(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】がんの予後
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20240222BHJP
【FI】
G16H10/60
(21)【出願番号】P 2021557745
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2020054935
(87)【国際公開番号】W WO2020193045
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-29
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-20
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リュッティンガー, ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】バウアー メレン, アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー, ティム
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】梶尾 誠哉
【審判官】木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-21727(JP,A)
【文献】特表2015-517653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q50/22
G16H10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューターが行う、がん患者の死亡リスクを評定する方法であって、がん患者情報をモデルに入力して、前記がん患者の死亡リスクを示すスコアを生成することを含み、前記患者情報が、以下のパラメータ、
(i)血清又は血漿中のアルブミンのレベル、
(ii)米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス、
(iii)血液中のリンパ球対白血球の比、
(iv)喫煙状態、
(v)年齢、
(vi)悪性腫瘍ステージのTNM分類;
(vii)心拍数、
(viii)血清又は血漿中の塩
化物又はナトリウムレベル;
(ix)血清又は血漿中の尿素窒素レベル、
(x)性別、
(xi)血液中のヘモグロビン又はヘマトクリットレベル;
(xii)血清又は血漿中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ酵素活性レベル、及び
(xiii)血清又は血漿中のアラニンアミノトランスフェラーゼ酵素活性レベル、の各々に対応するデータを含む、方法。
【請求項2】
前記患者情報が、以下:
(xiv)収縮期又は拡張期血圧;
(xv)血清又は血漿中の乳酸デヒドロゲナーゼ酵素活性レベル;
(xvi)肥満度指数、
(xvii)血清又は血漿中のタンパク質レベル、
(xviii)血液中の血小板レベル、
(xix)転移部位の数、
(xx)血液中の好酸球対白血球の比、
(xxi)血清又は血漿中のカルシウムレベル、
(xxii)動脈血中の酸素飽和度、
(xxiii)血清又は血漿中のアルカリホスファターゼ酵素活性レベル、
(xxiv)血液中の好中球対リンパ球比(NLR)、
(xxv)血清又は血漿中の総ビリルビンレベル、及び
(xxvi)血液中の白血球レベル、から選択される1つ以上のパラメータに対応するデータを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者情報が、以下:
(xxvii)血液中のリンパ球レベル、
(xxviii)血液中の二酸化炭素レベル、及び
(xxix)血液中の単球レベル、から選択される1つ以上のパラメータに対応するデータを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
死亡リスクを評定するため、生成された前記スコアを1つ以上の所定の閾値と比較すること、又は生成された前記スコアを同じ群の他のがん患者について生成されたスコアと比較することを更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
コンピューターが行う、抗がん療法に対するがん患者の処置応答を予測する方法であって、がん患者情報をモデルに入力して、前記がん患者の前記処置応答を示すスコアを生成することを含み、前記患者情報が、請求項1に列挙されるパラメータのそれぞれに対応するデータを含む、方法。
【請求項6】
前記患者情報が、請求項2及び/又は請求項3に列挙されるパラメータから選択される1つ以上のパラメータに対応するデータを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記処置応答が、無増悪生存、部分奏効、完全奏効、又はがん進行である、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記処置応答の前記予測を得るため、生成された前記スコアを1つ以上の所定の閾値と比較すること、又は生成された前記スコアを同じ群の他のがん患者について生成されたスコアと比較することを更に含む、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、訓練データに対して多変量cox回帰分析を実施することによって前記モデルを形成することを更に含み、前記訓練データが、複数の被験体、好ましくは少なくとも1000
0人の被験体についてのリストから選択された前記パラメータを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記モデルを形成することが、
前記リストから選択されたそれぞれの前記パラメータの各々にそれぞれの重み付けwを割り当てること、及び
前記複数の被験体についての前記リストから選択されたそれぞれの前記パラメータの各々にそれぞれの平均mを割り当てること、を含み、
前記モデルの出力が、式:
出力=Σw(入力-m)、
に従って、前記選択されたパラメータにわたる和によって与えられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
患者情報が、請求項1に列挙される前記パラメータの各々に対応するデータと、請求項2及び/又は3に列挙される前記パラメータから選択される少なくとも2つの更なるパラメータとを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記患者情報が、パラメータ(i)~(xxvi)の全てに対応するデータを含む、請求項2から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記患者情報が、パラメータ(i)~(xxix)の全てに対応するデータを含む、請求項3から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、前記死亡リスクが高リスクであるか低リスクであるかを評定することを更に含む、請求項1から4、又は9から13のいずれか一項に記載のがん患者の死亡リスクを評定する方法。
【請求項15】
コンピューターが行う、臨床試験に含めるがん患者を選択する方法であって、請求項14に記載の方法を使用して、前記がん患者が死亡リスクが高いか低いかを評定すること、及び死亡リスクが低いと評定された患者を前記臨床試験に含めるために選択することを含む、方法。
【請求項16】
コンピューターが行う、抗がん療法による処置のためにがん患者を選択する方法であって、請求項14に記載の方法を使用して前記がん患者が死亡リスクが高いか低いかを評定すること、及び前記抗がん療法による処置のために死亡リスクが低いと評定されたがん患者を選択することを含む、方法。
【請求項17】
死亡リスクが低いと評定されたがん患者を前記抗がん療法で処置することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
コンピューターが行う、抗がん療法による処置中にがん患者をモニタリングする方法であって、請求項14に記載の方法を使用して、前記がん患者が死亡リスクが高いか低いかを評定することを含み、死亡リスクが低いと評定されたがん患者を前記抗がん療法による継続処置のために選択し、死亡リスクが高いと評定されたがん患者を前記抗がん療法による処置を中止するために選択する、方法。
【請求項19】
コンピューターが行う、がん患者に対して行われた抗がん療法の臨床試験の結果を評価する方法であって、請求項14に記載の方法を使用して、前記臨床試験に参加している前記がん患者が死亡リスクが高いか低いかを評定することを含む、方法。
【請求項20】
コンピューターが行う、臨床試験に含めるがん患者を選択する方法であって、請求項14に記載の方法を使用して、死亡リスクが同じである第1及び第2のがん患者を同定すること、及び前記患者を前記臨床試験に含めること、を含む、方法。
【請求項21】
前記がんが、黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、膀胱がん、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、肝細胞がん(HCC)、転移性乳がん、転移性結腸直腸がん(CRC)、転移性腎細胞がん(RCC)、多発性骨髄腫、卵巣がん、小細胞肺がん(SCLC)、濾胞性リンパ腫、膵臓がん、及び頭頸部がんからなる群から選択される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がん患者が死亡リスクが高いか低いかを評定する方法、及びがん患者における抗がん療法に対する処置応答を予測する方法に関する。本発明の方法は、例えば、臨床試験のための患者の選択、抗がん療法による処置のための患者の選択、抗がん療法による処置中のがん患者のモニタリング、及び抗がん療法に対する臨床試験の結果を評価することに用途を見出す。
【背景技術】
【0002】
平均余命に影響を及ぼす要因は、公衆衛生において非常に重要である(Ganna&Ingelsson,2015)。腫瘍学では、患者の生存の予測が最適な患者管理に役立つ(Halabi&Owzar,2010)。どの変数が転帰の予後であるかを理解することによって、疾患生物学への洞察を得ることが可能であり、患者の処置を個別化することができ、臨床試験の設計、実施、及びデータ分析を改善することができる。
【0003】
現在、腫瘍学における予後因子及び予測因子に関する研究は、主に小さなサンプルサイズに基づいている。したがって、死亡率との関連性は、主に一度に1つのリスク因子について研究されている(Banks et al.,2013;Hu et a.,2004;McGee et al.,1999;Thun et al.,1997;Tota-Maharaj et al.,2012)。ロイヤルマースデン病院スコア(RMHS)(Nieder&Dalhaug,2010)、国際予後指標(IPI)(N.Engl.J.Med.,329:987-94,1993)、グラスゴー予後スコア(GPS)又は修正グラスゴー予後スコア(mGPS)(Kinoshita et al.,2013;Nozoe et al.,2014;Jin et al.,2017;Grose et al.,2014)等の既存の予後スコアでさえ、少数のリスク因子、典型的には5未満のリスク因子から構築される。これらの小さいサンプルサイズでは、複数の因子(Altman&Simon,1994;Graf et al.,1999)の同時評定を行うことができない。多数のバイオマーカが、文献及び知見においてがん患者における死の過程の予後指標として提案されており、報告された研究の弱点(特に評定されるパラメータの数に対するサンプルサイズが小さいこと、並びに多変量解析ではなく単変量解析が行われること等)がReid et al.,2017に要約されている。いくつかのバイオマーカについて高グレードの証拠が報告されているが、Reid et al.,2017は、かかるバイオマーカに基づいて死亡率を正確に予測することができたという証拠を提供せず、かかる予測を行うために使用することができるモデルを記載していない。
【0004】
したがって、臨床的意思決定の信頼性を高めるより正確な予測を可能にするために、より大きなサンプルサイズに対する満たされていない必要性がある。最近の英国バイオバンクイニシアチブ(UK biobank initiative)(Sudlow et al.,2015)は、利用可能なデータへの重要な追加を構成し、約500,000人の参加者の集団ベースサンプルの平均余命を調査し、チャールソン併存疾患指数(Charlson et al.,1987)を上回る死亡リスクスコアを構築するために、Ganna and Ingelsson(2015)によって使用された。それにもかかわらず、がんが公衆衛生に及ぼす影響が大きい(Stock et al.,2018)ことを考慮すると、がん患者の死亡率及び処置応答を予測して、とりわけ患者の処置並びに臨床試験の設計、実施及びデータ分析を改善するためのより正確な試験が当技術分野で依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは、複数のパラメータに基づいて、がん患者の死亡リスクを評定する、又はがん患者における抗がん療法に対する処置応答を予測する新しい方法を開発した。該方法は、多数の被験体について日常的に測定されたパラメータを含む訓練データを利用して、現在知られているスコアよりも信頼性の高い死亡リスク及び処置応答の指標を生成するモデルを形成することができるという発見から生じる。
【0006】
具体的には、本発明者らは、12の異なるコホート(RoPro1)からの99,249人及び15の異なるコホート(RoPro2)からの110,538人についてFlatiron Healthデータベースからのデータを使用して生存分析を実施し、コホートを腫瘍タイプによって定義し、2つの独立した臨床研究で結果を検証した。エンドポイントとしての現実世界の死亡率(Curtis et al.,2018)と共に、人口統計学的及び臨床的変数(日常的に収集された臨床データ及び検査データに焦点を合わせた)、診断、及び処置を調べ、一次処置からの生存時間を評定した。上述したように、臨床診療において日常的に収集されるフォーカスレイパラメータ(focus lay parameter)は、特に分析のために患者パラメータデータを収集する必要なしに該方法を様々な状況で適用することを可能にする。これは、診療所で日常的に測定されないパラメータの測定に依存するスコアを超える利点である。
【0007】
選択された局所進行性又は転移性固形腫瘍を有する患者におけるエマクトズマブ及びアテゾリズマブの安全性、薬物動態及び予備的抗腫瘍活性を調査する第I相試験(BP29428)において患者が留まった時間の長さの予測のより高い精度によって実証されるように、がん患者について日常的に測定され、ロイヤルマースデン病院スコア(RMHS)よりも実質的に高い精度で多種多様ながんを有する患者の死亡リスクを予測することができることが示された合計26個のパラメータ(RoPro1)及び29個のパラメータ(RoPro2)が同定された。本発明者らは更に、RoPro1の26個のパラメータのうちの13個を使用することにより、死亡リスクを26個全てのパラメータを使用して達成される精度に近い精度で予測することが可能になり、わずか4個又は26個のパラメータを使用するだけで、RMHSよりも有意に高い精度で患者の死亡リスクを予測するのに十分であることを示した。本発明者らは同様に、RoPro2の29個のパラメータのうちの13個を使用することにより、死亡リスクを29個全てのパラメータを使用して達成される精度に近い精度で予測することが可能になり、わずか29個のうち4個のパラメータを使用するだけで、RMHSよりも有意に高い精度で患者の死亡リスクを予測するのに十分であることを示した。
【0008】
具体的には、本発明者らは、下記の(i)~(xxvi)又は(i)~(xxix)にそれぞれ列挙されるパラメータから選択されるわずか4個のパラメータに対応するデータを含む患者情報を用いてRoPro1(上位4個のパラメータ:r2=0.15;上位5個のパラメータ:r2=0.16;上位10個のパラメータ:r2=0.17;上位13個のパラメータ:r2=0.19;上位4個、上位5個、上位10個、及び上位13個は、RoPro1について表15にそれぞれ列挙されるランク番号1~4、1~5、1~10、及び1~13のパラメータを指す)又はRoPro2(上位4個のパラメータ:r2=0.174;上位5個のパラメータ:r2=0.184;上位10個のパラメータ:r2=0.288;上位13個のパラメータ:r2=0.299;上位4個、上位5個、上位10個、及び上位13個は、RoPro2について表15にそれぞれ列挙されるランク番号1~4、1~5、1~10、及び1~13を有するパラメータを指す)を算出した場合、RoPro1及びRoPro2が死亡までの時間(死亡リスク)と相関してRMHSよりも大幅に優れていることを示した。
【0009】
したがって、以下のパラメータ(i)~(xxvi)又は(i)~(xxix)から選択される少なくとも4個のパラメータの任意の組合せに対応するデータは、有用なスコアを形成するのに適している。例えば、パラメータ(i)~(xxvi)又は(i)~(xxix)から選択される少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個のパラメータ、又は29個のパラメータを用いてもよい。
【0010】
好ましい実施形態では、以下の13個全てのパラメータ(i)~(xiii)に対応するデータが選択される。
【0011】
本発明の第1の態様は、がん患者の死亡リスクを評定する方法であって、がん患者情報をモデルに入力して、がん患者の死亡リスクを示すスコアを生成すること含む、方法を提供する。患者情報は、以下のパラメータの各々に対応するデータを含み得る:
(i)血清又は血漿中のアルブミンのレベル、
(ii)米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG:Eastern cooperative oncology group)パフォーマンスステータス、
(iii)血液中のリンパ球対白血球の比、
(iv)喫煙状態、
(v)年齢、
(vi)悪性腫瘍ステージのTNM分類、
(vii)心拍数、
(viii)血清又は血漿中の塩化物又はナトリウムレベル、好ましくは血清又は血漿中の塩化物レベル、
(ix)血清又は血漿中の尿素窒素レベル、
(x)性別、
(xi)血液中のヘモグロビン又はヘマトクリットレベル、血液中の好ましいヘモグロビンレベル、
(xii)血清又は血漿中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ酵素活性レベル、及び
(xiii)血清又は血漿中のアラニンアミノトランスフェラーゼ酵素活性レベル。
【0012】
本発明者らは更に、26個のパラメータ若しくは29個のパラメータ又はそれらのサブセットの使用が、抗がん療法に対するがん患者の処置応答を予測するのに適していることを示した。
【0013】
したがって、本発明の第2の態様は、抗がん療法に対するがん患者の処置応答を予測する方法であって、がん患者情報をモデルに入力して、がん患者の処置応答を示すスコアを生成することを含む、方法を提供する。患者情報は、以下のパラメータの各々に対応するデータを含み得る:
(i)血清又は血漿中のアルブミンのレベル、
(ii)米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス、
(iii)血液中のリンパ球対白血球の比、
(iv)喫煙状態、
(v)年齢、
(vi)悪性腫瘍ステージのTNM分類、
(vii)心拍数、
(viii)血清又は血漿中の塩化物又はナトリウムレベル、好ましくは血清又は血漿中の塩化物レベル、
(ix)血清又は血漿中の尿素窒素レベル、
(x)性別、
(xi)血液中のヘモグロビン又はヘマトクリットレベル、血液中の好ましいヘモグロビンレベル、
(xii)血清又は血漿中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ酵素活性レベル、及び
(xiii)血清又は血漿中のアラニンアミノトランスフェラーゼ酵素活性レベル。
【0014】
該方法は、抗がん療法による処置から利益を受けると予測される患者を、抗がん療法による処置のために選択すること、又は抗がん療法による処置から利益を受けると予測される患者を抗がん療法で処置することを更に含み得る。
【0015】
抗がん療法でがん患者を処置する方法であって、
(i)がん患者における抗がん療法に対する処置応答を予測すること;又は(ii)がん患者における抗がん療法に対する処置応答を予測するための方法の試験結果を指示すること、を含み、
該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、がん患者の処置応答を示すスコアを生成することを含む、方法も提供される。患者情報は、以下のパラメータ:
(i)血清又は血漿中のアルブミンのレベル、
(ii)米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス、
(iii)血液中のリンパ球対白血球の比、
(iv)喫煙状態、
(v)年齢、
(vi)悪性腫瘍ステージのTNM分類、
(vii)心拍数、
(viii)血清又は血漿中の塩化物又はナトリウムレベル、好ましくは血清又は血漿中の塩化物レベル、
(ix)血清又は血漿中の尿素窒素レベル、
(x)性別、
(xi)血液中のヘモグロビン又はヘマトクリットレベル、血液中の好ましいヘモグロビンレベル、
(xii)血清又は血漿中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ酵素活性レベル、及び
(xiii)血清又は血漿中のアラニンアミノトランスフェラーゼ酵素活性レベル、のそれぞれに対応するデータを含み得、
抗がん療法に応答すると予測される患者に薬学的有効量の抗がん療法を投与することを含む。
【0016】
患者のがんを処置する方法で使用するための抗がん療法が更に提供され、該方法は、がん患者の抗がん療法に対する処置応答を予測することを含み、該方法は、がん患者情報をモデルに入力して、がん患者の処置応答を示すスコアを生成することを含む。患者情報は、以下のパラメータ:
(i)血清又は血漿中のアルブミンのレベル、
(ii)米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス、
(iii)血液中のリンパ球対白血球の比、
(iv)喫煙状態、
(v)年齢、
(vi)悪性腫瘍ステージのTNM分類、
(vii)心拍数、
(viii)血清又は血漿中の塩化物又はナトリウムレベル、好ましくは血清又は血漿中の塩化物レベル、
(ix)血清又は血漿中の尿素窒素レベル、
(x)性別、
(xi)血液中のヘモグロビン又はヘマトクリットレベル、血液中の好ましいヘモグロビンレベル、
(xii)血清又は血漿中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ酵素活性レベル、及び
(xiii)血清又は血漿中のアラニンアミノトランスフェラーゼ酵素活性レベル、のそれぞれに対応するデータを含み得、
抗がん療法に応答すると予測される患者に薬学的有効量の抗がん療法を投与することを含む。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態では、患者情報は、パラメータ(i)~(xiii)から選択される4個を超えるが、パラメータ(i)~(xiii)の全てよりも少ないパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなり得る。例えば、患者情報は、パラメータ(i)~(xiii)から選択される5、6、7、8、9、10、11、又は12個のパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなり得る。あるいは、患者情報は、パラメータ(i)~(xiii)から選択された13個全てのパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなり得る。好ましくは、患者情報は、パラメータ(i)~(xiii)から選択される少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、又は13個全てのパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなる。より好ましくは、患者情報は、パラメータ(i)~(xiii)から選択される少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、又は少なくとも9個のパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなる。例えば、患者情報は、パラメータ(i)~(xiii)から選択される少なくとも5個のパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなり得る。あるいは、患者情報は、パラメータ(i)~(xiii)から選択される少なくとも6個のパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなり得る。更なる代替として、患者情報は、パラメータ(i)~(xiii)から選択される少なくとも7個のパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなり得る。また更なる代替として、患者情報は、パラメータ(i)~(xiii)から選択される少なくとも8個のパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなり得る。別の代替として、患者情報は、パラメータ(i)~(xiii)から選択される少なくとも9個のパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなり得る。
【0018】
例えば、患者情報は、パラメータ(i)~(v)の全てに対応するデータを含むか、又はそれからなり得る。本発明者らは、これらのパラメータを選択することにより、死亡リスクの評定の精度を向上させることができることを見出した。
【0019】
あるいは、患者情報は、パラメータ(i)~(xi)と、(xii)及び(xiii)の一方又は両方との全てに対応するデータを含むか、又はそれからなり得る。
【0020】
がん患者における抗がん療法に対する処置応答は、完全奏効、無増悪生存、部分奏効、又はがん進行であり得る。完全奏効(完全寛解)は、患者において検出可能な疾患(がん)が存在しないことを指し得る。無増悪生存期間は、疾患(がん)の悪化がない期間にわたる患者の生存を指し得る。部分奏効は、腫瘍(複数可)のサイズの減少又は患者の体内のがんの広がりの減少を指し得る。完全奏効(完全寛解とも称される)は、患者に検出可能な疾患がないことを指し得る。がんの進行は、腫瘍サイズの増加及び/又は患者の体内の腫瘍数の増加等の疾患(がん)の悪化を指し得る。抗がん療法に応答するがん患者において完全奏効、部分奏効、無増悪生存及びがん進行を検出する方法は、当技術分野で周知である。
【0021】
文脈上他に要求されない限り、本明細書で言及される抗がん療法は、放射線療法、化学療法、免疫療法、ホルモン療法、及び/又は外科手術等の問題となっているがんの既知の抗がん療法であり得る。例えば、抗がん療法は、進行性非小細胞肺がん(NSCLC)、膀胱がん、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、肝細胞がん(HCC)、転移性乳がん、転移性結腸直腸がん(CRC)、転移性腎細胞がん(RCC)、多発性骨髄腫、卵巣がん、小細胞肺がん(SCLC)に対する公知の抗がん療法であり得る。あるいは、抗がん療法は、濾胞性リンパ腫、膵臓がん、又は頭頸部がんのための公知の抗がん療法であり得る。
【0022】
本明細書で言及される患者は、好ましくはヒト患者である。方法が抗がん療法に対する処置応答を予測することを含む場合、患者は、文脈上他に要求されない限り、当該抗がん療法で以前に処置されたことがない患者であり得る。
【0023】
患者情報は、以下から選択される1つ以上のパラメータに対応するデータを更に含み得る:
(xiv)収縮期又は拡張期血圧、好ましくは収縮期血圧、
(xv)血清又は血漿中の乳酸デヒドロゲナーゼ酵素活性レベル、
(xvi)肥満度指数、
(xvii)血清又は血漿中のタンパク質レベル、
(xviii)血液中の血小板レベル、
(xix)転移部位の数、
(xx)血液中の好酸球対白血球の比、
(xxi)血清又は血漿中のカルシウムレベル、
(xxii)動脈血中の酸素飽和度、
(xxiii)血清又は血漿中のアルカリホスファターゼ酵素活性レベル、
(xxiv)血液中の好中球対リンパ球比(NLR)、
(xxv)血清又は血漿中の総ビリルビンレベル、及び
(xxvi)血液中の白血球レベル。
【0024】
それに加えて又はその代わりに、患者情報は、以下から選択される1つ以上のパラメータに対応するデータを更に含み得る:
(xxvii)血液中のリンパ球レベル、
(xxviii)血液中の二酸化炭素レベル、及び
(xxix)血液中の単球レベル。
【0025】
いくつかの実施形態では、患者情報は、パラメータ(xiv)~(xxvi)及び/又は(xxvii)~(xxix)から選択される2個以上のパラメータに対応するデータを含み得る。例えば、患者情報は、追加的又は代替的に、パラメータ(xiv)~(xxvi)から選択されるパラメータの少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個若しくは13個全て、及び/又はパラメータ(xxvii)~(xxix)から選択される少なくとも1個、少なくとも2個若しくは3個全てのパラメータに対応するデータを含み得る。いくつかの実施形態では、(i)~(xxvi)又は(i)~(xxix)以外のパラメータも患者情報及び訓練データに含まれてもよい。
【0026】
例えば、患者情報は、パラメータ(i)~(xiii)から選択される少なくとも4個のパラメータ、及びパラメータ(i)~(xxvi)又は(i)~(xxix)から選択される少なくとも2個の更なるパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなり得る。
【0027】
あるいは、患者情報は、パラメータ(i)~(xxix)から選択される少なくとも7個のパラメータに対応するデータを含み得、少なくとも1個のパラメータはパラメータ(xxvii)~(xxix)から選択される。
【0028】
例えば、がん患者情報は、パラメータ(i)~(xxix)から選択される少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、又は少なくとも28個のパラメータに対応するデータを含み得、少なくとも1個のパラメータはパラメータ(xxvii)~(xxix)から選択される。
【0029】
パラメータ(xxvii)~(xxix)から選択されるパラメータ(複数可)は、好ましくはパラメータ(xxvii)(血液中のリンパ球レベル)であるか又はそれを含む。
【0030】
更に代替的には、患者情報は、パラメータ(xxvii)と、パラメータ(i)、(ii)、(iii)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)、(ix)、(xi)、(xviii)及び(xxiii)から選択される5個以上のパラメータとに対応するデータを含み得る。
【0031】
例えば、がん患者情報は、パラメータ(xxvii)と、パラメータ(i)~(xxix)から選択される少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、又は29個全てのパラメータに対応するデータを含み得、少なくとも1個のパラメータはパラメータ(xxvii)~(xxix)から選択される。
【0032】
患者情報は、パラメータ(i)~(xxvi)の全てに対応するデータを含むか、又はそれからなり得る。本発明者らは、これらのパラメータの全てがモデルに独立した寄与を有することを示した。かかるスコアは、死亡までの時間(例示的なデータセットではr2=0.24)とよく相関し、RMHS(同じ例示的なデータセットでは2=0.02)よりも大幅に優れている。好ましくは、患者情報は、パラメータ(i)~(xxix)の全てに対応するデータを含むか、又はそれからなる。本発明者らは、これらのパラメータの全てがモデルに独立した寄与を有することを示した。かかるスコアは、死亡までの時間との改善された相関を示し(例示的なデータセットではr2=0.30)、ここでもRMHSよりも大幅に優れている(同じ例示的なデータセットではr2=0.04)。
【0033】
一般に、パラメータ(i)~(xiii)、(i)~(xxvi)、又は(i)~(xxix)のうちのより多くを使用することにより、より正確なモデル及びスコアが得られるが、実際には、1つ以上のパラメータについて患者情報及び/又は訓練データを得ることが困難な場合があるので、モデル及びスコアの精度は、実際の制約に対してバランスをとることができる。
【0034】
モデルは、複数の被験体について選択されたパラメータを含む訓練データに対して統計学的有意性分析を実施することによって形成され得る。統計学的有意性分析は、多変量cox回帰分析を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の統計学的分析手法を使用し得る。
【0035】
訓練データはまた、被験体の死亡リスクを示す情報を含み得る。例えば、訓練データは、全生存、生存期間、被験体の一次処置と最後に記録された接触との間の時間の表示、又は各被験体の死亡リスクの別の表示を含み得る。訓練データは、一次処置から患者の診療所との最後の記録された接触日までの経過時間を示す打ち切られたフォローアップ時間を含み得る。最後の接触は、最後の訪問、薬剤投与、検体収集、又は別の接触であってもよい。
【0036】
パラメータ(i)~(xxvi)又は(i)~(xxix)の選択の使用は、これらのパラメータが日常的に測定され、及び/又は診療所で利用可能であるので有利である。したがって、パラメータ(i)~(xxvi)又は(i)~(xxix)に関するデータが大部分のがん患者に利用可能であると同時に、高精度の予測も提供するので、スコアを使用しやすい。
【0037】
全てのパラメータが患者にとって利用可能ではない場合でも、有用なスコアを得ることができる。そのため、患者情報に対して選択されるパラメータの数は、訓練データに含まれるパラメータの数よりも少なくてもよい。例えば、パラメータ(i)~(xxvi)又は(i)~(xxix)の全てを含む訓練データを使用してモデルが形成される場合、患者情報はこれらのパラメータの全てよりも少ないパラメータを含むことができ、それでも同様の精度のスコアを生成することができる。例えば、(i)~(xxvi)、(i)~(xxix)の中から13個、14個、15個又は16個のパラメータを、(i)~(xxvi)、(i)~(xxix)の全てのパラメータを含むモデルに入力してもよい。これは、本方法が患者情報を欠く患者を依然として評定することができるため、本方法の使いやすさを向上させる。
【0038】
訓練データは、電子健康記録データから導出され得るデータベースから取得することができる。例えば、Flatiron Healthデータベース。データベース及び/又は訓練データは、構造化データ及び/又は非構造化データを含み得る。訓練データの被験体はがん患者であり得る。被験体は、がんタイプに基づいて訓練データに含められてもよく、又は訓練データから除外されてもよい。例えば、本方法を第1のがんタイプを有する患者に合わせるために、訓練データは、第1のがんタイプを有さない被験体を除外することができる。
【0039】
パラメータは、訓練データ及び/又は患者データにおけるそれらの利用可能性に基づいて、モデルで使用するために選択され得る。例えば、いくつかの実施形態では、データベース内の患者の少なくとも75%に利用可能なパラメータのみをモデルに対して選択することができ、又はデータベース内の患者の25%超に利用可能なパラメータのみをモデルに対して選択することができる。訓練データを改善するために、処置情報を欠く患者を訓練データから除外することができる。欠落データは、訓練データを改善するために入力され得る。これは、適切なアルゴリズム、例えば、missForest Rパッケージを使用して実施することができる。
【0040】
訓練データを改善するために、検出範囲外データを除外することができる。例えば、連続パラメータの場合、平均から4標準偏差を超える観測値は除外され得る。
【0041】
重要でないパラメータがモデルから除外されるように、データをスクリーニングすることができる。本発明者らは、パラメータ(i)~(xxvi)及び(i)~(xxix)が、死亡リスクの評定及び抗がん療法に対する処置応答の予測において有意であり、パラメータ(i)~(xxix)を用いるモデルがパラメータ(i)~(xxvi)を用いるモデルよりも優れていることを見出した。スクリーニングは、ボンフェローニ補正を使用して各パラメータを分析し、閾値よりも大きいp値を有するパラメータを除外することを含み得る。例えば、検討されるパラメータの数又はそれよりも多いパラメータで割ったp値が0.05のパラメータを、訓練データから除外してもよい。パラメータは、スクリーニング中の有意性(予測値)の順にモデルに含めることができる。
【0042】
RoPro1におけるパラメータ(i)~(xxvi)の予測値を表15に詳述し、このモデルにおけるパラメータ(i)~(xxvi)のうち、ランク(1)が最も予測力の高いパラメータ(アルブミン)であり、ランク(26)が最も予測力の低いパラメータ(白血球レベル)である。RoPro2におけるパラメータ(i)~(xxix)の予測値を表15に詳述し、このモデルにおけるパラメータ(i)~(xxix)のうち、ここでも、ランク(1)が最も予測力の高いパラメータ(アルブミン)であり、ランク(29)が最も予測力の低いパラメータ(二酸化炭素レベル)である。したがって、表15のパラメータのランク番号が低いほど、患者情報が当該パラメータに対応するデータを含むことがより好ましい。
【0043】
本発明者らは、RoPro1において、パラメータ(i)~(xxvi)は、上記(i)~(xxvi)に列挙したパラメータの数値順(表15に示すランク順に対応する)に重要であることを見出したので、パラメータ(i)~(xxvi)の中から選択したパラメータをそれらの順に包含してモデルを形成することができる。
【0044】
したがって、好ましい実施形態では、患者情報は、表15に示すように、RoPro1の1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、1~13、1~14、1~15、1~16、1~17、1~18、1~19、1~20、1~21、1~22、1~23、1~24、1~25、又は1~26のランクを有するパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなり得、RoPro1の1~4のランクを有するパラメータは、血清又は血漿中のアルブミンのレベル、ECOGパフォーマンスステータス、血液中のリンパ球対白血球の比、及び喫煙状態に対応する。
【0045】
本発明者らは、パラメータ(i)~(xxix)がRoPro2について表15に示されるランク順に重要であり、かかるモデルがパラメータ(i)~(xxvi)に基づくモデルよりも正確にOSを予測することを見出したので、好ましい実施形態では、パラメータ(i)~(xxix)から選択されるパラメータを表15に示されるランク順に含めることによってモデルを形成することができる。
【0046】
したがって、より好ましい実施形態では、患者情報は、表15に示すように、RoPro2の1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、1~13、1~14、1~15、1~16、1~17、1~18、1~19、1~20、1~21、1~22、1~23、1~24、1~25、1~26、1~27、1~28、又は1~29のランクを有するパラメータに対応するデータを含むか、又はそれからなり得、RoPro2の1~4のランクを有するパラメータは、血清又は血漿中のアルブミンのレベル、血液中のリンパ球レベル、ECOGパフォーマンスステータス、及び血液中の白血球レベルに対応する。
【0047】
したがって、本開示は、以下を提供する:
[1]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が4個以上のパラメータに対応するデータを含む、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0048】
[2]パラメータが、患者の血清又は血漿中のアルブミンのレベルを含む、[1]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0049】
[3]パラメータが、患者のECOGパフォーマンスステータスを含む、[1]又は[2]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0050】
[4]パラメータが、患者の血液中のリンパ球対白血球の比を含む、[1]又は[3]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0051】
[5]パラメータが、患者の喫煙状態を含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0052】
[6]パラメータが、患者の年齢を含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0053】
[7]パラメータが、患者の悪性腫瘍ステージのTNM分類を含む、[1]~[6]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0054】
[8]パラメータが、患者の心拍数を含む、[1]~[7]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0055】
[9]パラメータが、患者の血清又は血漿中の塩化物又はナトリウムレベル、好ましくは血清又は血漿中の塩化物レベルを含む、[1]~[8]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0056】
[10]パラメータが、患者の血清又は血漿中の尿素窒素レベルを含む、[1]~[9]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0057】
[11]パラメータが患者の性を含む、[1]~[10]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0058】
[12]パラメータが、患者の血液中のヘモグロビンレベル又はヘマトクリットレベル、好ましくは血液中のヘモグロビンレベルを含む、[1]~[11]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0059】
[13]パラメータが、患者の血清又は血漿中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ酵素活性レベルを含む、[1]~[12]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0060】
[14]パラメータが、患者の血清又は血漿中のアラニンアミノトランスフェラーゼ酵素活性レベルを含む、[1]~[13]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0061】
[15]パラメータが、患者の収縮期又は拡張期血圧、好ましくは収縮期血圧を含む、[1]~[14]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0062】
[16]パラメータが、患者の血清又は血漿中の乳酸デヒドロゲナーゼ酵素活性レベルを含む、[1]~[15]のいずれか一項に記載の方法又は使用のための抗がん療法。
【0063】
[17]パラメータが、患者の肥満度指数を含む、[1]~[16]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0064】
[18]パラメータが、患者の血清又は血漿中のタンパク質レベルを含む、[1]~[17]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0065】
[19 パラメータが、患者の血液中の血小板レベルを含む、[1]~[18]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0066】
[20]パラメータが、患者の転移部位の数を含む、[1]~[19]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0067】
[21]パラメータが、患者の血液中の好酸球対白血球の比を含む、[1]~[20]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0068】
[22]パラメータが、患者の血清又は血漿中のカルシウムレベルを含む、[1]~[21]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0069】
[23]パラメータが、患者の動脈血中の酸素飽和度を含む、[1]~[22]のいずれか一項に記載の方法に使用するための方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0070】
[24]パラメータが、患者の血清又は血漿中のアルカリホスファターゼ酵素活性レベルを含む、[1]~[23]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0071】
[25]パラメータが、患者の血液中のNLRを含む、[1]~[24]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0072】
[26]パラメータが、患者の血清又は血漿中の総ビリルビンレベルを含む、[1]~[25]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0073】
[27]パラメータが、患者の血液中の白血球レベルを含む、[1]~[26]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0074】
[28]パラメータが、患者の血液中のリンパ球レベルを含む、[1]~[27]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0075】
[29]パラメータが、患者の血液中の二酸化炭素レベルを含む、[1]~[28]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0076】
[30]パラメータが、患者の血液中の単球レベルを含む、[1]~[29]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0077】
[31]患者情報が、[2]~[30]に記載のパラメータから選択される4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、19個以上、20個以上、21個以上、22個以上、23個以上、24個以上、25個以上、26個以上、27個以上、28個以上、又は29個以上のパラメータに対応するデータを含む、[1]~[30]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0078】
上記(i)~(xxix)に列挙されたうちの1個以上のパラメータは、関連するパラメータと相関する適切な代替パラメータで置換されてもよい。適切な代替パラメータを表15に列挙する。例えば、血清又は血漿中の塩化物レベルは、血清又は血漿中のナトリウムレベルで置換されてもよく、血液中のヘモグロビンレベルは、血液中のヘマトクリットレベルで置換されてもよく、血清又は血漿中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)酵素活性レベルは、血清又は血漿中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)酵素活性レベルで置換されてもよく、及び/又は収縮期血圧は拡張期血圧で置換されてもよい。
【0079】
上記のパラメータ(i)~(xxix)、並びに本明細書で言及される代替パラメータを測定又は評定する方法は、当技術分野で公知であり、臨床現場で日常的に測定される。したがって、これらのパラメータを測定することは、十分に当業者の能力の範囲内である。所与のパラメータの測定方法は、好ましくは、分析されるがん患者と任意の訓練又は検証データセットとの間で一致する。必要に応じて、異なる測定方法から得られた結果を正規化して、当該方法から得られたデータ間の比較を可能にすることができる。
【0080】
上記のパラメータ(i)~(xxix)、並びに本明細書で参照される代替パラメータを測定するための例示的な方法を表15に詳述する。利用可能な場合、表15はまた、本明細書で参照されるパラメータのLOINCコード(バージョン2.65;2018年12月14日公開)を示す。そのLOINCコードの下で所与のパラメータについて格納された情報は、適用可能な場合には測定方法を含み、以下から取得することができる。https://search.loinc.org/searchLOINC/.
【0081】
腫瘍のTNMステージを、https://www.uicc.org/8th-edition-uicc-tnm-classification-malignant-tumors-publishedのUICC TNM classification of Malignant Tumors[2019年3月27日検索]の第8版に従って決定することができる。本明細書で言及されるパラメータの測定は、表15に記載のこれらのパラメータの測定単位等の任意の適切な測定単位であってもよい。所与のパラメータの測定単位は、好ましくは、分析されるがん患者と任意の訓練又は検証データセットとの間で一致する。必要に応じて、様々な測定単位を共通の測定単位に変換することができる。
【0082】
上記のパラメータ(i)~(xxix)、並びに本明細書で参照される代替パラメータを、任意の適切な時点で測定することができる。
【0083】
例えば、臨床試験に含めるため、又は抗がん療法による処置のためにがん患者を選択する方法等、がん患者の死亡リスクを評定することを含む方法の文脈では、パラメータは、それぞれ臨床試験の開始前又は患者への抗がん療法の初回用量の投与前に測定され得る。臨床試験の開始又は患者への抗がん療法の最初の用量の投与の直前、例えば6ヶ月若しくはそれ未満、3ヶ月若しくはそれ未満、又は1ヶ月若しくはそれ未満の測定。
【0084】
方法が、がん患者における抗がん療法に対する処置応答を予測する方法である場合、パラメータは、抗がん療法の第1の用量を患者に投与する前に測定することができる。あるいは、パラメータは、処置中の抗がん療法に対する処置応答を予測するために、患者への抗がん療法の投与後に測定され得る。一実施形態では、パラメータは、第1の時点及び第2の時点で測定することができ、第1の時点は、患者への抗がん療法の第1の用量の投与前であり得、第2の時点は、患者への抗がん療法の投与後であり得、第1の時点と比較した第2の時点での予測される処置応答の改善は、患者が抗がん療法に応答していることを示し、第1の時点と比較した第2の時点での予測される処置応答の低下は、患者が抗がん療法に応答していないか、又は抵抗性になったことを示す。
【0085】
方法が、訓練データに対して多変量cox回帰分析を実行することによってモデルを形成することを含む場合、訓練データは、複数の被験体のパラメータデータを含む患者情報を含むことができる。複数の被験体は、少なくとも10000人の被験体を含み得る。多数の被験体を使用すると、モデルの精度が向上する。例えば、複数の被験体は、少なくとも15000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000又は90000人の被験体を含み得る。
【0086】
モデルを形成することは、リストから選択されたそれぞれのパラメータの各々にそれぞれの重みwを割り当てること、及び複数の被験体のリストから選択されたそれぞれのパラメータの各々にそれぞれの平均mを割り当てることを含み得、モデルの出力は、式:出力=Σw(入力-m)に従って選択されたパラメータにわたる合計によって与えられ得る。したがって、スコアは0を中心とすることができる。
【0087】
開示される実施形態のいずれかによるがん患者の死亡リスクを評定する方法は、モデルによって生成されたスコアを1つ以上の所定の閾値と比較して、又は生成されたスコアを同じ群の他のがん患者について生成されたスコアと比較して、死亡リスクを評定することを含み得る。該方法は、例えば、生成されたスコアが所定の閾値を上回るか下回るか、又は2つの異なる所定の閾値の間の値の範囲内にあるかを判定することを含み得る。
【0088】
開示される実施形態のいずれかによる抗がん療法に対するがん患者の処置応答を予測する方法は、モデルによって生成されたスコアを1つ以上の所定の閾値と比較して、又は生成されたスコアを同じ群の他のがん患者について生成されたスコアと比較して、処置応答の予測を得ることを含み得る。この方法は、例えば、生成されたスコアが所定の閾値を上回るか下回るか、又は2つの異なる所定の閾値の間の値の範囲内にあるかを判定することを含み得る。
【0089】
死亡リスクは、高リスク又は低リスクとして評定され得る。例えば、患者は、そのスコアが0超、又は1超、又は1.05超である場合、死亡リスクが高いと評定され得る。患者のスコアが0未満又は-1未満又は-1.19未満である場合、患者は死亡リスクが低いと評定され得る。RoProスコアが1.13を超える場合、死亡リスクは非常に高いリスクとして評定され得る。RoProスコアが1.13未満である場合、死亡リスクはより低いと評定され得る。進行性NSCLC特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが0.81を超えると、死亡リスクが非常に高いと評定され得る。進行性黒色腫特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが1.06を上回ると、死亡リスクが非常に高いと評定され得る。膀胱がん特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが0.99を超えると、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。CLL特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが1.16を超えると、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。DLBCL特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが1.17を超えると、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。HCC特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが1.11を超えると、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。転移性乳がん特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが1.00を超えると、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。転移性CRC特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが0.94を超えると、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。転移性RCC特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが1.22を超えると、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。多発性骨髄腫特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが1.02を超えると、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。卵巣がん特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが1.04を超えると、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。SCLC特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが0.89を超えると、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。頭頸部がん特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが0.75を超えると、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。濾胞性がん特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが1.60を超える場合、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。膵臓がん特異的RoProスコアの場合、RoProスコアが0.87を超えると、死亡リスクは非常に高いと評定され得る。
【0090】
あるいは、患者は患者群のうちの一人であってもよく、スコアは群内の各々の患者について生成されてもよい。次いで、患者は、そのスコアが群のスコアの最高50%又は最高10%又は最高5%にある場合、死亡リスクが高いと評定され得る。患者のスコアが群のスコアの最低50%又は最低10%又は最低5%にある場合、患者は死亡リスクが低いと評定され得る。患者の死亡リスクは、患者のスコアと訓練データ内の被験体のスコアとの比較に基づいて、高い又は低いと評定することができる。訓練データ内の複数の被験体についてスコアを生成することができ、患者のスコアを訓練データ内のスコアの分布と比較することができる。患者のスコアが複数の被験体のスコアの最高50%又は最高10%又は最高5%の範囲内にある場合、患者は死亡リスクが高いと評定され得る。患者のスコアが複数の被験体のスコアの最低50%又は最低10%又は最低5%の範囲内にある場合、患者は死亡リスクが低いと評定され得る。
【0091】
本明細書で使用される場合、比という用語は、スケーリングされた比を指すことができる。例えば、血液中のリンパ球対白血球の比は、白血球100個当たりのリンパ球の数であり得る。同様に、血液中の好酸球対白血球の比は、白血球100個当たりの好酸球の数であり得る。
【0092】
がん患者が死亡リスクが高いか低いかを評定する方法は、いくつかの異なる状況で使用され得る。
【0093】
例えば、臨床試験、例えば抗がん療法を行う場合、試験の全期間にわたって生存する可能性が高い臨床試験に含める患者のみを選択することが有利である。死亡の結果として試験から脱落した患者からのデータは、多くの場合、抗がん療法を例えば安全性又は有効性について評価するために使用することができず、臨床試験の費用及び試験を結論に至らせるのに必要な時間が増加するので、これは臨床試験を実施する観点からも有益である。さらに、死亡リスクが高い患者の健康状態が損なわれて処置から利益を得ることができないため、死亡リスクが高い患者を臨床試験に含めることは、死亡リスクが低い又はより低い患者の治療効果をマスクする可能性がある。さらに、臨床試験から死亡リスクの高い患者を除外することは、試験されている抗がん療法から利益を得る可能性が低い個体が不必要な処置並びに付随する副作用に曝されないので、患者に利益をもたらす。
【0094】
したがって、一実施形態では、本発明は、例えば抗がん療法に関する臨床試験に含めるためにがん患者を選択する方法であって、本明細書に記載の方法を使用してがん患者が死亡リスクが高いか低いかを評定すること、及び臨床試験に含めるために死亡リスクが低いと評定された患者を選択すること、を含む方法を提供する。
【0095】
臨床試験結果の評価のため、試験される抗がん療法を受けている群(複数可)の患者と、プラセボを受けているか又は処置を受けておらず、処置群の対照として作用する群の患者とがよく一致すること、すなわち、本明細書に記載の方法を用いて評定されるのと同じ死亡リスクを有することが重要であり、処置群に見られる任意の効果が試験される抗がん療法の結果であり、異なる患者群間の差から生じないことを確実にする。例えば、プラセボ群が処置群よりも死亡リスクが有意に高い場合、これは、処置が患者の生存にプラスの効果を有することを誤って示唆する可能性があり、逆もまた同様である。
【0096】
したがって、別の実施形態では、本発明は、がん患者に対して行われた、例えば抗がん療法に関する臨床試験の結果を評価する方法であって、臨床試験に参加しているがん患者が死亡リスクが高いか低いかを、本明細書に記載の方法を用いて評定することを含む方法を提供する。
【0097】
更なる実施形態では、本発明は、例えば抗がん療法に関する臨床試験に含めるがん患者を選択する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して死亡リスクが同じ第1及び第2のがん患者を同定すること、及び当該患者を臨床試験に含めること、を含む方法に関する。第1のがん患者は抗がん療法を受けてもよく、第2のがん患者は抗がん療法を受けなくてもよい。この場合、第2のがん患者は、第1のがん患者の対照として作用し、それによって、例えば、抗がん療法の安全性又は有効性を評価することを可能にする。好ましくは、第1及び第2の患者の両方が、死亡リスクが低い。
【0098】
患者が両方とも低リスクと評定されるか、又は両方とも高リスクと評定される場合、患者は同じ死亡リスクを有すると判断され得る。あるいは、患者のスコアが互いに同じクオンタイル内にある場合、患者は同じリスクを有すると判断され得る。例えば、患者のセットは、そのスコアに基づいて10%又は5%のクオンタイルにグループ化され得る。セットのスコアの上位5%内の2人の患者は、同じリスクを有すると判定され得る。第2(5~10%)のクオンタイルの2人の患者は、同じリスクを有すると判断され得る。
【0099】
本発明はまた、第1のがん患者又はがん患者コホートを、第2のがん患者又はがん患者コホートとそれぞれ比較する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して、患者又は第1及び第2のコホートの患者が死亡リスクが高いか低いかを評定することを含む方法を提供する。
【0100】
上述のように、死亡リスクが高い患者は、抗がん療法から利益を得る可能性は低い。処置前にかかる患者を特定することは、最終的に効果がないことが判明する治療法、並びにそれに関連する副作用に患者を曝すことを回避するので有利である。多くの抗がん療法も高コストに関連することを考えると、処置前にそのような患者を識別する能力はまた、医療システムのコスト負担を軽減する。
【0101】
したがって、別の実施形態では、本発明は、抗がん療法による処置のためにがん患者を選択する方法であって、本明細書に記載の方法を使用してがん患者が死亡リスクが高いか低いかを評定すること、及び抗がん療法による処置のために死亡リスクが低いと評定されたがん患者を選択すること、を含む方法に関する。この方法は、死亡リスクが低いと評定されたがん患者を抗がん療法で処置することを更に含み得る。
【0102】
抗がん療法でがん患者を処置する方法であって、本明細書に記載の方法を使用してがん患者が死亡リスクが高いか低いかを評定することと、及び死亡リスクが低いと評定された患者に薬学的有効量の抗がん療法を投与すること、を含む方法も提供される。
【0103】
さらに、抗がん療法でがん患者を処置する方法において使用するための抗がん療法であって、本明細書に記載の方法を使用してがん患者が死亡リスクが高いか低いかを評定することと、及び死亡リスクが低いと評定された患者に薬学的有効量の抗がん療法を投与すること、を含む抗がん療法が提供される。
【0104】
同様に、がん治療中の患者の死亡リスクは、患者が治療から利益を得ているか、又は治療から利益を得るかを示すと予想される。
【0105】
したがって、抗がん療法による処置中にがん患者をモニタリングする方法であって、患者が任意に疾患の進行を示し得、該方法が、本明細書に記載の方法を用いてがん患者が死亡リスクが高いか低いかを評定することを含み、死亡リスクが低いと評定されたがん患者が抗がん療法による継続処置のために選択され、死亡リスクが高いと評定されたがん患者が抗がん療法による処置を中止するために選択される、方法も提供される。
【0106】
特定のがんタイプにおける予後を予測するためのパラメータは、かかるパラメータを測定また評定するための方法と同様に、当技術分野で公知である。本発明者らは、例えばがん患者の死亡リスクを評定する場合、又はがん患者の抗がん療法に対する処置応答を予測する場合に、1つ以上のがんタイプ特異的パラメータ(例えば、進行性非小細胞肺がん(NSCLC)、膀胱がん、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、肝細胞がん(HCC)、転移性乳がん、転移性結腸直腸がん(CRC)、転移性腎細胞がん(RCC)、多発性骨髄腫、卵巣がん、小細胞肺がん(SCLC)、頭頸部がん、又は膵臓がんにおける予後を予測するために特異的なパラメータ)のデータを患者情報に更に含めることにより、そのがんタイプについての死亡リスクスコアが、パラメータ(i)~(xxvi)又は(i)~(xxix)単独で使用するよりも正確になることを示した。したがって、がん患者の死亡リスクを評定する方法における患者情報は、表15に列挙されるもの等の、進行性NSCLC、膀胱がん、CLL、DLBCL、HCC、転移性乳がん、転移性CRC、転移性RCC、多発性骨髄腫、卵巣がん、SCLC、頭頸部がん及び膵臓がんにおける予後を示すことが知られているパラメータから選択される1つ以上のパラメータに対応するデータを更に含み得る。これらのがん特異的パラメータ(複数可)は、本方法で使用される他のパラメータと同じ時点又は異なる時点で測定されてもよい。
【0107】
したがって、本発明は、以下を更に提供する:
[32]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者が進行性NSCLCを有する患者であり、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が上記の[2]~[30]に記載の4個以上のパラメータに対応するデータ及び1個以上の進行性NSCLC特異的パラメータを含む、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0108】
[33]NSCLC特異的パラメータが、患者における扁平上皮がんの有無である、[32]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0109】
[34]NSCLC特異的パラメータが、患者の原発腫瘍の陽性又は陰性PD-L1発現状態である、[32]又は[33]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0110】
[35]NSCLC特異的パラメータが、患者の腫瘍におけるALK再編成の有無である、[32]~[34]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0111】
[36]NSCLC特異的パラメータが、患者の腫瘍におけるEGFR変異の有無である、[32]~[35]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0112】
[37]NSCLC特異的パラメータが、患者の腫瘍におけるKRAS変異の有無である、[32]~[36]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0113】
[38]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者が膀胱がんを有する患者であり、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が上記の[2]~[30]に記載の4個以上のパラメータに対応するデータ及び1個以上の膀胱がん特異的パラメータを含む、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0114】
[39]膀胱がん特異的パラメータが、患者における膀胱摘除歴の有無である、[38]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0115】
[40]膀胱がん特異的パラメータが、初期診断時の患者の腫瘍のNステージである、[38]又は[39]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0116】
[41膀胱がん特異的パラメータが、初期診断時の患者の腫瘍のTステージである、[38]~[40]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0117】
[42] 本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者がCLLを有する患者であり、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が上記の[2]~[30]に記載の4個以上のパラメータに対応するデータ及び1個以上のCLL特異的パラメータを含む、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0118】
[43]CLL特異的パラメータが、患者の血液体積当たりのヘマトクリットのパーセンテージである、[42]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0119】
[44]CLL特異的パラメータが、血液中の単球対白血球の比、好ましくは患者の血液中の単球対100白血球の比である、[42]又は[43]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0120】
[45]CLL特異的パラメータが、患者の腫瘍における17p欠失の有無である、[42]~[44]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0121】
[46]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者がDLBLCを有する患者であり、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が、上記の[2]~[30]に記載される4個以上のパラメータに対応するデータ、及び患者の骨髄における陽性又は陰性CD5発現状態を含む、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0122】
[47]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者がHCCを有する患者であり、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が、上記[2]~[30]に記載の4個以上のパラメータに対応するデータ、及び患者の腹水の有無、好ましくは患者への抗がん療法(例えば、全身抗がん療法)の投与前60日以内の腹水の有無である、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0123】
[48]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者が転移性乳がんを有する患者であり、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が上記の[2]~[30]に記載の4個以上のパラメータに対応するデータ及び1個以上の転移性乳がん特異的パラメータを含む、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0124】
[49]転移性乳がん特異的パラメータが、患者の腫瘍の陽性又は陰性ER状態である、[48]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0125】
[50]転移性乳がん特異的パラメータが、患者の腫瘍の陽性又は陰性PR状態である、[48]又は[49]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0126】
[51]転移性乳がん特異的パラメータが患者の腫瘍の陽性又は陰性HER2状態である、[48]~[50]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0127】
[52]転移性乳がん特異的パラメータが、患者の血液中の顆粒球対白血球の比、好ましくは患者の血液中の顆粒球対100白血球の比である、[48]~[51]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0128】
[53]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者が転移性CRCを有する患者であり、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が上記の[2]~[30]に記載の4個以上のパラメータに対応するデータ及び1個以上の転移性CRC特異的パラメータを含む、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0129】
[54] 転移性CRC特異的パラメータが、患者の腫瘍におけるBRAF変異の有無である、[53]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0130】
[55]転移性CRC特異的パラメータが、患者の腫瘍におけるKRAS変異又は再編成の有無である、[53]又は[54]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0131】
[56]転移性CRC特異的パラメータが、患者の原発腫瘍におけるマイクロサテライト不安定性(MSI-H)の有無、及びMMRタンパク質発現の喪失又は正常なMMRタンパク質発現である、[53]~[55]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0132】
[57]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者が転移性RCCを有する患者であり、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が上記の[2]~[30]に記載の4個以上のパラメータに対応するデータ及び1個以上の転移性RCC特異的パラメータを含む、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0133】
[58]転移性RCC特異的パラメータが、患者の腎摘除歴の有無である、[57]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0134】
[59]転移性RCC特異的パラメータが、患者における明細胞RCCの有無、又は患者における主に明細胞RCCの有無であり、患者における明細胞RCCの有無が、任意に組織学によって決定される、[57]又は[58]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0135】
[60]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者が多発性骨髄腫を有する患者であり、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が上記の[2]~[30]に記載の4個以上のパラメータに対応するデータ及び1個以上の多発性骨髄腫特異的パラメータを含む、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0136】
[61]多発性骨髄腫特異的パラメータが、患者の腫瘍における異常の有無であり、異常の有無が、FISH又は核型分析を使用して任意に決定される、[60]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0137】
[62]多発性骨髄腫特異的パラメータが、免疫グロブリンクラスIgAの骨髄腫(M)タンパク質の有無である、[60]又は[61]に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0138】
[63]多発性骨髄腫特異的パラメータが、免疫グロブリンクラスIgGのMタンパク質の有無である、[60]~[62]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0139】
[64]多発性骨髄腫特異的パラメータが、カッパ軽鎖骨髄腫の有無である、[60]~[63]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0140】
[65]多発性骨髄腫特異的パラメータが、ラムダ軽鎖骨髄腫の有無である、[60]~[64]のいずれか一項に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0141】
[66]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者が卵巣がん患者であり、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が上記の[2]~[30]に記載の4個以上のパラメータに対応するデータ及び卵巣がん特異的パラメータを含み、卵巣がん特異的パラメータが明細胞卵巣がんの有無である、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0142】
[67]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者がSCLC患者であり、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が、上記の[2]~[30]に記載の4個以上のパラメータに対応するデータ、及びSCLC特異的パラメータを含み、SCLC特異的パラメータが、初期診断時の広範囲疾患又は限局性疾患の有無である、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0143】
[68]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者が頭頸部がんの患者であり、該方法が、スコアを生成するためにモデルにがん患者情報を入力することを含み、患者情報が、上記[2]~[30]に記載されている4個以上のパラメータに対応するデータ、及び頭頸部がん固有のパラメータを含み、頭頸部がん固有のパラメータがヒトパピローマウイルス(HPV)の状態である、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0144】
[69]本明細書に記載の方法又は方法で使用するための抗がん療法であって、がん患者が膵臓がん患者であり、該方法が、がん患者情報をモデルに入力して、スコアを生成することを含み、患者情報が、上記[2]~[30]に記載の4個以上のパラメータに対応するデータ、及び膵臓がん特異的パラメータを含み、膵臓がん特異的パラメータが外科手術による原発性膵腫瘍の除去である、方法又は方法で使用するための抗がん療法。
【0145】
上記で言及したがんタイプ特異的パラメータは、これらのパラメータを測定する方法と同様に、当技術分野で周知である。例示的な方法を表15に示す。したがって、これらのパラメータを測定することは、十分に当業者の能力の範囲内である。例えば、がん種特異的パラメータがバイオマーカ(例えば、ALK再編成の有無、EGFR変異の有無等)である場合、バイオマーカの有無に関する情報は、患者の電子健康記録(EHR)に含まれる。バイオマーカの有無を判定する方法としては、配列決定、例えば次世代配列決定、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)及び免疫組織化学(IHC)が挙げられる。
【0146】
上記のRoPro1の26個のパラメータがそれに基づいて特定されたFlatiron Healthデータベースからのデータセットは、以下のがんタイプのうちの1つを有する99,249人の患者からなった:進行性黒色腫、進行性非小細胞肺がん(NSCLC)、膀胱がん、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、肝細胞がん(HCC)、転移性乳がん、転移性結腸直腸がん(CRC)、転移性腎細胞がん(RCC)、多発性骨髄腫、卵巣がん、又は小細胞肺がん(SCLC)。さらに、本発明者らは、上記(i)~(xxvi)に記載のパラメータに対応するデータを含む患者情報を使用して、これらのがんタイプにおける死亡リスクを予測することができることを示した。したがって、本明細書で言及されるがんは、黒色腫(進行性黒色腫等)、NSCLC(進行性NSCLC等)、膀胱がん、CLL、DLBCL、HCC、転移性乳がん、転移性CRC、転移性RCC、多発性骨髄腫、卵巣がん、及びSCLCからなる群から選択されるがんであり得る。
【0147】
上記のRoPro2の29個のパラメータが同定された基礎となるFlatiron Healthデータベースからのデータセットは、以下のがんタイプのうちの1つを有する111,538人の患者からなっていた:進行性黒色腫、進行性NSCLC、膀胱がん、CLL、DLBCL、HCC、転移性乳がん、転移性CRC、転移性RCC、多発性骨髄腫、卵巣がん、SCLC、濾胞性リンパ腫、膵臓がん又は頭頸部がん。さらに、本発明者らは、上記(i)~(xxix)に記載のパラメータに対応するデータを含む患者情報を使用して、これらのがんタイプにおける死亡リスクを予測することができることを示した。したがって、本明細書で言及されるがんは、黒色腫(進行性黒色腫等)、NSCLC(進行性NSCLC等)、膀胱がん、CLL、DLBCL、HCC、転移性乳がん、転移性CRC、転移性RCC、多発性骨髄腫、卵巣がん、SCLC、濾胞性リンパ腫、膵臓がん及び頭頸部がんからなる群から選択されるがんであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【
図1】
図1A及びCは、RoPro1及びRoPro2それぞれのハザード比(HR)推定値及び対応する信頼区間(CI)(標準的な通常のパラメータスケールで)を示す。2B及びDは、それぞれRoPro1及び2のパラメータの「ワードル(wordle)」プロットを示し、フォントサイズが大きいことは、パラメータの関連性が高いことに対応する。パラメータは、生活習慣、宿主及び腫瘍のパラメータカテゴリによって示される。保護パラメータ及びリスクパラメータが示される。保護パラメータのHRは1未満であり、より高いレベルのパラメータが有益であることを示している。有害パラメータは、1を超えるHRを有し、パラメータ値が高いほどリスクが高いことを意味する。パラメータの略語については、表20を参照されたい。
【
図2】
図2Aは、固形腫瘍患者におけるエマクトズマブ及びアテゾリズマブを調査する臨床第1相試験BP29428に参加した患者と比較した、Flatiron Healthデータベースの患者のRoPro1の確率密度関数プロットを示す。結果は、BP29428の患者集団の右側へのわずかなシフトを示しており、予後不良患者の割合がより高いことを示している。
図2Bは、両方とも原発性膀胱がんに限定される臨床第1相試験BP29428と比較した、Flatiron HealthデータベースにおけるRoPro1の確率密度関数プロットを示す。結果は、BP29428の患者集団の右側への顕著なシフトを示しており、予後不良患者の割合がより高いことを示しており、この場合、以前の処置ラインの数の違いを反映している可能性がある。
【
図3】
図3A及びBは、OAK第3相臨床試験における応答群によるRoPro1の長期モニタリングを示す。x軸は異なる時点に対応する。一次処置(LoT)の開始が最も左のポイントであり、転帰事象の発生日が最も右のポイントである。その間に、事象前の時点を11日の段階で示す。y軸は、RoPro1(群平均)に対応する。各曲線は、5つの結果群のうちの1つを表す。A:曲線は、最も上の曲線から順に、死亡患者、進行患者、安定疾患患者、及び部分奏効患者、完全奏効患者を表す。B:曲線は、図面右の最も上の曲線から順に、死亡患者、進行患者、安定疾患患者、部分奏効患者、及び完全奏効患者を表す。信頼区間は、各曲線の周りに網掛けバンドとして示されている。
図3は、RoPro1が処置応答と相関することを示す。
【
図4】
図4A及びDは、高RMHS及び低RMHSを有する患者についてプロットされたKM生存曲線を示す。上のグラフは、一次処置の開始後の日数(上の曲線及び下の曲線は、それぞれ高RMHS及び低RMHSを有する患者を表す)に対する生存確率を示す。下のグラフは、一次処置の開始後の時間に対するRMHSスコアが高い及び低い患者の数を日数で示している。
図4B及びEは、それぞれ高RoPro1及び低RoPro2を有する患者についてプロットされたKM生存曲線を示す。上のグラフは、日数での一次処置の開始後の時間に対する生存確率を示す(下の曲線はRoPro1又は2の上位5%の患者を表し、下の曲線はRoPro1又は2の残り95%の患者を表す)。下のグラフは、一次処置の開始後の時間に対するRoPro1又は2が高い及び低い患者の数を日数で示している。
図4C及びFは、それぞれRoPro1及び2デシルによって患者についてプロットされたKM生存曲線を示す。上のグラフは、一次処置の開始後の日数に対する生存確率を示す。曲線は、上から順に、デシル1~10を表す。下のグラフは、一次処置の開始後の時間に対する各デシルの患者数を日数で示している(Y軸;上から:デシル1~10)。
【
図5】
図5A~Dは、RoPro2が長期モニタリングにおいて事象発生を識別する能力を示す。A:死亡患者(上の曲線)、進行患者(中の曲線)、又は部分奏効患者若しくは完全奏効患者(下の曲線)についてのRoPro2スコアが、それぞれの事象の数日前(死、進行、応答)に示される。死亡患者については、RoPro2スコアは事象(P=6.50×10-14、
図5B)に向かって有意に悪化し、ベースラインでの平均スコア0.09(SD 0.50)、死亡前の最後の測定では0.30(SD 0.54)であった。進行中の患者はまた、RoPro2スコアの有意であるがそれほど顕著ではない悪化を示した(
図5C)(P=3.90×10-11、
図5c)。部分(n=191)及び完全奏効者(n=11)のRoPro2スコアは、応答事象に向かって有意に変化しなかった(
図5D)。
【発明を実施するための形態】
【0149】
ここでは、モデル及びスコアを形成する方法の一例について説明する。モデルを形成するために、死亡リスクに対するパラメータの寄与を分析するための代替の統計技術を利用することができることが理解されよう。例として、パラメータ(i)~(xxvi)又は(i)~(xxix)の全てが挙げられるが、上で検討したように、上記方法は、これらのパラメータの選択のみを使用するように、及び/又はそれぞれ(i)~(xxvi)又は(i)~(xxix)以外のパラメータを含むように適合されてもよい。
【0150】
ここで、モデル及びスコアの2つの例を、Roche予後スコア(RoPro)1及び2として説明する。RoPro1は、(i)~(xxvi)の26個のパラメータにわたる加重和であるのに対して、RoPro2は、患者のデータとそれぞれの基準パラメータ手段との間の差の(i)~(xxix)の29個のパラメータにわたる加重和である。より高いRoProは、より高い死亡ハザード及びより高い死亡リスクを示し、より低いRoProは、より低い死亡ハザード及びより低い死亡リスクを示す。
【0151】
RoProの一般式はΣ
iln(HR(x
i))(m
ij-m
i)であり、式中、HR(x
i)はパラメータiについて推定されたHRであり、m
iはFlatiron Healthデータベースデータセットにおけるパラメータ平均であり、m
ijはパラメータiにおける患者jの値、
である。HRは、スコアに対するパラメータの寄与及びパラメータの減算に重み付けし、スコアを約0にする。
この方法を使用して生成された全ての適応症に対する一般的なRoPro1式の例は以下の通りであった:
【0152】
-0.0364(アルブミン-38.79)+0.278(ECOG-0.78)+0.00035(LDH-273.99)-0.00921(リンパ球/100白血球-25.83)-0.0427(ヘモグロビン-12.28)+0.00034(ALP-108.93)+0.0549(NLR-0.57)-0.0265(塩化物-101.58)+0.00603(心拍数-83.37)+0.00373(AST-25.98)+0.0103(年齢-66.36)+0.0112(尿素窒素-17.33)-0.0162(酸素-96.42)+0.109(TNMステージ-2.98)-0.0067(タンパク質-69.7)-0.00296(収縮期RR-129.58)-0.0302(好酸球/100白血球-2.32)+0.0621(ビリルビン-0.51)+0.07228(カルシウム-9.37)+0.16482(性別-0.48)-0.0075(BMI-28.25)+0.256(喫煙-0.36)-0.00048(血小板-272.01)+0.0531(転移部位の数-0.44)-0.00334(ALT-24.63)+0.00082(白血球-12.78).
【0153】
この方法を使用して生成された全ての適応症に対する一般的なRoPro2式の例は以下の通りであった:
0.01012(年齢-66.695)+0.12264(性別-0.502)+0.20044(喫煙-0.581)+0.06476(転移部位の数-0.163)+0.23399(ECOG-0.834)+0.09786(NLR-0.583)-0.00801(BMI-27.838)-0.04095(酸素-96.607)-0.00303(systolicRR-128.707)+0.00521(心拍数-83.246)-0.04637(Hgb_T0-12.092)+0.00927(白血球-11.077)+0.01108(尿素窒素-17.53)+0.11564(カルシウム-9.314)-0.00078(血小板-272.168)-0.00623(リンパ球-白血球比-23.786)+0.00285(AST-26.729)+0.00117(ALP-111.233)-0.00978(タンパク質-69.034)-0.00252(ALT-25.152)-0.04085(アルブミン-37.798)+0.17365(ビリルビン-0.523)-0.01713(リンパ球-3.683)-0.00467(二酸化炭素-25.768)-0.02951(塩化物-101.369)+0.1176(単球-0.729)-0.03171(好酸球-白血球比-2.225)+0.00022(LDH-286.624)+0.08136(腫瘍ステージ-3.101).
【0154】
上記の式におけるパラメータの説明及びRoProモデルにおけるそれらの測定及び評定のしかたの例を表15に示す。他の実施形態では、パラメータは任意の他の適切な方法で測定されてもよく、異なる単位が使用されてもよいことが理解されよう。性及び喫煙歴等の非数値パラメータに割り当てられた値は、それらが訓練データ及び患者のスコアへのデータ入力において一貫して使用される限り、自由に選択することができる。上記の式に示す例では、女性には0の値が与えられ、男性には1の値が与えられる。しかしながら、訓練データ及び患者データの全体を通して、生成された重み値(ln(HR(xi))は反対の符号を有するため、女性に1の値が与えられ、男性に0の値が与えられる場合、患者に対して同等のスコアが生成され、スコアに対するこのパラメータの寄与は同じままである。性及び性別という用語は、本明細書では互換的に使用される。この原理は、かかるスケーリングが訓練データ及び患者入力データにわたって一貫している限り、生成されたスコアに影響を与えることなく数値的にスケーリングされ得る全てのパラメータにも適用される。
【0155】
上記の式では、ECOGレベルがモデルに直接入力される。0、1、2、3及び4のECOGレベルを使用した。ECOG値が5の被験体は訓練データに含めなかった。式に示されるように、ECOGレベルについての訓練データにおける平均値は0.78であった。
【0156】
さらに、特定のコホートにおける重みln(HR(xi))の再推定によって、各がん適応症に対する特定のRoPro式を、特定のがん適応症を有する被験体からのデータを使用して生成することができる。以下に説明する検証目的のために、独立した臨床研究において、パラメータの重みを再推定することなく、一般スコアを適用した。
【0157】
患者のスコアを計算するために、26個又は29個のパラメータ(アルブミン、ECOG、LDH等)の患者の測定値を式に入力する。患者の各パラメータの測定値は、それぞれのパラメータラベルの代わりに式に挿入される。スコアの作成に使用されたFlatiron Healthデータベースの患者の患者RoPro1は-4.06~3.72の範囲であり、99%が(-2.12;2.00)にある。Flatiron Healthデータベースについては、後でより詳細に説明する。各パラメータに使用される値は、表15に記載されている。例えば、パラメータ「性」については、患者が男性の場合には値1が与えられ、患者が女性の場合には値0が与えられる。
【0158】
26個の因子(i)~(xxvi)及び同様に29個の因子(i)~(xxix)は、定量的予後リスクスコア「RoPro」に独立して寄与する。
【0159】
RoPro1及び2を、2つの独立した臨床研究、第1相及び第3相で検証した。ここでは、患者の初期研究の脱落(3日未満以内)、無増悪及び全生存との強い関連が見出された。経時的なRoProの変化は、その後の進行及び死亡を示した。
【0160】
RoPro1の開発において、本発明者らは、全生存期間(OS)と有意に関連する39個のパラメータを見出し、そのうちのパラメータ(i)~(xxvi)は、多変量モデリングにおいて独立して寄与した(表1A、
図1A及びB)。得られたモデルは死亡までの時間(r
2=0.24)と相関し、RMHS(同じデータでr
2=0.02)を大幅に上回った。
【0161】
RoPro2の開発において、本発明者らは、パラメータ(i)~(xxix)が多変数モデリングにおいて独立して寄与することを同様に見出した(表1B、
図1C及びD)。得られたモデルは、死亡までの時間(r
2=0.30)と相関し、RMHS(同じデータでr
2=0.02)をRoPro1よりも更に大幅に優れていた。
【0162】
【表1A】
*連続変数について:正常スケールでの1標準偏差(SD)当たりのハザード比(HR)、すなわち標準-正常変換パラメータで推定。
**テールHR:特定の低い値(97.5%クオンタイルに等しい)を有する人と比較して、特定の高いパラメータ値(2.5%クオンタイルに等しい)を有する患者のHR。他のモデルパラメータについて調整。
+平均値
++患者の48.3%が男性
+++患者の36.0%に喫煙歴が確認されている
【0163】
【表1B】
195%信頼区間と共に変数のスケールでのハザード比(=測定単位当たり)
2平均-
2SDの値を有する患者と比較した、平均+2SDのパラメータ値を有する患者のハザード比
3Flatiron Healthのデータの平均値
4Flatiron Healthのデータの標準偏差
51=男性、0=女性と符号化
61=喫煙歴、0=履歴なし又は不明と符号化
7NLR>3の場合は1、NLR<=3の場合は0として符号化
8符号化の詳細は、オンライン補足表1に見出すことができる。
【0164】
RoPro1及び2、並びにRMHSを、それぞれ、RoPro1及び2モデルを形成するために使用されたデータにおいて各被験体について計算した。
図4A及び4Bは、RoPro1及びRMHSについてプロットされた生存曲線を示す。
図4A、HR2.22(2.15;2.28)の低/高RMHSによる生存曲線の明確な分離がある。
図4BのRoPro1のプロットは、生存曲線のより良好な分離を示し(HR 4.72(4.57;4.87)、高いRoPro1が高いRMHSよりも死亡までの時間と強く相関することを示す。さらに、生存曲線を精細粒度で示すことができ、サンプルを等しいサイズであるがRoPro1が増加している10個のサブグループに分けることができる(10%クオンタイル)。それぞれのKaplan-Meyer曲線の明確な分離があり、すなわち、RoPro1では、高リスク及び低リスク患者を精査することが可能であるだけでなく、十分に区別可能な死亡リスクのグレードを特定することが可能である。生存期間中央値はクオンタイルに沿って明確に分離され、最も低いクオンタイルでは生存期間中央値2286日であったのに対して、最も高いクオンタイルでは生存期間中央値147日であった。最高リスク群(RoPro>1.05)の患者は、最低リスク群(RoPro<-1.19)と比較して、20.48(19.47~21.55)のHR、P<2.23×10
-308を有していた。
【0165】
RoPro1及びRMHSを、Flatiron Healthデータベースのデータの各コホートに別々に適用した。全てのコホートにおいて、一般的なRoPro1は、死亡までの時間の予後に関してRMHSを大幅に上回った。コホート特異的なRoPro1による最も強力な性能改善が、CLLについて見られた(一般的なRoPro1についてはr2=0.11、CLL特異的なRoPro1についてはr2=0.17。転移性乳がんについて、本発明者らは、ホルモン受容体状態、HER2neu状態及び顆粒球/白血球比を含めることによって、死亡までの時間(r2=0.10からr2=0.17)との相関の特に強い改善を得た。
【0166】
RoPro1スコアは、独立したデータセット(Flatiron Healthデータベースに由来しないセット)に適用した場合に良好に機能した。RoPro1が上昇した進行非小細胞肺がん患者(上位10%)は、RoPro1が低い患者(下位10%)と比較して、6.32倍(95%CI 5.95~6.73)の死亡ハザードの増加を有していた(P<2.23×10-308)。
【0167】
RoPro1は、死亡までの時間との強い相関(r2=0.155~0.239、コホート依存性)を示し、この相関は、ロイヤルマースデン病院スコア(RMHS)等の確立された予後スコアと比較して大きな改善である(r2=0.001~0.033、コホート依存性)。
【0168】
個々の患者のRoPro2スコア(29個の変数の各々についての測定値を式に入力することによって導出された)は-3.22~3.61の範囲であり、99%は-2.33~2.22の範囲であった。スコアが高いほど、OSの予後が悪いことを示す。
【0169】
図4D、E及びFは、RMHS又はRoPro2に基づく予後リスクスコアの比較を示す。
図4Dは、高/低RMHS(HR 2.37;95%CI 2.32~2.43)による生存曲線の明確な分離を示す。
図4Eは、最も高い10%のRoPro2スコア対残りの90%の患者を示す。RoPro2によるこの分析は、RMHSよりも良好な生存曲線の分離(HR 4.66;95%CI 4.56~4.77)を示し、高いRoPro2スコアが高いRMHSよりも死亡までの時間と強く相関していることを示した。さらに、サンプルを等しいサイズであるがRoPro2スコアが増加している10個のサブグループに細分すると(デシル)、それぞれのKaplan-Meier生存曲線の明確な分離が示され、高リスクサブグループにおけるより不良なOSが反映された(
図4F)。生存期間中央値は、デシルに沿って明確に分離されており、生存期間中央値は、最も低いデシルでは2,975日であったのに対して、最も高いデシルでは118日であった。最高リスク患者(RoPro2スコア>1.13)は、最低リスク群(スコア<-1.26)と比較して、25.79(95%CI 24.58~27.06)のHR、P<2.23×10-308を有していた。
【0170】
RoPro2及びRMHSを別々にコホートに適用すると、一般的なRoPro2式は、全てのコホートにおける全ての性能測定に関してRMHSよりも大幅に優れている。
【0171】
臨床試験からのデータに対するRoPro1及び2の検証の結果の更なる例を以下に説明する。これらの2つの独立した臨床研究における検証分析では、スコアは、初期研究の脱落(3日以内)、PFS及びOSとの強い相関を示した。
第1相試験への適用
【0172】
初期の腫瘍学臨床試験における患者集団の完全な理解は、決定的なデータ解釈及び開発の決定にとって重要である。RoPro1及び2は、標準的な処置に適していない選択された局所進行性又は転移性固形腫瘍を有する参加者において組み合わせて投与されたエマクトズマブ及びアテゾリズマブの安全性、薬物動態及び予備抗腫瘍活性を調査した第1相ヒト初回投与試験BP29428(NCT02323191)の患者に遡及的に適用された。
【0173】
RoPro1及び2を使用してBP29428研究の患者にそれぞれRoPro1及びRoPro2値を与え、各患者のRoPro1及びRoPro2値を研究中の患者の転帰と比較して、患者の予後を決定するためのRoPro1及びRoPro2の精度を判断した。
【0174】
Flatiron Healthデータセット中の患者及びBP29428に参加した患者のRoPro1は、平均約0でほぼ正規分布していた(
図2A)。BP29428に参加した患者のRoPro1の分布は、より右に延びる傾向があり、BP29428の特定の高リスク患者の割合が増加したことを示している(
図2A)。
【0175】
高いRoPro1を有する患者は、より高い死亡リスクを有し、HR=4.99(2.59;9.63)、P=1.5×10-6、RMHS、HR=3.38(1.79;6.38)、P=1.72×10-4)と比較して改善された識別性を提供する。さらに、RoPro1は、初期研究の脱落を特定するために使用することができる。最も高い5%のRoPro1を有する患者(n=11)は、研究において平均して3日間しか留まらなかったが(表16)、RMHSではそのような識別は不可能であった。表4A及びBに示すように、RoPro1クオンタイルは、RMHSよりも効果的に研究の時間の長さを示す。
【0176】
BP29428では、原発性膀胱がん診断が最大のサブグループを構成する(n=62)。サブグループは、RoPro1(全ステージの混合)を構築するために使用されたFlatiron Healthデータベースの膀胱コホートとは対照的に、平均して1.76(+/-1.00)の以前の処置ラインを有する進行患者の増加部分(elevated portion)を有する。したがって、BP29428のRoPro1分布は右にシフトしており(
図2B)、すなわち、BP29428膀胱サブグループにおいて高いRoProを有する患者がより多く存在する。それにもかかわらず、RoPro1は、このサブグループにおいてもOSと強く関連していた(P=4.86×10
-7)。さらに、最も高いRoPro1の10%クオンタイル(n=6)からの全ての患者は、研究において1日しか留まっておらず(表17)、処置の前のラインの数の分布がFlatiron Health発見データから逸脱していても、RoPro1が有用であることを実証している。
【0177】
RoPro2とOSとの相関は、第I相試験BP29428(n=217、P=4.56×10-14、r2=0.22、C指標=0.80)で再現された。
【0178】
RoPro2>1.13(Flatiron Healthにおける90%クオンタイルに等しいカットオフ、n=11)を有する患者は、より不良なOS予後(HR 16.36;95%CI 7.95~33.66)を有し、RMHS(HR 3.38;95%CI 1.79~6.38)に対する改善された識別を提供した。
【0179】
RoPro2の適用可能性の一例は、初期研究の脱落を示すその能力である。RoPro2>1.13(n=11、上記のカットオフ定義を参照)を有する患者は全て、進行性疾患又は死亡のいずれかのために研究を早期に離れた(研究29日間の平均時間)。1名の患者のみが第2の処置サイクルまで研究を継続した。注目すべきことに、試験プロトコルを遵守して、全ての患者がECOG 1を有した。RMHSを使用して同等のレベルの識別は不可能である(表18参照)。
第3相試験への適用
【0180】
RoPro1及び2を除外基準として使用する影響を評定し、経時的なRoPro1及び2の変化がその後の事象を示すかどうかを調査するために、第3相試験の結果に対して遡及的分析を行った。
【0181】
OAK第III相試験(Rittmeyer A,et al.,2017)(NCT02008227)は、白金含有化学療法の失敗後の局所進行性又は転移性NSCLCを有する参加者(n=1187)において、ドセタキセルと比較したアテゾリズマブの有効性及び安全性を評価した。
【0182】
RoPro1及び2を使用してNCT02008227研究の患者にそれぞれRoPro1又は2の値を与え、各患者のRoPro1及び2の値を研究中の患者の転帰と比較して、患者の予後を決定するためのRoPro1及び2の精度を判断した。
【0183】
ここでも、RoPro1(r2=0.20、p=1.09×10-59)は、死亡までの時間の予後においてRMHS(r2=0.06、p=2.80×10-18)を大幅に上回った(表2)。さらに、RoPro1は無増悪生存とも関連していた(r2=0.06、p=1.06×10-17)。
【0184】
本発明者らは、処置アーム間のOSの比較に対する予後スコアの使用の潜在的影響を評定した(表2)。未調整の分析では、公表された結果(Graf E et al.,1999)に従い、本発明者らは対照と比較してアテゾリズマブについて0.794のHR(0.690;0.913)を観察した。共変数としてRoPro1を使用すると、効果の推定値は0.780(0.678;0.898)まで改善され、一方、RMHSによる調整はシグナルをわずかに弱めた(0.801[0.692];0.922])。HRの改善は、最も高い10%のRoPro1(0.766[0.659];0.891])から患者を除外することによっても観察された。サンプルサイズの喪失にもかかわらず、本発明者らは、全データの分析(P=0.0012)と比較して改善された有意性(P=0.0006)を得た。
【表2】
1死亡までの時間(cox回帰からのrSq(r二乗;r
2))との相関。
2999個の複製データセットの中央値
【0185】
RoPro2とOS生存との相関は、第III相試験OAKで再現された(n=1,187、P=3.65×10-56、r2=0.19、C指標=0.68)。RoPro2>0.81(専用の進行性NSCLC RoPro2に対するFlatiron Healthにおける90%クオンタイルに等しいカットオフ、n=76)を有する患者は、より不良なOS予後を有し(HR 3.62;95%CI 2.82~4.65)、RMHSと比較して改善された識別を再び提供した(HR 1.97;95%CI 1.79~2.31)。曲線下面積の値もRMHSを上回った。高RoPro2クラスの患者は、平均してわずか4.8ヶ月(中央値2.4ヶ月)しか研究に留まらなかった(表19を参照)。
【0186】
処置アーム間のOSの比較における予後スコアの使用の潜在的影響も評定した。未調整の分析では、公表された結果に従って、ドセタキセルに対するアテゾリズマブについて0.794(95%CI 0.690~0.913、P=0.0012)のHRが観察された。20 RoPro2>0.81の患者を除外することによって、より低いHR(0.785;95%CI 0.678~0.909)が観察された。結果として生じるサンプルサイズの喪失にもかかわらず、有意水準(P=0.0012)は、全データセットの分析と比較した場合、ほぼ同一であった(P=0.0012)。
【0187】
RoPro1はまた、
図3に示されるように、長期モニタリングにおいてイベント群を識別することができることが示された。死亡した患者は、死亡の99日前に上昇したRoPro1を有し(平均RoPro1 0.32(SD 0.45))、スコアは事象に向かって有意に(P=8.78×10
-15)増加した(死亡前の最後の測定について平均RoPro1 0.77(SD 0.48))。進行中の患者(黒色)は、進行の66日前から開始して、平均RoPro1 0.02(SD 0.45)から事象時の平均RoPro1 0.15(SD 0.46)への有意な増加(P=4.62×10
-6)を示した。部分奏効者(n=191人の患者)及び完全奏効者(n=11人の患者)は、応答事象に向かって有意に変化しなかった(P=0.46)低いRoPro1(平均-0.10、SD 0.40)で開始した。
【0188】
最後に、長期モニタリングにおける事象発生を識別するRoPro2の能力を評定した(
図5)。死亡患者(上の曲線)については、スコアは事象(P=6.50×10-14、
図5A、B)に向かって有意に悪化し、ベースラインでの平均スコア0.09(SD 0.50)、死亡前の最後の測定では0.30(SD 0.54)であった。進行中の患者(中央の曲線)もまた、有意であるがあまり顕著ではない増加を示した(
図5A)(P=3.90×10-11、
図5C)。部分(n=191)及び完全(n=11)奏効者(下の曲線)は、応答事象に向かって有意に変化しなかった(
図5A、D)。
【0189】
上で検討したように、RoPro1及び2は、両方とも免疫療法処置を調査する2つの独立した臨床研究(第1相及び第3相)において検証された。試験BP29428(エマクトズマブとアテゾリズマブとの併用処置、NCT02323191)における本発明者らの分析は、RoPro1について表16に示すように、スコアがOSと相関するだけでなく、特定の初期試験の脱落(3日未満以内)とも相関することを示した。したがって、非常に高リスクの患者を除外するためにRoPro1又は2を使用することは、試験の手順上の負担及び潜在的な有害事象への不必要な曝露から患者を保護するのに役立ち得る。それはまた、迅速な研究実施及びより低い治験費用を支援し得るが、少数の患者のみを除外する必要があり得るので、採用を著しく妨げるものではない。同様に、NSCLCにおける単剤アテゾリズマブのOAK第3相試験における最も高いRoPro1又は2を有する10%の患者の除外は、化学療法の対照群と比較した場合、処置の効果を増加させ、これらの高リスク患者は介入からの利益が少ないことを示した。本発明者らのデータは、RoPro1及び2が、身体的健康状態が悪いことを考慮して脱落リスクの高い患者と、研究処置から依然として利益を得ることができる患者とをより正確に区別することができることを示唆している。事前に指定された患者の一部(例えば5%)が除外されるように、患者の除外/包含基準の事前カットオフを定義することも可能である。RoPro1を経時的に調査すると、本発明者らは、その後に進行又は死亡した患者において着実に増加する傾向を認めたが、RoPro1の経過と応答との明確な相関を特定することはできなかった。しかしながら、より大きな患者数は、それぞれの所見を可能にし得る。
【0190】
RoPro1及び2は、それらが多数のパラメータを使用するとしても、ほとんどのパラメータが日常的に測定され、及び/又は臨床ルーチンにおいて利用可能であるので、使用が容易である。パラメータは、使いやすい1つの単純なスコアに組み合わされる。さらに、患者のRoProを計算するために欠落パラメータが許容され、患者情報が完全ではない場合でもスコアを生成できることを意味する。例えば、患者データがモデルに含まれる5~10個のパラメータを欠いている場合でも、有用なスコアを生成することができる。
【0191】
さらに、RoPro1及び2は、患者の40%がスコアを構築するために使用された12種以外のがんタイプに罹患しているBP29428におけるRoPro1及び2の良好な性能によって実証されたがん適応症にわたって適用することができる。がん特異的モデルは、特定のがんタイプを有する被験体からのデータのみを使用して生成することができ、これらの例を以下に詳細に記載する。がん特異的モデルは、例えば、CLL及び転移性乳がんの一般的なモデルよりも優れている可能性があるが、一般的なモデルは依然として有用な結果をもたらすことができる。
【0192】
使用の容易さ、がん適応症にわたる適用性及び増大した予後力は、例えばFIH研究における用量漸増の間のコホート比較のための、又はRoPro1及び2の分布がFlatiron Healthコホートとは異なるBP29428について示されるような現実の状況と比較した研究結果の解釈のためのRoPro1及び2の使用を更に促進する。特定の高リスク患者の存在を、研究結果全体の解釈を助けるために特定した。さらに、RoPro1を経時的に継続的にモニタリングすることにより、処置下で発現した有害事象又は腫瘍進行を超えた有害事象による処置決定に対する信頼性を高めることができる。OAKでの本発明者らの分析は、スコアが経時的に悪化する高リスク患者は治療の恩恵を受けないことを示した。安定したスコア又はわずかに改善するスコアを観察することは、処置の利益を示す可能性があり、他の考慮事項に隣接して、処置を継続する決定を下すために使用することができる。
【0193】
スコアのための更なるパラメータは、RoPro1又は2を第2又はそれ以降のラインコホートに適用する場合、以前の処置レジメンの数及びタイプを含み得る。RoPro1及び2は、臨床研究の本発明者らの分析が示すように、以前の処置ラインの数が群間で異なる場合でも非常に有用である。モデル及びスコアに含める更なる任意のパラメータとしては、尿、血液、(エピ)ジェネティックバイオマーカ、並びに主観的健康観(self-reported health)(Sudlow C et al.,2015)及び精密分析(例えば無増悪生存(PFS)との関連)が挙げられる。
【0194】
RoPro1及び2は、大きな患者データセットを分析することの価値を実証し、その結果、これまで不可能であった粒度がもたらされる。遡及的実世界データ分析(Kahn MG et al.,2016)で典型的に遭遇する残りの不確実性及び不正確さにもかかわらず、本発明者らの知見は、バイアスが克服されることを示している。これは、文献の知見、スコアのコホート間適用性、及びFlatiron Healthデータセットに匹敵するモデルフィット品質をもたらした独立した臨床研究データへの適用の成功との高い一貫性によって裏付けられる。
【0195】
RoPro1を、Cox比例ハザードフレームワーク内で131個の人口統計学的、臨床的、及び日常的な血液パラメータを評定することによって得た。腫瘍タイプ(非小細胞肺、小細胞肺、黒色腫、膀胱、乳房、結腸直腸、腎細胞、卵巣、肝細胞、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)によって定義された12の異なるコホートから99,249人の患者を含めた。全ての処置レジメンを含めた。
【0196】
訓練データは、210万人を超える活動性の米国がん患者を含む280を超えるがん診療所からの電子健康記録(EHR)データから導出されたFlatiron Healthデータベースから得た(https://flatiron.com/real-world-evidence/),[12-2018]。Flatiron Healthデータベースは、長期的で、人口統計学的及び地理的に多様であり、広く適用可能なモデルを形成するのに有利であり得る。パラメータは、数値(例えば年齢)であってもよく、又は非数値(例えば、性は女性又は男性である)であってもよい。非数値パラメータには、モデリングのための数値が割り当てられる。上述したように、RoPro1及び2モデルの各パラメータに使用される値は、表15に記載されている。例えば、「性」のパラメータについては、患者が男性の場合には値1が与えられ、患者が女性の場合には値0が与えられる。性及び喫煙歴等の非数値パラメータに割り当てられた値は、それらが訓練データ及び患者のスコアへのデータ入力において一貫して使用される限り、自由に選択することができる。さらに、かかるスケーリングがスコアに入力される訓練データ及び患者データの全てにわたって一貫している限り、生成されたスコアに影響を与えることなく数値をスケーリングすることができる。
【0197】
データベースは、例えば、医師のノート及び他の非構造化文書(例えば、バイオマーカレポート)から技術対応チャート抽出(technology-enabled chart abstraction)を介して収集された、構造化データ(例えば、検査値及び処方薬)及び非構造化データを含む。
【0198】
データベースは、がんタイプ:肝細胞がん(HCC)、進行黒色腫、進行非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、膀胱がん、転移性腎細胞がん(RCC)、転移性結腸直腸がん(CRC)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、卵巣がん、転移性乳がん、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、及び任意に更に濾胞性リンパ腫、膵臓がん及び頭頸部がんによって定義されるコホートに従って編成され得る。Flatiron Healthデータベースでは、患者は、2014年のSurveillance、Epidemiology、及びEnd Resultのデータにおける疾患有病率の推定値に従って、黒色腫、NSCLC、及びRCCを有する患者の米国集団と年齢、性別、及び人種/民族が類似している[National Cancer Institute。SEER*Statソフトウェア、バージョン8.3.4.http://seer.cancer.gov/seerstat.2018年2月9日にアクセス]が、本発明の他の実施形態では、代替の特徴を有する患者を含むデータベースを使用することができる。これは、モデルを特定の集団に合わせるのに有利であり得る。Flatiron Healthデータベースでは、全てのコホートのデータセットは、人口統計学的データ、がんタイプ、疾患の病期及び併存症等の臨床データ、投薬処方データ、及び日常的な血液バイオマーカデータを含んでいた。
【0199】
Flatiron Healthから2018年12月に公開されたデータ(人口統計、臨床データ(がんタイプ、病期、及び併存症等)、薬剤処方データ、及び日常的な血液バイオマーカデータを含む)を使用して、実施例RoPro1を作成した。合計で、12のコホートからの99,249人の患者が分析に利用可能であった:進行性黒色腫(n=3,543)、進行性非小細胞肺がん(NSCLC)(n=33,575)、膀胱がん(n=4,570)、慢性リンパ性白血病(CLL)(n=8,904)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(n=3,396)、肝細胞がん(HCC)(n=1,028)、転移性乳がん(n=12,425)、転移性結腸直腸がん(CRC)(n=14,487)、転移性腎細胞がん(RCC)(n=4,057)、多発性骨髄腫(n=5,345)、卵巣がん(n=3,713)、小細胞肺がん(SCLC)(n=4,206)。最終分析のために、42個の一般測定値及び89個の更なるコホート特異的バイオマーカが利用可能であった。それぞれの患者特性の説明は、表1Aに含まれる。追跡調査期間の中央値は23.3ヶ月(+/-21.4 SD)であり、生存期間の中央値は20.4ヶ月(95%CI 20.13~20.70)であった。
【0200】
Flatiron Healthから2019年5月に公開されたデータ(人口統計、臨床データ(がんタイプ、病期、及び併存症等)、薬剤処方データ、及び日常的な血液バイオマーカデータを含む)を使用して、実施例RoPro2を作成した。合計で、15のコホートからの110,538人の患者が分析に利用可能であった:進行性黒色腫、進行性非小細胞肺がん(NSCLC)、膀胱がん、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、肝細胞がん(HCC)、転移性乳がん、転移性結腸直腸がん(CRC)、転移性腎細胞がん(RCC)、多発性骨髄腫、卵巣がん、小細胞肺がん(SCLC)、濾胞性リンパ腫、膵臓がん及び頭頸部がん。最終分析のために、45個の一般測定値及び99個の更なるコホート特異的バイオマーカが利用可能であった。それぞれの患者特性の説明は、表1Bに含まれる。生存期間中央値は18.7ヶ月(95%信頼区間[CI]18.5~18.9)であった。
【0201】
患者の25%超について利用可能なパラメータのみを使用し、一次処置の情報を欠く患者を除外した。
【0202】
モデルを形成するために、訓練データ中の患者の全生存期間(OS)を、Cox比例ハザードモデル(Cox DR,Journal of the Royal Statistical Society Series B(Methodological)Vol.34)を使用して調べた。生存時間は、現実世界の死亡率表(Curtis MD et al.,2018)にコード化されているように、患者の一次処置の開始(T0として定義)から事象「死亡」まで計算した。進行/転移患者のみを含むコホートの場合、一次処置は進行/転移の一次処置であった。監視した追跡時間を、T0から患者の診療所との最後に記録された接触(来院、投薬投与、検体採取等)の日付までの経過日数として計算した。モデリングに使用するための訓練データについては、本発明者らは、T0の前の患者の最後に利用可能な測定値を使用した。
【0203】
全ての連続パラメータについて、平均から4標準偏差を超える観察を除外した。missForest Rパッケージを使用して、各コホートについて欠落データを別々に帰属させた。(R Core Team,2013)。感度分析のために欠落患者データをコホートのパラメータ平均で置き換えて分析を繰り返した。
【0204】
有意なパラメータのみがモデルに含まれるように、データをスクリーニングすることができる。実施例モデルを形成する際、初期スクリーニングとして、各パラメータをそれ自体で分析した。α1α=0.05/45=0.0011(ボンフェローニ補正)よりも小さいP値を有するパラメータをモデリングに適格であるとみなし、訓練データに保持した。パラメータは、スクリーニング分析におけるそれらの重要性によって与えられる順序に従ってモデルに含めた。パラメータがモデルに保持されるためには、パラメータを含めることが有意なモデル改善をもたらすことが必要であった(P≦α1)。別のパラメータを含めることによって有意性を失ったパラメータをモデルから除去した。構築により、この手順は、α=0.05でのファミリーワイズエラー率を制御する、すなわち、全てのパラメータは、複数の試験の調整後に有意である。
【0205】
連続変数の場合、coxモデルは、調査されたパラメータの単位当たりに与えられるハザード比(HR)をもたらし、年齢の場合、例えば、HRは1年の年齢差当たりのHRである。したがって、絶対値が高いパラメータでは、圧倒的な統計学的証拠にもかかわらず、HR推定値は無視できる程度の関連性があるようである。したがって、「テールHR」も用いた。テールHRは、特定の低い値(97.5%クオンタイル)を有する患者と比較して、特定の高いパラメータ値(2.5%クオンタイルに等しい)を有する患者のHRである。しかしながら、統計学的検定は、完全な定量的モデリングに基づいていた。
【0206】
修正RoPros
上述したように、RoPro1及び2のモデル及びスコアは、他のパラメータを含めることによって、又は例えば特定のがんタイプを有する患者のみを含むように訓練データを修正することによって修正することができる。特定のモデル及びスコアは、問題のがんタイプについて上述した一般的なRoPro1及び2よりも改善された精度を有することができる。
【0207】
コホート共変数を用いた一般的なRoPro1スコア
このスコアは、以下の式によって与えられる:
-0.03644(アルブミン-38.79)+0.27834(ECOG-0.78)+0.00035(LDH-273.99)-0.00921(リンパ球/100白血球-25.83)-0.04271(ヘモグロビン-12.28)+0.00034(ALP-108.93)+0.05494(NLR-0.57)-0.02653(塩化物-101.58)+0.00603(心拍数-83.37)+0.00373(AST-25.98)+0.01032(年齢-66.36)+0.01123(尿素窒素-17.33)-0.01622(酸素-96.42)+0.1092(TNMステージ-2.98)-0.00672(タンパク質-69.7)-0.00296(収縮期RR-129.58)-0.03019(好酸球/100白血球-2.32)+0.06207(ビリルビン-0.51)+0.07228(カルシウム-9.37)+0.16482(性別-0.48)-0.0075(BMI-28.25)+0.25569(喫煙-0.36)-0.00048(血小板-272.01)+0.05308(転移部位の数-0.44)-0.00334(ALT-24.63)+0.00082(白血球-12.78)+0.16954(進行性NSCLC-0.34)+0.20866(進行性黒色腫-0.04)+0.33719(膀胱-0.05)-0.69241(CLL-0.09)-1.28587(DLBCL-0.03)+0.58248(HCC-0.01)-0.04801(転移性乳がん-0.13)-0.0726(転移性RCC-0.04)-0.76472(多発性骨髄腫-0.05)-0.47683(卵巣-0.04)+0.20785(SCLC-0.04)
【0208】
このスコアは、スコアにがんタイプの追加パラメータを含めることによってがんのタイプを考慮に入れる。
【0209】
コホート共変数を用いた一般的なRoPro2スコア
このスコアは、以下の式によって与えられる:0.00942(年齢-66.695)+0.13976(性-0.502)+0.2006(喫煙-0.581)+0.07037(転移部位の数-0.163)+0.22798(ECOG-0.834)+0.09204(NLR-0.583)-0.00734(BMI-27.838)-0.0393(酸素-96.607)-0.00283(SBP-128.707)+0.00526(心拍数-83.246)-0.04512(Hgb-12.092)+0.00864(白血球-11.077)+0.01171(尿素窒素-17.53)+0.10861(カルシウム-9.314)-0.00066(血小板-272.168)-0.00614(リンパ球-白血球比-23.786)+0.00342(AST-26.729)+0.00095(ALP-111.233)-0.00885(タンパク質-69.034)-0.00432(ALT-25.152)-0.04085(アルブミン-37.798)+0.09984(ビリルビン-0.523)-0.01623(リンパ球-3.683)-0.00467(二酸化炭素-25.768)-0.02848(塩化物-101.369)+0.10973(単球-0.729)-0.02952(好酸球-白血球比-2.225)+0.00055(LDH-286.624)+0.0806(腫瘍ステージ-3.101)+0.24079(進行性NSCLC-0.309)+0.17555(進行性黒色腫-0.032)+0.23156(膀胱-0.043)-0.82379(CLL-0.079)-1.32362(DLBCL-0.033)+0.68852(HCC-0.011)-0.09865(転移性乳がん-0.107)+0.06371(転移性RCC-0.036)-0.78937(多発性骨髄腫-0.057)-0.50345(卵巣-0.035)+0.28493(SCLC-0.04)+0.33059(頭_頸-0.039)-1.79085(濾胞性-0.004)+0.91282(膵臓-0.045).このスコアは、スコアにがんタイプの追加パラメータを含めることによってがんのタイプを考慮に入れる。
【0210】
独立したコホートに適用される場合、そのコホートに利用可能であり得る特定の変数によってRoProを拡張することが関心事であり得る。かかる場合、元のRoProと新たな変数Xをパラメータとして、coxモデルをコホートデータにフィッティングすることで、拡張RoProを構築することができる。RoPro式自体の構築に使用されるのと同じ原理により、これは、ln(HR(RoPro))*(RoProj-平均(RoPro))+ln(HR(X))*(Xj-平均(X))の形式の式をもたらす。この式では、RoPro及びXの平均は、研究で観察されたものである。RoPro項の場合、一般式が使用され、すなわち、基礎となる29個の変数の重みは再推定されない。このデータから、RoPro自体の重みln(HR(RoPro))のみを推定し、RoProと追加変数Xの正しいバランスを求める。次いで、拡張されたRoPro式を、新しいサンプルに事後的に、又は更に別のサンプルに事前に適用することができる。
【0211】
RoPro分布は、特定の組み入れ基準を有するサンプルにおいてシフトされ得る。典型的な状況は、全ての患者がRoPro変数xiに対して特定の値zをとる必要がある研究計画であり得る。この場合、RoPro分布はwi(z-mi)だけシフトすることができ、miは訓練データにおけるxiの平均値であり、wiはcoxモデルにおける可変重みln(HR)である。RoProカットオフ値は、RoPro患者除外基準を使用するためにwi(z-mi)だけシフトすることができる。例えば、研究が全ての患者が1のECOGを有することを必要とする場合、平均RoPro2は、訓練データ(0.83の平均ECOGを有する)と比較して、1.264*(1-0.82)~0.12だけシフトし得る。したがって、1.13のRoPro2カットオフは、1.25に置き換えられるべきである。更なる例として、HER2過剰発現が乳がん発症のリスク因子であることが知られているという事実にもかかわらず、HER2陽性転移性乳がん患者のサブコホートは、他の転移性乳がん患者よりもはるかに良好な予後を有する。このパラドックスは周知であり、専用の標的療法の利用可能性及び体系的な適用によって説明される。RoPro2の適用では、陽性HER_状態を有する患者について、RoPro式(表7の補足)のそれぞれの項-0.708*(HER2_状態-0.206)は値-0.56を与える。したがって、この場合、RoProカットオフを-0.56シフトすることが適切であり得る。HER2変数は、処置の決定に直接影響するため、一般的なRoPro変数とは異なることに留意されたい。RoPro訓練データでは、HER2+患者の大部分が標的療法を受ける(トラスツズマブ、ペルツズマブ等)。標的療法を受けていないHER2+患者の場合、それぞれのRoPro項は誤って指定される。一般に、HER2の状態と処置との間の相互作用のために、有効性比較において、RoProにHER2の用語を含めることが適切であれば、実際の研究設計に従って決定することができる。
【0212】
がん特異的モデル
以下で論じられるがん特異的モデル及びスコアは、適切ながんタイプからの訓練データのみが含まれたことを除いて、上記の一般的なRoPro1及び2モデルと同じ方法で作成される。
【0213】
進行性黒色腫に特異的なRoPro1スコアは、以下の式によって与えられる。
【0214】
-0.03255(アルブミン-39.83)+0.28838(ECOG-0.7)+0.00046(LDH-286.82)-0.00931(リンパ球/100白血球-21.7)-0.03681(ヘモグロビン-13.26)+0.00119(ALP-90.46)+0.13144(NLR-0.61)-0.02788(塩化物-102.07)+0.00564(心拍数-80.06)+0.00412(AST-24.45)+0.00595(年齢-65.15)+0.0086(尿素窒素-17.68)-0.04493(酸素-96.89)+0.12968(TNMステージ-3.03)-0.017(タンパク質-69.04)-0.00271(収縮期RR-131.2)-0.04086(好酸球/100白血球-2.53)+0.00564(ビリルビン-0.56)+0.06153(カルシウム-9.34)+0.14823(性別-0.67)-0.00581(BMI-29.07)-0.00021(血小板-255.36)-0.02629(転移部位の数-0.99)-0.0009(ALT-25.6)+0.00519(白血球-8.2)
【0215】
【0216】
進行性NSCLCに特異的なRoPro1スコアは、以下の式によって与えられる。
【0217】
-0.028(アルブミン-37.92)+0.24063(ECOG-0.89)+0.00065(LDH-265.82)-0.01143(リンパ球/100白血球-18.89)-0.03854(ヘモグロビン-12.51)+0.00059(ALP-105.95)+0.06241(NLR-0.78)-0.02719(塩化物-100.81)+0.0056(心拍数-85.61)+0.00315(AST-22.29)+0.00746(年齢-67.64)+0.0103(尿素窒素-16.64)-0.02669(酸素-95.74)+0.12445(TNMステージ-3.31)-0.00811(タンパク質-68.83)-0.00285(収縮期RR-127.43)-0.02494(好酸球/100白血球-2.35)+0.08866(ビリルビン-0.47)+0.0813(カルシウム-9.36)+0.19274(性別-0.53)-0.00726(BMI-27.1)+0.17495(喫煙-0.87)-0.00033(血小板-294.59)+0.08169(転移部位の数-0.44)-0.00399(ALT-23.17)+0.01166(白血球-9.29)+0.05736(扁平細胞-0.26)-0.23384(原発部位腫瘍_PDL1-0.28)-0.47035(ALK-0.03)-0.38758(EGFR-0.14)+0.08973(KRAS-0.3)
【0218】
【表4】
1HR=元のスケールのハザード比
2扁平上皮がん対非扁平上皮がん
3原発腫瘍におけるPDL1の状態
4ALK再構成の存在、血液、腫瘍部位及び転移部位における評定のコンセンサス;
5EGFR変異の有無、血液、腫瘍部位及び転移部位における評定のコンセンサス;
6KRAS変異の有無、血液、腫瘍部位及び転移部位の評定のコンセンサス
【0219】
膀胱がんに特異的なRoPro1スコアは、以下の式によって与えられる。
【0220】
-0.03776(アルブミン-38.24)+0.31113(ECOG-0.86)-0.0000006(LDH-207.51)-0.01648(リンパ球/100白血球-19.98)-0.05865(ヘモグロビン-11.79)+0.00199(ALP-102.19)-0.02476(NLR-0.75)-0.02689(塩化物-101.84)+0.0067(心拍数-81.99)+0.01477(AST-20.89)+0.00582(年齢-70.66)+0.00883(尿素窒素-21.95)-0.01548(酸素-96.77)-0.05903(TNMステージ-3.12)-0.01324(タンパク質-69.3)-0.00097(収縮期RR-129.7)-0.0303(好酸球/100白血球-2.66)+0.16313(ビリルビン-0.45)+0.20268(カルシウム-9.35)+0.14791(性別-0.74)-0.0055(BMI-27.56)+0.03807(喫煙-0)-0.00046(血小板-291.95)+0.08332(転移部位の数-0.38)-0.00943(ALT-19.7)+0.00372(白血球-8.57)-0.29635(外科手術-0.5)-0.09292(Nステージ-0.87)+0.0882(Tステージ-2.5)
【0221】
【表5】
1HR=元のスケールのハザード比
2患者が膀胱摘除術又は他の関連する外科手術を受けたかどうかを示す
3初期診断時のNステージ
4初期診断のTステージ
【0222】
CLLに特異的なRoPro1スコアは、以下の式によって与えられる。
【0223】
-0.03867(アルブミン-41.27)+0.41112(ECOG-0.61)+0.00035(LDH-257.53)-0.00048(リンパ球/100白血球-67.49)+0.00858(ヘモグロビン-11.9)+0.00322(ALP-86.29)+0.003(NLR-0.16)-0.0278(塩化物-103.45)+0.00728(心拍数-77.61)+0.00348(AST-24.35)+0.05572(年齢-69.71)+0.00942(尿素窒素-20.19)-0.07428(酸素-96.72)+0.01033(TNMステージ-1.38)-0.00604(タンパク質-65.51)-0.00352(収縮期RR-129.82)+0.01924(好酸球/100白血球-1.18)+0.0243(ビリルビン-0.64)+0.04474(カルシウム-9.26)+0.28007(性別-0.62)-0.01238(BMI-29.11)+1.28681(喫煙-0.01)-0.00108(血小板-165.63)+0.6591(転移部位の数-0.01)-0.00752(ALT-22.11)-0.00108(白血球-57.72)-0.02779(ヘマトクリット-36.55)+0.01526(単球_白血球-6.81)+0.4047(状態17pDel-0.09)
【0224】
【表6】
1HR=元のスケールのハザード比
217p欠失に関する患者の状態
【0225】
DLBCLに特異的なRoPro1スコアは、以下の式によって与えられる。
【0226】
-0.01324(アルブミン-38.76)+0.41084(ECOG-0.78)+0.00051(LDH-330)-0.00259(リンパ球/100白血球-21.57)-0.02629(ヘモグロビン-12.33)+0.00246(ALP-94.94)-0.14718(NLR-0.67)-0.01611(塩化物-101.62)+0.00186(心拍数-83.71)+0.00324(AST-27.74)+0.03897(年齢-65.41)+0.0115(尿素窒素-18.02)-0.08422(酸素-97.03)+0.11178(TNMステージ-2.8)-0.01996(タンパク質-67.65)+0.00247(収縮期RR-129.35)+0.03503(好酸球/100白血球-2.42)-0.0067(ビリルビン-0.6)-0.08837(カルシウム-9.45)+0.21277(性別-0.54)-0.01197(BMI-29.21)-0.32111(喫煙-0)-0.00116(血小板-264.91)+0.01659(転移部位の数-0.64)-0.00427(ALT-25.71)+0.01014(白血球-8.06)+0.48816(BM_CD5-0.19)
【0227】
【表7】
1HR=元のスケールのハザード比
2IHC又はフローサイトメトリーによって報告される骨髄におけるCD5発現状態
【0228】
HCCに特異的なRoPro1スコアは、以下の式によって与えられる。
【0229】
-0.04636(アルブミン-34.77)+0.09009(ECOG-0.85)-0.00024(LDH-242.97)-0.00747(リンパ球/100白血球-21.85)-0.03135(ヘモグロビン-12.56)+0.0009(ALP-190.83)+0.01655(NLR-0.66)-0.01749(塩化物-101.53)+0.00797(心拍数-79.59)+0.00375(AST-81.06)+0.00472(年齢-66.35)+0.01482(尿素窒素-16.98)-0.05141(酸素-97.04)+0.24331(TNMステージ-3.33)+0.00045(タンパク質-71.86)+0.00075(収縮期RR-128.81)-0.04362(好酸球/100白血球-2.55)+0.10363(ビリルビン-1.23)+0.07832(カルシウム-9.13)+0.13751(性別-0.8)+0.00405(BMI-27.52)-0.87098(喫煙-0.01)+0.00044(血小板-194.03)+0.02497(転移部位の数-0.2)-0.00273(ALT-56.13)+0.0234(白血球-6.53)+0.34357(腹水あり-0.25)
【0230】
【表8】
1HR=元のスケールのハザード比
2患者が全身療法を開始する前の60日以内に腹水の証拠が実証されたかどうかを示す
【0231】
転移性乳がんに特異的なRoPro1スコアは、以下の式によって与えられる。
【0232】
-0.03505(アルブミン-40.26)+0.27677(ECOG-0.65)+0.00036(LDH-279.9)-0.02201(リンパ球/100白血球-25.19)-0.05064(ヘモグロビン-12.57)+0.0005(ALP-116.55)+0.0224(NLR-0.39)-0.00573(塩化物-102.11)+0.00426(心拍数-84.54)+0.00453(AST-30.73)+0.00347(Age-62.48)+0.0056(尿素窒素-15.74)-0.00592(酸素-96.52)-0.05314(TNMステージ-2.79)-0.00482(タンパク質-69.92)-0.00228(収縮期RR-132.42)-0.04465(好酸球/100白血球-2.18)+0.00263(ビリルビン-0.48)+0.07961(カルシウム-9.47)-0.06088(性別-0.01)-0.00505(BMI-29.66)+0.30504(喫煙-0)-0.00041(血小板-259.77)+0.01433(転移部位の数-0.65)-0.00285(ALT-26.76)-0.01321(白血球-7.11)-0.00912(顆粒球_白血球-65.19)-0.66376(状態_ER-0.75)-0.32253(状態_PR-0.21)-0.64684(状態_HER2-0.58)
【0233】
【表9】
1HR=元のスケールのハザード比
2エストロゲン受容体の状態
3プロゲステロン受容体の状態
4IHC又はフローサイトメトリーによって報告されるヒト上皮成長因子受容体2
【0234】
転移性CRCに特異的なRoPro1スコアは、以下の式によって与えられる。
【0235】
-0.04114(アルブミン-38.65)+0.31521(ECOG-0.7)+0.00027(LDH-321.84)-0.01522(リンパ球/100白血球-22.63)-0.01996(ヘモグロビン-12.03)+0.00019(ALP-141.96)+0.02894(NLR-0.49)-0.02129(塩化物-101.75)+0.00589(心拍数82.9)+0.00545(AST-30.64)+0.01066(Age-63.59)+0.01004(尿素窒素-15.01)-0.02764(酸素-97.15)+0.11828(TNMステージ-3.48)-0.00019(タンパク質-70.32)-0.0026(収縮期RR-130.17)-0.00342(好酸球/100白血球-2.81)+0.11769(ビリルビン-0.55)+0.05607(カルシウム-9.31)+0.08277(性別-0.56)-0.00752(BMI-28.13)+0.0168(喫煙-0)-0.00067(血小板-298.33)+0.05164(転移部位の数-0.51)-0.00523(ALT-27.14)-0.00154(白血球-8.04)+0.50779(状態_BRAF-0.11)+0.17346(状態_KRAS-0.45)+0.2077(MSImod_原発性-0.06)
【0236】
【表10】
1HR=元のスケールのハザード比
2BRAF変異の有無
3KRAS変異の有無
4原発組織で評定し、MSI-H及びMMRタンパク質発現の喪失を1つのクラスに包含する。
【0237】
転移性RCCに特異的なRoPro1スコアは、以下の式によって与えられる。
【0238】
-0.04107(アルブミン-38.71)+0.22807(ECOG-0.81)+0.00066(LDH-239.9)-0.0166(リンパ球/100白血球-21.81)-0.03591(ヘモグロビン-12.34)+0.00042(ALP-102.79)-0.07151(NLR-0.59)-0.04034(塩化物-101.67)+0.00675(心拍数-80.99)+0.01167(AST-21.98)+0.00478(Age-65.5)+0.01264(尿素窒素-20.71)-0.00236(酸素-96.65)+0.10591(TNMステージ-3.11)-0.01258(タンパク質-70.59)-0.00152(収縮期RR-130.68)-0.03656(好酸球/100白血球-2.54)-0.08249(ビリルビン-0.5)+0.05246(カルシウム-9.46)-0.01377(性別-0.7)-0.00665(BMI-30.17)-0.04439(喫煙-0.57)-0.00052(血小板-286.2)+0.03115(転移部位の数-0.71)-0.01082(ALT-23.41)+0.03307(白血球-8.02)-0.40166(腎摘除術-0.68)-0.37353(明細胞-0.7)
【0239】
【表11】
1HR=元のスケールのハザード比
2患者が腎摘除術を受けたかどうか
3明細胞がんあり/なし
【0240】
多発性骨髄腫に特異的なスコアは、以下の式によって与えられる:
-0.03132(アルブミン-37.7)+0.40645(ECOG-0.83)+0.00093(LDH-203.06)-0.00781(リンパ球/100白血球-29.79)-0.04835(ヘモグロビン-10.98)+0.00219(ALP-82.55)-0.07473(NLR-0.3)-0.01956(塩化物-102.06)+0.00436(心拍数-80.65)+0.00191(AST-24.06)+0.03613(Age-68.6)+0.01272(尿素窒素-22.03)-0.01123(酸素-97.07)+0.23461(TNMステージ-1.97)-0.00372(タンパク質-82.13)-0.00398(収縮期RR-134.69)-0.04269(好酸球/100白血球-2.42)+0.30565(ビリルビン-0.5)+0.01936(カルシウム-9.44)+0.13929(性別-0.54)-0.00452(BMI-29.26)+0.9616(喫煙-0)-0.00132(血小板-223.01)+0.05053(転移部位の数-0.09)-0.00309(ALT-23.53)+0.00522(白血球-6.95)+0.3403(特定された異常-0.26)-0.23267(Mタンパク質IgA-0.19)-0.23776(Mタンパク質IgG-0.54)-0.45875(軽鎖カッパ-0.56)-0.32882(軽鎖ラムダ-0.34)
【0241】
【表12】
1HR=元のスケールのハザード比
2検査で遺伝子異常が特定されたかどうか
3患者のMタンパク質の免疫グロブリンクラスがIgAであるかどうか
4患者のMタンパク質の免疫グロブリンクラスがIgGであるかどうか
5患者の関与する軽鎖がカッパであるかどうか
6患者の関与する軽鎖がラムダであるかどうか
【0242】
卵巣がんに特異的なRoPro1スコアは、以下の式によって与えられる。
-0.03337(アルブミン-38.74)+0.35052(ECOG-0.77)+0.00022(LDH-261.65)-0.00104(リンパ球/100白血球-23.59)-0.01649(ヘモグロビン-11.84)+0.0017(ALP-92.92)+0.0684(NLR-0.49)+0.00501(塩化物-101.92)+0.00396(心拍数-84.27)+0.00725(AST-23.74)+0.01471(Age-64.54)+0.02218(尿素窒素-15.47)-0.00578(酸素-96.68)+0.46146(TNMステージ-3.13)-0.00401(タンパク質-69.42)-0.00307(収縮期RR-128.24)-0.06112(好酸球/100白血球-2.53)-0.11501(ビリルビン-0.4)+0.07324(カルシウム-9.38)+0.00015(性別-0)+0.58224(BMI-28.63)-0.00098(喫煙-0)+0.06139(血小板-333.29)-0.00837(転移部位の数-0.21)+0.01713(ALT-21.46)-0.3742(白血球-0.82)+0.41366(明細胞-0.07)
【0243】
【表13】
1HR=元のスケールのハザード比
2患者の卵巣がんの初期診断のための外科的処置後の減量の程度
3明細胞がんあり/なし
【0244】
SCLCに特異的なRoPro1スコアは、以下の式によって与えられる。
-0.01875(アルブミン-38.7)+0.14992(ECOG-0.94)+0.00018(LDH-349.5)-0.00919(リンパ球/100白血球-21.1)-0.01399(ヘモグロビン-12.88)-0.00014(ALP-112.17)+0.00145(NLR-0.7)-0.01345(塩化物-99.97)+0.00372(心拍数-85.7)+0.00486(AST-29.1)+0.01048(年齢-66.8)+0.01096(尿素窒素-16.02)-0.00712(酸素-95.65)+0.28747(TNMステージ-3.55)-0.00597(タンパク質-68.55)-0.0045(収縮期RR-128.2)-0.02105(好酸球/100白血球-1.99)-0.07518(ビリルビン-0.5)+0.00318(カルシウム-9.36)+0.16448(性別-0.48)-0.01073(BMI-27.94)+0.11721(喫煙-0.98)-0.00127(血小板-274.14)+0.02463(転移部位の数-0.38)-0.00172(ALT-27.89)-0.00026(白血球-9)+0.58755(SCLCステージ-0.65)
【0245】
【表14】
1HR=元のスケールのハザード比
2臨床評定によって得られる広範疾患対限局性疾患
【0246】
コホート特異的RoPro2モデルは、様々な関連性の一貫性がコホート間で一般に高いことを示す。コホート特異的な再推定された可変重量による最も強いパフォーマンス改善が、慢性リンパ性白血病(CLL)について認められた(一般的なRoPro2の場合、r2=0.12、C指数=0.70、3カ月AUC=0.81;CLL特異的RoPro2については、r2=0.17、C指標=0.74、3カ月AUC=0.83)。転移性乳がんモデルは、がん特異的バイオマーカ(ホルモン受容体状態及びヒト上皮成長因子受容体-2[HER2]-neu状態)を含めることによって最大の改善(一般的なRoPro2の場合、r2=0.12、C指数=0.66、3カ月AUC=0.83;r2=0.21、C指標=0.72、特定のRoPro2について3ヶ月AUC=0.83)を示した。
【0247】
進行性NSCLCに特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.00653(年齢-67.981)+0.16544(性-0.537)+0.29991(喫煙-0.877)+0.12237(転移部位の数-0.174)+0.19453(ECOG-0.922)+0.02572(NLR-0.766)-0.00725(BMI-26.899)-0.03658(酸素-95.996)-0.00259(SBP-126.983)+0.00518(心拍数-85.716)-0.04524(Hgb-12.327)+0.00529(白血球-9.807)+0.01222(尿素窒素-17.129)+0.14336(カルシウム-9.323)-0.00051(血小板-298.177)-0.01381(血液中のリンパ球/100白血球-16.727)+0.00251(AST-22.414)+0.00144(ALP-102.824)-0.01326(タンパク質-68.696)-0.00416(ALT-23.117)-0.03692(アルブミン-37.062)+0.18286(ビリルビン-0.467)+0.01683(リンパ球-1.465)-0.00542(二酸化炭素-26.047)-0.03064(塩化物-100.545)+0.11354(単球-0.672)-0.03235(血液中の好酸球/100白血球-2.07)+0.00055(LDH-280.888)+0.10307(腫瘍ステージ-3.465)+0.05508(扁平細胞-0.269)-0.18049(原発部位腫瘍_PDL1-0.278).
【0248】
進行性黒色腫に特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.0062(年齢-65.539)+0.1059(性-0.68)-0.13496(喫煙-0.352)-0.01106(転移部位の数-0.368)+0.2725(ECOG-0.758)+0.10207(NLR-0.594)-0.00161(BMI-28.896)-0.03303(酸素-97.009)-0.0029(SBP-130.345)+0.00699(心拍数-79.392)-0.02029(Hgb-13.099)-0.00206(白血球-8.308)+0.01633(尿素窒素-18.031)+0.08373(カルシウム-9.297)-0.00025(血小板-258.758)-0.01065(血液中のリンパ球/100白血球-21.258)+7e-04(AST-24.439)+0.00058(ALP-94.702)-0.01989(タンパク質-68.102)+0.00155(ALT-25.62)-0.04059(アルブミン-38.916)+0.03968(ビリルビン-0.564)+0.0433(リンパ球-1.674)+1e-04(二酸化炭素-25.859)-0.02939(塩化物-102.027)+0.09766(単球-0.624)-0.0515(血液中の好酸球/100リンパ球-2.692)+0.00068(LDH-313.076)+0.13055(腫瘍ステージ-3.017).
【0249】
膀胱がんに特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.00347(年齢-71.109)+0.07937(性-0.748)+0.05865(喫煙-0.73)+0.14505(転移部位の数-0.144)+0.23068(ECOG-0.895)+0.023(NLR-0.692)-0.00651(BMI-27.624)-0.00666(酸素-96.81)-7e-04(SBP-128.949)+0.00511(心拍数-81.449)-0.04131(Hgb-11.637)+0.0192(白血球-8.918)+0.01188(尿素窒素-22.192)+0.16766(カルシウム-9.292)-0.00095(血小板-286.043)-0.01657(血液中のリンパ球/100白血球-18.953)+0.01467(AST-22.276)+0.00247(ALP-106.899)-0.01493(タンパク質-68.58)-0.00939(ALT-20.732)-0.04466(アルブミン-37.235)+0.00392(ビリルビン-0.464)+0.00895(リンパ球-1.524)-0.01209(二酸化炭素-24.819)-0.02813(塩化物-101.957)+0.06395(単球-0.661)-0.02002(血液中の好酸球/100リンパ球-2.567)-3e-05(LDH-233.144)-0.07393(腫瘍ステージ-3.532)-0.26819(外科手術-0.504)+0.11056(Tステージ-2.465).
【0250】
CLL(慢性リンパ性白血病)に特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.05779(年齢-69.951)+0.26067(性-0.626)+0.71525(喫煙-0.35)+0.70923(転移部位の数-0.008)+0.39314(ECOG-0.622)-0.22371(NLR-0.077)-0.00915(BMI-28.769)-0.01203(酸素-96.811)-0.00232(SBP-129.642)+0.00826(心拍数-77.465)-0.07827(Hgb-11.767)+0.00096(白血球-40.123)+0.00878(尿素窒素-20.195)+0.01911(カルシウム-9.216)-0.00137(血小板-160.155)-0.00201(血液中のリンパ球/100白血球-67.021)+0.00313(AST-24.08)+0.00352(ALP-87.048)-0.00622(タンパク質-65.126)-0.00792(ALT-21.752)-0.03883(アルブミン-40.74)+0.0879(ビリルビン-0.621)-0.00713(リンパ球-28.523)-0.01213(二酸化炭素-25.898)-0.03209(塩化物-103.766)+0.05868(単球-1.885)+0.03505(血液中の好酸球/100リンパ球-1.16)+0.00037(LDH-273.307)-0.00708(腫瘍ステージ-1.392).
【0251】
DLBCL(びまん性大細胞型B細胞がん)に特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.038(年齢-66.079)+0.22192(性-0.547)-0.22649(喫煙-0.351)+0.11979(転移部位の数-0.012)+0.31201(ECOG-0.784)+0.00719(NLR-0.631)-0.01538(BMI-28.581)-0.02739(酸素-96.915)+0.00373(SBP-128.501)+0.00047(心拍数-83.492)-0.02201(Hgb-12.038)-0.01588(白血球-7.943)+0.02116(尿素窒素-18.144)-0.007(カルシウム-9.344)-0.00098(血小板-260.621)-0.01131(血液中のリンパ球/100白血球-21.008)+0.00335(AST-26.771)+0.00298(ALP-95.829)-0.01163(タンパク質-66.364)-0.01085(ALT-24.473)-0.02293(アルブミン-37.656)+0.17582(ビリルビン-0.563)+0.10388(リンパ球-1.589)+0.00502(二酸化炭素-25.833)-0.01428(塩化物-101.524)+0.22388(単球-0.638)+0.00275(血液中の好酸球/100リンパ球-2.293)+6e-04(LDH-329.933)+0.06839(腫瘍ステージ-2.791)+0.44252(BM_CD5-0.168).
【0252】
HCC(肝細胞がん)に特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.00592(年齢-66.277)+0.12226(性-0.807)-19.43777(喫煙-0.352)-0.00323(転移部位の数-0.094)+0.10789(ECOG-0.922)+0.15643(NLR-0.592)+0.00388(BMI-27.783)-0.01924(酸素-97.2)-0.00132(SBP-128.568)+0.00801(心拍数-80.125)-0.01479(Hgb-12.489)+0.06616(白血球-6.7)+0.02277(尿素窒素-16.886)+0.10928(カルシウム-9.092)+0.00019(血小板-195.961)-0.00532(血液中のリンパ球/100白血球-21.082)+0.00517(AST-68.984)+0.00093(ALP-189.229)-0.00514(タンパク質-71.962)-0.00396(ALT-50.691)-0.04574(アルブミン-34.109)+0.36517(ビリルビン-1.154)-0.0059(リンパ球-1.339)-0.03001(二酸化炭素-24.955)-0.02278(塩化物-101.52)-0.28334(単球-0.591)-0.05039(血液中の好酸球/100リンパ球-2.729)+0.00134(LDH-306.135)+0.15332(腫瘍ステージ-3.111).
【0253】
転移性乳がんに特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.00269(年齢-62.989)+0.01453(性-0.011)+0.1938(喫煙-0.351)+0.00116(転移部位の数-0.339)+0.2144(ECOG-0.76)+0.13996(NLR-0.449)-0.00682(BMI-29.567)-0.03728(酸素-96.722)-0.00404(SBP-131.38)+0.0038(心拍数-85.049)-0.05297(Hgb-12.364)-0.02052(白血球-7.427)+0.00939(尿素窒素-15.999)+0.10216(カルシウム-9.434)-0.00071(血小板-266.78)-0.00192(血液中のリンパ球/100白血球-23.863)+0.00719(AST-31.774)+0.00065(ALP-120.469)-0.00802(タンパク質-69.839)-0.00303(ALT-28.294)-0.0403(アルブミン-39.387)-0.03278(ビリルビン-0.49)-0.0146(リンパ球-1.686)-0.00091(二酸化炭素-25.745)-0.01655(塩化物-101.831)+0.34615(単球-0.532)-0.03497(血液中の好酸球/100リンパ球-2.15)+0.00051(LDH-302.721)-0.05209(腫瘍ステージ-2.853)+0.00353(N24_T0-66.322)-0.67362(状態_ER-0.752)-0.31455(状態_PR-0.576)-0.70817(状態_HER2-0.206).
【0254】
転移性CRC(結腸直腸がん)がんに特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.01002(年齢-63.765)+0.05288(性-0.558)+0.01467(喫煙-0.351)+0.04867(転移部位の数-0.184)+0.2995(ECOG-0.724)+0.12341(NLR-0.561)-0.00452(BMI-28.025)-0.04628(N28_T0-97.301)-0.00216(SBP-129.373)+0.00387(心拍数-82.507)-0.00925(Hgb-11.801)-0.00807(白血球-8.157)+0.01254(尿素窒素-15.177)+0.07242(カルシウム-9.242)-0.00045(血小板-294.471)-0.00861(血液中のリンパ球/100白血球-21.651)+0.00332(AST-31.853)+0.00074(ALP-139.89)-0.00212(タンパク質-69.152)-0.00485(ALT-26.673)-0.04476(アルブミン-37.617)+0.22807(ビリルビン-0.539)-0.02575(リンパ球-1.635)-0.01573(二酸化炭素-25.449)-0.03205(塩化物-101.807)+0.1334(単球-0.647)-0.004(血液中の好酸球/100リンパ球-2.868)+0.00044(LDH-339.711)+0.09735(腫瘍ステージ-3.496)+0.53129(状態_BRAF-0.107)+0.18914(状態_KRAS-0.451).
【0255】
転移性RCC(腎細胞がん)に特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.00638(年齢-66.118)-0.01476(性-0.699)+0.00179(喫煙-0.572)+0.06387(転移部位の数-0.272)+0.16002(ECOG-0.86)+0.05433(NLR-0.575)-0.01004(BMI-29.805)-0.0425(N28_T0-96.707)-0.00266(SBP-130.368)+0.00795(心拍数-81.061)-0.00346(Hgb-12.161)+0.04464(白血球-8.072)+0.0106(尿素窒素-21.186)+0.04739(カルシウム-9.416)-0.00033(血小板-286.676)-0.00984(血液中のリンパ球/100白血球-21.154)+0.00739(AST-22.983)+0.00049(ALP-109.25)-0.01171(タンパク質-69.997)-0.01121(ALT-24.263)-0.05349(アルブミン-37.749)-0.0202(ビリルビン-0.499)-0.04447(リンパ球-1.578)-0.00319(二酸化炭素-25.558)-0.03636(塩化物-101.488)-0.0937(単球-0.626)-0.03918(血液中の好酸球/100リンパ球-2.579)+0.00121(LDH-261.093)+0.0851(腫瘍ステージ-3.145)-0.31275(腎摘除術-0.66)-0.37341(明細胞_RCC-0.695).
【0256】
多発性骨髄腫に特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.03943(年齢-68.434)+0.14741(性-0.542)-0.09141(喫煙-0.351)+0.10112(転移部位の数-0.037)+0.32641(ECOG-0.901)-0.05074(NLR-0.267)-0.00195(BMI-29.017)-0.02522(酸素-97.041)-0.00427(SBP-133.73)+0.00449(心拍数-80.919)-0.0559(Hgb-10.824)-0.00576(白血球-6.364)+0.01195(尿素窒素-21.864)+0.00914(カルシウム-9.33)-0.00135(血小板-220.519)-0.00925(血液中のリンパ球/100白血球-28.37)+0.00706(AST-23.754)+0.00196(ALP-84.221)-0.00472(タンパク質-78.166)-0.00766(ALT-23.431)-0.03242(アルブミン-36.515)+0.26533(ビリルビン-0.493)+0.02637(リンパ球-1.75)-0.003(二酸化炭素-24.927)-0.0161(塩化物-101.955)+0.19518(単球-0.507)-0.02945(血液中の好酸球/100リンパ球-2.3)+0.00071(LDH-216.938)+0.17142(腫瘍ステージ-1.987)-0.12075(Mタンパク質IgG-0.542)-0.46168(軽鎖カッパ-0.572)-0.38144(軽鎖ラムダ-0.337).
【0257】
卵巣がんに特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.00998(年齢-65.176)+1.02303(喫煙-0.35)+0.11866(転移部位の数-0.082)+0.25502(ECOG-0.778)+0.21763(NLR-0.555)-0.00348(BMI-28.264)-0.05212(酸素-96.969)-0.00274(SBP-128.397)+0.00062(心拍数-84.888)-0.02728(Hgb-11.746)+0.01832(白血球-7.828)+0.02424(尿素窒素-15.932)+0.00599(カルシウム-9.323)-0.00101(血小板-332.437)+0.01093(血中リンパ球/100白血球21.544)+0.00837(AST-23.971)+0.00353(ALP-91.691)-0.01219(タンパク質-68.922)-0.01376(ALT-21.587)-0.03487(アルブミン-37.78)+0.32377(ビリルビン-0.412)-0.03305(リンパ球-1.526)+0.01351(二酸化炭素-25.341)-0.01256(塩化物-102.004)+0.05714(単球-0.539)-0.03722(血液中の好酸球/100リンパ球-2.117)+0.00109(LDH-288.609)+0.40066(腫瘍ステージ-3.108).
【0258】
SCLC(小細胞肺がん)に特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.00891(年齢-67.252)+0.22435(性-0.481)+0.10511(喫煙-0.985)+0.01216(転移部位の数-0.13)+0.13932(ECOG-0.983)+0.00473(NLR-0.645)-0.00942(BMI-27.722)-0.03779(酸素-95.68)-0.00509(SBP-127.436)+0.00184(心拍数-85.411)-0.02368(Hgb-12.674)+0.0187(白血球-9.25)+0.00619(尿素窒素-16.446)+0.04426(カルシウム-9.3)-0.00107(血小板-282.204)-0.00278(血液中のリンパ球/100白血球-19.709)+0.0059(AST-31.42)+0.00047(ALP-114.166)-0.00912(タンパク質-67.956)-0.00551(ALT-29.195)-0.02229(アルブミン-37.454)-0.06248(ビリルビン-0.52)-0.02092(リンパ球-1.707)-0.00089(二酸化炭素-26.303)-0.01935(塩化物-99.666)-0.03149(単球-0.704)-0.0199(血液中の好酸球/100リンパ球-1.961)+0.00069(LDH-365.223)+0.23314(腫瘍ステージ-3.549)+0.47876(SCLCステージ-0.648).
【0259】
頭頸部がんに特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.00518(年齢-64.674)+0.12697(性-0.772)-0.02112(喫煙-0.805)+0.09328(転移部位の数-0.111)+0.16008(ECOG-0.894)-0.04024(NLR-0.775)-0.00764(BMI-24.671)-0.03521(酸素-96.753)-0.00198(SBP-125.17)+0.00672(心拍数-81.443)-0.05918(Hgb-12.345)+0.01424(白血球-8.344)+0.00502(尿素窒素-17.085)+0.17451(カルシウム-9.441)-8e-05(血小板-276.764)-0.01363(血液中のリンパ球/100白血球-16.982)+0.00467(AST-23.164)+0.00271(ALP-87.966)-0.00349(タンパク質-69.592)-0.00565(ALT-20.505)-0.03886(アルブミン-38.568)-0.00106(ビリルビン-0.483)-0.01571(リンパ球-1.269)+0.0089(二酸化炭素-26.889)-0.02273(塩化物-99.978)+0.10163(単球-0.613)-0.02502(血液中の好酸球/100リンパ球-2.252)+0.00084(LDH-209.625)-0.08805(腫瘍ステージ-3.5)-0.22453(HPV状態-0.472).
【0260】
濾胞性に特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.0468(年齢-66.416)+0.70266(性-0.516)+1.06061(転移部位の数-0.012)+0.06024(ECOG-0.556)+0.26978(NLR-0.493)-0.02437(BMI-29.51)-0.17142(酸素-96.821)+0.00584(SBP-129.754)+0.01086(心拍数-78.578)-0.05796(Hgb-12.858)-0.01222(白血球-7.63)+0.02537(尿素窒素-17.532)+0.01785(カルシウム-9.334)-0.00083(血小板-227.01)-0.00522(血液中のリンパ球/100白血球-24.463)+0.01112(AST-22.11)+0.00406(ALP-83.673)+0.01715(タンパク質-67.455)-0.03429(ALT-20.377)-0.07823(アルブミン-39.938)-0.58047(ビリルビン-0.566)-0.04803(リンパ球-2.253)+0.11677(二酸化炭素-26.334)+0.11495(塩化物-102.349)+0.42239(単球-0.602)+0.20839(血液中の好酸球/100リンパ球-2.822)+0.00141(LDH-240.005)-0.14411(腫瘍ステージ-3.034).
【0261】
膵臓がんに特異的なRoPro2スコアは、以下の式によって与えられる。0.00638(年齢-67.378)+0.05687(性-0.541)-0.62763(喫煙-0.35)+0.00541(転移部位の数-0.093)+0.22063(ECOG-0.894)+0.03629(NLR-0.667)-0.00469(BMI-26.238)-0.02826(酸素-97.09)-0.00141(SBP-126.099)+0.00776(心拍数-82.714)-0.0175(Hgb-11.903)+0.00485(白血球-8.717)+0.01408(尿素窒素-15.205)+0.10756(カルシウム-9.203)-0.00054(血小板-257.947)-0.00733(血液中のリンパ球/100白血球-19.318)+0.00386(AST-37.701)+0.00114(ALP-185.199)-0.00548(タンパク質-66.673)-0.00654(ALT-37.784)-0.04763(アルブミン-36.334)+0.03451(ビリルビン-0.777)-0.10421(リンパ球-1.539)+0.00822(二酸化炭素-25.679)-0.02157(塩化物-100.587)+0.26008(単球-0.696)-0.00193(血液中の好酸球/100リンパ球-2.499)+0.00048(LDH-259.294)+0.00544(腫瘍ステージ-3.522)-0.29951(外科手術あり-0.2).
【0262】
全ての分析を、統計分析パッケージR(R Core Team,2013)を用いて行った。追加的又は代替的に、他のパッケージを分析に使用してもよいことが理解されよう。
【0263】
上記の実施形態のシステム及び方法は、コンピュータシステム(特に、コンピュータハードウェア又はコンピュータソフトウェア)に実装されてもよい。
【0264】
「コンピュータシステム」という用語は、システムを具現化するための、又は上述の実施形態による方法を実行するためのハードウェア、ソフトウェア、及びデータ記憶装置を含む。例えば、コンピュータシステムは、中央処理装置(CPU)、入力手段、出力手段、及びデータ記憶装置を備えることができる。好ましくは、コンピュータシステムは、(例えば、ビジネスプロセスの設計において)視覚的出力表示を提供するためのモニタを有する。データ記憶装置は、RAM、ディスクドライブ、又は他のコンピュータ可読媒体を含むことができる。コンピュータシステムは、ネットワークによって接続され、そのネットワークを介して互いに通信することができる複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0265】
上述の実施形態の方法は、コンピュータプログラムとして、又はコンピュータ上で実行されると上述の方法(複数可)を実行するように構成されたコンピュータプログラムを搬送するコンピュータプログラム製品若しくはコンピュータ可読媒体として提供されてもよい。
【0266】
「コンピュータ可読媒体」という用語は、限定はしないが、コンピュータ又はコンピュータシステムによって直接読み取られアクセスされ得る任意の非一時的媒体を含む。媒体としては、フロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、及び磁気テープ等の磁気記憶媒体;光ディスク又はCD-ROM等の光記憶媒体;RAM、ROM、及びフラッシュメモリを含むメモリ等の電気的記憶媒体;並びに磁気/光記憶媒体等の上記のハイブリッド及び組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0267】
文脈上別段の指示がない限り、上記の特徴の説明及び定義は、本発明の特定の態様又は実施形態に限定されず、記載されている全ての態様及び実施形態に等しく適用される。
【0268】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、他のものの有無にかかわらず、2つの指定された特徴又は構成要素のそれぞれの具体的な開示として解釈されるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、(i)A、(ii)B並びに(iii)A及びBの各々の具体的な開示として、あたかも各々が本明細書に個別に記載されているかのように解釈されるべきである。
【0269】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの」(「a」、「an」)及び「その」(「the」)は、文脈から判断して明らかにそうでないと分かる以外は、複数の指示物を含むことに留意されたい。範囲は、本明細書では、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現され得る。かかる範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」を使用して値が近似値として表される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。数値に関する「約」という用語は任意であり、例えば+/-10%を意味する。
【0270】
本明細書及び以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上他に要求されない限り、単語「含む(comprise)」及び「含む(include)」、並びに「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」及び「含むこと(including)」等の変形は、記載された整数若しくは工程、又は整数のグループ若しくは工程の包含を意味するが、いかなる他の整数若しくは工程、又は整数若しくは工程のグループの除外をも意味しないことが理解されるであろう。
【0271】
本発明の他の態様及び実施形態は、文脈が特に指示しない限り、「含む(comprising)」という用語が「からなる(consisting of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語に置き換えられた上記の態様及び実施形態を提供する。
【0272】
前述の明細書、又は以下の特許請求の範囲、又は添付の図面に、具体的な形態で、又は開示した機能、若しくは開示した結果を得るための方法若しくはプロセスを適宜実施するための手段の観点から表現した特徴は、個別に、又はそのような特徴の任意の組み合わせで、様々な形態において、本発明を実現するために利用することができる。
【0273】
本発明を上記の例示的な実施形態と併せて説明してきたが、本開示が与えられると、多くの同等の修正及び変形が当業者には明らかであろう。したがって、上記の本発明の例示的な実施形態は例示的であり、限定的ではないとみなされる。記載された実施形態に対する様々な変更は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0274】
誤解を避けるために、本明細書で提供されるあらゆる理論的説明は、読者の理解を改善する目的で提供される。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望まない。
【0275】
本明細書で使用される項目の見出しは、構成上の目的のためだけであり、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0276】
表15は、Roche予後スコア1(RoPro1)に含まれる26個のパラメータ及びRoPro2に含まれる29個のパラメータ、RoPro1又は2に含まれるパラメータの代わりに使用され得るパラメータ、及び特定のがんタイプの既知のパラメータの詳細を提供する。本明細書に記載の方法で使用されるがん患者情報は、本明細書の他の箇所に開示される表15に列挙された1つ以上のパラメータに対応するデータを含み得る。
【表15】
【0277】
表16は、RMHS及びRoPro1 5%クオンタイルによる試験BP29428の平均患者時間を示す。低RMHS、高RMHS及び各RoPro1クオンタイルの各群の患者数(N)も示す。表のセルは、RMHS(群平均)及びRoPro1 5%クオンタイルクラス(ランニング群平均)による試験BP29428の患者時間(日)を示す。RoPro1については、5%クオンタイルの数値境界が明示的に与えられている。
【表16】
【0278】
表17は、RMHS及びRoPro1 10%クオンタイルによる膀胱がんの一次診断を有する患者についての試験BP29428での平均患者時間を示す。低RMHS、高RMHS及び各RoPro1クオンタイルの各群の患者数(N)も示す。表のセルは、RMHS(群平均)及びRoPro1 10%クオンタイルクラス(ランニング群平均)による試験BP29428の患者時間(日)を示す。RoPro1については、10%クオンタイルの数値境界が明示的に与えられている。サンプルサイズが小さいため、この表では5%クオンタイルの代わりに10%クオンタイルを使用する。
【表17】
【0279】
表18は、RMHS及びRoPro2の10%クオンタイルによる患者の試験BP29428の平均患者時間を示す。低RMHS、高RMHS及び各RoPro2デシルの各群の患者数(N)も示す。表のセルは、RMHS(群平均)及びRoPro2 10%クオンタイルクラス(ランニング群平均)による試験BP29428の患者時間(日)を示す。RoPro2については、10%クオンタイルの数値境界が明示的に与えられている。
【表18】
【0280】
表19は、RMHS及びRoPro2 10%クオンタイルによる患者の第III相試験OAKの平均患者時間を示す。低RMHS、高RMHS及び各RoPro2デシルの各群の患者数(N)も示す。表のセルは、RMHS(群平均)及びRoPro2 10%クオンタイルクラス(ランニング群平均)による試験の患者時間(日)を示す。RoPro2については、10%クオンタイルの数値境界が明示的に与えられている。
【表19】
【0281】
【0282】
参考文献:
本明細書で言及される全ての文書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
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