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特許7441398現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240222BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240222BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
G03G15/08 345
G03G21/16 147
G03G21/18 103
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019187406
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021063881
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】細川 浩
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-011377(JP,A)
【文献】特開平03-089276(JP,A)
【文献】特開2014-041256(JP,A)
【文献】特開平06-274031(JP,A)
【文献】実開平01-081662(JP,U)
【文献】特開昭59-013261(JP,A)
【文献】特開平04-264573(JP,A)
【文献】特開2017-181906(JP,A)
【文献】特開昭62-218974(JP,A)
【文献】実開昭59-022451(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/16
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面に形成された潜像を現像する現像装置であって、
内部に現像剤が収容されて、当該現像装置の内部において予め当該現像装置の天井面に保持された伸縮可能な収容袋と、
前記収容袋を破ることが可能な破り部材と、
前記収容袋の下方に位置する回転部材と、
を備え、
前記収容袋は、その内部に現像剤を充填するための口部を具備して、前記口部が前記天井面に密着して封止された状態で前記天井面に保持され、
前記破り部材は、前記回転部材における回転方向上流側の撹拌面上に設置され、
前記回転部材の回転にともない前記破り部材が前記収容袋に接触して前記収容袋が破れることで、前記収容袋の内部に収容された現像剤が排出されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
破った後の前記収容袋は、そのすべてが前記天井面に保持されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記破り部材は、前記回転部材に対して同一部材として一体的に形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記破り部材は、前記回転部材に対して別部材として設置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項5】
前記破り部材は、先端が鋭利な部材であることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記収容袋は、ゴム材料からなる風船状部材であって、その口部が前記天井面に保持されたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1~請求項6のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1~請求項6のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、そこに設置される現像装置、及び、プロセスカートリッジと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置に設置される現像装置において、トナーなどの現像剤を収容した収容袋を、現像装置の内部に設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1において、現像装置には、現像ローラ、トナー補給ローラ(供給ローラ)、薄層ブレード(ドクターブレード)、伸縮弾性部材(収容袋)、アジテータ(回転部材)、などが設置されている。
そして、現像装置の使用が開始されるときに、内部にトナーが収容された伸縮弾性部材が、アジテータに設置されたカッターに切断されて、伸縮弾性部材の内部から装置内にトナーが供給されることになる。
そして、使用可能な状態の現像装置において、トナー補給ローラによって現像ローラにトナーが供給されると、現像ローラ上に担持されたトナーが薄層ブレードによって適量に薄層化される。さらに、感光体ドラム(像担持体)との対向領域(現像領域)で、現像ローラ上において薄層化されたトナーの一部が感光体ドラム上の潜像に供給されて、感光体ドラム上にトナー像が形成されることになる。
なお、特許文献1における現像装置は、装置内において伸縮弾性部材が略水平方向の両端部でそれぞれ保持されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の現像装置は、装置内において収容袋(伸縮弾性部材)が略水平方向の両端部でそれぞれ保持されていて、その両端部の一端側をカッターで切断することで、収容袋内の現像剤(トナー)を排出している。そのため、一端側が切断されて他端側に収縮した収容袋の内部に現像剤が残りやすかった。すなわち、収容袋から現像剤を残りなく排出することが難しかった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、収容袋から現像剤が残りなく排出されやすい、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における現像装置は、像担持体の表面に形成された潜像を現像する現像装置であって、内部に現像剤が収容されて、当該現像装置の内部において予め当該現像装置の天井面に保持された伸縮可能な収容袋と、前記収容袋を破ることが可能な破り部材と、前記収容袋の下方に位置する回転部材と、を備え、前記収容袋は、その内部に現像剤を充填するための口部を具備して、前記口部が前記天井面に密着して封止された状態で前記天井面に保持され、前記破り部材は、前記回転部材における回転方向上流側の撹拌面上に設置され、前記回転部材の回転にともない前記破り部材が前記収容袋に接触して前記収容袋が破れることで、前記収容袋の内部に収容された現像剤が排出されるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、収容袋から現像剤が残りなく排出されやすい、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】プロセスカートリッジを示す構成図である。
図3】現像装置に装着する前の収容袋を示す概略図である。
図4】撹拌部材を示す斜視図である。
図5】収容袋からトナーが排出される動作を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1において、100は画像形成装置としてのプリンタ、1は表面にトナー像が形成される感光体ドラム、6は感光体ドラム1と帯電ローラ4と現像装置5とクリーニング装置2とが一体化されたプロセスカートリッジ、7はパソコンなどの入力装置から入力された画像情報に基づいた露光光Lを感光体ドラム1上に照射する露光部(書込み部)、を示す。
また、9は感光体ドラム1の表面に担持されたトナー像を転写ニップ部(転写位置)に搬送されるシートPに転写する転写ローラ、12は用紙等のシートPが収納された給紙装置(給紙カセット)、を示す。
また、16は感光体ドラム1と転写ローラ9とが当接する転写ニップ部に向けてシートPを搬送するレジストローラ(タイミングローラ)、20はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着ローラ、22は定着装置20に設置された加圧ローラ、を示す。
【0011】
ここで、感光体ドラム1の周囲には、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置2、などが配設されている。そして、これらの部材(感光体ドラム1、帯電ローラ4、現像装置5、クリーニング装置2、である。)は、プロセスカートリッジ6として一体化されていて、画像形成装置本体100に対して着脱可能(交換可能)に設置されている。プロセスカートリッジ6は、所定の交換サイクルに達したときや、メンテナンスをおこなうときなどに、画像形成装置本体100から取り出されて、新品のもの(又は、メンテナンスを施したもの)に入れ替えられる。
【0012】
図1を参照して、画像形成装置100における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、パソコン等の入力装置から画像形成装置100の露光部7に画像情報が送信されると、露光部7からその画像情報に基づいた露光光L(レーザ光)が、感光体ドラム1の表面に向けて発せられる。
一方、感光体ドラム1は、画像形成装置本体100に設置された駆動モータから駆動を受けて、矢印方向(時計方向)に回転する。そして、まず、感光体ドラム1の表面は、帯電ローラ4との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム1上には、帯電電位(-900V程度である。)が形成される。その後、帯電された感光体ドラム1の表面は、露光光Lの照射位置に達する。そして、露光光Lが照射された部分の電位が潜像電位(0~-100V程度である。)となって、感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0013】
その後、静電潜像が形成された感光体ドラム1の表面は、現像装置5との対向位置に達する。そして、現像装置5から感光体ドラム1上にトナーが供給されて、感光体ドラム1上の潜像が現像されてトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム1の表面は、転写ローラ9との転写ニップ部(転写位置)に達する。そして、転写ローラ9との転写ニップ部で、電源部から転写ローラ9に転写バイアス(トナーの極性とは異なる極性のバイアスである。)が印可されることによって、レジストローラ16により搬送されたシートP上に、感光体ドラム1上に形成されたトナー像が転写される(転写工程である。)。
【0014】
そして、転写工程後の感光体ドラム1の表面は、クリーニング装置2との対向位置に達する。そして、この位置で、クリーニングブレード2a(図2参照)によって感光体ドラム1上に残存する未転写トナーが機械的に除去されて、クリーニング装置2内に回収される(クリーニング工程である。)。
こうして、感光体ドラム1上における一連の作像プロセスが終了する。
【0015】
一方、感光体ドラム1と転写ローラ9との転写ニップ部に搬送されるシートPは、次のように動作する。
まず、給紙装置12に収納されたシートPの最上方の1枚が、給紙ローラ15によって、搬送経路に向けて給送される。
その後、シートPは、レジストローラ16の位置に達する。そして、レジストローラ16の位置に達したシートPは、感光体ドラム1上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写ニップ部(転写ローラ9と感光体ドラム1との当接位置である。)に向けて搬送される。
【0016】
そして、転写工程後のシートPは、転写ニップ部(転写ローラ9)の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達したシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間に送入されて、定着ローラ21から受ける熱と双方の部材21、22から受ける圧力とによって画像が定着される。画像が定着されたシートPは、定着ローラ21と加圧ローラ22との間(定着ニップ部である。)から送出された後に、画像形成装置本体100から排出されて、排紙トレイ上に載置される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0017】
次に、図2にて、画像形成装置におけるプロセスカートリッジ6について、さらに詳しく説明する。
図2に示すように、プロセスカートリッジ6は、像担持体としての感光体ドラム1、帯電ローラ4(帯電装置)、現像装置5、クリーニング装置2、等で構成される。
像担持体としての感光体ドラム1は、負帯電の有機感光体であって、装置本体100側に設置された駆動モータから駆動力を受けて図2の時計方向に回転駆動される。
【0018】
帯電ローラ4(帯電装置)は、芯金上に、ウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層を形成した弾性を有するローラである。帯電ローラ4の中抵抗層の材質としては、ウレタン、エチレン-プロピレン-ジエンポリエチレン(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものを用いることもできる。なお、本実施の形態では、感光体ドラム1に対して帯電ローラ4が接触するように構成しているが、感光体ドラム1に対して帯電ローラ4が接触しないように構成することもできる。
クリーニング装置2は、感光体ドラム1に摺接するクリーニングブレード2aが設置されていて、感光体ドラム1上の未転写トナーを機械的に除去・回収する。クリーニングブレード2aは、ウレタンゴム等の弾性材料で形成された略板状部材であって、感光体ドラム1に対して所定の当接圧及び当接角で当接している。
【0019】
現像装置5は、現像剤担持体としての現像ローラ51が感光体ドラム1に対して所定の圧接力で接触するように配置されていて、双方の部材1、51の間(現像ニップ)には現像領域が形成される。現像装置5内には、1成分現像剤としてのトナーT(非磁性又は磁性の1成分現像剤である。)が収容されている。そして、現像装置5は、感光体ドラム1上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する。)。
【0020】
以下、図2を用いて、現像装置5について詳述する。
図2を参照して、本実施の形態における現像装置5は、接触1成分現像方式の現像装置であって、プロセスカートリッジ6として他の作像部材1、2、4とともに装置本体100に対して着脱可能(交換可能)に設置される。
現像装置5は、現像剤担持体としての現像ローラ51、現像剤供給部材としての供給ローラ52、現像剤規制部材としてのドクターブレード53、装置内のトナーTを撹拌する回転部材としての撹拌部材55(アジテータ)、現像剤としてのトナーTが収容された収容袋54、等で構成されている。
【0021】
現像ローラ51(現像剤担持体)は、感光体ドラム1に対して接触するように配設されていて、トナーを担持しながら所定方向(図2の反時計方向である。)に回転して感光体ドラム1上に形成された静電潜像にトナーを供給する。現像ローラ51としては、ステンレス鋼等の導電性金属材料で形成された回転軸部(芯金)上に、弾性材料からなるローラ部を具備したものを用いることができる。
供給ローラ52(現像剤供給部材)は、現像ローラ51に摺接するように配設されていて、現像ローラ51にトナーを供給する。供給ローラ52は、芯金上に、導電性を有する発泡ポリウレタン層(電気抵抗値が103~1014Ω程度のものである。)が積層されている。また、供給ローラ52は、感光体ドラム1との現像領域において現像工程に供されなかった現像ローラ51上のトナーを、現像ローラ51から除去する機能も有している。
ドクターブレード53(現像剤規制部材)は、その先端部が現像ローラ51の外周面に10~100N/m程度の圧力にて所定角度で当接するように配設されていて、現像ローラ51に担持されたトナーの量を規制する。換言すると、ドクターブレード53は、現像ローラ51に当接して現像ローラ51に担持されるトナーを薄層化するものである。ドクターブレード53としては、ステンレス鋼等の金属材料からなる薄い板状部材を用いることができる。
回転部材としての撹拌部材55は、現像装置5内においてトナーが凝集しないように撹拌するための部材である。なお、本実施の形態において、撹拌部材55には、装置の使用開始時に収容袋54を破くための破り部材としての尖頭部56が設けられているが、これについては後で詳しく説明する。
【0022】
ここで、現像ローラ51や供給ローラ52やドクターブレード53には、電源部から所定の電圧が印加されていて、現像ローラ51上におけるトナーの静電的な移動が促進されている。なお、本実施の形態では、現像ローラ51に対して、現像領域において現像ローラ51と感光体ドラム1との間でトナーが往復運動するように、交番電圧(AC周波数が500~1000Hz程度、ピーク・ツー・ピーク電圧が500~3000V程度、印加時間デューティが30~70%程度の矩形波である。)を印加している。
なお、本実施の形態では、現像ローラ51に交番電圧を印加するように構成したが、現像ローラ51に-100~-500V程度の直流電圧を印加するように構成することもできる。
【0023】
また、現像ローラ51、供給ローラ52、撹拌部材55の各軸部にはギアが設置されていて、アイドラギアをも含めたギア列が形成されている。そして、これらのギア列に駆動モータ(駆動手段)から駆動力が入力されて、現像ローラ51、供給ローラ52、撹拌部材55がそれぞれ図2の矢印方向に回転駆動される。
なお、本実施の形態における現像装置5には、収容袋54が設置されているが、これらについても後で詳しく説明する。
【0024】
このように構成された現像装置5は、通常の現像工程時において、次のように動作する。
まず、現像装置5内に収容されたトナーは、その一部が供給ローラ52に供給され担持される。供給ローラ52に担持されたトナーは、現像ローラ51との圧接部(当接位置)で摩擦帯電された後に、現像ローラ51上に移動して担持される。その後、現像ローラ51上に担持されたトナーは、ドクターブレード53との当接位置で、薄層化・均一化・摩擦帯電された後に、感光体ドラム1との対向位置(現像領域)に達する。そして、この位置で、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム1上に形成された潜像にトナーが吸着される。
【0025】
以下、本実施の形態における現像装置5(プロセスカートリッジ6)において、特徴的な構成・動作について詳述する。
図2を参照して、本実施の形態における現像装置5には、現像ローラ51や供給ローラ52やドクターブレード53の他に、収容袋54や、尖頭部56(破り部材)が設置された回転部材としての撹拌部材55が設置されている。
【0026】
図2図3を参照して、収容袋54は、ゴム材料からなる風船状部材であって、伸縮可能に形成されている。また、収容袋54は、内部に現像剤としてのトナーTが収容されて、現像装置5の内部において天井面5aに保持されるものである。
詳しくは、図3に示すように、収容袋54は、工場製造時に、その口部54aからトナーTが充填される。そして、現像装置5(プロセスカートリッジ6)の工場出荷前に、内部にトナーTが収容された状態の収容袋54が、現像装置5の内部(図2の位置である。)にセットされることになる。具体的に、現像装置5にセットした収容袋54からトナーTが漏れないように、口部54aが天井面5aに密着して封止された状態で、収容袋54の口部54aが天井面5aに接着などによって保持される。
また、現像装置5内において、トナーTが収容された収容袋54は、その下方が、現像ケースにおける保持部5b(図2参照)に支えられる。保持部5bは、撹拌部材55よりも上方の位置で、装置の水平方向の断面積を狭めるように形成された傾斜面であって、伸縮可能な収容袋54の姿勢(形)を定めている。これにより、収容袋54が撹拌部材55の位置まで伸びて、撹拌部材55に干渉してしまう不具合を防止することができる。
【0027】
そして、本実施の形態における現像装置5には、収容袋54を破ることが可能な破り部材としての尖頭部56が設けられている。
詳しくは、図2図4に示すように、尖頭部56(破り部材)は、収容袋54の下方に位置する撹拌部材55(回転部材)に設置されている。具体的に、撹拌部材55は、軸部55aに中空矩形状の撹拌部55bが形成された部材であって、軸部55aを中心に回転する。また、撹拌部材55の撹拌部55bには、軸方向中央部であって、回転方向上流側の撹拌面上に、尖頭部56が設けられている。この尖頭部56(破り部材)は、先端が鋭利な部材であって、図4に示すように円錐状に形成することもできるし、角錐状、針状、ナイフ状などに形成することもできる。
【0028】
そして、ユーザー先で、画像形成装置100において新品状態の現像装置5(プロセスカートリッジ6)が使用開始されるときに、図5(A)~(C)に示すように、撹拌部材55(回転部材)の回転にともない尖頭部56(破り部材)が収容袋54に接触して収容袋54が破れることで、収容袋54の内部に収容されたトナーT(現像剤)が排出されることになる。
詳しくは、まず、工場出荷された新品状態のプロセスカートリッジ6(画像形成装置100に装着された状態、又は、単独の状態である。)は、図5(A)に示すように、現像装置5内に、トナーTを収容した収容袋54が設置されている。
そして、ユーザー先で、画像形成装置100に装着された新品状態の現像装置5が使用開始されるとき、図5(B)に示すように、現像装置5(プロセスカートリッジ6)の駆動開始にともない撹拌部材55が回転して、撹拌部材55に設置された尖頭部56によって、収容袋54の底部に裂け目54b(破れ部)が形成される。そして、その裂け目54bから、収容袋54内のトナーTが白矢印方向に排出される。このとき、裂け目54bは、収容袋54内のトナーTの重さによってある程度広がるため、トナーTの排出が促進されることになる。
そして、図5(C)に示すように、収容袋54内のトナーTがほぼすべて排出されて、現像装置5の内部(現像ローラ51や供給ローラ52や撹拌部材55が設置された部分である。)にトナーTがいきわたることになる。これにより、先に図2を用いて説明した現像装置5による現像工程が実施可能な状態になる。このとき、破れてトナーTが排出された後の収容袋54(ゴム風船)は、天井面5aに保持された口部54aの近傍で収縮した状態になる。
【0029】
本実施の形態では、このようにユーザー先で使用が開始されるまで、現像装置5の内部で、トナーTが収容袋54に収容(プリセット)された状態であるため、工場出荷されてからユーザー先に輸送されるまでの間に、現像装置5からトナーTが漏出してしまう不具合や、現像ローラ51や供給ローラ52がトナーTで汚れてしまう不具合を防止することができる。
また、そのようにトナーTが収容(プリセット)された収容袋54は、ユーザー先で現像装置5が初めて駆動されるときに、尖頭部56によって自動で破られて、収容袋54内のトナーTが現像装置5内に供給されることになる。そのため、手動で収容袋54内のトナーTを現像装置5内に供給する場合に比べて、ユーザーにとって使い勝手が格段に向上する。
【0030】
そして、本実施の形態では、収容袋54が、伸縮可能に形成されるとともに、尖頭部56(撹拌部材55)から上方に充分に離れた天井面5aに保持されている。
そのため、破れた後の収容袋54は、裂け目54bが下方を向いた状態で、天井面5aに収縮した状態で保持されることになる。したがって、収容袋54の両端部を保持して、その一端側を切断して他端側で収縮させる場合などに比べて、収容袋54の内部にトナーTが残りにくくなる(残トナーが少なくなる)。すなわち、収容袋54からトナーTを残りなく排出しやすくなる。
さらに、破れた後の収容袋54は、天井面5aに収縮した状態で保持されるため、その後に現像工程がおこなわれても、収容袋54が撹拌部材55などに接触して巻き込まれる不具合が生じにくくなる。
【0031】
ここで、本実施の形態では、図5(C)に示すように破れた後の収容袋54は、そのすべてが天井面5aに保持されるように構成している。
すなわち、尖頭部56によって破られた収容袋54は、その一部が分裂して破片が形成されるようなことなく、ゴム材料の伸縮性によって縮んだ状態ですべて天井面5aに保持されることになる。
これにより、その後に現像工程がおこなわれて、収容袋54の破片が現像ローラ51や供給ローラ52などに挟まってしまう不具合が防止されることになる。
なお、本実施の形態では、収容袋54の一箇所を尖頭部56によって破いて穴状の裂け目54bを形成しているため、上述したように破片が形成されないことになる。
【0032】
なお、本実施の形態において、尖頭部56(破り部材)は、撹拌部材55(回転部材)に対して同一部材として一体的に形成することができる。具体的に、撹拌部材55と尖頭部56とは同一材料で一体成型することができる。これにより、撹拌部材55と尖頭部56とを低コストで製造することが可能になる。
これに対して、尖頭部56(破り部材)は、撹拌部材55(回転部材)に対して別部材として設置することもできる。具体的に、撹拌部材55と尖頭部56とを、それぞれ異なる材料で形成して、組み付けることができる。これにより、撹拌部材55と尖頭部56とのそれぞれの設計の自由度(材料や形状などの選択の自由度である。)を広げることが可能になる。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態における現像装置5は、内部に現像剤としてのトナーTが収容されて、現像装置5の内部において天井面5aに保持された伸縮可能な収容袋54が設けられている。また、現像装置5には、収容袋54を破ることが可能な破り部材としての尖頭部56が設けられている。
これにより、収容袋54からトナーT(現像剤)が残りなく排出されやすくなる。
【0034】
なお、本実施の形態においては、現像装置5が、感光体ドラム1(像担持体)と帯電ローラ4とクリーニング装置2とともに一体化されたプロセスカートリッジ6として構成されている場合に対して、本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、現像装置5が単体で画像形成装置本体100に対して着脱されるユニットして構成されている場合であっても、当然に本発明を適用することができる。そして、そのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットと定義する。
【0035】
また、本実施の形態では、現像ローラ51が感光体ドラム1に対してギャップをあけずに当接するように構成された接触式の1成分現像方式の現像装置5に対して、本発明を適用した。これに対して、現像ローラが感光体ドラムに対してギャップをあけて対向するように構成された非接触式の1成分現像方式の現像装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、現像剤としてトナーT(1成分現像剤)が収容された現像装置5に対して、本発明を適用した。これに対して、トナーTとキャリアとからなる2成分現像剤が現像剤として収容された現像装置に対しても、本発明を適用することができる。その場合、収容袋54には、現像剤として2成分現像剤を収容することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0036】
さらに、本実施の形態では、1つの作像部(プロセスカートリッジ6)によってシートPにトナー像が転写されるモノクロ画像形成装置100に対して、本発明を適用した。これに対して、複数の作像部によって中間転写ベルトなどの中間転写体にトナー像が1次転写されて、中間転写体からシートにトナー像が2次転写されるカラー画像形成装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、回転部材としての撹拌部材55に破り部材としての尖頭部56を設けたが、その他の回転部材に破り部材を設けることもできるし、破り部材を単独で設けることもできる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0037】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 感光体ドラム(像担持体)、
5 現像装置、
6 プロセスカートリッジ、
51 現像ローラ(現像剤担持体)、
52 供給ローラ(現像剤供給部材)、
53 ドクターブレード(現像剤規制部材)、
54 収容袋、
54a 口部、
54b 裂け目、
55 撹拌部材(回転部材)、
56 尖頭部(破り部材)、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
T トナー(現像剤)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【文献】特開平4-264573号公報
図1
図2
図3
図4
図5