IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三井造船株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電源ユニットおよびその制御方法 図1
  • 特許-電源ユニットおよびその制御方法 図2
  • 特許-電源ユニットおよびその制御方法 図3
  • 特許-電源ユニットおよびその制御方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-20
(45)【発行日】2024-02-29
(54)【発明の名称】電源ユニットおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/12 20060101AFI20240221BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240221BHJP
   B63B 27/12 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B66C13/12 D
H01M8/04 Z
H01M8/04 H
B63B27/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021110361
(22)【出願日】2021-07-01
(65)【公開番号】P2023007241
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】株式会社三井E&S
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】村山 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】柴田 尚人
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112573377(CN,A)
【文献】特開2020-043056(JP,A)
【文献】特開2011-108537(JP,A)
【文献】特開2016-201315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
B66C 19/00-23/94
H01M 8/00- 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役機器に接続されて前記荷役機器に電気を供給する電源ユニットにおいて、
水素燃料を貯留する燃料タンクと、この燃料タンクにパイプを介して連結される燃料電池と、前記パイプの途中に配置される減圧弁と、前記燃料タンクおよび前記燃料電池が内側に配置される外殻構造体と、前記燃料電池にケーブルを介して接続されていて前記外殻構造体の外側に配置される端子とを備えることを特徴とする電源ユニット。
【請求項2】
前記燃料タンクを冷却する冷却機構を備える請求項1に記載の電源ユニット。
【請求項3】
前記電源ユニットが前記荷役機器に接続されていない状態で且つ貯蔵領域に載置されている際に、前記冷却機構を作動させる冷却制御を行う構成を前記電源ユニットが備える請求項2に記載の電源ユニット。
【請求項4】
前記冷却機構に電気を供給する蓄電池を備える請求項2または3に記載の電源ユニット。
【請求項5】
荷役機器に接続されて前記荷役機器に電気を供給する電源ユニットの制御方法において、
前記電源ユニットが、水素燃料を貯留する燃料タンクと、この燃料タンクにパイプを介して連結される燃料電池と、前記パイプの途中に配置される減圧弁と、前記燃料タンクおよび前記燃料電池が内側に配置される外殻構造体と、前記燃料電池にケーブルを介して接続されていて前記外殻構造体の外側に配置される端子とを備えていて、
対象となる前記荷役機器から前記電源ユニットが除去された後に、別の前記電源ユニットが対象となる前記荷役機器に設置されることを特徴とする電源ユニットの制御方法。
【請求項6】
前記電源ユニットが前記荷役機器に設置される際に、前記電源ユニットの前記端子が前記荷役機器の端子に自動的に接続されるとともに、前記荷役機器に設置される連結部により前記電源ユニットが自動的に固定される請求項5に記載の電源ユニットの制御方法。
【請求項7】
前記燃料タンクを冷却する冷却機構を前記電源ユニットが備えていて、
前記電源ユニットが前記荷役機器に接続されていない状態で且つ貯蔵領域に載置されている際に、前記冷却機構を作動させる冷却制御を前記電源ユニットが行う請求項5または6に記載の電源ユニットの制御方法。
【請求項8】
前記燃料タンクを冷却する冷却機構と、前記冷却機構に電気を供給する蓄電池とを前記電源ユニットが備えていて、
前記燃料電池に水素燃料が供給されない状態とする休止制御と、前記蓄電池から供給される電気により前記冷却機構が作動する冷却制御とが並行して行われる請求項5~7のいずれかに記載の電源ユニットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役機器に着脱可能に配置される電源ユニットおよびその制御方法に関するものであり、詳しくは燃料の供給を比較的短時間で且つ安全に行える電源ユニットおよびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷役機器である門型クレーンの構成が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1にはディーゼル発電機で構成される電源ユニットを備える門型クレーンの構成が開示されている。
【0003】
近年、門型クレーンが使用されるコンテナターミナルにおいて、二酸化炭素の排出量を抑制することが求められている。二酸化炭素の排出を抑制するために、電源ユニットを燃料電池で構成することが考えられる。
【0004】
燃料電池に連結される燃料タンクに水素燃料を供給する際、安全性を確保するために、燃料タンクに連結されるパイプの内部の酸素を水素または窒素に置換する置換作業が必要となる。ディーゼル発電機に軽油を供給する場合に比べて、門型クレーンに設置されている燃料タンクに水素燃料を供給する作業は多大な時間が必要となる。水素燃料を供給する際には門型クレーンは休止状態となるため、コンテナターミナルにおける荷役効率が低下する不具合があった。
【0005】
また門型クレーンの近傍で水素燃料を燃料タンクに供給する作業を行う必要があるため、水素燃料の漏洩等に対する対策が必要となる。水素燃料を供給する作業において、従来の軽油を供給する作業と同等の安全性を確保するのは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国特開2014-189354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は燃料の供給を比較的短時間で且つ安全に行える電源ユニットおよびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための電源ユニットは、荷役機器に接続されて前記荷役機器に電気を供給する電源ユニットにおいて、水素燃料を貯留する燃料タンクと、この燃料タンクにパイプを介して連結される燃料電池と、前記パイプの途中に配置される減圧弁と、前記燃料タンクおよび前記燃料電池が内側に配置される外殻構造体と、前記燃料電池にケーブルを介して接続されていて前記外殻構造体の外側に配置される端子とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記の目的を達成するための電源ユニットの制御方法は、荷役機器に接続されて前記荷役機器に電気を供給する電源ユニットの制御方法において、前記電源ユニットが、水素燃料を貯留する燃料タンクと、この燃料タンクにパイプを介して連結される燃料電池と、前記パイプの途中に配置される減圧弁と、前記燃料タンクおよび前記燃料電池が内側に配置される外殻構造体と、前記燃料電池にケーブルを介して接続されていて前記外殻構造体の外側に配置される端子とを備えていて、対象となる前記荷役機器から前記電源ユニットが除去された後に、別の前記電源ユニットが対象となる前記荷役機器に設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば燃料タンクと燃料電池とが、外殻構造体の内側に配置されていて一体的に構成されている。荷役機器においては、電源ユニットの交換により実質的に燃料タンクに水素燃料が供給された状態とすることができる。水素燃料の供給を比較的短時間で且つ安全に行うには有利である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】電源ユニットが荷役機器に設置されている状態を例示する説明図である。
図2】電源ユニットの概略を例示する説明図である。
図3】電源ユニットが荷役機器に設置される直前の状態を例示する説明図である。
図4】電源ユニットが荷役機器に設置されている状態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、電源ユニットおよびその制御方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。図中では荷役機器の走行方向を矢印y、この走行方向を直角に横断する横行方向を矢印x、上下方向を矢印zで示している。
【0013】
図1に例示するように電源ユニット1は例えば荷役機器2を構成する門型クレーンに設置される。荷役機器2は門型クレーンに限定されず、荷役作業を行う機器が含まれる。具体的には岸壁クレーンやトップリフターやフォークリフトやストラドルキャリアやシャシなどコンテナを搬送する港湾荷役機器で荷役機器2が構成されてもよい。また鉄鉱石などのバラ荷や鋼板やコイルなどを搬送する製品搬送用のクレーンやシャシで荷役機器2が構成されてもよい。荷役機器2は、建設現場で使用される車両や建設機械等で構成されてもよい。
【0014】
電源ユニット1は、荷役機器2に対して着脱可能に構成されている。荷役機器2は、接続される電源ユニット1から供給される電力により荷役作業等の動作を実行することができる。
【0015】
図2に例示するように電源ユニット1は、水素燃料を貯留する燃料タンク3と、この燃料タンク3にパイプp1を介して連結される燃料電池4と、燃料タンク3および燃料電池4が内側に配置される外殻構造体5と、燃料電池4にケーブルc1を介して接続されていて外殻構造体5の外側に配置される端子6とを備えている。図1では説明のため外殻構造体5を断面で示し、外殻構造体5の内部に配置される燃料タンク3等を見通せる状態としている。
【0016】
燃料タンク3は、例えば90MPaに加圧される水素ガスを貯留するタンクで構成される。燃料タンク3に貯留される水素燃料は、水素ガスに限らず液体水素で構成されてもよい。本明細書において液体水素は、水素とトルエンとを化学反応させたメチルシクロヘキサンも含まれる。燃料タンク3は一つのタンクで構成されてもよく、複数のタンクを連結して形成される構造を有していてもよい。
【0017】
燃料電池4は、燃料タンク3からパイプp1を介して水素燃料の供給を受けて発電を行う構成を有している。燃料電池4が、発電に伴い発生する水を貯留する水タンクを有していてもよい。
【0018】
燃料タンク3と燃料電池4とは外殻構造体5に覆われる状態で一体的に構成されている。外殻構造体5は例えば直方体形状の金属製の箱体で構成される。また外殻構造体5は、20ftコンテナと同等またはこれよりも小さい箱体で構成されてもよい。外殻構造体5が金属以外の材料で構成されてもよい。
【0019】
端子6は、燃料電池4で発電される電気を電源ユニット1の外部に出力するための電力端子を有している。この電力端子はケーブルc1を介して燃料電池4に接続されている。また端子6は、電源ユニット1と荷役機器2との間で制御信号を伝達するための信号端子を有していてもよい。この信号端子は信号線s1を介して燃料電池4に接続されている。信号端子は、燃料電池4を制御するための信号を荷役機器2から電源ユニット1に伝達することができる。また信号端子は、燃料電池4の状態等のデータを信号として電源ユニット1から荷役機器2に伝達することができる。図2では説明のため電力を供給するためのケーブルcを実線で示し、信号を送るための信号線sを一点鎖線で示している。
【0020】
端子6は荷役機器2と電気的に接続可能な構成を有していればよい。例えば外殻構造体5の外面に露出する金属端子で端子6が構成されてもよい。また荷役機器2から伸びるコネクタに接続可能に構成されていて、電源ユニット1から伸びるコネクタで端子6が構成されてもよい。
【0021】
燃料タンク3に圧力センタ等を設置して、この圧力センサから得られる値を信号線s2および信号端子が荷役機器2に出力する構成を有していてもよい。門型クレーンなどの荷役機器2が、燃料タンク3における燃料の残量を知ることができる。
【0022】
電源ユニット1が冷却機構7を有していてもよい。この実施形態では冷却機構7はラジエータと冷却ファンとで構成されている。冷却機構7は、ケーブルc2を介して燃料電池4から電気の供給を受けて、冷却水等を循環させるポンプおよび冷却ファンを作動させる構成を有している。また冷却機構7は、パイプp2を介して燃料電池4に冷却水を循環させる構成を有している。冷却機構7により燃料電池4の温度を適切な範囲に維持することが可能となる。冷却水等を循環させるポンプは燃料電池4に配置されていてもよい。この場合は、冷却機構7はラジエータと冷却ファンとで構成される。また冷却機構7が冷却ファンを有さない構成であってもよい。
【0023】
冷却機構7が、パイプp3を介して燃料タンク3に冷却水を循環させる構成を有していてもよい。冷却機構7が、パイプp3を介して外殻構造体5に冷却水を循環させる構成を有していてもよい。冷却機構7が冷却ファンを有している場合はこの冷却ファンから送られる風により燃料タンク3を冷却する構成を冷却機構7が有していてもよい。冷却機構7は少なくとも燃料電池4を冷却する構成を有している。この燃料電池4に加えて、燃料タンク3または外殻構造体5の少なくとも一方を冷却する構成を冷却機構7が有していてもよい。
【0024】
冷却機構7はラジエータに限らず、対象となる機器を冷却できる構成を有していればよい。冷却機構7は例えば水を噴霧する散水機で構成されてもよい。散水機は例えば外殻構造体5の外側に配置されていて、外殻構造体5の外面に水を噴霧する構成を有していてもよい。この場合、発電時に燃料電池4から排出される水を散水機で噴霧させる構成とすることが望ましい。
【0025】
冷却機構7は、ラジエータと散水機など異なる二種以上の機器で構成されていてもよい。例えばラジエータで燃料電池4を冷却して、散水機で燃料タンク3または外殻構造体5の少なくとも一方を冷却する構成を冷却機構7が有していてもよい。
【0026】
燃料タンク3と燃料電池4とは一体的に構成されていて、燃料電池4から燃料タンク3が切り離されることはない。そのため燃料タンク3と燃料電池4とを連結するパイプp1は溶接で燃料タンク3に固定されることが望ましい。水素燃料の漏洩を抑制するには有利である。パイプp1が溶接で燃料電池4に固定されてもよい。
【0027】
燃料タンク3と燃料電池4とを連結するパイプp1の途中に減圧弁8が設置されていてもよい。減圧弁8により、燃料タンク3に貯留されている例えば90MPaの水素ガスを3MPaまで減圧して燃料電池4に供給することが可能となる。燃料電池4で使用可能な圧力まで水素ガスを減圧する機能を減圧弁8は有していればよい。
【0028】
燃料電池4で利用可能な水素ガスの圧力よりも高い圧力となる状態で、水素ガスを燃料タンク3に貯留することが減圧弁8の設置により可能となる。燃料タンク3に貯留可能な水素ガスを増加させることができる。
【0029】
外殻構造体5の外側から燃料タンク3に水素燃料を供給するための供給口9を、電源ユニット1は備えている。供給口9は例えば外殻構造体5の外面に配置されていて、パイプp4を介して燃料タンク3と連結される構成を有している。燃料タンク3には供給口9を介して水素燃料が供給される。
【0030】
供給口9の構成は上記に限定されない。外殻構造体5の内部に固定されている状態の燃料タンク3に、外殻構造体5の外側から水素燃料を供給できる構成を有していればよい。
【0031】
燃料タンク3の内部の圧力が予め設定される圧力上限を超えた緊急時に、燃料タンク3の内部の圧力を電源ユニット1の外部に逃がすための逃し弁10を電源ユニット1が備えていてもよい。逃し弁10は予め設定される圧力を受けたときに開放される弁で構成することができる。
【0032】
逃し弁10は例えば外殻構造体5の上面に配置されることが望ましい。門型クレーンの走行用モータに向かって、逃し弁10から水素燃料が噴射されることを防止できる。逃し弁10から排出される水素燃料に引火する事故を防止するには有利である。逃し弁10が配置される構成は上記に限定されない。荷役機器2において電源ユニット1が配置される位置、および荷役機器2が備えるモータ等の機器の位置等に応じて、逃し弁10が配置される位置は適宜設定することができる。
【0033】
次に荷役機器2に設置されている電源ユニット1への燃料の供給方法について説明する。燃料タンク3の水素燃料の残量が少なくなった場合、荷役機器2から電源ユニット1が除去される。その後、水素燃料が燃料タンク3に充填されている別の電源ユニット1が荷役機器2に設置される。このとき電源ユニット1は、例えばフォークリフトにより搬送されたり、荷役機器2に設置されたりする。荷役機器2に設置されている電源ユニット1を交換することで、燃料タンク3への水素燃料の供給が行われた場合と同様の効果を得られる。
【0034】
水素燃料が流れるパイプ等の連結や連結解除の作業が行われないため、水素置換や窒素置換を行う必要がない。例えばコンテナなどの搬送と同程度の作業で電源ユニット1に水素燃料が供給された状態とすることができる。
【0035】
荷役機器2から取り除かれた電源ユニット1は、水素スタンド等の水素供給設備に搬送される。水素供給設備では、水素置換等の置換作業が行われ、電源ユニット1の供給口9から燃料タンク3に水素燃料が供給される。水素燃料の供給を受けた電源ユニット1は例えば貯蔵領域に載置される。貯蔵領域に載置されている電源ユニット1は、荷役機器2への交換用の電源ユニット1として使用される。
【0036】
荷役機器2の電源ユニット1の交換は、燃料タンク3と燃料電池4とが一体的に交換されるため、比較的短時間で燃料タンク3に水素燃料が供給された状態と同じ状態にすることができる。門型クレーン等の荷役機器2は、荷役作業を比較的短時間で再開できる。水素燃料の供給に伴う荷役機器2の休止時間を短縮するには有利である。コンテナターミナルにおける荷役効率の低下を抑制できる。水素供給設備における燃料タンク3への水素燃料の供給は、門型クレーン等の荷役機器2の稼働に影響を与えない状態となる。
【0037】
電源ユニット1の交換時に、水素燃料が流れるパイプ等の連結や連結解除の作業が行われないので、水素燃料が漏洩する不具合が発生し得ない。荷役機器2の近傍における安全性を向上するには有利である。
【0038】
水素燃料が漏洩する可能性のある作業は水素供給設備など予め定められた領域でのみ行われる。水素供給設備の周囲をコンクリート壁で覆うなど、安全対策を行いやすい。水素供給設備の近傍における安全性を向上するには有利である。火花の発生する可能性のある荷役機器2等から離れた場所で燃料タンク3への水素燃料の供給を行うことができる。水素燃料が漏洩する可能性のある作業における安全性を向上するには有利である。
【0039】
次に電源ユニット1における制御について説明する。電源ユニット1が荷役機器2に接続されているときに作動制御が行われる。作動制御の際、燃料タンク3から燃料電池4に水素燃料が供給される。燃料電池4が発電して、電気が端子6から出力される。電気は負荷である荷役機器2に供給される。作動制御は、電源ユニット1から荷役機器2への給電を可能とする制御である。
【0040】
コンテナターミナルに形成される貯蔵領域などに電源ユニット1が載置される場合、休止制御が行われる。休止制御の際、燃料電池4が有していて、水素燃料の流れる流路の途中に配置される遮断弁が閉じる。燃料タンク3から燃料電池4に水素燃料が供給されない状態となる。減圧弁8を制御して燃料電池4への水素燃料の供給を停止する構成としてもよい。減圧弁8とは別に燃料タンク3と燃料電池4とを連結するパイプp1または燃料タンク3に設置される制御弁で水素燃料の燃料電池4への供給を停止する構成としてもよい。
【0041】
貯蔵領域に載置されている電源ユニット1は、負荷である荷役機器2に接続されていない状態となる。燃料電池4から電気が出力されない状態となるため、燃料電池4における反応が停止する。燃料電池4と端子6とを接続するケーブルc1または燃料電池4に設置されるスイッチ等により電気の出力が停止する構成としてもよい。
【0042】
休止制御では水素燃料が消費されない。水素供給設備において燃料タンク3に水素燃料を供給する場合に、休止制御が行われてもよい。また荷役機器2に電源ユニット1が接続されている状態であり且つ荷役機器2が休止している場合に、休止制御が行われてもよい。
【0043】
冷却機構7により燃料タンク3の冷却を行う冷却制御を行う構成を電源ユニット1が備えていてもよい。例えば燃料電池4から冷却機構7に電気が供給される。冷却機構7により燃料タンク3が冷却される。冷却制御の際は休止制御と異なり燃料タンク3から燃料電池4に水素燃料が供給される構成としてもよい。燃料タンク3を冷却できるので、安全性を向上するには有利である。
【0044】
電源ユニット1が荷役機器2に設置されていて電気の供給を行っている作動制御の際に、冷却制御を並行して行うことができる。作業制御の際には燃料電池4が発電を行っているため、燃料電池4から荷役機器2に出力される電気の一部を利用して冷却機構7を作動させることができる。荷役機器2に設置されている電源ユニット1の燃料タンク3が、直射日光等により昇温することを抑制できる。
【0045】
電源ユニット1が荷役機器2に接続されていない状態で、冷却制御を行ってもよい。例えば電源ユニット1が貯蔵領域に載置されている際に冷却制御を行ってもよい。貯蔵領域に載置されている場合も燃料タンク3を冷却できるので、安全性を向上するには有利である。
【0046】
また電源ユニット1が荷役機器2に接続されているものの、荷役機器2が休止している場合に、冷却制御を行ってもよい。
【0047】
電源ユニット1が外殻構造体5の内側に配置される蓄電池を有していて、この蓄電池から供給される電気により冷却機構7が作動する構成にしてもよい。この場合、燃料電池4は水素が供給されず、電気を出力しない休止制御と同一の状態となる。つまり電源ユニット1が蓄電池を有している場合は、休止制御と冷却制御とを並行して行うことができる。この蓄電池は燃料電池4が作動しているときに電気の供給を受けて充電される。
【0048】
図3および図4に例示するように、電源ユニット1の端子6が荷役機器2の端子11に自動的に接続される構成を有していてもよい。荷役機器2に対して電源ユニット1の着脱を行う連結部12を有している。連結部12は横行方向xに見通したときに略L字状となる状態に形成されていて、横行方向xを中心軸に傾動可能な状態で荷役機器2に設置されている。この連結部12には荷役機器2の端子11が固定されている。端子11には電源ユニット1から荷役機器2に電気を供給するためのケーブルc3と、電源ユニット1と荷役機器2との間で信号の送受信を行う信号線s3とが接続されている。
【0049】
図4に例示するように荷役機器2に対して電源ユニット1を設置すると、外殻構造体5の底面との接触に伴い連結部12が傾動して、電源ユニット1を自動的に固定する状態となる。その際に荷役機器2の端子11が電源ユニット1の端子6に自動的に接続される。
【0050】
電源ユニット1が荷役機器2に設置されると自動的に端子6、11の接続を実現できる。つまり端子6が端子11に自動的に接続される。電源ユニット1の交換作業を更に短時間で行うことが可能となる。電源ユニット1を荷役機器2から除去する場合にも同様に、連結部12が傾動して、電源ユニット1の固定を自動的に解除する状態となる。その際に荷役機器2の端子11が電源ユニット1の端子6との接続を自動的に解除される。
【0051】
端子6が保護壁を有していてもよい。電源ユニット1が荷役機器2に設置されていない場合、保護壁は端子6を覆い保護する構成を有している。電源ユニット1が荷役機器2に設置される際に、端子11または連結部12との接触等により保護壁は端子6を露出させる位置に可動する。端子6を保護しつつ端子6、11の自動接続を実現するには有利である。
【0052】
外殻構造体5の内側の気体を積極的に外側に排出させるファンを電源ユニット1が備えていてもよい。外殻構造体5の内部で水素ガスが漏洩した場合であっても、外殻構造体5から外部に水素ガスを排気することが可能となる。ファンは例えば外殻構造体5の壁面に配置されることができる。冷却機構7が冷却ファンを有する場合、この冷却ファンを利用して気体を移動させる構成を有していてもよい。冷却ファンにより外殻構造体5の内部で気体の流れを発生させることができる。外殻構造体5の壁面に形成される排気口から外部に水素ガスを排気する構成を電源ユニット1が備えていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 電源ユニット
2 荷役機器
3 燃料タンク
4 燃料電池
5 外殻構造体
6 端子
7 冷却機構
8 減圧弁
9 供給口
10 逃し弁
11 (荷役機器の)端子
12 連結部
x 横行方向
y 走行方向
z 上下方向
p1-3 パイプ
c1-3 ケーブル
s1-3 信号線
図1
図2
図3
図4