(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】給紙装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
B65H7/14
(21)【出願番号】P 2020007309
(22)【出願日】2020-01-21
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】岡田 克巳
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-179308(JP,A)
【文献】特開2016-069184(JP,A)
【文献】特開2018-150106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の用紙が巻かれたロール紙から前記用紙を供給する給紙装置であって、
センサとコロ部とを配置し、前記センサと前記コロ部とが前記ロール紙の表面に当接するように支持する支持部材を備え、
前記センサと前記コロ部とは、前記ロール紙の軸中心に向かって配置され、
前記コロ部は、前記ロール紙の円周方向において前記センサと異なる位置に配置され
るとともに、前記ロール紙の幅方向に並んで配置された二以上のコロで構成され、
前記センサは、前記ロール紙の先端の段差を検知可能
であるとともに、前記二以上のコロの間に配置されることを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記先端を検知する動作において、前記センサは、前記コロ部より前記ロール紙の回転方向の下流側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記センサは、エンコーダセンサで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記ロール紙から剥離した前記用紙をガイドするガイド板とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記用紙の搬送方向をガイドする入口ガイド板をさらに備え、
前記支持部材は、前記入口ガイド板より、給紙動作において前記ロール紙の回転方向の上流に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記センサのアクチュエータは、給紙時に前記ロール紙が回転するときに、前記アクチュエータと前記ロール紙との接触による力が前記アクチュエータに生じた場合に、負荷が減少する方向に移動することを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載の給紙装置。
【請求項7】
前記アクチュエータの先端は、回転部材で構成されていることを特徴とする請求項
6に記載の給紙装置。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の給紙装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙を用いる画像形成装置では、ユーザーがロール紙の用紙先端を給紙部へ手で挿入した後、装置が先端を検知後に給紙動作を行う給紙機構が既に知られている。
今までの給紙では、ロール紙の用紙先端を人手で挿入する手間がかかり、挿入の仕方によって斜めに挿入され、スキューの原因になってサービスコールにつながってしまうという問題があった。
また、例えば、特許文献1には、ロール紙を巻き取る方向に回転させて用紙を剥離させ、剥離した用紙の先端を、センサ(用紙までの距離に応じて出力値が変化するセンサ)を用いて検知する技術が開示されている。しかし、用紙の厚みやコシ、カール状況によって剥離状況が変化するため、センサの出力が不安定となるという問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ロール紙の用紙の先端を安定して検知して給紙部へ搬送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、長尺の用紙が巻かれたロール紙から前記用紙を供給する給紙装置であって、
センサとコロ部とを配置し、前記センサと前記コロ部とが前記ロール紙の表面に当接するように支持する支持部材を備え、
前記センサと前記コロ部とは、前記ロール紙の軸中心に向かって配置され、
前記コロ部は、前記ロール紙の円周方向において前記センサと異なる位置に配置されるとともに、前記ロール紙の幅方向に並んで配置された二以上のコロで構成され、
前記センサは、前記ロール紙の先端の段差を検知可能であるとともに、前記二以上のコロの間に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ロール紙の用紙の先端を安定して検知して給紙部へ搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る画像形成装置の概略構成例を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す断面概略図である。
【
図3】従来のロール紙のセット方法を説明する図である。
【
図4】一実施形態の給紙装置の構成例の要部を説明する側面図である。
【
図5】一実施形態の給紙装置の機能例を説明する機能ブロック図である。
【
図6】一実施形態の給紙装置において、ロール紙をセットする動作例を説明するフローチャートである。
【
図7】一実施形態のアームの構成例を説明する図である。
【
図8】ロール紙の先端を検知する動作例を説明する図である。
【
図9】コロとセンサとの位置関係による違いを説明する図である。
【
図10】センサが検知する信号波形の一例を示す図である。
【
図11】ロール紙表面に凹キズがある場合を説明する図である。
【
図12】センサのアクチュエータがロール紙表面へ接触したときの摩擦負荷を説明する図である。
【
図13】アクチュエータのロール紙と接する先端部に回転するコロを設けた例を説明する図である。
【
図14】用紙搬送の入口ガイド板近傍にセンサとコロとを配置した例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る給紙装置および画像形成装置について、図面を参照して説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想定することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。また、各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
一実施形態の給紙装置は、ロール紙から用紙を供給する。ロール紙は、長尺の用紙(「シート」とも称する)をロール状に巻き付けた記録媒体とする。
【0008】
図1、2を参照して、本発明の一実施形態に係る給紙装置を適用する画像形成装置の構成例について説明する。
本発明の実施形態の一態様である画像形成装置は、画像データに対応してインク滴を吐出することで記録媒体に印字を行うインクジェットプリンタであるが、本発明は記録媒体を搬送して印刷を行う電子写真方式等の複写機や印刷機等に適用することも可能である。
【0009】
図1に一実施形態に係る画像形成装置80の概略構成例の斜視図、
図2に該画像形成装置の側面断面図を示し、一実施形態に係る画像形成装置の全体構成と共に要部の動作を説明する。
図1の矢印は、Xが画像形成装置80の奥行き方向(前後方向)、Yが画像形成装置80の幅方向(主走査方向)、Zが上下方向を示している。
【0010】
図1において、画像形成装置80は、シリアル型の液体吐出方式(インク吐出方式)の画像形成装置であり、本体筐体81が、本体フレーム82上に配設されている。画像形成装置80は、本体筐体81内に、
図1に両矢印Yで示す主走査方向に主ガイドロッド64と副ガイドロッド65が張り渡されている。主ガイドロッド64は、キャリッジ66を移動可能に支持しており、キャリッジ66には、副ガイドロッド65に係合してキャリッジ66の姿勢を安定化させる連結片66aが設けられている。
【0011】
画像形成装置80は、主ガイドロッド64に沿って無端ベルト状のタイミングベルト67が配設されており、タイミングベルト67は、駆動プーリ68と従動プーリ69との間に張り渡されている。駆動プーリ68は、主走査モータ70によって回転駆動され、従動プーリ69は、タイミングベルト67に対して所定の張りを与える状態で配設されている。駆動プーリ68は、主走査モータ70によって回転駆動されることで、その回転方向に応じて、タイミングベルト67を主走査方向に回転移動させる。
【0012】
キャリッジ66はタイミングベルト67に連結されており、タイミングベルト67が駆動プーリ68によって主走査方向に回転移動されることで、キャリッジ66が主ガイドロッド64に沿って主走査方向に往復移動する。
【0013】
画像形成装置80は、本体筐体81内の主走査方向端部位置に、カートリッジ部71と維持機構部72が着脱自在に収納されている。カートリッジ部71は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクをそれぞれ収納するカートリッジ73が、交換可能に収納されている。カートリッジ部71の各カートリッジは、キャリッジ66が搭載する記録ヘッド(図示略)の対応する色の記録ヘッドと、図示しないパイプで連結されており、パイプを通してカートリッジ部71から各色の記録ヘッドに対してインクを供給する。
【0014】
画像形成装置80は、キャリッジ66を主走査方向に移動させながら、プラテン(板)74(
図2参照)上を、主走査方向と直交する副走査方向(
図1の矢印X方向)に間欠的に搬送される用紙Pにインクを吐出することで、用紙Pに画像を記録する。
【0015】
用紙Pとしては、紙製に限られず、ロール状フィルム等の種々の種類のものを用いることができるが、以下の説明では、説明を明確にするために、搬送中の用紙を用紙P、用紙Pが巻き付いたロール状態をロール紙Pr(Pa,Pb)、ロール紙Prの芯管(芯部)をPsとして説明する。
【0016】
画像形成装置80は、
図2に示すように、プラテン74の下部にファンを配設されたチャンバー75が設けられており、ファンを駆動させることで、プラテン74上を搬送される用紙Pをプラテン74に密接させながら搬送させる。
【0017】
画像形成装置80は、用紙Pを副走査方向に間欠的に搬送し、用紙Pの副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ66を主走査方向に移動させながら、キャリッジ66に搭載された記録ヘッドのノズル列からプラテン74上の用紙P上にインクを吐出して、ロール状用紙Pに画像を形成(記録)する。
【0018】
維持機構部72は、記録ヘッドの吐出面の清掃、キャッピング、不要なインクの吐出等を行って、記録ヘッドからの不要なインクの排出や記録ヘッドの信頼性の維持を図っている。
【0019】
画像形成装置80は、タイミングベルト67及び主ガイドロッド64に平行に、少なくともキャリッジ66の移動範囲に亘ってエンコーダシート(図示略)が配設されている。キャリッジ66には、エンコーダシートを読み取るエンコーダセンサが取り付けられている。画像形成装置80は、エンコーダセンサによるエンコーダシートの読み取り結果に基づいて主走査モータ70の駆動を制御することで、キャリッジ66の主走査方向の移動を制御する。
【0020】
また、キャリッジ66に搭載された反射型センサ(エンコーダセンサ、用紙先端検知センサ)により、画像形成部60に搬送された用紙Pの両端部を検知し、その際、用紙先端検知センサによって読み取られた主走査方向位置から用紙Pのサイズを検出する。
【0021】
画像形成装置80は、本体筐体81を支持する本体フレーム82に、
図1及び
図2に示すように、
図1及び
図2の上下方向に2つのスプール軸受台5a,5bが設けられている。
【0022】
スプール軸受台5a,5bにセットされているロール紙Prの先端から引き出された用紙(ロール状用紙)Pは、
図2に矢印で示すように、搬送ローラ対6a,6b、レジストローラ10、レジスト加圧ローラ17によって、搬送路9内で搬送される。
制御部100は、駆動装置7を制御して、搬送ローラ対6a,6b、レジストローラ10、レジスト加圧ローラ17等を回転させる。
ロール紙Pr(Pa,Pb)の下には、ロール紙Prの落下を防ぐロール紙受け台8a,8bが設けられている。
【0023】
用紙Pは、媒体搬送ガイド部材18a,18b等によってサポートされる搬送路9を通過して、画像形成部60におけるプラテン74上に搬送される。なお、両面に画像を形成する場合は反転部19で反転される。
【0024】
画像形成部60では、液体記録ヘッドが各色の液滴を画像データに対応して用紙P上に吐出することで画像が形成される。画像が形成された用紙Pの順搬送方向排出部には、連続紙からなる用紙Pを所定の長さに切断するのに用いられる、副走査方向(用紙幅方向)に延在するカッター76が設けられている。
【0025】
搬送された連続紙である用紙Pの先端を揃えるため、カッター76は、複数のプーリ(そのうちの1つのプーリは駆動モータに連結されている)間に掛け渡されたワイヤやタイミングベルトに固定され、駆動モータにより主走査方向Yに移動することで用紙Pを所定の長さに切断する。切断された用紙Pは、排出部に排出される。
なお、
図1、2では、二つのスプール軸受台5a,5bにロール紙Pa、Pbをセット可能な画像形成装置の構成例を示したが、スプール軸受台を一つ備える画像形成装置であってもよい。
また、前述の説明では、二つのロール紙Pa、Pbに対応する構成を識別子a、bを用いて記載したが(例えば、スプール軸受台5a,5b)、以降、区別しないときには識別子a、bを記載しない。
【0026】
ここで、従来のロール紙のセット方法を説明する。
図3は、従来のロール紙のセット方法を説明する図である。
ロール紙Prは、幅方向端部にフランジ(フランジ部材)が設けられ、スプールがセットされる。ユーザーは、スプールがセットされたロール紙を装置の給紙部受け部(スプール軸受台)にセットし(
図3(A))、ロール紙の用紙先端を探し、先端を維持しながら、
図3(B)の様に両手で押さえ、用紙の先端が手前に来るようにロール紙を回転させる。次に、ユーザーは、用紙先端をロール紙の奥にあるガイド板の間に位置させてロール紙を回転させながら挿入する(
図3(C))。ガイド板は、用紙が見えるように透明材で出来ており、上下2枚で構成されている。ユーザーが下側のガイドの上部に紙の先端が来るようにロール紙を奥に回転させ、紙をガイドの奥に挿入すると、用紙は、内部で固定され、装置内部に引き込まれるようになっている。
【0027】
図3(C)で示した様に用紙先端を挿入するガイド板はロール紙の奥にある為、ロール紙に隠れてしまい見えづらく、ガイド板も透明な為2枚のガイド板間に挿入したつもりが上のガイド板の上側に位置してしまって、やり直す場合が生じる。また、ガイド板を透明ではなくした場合には、2枚のガイド板間に挿入できたのかの確認がわかりづらくなってしまう。
加えて、ロール紙の用紙先端を出来るだけ均等に挿入する必要があり、気を遣う作業となっている。さらに、用紙先端が均等に挿入されなかった場合には、斜めに給紙されスキューの原因となってしまい、操作のやり直しやジャムの発生につながってしまう。
【0028】
また、
図3(D)、(E)で示すように、ロール紙セット部が二段で構成された装置において、上段にロール紙がセットされている場合に下段にロール紙をセットし、先端をガイド板間に挿入する場合には上段のロール紙が既にある為に更にガイド板が見えづらくセットの困難や斜め挿入の恐れが大きくなってしまう。
【0029】
そこで、一実施形態の給紙装置は、ロール紙の用紙先端を検知する構成において、ロール紙の用紙先端の段差をセンサによって検知することで先端を検知し、給紙部まで搬送する。供給部は、ロール紙の用紙を供給先へ供給する手段であり、例えば、
図2の搬送ローラ対6、または、搬送路9とする。
【0030】
図4は、一実施形態の給紙装置の構成例の要部を説明する側面図である。
給紙装置90は、アーム91と、コロ92と、センサ93と、搬送部としての搬送ローラ対6とを少なくとも備える。給紙装置90は、入口ガイド板95をさらに備えるとよい。
図4では、ユーザーがロール紙Prを給紙装置90にセットしたときのロール紙Prの位置を破線で示している。ロール紙Prは図示していないモジュール構成部品にロール紙中心(軸)を基準として回転可能に保持されている。
【0031】
ロール紙Prの支持部材としてのアーム(ガイド板)91は、回動中心911で回動可能に構成される。アーム91は、回動中心911の一方に、バネ等によりロール紙方向に押圧されている。これにより、アーム91は、ロール紙径が変わってもロール紙外径と接することになる。白抜きの矢印は、アーム91の回動方向を示す。
また、アーム91は、回動中心911の他方に、コロ92とセンサ93とを有する。アーム91は、ロール紙方向に押圧されるため、コロ92とセンサ93とをロール紙Prの表面に当接するように支持する。
【0032】
アーム91は、ロール紙Prの用紙の搬送方向をガイドするガイド板として働く。アーム91は、ロール紙Prがセットされる部分(端部側)をロール紙の外径に沿った形状(例えば、円弧状)にして、ユーザーがロール紙Prをセットしたときにロール紙Prが保持されるように(落下等しないように)するとよい。また、アーム91は、
図2のロール紙受け台8としても機能する。
支持部材としてのアーム91は、ロール紙をガイドするガイド板を兼ねることにより、部品点数を減らすことができ、コストを抑えることが可能である。
【0033】
コロ92およびセンサ93は、ロール紙径に依らず略ロール紙中心に向くように(ロール紙の軸中心に対向するように)配置されている。
コロ92は、ロール紙Prの円周方向においてセンサ93と異なる位置に配置され、コロ92とセンサ93とは円周方向に互いにオフセットされた配置とする。
センサ93は、ロール紙Prの先端の段差(紙厚)を検知可能な検知精度を有する。
【0034】
入口ガイド板95は、ロール紙Prから剥離した用紙の搬送方向をガイドする。
図4の構成例では、給紙動作時(ロール紙Prの正転回動時)において、ガイド板として働くアーム91は、用紙の搬送方向の上流側で用紙をガイドし、入口ガイド板95は、下流側でガイドする。
【0035】
次に、給紙装置の機能の制御について説明する。
図5は、一実施形態の給紙装置の機能例を説明する機能ブロック図である。
制御部110は、給紙装置全体の制御を行う。
図5では、制御部110が、センサ93と、モータ駆動回路部120、140とを制御する機能ブロック例を示し、他の機能ブロックを省略している。制御部110の機能は、画像形成装置全体の制御を行う制御部100(
図2参照)が実行するように構成してもよい。
【0036】
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。
CPUは、各種のプログラムを実行し、演算処理や、制御プログラムに基づいて画像処理装置の全体を制御する。
RAMは、情報を高速で読み書きするための揮発性の記憶媒体であり、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する。
ROMは、各種プログラムや制御プログラムが記憶されている読み出し専用の不揮発性の記憶媒体である。
【0037】
モータ駆動回路部120は、制御部110の制御によりモータを駆動させ、ロール紙駆動部130を駆動させる。
ロール紙駆動部130は、ロール紙を正転方向または逆転方向に回転させる。ロール紙駆動部130は、例えば、ロール紙回転モータを用いる。
モータ駆動回路部140は、制御部110の制御によりモータを駆動させ、搬送駆動部150を駆動させる。
搬送駆動部150は、搬送部160を駆動する。
搬送部160は、用紙を搬送する搬送手段であり、例えば、搬送ローラ対6とする。
【0038】
次に、ロール紙Prをセットする動作例を説明する。
図6は、一実施形態の給紙装置において、ロール紙をセットする動作例を説明するフローチャートである。
制御部110は、ロール紙Prが給紙装置(例えば、センサ93の検知結果により検出する)にセットされたことを検出すると(S11)、モータ駆動回路部120を制御し、ロール紙駆動部130にロール紙Prを逆転させるように制御する。ロール紙回転モータ(ロール紙駆動部130)は、ロール紙Prを、逆転動作で巻き取る方向に回転させ(S12)、センサ93は、先端検知動作を行う(S13)。センサ93により先端が検知されると、制御部110の制御により、モータ駆動回路部120は、用紙先端停止位置でロール紙回転モータを停止させ(S14)、正転動作によってロール紙の用紙先端を搬送方向に送る(S15)。モータ駆動回路部140は、搬送部160を回転させ、用紙先端を装置内部へ搬送させる(S16)。
【0039】
次に、支持部材としてのアームの構成例と、先端検知動作例とを説明する。
図7は、一実施形態のアームの構成例を説明する図であり、(A)にアーム91の一例を説明する斜視図、(B)にセンサ93の外観を示す概略図、(C)にセンサ93を構成するアクチュエータと側板との一例を説明する側面図を示す。
アーム91は、センサ93がロール紙の先端を検知する動作(逆転回動)において、コロ92が用紙搬送方向の上流側、センサ93が下流側となるように配置する。
【0040】
センサ93は、例えば、アクチュエータ931にスリット932が設けられたエンコーダセンサを用いる。アクチュエータ931は、センサの筐体を構成する二つの側板933の間に配置され、側板933の軸受に軸934がはめ込まれ、軸934を中心に回動する。アクチュエータ931は、例えば、
図7(C)に示すような、軸934を中心として非対称の形状を有する。
センサ93は、発光部と受光部とを有し(図示せず)、アクチュエータ931のスリット932を発光部から受光部へ光が通る数をカウントすることにより(信号波形の数をカウントすることにより)、ロール紙Prの先端を検知する。
【0041】
図7の構成例では、コロ92を二つ設け、二つのコロ92間にセンサ93を配置している。コロ92間にセンサ93を配置することにより、ロール紙先端の浮きを確実に押させることが可能となり、用紙の厚みやコシ、カール状況によってセンサ93の出力が不安定となることはなく、確実に先端を検知できる。また、コロ92とセンサ93とを円周方向でずれて配置しているので、部分的なキズ等があっても、コロとセンサとの両方にかかる割合は少なくなり、誤検知しにくい構成となる。
以降の説明では、二以上のコロ92をコロ部とも称する。
【0042】
図8は、ロール紙の先端を検知する動作例を説明する図である。また、
図9は、コロとセンサとの位置関係による違いを説明する図である。
図8では、ロール紙Prの先端がコロ92とセンサ93とを通過する経過を示し、(A)に先端がコロ92を通過する前の状態、(B)に先端がコロ92を通過しセンサ93を通過する前の状態、(C)に先端がセンサ93を通過した状態を示す。
図9では、先端検知動作において、(A)にコロ92がセンサ93より下流側の場合、(B)にコロ92がセンサ93より上流側の場合であり、たるみの発生状況の違いを示している。
【0043】
センサ93とコロ92とは近傍にオフセット(ロール紙の円周方向でオフセット)されて配置されており、コロ92がセンサ93よりも上流にあるため、センサ93で用紙先端を検知する直前までコロ92が用紙先端を押さえることができる(
図8(A))。このようにすると、センサ93は、
図9(B)に示すように、ロール紙Pr表面に先端を密着させた状態で、ロール紙表面の段差(紙厚)を先端として検知することが可能となる。これにより、用紙の厚みやコシ、カール状況によってセンサ93の出力(検知結果)が不安定となることはなく、センサ93は、確実にロール紙Prの先端を検知することができる。
【0044】
なお、本実施形態の例ではコロ92をセンサ93より上流に配置しているが、逆の配置(
図9(A))でも検知は可能である。しかし、コロ92をセンサ93より上流に配置した方がより確実にロール紙先端の浮きを検知直前まで押さえることが可能となるため好ましい。
また、
図7で示した様にコロ92を2つ設けコロ間にセンサを配置することにより、コロ92が1つよりもロール紙先端の浮きをより確実に押さえておくことが可能となる。
【0045】
さらに、一実施形態の給紙装置90は、コロ92とセンサ93とをロール紙Prの円周方向でずらして配置しているので、部分的なキズ等があっても、コロ92とセンサ93との両方にかかる割合は少なくなる。
図10は、センサが検知する信号波形の一例を示す図であり、(A)にロール紙先端を検知したときの信号波形例、(B)に凸キズ等を検知したときの信号波形例を示す。
図7で示したようなコロ92とセンサ93との配置の場合、通常のロール紙先端検知(用紙先端が通過する場合)では、
図10(A)の信号波形となる。
一方、ロール紙表面に帯状の凸形状のキズ等があった場合、先端検知の場合とは、立下り、立上りが異なる信号波形(
図10(B))となる。このため、制御部110は、センサ93の検知結果について、通常のロール紙先端検知の信号波形と区別をつけることが可能であり、凸形状のキズ等を異物として除外(ロール紙先端ではない)することができる。このように、ロール紙先端と、凸形状のキズ等とは誤検知しにくいものとなる。
【0046】
次に、凹形状のキズの検知について説明する。
図11は、ロール紙表面に凹キズがある場合を説明する図である。
凹キズの場合は一般的に、センサ93の先端形状の方が凹キズよりも大きい場合が多く、またキズのエッジも用紙先端ほど鋭角ではない為、検知しない。アクチュエータの形状を凹キズよりも大きくすることで、凹キズを検知しないため、誤検知することがなく、検出精度が確保できる。
【0047】
図4から
図11に示す構成により、ロール紙先端を直接検出できるので、用紙の厚みやコシ、カール状況によってセンサの出力が不安定とならず、検知精度を確保できる。また、ユーザーがロール紙を装置に置くだけで、自動でロール紙のセット動作を終えることができるため、手動による手間を削減し、ガイド不良によるスキュー、ジャムを防止することができる。
【0048】
以上、一実施形態の給紙装置の構成例を説明したが、センサ93を以下のようにすることが好ましい。
図12は、センサのアクチュエータがロール紙表面へ接触したときの摩擦負荷を説明する図である。センサ93のアクチュエータ931とロール紙表面とが接触してロール紙が回転する場合には、接触箇所に摩擦負荷が生じる。
図12(A)で示す「正転」方向(正転回動)はロール紙Prが搬送方向に送られる給紙動作時の回転方向であり、「逆転」方向(逆転回動)は先端検知動作時の回転方向を示している。
「逆転」方向時には、アクチュエータ931に「逆転時負荷」が発生し、アクチュエータ931がロール紙Prに食い込む方向に力が作用する。
一方、「正転」方向時には、アクチュエータ931に「正転時負荷」が発生するが、アクチュエータ931は軸934を回転支点として回転して負荷を減らす動きをする。
【0049】
ここで、「逆転」方向の先端検知動作はロール紙Prを給紙部にセットする場合に行う動作であり、「正転」方向のマシン動作(給紙動作、印字動作)に伴うロール紙Prの回転方向と比べると「正転」方向の方が動作時間としては、はるかに多い。「正転」方向でアクチュエータ931にかかる力が大きいとセンサ93の破損やアクチュエータ931の摩耗による動作不良の発生の懸念が大きくなってしまう。その為、「正転」方向回転時に負荷が逃げるように構成することで、破損や動作不良の防止を行える。
【0050】
図13は、アクチュエータのロール紙と接する先端部に回転するコロを設けた例を説明する図である。
センサ93のアクチュエータ931と、ロール紙Prとの摩擦負荷が生じても、コロ935が回転してアクチュエータ部への負荷を低減することが出来、破損や動作不良の防止を行える。
なお、本例ではアクチュエータが回転する構成となっているが、例えば上下にアクチュエータが可動可能な構成とし、先端にコロを設けてもよい。
【0051】
次に、センサとコロとを配置した支持部材の変形例について説明する。
図4の構成例では、アーム91を支持部材とする例を説明したが、
図14では、アーム91(またはガイド板)とは別の支持部材を設ける例を説明する。
図14は、用紙搬送の入口ガイド板95近傍にセンサ93とコロ92とを配置した例を説明する図である。
給紙装置90Aは、センサ93とコロ92とを保持する支持部材97を入口ガイド板95近傍で、「逆転」動作時に入口ガイド板95より上流となる位置に配置する。アーム91Aは、センサ93を設けていない点を除いて、
図4のアーム91と同様とする。
【0052】
このようにすると、支持部材97に保持されたコロ92とセンサ93とによってロール紙先端の検知後すぐに、入口ガイド板95とアーム91Aとの間に先端が位置するように停止させ、「正転」動作により先端を搬送ローラ対6へ送り出すことができる。これにより、検知後最短の時間で正転動作に入ることが可能となる。
支持部材97は、ロール紙Prの略中心に向かって配置され、ロール紙径の変化に伴い、ロール紙表面に接するように構成される(図示せず)。
【0053】
以上説明した通り、本発明の一実施形態に係る給紙装置を用いることにより、ロール状の用紙を給紙する画像形成装置において、ユーザーがロール紙をセットするだけで紙厚センサ(エンコーダセンサ、等)を用いて自動的にロール紙先端検知を行い、給紙部まで用紙先端を搬送することができる。これにより、用紙セットの手間を省くことができ、安定的に用紙を挿入できることで斜めに挿入されることを防止できる。
また、一実施形態の給紙装置では、用紙先端をロール紙表面に密着させながら先端を検知するので、用紙の厚みやコシ、カール状況によらず、安定的に先端を検知することができる。さらに、ロール紙をセットする際の人手による挿入のばらつきをなくし、安定的に先端の挿入を行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
6 搬送ローラ対
90、90A 給紙装置
91、91A アーム
92 コロ
93 センサ
95 入口ガイド板
97 支持部材
100、110制御部
120、140 モータ駆動回路部
130 ロール紙駆動部
150 搬送駆動部
160 搬送部
911 回動中心
931 アクチュエータ
932 スリット
933 側板
934 軸
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】