(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】研磨パッドおよびこれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240222BHJP
B24B 37/22 20120101ALI20240222BHJP
B24B 37/26 20120101ALI20240222BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20240222BHJP
【FI】
H01L21/304 622F
B24B37/22
B24B37/26
B24B37/24 B
B24B37/24 C
(21)【出願番号】P 2022161992
(22)【出願日】2022-10-06
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0134792
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0134746
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジャンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ウンソン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ジェイン
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-013345(JP,A)
【文献】特表2018-535104(JP,A)
【文献】特開2008-213140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/22
B24B 37/26
B24B 37/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨層を含み、
前記研磨層は、研磨面を有する研磨可変層と、前記研磨可変層の前記研磨面の裏面側に配置される研磨不変層とを含み、
前記研磨可変層と前記研磨不変層との界面が分離可能界面であ
り、
前記研磨可変層が前記研磨面に前記研磨可変層の全体厚さより小さいか、前記研磨可変層の全体厚さと同一の深さを有する少なくとも1つのグルーブ(Groove)を含み、
前記研磨可変層の下記式2による第2研磨可変性指数(Polishing variability index)が0.1~3.5である、
研磨パッド。
[式2]
上記式2中、
前記Riは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記研磨面の表面粗さ(Ra)であり、
前記Rfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記研磨面の表面粗さ(Ra)であり、
前記Giは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記グルーブの深さであり、
前記Gfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記グルーブの深さである。
【請求項2】
前記研磨可変層のショアD(shore D)硬度と前記研磨不変層のショアD硬度との比率が0.50~1.50である、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記研磨可変層は、前記研磨層の全体体積中の30体積%~60体積%である、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記研磨可変層の下記式1による第1研磨可変性指数(Polishing variability index)が0.1~11.0である、
請求項1に記載の研磨パッド:
[式1]
上記式1中、
前記Riは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記研磨面の表面粗さ(Ra)であり、
前記Rfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記研磨面の表面粗さ(Ra)であり、
前記Tiは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記研磨パッドの全体厚さであり、
前記Tfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記研磨パッドの全体厚さである。
【請求項5】
下記式3による前記グルーブの深さ変化率(%)が20%~100%である、
請求項1に記載の研磨パッド:
[式3]
上記式3中、
前記Giは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記グルーブの深さであり、
前記Gfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記グルーブの深さである。
【請求項6】
全体積層体に対するショアD(Shore D)硬度が45~70である、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記研磨可変層は、熱硬化性樹脂を含み、
前記研磨不変層は、熱可塑性樹脂を含む、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項8】
前記研磨不変層は、熱硬化性ポリウレタン粒子およびバインダーを含む組成物の硬化物を含む、
請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項9】
研磨面を有する研磨層を含む研磨パッドを定盤上に提供するステップと、
前記研磨面に研磨対象の被研磨面が当接するように配置した後、加圧条件下、前記研磨パッドと前記研磨対象を互いに相対回転させながら前記研磨対象を研磨させるステップと、を含み、
前記研磨層は、前記研磨面を含む研磨可変層と、前記研磨可変層の前記研磨面の裏面側に配置された研磨不変層とを含み、
前記研磨可変層と前記研磨不変層との界面が分離可能界面であ
り、
前記研磨可変層が前記研磨面に前記研磨可変層の全体厚さより小さいか、前記研磨可変層の全体厚さと同一の深さを有する少なくとも1つのグルーブ(Groove)を含み、
前記研磨可変層の下記式2による第2研磨可変性指数(Polishing variability index)が0.1~3.5である、
半導体素子の製造方法。
[式2]
上記式2中、
前記Riは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記研磨面の表面粗さ(Ra)であり、
前記Rfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記研磨面の表面粗さ(Ra)であり、
前記Giは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記グルーブの深さであり、
前記Gfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記グルーブの深さである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
研磨工程に適用されるパッドに関し、このようなパッドを半導体素子の製造方法に適用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械的平坦化(Chemical Mechanical Planarization、CMP)または化学機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)工程は、多様な技術分野で多様な目的によって行われる。CMP工程は研磨対象の所定の研磨面を対象に行われ、研磨面の平坦化、凝集された物質の除去、結晶格子損傷の解消、スクラッチおよび汚染源の除去などの目的で行われる。
【0003】
半導体工程のCMP工程技術の分類は、研磨対象膜質または研磨後の表面形状によって分けられる。例えば、研磨対象膜質によって単一シリコン(single silicon)またはポリシリコン(poly silicon)に分けられ、不純物の種類によって区分される多様な酸化膜、またはタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)などの金属膜のCMP工程に分類することができる。そして、研磨後の表面形状によって、基板表面の粗さを緩和させる工程、多層回路配線によって発生する段差を平坦化する工程、研磨後の回路配線を選択的に形成するための素子分離工程に分類することができる。
【0004】
CMP工程は、半導体素子の製造過程で多様に適用可能である。半導体素子の場合、複数の層を含み、各層ごとに複雑で微細な回路パターンを含む。また、最近、半導体素子は、個別的なチップの大きさは減少し、各層のパターンはより複雑で微細化する方向へ進化しつつある。これにより、半導体素子を製造する過程において、回路配線の平坦化目的だけでなく、回路配線の分離および配線表面改善の応用などにCMP工程の目的が拡大し、その結果、より精巧で信頼性のあるCMP性能が要求されている。
【0005】
このようなCMP工程に用いられる研磨パッドは、摩擦により研磨面を要求される水準に加工する工程用部品であって、研磨後の研磨対象の厚さ均一度、研磨面の平坦度および研磨品質などにおいて最も重要な要素の一つと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態において、厚さ方向の細分化された構造的設計により多様な研磨対象に対する多様な研磨目的に符合する物性を提供することができ、研磨工程中の構造的変化における適切な可変性に基づいて長時間研磨性能が低下しない研磨パッドを提供しようとする。また、研磨パッドの使用後の廃棄に関連して、既存の研磨パッドとは異なり、少なくとも一部の構成に再生または再利用可能な材質を適用して環境配慮の目的を達成しようとする。
【0007】
本発明の他の実施形態において、前記研磨パッドを適用した半導体素子の製造方法であって、半導体基板の被研磨面の多様性を確保することができ、それぞれの被研磨面に対する適正研磨率を確保すると同時に、優れた研磨平坦度および最低水準の欠陥発生を保障することができ、さらに、工程生産性および経済性の面で向上した結果を伴う半導体素子の製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、研磨層を含み、前記研磨層は、研磨面を有する研磨可変層と、前記研磨可変層の前記研磨面の裏面側に配置される研磨不変層とを含み、前記研磨可変層および前記研磨不変層のショアD(shore D)硬度の比率が0.50~1.50である、研磨パッドを提供する。
【0009】
前記研磨可変層は、前記研磨層の全体体積中の30体積%~60体積%であってもよい。
【0010】
前記研磨可変層の下記式1による第1研磨可変性指数(Polishing variability index)が0.1~11.0であってもよい。
【0011】
【0012】
上記式1中、前記Riは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記研磨面の表面粗さ(Ra)であり、前記Rfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記研磨面の表面粗さ(Ra)であり、前記Tiは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記研磨パッドの全体厚さであり、前記Tfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記研磨パッドの全体厚さである。
【0013】
前記研磨可変層が前記研磨面に前記研磨可変層の全体厚さより小さいか、前記研磨可変層の全体厚さと同一の深さを有する少なくとも1つのグルーブ(Groove)を含むことができ、前記研磨可変層の下記式2による第2研磨可変性指数(Polishing variability index)が0.1~3.5であってもよい。
【0014】
【0015】
上記式2中、前記Riは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記研磨面の表面粗さ(Ra)であり、前記Rfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記研磨面の表面粗さ(Ra)であり、前記Giは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記グルーブの深さであり、前記Gfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記グルーブの深さである。
【0016】
前記研磨可変層は、前記研磨面に前記研磨可変層の全体厚さより小さいか、前記研磨可変層の全体厚さと同一の深さを有する少なくとも1つのグルーブ(Groove)を含むことができ、下記式3による前記グルーブの深さ変化率(%)が20%~100%であってもよい。
【0017】
【0018】
上記式3中、前記Giは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記グルーブの深さであり、前記Gfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記グルーブの深さである。
【0019】
前記研磨パッドは、全体積層体に対するショアD(Shore D)硬度が45~70であってもよい。
【0020】
前記研磨層のショアD硬度に対する前記研磨パッドの全体積層体のショアD硬度の比率が0.95~1.10であってもよい。
【0021】
前記研磨可変層は、熱硬化性樹脂を含み、前記研磨不変層は、熱可塑性樹脂を含むことができる。
【0022】
前記研磨可変層は、ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物の硬化物を含むことができる。
【0023】
前記研磨不変層は、ポリエチレン(Polyethylene、PE)、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリスチレン(Polystyrene、PS)、ポリビニルクロライド(Polyvinylchloride、PVC)、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane、TPU)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0024】
前記研磨不変層は、熱硬化性ポリウレタン粒子およびバインダーを含む組成物の硬化物を含むことができる。
【0025】
前記研磨可変層と前記研磨不変層との界面が分離可能界面であってもよい。
【0026】
前記研磨可変層および前記研磨不変層は、それぞれ少なくとも1つの層を含むことができる。
【0027】
前記熱硬化性ポリウレタン粒子の平均粒径が20μm~3.0mmであってもよい。
【0028】
前記バインダーは、第1ウレタン系プレポリマーおよび第1硬化剤を含むことができる。
【0029】
前記組成物は、前記熱硬化性ポリウレタン粒子100重量部対比、前記バインダーを15重量部~150重量部含むことができる。
【0030】
前記研磨可変層は、第2ウレタン系プレポリマーを含む組成物の硬化物を含むことができる。
【0031】
他の実施形態において、研磨面を有する研磨層を含む研磨パッドを定盤上に提供するステップと、前記研磨面に研磨対象の被研磨面が当接するように配置した後、加圧条件下、前記研磨パッドと前記研磨対象を互いに相対回転させながら前記研磨対象を研磨させるステップと、を含み、前記研磨層は、前記研磨面を含む研磨可変層と、前記研磨可変層の前記研磨面の裏面側に配置された研磨不変層とを含み、前記研磨不変層は、熱硬化性ポリウレタン粒子およびバインダーを含む組成物の硬化物を含む、半導体素子の製造方法を提供する。
【0032】
前記研磨対象の被研磨面が前記研磨層の研磨面に加圧される荷重が0.01psi~20psiであってもよい。
【発明の効果】
【0033】
前記研磨パッドは、厚さ方向の細分化された構造的設計により多様な研磨対象に対する多様な研磨目的に符合する物性を提供することができ、研磨工程中の構造的変化における適切な可変性に基づいて長時間研磨性能が低下しない効果を実現することができる。また、前記研磨パッドは、使用後の廃棄に関連して、既存の研磨パッドとは異なり、少なくとも一部の構成に再生または再利用可能な材質を適用することにより、環境配慮性を確保することができる。
【0034】
前記半導体素子の製造方法は、前記研磨パッドを適用した方法であって、半導体基板の被研磨面の多様性を確保することができ、それぞれの被研磨面に対する適正研磨率を確保すると同時に、優れた研磨平坦度および最低水準の欠陥発生を保障することができ、さらに、工程生産性および経済性の面で向上した結果を導出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】一実施形態に係る前記研磨層の断面を概略的に示す図である。
【
図2】一実施形態に係る前記研磨層の研磨面の研磨工程中の変化を概略的に示す図である。
【
図3】一実施形態に係る前記研磨パッドの断面を概略的に示す図である。
【
図4】一実施形態に係る前記半導体素子の製造方法を概略的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0037】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は後述する実施形態または実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は以下に開示される実施形態または実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現できる。下記に明示された実施形態または実施例は本発明の開示が完全となるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を知らせるために提供されるものに過ぎず、本発明の権利範囲は特許請求の範囲の範疇によって定義される。
【0038】
図面において、必要に応じて、層または領域を明確に表現するために一部構成の厚さを拡大して示した。また、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。明細書全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指し示す。
【0039】
本明細書において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」または「上部に」あるとする時、これは、他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含むと解釈される。ある部分が他の部分の「真上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味すると解釈される。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」または「下部に」あるとする時、これは、他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含むと解釈される。ある部分が他の部分の「真下に」あるとする時には、中間に他の部分がないものと解釈する。
【0040】
本明細書において、数値範囲を示すにあたり、「~以上」の意味は、その当該数字あるいはそれより多い場合を含むと解釈される。例えば、「2以上」は、2つまたはそれより多い場合を意味する。また、数値範囲に対する「X~Y」の記載は、XまたはYを含む範囲と解釈される。例えば、「25~50」は、25および50を含む数値範囲を意味する。
【0041】
以下、本発明による例示的な実施形態に関して詳しく説明する。
【0042】
本発明の一実施形態において、研磨層を含む研磨パッドを提供する。前記研磨層は、研磨面を有する研磨可変層と、前記研磨可変層の前記研磨面の裏面側に配置される研磨不変層とを含むことができ、前記研磨可変層のショアD(Shore D)硬度と前記研磨不変層のショアD(Shore D)硬度との比率が0.50~1.50であってもよい。
【0043】
図1は、一実施形態に係る前記研磨層10の厚さ方向の断面を概略的に示す図である。以下、「研磨面」と「第1面」は、同一の構成を指す用語として使われる。
【0044】
図1を参照すれば、前記研磨層10は、前記研磨面11を有する前記研磨可変層101を含むことができる。また、前記研磨層10は、前記研磨可変層101を支持するように設けられる前記研磨不変層102を含むことができる。前記研磨不変層102は、前記研磨可変層101に分離可能に接着できる。それぞれの前記研磨可変層101および前記研磨不変層102は、少なくとも1つの層を含むことができる。
【0045】
他の側面で説明すれば、前記研磨層10は、研磨面である第1面11と、その裏面である第2面12とを含む。また、前記研磨層10は、前記第1面11と前記第2面12との間に少なくとも1つの分離可能界面13を含む。本明細書において、前記「分離可能界面」とは、これを基準とする隣接した2つの層が実質的に連続構造ではなく不連続的な構造として区分させることができる境界面を意味する。一例として、前記分離可能界面は、所定の外力で脱着または分離される境界面であって、接着層を介在させた付着面などがこれに相当できる。
【0046】
前記研磨層10において、前記研磨可変層101および前記研磨不変層102のショアD(Shore D)硬度の比率が約0.50~約1.50であってもよい。他の側面で説明すれば、前記研磨層10において、前記分離可能界面13を基準として隣接した2つの層のショアD(Shore D)硬度の比率が約0.50~約1.50であってもよい。
図1は、例として、前記第1面11と前記第2面13との間の前記分離可能界面13が1つの場合を示す図である。これを参照すれば、前記分離可能界面13を基準として隣接した2つの層101、102のショアD硬度の比率が約0.50~約1.50であってもよい。前記ショアD硬度の比率は、例えば、約0.50~約1.50、例えば、約0.60~約1.50、例えば、約0.70~約1.40、例えば、約0.80~約1.20であってもよい。前記ショアD硬度の比率は、1つの層の硬度(Da)に対する他の層(Db)の硬度の比率(Db/Da);および前記他の層の硬度(Db)に対する前記1つの層の硬度(Da)の比率(Da/Db);のいずれか1つのみ前記範囲に属すれば良いもので、両者がすべて前記範囲を満足する場合のみならず、両者のいずれか1つのみが前記範囲の比率を満足する場合にも、目的とする技術的効果を実現することができる。
【0047】
一実施形態において、前記研磨可変層のショアD硬度(H1)に対する前記研磨不変層のショアD硬度(H2)の比率(H2/H1)が約0.5~約1.0、例えば、約0.7~約1.0、例えば、約0.8~1.0であってもよい。
【0048】
一実施形態において、前記研磨不変層のショアD硬度(H2)に対する前記研磨可変層のショアD硬度(H1)の比率(H1/H2)が約1.0~約1.5、例えば、約1.0~約1.4、例えば、約1.0~1.2であってもよい。
【0049】
前記研磨パッドは、多様な目的の研磨工程に活用できる。例えば、前記研磨パッドは、半導体素子の製造工程に適用可能である。最近要求される半導体素子は集積度が高くなっており、構造が3次元的に複雑になっている。このような要求に符合して、前記半導体素子の製造過程における微細な工程コントロール(Control)が必須である。半導体素子には多様な素材および多様な形態の薄膜が含まれるが、それぞれの薄膜の材質および形態によって、工程条件が微細に調整された研磨工程が要求される。前記研磨パッドはこのような微細な工程コントロール要素の一つであって、前記研磨パッドの構造、材質および形態などの微細な差によっても前記半導体素子の研磨結果は全く異なりうる。
【0050】
前記研磨層10を含む前記研磨パッドにおいて、その全体的な構造的および/または組成的特徴から算出される物性が前記研磨面11を介して研磨対象の被研磨面に伝達される。この時、前記研磨層10において、前記分離可能界面13を基準として隣接した2つの層101、102のショアD硬度の比率が前述した範囲を満足することにより、前記研磨面11を介して研磨対象の被研磨面に伝達される研磨特性が半導体素子の目的の研磨性能を実現するのに最適な条件を確保することができる。
【0051】
図1を参照すれば、前記研磨層10は、前記研磨面11から前記分離可能界面13までの領域である少なくとも1つの研磨可変層101と、前記分離可能界面13から前記第2面12までの領域である少なくとも1つの研磨不変層102とを含むことができる。本明細書において、前記「研磨可変層」は、前記研磨パッドを用いた研磨工程中に構造、形態などの物理的特徴および/または組成などの化学的特徴が変化する領域を意味し、前記「研磨不変層」は、前記研磨パッドを用いた研磨工程中に物理的および/または化学的特徴が実質的に変化しない領域を意味する。前記「実質的に変化しない」との意味は、物理的および/または化学的特徴が全く変化しない場合のみならず、加圧環境および湿潤環境下で研磨されて物理的および/または化学的特徴がやや変化することはできるが、前記研磨可変層と比較する時、非常にわずかな水準であって実質的に変化しないものと考えられる場合を含むと解釈される。
【0052】
図1は、前記分離可能界面13が1つの場合を例示的に示したが、必要に応じて、前記研磨層10は、前記研磨面11および前記第2面12の間に少なくとも2つの分離可能界面13を含んでもよい。この場合、前記研磨可変層101または前記研磨不変層102がそれぞれ複数の層を含むことができる。
【0053】
前記研磨層10が少なくとも1つの前記研磨可変層101および少なくとも1つの前記研磨不変層102を含むように設計されることにより、厚さ方向に精密な構造的設計が可能であり、このように厚さ方向に積層された各層が有機的に相互作用した物性の結果として、前記研磨面11を介して算出される研磨性能を目的に応じて微細で精巧にコントロールすることができる。
【0054】
一実施形態において、前記研磨可変層101は、前記研磨層10の全体体積中の約30体積%~約60体積%であってもよく、例えば、約40体積%~約60体積%であってもよく、例えば、約45体積%~約55体積%であってもよい。前記研磨層10の全体体積中の前記研磨可変層101の体積が前記範囲を満足することにより、前記研磨可変層101および前記研磨不変層102による前述した技術的利点を確保すると同時に、前記研磨パッドの工程寿命を目的水準に実現するのに有利であり得る。
【0055】
一実施形態において、前記研磨可変層は、下記式1による第1研磨可変性指数(Polishing variability index)が約0.1~約11.0であってもよい。
【0056】
【0057】
上記式1中、前記Riは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記第1面の表面粗さ(Ra)であり、前記Rfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記第1面の表面粗さ(Ra)であり、前記Tiは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記研磨パッドの全体厚さであり、前記Tfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記研磨パッドの全体厚さである。
【0058】
前記研磨可変層101は、前述のように、前記研磨パッドを適用した研磨工程中に物理的特性および/または化学的特性が変化する領域であって、目的水準の研磨性能を提供する面で所定の寿命を有する。前記研磨可変層101の寿命導入時点は、前記研磨可変層;または前記研磨パッドが製造された後工程に適用される前までの任意の一時点を意味する。また、前記研磨可変層101の寿命終結時点は、前記研磨可変層101がそれ以上の研磨性能を実現できず、前記研磨可変層;または前記研磨パッド全体の取替が必要な時点を意味する。例えば、前記寿命終結時点は、研磨対象の被研磨面の研磨率が研磨開始後1時間以内の初期研磨率対比20%変化した時点と定義される。すなわち、前記初期研磨率は、前記被研磨面に対する研磨開始後1時間以内に測定された研磨率値であり、前記寿命終結時点は、前記被研磨面に対する研磨率が前記初期研磨率対比その20%増加するか、その20%減少した研磨率になった時点と定義される。
【0059】
前記第1研磨可変性指数は、前記研磨可変層101の寿命導入時点および寿命終結時点それぞれの表面粗さ(Ri、Rf)と前記研磨パッド110の全体厚さ(Ti、Tf)を構成要素とする。上記式1による第1研磨可変性指数は、前記研磨可変層101の可変性能を示す指標として機能することができる。すなわち、前記研磨可変層の上記式1の値が前述した範囲、すなわち、約0.1~約11.0の範囲を示す場合、前記研磨可変層は、これに相応する可変性を保有することにより、前記研磨層10の一部の構成に適用される時、その寿命全体にわたって研磨効率に最適化された構造的特徴を持続的かつ均一に示すことができる。
【0060】
一実施形態において、前記第1研磨可変性指数は、約0.1~11.0であってもよく、例えば、約0.1~約9.0、例えば、約0.2~約9.0、例えば、約0.2~約8.5、例えば、約0.2~約8.0、例えば、約0.2~約7.5、例えば、約0.5~約7.5、例えば、約0.8~約7.5、例えば、約0.9~約7.5、例えば、約1.0~約6.0、例えば、約1.8~3.5、例えば、約1.8~2.5であってもよい。
【0061】
前記Tiは、例えば、約800μm~約5000μm、例えば、約1000μm~約4000μm、例えば、約1000μm~3000μm、例えば、約1500μm~約3000μm、例えば、約1700μm~約2700μm、例えば、約2000μm~約3500μmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0062】
前記Riは、例えば、約5μm~約15μm、例えば、約5μm~約12μm、例えば、約5μm~10μmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0063】
一実施形態において、前記Tiおよび前記Riがそれぞれ前述した範囲を満足し、同時に前記第1研磨可変性指数が前述した範囲を満足する場合、前記研磨可変層101の構造的特徴に起因した優れた研磨性能を実現する面でより有利であり得る。
【0064】
一実施形態において、前記研磨可変層101は、前記研磨面11に前記研磨可変層101の全体厚さD1より小さいか、これと同一の深さd1を有する少なくとも1つのグルーブ(Groove)14を含むことができる。前記グルーブ14は、前記研磨パッドを用いた研磨工程中に前記研磨面11上に供給される研磨液または研磨スラリーの流動性を調節するか、前記研磨面11と研磨対象の被研磨面とが直接的に接触する面積の大きさを調節して物理的研磨特性を適切に実現する役割を果たすことができる。
【0065】
例えば、前記研磨パッド110は、前記研磨面11に複数のグルーブ14を含むことができる。一実施形態において、前記研磨パッド110の平面形状は、実質的に円形であってもよく、前記複数のグルーブ14は、前記研磨パッド110の平面上の中心から末端に向かって所定の間隔で離隔配置された同心円状構造であってもよい。他の実施形態において、前記複数のグルーブ14は、前記研磨パッド110の平面上の中心から末端に向かって連続形成された放射状構造であってもよい。さらに他の実施形態において、前記複数のグルーブ14は、同心円状グルーブおよび放射状グルーブを同時に含むことができる。
【0066】
前記研磨面11から前記分離可能界面13までの領域である前記研磨可変層101において、前記研磨面11が少なくとも1つのグルーブ14を含む場合、前記研磨可変層101の下記式2による第2研磨可変性指数(Polishing variability index)が約0.1~約3.5であってもよい。
【0067】
【0068】
上記式2中、前記Riは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記第1面の表面粗さ(Ra)であり、前記Rfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記第1面の表面粗さ(Ra)であり、前記Giは、前記研磨可変層の寿命導入時点の前記グルーブの深さであり、前記Gfは、前記研磨可変層の寿命終結時点の前記グルーブの深さである。
【0069】
前記研磨可変層101の寿命導入時点および寿命終結時点に関する説明は、上記式1による第1研磨可変性指数に関して上述した通りである。前記研磨可変層101の前記第2研磨可変性指数が前述した範囲を満足する場合、前記研磨可変層101が研磨液または研磨スラリーの流動性の面で最適化された構造を提供することができ、被研磨面に対して提供される前記第1面上の直接的な接触面積が適正水準に確保されて、目的範囲の研磨率の確保により有利であり得る。
【0070】
一実施形態において、前記第2研磨可変性指数は、約0.1~約3.5であってもよく、例えば、約0.1~約3.3、例えば、約0.1~約3.0、例えば、約0.1~約2.0、例えば、約0.3~約1.8、例えば、約0.5~約1.5、例えば、約0.5~約1.2、例えば、約0.5~1.0、例えば、約0.6~約1.0であってもよい。
【0071】
前記Giは、例えば、約600μm~約900μmであってもよく、例えば、約650μm~約900μmであってもよく、例えば、約700μm~約900μmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0072】
一実施形態において、前記Riおよび前記Giがそれぞれ前述した範囲を満足し、同時に前記第2研磨可変性指数が前述した範囲を満足する場合、前記研磨可変層101の構造的特徴による研磨性能実現の面でより有利であり得る。
【0073】
一実施形態において、前記研磨可変層101は、前記第1研磨可変性指数および前記第2研磨可変性指数それぞれが同時に前述した範囲を満足することができる。前記第1研磨可変性指数および前記第2研磨可変性指数がそれぞれ前述した範囲を満足する場合、前記研磨可変層101が前記研磨層10の一部の構成として研磨効率に最適化された構造的特徴を有することができ、特に、研磨液または研磨スラリーの流動性の面で最適化された構造を提供することができ、被研磨面に対して提供される前記第1面上の直接的な接触面積が適正水準に確保されて、目的範囲の研磨率の確保により有利であり得る。さらに、その寿命全体にわたって前述した利点が維持されるように一定の研磨性能を実現するのにより有利であり得る。
【0074】
前記研磨面11が前記研磨可変層101の全体厚さより小さいか、これと同一の深さを有する少なくとも1つのグルーブ14を含む場合、前記研磨可変層101において、下記式3による前記グルーブ14の深さ変化率(%)が約20%~約100%であってもよい。
【0075】
【0076】
上記式3中、前記Giは、前記研磨可変層101の寿命導入時点のグルーブの深さであり、前記Gfは、前記研磨可変層101の寿命終結時点のグルーブの深さである。
【0077】
前記研磨可変層101の寿命導入時点および寿命終結時点と前記Giおよび前記Gfに関する事項は、前記第2研磨可変性指数に関して前述したものとすべて同一である。
【0078】
一実施形態において、上記式3によるグルーブの深さ変化率は、約20%~約80%、例えば、約30%~80%、例えば、約40%~約80%、例えば、約45%~約75%、例えば、約50%~約70%であってもよい。
【0079】
一実施形態において、上記式3によるグルーブの深さ変化率は、約20%~約80%、例えば、約30%~80%、例えば、約40%~約80%、例えば、約40%~約70%、例えば、約40%~約50%であってもよい。
【0080】
図1を参照すれば、前記グルーブ14の深さd1は、前記寿命導入時点の深さ(Gi)から前記寿命終結時点の深さ(Gf)に至るまでの研磨工程中に変化する。具体的には、前記グルーブ14の深さd1は、前記研磨面11と研磨対象の被研磨面とが相互物理的な接触によって研磨されるにつれて前記研磨面11が削られていく過程によって、その深さd1が次第に浅くなる。この時、前記寿命導入時点のグルーブの深さ(Gi)と前記寿命終結時点のグルーブの深さ(Gf)を要素とする上記式3の値は、前記研磨可変層101の伸び率、引張強度、硬度などの物理的な特性が適切に裏付けられてこそ、前述した範囲を満足することができる。具体的には、前記研磨可変層101の物理的物性が適切に裏付けられなければ、前記グルーブの深さd1が浅くなるほど、研磨スラリーなどの流動性の変化が研磨性能に及ぼす影響力が大きくなって、全体的な研磨性能が急激に低下する恐れがある。一実施形態に係る前記研磨可変層101は、上記式3の値が前述した範囲を満足することにより、これに相応する最適な物理的物性を示すことができ、これに基づいて、前記グルーブの深さd1が浅くなっても研磨性能に対するその影響力を最小化して、研磨工程全体にわたって優れた研磨性能を実現することができる。また、前記研磨可変層101の使用期間が極大化されることにより、前記研磨パッドの寿命長期化効果を得ることができる。
【0081】
図1を参照すれば、前記グルーブ14の幅w1は、前記研磨工程中に前記研磨面11と研磨対象の被研磨面との物理的な接触面積の大きさに影響を与えることができる。これにより、研磨対象の種類;前記研磨液または研磨スラリーの種類;および目的の研磨性能などに応じて前記グルーブ14の幅w1を適切に設計して、必要な研磨性能を実現することができる。例えば、前記グルーブ14の幅w1は、約0.2mm~約1.0mmであってもよく、例えば、約0.3mm~約0.8mmであってもよく、例えば、約0.4mm~約0.7mm、例えば、約0.4mm~約0.6mmであってもよい。
【0082】
前記研磨可変層101が前記研磨面11に複数のグルーブ14を含む場合、隣接した2つのグルーブ14間の間隔で定義される前記グルーブ14のピッチ(pitch)p1も、前記グルーブ14の幅w1と同じ脈絡下に適切に設計されて、必要な研磨性能の実現に寄与することができる。例えば、前記グルーブ14のピッチp1は、約1.5mm~約5.0mmであってもよく、例えば、約1.5mm~約4.0mmであってもよく、例えば、約1.5mm~約3.0mmであってもよい。
【0083】
前記グルーブの幅w1およびピッチp1の数値範囲は、研磨工程中に実質的に変化がほとんどない構造的構成であるが、例えば、それぞれの範囲は、前記研磨可変層101の寿命導入時点を基準として測定した値であってもよい。
【0084】
一実施形態において、前記研磨可変層101および前記研磨不変層102は、相互異なる材質からなってもよい。本明細書において、「異なる材質」というのは、相互重畳する成分が全くない場合のみならず、一部の同じ成分を含んでも全体的な組成が異なって異質的な材質として認識される場合を含むと理解されなければならない。前記研磨可変層101および前記研磨不変層102を相互異なる材質で構成することにより、前記研磨パッドの厚さ方向にわたる物性をより精密で微細に設計することができ、これによって多様な用途の多様な目的に応じた研磨性能の実現が可能である。
【0085】
一実施形態において、前記研磨可変層は、熱硬化性樹脂を含み、前記研磨不変層は、熱可塑性樹脂を含むことができる。この場合、前記研磨パッドの厚さ方向にわたる物性をより精密で微細に設計することができ、これによって多様な用途の多様な目的に応じた研磨性能の実現が可能である。
【0086】
例えば、前記研磨可変層101は、ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物の硬化物を含むことができる。一実施形態において、前記硬化物は、熱硬化物であってもよい。一実施形態において、前記予備組成物は、硬化剤および発泡剤をさらに含むことができる。前記「プレポリマー(prepolymer)」は、硬化物の製造において成形しやすいように重合度を中間段階で中止させた比較的低い分子量を有する高分子を意味する。前記プレポリマーは、それ自体で加熱および/または加圧などの追加的な硬化工程を経るか、または他の重合性化合物、例えば、異種のモノマーまたは異種のプレポリマーのような追加化合物と混合して反応させた後、最終硬化物に成形される。
【0087】
一実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて製造できる。
【0088】
前記ウレタン系プレポリマーの製造に使用される前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを使用することができる。例えば、前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートを含むことができる。例えば、前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネートを含むことができる。
【0089】
前記イソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluenediisocyanate、2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluenediisocyanate、2,6-TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(p-phenylenediisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidinediisocyanate)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylenediisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethanediisocyanate)、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(4,4'-dicyclohexylmethanediisocyanate、H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0090】
前記「ポリオール(polyol)」は、分子あたりの水酸基(-OH)を少なくとも2個含む化合物を意味する。一実施形態において、前記ポリオール化合物は、ヒドロキシ基が2個である2価のアルコール化合物すなわち、ジオール(diol)またはグリコール(glycol);またはヒドロキシ基が3個である3価のアルコール化合物、すなわち、トリオール(triol)化合物を含むことができる。
【0091】
前記ポリオール化合物は、例えば、ポリエーテル系ポリオール(polyether polyol)、ポリエステル系ポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネート系ポリオール(polycarbonate polyol)、アクリル系ポリオール(acryl polyol)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0092】
前記ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール(DEG)、ジプロピレングリコール(DPG)、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0093】
前記ポリオール化合物は、その重量平均分子量(Mw)が約100g/mol~約3,000g/molであってもよく、例えば、約100g/mol~約2,000g/molであってもよく、例えば、約100g/mol~約1,800g/molであってもよい。
【0094】
一実施形態において、前記ポリオール化合物は、重量平均分子量(Mw)が約100g/mol以上、約300g/mol未満の低分子量ポリオールおよび重量平均分子量(Mw)が約300g/mol以上、約1800g/mol以下の高分子量ポリオールを含むことができる。前記高分子量ポリオールの重量平均分子量(Mw)は、例えば、約500g/mol以上、約1,800g/mol以下であってもよく、例えば、約700g/mol以上、約1,800g/mol以下であってもよい。この場合、前記ポリオール化合物は、前記ウレタン系プレポリマー内で適切な架橋構造を形成することができ、前記ウレタン系プレポリマーを含む予備組成物が所定の工程条件下で硬化して形成された前記研磨可変層101が前述した効果を実現するのにより有利であり得る。
【0095】
前記ウレタン系プレポリマーは、その重量平均分子量(Mw)が約500g/mol~約3,000g/molであってもよく、例えば、約600g/mol~約2,000g/molであってもよく、例えば、約800g/mol~約1,000g/molであってもよい。前記ウレタン系プレポリマーが前述した重量平均分子量(Mw)に相応する重合度を有する場合、前記予備組成物が所定の工程条件下で硬化して形成された前記研磨可変層101が前述した効果を実現するのにより有利であり得る。
【0096】
一実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するための前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートを含むことができる。前記芳香族ジイソシアネートは、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)を含むことができ、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含むことができる。また、前記ウレタン系プレポリマーを製造するための前記ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0097】
他の実施形態において、前記ウレタン系プレポリマーを製造するための前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネートを含むことができる。前記芳香族ジイソシアネートは、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)を含むことができ、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含むことができる。前記脂環族ジイソシアネートは、例えば、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を含むことができる。また、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0098】
一実施形態において、前記イソシアネート化合物の総重量100重量部対比、前記ポリオール化合物の総重量が約100重量部~約180重量部であってもよく、例えば、約100重量部超過、約180重量部以下であってもよく、例えば、約110重量部~約160重量部であってもよく、例えば、約120重量部~約150重量部であってもよい。
【0099】
他の実施形態において、前記イソシアネート化合物の総重量100重量部対比、前記ポリオール化合物の総重量が約180重量部超過、約250重量部以下であってもよく、例えば、約185重量部~約250重量部であってもよく、例えば、約190重量部~約240重量部であってもよい。
【0100】
一実施形態において、前記ポリオール化合物がポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を含み、前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)の含有量は、前記イソシアネート化合物の全体重量100重量部対比、約100重量部~約250重量部であってもよく、例えば、約100重量部超過、約250重量部以下であってもよく、例えば、約110重量部~約220重量部であってもよく、例えば、約110重量部~約140重量部であってもよい。
【0101】
他の実施形態において、前記ポリオール化合物がポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を含み、前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)の含有量は、前記イソシアネート化合物の全体重量100重量部対比、約150重量部~約250重量部であってもよく、例えば、約180重量部~約230重量部であってもよい。
【0102】
一実施形態において、前記ポリオール化合物がジエチレングリコール(DEG)を含み、前記ジエチレングリコール(DEG)の含有量は、前記イソシアネート化合物の全体重量100重量部対比、約1重量部~約20重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約15重量部であってもよい。
【0103】
一実施形態において、前記イソシアネート化合物が前記芳香族ジイソシアネートを含み、前記芳香族ジイソシアネートが2,4-TDIおよび2,6-TDIを含み、前記2,6-TDIの含有量は、前記2,4-TDI100重量部対比、約1重量部~約40重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約30重量部であってもよく、例えば、約3重量部~約28重量部であってもよく、例えば、約20重量部~約30重量部であってもよい。
【0104】
他の実施形態において、前記2,6-TDIの含有量は、前記2,4-TDI100重量部対比、約1重量部~約40重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約30重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約20重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約10重量部であってもよい。
【0105】
一実施形態において、前記イソシアネート化合物が前記芳香族ジイソシアネートおよび前記脂環族ジイソシアネートを含み、前記脂環族ジイソシアネートの含有量は、前記芳香族ジイソシアネート全体100重量部対比、約5重量部~約30重量部であってもよく、例えば、約10重量部~約25重量部であってもよい。
【0106】
前記予備組成物が前述した組成的特徴を満足する場合、前記予備組成物の硬化により製造された前記研磨可変層101が適切な物理的/機械的物性を示すことができ、上記式3によるグルーブの深さ変化率が前述した範囲を満足することにより、均一な研磨性能の実現および寿命の極大化に寄与することができる。また、前記物理的/機械的物性に基づいて前記研磨面11を介して研磨対象に対する優れた剛性および弾性などを提供して、優れた研磨性能を実現するのに有利であり得る。
【0107】
前記予備組成物は、イソシアネート基の含有量(NCO%)が約5重量%~約11重量%であってもよく、例えば、約5重量%~約10重量%であってもよい。一実施形態において、前記イソシアネート基の含有量(NCO%)は、約5重量%~約8.5重量%であってもよく、他の実施形態において、前記イソシアネート基の含有量(NCO%)は、約8.5重量%~約10重量%であってもよい。前記「イソシアネート基の含有量」は、前記予備組成物の全体重量中でウレタン反応せずに遊離反応基として存在するイソシアネート基(-NCO)の重量の百分率を意味する。前記予備組成物のイソシアネート基の含有量(NCO%)は、前記ウレタン系プレポリマーを製造するためのモノマーの種類および含有量、前記ウレタン系プレポリマー製造工程の温度および圧力などの工程条件、および前記ウレタン系プレポリマーの製造に用いられる添加剤の種類などを総合的に調節して設計可能である。前記イソシアネート基の含有量が前記範囲を満足する場合、前記予備組成物の硬化により製造された前記研磨可変層101が適切な物理的/機械的特性を確保するのに有利であり、前記研磨不変層102と積層された状態で適用されて、研磨対象に前記研磨面11を介した優れた研磨性能を付与するのに有利であり得る。
【0108】
一実施形態において、前記予備組成物は、硬化剤をさらに含むことができる。前記硬化剤は、前記ウレタン系プレポリマーと化学的に反応して前記研磨可変層101内の最終硬化構造体を形成するための化合物として、例えば、アミン化合物またはアルコール化合物を含むことができる。具体的には、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0109】
例えば、前記硬化剤は、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(4,4'-methylenebis(2-chloroaniline);MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine;DETDA)、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenylmethane)、ジメチルチオトルエンジアミン(dimethyl thio-toluene diamine;DMTDA)、プロパンジオールビスp-アミノベンゾエート(propanediol bis p-aminobenzoate)、メチレンビス-メチルアントラニレート(Methylene bis-methylanthranilate)、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenylsulfone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0110】
前記予備組成物は、全体重量100重量部対比、前記硬化剤を約18重量部~約27重量部、例えば、約19重量部~約26重量部、例えば、約20重量部~約26重量部含むことができる。前記硬化剤の含有量が前記範囲を満足する場合、前記研磨パッドの目的性能を実現するのにより有利であり得る。
【0111】
前記予備組成物中のイソシアネート基(-NCO)と前記硬化剤中の反応基とのモル比(NCO:反応基)は、約1:0.80~約1:1.20であってもよく、例えば、約1:0.90~約1:1.10であってもよく、例えば、約1:0.90~約1:1.00であってもよく、例えば、約1:90以上、約1:1.00未満であってもよい。前記反応基は、前記硬化剤の種類によって異なりうるが、例えば、アミン基(-NH2)または水酸化基(-OH)であってもよい。前記予備組成物中のイソシアネート基と前記硬化剤中の反応基とのモル比が前述した範囲を満足する場合、前記予備組成物中のウレタン系プレポリマーと前記硬化剤との化学的反応によって適切な架橋構造が形成され、その結果、前記研磨可変層101が適正水準の引張強度および伸び率などの物理的/機械的物性を確保して、前記研磨面11を介して研磨対象の被研磨面に優れた研磨性能を伝達することができる。
【0112】
前記研磨可変層101は、複数の気孔15を含む多孔性構造であってもよい。前記研磨可変層101の最上部表面に位置する複数の気孔15は、その内部の少なくとも一部が外部に露出して前記研磨面11に所定の表面粗さを付与することができる。
図2は、研磨工程中における一実施形態に係る前記研磨面11の構造的変化を概略的に示す図である。具体的には、
図2は、一実施形態に係る前記複数の気孔15中において前記研磨面11上でその内部が外部に露出した一部気孔の研磨過程中の構造的変化を概略的に示す模式図である。
図2を参照すれば、前記複数の気孔15は、前記研磨可変層101全体に分散しているため、前記研磨面11を介した研磨過程で最上部面が次第に削られても持続的に表面粗さを形成するのに寄与することができる。ただし、前記研磨面11上にその内部が露出した気孔15の場合、所定の加圧条件下で進行する研磨工程が持続するにつれ、前記研磨面11と前記気孔15との境界に相当する部分が物理的に圧力を受けて押されながら形態が変形し、このような現象は前記研磨面11の表面粗さの変化に影響を与える。
【0113】
一実施形態において、前記研磨可変層101に含まれた前記複数の気孔15は、その平均サイズが約5μm~約50μm、例えば、約5μm~約40μm、例えば、約10μm~約40μm、例えば、約10μm~約35μmであってもよい。前記複数の気孔が前述した大きさを満足することにより、上記式1による第1研磨可変性指数が前記範囲を満足するのに有利であり得、これにより、目的の研磨性能の実現自体と前記研磨可変層の寿命期間全体にわたって均等な性能を実現する面でより有利であり得る。前記複数の気孔15の平均サイズは2次元の値であって、前記研磨可変層101の寿命導入時点を基準として一表面の外部に露出した気孔の大きさを、走査電子顕微鏡(SEM)または透過電子顕微鏡(TEM)などの撮影手段を用いて撮影した投影像で測定された気孔径の数平均値を基準とする。
【0114】
前記予備組成物は、発泡剤をさらに含むことができる。前記発泡剤は、前記研磨可変層101内の気孔構造を形成するための成分として、固相発泡剤、気相発泡剤、液相発泡剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。一実施形態において、前記発泡剤は、固相発泡剤、気相発泡剤、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0115】
前記固相発泡剤は、膨張性粒子を含むことができる。前記膨張性粒子は、熱または圧力などによって膨張可能な特性を有する粒子であって、前記研磨可変層101を製造する過程で加えられる熱または圧力などによって最終的な気孔サイズが決定可能である。前記膨張性粒子は、熱膨張(expanded)粒子、未膨張(unexpanded)粒子、またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記「熱膨張」粒子は、熱によって事前膨張した粒子であって、前記研磨可変層の製造過程で加えられる熱または圧力による大きさの変化が小さいか、ほとんどない粒子を意味する。前記「未膨張」粒子は、事前膨張しない粒子であって、前記研磨層の製造過程で加えられる熱または圧力によって膨張して最終的な大きさが決定される粒子を意味する。
【0116】
前記膨張性粒子の平均粒径は、約5μm~約200μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約21μm~約50μm、例えば、約21μm~約40μmであってもよい。前記膨張性粒子の平均粒径は、熱膨張(expanded)粒子の場合、熱膨張した粒子自体の平均粒径を意味し、未膨張(unexpanded)粒子の場合、熱または圧力によって膨張した後の粒子の平均粒径を意味することができる。
【0117】
前記膨張性粒子は、樹脂材質の外被と、前記外被に封入された内部に存在する膨張誘発成分とを含むことができる。
【0118】
例えば、前記外被は、熱可塑性樹脂を含むことができ、前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0119】
前記膨張誘発成分は、炭化水素化合物、クロロフルオロ化合物、テトラアルキルシラン化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0120】
具体的には、前記炭化水素化合物は、エタン(ethane)、エチレン(ethylene)、プロパン(propane)、プロペン(propene)、n-ブタン(n-butane)、イソブタン(isobutane)、n-ブテン(butene)、イソブテン(isobutene)、n-ペンタン(n-pentane)、イソペンタン(isopentane)、ネオペンタン(neopentane)、n-ヘキサン(n-hexane)、ヘプタン(heptane)、石油エーテル(petroleum ether)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0121】
前記クロロフルオロ化合物は、トリクロロフルオロメタン(trichlorofluoromethane、CCl3F)、ジクロロジフルオロメタン(dichlorodifluoromethane、CCl2F2)、クロロトリフルオロメタン(chlorotrifluoromethane、CClF3)、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、CClF2-CClF2)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0122】
前記テトラアルキルシラン化合物は、テトラメチルシラン(tetramethylsilane)、トリメチルエチルシラン(trimethylethylsilane)、トリメチルイソプロピルシラン(trimethylisopropylsilane)、トリメチル-n-プロピルシラン(trimethyl-n-propylsilane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0123】
前記固相発泡剤は、選択的に無機成分処理粒子を含むことができる。例えば、前記固相発泡剤は、無機成分処理された膨張性粒子を含むことができる。一実施形態において、前記固相発泡剤は、シリカ(SiO2)粒子処理された膨張性粒子を含むことができる。前記固相発泡剤の無機成分処理は、複数の粒子間凝集を防止することができる。前記無機成分処理された固相発泡剤は、無機成分処理されない固相発泡剤と発泡剤表面の化学的、電気的および/または物理的特性が異なりうる。
【0124】
例えば、前記固相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.5重量部~約10重量部、例えば、約1重量部~約3重量部、例えば、約1.3重量部~約2.7重量部、例えば、約1.3重量部~約2.6重量部であってもよい。
【0125】
前記気相発泡剤は、不活性ガスを含むことができる。前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤とが反応する過程中に投入されて気孔形成要素として使用できる。
【0126】
前記不活性ガスは、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤との間の反応に参加しないガスであれば、種類が特に限定されないが、例えば、窒素ガス(N2)、アルゴンガス(Ar)、ヘリウムガス(He)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。具体的には、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)またはアルゴンガス(Ar)を含むことができる。
【0127】
一実施形態において、前記発泡剤は、固相発泡剤を含むことができる。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤のみからなったもよい。
【0128】
前記固相発泡剤は、膨張性粒子を含み、前記膨張性粒子は、熱膨張粒子を含むことができる。例えば、前記固相発泡剤は、熱膨張粒子のみからなったもよい。前記未膨張粒子を含まずに熱膨張粒子のみからなる場合、気孔構造の可変性は低下するものの、事前予測の可能性が高くなって前記研磨可変層の全領域にわたって均一な気孔特性を実現するのに有利であり得る。
【0129】
一実施形態において、前記熱膨張粒子は、約5μm~約200μmの平均粒径を有する粒子であってもよい。前記熱膨張粒子の平均粒径は、約5μm~約100μm、例えば、約10μm~約80μm、例えば、約20μm~約70μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約30μm~約70μm、例えば、約25μm~45μm、例えば、約40μm~約70μm、例えば、約40μm~約60μmであってもよい。前記平均粒径は、前記熱膨張粒子のD50で定義される。
【0130】
一実施形態において、前記熱膨張粒子の密度は、約30kg/m3~約80kg/m3、例えば、約35kg/m3~約80kg/m3、例えば、約35kg/m3~約75kg/m3、例えば、約38kg/m3~約72kg/m3、例えば、約40kg/m3~約75kg/m3、例えば、約40kg/m3~約72kg/m3であってもよい。
【0131】
一実施形態において、前記発泡剤は、気相発泡剤を含むことができる。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤および気相発泡剤を含むことができる。前記固相発泡剤に関する事項は前述した通りである。
【0132】
前記気相発泡剤は、窒素ガスを含むことができる。
【0133】
前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマー、前記固相発泡剤、および前記硬化剤が混合される過程中に、所定の注入ライン(line)を通して注入される。前記気相発泡剤の注入速度は、約0.8L/min~約2.0L/min、例えば、約0.8L/min~約1.8L/min、例えば、約0.8L/min~約1.7L/min、例えば、約1.0L/min~約2.0L/min、例えば、約1.0L/min~約1.8L/min、例えば、約1.0L/min~約1.7L/minであってもよい。
【0134】
前記研磨可変層を製造するための組成物は、界面活性剤、反応速度調節剤などのその他の添加剤をさらに含むことができる。前記「界面活性剤」、「反応速度調節剤」などの名称は、当該物質の主な役割を基準として任意に指す名称であり、それぞれの当該物質が必ずしも当該名称の役割に限る機能だけを行うわけではない。
【0135】
前記界面活性剤は、気孔の凝集または重畳などの現象を防止する役割を果たす物質であれば特に限定されない。例えば、前記界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤を含むことができる。
【0136】
前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.2重量部~約2重量部の含有量で使用できる。具体的には、前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.2重量部~約1.9重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~1.5重量部の含有量で含まれる。前記範囲内の含有量で前記界面活性剤を使用する場合、前記気相発泡剤に由来する気孔が硬化モールド内で安定して形成および維持されるのに有利であり得る。
【0137】
前記反応速度調節剤は、反応促進または反応遅延の役割を果たすものであって、目的に応じて、反応促進剤、反応遅延剤、またはこれらのすべてを使用することができる。
【0138】
前記反応速度調節剤は、反応促進剤を含むことができる。例えば、前記反応促進剤は、3級アミン系化合物、有機金属系化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0139】
具体的には、前記反応速度調節剤は、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルブタンジアミン、2-メチル-トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、ビス(2-メチルアミノエチル)エーテル、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N,N,N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-メチル-2-アザノルボルナン、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジオクチルチンジアセテート、ジブチルチンマレエート、ジブチルチンジ-2-エチルヘキサノエート、ジブチルチンジメルカプチド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。一実施形態において、前記反応速度調節剤は、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0140】
前記反応速度調節剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.05重量部~約2重量部の量で使用できる。具体的には、前記反応速度調節剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.05重量部~約1.8重量部、例えば、約0.05重量部~約1.7重量部、例えば、約0.05重量部~約1.6重量部、例えば、約0.1重量部~約1.5重量部、例えば、約0.1重量部~約0.3重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~約1重量部の量で使用できる。前記反応速度調節剤が前記範囲の含有量で使用される場合、前記第2組成物の硬化反応速度を調節することにより、前記研磨可変層が所望する大きさの気孔および硬度をもたせるのに有利であり得る。
【0141】
前記研磨可変層101が適切に選択された化合物に由来する前記予備組成物の硬化物を含むことにより、上記式1~式3の値に相応する研磨可変性を実現することができ、前記研磨不変層102などのその他の積層構造とともに全体的な前記研磨パッドの研磨性能の実現において、適切な物理的/機械的物性を付与して向上した研磨結果を導出することができる。
【0142】
前記研磨不変層102は、前述のように、前記研磨可変層101と異なる材質からなってもよい。例えば、前記研磨不変層102は、熱可塑性樹脂を含むことができる。前記研磨不変層102が、熱硬化性樹脂を含む前記研磨可変層101とは異なり、熱可塑性樹脂を含む場合、前記研磨可変層101と前記研磨不変層102との積層構造により目的とする物理的/機械的物性を達成するのにより有利であり得、前記研磨パッド110の一部の構成に対して再利用の可能性を高めることにより、本来の研磨性能だけでなく、環境配慮性を向上させる効果を得ることができる。
【0143】
前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレン(Polyethylene、PE)、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリスチレン(Polystyrene、PS)、ポリビニルクロライド(Polyvinylchloride、PVC)、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane、TPU)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0144】
一実施形態において、前記熱可塑性樹脂は、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic polyurethane、TPU)を含むことができる。前記TPUは特に限定されないが、例えば、芳香族イソシアネート成分およびポリオール成分の反応生成物を含むことができる。
【0145】
前記芳香族イソシアネート成分は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluenediisocyanate、2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluenediisocyanate、2,6-TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(p-phenylenediisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidinediisocyanate)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0146】
前記ポリオール化合物は、例えば、ポリエーテル系ポリオール(polyether polyol)、ポリエステル系ポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネート系ポリオール(polycarbonate polyol)、アクリル系ポリオール(acryl polyol)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0147】
前記熱可塑性樹脂の前記ポリオール成分は、分子あたりのヒドロキシ基(-OH)が3個以上のアルコール化合物を含まなくてもよい。他の側面で説明すれば、前記熱可塑性樹脂の前記ポリオール成分は、分子あたりのヒドロキシ基(-OH)が2個のグリコール;またはジオール化合物からなってもよい。
【0148】
前記熱可塑性樹脂の前記ポリオール成分は、その重量平均分子量(Mw)が約80g/mol~約1000g/mol、例えば、約90g/mol~約800g/molであってもよい。
【0149】
前記ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール(DEG)、ジプロピレングリコール(DPG)、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0150】
一実施形態において、前記熱可塑性樹脂は、前記芳香族イソシアネート成分100重量部対比、前記ポリオール成分を計約80重量部~約130重量部、例えば、約80重量部~約125重量部、例えば、約85重量部~約120重量部含む組成物の反応生成物を含むことができる。
【0151】
一実施形態において、前記芳香族イソシアネート成分は、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)を含むことができ、前記ポリオール成分は、1,4-ブタンジオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を含むことができる。
【0152】
例えば、前記熱可塑性樹脂は、前記4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)100重量部対比、前記1,4-ブタンジオールを約10重量部~約30重量部、例えば、約10重量部~約25重量部、例えば、約12重量部~約20重量部含む組成物の反応生成物を含むことができる。
【0153】
例えば、前記熱可塑性樹脂は、前記4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)100重量部対比、前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を約70重量部~約120重量部、例えば、約70重量部超過、約120重量部未満で含む組成物の反応生成物を含むことができる。
【0154】
前述のように、前記研磨層10において、前記研磨可変層101と前記研磨不変層102とのショアD(Shore D)硬度の比率が約0.50~約1.50であってもよい。
図1は、例として、前記第1面11と前記第2面13との間の前記分離可能界面13が1つの場合を示す図である。これを参照すれば、前記分離可能界面13を基準として隣接した2つの層101、102、すなわち、前記研磨可変層101および前記研磨不変層102のショアD硬度の比率が0.50~約1.50であってもよい。前記ショアD硬度の比率は、例えば、約0.50~約1.50、例えば、約0.60~約1.50、例えば、約0.70~約1.40、例えば、約0.80~約1.20であってもよい。前記研磨可変層101および前記研磨不変層102がそれぞれ前述した材質を満足すると同時に、このような硬度相対比を満足することにより、前記第1面11を介して適切な弾性および強度が研磨対象に伝達され、目的とする研磨性能の実現により有利であり得る。
【0155】
図3は、一実施形態に係る前記研磨パッド110の断面を概略的に示す図である。
図3を参照すれば、前記研磨パッド110は、前記研磨層10の一面にクッション層20をさらに含むことができる。この時、前記研磨層10の第2面12は、前記クッション層20に対する付着面として機能することができる。
【0156】
前記クッション層20は、前記研磨パッド110に衝撃吸収性を付与する層であって、そのアスカーC硬度が約65~約75であってもよく、例えば、約70~約75であってもよい。一実施形態において、前記研磨層10のショアD硬度(Hp)に対する前記クッション層20のアスカーC硬度(Hc)の比率(Hc/Hp)は、約1.00~約1.55であってもよく、例えば、約1.25~約1.55、例えば、約1.27~約1.55であってもよい。
【0157】
後述する半導体素子の製造方法を考慮する時、前記研磨層10の研磨面である前記第1面11に研磨対象である半導体基板の被研磨面が直接または間接的に接触して研磨過程が進行するが、この時、研磨目的に応じて所定の加圧条件が適用可能である。前記クッション層20は、前記研磨パッド110の厚さ方向に対して適切な弾性力を付与して、このような加圧条件下で進行する研磨工程中の被研磨面上のスクラッチ(scratch)などの欠陥発生を最小化し、被研磨面の研磨平坦度を大きく向上させるのに寄与することができる。前記研磨層10のショアD硬度と前記クッション層20のアスカーC硬度との比率が前述した範囲を満足する場合、このような技術的効果が極大化できる。
【0158】
前記クッション層20は、不織布またはスエード(Suede)を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0159】
一実施形態において、前記クッション層20は、不織布を含むことができる。前記「不織布」は、製織されない繊維の3次元網状構造体を意味する。具体的には、前記クッション層20は、不織布および前記不織布に含浸された樹脂を含むことができる。
【0160】
前記不織布は、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含む繊維の不織布であってもよい。
【0161】
前記不織布に含浸された樹脂は、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ポリアミド系エラストマー樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0162】
一実施形態において、前記クッション層20は、ポリウレタン樹脂を含む樹脂が含浸されたポリエステル繊維を含む繊維の不織物を含むことができる。
【0163】
一実施形態において、前記クッション層20は、その厚さが約0.5mm~約2.5mm、例えば、約0.8mm~約2.5mm、例えば、約1.0mm~約2.5mm、例えば、約1.0mm~約2.0mm、例えば、約1.0mm~約1.8mmであってもよい。
【0164】
図3を参照すれば、一実施形態に係る前記研磨パッド110は、前記研磨層10と前記クッション層20とを付着させるための第1接着層30をさらに含むことができる。前記第1接着層30は、例えば、熱融着(heat sealing)接着剤を含むことができる。具体的には、前記第1接着層30は、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、アクリル系接着剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0165】
図3を参照すれば、前記研磨パッド110は、定盤付着のための第2接着層40をさらに含むことができる。前記第2接着層40は、前記研磨パッド110と研磨装置の定盤とを付着させるための媒介層であって、例えば、感圧接着剤(Pressure sensitive adhesive、PSA)に由来できるが、これに限定されるものではない。
【0166】
前記研磨パッド110は、全体積層体に対して、研磨面のショアD(Shore D)硬度が約45~約70であってもよく、例えば、約45~約65、例えば、約45超過、約65以下、例えば、約50~約60であってもよい。前記研磨パッド110を構成する各層の組み合わせが総合的に前記範囲の硬度を実現することにより、被研磨面上のスクラッチ(scratch)などの欠陥発生を最小化し、被研磨面の研磨平坦度を向上させるのに有利であり得る。
【0167】
前記研磨層10のショアD硬度(Hp)に対する前記研磨パッド110の全体積層体のショアD硬度(Ht)の比率(Ht/Hp)は、約0.95~約1.10であってもよく、例えば、約0.96~約1.10であってもよく、例えば、約0.98~約1.10であってもよい。前記研磨層10は、前記研磨パッド110の全体構成中において研磨性能に直接的な影響を与える層であって、前記研磨層10自体のショアD硬度と前記研磨パッド110全体が実現するショアD硬度とが互いに前述した相対比を有する場合、目的とする研磨性能を実現するのにより有利であり得る。
【0168】
一実施形態において、前記研磨パッド110の圧縮率は、約0.4%~約2.0%、例えば、約0.6%~約1.6%、例えば、約0.8%~約1.5%、例えば、約1.0%~約1.5%であってもよい。前記研磨パッド110は、前述のように厚さ方向の細分化された構造的設計により前記範囲の圧縮率を実現することができ、前記第1面11を介してこれに相応する弾性力を被研磨面に伝達することにより、欠陥防止性能を極大化するという利点を得ることができる。
【0169】
以下、前記研磨パッド110を製造する方法に関して説明する。
【0170】
前記研磨パッド110は、研磨面である第1面11と、前記第1面11の裏面である第2面12と、前記第1面11と前記第2面12との間の少なくとも1つの分離可能界面13とを含む研磨層10を製造するステップを含み、前記研磨層10を製造するステップは、前記第1面11から前記分離可能界面13までの領域である少なくとも1つの研磨可変層101を製造するステップと、前記分離可能界面13から前記第2面12までの領域である少なくとも1つの研磨不変層102を製造するステップと、前記研磨可変層101と前記研磨不変層102とを積層しかつ、前記分離可能界面13を積層界面として積層するステップとを含み、前記研磨可変層101と前記研磨不変層102との相互ショアD(shore D)硬度の比率が約0.50~約1.50である、製造方法により製造できる。
【0171】
前記研磨可変層101、前記研磨不変層102および前記分離可能界面103のそれぞれについての事項は、すべて前記研磨パッド110に関して前述したものと同一である。
【0172】
前記研磨可変層101および前記研磨不変層102を積層するステップは、両面接着剤で積層するステップであってもよい。前記両面接着剤は、相互接着可能なものであれば特に限定されないが、例えば、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、アクリル系接着剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。これによって前記研磨可変層101および前記研磨不変層102の積層界面が前記分離可能界面13として機能することができる。
【0173】
前記研磨可変層101を製造するステップは、ウレタン系プレポリマーを含む第1組成物を製造するステップと、前記第1組成物、発泡剤、および硬化剤を含む第2組成物を製造するステップと、前記第2組成物を硬化するステップと、を含むことができる。
【0174】
前記ウレタン系プレポリマーに関する事項は、前記研磨パッド110に関して前述したものと同一であり、前記第1組成物は、前記研磨パッド110に関して前述した事項のうち前記予備組成物に対応する構成であって、それに関する事項もすべて前述したものと同一である。
【0175】
前記第1組成物の粘度は、約80℃で約100cps~約1,000cpsであってもよく、例えば、約200cps~約800cpsであってもよく、例えば、約200cps~約600cpsであってもよく、例えば、約200cps~約550cpsであってもよく、例えば、約300cps~約500cpsであってもよい。このような粘度範囲を満足することにより、前記研磨可変層101の製造工程効率が向上し、その他の成分の分散性を高め、結果的に、前記研磨可変層101が適正硬度および密度を確保するのに有利であり得る。
【0176】
前記発泡剤および前記硬化剤に関する事項は、すべて前記研磨パッド110に関して前述した通りである。
【0177】
前記発泡剤が固相発泡剤を含む場合、前記第2組成物を製造するステップは、前記第1組成物および前記固相発泡剤を混合して第1-1組成物を製造するステップと、前記第1-1組成物と前記硬化剤とを混合して第2組成物を製造するステップとを含むことができる。
【0178】
前記第1-1組成物の粘度は、約80℃で約1,000cps~約2,000cpsであってもよく、例えば、約1,000cps~約1,800cpsであってもよく、例えば、約1,000cps~約1,600cpsであってもよく、例えば、約1,000cps~約1,500cpsであってもよい。前記第1-1組成物の粘度がこのような範囲を満足することにより、前記第1組成物の粘度の技術的意義と類似する面で有利であり得る。
【0179】
前記発泡剤が気相発泡剤を含む場合、前記第2組成物を製造するステップは、前記第1組成物および前記硬化剤を混合して第1-2組成物を製造するステップと、前記第1-2組成物に前記気相発泡剤を注入して前記第2組成物を製造するステップとを含むことができる。
【0180】
一実施形態において、前記第1-2組成物は、固相発泡剤をさらに含むことができる。
【0181】
例えば、前記気相発泡剤の注入速度は、約0.8L/min~約2.0L/min、例えば、約0.8L/min~約1.8L/min、例えば、約0.8L/min~約1.7L/min、例えば、約1.0L/min~約2.0L/min、例えば、約1.0L/min~約1.8L/min、例えば、約1.0L/min~約1.7L/minであってもよい。
【0182】
一実施形態において、前記第2組成物を硬化するステップは、第1温度に予熱されたモールドを用意するステップと、前記予熱されたモールドに前記第2組成物を注入して硬化させるステップと、硬化した前記第2組成物を前記第1温度より高い第2温度条件下で後硬化するステップと、を含むことができる。
【0183】
一実施形態において、前記第1温度(T1)と前記第2温度(T2)との温度差(T2-T1)は、約10℃~約40℃であってもよく、例えば、約10℃~約35℃であってもよく、例えば、約15℃~約35℃であってもよい。
【0184】
一実施形態において、前記第1温度は、約60℃~約100℃、例えば、約65℃~約95℃、例えば、約70℃~約90℃であってもよい。一実施形態において、前記第2温度は、約100℃~約130℃であってもよく、例えば、約100℃~125℃であってもよく、例えば、約100℃~約120℃であってもよい。
【0185】
前記第2組成物を硬化するにあたり、前述のように、多段温度条件を適用する場合、これにより製造された前記研磨可変層101が目的とする硬度、引張強度および伸び率などの物理的/機械的物性を確保するのにより有利であり得る。
【0186】
前記第2組成物を硬化させるステップにおいて、前記予熱されたモールドに前記第2組成物を注入して硬化させるステップは、約5分~約60分、例えば、約5分~約40分、例えば、約5分~約30分、例えば、約5分~約25分間行われる。
【0187】
硬化した前記第2組成物を前記第1温度より高い第2温度条件下で後硬化するステップは、約5時間~約30時間、例えば、約5時間~約25時間、例えば、約10時間~約30時間、例えば、約10時間~約25時間、例えば、約12時間~約24時間、例えば、約15時間~約24時間行われる。
【0188】
前記研磨パッド110を製造する方法は、前記第1面11を加工するステップをさらに含むことができる。
【0189】
前記第1面11を加工するステップは、前記第1面11上にグルーブ(groove)を形成するステップ(1);前記第1面11を旋削(line turning)するステップ(2);および前記第1面11を粗面化するステップ(3);の少なくとも1つのステップを含むことができる。
【0190】
前記ステップ(1)において、前記グルーブ(groove)は、前記第1面11上の前記研磨可変層101の中心から末端(edge)に至るまで所定の間隔で離隔形成される同心円状グルーブ;および前記第1面11上の前記研磨可変層101の中心から末端(edge)まで連続形成される放射状グルーブ、の少なくとも1つを含むことができる。
【0191】
前記ステップ(2)において、前記旋削(line turning)は、切削工具を用いて前記第1面11を所定の厚さだけ削り出す方法で行われる。
【0192】
前記ステップ(3)において、前記粗面化は、前記第1面11をサンディングローラ(Sanding roller)で加工する方法で行われる。
【0193】
前記研磨不変層102を製造するステップは、熱可塑性樹脂原料を用意するステップと、前記熱可塑性樹脂原料を加工するステップとを含むことができる。
【0194】
前記熱可塑性樹脂原料は、ポリエチレン(Polyethylene、PE)、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリスチレン(Polystyrene、PS)、ポリビニルクロライド(Polyvinylchloride、PVC)、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic Polyurethane、TPU)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0195】
一実施形態において、前記熱可塑性樹脂原料は、熱可塑性ポリウレタン(Thermoplastic polyurethane、TPU)製造用組成物を含むことができる。前記TPU製造用組成物は特に限定されないが、例えば、芳香族イソシアネート成分およびポリオール成分を含むことができる。
【0196】
前記芳香族イソシアネート成分は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluenediisocyanate、2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluenediisocyanate、2,6-TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(p-phenylenediisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidinediisocyanate)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0197】
前記ポリオール化合物は、例えば、ポリエーテル系ポリオール(polyether polyol)、ポリエステル系ポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネート系ポリオール(polycarbonate polyol)、アクリル系ポリオール(acryl polyol)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0198】
前記熱可塑性樹脂原料中の前記ポリオール成分は、分子あたりのヒドロキシ基(-OH)が3個以上のアルコール化合物を含まなくてもよい。他の側面で説明すれば、前記熱可塑性樹脂原料中の前記ポリオール成分は、分子あたりのヒドロキシ基(-OH)が2個のグリコール;またはジオール化合物からなってもよい。
【0199】
前記熱可塑性樹脂原料中の前記ポリオール成分は、その重量平均分子量(Mw)が約80g/mol~約1000g/mol、例えば、約90g/mol~約800g/molであってもよい。
【0200】
前記ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール(DEG)、ジプロピレングリコール(DPG)、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0201】
一実施形態において、前記熱可塑性樹脂原料は、前記芳香族イソシアネート成分100重量部対比、前記ポリオール成分を計約80重量部~約130重量部、例えば、約80重量部~約125重量部、例えば、約85重量部~約120重量部含むことができる。
【0202】
一実施形態において、前記芳香族イソシアネート成分は、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)を含むことができ、前記ポリオール成分は、1,4-ブタンジオールおよびポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を含むことができる。
【0203】
例えば、前記熱可塑性樹脂原料は、前記4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)100重量部対比、前記1,4-ブタンジオールを約10重量部~約30重量部、例えば、約10重量部~約25重量部、例えば、約12重量部~約20重量部含むことができる。
【0204】
例えば、前記熱可塑性樹脂原料は、前記4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)100重量部対比、前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を約70重量部~約100重量部含むことができる。
【0205】
一実施形態において、前記熱可塑性樹脂原料を加工するステップは、前記熱可塑性樹脂原料を約70℃~約90℃に予熱されたモールドに注入し、約80分~約160分硬化させるステップと、硬化した前記熱可塑性樹脂原料を約20℃~約40℃の常温で後硬化させるステップと、後硬化した前記熱可塑性樹脂原料を約100℃~約120℃で約10時間~約15時間熟成させるステップと、を含むことができる。
【0206】
前記モールドの予熱温度は、例えば、約70℃~約90℃、例えば、約75℃~約85℃であってもよく、硬化時間は、約80分~約160分、例えば、約100分~約150分、例えば、約100分~約130分、例えば、約110分~約130分であってもよい。
【0207】
前記熱可塑性樹脂原料を熟成させるステップにおいて、その温度は、約100℃~約120℃、例えば、約105℃~約115℃であってもよく、その時間は、約10時間~約15時間、例えば、約10時間~約14時間、例えば、約10時間~約13時間、例えば、約11時間~約13時間であってもよい。
【0208】
上述のように、前記研磨層10に前記研磨可変層101および前記研磨不変層102の積層体を適用することにより、前記研磨層10の厚さ方向に精密で多様な物性設計が可能という利点を確保することができ、前記研磨可変層101の前記第1面11を介して研磨対象の被研磨面に対して優れた研磨性能を提供することができる。
【0209】
前記研磨パッド110を製造する方法は、前記研磨層10の前記第2面12上にクッション層20を積層するステップをさらに含むことができる。前記クッション層20に関する事項は、前記研磨パッド110に関して前述したものと同一である。
【0210】
一実施形態において、前記クッション層20を積層するステップは、前記第2面12上に熱融着接着剤を塗布するステップと、前記クッション層20の一面上に熱融着接着剤を塗布するステップと、前記第2面12と前記クッション層20とを積層しかつ、それぞれの熱融着接着剤が塗布された面が互いに当接するように積層するステップと、加圧または加熱条件下で融着させるステップとを含むことができる。
【0211】
前記熱融着接着剤は特に限定されないが、例えば、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、アクリル系接着剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0212】
図3を参照すれば、前記クッション層20の積層過程で前記第2面12上に第1接着層30が形成される。
【0213】
一実施形態において、前記研磨パッド110の製造方法は、前記クッション層20の一面上に第2接着層40を形成するステップをさらに含むことができる。前記第2接着層40は、前記研磨パッド110を研磨装置の定盤上に付着させるための構成であって、例えば、感圧接着剤(Pressure sensitive adhesive、PSA)に由来できるが、これに限定されるものではない。
【0214】
具体的には、一実施形態において、前記第2接着層40を形成するステップは、前記クッション層20の前記第2面12の付着面と反対側の面に感圧接着剤を塗布するステップと、前記感圧接着剤を乾燥させるステップとを含むことができる。
【0215】
他の実施形態において、前記第2接着層40を形成するステップは、感圧接着剤を含む接着フィルムを用意するステップと、前記クッション層20の前記第2面12の付着面と反対側の面に前記接着フィルムを貼り合わせるステップとを含むことができる。
【0216】
前記研磨パッドは、多様な目的の研磨工程に活用できる。例えば、前記研磨パッドは、半導体素子の製造工程に適用可能である。最近要求される半導体素子は集積度が高くなっており、構造が3次元的に複雑になっている。このような要求に符合して、前記半導体素子の製造過程における微細な工程コントロール(Control)が必須である。半導体素子には多様な素材および多様な形態の薄膜が含まれるが、それぞれの薄膜の材質および形態によって、工程条件が微細に調整された研磨工程が要求される。前記研磨パッドはこのような微細な工程コントロール要素の一つであって、前記研磨パッドの構造、材質および形態などの微細な差によっても前記半導体素子の研磨結果は全く異なりうる。
【0217】
前記研磨不変層102は、前述のように、研磨工程中にその物理的および/または化学的特徴が実質的に変化しない領域であって、研磨対象の被研磨面に直接的な影響力を行使しないものの、前記研磨可変層101と積層されて、前記研磨パッドが全体的な構造的支持性能、弾性、伸び率および引張強度などの物理的/機械的性能を適正水準に確保させることで、結果的な研磨性能に直接または間接的な影響力を行使する構成として機能することができる。
【0218】
この面から、前記研磨不変層102が熱硬化性ポリウレタン粒子;およびバインダー(Binder)を含む組成物の硬化物を含むことにより、その技術的利点が極大化できる。
【0219】
一実施形態において、前記熱硬化性ポリウレタン粒子は、その平均粒径が約20μm~約3.0mmであってもよい。例えば、前記熱硬化性ポリウレタン粒子は、その粒径が約50μm~約2.0mmであってもよく、例えば、約100μm~約2.0mmであってもよく、例えば、約500μm~約2.0mmであってもよい。前記「平均粒径」は、前記粒子の断面を基準として測定した直径の数平均値であって、前記粒子の2次元的投影像から得ることができる。前記投影像を得る方法は特に限定されないが、例えば、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)や透過電子顕微鏡(TEM、Transmission Electron Microscope)を用いて得ることができる。このような大きさの粒子を適用することにより、前記研磨不変層102の支持剛性が向上でき、前記研磨可変層101の長期耐久性の確保に寄与することができる。
【0220】
一実施形態において、前記熱硬化性ポリウレタン粒子は、熱硬化性ポリウレタンを含む研磨パッドの廃棄物に由来する粒子であってもよい。具体的には、前記熱硬化性ポリウレタン粒子は、熱硬化性ポリウレタンを含む研磨パッド廃棄物の粉砕物に由来できる。前記「研磨パッド廃棄物」は、目的とする研磨工程で使用された後に廃棄される研磨パッド、または研磨パッドを製造する過程で捨てられる副産物を意味することができる。一般的に、研磨パッドは、半永久的な工程部品であって、研磨工程に所定の時間適用後にはその物理的構造および/または化学的性質がそれ以上研磨に適合しないことから取替えななければならない部品の一つである。また、研磨パッドは、研磨目的に符合する研磨面を提供しなければならないため、その製造過程で研磨対象の品質安定性を保障できる一部の部分のみ採用使用し、残りの部分は副産物として捨てられる場合が大部分である。このように使用完了した研磨パッド、または製造過程で捨てられる副産物が熱硬化性ポリウレタンを含む場合、実質的に再利用の可能性がないため、環境汚染の主犯とされている。さらに、最近の半導体の需要増加に伴い、半導体工程などに適用された後に廃棄される研磨パッド、および研磨パッドの製造分散物の数量が持続的に増加していて、このような環境汚染の問題はさらに深刻化しているのが現状である。これにより、前記研磨パッドが前記研磨不変層102の一構成として、前記研磨パッドの廃棄物に由来する粒子を適用する場合、同一用途に使用されていた物品の廃棄物という点から、前述した技術的目的の達成とともに、環境配慮効果を実現するのにより有利であり得る。
【0221】
前記研磨不変層を形成するための組成物は、前記熱硬化性ポリウレタン粒子とともに、バインダー(Binder)を含むことができる。
【0222】
一実施形態において、前記バインダーは、第1ウレタン系プレポリマーおよび第1硬化剤を含むことができる。前記バインダーは、前記熱硬化性ポリウレタン粒子の均一な分散性を確保すると同時に、前記研磨不変層が前記研磨可変層と比較して適切な物性を確保させることにより、前記研磨層全体が最適化された研磨性能を実現させることができる。
【0223】
前記第1ウレタン系プレポリマーは、第1イソシアネート化合物および第1ポリオール化合物の反応生成物を含むことができる。前記第1ウレタン系プレポリマーにおいて、前記「プレポリマー(prepolymer)」は、硬化物の製造において成形しやすいように重合度を中間段階で中止させた比較的低い分子量を有する高分子を意味する。前記プレポリマーは、それ自体で加熱および/または加圧などの追加的な硬化工程を経るか、または他の重合性化合物、例えば、異種のモノマーまたは異種のプレポリマーのような追加化合物と混合して反応させた後、最終硬化物に成形される。
【0224】
前記第1イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを使用することができる。例えば、前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートを含むことができる。例えば、前記イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネートを含むことができる。
【0225】
前記第1イソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluenediisocyanate、2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluenediisocyanate、2,6-TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(p-phenylenediisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidinediisocyanate)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylenediisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethanediisocyanate)、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(4,4'-dicyclohexylmethanediisocyanate、H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0226】
前記第1ポリオール化合物において、前記「ポリオール(polyol)」とは、分子あたりのヒドロキシ基(-OH)を少なくとも2以上含む化合物を意味する。一実施形態において、前記ポリオール化合物は、ヒドロキシ基が2個である2価のアルコール化合物すなわち、ジオール(diol)またはグリコール(glycol);またはヒドロキシ基が3個である3価のアルコール化合物、すなわち、トリオール(triol)化合物を含むことができる。
【0227】
前記第1ポリオール化合物は、例えば、ポリエーテル系ポリオール(polyether polyol)、ポリエステル系ポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネート系ポリオール(polycarbonate polyol)、アクリル系ポリオール(acryl polyol)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0228】
前記第1ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール(DEG)、ジプロピレングリコール(DPG)、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0229】
前記第1ポリオール化合物は、その重量平均分子量(Mw)が約100g/mol~約3,000g/molであってもよく、例えば、約100g/mol~約2,000g/molであってもよく、例えば、約100g/mol~約1,800g/molであってもよい。
【0230】
一実施形態において、前記第1ポリオール化合物は、重量平均分子量(Mw)が約100g/mol以上、約300g/mol未満の低分子量ポリオール;および重量平均分子量(Mw)が約300g/mol以上、約1800g/mol以下の高分子量ポリオールを含むことができる。前記高分子量ポリオールの重量平均分子量(Mw)は、例えば、約500g/mol以上、約1,800g/mol以下であってもよく、例えば、約700g/mol以上、約1,800g/mol以下であってもよい。この場合、前記第1ポリオール化合物は、前記第1ウレタン系プレポリマー内で適切な架橋構造を形成することができ、前記第1ウレタン系プレポリマーを含むバインダーを介して前記研磨不変層が支持性能および弾性力の面でより有利であり得る。
【0231】
前記第1ウレタン系プレポリマーは、その重量平均分子量(Mw)が約500g/mol~約3,000g/molであってもよく、例えば、約600g/mol~約2,000g/molであってもよく、例えば、約800g/mol~約1,000g/molであってもよい。前記第1ウレタン系プレポリマーが前述した重量平均分子量(Mw)に相応する重合度を有する場合、前記バインダーが前記研磨不変層内で前記熱硬化性ポリウレタン粒子の分散性を向上させる面でより有利であり得る。
【0232】
一実施形態において、前記第1イソシアネート化合物が芳香族ジイソシアネートを含むことができる。前記芳香族ジイソシアネートは、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)を含むことができ、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含むことができる。また、前記第1ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0233】
他の実施形態において、前記第1イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネートを含むことができる。前記芳香族ジイソシアネートは、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)を含むことができ、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含むことができる。前記脂環族ジイソシアネートは、例えば、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を含むことができる。また、前記第1ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0234】
一実施形態において、前記第1イソシアネート化合物の総重量100重量部対比、前記第1ポリオール化合物の総重量が約100重量部~約180重量部であってもよく、例えば、約100重量部超過、約180重量部以下であってもよく、例えば、約110重量部~約160重量部であってもよく、例えば、約120重量部~約150重量部であってもよい。
【0235】
他の実施形態において、前記第1イソシアネート化合物の総重量100重量部対比、前記第1ポリオール化合物の総重量が約180重量部超過、約250重量部以下であってもよく、例えば、約185重量部~約250重量部であってもよく、例えば、約190重量部~約240重量部であってもよい。
【0236】
一実施形態において、前記第1ポリオール化合物がポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を含み、前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)の含有量は、前記第1イソシアネート化合物の全体重量100重量部対比、約100重量部~約250重量部であってもよく、例えば、約100重量部超過、約250重量部以下であってもよく、例えば、約110重量部~約220重量部であってもよく、例えば、約110重量部~約140重量部であってもよい。
【0237】
他の実施形態において、前記第1ポリオール化合物がポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を含み、前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)の含有量は、前記第1イソシアネート化合物の全体重量100重量部対比、約150重量部~約250重量部であってもよく、例えば、約180重量部~約230重量部であってもよい。
【0238】
一実施形態において、前記第1ポリオール化合物がジエチレングリコール(DEG)を含み、前記ジエチレングリコール(DEG)の含有量は、前記第1イソシアネート化合物の全体重量100重量部対比、約1重量部~約20重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約15重量部であってもよい。
【0239】
一実施形態において、前記第1イソシアネート化合物が前記芳香族ジイソシアネートを含み、前記芳香族ジイソシアネートが2,4-TDIおよび2,6-TDIを含み、前記2,6-TDIの含有量は、前記2,4-TDI100重量部対比、約1重量部~約40重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約30重量部であってもよく、例えば、約3重量部~約28重量部であってもよく、例えば、約20重量部~約30重量部であってもよい。
【0240】
他の実施形態において、前記2,6-TDIの含有量は、前記2,4-TDI100重量部対比、約1重量部~約40重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約30重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約20重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約10重量部であってもよい。
【0241】
一実施形態において、前記第1イソシアネート化合物が前記芳香族ジイソシアネートおよび前記脂環族ジイソシアネートを含み、前記脂環族ジイソシアネートの含有量は、前記芳香族ジイソシアネート全体100重量部対比、約5重量部~約30重量部であってもよく、例えば、約10重量部~約25重量部であってもよい。
【0242】
前記第1ウレタン系プレポリマーが前述した組成的特徴を満足する場合、前記バインダーが前記熱硬化性ポリウレタン粒子の分散性を優れて実現することができる。また、前記熱硬化性ポリウレタン粒子と前記バインダーがこれらの界面で相互強固に結着することにより、前記研磨不変層の全体的な支持剛性および弾性力確保の面でより有利であり得る。
【0243】
前記バインダーは、第1硬化剤を含むことができる。前記第1硬化剤は、前記第1ウレタン系プレポリマーと化学的に反応して適切な架橋構造を形成して、前記熱硬化性ポリウレタン粒子の優れた分散性と前記研磨不変層の適切な機械的剛性を同時に適正水準に確保させることができる。
【0244】
一実施形態において、前記第1硬化剤は、アミン基(-NH2)、アルコール基(-OH)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つの反応基を含む化合物を含むことができる。前記「反応基」は、前記第1硬化剤が前記第1ウレタン系プレポリマーなどの異種の化合物と反応する時、直接的に化学反応に参加する末端官能基を指す。すなわち、前記第1硬化剤は、例えば、1分子内に反応基としてアミン基(-NH2)を含む化合物を含むか、1分子内に反応基としてアルコール基(-OH)を含む化合物を含むか、1分子内に反応基としてアミン基(-NH2)およびアルコール基(-OH)をすべて含む化合物を含むことができる。
【0245】
例えば、前記第1硬化剤は、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(4,4'-methylenebis(2-chloroaniline);MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine;DETDA)、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenylmethane)、ジメチルチオトルエンジアミン(dimethyl thio-toluene diamine;DMTDA)、プロパンジオールビスp-アミノベンゾエート(propanediol bis p-aminobenzoate)、メチレンビス-メチルアントラニレート(Methylene bis-methylanthranilate)、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenylsulfone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)、トリエタノールアミン(triethanolamine)、トリプロパノールアミン(tripropanolamine)、トリイソプロパノールアミン(triisopropanolamine)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0246】
前記バインダー全体100重量%中の前記第1硬化剤の含有量は、約15重量%~約30重量%であってもよく、例えば、約18重量%~約27重量%であってもよく、例えば、約19重量%~約26重量%であってもよく、例えば、約20重量%~約26重量%であってもよい。前記第1硬化剤をこのような含有量で適用することにより、前記バインダーの技術的性能を実現するのにより有利であり得る。
【0247】
前記研磨不変層を形成するための組成物は、前記バインダー100重量部対比、前記熱硬化性ポリウレタン粒子を約15重量部~約150重量部含むことができ、例えば、約20重量部~約120重量部含むことができ、例えば、約40重量部~約110重量部含むことができる。前記バインダーと前記熱硬化性ポリウレタン粒子の相互相対的な含有量比が前述した範囲を満足することにより、前記熱硬化性ポリウレタン粒子が均一に分散することができ、前記熱硬化性ポリウレタン粒子が前記研磨不変層内に強固に結着して全体的な耐久性の向上に有利であり得る。
【0248】
前記研磨不変層を形成するための組成物は、必要に応じて、第1発泡剤をさらに含むことができる。前記第1発泡剤は、前記研磨不変層に気孔構造を付与することにより、密度および弾性を調節する役割を果たすことができる。前記第1発泡剤は、例えば、固相発泡剤、気相発泡剤、液相発泡剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0249】
前記研磨不変層を形成するための組成物が前記第1発泡剤を含む場合、前記熱硬化性ポリウレタン粒子100重量部対比、前記第1発泡剤を約0.1重量部~約10重量部含むことができる。
【0250】
前記研磨可変層101は、前記研磨不変層102とは異なり、前記熱硬化性ポリウレタン粒子が含まれない領域であってもよい。すなわち、前記研磨可変層101は、前記熱硬化性ポリウレタン粒子の未含有領域であってもよい。前記熱硬化性ポリウレタン粒子を備える面で前記研磨可変層101を前記研磨不変層102と異なって構成することにより、前記研磨パッド110の厚さ方向にわたる物性をより精密に細分化して実現することができ、これによって多様な用途と目的に応じた多様な研磨性能を実現することができる。
【0251】
一実施形態において、前記研磨可変層101は、第2ウレタン系プレポリマーを含む組成物の硬化物を含むことができる。前記第2ウレタン系プレポリマーにおいて、前記「プレポリマー(prepolymer)」は、硬化物の製造において成形しやすいように重合度を中間段階で中止させた比較的低い分子量を有する高分子を意味する。前記プレポリマーは、それ自体で加熱および/または加圧などの追加的な硬化工程を経るか、または他の重合性化合物、例えば、異種のモノマーまたは異種のプレポリマーのような追加化合物と混合して反応させた後、最終硬化物に成形される。
【0252】
一実施形態において、前記第2ウレタン系プレポリマーは、第2イソシアネート化合物と第2ポリオール化合物との反応生成物を含むことができる。前記第2イソシアネート化合物および前記第2ポリオール化合物は、それぞれ前記第1イソシアネート化合物および前記第1ポリオール化合物と同一の化合物を含んでもよく、異なる化合物を含んでもよい。
【0253】
一実施形態において、前記第2イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを使用することができる。例えば、前記第2イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートを含むことができる。例えば、前記第2イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネートを含むことができる。
【0254】
前記第2イソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluenediisocyanate、2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluenediisocyanate、2,6-TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(p-phenylenediisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidinediisocyanate)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylenediisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethanediisocyanate)、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(4,4'-dicyclohexylmethanediisocyanate、H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0255】
前記第2ポリオール化合物において、「ポリオール(polyol)」とは、分子あたりのヒドロキシ基(-OH)を少なくとも2以上含む化合物を意味する。一実施形態において、前記ポリオール化合物は、ヒドロキシ基が2個である2価のアルコール化合物すなわち、ジオール(diol)またはグリコール(glycol);またはヒドロキシ基が3個である3価のアルコール化合物、すなわち、トリオール(triol)化合物を含むことができる。
【0256】
前記第2ポリオール化合物は、例えば、ポリエーテル系ポリオール(polyether polyol)、ポリエステル系ポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネート系ポリオール(polycarbonate polyol)、アクリル系ポリオール(acryl polyol)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0257】
前記第2ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール(DEG)、ジプロピレングリコール(DPG)、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0258】
前記第2ポリオール化合物は、その重量平均分子量(Mw)が約100g/mol~約3,000g/molであってもよく、例えば、約100g/mol~約2,000g/molであってもよく、例えば、約100g/mol~約1,800g/molであってもよい。
【0259】
一実施形態において、前記第2ポリオール化合物は、重量平均分子量(Mw)が約100g/mol以上、約300g/mol未満の低分子量ポリオール;および重量平均分子量(Mw)が約300g/mol以上、約1800g/mol以下の高分子量ポリオールを含むことができる。前記高分子量ポリオールの重量平均分子量(Mw)は、例えば、約500g/mol以上、約1,800g/mol以下であってもよく、例えば、約700g/mol以上、約1,800g/mol以下であってもよい。この場合、前記第2ポリオール化合物は、前記第2ウレタン系プレポリマー内で適切な架橋構造を形成することができ、その結果、前記研磨可変層101が適切な引張強度、伸び率および圧縮特性を示して、前記第1面11を介した研磨性能の向上により有利であり得る。
【0260】
前記第2ウレタン系プレポリマーは、その重量平均分子量(Mw)が約500g/mol~約3,000g/molであってもよく、例えば、約600g/mol~約2,000g/molであってもよく、例えば、約800g/mol~約1,000g/molであってもよい。前記第2ウレタン系プレポリマーが前述した重量平均分子量(Mw)に相応する重合度を有する場合、最終硬化物を含む前記研磨可変層101が適切な表面硬度および引張強度を示して、前記第1面11を介した研磨性能を向上させるのにより有利であり得る。
【0261】
一実施形態において、前記第2イソシアネート化合物が芳香族ジイソシアネートを含むことができる。前記芳香族ジイソシアネートは、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)を含むことができ、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含むことができる。また、前記第2ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0262】
他の実施形態において、前記第2イソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネートを含むことができる。前記芳香族ジイソシアネートは、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)を含むことができ、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含むことができる。前記脂環族ジイソシアネートは、例えば、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を含むことができる。また、前記第1ポリオール化合物は、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)およびジエチレングリコール(DEG)を含むことができる。
【0263】
一実施形態において、前記第2イソシアネート化合物の総重量100重量部対比、前記第2ポリオール化合物の総重量が約100重量部~約180重量部であってもよく、例えば、約100重量部超過、約180重量部以下であってもよく、例えば、約110重量部~約160重量部であってもよく、例えば、約120重量部~約150重量部であってもよい。
【0264】
他の実施形態において、前記第2イソシアネート化合物の総重量100重量部対比、前記第2ポリオール化合物の総重量が約180重量部超過、約250重量部以下であってもよく、例えば、約185重量部~約250重量部であってもよく、例えば、約190重量部~約240重量部であってもよい。
【0265】
一実施形態において、前記第2ポリオール化合物がポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を含み、前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)の含有量は、前記第2イソシアネート化合物の全体重量100重量部対比、約100重量部~約250重量部であってもよく、例えば、約100重量部超過、約250重量部以下であってもよく、例えば、約110重量部~約220重量部であってもよく、例えば、約110重量部~約140重量部であってもよい。
【0266】
他の実施形態において、前記第2ポリオール化合物がポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を含み、前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)の含有量は、前記第2イソシアネート化合物の全体重量100重量部対比、約150重量部~約250重量部であってもよく、例えば、約180重量部~約230重量部であってもよい。
【0267】
一実施形態において、前記第2ポリオール化合物がジエチレングリコール(DEG)を含み、前記ジエチレングリコール(DEG)の含有量は、前記第2イソシアネート化合物の全体重量100重量部対比、約1重量部~約20重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約15重量部であってもよい。
【0268】
一実施形態において、前記第2イソシアネート化合物が前記芳香族ジイソシアネートを含み、前記芳香族ジイソシアネートが2,4-TDIおよび2,6-TDIを含み、前記2,6-TDIの含有量は、前記2,4-TDI100重量部対比、約1重量部~約40重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約30重量部であってもよく、例えば、約3重量部~約28重量部であってもよく、例えば、約20重量部~約30重量部であってもよい。
【0269】
他の実施形態において、前記2,6-TDIの含有量は、前記2,4-TDI100重量部対比、約1重量部~約40重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約30重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約20重量部であってもよく、例えば、約1重量部~約10重量部であってもよい。
【0270】
一実施形態において、前記第2イソシアネート化合物が前記芳香族ジイソシアネートおよび前記脂環族ジイソシアネートを含み、前記脂環族ジイソシアネートの含有量は、前記芳香族ジイソシアネート全体100重量部対比、約5重量部~約30重量部であってもよく、例えば、約10重量部~約25重量部であってもよい。
【0271】
前記第2ウレタン系プレポリマーが前述した組成的特徴を満足する場合、前記研磨可変層が目的とする可変性を実現するための物理的/機械的物性を確保することができる。また、前記研磨可変層の前記第1面上にグルーブなどの追加構成を形成するにあたり向上した工程性を確保することができる。また、前記研磨不変層と積層された研磨層全体の構造的な面から、厚さ方向にわたる物性の細分化と同時に、研磨性能の実現に最適化された統一性を確保するのにより有利であり得る。
【0272】
前記研磨可変層を形成するための前記組成物は、イソシアネート基の含有量(NCO%)が約5重量%~約11重量%であってもよく、例えば、約5重量%~約10重量%であってもよい。一実施形態において、前記イソシアネート基の含有量(NCO%)は、約5重量%~約8.5重量%であってもよく、他の実施形態において、前記イソシアネート基の含有量(NCO%)は、約8.5重量%~約10重量%であってもよい。前記「イソシアネート基の含有量」は、前記研磨可変層を形成するための組成物の全体重量中でウレタン反応せずに遊離反応基として存在するイソシアネート基(-NCO)の重量の百分率を意味する。前記研磨可変層を形成するための組成物のNCO%は、後述する第2硬化剤および第2発泡剤を除いた状態で測定された値で定義される。前記組成物のイソシアネート基の含有量(NCO%)は、前記第2ウレタン系プレポリマーを製造するためのモノマーの種類および含有量、前記第2ウレタン系プレポリマー製造工程の温度および圧力などの工程条件、および前記第2ウレタン系プレポリマーの製造に用いられる添加剤の種類などを総合的に調節して設計可能である。前記イソシアネート基の含有量が前記範囲を満足する場合、前記組成物の硬化により製造された前記研磨可変層101が適切な物理的/機械的特性を確保するのに有利であり、前記研磨不変層102と積層された状態で適用されて、研磨対象に前記第1面11を介した優れた研磨性能を付与するのに有利であり得る。
【0273】
前記研磨可変層の製造のための前記組成物は、前記第2硬化剤および前記第2発泡剤をさらに含むことができる。前記第2硬化剤および前記第2発泡剤は、それぞれ前記第1硬化剤および前記第1発泡剤と同一の成分を含んでもよく、異なる成分を含んでもよい。
【0274】
一実施形態において、前記第2硬化剤は、アミン基(-NH2)、アルコール基(-OH)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つの反応基を含む化合物を含むことができる。前記「反応基」は、前記第2硬化剤が前記第2ウレタン系プレポリマーなどの異種の化合物と反応する時、直接的に化学反応に参加する末端官能基を指す。すなわち、前記第2硬化剤は、1分子内に反応基としてアミン基(-NH2)だけを含む化合物を含むか、1分子内に反応基としてアルコール基(-OH)だけを含む化合物を含むか、1分子内に反応基としてアミン基(-NH2)およびアルコール基(-OH)を含む化合物を含むことができる。
【0275】
例えば、前記第2硬化剤は、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(4,4'-methylenebis(2-chloroaniline);MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine;DETDA)、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenylmethane)、ジメチルチオトルエンジアミン(dimethyl thio-toluene diamine;DMTDA)、プロパンジオールビスp-アミノベンゾエート(propanediol bis p-aminobenzoate)、メチレンビス-メチルアントラニレート(Methylene bis-methylanthranilate)、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenylsulfone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)、トリエタノールアミン(triethanolamine)、トリプロパノールアミン(tripropanolamine)、トリイソプロパノールアミン(triisopropanolamine)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0276】
一実施形態において、前記第1硬化剤は、1分子内に反応基としてアルコール基を含む化合物を含み、前記第2硬化剤は、1分子内に反応基としてアミン基を含む化合物を含むことができる。前記第1硬化剤と前記第2硬化剤それぞれをこのように適用することにより、前記研磨可変層と前記研磨不変層との界面物性が優れて確保可能であり、これらの積層体である前記研磨層の全体的な物性が研磨性能の最適化により有利であり得る。
【0277】
前記研磨可変層を形成するための組成物全体中の前記第2硬化剤の含有量は、約15重量%~約30重量%であってもよく、例えば、約18重量%~約27重量%であってもよく、例えば、約19重量%~約26重量%であってもよく、例えば、約20重量%~約26重量%であってもよい。前記第2硬化剤をこのような含有量で適用することにより、前記組成物の硬化物を含む前記研磨可変層が研磨に適した機械的物性と適正可変性を確保するのに有利であり得る。
【0278】
前記研磨可変層を形成するための組成物中のイソシアネート基(-NCO)と前記第2硬化剤の反応基とのモル比(NCO:反応基)は、約1:0.80~約1:1.20であってもよく、例えば、約1:0.90~約1:1.10であってもよく、例えば、約1:0.90~約1:1.00であってもよく、例えば、約1:90以上、約1:1.00未満であってもよい。例えば、前記第2硬化剤が1分子内に反応基としてアミン基を含む化合物を含む場合、前記組成物中のイソシアネート基(-NCO)と前記第2硬化剤のアミン基とのモル比(NCO:NH2)が前記範囲を満足することができる。前記モル比が前述した範囲を満足することにより、前記第2ウレタン系プレポリマーと前記第2硬化剤との化学的反応によって適切な架橋構造が形成され、その結果、前記研磨可変層が適正水準の引張強度および伸び率などの物理的/機械的物性を確保して、前記第1面を介して研磨対象の被研磨面に優れた研磨性能を伝達するのに有利であり得る。
【0279】
前記研磨可変層101は、複数の気孔15を含む多孔性構造であってもよい。前記研磨可変層101の最上部表面に位置する複数の気孔15は、その内部の少なくとも一部が外部に露出して前記第1面11に所定の表面粗さを付与することができる。
図2は、研磨工程中における一実施形態に係る前記第1面11の構造的変化を概略的に示す図である。具体的には、
図2は、一実施形態に係る前記複数の気孔15中において前記第1面11上でその内部が外部に露出した一部気孔の研磨過程中の構造的変化を概略的に示す模式図である。
図2を参照すれば、前記複数の気孔15は、前記研磨可変層101全体に分散しているため、前記第1面11を介した研磨過程で最上部面が次第に刈られても持続的に表面粗さを形成するのに寄与することができる。ただし、前記第1面11上にその内部が露出した気孔15の場合、所定の加圧条件下で進行する研磨工程が持続するにつれ、前記第1面11と前記気孔15との境界に相当する部分が物理的に圧力を受けて押されながら形態が変形し、このような現象は前記第1面11の表面粗さの変化に影響を与える。この時、前記研磨層が前記研磨可変層101および前記研磨不変層102の積層構造を含むことにより、各層の厚さ方向の相互作用の結果として前記第1面11を介して算出される表面物性が適切に設計されて、その結果、前記第1面11が研磨に適した表面状態をより長時間維持するのに有利であり得る。
【0280】
一実施形態において、前記研磨可変層101に含まれた前記複数の気孔15は、その平均サイズが約5μm~約50μm、例えば、約5μm~約40μm、例えば、約10μm~約40μm、例えば、約10μm~約35μmであってもよい。前記複数の気孔が前述した大きさを満足することにより、後述する式1による第1研磨可変性指数が当該範囲を満足するのに有利であり得、これにより、目的の研磨性能の実現自体と前記研磨可変層の寿命期間全体にわたって均等な性能を実現する面でより有利であり得る。前記複数の気孔15の平均サイズは2次元の値であって、前記研磨可変層101の寿命導入時点を基準として一表面の外部に露出した気孔の大きさを、走査電子顕微鏡(SEM)または透過電子顕微鏡(TEM)などの撮影手段を用いて撮影した投影像で測定された気孔径の数平均値を基準とする。
【0281】
前記研磨可変層を形成するための組成物は、第2発泡剤を含むことができる。前記第2発泡剤は、前記研磨可変層101内の気孔構造を形成するための成分として、固相発泡剤、気相発泡剤、液相発泡剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。一実施形態において、前記第2発泡剤は、固相発泡剤、気相発泡剤、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0282】
前記固相発泡剤は、膨張性粒子を含むことができる。前記膨張性粒子は、熱または圧力などによって膨張可能な特性を有する粒子であって、前記研磨可変層101を製造する過程で加えられる熱または圧力などによって最終的な気孔サイズが決定可能である。前記膨張性粒子は、熱膨張(expanded)粒子、未膨張(unexpanded)粒子、またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記「熱膨張」粒子は、熱によって事前膨張した粒子であって、前記研磨可変層の製造過程で加えられる熱または圧力による大きさの変化が小さいか、ほとんどない粒子を意味する。前記「未膨張」粒子は、事前膨張しない粒子であって、前記研磨層の製造過程で加えられる熱または圧力によって膨張して最終的な大きさが決定される粒子を意味する。
【0283】
前記膨張性粒子の平均粒径は、約5μm~約200μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約21μm~約50μm、例えば、約21μm~約40μmであってもよい。前記膨張性粒子の平均粒径は、熱膨張(expanded)粒子の場合、熱膨張した粒子自体の平均粒径を意味し、未膨張(unexpanded)粒子の場合、熱または圧力によって膨張した後の粒子の平均粒径を意味することができる。
【0284】
前記膨張性粒子は、樹脂材質の外被と、前記外被に封入された内部に存在する膨張誘発成分とを含むことができる。
【0285】
例えば、前記外被は、熱可塑性樹脂を含むことができ、前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0286】
前記膨張誘発成分は、炭化水素化合物、クロロフルオロ化合物、テトラアルキルシラン化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0287】
具体的には、前記炭化水素化合物は、エタン(ethane)、エチレン(ethylene)、プロパン(propane)、プロペン(propene)、n-ブタン(n-butane)、イソブタン(isobutane)、n-ブテン(butene)、イソブテン(isobutene)、n-ペンタン(n-pentane)、イソペンタン(isopentane)、ネオペンタン(neopentane)、n-ヘキサン(n-hexane)、ヘプタン(heptane)、石油エーテル(petroleum ether)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0288】
前記クロロフルオロ化合物は、トリクロロフルオロメタン(trichlorofluoromethane、CCl3F)、ジクロロジフルオロメタン(dichlorodifluoromethane、CCl2F2)、クロロトリフルオロメタン(chlorotrifluoromethane、CClF3)、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、CClF2-CClF2)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0289】
前記テトラアルキルシラン化合物は、テトラメチルシラン(tetramethylsilane)、トリメチルエチルシラン(trimethylethylsilane)、トリメチルイソプロピルシラン(trimethylisopropylsilane)、トリメチル-n-プロピルシラン(trimethyl-n-propylsilane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0290】
前記第2発泡剤が固相発泡剤を含み、前記固相発泡剤は、前記第2ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.5重量部~約10重量部、例えば、約1重量部~約3重量部、例えば、約1.3重量部~約2.7重量部、例えば、約1.3重量部~約2.6重量部使用できる。
【0291】
前記気相発泡剤は、不活性ガスを含むことができる。前記気相発泡剤は、前記第2ウレタン系プレポリマーと前記第2硬化剤とが反応する過程中に投入されて気孔形成要素として使用できる。
【0292】
前記不活性ガスは、前記第2ウレタン系プレポリマーと前記第2硬化剤との間の反応に参加しないガスであれば、種類が特に限定されないが、例えば、窒素ガス(N2)、アルゴンガス(Ar)、ヘリウムガス(He)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。具体的には、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)またはアルゴンガス(Ar)を含むことができる。
【0293】
一実施形態において、前記第2発泡剤は、固相発泡剤のみからなってもよい。
【0294】
一実施形態において、前記固相発泡剤は、膨張性粒子を含み、前記膨張性粒子は、前記熱膨張粒子を含むことができる。例えば、前記膨張性粒子は、前記熱膨張粒子のみからなってもよい。前記膨張性粒子が前記未膨張粒子を含まずに前記熱膨張粒子のみからなる場合、気孔構造の可変性はやや低下するものの、事前予測の可能性が高まって、前記研磨可変層の全領域にわたって均一な気孔特性を実現するのに有利であり得る。
【0295】
一実施形態において、前記熱膨張粒子は、約5μm~約200μmの平均粒径を有する粒子であってもよい。前記熱膨張粒子の平均粒径は、約5μm~約100μm、例えば、約10μm~約80μm、例えば、約20μm~約70μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約30μm~約70μm、例えば、約25μm~45μm、例えば、約40μm~約70μm、例えば、約40μm~約60μmであってもよい。前記平均粒径は、前記熱膨張粒子のD50で定義される。
【0296】
一実施形態において、前記熱膨張粒子の密度は、約30kg/m3~約80kg/m3、例えば、約35kg/m3~約80kg/m3、例えば、約35kg/m3~約75kg/m3、例えば、約38kg/m3~約72kg/m3、例えば、約40kg/m3~約75kg/m3、例えば、約40kg/m3~約72kg/m3であってもよい。
【0297】
他の実施形態において、前記第2発泡剤は、固相発泡剤および気相発泡剤を含むことができる。前記固相発泡剤に関する事項は前述した通りである。
【0298】
前記第2発泡剤が前記固相発泡剤および前記気相発泡剤を含み、前記気相発泡剤は、窒素ガスを含むことができる。
【0299】
前記気相発泡剤は、前記第2ウレタン系プレポリマーと前記固相発泡剤および前記第2硬化剤が混合される過程中に、所定の注入ライン(line)を通して注入される。前記気相発泡剤の注入速度は、約0.8L/min~約2.0L/min、例えば、約0.8L/min~約1.8L/min、例えば、約0.8L/min~約1.7L/min、例えば、約1.0L/min~約2.0L/min、例えば、約1.0L/min~約1.8L/min、例えば、約1.0L/min~約1.7L/minであってもよい。
【0300】
前記研磨可変層を製造するための組成物は、界面活性剤、反応速度調節剤などのその他の添加剤をさらに含むことができる。前記「界面活性剤」、「反応速度調節剤」などの名称は、当該物質の主な役割を基準として任意に指す名称であり、それぞれの当該物質が必ずしも当該名称の役割に限る機能だけを行うわけではない。
【0301】
前記界面活性剤は、気孔の凝集または重畳などの現象を防止する役割を果たす物質であれば特に限定されない。例えば、前記界面活性剤は、シリコーン系ポリマーを含むことができる。
【0302】
前記第2組成物が前記界面活性剤を含む場合、前記第2ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.2重量部~約2重量部、例えば、約0.2重量部~約1.9重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~1.5重量部の含有量で含まれる。前記範囲の含有量で前記界面活性剤を使用する場合、前記気相発泡剤に由来する気孔が硬化モールド内で安定して形成および維持されるのに有利であり得る。
【0303】
前記反応速度調節剤は、反応促進または反応遅延の役割を果たすものであって、目的に応じて、反応促進剤、反応遅延剤、またはこれらのすべてを使用することができる。
【0304】
前記反応速度調節剤は、反応促進剤を含むことができる。例えば、前記反応促進剤は、3級アミン系化合物、有機金属系化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0305】
具体的には、前記反応速度調節剤は、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルブタンジアミン、2-メチル-トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、ビス(2-メチルアミノエチル)エーテル、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N,N,N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-メチル-2-アザノルボルナン、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジオクチルチンジアセテート、ジブチルチンマレエート、ジブチルチンジ-2-エチルヘキサノエート、ジブチルチンジメルカプチド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。一実施形態において、前記反応速度調節剤は、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0306】
前記第2組成物が前記反応速度調節剤を含む場合、前記第2ウレタン系プレポリマー100重量部を基準として、約0.05重量部~約2重量部、例えば、約0.05重量部~約1.8重量部、例えば、約0.05重量部~約1.7重量部、例えば、約0.05重量部~約1.6重量部、例えば、約0.1重量部~約1.5重量部、例えば、約0.1重量部~約0.3重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~約1重量部含まれる。前記反応速度調節剤が前記範囲の含有量で使用される場合、前記第2組成物の硬化反応速度を調節することにより、前記研磨可変層が所望する大きさの気孔および硬度をもたせるのに有利であり得る。
【0307】
前記研磨可変層および前記研磨不変層それぞれの成分およびその含有量が前述したものを満足する場合、これらの積層体を適用した前記研磨層が厚さ方向にわたって精密に設計された物性を実現することができる。その結果、前記研磨層が前記第1面を介して研磨対象の被研磨面に伝達する弾性および剛性などの機械的物性が研磨率、平坦度および欠陥防止などの研磨性能の面で最適化される効果を得ることができる。
【0308】
本発明の他の実施形態において、研磨面を有する研磨層を含む研磨パッドを定盤上に提供するステップと、前記研磨面に研磨対象の被研磨面が当接するように配置した後、加圧条件下、前記研磨パッドと前記研磨対象を互いに相対回転させながら前記研磨対象を研磨させるステップと、を含み、前記研磨層は、前記研磨面を含む研磨可変層と、前記研磨可変層の前記研磨面の裏面側に配置された研磨不変層とを含み、前記研磨可変層および前記研磨不変層のショアD(shore D)硬度の比率が0.50~1.50である、半導体素子の製造方法を提供する。
【0309】
前記研磨パッド110に関する事項は、すべて前述した通りである。すなわち、前記研磨パッド110の研磨層10と前記第1面11、前記第2面12および前記分離可能界面13に関する事項は、すべて前記研磨パッド110に関して前述したものと同一である。前記半導体素子の製造方法について前記研磨パッド110を適用する場合、前述による前記研磨パッド110の構造的および組成的特徴によって実現される最適な物性条件下で優れた品質の半導体素子が生産できる。
【0310】
具体的には、前記分離可能界面を基準として隣接した2つの層のショアD硬度の比率が約0.50~約1.50、例えば、約0.60~約1.50、例えば、約0.70~約1.40、例えば、約0.80~約1.20であってもよい。このように、前記研磨パッドの厚さ方向の細分化された設計により、これを適用した前記半導体素子の製造方法は、研磨平坦度および欠陥防止の面で優れた研磨結果を確保することができる。
【0311】
本発明の他の実施形態において、研磨面である第1面と、前記第1面の裏面である第2面とを含む研磨層を含む研磨パッドを定盤上に提供するステップと、前記第1面に研磨対象の被研磨面が当接するように配置した後、加圧条件下、前記研磨パッドと前記研磨対象を互いに相対回転させながら前記研磨対象を研磨させるステップと、を含み、前記研磨層は、前記第1面と前記第2面との間に少なくとも1つの分離可能界面を含み、前記研磨層が前記第1面から前記分離可能界面までの領域である少なくとも1つの研磨可変層と、前記分離可能界面から前記第2面までの領域である少なくとも1つの研磨不変層とを含み、前記研磨不変層が熱硬化性ポリウレタン粒子;およびバインダー(Binder)を含む組成物の硬化物を含む、半導体素子の製造方法を提供する。
【0312】
前記半導体素子の製造方法において、前記研磨パッドと下位のすべての構成についての事項は、前記研磨パッドに関して前述した具体的事項およびその技術的利点が以下の前記半導体素子の製造方法に関する説明にすべて統合適用されて解釈される。
【0313】
前記半導体素子の製造方法について前記研磨パッド110を適用する場合、前述による前記研磨パッド110の構造的および組成的特徴によって実現される最適な物性条件下で優れた品質の半導体素子が生産できる。
【0314】
具体的には、前記研磨パッド110として前記研磨可変層101および前記研磨不変層102の積層構造を含む研磨層10を適用し、前記研磨不変層102として熱硬化性ポリウレタン粒子;およびバインダー(Binder)を含む組成物の硬化物を適用することにより、前記研磨パッド110の厚さ方向の細分化された設計が可能であり、前記研磨パッド110を適用した前記半導体素子の製造方法が研磨平坦度、研磨率および欠陥防止の面で優れた研磨結果を確保することができる。
【0315】
前記熱硬化性ポリウレタン粒子および前記バインダーに関する事項は、すべて前記研磨パッド110に関して前述したものと同一である。
【0316】
具体的には、一実施形態において、前記熱硬化性ポリウレタン粒子は、その平均粒径が約20μm~約3.0mm、例えば、約50μm~約2.0mm、例えば、約100μm~約2.0mmであってもよい。前記「平均粒径」は、前記粒子の断面を基準として測定した直径の数平均値であって、前記粒子の2次元的投影像から得ることができる。前記投影像を得る方法は特に限定されないが、例えば、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)や透過電子顕微鏡(TEM、Transmission Electron Microscope)を用いて得ることができる。このような大きさの粒子を適用することにより、前記研磨不変層102の支持剛性が向上でき、前記研磨可変層101の長期耐久性の確保に寄与することができる。
【0317】
一実施形態において、前記熱硬化性ポリウレタン粒子は、熱硬化性ポリウレタンを含む研磨パッドの廃棄物に由来する粒子であってもよい。具体的には、前記熱硬化性ポリウレタン粒子は、熱硬化性ポリウレタンを含む研磨パッド廃棄物の粉砕物に由来できる。前記研磨パッドが前記研磨不変層102の一構成として、前記研磨パッドの廃棄物に由来する粒子を適用する場合、前述した技術的目的の達成とともに、環境配慮効果を実現するという利点を得ることができる。
【0318】
前記バインダーは、第1ウレタン系プレポリマーおよび第1硬化剤を含むことができる。例えば、前記第1ウレタン系プレポリマーは、第1イソシアネート化合物および第1ポリオール化合物の反応生成物を含むことができる。前記第1ウレタン系プレポリマー、前記第1硬化剤、前記第1イソシアネート化合物、および前記第1ポリオール化合物に関する具体例および実施形態とこれによる技術的利点は、すべて前記研磨パッド110に関して上述した事項が同一に適用可能である。
【0319】
図4は、一実施形態に係る前記半導体素子の製造方法を概略的に示す模式図である。
図4を参照すれば、前記研磨パッド110は、前記定盤120上に提供される。前記研磨パッド110が前記定盤120上に提供される時、前記研磨層10の前記第1面11が最上部面になり、前記第2面12が前記定盤120側に向かうように提供される。
【0320】
一実施形態において、前記研磨パッド110と前記定盤120は、接着層を介在して付着できる。例えば、前記接着層は、感圧接着剤(PSA)に由来できるが、これに限定されるものではない。
【0321】
前記半導体素子の製造方法は、前記第1面11に研磨対象130の被研磨面が当接するように配置した後、加圧条件下、前記研磨パッド110と前記研磨対象130を互いに相対回転させながら前記研磨対象130を研磨させるステップを含む。
【0322】
一実施形態において、前記研磨対象130は、半導体基板であってもよい。例えば、前記半導体基板の被研磨面は、金属酸化膜;金属窒化膜または金属膜を含むことができる。一実施形態において、前記被研磨面は、金属酸化物、金属窒化物、および金属のうちの1つからなる単一膜であってもよい。他の実施形態において、前記被研磨面は、金属酸化物、金属窒化物、および金属の少なくとも2以上を含む複合膜であってもよい。
【0323】
前記金属酸化膜、前記金属窒化膜、および前記金属膜それぞれにおける金属成分は、シリコン(Si)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含むことができる。
【0324】
一実施形態において、前記研磨対象130の被研磨面は、シリコン酸化膜からなる単一膜であってもよい。他の実施形態において、前記研磨対象130の被研磨面は、銅膜からなる単一膜であってもよい。さらに他の実施形態において、前記研磨対象130の被研磨面は、シリコン酸化膜を含む複合膜であってもよい。さらに他の実施形態において、前記研磨対象130の被研磨面は、銅膜を含む複合膜であってもよい。
【0325】
前記研磨対象130の被研磨面が前記第1面11に対して加圧される荷重は、被研磨面の種類および目的に応じて適切に設計可能であるが、例えば、約0.01psi~約20psiであってもよく、例えば、約0.1psi~約15psiであってもよい。前記研磨パッド110は、前述のように、厚さ方向に細分化された構造的特徴を有し、このような構造的特徴により、前記範囲の加圧条件下で前記被研磨面に対して多様な目的に符合する適切な剛性および弾性を提供することができる。その結果、前記研磨対象130が半導体基板を含む場合、研磨平坦度および欠陥防止の面で前記半導体基板の最終研磨結果が大きく向上できる。
【0326】
前記研磨パッド110と前記研磨対象130は、それぞれの前記研磨面11および被研磨面が当接したまま互いに相対回転することができる。この時、前記研磨対象130の回転方向と前記研磨パッド110の回転方向は、同一の方向でもよく、反対方向でもよい。前記研磨面11と前記研磨対象130の被研磨面は、直接当接してもよく、流動性のあるスラリーなどに含まれた成分を介在して間接的に当接してもよい。前記研磨対象130と前記研磨パッド110の回転速度は、それぞれ約10rpm~約500rpmの範囲で目的に応じて選択可能であり、例えば、約30rpm~約200rpmであってもよいが、これに限定されるものではない。前述のように、前記研磨パッド110は、厚さ方向に細分化された構造的特徴により多様な目的に符合する研磨性能を提供することができる。前記研磨対象130および前記研磨パッド110が互いに当接したままそれぞれ前記範囲の回転速度で回転する場合、その遠心力および摩擦力による挙動が前記研磨パッド110の構造的特徴と相互連携されて、前記被研磨面に対して研磨平坦度および欠陥防止の面で優れた研磨結果を算出することができる。
【0327】
図1を参照すれば、前記研磨層10は、前記研磨面11から前記分離可能界面13までの領域である少なくとも1つの研磨可変層101と、前記分離可能界面13から前記第2面12までの領域である少なくとも1つの研磨不変層102とを含むことができる。前記研磨可変層101および前記研磨不変層102に関する事項は、すべて前記研磨パッド110およびその製造方法に関して前述したものと同一である。
【0328】
前記半導体素子の製造方法において、前記研磨可変層101は、上記式1による第1研磨可変性指数(Polishing variability index)が約0.1~11.0であってもよく、例えば、約0.1~約9.0、例えば、約0.2~約9.0、例えば、約0.2~約8.5、例えば、約0.2~約8.0、例えば、約0.2~約7.5、例えば、約0.5~約7.5、例えば、約0.8~約7.5、例えば、約0.9~約7.5、例えば、約1.0~約6.0、例えば、約1.8~3.5、例えば、約1.8~2.5であってもよい。
【0329】
前記研磨可変層101は、前記研磨パッド110を適用した半導体素子の製造方法の研磨工程中に物理的特性および/または化学的特性が変化する領域として目的水準の研磨性能を提供する面で所定の寿命を有する。前記研磨可変層101の寿命導入時点は、この領域自体;または前記研磨パッド110が製造された後工程に適用される前までの任意の一時点を意味する。また、前記研磨可変層101の寿命終結時点は、前記研磨可変層101がそれ以上の研磨性能を実現できず、この領域自体;または前記研磨パッド110全体の取替が必要な時点を意味する。
【0330】
前記研磨可変層101の寿命導入時点および寿命終結時点それぞれの表面粗さ(Ri、Rf)と前記研磨パッド110の全体厚さ(Ti、Tf)を要素とする上記式1による第1研磨可変性指数は、前記研磨可変層101の可変性能を示す指標であって、上記式1の値が前述した範囲、すなわち、約0.1~約11.0となることに相応する可変性を保有することにより、前記研磨可変層101が前記研磨層10の一部として研磨効率に最適化された構造的特徴を有することができ、これと同時に、その寿命全体にわたって一定の研磨性能を実現して同一品質の半導体素子の大量生産により有利であり得る。
【0331】
前記Tiは、例えば、約800μm~約5000μm、例えば、約1000μm~約4000μm、例えば、約1000μm~3000μm、例えば、約1500μm~約3000μm、例えば、約1700μm~約2700μm、例えば、約2000μm~約3500μmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0332】
前記Riは、例えば、約5μm~約15μm、例えば、約5μm~約12μm、例えば、約5μm~10μmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0333】
一実施形態において、前記Tiおよび前記Riがそれぞれ前述した範囲を満足し、同時に前記第1研磨可変性指数が前述した範囲を満足する場合、前記研磨可変層101の構造的特徴および研磨性能実現の面でより有利であり得る。
【0334】
一実施形態において、前記研磨パッド110は、前記研磨面11に前記研磨可変層101の全体厚さD1より小さいか、これと同一の深さd1を有する少なくとも1つのグルーブ(Groove)14を含むことができる。前記グルーブ14は、前記研磨パッド110を用いた研磨工程中に前記研磨面11上に供給される研磨液または研磨スラリーの流動性を調節するか、前記研磨面11と研磨対象の被研磨面とが直接的に接触する面積の大きさを調節して物理的研磨特性を適切に実現する役割を果たすことができる。
【0335】
例えば、前記研磨パッド110は、前記研磨面11に複数のグルーブ14を含むことができる。一実施形態において、前記研磨パッド110の平面形状は、実質的に円形であってもよく、前記複数のグルーブ14は、前記研磨パッド110の平面上の中心から末端に向かって所定の間隔で離隔配置された同心円状構造であってもよい。他の実施形態において、前記複数のグルーブ14は、前記研磨パッド110の平面上の中心から末端に向かって連続形成された放射状構造であってもよい。さらに他の実施形態において、前記複数のグルーブ14は、同心円状グルーブおよび放射状グルーブを同時に含むことができる。
【0336】
前記研磨面11から前記分離可能界面13までの領域である前記研磨可変層101において、前記研磨面11が少なくとも1つのグルーブ14を含むことができる。この時、前記半導体素子の製造方法において、前記研磨可変層101の上記式2による第2研磨可変性指数(Polishing variability index)が約0.1~約3.5であってもよく、例えば、約0.1~約3.3、例えば、約0.1~約3.0、例えば、約0.1~約2.0、例えば、約0.3~約1.8、例えば、約0.5~約1.5、例えば、約0.5~約1.2、例えば、約0.5~1.0、例えば、約0.6~約1.0であってもよい。
【0337】
前記研磨可変層101の上記式2による第2研磨可変性指数(Polishing variability index)が約0.1~約3.5であってもよく、例えば、約0.1~約3.3、例えば、約0.1~約3.0、例えば、約0.1~約2.0、例えば、約0.3~約1.8、例えば、約0.5~約1.5、例えば、約0.5~約1.2、例えば、約0.5~1.0であってもよい。
【0338】
前記研磨可変層101の寿命導入時点および寿命終結時点に関する説明は、上記式1による第1研磨可変性指数に関して上述した通りである。前記研磨可変層101の前記第2研磨可変性指数が前述した範囲を満足する場合、前記研磨可変層101が研磨液または研磨スラリーの流動性の面で最適化された構造を提供することができ、被研磨面に対して提供される直接的な接触面積が適正水準に確保されて、目的範囲の研磨率の確保により有利であり得る。
【0339】
前記Giは、例えば、約600μm~約900μmであってもよく、例えば、約650μm~約900μmであってもよく、例えば、約700μm~約900μmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0340】
一実施形態において、前記Riおよび前記Giがそれぞれ前述した範囲を満足し、同時に前記第2研磨可変性指数が前述した範囲を満足する場合、前記研磨可変層101の構造的特徴による研磨性能実現の面でより有利であり得る。
【0341】
前記研磨面11が前記研磨可変層101の全体厚さより小さいか、これと同一の深さを有する少なくとも1つのグルーブ14を含む場合、前記研磨可変層101において、前記グルーブ14の上記式3による深さ変化率(%)が約20%~約80%、例えば、約30%~80%、例えば、約40%~約80%、例えば、約45%~約75%、例えば、約50%~約70%であってもよい。
【0342】
前記第1面11が前記研磨可変層101の全体厚さより小さいか、これと同一の深さを有する少なくとも1つのグルーブ14を含む場合、前記研磨可変層101において、上記式3による前記グルーブ14の深さ変化率(%)が約20%~約100%であってもよい。
【0343】
図1を参照すれば、前記グルーブ14の深さd1は、前記寿命導入時点の深さ(Gi)から前記寿命終結時点の深さ(Gf)に至るまでの研磨工程中に変化する。具体的には、前記グルーブ14の深さd1は、前記研磨面11と研磨対象の被研磨面とが相互物理的な接触によって研磨されるにつれて前記研磨面11が削られていく過程によって、その深さd1が次第に浅くなる。この時、前記寿命導入時点のグルーブの深さ(Gi)と前記寿命終結時点のグルーブの深さ(Gf)を要素とする上記式3の値は、前記研磨可変層101の伸び率、引張強度、硬度などの物理的な特性が適切に裏付けられてこそ、前述した範囲を満足することができる。具体的には、前記研磨可変層101の物理的物性が適切に裏付けられなければ、前記グルーブの深さd1が浅くなるほど、研磨スラリーなどの流動性の変化が研磨性能に及ぼす影響力が大きくなって、全体的な研磨性能が急激に低下する恐れがある。一実施形態に係る前記研磨可変層101は、上記式3の値が前述した範囲を満足することにより、これに相応する最適な物理的物性を示すことができ、これに基づいて、前記グルーブの深さd1が浅くなっても研磨性能に対するその影響力を最小化して、前記半導体素子の製造方法による研磨工程全体にわたって優れた研磨性能を実現することができる。
【0344】
前記研磨パッド110が前記研磨面11に少なくとも1つのグルーブを含む場合、前記グルーブ14の幅w1は、約0.2mm~約1.0mmであってもよく、例えば、約0.3mm~約0.8mmであってもよく、例えば、約0.4mm~約0.7mmであってもよい。前記グルーブ14の幅が前記範囲を満足することにより、前記研磨対象130の被研磨面と前記研磨面11との接触面積の大きさが適切に確保可能であり、前記研磨面11に印加される研磨液または研磨スラリーの流動性が適正水準に確保されて最終研磨性能が優れて実現できる。
【0345】
前記研磨パッド110が前記研磨面11に複数のグルーブ14を含む場合、隣接した2つのグルーブ14間の間隔で定義される前記グルーブ14のピッチ(pitch)p1も、前記グルーブ14の幅w1と同じ脈絡下に適切に設計されて、前記半導体素子の製造方法において必要な研磨性能の実現に寄与することができる。例えば、前記グルーブ14のピッチp1は、約1.5mm~約5.0mmであってもよく、例えば、約1.5mm~約4.0mmであってもよく、例えば、約1.5mm~約3.0mmであってもよい。
【0346】
図4を参照すれば、一実施形態において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨パッド110の前記研磨面11上に研磨スラリー150を供給するステップをさらに含むことができる。例えば、前記研磨スラリー150は、供給ノズル140を介して前記研磨面11上に供給される。
【0347】
前記供給ノズル140を介して噴射される研磨スラリー150の流量は、約10ml/分~約1,000ml/分であってもよく、例えば、約10ml/分~約800ml/分であってもよく、例えば、約50ml/分~約500ml/分であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0348】
前記研磨スラリー150は、シリカスラリーまたはセリアスラリーを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0349】
図4を参照すれば、前記研磨対象130は、研磨ヘッド(Polishing Head)160に装着された状態で、前記研磨面11に所定の荷重で加圧されながら研磨される。前記研磨対象130は、前記研磨ヘッド160に装着される時、その被研磨面が前記研磨面11に向かうように装着される。前記研磨対象130の被研磨面が前記研磨面11に対して加圧される荷重は、被研磨面の種類および目的に応じて適切に設計可能であるが、例えば、約0.01psi~約20psiであってもよく、例えば、約0.1psi~約15psi、例えば、約1psi~約12psiであってもよく、例えば、約3psi~約6psiであってもよい。
【0350】
一実施形態において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨パッド110の前記研磨面11を研磨に適した状態に維持させるために、前記研磨対象130の研磨と同時に、コンディショナ170を介して前記研磨面11を加工するステップをさらに含むことができる。
【0351】
前記コンディショナ170は、所定の回転速度で回転しながら前記研磨面11を粗面化する役割を果たすことができる。前記コンディショナ170の回転速度は、例えば、約50rpm~約150rpmであってもよく、例えば、約80rpm~約120rpmであってもよい。前記コンディショナ170の回転による表面処理により前記研磨面11が研磨工程全体にわたって最適な表面状態を維持することができ、研磨寿命が長期化される効果を得ることができる。
【0352】
前記コンディショナ170の前記研磨面11に対する加圧圧力は、例えば、約1lbf~約12lbf、例えば、約3lbf~約9lbfであってもよい。前記コンディショナ170をこのような条件下で加圧して行う表面処理により前記研磨面11が研磨工程全体にわたって最適な表面状態を維持することができ、研磨寿命が長期化される効果を得ることができる。
【0353】
<実施例および比較例>
実施例1
2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)100重量部対比、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)25重量部を含む芳香族ジイソシアネートを用意し、前記芳香族ジイソシアネート全体100重量部対比、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)11重量部を混合してイソシアネート成分を用意した。前記イソシアネート成分全体100重量部対比、重量平均分子量(Mw)が1,000g/molであるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)130重量部を用意し、前記イソシアネート成分全体100重量部対比、重量平均分子量(Mw)が106g/molであるジエチレングリコール(DEG)14重量部を混合してポリオール成分を用意した。前記イソシアネート成分および前記ポリオール成分を含む混合原料を4口フラスコに投入後、80℃で反応させてウレタン系プレポリマーを含む予備組成物を製造した。前記予備組成物中のイソシアネート基(NCO基)の含有量は9重量%に調節された。前記予備組成物に硬化剤として4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)を混合しかつ、前記予備組成物中のNCO基に対する前記MOCAのNH2基のモル比が0.96となるように混合した。また、前記予備組成物に膨張性粒子の固相発泡剤(Akzonobel社)1.0重量部およびシリコーン系界面活性剤(OFX-193)1.0重量部を混合した。前記予備組成物を、横1,000mm、縦1,000mm、高さ3mmであり、90℃に予熱されたモールドに注入しかつ、10kg/minの吐出速度で注入し、同時に気相発泡剤として窒素(N2)気体を1.0L/minの注入速度で前記予備組成物の注入時間と同一時間注入した。次いで、前記予備組成物を110℃の温度条件下で後硬化反応してシートを製造した。前記シートを旋削(line turning)加工し、表面が幅(width、w1)0.5mm、ピッチ(pitch、p1)3.0mm、深さ(depth、d1)0.85mmである同心円状グルーブを加工して、厚さ1.0mmの研磨可変層を製造した。
【0354】
一方、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate、MDI)を含む芳香族イソシアネート化合物を用意し、前記MDI100重量部対比、1,4-ブタンジオール18重量部およびポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG650)71重量部を混合して、横1,000mm、縦1,000mm、高さ3mmであり、80℃に予熱されたケーキ(Cake)状のモールドに投入後、120分硬化させ、常温で後硬化した後、110℃の温度で12時間熟成し、これを厚さ1.0mmにスライシングして研磨不変層を用意した。
【0355】
一方、ポリエステル樹脂不織布にウレタン系樹脂が含浸された構造であり、厚さが1.1mmのクッション層を用意した。
【0356】
前記研磨可変層のグルーブが生成された面の裏面;前記研磨不変層の両面;前記クッション層の一面;上に両面接着テープを付着させ、順次に前記研磨可変層、前記研磨不変層、および前記クッション層を積層しかつ、互いに接着テープの付着面が当接するように配置後、貼り合わせて、総厚さ3.2(±0.5)mmの研磨パッドを製造した。
【0357】
実施例2
【0358】
4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate、MDI)を含む芳香族イソシアネート化合物を用意し、前記MDI100重量部対比、1,4-ブタンジオール14重量部およびポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG650)100重量部を混合して、横1,000mm、縦1,000mm、高さ3mmであり、80℃に予熱されたケーキ(Cake)状のモールドに投入後、120分硬化させ、常温で後硬化した後、110℃の温度で12時間熟成し、これを厚さ1.0mmにスライシングして研磨不変層を用意した。
【0359】
一方、ポリエステル樹脂不織布にウレタン系樹脂が含浸された構造であり、厚さが1.1mmのクッション層を用意した。
【0360】
前記研磨可変層のグルーブが生成された面の裏面;前記研磨不変層の両面;前記クッション層の一面;上に両面接着テープを付着させ、順次に前記研磨可変層、前記研磨不変層、および前記クッション層を積層しかつ、互いに接着テープの付着面が当接するように配置後、貼り合わせて、総厚さ3.2(±0.5)mmの研磨パッドを製造した。
【0361】
比較例1
前記実施例1において、前記研磨不変層を排除し、前記研磨可変層を厚さ2.0mmに製造して、前記研磨可変層のグルーブが生成された面の裏面;および前記クッション層の一面;上に両面接着テープを付着させた後、それぞれの接着テープの付着面が互いに当接するように配置後、貼り合わせて、総厚さ3.1(±0.5)mmの研磨パッドを製造したことを除き、前記実施例1と同様の方法で研磨パッドを製造した。
【0362】
比較例2
前記実施例1において、前記研磨不変層を排除し、前記研磨可変層のグルーブが生成された面の裏面;および前記クッション層の一面;上に両面接着テープを付着させた後、それぞれの接着テープの付着面が互いに当接するように配置後、貼り合わせて、総厚さ2.1(±0.5)mmの研磨パッドを製造したことを除き、前記実施例1と同様の方法で研磨パッドを製造した。
【0363】
比較例3
4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenylmethanediisocyanate、MDI)を含む芳香族イソシアネート化合物を用意し、前記MDI100重量部対比、1,4-ブタンジオール11重量部およびポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG650)120重量部を混合して、横1,000mm、縦1,000mm、高さ3mmであり、80℃に予熱されたケーキ(Cake)状のモールドに投入後、120分硬化させ、常温で後硬化した後、110℃の温度で12時間熟成し、これを厚さ1.0mmにスライシングして研磨不変層を用意したことを除き、前記実施例1と同様の方法で研磨パッドを製造した。
【0364】
<評価>
実験例1:硬度特性評価
前記実施例および比較例それぞれの研磨可変層、研磨不変層、クッション層とこれらの組み合わせの少なくとも1つからなる積層体に対するショアD(Shore D)硬度を測定した。具体的には、横および縦をそれぞれ5cm×5cmの大きさに裁断してサンプルを用意し、それぞれのサンプルを温度25℃で12時間保管後、硬度計(Bareiss、HPEIII)を用いて測定した。また、それぞれの硬度測定値に基づいて、前記研磨可変層の硬度(H1)と前記研磨不変層の硬度(H2)との比率(H2/H1);前記研磨層の硬度(Hp)と前記クッション層の硬度(Hc)との比率(Hc/Hp);および前記研磨層の硬度(Hp)と前記研磨パッド全体の硬度(Ht)との比率(Hp/Ht)を算出した。その結果は下記表1に記載した通りである。
【0365】
実験例2:圧縮特性評価
前記実施例および比較例それぞれの研磨パッドサンプル25mm×25mmに対して、無負荷状態の初期厚さ(D1)を測定し、常温で前記サンプルに800gの重りで3分間加圧する圧力条件下で加圧して変形された厚さ(D2)を測定した後、(D1-D2)/D1×100の式を用いて圧縮率(%)を導出した。
【0366】
実験例3:研磨可変性評価
前記実施例および比較例それぞれに対して、それぞれの研磨パッドが製造された後、研磨工程に適用される前の前記研磨可変層の第1面に対する表面粗さ(Ri)を中心線の平均粗さ(Ra)を基準として測定し、それぞれの研磨パッドの全体厚さ(Ti)とそれぞれの第1面上のグルーブの深さ(Gi)を測定した。
【0367】
次いで、それぞれの研磨パッドに対して、実際の研磨評価を模写して寿命(Life time)予測評価を行った。酸化ケイ素膜を有するダミーウエハ(Dummy Wafer)とか焼セリアスラリー(KC Tech社のACS-350)、4インチのコンディショナを用いてパッドをエージング(Aging)し、時間別にモニタリングウエハ(Wafer)を投入して研磨率の変化を測定した。研磨条件は、研磨ヘッドの研磨面に対する加圧条件4.0psiにスラリーの流入流量200mm/Lとして評価した。
【0368】
それぞれの研磨パッドに対して研磨率が初期研磨率より20%変化した時点を研磨パッドの寿命終結時点として、乾燥したそれぞれの研磨パッドの前記研磨可変層の第1面に対する表面粗さ(Rf)を中心線の平均粗さ(Ra)を基準として測定し、それぞれの研磨パッドの全体厚さ(Tf)とそれぞれの第1面上のグルーブの深さ(Gf)を測定した。その結果は下記表1の通りである。
【0369】
実験例4:研磨性能評価
前記実施例および比較例それぞれの研磨パッドに対して、前記実験例3と同様の方法で研磨を進行させた後、下記のようにそれぞれの研磨性能を評価した。その結果は表1に記載した通りである。
【0370】
(1)平均研磨率
前記実験例3と同様の方法で研磨を進行させかつ、1分間研磨を進行させた後、乾燥したシリコンウエハに対して、光干渉式膜厚測定装置(SI-F80R、Kyence社)を用いて研磨前後の膜厚の変化を測定した。以後、下記式を用いて研磨率を計算した。このように、計5回の研磨率を測定して数平均値を求めて平均研磨率とした。
【0371】
研磨率(Å/min)=シリコンウエハの研磨厚さ(Å)/研磨時間(min)
【0372】
(2)欠陥
前記実験例3と同様の方法で研磨を進行させかつ、1分間研磨を進行させた後、研磨対象の研磨された表面を肉眼観察して、スクラッチ(scratch)などの欠陥(Defect)の個数を導出した。具体的には、研磨後のシリコンウエハをクリーナ(Cleaner)に移動させて、1%フッ化水素(HF)と精製水(DIW);1%硝酸(H2NO3)と精製水(DIW)をそれぞれ用いて10秒ずつ洗浄した。以後、スピンドライヤ(spin dryer)に移動させて、精製水(DIW)で洗浄した後、窒素(N2)で15秒間乾燥した。乾燥したシリコンウエハをディフェクト(Defect)測定装置(Tenkor社、XP+)を用いて研磨前後の欠陥の変化を肉眼観察した。
【0373】
(3)研磨平坦度
前記実験例3と同様の方法で研磨を進行させかつ、1分間研磨を進行させた後、98箇所のウエハの面内膜厚を測定して、(研磨された厚さの標準偏差(Å)/平均研磨厚さ(Å))×100の式を用いて研磨平坦度(WIWNU:Within Wafer Non Uniformity、%)を導出した。
【0374】
[表1]
前記表1を参照すれば、前記実施例1~2の研磨パッドは、互いに異なる材質の前記研磨可変層および前記研磨不変層の積層構造を前記研磨層に適用しかつ、2つの層の相互硬度比率が約0.50~約1.50の範囲を満足するように設計することにより、研磨率、欠陥および研磨平坦度の面から、前記比較例1~3と比較して同等またはそれ以上の水準の優れた研磨性能を実現することを確認することができた。この時、前記実施例1~2の研磨パッドは、前記研磨不変層の原料として再利用が容易な熱可塑性樹脂原料を適用することにより、本来の研磨機能に加えて、生産性および経済性の面でも向上した効果を得ることを確認することができた。
【0375】
実施例3
2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)100重量部対比、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)25重量部を含む芳香族ジイソシアネートを用意し、前記芳香族ジイソシアネート全体100重量部対比、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)11重量部を混合してイソシアネート成分を用意した。前記イソシアネート成分全体100重量部対比、重量平均分子量(Mw)が1,000g/molであるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)130重量部を用意し、前記イソシアネート成分全体100重量部対比、重量平均分子量(Mw)が106g/molであるジエチレングリコール(DEG)14重量部を混合してポリオール成分を用意した。前記イソシアネート成分および前記ポリオール成分を含む混合原料を4口フラスコに投入後、80℃で反応させてウレタン系プレポリマーを含む予備組成物を用意した。前記予備組成物中のイソシアネート基(NCO基)の含有量は9重量%に調節された。前記予備組成物に、硬化剤として4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)を混合しかつ、前記予備組成物中のNCO基に対する前記MOCAのNH2基のモル比が0.96となるように混合した。また、前記予備組成物に膨張性粒子の固相発泡剤(Akzonobel社)1.0重量部およびシリコーン系界面活性剤(OFX-193)1.0重量部を混合した。前記予備組成物を、横1,000mm、縦1,000mm、高さ3mmであり、90℃に予熱されたモールドに注入しかつ、10kg/minの吐出速度で注入し、同時に気相発泡剤として窒素(N2)気体を1.0L/minの注入速度で前記予備組成物の注入時間と同一時間注入した。次いで、前記予備組成物を110℃の温度条件下で後硬化反応してシートを製造した。前記シートを旋削(line turning)加工し、表面が幅(width、w1)0.5mm、ピッチ(pitch、p1)3.0mm、深さ(depth、d1)0.85mmである同心円状グルーブを加工して、厚さ1.0mmの研磨可変層を製造した。
【0376】
前記研磨可変層のグルーブおよび厚さ加工中に発生した副産物を、粉砕機を用いて平均粒径が1~2mm(平均粒径約1.5mm)となるように粉砕した。次いで、前記研磨可変層のウレタン系プレポリマーと同一のウレタン系プレポリマーを含む予備組成物を用意した。前記予備組成物に、硬化剤として反応基としてアルコール基を有する硬化剤(MCNS社、LA-750、OH-V750)を混合しかつ、前記予備組成物中のNCO基に対する前記硬化剤のOH基のモル比が1.0となるように混合してバインダー用組成物を用意した。前記バインダー用組成物100重量部に対して、前記熱硬化性ポリウレタン粒子が約100重量部含まれるように相互混合した後、上部がオープンされた形態の直径33インチ(inch)の円形モールド上に注入した。次いで、110℃の温度条件下で10時間硬化して硬化物を得た。前記硬化物をスライシング(Slicing)加工して、厚さ1.0mmの研磨不変層を製造した。
【0377】
一方、ポリエステル樹脂不織布にウレタン系樹脂が含浸された構造であり、厚さが1.1mmのクッション層を用意した。
【0378】
前記研磨可変層のグルーブが生成された面の裏面;前記研磨不変層の両面;前記クッション層の一面;上に両面接着テープを付着させ、順次に前記研磨可変層、前記研磨不変層、および前記クッション層を積層しかつ、互いに接着テープの付着面が当接するように配置後、貼り合わせて、総厚さ3.2(±0.5)mmの研磨パッドを製造した。
【0379】
実施例4
前記実施例3の研磨不変層の製造において、前記バインダー用組成物100重量部に対して、前記熱硬化性ポリウレタン粒子が約900重量部含まれるように相互混合したことを除き、同様の方法で研磨パッドを製造した。
【0380】
実施例5
前記実施例3の研磨不変層の製造において、前記バインダー用組成物100重量部に対して、前記熱硬化性ポリウレタン粒子が約11重量部含まれるように相互混合したことを除き、同様の方法で研磨パッドを製造した。
【0381】
比較例4
前記実施例3において、前記研磨不変層を排除し、前記研磨可変層を厚さ2.0mmに製造して、前記研磨可変層のグルーブが生成された面の裏面;および前記クッション層の一面;上に両面接着テープを付着させた後、それぞれの接着テープの付着面が互いに当接するように配置後、貼り合わせて、総厚さ3.1(±0.5)mmの研磨パッドを製造したことを除き、前記実施例1と同様の方法で研磨パッドを製造した。
【0382】
<評価>
実験例5:研磨パッドの硬度評価
前記実施例および比較例それぞれの研磨パッドに対して、研磨面である第1面のショアD(Shore D)硬度を測定した。具体的には、横および縦をそれぞれ5cm×3cmの大きさに裁断してサンプルを用意し、それぞれのサンプルを温度25℃で12時間保管後、ショアD(Shore D)硬度計を用いて測定した。その結果は下記表2に記載した通りである。
【0383】
実験例6:研磨パッドの圧縮率評価
前記実施例および比較例それぞれの研磨パッドに対して、無負荷状態の初期厚さ(D1)を測定し、常温で2400gの直径25mmの断面積を有する円柱の重りで1分間加圧する圧力条件下で加圧して変形された厚さ(D2)を測定した後、(D1-D2)/D1×100の式を用いて圧縮率(%)を導出した。
【0384】
実験例7:研磨可変性評価
前記実施例および比較例それぞれに対して、それぞれの研磨パッドが製造された後、研磨工程に適用される前の前記研磨可変層の第1面に対する表面粗さ(Ri)を中心線の平均粗さ(Ra)を基準として測定し、それぞれの研磨パッドの全体厚さ(Ti)とそれぞれの第1面上のグルーブの深さ(Gi)を測定した。
【0385】
次いで、それぞれの研磨パッドに対して、直径300mmのシリコンウエハ上に酸化ケイ素(SiO2)を化学気相蒸着(CVD)工程によって蒸着した。CMP装置に前記研磨パッドを付着させ、シリコンウエハの酸化ケイ素層の表面が研磨パッドの研磨面に向かうように設けた。前記研磨パッド上にか焼セリアスラリーを250mL/分の速度で供給しながら、3.0psiの荷重で前記シリコンウエハを前記研磨面上に加圧し、前記研磨パッドおよび前記シリコンウエハの回転速度をそれぞれ100rpmとして前記酸化ケイ素膜を研磨した。研磨率が初期研磨率より20%変化した時点まで研磨を進行させた後、シリコンウエハをキャリアから外して、回転式脱水器(spin dryer)に装着し、蒸留水で洗浄した後、窒素で15秒間乾燥した。
【0386】
それぞれの研磨パッドに対して、研磨率が初期研磨率より20%変化した時点を研磨パッドの寿命終結時点として、乾燥したそれぞれの研磨パッドの前記研磨可変層の第1面に対する表面粗さ(Rf)を中心線の平均粗さ(Ra)を基準として測定し、それぞれの研磨パッドの全体厚さ(Tf)とそれぞれの第1面上のグルーブの深さ(Gf)を測定した。
【0387】
次いで、上記式1および式2を用いて前記第1研磨可変性指数および前記第2研磨可変性指数を導出した、その結果は下記表1に記載した通りである。
【0388】
実験例8:研磨性能評価
前記実施例および比較例それぞれの研磨パッドに対して、前記実験例3と同様の方法で研磨を進行させた後、下記のようにそれぞれの研磨性能を評価した。その結果は表1に記載した通りである。
【0389】
(4)平均研磨率
前記実験例6と同様の方法で研磨を進行させかつ、1分間研磨を進行させた後、乾燥したシリコンウエハに対して、光干渉式膜厚測定装置(F54、Filmetrics社)を用いて研磨前後の膜厚の変化を測定した。以後、下記式を用いて研磨率を計算した。このように、計5回の研磨率を測定して数平均値を求めて平均研磨率とした。
【0390】
研磨率(Å/min)=シリコンウエハの研磨厚さ(Å)/研磨時間(min)
【0391】
(5)欠陥
前記実験例6と同様の方法で研磨を進行させかつ、1分間研磨を進行させた後、研磨対象の研磨された表面を肉眼観察してスクラッチ(scratch)などの欠陥(Defect)の個数を導出した。具体的には、研磨後、シリコンウエハをクリーナ(Cleaner)に移動させて、1%フッ化水素(HF)と精製水(DIW);1%硝酸(H2NO3)と精製水(DIW)をそれぞれ用いて10秒ずつ洗浄した。以後、スピンドライヤ(spin dryer)に移動させて、精製水(DIW)で洗浄した後、窒素(N2)で15秒間乾燥した。乾燥したシリコンウエハをディフェクト(Defect)測定装置(Tenkor社、XP+)を用いて研磨前後の欠陥の変化を肉眼観察した。
【0392】
(6)研磨平坦度
前記実験例6と同様の方法で研磨を進行させかつ、1分間研磨を進行させた後、49箇所のウエハの面内膜厚を測定して、(研磨された厚さの標準偏差(Å)/平均研磨厚さ(Å))×100の式を用いて研磨平坦度(WIWNU:Within Wafer Non Uniformity、%)を導出した。
【0393】
[表2]
前記表2を参照すれば、前記実施例3~5の研磨パッドは、研磨可変層および研磨不変層を含み、前記研磨不変層として前記研磨可変層のグルーブおよび厚さ加工中に発生した副産物を、粉砕機を用いて平均粒径が1~2mm(平均粒径約1.5mm)となるように粉砕した粉砕粒子を、所定のバインダーとともに適用した再利用層を適用した。前記比較例4は、このような再利用層の適用がない研磨パッドであって、前記実施例3~5の研磨パッドは、再利用された構成を含むにもかかわらず、前記比較例4と同等水準の研磨性能を実現することから、本来の研磨機能に加えて、工程生産性および経済性の面でも向上した効果を得ることを確認することができた。
【0394】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。