(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/40 20060101AFI20240221BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
H05K3/40 K
H05K1/11 N
(21)【出願番号】P 2019239049
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 典史
(72)【発明者】
【氏名】勝又 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】能田 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】数延 美和子
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-013751(JP,A)
【文献】特開2005-159074(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132424(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/40
H05K 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材の表面に形成された表側配線層及び前記絶縁基材の裏面に形成された裏側配線層を有すると共に、前記絶縁基材の表面から裏面まで貫通する貫通孔が形成されている基板を準備する工程と、
前記貫通孔内に、バインダ樹脂を含有した導電性ペーストを充填する工程と、
前記基板の表面及び裏面のそれぞれの前記導電性ペーストの表面に穴部を形成する工程と、
前記導電性ペーストを硬化する工程と、を含む配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記穴部は、前記基板の厚み方向から見て、前記基板の表面側と、前記基板の裏面側とで重複しない位置に形成される請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
絶縁基材の表面に形成された表側配線層及び前記絶縁基材の裏面に形成された裏側配線層を有すると共に、前記絶縁基材の表面から裏面まで貫通する貫通孔が形成されている基板を準備する工程と、
前記貫通孔内に、バインダ樹脂を含有した導電性ペーストを充填する工程と、
前記基板の表面及び裏面のいずれか一方の前記導電性ペーストの表面に穴部を形成する工程と、
前記導電性ペーストを硬化する工程と、を含む配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記導電性ペーストを充填する工程の後、前記穴部を形成する工程の前に、前記導電性ペーストを乾燥する工程を含む請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記穴部を形成する工程の後、前記導電性ペーストを硬化する工程の前に、予め設定された時間を経過させることで前記導電性ペースト中のバインダ樹脂の一部を前記穴部に流出させる工程を含む請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記流出させる工程の後、前記導電性ペーストを硬化する工程の前に、前記穴部に流出させた前記バインダ樹脂を除去する工程を含む請求項5に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記バインダ樹脂を除去する工程は、前記基板の表面及び裏面のうちの前記穴部が形成された側に吸着紙を重ね合わせ、前記吸着紙をローラで押圧する請求項6に記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記基板の表面及び裏面の一側における前記穴部の数が複数個形成される請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記貫通孔が平面視で円形であり、前記穴部は、前記貫通孔との同心円の円周に沿って等間隔で複数形成される請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記穴部の形状は、平面視で、円形、楕円形、三角形、又は四角形である請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記穴部の形状は、前記基板の厚み方向で切断した断面視で、三角形、四角形、又はU字状である請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項12】
前記穴部の深さは、20μm以上200μm以下である請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項13】
前記絶縁基材は、50μm以上600μm以下の厚みであるガラスエポキシ、又は、12μm以上50μm以下の厚みであるポリイミドで形成されている請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板の製造方法及び配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子等の電子機器の小型化に伴い、高密度に実装できる配線基板が要望されている。例えば、特許文献1には、配線基板のスルーホールに機械的な強度を高めるために、導電性ペーストと共に導体繊維を充填する構成が記載されている。また、特許文献2には、細線印刷適正に優れた導電性ペーストを用いた導電性積層体が記載されている。さらに、特許文献3には、高導電性配線基板の製造方法として、導電性ペーストのバインダ成分の一部を、吸収シートを配置して吸収させることで、導電性ペースト内の導電性粒子の含有率を増大させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-326437号公報
【文献】国際公開第2015/046096号
【文献】特開2003-188534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の各基板では、導電性ペースト内に存在するバインダ成分が十分には除去されず、抵抗値が上がり、外観が劣化する場合があるので、接続信頼性の向上が望まれている。
本開示に係る実施形態は、接続信頼性に優れた配線基板の製造方法及び配線基板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る配線基板の製造方法は、絶縁基材の表面に形成された表側配線層及び前記絶縁基材の裏面に形成された裏側配線層を有すると共に、前記絶縁基材の表面から裏面まで貫通する貫通孔が形成されている基板を準備する工程と、前記貫通孔内に、バインダ樹脂を含有した導電性ペーストを充填する工程と、前記基板の表面及び裏面のそれぞれの前記導電性ペーストの表面に穴部を形成する工程と、前記導電性ペーストを硬化する工程と、を含む。
【0006】
本開示の実施形態に係る配線基板の製造方法は、絶縁基材の表面に形成された表側配線層及び前記絶縁基材の裏面に形成された裏側配線層を有すると共に、前記絶縁基材の表面から裏面まで貫通する貫通孔が形成されている基板を準備する工程と、前記貫通孔内に、バインダ樹脂を含有した導電性ペーストを充填する工程と、前記基板の表面及び裏面のいずれか一方の前記導電性ペーストの表面に穴部を形成する工程と、前記導電性ペーストを硬化する工程と、を含む。
【0007】
本開示の実施形態に係る配線基板は、絶縁基材の表面及び裏面に形成された表側配線層及び裏側配線層を有すると共に、表面から裏面まで貫通する貫通孔が形成されている基板と、前記貫通孔内に設けた、バインダ樹脂を含有した導電性ペーストと、を備え、前記基板の表面及び裏面のそれぞれの前記導電性ペーストの表面に穴部を有するものとした。
【0008】
本開示の実施形態に係る配線基板は、絶縁基材の表面及び裏面に形成された表側配線層及び裏側配線層を有すると共に、表面から裏面まで貫通する貫通孔が形成されている基板と、前記貫通孔内に設けた、バインダ樹脂を含有した導電性ペーストと、を備え、前記基板の表面及び裏面のいずれか一方の前記導電性ペーストの表面に穴部を有するものとした。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る実施形態によれば、接続信頼性に優れる配線基板の製造方法及び配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】実施形態に係る配線基板を模式的に示す断面図である。
【
図1B】配線基板の貫通孔に充填した導電性ペーストの状態を模式的に拡大して示すと共に、穴部の形態を模式的に示す拡大断面図である。
【
図1C】実施形態に係る配線基板の表面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
【
図1D】実施形態に係る配線基板の裏面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
【
図2】実施形態に係る配線基板の製造方法のフローチャートである。
【
図3A】実施形態に係る配線基板の製造方法の基板準備工程において準備した基板の部分断面図である。
【
図3B】実施形態に係る配線基板の製造方法の充填工程を説明する部分断面図である。
【
図3C】実施形態に係る配線基板の製造方法の穴部形成工程を説明する部分断面図であり、導電性ペーストの表面に治具を押し当てた後の状態を示す部分断面図である。
【
図3D】実施形態に係る配線基板の製造方法の穴部形成工程を説明する部分断面図であり、穴部を形成した状態を示す部分断面図である。
【
図3E】実施形態に係る配線基板の製造方法の流出工程を説明する部分断面図である。
【
図3F】実施形態に係る配線基板の製造方法の除去工程を説明する部分断面図である。
【
図3G】実施形態に係る配線基板の製造方法の硬化工程を説明する部分断面図である。
【
図4A】実施形態の変形例に係る配線基板の表面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
【
図4B】実施形態の変形例に係る配線基板の裏面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
【
図4C】実施形態の変形例に係る配線基板の表面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
【
図4D】実施形態の変形例に係る配線基板の表面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
【
図4E】実施形態の変形例に係る配線基板の表面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
【
図4F】実施形態の変形例に係る配線基板の表面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
【
図5A】実施形態の変形例に係る配線基板の一部を模式的に示す拡大断面図である。
【
図5B】実施形態の変形例に係る配線基板の一部を模式的に示す拡大断面図である。
【
図5C】実施形態の変形例に係る配線基板の一部を模式的に示す拡大断面図である。
【
図5D】実施形態の変形例に係る配線基板の一部を模式的に示す拡大断面図である。
【
図6】実施形態に係る配線基板の製造方法の除去工程の変形例を説明する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、配線基板及び配線基板の製造方法について、図面を参照して説明する。以下の説明において参照する図面は、本開示の実施形態を概略的に示しているため、図面に示す部材は、大きさや位置関係等を誇張していることがあり、また、形状を単純化していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号は、原則として同一の又は同質の部材や工程を示すものであり、詳細な説明を適宜省略する。
【0012】
〔配線基板〕
図1Aは、実施形態に係る配線基板を模式的に示す断面図である。
図1Bは、配線基板の貫通孔に充填した導電性ペーストの状態を模式的に拡大して示すと共に、穴部の形態を模式的に示す拡大断面図である。
図1Cは、実施形態に係る配線基板の表面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
図1Dは、実施形態に係る配線基板の裏面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
【0013】
配線基板10は、絶縁基材11の表面及び裏面に形成された表側配線層12及び裏側配線層13を有すると共に、表面から裏面まで貫通する貫通孔1hが形成されている基板1と、貫通孔1h内に設けた、バインダ樹脂を含有した導電性ペースト(層間接続部材)2と、を備え、基板1の表面及び裏面のいずれか一方又はそれぞれの導電性ペースト2の表面に穴部2hを有する。配線基板10は、絶縁基材11の構成によって、リジッド基板、フレキシブル基板のいずれともすることができる。絶縁基材11の材料は、絶縁性の樹脂を用いることができる。なお、後記するように、導電性ペースト2は、導電性ペースト20のバインダ樹脂22が硬化したものであり、具体的には層間接続部材である。
【0014】
(基板)
基板1は、絶縁基材11と、絶縁基材11の表面に形成された表側配線層12と、裏面に形成された裏側配線層13と、を備え、貫通孔1hが形成されている。
絶縁基材11は、例えば、1枚ないし複数枚のガラスクロスにエポキシ樹脂等の絶縁性の樹脂を含侵させて硬化させた板状のガラスエポキシで形成される。このようなガラスエポキシで形成された絶縁基材11は、厚さを50μm以上600μm以下とすることが好ましい。貫通孔1hのアスペクト比の調整が容易であり、導電性ペースト20を充填し易くできるからである。あるいは、絶縁基材11は、フィルム状のポリイミドや液晶ポリマー等で形成することもできる。このような絶縁基材11は、厚さを12μm以上50μm以下とすることが好ましい。貫通孔1hへの導電性ペースト20の充填が容易であり、フィルムの可撓性を損ない難くするからである。絶縁基材11は、このように、ある程度の厚みのある板から薄板やフィルムまで、また、硬質なものや可撓性を有するものを用いることができる。絶縁基材11は、一般的に、両面にそれぞれ銅箔が張り合わされた両面銅張積層板として製造され、両面の銅箔は、表側配線層12及び裏側配線層13に加工される。
【0015】
表側配線層12は、絶縁基材11の表面上に形成された配線パターンである。裏側配線層13は、絶縁基材11の裏面上に形成された配線パターンである。表側配線層12及び裏側配線層13は、銅等の金属材料からなり、絶縁基材11の両面に設けられた金属箔や蒸着膜等を所望の形状に加工して形成されている。表側配線層12及び裏側配線層13はそれぞれ、厚さを12μm以上70μm以下とすることが好ましい。表側配線層12及び裏側配線層13は、所定厚み以下とすることで、層間接続部材2との接着性の向上、及び基板1を薄型化することができるからである。
【0016】
貫通孔1hは、配線基板10において、表側配線層12と裏側配線層13とを電気的に接続する箇所に設けられている。貫通孔1hは、表側配線層12、絶縁基材11、及び裏側配線層13を連通して形成されている。貫通孔1hの平面視形状は、円が好ましく、楕円や、矩形等の多角形とすることもできる。また、貫通孔1hの直径を、例えば0.05mm以上0.3mm以下とすることが好ましい。貫通孔1hは、孔径を所定範囲とすることで、後述する充填工程S2においては導電性ペースト20を充填し易く、流出工程S5においては導電性ペースト20を流出し易くできるからである。
【0017】
(層間接続部材)
層間接続部材2は、基板1の貫通孔1h内に埋設された導電部材であり、表側配線層12と裏側配線層13とを電気的に接続する。層間接続部材2は、
図1Bに示す、導電フィラー21及びバインダ樹脂22を混合した導電性ペースト20が、貫通孔1hに充填された後に、バインダ樹脂22を硬化させて形成される。層間接続部材2は、体積抵抗率がより低いことが好ましく、例えば、体積抵抗率が2×10
-5Ω・cm以上1.5×10
-4Ω・cm以下となるような導電性ペースト20を適用することが好ましい。
【0018】
導電フィラー21は、例えば、銀や銅等の金属又はカーボンからなり、フレーク状、鱗片状、樹皮状等である。バインダ樹脂22は、熱硬化性樹脂であり、また、導電性ペースト20において、導電フィラー21に対する濡れ性がよいものが好ましい。バインダ樹脂22は、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、アクリレート樹脂、PMMA等のメタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリノルボルネン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、バインダ樹脂22は、導電フィラー21とバインダ樹脂22との合計に対して、3質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましく、一方、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。また、導電性ペースト20は、導電フィラー21とバインダ樹脂22との合計に対して、溶剤含有量が1質量%以下であることが好ましい。導電性ペースト20は、溶剤含有量を所定質量%以下にすることで、硬化時の体積収縮を軽減できるからである。
【0019】
基板1の表面及び裏面のそれぞれ(すなわち、両方)の層間接続部材2の表面には、穴部2hが設けられている。穴部2hは、導電性ペースト20中のバインダ樹脂22を流出させる部位である。なお、本実施形態では、穴部2hにはバインダ樹脂22が残存していない。穴部2hが層間接続部材2の両面に設けられることで、後述する流出工程S5において、導電性ペースト20のバインダ樹脂22が穴部2hに流出し易くなる。また、配線基板10は、層間接続部材2の表面に穴部2hを有することで、層間接続部材2が露出する表面積が増加するため、配線基板10の放熱性が向上する。また、配線基板10の軽量化を図ることができる。
穴部2hは、基板1の表面側に4つ、基板1の裏面側に4つ設けられている。また、穴部2hは、平面視で貫通孔1hとの同心円の円周に沿って等間隔で設けられている。穴部2hが等間隔で設けられることで、層間接続部材2の接続抵抗値が安定する。接続抵抗値とは、表側配線層12から導電性ペースト2を介して裏側配線層13までの抵抗値を指す。接続抵抗値は、表側配線層12と裏側配線層13にプローブ針を接触させて抵抗値の測定を行うことで算出することができる。
【0020】
基板1の表面及び裏面のそれぞれの層間接続部材2の表面に、穴部2hが設けられている場合、穴部2hは、基板1の厚み方向から見て、すなわち平面視で、基板1の表面側と、基板1の裏面側とで重複しないように、互いにずれた位置に形成されている。穴部2hが互いにずれた位置に形成されることで、層間接続部材2の接続抵抗値が安定する。また、穴部2hが互いにずれた位置に形成されることで、基板1の表面側の穴部2hの深さと、基板1の裏面側の穴部2hの深さとの合計が、層間接続部材2の垂直方向の厚みよりも大きい場合、層間接続部材2が穴部2hにより貫通することがない。層間接続部材2が穴部2hにより貫通しないことで、層間接続部材2の強度がより向上する。
【0021】
穴部2hは、平面視で円形に形成されている。穴部2hの平面視形状を円形とすることで、穴部2hを設け易くなる。穴部2hは、基板1の厚み方向で切断した断面視で、導電性ペースト20の表面側から内部側に向かって溝幅が狭くなるように三角形(すなわち、V字状)に形成されている。穴部2hの断面視形状を三角形とすることで、穴部2hを設け易くなる。すなわち、穴部2hは、開口部が円形の円錐状に形成されている。
【0022】
穴部2hは、貫通孔1hの端面(外縁)よりも内側に設けられている。すなわち、穴部2hは、貫通孔1hの端面(外縁)に接触しないように、平面視で貫通孔1hが存在する位置に設けられている。穴部2hが貫通孔1hの端面(外縁)に接触しなければ、層間接続部材2と、表側配線層12や裏側配線層13との接触面積が減少しないため、層間接続部材2の接続抵抗値がより安定する。平面視における貫通孔1hの端面から平面視における穴部2hの中心までの最短の距離は、例えば、貫通孔1hの直径が0.3mmの場合、25μmである。なお、本実施形態では、表側配線層12上に層間接続部材2が設けられているが、穴部2hが貫通孔1hの端面(外縁)に接触しなければ、平面視で、穴部2hの開口部が貫通孔1hの端面(外縁)上にあってもよい。
【0023】
穴部2hは、基板1の表面及び裏面において、層間接続部材2の表面から層間接続部材2の内部に向かって垂直方向に延伸している。穴部2hの深さは、例えば20μm以上200μm以下とすることが好ましい。穴部2hの深さが20μm以上であれば、導電性ペースト20のバインダ樹脂22が穴部2hに流出し易くなるからである。一方、200μm以下であれば、層間接続部材2の強度をより向上させることができるからである。また、基板1の表面側の穴部2hの深さは、例えば、表側配線層12の厚みの50%以上150%以下が好ましい。同様に、基板1の裏面側の穴部2hの深さは、例えば、裏側配線層13の厚みの50%以上150%以下が好ましい。穴部2hの深さが配線層の厚みの50%以上であれば、導電性ペースト20のバインダ樹脂22が穴部2hに流出し易くなるからである。一方、配線層の厚みの150%以下であれば、層間接続部材2の強度をより向上させることができるからである。
穴部2hの深さは、基板1の表面側と裏面側と同じであってもよく、異なっていてもよい。本実施形態では、穴部2hは基板1の表面側のほうが裏面側よりも深く形成されているが、表面側と裏面側とで同じ深さであってもよく、裏面側のほうが表面側よりも深く形成されていてもよい。
【0024】
穴部2hの直径は、例えば20μm以上50μm以下とすることが好ましい。穴部2hの直径が20μm以上であれば、導電性ペースト20のバインダ樹脂22が穴部2hに流出し易くなるからである。一方、50μm以下であれば、層間接続部材2の強度をより向上させることができるからである。なお、穴部2hの直径とは、平面視における穴部2hの直径、すなわち、開口部の直径である。
【0025】
〔配線基板の製造方法〕
図2は、実施形態に係る配線基板の製造方法のフローチャートである。
図3Aは、実施形態に係る配線基板の製造方法の基板準備工程において準備した基板の部分断面図である。
図3Bは、実施形態に係る配線基板の製造方法の充填工程を説明する部分断面図である。
図3Cは、実施形態に係る配線基板の製造方法の穴部形成工程を説明する部分断面図であり、導電性ペーストの表面に治具を押し当てた後の状態を示す部分断面図である。
図3Dは、実施形態に係る配線基板の製造方法の穴部形成工程を説明する部分断面図であり、穴部を形成した状態を示す部分断面図である。
図3Eは、実施形態に係る配線基板の製造方法の流出工程を説明する部分断面図である。
図3Fは、実施形態に係る配線基板の製造方法の除去工程を説明する部分断面図である。
図3Gは、実施形態に係る配線基板の製造方法の硬化工程を説明する部分断面図である。
【0026】
配線基板の製造方法は、絶縁基材11の表面に形成された表側配線層12及び絶縁基材11の裏面に形成された裏側配線層13を有すると共に、絶縁基材11の表面から裏面まで貫通する貫通孔1hが形成されている基板1を準備する基板準備工程S1と、貫通孔1h内に、バインダ樹脂22を含有した導電性ペースト20を充填する充填工程S2と、導電性ペースト20を乾燥する乾燥工程S3と、基板1の表面及び裏面のいずれか一方又はそれぞれの導電性ペースト20の表面に穴部2hを形成する穴部形成工程S4と、予め設定された時間を経過させることで導電性ペースト20中のバインダ樹脂22の一部を穴部2hに流出させる流出工程S5と、穴部2hに流出させたバインダ樹脂22を除去する除去工程S6と、導電性ペースト20を硬化する硬化工程S7と、を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
【0027】
(基板準備工程)
基板準備工程S1は、
図3Aに示す基板1を準備する工程である。一例として、ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させ、その両面にそれぞれ銅箔を接合して、エポキシ樹脂を硬化させて、絶縁基材11の両面に銅箔が張り合わされた両面銅張積層板を製造する。次に、両面銅張積層板の各面の銅箔を順次エッチングして、表側配線層12及び裏側配線層13を形成する。そして、両面銅張積層板の所定の箇所に、NC(Numerical Control)ドリルやレーザ、パンチング等、絶縁基材11の材料や厚さに応じた加工方法で、表側配線層12、絶縁基材11、及び裏側配線層13を連通する貫通孔1hを形成する。
【0028】
(充填工程)
充填工程S2は、
図3Bに示すように、基板1の貫通孔1h内に導電性ペースト20を充填する工程である。プレート6の上に基板1を載置して固定し、基板1の表面に貫通孔1hの位置に合わせて孔が形成されたマスク7を固定する。プレート6は、例えば多数の孔を有する真空チャックの吸着プレートであり、基板1を真空吸着して固定する。吸着力は、基板1の厚み、貫通孔1hの大きさに対して、導電性ペースト20が貫通孔1hの底部まで充填されるように適切な調整が行われる。また、このようなプレート6と基板1の間に、不織布等のシート51を挟むことが好ましい。マスク7の孔は、平面視形状が貫通孔1hと同一以上の大きさに形成され、一回り大きいことが好ましい。マスク7は、例えば、ステンレス板を加工した厚さ20μm以上60μm以下のメタルマスク、又は、150メッシュ以上400メッシュ以下、乳剤厚5μm以上20μm以下のスクリーンマスクである。
【0029】
そして、導電性ペースト20を、スキージ8を用いてスクリーン印刷法でマスク7の上から貫通孔1hに充填する。スキージ8は、例えば、硬度70以上80以下のウレタンゴムを適用することができる。また、スクリーン印刷は、基板1の厚さや貫通孔1hの直径等に応じて、スキージ実効角度15°以上30°以下、印圧0.1MPa以上0.4MPa以下、スキージ速度10mm/sec以上100mm/sec以下で実行してもよく、さらにスキージ片道印刷及びスキージ往復印刷のいずれで実行してもよい。スクリーン印刷の完了後、マスク7を取り外す。充填工程S2により、基板1の貫通孔1hに、導電性ペースト20が、表側配線層12の側にマスク7の厚さ分突出して充填される。
【0030】
(乾燥工程)
乾燥工程S3は、貫通孔1h内に充填した導電性ペースト20を乾燥する工程である。この工程S3では、導電性ペースト20を完全に硬化させず、形成した穴部2hの形が崩れない程度の硬さ、具体的には、例えばニードルで穴部2hを形成する際、ニードルに導電性ペースト20が引き上げられない程度の硬さとなるように導電性ペースト20を乾燥する。すなわち、ここでの乾燥とは、いわゆる半乾きの状態であり、バインダ樹脂22の一部が硬化している状態である。なお、この状態では導電性ペースト20の接続抵抗値が高い。乾燥条件は導電性ペースト20の材料や、貫通孔1hの直径に応じ、例えば、60℃以上100℃以下における一定温度で、10min以上30min以下加熱する。
【0031】
(穴部形成工程)
穴部形成工程S4は、
図3C、
図3Dに示すように、導電性ペースト20の表面に穴部2hを形成する工程である。ここでは、基板1の表面及び裏面のそれぞれ(すなわち、両方)の導電性ペースト20の表面に穴部2hを形成する。穴部2hの個数、形態、形成位置等は、前記した配線基板の項目で説明したとおりである。
穴部2hは、例えばニードル等の治具31を用いて形成することができる。具体的には、穴部2hの形状、位置等に合わせた突起を有する治具31を、所定の硬さに乾燥させた導電性ペースト20の表面に押し当てることで、所望の穴部2hを形成する。
【0032】
(流出工程)
流出工程S5は、基板1の貫通孔1hに充填された導電性ペースト20から、バインダ樹脂22の一部を流出させる工程である。前記したように、導電性ペースト20において、その表面に穴部2hが形成されている。そのため、時間の経過に伴い、
図3Eに示すように、導電性ペースト20のバインダ樹脂22が、穴部2hに流出する。その結果、貫通孔1h内における導電性ペースト20は、バインダ樹脂22の含有量が低減し、バインダ樹脂22の低減によって導電フィラー21の含有割合が増大する。
【0033】
なお、バインダ樹脂22は、導電性ペースト20の表面にも流出する。そのため、バインダ樹脂22の流出は、充填工程S2において貫通孔1hのそれぞれに導電性ペースト20が充填された時点から自ずと開始され、バインダ樹脂22が硬化するまで、継続して進行する。ここで、導電性ペースト20の表面に穴部2hが形成されていると、バインダ樹脂22が穴部2hにも流出するため、導電性ペースト20内のバインダ樹脂22の含有量を効率よく低減することができる。したがって、穴部形成工程S4の完了後、硬化工程S7を開始するまでに、ある程度時間を空けることが好ましい。流出工程S5は、除去工程S6を行う前に、予め設定された時間、例えば、0.5hr以上3hr以下を経過させることが好ましい。さらに、後続の除去工程S6によって、流出工程S5は、並行して進行すると共に促進される。穴部形成工程S4の完了から硬化工程S7の開始まで、例えば、除去工程S6を含めて0.5hr以上6hr以下空けることが好ましい。
【0034】
(除去工程)
除去工程S6は、基板1の穴部2hに流出したバインダ樹脂22を除去する工程である。除去工程では、貫通孔1hに充填された導電性ペースト20を熱圧着しながら、バインダ樹脂22を除去してもよい。具体的には、
図3Fに示すように、基板1において穴部2hが形成された側である基板1の表面及び裏面に吸収シート(吸着紙)52,53を重ね合わせ、両面からローラ9で押圧する。吸収シート52,53は、液体を吸着し易い材質で、例えば紙や不織布等である。具体的には、例えば、坪量が23g/m
2以上40g/m
2以下、平滑度が450sec以上1000sec以下の金属合紙(薄葉印刷紙)や、例えば、平滑度が160sec以上180sec以下、針葉樹が20質量%以上40質量%以下、広葉樹が60質量%以上80質量%以下の多孔質紙等を用いることができる。
図3Fでは、両面を同時にローラ9で押圧するが、片面ずつローラ9で押圧することもできる。
【0035】
ローラ9は、例えば、80℃以上160℃以下における一定温度、圧力0.1MPa以上0.4MPa以下、搬送速度5mm/sec以上50mm/sec以下で、加熱加圧しながら基板1を板面方向に搬送する。穴部2hの開口部から、接触した吸収シート52,53にバインダ樹脂22が吸収されて除去される。また、基板1の両面からローラ9で加圧されることにより、層間接続部材2にボイドや気泡が生じることを抑制すると共に、導電フィラー21間の接触を促進させる。さらに、バインダ樹脂22の材料によっては、例えば60℃以上130℃以下における一定温度に加熱してもよい。バインダ樹脂22は、加熱温度を所定の範囲にすることで、バインダ樹脂22がより流動性が高くなって流出し易くなるからである。
【0036】
(硬化工程)
硬化工程S7は、基板1の貫通孔1h内の導電性ペースト20中に残存するバインダ樹脂22を硬化させて、
図3Gに示すように、導電性ペースト20を硬化して層間接続部材2を形成する工程である。硬化条件は導電性ペースト20の材料に応じ、例えば、100℃以上280℃以下における一定温度で、3min以上90min以下加熱する。
【0037】
以上、配線基板及び配線基板の製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれる。
【0038】
《変形例》
図4Aは、実施形態の変形例に係る配線基板の表面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
図4Bは、実施形態の変形例に係る配線基板の裏面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
図4C~
図4Fは、実施形態の変形例に係る配線基板の表面の一部を模式的に示す拡大平面図である。
図5A~
図5Dは、実施形態の変形例に係る配線基板の一部を模式的に示す拡大断面図である。
図6は、実施形態に係る配線基板の製造方法の除去工程の変形例を説明する部分断面図である。
【0039】
作成する穴部2hの数は特に限定されるものではなく、バインダ樹脂22が流出し易くなるように、貫通孔1hの直径に合わせて適宜調整すればよい。基板1の表面及び裏面の一側における穴部2hの数は1個でもよいが、複数個形成されることが好ましい。バインダ樹脂22が穴部2hに流出し易くなるからである。基板1の表面及び裏面の一側における穴部2hの数は、例えば1個以上12個以下である。貫通孔1hが大きい場合は貫通孔1h内に充填する導電性ペースト20の量が多くなり、バインダ樹脂22の量も多くなるため、穴部2hの数は多いほうが好ましい。
【0040】
例えば、基板1の表面及び裏面の一側において穴部2hを1個形成する場合には、
図4Aに示すように、貫通孔1hの中心に形成することが好ましい。ただし、基板1の表面側の穴部2hと基板1の裏面側の穴部2hとが互いにずれた位置になるように形成してもよい。また、基板1の表面及び裏面の一側において穴部2hを8個形成する場合には、
図4Bに示すように、平面視で貫通孔1hとの同心円の円周に沿って等間隔で形成することが好ましい。また、この場合、内側の円周上の穴部2hと、外側の円周上の穴部2hとが、互いにずれた位置になるように形成することが好ましい。バインダ樹脂22が穴部2hに流出し易くなるからである。内側の円周の直径は、0.04mm以上0.4mm以下であることが好ましく、外側の円周の直径は、0.08mm以上0.5mm以下であることが好ましい。これら円周の直径は、貫通孔1hの直径に応じて適宜調整することができる。
【0041】
また、穴部2hの平面視の形状は特に限定されるものではない。例えば、
図4Cに示すように、楕円形であってもよい。また、例えば、
図4D、
図4Eに示すように、四角形や三角形であってもよく、その他の多角形であってもよい。四角形としては、正方形や長方形の他、台形や菱形等であってもよい。また、例えば、
図4Fに示すように、半円形であってもよく、その他の一部が直線で他の部位が曲線である形状であってもよい。
【0042】
また、穴部2hの基板1の厚み方向で切断した断面視の形状は特に限定されるものではない。例えば、
図5Aに示すように、四角形であってもよく、その他の多角形であってもよい。四角形としては、正方形や長方形の他、台形等であってもよい。また、例えば、
図5Bに示すように、四角形の先端が円弧状の形状であるU字状であってもよく、その他の先端が湾曲した形状であってもよい。また、例えば、
図5Cに示すように、四角形の先端が尖った形状である鉛筆形であってもよく、その他の先端が尖った形状であってもよい。また、例えば、
図5Dに示すように、側面が階段状であってもよい。側面が階段状の穴部2hは、例えば、直径が異なるニードルを複数回刺したり、側面が階段状のニードルを用いたりすることで形成することができる。
すなわち、穴部2hの形状は、例えば錐体であってもよく、断面視が正方形や長方形の柱状であってもよく、その他の形状であってもよい。
【0043】
穴部2hは、基板1の表面及び裏面のそれぞれ(つまり、両方)の導電性ペースト20(層間接続部材2)の表面に形成するものとしたが、穴部2hは、基板1の表面及び裏面のいずれか一方の導電性ペースト20(層間接続部材2)の表面に形成されていてもよい。
基板1の貫通孔1hに、導電性ペースト20が、表側配線層12の側にマスク7の厚さ分突出して充填されている場合、穴部2hは、基板1の表面の導電性ペースト20の表面に形成されるのが好ましい。マスク7の厚さ分だけ導電性ペースト20の量が多くなり、導電性ペースト20に含まれるバインダ樹脂22も多くなるため、バインダ樹脂22の除去を優先的に行う必要があるからである。
穴部2hが、基板1の表面及び裏面のいずれか一方の導電性ペースト20の表面に形成される場合、バインダ樹脂22を除去するための吸収シートを、基板1の表面側と裏面側のそれぞれに配置し、両面からローラで押圧してもよい。基板1における穴部2hが形成されていない側にも吸収シートを配置することで、ローラ等に導電性ペースト20が付着することを抑制することができる。吸収シートは、穴部2hが形成されている側のみに配置することもできる。
配線基板10は、穴部2hにバインダ樹脂22が残存していないものとしたが、穴部2hの少なくとも一部にバインダ樹脂22が残存していてもよい。
【0044】
また、基板準備工程S1において、銅箔をエッチングして表側配線層12や裏側配線層13を形成するときに、貫通孔1hが形成される領域における銅箔も除去してもよく、その後、絶縁基材11のみを加工して貫通孔1hを形成する。この場合、貫通孔1hは、表側配線層12や裏側配線層13の方を絶縁基材11よりも直径を大きく形成することもできる。また、充填工程S2において、マスク7として厚さ5μm以上60μm以下の樹脂フィルムを用いることもできる。この場合には、基板準備工程S1において、基板1に貫通孔1hを形成する前に樹脂フィルムを表側に貼り合わせ、樹脂フィルム及び基板1を連通する貫通孔を形成する。また、充填工程S2において、シート51を液体を吸着する材質とすることにより、導電性ペースト20中のバインダ樹脂22が裏側から除去され、バインダ樹脂22の流出が促進される。さらに、プレート6に多孔質セラミック等を適用して、全ての貫通孔1hの部分において吸引されるようにすることで、充填された導電性ペースト20中のバインダ樹脂22がシート51に吸収され易くなって、バインダ樹脂22の流出を促進することができる。
【0045】
また、除去工程S6において、ローラ9に代えて、
図6に示すように、ロールブラシ9Aを用いて、ロールブラシ9Aにバインダ樹脂22を直接吸収させてもよい。あるいは、ロールブラシ9Aを用いる場合にも、吸収シート52,53を使用してもよい。
【0046】
なお、流出工程S5で、貫通孔1h内の導電性ペースト20中のバインダ樹脂22を穴部2hに流出させて経時的に低減させることができるので、除去工程S6を実行しなくても導電性ペースト20中のバインダ樹脂22の割合が減る。これにより導電フィラー21の割合が増加するため、層間接続部材2を低抵抗とすることはできる。しかし、除去工程S6を実行することが好ましい。除去工程S6により、導電性ペースト20中のバインダ樹脂22を効率よく低減させることができ、また、流出したバインダ樹脂22が導電性ペースト20中に戻ることが抑制されるからである。また、貫通孔1hに充填された導電性ペースト20を熱圧着する場合、導電フィラー21間の接触を促進させることができるからである。
【0047】
硬化工程S7の後に、配線基板10の表面及び裏面をセラミックバフ等で研磨して、層間接続部材2を平坦化したり、さらに、表側に突出した層間接続部材2を除去して平坦化したりしてもよい。また、必要に応じて、配線基板10の表面及び裏面に、ソルダーレジスト等で、表側配線層12及び裏側配線層13の一部を除いて被覆する絶縁膜を形成してもよい。
【0048】
また、配線基板の製造方法は、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間、或いは前後に、他の工程を含めてもよい。例えば、製造途中に混入した異物を除去する異物除去工程等を含めてもよい。
【0049】
以上、本開示の実施形態に係る配線基板の製造方法は、両面の配線層同士を低抵抗で接続し、また、接続部が変色して外観が劣化することが抑制されて、接続信頼性に優れた配線基板を容易に製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示に係る配線基板は、各種電子機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 配線基板
1 基板
11 絶縁基材
12 表側配線層
13 裏側配線層
1h 貫通孔
20 導電性ペースト
2 層間接続部材(導電性ペースト)
21 導電フィラー
22 バインダ樹脂
2h 穴部
31 治具
51 シート
52,53 吸収シート(吸着紙)
6 プレート
7 マスク
8 スキージ
9 ローラ
9A ロールブラシ
S1 基板準備工程
S2 充填工程
S3 乾燥工程
S4 穴部形成工程
S5 流出工程
S6 除去工程
S7 硬化工程