(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】機械学習とパッドの厚さの補正を使用した研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 37/005 20120101AFI20240222BHJP
B24B 37/013 20120101ALI20240222BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20240222BHJP
B24B 49/04 20060101ALI20240222BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
B24B37/005 Z
B24B37/013
B24B49/10
B24B49/04 Z
H01L21/304 622R
H01L21/304 622S
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022091266
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2020552818の分割
【原出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-07-06
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュー, クン
(72)【発明者】
【氏名】イヴァノフ, デニス
(72)【発明者】
【氏名】リー, ハリー キュー.
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チュン
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-164110(JP,A)
【文献】特表2005-518654(JP,A)
【文献】特開2014-096585(JP,A)
【文献】特開2007-083359(JP,A)
【文献】特表2004-525521(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0057830(US,A1)
【文献】特表2012-506152(JP,A)
【文献】国際公開第2008/032753(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/005
B24B 37/013
B24B 49/10
B24B 49/04
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のコンピュータによって実行されると、前記1又は複数のコンピュータに、
インシトゥ渦電流モニタシステムからデータを受信することであって、前記データは、研磨パッドによって研磨されている基板の導電層の前記インシトゥ渦電流モニタシステムのセンサの複数のスキャンの各スキャンにおいて、前記導電層上の複数の異なる位置の複数の測定信号値を含む、インシトゥ渦電流モニタシステムからデータを受信することと、
前記インシトゥ渦電流モニタシステムからの前記データに基づいて前記研磨パッドの測定厚さを決定することと、
前記複数の異なる位置における厚さを表す複数の値が得られるように、前記複数のスキャンの各スキャンにおいて、前記複数の異なる位置の各位置に対し、前記位置における前記導電層の厚さを表す値を生成することであって、前記生成することは、機械学習によって構成された1又は複数のプロセッサを使用して、少なくとも前記複数の測定信号値及び前記研磨パッドの前記測定厚さを処理することを含む、前記位置における前記導電層の厚さを表す値を生成することと、
前記複数の異なる位置における厚さを表す複数の値に基づいて、研磨終点を検出すること、又は研磨パラメータを修正することのうちの少なくとも1つを行うことと
を含む工程を実施させる命令で符号化されたコンピュータ記憶媒体。
【請求項2】
少なくとも前記複数の測定信号値及び前記研磨パッドの前記測定厚さを処理することは、前記複数の測定信号値の少なくともいくつかを訓練されたニューラルネットワークの複数の第1の入力ノードに適用することと、前記研磨パッドの前記測定厚さを前記訓練されたニューラルネットワークの第2の入力ノードに適用することとを含む、請求項1に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項3】
前記工程は、前記複数の測定信号値の全てより少ない測定信号値の群を前記複数の第1の入力ノードに適用することを含む、請求項2に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項4】
前記複数の測定信号値は、前記基板のエッジ領域内の位置からの第1の群の値、及び前記基板の中央領域内の位置からの第2の群の値を含む、請求項3に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項5】
前記工程は、前記第1の群の値を前記複数の第1の入力ノードに適用することを含む、請求項4に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項6】
前記第2の群の値は前記ニューラルネットワークに適用されない、請求項5に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項7】
前記研磨パッドの測定厚さを決定することは、前記基板の利得を決定することと、パッド厚さ値を利得の関数として提供する相関関数から前記研磨パッドの測定厚さを決定することとを含む、請求項1に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項8】
前記基板の利得を決定することは、前記導電層の研磨工程の初期部分で発生する複数のスキャンにおける厚さを表す前記複数の値に基づいて、前記導電層の推定開始厚さ値を決定することと、研磨前に前記導電層の初期厚さ値を受信することと、前記推定開始厚さ値を受信された前記初期厚さ値と比較することとを含む、請求項7に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項9】
前記工程は、前記センサから複数の未処理厚さ値を受信することを含み、前記工程は、前記利得を決定した後、前記複数の測定信号値を生成するために、前記複数の未処理厚さ値に前記利得を乗算することを含む、請求項8に記載のコンピュータ記憶媒体。
【請求項10】
研磨システムであって、
研磨パッドの支持体と、
基板を前記研磨パッドと接触させて保持するためのキャリアと、
センサを有するインシトゥ渦電流モニタシステムと、
前記センサが前記基板全体に複数のスキャンを行うように前記センサと前記基板との間の相対運動を生成するモータであって、前記インシトゥ渦電流モニタシステムは、前記複数のスキャンの各スキャンにおいて、前記基板の導電層上の複数の異なる位置の複数の測定信号値を含むデータを生成するように構成される、モータと、
コントローラと
を備え、前記コントローラは、
前記インシトゥ渦電流モニタシステムから、前記センサの複数のスキャンの各スキャンにおいて、前記導電層上の複数の異なる位置の複数の測定信号値を含むデータを受信し、
前記インシトゥ渦電流モニタシステムからの前記データに基づいて前記研磨パッドの測定厚さを決定し、
前記複数の異なる位置における厚さを表す複数の値が得られるように、前記複数のスキャンの各スキャンにおいて、前記複数の異なる位置の各位置に対して、前記位置における前記導電層の厚さを表す値を生成し、前記コントローラは、前記導電層の厚さを表す値を生成するために、機械学習によって構成された1又は複数のプロセッサを使用して、少なくとも前記複数の測定信号値及び前記研磨パッドの前記測定厚さを処理するように構成され、
前記複数の異なる位置における厚さを表す前記複数の値に基づいて、研磨終点を検出すること、又は研磨パラメータを修正することのうちの少なくとも1つを行う
ように構成されている、研磨システム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記複数の測定信号値の少なくともいくつかを訓練されたニューラルネットワークの複数の第1の入力ノードに適用し、且つ前記研磨パッドの前記測定厚さを前記訓練されたニューラルネットワークの第2の入力ノードに適用することによって、少なくとも前記複数の測定信号値及び前記研磨パッドの前記測定厚さを処理するように構成されている、請求項10に記載の研磨システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記複数の測定信号値の全てより少ない測定信号値の群を前記複数の第1の入力ノードに適用するように構成されている、請求項11に記載の研磨システム。
【請求項13】
基板を研磨する方法であって、
前記基板を研磨パッドと接触させることと、
前記基板上の層を研磨するために、前記基板を前記研磨パッドに対して移動させることと、
インシトゥモニタシステムのセンサを用いて研磨ステーションにおける研磨中に前記層をモニタリングすることであって、前記センサは前記基板に対して移動して前記基板全体に前記センサの複数のスキャンを提供し、前記インシトゥモニタシステムは前記複数のスキャンの各スキャンにおいて、前記層上の複数の異なる位置の複数の測定信号値を含むデータを生成する、前記インシトゥモニタシステムのセンサを用いて研磨ステーションにおける研磨中に前記層をモニタリングすることと、
前記インシトゥモニタシステムからの前記データに基づいて前記研磨パッドの測定厚さを決定することと、
前記複数の異なる位置における厚さを表す複数の値が得られるように、前記複数のスキャンの各スキャンにおいて、前記複数の異なる位置の各位置に対し、前記位置における前記基板の導電層の厚さを表す値を生成することであって、前記生成することは、機械学習によって構成された1又は複数のプロセッサを使用して、少なくとも前記複数の測定信号値及び前記研磨パッドの前記測定厚さを処理することを含む、前記位置における前記層の厚さを表す値を生成することと、
前記複数の異なる位置における厚さを表す前記複数の値に基づいて、研磨終点を検出すること、又は研磨パラメータを修正することのうちの少なくとも1つを行うことと
を含む方法。
【請求項14】
前記複数の測定信号値の少なくともいくつかを訓練されたニューラルネットワークの複数の第1の入力ノードに適用し、且つ前記研磨パッドの前記測定厚さを前記訓練されたニューラルネットワークの第2の入力ノードに適用することによって、少なくとも前記複数の測定信号値及び前記研磨パッドの前記測定厚さを処理することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の測定信号値の全てより少ない測定信号値の群を前記複数の第1の入力ノードに適用することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板の研磨中のインシトゥモニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、通常、シリコンウエハ上に導電性、半導電性、又は絶縁性の層を順次堆積させることによって、及びその後の層の処理によって、基板(例えば、半導体ウエハ)上に形成される。
【0003】
ある製造ステップでは、非平面上に充填層を堆積させ、非平面が露出するまで充填層を平坦化する。例えば、導電性充填層をパターン化された絶縁層に堆積させて、絶縁層内のトレンチ又は孔を埋めることができる。次に、絶縁層の隆起パターンが露出するまで充填層を研磨する。平坦化後、絶縁層の隆起パターンの間に残っている導電層の部分は、基板上の薄膜回路の間の導電経路を提供するビア、プラグ、幾つかのラインを形成する。更に、平坦化を使用して、リソグラフィのために基板表面を平坦化することができる。
【0004】
化学機械研磨(CMP)は、平坦化の1つの受け入れられた方法である。この平坦化方法では、通常、基板をキャリアヘッドに装着する必要がある。基板の露出面は、回転する研磨パッドに対して配置される。キャリアヘッドは、基板に制御可能な負荷を加えて、基板を研磨パッドに押し付ける。研磨粒子を有するスラリ等の研磨液が研磨パッドの表面に供給される。
【0005】
半導体処理中に、1又は複数の基板又は基板上の層の特性を決定することが重要であり得る。例えば、CMPプロセス中に導電層の厚さを知ることが重要であり得、これにより、正確な時間にプロセスを終了できる。基板の特性を決定するために、幾つかの方法が使用され得る。例えば、化学機械研磨中の基板のインシトゥモニタリングに光センサが使用され得る。あるいは(又は更に)渦電流感知システムを使用して、基板上の導電性領域に渦電流を誘導し、導電性領域の局所的な厚さ等のパラメータを決定し得る。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、基板を研磨する方法は、基板を研磨パッドと接触させることと、基板上の層を研磨するために、基板を研磨パッドに対して移動させることと、インシトゥモニタシステムのセンサを用いて研磨ステーションにおける研磨中に層をモニタリングすることとを含む。センサは基板に対して移動して基板全体にセンサの複数のスキャンを提供し、インシトゥは複数のスキャンの各スキャンにおいて、層上の複数の異なる位置の複数の測定信号値を含むデータを生成する。研磨パッドの厚さは、インシトゥからのデータに基づいて決定される。複数の調整された信号値を得るために、複数のスキャンの各スキャンにおいて、研磨パッドの厚さに基づいて複数の測定信号値の少なくとも一部が調整される。複数の異なる位置における厚さを表す複数の値が得られるように、複数のスキャンの各スキャンにおいて、複数の異なる位置の各位置に対し、その位置における層の厚さを表す値が生成される。生成することは、機械学習によって構成された1又は複数のプロセッサを使用して、少なくとも複数の調整された信号値を処理することを含む。複数の異なる位置における厚さを表す複数の値に基づいて、研磨終点が検出される及び/又は研磨パラメータが修正される。
【0007】
別の態様では、研磨システムは、研磨パッドの支持体と、基板を研磨パッドと接触させて保持するためのキャリアと、センサを有するインシトゥモニタシステムと、センサが基板全体に複数のスキャンを行うようにセンサと基板との間の相対運動を生成するモータと、コントローラとを含む。インシトゥモニタシステムは、複数のスキャンの各スキャンにおいて、層上の複数の異なる位置の複数の測定信号値を含むデータを生成するように構成される。コントローラは、インシトゥモニタシステムからデータを受信し、インシトゥモニタシステムからのデータに基づいて研磨パッドの厚さを決定し、複数の調整された信号値を得るために、複数のスキャンの各スキャンにおいて、研磨パッドの厚さに基づいて複数の測定信号値の少なくとも一部を調整し、複数の異なる位置における厚さを表す複数の値が得られるように、複数のスキャンの各スキャンにおいて、複数の異なる位置の各位置に対し、その位置の層の厚さを表す値を生成し、生成することは、機械学習によって構成された1又は複数のプロセッサを使用して、少なくとも複数の調整された信号値を処理することを含み、複数の異なる位置における厚さを表す複数の値に基づいて、研磨終点を検出すること、又は研磨パラメータを修正することのうちの少なくとも1つを行うように構成される。
【0008】
別の態様では、コンピュータ記憶媒体は、1又は複数のコンピュータによって実行されると、1又は複数のコンピュータに、工程を実施させる命令で符号化される。データは、インシトゥモニタシステムから受信され、データは、インシトゥモニタシステムのセンサの複数のスキャンの各スキャンにおいて、層上の複数の異なる位置の複数の測定信号値を含む。研磨パッドの厚さは、インシトゥモニタシステムからのデータに基づいて決定される。複数の調整された信号値を得るために、複数のスキャンの各スキャンにおいて、研磨パッドの厚さに基づいて複数の測定信号値の少なくとも一部が調整される。複数の異なる位置における厚さを表す複数の値が得られるように、複数のスキャンの各スキャンにおいて、複数の異なる位置の各位置に対し、その位置における層の厚さを表す値が生成される。この値は、機械学習によって構成された1又は複数のプロセッサを使用して、少なくとも複数の調整された信号値を処理することによって生成される。複数の異なる位置における厚さを表す複数の値に基づいて、研磨終点が検出される、又は研磨パラメータが修正される。
【0009】
実装態様には、次の特徴の1又は複数が含まれ得る。
【0010】
研磨パッドの厚さは、研磨パッドのパッド摩耗の量として、又は研磨パッドの実際の厚さとして表すことができる。
【0011】
基板の利得が測定され得、研磨パッドの厚さは、利得の関数としてパッドの厚さ値を提供する相関関数から決定され得る。基板の利得を決定することは、層の研磨工程の初期部分で発生する複数のスキャンの厚さを表す複数の値に基づく層の推定開始厚さ値を決定することを含み得る。層の初期厚さ値は、研磨前に測定され得、利得を決定することは、推定開始厚さ値を測定開始厚さ値と比較することを含む。センサは、複数の未処理厚さ値を生成し得、利得が決定された後に、複数の未処理厚さ値に利得を乗算して、複数の測定信号値を生成し得る。
【0012】
複数の測定信号値の少なくとも一部の畳み込みを実行して、複数の測定信号値の少なくとも一部を調整することができる。畳み込みは、測定信号値をパッド摩耗がゼロの時の信号値にスケーリングするための研磨パッドの摩耗のガウス関数であり得る。
【0013】
層上の複数の異なる位置は、基板のエッジ領域内の少なくとも1つのエッジ位置、基板の中央領域内の少なくとも1つの中央位置、中央領域とエッジ領域との間のアンカ領域内の少なくとも1つのアンカ位置を含み得る。複数の測定信号値の少なくとも一部は、エッジ領域に対応する測定信号値を含み得、アンカ領域に対応する測定信号値を含み得るが、中央領域に対応する測定信号値を含む必要はない。
【0014】
少なくとも複数の調整された信号値を処理することは、修正された信号値を出力することを含み得る。厚さを表す複数の値は、信号値の関数として層の厚さ値を提供する相関曲線を使用して計算され得る。複数の測定信号値の少なくとも一部は、全ての複数の測定信号値よりも小さいものを含み得る。
【0015】
第1の群の値は、複数の修正された信号値に基づく厚さを表す複数の値から計算され得、第2の群の値は、複数の測定信号値の一部に含まれない測定信号値の残りに基づく厚さを表す複数の値から計算され得る。第1の群の値は、基板のエッジ領域内の位置からの値を含み得、第2の群の値は、基板の中央領域内の位置からの値を含み得る。
【0016】
少なくとも複数の調整された信号値を処理することは、ニューラルネットワークに複数の調整された信号値を入力することを含み得る。ニューラルネットワークは、入力層、出力層、1又は複数の隠れ層を含む1又は複数のニューラルネットワーク層を含み得る。各ニューラルネットワーク層は、1又は複数のニューラルネットワークノードを含み得、各ニューラルネットワークノードは、出力を生成するためのパラメータのセットに従って入力を処理するように構成され得る。
【0017】
層の1又は複数の異なる位置の各位置の厚さのグランドトルース測定値が受信され得、各位置の推定測定厚さとその位置の厚さに対応するグランドトルース測定値との間の誤差の測定値が計算され得る。ニューラルネットワークシステムのパラメータは、誤差の測定値に基づいて更新され得る。グランドトルース測定値は、4点プローブを用いた測定値であり得る。
【0018】
インシトゥモニタシステムは、渦電流モニタシステムを含み得る。研磨パッドに対して基板を移動させることは、センサが基板全体に複数の掃引を行うように、プラテン及びセンサを保持しながらプラテンを回転させることを含み得る。
【0019】
特定の実装態様は、以下の利点の1又は複数を含み得る。渦電流モニタシステム等のインシトゥモニタシステムは、センサが基板全体をスキャンすると信号を生成し得る。システムは、研磨パッドの厚さが変化している場合でも、基板のエッジに対応する信号の一部の歪みを補正できる。信号は、終点制御及び/又は研磨パラメータの閉ループ制御、例えばキャリアヘッド圧に使用されるため、ウエハ内不均一性(WIWNU)及びウエハ間不均一性(WTWNU)が改善され得る。
【0020】
1又は複数の実装態様の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の態様、特徴及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】渦電流モニタシステムを含む化学機械研磨ステーションの部分断面の概略側面図である。
【
図1B】化学機械研磨ステーションの概略上面図である。
【
図2】研磨装置のセンサヘッドによってスキャンされている基板の概略上面図である。
【
図3】基板上の層の厚さの関数としての信号強度の概略グラフである。
【
図4】基板全体のセンサの1回のスキャンで得られた測定信号の概略グラフである。
【
図5】(基板の複数のスキャンにわたる)時間の関数としての測定信号の概略グラフである。
【
図6】利得の関数としてのパッドの厚さの概略グラフである。
【
図8】基板を研磨するための例示的なプロセスのフロー図である。
【
図9】ニューラルネットワークを使用して厚さの推定測定値を生成するための例示的なプロセスのフロー図である。
【
図10】測定信号の群に対して修正された信号を生成するようにニューラルネットワークを訓練するための例示的なプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
様々な図面の同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【0023】
研磨装置は、インシトゥモニタシステム、例えば渦電流モニタシステムを使用して、研磨されている基板上の外層の厚さを検出し得る。外層の研磨中に、インシトゥモニタシステムは、基板上の層の様々な位置の厚さを決定し得る。厚さの測定値を使用して、研磨終点をトリガする、及び/又は研磨プロセスの処理パラメータをリアルタイムで調整することが可能である。例えば、外層の位置の研磨速度を増減するために、基板キャリアヘッドで基板の裏側の圧力を調整することができる。研磨速度は、研磨後に層の位置が実質的に同じ厚さになるように調整され得る。CMPシステムは、層の位置の研磨がほぼ同時に完了するように研磨速度を調整し得る。上記プロファイル制御は、リアルタイムプロファイル制御(RTPC)と称され得る。
【0024】
インシトゥモニタシステムは、基板のエッジに近い位置での測定において、信号の歪みを受ける場合がある。例えば、渦電流モニタシステムは磁場を生成し得る。基板のエッジ近くでは、磁場は基板の導電層と部分的にしか重ならないため、信号が不自然に低くなり得る。研磨装置が、ニューラルネットワークを使用して、インシトゥモニタシステムによって生成された測定信号に基づいて修正された信号を生成する場合、装置は基板のエッジにおける歪み、例えば信号強度の低下を補正し得る。
【0025】
残念ながら、研磨パッドの厚さの変化は、渦電流センサの感度の変化をもたらす可能性があり、補正技法が与えられたとしても、基板のエッジにおいて不正確な信号をもたらす可能性がある。仮説上、ニューラルネットワークは、複数の異なるパッドの厚さからのデータと、ニューラルネットワークへの入力として使用されるパッドの厚さ測定値を用いて訓練され得る。実行可能であるものの、残念なことに、このようなデータの取得は面倒で時間がかかり得る。ただし、パッドの厚さを使用してニューラルネットワークに入力される信号を調整することで、パッドの厚さ変化による信号の歪みを相殺することが可能である。
【0026】
図1A及び
図1Bに、研磨装置100の一例を示す。研磨装置100は、研磨パッド110が位置する回転可能な円盤状プラテン120を含む。プラテンは、軸125を中心に回転するように動作可能である。例えば、モータ121は、駆動シャフト124を回転させてプラテン120を回転させることができる。研磨パッド110は、外側研磨層112及びより柔らかいバッキング層114を備えた2層研磨パッドであり得る。
【0027】
研磨装置100は、スラリ等の研磨液132を研磨パッド110上に分配するためのポート130を含み得る。
【0028】
研磨装置はまた、研磨パッド110を摩耗させて、研磨パッド110を一定の摩耗状態に維持するための研磨パッドコンディショナ170を含み得る。更に、コンディショニングにより、基板と研磨パッドの間の摩擦の一貫性が向上する。研磨パッドコンディショナ170は、プラテン120が回転するときにコンディショナヘッド172が研磨パッド110の上を半径方向に掃引することを可能にするコンディショナヘッド172を含み得る。コンディショナヘッド172は、コンディショナディスク176、例えば、研磨剤、例えば、ダイヤモンドグリットを有する金属ディスクを下面に保持し得る。コンディショニングプロセスは、研磨パッド110を交換する必要があるまで、経時的に研磨パッド110を摩耗させる傾向がある。このため、各基板10を研磨した後、研磨パッド110はわずかに薄くなる傾向がある。パッドの摩耗速度は動的、例えば、複数の基板の研磨工程によって変動する可能性があり、消耗品とプロセス条件に依存し得る。
【0029】
研磨装置100は、少なくとも1つのキャリアヘッド140を含む。キャリアヘッド140は、基板10を研磨パッド110に対して保持するように動作可能である。キャリアヘッド140は、それぞれの基板に関連する研磨パラメータ、例えば、圧力の独立した制御を有し得る。
【0030】
特に、キャリアヘッド140は、基板10を可撓性膜144の下に保持するための保持リング142を含み得る。キャリアヘッド140はまた、例えば3つのチャンバ146a~146c等の、可撓性膜144上の関連するゾーン、したがって基板10上に独立に制御可能な圧力を加え得る、膜によって画定される複数の独立に制御可能な加圧可能チャンバを含む。説明を容易にするために
図1には3つのチャンバのみを示したが、1つ又は2つのチャンバ、又は4つ以上のチャンバ、例えば、5つのチャンバがあってもよい。
【0031】
キャリアヘッド140は、支持構造150、例えば、カルーセル又はトラックから吊り下げられ、駆動シャフト152によってキャリアヘッド回転モータ154に接続され、これにより、キャリアヘッドは、軸155の周りを回転することができる。オプションとして、キャリアヘッド140は、例えば、カルーセル150又はトラックのスライダ上で横方向に振動し得る、又はカルーセル自体の回転振動によって振動し得る。工程において、プラテンはその中心軸125を中心に回転し、キャリアヘッドはその中心軸155を中心に回転し、研磨パッドの上面を横切って横方向に平行移動する。
【0032】
1つのキャリアヘッド140のみを示したが、追加の基板を保持して、研磨パッド110の表面積を効率的に使用できるようにするために、より多くのキャリアヘッドを配設することが可能である。
【0033】
研磨装置100はまた、インシトゥモニタシステム160を含む。インシトゥモニタシステム160は、基板上の層の厚さに依存する値の時変シーケンスを生成する。インシトゥモニタシステム160は、測定値が生成されるセンサヘッドを含み、基板とセンサヘッド間の相対運動により、基板上の様々な位置で測定が行われる。
【0034】
インシトゥモニタシステム160は、渦電流モニタシステムであり得る。渦電流モニタシステム160は、基板上の導電層に渦電流を誘導するための駆動システムと、駆動システムによって導電層に誘導された渦電流を検出するための感知システムとを含む。モニタシステム160は、プラテンと共に回転するように凹部128に位置づけされたコア162、コア162の一部に巻かれた少なくとも1つのコイル164、及び配線168によってコイル164に接続された駆動及び感知回路166を含む。コア162とコイル164との組み合わせは、センサヘッドを提供し得る。幾つかの実装態様では、コア162は、プラテン120の上面より上に、例えば、研磨パッド110の底部の凹部118に突出する。
【0035】
駆動及び感知回路166は、振動する電気信号をコイル164に適用し、結果として生じる渦電流を測定するように構成される。例えば、米国特許第6,924,641号、第7,112,960号及び第8,284,560号、ならびに米国特許公開第2011-0189925号及び第2012-0276661号に記載されているように、駆動及び感知回路、並びにコイル(複数可)の構成及び位置において、様々な構成が可能である。駆動及び感知回路166は、同じ凹部128又はプラテン120の異なる部分に位置し得る、又はプラテン120の外側に位置し得、回転式電気ユニオン(rotary electrical union)129を介してプラテンの構成要素に連結される。
【0036】
工程中、駆動及び感知回路166は、コイル164を駆動して、振動磁場を生成する。磁場の少なくとも一部は、研磨パッド110を通って基板10に延在する。導電層が基板10上に存在する場合、振動磁場により、導電層に渦電流が生成される。渦電流により、導電層は、駆動及び感知回路166に結合されたインピーダンス源として機能する。導電層の厚さが変化すると、インピーダンスが変化し、これは、駆動及び感知回路166によって検出され得る。
【0037】
代替的又は追加的に、リフレクトメータ又は干渉計として機能し得る光学モニタシステムが、プラテン120の凹部128内に固定され得る。両方のシステムが使用される場合、光学モニタシステム及び渦電流モニタシステムは、基板の同じ部分をモニタリングし得る。
【0038】
CMP装置100はまた、コア162が基板10の下にあるときを感知するための、光インタラプタ等の位置センサ180も含み得る。例えば、光インタラプタは、キャリアヘッド140の反対側の固定点に装着され得る。フラグ182は、プラテンの周囲に取り付けられている。フラグ182の取り付け点及び長さは、コア162が基板10の下を掃引している間、センサ180の光信号を遮るように選択される。あるいは、又は更に、CMP装置は、プラテンの角度位置を決定するためのエンコーダを含み得る。
【0039】
汎用プログラマブルデジタルコンピュータ等のコントローラ190は、渦電流モニタシステム160から強度信号を受信する。コントローラ190は、プロセッサ、メモリ、及びI/Oデバイス、並びにモニタ等の出力デバイス192、及びキーボード等の入力デバイス194を含み得る。
【0040】
信号は、渦電流モニタシステム160から回転式電気ユニオン129を介してコントローラ190まで通過し得る。あるいは、回路166は、無線信号によってコントローラ190と通信し得る。
【0041】
コア162は、プラテンの回転ごとに基板の下を掃引するので、導電層の厚さに関する情報が、インシトゥで及び連続的にリアルタイムで(プラテンの回転ごとに1回)蓄積される。コントローラ190は、基板が(位置センサによって決定されるように)おおむねコア162の上にあるときに、モニタシステムから測定値をサンプリングするようにプログラムされ得る。研磨が進むにつれて、導電層の厚さが変化し、サンプリングされた信号が経時的に変化する。時間変化するサンプリングされた信号はトレースと称され得る。モニタシステムからの測定値は、研磨中に出力デバイス192に表示され、デバイスの操作者が研磨工程の進行を視覚的にモニタリングすることが可能になり得る。
【0042】
工程中、CMP装置100は、渦電流モニタシステム160を使用して、充填層の大部分がいつ除去されたかを決定し得る、及び/又は下位の停止層がいつ実質的に露出したかを決定し得る。検出器ロジックの可能なプロセス制御及び終点基準には、極小値又は極大値、勾配の変化、振幅又は勾配のしきい値、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0043】
コントローラ190はまた、キャリアヘッド140によって印加される圧力を制御する圧力機構、キャリアヘッド回転速度を制御するためのキャリアヘッド回転モータ154、プラテン回転速度を制御するためのプラテン回転モータ121、又は研磨パッドに供給されるスラリ組成を制御するためのスラリ分配システム130にも接続され得る。更に、コンピュータ190は、米国特許第6,399,501号に記載されるように、基板の下の各掃引からの渦電流モニタシステム160からの測定値を複数のサンプリングゾーンに分割して、各サンプリングゾーンの半径方向位置を計算し、振幅測定値を半径方向の範囲に分類するようにプログラムされ得る。測定値を半径方向の範囲に分類した後に、研磨均一性を改善するために、膜厚に関する情報をリアルタイムで閉ループコントローラに供給し、キャリアヘッドによって適用される研磨圧力プロファイルを定期的又は継続的に修正し得る。
【0044】
コントローラ190は、インシトゥモニタシステム160によって測定された信号を基板10上で研磨されている層の厚さに関連付ける相関曲線を使用して、研磨されている層の厚さの推定測定値を生成し得る。相関曲線303の例を
図3に示す。
図3に示す座標系において、横軸はインシトゥモニタシステム160から受信された信号の値を表し、縦軸は基板10の層の厚さ値を表す。所定の信号値に対し、コントローラ190は、相関曲線303を使用して、対応する厚さ値を生成し得る。相関曲線303は、センサヘッドが信号を取得した時間や位置に関係なく、それぞれの信号値の厚さ値を予測するという点で、「静的」算式と見なされ得る。相関曲線は、多項式関数又は線形補間と組み合わせたルックアップテーブル(LUT)等の様々な関数で表され得る。
【0045】
図1B及び
図2を参照すると、基板10に対するセンサヘッドの位置の変化により、インシトゥモニタシステム160からの信号が変化し得る。すなわち、センサヘッドが基板10全体をスキャンすると、インシトゥモニタシステム160は、基板10上の異なる位置において、複数の領域94、例えば、測定スポットの測定を行う。領域94は、部分的に重なっている場合がある(
図2を参照)。
【0046】
図4に、センサヘッドが基板10の下を1回通過する間のインシトゥモニタシステム160からの信号401を示すグラフ420を示す。実線で示したが、信号401は、センサヘッドが基板の下を掃引するときのセンサヘッドからの一連の個別の測定値で構成される。グラフ420は、測定時間又は基板上の測定の位置、例えば、半径方向位置の関数であり得る。いずれの場合も、信号401の様々な部分は、センサヘッドによってスキャンされた基板10上の異なる位置における測定スポット94に対応する。したがって、グラフ420は、センサヘッドによってスキャンされた基板の所定の位置に対する、信号401からの対応する測定信号値を示すものである。
【0047】
図2及び
図4を参照すると、信号401は、センサヘッドが基板10の前縁と交差するときの基板10のエッジ領域203内の位置に対応する第1の部分422と、基板10の中央領域201内の位置に対応する第2の部分424と、センサヘッドが基板10の後縁と交差するときのエッジ領域203内の位置に対応する第3の部分426とを含む。信号はまた、基板外測定に対応する部分428、すなわち、センサヘッドが
図2の基板10のエッジ204を超えるエリアをスキャンするときに生成される信号も含み得る。
【0048】
エッジ領域203は、センサヘッドの測定スポット94が基板エッジ204と重なる基板の部分に対応し得る。中央領域201は、エッジ領域203に隣接する環状アンカ領域202、及びアンカ領域202によって囲まれた内部領域205を含み得る。センサヘッドは、その経路210上のこれらの領域をスキャンし、経路210に沿った一連の位置に対応する一連の測定値を生成し得る。
【0049】
第1の部分422において、信号強度は、初期強度(通常、基板及びキャリアヘッドが存在しない場合に生じる信号)からより高い強度に上昇する。これは、モニタリング位置が、最初は基板のエッジ204で基板とわずかに重なるだけ(初期のより低い値を生成する)から、ほぼ完全に基板と重なる(より高い値を生成する)モニタリング位置へ遷移することによって引き起こされる。同様に、第3の部分426において、信号強度は、モニタリング位置が基板のエッジ204に遷移すると低下する。
【0050】
第2の部分424は平坦として示されているが、これは単純化のためであり、第2の部分424の実際の信号は、ノイズ及び層の厚さの変動の両方に起因する変動を含む可能性が高い。第2の部分424は、中央領域201をスキャンするモニタリング位置に対応する。第2の部分424は、中央領域201のアンカ領域202をスキャンするモニタリング位置によって生じるサブ部分421及び423と、中央領域201の内部領域205をスキャンするモニタリング位置によって生じるサブ部分427とを含む。
【0051】
上記のように、領域422、426の信号強度の変動は一部において、モニタリング対象の層の厚さや導電率の固有の変動ではなく、基板エッジに重なるセンサの測定領域によって引き起こされる。その結果、信号401のこの歪みにより、基板の特性値、例えば、基板エッジ近くの層の厚さの計算で誤差が生じる場合がある。この問題に対処するために、コントローラ190は、それらの位置に対応する測定信号に基づいて基板10の1又は複数の位置に対応する修正された信号を生成するための、機械学習によって構成されたモジュール196を含み得る。例えば、モジュール196は、ニューラルネットワーク、例えば、
図5のニューラルネットワーク500を含んでいてよく、ソフトウェアで実装することが可能である。モジュールは、適切に訓練されると、基板エッジの近くで計算された信号値の歪みを低減及び/又は除去する修正された信号を生成するように構成される。
【0052】
しかしながら、測定信号がモジュール196に入力される前に、信号は、環境パラメータ、例えば、渦電流センサ自体の温度及び/又は研磨パッドの厚さのドリフトを補正するために修正され得る。
【0053】
インライン又はスタンドアロンの計測ステーションからの基板の測定値を、インシトゥ渦電流センサからの測定値と組み合わせて使用して、渦電流モニタシステムの利得を校正することが可能である。例えば、インシトゥ渦電流センサからの所望の開始信号は、計測ステーションからの測定値及び校正曲線に基づいて決定され得る。次に、利得又は利得の調整が、予想される開始信号とインシトゥ渦電流センサからの実際の開始信号との比較に基づいて計算され得る。
【0054】
幾つかの実装態様では、以下の式(1)を使用して校正を実行し、利得を計算し得る。
G=(SE-K)/(S0-K) (1)
上記式において、S0は開始信号値、つまり研磨開始時に測定された渦電流信号、SEは既知の開始層厚さが与えられた場合の研磨開始時に予想される信号、Kは層の厚さゼロにおける又はウエハ外の位置における所望の値を表す定数である。Kはデフォルト値に設定可能である。
【0055】
特に、
図3を参照すると、研磨前に、研磨される層の開始厚さT
Sが、インライン又はスタンドアロンの計測ステーションで測定される。予想される信号S
Eは、相関曲線303を使用して計算され得る。
【0056】
図5に、時変信号450、すなわち、例えば、個々の信号値452から構成されるトレースを示す。幾つかの実装態様では、1又は複数の信号値が、特定の期間にわたって蓄積された複数の信号値から選択又は組み合わされ、これらの信号値を使用してトレース450が形成される。例えば、基板全体の渦電流センサのスキャンごとに、掃引中に蓄積された様々な信号値に基づいて1つの値452が生成され得る。例えば、各掃引に対し、基板10の中央領域201(
図3を参照)の位置に対応する第2の部分424からの信号値が平均化され得る。ただし、他の多くの技法が可能であり、すべての信号値が使用可能である、あるいは掃引の最大値又は最小値が使用され得る。更に、信号値を基板上のゾーンに分割し、ゾーンごとに個別のトレースを生成することができ、この場合、中央ゾーンを使用してS
0が決定され得る。
【0057】
研磨が開始されると、基板の開始信号値S0が測定又は計算され得る。例えば、関数460、例えば、線形関数が、研磨プロセスの初期部分462の間に蓄積された信号値に適合され得る。初期時間T0での開始値S0が、適合された関数から計算され得る。時間T0は、必ずしも研磨工程の正確な開始時間、例えば、基板を研磨パッドと接触するように下げる時間ではなく、数秒、例えば2秒又は3秒後であり得る。特定の理論に限定されることなく、基板を研磨パッドと接触するように下げる時間を使用することで、初期の研磨速度が例えば、プラテンがまだ目標回転速度まで上昇しているという事実のために制限され得るため、人工的に高い信号値が生じ得る。
【0058】
開始信号値S0及び予想信号値SEが決定されると、利得は、例えば、G=(SE-K)/(S0-K)として計算され得る。研磨工程の残りの部分482について、センサからの未処理信号値に利得Gを乗算して、調整されたトレース470を提供する調整された信号値472が生成され得る。関数480、例えば、線形関数は、研磨プロセスの残りの部分482の間に蓄積された信号値に適合され得る。関数480がしきい値信号値STに到達する計算された時間が終点となり得る。
【0059】
上記のように利得によって信号を調整することに加えて、スキャンからの信号の一部又はすべてが研磨パッドの厚さに基づいてスケーリングされ、研磨パッドの厚さの変化が補正され得る。幾つかの実装態様では、エッジ領域及びアンカ領域、例えば、領域422、421、423、及び426からの信号の一部のみが調整される(
図4を参照)。研磨パッドの厚さは、実際の厚さ(例えば、研磨面とパッドの底面との間の深さ)、又はパッドの摩耗量(例えば、パッドの実際の開始厚さと現在の厚さとの差)のいずれかとして表され得る。
【0060】
研磨パッドの厚さを調整するには、パッドの摩耗又はパッドの厚さを決定する必要がある。パッドの摩耗又はパッドの厚さは、渦電流センサからの測定値によって決定され得る。パッドの摩耗又はパッドの厚さを決定するための様々な技法が可能である。
【0061】
一例として、基板の研磨のために計算された利得Gを使用して、パッド摩耗を決定することも可能である。
図6に、利得Gとパッド摩耗Zとの間の関係を示す相関関数490を示す。実際のパッドの厚さが減少し、パッドの摩耗が増加するにつれて信号強度が増加する傾向があるため、相関関数490は負の勾配を有し得る。
【0062】
相関関数490は、複数の基板の研磨中に計算された利得値から経験的に生成され得る。上記相関関数を生成するための1つの技法を以下に説明する。研磨パッドの開始厚さP0は、研磨パッドがプラテンに設置される前又は後であるが、基板が研磨される前に測定され得る。次に一連の基板が研磨パッドを使用して研磨され、各基板の利得Gが計算及び保存され、各基板の研磨中及び/又は研磨後にパッドが調整される。これにより、一連の利得値G0、G1、…GFが生成される。
【0063】
研磨パッドの最終的な厚さPFは、例えば、研磨パッドがプラテンから取り外された後に測定され得る。開始厚さP0と最終的な厚さPFとの差からパッド摩耗ZFの測定値が得られる。
【0064】
研磨パッドは線形速度で摩耗すると想定され得る。これにより、パッド摩耗値が、開始及び最終パッド摩耗値Z0(0であり得る)及びZFからそれぞれ補間することによって、各利得値に対して計算され得る。例えば、100個の基板が研磨される場合、25番目の基板のパッドの厚さ値は、0からZFまでの25%として計算され得る。利得とパッド摩耗値の対により、利得対パッド摩耗の2D空間に点492のセットが付与される。関数、例えば、線形又は多項式関数は、この点のセットに適合され得るため、相関関数490が生成される。相関関数490は、多項式関数、又は線形補間と組み合わせたルックアップテーブル(LUT)等の様々な技法で実装され得る。次に、相関関数490を使用して、任意の利得Gxに対してパッド摩耗量Zxが計算され得る。
【0065】
あるいは、又は更に、研磨パッドの厚さは、研磨パッドがまだプラテン上にある間に、一連の基板の研磨の実施中に1回又は複数回、例えば、規則的又は不規則な間隔で測定され得る。これにより、特異的に測定された追加のパッド摩耗値、例えばZA、ZBが生成され得る。相関関数490は、特異的に測定されたパッド摩耗値及びそれらに関連する利得値の対にのみ関数を適合させることによって生成され得る。又は、特異的に測定されたパッド摩耗値間のパッド摩耗値は、利得値の補間ごとに、隣接する特異的に測定されたパッド摩耗値から計算され得る。この場合、相関関数は、特定のパッド摩耗値と補間されたパッド摩耗値(及びそれらに関連する利得値)に関数を適合させることによって生成され得る。
【0066】
別の例として、センサが既知の厚さの導電体、例えばコンディショニングディスク176(
図1を参照)の下を通過するときの信号値が測定され得る。一般に、導電体がセンサに近い(つまり、研磨パッド110が薄い)ほど、信号強度は強くなる。例えば、ルックアップテーブルとして保存された、実験的に決定された校正曲線を使用して、研磨パッドの厚さが計算され得る。
【0067】
研磨パッドの厚さ(摩耗量又は実際の厚さのいずれかとして)が決定されると、スキャンからの信号の選択された部分が、研磨パッドの厚さに基づいて調整され得る。これにより、研磨パッドの厚さの変化によるセンサの感度の変化が補正され得る。上記のように、幾つかの実装態様では、信号の選択された部分は、エッジ領域及びアンカ領域、例えば、領域422、421、423及び426からの部分のみである(
図4を参照)。
【0068】
幾つかの実装態様では、信号の選択された部分は、信号の訂正された部分を生成するための畳み込みの対象となる。この畳み込みは、パッド摩耗の関数であり得る。
【0069】
例えば、訂正された信号は、次のように計算され得る。
上記式において、f(y)は訂正されたプロファイル、RAW(x)は半径方向位置xの関数としての信号強度である(おそらく上記の式1を使用して利得はすでに調整されている)。関数Gσは次の式で得られ、
上記式において、σ=k*Zが成り立つ。Zは基板に対するパッド摩耗量であり、kは経験的データから決定された定数である(例:k=0.278)。
【0070】
訂正されたプロファイルf(y)が計算されると、これがモジュール196に入力され得る。
【0071】
研磨装置100は、ニューラルネットワーク500を使用して、修正された信号を生成し得、次に、修正された信号を使用して、第1の群の基板の位置内の各位置、例えば、エッジ領域内の位置(及び場合によってはアンカ領域内の位置)の厚さを決定し得る。例えば、
図4に戻って参照すると、エッジ領域の修正された信号値は、信号401の修正された部分430を提供し得る。
【0072】
修正された信号値430は、静的算式、例えば相関曲線を使用して厚さ測定値に変換され得る。例えば、コントローラ190は、ニューラルネットワーク500を使用して、基板のエッジ位置及び1又は複数のアンカ位置の厚さを決定し得る。対照的に、コントローラ190は、静的算式を直接使用して、他の領域、例えば、内部領域205の厚さ測定値を生成し得る。すなわち、他の領域、例えば、内部領域205からの信号値は、ニューラルネットワークによって修正されずに、厚さ値に変換され得る。
【0073】
幾つかの実装態様では、1又は複数の修正された信号値が、例えば加重平均を使用して、修正されていない信号値と再び組み合わされ、結果として得られた組み合わせ信号値が、静的算式、例えば相関曲線を使用して厚さ値に変換される。例えば、エッジ領域203と中央領域との間の領域内の位置(信号427の場合)に対応する組み合わせ信号値、例えば、アンカ領域202内の位置は、修正された信号値(ニューラルネットワークによって生成された)と元の測定値の加重平均によって生成され得る。重み付けは、基板上の測定位置の関数として変動し得る。特に、中心に近い位置は、測定信号値に対して比較的重く重み付けされ得、エッジに近い位置ほど、修正された信号値に対して比較的重く重み付けされ得る。これにより、ニューラルネットワークによって生成された信号と、ニューラルネットワークによって生成されなかった信号の部分との間のスムーズな遷移が得られ得る。幾つかの実装態様では、信号値が再び組み合わされる領域は、基板のエッジまで延在し得る。
【0074】
ここで
図7を参照すると、ニューラルネットワーク500は、一群の入力504を受信し、1又は複数のニューラルネットワーク層を介して入力504を処理して、一群の出力550を生成する。ニューラルネットワーク500の層は、入力層510、出力層530、及び1又は複数の隠れ層520を含む。
【0075】
ニューラルネットワーク500の各層は、1又は複数のニューラルネットワークノードを含む。ニューラルネットワーク層の各ニューラルネットワークノードは、1又は複数のノード入力値(ニューラルネットワーク500への入力504から、又は先行するニューラルネットワーク層の1又は複数のノードの出力から)を受信し、1又は複数のパラメータ値に従ってノード入力値を処理して活性化値を生成し、オプションで非線形変換関数(例えば、シグモイド関数又はtanh関数)を活性化値に適用して、ニューラルネットワークノードの出力を生成する。
【0076】
入力層510の各ノードは、ノード入力値として、ニューラルネットワーク500への入力504のうちの1つを受信する。
【0077】
ニューラルネットワークへの入力504は、インシトゥモニタシステム160からの基板10上の複数の異なる位置の測定信号値、例えば、第1の測定信号値501、第2の測定信号値502から第nの測定信号値503までを含む。測定信号値は、信号401の一連の値の個別の値であり得る。
【0078】
一般に、複数の異なる位置には、基板10のエッジ領域203及びアンカ領域202内の位置が含まれる。幾つかの実装態様では、複数の異なる位置は、エッジ領域203及びアンカ領域202内にのみ存在する。他の実装態様では、複数の異なる位置は、基板のすべての領域にまたがる。
【0079】
これらの測定信号値は、信号入力ノード544で受信される。オプションとして、ニューラルネットワーク500の入力ノード504は、1又は複数のプロセス状態信号504、例えば、研磨装置100のパッド110の摩耗の測定値を受信する1又は複数の状態入力ノード516も含み得る。
【0080】
隠れ層520及び出力層530のノードは、先行する層のすべてのノードからの入力を受信するものとして示されている。これは、完全に接続されたフィードフォワード型ニューラルネットワークの場合である。しかしながら、ニューラルネットワーク500は、完全に接続されていないフィードフォワード型ニューラルネットワーク又は非フィードフォワード型ニューラルネットワークであり得る。更に、ニューラルネットワーク500は、1又は複数の完全に接続されたフィードフォワード層、1又は複数の完全に接続されていないフィードフォワード層、及び1又は複数の非フィードフォワード層のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0081】
ニューラルネットワークは、出力層530のノード、すなわち「出力ノード」550において一群の修正された信号値550を生成する。幾つかの実装態様では、インシトゥモニタシステムからの各測定信号に対し、ニューラルネットワーク500に供給される出力ノード550が存在する。この場合、出力ノード550の数は、入力層510の信号入力ノード504の数に対応し得る。
【0082】
例えば、信号入力ノード544の数は、エッジ領域203及びアンカ領域202内の測定値数に等しくてよく、同じ数の出力ノード550が存在し得る。したがって、各出力ノード550は、信号入力ノード544への入力として供給されるそれぞれの測定信号に対応する修正された信号、例えば、第1の測定信号501の第1の修正された信号551、第2の測定信号502の第2の修正された信号5552、及び第nの測定信号503の第nの修正された信号553を生成する。
【0083】
幾つかの実装態様では、出力ノード550の数は、入力ノード504の数よりも少ない。幾つかの実装態様では、出力ノード550の数は、信号入力ノード544の数よりも少ない。例えば、信号入力ノード544の数は、エッジ領域203内の測定値数、又はエッジ領域203及びアンカ領域202内の測定値数に等しくてよい。また、出力層530の各出力ノード550は、信号入力ノード504として供給されるそれぞれの測定信号、例えば、第1の測定信号501の第1の修正された信号551に対応する修正された信号を生成するが、エッジ領域203から信号を受信する信号入力ノード554に対してのみである。
【0084】
幾つかの実装態様では、ニューラルネットワーク500は、所定の測定位置に対応する修正された信号値に対し、その所定の位置から所定の距離内の測定位置からの入力信号値のみが修正された信号値の決定に使用されるように構成され得る。例えば、経路210上のN個の連続する位置での測定値に対応する信号値S1、S2、..、SM、…SNを受信した場合、第Mの位置(RMで示す)の修正された信号値S´Mは、信号値SM-L(最小1)、…SM、…SM+L(最大N)のみを使用して、修正された信号値S´Mを計算し得る。Lの値は、所定の修正された信号値S´Mを生成するのに最大約2~4mm離間した測定値が使用される、測定SMの位置から約1~2mm、例えば1.5mm以内の測定値が使用され得るように選択され得る。例えば、Lは0~4の範囲の数、例えば1又は2であり得る。例えば、3mm以内の測定値が使用され、測定間の間隔が1mmの場合、Lは1になり得る。間隔が0.5mmの場合、Lは2になり得る。間隔が0.25の場合、Lは4になり得る。ただし、これは研磨装置の構成と処理条件に依存し得る。パッドの摩耗等の他のパラメータの値を使用して、修正された信号値S´Mを計算することも可能である。
【0085】
例えば、1又は複数の隠れ層520のうちの幾つかの隠れノード570、すなわち、信号入力ノード544の数に等しい「隠れノード」570があり得、各隠れノード570は、それぞれの信号入力ノード544に対応する。各隠れノード570は、対応する入力ノードの測定位置からの距離が所定よりも大きい位置の測定に対応する入力ノード544から切断され得る(又はゼロのパラメータ値を有し得る)。例えば、第Mの隠れノードは、第1から第(M-L-1)の入力ノード544及び第(M+L+1)から第Nの入力ノードから切断され得る(又はゼロのパラメータ値を有し得る)。同様に、各出力ノード560は、出力ノードの測定位置からの距離が所定よりも大きい位置の修正された信号に対応する隠れノード570から切断され得る(又はゼロのパラメータ値を有し得る)。例えば、第Mの出力ノードは第1から第(M-L-1)の隠れノード570及び第(M+L+1)から第Nの隠れノードから切断され得る(又はゼロのパラメータ値を有し得る)。
【0086】
幾つかの実施形態では、研磨装置100は、静的算式を使用して、第1の群の基板の複数の位置、例えば、エッジ領域内の位置の厚さを決定し得る。これらの基板は、ニューラルネットワークの訓練に使用される訓練データを生成するのに使用され得る。次に、研磨装置100は、ニューラルネットワーク500を使用して、複数の位置、例えば、第2の群の基板のエッジ領域内の位置の厚さを決定するのに使用される修正された信号を生成し得る。例えば、研磨装置100は、静的算式を適用して、第1の群の基板の厚さ値を決定し、訓練されたニューラルネットワーク500を使用して、第2の群の基板の厚さ値を決定するのに使用される修正された信号を生成し得る。
【0087】
図8は、基板10を研磨するための例示的なプロセス600のフロー図である。プロセス600は、研磨装置100によって実施され得る。
【0088】
研磨装置100は、基板10上の層を研磨(602)し、研磨中に層をモニタリング(604)して、層上の異なる位置の測定信号値を生成する。層上の位置は、基板のエッジ領域203内の1又は複数の位置(信号401の領域422/426に対応)、及び基板上のアンカ領域202内の1又は複数の位置(信号の領域421/423に対応)を含み得る。アンカ領域202は基板エッジ204から離間し、基板の中央領域201内にあるため、基板エッジ204によって生じる歪みの影響を受けない。ただし、アンカ領域202は、エッジ領域203に隣接し得る。アンカ領域202は、中央領域201の内部領域205を囲み得る。アンカ位置の数は、インシトゥモニタシステム160による測定スポットサイズ及び測定頻度に依存し得る。幾つかの実施形態では、アンカ位置の数は、最大値4等の最大値を超えることはできない。
【0089】
研磨装置100は、位置(606)の測定信号に基づいて、異なる位置の各位置の厚さの推定測定値を生成する。これには、ニューラルネットワーク500を介して測定信号を処理することが含まれる。
【0090】
ニューラルネットワーク500への入力は、異なる位置に対してインシトゥモニタシステム160によって生成された未処理測定信号又は更新された測定信号であり得る。幾つかの実施形態では、装置100は、信号の値を正規化することによって各測定信号を更新する。上記正規化により、ニューラルネットワークシステム500への入力504の少なくとも一部が特定の範囲内に入る可能性が高まり得、これにより、ニューラルネットワークの訓練品質及び/又はニューラルネットワーク500によって行われる推定の精度が向上し得る。この正規化はオプションであり、幾つかの実施形態では実施されない。
【0091】
ニューラルネットワーク500の出力は、それぞれ入力測定信号に対応する修正された信号である。測定信号が正規化された値である場合、測定信号に対応する修正された信号も正規化された値となる。したがって、研磨装置100は、修正された信号を使用して基板の厚さを推定する前に、上記修正された信号を正規化されていない値に変換する必要があり得る。
【0092】
研磨装置100は、厚さの各推定測定値に基づいて研磨終点を検出する(608)、及び/又は研磨パラメータを修正する。
【0093】
図9は、ニューラルネットワーク500を使用して厚さの推定測定値を生成するための例示的なプロセス700のフロー図である。プロセス700は、コントローラ190によって実施され得る。
【0094】
コントローラは、ある群の位置の各位置の測定信号値を受信する(702)。位置は、基板全体に広がり得る。コントローラ190は、どの位置が基板のエッジ領域に対応し、どの位置がアンカ領域に対応し、またどの位置が中央領域に対応するかを識別する(704)。幾つかの実施形態では、アンカ位置は、基板のエッジから離間している。
【0095】
次に、コントローラは、測定信号値に利得を適用する(706)。この利得は、基板のエッジ領域、アンカ領域、及び中央領域からの測定値を含む、すべての信号値に適用され得る。
【0096】
コントローラは、信号の一部を選択する(708)。選択された部分は、アンカ領域及びエッジ領域に対応する測定値であり得る。
【0097】
オプションとして、コントローラ190は、例えば、選択された部分の各測定信号値をアンカ位置の測定信号強度で割ることによって、アンカ位置の測定信号強度に基づいて、選択された部分の各測定信号値を正規化し(710)、測定信号を更新し得る。
【0098】
更に、コントローラ190は、研磨パッドの厚さに基づいて、選択された部分の各測定(及びオプションで正規化)信号値を調整し得る(712)。例えば、パッド摩耗のガウス関数を使用して信号に対して畳み込みを実行し得る。
【0099】
次に、コントローラ190は、ニューラルネットワーク500を介して更新された測定信号値を処理して、各調整された信号に対して修正された信号値を生成する(714)。測定信号値がアンカ領域の信号強度で割ることによって正規化された場合、コントローラ190は、アンカ位置の測定信号強度を使用して、例えば、各測定信号値にアンカ位置の測定信号強度を乗算することによって、修正された信号値を再び正規化されていない調整された信号値に変換し(716)、測定信号値を更新し得る。ただし、測定信号値が正規化されていない場合は、このステップを省略できる。
【0100】
次に、基板全体のフルスキャンを表す信号を、信号の選択された部分の修正された信号値及び選択されなかった部分(すなわち、残り)の元の測定信号値から構築し得る(718)。幾つかの実装態様では、例えば、測定の位置に基づいて重み付けされた平均を使用して、修正された信号値を修正されていない信号値と組み合わせて、組み合わせ信号値を生成し得る。
【0101】
次に、コントローラ190は、信号値(修正された、又は元の、又は組み合わされた)を使用して、例えば相関関数を使用して、各位置の厚さの推定測定値を生成する(
図7のステップ606を参照)。そうすることにより、コントローラ190は、修正された信号値を使用して、ニューラルネットワーク500に入力された測定値の群の位置の各位置の厚さの推定測定値を生成する。
【0102】
図10は、一群の測定信号の修正された信号を生成するようにニューラルネットワーク500を訓練するための例示的なプロセス800のフロー図である。プロセス800は、ニューラルネットワーク500を訓練するように構成された1又は複数のコンピュータのシステムによって実施され得る。
【0103】
システムは、基板の群の位置の各位置の測定信号を含む入力値に基づいて、ニューラルネットワーク500によって生成された厚さの推定測定値を取得する(802)。システムはまた、その群の位置の各位置の厚さのグランドトルース測定値も取得する(804)。システムは、4点プローブ法等の電気インピーダンス測定法を使用して、厚さのグランドトルース測定値を生成し得る。
【0104】
システムは、厚さの推定測定値と厚さのグランドトルース測定値との間の誤差の測定値を計算し(806)、誤差の測定値に基づいてニューラルネットワーク500の1又は複数のパラメータを更新する。これを行うため、システムは、バックプロパゲーションを用いた傾斜降下を使用する訓練アルゴリズムを使用し得る。
【0105】
モニタシステムは、様々な研磨システムで使用され得る。研磨パッド、又はキャリアヘッド、又はその両方を移動させて、研磨面と基板との間に相対運動を付与し得る。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(又はその他の形の)パッド、供給ローラと巻き取りローラとの間に延在するテープ、又は連続ベルトであり得る。研磨パッドは、プラテンに貼り付ける、研磨工程間にプラテン上を段階的に前進させる、又は研磨中にプラテン上で連続的に駆動させることができる。パッドは、研磨中にプラテンに固定され得る、又は研磨中にプラテンと研磨パッドとの間に流体ベアリングが存在し得る。研磨パッドは、標準(例:充填材有無にかかわらずポリウレタン)のラフパッド、ソフトパッド、又は固定研磨パッドであり得る。
【0106】
上記の説明は渦電流モニタシステムに焦点を当てているが、補正技法は、基板のエッジをスキャンする他の種類のモニタシステム、例えば光学モニタシステムに適用され得る。更に、上記の説明は研磨システムに焦点を当てているが、補正技法は、基板のエッジをスキャンするインシトゥモニタシステムを含む、他の種類の基板処理システム、例えば、堆積又はエッチングシステムに適用され得る。
【0107】
本明細書で説明した機能動作は、デジタル電子回路、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアに実装され得、これには、本明細書に開示されている構造的手段とその構造的同等物、又はそれらの組み合わせが含まれる。実施形態は、1又は複数のコンピュータプログラム製品として、すなわち、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ又はコンピュータ等のデータ処理装置によって実行される、又はそれらの動作を制御する非一過性の機械可読記憶媒体又は伝搬信号等の情報キャリアにおいて有形に実施される1又は複数のコンピュータプログラムとして実装され得る。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても知られる)は、コンパイル型言語又は解釈された言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で書かれ得、幾つかのスタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、又は計算環境での使用に適した他のユニット等を含む、任意の形式で展開され得る。コンピュータプログラムは必ずしもファイルに対応しているわけではない。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部、当プログラム専用の単一のファイル、又は複数の調整されたファイル(例えば、1又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を保存するファイル)に保存され得る。コンピュータプログラムを展開して、1つのコンピュータ又は1つのサイトの複数のコンピュータで実行する、又は複数のサイトに分散して通信ネットワークで相互接続させることが可能である。
【0108】
本明細書に記載のプロセス及び論理フローは、1又は複数のコンピュータプログラムを実行する1又は複数のプログラマブルプロセッサによって実行され、入力データを操作して出力を生成することによって機能を実行することが可能である。プロセス及び論理フローは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)等の専用論理回路によっても実行することができ、装置をFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)等の専用論理回路として実装することも可能である。
【0109】
幾つかの実施形態を説明してきたが、それにもかかわらず、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができることを理解されたい。したがって、他の実施形態も以下の特許請求の範囲内にある。