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特許7439636ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20240220BHJP
   B65H 39/04 20060101ALI20240220BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
B65H39/04
G03G15/00 460
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020082004
(22)【出願日】2020-05-07
(65)【公開番号】P2021176791
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木裕史
(72)【発明者】
【氏名】柴崎勇介
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-112626(JP,A)
【文献】特開平9-150456(JP,A)
【文献】特開2013-217995(JP,A)
【文献】特開2007-90773(JP,A)
【文献】特開2008-247539(JP,A)
【文献】特開平4-72266(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0021603(US,A1)
【文献】特開昭53-141042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00-7/20
B65H 37/00-37/06
B65H 39/00-39/16
B65H 43/00-43/08
G03G 13/20
G03G 15/00
G03G 15/20
B29C 63/00-63/48
B29C 65/00-65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚のシートが重ねられその一部が接合された2枚重ねシートを互いに剥離し、その剥離した前記シートにシート状媒体を挟み込み、ラミネート処理するラミネート処理装置において、
ラミネート処理するモードにおいて前記シートを積載する積載手段と、
前記積載手段から給送された前記シートを加熱及び加圧する熱加圧部材と、
前記熱加圧部材が配置され、下流に接続された後処理装置に前記シートを搬送する熱加圧搬送路と、
前記熱加圧部材を通らずに前記後処理装置に前記シートを搬送する非熱加圧搬送路と、を有し、
前記積載手段は、ラミネート処理するモードとラミネート処理しないモードの2つのモードで使用できることを特徴とするラミネート処理装置。
【請求項2】
前記ラミネート処理しないモードは、前記積載手段から挿入紙を給送し、上流側に接続された画像形成装置から搬送され前記後処理装置に搬送されるシート状媒体の前又は後に前記挿入紙を挿入するインサート機能を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項3】
前記ラミネート処理するモードと前記ラミネート処理しないモードを切り替える切り替え手段を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のラミネート処理装置。
【請求項4】
前記積載手段から給送される前記シートがシート状媒体であるかラミネートフィルムであるかを判定する判定手段を有する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のラミネート処理装置。
【請求項5】
前記判定手段が超音波センサである、ことを特徴とする請求項4に記載のラミネート処理装置。
【請求項6】
前記判定手段によってシート状媒体又はラミネートフィルムと判定された前記シートが選択された印刷設定と異なる場合、異常と判断し、エラーの発生をユーザに報知する、ことを特徴とする請求項4又は5に記載のラミネート処理装置。
【請求項7】
異常と判断した際に、前記積載手段から搬送された前記シートの搬送を停止する、ことを特徴とする請求項6に記載のラミネート処理装置。
【請求項8】
異常と判断した際に、前記積載手段から搬送された前記シートの搬送を止めずに排紙する、ことを特徴とする請求項6に記載のラミネート処理装置。
【請求項9】
異常と判断した際に、前記積載手段から搬送された前記シートを搬送手段の逆回転によって前記積載手段に戻す、ことを特徴とする請求項6に記載のラミネート処理装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のラミネート処理装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載のラミネート処理装置と後処理装置を有することを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のシートが重ねられ、一辺が接合(接続)された2枚重ねシート(ラミネートシート又はラミネートフィルム)内に、中紙類(用紙、写真など)を挿入し、熱と圧力を加えて2枚重ねシートを接着するラミネート処理という技術が知られている。
【0003】
従来のラミネート処理機では、フィルムに挟み込みたい中紙類(用紙、写真など)を挟み込む作業を1枚1枚人手で実施する必要があるが、フィルムの内側には接着材の層があるため滑りが悪く、手で剥離することが面倒なことと、剥離後に挟み込みたいシート類を正確な位置に挟みこむことが手間であった。また、1枚の準備ができ、処理機(ラミネータ)にセットすると、ラミネート処理には30~60秒の時間がかかるため、次の処理まで待つ必要があった。その結果、数十枚程度のラミネート処理をするだけで、長時間ラミネート処理装置から人が離れることができず、シートを挟み込む、セットしてラミネート処理する、待っている間にシートを挟みこむ、という作業をユーザが繰り返す必要があり、時間と人手が必須になるという問題があった。また、それを回避しようとすれば、ロールフィルムを使った専用のラミネータ装置が必要であり、非常に高価(数十万円~数百万円)になるという問題があった。
【0004】
また、画像形成装置のシート給紙部よりラミネートフィルムを給紙しようとすると、熱定着部の通過時にラミネートフィルムに熱が加わり、フィルム同士がくっついてしまうという問題があった。
【0005】
特許文献1は、一辺が接続されたラミネートフィルムにおいて、フィルム同士を剥離して、その間に中紙を挿入するラミネート装置を開示している。しかし、このラミネート装置では、中紙が挿入されたラミネートフィルムをラミネートせずに排紙することができず、インサータとしての機能を有しない。仮にこれができたとしても、加熱部を通過させてフィルムを排出しなければならないため、フィルム同士のくっつき防止のために加熱部が冷めてからでないと排紙することができず、ユーザによる使い勝手が悪かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、シート同士のくっつきを防ぎ、コンパクトで使い勝手が良い、複数の後処理機能を有するラミネート処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、2枚のシートが重ねられその一部が接合された2枚重ねシートを互いに剥離し、その剥離した前記シートにシート状媒体を挟み込み、ラミネート処理するラミネート処理装置において、ラミネート処理するモードにおいて前記シートを積載する積載手段と、前記積載手段から給送された前記シートを加熱及び加圧する熱加圧部材と、前記熱加圧部材が配置され、下流に接続された後処理装置に前記シートを搬送する熱加圧搬送路と、前記熱加圧部材を通らずに前記後処理装置に前記シートを搬送する非熱加圧搬送路と、を有し、前記積載手段は、ラミネート処理するモードとラミネート処理しないモードの2つのモードで使用できることを特徴とするラミネート処理装置によって解決される。
【発明の効果】
【0008】
シート同士のくっつきを防ぎ、コンパクトで使い勝手が良い、複数の後処理機能を有するラミネート処理装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。
図2図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。
図3】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その2)である。
図4】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その3)である。
図5】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その4)である。
図6】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その5)である。
図7】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その6)である。
図8】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その7)である。
図9】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その8)である。
図10】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その9)である。
図11】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その10)である。
図12】シート処理装置の主要部分を示す構成図(その11)である。
図13】シート処理装置が備える剥離爪の模式図である。
図14】剥離爪の駆動構成の例を示す模式図である。
図15】剥離爪をシートSに挿入した状態を示す斜視図である。
図16図8における、剥離爪とシートSの状態を示す斜視図である。
図17図8における、剥離爪とシートSの状態を示す斜視図(その2)である。
図18】剥離した2枚のシートの案内経路についての変形例である。
図19】本発明の実施形態に係るラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。
図20】本発明の実施形態に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
図21】本発明の実施形態に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の変形例を示す全体構成図である。
図22】シート給紙から中紙を挟みこみ、ラミネート処理完了までの一連の動作を説明するフローチャートである。
図23】本発明の実施形態に係るラミネート処理装置を備えた画像形成システムの一例を示す全体構成図である。
図24】画像形成装置に表示される機能選択画面の一例を示す図である。
図25】本発明の実施形態に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。
図26】画像形成装置に表示されるインサート処理の設定画面の一例を示す図である。
図27】画像形成装置300の操作パネル10に表示されるエラー表示を示す図である。
図28】画像形成装置300の操作パネル10に表示されるエラー表示を示す図である。
図29】画像形成システム500において、ラミネート処理又はインサート処理の選択から、後処理装置600に排紙するまでの一連の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るシート処理装置の全体構成図である。本実施形態のシート処理装置100は、2枚重ねシート(以下、シートSという)を互いに剥離し、その剥離したシートS内にシート状媒体(以下、中紙Pという)を挿入して挟持させるものである。
【0011】
ここで、シートSとは、2枚のシートが重ねられ、その一部(又は一辺)が接合された2枚重ねシートである。2枚重ねシートとしては、例えば、片側を透明ポリエステルシートなどの透過性シートとし、反対側を透明又は不透明シートとして、それらの一辺で接合したものがある。また、2枚重ねシートには、ラミネートフィルムも含まれる。
【0012】
中紙P(挿入用シート)は、それら2枚重ねシートに挿入されるシート状媒体の一例である。シート状媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙など)、トレーシングペーパ、OHPシートなどが含まれる。
【0013】
図1に示すように、シート処理装置100は、シートSを積載する第1積載手段であるシートトレイ102と、シートトレイ102からシートSを給送するピックアップローラ105と、搬送ローラ対107とを備える。またシート処理装置100は、中紙Pを積載する第2積載手段である給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを備える。
【0014】
搬送ローラ対107の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC1が設けられ、ピックアップローラ106の搬送方向下流には、中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC2が設けられている。
【0015】
またシート処理装置100は、搬送ローラ対107及びピックアップローラ106の下流に、第1搬送手段である入口ローラ対108と、回転部材としての巻付けローラ109と、第2搬送手段である出口ローラ対113と、排紙トレイ104などを備える。巻付けローラ109と出口ローラ対113の間に、シートSの幅方向に移動可能に設けられた剥離爪116を備える。
【0016】
入口ローラ対108の搬送方向下流には、シートS及び中紙Pの搬送位置を検出する搬送センサC3が設けられ、巻付けローラ109の搬送方向下流には、シートSの状態を検出する異常状態検出センサC4が設けられている。そして、出口ローラ対113の搬送方向下流には、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC5が設けられている。
【0017】
なお、ピックアップローラ105、搬送ローラ対107、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は、第1給送手段の一例であり、ピックアップローラ106、入口ローラ対108、及び巻付けローラ109は第2給送手段の一例である。
【0018】
シート処理装置100の外装部には、シート処理装置100における情報表示や、操作入力の受付を行う表示操作手段である操作パネル10が設置されている。また、この操作パネル10は、ユーザに知覚信号を発する報知手段としての役割を兼ねる。なお、代替として、操作パネル10以外の報知手段を、シート処理装置100に別途設ける構成としても良い。
【0019】
本実施形態のシート処理装置100は、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、シートSを搬送しながら、2枚のシートに剥離・開口し、その開口内に中紙Pを挿入する。そして、中紙Pが挿入されたシートSを、排紙トレイ104に排出・積載する。
【0020】
図2は、図1に示したシート処理装置の主要部分を示す構成図(その1)である。図2に示すように、入口ローラ対108及び出口ローラ対113は、それぞれ、例えば対となった2つのローラであり、駆動手段(モータなど)により回転駆動される。入口ローラ対108は一方向に回転駆動され、出口ローラ対113は正逆方向に回転駆動されることで、シートS及び中紙Pを挟持して搬送する。
【0021】
入口ローラ対108は、シートS及び中紙Pを出口ローラ対113に向けて搬送する。この搬送方向を正搬送方向(矢印A方向)と呼ぶ。
【0022】
一方、出口ローラ対113は、その回転を正逆の両方向に切り替え可能である。挟持したシートSを正搬送方向である排紙トレイ104(図1参照)に向けて搬送できるとともに、その逆方向(引き戻す方向)となる巻付けローラ109に向けてシートSを搬送することもできる。この巻付けローラ109に向けて搬送する方向(正搬送方向に対し、逆方向)を、逆搬送方向(矢印B方向)と呼ぶ。
【0023】
また、シート処理装置100は、これら入口ローラ対108と出口ローラ対113との間に、回転部材である巻付けローラ109と、剥離爪116とを備える。巻付けローラ109は、駆動手段(モータなど)により正逆方向に回転駆動され、その回転を両方向(時計回り/反時計回り)に切り替え可能である。
【0024】
巻付けローラ109は、ローラ部材111と、ローラ部材111に設けられ、シートSを把持する可動の把持手段110とを有する。可動の把持手段110は、ローラ部材111とともにシートSの先端を把持することを特徴とする。この把持手段110は、ローラ部材111の外周に一体に成形しても良いし、別部品として構成しても良い。
【0025】
続いて、図1図12を用いて、シート処理装置100の一連の動作、すなわちシートSの剥離から中紙Pの挿入までの動作を説明する。なお、図3図12において、図1、2と同一物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0026】
図1において、シートトレイ102上のシートSは、2枚のシートの接合された一部が、ピックアップローラ105の給送方向(搬送方向)の下流側に位置するように積載される。そして、シート処理装置100は、シートトレイ102上のシートSをピックアップローラ105にてピックし、搬送ローラ対107により入口ローラ対108に向けて搬送する。
【0027】
次いで、図2に示すように、入口ローラ対108により、シートSを巻付けローラ109に向けて搬送する。ここでシート処理装置100は、シートSの4辺中の一辺である端部が接合された側を正搬送方向(矢印A方向)の下流側として搬送する。
【0028】
続いて図3に示すように、シート処理装置100は、正搬送方向におけるシートSの後端部が巻付けローラ109を通過した時点で、その搬送を一時停止する。なお、これら動作は、搬送センサC3によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC3から指定量搬送することで実施される。
【0029】
次に、図4に示すように、シート処理装置100は、把持手段110を開口するとともに、出口ローラ対113の回転方向を反転し、把持手段110の開口部に向けて、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。
【0030】
続いて、図5に示すように、シート処理装置100は、シートSの端部を開口した把持手段110に挿入した時点で搬送を停止し、把持手段110を閉じてシートSの端部を把持する。なお、これら動作は、シートSを指定量搬送することで実施される。
【0031】
次いで、図6に示すように、シート処理装置100は巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける。ここでシートSは、2枚のシートの接合されていない側から巻付けローラ109に巻き付けられる。
【0032】
図7に示すように、シートSを巻付けローラ109に巻き付けると、2枚重ねシートの巻き付け周長差(巻き付け量の差)によって内周側のシートが余り、シートSの接合した端に向けて弛みが生じる。その結果、2枚のシート間に空間が生じる。この生じた空間に剥離爪116をシートSの両側から挿入することで、2枚のシート間の空間を確実に維持することができる。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0033】
ここで、剥離爪116について補足説明する。
【0034】
図13はシート処理装置が備える剥離爪の模式図であり、図14は剥離爪の駆動構成の例を示す模式図である。また、図15は剥離爪をシートSに挿入した状態を示す斜視図である。
【0035】
図13に示すように、剥離爪116は、搬送方向上流側から見て、高さ方向の寸法が幅方向中央から後端に向けて徐々に大きくなっている。また、高さ方向から見て、搬送方向の寸法は、先端から中央に向けて徐々に大きくなっている。そして、幅方向から見て、剥離爪116は、十時型の形状となっている。
【0036】
また、図14に示すように、本実施形態では、2つの剥離爪116を互いに対向させて配置し、それぞれを(a)ベルト駆動、又は(b)ラック&ピニオンなどにより接近/離間する構成としている。
【0037】
本実施形態の剥離爪116は、上記形状を有し、シートSの幅方向に移動可能な構成であるため、図15に示すようにシートSに生じた空間にスムーズに挿入できる。
【0038】
シート処理装置100の一連の動作説明に戻る。シート処理装置100は、シートSに生じた空間に剥離爪116を挿入した状態で(図7参照)、巻付けローラ109を時計回りに回転し、図8に示すように、シートSの剥離した空間をシートSの正搬送方向(矢印A方向)における後端部まで移動させる。そして、指定量移動した時点で把持手段110を開放し、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0039】
この状態で、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、今度は剥離爪116をシート幅方向へ更に移動することで、シートSの後端の全域を剥離する。なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0040】
図16は、図8における、剥離爪116とシートSの状態を示す斜視図である。剥離爪116は、剥離したシートSをそれぞれ異なる方向へと案内する分岐爪の形状(機能)も有するため(図13参照)、シートSの2枚のシートは、それぞれ別の経路に搬送可能な姿勢となる。
【0041】
また、剥離爪116は幅方向に移動可能な構成(図14参照)であるため、図17に示すように、シートSの姿勢を支えるのに適した位置に配置できる。したがって、シートSのサイズや腰の強さが変わっても、シートSを所望の分岐方向へ案内できる。これは、搬送路幅全域に亘るシート分岐用部材、及び分岐爪の駆動装置が不要になるため、従来と比較して低コストにできる。
【0042】
続いて図9に示すように、シート処理装置100は、シートSの後端の全域を剥離した状態から、今度は出口ローラ対113を反時計回りに回転し、シートSを逆搬送方向(矢印B方向)に搬送する。すなわち、シートSの剥離された2枚のシートは、剥離爪116によりそれぞれ上下方向に案内され、2枚のシート全体が互いに剥離される。
【0043】
そして、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、シートSの接合部を出口ローラ対113にて把持(ニップ)した状態とする。したがって、シートSは接合された一辺を端として、大きく開口することになる。
【0044】
なお、これら動作は、搬送センサC5によるシートSの先端検出をトリガとし、搬送センサC5から指定量搬送することで実施される。
【0045】
(変形例)
図18は、剥離した2枚のシートの案内経路についての変形例である。先の図9では、(a)シートSの接合部から上下シートとも同方向に案内する経路を示した。これ以外にも、(b)逆S字を描いて案内する経路や、(c)S字を描いて案内する経路など、上下シートをそれぞれ反対方向に案内しても良い。
【0046】
次いで、図10に示すように、シート処理装置100は、入口ローラ対108を回転し、給紙トレイ103(図1参照)から搬送された中紙Pを出口ローラ対113に向けて正搬送方向(矢印A方向)に搬送する。
【0047】
続いて、図11に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113を回転してシートSと中紙Pを合流させ、開口したシートS内に中紙Pを挿入する。
【0048】
次いで、図12(a)に示すように、シート処理装置100は、出口ローラ対113により、中紙Pが挿入されたシートSを正搬送方向(矢印A方向)に搬送することで、シートSの2枚のシートを再度重ね、開口を閉じる。そして、中紙Pが挟み込まれたシートSを、出口ローラ対113、又はそれ以降に配置されたローラなど(不図示)により、排紙トレイ104に排出・積載する(図1参照)。
【0049】
代替例として、シート処理装置がシートSを加熱及び加圧可能な熱加圧装置を備える場合、図12(b)に示すように、分岐爪118にて経路を切り替えて、熱加圧装置へ搬送しても良い。
【0050】
このように本実施形態のシート処理装置100は、シートSを大きく開口し、その中に中紙Pを挿入・挟持させることができる。したがって、例えば、バキューム装置を用いる特許文献1のラミネート装置に比べ、単純な構成であり、装置全体を簡略化、小型化できる。
【0051】
また、本実施形態のシート処理装置100は、図1で示したように、シートSと中紙Pを別々のトレイに積載し、それぞれ別々に搬送できる。このため、シートSと中紙Pを予め決められた順番に積載する必要がなく、利便性を向上できる。なお、本実施形態では、シートトレイ102にシートSを積載し、給紙トレイ103に中紙Pを積載するようにしたが、これに限定されない。シートトレイ102に中紙Pを積載し、給紙トレイ103にシートSを積載しても良い。
【0052】
続いて、本発明の特徴部として、本発明の実施形態に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置、画像形成装置及び画像形成システムについて説明する。
【0053】
図19は、本発明の実施形態に係るラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。
図示のように、ラミネート処理装置200は、先に説明したシート処理装置100をベースとしている。ラミネート処理装置200は、ラミネート処理するモードにおいてシートSを積載するシートトレイ102と、シートトレイ102から給送されたシートSを加熱及び加圧する熱加圧部材である熱加圧ローラ120と、熱加圧ローラ120が配置され、下流に接続された後処理装置600にシートSを搬送する熱加圧搬送路128と、搬送ローラ124が配置され、熱加圧ローラ120を通らずに下流に接続された後処理装置600にシートSを搬送する非熱加圧搬送路126などを有する。また、ラミネート処理装置200は、シートトレイ102の下流に位置する搬送経路125上に配置されてシートの重送を検知する重送検知センサC6と、熱加圧ローラ120の下流に設けられた排出ローラ121を有する。ここで、重送検知センサC6は超音波センサであっても良い。
【0054】
このラミネート処理装置200は、シートSの給紙、剥離、中紙Pの挿入、及び熱加圧によるラミネート処理までの一連の動作を1台で実施できる構成である。この一連の動作を、人手を要さずに自動で実施でき、従来技術よりも利便性を向上できる。
【0055】
さらに、このラミネート処理装置200はラミネート処理しないモードでも使用でき、具体的にはインサータの機能をも有する。つまり、シートトレイ102は、ラミネート処理するモードとラミネート処理しないモードの2つのモードで使用できる。これにより、ラミネートフィルム同士のくっつきを防ぎ、コンパクトで使い勝手が良い、複数の後処理機能を有するラミネート処理装置が実現される。本実施形態では、接続マシンを追加することなくインサータとラミネータの2つの機能を得ることができ、これら後処理機能を持つ装置を小型化できる。より具体的には、印刷済みシートなどを挿入してステープル処理などをする場合、下流側に複数の後処理装置を接続しなければならずシステム全体が大型化してしまうところ、シートトレイ102からラミネートフィルムだけでなく印刷済みシートなどを給紙可能とすることで、システムの小型化を実現することができる。
【0056】
シートトレイ102からの搬送経路125において、搬送方向上流から、シートSの後端を検知する後端検知センサC8、シートSの搬送位置を検出する搬送センサC1、重送検知センサC6、シートSの待機位置を検知する待機位置センサC7が順に配置されている。
【0057】
搬送センサC5の搬送方向下流には、シートSを熱加圧搬送路128に又は非熱加圧搬送路126に切り替える分岐爪118が設けられている。非熱加圧搬送路126と熱加圧搬送路128は排出ローラ121の搬送方向上流で合流している。非熱加圧搬送路126は、シートSを、熱加圧ローラ120が設けられた熱加圧搬送路128を通過させずに後処理装置600に搬送するためのものである。
【0058】
図20は、本発明の実施形態に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の一例を示す全体構成図である。この画像形成装置300は、ラミネート処理装置部として、内部にラミネート処理装置200aを備える。
【0059】
ここで、ラミネート処理装置200aは、シートS又は中紙Pを積載するシートトレイ102を備えるとともに、シートS及び/又は中紙Pを画像形成装置300から給紙可能な構成である。したがって、画像形成装置300(例えば、プリンタ、コピー機など)により、シートS又は中紙Pに画像をインラインで挿入できる。
【0060】
画像形成装置本体300の構成を具体的に説明する。図20に示すように、画像形成装置本体300内には、中間転写装置150が設けられている。中間転写装置150は、複数のローラに掛けまわしてエンドレスの中間転写ベルト152をほぼ水平に張り渡し、反時計まわりに走行する。
【0061】
中間転写装置150の下には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの作像装置154c、154m、154y、154kが、中間転写ベルト152の張り渡し方向に沿って四連タンデム式に並べて設けられている。各作像装置154は、図中時計まわりに回転するドラム状の像担持体のまわりに帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置などを設置して構成される。各作像装置154の下には、露光装置156が設けられている。
【0062】
露光装置156の下には、給紙装置158が設けられている。給紙装置158は、シートSを収納する第1給紙カセット160と、中紙Pを収納する第2給紙カセット162とを備える。なお、第1給紙カセット160は、2枚重ねシートを積載する第3積載手段の一例であり、第2給紙カセット162は、シート状媒体を積載する第4積載手段の一例である。
【0063】
第1給紙カセット160の右上には、第1給紙カセット160内のシートSを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第1給紙コロ166が設けられている。また、第2給紙カセット162の右上には、給紙カセット内の中紙Pを一枚ずつ繰り出して用紙搬送路164に入れる第2給紙コロ168が設けられている。
【0064】
用紙搬送路164は、画像形成装置本体300内の右側に下方から上方に向けて形成され、画像形成装置本体300内のラミネート処理装置200aへと通ずる。用紙搬送路164には、搬送ローラ170、中間転写ベルト152と対向して二次転写装置174、定着装置176、一対の排紙ローラよりなる排紙装置178などが順に設けられている。
【0065】
なお、第1給紙コロ166、搬送ローラ170及び用紙搬送路164は、第1給紙カセット160(第3積載手段)から2枚重ねシートを給送する第3給送手段の一例である。また、第2給紙コロ168、搬送ローラ170及び用紙搬送路164は、第2給紙カセット162(第4積載手段)からシート状媒体を給送する第4給送手段の一例である。さらに、中間転写装置150、及び定着装置176などは、2枚重ねシート又はシート状媒体に画像を形成する画像形成部の一例である。
【0066】
続いて、本実施形態の画像形成装置300において、シートSに画像形成をした後、ラミネート処理を行う動作について説明する。
【0067】
シートSに画像を形成する際、はじめに、画像読取装置188で原稿画像を読み取り、露光装置156で書き込みを行う。次いで、各作像装置154c、154m、154y、154kのそれぞれの像担持体上に各色トナー画像を形成し、そのトナー像を一次転写装置180c、180m、180y、180kで順次転写して中間転写ベルト152上にカラー画像を形成する。
【0068】
一方、画像形成装置300は、第1給紙コロ166を回転してシートSを繰り出して用紙搬送路164に入れる。そして、用紙搬送路164を通して搬送ローラ170で搬送してタイミングを取って二次転写位置へと送り込み、上記したように中間転写ベルト152上に形成したカラー画像が二次転写装置174でシートSに転写される。
【0069】
画像転写後のシートSは、定着装置176で画像定着後、排紙装置178でラミネート処理装置200aに送られる。
【0070】
また、画像形成装置300は、第2給紙コロ168を回転して中紙Pを繰り出して用紙搬送路164に入れ、排紙装置178でラミネート処理装置200aに送る。
【0071】
このようにして、画像形成されたシートSと、中紙Pをラミネート処理装置200aに送ることで、ラミネート処理が行われる。ラミネート処理の詳細は、上記したので省略する。
【0072】
本実施形態の画像形成装置300は、上記した構成であるので、中紙Pに画像形成をした後に、ラミネート処理装置200aにより、ラミネート処理を行うこともできる。また、中紙PとシートSに画像形成した後に、ラミネート処理を行うこともできる。
【0073】
次に、本発明に係るシート処理装置を備える画像形成装置の変形例、及び画像形成システムについて説明する。
【0074】
図21は、本発明に係るラミネート処理装置を備える画像形成装置の変形例を示す全体構成図である。この画像形成装置400は、画像形成装置本体側に本体排出ローラ122と、本体排紙トレイ123とを備える点で、図20の画像形成装置300と異なる。
【0075】
画像形成装置400は、ラミネート処理を実施しない場合、本体排出ローラ122を用いて画像形成した記録媒体を本体排紙トレイ123に排出できる。したがって、画像形成装置400は、ラミネート処理をしない場合、画像形成の出力速度を下げない。
【0076】
なお、画像形成装置400は、ラミネート処理装置200aを内部に脱着可能に備える構成としても良い。すなわち、ラミネート処理が不要な際は、ラミネート処理装置200aを画像形成装置400から外しても良い。
【0077】
また、その外したラミネート処理装置200aに、中紙Pを積載する給紙トレイ103と、給紙トレイ103から中紙Pを給送するピックアップローラ106とを装着し、図19に示すものと同様なラミネート処理機単体として利用できるとしても良い。
【0078】
図20に示した画像形成装置300、及び図21に示した画像形成装置400は、ラミネート処理機に代えて、シート処理装置を備える構成としても良い。また、図21に示した画像形成装置400では、シート処理装置を着脱可能な構成としても良い。
【0079】
また、画像形成システムとして、画像形成装置と、前記画像形成装置に着脱可能に接続されたシート処理装置100、又はラミネート処理装置200を備えるシステムを構成しても良い。さらにまた、給紙装置(スタッカ)、及び/又はくるみ製本装置などを備えるシステムを構成しても良い。なお、シートSを定着装置176の間を通す場合、そのシートSは、定着温度では接着されず、それよりも高温の熱を与えることにより接着されるものである。
【0080】
さらに、画像形成装置300、400は、シートSと中紙に画像を形成する方式として、電子写真方式を用いているがこれに限定されるものでなく、インクジェット方式や孔版印刷方式などの公知の画像形成方式を用いても良い。
【0081】
図22は、シート給紙から中紙を挟みこみ、ラミネート処理完了までの一連の動作を説明するフローチャートである。フローチャートに対応する図面の番号を示しながら説明する。
【0082】
まず、ステップS11において、シート処理装置100は、シートSの給紙を開始する(図1参照)。次いで、ステップS12において、シート処理装置100は、搬送センサC3にシートSの先端が到着したか判定する(図2参照)。ステップS13にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC3から指定量搬送したことを判定すると、その搬送を一時停止する(図3参照)。続いて、ステップS14にて、シート処理装置100は、把持手段110を開口するとともに、ステップS15においてシートSを逆搬送方向に搬送する(図4参照)。
【0083】
ステップS16において、シート処理装置100は、シートSを指定量搬送したことを判定すると、ステップS17にてシートSの搬送を一時停止する。そして、ステップS18において、把持手段110を閉じ、シートSの端部を把持する(図5参照)。
【0084】
続いてステップS19において、シート処理装置100は巻付けローラ109を反時計回りに回転し、シートSを巻付けローラ109に巻き付ける(図6参照)。次いで、ステップS20において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS21にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS22において、異常状態検出センサC4を用いてシートSの状態を検出する。
【0085】
この異常状態検出センサC4は、シートSの2枚のシート間に生じた空間の寸法が、所定の閾値を超えているかを検出する異常検出手段である。ステップS23において、シート処理装置100は、異常状態検出センサC4の検出結果から、シートSの状態が正常(空間の寸法が、所定の閾値以上)であると判定した場合、ステップS24aに移行する。
【0086】
一方、ステップS23において、シートSの状態が異常(空間の寸法が、所定の閾値より下)であると判定した場合、ステップS24bに移行し、シート処理装置100は異常を通知し、シート処理を停止する。
【0087】
ステップS24aに移行した場合、シート処理装置100は、生じた空間に剥離爪116をシートSの両側から挿入する(図7参照)。次に、ステップS25において、シート処理装置100は、剥離爪116をシートSの両側から挿入した状態で、巻付けローラ109を今度は時計回りに回転し、シートSを正搬送方向に搬送する。
【0088】
次いで、ステップS26において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS27にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS28において、把持手段110を開口する。
【0089】
次いで、ステップS29において、シート処理装置100はシートSの搬送を一時停止し、ステップS30にて、剥離爪116をシート幅方向へ更に移動する(図8参照)。これにより、シートSの後端を上下に分離した状態とする。
【0090】
ステップS31において、シート処理装置100はシートSを逆搬送方向に搬送する。次いで、ステップS32において、搬送センサC5にシートSの先端が到着したか判定する。ステップS33にて、シート処理装置100は、シートSを搬送センサC5から指定量搬送したことを判定すると、ステップS34にて、その搬送を一時停止する(図9参照)。これにより、シートSの剥離が完了する。
【0091】
続いて、ステップS35において、シート処理装置100は、シートSに挿入する中紙Pに画像形成を行う(インライン)か否か判定する。インラインの場合、ステップS36に移行し、シート処理装置100は、画像形成装置に印刷ジョブを開始させ、中紙Pに画像を形成する。次いで、ステップS37に移行する。
【0092】
一方、ステップS35において、インラインでない場合はステップS37に移行する。
【0093】
ステップS37において、シート処理装置100は、中紙Pを正搬送方向に搬送し、開口したシートS内に中紙Pを挿入する(図10、11参照)。
【0094】
次いで、ステップS38において、分岐爪118にて経路を切り替える。ステップS39において、中紙Pを挟持したシートSを熱加圧装置(定着Md)へ搬送し、熱と圧力を加えることで、ラミネート処理が完了する(図12(b)参照)。
【0095】
図23は、本発明の実施形態に係るラミネート処理装置を備えた画像形成システムの一例を示す全体構成図である。
この画像形成システム500は、画像形成装置300の内部に備えられたラミネート処理装置200と、ラミネート処理装置200の搬送方向下流に備えられた後処理装置600とを備えて成る。後処理装置600は、例えば印刷済みシートをステープル処理することができる。なお、画像形成装置300は図20に示すものと同様のため、図23ではその詳細な図示を省略している。
【0096】
図24は、画像形成装置に表示される機能選択画面の一例を示す図である。
図示のように、ユーザは、画像形成装置300の操作画面でON/OFFの選択によりラミネート処理を行うかどうかを選択することができるとともに、ラミネートフィルムのサイズを選択することができる。画像形成装置300の操作画面のために、シート処理装置100又はラミネート処理装置200の外装部に設置された操作パネル10を用いることができる。このように、ラミネート処理装置200は、ラミネート処理するモードとラミネート処理しないモードを切り替える切り替え手段を有する。これにより、ユーザが任意の印刷設定をすることができる。本例では、ユーザは操作パネル10から、先ず「ラミネート」を選択し、ラミネート処理「ON」を選択し、「ラミネートフィルムサイズ」として「A4」を選択している。
【0097】
ラミネート処理を行う場合、図22に関連して先に説明した一連の動作を行う。
一方で、ラミネート処理を行わない場合、ラミネート処理装置200は、画像形成装置300から搬送されてくるシートSを、熱加圧ローラ120を通さずに非熱加圧搬送路126を通すことで搬送方向下流の後処理装置600に排出することができる。また、ラミネート処理装置200に非熱加圧搬送路126を設けることで、シートSのラミネート処理後に熱加圧ローラ120が冷めるまで待機することなく次の印刷ジョブを開始でき、ユーザの待機時間が短縮されるという利点が得られる。
【0098】
図25は、本発明の実施形態に係るシート処理装置を備えるラミネート処理装置の一例を示す全体構成図である。
前述したように、シートトレイ102は、ラミネート処理するモードとラミネート処理しないモードの2つのモードで使用できる。ラミネート処理しないモードの場合、図25に示すように、本実施形態に係るラミネート処理装置200は、シートトレイ102に積載された挿入紙Iを有し、ラミネート処理装置200の上流側に接続された画像形成装置300から搬送され後処理装置600に搬送されるシート状媒体の前又は後に挿入紙Iを挿入するインサート機能を有するインサータとして構成されている。挿入紙Iは、印刷済みシート又は未印刷のシートである。これにより、ラミネート処理装置200はシートトレイを増やすことなくインサータとして機能することができる。
【0099】
図26は、画像形成装置に表示されるインサート処理の設定画面の一例を示す図である。
画像形成装置300のインサート処理の設定画面のために、シート処理装置100の外装部に設置された操作パネル10を用いることができる。よって、ユーザは、操作パネル10を操作して、シートトレイ102に積載された挿入紙Iのサイズと、画像形成装置300から搬送されるシートSの何枚目に挿入紙Iを挿入するかを設定することができる。本例では、ユーザは、先ず「インサート」を選択し、インサート処理「ON」を選択し、インサート用紙サイズとして「A4横」を、インサート位置として「表紙」を選択している。
【0100】
インサート処理では、画像形成装置300から複数枚のシートSが搬送される際に、インサート位置で設定された箇所にシートトレイ102に積載された挿入紙Iを挿入することができる。これにより、後処理装置600にて挿入紙Iを含んだシート束を後処理することができる。
【0101】
図25に示すラミネート処理装置200は、シートトレイ102に積載されているシートが選択されている処理設定と合致しているかどうかを判断する機能を有する。
具体的には、ラミネート処理装置200は、シートトレイ102から給送されたシートが待機位置センサC7に到達したところでシートを停止させ、判定手段としての重送検知センサC6によってシートが1枚であるか複数枚であるかを判定する。判定の結果、ラミネート処理装置200は、シートが1枚であればシート状媒体と判定し、シートが複数枚であればラミネートフィルムと判定し、シートトレイ102に積載されているシートが選択された印刷設定と異なる場合、異常と判断し、エラーの発生をユーザに報知する。具体的には、ビープ音を発生したり、エラー表示を画像形成装置300の操作画面(操作パネル10)上に表示したりする。これにより、ユーザの誤操作を防止することができる。
【0102】
ここで、重送検知センサC6は超音波センサであっても良い。これにより、判定手段としての機能が高められ、シート状媒体とラミネートフィルムの判別を確実に行うことができる。
【0103】
また、異常と判断した際に、ラミネート処理装置200はシートトレイ102から搬送されたシートSの搬送を停止しても良い。これにより、ユーザの誤操作によるラミネートフィルムやシート状媒体の浪費を削減できる。このとき、ラミネート処理装置200の内部で停止しているシートSは、分岐爪118の切り替えによって非熱加圧搬送路126を通して後処理装置600に排出することができる。これにより、ユーザがラミネート処理装置200の内部のシートSを取り除くという手間を削減できる。
【0104】
また、異常と判断した際に、シートトレイ102から搬送されたシートSの搬送を止めずに排紙しても良い。これにより、ユーザがジャム処理の手間を削減することができる。
【0105】
また、異常と判断した際に、シートSの後端が後端検知センサC8を通過していない場合、シートSの後端が積載されているシートSに干渉しないため、搬送手段としての搬送ローラ対107を逆回転することでシートSをシートトレイ102に戻すこともできる。これにより、ユーザがジャム処理及び排出したシートを戻す手間を削減することができる。なお、シートSの後端位置は、待機位置センサC7とシートサイズとから推測しても良い。
【0106】
図27及び図28は、画像形成装置300の操作パネル10に表示されるエラー表示を示す図である。
図27は、ラミネート処理が選択された状態でラミネートフィルムがセットされていないと判定された場合のエラー表示を示し、本例では「ラミネート処理が選択されていますが、ラミネートフィルムがセットされていません。ラミネートフィルムをセットしてやり直してください。」と表示される。
【0107】
図28は、インサート処理が選択された状態でラミネートフィルムがセットされたと判定された場合のエラー表示を示し、本例では「インサート処理が選択されていますが、ラミネートフィルムがセットされています。用紙をセットしてやり直してください。」と表示される。
よって、ユーザは、これらのエラー表示に従ってシートトレイ102に積載されているシートを確認し、シートをセットし直してから再度印刷を開始することができる。
【0108】
図29は、画像形成システム500において、ラミネート処理又はインサート処理の選択から、後処理装置600に排紙するまでの一連の動作を説明するフローチャートである。
先ず、ステップS51において、画像形成装置300の操作パネル10にてラミネート処理又はインサート処理が設定された場合(S51,Yes)、ラミネート処理装置200は、画像形成装置300が印刷ジョブを開始する前にシートトレイ102からシートを給紙する(S52)。
【0109】
次に、給紙されたシートが待機位置センサC7に到達したとき(S53)、ラミネート処理装置200は、シートの搬送を停止し(S54)、重送検知センサC6により、搬送されたシートがラミネートフィルムであるかどうかを判別する(S55)。
【0110】
設定された処理と搬送されたシートの組み合わせが合致しない場合(S56,No)、ラミネート処理装置200は、異常と判断しつつ(S57)、シート搬送を再開して(S58)、シートを非熱加圧搬送路126に搬送し(S59)、後処理装置600に排出し(S60)、画像形成装置300にエラー通知を行う(S61)。エラー通知を受けた画像形成装置300は操作パネル10上にエラー画面を表示する。
【0111】
一方で、設定された処理と搬送されたシートの組み合わせが合致していて(S56,Yes)、設定された処理がラミネート処理であり、かつ搬送されたシートがラミネートフィルムであった場合(S62,Yes)、ラミネート処理装置200は、シートの搬送を再開し(S63)、先に説明したシート剥離動作を行い(S64)、シート剥離動作完了後に(S65)、画像形成装置300に印刷ジョブのスタートを通知する(S66)。その後、ラミネート処理装置200は、剥離したシートへ中紙Pを挿入し(S67)、熱加圧ローラ120(定着Md)への搬送を行い、ラミネート処理を行う(S68)。次に、ラミネート処理されたシートSは後処理装置600に排出される(S69)。
【0112】
一方で、設定された処理と搬送されたシートの組み合わせが合致していて(S56,Yes)、設定された処理がインサート処理で、かつ搬送されたシートがシート状媒体(用紙)であった場合(S62,No)、ラミネート処理装置200は、画像形成装置300に印刷ジョブのスタートを通知し(S70)、画像形成装置300から搬送されるシート状媒体の枚数がインサート位置として設定された枚数に一致するまで(S71,No)、画像形成装置300から搬送されるシート状媒体を、非熱加圧搬送路126を通して後処理装置600に排出する(S74)。そして、画像形成装置300から搬送されるシート状媒体の枚数がインサート位置として設定された枚数に一致した場合(S71,Yes)、前記シートの搬送を再開し(S72)、前記シートを非熱加圧搬送路126を通して(S73)、後処理装置600に排出する(S69)。
【0113】
ステップS55におけるシート判別処理によって、選択されたモードとシートトレイ102に積載されているシートが合致しているかを判定してから、画像形成装置300の印刷ジョブをスタートすることで(S66,S70)、エラー発生時に画像形成装置300の内部でジャムが発生することを回避できる。
【0114】
一方で、ラミネート処理とインサート処理のどちらも選択されない場合(S51,No)、画像形成装置300の印刷動作を開始し(S75)、ラミネート処理装置200は、画像形成装置300から搬送されるシート状媒体を非熱加圧搬送路126に通し(S76)、後処理装置600に排出する(S69)。
【0115】
以上のように、本発明の実施形態に係るラミネート処理装置200は、ラミネートフィルムを積載・給紙するシートトレイ102から挿入紙Iの積載・給紙を可能とすることにより、ラミネート処理をするラミネートモードと、ラミネート処理をせずに挿入紙Iを挿入するインサートモードとを有する。これにより、接続マシンを追加することなくインサータとラミネータの2つの機能を得ることができ、これら後処理機能を持つ装置を小型化できる。よって、ラミネートフィルム同士のくっつきを防ぎ、コンパクトで使い勝手が良い、複数の後処理機能を有するラミネート処理装置が実現される。
【符号の説明】
【0116】
102 シートトレイ(積載手段)
120 熱加圧ローラ(熱加圧部材)
126 非熱加圧搬送路
128 熱加圧搬送路
200 ラミネート処理装置
S シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0117】
【文献】特開2006-160429号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14
図15
図16
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図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
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図26
図27
図28
図29