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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-19
(45)【発行日】2024-02-28
(54)【発明の名称】気相成長装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240220BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20240220BHJP
   C30B 29/36 20060101ALI20240220BHJP
   C30B 25/12 20060101ALI20240220BHJP
   H01L 21/683 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/458
C30B29/36 A
C30B25/12
H01L21/68 N
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022560697
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2021038355
(87)【国際公開番号】W WO2022097456
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】P 2020186828
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】醍醐 佳明
(72)【発明者】
【氏名】森山 義和
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037537(JP,A)
【文献】国際公開第2019/044440(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/060912(WO,A1)
【文献】特開2018-082100(JP,A)
【文献】特開平09-063966(JP,A)
【文献】特開2018-073886(JP,A)
【文献】特開平07-58040(JP,A)
【文献】特開平07-58041(JP,A)
【文献】特開平07-161648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/458
C30B 29/36
C30B 25/12
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応室と、
前記反応室の中に設けられ基板を載置するホルダと、
前記反応室の中に設けられ、前記ホルダの下方に位置する第1のヒータと、
前記反応室の中に設けられ、前記ホルダの上方に位置する第2のヒータと、
を備え、
前記ホルダは、内側領域と、前記内側領域を囲み前記基板が載置された場合に前記基板を囲む環状の外側領域と、前記内側領域の上に設けられ前記基板の下面を支持可能な環状で円弧部分を有する支持部と、を含み、
前記円弧部分の外周端と、前記外側領域の内周端との距離が6mm以下であり、
前記支持部の幅が3mm以上であり、
前記基板の中心と前記ホルダの中心とが一致するように前記基板が前記ホルダに載置された場合に、
前記基板の半径をR1、
前記基板の膜質保証領域の半径をR2、
前記円弧部分の内周端の半径をR3、
前記円弧部分の外周端の半径をR4、
前記基板の外周端と、前記円弧部分に対向する前記外側領域の内周端との距離をD1、
と定義すると、下記式1、下記式2、及び下記式3を充足する、気相成長装置。
R1-D1>R4・・・(式1)
R2-D1>R3・・・(式2)
R2+D1<R4・・・(式3)
【請求項9】
前記基板はオリエンテーションフラットを有し、
前記支持部は前記基板が前記ホルダに載置された場合に前記オリエンテーションフラットに沿う直線部分を有し、
前記直線部分に対向する前記外側領域の内周端は、直線形状である請求項1記載の気相成長装置。
【請求項10】
前記直線部分の外周端と前記外側領域の内周端との距離は、前記円弧部分の外周端と前記外側領域の内周端との距離よりも大きい請求項9記載の気相成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面にガスを供給して膜の形成を行う気相成長装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高品質な半導体膜を形成する方法として、基板の表面に気相成長により単結晶膜を形成するエピタキシャル成長技術がある。エピタキシャル成長技術を用いる気相成長装置では、常圧又は減圧に保持された反応室の中のホルダに基板を載置する。
【0003】
そして、基板を加熱しながら、膜の原料を含むプロセスガスを、反応室の上部のバッファ室を経由して反応室に供給する。基板表面ではプロセスガスの熱反応が生じ、基板の表面にエピタキシャル単結晶膜が形成される。
【0004】
基板表面に形成されるエピタキシャル単結晶膜の特性は、基板の温度に依存する。このため、基板に形成される膜の特性の均一性を向上させるためには、基板表面の温度の均一性を向上することが望まれる。特に、炭化珪素膜のように高温で形成される膜の場合、基板表面の温度の均一性を保つことが難しくなる。
【0005】
特許文献1には、基板を均一に加熱するために、基板を支持するサセプタに支持部を設けた気相成長装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-37537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、基板の温度の均一性を向上できる気相成長装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の気相成長装置は、反応室と、前記反応室の中に設けられ基板を載置するホルダと、前記反応室の中に設けられ、前記ホルダの下方に位置する第1のヒータと、前記反応室の中に設けられ、前記ホルダの上方に位置する第2のヒータと、を備え、前記ホルダは、内側領域と、前記内側領域を囲み前記基板が載置された場合に前記基板を囲む環状の外側領域と、前記内側領域の上に設けられ前記基板の下面を支持可能な環状で円弧部分を有する支持部と、を含み、前記円弧部分の外周端と、前記外側領域の内周端との距離が6mm以下であり、前記支持部の幅が3mm以上であり、前記基板の中心と前記ホルダの中心とが一致するように前記基板が前記ホルダに載置された場合に、前記基板の半径をR1、前記円弧部分の外周端の半径をR4、前記基板の外周端と、前記円弧部分に対向する前記外側領域の内周端との距離をD1、と定義すると、下記式1を充足する。
R1-D1>R4・・・(式1)
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板の温度の均一性を向上できる気相成長装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の気相成長装置の模式断面図。
図2】第1の実施形態のホルダの模式図。
図3】第1の実施形態のホルダの模式図。
図4】第1の実施形態のホルダの拡大模式断面図。
図5】第1の比較例のホルダの模式図。
図6】第1の比較例のホルダの模式図。
図7】第1の比較例のホルダの第1の問題点の説明図。
図8】第1の比較例のホルダの第2の問題点の説明図。
図9】第1の実施形態の作用及び効果の説明図。
図10】第1の実施形態の作用及び効果の説明図。
図11】第1の実施形態の作用及び効果の説明図。
図12】第1の実施形態の作用及び効果の説明図。
図13】第2の比較例のホルダの模式図。
図14】第2の比較例のホルダの拡大模式断面図。
図15】第1の実施形態のホルダの拡大模式断面図。
図16】第2の実施形態のホルダの模式図。
図17】第3の実施形態のホルダの模式図。
図18】第3の実施形態のホルダの模式図。
図19】第3の実施形態の作用及び効果の説明図。
図20】第4の実施形態のホルダの模式図。
図21】第4の実施形態のホルダの拡大模式断面図。
図22】第4の実施形態のホルダの拡大模式断面図。
図23】第5の実施形態のホルダの模式図。
図24】第5の実施形態のホルダの拡大模式断面図。
図25】第6の実施形態のホルダの模式図。
図26】第7の実施形態のホルダの模式図。
図27】第7の実施形態のホルダの模式図。
図28】第8の実施形態のホルダの模式図。
図29】第8の実施形態の作用及び効果の説明図。
図30】第8の実施形態の作用及び効果の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
本明細書中、同一又は類似の部材について、同一の符号を付す場合がある。
【0013】
本明細書中、気相成長装置が膜の形成が可能に設置された状態での重力方向を「下」と定義し、その逆方向を「上」と定義する。したがって、「下部」とは、基準に対し重力方向の位置、「下方」とは基準に対し重力方向を意味する。そして、「上部」とは、基準に対し重力方向と逆方向の位置、「上方」とは基準に対し重力方向と逆方向を意味する。また、「縦方向」とは重力方向である。
【0014】
また、本明細書中、「プロセスガス」とは、膜の形成のために用いられるガスの総称であり、例えば、ソースガス、アシストガス、ドーパントガス、キャリアガス、及び、それらの混合ガスを含む概念とする。
【0015】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の気相成長装置は、反応室と、反応室の中に設けられ基板を載置するホルダと、反応室の中に設けられ、ホルダの下方に位置する第1のヒータと、反応室の中に設けられ、ホルダの上方に位置する第2のヒータと、を備え、ホルダは、内側領域と、内側領域を囲み基板が載置された場合に基板を囲む環状の外側領域と、内側領域の上に設けられ基板の下面を支持可能な環状で円弧部分を有する支持部と、を含み、円弧部分の外周端と、外側領域の内周端との距離が6mm以下であり、支持部の幅が3mm以上であり、基板の中心とホルダの中心とが一致するように基板がホルダに載置された場合に、基板の半径をR1、円弧部分の外周端の半径をR4、基板の外周端と、円弧部分に対向する外側領域の内周端との距離をD1、と定義すると、下記式1を充足する。
R1-D1>R4・・・(式1)
【0016】
さらに、上記ホルダは、基板の膜質保証領域の半径をR2、円弧部分の内周端の半径をR3、と定義すると、下記式2及び式3を充足する。
R2-D1>R3・・・(式2)
R2+D1<R4・・・(式3)
【0017】
図1は、第1の実施形態の気相成長装置の模式断面図である。第1の実施形態の気相成長装置100は、例えば、単結晶の炭化珪素基板上に単結晶の炭化珪素膜をエピタキシャル成長させる枚葉型のエピタキシャル成長装置である。
【0018】
第1の実施形態の気相成長装置100は、反応室10、バッファ室13を備える。反応室10は、サセプタ14(ホルダ)、回転体16、回転軸18、回転駆動機構20、第1のヒータ22、リフレクタ28、支持柱30、固定台32、固定軸34、フード40、第2のヒータ42、ガス排出口44、ガス導管53を備える。バッファ室13は、仕切り板39、ガス供給口85を備える。
【0019】
反応室10は、例えば、ステンレス製である。反応室10は、円筒形状の壁を有する。反応室10内で、ウェハW上に炭化珪素膜を形成する。ウェハWは基板の一例である。ウェハWは、例えば、半導体ウェハである。ウェハWは、例えば、単結晶の炭化珪素ウェハである。
【0020】
サセプタ14は、反応室10の中に設けられる。サセプタ14には、ウェハWが載置可能である。サセプタ14は、ホルダの一例である。
【0021】
サセプタ14は、例えば、炭化珪素やグラファイト、又は、炭化珪素や炭化タンタル、パイロリティックグラファイトなどでコートしたグラファイト等の耐熱性の高い材料で形成される。
【0022】
サセプタ14は、回転体16の上部に固定される。回転体16は、回転軸18に固定される。サセプタ14は、間接的に回転軸18に固定される。
【0023】
回転軸18は、回転駆動機構20によって回転可能である。回転軸18を回転させることによりサセプタ14を回転させることが可能である。サセプタ14を回転させることにより、サセプタ14に載置されたウェハWを回転させることが可能である。
【0024】
回転駆動機構20により、例えば、ウェハWを300rpm以上3000rpm以下の回転速度で回転させることが可能である。回転駆動機構20は、例えば、モータとベアリングで構成される。
【0025】
第1のヒータ22は、サセプタ14の下方に設けられる。第1のヒータ22は、回転体16内に設けられる。第1のヒータ22は、サセプタ14に保持されたウェハWを下方から加熱する。第1のヒータ22は、例えば、抵抗加熱ヒータである。第1のヒータ22は、例えば、櫛形のパターンが施された円板状である。
【0026】
リフレクタ28は、第1のヒータ22の下に設けられる。リフレクタ28とサセプタ14との間に、第1のヒータ22が設けられる。
【0027】
リフレクタ28は、第1のヒータ22から下方に放射される熱を反射し、ウェハWの加熱効率を向上させる。また、リフレクタ28は、リフレクタ28より下方の部材が加熱されるのを防止する。リフレクタ28は、例えば、円板状である。リフレクタ28は、例えば、炭化珪素やグラファイト、又は、炭化珪素や炭化タンタル、パイロリティックグラファイトなどでコートしたグラファイト等の耐熱性の高い材料で形成される。
【0028】
リフレクタ28は、例えば、複数の支持柱30によって、固定台32に固定される。固定台32は、例えば、固定軸34によって支持される。
【0029】
回転体16内には、サセプタ14を回転体16から脱着させるために、突き上げピン(図示せず)が設けられる。突き上げピンは、例えば、リフレクタ28、及び、第1のヒータ22を貫通する。
【0030】
第2のヒータ42は、フード40と反応室10の内壁との間に設けられる。第2のヒータ42は、サセプタ14の上方に位置する。
【0031】
第2のヒータ42は、サセプタ14に保持されたウェハWを上方から加熱する。ウェハWを第1のヒータ22に加えて第2のヒータ42で加熱することにより、ウェハWを炭化珪素膜の成長に必要とされる温度、例えば、1500℃以上の温度に加熱することが可能となる。第2のヒータ42は、例えば、抵抗加熱ヒータである。
【0032】
フード40は、例えば、円筒形状である。フード40は、第2のヒータ42に第1のプロセスガスG1や第2のプロセスガスG2が接することを防ぐ機能を備える。フード40は、例えば、グラファイト、又は、炭化珪素でコートしたグラファイト等の耐熱性の高い材料で形成される。
【0033】
ガス排出口44は、反応室10の底部に設けられる。ガス排出口44は、ウェハW表面でソースガスが反応した後の余剰の副生成物、及び、余剰のプロセスガスを反応室10の外部に排出する。ガス排出口44は、例えば、図示しない真空ポンプに接続される。
【0034】
また、反応室10には、図示しないサセプタ出入口及びゲートバルブが設けられている。サセプタ出入口及びゲートバルブにより、ウェハWが載置されたサセプタ14を反応室10内に搬入したり、反応室10外に搬出したりすることが可能である。
【0035】
バッファ室13は、反応室10の上に設けられる。バッファ室13には、プロセスガスG0を導入するためのガス供給口85が設けられる。ガス供給口85から導入されたプロセスガスG0がバッファ室13の中に充填される。
【0036】
プロセスガスG0は、例えば、シリコン(Si)のソースガス、炭素(C)のソースガス、n型不純物のドーパントガス、p型不純物のドーパントガス、シリコンのクラスター化を抑制するアシストガス、及び、キャリアガスを含む混合ガスである。シリコンのソースガスは、例えば、シラン(SiH)である。炭素のソースガスは、例えば、プロパン(C)である。n型不純物のドーパントガスは、例えば、窒素ガスである。p型不純物のドーパントガスは、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)である。アシストガスは、例えば、塩化水素(HCl)である。キャリアガスは、例えば、アルゴンガス、又は、水素ガスである。
【0037】
複数のガス導管53は、バッファ室13と反応室10との間に設けられる。ガス導管53は、バッファ室13から反応室10に向かう第1の方向に延びる。複数のガス導管53は、バッファ室13から反応室10にプロセスガスG0を供給する。
【0038】
図2は、第1の実施形態のホルダの模式図である。図2(a)は上面図、図2(b)は図2(a)のAA’断面図である。
【0039】
サセプタ14は、中心C2(第2の中心)を有する。中心C2は、例えば、サセプタ14の外縁を形成する円の中心位置である。
【0040】
サセプタ14は、内側領域50と外側領域52を含む。外側領域52は内側領域50を囲む。サセプタ14にウェハWが載置された場合に、外側領域52はウェハWを囲む。
【0041】
内側領域50は、円板形状である。外側領域52は、環状である。
【0042】
内側領域50の上に、円弧部分を有する環状の支持部54が設けられる。図2は、支持部54が円形状である場合を示す。すなわち、図2は、支持部54の全体が円弧部分である場合示す。環状の支持部54は、外側領域52と離間して設けられる。
【0043】
支持部54は、サセプタ14にウェハWが載置された場合に、ウェハWの下面を支持することが可能である。
【0044】
支持部54の内周端の半径はR3である。支持部54の外周端の半径はR4である。
【0045】
図3は、第1の実施形態のホルダの模式図である。図3(a)は図2(a)に対応する上面図、図3(b)は図2(b)に対応する断面図である。
【0046】
図3は、サセプタ14にウェハWを載置した状態を示す図である。図3では、ウェハWの中心C1(第1の中心)とサセプタ14の中心C2(第2の中心)が一致する場合を示す。
【0047】
ウェハWは、膜質保証領域Waと膜質非保証領域Wbとを有する。本明細書において、膜質とは、例えば、膜厚やキャリア濃度、表面粗さ、欠陥密度、キャリアのライフタイムなどである。また、膜質保証領域Waは、例えば、膜厚やキャリア濃度、表面粗さ、欠陥密度、キャリアのライフタイムなどが、ウェハW上で特定の仕様を満たしていることを保証する領域であり、通常は、ウェハW上の中央側に設けられる。膜質非保証領域Wbは、例えば、膜厚やキャリア濃度、表面粗さ、欠陥密度、キャリアのライフタイムなどが、ウェハ上で特定の仕様を満たしていることを保証しない領域であり、通常、ウェハ上の外周側に設けられる。なお、膜質保証領域Waは、膜厚やキャリア濃度、表面粗さ、欠陥密度、キャリアのライフタイムなどの膜質ごとに定められる場合がある。本明細書においても、全ての膜質に関して、膜質保証領域Waが等しい必要はなく、少なくともいずれか一つの膜質に関して、膜質保証領域Waが定められていればよい。
【0048】
ウェハWの半径をR1とする。膜質保証領域Waの半径をR2とする。R1とR2との差分は、例えば、3mm以上6mm以下である。
【0049】
ウェハWの外周端と、外側領域52の内周端との距離(図3(b)中のD1)は、例えば、0.5mm以上3mm以下である。
【0050】
支持部54の内周端の半径R3は、例えば、ウェハWの半径R1の85%以上である。
【0051】
ウェハWの半径R1、ウェハWの膜質保証領域Waの半径R2、支持部54の内周端の半径R3、支持部54の外周端の半径R4、及び距離D1について、下記式1、式2、及び式3が充足される。
R1-D1>R4・・・(式1)
R2-D1>R3・・・(式2)
R2+D1<R4・・・(式3)
【0052】
図4は、第1の実施形態のホルダの拡大模式断面図である。図4は、支持部54を含む内側領域50の一部と外側領域52の断面図である。図4(a)はウェハWが載置されていない状態、図4(b)はウェハWの中心C1(第1の中心)とサセプタ14の中心C2(第2の中心)が一致した状態でウェハWが載置された状態を示す。
【0053】
外側領域52の上面52sの位置は、支持部54の上面54sの位置よりも上方にある。サセプタ14にウェハWを載置した際に、外側領域52の上面52sの位置は、例えば、ウェハWの表面の位置よりも上方にある。
【0054】
外側領域52の内周端(図4(a)中のE3)と、支持部54は離間している。支持部54の外周端(図4(a)中のE2)と、外側領域52の内周端E3との距離(図4(a)中のX)は、例えば、2mm以上6mm以下である。
【0055】
支持部54の幅(図4(a)中のw)は、例えば、3mm以上10mm以下である。支持部54の幅wは、支持部54の外周端E2の半径R4と、支持部54の内周端(図4(a)中のE1)の半径R3との差分に等しい。
【0056】
支持部54の高さ(図4(a)中のh)は、例えば、0.5mm以上3mm以下である。
【0057】
支持部54の高さhは、例えば、支持部54の幅wと等しいか、それよりも小さい。
【0058】
図4(b)に示すように、膜質保証領域Waの端部(図4(b)中のEx)は、支持部54の上にある。言い換えれば、膜質保証領域Waの端部Exは、支持部54の内周端E1と支持部54の外周端E2との間にある。
【0059】
気相成長装置100を用いて、ウェハW上に炭化珪素膜を形成する場合、まず、ウェハWを載置したサセプタ14を、反応室10の中に導入する。サセプタ14は、回転体16の上に載置される。
【0060】
第1のヒータ22及び第2のヒータ42を用いてウェハWを加熱する。例えば、ウェハWが1500℃以上になるように加熱する。バッファ室13から複数のガス導管53を経由して、反応室10にプロセスガスG0を供給する。
【0061】
回転駆動機構20を用いて、回転体16が回転させ、サセプタ14を回転させる。サセプタ14に載置されたウェハWは、サセプタ14と共に回転する。
【0062】
回転するウェハWの表面に炭化珪素膜が形成される。
【0063】
次に、第1の実施形態の気相成長装置の作用及び効果について説明する。
【0064】
図5は、第1の比較例のホルダの模式図である。図5(a)は上面図、図5(b)は図5(a)のBB’断面図である。
【0065】
第1の比較例のサセプタ64は、中心C2を有する。サセプタ64は、内側領域50と外側領域52を含む。外側領域52は内側領域50を囲む。サセプタ14にウェハWが載置された場合に、外側領域52はウェハWを囲む。
【0066】
第1の比較例のサセプタ64は、支持部54を備えない点で、第1の実施形態のサセプタ14と異なる。
【0067】
図6は、第1の比較例のホルダの模式図である。図6(a)は図5(a)に対応する上面図、図6(b)は図5(b)に対応する断面図である。
【0068】
図6は、サセプタ64にウェハWを載置した状態を示す図である。図6では、ウェハWの中心C1とサセプタ64の中心C2が一致する場合を示す。
【0069】
図6(b)に示すように、ウェハWの裏面の全面がサセプタ64の表面に接する。
【0070】
図7は、第1の比較例のホルダの第1の問題点の説明図である。図7は、第1の比較例のホルダの模式図である。図7(a)は図6(a)に対応する上面図、図6(b)は図6(b)に対応する断面図である。
【0071】
図7では、ウェハWの中心C1とサセプタ64の中心C2が一致しない場合を示す。いいかえれば、図7は、ウェハWがサセプタ64の中心C2からずれた場合を示す。
【0072】
ウェハWの表面に炭化珪素膜を形成する際、サセプタ64の内側領域50の、ウェハWに覆われていない領域に、副生成物66が形成される場合がある。副生成物66は、例えば、炭化珪素を含む。
【0073】
例えば、図7に示すように、副生成物66の上にウェハWが乗り上げると、ウェハWの裏面の一部がサセプタ64の内側領域50の表面から離れる。ウェハWの裏面の一部がサセプタ64の内側領域50の表面から離れることにより、ウェハWの表面の温度のばらつきが大きくなる。したがって、炭化珪素膜の膜質の均一性が低下する。
【0074】
また、副生成物66の上にウェハWが乗り上げると、例えば、ウェハWの裏面に副生成物66が付着する。ウェハWの裏面に副生成物66が付着すると、ウェハWの裏面の平坦性が損なわれ、炭化珪素膜形成後の製造工程で問題が生じるおそれがある。例えば、フォトリソグラフィ工程でデフォーカスが生じるおそれがある。
【0075】
なお、副生成物66の上にウェハWが乗り上げる現象は、回転しているウェハWに働く遠心力によって、炭化珪素膜を形成している最中にウェハWがサセプタ上でずれたり、搬送バラつきなどによって、サセプタ上でのウェハWの載置位置がウェハ間で異なったりすることにより生じる。
【0076】
図8は、第1の比較例のホルダの第2の問題点の説明図である。図8は、第1の比較例のホルダの模式図である。図8(a)は図6(a)に対応する上面図、図8(b)は図6(b)に対応する断面図である。
【0077】
ウェハWの表面に炭化珪素膜を形成する際、図8(b)に示すように、ウェハWの表面と裏面との間の温度差で、ウェハWが凹型に変形する場合がある。この場合、ウェハWの裏面とサセプタ64の内側領域50の表面との間に生じた隙間にプロセスガスが回り込み、サセプタ64の内側領域50の表面に副生成物66が形成される場合がある。また、ウェハWの裏面に直接炭化珪素膜が形成されることもある。
【0078】
例えば、サセプタ64の内側領域50の表面に形成された副生成物66がウェハWの裏面に付着する。ウェハWの裏面に副生成物66が付着すると、ウェハWの裏面の平坦性が損なわれ、炭化珪素膜形成後の製造工程で問題が生じるおそれがある。また、ウェハWの裏面に直接炭化珪素膜が形成される場合も、平坦な膜にならずに、ウェハWの裏面の平坦性が損なわれ、炭化珪素膜形成後の製造工程で問題が生じるおそれがある。
【0079】
また、ウェハWが凹型に変形した場合、ウェハWの裏面と支持部54との間が、特にウェハWの中心側で点接触になり、ウェハWがサセプタ64の回転に追随しなくなったり、ウェハWの中心側が積極的に加熱され、ウェハWの温度分布の悪化をもたらしたりするおそれもある。
【0080】
なお、図8では、ウェハWの中心C1とサセプタ64の中心C2が一致する場合を例として示している。ウェハWの中心C1とサセプタ64の中心C2が一致しない場合、いいかえれば、ウェハWがサセプタ64の中心C2からずれた場合でも、ウェハWの中心C1とサセプタ64の中心C2が一致する場合と同様の問題が生じるおそれがある。
【0081】
図9は、第1の実施形態の作用及び効果の説明図である。図9は、第1の実施形態のホルダの模式図である。図9(a)は上面図、図9(b)は断面図である。図9(b)は図3(b)に対応する断面図である。
【0082】
図9では、ウェハWの中心C1とサセプタ14の中心C2が一致しない場合を示す。いいかえれば、図9は、ウェハWがサセプタ14の中心C2からずれた場合を示す。
【0083】
図9(b)に示すように、第1の実施形態のサセプタ14では、ウェハWが支持部54で支持される。したがって、サセプタ64の内側領域50の、ウェハWに覆われていない領域に副生成物66が形成されても、副生成物66とウェハWの裏面は接しない。よって、第1の比較例のように、副生成物66の上にウェハWが乗り上げることにより、炭化珪素膜の膜質の均一性が低下することを抑制できる。
【0084】
また、副生成物66の上にウェハWが乗り上げることにより、ウェハWの裏面に副生成物66が付着することはない。したがって、炭化珪素膜形成後の製造工程で問題が生じることを抑制できる。
【0085】
図10は、第1の実施形態の作用及び効果の説明図である。図10は、第1の実施形態のホルダの模式図である。図10(a)は上面図、図10(b)は断面図である。図10(b)は図3(b)に対応する断面図である。
【0086】
ウェハWの表面に炭化珪素膜を形成する際、図10(b)に示すように、ウェハWの表面と裏面との間の温度差で、ウェハWが凹型に変形する場合がある。
【0087】
図10(b)に示すように、第1の実施形態のサセプタ14では、ウェハWが支持部54で支持される。このため、ウェハWの裏面とサセプタ14との間に、プロセスガスが回り込む隙間が生じにくい。したがって、ウェハWが凹型に変形した場合であっても、第1の比較例のような、ウェハWの裏面とサセプタ64の表面との間のプロセスガスの回り込みを抑制する。
【0088】
したがって、ウェハWの裏面に形成された副生成物66が付着することも抑制される。また、ウェハWの裏面に直接炭化珪素膜が形成されることも抑制される。よって、炭化珪素膜形成後の製造工程で問題が生じることを抑制できる。
【0089】
なお、図10では、ウェハWの中心C1とサセプタ14の中心C2が一致する場合を例として示している。ウェハWの中心C1とサセプタ14の中心C2が一致しない場合、いいかえれば、ウェハWがサセプタ14の中心C2からずれた場合でも、ウェハWの中心C1とサセプタ14の中心C2が一致する場合と同様の効果が得られる。
【0090】
図11は、第1の実施形態の作用及び効果の説明図である。図11は、第1の実施形態のホルダの模式図である。図11(a)は上面図、図11(b)は断面図である。図11(b)は図3(b)に対応する断面図である。
【0091】
図11では、ウェハWの中心C1とサセプタ14の中心C2が一致しない場合を示す。いいかえれば、図11は、ウェハWがサセプタ14の中心C2からずれた場合を示す。図11は、ウェハWの中心C1がサセプタ14の中心C2から、図の右方向にずれた場合を示す。
【0092】
図12は、第1の実施形態の作用及び効果の説明図である。図12は、第1の実施形態のホルダの模式図である。図12(a)は上面図、図12(b)は断面図である。図12(b)は図3(b)に対応する断面図である。
【0093】
図12では、ウェハWの中心C1とサセプタ14の中心C2が一致しない場合を示す。いいかえれば、図12は、ウェハWがサセプタ14の中心C2からずれた場合を示す。図12は、ウェハWの中心C1がサセプタ14の中心C2から、図の左方向にずれた場合を示す。
【0094】
第1の実施形態のサセプタ14では、ウェハWの半径R1、支持部54の外周端の半径R4、及び距離D1について、下記式1が充足される。
R1-D1>R4・・・(式1)
【0095】
式1は、ウェハWの中心C1がサセプタ14の中心C2から、D1だけ一方向にずれた場合であっても、ずれの方向とは逆側のウェハWの端部は、支持部54の外周端E2よりも外側領域52側に位置することを意味する。したがって、図11(b)及び図12(b)に示すように、ウェハWの中心C1がサセプタ14の中心C2からずれた場合であっても、支持部54の上面54sが露出しない。
【0096】
ウェハWの裏面と支持部54との間では、熱伝導によりウェハWと支持部54との間での熱交換が行われる。すなわち、ウェハWから支持部54への熱の流入、又は、ウェハWから支持部54への熱の流出が生ずる。例えば、ウェハWの温度が支持部54の温度よりも低い場合、ウェハWから支持部54への熱の流入が生ずる。一方、ウェハWの温度が支持部54の温度よりも高い場合、ウェハWから支持部54への熱の流出が生ずる。
【0097】
仮に支持部54の上面54sが露出すると、ウェハWの裏面に接する支持部54の面積がウェハWの位置によって変化する。例えば、支持部54の上面54sが露出した部分の近傍のウェハW位置では、支持部54の上面54sが露出しない部分の近傍のウェハW位置よりも熱交換の程度が低下する。
【0098】
このため、ウェハWと支持部54との間での熱交換の程度がウェハWの位置によってばらつくことになる。したがって、ウェハWの温度の均一性が低下する。第1の実施形態のサセプタ14では、支持部54の上面54sが露出しないため、ウェハWの温度の均一性の低下を抑制できる。
【0099】
また、第1の実施形態のサセプタ14では、支持部54の上面54sが露出しないため、ウェハWの表面に炭化珪素膜を形成する際、支持部54の上面54sに副生成物が付着することを抑制できる。よって、副生成物66の上にウェハWが乗り上げることによって、ウェハWの裏面に副生成物66が付着することを抑制できる。
【0100】
第1の実施形態の気相成長装置100は、第2のヒータ42を備え、サセプタ14に載置されたウェハWを、上方から加熱する。第2のヒータ42は、サセプタ14に載置されたウェハWを、サセプタ14の外周側から加熱する。
【0101】
外側領域52は、第2のヒータ42に近く、炭化珪素膜の形成中に温度が高くなりやすい。このため、ウェハWの中心C1とサセプタ14の中心C2とがずれ、ウェハWが外側領域52に接触した場合、ウェハWの外側領域52と接する部分が他の部分よりも高温になることがある。このような場合、ウェハWの外側領域52と接する部分の周辺において、膜質保証領域Waの端部Ex近傍が高温になりやすい。すなわち、高温になった膜質保証領域Waの端部Ex近傍において、膜質のバラつきが生じやすい。
【0102】
しかしながら、第1の実施形態のサセプタ14は、支持部54の外周端E2と、外側領域52の内周端E3との距離Xが6mm以下である。第1の実施形態のサセプタ14は、距離Xが6mmより大きい場合と比較して、ウェハWの外側領域52と接する部分と支持部54との間の距離が近いため、ウェハWの外側領域52と接する部分から、ウェハWの裏面に接する支持部54へ、ウェハWを経由して、熱を流出させやすい。
【0103】
また、第1の実施形態のサセプタ14は、支持部54の幅wが3mm以上である。第1の実施形態のサセプタ14は、支持部54の幅wが3mm未満の場合と比較して、接触面積が大きいため熱交換が促進される。
【0104】
このようなことから、ウェハWの外側領域52と接する部分の周辺において、膜質保証領域Waの端部Ex近傍が高温化することを抑制できる。すなわち、ウェハWの膜質保証領域Waにおける温度の均一性が向上する。
【0105】
図13は、第2の比較例のホルダの模式図である。図13(a)は上面図、図13(b)は断面図である。
【0106】
図13は、サセプタ74にウェハWを載置した状態を示す図である。図13では、ウェハWの中心C1とサセプタ64の中心C2が一致する場合を示す。
【0107】
第2の比較例のサセプタ74は、ウェハWの膜質保証領域Waの半径R2、支持部54の内周端の半径R3、支持部54の外周端の半径R4、及び距離D1、について、下記式2及び式3が充足されない点で第1の実施形態のサセプタ14と異なる。
R2-D1>R3・・・(式2)
R2+D1<R4・・・(式3)
【0108】
第2の比較例のサセプタ74は、下記式2’及び式3’を充足する。
R2-D1<R3・・・(式2’)
R2+D1>R4・・・(式3’)
【0109】
図14は、第2の比較例のホルダの拡大模式断面図である。図14は、支持部54を含む内側領域50の一部と外側領域52の断面図である。図14(a)はウェハWの任意の端部が内側、すなわち図中で左方向にD1ずれた状態、図14(b)はウェハWの任意の端部が外側、すなわち図中で右方向にD1ずれた状態を示す。
【0110】
式2’は、図14(a)に示すように、ウェハWの任意の端部がサセプタ14に対して内側にD1だけずれた場合、膜質保証領域Waの端部(図14中のEx)は、支持部54の内周端E1よりもサセプタ74の中心側に位置することを意味する。また、式3’は、図14(b)に示すように、ウェハWの任意の端部が外側にD1ずれた場合、膜質保証領域Waの端部Exは、支持部54の外周端E2よりもサセプタ74の外周側に位置することを意味する。
【0111】
膜質保証領域Waの端部Exが、支持部54から外れることにより、ウェハWの面内の膜質の均一性が低下する。これは、支持部54と膜質保証領域Waの端部Ex近傍との間の熱交換が不十分であるため、膜質保証領域Waの端部Ex近傍の温度がばらつきやすく、ウェハWの面内の温度均一性が低下するからであると考えられる。
【0112】
図15は、第1の実施形態のホルダの拡大模式断面図である。図15は、支持部54を含む内側領域50の一部と外側領域52の断面図である。図15(a)はウェハWの任意の端部が内側、すなわち図中で左方向にD1ずれた状態、図15(b)はウェハWの任意の端部が外側、すなわち図中で右方向にD1ずれた状態を示す。
【0113】
第1の実施形態のサセプタ14は、下記式2及び式3を充足する。
R2-D1>R3・・・(式2)
R2+D1<R4・・・(式3)
【0114】
式2は、図15(a)に示すように、ウェハWの任意の端部がサセプタ14に対して内側にD1だけずれた場合、膜質保証領域Waの端部(図15中のEx)は、支持部54の内周端E1よりもサセプタ14の外周側に位置することを意味する。すなわち、膜質保証領域Waの端部Exは支持部54の上にあることを意味する。
【0115】
また、式3は、図15(b)に示すように、ウェハWの任意の端部が外側にD1ずれた場合、膜質保証領域Waの端部Exは、支持部54の外周端E2よりもサセプタ14の内周側に位置することを意味する。すなわち、膜質保証領域Waの端部Exは支持部54の上にあることを意味する。
【0116】
第1の実施形態のサセプタ14は、ウェハWがサセプタ14に対してずれた場合であっても、膜質保証領域Waの端部Exが常に支持部54の上にある。したがって、支持部54と膜質保証領域Waの端部Ex近傍との間の熱交換が促進される。よって、ウェハWの面内の膜質の均一性が向上する。
【0117】
ウェハWの半径R1と膜質保証領域Waの半径R2との差分は、3mm以上6mm以下であることが好ましい。上記差分が3mm以上であることで、ウェハWの膜質保証が容易になる。また、上記差分が6mm以下であることで、ウェハWの面内における膜質保証領域Waの占める割合が大きくなる。
【0118】
ウェハWの外周端と、外側領域52の内周端E3との距離D1は、0.5mm以上3mm以下であることが好ましい。距離D1が0.5mm以上となることで、搬送ロボットなどを用いて、ウェハWをサセプタ14に載置することが容易となる。また、距離D1が3mm以下となることで、ウェハWの外周端と、外側領域52の内周端E3との間からプロセスガスが回り込み、支持部54と外側領域52の内周端E3との間に副生成物が形成されることが抑制されやすくなる。
【0119】
例えば、支持部54と外側領域52の内周端E3との間に副生成物が形成された場合、副生成物が昇華して、ウェハWの裏面に再付着するおそれがある。副生成物の昇華によるウェハWへの再付着を抑制する観点から、支持部54と外側領域52の内周端E3との間の副生成物の形成を抑制することが好ましい。
【0120】
支持部54の内周端E1の半径R3は、ウェハWの半径R1の85%以上であることが好ましい。半径R3を半径R1の85%以上とすることで、支持部54がウェハWの外周部の裏面を保持することができる。したがって、例えば、ウェハWが凹型に変形した場合に、ウェハWの裏面と支持部54との間が点接触となることを防ぐことができる。よって、ウェハWがサセプタ14の回転に追随しなくなることを抑制することができる。また、ウェハWの裏面と支持部54との間が点接触となることに伴う、ウェハWの面内の温度分布の悪化を抑制できる。更に、ウェハWが凹型に変形した場合に、ウェハWの裏面と支持部54との間にプロセスガスが回り込み、副生成物が形成されることを抑制できる。
【0121】
また、半径R3を半径R1の85%以上とすることで、支持部54の外周端E2の外側に露出するウェハWの裏面の面積を小さくすることができる。したがって、ウェハWの裏面へのプロセスガスの回り込みによる副生成物の付着を抑制できる。
【0122】
サセプタ14にウェハWを載置した際に、外側領域52の上面52sの位置は、例えば、ウェハWの表面の位置よりも上方にあることが好ましい。サセプタ14の回転中にウェハWがサセプタ14から外れることを抑制できる。
【0123】
支持部54の高さhは、0.5mm以上3mm以下であることが好ましい。高さhが0.5mmより小さい場合は、ウェハWと内側領域との距離が近いために、ウェハの僅かな反りに対して、ウェハWの面内での温度分布が影響を受けやすい。すなわち、ウェハWの反りのバラつきによって、ウェハWの温度分布のウェハ間差が生じやすく、膜質の再現性の悪化の原因となりやすい。また、ウェハWの重心を回転中心に完全に一致させることは困難であるため、ウェハWへ遠心力が働く。したがって、高さhを3mmより大きくすると、外側領域52の内周端へ働くモーメントが大きくなる。その結果、ウェハWの遠心力が働く方向とは反対側で、サセプタ14がわずかに浮いたりして振動を発生させ、ウェハWがサセプタから外れてしまったり、膜質の再現性の悪化が引き起こされやすくなる。
【0124】
支持部54の幅wは、10mm以下であることが好ましい。幅wを10mm以下とすることにより、ウェハWが凹型に変形した場合に、ウェハWの裏面と支持部54との間にプロセスガスが回り込み、副生成物が形成されることを抑制しやすくなる。
【0125】
以上、第1の実施形態の気相成長装置によれば、基板の温度の均一性を向上できる。したがって、基板に形成される膜の特性の均一性が向上する。
【0126】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の気相成長装置は、内側領域は円板形状ではなく、円環形状である点で第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0127】
図16は、第2の実施形態のホルダの模式図である。図16(a)は上面図、図16(b)は図16(a)のCC’断面図である。
【0128】
サセプタ14は、中心C2を有する。サセプタ14は、内側領域50と外側領域52を含む。外側領域52は内側領域50を囲む。サセプタ14にウェハWが載置された場合に、外側領域52はウェハWを囲む。
【0129】
内側領域50は、円環形状である。内側領域50の中心部に開口部が存在する。外側領域52は、環状である。
【0130】
以上、第2の実施形態の気相成長装置によれば、第1の実施形態と同様、基板の温度の均一性を向上できる。したがって、基板に形成される膜の特性の均一性が向上する。
【0131】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の気相成長装置は、ホルダの外側領域の内周側に複数の凸部を有する点で、第1の実施形態の気相成長装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0132】
図17は、第3の実施形態のホルダの模式図である。図17(a)は上面図、図17(b)は図17(a)のDD’断面図である。
【0133】
サセプタ14は、内側領域50と外側領域52を含む。外側領域52は内側領域50を囲む。サセプタ14にウェハWが載置された場合に、外側領域52はウェハWを囲む。
【0134】
サセプタ14は、外側領域52の内周側に、複数の凸部55を有する。
【0135】
図18は、第3の実施形態のホルダの模式図である。図18(a)は図17(a)に対応する上面図、図18(b)は図17(b)に対応する断面図である。
【0136】
図18は、サセプタ14にウェハWを載置した状態を示す図である。図18では、ウェハWの中心C1とサセプタ14の中心C2が一致する場合を示す。
【0137】
図19は、第3の実施形態の作用及び効果の説明図である。図19は、第3の実施形態のホルダの模式図である。図19(a)は上面図、図19(b)は断面図である。図19(b)は図18(b)に対応する断面図である。
【0138】
図19では、ウェハWの中心C1とサセプタ14の中心C2が一致しない場合を示す。いいかえれば、図19は、ウェハWがサセプタ14の中心C2からずれた場合を示す。
【0139】
ウェハWがサセプタ14の中心C2からずれた場合、ウェハWの外周は凸部55で外側領域52と接触する。したがって、ウェハWの外周と外側領域52との接触面積が、例えば、第1の実施形態のサセプタ14の場合と比較して小さくなる。よって、外側領域52からの熱の流入が抑制され、ウェハWの温度の均一性が向上する。
【0140】
以上、第3の実施形態の気相成長装置によれば、第1の実施形態と比較して、更に基板の温度の均一性を向上できる。したがって、基板に形成される膜の特性の均一性が更に向上する。
【0141】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の気相成長装置は、ホルダの外側領域が、炭素を含む第1部材と、第1部材の上に設けられ、第1部材と分離可能で少なくとも表面が炭化珪素を含む第2部材を含む点で、第1の実施形態の気相成長装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0142】
図20は、第4の実施形態のホルダの模式図である。図20(a)は上面図、図20(b)は図20(a)のEE’断面図である。
【0143】
図21は、第4の実施形態のホルダの拡大模式断面図である。図21は、支持部54を含む内側領域50の一部と外側領域52の断面図である。図21(a)はウェハWが載置されていない状態、図21(b)はウェハWが載置された状態を示す。
【0144】
サセプタ14は、中心C2を有する。サセプタ14は、内側領域50と外側領域52を含む。外側領域52は内側領域50を囲む。サセプタ14にウェハWが載置された場合に、外側領域52はウェハWを囲む。
【0145】
外側領域52は、第1部材56と第2部材58を含む。第2部材58は第1部材56の上に載置される。第2部材58は円環形状である。
【0146】
第1部材56の外周端に上方に突き出た外周固定部56aが設けられる。外周固定部56aは第2部材58を囲む。外周固定部56aにより、第1部材56の上に載置された第2部材58が横方向に固定される。第2部材58と第1部材56とは分離可能である。なお、第2部材58の上部が第1部材56の側に延び、第1部材56の上に第2部材の外側に延びた上部が載置される構造であっても構わない。
【0147】
第1部材56と第2部材58との境界は、例えば、ウェハWの上面よりも下方にある。したがって、ウェハWが外側にD1ずれた場合、ウェハWの一部は、第2部材58の一部に接する。
【0148】
第1部材56と第2部材58とは、異なる材料で形成される。第1部材56は炭素(C)を含む。第2部材58は炭化珪素を含む。第2部材58の少なくとも表面が炭化珪素を含む。第2部材58は、例えば、多結晶の炭化珪素である。第2部材58は、例えば、3C-SiCである。
【0149】
ウェハWへ膜を形成する際に、外側領域52の上面52sに副生成物が形成される。第2部材58を、第1部材56と分離可能とすることで、サセプタ14のクリーニングが容易となる。
【0150】
外側領域52の上面52sに形成される副生成物が、サセプタ14の温度変化による応力の印加により、上面52sから剥離する場合が考えられる。副生成物が剥離すると、反応室10内のダストが増加し、形成される膜の膜質が低下しやすい。また、外側領域52の上面52sに形成される副生成物により、サセプタ14に大きな応力が発生し、サセプタ14が反ってしまうことがある。サセプタ14が反ってしまうと、ウェハWの温度分布が悪くなり、形成される膜の膜質の均一性が低下しやすくなる。
【0151】
例えば、炭化珪素膜を形成する場合、上面52sに形成される副生成物の主成分は炭化珪素である。第2部材58の表面が炭化珪素を含むことにより、第2部材58と副生成物の熱膨張係数が近くなる。したがって、上面52sからの副生成物の剥離が抑制され、形成される膜の膜質が向上しやすくなる。また、副生成物によるサセプタ14の反りも抑制され、形成される膜の膜質の均一性が向上しやすくなる。
【0152】
図22は、第4の実施形態のホルダの拡大模式断面図である。図22は、支持部54を含む内側領域50の一部と外側領域52の断面図である。図22(a)はウェハWの任意の端部が内側、すなわち図中で左方向にD1ずれた状態、図22(b)はウェハWの任意の端部が外側、すなわち右方向にD1ずれた状態を示す。
【0153】
第4の実施形態のサセプタ14は、ウェハWがサセプタ14に対してずれた場合であっても、膜質保証領域Waの端部Exが常に支持部54の上にある。したがって、支持部54と膜質保証領域Waの端部Ex近傍との間の熱交換が促進される。よって、ウェハWの面内の膜質の均一性が向上する。
【0154】
図22(b)に示すように、ウェハWの任意の端部が外側にD1ずれた場合、ウェハWは、第2部材58に接する。
【0155】
第1部材56と第2部材58とは、異なる材料で形成される。このため、第1部材56と第2部材58の境界が熱抵抗となる。したがって、第2部材58が第2のヒータ42に加熱されて高温になった場合、第2部材58から第1部材56への熱流入が抑制される。したがって、例えば、第1部材56と第2部材58とが同一材料で形成される場合に比べ、第2部材58が高温になりやすい。よって、ウェハWの第2部材58と接する部分から流入する熱により、ウェハWの第2部材58と接する部分の周辺において、膜質保証領域Waの端部Ex近傍が高温になりやすい。
【0156】
第4の実施形態のサセプタ14では、ウェハWの第2部材58と接する部分から、ウェハWの裏面に接する支持部54へ、ウェハWを経由して、熱を流出させやすい。よって、ウェハWの第2部材58と接する部分の周辺において、膜質保証領域Waの端部Ex近傍が高温になることを抑制しやすい。
【0157】
以上、第4の実施形態の気相成長装置によれば、第1の実施形態と同様、基板の温度の均一性を向上できる。したがって、基板に形成される膜の特性の均一性が向上する。
【0158】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の気相成長装置は、ホルダの外側領域の第1部材の内周端に、上方に突き出た内周固定部が設けられる点で、第4の実施形態の気相成長装置と異なる。以下、第1の実施形態及び第4の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0159】
図23は、第5の実施形態のホルダの模式図である。図23(a)は上面図、図23(b)は図23(a)のFF’断面図である。
【0160】
図24は、第5の実施形態のホルダの拡大模式断面図である。図24は、支持部54を含む内側領域50の一部と外側領域52の断面図である。図24(a)はウェハWが載置されていない状態、図24(b)はウェハWが載置された状態を示す。
【0161】
サセプタ14は、中心C2を有する。サセプタ14は、内側領域50と外側領域52を含む。外側領域52は内側領域50を囲む。サセプタ14にウェハWが載置された場合に、外側領域52はウェハWを囲む。
【0162】
外側領域52は、第1部材56と第2部材58を含む。第2部材58は第1部材56の上に載置される。第2部材58は円環形状である。
【0163】
第1部材56の外周端に上方に突き出た外周固定部56aが設けられる。外周固定部56aは第2部材58を囲む。
【0164】
また、第1部材56の内周端に上方に突き出た内周固定部56bが設けられる。第2部材58は、内周固定部56bを囲む。
【0165】
内周固定部56bと外周固定部56aにより、第1部材56の上に載置された第2部材58が横方向に固定される。第2部材58と第1部材56とは分離可能である。なお、第2部材58の上部が外周固定部56a側に延び、外周固定部56aの上に第2部材58の外側に延びた上部が載置される構造であっても構わない。
【0166】
第5の実施形態のサセプタ14は、ウェハWの任意の端部が外側にD1だけずれた場合であっても、ウェハWは、直接第2部材58に接することはない。したがって、第2部材58が第2のヒータ42に加熱されて高温になった場合であっても、第2部材58からウェハWへの熱の流入が抑制される。よって、第4の実施形態のサセプタ14を用いる場合と比較して、ウェハWの温度の均一性が保たれる。
【0167】
以上、第5の実施形態の気相成長装置によれば、第1の実施形態と同様、基板の温度の均一性を向上できる。したがって、基板に形成される膜の特性の均一性が向上する。
【0168】
(第6の実施形態)
第6の実施形態の気相成長装置は、ホルダが、ベース部と、ベース部の上の分離可能な脱着部を有する点で、第4の実施形態の気相成長装置と異なる。以下、第1の実施形態及び第4の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0169】
図25は、第6の実施形態のホルダの模式図である。図25(a)は上面図、図25(b)は図25(a)のGG’断面図である。
【0170】
サセプタ14は、中心C2を有する。サセプタ14は、内側領域50と外側領域52を含む。外側領域52は内側領域50を囲む。サセプタ14にウェハWが載置された場合に、外側領域52はウェハWを囲む。
【0171】
サセプタ14は、ベース部60と、脱着部62を含む。脱着部62は、ベース部60の上に設けられる。脱着部62はベース部60から分離可能である。
【0172】
内側領域50の一部と外側領域52の一部がベース部60に含まれる。内側領域50の別の一部が脱着部62に含まれる。
【0173】
ベース部60と脱着部62は、例えば、同一の材料で形成される。また、ベース部60と脱着部62は、例えば、異なる材料で形成される。
【0174】
外側領域52は、第1部材56と第2部材58を含む。第2部材58の一部はベース部60の上に載置される。第2部材58の別の一部は、脱着部62の上に載置される。第2部材58は円環形状である。
【0175】
第6の実施形態のサセプタ14は、ベース部60と分離可能な脱着部62を有することにより、メンテナンスが容易となる。
【0176】
以上、第6の実施形態の気相成長装置によれば、第1の実施形態と同様、基板の温度の均一性を向上できる。したがって、基板に形成される膜の特性の均一性が向上する。
【0177】
(第7の実施形態)
第7の実施形態の気相成長装置は、基板はオリエンテーションフラットを有し、支持部は基板がホルダに載置された場合にオリエンテーションフラットに沿う直線部分を有し、直線部分に対向する外側領域の内周端は、直線形状である点で、第1の実施形態の気相成長装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0178】
図26は、第7の実施形態のホルダの模式図である。図26(a)は上面図、図26(b)は図26(a)のHH’断面図である。
【0179】
図27は、第7の実施形態のホルダの模式図である。図27(a)は図26(a)に対応する上面図、図27(b)は図26(b)に対応する断面図である。
【0180】
図27は、サセプタ14にウェハWを載置した状態を示す図である。図27では、ウェハWの中心C1とサセプタ14の中心C2が一致する場合を示す。
【0181】
ウェハWはオリエンテーションフラットOFを有する。オリエンテーションフラットOFは、ウェハWの結晶方位を示すためにウェハWの外周に設けられる直線部である。
【0182】
サセプタ14は、内側領域50と外側領域52を含む。外側領域52は内側領域50を囲む。サセプタ14にウェハWが載置された場合に、外側領域52はウェハWを囲む。
【0183】
内側領域50は、円板形状である。外側領域52は、環状である。
【0184】
内側領域50の上に、環状の支持部54が設けられる。環状の支持部54は、円弧部分54aと、直線部分54bを含む。
【0185】
支持部54は、サセプタ14にウェハWが載置された場合に、ウェハWの下面を支持することが可能である。直線部分54bは、サセプタ14にウェハWが載置された場合に、オリエンテーションフラットOFに沿っている。直線部分54bがオリエンテーションフラットOFに沿ったウェハWの下面を支持する。
【0186】
支持部54の直線部分54bに対向する外側領域52の内周端の一部52bは直線形状である。外側領域52の内周端の一部52bは、サセプタ14にウェハWが載置された場合に、オリエンテーションフラットOFに沿っている。
【0187】
支持部54の円弧部分54aの幅(図26(a)中のw1)と、支持部54の直線部分54bの幅(図26(a)中のw2)は、例えば、等しい。
【0188】
直線部分54bと、直線部分54bに対向する外側領域52の内周端の一部52bとの間の距離(図26(b)中のX2)は、例えば、円弧部分54aと、円弧部分54aに対向する外側領域52の内周端の別の一部52aとの間の距離(図26(b)中のX1)と、等しい。
【0189】
また、ウェハWの外周端と、円弧部分54aに対向する外側領域52の内周端の別の一部52aとの距離(図27(b)中のD1)は、例えば、ウェハWの外周端と、直線部分54bに対向する外側領域52の内周端の一部52bとの距離(図27(b)中のD2)と等しい。
【0190】
第7の実施形態のサセプタ14によれば、ウェハWがオリエンテーションフラットOFを有する場合であっても、ウェハWの温度の均一性が保たれる。
【0191】
以上、第7の実施形態の気相成長装置によれば、第1の実施形態と同様、基板の温度の均一性を向上できる。したがって、基板に形成される膜の特性の均一性が向上する。
【0192】
(第8の実施形態)
第8の実施形態の気相成長装置は、直線部分の外周端と外側領域の内周端との距離は、円弧部分の外周端と外側領域の内周端との距離よりも大きい点で、第7の実施形態の気相成長装置と異なる。以下、第1の実施形態及び第7の実施形態と重複する内容については一部記述を省略する。
【0193】
図28は、第8の実施形態のホルダの模式図である。図28(a)は上面図、図28(b)は図28(a)のII’断面図である。
【0194】
直線部分54bと、直線部分54bに対向する外側領域52の内周端の一部52bとの間の距離(図28(b)中のX2)は、例えば、円弧部分54aと、円弧部分54aに対向する外側領域52の内周端の別の一部52aとの間の距離(図28(b)中のX1)よりも大きい。距離X2は、例えば、距離X1の1.2倍以上3倍以下である。支持部54の外周端と外側領域52の内周端との距離は、直線部分54bが円弧部分54aよりも大きい。
【0195】
図29は、第8の実施形態の作用及び効果の説明図である。図29は、第7の実施形態のホルダの模式図である。図29は上面図である。
【0196】
第7の実施形態のサセプタ14は、第8の実施形態のサセプタ14と異なり、直線部分54bと、直線部分54bに対向する外側領域52の内周端の一部52bとの間の距離(図26(b)中のX2)は、円弧部分54aと、円弧部分54aに対向する外側領域52の内周端の別の一部52aとの間の距離(図26(b)中のX1)と、等しい。
【0197】
図29に示すように、ウェハWがサセプタ14に対して相対的に回転すると、ウェハWが外側領域52の内周端の間に挟まり固定されてしまう場合がある。このような場合、例えば、ウェハWへの膜の形成の後に、反応室10の温度が低下すると、ウェハWと外側領域52の熱膨張係数の違いにより、ウェハWに圧縮応力がかかり、ウェハWが割れるおそれがある。
【0198】
図30は、第8の実施形態の作用及び効果の説明図である。図30は、第8の実施形態のホルダの模式図である。図30は上面図である。
【0199】
図30は、第8の実施形態のサセプタ14に載置されたウェハWがサセプタ14に対して相対的に回転した場合を示す。第8の実施形態のサセプタ14は、直線部分54bと、直線部分54bに対向する外側領域52の内周端の一部52bの間の距離(図28(b)中のX2)は、円弧部分54aと、円弧部分54aに対向する外側領域52の内周端の別の一部52aとの間の距離(図28(b)中のX1)よりも大きい。したがって、ウェハWが外側領域52の内周端の間に挟まり固定されることが抑制される。よって、ウェハWに圧縮応力がかかり、ウェハWが割れることが抑制される。
【0200】
距離X2は、距離X1の1.2倍以上2倍以下であることが好ましい。距離X2が、距離X1の1.2倍以上となることにより、ウェハWが外側領域52の内周端の間に挟まり固定されることが抑制される。また、距離X2が、距離X1の2倍以下となることにより、ウェハWの裏面へプロセスガスが回り込み、ウェハWの裏面に副生成物が付着することを抑制できる。
【0201】
以上、第8の実施形態の気相成長装置によれば、第1の実施形態と同様、基板の温度の均一性を向上できる。したがって、基板に形成される膜の特性の均一性が向上する。
【0202】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。上記、実施形態はあくまで、例として挙げられているだけであり、本発明を限定するものではない。また、各実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもかまわない。
【0203】
実施形態では、単結晶の炭化珪素膜を形成する場合を例に説明したが、多結晶又はアモルファスの炭化珪素膜の形成にも本発明を適用することが可能である。また、成膜温度の高い炭化珪素膜以外の膜の形成にも本発明を適用することが可能である。
【0204】
また、実施形態では、単結晶炭化珪素のウェハを基板の一例として説明したが、基板は単結晶炭化珪素のウェハに限定されるものではない。
【0205】
実施形態では、装置構成や製造方法等、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や製造方法等を適宜選択して用いることができる。その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての気相成長装置は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲によって定義されるものである。
【符号の説明】
【0206】
10 反応室
14 サセプタ(ホルダ)
22 第1のヒータ
42 第2のヒータ
50 内側領域
52 外側領域
54 支持部
54a 円弧部分
54b 直線部分
56 第1部材
58 第2部材
100 気相成長装置
OF オリエンテーションフラット
W ウェハ(基板)
Wa 膜質保証領域
X 距離
w 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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