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特許7439476液体吐出装置、吐出調整方法、及び吐出調整プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】液体吐出装置、吐出調整方法、及び吐出調整プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240220BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 211
B41J2/01 213
B41J2/21
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019213272
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2020093539
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2018226138
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雄貴
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-292910(JP,A)
【文献】国際公開第2016/152208(WO,A1)
【文献】特開2016-185613(JP,A)
【文献】特表2002-512138(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259582(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に液体を吐出する複数のノズルが副走査方向に配列されたノズル列を有するヘッドが、前記副走査方向に複数配列されたヘッドアレイが、前記副走査方向と直交する走査方向に、複数配列されているヘッドユニットと、
前記記録媒体に対して前記液体を吐出させながら前記ヘッドユニットを前記記録媒体に対して前記走査方向に移動させる走査動作と、液体を吐出させないで前記ヘッドユニット又は前記記録媒体を、前記記録媒体又は前記ヘッドユニットに対して相対的に前記副走査方向に移動させる動作と、を交互に実施する移動部と、
前記副走査方向において、ヘッドアレイ全域に対して、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるように1つのグラデーションを設定した第1のパターンと、任意の数のヘッド毎に、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるようにグラデーションを設定した第2のパターンを含んで設定するグラデーション割当設定部と、
前記複数のヘッドアレイに含まれる第1のヘッドアレイに対して前記第1のパターンを用いて、第2のヘッドアレイに対して前記第2のパターンを用いて、画像データをマスク処理するマスク処理部と、
マスク処理した画像データを基に、複数のノズルから液体を吐出させるヘッド駆動部と、を備え
前記グラデーション割当設定部で設定される、前記第2のパターンは、複数のヘッド毎に1つのグラデーションが設定されている
液体吐出装置。
【請求項2】
記録媒体上に液体を吐出する複数のノズルが副走査方向に配列されたノズル列を有するヘッドが、前記副走査方向に複数配列されたヘッドアレイが、前記副走査方向と直交する走査方向に、複数配列されているヘッドユニットと、
前記記録媒体に対して前記液体を吐出させながら前記ヘッドユニットを前記記録媒体に対して前記走査方向に移動させる走査動作と、液体を吐出させないで前記ヘッドユニット又は前記記録媒体を、前記記録媒体又は前記ヘッドユニットに対して相対的に前記副走査方向に移動させる動作と、を交互に実施する移動部と、
前記副走査方向において、ヘッドアレイ全域に対して、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるように1つのグラデーションを設定した第1のパターンと、任意の数のヘッド毎に、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるようにグラデーションを設定した第2のパターンを含んで設定するグラデーション割当設定部と、
前記複数のヘッドアレイに含まれる第1のヘッドアレイに対して前記第1のパターンを用いて、第2のヘッドアレイに対して前記第2のパターンを用いて、画像データをマスク処理するマスク処理部と、
マスク処理した画像データを基に、複数のノズルから液体を吐出させるヘッド駆動部と、を備え
前記グラデーション割当設定部で設定される、前記第2のパターンは、第1の数のヘッドを1単位としてグラデーションが設定される領域と、前記第1の数とは異なる第2の数のヘッドを1単位としてグラデーションが設定される領域とを含んでいる
液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1のヘッドアレイと前記第2のヘッドアレイとは吐出する液体の色が異なる
請求項1又は2のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1のヘッドアレイと前記第2のヘッドアレイとは同色の液体を吐出する
請求項1又は2のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記複数のヘッドの各ヘッドには、前記記録媒体上に液体を吐出する複数のノズルが副走査方向に配列されたノズル列が、前記副走査方向と直交する走査方向に複数配置されている
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記ヘッドアレイには、3つ以上のヘッドが設けられており、
前記副走査方向に隣接するヘッドが前記走査方向で異なる位置にあり、前記副走査方向に隣接するヘッドにおける前記ノズル列の端部が、前記副走査方向でオーバーラップするように配置されている
請求項1乃至のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記ヘッドアレイにおいて、複数のヘッドは、前記副走査方向に同一直線状に並ぶように配置されている
請求項1乃至のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
液体吐出装置の吐出調整方法であって、
液体吐出装置は、記録媒体上に液体を吐出する複数のノズルが副走査方向に配列されたノズル列を有するヘッドが、前記副走査方向に複数配列されたヘッドアレイが、前記副走査方向と直交する走査方向に、複数配列されているヘッドユニットと、前記記録媒体に対して前記液体を吐出させながら前記ヘッドユニットを前記記録媒体に対して前記副走査方向と直交する走査方向に移動させる走査動作と、液体を吐出させないで前記ヘッドユニット又は前記記録媒体を、前記記録媒体又は前記ヘッドユニットに対して相対的に前記副走査方向に移動させる動作と、を交互に実施する移動部と、を備えており、
吐出調整方法は、
前記副走査方向において、ヘッドアレイ全域に対して、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるように1つのグラデーションを設定した第1のパターンと、任意の数のヘッド毎に、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるようにグラデーションを設定した第2のパターンとを含んで設定するグラデーション割当て設定ステップと、
前記複数のヘッドアレイに含まれる第1のヘッドアレイに対して前記第1のパターンを用い、第2のヘッドアレイに対して前記第2のパターンを用いて、画像データをマスク処理するステップと、
マスク処理した画像データを基に、前記複数のノズルから前記液体を吐出させるヘッド駆動ステップと、を有し、
前記グラデーション割当て設定ステップで設定される、前記第2のパターンは、複数のヘッド毎に1つのグラデーションが設定されている
吐出調整方法。
【請求項9】
液体吐出装置の吐出調整方法であって、
液体吐出装置は、記録媒体上に液体を吐出する複数のノズルが副走査方向に配列されたノズル列を有するヘッドが、前記副走査方向に複数配列されたヘッドアレイが、前記副走査方向と直交する走査方向に、複数配列されているヘッドユニットと、前記記録媒体に対して前記液体を吐出させながら前記ヘッドユニットを前記記録媒体に対して前記副走査方向と直交する走査方向に移動させる走査動作と、液体を吐出させないで前記ヘッドユニット又は前記記録媒体を、前記記録媒体又は前記ヘッドユニットに対して相対的に前記副走査方向に移動させる動作と、を交互に実施する移動部と、を備えており、
吐出調整方法は、
前記副走査方向において、ヘッドアレイ全域に対して、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるように1つのグラデーションを設定した第1のパターンと、任意の数のヘッド毎に、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるようにグラデーションを設定した第2のパターンとを含んで設定するグラデーション割当て設定ステップと、
前記複数のヘッドアレイに含まれる第1のヘッドアレイに対して前記第1のパターンを用い、第2のヘッドアレイに対して前記第2のパターンを用いて、画像データをマスク処理するステップと、
マスク処理した画像データを基に、前記複数のノズルから前記液体を吐出させるヘッド駆動ステップと、を有し、
前記グラデーション割当て設定ステップで設定される、前記第2のパターンは、第1の数のヘッドを1単位としてグラデーションが設定される領域と、前記第1の数とは異なる第2の数のヘッドを1単位としてグラデーションが設定される領域とを含んでいる
吐出調整方法。
【請求項10】
液体吐出装置の吐出調整プログラムであって、
液体吐出装置は、記録媒体上に液体を吐出する複数のノズルが副走査方向に配列されたノズル列を有するヘッドが、前記副走査方向に複数配列されたヘッドアレイが、前記副走査方向と直交する走査方向に、複数配列されているヘッドユニットと、前記記録媒体に対して前記液体を吐出させながら前記ヘッドユニットを前記記録媒体に対して前記副走査方向と直交する走査方向に移動させる走査動作と、液体を吐出させないで前記ヘッドユニット又は前記記録媒体を、前記記録媒体又は前記ヘッドユニットに対して相対的に前記副走査方向に移動させる動作と、を交互に実施する移動部と、を備えており、
吐出調整プログラムは、
前記副走査方向において、ヘッドアレイ全域に対して、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるように1つのグラデーションを設定した第1のパターンと、任意の数のヘッド毎に、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるようにグラデーションを設定した第2のパターンとを含んで設定するグラデーション割当て設定処理と、
前記複数のヘッドアレイに含まれる第1のヘッドアレイに対して前記第1のパターンを用いて、第2のヘッドアレイに対して前記第2のパターンを用いて、画像データをマスク処理と、
マスク処理した画像データを基に、前記複数のノズルから前記液体を吐出させるヘッド駆動処理と、をコンピューターに実行させ、
前記グラデーション割当て設定処理で設定される、前記第2のパターンは、複数のヘッド毎に1つのグラデーションが設定されている
吐出調整プログラム。
【請求項11】
液体吐出装置の吐出調整プログラムであって、
液体吐出装置は、記録媒体上に液体を吐出する複数のノズルが副走査方向に配列されたノズル列を有するヘッドが、前記副走査方向に複数配列されたヘッドアレイが、前記副走査方向と直交する走査方向に、複数配列されているヘッドユニットと、前記記録媒体に対して前記液体を吐出させながら前記ヘッドユニットを前記記録媒体に対して前記副走査方向と直交する走査方向に移動させる走査動作と、液体を吐出させないで前記ヘッドユニット又は前記記録媒体を、前記記録媒体又は前記ヘッドユニットに対して相対的に前記副走査方向に移動させる動作と、を交互に実施する移動部と、を備えており、
吐出調整プログラムは、
前記副走査方向において、ヘッドアレイ全域に対して、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるように1つのグラデーションを設定した第1のパターンと、任意の数のヘッド毎に、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるようにグラデーションを設定した第2のパターンとを含んで設定するグラデーション割当て設定処理と、
前記複数のヘッドアレイに含まれる第1のヘッドアレイに対して前記第1のパターンを用いて、第2のヘッドアレイに対して前記第2のパターンを用いて、画像データをマスク処理と、
マスク処理した画像データを基に、前記複数のノズルから前記液体を吐出させるヘッド駆動処理と、をコンピューターに実行させ、
前記グラデーション割当て設定処理で設定される、前記第2のパターンは、第1の数のヘッドを1単位としてグラデーションが設定される領域と、前記第1の数とは異なる第2の数のヘッドを1単位としてグラデーションが設定される領域とを含んでいる
吐出調整プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、吐出調整方法、及び吐出調整プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出する複数のノズルが配列された記録ヘッドと記録媒体とを相対移動させながら記録媒体上にインクを吐出し画像を形成するインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
ここで、短尺の記録ヘッドをノズル列方向(副走査方向)に千鳥状に複数並べているヘッドアレイを有するインクジェット画像形成装置の場合、複数の記録ヘッドが副走査方向でオーバーラップしているつなぎ目領域では、ドットが他の部分よりも多く吐出されることにより、濃度ムラが発生する。
【0004】
そこで、特許文献1には、各つなぎ目画像における濃度ムラを解消する目的で、記録ヘッド間のつなぎ目領域に相当する記録ヘッド端部における使用率を小さくする構成が開示されている。
【0005】
詳しくは、図1に、従来である特許文献1における複数回の主走査動作各々において間引き画像データに応じてノズル922により画素の出力が行われる位置及び印画率の分布を示す模式図を示す。図1の左列は、連続する2回の主走査動作各々におけるヘッドユニット920の副走査方向の相対位置関係を示し、中央は、左列に示されるヘッドユニット920から主走査動作各々においてノズル列群924のノズル922により画素の出力が行われる位置を表す出力パターン980を示し、右列は、主走査動作各々における記録媒体上の副走査方向の各位置での印画率の分布を示す。本技術では、各ノズル列923の中央部での印画率が100%であり、ノズル列923のつなぎ目及びノズル列群924の両端部での印画率が0%であり、かつこれらの間で印画率が線形に変化する分布となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1の技術では、記録される画像の濃度ムラが低減されるが、双方向印刷を実施すると、ドットの色の重なりの順番の違いによって、走路が先の領域と復路が先の領域とで、境界が生じてしまう。このような境界はヘッドの走査方向に沿って帯状に生じることとなり、いわゆる光沢ムラである記録画像のバンディングが生じてしまう。
【0007】
上記の光沢バンディングは、ノズル列のつなぎ目だけではなく、ヘッドの長さよりも大きな画像を形成する際に、複数の走査でのオーバーラップ領域でも同様に発生する。
【0008】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、記録媒体上のバンディングを抑制することができる、液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様の液体吐出装置では、
記録媒体上に液体を吐出する複数のノズルが副走査方向に配列されたノズル列を有するヘッドが、前記副走査方向に複数配列されたヘッドアレイが、前記副走査方向と直交する走査方向に、複数配列されているヘッドユニットと、
前記記録媒体に対して前記液体を吐出させながら前記ヘッドユニットを前記記録媒体に対して前記走査方向に移動させる走査動作と、液体を吐出させないで前記ヘッドユニット又は前記記録媒体を、前記記録媒体又は前記ヘッドユニットに対して相対的に前記副走査方向に移動させる動作と、を交互に実施する移動部と、
前記副走査方向において、ヘッドアレイ全域に対して、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるように1つのグラデーションを設定した第1のパターンと、任意の数のヘッド毎に、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるようにグラデーションを設定した第2のパターンを含んで設定するグラデーション割当設定部と、
前記複数のヘッドアレイに含まれる第1のヘッドアレイに対して前記第1のパターンを用いて、第2のヘッドアレイに対して前記第2のパターンを用いて、画像データをマスク処理するマスク処理部と、
マスク処理した画像データを基に、複数のノズルから液体を吐出させるヘッド駆動部と、を備え、
前記グラデーション割当設定部で設定される、前記第2のパターンは、複数のヘッド毎に1つのグラデーションが設定されている。
あるいは、前記グラデーション割当設定部で設定される、前記第2のパターンは、第1の数のヘッドを1単位としてグラデーションが設定される領域と、前記第1の数とは異なる第2の数のヘッドを1単位としてグラデーションが設定される領域とを含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
一態様によれば、液体吐出装置において、記録媒体上のバンディングを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来例に係るグラデーションマスクの概略説明図。
図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例における全体構成を示す斜視図。
図3】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の画像形成ユニット周辺の平面図。
図4図3の画像形成装置の画像形成ユニット周辺の正面図。
図5】本発明に係る画像形成装置の一例におけるハードウェア構成のブロック図。
図6】本発明の第1実施例に係る画像形成装置の画像処理に係る制御部の機能ブロック図。
図7】印刷シーケンスの説明図。
図8】マルチパスインターレースにおいて、光沢バンディングが発生するしくみを説明する図。
図9】光沢バンディングの説明図。
図10】本発明の第1実施例を適用する、複数のヘッドが千鳥状に配置されたヘッドアレイを含む画像形成ユニット周辺の平面図。
図11】千鳥状の3つのヘッドを有するヘッドアレイに適用される、第1実施例に係る複数のグラデーション割当てパターンの群の一例を示す図。
図12】千鳥状の4つのヘッドを有するヘッドアレイに適用される、第1実施例に係る複数のグラデーション割当てパターンの群の一例を示す図。
図13】本発明の第1実施例に係る制御フローチャート。
図14】1つの画像領域に対して8回走査して画像を形成する場合に、第1実施例に係るグラデーション割当てパターンを、異なる色のヘッドアレイ毎に異なるパターンを適用する例を示す説明図。
図15】1つの画像領域に対して8回走査して画像を形成する場合に、第1実施例に係るグラデーション割当てパターンを、同じ色のヘッドアレイ毎に異なるパターンを適用する例を示す説明図。
図16】変形例1に係る、複数のヘッドが直線状に配置されたヘッドアレイに適用される、第1実施例に係る複数のグラデーション割当てパターンの群の一例を示す図。
図17】変形例2に係る、複数のヘッドが階段状に配置されたヘッドアレイに適用される、第1実施例に係る複数のグラデーション割当てパターンの群の一例を示す図。
図18】複数のノズル列を有するヘッドが千鳥状に配置されたヘッドアレイに適用される、第2実施例に係る複数のグラデーション割当てパターンの群の一例を示す図。
図19】本発明の第2実施例に係る制御フローチャート。
図20】1つの画像領域に対して8回走査して画像を形成する場合に、第2実施例に係るグラデーション割当てパターンを、異なる色のノズル列毎に異なるパターンを適用する例を示す説明図。
図21】本発明の第3実施例に係る画像形成装置の画像処理に係る制御部の機能ブロック図。
図22】1つのヘッドが配置された1つのヘッドアレイに適用される、本発明の第3実施例のグラデーション割当てパターンの群の一例を示す図。
図23】本発明の第3実施例に係る、制御フローチャート。
図24】1つの画像領域に対して8回走査して画像を形成する場合に、第3実施例のグラデーション割当てパターンを、異なる色のヘッドアレイ毎に、異なるパターンを適用する例を示す説明図。
図25】1つのヘッドが配置された1つのヘッドアレイに適用される、本発明の第4実施例に係るグラデーション割当てパターンの群の一例を示す図。
図26】本発明の第4実施例に係る制御フローチャート。
図27】1つの画像領域に対して8回走査して画像を形成する場合に、第4実施例に係るグラデーション割当てパターンを異なる色のノズル列毎に異なるパターンを適用する例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0013】
<第1実施形態>
まず、本発明に係る液体吐出装置の一例である画像形成装置の複数の実施形態について、全体構成を説明する。
【0014】
図2は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の全体構成を示す斜視図である。
【0015】
このインクジェット記録装置10は、キャリッジ200と、記録媒体を載置するステージ13と、を備える。キャリッジ200は、複数のノズルが設けられた複数の液体吐出ヘッドを備えたインクジェット方式の画像形成部であるヘッドユニット300が設けられており、液体を記録ヘッド(記録ヘッド)のノズルN(図11参照)から吐出することによって画像を形成する。ノズルは、ステージ13との対向面に設けられている。なお、本実施形態では、液体は、一例として、紫外線硬化性を有するインクである。
【0016】
また、キャリッジ200のステージ13との対向面には、紫外線を照射する光源である照射ユニット400が設けられている。照射ユニット400(照射部の一例)は、ノズルNから吐出された液体を硬化させる波長の光を照射する。
【0017】
左右の側板18a,18bにはガイドロッド19が架け渡されており、ガイドロッド19は、キャリッジ200をX方向(主走査方向)に移動可能に保持している。
【0018】
また、キャリッジ200、ガイドロッド19、及び側板18a,18bは一体となって、ステージ13の下部に設けられたガイドレール29に沿ってY方向(副走査方向)に移動可能となっている。更に、キャリッジ200は、Z方向(上下方向)に移動可能に保持されている。
【0019】
なお、図2の構成では、記録媒体が載置されるステージ13は固定されている。図2のようなインクジェット記録装置では、記録ヘッドを主走査方向に移動させながらノズルNから記録媒体上にインクを吐出する主走査動作と、記録ヘッドを副走査方向に移動させる副走査動作とを交互に繰り返し行い画像を形成する。
【0020】
よって、本実施形態では、キャリッジ200とガイドロッド19が主走査方向(X方向、第2の方向)の移動部であり、キャリッジ200とガイドレール29が副走査方向(Y方向、第1の方向)の移動部として機能する。
【0021】
<第2実施形態>
図3は、本発明の第2実施形態の画像形成装置(液体吐出装置)であるインクジェット記録装置1の正面図の一例を示す模式図であり、図4は、本実施形態のインクジェット記録装置1の平面図の一例を示す模式図である。
【0022】
図2図3の構成では、記録媒体101が載置されるステージ230が可動である。図2図3のようなインクジェット記録装置1では、副走査動作において、記録媒体を記録ヘッドに対して副走査方向に移動させる。
【0023】
なお、図3では1つのヘッドアレイにおいてヘッドが1つ設けられる例を示しているが、1つのヘッドアレイにおいて副走査方向に複数のヘッドが設けられていてもよい(図10参照)。
【0024】
次に、画像形成装置(インクジェット記録装置10,1)を含む画像形成システムにおけるハードウェア構成の例について説明する。
【0025】
図5は、本実施形態の画像形成システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図5に示すシステムでは、画像形成システムにおいて、図2図4等に示すように、メカ構造により画像を形成する画像形成装置(インクジェット記録装置10,1)に対して、外部装置であるPC2が接続され、PC2が画像処理を実行する例を示している。なお、PC2によって実行する画像処理に関する機能を、画像形成装置の内部に設けていてもよい。
【0026】
図5に示すように、本実施形態の画像形成装置30(インクジェット記録装置1,10)は、コントローラユニット3と、検知群4と、搬送部である搬送ユニット100と、キャリッジ200と、ヘッドユニット300(液体吐出ヘッドの一例)と、照射ユニット400(照射部の一例)と、メンテナンスユニット500と、を備える。
【0027】
また、コントローラユニット3は、ユニット制御回路31と、メモリ32と、CPU(Central Processing Unit)33と、I/F34と、を備える。なお、硬化装置は、図4の破線で示すように、少なくともコントローラユニット3と照射ユニット400とを含む装置であればよい。
【0028】
I/F34は、画像形成装置30(1、10)を外部のPC(Personal Computer)2と接続するためのインターフェースである。画像形成装置30(1,10)とPC2との接続形態はどのようなものであってもよく、例えば、ネットワークを介した接続や通信ケーブルで両者を直接接続する形態などが挙げられる。
【0029】
検知群4は、例えば、図3及び図4に示す高さセンサ41などインクジェット記録装置1に備えられている各種センサなどが挙げられる。
【0030】
CPU33は、メモリ32を作業領域に用いて、インクジェット記録装置1の各ユニットの動作を、ユニット制御回路31を介して制御する。具体的には、CPU33は、PC2から受信する記録データ及び検知群4により検知されたデータに基づいて、各ユニットの動作を制御し、記録媒体101(基材などとも称する)上に液体塗布面102である画像を形成する。
【0031】
なお、PC2には、プリンタドライバがインストールされており、このプリンタドライバにより画像データから、インクジェット記録装置1に送信される記録データが生成される。記録データは、インクジェット記録装置1の搬送ユニット100などを動作させるコマンドデータと、画像(液体塗布面102)に関する画素データと、を含む。画素データは、画素ごとに2ビットのデータで構成されており、4階調で表現される。
【0032】
次に図2図5を用いて、画像形成装置のメカ機構における部材について説明する。搬送ユニット100は、ステージ130及び吸着機構120を有する。吸着機構120は、ファン110及びステージ130に設けられた複数の吸着孔100aを有する。吸着機構120は、ファン110を駆動して吸着孔100aから記録媒体101を吸着することにより、記録媒体101を搬送ユニット100に一時的に固定する。吸着機構120は静電吸着を用いて用紙を吸着してもよい。搬送ユニット100は、CPU33(ユニット制御回路31)からの駆動信号に基づいて、Y軸方向(副走査方向)の移動が制御される。
【0033】
搬送ユニット100は、図3図4に示す構成では、搬送制御部210、ローラ105、及びモータ104を有する。搬送制御部210は、モータ104を駆動してローラ105を回転することで、記録媒体101をY軸方向(副走査方向)に移動する。
【0034】
搬送ユニット100は、図2のように記録媒体101ではなく、キャリッジ200をY軸方向(副走査方向)に移動してもよい。すなわち、搬送ユニット100は、記録媒体101とキャリッジ200とをY軸方向(副走査方向)に相対的に移動させる。
【0035】
例えば、搬送ユニット100は、図4の右側に示すように、キャリッジ200をX軸方向(主走査方向)に案内する二本のガイド201を支持する側板407bと、側板407bを支持する台406と、台406に固定されたベルト404と、ベルト404が掛け回された駆動プーリ403及び従動プーリ402と、駆動プーリ403を回転駆動するモータ405と、搬送制御部210とを有する。
【0036】
更に、搬送ユニット100は、図4の左側に示すように、キャリッジ200をX軸方向(主走査方向)に案内する二本のガイド201を支持する側板407aと、側板407aをスライド移動可能に支持する台408と、台408に形成され、側板407aを副走査方向に案内する溝409と、を有する。
【0037】
搬送ユニット100は、搬送制御部210でモータ405を駆動することにより、駆動プーリ403を回転させ、ベルト404をY軸方向(副走査方向)に移動する。キャリッジ200が支持された台406がベルト404の移動と共にY軸方向(副走査方向)に移動することで、キャリッジ200をY軸方向(副走査方向)に移動することができる。側板407aは台406のY軸方向(副走査方向)への移動に伴い、台408の溝409に沿ってY軸方向(副走査方向)に移動する。
【0038】
図2図3に示す実施形態では、キャリッジ200と、台406xと、ベルト404と、駆動プーリ403、従動プーリ402、及び回転駆動するモータ405等が、主走査方向(X方向、第2の方向)の移動部である。また、ステージ130、ローラ105、及びモータ104等の搬送ユニット100が副走査方向(Y方向、第1の方向)の移動部として機能する。
【0039】
ヘッドユニット300は、図3図4に示すように、K、C、M、Y、CL、WのUV硬化型インク(液体の一例)をそれぞれ吐出するヘッドアレイ300K、300C、300M、300Y、300CL、300Wにより構成されており、キャリッジ200の下面に備えられている。
【0040】
各ヘッドアレイ300K~300Wには、1又は複数のヘッドが設けられている。ヘッドが複数のヘッドで構成されている場合、複数のヘッドは千鳥状であっても、よいし、1列に並んでいてもよい。
【0041】
各ヘッドは駆動素子であるピエゾを備えており、CPU33(ユニット制御回路31)によりピエゾに駆動信号が印加されると、ピエゾは、収縮運動を起こし、収縮運動による圧力変化が生じることにより、UV硬化型インクを記録媒体101上に吐出する。これにより、記録媒体101上には、液体塗布面102(液体塗布面の一例)が形成される。
【0042】
本実施形態に好適なUV硬化型インクとして、例えば、メタクリレート系モノマーを含むインクを挙げることができる。メタクリレート系モノマーは皮膚感さ性が比較的弱いという利点があるが、一般のインクに比べ硬化収縮の度合いが大きいという特性がある。
【0043】
照射ユニット400は、キャリッジ200の側面(X軸方向の面)に備えられており、CPU33(ユニット制御回路31)からの駆動信号に基づいて、UV光を照射する。照射ユニット400は、主として、UV光を照射するUV照射ランプにより構成されている。
【0044】
キャリッジ200は、CPU33(ユニット制御回路31)からの駆動信号に基づいて、Z軸方向(高さ方向)及びX軸方向(主走査方向)の移動が制御される。
【0045】
キャリッジ200は、ガイド201に沿って主走査方向(X軸方向)に走査移動する。走査部206は、駆動プーリ203、従動プーリ204、駆動ベルト202、及びモータ205を有する。キャリッジ200は、駆動プーリ203及び従動プーリ204の間に掛け回された駆動ベルト202に固定されている。モータ205で駆動ベルト202を駆動することにより、キャリッジ200は主走査方向に左右に走査移動する。ガイド201は、装置本体の側板211A及び211Bに支持されている。
【0046】
高さ調整部207はモータ209及びスライダ208を有する。高さ調整部207は、モータ209を駆動してスライダ208を上下動させることで、ガイド201を上下させる。ガイド201が上下移動することによりキャリッジ200が上下動し、キャリッジ200の記録媒体101に対する高さを調整することができる。
【0047】
<画像形成動作>
以下、図2に示すインクジェット記録装置1の画像形成動作について説明する。
まず、搬送ユニット100は、CPU33(ユニット制御回路31)からの駆動信号に基づいて、Y軸方向(副走査方向)に移動し、記録媒体101を、画像(液体塗布面102)を形成させるための初期位置に位置させる。
【0048】
続いて、キャリッジ200は、CPU33(ユニット制御回路31)からの駆動信号に基づいて、ヘッドユニット300によるUV硬化型インクの吐出に適した高さ(例えば、ヘッドユニット300のヘッドアレイ300K~Wにおける、各ヘッドの下面と記録媒体101とのヘッド間ギャップが1mmとなる高さ)に移動する。なお、ヘッドユニット300の高さは、高さセンサ41により検知されることで、CPU33に把握される。
【0049】
続いて、キャリッジ200は、CPU33(ユニット制御回路31)からの駆動信号に基づいて、X軸方向(主走査方向)に往復移動し、この往復移動の際に、ヘッドユニット300は、CPU33(ユニット制御回路31)からの駆動信号に基づいて、UV硬化型インクを吐出する。これにより、記録媒体101上には、1走査分の画像(液体塗布面102)が形成される。
【0050】
続いて、記録媒体101上に1走査分の画像(液体塗布面102)が形成されると、搬送ユニット100は、CPU33(ユニット制御回路31)からの駆動信号に基づいて、Y軸方向(副走査方向)に1走査分移動する。
【0051】
以下、画像(液体塗布面102)の形成が完了するまで、1走査分の画像(液体塗布面102)を形成する動作と搬送ユニット100をY軸方向へ1走査分移動させる動作とが交互に行われる。
【0052】
そして、記録媒体101上での画像(液体塗布面102)の形成が完了すると、UV硬化型インクが平滑化される時間(以下、「レベリング時間」と称する場合がある)まで待機され、この後、照射ユニット400によるUV光の照射が行われる。
【0053】
<第1実施例の機能ブロック>
次に、本発明の機能ブロックについて説明する。図6は、本発明の第1実施例に係る画像形成システムにおける画像処理に係る機能ブロック図である。
【0054】
画像処理装置11は、主制御部12を含む。主制御部12は、CPUなどを含んで構成されるコンピューターであり、画像処理装置11全体を制御する。なお、主制御部12は、汎用のCPU以外で構成してもよく、例えば、主制御部12は、回路などで構成してもよい。
【0055】
また、画像処理装置11は、図6に示したように、画像形成装置30に接続されるPC2によって実現されてもよいし、あるいは、画像形成装置30の内部に設けられてもよい。
【0056】
主制御部12は、データ受理部12Aと、データ作成部12Bと、データ出力部12Cと、を含む。データ受理部12A、データ作成部12B、およびデータ出力部12Cの一部または全ては、例えば、CPUなどの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)などのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
【0057】
データ受理部12Aは、画像データを受理する。画像データは、形成する画像の形状や色などの情報である。データ受理部12Aは、通信部を介して、外部装置から画像データを取得してもよいし、画像処理装置11に設けられた記憶手段から画像データを取得してもよい。
【0058】
データ作成部12Bは、データ受理部12Aで受理した画像データについて、マスク処理などの所定のデータ処理を行う。本実施形態では、画像データ(例えば、JPEG画像データ)と、所望の光沢度に基づいて、カラーインク画像データと、クリアインク用の画像データと、を作成する。
【0059】
データ出力部12Cは、データ作成部12Bにて作成された画像データを画像形成装置30に出力する。
【0060】
画像形成装置30(1,10)は、記録部14と、印刷モード受理部21と、照射部22と、駆動部25(23,24)と、記録制御部28と、を備える。
【0061】
記録部14は、記録制御部26によって制御された画像データを基にヘッドアレイ300K~300Wの各ヘッドの液滴吐出を駆動するヘッド駆動部である。
【0062】
駆動部25は、移動部を駆動するものであって、第1の駆動部23は、走査時のキャリッジ200のX方向の移動を駆動させ、第2の駆動部24は、副走査時の、キャリッジ200又は記録媒体101の副走査方向の移動を駆動させる。
【0063】
記録制御部28は、画像処理装置11から印刷データを受け付ける。記録制御部28は、受け付けた印刷データに応じて、ヘッド18から各画素に対応する液滴を吐出するように、記録部14、駆動部25、および照射部22を制御する。
【0064】
記録制御部28は、例えば、インクの吐出から光の照射までの時間の算出や、インクの吐出量と光の照射までの時間から記録媒体101に形成される画像の光沢度の算出や、光沢度を均一にするためのクリアインクの吐出量を決定する演算等を行う。
【0065】
また、記録制御部28は、印刷シーケンス設定部28Aと、割当てパターン記憶部28Bと、グラデーション割当設定部28Cと、画像用駆動波形生成部28Dと、を有する。
【0066】
印刷シーケンス設定部28Aは、画像データ及び印刷モードを基に印刷シーケンスを設定する。印刷シーケンス(図7参照)を設定することで、それぞれの画像領域に対して、記録部14が搭載されるキャリッジ200を主走査方向における往路方向又は復路方向に、何回走査させて画像を形成するか、を規定する。また、カラーインク画像データに基づいたカラーインク画像の画像形成を制御する。すなわち、インク色ごとの形成順序や、各インクの打ち込み量や、打ち込み位置(ドットの配置位置)を制御する。
【0067】
本実施例における、割当てパターン記憶部28Bは、複数のヘッドを有するヘッドアレイに対応付けられた、複数種類のグラデーション割当てパターンを記憶する。
【0068】
本実施形態のグラデーション割当設定部28Cは、副走査方向のヘッドアレイ全域に対して、ヘッドを最小分割単位として異なるグラデーション割当てパターンを設定する。
【0069】
本実施形態における、ヘッドアレイに対応付けられたヘッド毎のグラデーション割当てパターンには、少なくとも、ヘッドアレイ全域を1つのグラデーション割当て領域としてグラデーションを割り当てるパターン(図11(b)の(1))を含んでおり、ヘッドアレイにおけるヘッドを最小分割単位とする割当てパターン(図11(b)の(2))を含んでいてもよい。
【0070】
詳しくは、グラデーションは、副走査方向において中央が濃く、両端部が薄くなる(端になるほどノズルから吐出されるドット数(印画率)が少なくなる)パターンである。グラデーション割当てパターンの具体的な設定例については、図11以降で詳述する。なお、グラデーションは、単調増加・減少するものに限られず、部分的にノイズが載っていても良く、移動平均をとったときに増加・減少していればよい。
【0071】
ここで、印画率とは、ヘッドユニットの各ヘッドにおける、ノズルと対応する画素データに係る画素のうち、画素データの値に応じてインクの吐出動作が行われて出力される画素の割合を示す値である。例えば、ヘッドユニット300を所定の速度で走査させたとき、特定のノズルを、X滴(Xは整数)吐出可能な場合であって、全ての位置でそのノズルが吐出動作を実行する場合は、100%になる。しかし、すべての位置では、吐出動作を行わない場合もあるため、X滴を母数として、実際に吐出動作を行うための出力データ(駆動データ)を印加する回数を、印画率(%)とする。
【0072】
画像用駆動波形生成部28Dは、マスク処理部の一例であって、グラデーション割当てパターンに含まれる複数のグラデーションマスクを適用してさせた(マスク処理した)画像データを基に、駆動データを生成する。
【0073】
記録部14(ヘッド駆動部)は、画像用駆動波形生成部28Dで生成された、駆動データを基に、ヘッドH1~H4を駆動して、複数のノズルNから液体を吐出させる。
【0074】
なお、本ブロック図では、画像形成装置側で、グラデーション割当てパターンを調整する機能を有する例を説明したが、グラデーション割当てパターンを調整する機能は、PC2側のデータ作成部12B内に設けてもよい。
【0075】
さらに、PC2に接続される別の情報処理装置(例えば、上位装置)において、予めプログラムを設定し、演算ファイル(例えば、CSV(Comma Separated Value)ファイルやエクセルファイル)形式で記憶させておき、PC2においてそのプログラムを読み込むことで、グラデーション割当てパターンの吐出調整プログラムを実行させてもよい。
【0076】
<印刷シーケンス>
本発明のグラデーション割当ての調整は、双方向印刷などのマルチパスインターレースに対して適用できる。
【0077】
ここで、マルチパスインターレースを含む、原稿(元データ)から走査毎の画像データを生成する際の画像変換における印刷シーケンスについて説明する。図7は、複数の印刷シーケンスのパターンを示す図であって、画像変換処理の説明図である。
【0078】
データ作成部12B(図6参照)は、画像変換処理として、印字幅と印字順序とヘッドアレイ300K~Wの構成に合わせて、1度の主走査方向Xへのヘッドユニット300の走査(1スキャン)で出力する画像単位で、画像データを変換する。
【0079】
図7(a)~(h)に示すマス目の含まれる四角のひとつが、記録画像の1ドットを表している。また、四角内部の数字が、ヘッドの走査順を表している。図7に示すパターンを、主走査方向Xおよび副走査方向Yに繰り返す順序で、画像データが形成される。
【0080】
なお、主走査方向Xの打ち分け回数を、パスと称する場合がある。すなわち、主走査方向Xの打ち分け回数が1回であれば1パス、2回であれば2パスと称する。
【0081】
また、副走査方向Yの打ち分け回数を、インターレースと称する場合がある。すなわち、副走査方向Yの打ち分け回数が1回であれば1/1インターレース、2回であれば1/2インターレースと称する。
【0082】
また、打ち分け方の種類の数を、打ち分け回数Nと称する。具体的には、図7(b)に示す1パス1/1インターレースであれば、N=1である。また、図7(c)に示す2パス1/1インターレース又は、図7(d)に示す1パス1/2インターレースであれば、N=2である。
【0083】
また、図7(e)に示す2パス1/2インターレースであれば、N=4である。図7(f)に示す4パス1/2インターレース又は、図7(g)に示す2パス1/4インターレースであれば、N=8である。図7(h)に示す4パス1/4インターレースであれば、N=16である。
【0084】
なお、図7(b)、図7(d)に示す1パスのシーケンスを通常モード、図7(c)、図7(e)、図7(f)、図7(g)、図7(h)に示す複数のパスのシーケンスを、マルチパス印刷モードと呼ぶ場合もある。
【0085】
本発明の制御では、ヘッドユニットに含まれるヘッドアレイにおいて副走査方向に分割して、主走査方向に並ぶヘッドアレイ毎(第1実施例、第3実施例)又はノズル列毎(第2実施例、第4実施例)に、グラデーション割当てパターンを設定するため、画像を重ね合わせて印刷する双方向印刷であるマルチパスインターレースに対して適用可能である。
【0086】
なお、インクジェット記録装置1、10では、予め初期設定の印刷方式の設定などで、マルチパス印刷モードとその際のマルチパス数の指定、インターレース印刷モードとそのインターレース数の指定が行われ、指定された印刷モード(マルチパス印刷モード)、マルチパス数、インターレース数が印刷方式としてメモリ(不図示)等の記憶媒体に記憶されている。
【0087】
下記、本発明のグラデーション割当てパターンの設定を、印刷シーケンスがマルチパスインターレースである場合について説明する。
【0088】
<マルチパスインターレースによる印刷で発生する光沢バンディングの例>
ここで、マルチパスインターレースの印刷モードで画像を形成する場合に発生する光沢バンディングについて、図8図9を用いて、説明する。
【0089】
図8は、光沢バンディングが発生するしくみを説明する図であり、図9は、光沢バンディングの説明図である。詳しくは、図8では、図7(f)や図7(g)のN=8の印刷シーケンスを設定して、任意の画像領域に対して8回走査して記録媒体101に、画像を形成する場合に発生する光沢バンディングを示している。図9では、(a)はブラックの塗りつぶし図の模式図であり、(b)複数の色で記録媒体を塗りつぶした写真である。
【0090】
図8に示すように、複数のヘッドアレイを用いて、双方向印刷を実施する場合、ドットの重なりの順番の違いにより、最も上層の色が異なる。
【0091】
このように双方向印刷を実施すると、インクがUV光を受けて化学反応する際に、ドットの色の重なりの順番の違いによって、インク吐出後、光が照射されるまでの時間の違いが発生するため、着弾後インクが硬化収縮している時間の違いに起因して、硬化部と未硬化部の境界が生じてしまう。このような硬化・未硬化の境界はヘッドの走査方向(主走査方向)に沿って帯状に生じることとなり、いわゆる光沢ムラである記録画像の光沢バンディングが生じる。
【0092】
このような境界は、図8図9に示すように、ヘッドの主走査方向に沿って帯状に生じることとなり、硬化時の記録画像のインクの高さに起因する、光沢のムラである光沢バンディングが生じる。
【0093】
また、図9(b)の写真に示すように、光沢バンディングは黒色(ブラック)で特に発生しやすい。
【0094】
また、図1に示す従来例では、記録素子群のうちつなぎ目領域の記録素子に係る印画率が、つなぎ目領域以外の記録素子の印画率より小さくなるように設定されているため、ヘッドのつなぎ目起因の濃度ムラ(濃度バンディング)は抑制できるが、ヘッド毎に濃度調整するため、グラデーションが急であり、光沢バンディングが目立ってしまうおそれがあった。
【0095】
このような光沢バンディングを抑制するように、本発明の第1実施例では、ヘッドアレイにおいてヘッドを最小単位としてグラデーションパターンを割り当てるため、ヘッドアレイにおいて、副走査方向に複数のヘッドが配列されていることを前提としている。
【0096】
ここで、それぞれのヘッドアレイに複数のヘッドが設けられている例の一例を図10に示す。図10は、本発明の第1実施例が適用される、複数のヘッドが千鳥状にヘッドアレイに搭載される画像形成ユニット周辺の平面図である。
【0097】
図10に示すように、本実施例に係る画像形成ユニット300aは、シリアル型のヘッドアレイを備える。図5の左側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)、クリア(CL)、ホワイト(W)に対応する6つのヘッドアレイ300Ka、300Ca、300Ma、300Ya、300CLa及び300Waが配置されている。
【0098】
本実施形態に係るブラック(K)のヘッドアレイ300Kaは、記録媒体101の搬送方向Tと平行なノズル列方向Yに4つのヘッドH1、H2、H3及びH4を千鳥状に配置している。ヘッドH1、H2、H3、及びH4はそれぞれX方向に複数のノズル列NAを有している。
【0099】
それぞれのヘッドH1、H2、H3、及びH4では、記録媒体101上に液滴を吐出する複数のノズルがノズル列方向(副走査方向)に列をなしている。ヘッドH1、H2、H3、及びH4のそれぞれにおいて、ノズル列は、1つであっても、X方向に2列以上並列していてもよい。
【0100】
ヘッドアレイ300Kaでは、隣接するヘッドのノズル列の端部同士が、ノズル列方向Yでオーバーラップし、搬送方向Tで異なる位置にあるように配置されている。ノズル列方向Yは、搬送方向と同じ方向である。
【0101】
図10において、隣接するヘッドのノズル列の端部同士がノズル列方向Yでオーバーラップしている領域を、太線点線部Oa,Ob,Ocで示す。この領域をオーバーラップ部Oa、Ob、Ocとする。
【0102】
隣接するヘッドのノズル列の端部同士がノズル列方向Yでオーバーラップすることにより、画像形成ユニット300aは、記録媒体101のノズル列方向Yにおいて、ヘッド間で切れ目なく画像を形成することができる。なお、他のヘッドアレイ300Ca、300Ma、300Ya、300CLa及び300Waの構成は、ブラック(K)のヘッドアレイ300Kaの構成と同様のため、説明を省略する。
【0103】
なお、図10では、ヘッドアレイ300Kaにおいて、4つのヘッドH1~H4が設けられる例を示したが、ヘッドアレイに設けられるヘッドの個数、配置はこれに限られるものではなく、適宜変更することができる。なお、下記の第1実施例において、ドット調整を行うには、各ヘッドアレイにおいて、副走査方向(Y)に2つ以上のヘッドが設けられていることを前提としている。
【0104】
<第1実施例の制御>
(3ヘッドの場合のグラデーション割当てパターン例)
次に、副走査方向に複数のヘッドを有するヘッドアレイに対する割当てパターンの具体例について図11を用いて説明する。
【0105】
図11は、3つのヘッドを有するヘッドアレイに適用される、第1実施例に係る割当てパターンの群の一例を示す図である。なお、図10では、ヘッドアレイに4つのヘッドH1~H4が設けられる例を説明したが、図11では、各ヘッドアレイにおいて、3つのヘッドH1~H3が設けられている例を説明する。
【0106】
詳しくは、図11において、(a)は複数のヘッドアレイ300Kb,300Cbの構成を示す概念図であり、(b)は各ヘッドアレイ300Kb,300Cbに対してそれぞれ適用され得る、複数のグラデーションの割当てパターンの群を示す図である。ヘッドアレイ300Kb,300Cbはそれぞれ、第1のヘッドアレイ、第2のヘッドアレイの一例に相当する。
【0107】
図11(b)において、(1)は、ヘッドアレイ全域を、1つのグラデーション割当て領域として、グラデーションを割り当てる例を示している。なお、(1)の割当てパターンは第1のパターンに相当する。
【0108】
(2)は、ヘッドアレイ300Kb,300Cbを、ヘッドH1、H2、H3と同数(=3つ)となるように分割して、1つのヘッド毎に1つのグラデーション割当て領域として、均等の長さのグラデーションをそれぞれ割り当てる例を示している。なお、割当てパターン(2)、(3)、(4)は、第2のパターンに相当する。
【0109】
(3)、(4)は、ヘッドアレイを、ヘッド数よりも少なく(=2つ)となるように分割して、異なる数のヘッド単位でのそれぞれグラデーション割当て領域とし、1つのヘッドアレイに対して、異なる長さのグラデーションを割り当てる例を示している。即ち、(3)、(4)は、第1の数のヘッドを1単位としてグラデーションが設定される領域と、第1の数とは異なる第2の数のヘッドを1単位としてグラデーションが設定される領域とを含んでいる例である。
【0110】
詳しくは、(3)は2つのヘッドH1とH2を1単位として、1つのグラデーションを適用する割当て領域に設定し、ヘッドH3を1単位として、1つのグラデーション割当て領域に設定する例を示している。
【0111】
(4)は、1つのヘッドH1を1単位として1つのグラデーション割当て領域を設定し、ヘッドH2及びH3を1単位として、1つのグラデーション割当て領域を設定する例を示している。
【0112】
ここで、グラデーション割当てパターンとして、(1)のように、広い範囲に一つのグラデーションを掛けると、グラデーションが緩やかなために、光沢バンディングが目立ちにくいが、ヘッドのつなぎ目起因の濃度バンディングが目立つという特性がある。
【0113】
一方、(2)のようにヘッド毎にグラデーションをかけると、ヘッドのつなぎ目起因の濃度バンディングは防げるが、グラデーションが急なため、光沢バンディングが目立つという特性がある。
【0114】
また、(3)、(4)において、ヘッドと同じ大きさでグラデーションをかけている部分は、(2)ヘッド毎にグラデーションを掛ける場合と同様に、濃度バンディングを防ぎ、光沢バンディングが目立ち、2つのヘッドを1単位としてグラデーションをかけている部分は、全域でかける場合と同様に、光沢バンディングを防ぎ、濃度バンディングが目立つ。
【0115】
このように異なる特性を有するグラデーション割当てパターンの中から、ヘッドアレイ毎に、異なる分割単位を含むグラデーション割当てパターンのマスクを選択することで、色ごとに、濃度バンディングに対する対策と、光沢バンディングに対する対策を、組み合わせて両方対応することになる。そのため、形成される画像において、濃度バンディングと光沢バンディングと両方を抑制することができる。
【0116】
ここで、複数のヘッドアレイ300Kb,300Cbにおいて、グラデーション割当てマスクを選択する際、光沢バンディングを防ぐため、少なくとも1つの図11(b)に示す(1)のグラデーション割当てパターンを含んでいると好適である。
【0117】
<4ヘッドの場合のグラデーション割当てパターン例>
図12は、4つのヘッドを有するヘッドアレイにおいて、第1実施例に係る割当てパターンの群の一例を示す図である。
【0118】
詳しくは、図12において、(a)は複数のヘッドアレイ300Ka,300Caの構成を示す概念図であり、(b)は各ヘッドアレイ300Ka,300Caに対してそれぞれ適用され得る、複数のグラデーションの割当てパターンを示す図である。ヘッドアレイ300Ka,300Caはそれぞれ、第1のヘッドアレイ、第2のヘッドアレイの一例に相当する。
【0119】
図12(b)において、(1)は、ヘッドアレイ全域を、1つのグラデーション割当て領域として、グラデーションを割り当てる例を示している。なお、(1)の割当てパターンは第1のパターンに相当する。
【0120】
(2)は、ヘッドアレイを、ヘッドと同数(=4つ)となるように分割して、1つのヘッド毎に1つのグラデーション割当て領域として、均等の長さのグラデーションをそれぞれ割り当てる例を示している。なお、割当てパターン(2)、(3)、(4)、(5)は、第2のパターンに相当する。
【0121】
(3)は3つのヘッドH1、H2及びH3を1単位として、1つのグラデーションを適用する割当て領域に設定し、ヘッドH4を1単位として、1つのグラデーション割当て領域に設定する例を示している。
【0122】
(4)は、1つのヘッドH1を1単位として1つのグラデーション割当て領域を設定し、3つのヘッドH2、H3及びH4を1単位として、1つのグラデーション割当て領域を設定する例を示している。
【0123】
(5)は、2つのヘッドH1及びH2を1単位として1つのグラデーション割当て領域を設定し、2つのヘッドH3及びH4を1単位として、1つのグラデーション割当て領域を設定する例を示している。即ち、(5)では、複数のヘッド毎(2つのヘッド毎)に1つのグラデーションが均等に割り当てられたグラデーション割当てパターンが、設定されている。
【0124】
なお、図示はしていないが、他の例として、4つのヘッドを有するヘッドアレイにおいて、グラデーション領域を3つに分ける例として、1つ分のヘッドを1つの割当て領域とするグラデーション2つと、2つ分のヘッドで1つの割当て領域とするグラデーション1つを、を含むようなグラデーション割当てパターンを、3通り設定することもできる。
【0125】
よって、ヘッドアレイにヘッドが4つ含まれる構成において、設定可能なグラデーション割当てパターンの数は、8種類となる。
【0126】
図11図12とを比較して、1つのヘッドアレイにおいて副走査方向に設けられるヘッドの数が増えるほど、選択可能な、グラデーションの割り当ての選択数も増える。ヘッド単位でグラデーションを設定する場合、設定可能なグラデーション割当てパターンの種類の数をPとすると
「P=2n」で表され、nは、「ヘッドの数」に相当する。
【0127】
そのため、ヘッドアレイにおけるヘッドの数が2つの場合は2通りであり、3つの場合は図11に示す4通りとなり、4つの場合は図12に示すパターン+3通りの合計8通りとなり、5つの場合は16通り、6つの場合は32通り…となる。
【0128】
これらの適用可能なグラデーション割当てパターンの種類は、ヘッド数毎のグラデーション割当てパターンの群として、予め割当てパターン記憶部28Bに記憶しておくと好適である。
【0129】
割当てパターンの群の中から、使用するヘッドアレイの数に合わせて、P個の中から、少なくとも1つのヘッドは他のヘッドの異なるようにグラデーション割当てパターンを選択して、設定する。
【0130】
(第1実施例のフロー)
図13は、本発明の第1実施例に係るグラデーションマスクの設定手順を示すフローチャートである。
【0131】
ステップS11で、画像データと、印刷モードが入力される。
【0132】
ステップS12で、ヘッドアレイにおけるヘッドの数に応じて、予め設定された複数のグラデーション割当てパターンの群を読み出す。
【0133】
ステップS13は、S12で読み出したグラデーション割当てパターンの群の中から、ヘッドアレイ毎に異なるグラデーション割当てパターンを選択して設定する。グラデーション割当てパターンには、副走査方向において、ヘッドアレイ全域に対して、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるように1つのグラデーションを設定した第1のパターンと、任意の数のヘッド毎に、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるようにグラデーションを設定した第2のパターンとを含んでいる。
【0134】
そして、ステップS14で、印刷シーケンスを決定し、その印刷のための走査回数を設定する。なお、S14の印刷シーケンスの設定は、ステップS12、S13と並行して実行してもよい。
【0135】
ステップS15で、画像データに、選択したグラデーション割当てパターンに対応した、グラデーションマスク処理を実行して、駆動データ(駆動波形)としてデータ出力し、記録部(ヘッド駆動部)14に送る。
【0136】
このように、ヘッドアレイに対して異なるグラデーション割当てパターンを設定することで、ヘッドを最小単位とする異なる範囲長のグラデーションマスクを、ヘッドアレイ毎又はヘッドアレイのノズル列毎に適用させるため、形成される画像において、濃度バンディングと光沢バンディングと両方を抑制することができる。下記、割り当ての具体例について説明する。
【0137】
<割当て例1:異色のヘッドアレイ>
図14は、1つの画像領域に対して8回走査して画像を形成する場合に、第1実施例に係るグラデーション割当てパターンを、異なる色のヘッドアレイ毎に異なるパターンを適用する例を示す説明図である。
【0138】
図14では、マルチパスインターレースにおいて、それぞれの画像領域を、各パスに改行しながら走査させるため、ヘッドの走査域の副走査方向はパス数に合わせて画像データはブロックに分割され、複数回のパスが重なり合うように、補完し合って画像を形成する。
【0139】
ここで、1つの画像を形成するためのパスが重複する部分は、他の回の走査によって形成される画像同士が互いに補完し合うように、1つの画像を形成するための画像データを、複数の走査毎に割り振っている(打ち分けている)。
【0140】
例えば、1つのヘッドアレイに対応する画像領域1は1st~8th走査で割り振られて形成され、画像領域2は5th~16th走査で割り振られて形成され、画像領域3は13th~24th走査で割り振られて形成される。即ち、1つの画像領域は8回の走査で形成される。
【0141】
そのため、このようなマルチパスインターレースで形成する画像に対して、グラデーション割当てパターンを割り当てる場合は、画像データが入力されてすぐに、グラデーション割当てパターンを設定して、そのパターンに含まれるグラデーションマスクをそれぞれ適用させた後に、各画像領域に対する走査毎の画像データの割り振りを実施すると好適である。
【0142】
このように改行しながら走査させるマルチパスインターレースで画像を形成する場合に、グラデーション割当てパターンをヘッドアレイ毎に異なるように設定することで、変化範囲が異なるグラデーションを含むようになる。よって、画像データに急なグラデーションと緩やかなグラデーションが混在することになり、濃度バンディングと光沢バンディングとの両方を抑制することができる。
【0143】
<割当て例2:同色ヘッドアレイ>
図15は、1つの画像領域に対して8回走査して画像を形成する場合に、第1実施例に係るグラデーション割当てパターンを、同色のヘッドアレイ毎に、異なるパターンを適用する例を示す説明図である。
【0144】
上述の図14では、異なる色のヘッドアレイに対して異なるグラデーション割当てパターンを設定する例を説明したが、ヘッドユニットにおいて、同じ色のヘッドアレイ300K1、300K2が2つ以上設けられる場合、ヘッドアレイ全域に対して同じ色のヘッドアレイそれぞれに対して、ヘッドを最小分割単位とする、異なるグラデーション割当てパターンを設定してもよい。
【0145】
同じ色のヘッドアレイ300K1、300K2が2つ設けられる構成においても、奇数回で走査するか偶数回で走査するかに応じて、照射による硬化までの時間が異なるため、光沢バンディングが発生する可能性はあるが、図15のように、グラデーション割当てパターンをヘッドアレイ毎に異なるように設定することで、濃度バンディングと光沢バンディングとの両方を抑制することができる。
【0146】
上記では、ヘッドアレイとして、複数のヘッドは千鳥状に配置される列を説明したが、本発明の第1実施例を適用するヘッドアレイに設けられる複数のヘッドは、異なる形状であってもよい。
【0147】
(第1の変形例)
図16は、第1の変形例に係る、複数のヘッドが直線状に配置されたヘッドアレイに適用される、第1実施例の複数のグラデーション割当てパターンの群の一例を示す図である。
【0148】
詳しくは、図16において、(a)は複数のヘッドアレイ300Kd,300Cdの構成を示す概念図であり、(b)は各ヘッドアレイ300Kd,300Cdに対してそれぞれ適用され得る、複数のグラデーション割当てパターンの群の例を示す図である。ヘッドアレイ300Kd,300Cdはそれぞれ、第1のヘッドアレイ、第2のヘッドアレイの一例に相当する。
【0149】
図16(a)に示すヘッドアレイ300Kd,300Cdには、副走査方向において、3つ以上のヘッドHa,Hb,Hcが同一直線状に複数並ぶように、接触又は近接して配置されている。本構成では、オーバーラップしていない、隣接するヘッドの境界周辺をつなぎ目領域J1,J2とする。
【0150】
また、図16(b)で示すグラデーション割当てパターンは、図11(b)と同様である。
【0151】
本変形例においても、ヘッドを最小単位とする、異なる範囲長のグラデーションマスクを、ヘッドアレイ毎に適用させるため、色ごとに、濃度バンディングに対する対策と、光沢バンディングに対する対策を、組み合わせて両方対応することなる。そのため、形成される画像において、濃度バンディングと光沢バンディングと両方を抑制することができる。
【0152】
なお、図16では、第1の変形例において、異なる色のヘッドアレイに第1実施例に係る異なる範囲長のグラデーションマスクを適用する例を示したが、本構成においても、図15で示すように、同じ色の複数のヘッドアレイに対して、第1実施例に係る異なる範囲長のグラデーションマスクを適用してもよい。
【0153】
(第2の変形例)
図17は、第2の変形例に係る、複数のヘッドが階段状に配置されたヘッドアレイに適用される、第1実施例に係る複数のグラデーション割当てパターンの群の一例を示す図である。
【0154】
詳しくは、図17において、(a)は複数のヘッドアレイ300Ke,300Ceの構成を示す概念図であり、(b)は各ヘッドアレイ300Ke,300Ceに対してそれぞれ適用され得る、複数のグラデーション割当てパターンの群の例を示す図である。ヘッドアレイ300Ke,300Ceはそれぞれ、第1のヘッドアレイ、第2のヘッドアレイの一例に相当する。
【0155】
図17(a)に示すヘッドアレイ300Ke,300Ceには、3つ以上のヘッドHd,He,Hfが、階段状に複数並ぶように、即ち、ヘッドHd,He,Hfが、走査方向における位置が全て異なり、且つ走査方向で隣接するヘッドが副走査方向ではノズル列の端部でオーバーラップするように副走査方向に段階的にずれながら、配置されている。本構成では、隣接するヘッドの境界周辺がオーバーラップするつなぎ目領域をOd,Oeとする。
【0156】
また、図17(b)で示すグラデーション割当てパターンは、図11(b)と同様である。
【0157】
本変形例においても、ヘッドを最小単位とする異なる範囲長のグラデーションマスクを、ヘッドアレイ毎又はヘッドアレイのノズル列毎に適用させるため、色ごとに、濃度バンディングに対する対策と、光沢バンディングに対する対策を、組み合わせて両方対応することなる。そのため、形成される画像において、濃度バンディングと光沢バンディングと両方を抑制することができる。
【0158】
なお、図17では、第2の変形例において、異なる色のヘッドアレイに第1実施例に係る異なる範囲長のグラデーションマスクを適用する例を示したが、本構成においても、図15で示すように、同じ色の複数のヘッドアレイに対して、第1実施例に係る異なる範囲長のグラデーションマスクを適用してもよい。
【0159】
なお、上記図11図12図14図15では、各ヘッドにおいて走査方向(主走査方向)に1列のノズル列が設けられている例を説明したが、各ヘッドにおいて複数のノズル列が設けられている構成においても、同じ色の複数のヘッドアレイに対して、第1実施例に係る異なる範囲長のグラデーションマスクを適用してもよい。
【0160】
あるいは、各ヘッドにおいて複数のノズル列が設けられている構成においては、ヘッド内のノズル列毎に異なるグラデーションパターンの割り当てを適用することもできる。この例について、第2実施例として、下記、説明する。
【0161】
≪第2実施例≫
次に、図18図20を用いて、本発明の第2実施例における吐出調整について説明する。
【0162】
第2実施例では、ノズル列が、副走査方向に複数配置されているヘッドが設けられたヘッドアレイに対する、グラデーションパターンの割り当てについて説明する。なお、本制御は、ノズル列毎にパターンを割り当てるため、ヘッドユニット内において、ヘッドアレイは、副走査方向において1つであってもよいし、あるいは、第1実施例のように複数設けられていてもよい。
【0163】
図18は、複数のノズル列を有するヘッドが千鳥状に配置されたヘッドアレイに適用される、第2実施例に係る複数のグラデーション割当てパターンの群の一例を示す図である。
【0164】
詳しくは、図19において、(a)はヘッドアレイ300KC内の複数のノズル列NK,NCの構成を示す概念図であり、(b)はヘッドアレイ300KC内の各ノズルNK,NCに対してそれぞれ適用され得る、複数のグラデーション割当てパターンの群の例を示す図である。ノズル列NK,NCはそれぞれ、第1のノズル列、第2のノズル列の一例に相当する。
【0165】
第2実施例は、ヘッドアレイに含まれる第1のノズル列(ノズル列NK)に対して第1のパターンを用いて、第2のノズル列(ノズル列NC)に対して第2のパターンを用いて、画像データをマスク処理する点が、第1実施例とは異なる。
【0166】
なお、副走査方向において、ヘッドアレイ全域に対して、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるように1つのグラデーションを設定した第1のパターンと、任意の数のヘッド毎に、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるようにグラデーションを設定した第2のパターンを含んで設定する点は、第1実施例と共通である。
【0167】
第1実施例と同様に、(1)のヘッドアレイ全体のグラデーションパターンは、光沢バンディングは抑制効果が高く、濃度バンディングの抑制効果が低い。一方、(2)のヘッド毎にグラデーションパターン、つなぎ目起因の濃度バンディングの抑制効果が高く、光沢バンディングの抑制効果が低い。
【0168】
そこで、本制御では、一方のノズル列NKには、第1のパターン(グラデーション)を設定し、他方のノズル列CNには、第1のパターンとは異なる第2のパターン(グラデーションパターン)を、図18(1)~(4)から選択して割り当てて設定する。
【0169】
ここで、複数のノズル列において、グラデーション割当てパターン(マスク)を選択する際、光沢バンディングを防ぐため、少なくとも1つの図18(b)に示す(1)のグラデーション割当てパターンを含んでいると好適である。
【0170】
そのため、例えば、第1のパターンとして、図18(b)の(1)のグラデーションパターンを選択し、第2のパターンとして、図18(b)の、(2)、(3)、(4)のいずれかを選択して、ノズル列毎に設定すると好適である。
【0171】
第2実施例を実行する構成は、第1実施例を実行する図6の機能ブロック図と共通である。
【0172】
図19は、本発明の第2実施例に係る、制御フローチャートである。
【0173】
本実施例では、S23において、ヘッドアレイのノズル列毎に、異なるグラデーション割当てパターンを割り当てる。その他の点は第1実施例と共通である。
【0174】
図20は、1つの画像領域に対して8回走査して画像を形成する場合に、第2実施例のグラデーション割当てパターンを、異なる色のノズル列毎に異なるパターンを適用する例を示す説明図である。
【0175】
本実施例においても、マルチパスインターレースにおいて、それぞれの画像領域を、各パスに改行しながら走査させるため、ヘッドの走査域の副走査方向はパス数に合わせて画像データはブロックに分割され、複数回のパスが重なり合うように、補完し合って画像を形成する。
【0176】
そして、1つの画像を形成するためのパスが重複する部分は、他の回の走査によって形成される画像同士が互いに補完し合うように、1つの画像を形成するための画像データを、複数のノズル列毎に割り振っている(打ち分けている)。
【0177】
そこで、図20のように、グラデーションの領域を、副走査方向で異なるように設定することで、ノズル列毎に、グラデーションの範囲が異なるため、画像データに急なグラデーションと緩やかなグラデーションが混在することになり、濃度バンディングと光沢バンディングとの両方を解消することができる。
【0178】
なお、図20では、異なる色のノズル列毎に、異なるグラデーション割当てパターンを設定する例を説明したが、各ヘッドアレイにおいて、複数の同じ色を吐出するノズル列が形成されている場合、図15を参照して、ヘッドアレイにおける同色のノズル列毎に対して、第2実施例に係る異なる範囲長のグラデーションマスクを適用してもよい。
【0179】
また、図18図20で示す構成では、各ヘッド内で走査方向にノズル列が複数配置される構成として、第1実施例の図11に示す千鳥状の構成に対して複数のノズル列が設けられる例を説明したが、第2実施例が適用可能な、ヘッド内にノズル列が複数配置される構成として、図16に示すようにヘッドが副走査方向に同一直線状に配置されてもよく、あるいは、図17に示すように隣接するヘッドのノズル列端部が副走査方向で重なり合うように階段状に配置されてもよい。
【0180】
また、図18図20は、ヘッドアレイにおいて、オーバーラップ部を除いて、走査方向において1つのヘッドを有する構成について説明したが、複数のノズル列を有するヘッドが、オーバーラップ部以外も、走査方向において複数配列される、ヘッドアレイに対しても、ノズル列毎にグラデーションパターンを割り当てる制御を適用してもよい。例えば、2列のノズル列を有するヘッドが、オーバーラップ部以外でも走査方向に2列設けられている場合、2列のノズル及び2つのヘッドの4列のノズル列に対して、最大4種類のグラデーションパターンを別々に設定することができる。なお、副走査方向に複数のヘッドを有するヘッドアレイを含むヘッドユニット内の、4列のノズル列のうち、少なくとも1つのノズル列が異なるグラデーションパターンが適用されていれば、本発明の第2実施例が適用されているものとする。
【0181】
上記の第1実施例及び第2実施例では、1つのヘッドアレイにおいて副走査方向に複数のヘッドが設けられている構成に対して、異なるヘッドアレイに又は異なるノズル列に対してグラデーション割当てパターンをそれぞれ割り当てる制御を説明したが、1つのヘッドアレイにおいて副走査方向に1つのヘッドが設けられている構成であっても、本発明のグラデーションの割り当て制御を適用することができる。その例を第3実施例として下記説明する。
【0182】
≪第3実施例≫
図21は、本発明の第3実施例に係る画像形成装置の画像処理に係る制御部の機能ブロック図である。
【0183】
本実施例が適用されるヘッドアレイは、図3に示すように副走査方向において1つのヘッドアレイには1つのヘッドが設けられる。本実施例では、単一のヘッドが設けられる複数のヘッドアレイの構成に対して、グラデーションを割り当てるために、1つのヘッド内で領域を分割する必要がある。
【0184】
そのため、本実施例を実現する、画像形成装置30αの記録制御部28αでは、ヘッド分割数設定部28Eと、分割数毎割当てパターン記憶部28Fとを有している。
【0185】
詳しくは、分割数毎割当てパターン記憶部28Fは、分割数毎の割り当てパターンを記憶する。例えば、図22に示すようにヘッドを3つに分割する場合は割り当てパターンの種類は4通り、分割数4の場合は8通り、分割数5の場合は16通り、分割数6の場合は32通り…となる。
【0186】
本実施例のグラデーション割当設定部28Cαは、副走査方向のヘッドアレイ全域に対して、分割領域を最小分割単位として、異なるグラデーション割当てパターンを設定する。
【0187】
本実施形態における、ヘッドアレイに対応付けられたヘッド毎のグラデーション割当てパターンには、少なくとも、ヘッドアレイ全域を1つのグラデーション割当て領域としてグラデーションを割り当てるパターン(図22(b)の(1))を含んでおり、ヘッドアレイにおける1つの分割領域を最小分割単位とする割当てパターン(図22(b)の(2))と、を含んでいてもよい。
【0188】
画像用駆動波形生成部28Dαは、グラデーション割当てパターンに含まれる複数のグラデーションマスクを適用してさせた(マスク処理した)、画像データを基に、ヘッド毎の駆動データを生成する。
【0189】
記録部14(ヘッド駆動部)は、画像用駆動波形生成部28Dαで生成された、駆動データを基に、ヘッドHgを駆動して、複数のノズルNから液体を吐出させる。
【0190】
図22は、1つのヘッドが配置された1つのヘッドアレイに適用される、本発明の第3実施例のグラデーション割当てパターンの群の一例を示す図である。
【0191】
詳しくは、図22において、(a)は複数のヘッドアレイ300K,300Cの構成を示す概念図であり、(b)は各ヘッドアレイ300K,300Cに対してそれぞれ適用され得る、複数のグラデーション割当てパターンの群の例を示す図である。ヘッドアレイ300Kf,300Cはそれぞれ、第1のヘッドアレイ、第2のヘッドアレイの一例に相当する。
【0192】
第3実施例では、グラデーション割当設定部28Cαは、副走査方向において、ヘッドアレイ全域に対して、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるように1つのグラデーションを設定した第1のパターンと、ヘッドアレイを分割した、任意の数の分割数毎に、中央の印画率が大きく両端部の印画率が小さくなるようにグラデーションを設定した第2のパターンを含んで設定する点が、第1実施例とは異なる。
【0193】
また、複数のヘッドアレイに含まれる第1のヘッドアレイ(例えば300K)に対して第1のパターンを用いて、第2のヘッドアレイ(例えば300C)に対して第2のパターンを用いて、画像データをマスク処理する点は、第1実施例とは共通である。
【0194】
図22(b)において、(1)のヘッドアレイ全体のグラデーションパターンは、光沢バンディングは抑制効果が高く、濃度バンディングの抑制効果が低い。一方、(2)の小さな分割単位毎にグラデーションパターンは、つなぎ目起因の濃度バンディングの抑制効果が高く、光沢バンディングの抑制効果が低い。
【0195】
そこで、本制御では、一方のヘッド(ヘッドアレイ)には、第1のパターン(グラデーションパターン)を設定し、他方のヘッド(ヘッドアレイ)には、第1のパターンとは異なる第2のパターン(グラデーションパターン)を、図22(b)の(1)~(4)から選択して割り当てて設定する。
【0196】
ここで、光沢バンディングを防ぐため、少なくともマスクの一方は、図22(b)に示す(1)のグラデーション割当てパターンを含んでいると好適である。そのため、例えば、第1のパターンとして、図22(b)の(1)のグラデーションパターンを選択し、第2のパターンとして、図22(b)の、(2)、(3)、(4)のいずれかを選択して、ノズル列毎に設定すると好適である。
【0197】
図23は、本発明の第3実施例に係る、制御フローチャートである。
【0198】
本制御では、ヘッドを分割して領域を設定するため、印刷モードを入力した後、S32でヘッドの副走査方向を複数の分割領域に分割する。
【0199】
そして、S33で、分割の数に応じて予め設定されたグラデーション割り当てパターンの群を読み出す。第1実施例では、図11図12に示すようにヘッドアレイ内における副走査方向のヘッドの数で使用する割り当てパターンの群が決められたが、本実施例では、1つのヘッド(ヘッドアレイ)を副走査方向に何分割するかにより、使用する割当てパターンの群が決定される。
【0200】
そして、以降は第1実施例と同様の工程で、S34でヘッドアレイ毎に異なるグラデーションパターンを割り当て、S35で印刷シーケンスを設定し、S36でグラデーション割り当てパターンのグラデーションマスク処理を反映して、駆動データを作成する。
【0201】
このように、マルチパスインターレースで形成する画像に対して、グラデーション割当てパターンを割り当てる場合は、画像データが入力されてすぐに、グラデーション割当てパターンを設定して、そのパターンに含まれるグラデーションマスクをそれぞれ適用させた後に、各分割領域に対する走査毎の画像データの割り振りを実施すると好適である。
【0202】
図24は、1つの画像領域に対して8回走査して画像を形成する場合に、第3実施例のグラデーション割当てパターンを、異なる色のヘッドアレイ毎に異なるパターンを適用する例を示す説明図である。
【0203】
本実施例においても、マルチパスインターレースにおいて、それぞれの画像領域を、各パスに改行しながら走査させるため、ヘッドの走査域の副走査方向はパス数に合わせて画像データはブロックに分割され、複数回のパスが重なり合うように、補完し合って画像を形成する。
【0204】
そのため、1つの画像を形成するためのパスが重複する部分は、他の回の走査によって形成される画像同士が互いに補完し合うように、1つの画像を形成するための画像データを、ヘッドアレイ毎に割り振っている(打ち分けている)。
【0205】
そこで、図24のように、グラデーションの領域を、副走査方向で異なるように設定することで、ヘッドアレイ毎に、グラデーションの範囲が異なるため、画像データに急なグラデーションと緩やかなグラデーションが混在することになり、ベタ塗りの特にブラックで発生しやすい、濃度バンディングと光沢バンディングとの両方を解消することができる。
【0206】
なお、図24では、異なる色のヘッドアレイ300K、300Cに対して、異なるグラデーション割当てパターンを設定する例を説明したが、各ヘッドアレイにおいて、複数の同じ色を吐出するヘッドアレイが設けられている構成においても、同色のヘッドアレイに対して、ヘッドを分割して設定する第3実施例に係る異なる範囲長のグラデーションマスクを適用してもよい。
【0207】
≪第4実施例≫
図25は、1つのヘッドが配置された1つのヘッドアレイに適用される、本発明の第4実施例のグラデーション割当てパターンの群の一例を示す図である。
【0208】
詳しくは、図25において、(a)はヘッドアレイ300KC1に設けられるヘッドHhの複数のノズル列NK1、NC1の構成を示す概念図であり、(b)は各ヘッドアレイ300KC1のヘッドHhの複数のノズル列NK1,NC1に対してそれぞれ適用され得る、複数のグラデーション割当てパターンの群の例を示す図である。ノズル列NK1,NC1はそれぞれ、第1のノズル列、第2のノズル列の一例に相当する。
【0209】
図25(b)において、(1)のヘッドアレイ全体のグラデーションパターンは、光沢バンディングの抑制効果が高く、濃度バンディングの抑制効果が低い。一方、(2)の小さな分割単位毎にグラデーションパターンは、つなぎ目起因の濃度バンディングの抑制効果が高く、光沢バンディングの抑制効果が低い。
【0210】
そこで、本制御では、一方のノズル列には、第1のパターン(グラデーション)を設定し、他方のノズル列には、第1のパターンとは異なる第2のパターン(グラデーションパターン)パターンを、図25(b)の(1)~(4)から選択して割り当てて設定する。
【0211】
ここで、光沢バンディングを防ぐため、少なくとも1つの図25(b)に示す(1)のグラデーション割当てパターンを含んでいると好適である。そのため、例えば、第1のパターンとして、図25(b)の(1)のグラデーションパターンを選択し、第2のパターンとして、図25(b)の、(2)、(3)、(4)のいずれかを選択して、ノズル列毎に設定すると好適である。
【0212】
第4実施例を実行する構成は、第3実施例を実行する図21の機能ブロック図と共通である。
【0213】
図26は、本発明の第4実施例に係る、制御フローチャートである。本制御は、第3実施例とほぼ等しいが、S44において、ノズル列毎にグラデーションパターンを割り当てる点が異なる。
【0214】
図27は、1つの画像領域に対して8回走査して画像を形成する場合に、第4実施例のグラデーション割当てパターンを、異なる色のノズル列毎に異なるパターンを適用する例を示す説明図である。
【0215】
本実施例においても、マルチパスインターレースにおいて、それぞれの画像領域を、各パスに改行しながら走査させるため、ヘッドの走査域の副走査方向はパス数に合わせて画像データはブロックに分割され、複数回のパスが重なり合うように、補完し合って画像を形成する。
【0216】
そのため、1つの画像を形成するためのパスが重複する部分は、他の回の走査によって形成される画像同士が互いに補完し合うように、1つの画像を形成するための画像データを、ノズル列毎に割り振っている(打ち分けている)。
【0217】
そこで、図27のように、グラデーションの領域を、副走査方向で異なるように設定することで、ノズル列毎にグラデーションの範囲が異なるため、画像データに急なグラデーションと緩やかなグラデーションが混在することになり、ベタ塗りの特にブラックで発生しやすい、濃度バンディングと光沢バンディングとの両方を解消することができる。
【0218】
なお、図27では、異なる色のノズル列毎に、異なるグラデーション割当てパターンを設定する例を説明したが、各ヘッドアレイにおいて、複数の同じ色を吐出するノズル列が形成されている場合、ヘッドアレイにおける同色のヘッドアレイ毎に、ヘッドアレイ全域に対して分割領域を最小分割単位とする異なるグラデーション割当てパターンを設定してもよい。
【0219】
また、図25図27は、ヘッドアレイにおいて、走査方向において1つのヘッドを有する構成について説明したが、複数のノズル列を有するヘッドが、走査方向において複数配列される、ヘッドアレイに対しても、ノズル列にグラデーションパターンを割り当てる制御を適用してもよい。例えば、2列のノズル列を有するヘッドが、走査方向に2列設けられている場合、2列、2つのヘッド群の4列のノズル列に対して、最大4種類のグラデーションパターンを別々に設定することができる。なお、副走査方向に1つのヘッドを有するヘッドアレイを含むヘッドユニット内の、4列のノズル列のうち、少なくとも1つのノズル列が異なるグラデーションパターンが適用されていれば、本発明の第4実施例が適用されているものとする。
【0220】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0221】
14 記録部(ヘッド駆動部)
28A 印刷シーケンス設定部
28B 割当てパターン記憶部
28C,28Cα グラデーション割当設定部
28D 画像用駆動波形生成部(マスク処理部)
28E ヘッド分割数設定部
28F 分割数毎割当てパターン記憶部
101 記録媒体
200 キャリッジ
300,300a 画像形成ユニット(ヘッドユニット)
300K,300C,300M,300Y,300CL,300W ヘッド(ヘッド部、第1のヘッド部、第2のヘッド部)
300Ka,300Ca,300Ma,300Ya,300CLa,300Wa ヘッドアレイ(第1のヘッドアレイ、第2のヘッドアレイ)
300Kb,300Cb,300Mb,300Yb,300CLb,300Wb ヘッドアレイ(第1のヘッドアレイ、第2のヘッドアレイ)
400 照射ユニット
H1,H2,H3,H4 複数のヘッド(ヘッド)
Ha,Hb,Hc 複数のヘッド(ヘッド)
X 第2の方向(走査方向)
Y 第1の方向(副走査方向、ノズル列方向)
N ノズル列
【先行技術文献】
【特許文献】
【0222】
【文献】国際公開2016/8152208号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27