(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】接続回路および通信インターフェース
(51)【国際特許分類】
H04L 25/06 20060101AFI20240220BHJP
H04L 25/02 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
H04L25/06
H04L25/02 F
(21)【出願番号】P 2021051313
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591230295
【氏名又は名称】NTTイノベーティブデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】美濃谷 直志
(72)【発明者】
【氏名】岸 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】卜部 義和
(72)【発明者】
【氏名】十林 正俊
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-267015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0218854(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/06
H04L 25/02
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ信号が入力される送信回路の前段に接続される接続回路であって、
電圧初期値保持部と、
前記電圧初期値保持部と直列に接続する終端負荷とを備え、
前記電圧初期値保持部が、前記データ信号の未入力時の電圧初期値を前記終端負荷に出力し、前記終端負荷の両端を直流成分で同電位とすることを特徴とする接続回路。
【請求項2】
前記電圧初期値保持部が、前記データ信号の入力を検出しフレーム検出信号を出力するフレーム検出部と、
前記データ信号を遅延させる信号遅延回路と、
前記データ信号の未入力時の電圧初期値を検出するとともに、
前記信号遅延回路の前記遅延されるデータ信号が入力され、前記フレーム検出信号の入力により前記電圧初期値を保持し、前記電圧初期値を出力するサンプルホールド回路と、
前記サンプルホールド回路から入力される前記電圧初期値を
前記終端負荷に出力する電圧維持回路と
を備える請求項1に記載の接続回路。
【請求項3】
データ信号が入力される送信回路の前段に接続される接続回路であって、
前記データ信号の入力を検出しフレーム検出信号を出力するフレーム検出回路と、
前記フレーム検出回路と並列に接続され
、前記データ信号を遅延させる信号遅延回路と、
前記信号遅延回路の出力が入力さ
れ、前記フレーム検出回路の出力が入力され
るサンプルホールド回路と、
前記サンプルホールド回路の出力が入力される電圧維持回路と
を有する電圧初期値保持部と、
前記電圧維持回路の出力が印加される終端負荷とを備え、
前記サンプルホールド回路が、
前記データ信号の未入力時の電圧初期値を検出するとともに、前記フレーム検出回路の出力により、前記信号遅延回路の出力を保持し出力することを特徴とする接続回路。
【請求項4】
前記終端負荷を複数備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の接続回路。
【請求項5】
複数の送信回路の前段に接続される接続回路であって、
入力される複数のデータ信号の中から、
電圧初期値として入力された低電圧の信号を検出するチャンネル間補間バイアス検出回路と、
前記チャンネル間補間バイアス検出回路の出力が入力される電圧維持回路と
を有する電圧初期値保持部と、
前記電圧維持回路の出力が印加される、複数の終端負荷と
を備える接続回路。
【請求項6】
前記チャンネル間補間バイアス検出回路が、複数のダイオード回路と、
前記電圧維持回路の入力に、抵抗を介して、電圧源が接続し、
前記複数のダイオード回路それぞれの一端に、前記複数のデータ信号それぞれが入力し、
前記複数のダイオード回路それぞれの他端が、前記電圧維持回路の入力に接続することを特徴とする請求項5に記載の接続回路。
【請求項7】
前記複数のダイオード回路のうち一のダイオード回路に低電圧の信号が入力されるとき、前記チャンネル間補間バイアス検出回路が、前記電圧維持回路に前記低電圧の信号を出力することを特徴とする請求項6に記載の接続回路。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の接続回路を備える通信インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信回路に接続する接続回路および通信インターフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのデータ処理能力を向上させることが求められており、このためにはコンピュータに大量のデータを送受信することが必要であり、送受信に光通信などの高速インターフェースを多数使用することが有望である。コンピュータのデータ処理部分であるCPUやGPUのチップと光通信インターフェースのチップは別々に製造された後に、基板上の配線で接続されることがある。このとき、データのソースであるCPUやGPUのチップと光通信インターフェースのチップ間に流れる直流電流をブロックするために、DCブロック用のチップ容量を挿入することがある。
【0003】
従来の送信インターフェース4における接続形態では、
図8に示すように、送信回路44が、送信回路44に適したバイアス電圧でバイアスされており、データのソース3との接続で直流電流が流入してバイアス電圧が変動しないように、チップ容量41によりデータのソース3と通信インターフェース4とが分離されている。このチップ容量41には0.1μFなどの大きな容量が使用されることが多い。
【0004】
また、データのソース3と送信回路44とは、高周波信号を低ひずみで伝送するために伝送線2を用いて接続されることが多いので、送信インターフェース4内に伝送線2の終端負荷(抵抗)40が配置されている。一般的に終端負荷40の抵抗は50Ωであり、チップ容量41と終端負荷40でカットオフ周波数約32kHzの高域通過フィルタを形成している。ここで、伝送線2の終端負荷40の前に容量41を配置してカットオフ周波数の高域通過フィルタを形成させるには、0.1μFの容量が必要である。
【0005】
この接続形態において、コンピュータのデータ処理部分であるCPUやGPUのチップは、ビルドアップ基板等のパッケージ基板上に実装されることが多い。光通信のチップもパッケージ基板上に実装する場合では、パッケージ基板の面積が限られているため、DCブロック用のチップ容量を除去することが望まれる。
【0006】
そこで、
図9に示すように、従来の送信インターフェース4における接続形態からチップ容量が除去された、送信インターフェース5を用いた接続形態が考えられる。この接続形態では、チップ内で0.1μFの容量の形成はコスト高につながるため、終端負荷50の後段に容量51を配置し、送信回路54のバイアス回路53との間に高い抵抗52を配置して高域通過フィルタを形成させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1227139.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この接続形態では、終端負荷50とデータのソース3とが直流結合されるため、伝送線2と終端負荷50に直流電流が流れる。この直流電流はデータのソース3の消費電力の増加や伝送線2の断線等の問題を発生させる。
【0009】
本発明の目的は、データのソースと送信インターフェースの間にチップ容量を配置することなく、データのソースから送信回路の前段の終端負荷に流れる直流電流を抑制できる接続回路および通信インターフェースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る接続回路は、データ信号が入力される送信回路の前段に接続される接続回路であって、電圧初期値保持部と、前記電圧初期値保持部と直列に接続する終端負荷とを備え、前記電圧初期値保持部が、前記データ信号の未入力時の電圧初期値を前記終端負荷に出力し、前記終端負荷の両端を直流成分で同電位とすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る接続回路は、データ信号が入力される送信回路の前段に接続される接続回路であって、前記データ信号の入力を検出しフレーム検出信号を出力するフレーム検出回路と、前記フレーム検出回路と並列に接続され、前記データ信号を遅延させる信号遅延回路と、前記信号遅延回路の出力が入力され、前記フレーム検出回路の出力が入力されるサンプルホールド回路と、前記サンプルホールド回路の出力が入力される電圧維持回路とを有する電圧初期値保持部と、前記電圧維持回路の出力が印加される終端負荷とを備え、前記サンプルホールド回路が、前記データ信号の未入力時の電圧初期値を検出するとともに、前記フレーム検出回路の出力により、前記信号遅延回路の出力を保持し出力することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る接続回路は、複数の送信回路の前段に接続される接続回路であって、入力される複数のデータ信号の中から、電圧初期値として入力された低電圧の信号を検出するチャンネル間補間バイアス検出回路と、前記チャンネル間補間バイアス検出回路の出力が入力される電圧維持回路とを有する電圧初期値保持部と、前記電圧維持回路の出力が印加される、複数の終端負荷とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、データのソースと送信インターフェースの間にチップ容量を配置することなく、データのソースから送信回路の前段の終端負荷に流れる直流電流を抑制できる接続回路および通信インターフェースを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る接続回路を用いた送信インターフェースの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る接続回路の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る接続回路の動作を説明するためのタイムチャート図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る接続回路の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る接続回路を用いた送信インターフェースの構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る接続回路の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る接続回路の構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、従来の送信インターフェースの接続形態を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、従来の送信インターフェースの接続形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態に係る接続回路および通信インターフェースについて
図1~
図3を参照して説明する。
【0016】
<接続回路および通信インターフェースの構成>
本実施の形態に係る接続回路10を用いた送信インターフェース1は、
図1に示すように、本実施の形態に係る接続回路10と、容量11と、抵抗12と、バイアス回路13と、送信回路14とを備える。ここで、容量11とバイアス回路13との間に抵抗12を配置する構成により高域通過フィルタが形成される。この高域通過フィルタの前段に接続回路10が接続される。
【0017】
詳細には、送信インターフェース1において、データのソース3に接続する伝送線2に並列接続される接続回路10を備え、その後段に容量11を介して、送信回路14が接続され、送信回路14の入力に順に抵抗12とバイアス回路13とが接続される。ここで、データのソース3は、CPUやGPUなどである。
【0018】
本実施の形態に係る接続回路10は、
図2に示すように、電圧初期値保持部101と、終端負荷102とで構成される。接続回路10において、入力端子111側から順に、電圧初期値保持部101と終端負荷102とが接続され、終端負荷102が接続回路10の出力端子112に接続される。
【0019】
電圧初期値保持部101は、フレーム検出回路105と、電圧初期値検出回路103と、電圧維持回路104とで構成され、データのソース3の信号(以下、「データ信号」という。)の未入力時の電圧(以下、「電圧初期値」という。)を検出し、終端負荷102をバイアスする。
【0020】
フレーム検出回路105は、データ信号の入力を検出しフレーム検出信号を出力する。フレーム検出回路105は、マルチバイブレータ回路、チャタリング防止のRSラッチ回路、低域通過フィルタ等で構成できる。
【0021】
電圧初期値検出回路103は、入力端子111側から順に信号遅延回路1031とサンプルホールド回路1032とを備え、データ信号の未入力時の電圧初期値を検出するとともに、フレーム検出信号の入力により電圧初期値を保持し、電圧初期値を出力する。
【0022】
電圧維持回路104は、終端負荷102においてデータのソース3と接続されている端子の電圧が変化しても、電圧維持回路104に接続している端子が電圧初期値となるように電圧を出力する。
【0023】
電圧初期値保持部101において、入力端子111にフレーム検出回路105と電圧初期値検出回路103の信号遅延回路1031とが並列に接続され、フレーム検出回路105の出力が電圧初期値検出回路103のサンプルホールド回路1032に入力(接続)され、電圧初期値検出回路103のサンプルホールド回路1032の出力が電圧維持回路104に入力(接続)され、電圧維持回路104の出力が電圧初期値保持部101の出力として終端負荷102に印加される。
【0024】
<接続回路の動作>
本実施の形態に係る接続回路10の動作を、
図3を参照して説明する。
【0025】
初めに、電圧初期値保持部101の動作を説明する。データ信号が電圧初期値保持部101に入力する前は、データのソース3から電圧初期値として低電圧VLが出力される。その後、信号が入力されると、信号のデータに従ってデータ先頭から高電圧VHと低電圧VLで変化する波形となる(
図3中151)。
【0026】
フレーム検出回路105では、データ信号が変化することを読み取ってフレーム検出信号を高電圧VHで出力し、いったんフレーム検出信号を高電圧VHで出力すると継続して出力する(
図3中152)。その後、データ信号において低電圧VLが所定時間継続する場合等の所定の条件で、高電圧VHの出力を停止し、低電圧VLを出力する(図示せず)。
【0027】
例えば、フレーム検出回路105にマルチバイブレータ回路を用いる場合には、マルチバイブレータ回路がデータ信号の入力により所定の時間幅の矩形波(高電圧VH)を出力し、出力を所定の時間継続し、その後低電圧VLを出力する。
【0028】
また、例えば、フレーム検出回路105にRSラッチ回路を用いる場合には、RSラッチ回路の一方の端子(図示せず)への入力がされない状態を維持して、他方の端子にデータ信号が入力(高電圧VH)された場合に、高電圧VHが出力される。他方の端子へのデータ信号が低電圧VLになった場合でも、高電圧VHの出力が維持される。その後、一方の端子(図示せず)に入力がされた場合に、低電圧VLを出力される。
【0029】
また、例えば、フレーム検出回路105に低域通過フィルタを用いる場合には、データ信号(高電圧VH)が入力されると、信号変化が緩和されるので信号が平坦化して、フレーム検出信号が継続して出力される。一方、データ信号で低電圧VLの出力が継続すると、平坦化される信号の出力が低電圧VLになる。さらに、低域通過フィルタの後段にコンパレータ回路を接続することにより、低域通過フィルタの出力が所定のしきい値以上のときにフレーム検出信号を高電圧VHで出力して、所定のしきい値未満が継続する場合に低電圧VLを出力できる。
【0030】
信号遅延回路1031では、データ信号が遅延される(
図3中153)。その結果、信号遅延回路1031の出力は、フレーム検出信号が出力された時に、まだデータ信号の入力前の電圧初期値が低電圧VLで出力されている。
【0031】
サンプルホールド回路1032には、信号遅延回路1031により遅延された信号が入力される。そこで、サンプルホールド回路1032は、接続回路10へのデータ信号の入力時より前では、電圧初期値(低電圧VL)がそのまま出力される。また、接続回路10へのデータ信号の入力時以降では、上述のフレーム検出信号がサンプルホールド回路1032に入力される時に、信号遅延回路1031からデータ信号の入力前の電圧初期値が低電圧VLで入力される。その結果、接続回路10へのデータ信号の入力後も、電圧初期値(低電圧VL)がホールド(保持)されて電圧維持回路104に出力される(
図3中154)。
【0032】
したがって、電圧初期値保持部101側の終端負荷102の端子(一方の端子)には、データ信号の入力にかかわらず電圧初期値(低電圧VL)が印加される。
【0033】
データ信号の入力前においては、データのソース3と接続されている終端負荷102の端子(他方の端子)にも電圧初期値が低電圧VLで印加されている。その結果、信号の直流成分として、終端負荷102の両端に同じ電圧が印加されることになる。このため、終端負荷102の両端の電位差が無くデータのソース3から終端負荷102に直流電流は流れない。
【0034】
データ信号の入力後においては、データ信号の電圧は変化し、後段の容量11と抵抗12とバイアス回路13により構成される高域通過フィルタのカットオフ周波数より、高い周波数のデータ信号が送信回路に伝達される。ここで、データのソース3と接続されている終端負荷102の端子(他方の端子)には、データ信号の直流成分であるVLが印加される。
【0035】
一方、電圧初期値保持部101側の終端負荷102の端子(一方の端子)は、上述の通り、電圧初期値の低電圧VLで維持される。その結果、終端負荷102の両端に直流成分で同じ電圧が印加されることになる。このため、終端負荷102の両端の電位差が無くデータのソース3から終端負荷102に直流電流は流れない。
【0036】
以上のように、本実施の形態に係る接続回路によれば、データのソースと送信インターフェースの間にチップ容量を配置することなく、データのソースから送信回路の前段の終端負荷に流れる直流電流を抑制できる。
【0037】
その結果、直流電流による消費電力の増加や伝送線の断線が発生せず、データのソースであるチップと送信インターフェースのチップを高密度に実装できる。
【0038】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態に係る接続回路および通信インターフェースについて
図4~
図5を参照して説明する。
【0039】
<接続回路および通信インターフェースの構成>
本実施の形態に係る接続回路20は、
図4に示すように、複数(N個)の入力と出力に対して、1個の電圧初期値保持部201と、複数(N個)の終端負荷202_1~202_Nとを備える。電圧初期値保持部201の出力が、それぞれ複数(N個)の終端負荷202_1~202_Nに接続される。ここで、電圧初期値保持部201は、第一の実施の形態と同じである。
【0040】
本実施の形態に係る接続回路20を用いた送信インターフェースは、
図5に示すように、接続回路20と、それぞれN個の容量21_1~21_Nと、抵抗22_1~22_Nと、バイアス回路23_1~23_Nと、送信回路24_1~24_Nとを備える。接続回路20のN個の終端負荷202_1~202_Nの出力が、それぞれN個の容量21_1~21_Nに入力(接続)される。ここで、容量21_1~21_Nと、抵抗22_1~22_Nと、バイアス回路23_1~23_Nと、送信回路24_1~24_Nそれぞれによる各回路構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0041】
<接続回路の動作>
第1の実施の形態と同様に、電圧初期値保持部201は、データ信号の入力にかかわらず電圧初期値を出力する。そこで、本実施の形態に係る接続回路20によれば、データ信号の入力にかかわらず電圧初期値が、終端負荷202_1~202_Nの一方の端子(電圧初期値保持部201側)に印加される。
【0042】
その結果、第1の実施の形態と同様に、終端負荷202_1~202_Nの両端に直流成分で同じ電圧が印加されることになる。このため、終端負荷202_1~202_Nの両端の電位差が無くデータのソース3から終端負荷202_1~202_Nに直流電流は流れない。
【0043】
このように、全入力(1~N)で電気信号の仕様が同じであれば、1つの入力端子(例えば、入力端子211_1)に接続される電圧初期値保持部201の出力(電圧初期値)を、終端負荷202_1~202_Nの一方の端子に入力(接続)しても、終端負荷202_1~202_Nにデータのソース3からの直流電流が流れない。
【0044】
以上のように、本実施の形態に係る接続回路によれば、データのソースと複数の送信回路を有する送信インターフェースとの間にチップ容量を配置することなく、データのソースから送信回路の前段の終端負荷に流れる直流電流を抑制できる。
【0045】
その結果、直流電流による消費電力の増加や伝送線の断線が発生せず、データのソースであるチップと送信インターフェースのチップを高密度に実装できる。
【0046】
また、本実施の形態に係る接続回路によれば、すべての入力に対して電圧初期値保持部を配置する構成と比較して、電圧初期値保持部が1個であるので、消費電力を低減でき、チップ面積を低減できる。
【0047】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態に係る接続回路および通信インターフェースについて
図6~
図7を参照して説明する。本実施の形態に係る接続回路は、第2の実施の形態に係る接続回路と比較して、電圧初期値保持部の構成が異なる。その他の構成は、第2の実施の形態と同様である。
【0048】
<接続回路の構成>
本実施の形態に係る接続回路30は、
図6に示すように、1個の電圧初期値保持部301とN個の終端負荷302_1~302_Nとを備える。ここで、電圧初期値保持部301は、多チャンネルに対応する電圧初期値保持部である。接続回路30において、電圧初期値保持部301で、複数(N個)のチャンネルの信号の中で低い電圧の信号が検出され、電圧初期値として終端負荷302_1~302_Nの端子(一方の端子)に印加される。
【0049】
電圧初期値保持部301は、チャンネル(ch)間補間バイアス検出回路303と電圧維持回路304とにより構成される。
【0050】
チャンネル(ch)間補間バイアス検出回路303は、入力端子311_1~311_Nと接続し、複数チャンネルの信号の中で低い電圧の信号を検出する。詳細には、
図7に示すように、各入力端子311_1~311_Nと電圧維持回路304の入力との間にダイオード回路3031_1~3031_Nを備え、電圧維持回路304の入力に電圧源(V1)3033に接続された抵抗(Rb)3032が接続される。ここで、ダイオード回路3031_1~3031_Nは、順方向しきい値電圧が0Vの理想ダイオード回路とする。
【0051】
電圧維持回路304は、ch間補間バイアス検出回路303で検出した信号の電圧を終端負荷302_1~302_Nに出力する。
【0052】
<接続回路の動作>
初めに、ch間補間バイアス検出回路303の動作を説明する。電圧源の電圧V1はあらかじめ入力信号の低電圧VLと高電圧VHの間でVL<V1<VHとなるように設定されているものとする。
【0053】
入力端子311_1~311_Nのうち1つの入力端子(例えば、入力端子311_1)に電圧初期値として電圧VLが入力されると、V1>VLのため、ダイオード回路(例えば、3031_1)に順方向電圧VLが印加されONとなるので、電圧維持回路304の入力電圧VbがVLと等しくなる。ここで、入力電圧がVHであるダイオード回路はOFF状態のためVHはVbに影響しない。
【0054】
ここで、Rb3032と電圧維持回路304の入力に存在するダイオード等の寄生容量で形成されるCR時定数のため、入力端子311_1~311_NがすべてVHになった瞬間からVbはCR時定数に従ってV1に変化する。その結果、CR時定数による所定の時間経過後に、Vb=V1になる。したがって、所定の時間以上、入力端子311_1~311_NがすべてVHとなる状態が継続されないと、VbがVLから変化しない。換言すれば、ほとんどVbはVLの状態を維持する。
【0055】
仮に、Vb=V1になると、Vb=VLのときに信号がVLとVHの間で変化する場合に比べて、信号がV1とVHの間で変化するので、信号変化量(振幅)が減少する。その結果、信号の検知が困難になるなどの不利益が生じる。
【0056】
上述のVbのVLからの変化が発生する確率について、以下に説明する。
【0057】
Vbの変化が発生する確率は、入力端子311_1~311_NがすべてVHとなる状態が10ビット連続で生じたときにVbが変化するようにCR時定数を結滞して、以下の通り計算される。
【0058】
ビットレートを10Gbpsとする。10ビットVHになる確率は1/210となる。N=1の場合では、210/10Gbps=102.4ナノ秒となり、102.4ナノ秒に1回Vbがずれる。N=8の場合では、すべてのチャンネルで10ビットVHとなる確率は1/280となり、280/10Gbps=1.21x1014秒=3.8x106年となる。この結果より、3.8x106年に1回のみVbが変化する。また、チャンネル数が多いほどVbが変化する確率は低くなる。
【0059】
このように、VbのVLからの変化が発生する確率は極めて低いので、VbのVLからの変化が発生することはほとんどない。
【0060】
以上のように、ch間補間バイアス検出回路303に電圧初期値として電圧VLが入力されると、電圧維持回路304の入力電圧Vbは電圧初期値VLに維持される。
【0061】
次に、接続回路30の動作を説明する。
【0062】
上述の通り、電圧維持回路304の入力Vbは電圧初期値である低電圧VLで維持されるので、電圧維持回路304から終端負荷302_1~302_Nへの出力も低電圧VLで維持される。
【0063】
このように、電圧初期値保持部301は、入力端子311_1~311_Nのうち1つの入力端子に電圧VLが入力されると、低電圧VLが継続して終端負荷302_1~302_Nの一端(電圧初期値保持部301側)に印加される。
【0064】
その結果、第1~2の実施の形態と同様に、終端負荷302_1~302_Nの両端に直流成分で同じ電圧が印加されることになる。このため、終端負荷302_1~302_Nの両端の電位差が無くデータのソース3から終端負荷302_1~302_Nに直流電流は流れない。
【0065】
本実施の形態に係る接続回路30は、第2の実施の形態と同様に、送信インターフェースに用いることができる。この送信インターフェースにおいて、接続回路30と、複数の容量と、複数の抵抗と、複数のバイアス回路と、複数の送信回路とを備え、各送信回路に各抵抗を介して各バイアス回路が接続され、これと並列に各送信回路に各容量が接続される。
【0066】
接続回路30において、各入力端子311_1~311_Nが、データソースからの複数の伝送線それぞれに接続される。また、各出力端子312_1~312_Nが、それぞれ各容量に接続される。
【0067】
以上のように、本実施の形態に係る接続回路によれば、データのソースと複数の送信回路を有する送信インターフェースの間にチップ容量を配置することなく、データのソースから送信回路の前段の終端負荷に流れる直流電流を抑制できる。
【0068】
その結果、直流電流による消費電力の増加や伝送線の断線が発生せず、データのソースであるチップと送信インターフェースのチップを高密度に実装できる。
【0069】
また、第2の実施の形態に係る接続回路では、電圧初期値保持部に信号が入力される前に、他の入力端子に信号が入力された場合には、データのソースから送信回路の前段の終端負荷に流れる直流電流を抑制できない。一方、本実施の形態に係る接続回路によれば、1~Nの入力信号に対して低電圧VLを検出するので、1~Nいずれの入力端子に信号が入力された場合でも、データのソースから送信回路の前段の終端負荷に流れる直流電流を抑制できる。
【0070】
本発明の実施の形態では、接続回路の構成、製造方法などにおいて、各構成部の構造、寸法、材料等の一例を示したが、これに限らない。接続回路の機能を発揮し効果を奏するものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、送信回路に接続する接続回路および通信インターフェースに関するものであり、通信伝送システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 送信インターフェース
2 伝送線
3 データのソース
10 接続回路
11 容量
12 抵抗
13 バイアス回路
14 送信回路
101 電圧初期値保持部
102 終端負荷
103 電圧初期値検出回路
104 電圧維持回路
105 フレーム検出回路