室2の床面23に第2廃液室24まで貫通する複数の貫通孔が形成されている構造が、第2室2の床面23を傾斜面にしなくても、貫通孔から廃液が第2廃液室24に流れる点で好ましい。第2廃液室24まで貫通する複数の貫通孔が形成された第2室2の床面23としては、例えば、パンチングプレートなど網目構造を有するプレートが挙げられる。第2廃液室24に貯留された廃液は、第2廃液室24に設けられた廃液用の配管を通ってサンプリングボックス10の外部に排出される。
【0035】
第2室2、第2グローブ21、第2扉22、第2室2の床面23および第2廃液室24は、製造された製品によって腐食されない材料で形成されているのが好ましい。例えば、製品が硫酸の場合、硫酸によって腐食されない材料で形成されているのが好ましい。
【0036】
第2室2は、作業する点を考慮すると透明であることが好ましく、例えば、アクリル樹脂、石英ガラスなどで形成されているのが好ましい。第2扉22は、透明性を要求されないものの、第2室2と同様、例えば、アクリル樹脂、ガラスなどで形成されているのが好ましい。第2グローブ21は、例えば、ニトリルゴム、シリコンゴムなどのゴム類で形成されているのが好ましい。第2室2の床面23および第2廃液室24は、例えば、ステンレス鋼、アクリル樹脂、ガラスなどで形成されているのが好ましい。第1室1の床面13と第2室2の床面23とは、一体的に形成されていてもよい。
【0037】
以上のように、一実施形態に係るサンプリングボックス10は、上記のような構成を有することによって、サンプリング容器に不純物などが付着しにくくなる。その結果、本発明の一実施形態に係るサンプリングボックス10を使用することによって、出荷環境に近い状態で、検品用の製品をサンプリング容器に採取することができる。
【0038】
次に、一実施形態に係るサンプリングボックス10の使用方法について説明する。まず、サンプリングボックス10(第1室1および第2室2)内が陽圧状態であることを確認する。次いで、第1扉12および第2扉22が閉じられた状態であることを確認した後、第1扉12を開いて、準備したサンプリング容器を第1室1内に入れる。次いで、第1扉12を閉じて、第1グローブ11を用いて、第1室1内に入れたサンプリング容器の内壁、外壁および蓋を、超純水で洗浄する。
【0039】
洗浄後、第1グローブ11を用いて第2扉22を開き、洗浄したサンプリング容器を第2室2内に入れる。洗浄したサンプリング容器は、第2室2内に入れる前に、必要に応じて、エアーガン、ドライヤーなどの装置で乾燥させてもよい。サンプリング容器を第2室2内に入れた後、第2扉22を閉じる。
【0040】
次いで、第2グローブ21を用いて、第2室2内に入れたサンプリング容器の内壁および蓋を、採取する製品で洗浄する。例えば、製品が硫酸であれば、採取する硫酸で洗浄する。洗浄後、第2グローブ21を用いて、サンプリング容器に製品を採取し、蓋を閉じる。
【0041】
次いで、第1グローブ11を用いて第2扉22を開き、採取後のサンプリング容器を、第2室2から第1室1に移動させる。次いで、第2扉22を閉じて、第1室1で採取後のサンプリング容器の外壁を、超純水で洗浄する。洗浄後、第1扉12を開き、第1室1で採取後のサンプリング容器を取り出して、第1扉12を閉じる。このようにして、サンプリング容器などに付着している不純物の影響を受けることなく、出荷環境に近い状態で、検品用の製品をサンプリング容器に採取することができる。
【0042】
本発明に係る硫酸製造装置は、上述の一実施形態に係るサンプリングボックス10に限定されない。一実施形態に係るサンプリングボックス10において、第1室1の外面(上面)には第1HEPAフィルター31が位置しており、第2室2の外面(上面)にはHEPAフィルターは位置していない。
【0043】
しかし、本発明に係るサンプリングボックスは、図5および6に示す他の実施形態に係るサンプリングボックス20のように、第2室2の外面(上面)にも第2HEPAフィルター32が位置していてもよい。図5は、本発明の他の実施形態に係るサンプリングボックス20の一部を示す説明図である。図6は、図5に示す矢印B方向から見たサンプリングボックス20の内部を示す説明図である。他の実施形態に係るサンプリングボックス20において、一実施形態に係るサンプリングボックス10と同じ部材については、同じ符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0044】
第2室2の外面に第2HEPAフィルター32が位置していることによって、第2室2をより清浄な状態に維持することができる。HEPAフィルターについては上述の通りであり、詳細な説明は省略する。図4および5では、1つの第2HEPAフィルター32が位置している。しかし、第2HEPAフィルター32は、2つ以上位置していてもよい。
【0045】
第1室1および第2室2の内部には、それぞれ第1室1内の第1HEPAフィルター31および第2室2内の第2HEPAフィルター32から輸送された空気を排出するための排気口を有してもよい。排気口を設ける場合、第1室1および第2室2の内部を陽圧に維持するために、第2室2内から外気へ空気の排気量を調節できるようにすることが好ましい。
【0046】
さらに、一実施形態に係るサンプリングボックス10および他の実施形態に係るサンプリングボックス20において、第1室1の内部に第2室2が位置している。しかし、本発明に係るサンプリングボックスにおいて、第1室1および第2室2は、隣接して並ぶように位置していてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 第1室
11 第1グローブ
12 第1扉
13 床面
14 第1廃液室
2 第2室
21 第2グローブ
22 第2扉
23 床面
24 第2廃液室
31 第1HEPAフィルター
32 第2HEPAフィルター
4 超純水用弁
41 開口部
5 サンプリング用弁
51 開口部
10、20 サンプリングボックス
【要約】
【課題】出荷環境に近い状態で、検品用の製品をサンプリング容器に採取することができるサンプリングボックスを提供する。
【解決手段】本発明に係るサンプリングボックスは、サンプリング容器を洗浄する第1室と、サンプリング容器に試料を採取する第2室と、外気側から第1室内に向かって位置する第1グローブと、外気側から第2室内に向かって位置する第2グローブと、第1室の外面に位置する第1扉と、第2室の外面のうち、第1グローブを用いて開閉可能な場所に位置する第2扉とを含み、第1室および第2室が陽圧室である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6