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特許7440215水素ラジカルを使用するための装置およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】水素ラジカルを使用するための装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240220BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20240220BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20240220BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H01L21/302 101D
B01J19/08 E
H05H1/46 B
C23C16/44 J
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019083810
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2019205995
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】15/974,948
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】シン・リン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンタオ・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ペイペイ・ガオ
(72)【発明者】
【氏名】フェイ・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ブベシュ・バブ・ジョティーズワラン
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-049529(JP,A)
【文献】特表2018-506859(JP,A)
【文献】特開2004-099972(JP,A)
【文献】国際公開第2008/114753(WO,A1)
【文献】特開2008-303442(JP,A)
【文献】特開2003-093869(JP,A)
【文献】特開2002-158219(JP,A)
【文献】特開2010-010154(JP,A)
【文献】特開2010-153680(JP,A)
【文献】特表2015-529395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00-12
C23C 16/44-517
H01L 21/302-308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器システムであって、
反応チャンバー空間および内表面を備える反応チャンバーと、
前記反応チャンバーに連結する遠隔プラズマ源と、
前記反応チャンバーと前記遠隔プラズマ源との間の搬送経路と、
それらの間にチャンバーを画定する頂部および底部を有するガス分配装置であって、前記底部は、それ自体を貫通して形成され、前記チャンバーと前記反応チャンバー空間との間を流体連通する複数の穴を有し、前記頂部は、前記ガス分配装置に入る全てのガスを受け入れるように構成された入口を有し、前記底部は、中央領域と外側領域とを有し、前記中央領域は、前記複数の穴のうち、第1の直径を有する穴を有し、前記外側領域は、前記複数の穴のうち、第2の直径を有する穴を有し、前記中央領域は、前記底部の75パーセント~99パーセントである、ガス分配装置と、
前記ガス分配装置の前記チャンバー内に全体が配置されたマニホールドプレートであって、前記マニホールドプレートが、
前記頂部の前記入口と前記反応チャンバーとの間を流体連通する複数のガスチャネルであって、全てのガスが前記入口から前記マニホールドプレートの前記複数のガスチャネルを通って前記チャンバー内に移動し、前記底部の前記複数の穴を通って前記反応チャンバー空間内に移動するように構成され、前記複数のガスチャネルの各々は、前記チャンバーの前記中央領域から前記チャンバーの端部までの距離の20パーセント~80パーセントの間で延在し、前記複数のガスチャネルは、前記底部の前記中央領域から全てのガスを分配するように構成されている、複数のガスチャネル、
を有するマニホールドプレートと、
前記遠隔プラズマ源に連結する水素源と、を備え、
前記搬送経路と前記内表面の一部とは、コーティングを備え、前記コーティングは、非多孔質ALD酸化アルミニウムコーティングおよび非多孔質陽極酸化アルミニウムコーティングの少なくとも一方を含む、反応器システム。
【請求項2】
前記コーティングは、原子層堆積を用いて形成される、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項3】
前記コーティングは、前記非多孔質ALD酸化アルミニウムコーティングを含み、前記コーティングの厚さは、約100nm~約750nmの範囲である、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項4】
前記コーティングは陽極酸化処理を用いて形成され、前記コーティングは非多孔質である、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項5】
前記コーティングの平均表面粗さは、約0.1μm~約0.8μmの範囲である、請求項に記載の反応器システム。
【請求項6】
前記コーティングは、前記非多孔質陽極酸化アルミニウムコーティングを含み、前記コーティングの厚さは、約450nmである、請求項に記載の反応器システム。
【請求項7】
第二の遠隔プラズマユニットと、前記第二の遠隔プラズマユニットと前記反応チャンバーとの間の第二の搬送経路と、をさらに備え、前記第二の搬送経路は、前記コーティングを備える、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項8】
前記ガス分配装置は、前記コーティングを備える、請求項1に記載の反応器システム。
【請求項9】
前記マニホールドプレートは、約2~約50のガスチャネルを備える、請求項に記載の反応器システム。
【請求項10】
前記穴の各々の直径は、約0.5mm~約3mmの範囲である、請求項に記載の反応器システム。
【請求項11】
前記ガスチャネルの各々の直径は、約5mm~約15mmの範囲である、請求項に記載の反応器システム。
【請求項12】
前記中央領域内の前記穴の直径は、約0.5mm~約1.5mmである、請求項に記載の反応器システム。
【請求項13】
前記外側領域内の前記穴の直径は、約1mm~約3mmである、請求項に記載の反応器システム。
【請求項14】
前記外側領域における前記複数の穴の密度は、前記中央領域における前記複数の穴の密度よりも大きい、請求項に記載の反応器システム。
【請求項15】
前記外側領域の周囲は、前記反応チャンバー内で処理される基材の周囲よりも大きい、請求項に記載の反応器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね、電子デバイスを製造するための装置及び方法に関する。より具体的には、本開示は、水素ラジカルを使用する装置、その構成材料、ならびにその形成方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス、例えば半導体デバイスの製造中に、膜堆積プロセスの前に基材の表面から汚染物質を除去することが多くの場合望ましい。除去しなければ、表面上の汚染物質は、基材を用いて形成されるデバイスの機械的および/または電気的特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
例として、いくつかのデバイス製造プロセスは、基材表面の一部の上への膜の選択的堆積を含むことができ、膜は、基材表面上のある部分(例えば、第一の材料)上に、別の部分(例えば、第二の物質)に対して選択的に形成される。このような場合、酸素系汚染物質(例えば、酸化物、例えば金属酸化物および非金属酸化物)ならびに炭素系汚染物質、例えば炭素質汚染物質および炭化水素汚染物質を、基材表面から除去することが特に望ましい場合がある。
【0004】
汚染物質を除去する典型的な方法は、炭素系または酸素系のいずれかの汚染物質のうちの一つを除去することに注目しているが、両方の除去ではない。これは、一つには、従来の方法の装置上の制限に起因する可能性がある。例えば、典型的なプロセスは、酸素系汚染物質を除去するためにフッ化水素酸ウエットプロセスを使用することを含むことができる。あるいは、フッ素含有ガスを活性化することから形成されるフッ素ラジカルを用いて、酸素系物質を除去することができる。残念なことに、フッ素ラジカルは一般的に、炭素除去に望ましい反応器構成材料、例えば石英、に対して腐食性が高く、腐食は、反応チャンバーの劣化および反応器構成材料の劣化を招く可能性があり、これも粒子の発生を招く可能性がある。
【0005】
水素ラジカルを含む活性水素ガスを用いて、基材表面から炭素を除去することができる。これらの場合、石英は水素ラジカル再結合を軽減するための好ましい反応器構成材料であることができる。しかし、石英は比較的劣った熱伝達特性を示し、基材表面全体での劣った温度均一性をもたらす。更に、シャワーヘッド反応器設計の場合、水素ラジカルは一般的にシャワーヘッドの中央領域でシャワーヘッドに入り、そしてラジカルがしばしば再結合するシャワーヘッドの縁部まで水平に移動する。結果として、基材の中心部は、基材の外周部と比較して、より高密度の水素ラジカルに曝される可能性があり、基材の中心から端部への除去の不均一性をもたらす。したがって、炭素系および酸素系汚染物質の両方を除去するシステムおよび方法が望まれている。追加的または代替的に、例えば炭素系汚染物質を除去するためのプロセス中に、基材表面に水素ラジカルを比較的均一に分布させるための改良された方法および装置が望まれる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の様々な実施形態は、反応種、例えば、活性水素種(例えば、水素ラジカル)および/または(例えば、一つまたは複数のハロゲン含有ガスに由来する)他の活性種を基材の表面にもたらすための改善された方法、装置、およびシステムを提供する。例示的な方法およびシステムを用いて、炭素含有物質(例えば、汚染物質)および/または酸素含有物質(例えば、汚染物質)を基材の表面から除去することができる。様々な欠点がある従来技術の方法が以下でより詳細に論じられるが、概ね、本明細書に記載される方法およびシステムは、基材の表面全体に水素ラジカルを比較的均一に分配することができる。追加的または代替的に、例示的な方法およびシステムを用いて、炭素含有汚染物質および酸素含有汚染物質の両方を基材表面から除去することができる。
【0007】
本開示の少なくとも一つの例示的実施形態では、反応器システムは、内表面を備える反応チャンバーと、反応チャンバーに連結する遠隔プラズマ源と、遠隔プラズマ源に連結する水素源と、を備え、内表面の少なくとも一部は、コーティング、例えば金属酸化物コーティングを備える。コーティングは、活性種、例えば水素ラジカルの再結合を軽減するために、比較的非多孔質および/または平滑とすることができる。原子層堆積または陽極酸化処理を用いて、非多孔質コーティングを形成することができる。
【0008】
本開示の少なくとも別の例示的な実施形態では、ガス分配装置は、頂部(例えば、天板)と、そこを通って形成される複数の穴を有する底部(例えば、底板)と、それらの間のマニホールドプレートと、を備える。マニホールドプレートは、マニホールドプレートの中央領域からマニホールドプレートの周辺部まで径方向に延在する複数のガスチャネルを備え、ガス分配装置内で、したがって基材の表面に活性種(例えば、水素ラジカル)を容易により均一に分布させることができる。本明細書に記載のように、頂部、底部、および/またはマニホールドプレートの内部をコーティング材、例えば金属酸化物でコーティングすることができる。コーティングは、水素ラジカルの寿命を容易に更に延ばすことができ、それによってラジカルの分布および基材処理の均一性を更に増大させることができる。
【0009】
本開示の少なくとも一つの別の実施形態では、ガス分配装置は、ガスを受け入れるための開口部を有する頂部(例えば、天板)と、底部(例えば、底板)であって、底部はそれを貫通して形成される複数の穴を有し、中央領域と外側領域とを備える、底部と、頂部と底部との間に形成されるチャンバーと、を備える。基材表面へ活性種の所望の分布を促進するために、底部は:外側領域の穴の直径は、中央領域の穴の直径よりも大きいこと;外側領域における穴の(底部の底面の単位表面積当たり)密度は、中央領域における穴の密度より大きいこと;外側領域の周囲は、ガス分配システムを備える反応チャンバー内で処理される基材の周囲よりも大きいこと;のうちの一つまたは複数を含むことができる。
【0010】
本発明の態様および関連技術を超えて達成される利点を要約するために、本発明のいくつかの目的および利点を本開示に記載する。当然のことながら、必ずしもこうした目的又は利点の全てが本発明の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。したがって、例えば、当業者であれば、本明細書で教示または示唆される他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される一つの利点または利点の群を達成または最適化する方法で、本発明が具現化または実行され得ることを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の実施形態のより完全な理解は、以下の例示的な図面に関連して考慮される場合、発明を実施するための形態及び特許請求の範囲を参照することによって得られることができる。
【0012】
図1図1は典型的なガス分配装置における水素ラジカルの濃度プロファイルである。
図2図2は典型的なガス分配装置における水素ラジカルの濃度プロファイルである。
図3図3は本開示の少なくとも一つの実施形態による反応器システムの断面図である。
図4図4は本開示の少なくとも一つの実施形態による別の反応器システムの断面図である。
図5A図5Aは本開示の少なくとも一つの実施形態によるシャワーヘッド排気部を備える反応器システムの図である。
図5B図5Bは本開示の少なくとも一つの実施形態によるシャワーヘッド排気部を備える反応器システムの図である。
図6図6A、6B、および6Cは例示的な反応器構成材料のコーティングである。
図7図7は本開示の少なくとも一つの例示的実施形態による、石英ガス分配装置内およびコーティングを有するガス分配装置内の水素ラジカル分布である。
図8図8は本開示の少なくとも一つの実施形態による、コーティングを備えるガス分配装置の一部である。
図9図9は本開示の少なくとも一つの実施形態による、マニホールドプレートを備えるガス分配装置である。
図10図10は本開示の少なくとも一つの実施形態による、マニホールドプレートを備えるガス分配装置の一部である。
図11図11は本開示の少なくとも一つの実施形態による、マニホールドプレートを備えるガス分配装置に使用するための留め具である。
図12図12A、12B、および12Cは本開示の少なくとも一つの実施形態による、マニホールドプレートを備えるガス分配装置内の溶接継手およびダボである。
図13図13は本開示の少なくとも一つの実施形態による、マニホールドプレートを備えるガス分配装置の底部の底面である。
図14図14A、14B、および14Cは本開示の実施形態による、例示的なガス分配装置である。
図15】15Aおよび15Bは本開示の実施形態による、例示的なガス分配装置である。
【0013】
当然のことながら、図内の要素は、単純かつ明瞭にするために例示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、図面中のいくつかの要素の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上に役立つために、他の要素に対して誇張されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に提供される方法、システム、および装置の例示的な実施形態の説明は単なる例示であり、例示のみを目的としており、以下の説明は、本開示の範囲も特許請求の範囲も限定することを意図しない。更に、記載された特徴を有する複数の実施形態の列挙は、追加の特徴を有する他の実施形態も、記載された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態をも排除することを意図していない。
【0015】
以下により詳細に説明するように、本明細書に記載の例示的な方法、装置、およびシステムを、電子デバイス、例えば半導体デバイスの製造に使用することができる。特に、例示的なシステムを使用して、例えば基材表面から汚染物質を洗浄または除去するために、基材の表面に(例えば、水素および/またはハロゲンガスに由来する)活性種を供給することができる。本開示において、「ガス」は、気化した固体および/または液体を含むことができ、状況に応じて単一のガスまたはガスの混合物によって構成されることができる。例示的な方法、装置、およびシステムは、反応器内および/もしくは反応器のガス分配装置内の活性種(例えば、水素ラジカルおよび/または活性ハロゲン種)の寿命を延ばすことができ、ならびに/または活性種をより均一に分布させることができる。
【0016】
方法、装置、およびシステムは、例えば炭素系汚染物質(本明細書では炭素系物質とも呼ばれる)および/または酸素系汚染物質(本明細書では酸素系物質とも呼ばれる)を除去する能力を有する単一のプロセスチャンバーを有する反応器システムを使用または含むことができる。例として、方法、装置、およびシステムを用いて、以下の材料:例えばシリコン、シリコンゲルマニウム、またはゲルマニウム、のうちの少なくとも一つを含む半導体基材を洗浄することができる。一実施形態では、シリコンゲルマニウム中のゲルマニウムの割合は、10%~90%まで変動し得る。また、本開示の実施形態は、炭素層、例えばアドバンスドパターニングフィルム(APF)、フォトレジスト、またはCHFx、SiOF、SiC、もしくはSiOCを含む他の炭素汚染物をエッチングするために使用されることができる。更に、本開示の実施形態は、誘電体材料、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、シリコンカルボキシド、およびシリコンカルボキシナイトライド、の表面を洗浄するために使用されることができる。更に、本開示の実施形態は、パターン形成された基材表面に適用されることができる。例示的な方法を用いて、金属炭化物、例えばTiAlCまたはTaAlC等から金属を除去することもできる。
【0017】
活性水素、例えば遠隔プラズマによって生成される水素ラジカルを用いて、気相反応器中の炭素系物質を除去することができる。しかし、より暗い領域がより高い濃度の水素ラジカルを示す図1に例示されるように、水素ラジカルは、ガス分配装置を出る前に、または基材表面に達する前にしばしば再結合して水素ガスを形成する場合がある。例示の例では、水素ラジカルは、ラジカルを含むガスがガス分配装置を通って下方に移動するにつれて欠乏し、ガスがガス分配装置の底部で径方向外側に移動し始めると更に欠乏する。これは、水素の拡散速度が速いためであると考えられており、これにより水素は速やかに表面に到達して表面と反応し、そこで再結合現象が起こる。図2は、基材の表面全体での水素ラジカルの典型的な分布を示しており、ここで水素ラジカルは、基材の中心と比較して基材の周辺部付近で欠乏している。
【0018】
図3は、本開示の少なくとも一つの実施形態による反応器システム300を例示する。システム300は、反応チャンバー310、サセプタ320、シャワーヘッド330、遠隔プラズマユニット340、および遠隔プラズマユニット340と反応チャンバー310との間の搬送経路345を備える。基材350は、処理のためにサセプタ320上に配置される。
【0019】
反応チャンバー310は、少なくとも部分的に、基材350が処理される空間を画定する。遠隔プラズマユニット340で生成される水素ラジカルの寿命を延ばすために、反応チャンバー310もしくはその一部、サセプタ320、シャワーヘッド330、および/もしくは搬送経路345を、(例えば、コーティング355として例示する)材料でコーティングすることができ、ならびに/または、バルクセラミック材料で形成することができ、これにより、水素ラジカルの寿命を延ばし、かつ、他の活性種、例えば一つもしくは複数のハロゲン含有ガスから誘導される(例えばラジカルを含む)活性種と適合することができる。コーティング355の材料は、陽極酸化アルミニウム(Al)、原子層堆積(ALD)で形成された酸化アルミニウム、プラズマスプレーAl、自然酸化アルミニウムを有する裸のアルミニウム部品、酸化イットリウム(Y)、酸化イットリウム安定化酸化ジルコニウム(YSZ)、酸化ジルコニウム(ZrO))、ランタンジルコニウム酸化物(LZO)、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、オキシフッ化イットリウム(YOF)、上記材料の組み合わせ、または他のガラス相材料でドープされた上記基材のうちの少なくとも一つを含む、金属酸化物を含むことができる。場合によっては、コーティング材料は二つの層から作られる。例えば、第一の層を陽極酸化Alでコーティングし、第二の層をALDで形成されたAlでコーティングすることができる。コーティングは、非晶質相、結晶相、又は混合相であってもよい。バルクセラミック材料は、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、又は酸化イットリウム安定化酸化ジルコニウム(YSZ)を含むことができる。本開示の特定の例示的実施形態では、コーティングは、材料、例えば金属と比較してより低い再結合係数を有する例えば酸化物材料(例えば金属酸化物)を含み、したがって反応器システム300内の水素ラジカルの寿命を容易に延ばすために使用できる。上記の金属酸化物、例えばAlおよびYもまた、活性ハロゲン(例えば、フッ素含有)ガスの存在下で良好な耐食性を示す。これらのセラミック材料、特にAlは比較的安価であり、そして様々な製造方法で大型の加工部品上にコーティングすることができる。本発明者らは、平滑な(例えば、基材350の平均粗さ(Ra)と同じまたは類似であることができる、約0.1~0.8μmの平均または平均粗さ(Ra)を有する)、非多孔質(例えば、<1%の気孔率)の金属酸化物コーティングは、反応器システム内の水素ラジカル寿命を延ばすのにうまく機能することを見出した。平滑な非多孔質のコーティングを達成するための一つの方法は、原子層堆積を用いてコーティング材料を堆積することである。この場合、コーティングの厚さは、約100nm~約750nm、または約250nm~約500nmの範囲とすることができる。平滑な非多孔質のコーティングを得るための第二の方法は、約100nm~約1000、約100nm~約750nm、または約250nm~約500nmの厚さを有する非多孔質陽極酸化(例えば、Al)コーティングを形成することである。
【0020】
図6A、6B、および6Cは、図6A:従来の陽極酸化(Al)コーティング、図6B:非多孔質ALDコーティング、および図6C:非多孔質陽極酸化コーティング、の透過型電子顕微鏡画像を示す。図6Aに示すように、従来の陽極酸化プロセスを使用して形成されるコーティングは、ヘキソゲンホールパターンを示し、それは水素ラジカルを捕捉する可能性があり、それは次に水素ラジカルの比較的短い寿命を招く可能性がある。対照的に、非多孔質Alコーティングは、比較的平滑な非多孔質表面を示し、その結果、比較的低い水素ラジカルの表面再結合および典型的な石英材料よりも更に優れた性能をもたらす。図7は、Alコーティング表面を備える反応器システムと石英表面を備える反応器システムとの間の基材表面上の炭素除去速度の比較を示す。
【0021】
本明細書に記載のコーティングに好適な例示的なALDプロセスは、例えば、約150℃~約400℃で約1~約10Torrで行われ得る。
【0022】
一般的に、非多孔質陽極酸化処理を用いて、比較的薄い(例えば、最大100ミクロンの膜を堆積する従来の陽極酸化処理と比較して1ミクロン未満の厚さを有する)膜を堆積させることができる。更に、典型的な陽極酸化処理と比較して、一般的に、より多くの要因、例えば印加電圧、電解質組成、表面前処理などを用いて、非多孔質陽極酸化処理を用いて形成される膜を最適化することができる。
【0023】
以下により詳細に説明するように、(図8に例示される)コーティング804が様々な反応器システム100の部分を、ガス分配装置の底部800内に形成される穴802のような小さな形体全域でさえ均一にコーティングするように、上述のALDおよび非多孔質方法は共形であることができる。図示の例では、D1は約0.5mm~約4mmの範囲とすることができ、D2は約0.5mm~約8mmの範囲とすることができ、D3は約0.5mm~約8mmの範囲とすることができる。従来技術、例えばプラズマまたは溶射Alコーティング技術は、一般的に、反応器システム内のこのような形体を均一にコーティングすることができない。コーティングで適切にコーティングされない全ての領域は腐食の影響を受けやすく、それは基材表面上に粒子や欠陥が発生させる可能性がある。
【0024】
再び図6を参照すると、ALDおよび非多孔質陽極酸化Alコーティングの両方は、比較的緻密であり(例えば、>3.1g/cm)、アグレッシブ(例えば、F含有)プラズマに耐えることができる。極めて過酷なICPプラズマ腐食試験は、非多孔質Alコーティングの耐食性がバルクAl材料に匹敵することを示す。これらの材料の場合、反応性Fイオンおよび/またはラジカルは数nmだけコーティング表面に浸透し、AlFパッシベーション層を形成する。典型的な炭素および/または酸化物残渣除去プロセスでは、コーティング表面は反応性フッ素ラジカルによって損傷を受けなかった。更に、コーティング355は比較的薄い(例えば、約100nm~約1000nm)ため、コーティングは約500℃までの高温でもクラックに対して比較的耐性がある。これは高温を必要とするいくつかのプロセスにとって有益である。例えば、SiGe前洗浄プロセスのための炭素物質除去において、効果的な洗浄は一般的に比較的高い温度(例えば、約150℃~約300℃)を必要とする。したがって、このような温度に曝される場合にクラックまたは剥離しないコーティングが望ましい。
【0025】
図3を再び参照すると、例示の例では、反応器システム300は、第一のガス源360、第二のガス源370、第三のガス源380、および第四のガス源390を備えることができ、これら全ては、遠隔プラズマユニット340にガスを供給することができる。第一のガス供給源360、第二のガス供給源370、第三のガス供給源380、および第四のガス供給源390のうちの一つまたは複数は、追加的または代替的に、遠隔プラズマユニット340を通過することなく、直接反応チャンバー310内にガスを供給するように構成されることができる。四つのガス源を用いて例示されているが、反応器システム100は任意の好適な数のガス源を備えることができ、四つ全てのガス源を含む必要はない。
【0026】
第一のガス源360は、活性ハロゲン種、例えばフッ素ラジカル、例えばNF、CF、C、C、C、COF、SF、またはWFを生成する前駆体ガス源を含むことができる。第二のガス源370は、水素ラジカル、例えばH、NH、および/またはHOを生成するガス源を含むことができる。追加的または代替的に、第二のガス源370は、酸素ラジカル、例えば酸素またはオゾンを生成するガスを含むことができる。第三のガス源380は、NH.源とすることができる。第四のガス源190は、不活性ガス、例えばアルゴン、ヘリウム、またはネオンの供給源とすることができる。
【0027】
遠隔プラズマユニット340は、一つまたは複数の原料ガス(例えば、第一のガス源360、第二のガス源370、第三のガス源380、および/または第四のガス源390からの一つまたは複数のガス)から活性種(例えば、ラジカル)を生成する。次に、生成したラジカルは、ガス分配装置(例えば、シャワーヘッド)330を通って反応チャンバー110に入り、そして基材350上へ流れる。遠隔プラズマ源は、異なるRF周波数、例えば400kHz、2MHz、60MHz、及び2.56GHzのマイクロ波源によって駆動されるトロイダル型ICP源、又はコイル式ICP源を含み得る。特定の例として、遠隔プラズマユニット340は、例えば、MKS Instruments製のParagon H*遠隔プラズマユニットとすることができる、またはそれを備えることができる。
【0028】
図4は、本開示の少なくとも一つの実施形態による別の反応器システム400を例示する。反応器システム400は、反応器システム300と同様であることができ、反応チャンバー410、サセプタ420、ガス分配装置(例えば、シャワーヘッド)430、第一の遠隔プラズマユニット440、第二の遠隔プラズマユニット445、第一の遠隔プラズマユニット440の下の搬送経路446、および第二の遠隔プラズマユニット445の下の第二の搬送経路447を備える。基材450は、処理のためにサセプタ420上に配置される。反応器システム400はまた、第一のゲートバルブ448、および/または第二のゲートバルブ449を備えてもよい。
【0029】
反応チャンバー410は、基材450が処理される空間を少なくとも部分的に画定する。反応チャンバー410、サセプタ420、および/またはシャワーヘッド430は、材料(例えば、コーティング495)でコーティングされること、ならびに/または、水素ラジカルの寿命を容易に延長させる、および/もしくは異なるラジカルと適合できる材料、例えば上記のコーティング材および材料のいずれかを含むことができ、ならびに上記の方法のいずれかを用いて形成することができる。
【0030】
例示の例では、反応器システム400は、第一の遠隔プラズマユニット440、第二の遠隔プラズマユニット445に、および/または直接反応チャンバー410にガスを供給することができる第一のガス源460、第二のガス源470、第三のガス源480、および第四のガス源490を備える。第一のガス源460、第二のガス源470、第三のガス源480、および/または第四のガス源490は、図3に関連して上述した対応するガス源と同じまたは類似であることができる。第一の遠隔プラズマユニット440および第二の遠隔プラズマユニット445は、異なるRF周波数、例えば400kHz、2MHz、60MHz、および2.56GHzマイクロ波源によって駆動されるトロイダル型ICP源またはコイル型ICP源を備えるか、それらであってもよい。そして、第一の遠隔プラズマユニット440および第二の遠隔プラズマユニット445の少なくとも一方は、MKS Instruments製のParagon H*遠隔プラズマユニットとすることができるか、またはそれを備えることができる。
【0031】
例示的な例では、第一の遠隔プラズマユニット440を用いて、(例えば、フッ素ラジカルを含む)第一の種類の活性種を形成することができ、第二の遠隔プラズマユニット445を用いて、ガス源から第二の種類の活性種(例えば、水素ラジカル)を形成することができる。生成されたラジカルは次にガス分配装置(例えばシャワーヘッド)430を通って反応チャンバー410に入り、次に基材450上に流れることができる。一つの遠隔プラズマユニットによって生成されたラジカルが第二の遠隔プラズマへ逆流するのを防ぐために、ゲートバルブ448および449をそれぞれの遠隔プラズマユニットの出口またはその近くに配置することができる。
【0032】
図5Aおよび図5Bは、本開示の少なくとも一つの例示的実施形態による別の反応器システム500を例示する。反応器システム500は、上記の反応器システム300および400に関連する、同一または類似の構成要素を備えることができ、同一または類似のコーティング、ガス源および/または遠隔プラズマユニットを備えることができる。
【0033】
反応器システム500は、反応チャンバー502、ガス分配装置(例えば、シャワーヘッド)504、およびシャワーヘッド排気部506を備える。不活性キャリアガスを含む活性種は、導管508を通ってプレナム507に搬送されることができ、ここでごく一部のガス混合物のみがシャワーヘッド504のガス穴を通って分配され、残りはシャワーヘッドの排気部506に、そして最終的には真空ポンプ内に分配される。シャワーヘッド排気部506に入る混合物の割合は、プロセスの調整および最適化のためにPCVバルブによって調整されるであろう。この方法の利点は、中心と縁部との間のH*搬送時間の減少によりプレナム内のH*ラジカル濃度がはるかにより均一になり、最終的に炭素除去の不均一性が減少することである。また、シャワーヘッド504の前の活性種濃度が減少しないので、酸化物除去の不均一性が改善されないとしても、不均一性は変化しない。反応器システム300および400と同様に、一つまたは複数の遠隔プラズマユニットからの活性種を導管搬送経路)508で受け入れることができる。反応器システム500のウエット表面はいずれも、反応器システム300および400に関連して上述した材料のいずれかでコーティング、および/または形成されることができ、ならびに上記の方法を用いて形成されることができる。
【0034】
ここで図9および図10を見ると、マニホールドプレート906を備える例示的なガス分配装置900が例示される。ガス分配装置900は、頂部902、底部904、およびマニホールドプレート906を備える。ガス分配装置900を、例えば反応器システム300、400、500のいずれかと関連して使用することができ、活性種、例えば、ガス分配システム900内および反応器システム内の(例えば、反応器システムの反応チャンバー内の基材表面全体の)水素ラジカルの寿命を容易に更に延ばすことができる。
【0035】
動作中、一つまたは複数のガスが頂部902の入口914で受け取られ、頂部902と底部904との間に形成されるチャンバー916内に分散される。次に、ガスは、ガス分配装置900の下にある基材に分配される。
【0036】
頂部902はプレートであるかまたはそれを備えることができる。プレートを、例えば、アルミニウムまたは上記の材料のうちの一つまたは複数から形成することができる。一つまたは複数の表面、例えば頂部902の表面908を、材料、例えばコーティング355または495のいずれかでコーティングすることができる。
【0037】
底部904はプレートであるかまたはそれを備えることができる。プレートを、例えば、アルミニウムおよび/もしくはニッケル、または上記の材料のうちの一つまたは複数から形成することができる。一つまたは複数の表面、例えば底部904の表面910を、材料、例えばコーティング355または495のいずれかでコーティングすることができる。底部904は、ガスがチャンバー916から基材表面へと移動することができる、(穴802と同一とするまたは類似することができる)複数の穴912を備える。穴912は、均一に分布させることができ、および/またはほぼ同じサイズにすることができ、または以下により詳細に説明する他の構成にすることができる。
【0038】
マニホールドプレート906を用いて、遠隔プラズマユニット、例えば遠隔プラズマユニット340、440、445のいずれかから活性種(例えば、水素ラジカル)を容易により均一に分布させることができる。マニホールドプレート906は、活性種をガス分配装置900の中心から離れた領域に分配するための複数のガスチャネル918、920を備える。例示のように、ガスチャネル918、920は、入口914からのガスの流れに対してほぼ垂直にすることができ、径方向におよび/または入口の流れに対して垂直に延在することができる。各ガスチャネルは、チャンバー916の半径または同様の寸法の約10パーセント~約100パーセント、または約20パーセント~約80パーセント、または約40パーセント~約70パーセント延在することができる。各ガス分配チャネル918、920は、約2mm~約20mm、または約5mm~約15mm、または約7mm~約12mmの直径を有する。一般的に、直径(または同様の断面寸法)は、水素の径方向再結合を緩和するのに十分なほど大きくなければならない。マニホールドプレート906は、任意の好適な数のガスチャネルを備えることができ、例えば、マニホールドプレート906は、約2~約50、約4~約48、または約10~約30のチャネルを備えることができる。場合によっては、他の要因、例えば温度等による不均一性を補償するために、ガスチャネル918、920は不均一に分布され、および/または不均一なサイズであってもよい(例えば、チャネルの長さおよび/または直径が変化してもよい)。
【0039】
図11および図12A図12Cは、マニホールドプレート906を頂部902および底部904のうちの一つまたは複数に結合するための例示的な方法を例示する。図11は、留め具1102(例えば、上記のコーティング材でコーティングされたねじまたはボルト)の用途を示す。留め具1102は、副産物の蓄積を減らすために、留め具の底部中央またはその近くに貫通孔1104を備えることができる。
【0040】
図12Aおよび図12Bは、マニホールドプレート906を頂部902に結合するために使用される溶接接合部1202、1204を示す。溶接接合部1202、1204を、例えば、電子ビーム溶接技術によって形成することができる。留め具1102に加えて、またはその代わりとして、溶接接合部1202、1204を使用することができる。
【0041】
図12Cは、マニホールドプレート906を頂部902に固定するために使用されることができるダボ1206を例示する。ダボ1206を、例えばステンレス鋼で形成することができる。
【0042】
ここで図13を見ると、底部904としての使用に好適な底部1300が例示されている。底部1300は、複数の穴1302を含む中央領域1306と、複数の穴1304を含む外側領域1308とを備える。中央領域1306は、底部1300の底面の約10パーセント~約99パーセント、約25パーセント~約75パーセント、または約75パーセント~約99パーセントを含むことができる。一例では、外側領域は、最も外側の穴1304の輪を含む。穴は、例えば、同心円状の穴の輪として構成されることができる。本開示の少なくとも一つの例示的実施形態では、外側領域1308内の穴1304の直径は、約1mm~約3mm、約1.5~約2.5mm、または約1.8mm~約2.2mmの範囲である。中央領域1306内の穴1302の直径は、約0.5mm~約1.5mm、約0.75~約1.25mm、または約0.8mm~約1.2mmの範囲とすることができる。
【0043】
図14A図14Cは、底部1300の外縁に、より大きな直径の穴を使用することの効果を例示する。図14Aでは、全ての穴は同じ直径(1mm)である。この場合、外側領域1308と比較して中央領域1306内の水素ラジカルの濃度がより高いので、水素ラジカルの分布は一様ではない。図14Bでは、外側領域1308の穴の直径は1.5mmに増大し、水素ラジカルの分布の均一性が改善されている。図14Cでは、外側領域1308の穴の直径は2mmに増大し、水素ラジカルの分布の均一性が更に改善されている。更に、(図14Aに例示する)エッジロールオフ輪郭ではなく(図14Cに例示する)エッジチルト輪郭を示すように、外側領域1308内の穴の配置および/または直径を調整することができる。
【0044】
本開示の更なる例示的実施形態では、底部1300は、異なるサイズの穴を有することに加えて、またはその代わりに、底部1300の中心から径方向に延在する領域において様々な穴密度を有することができる。例えば、穴の密度は、底部1300の中心から底部1300の外縁まで(例えば、直線的に、幾何学的に等)増加することができる。種(例えば、水素ラジカル)を均一に分布させるように、穴の密度を設計することができる。
【0045】
本開示のなお更なる例示的実施形態では、底部1300は、異なるサイズおよび/もしくは密度の穴を有することに加えて、またはその代わりに、処理される基材のサイズよりも大きいサイズを有することができる。例えば、同様の寸法の直径は、処理される基材の直径(または同様の寸法)よりも約1パーセント~約100パーセント、約2パーセント~約50パーセント、または約5パーセント~約30パーセント大きいとすることができる。図15Aは下にある基材1504とほぼ同じサイズである底部1502を示し、図15Bは下にある基材1508よりも大きい底部1506を示す、図15Aおよび図15Bに例示するように、基材よりも大きい底部を設けることは、いかなるエッジロールオフも更に減少させると考えられる。図15Aに例示される装置と比較して、図15Bに例示される装置を使用することによって、ロールオフの影響は低減される。
【0046】
本開示の例示的実施形態による方法は、酸化物変換工程と、酸化物昇華工程と、炭素除去工程と、を含む。これらの工程のいずれも必要に応じて繰り返すことができる。この方法全体も必要に応じて繰り返すこともできる。
【0047】
本開示の少なくとも一つの他の実施形態による別の方法は、炭素除去工程と、酸化物変換工程と、酸化物昇華工程と、を含む。これらの工程のいずれも必要に応じて繰り返すことができ、方法全体を必要に応じて繰り返すことができる。
【0048】
本開示による更に別の方法は、炭素除去工程と、酸化物変換工程と、酸化物昇華工程と、炭素除去工程と、を含む。これらの工程のいずれも必要に応じて繰り返すことができ、方法全体を必要に応じて繰り返しサイクルにより繰り返すことができる。
【0049】
例示的な酸化物変換工程は、気体前駆体を遠隔プラズマユニット内に流す工程と、生成されたラジカルおよび追加の前駆体を基材上に流す工程と、を含む。本開示の少なくとも一つの実施形態では、気体前駆体を流す工程は、のアルゴン、水素、およびNFを遠隔プラズマユニット内へ流す工程を含む。アルゴンの流量は、0.01~20slm、0.1~10slm、又は1~8slmの範囲とすることができる。水素の流量は、10sccm~1500slm、25~1200slm、又は50sccm~1000slmの範囲とすることができる。NFは、プラズマが遠隔プラズマ装置内で発生している間に、0.1~120秒、1~100秒、又は5~80秒の範囲の特定の時間、流れることができる。
【0050】
それによって、フッ素ラジカルを含むガスが遠隔プラズマユニット内で生成される。フッ素ラジカルは遠隔プラズマユニットから出て、任意の追加の前駆体ガスと、反応チャンバー内に配置される基材上で結合することができる。任意の追加の前駆体ガスは、10sccm~1500slm、25~1200slm、又は50sccm~1000slmの範囲の流量で流れるアンモニアを含むことができる。酸化物変換工程は、以下のように酸化物を有するシリコンゲルマニウム基材上で酸化物との化学反応をもたらすことができる:
NH(g)+SiGeOx(s)→(NHSiF6(s)+(NHGeF6(s)+H(g)
酸化物変換工程の結果として、酸化物を、基材上で固体のアンモニウム-ヘキサフルオロシリケート化合物および固体のアンモニウム-ヘキサフルオロゲルマネート化合物に変換することができる。
【0051】
本開示の少なくとも一つの実施形態では、酸化物昇華工程は、第一の加熱工程、第二の加熱工程、またはその両方を含む。第一の加熱工程は、基材を125℃超、100℃超、または90℃超の温度に加熱することを含むことができる。第一の工程410の結果として、以下の反応に従って固体のアンモニウムヘキサフルオロシリケート化合物を昇華させることができる。
(NHSiF6(s)→NH3(g)+HF(g)+SiF4(g)
その後、ガス状生成物を反応チャンバーから除去することができる。
【0052】
第二の加熱工程は、基材を第一の加熱工程の温度よりも高い温度に加熱する工程を含むことができる。温度は、275℃超、250℃超、又は225℃超とすることができる。高い動作温度に達するために、反応チャンバーを加熱することなく高温シャワーヘッドを最高250℃~300℃に加熱するように設計することができる。第二の工程の結果として、以下の反応に従って固体のアンモニウム-ヘキサフルオロゲルマネート化合物を昇華させることができる。
(NHGeF6(s)→NH3(g)+HF(g)+GeF4(g)
その後、ガス状生成物を反応チャンバーから除去することができる。
【0053】
本開示の少なくとも一つの実施形態では、炭素除去は、水素前駆体および他の気体前駆体を遠隔プラズマユニット内に流す工程と、生成されたラジカルおよび任意の追加の前駆体を基材上に流す工程と、を含む。第一の加熱工程は、アルゴン、水素およびアンモニアを遠隔プラズマユニット内へ流す工程を含むことができる。ガスを、0.1~180秒、1~120秒、又は10~90秒の範囲の時間、流すことができる。その結果、遠隔プラズマユニットにおいて水素ラジカルが発生する。
【0054】
生成された水素ラジカルは、基材上の炭素系汚染物質と反応することができる。この工程は、25℃~500℃、75℃~400℃、または150℃~300℃の温度で起こることができる。その結果、以下の反応に従って炭素を除去することができる。
(s)+H*(g)→Cy(g)
その後、ガス状生成物を反応チャンバーから除去することができる。
【0055】
図示され説明された特定の実施形態は、本開示およびその最良の形態の例示であり、あるいは、態様および実施形態の範囲を決して限定することを意図するものではない。実際、簡潔さのために、従来の製造、関連、調製、およびシステムの他の機能的態様を詳細には説明しない場合がある。更に、様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係及び/又は物理的結合を表すことを意図する。多くの代替的若しくは追加の機能的関係、若しくは物理的接続が実際のシステムに存在してもよく、かつ/又はいくつかの実施形態では存在しなくてもよい。
【0056】
本明細書に記載される構成及び/又は取り組みは本質的に例示的であり、これらの特定の実施形態又は実施例は、数多くの変形が可能であるので、限定的な意味では考えられないことを理解されたい。本明細書に記載される特定のルーチン又は方法は、任意の数の処理方策のうちの一つ以上を表す場合がある。それゆえ、例示された様々な動作は、例示されるシーケンスで実施されてもよく、他のシーケンスで実施されてもよく、又は場合によっては省略されてもよい。
【0057】
本開示の主題は、本明細書で開示される様々なプロセス、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性の、全ての新規かつ自明でない組合せおよび部分的組合せ、ならびにその任意のおよび全ての均等物を含む。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15