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特許7441922静電気放電フルオロポリマー複合材料からなる管部分
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-21
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】静電気放電フルオロポリマー複合材料からなる管部分
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/127 20060101AFI20240222BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20240222BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20240222BHJP
   C08L 27/12 20060101ALI20240222BHJP
【FI】
F16L11/127
B32B1/08 Z
B32B27/30 D
C08L27/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022169045
(22)【出願日】2022-10-21
(62)【分割の表示】P 2021510420の分割
【原出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2022189915
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】62/737,572
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】プーリア、ジョン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】シェイナー、ウィリアム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ライショウ、ブレット シー.
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-071674(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141901(WO,A1)
【文献】特開平05-196177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/127
B32B 1/08
B32B 27/30
C08L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管部分であって、
管本体を備え、
前記管本体は、前記管本体の第1の端部からの第2の端部までの流路を規定し、
前記管本体は、非導電性フルオロポリマーを含む第1の部分と、フルオロポリマーマトリックスの全体に分布するペルフルオロイオノマーの領域を有するフルオロポリマーマトリックスを含む複合材料から形成された第2の部分とを含み、
前記管本体は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の表面抵抗率を有し、
前記第1の部分は、前記管本体の外面を規定する外層を形成し、
前記第2の部分は、前記流路を流れる流体と接触する前記管本体の内面を規定する内層を形成し、
前記外層と内層との間には中間導電層が配置され、
前記中間導電層は導電性材料を含むフルオロポリマーから形成される、管部分。
【請求項2】
請求項1に記載の管部分において、
フルオロポリマーは、ペルフルオロアルコキシアルカンポリマーであり、
ペルフルオロイオノマーは、ペルフルオロスルホン酸コポリマーである、管部分。
【請求項3】
請求項1または2に記載の管部分であって、
前記管部分は、操作部品を構成する、管部分。
【請求項4】
請求項3に記載の管部分であって、前記操作部品は、
継ぎ手本体、バルブ本体、フィルタハウジング、熱交換器ハウジング、センサハウジング、ポンプ本体、バルブダイアフラム、ブレークシール、ディスペンスヘッド、スプレーノズル、ミキサ、コンテナ、コンテナライナ、または貯蔵ドラムのいずれか1つである、管部分。
【請求項5】
前記複合材料におけるペルフルオロイオノマーの量は、前記複合材料の総重量の0.01wt%~5wt%の範囲である、請求項1から4の何れか一項に記載の管部分。
【請求項6】
請求項2に記載の管部分において、
ペルフルオロスルホン酸コポリマーが酸性形態である、管部分。
【請求項7】
前記導電性材料を含むフルオロポリマーは炭素含有ペルフルオロアルコキシアルカンポリマーである請求項に記載の管部分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静電気放電特性を有するフルオロポリマーマトリックスペルフルオロイオノマーを含むポリマー組成物、およびそのポリマー組成物からなる静電気放電管等の管部分に関する。
【背景技術】
【0002】
静電気放電は、半導体業界やその他の技術利用における流体供給および貯蔵システムにとって重要な技術的問題である。流体システム内のさまざまな操作部品(管やパイプ、バルブ、継ぎ手、フィルタ等)の表面と流体との間の摩擦接触により、静電気が発生したり、蓄積したりする。電荷生成の程度は、操作部品と流体の性質、流体速度、流体粘度、流体の導電率、接地までの経路、液体の乱流とせん断、流体中での空気の存在、表面積等、さまざまな要因によって異なるが、これらに限定されない。さらに、流体がシステムを流れると、電荷は、発生した場所を超えて電荷が蓄積するストリーミング電荷と呼ばれる現象によって下流に運ばれる。十分な電荷の蓄積は、管やパイプの壁、操作部品の表面、さらには、さまざまな製造工程での基板やウェハ上に、静電気放電を引き起こす虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
よって、流体供給および貯蔵システムにおける静電気放電を軽減することが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のいくつかの実施形態は、本明細書に記載されるように、マトリックス内に分布するペルフルオロイオノマーの領域を有するフルオロポリマーマトリックスを含む静電気放電ポリマー複合材料に関する。他の実施形態は、マトリックス内に分布したペルフルオロイオノマーの領域を有するフルオロポリマーマトリックスを含む複合材料を組み込んだ静電気放電管に関する。さらに他の実施形態は、流体処理システムの様々な操作部品などの物品であって、マトリックス内に分散されたペルフルオロイオノマーの領域を有するフルオロポリマーマトリックスを含む複合材料をそれらの構造に組み込んだ物品に関する。複合材料を組み込んだ管及び様々な操作部品は、静電気放電特性を有し、1×10Ω/□(Ω/スクエア)から1×1012Ω/□の範囲の表面抵抗率を有している。
【0005】
本明細書に記載されるように、本開示のいくつかの実施形態は、管部分に関する。管部分は、管本体を含み、管本体の第1の端部から第2の端部までの流路を規定する。管本体は、非導電性フルオロポリマーを含む第1の部分と、第1の部分と接触する第2の部分とを含む。第2の部分は、管本体の表面抵抗率が1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の値となるようにフルオロポリマーマトリックスの全体に分布するペルフルオロイオノマーの領域を有するフルオロポリマーマトリックスを含む複合材料から形成される。複合材料におけるペルフルオロイオノマーの量は、複合材料の総重量の0.01wt%~5wt%の範囲である。
【0006】
一実施形態では、第1の部分は外層であり、管本体の外面を規定する。第2の部分は、内層であり、流路を流れる流体と接触する管本体の内面を規定する。
別の実施形態では、第1の部分は、流路を流れる流体と接触する管本体の内面を規定する内層である。第2の部分は、管本体の外面を規定する外層である。第2の層は、第1の層上に第1の層と接触した状態で配置されている。
【0007】
さらに別の実施形態では、第1の部分は、第2の部分上に第2の部分と接触した状態で配置された管本体の外層であり、第2の部分は、流路を流れる流体と接触する管本体の内面を規定する管本体の内層を形成する。第1の層は、管本体の第1の端部から第2の端部に至る方向に第1の層の内部で軸方向に延びる1つまたは複数の導電性ストライプを含む。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態は、本明細書に記載されるように、流体供給および貯蔵システムの操作部品に関する。操作部品は、静電気放電特性を有しかつ表面抵抗率が1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の値となるように、フルオロポリマーマトリックスの全体に分布するペルフルオロイオノマーの領域を有するフルオロポリマーマトリックスを含む複合材料から形成される部分を少なくとも含む。操作部品は、継ぎ手本体、バルブ本体、フィルタハウジング、熱交換器ハウジング、センサハウジング、ポンプ本体、バルブダイアフラム、ブレークシール、ディスペンスヘッド、スプレーノズル、ミキサ、コンテナ、コンテナライナ、貯蔵ドラムのいずれかである。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態は、本明細書に記載されるように、マトリックのス全体に分布するペルフルオロイオノマーの領域を有するフルオロポリマーマトリックスを含む複合材料を含む組成物であり、複合材料の表面抵抗率が1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の値となるように、複合材料におけるペルフルオロイオノマーの量が複合材料の総重量の0.01wt%~5wt%の範囲であるものに関する。一実施形態では、フルオロポリマーは、ペルフルオロアルコキシアルカンポリマー(PFA)であり、ペルフルオロイオノマーは、ペルフルオロスルホン酸コポリマーである。特定の実施形態では、ペルフルオロスルホン酸コポリマーは酸性形態である。
【0010】
本開示のさらに他の実施形態は、ペルフルオロイオノマーを中和すること、中和されたペルフルオロイオノマーをフルオロポリマーと混合して、フルオロポリマーの全体に分布した中和されたペルフルオロイオノマーの領域を含む複合材料を形成すること、複合材料を含む物品の少なくとも一部を形成すること、物品を酸と接触させて、中和されたペルフルオロイオノマーを酸性形態に変換することを含み、物品が1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の表面抵抗率を有する方法に関する。
【0011】
添付の図面に関連する様々な例示的な実施形態の以下の説明を考慮することで、本開示は更に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態による方法のフローチャート。
図2】本開示の様々な実施形態による管部分の斜視図。
図3】本開示の様々な実施形態による管部分の断面図。
図4】本開示の様々な実施形態による管部分の断面図。
図5A】本開示の様々な実施形態による管部分の断面図。
図5B】本開示の様々な実施形態による管部分の断面図。
図6】本開示の様々な実施形態による管部分の断面図。
図7】本開示の様々な実施形態による管部分の断面図。
図8】本開示の様々な実施形態による操作部品を示す図。
図9】本開示の様々な実施形態による別の操作部品を示す図。
図10】本開示の様々な実施形態による別の操作部品を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、様々な変更例および代替案を受け入れるが、それらの詳細は、図中の例によって示されると共に、詳細に説明される。しかしながら、本開示の態様を、記載された特定の例示的な実施形態に限定することを意図するものではないことを理解すべきである。むしろ、本開示の考え方と範囲に含まれるすべての変更例、同等物、代替案を網羅することを意図している。
【0014】
以下の詳細な説明は、類似した要素に同じ番号を付した図面を参照して読むべきである。詳細な説明及び必ずしも縮尺どおりではない図面は、例示的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。各実施形態は、説明のみを意図している。あらゆる実施形態の選択された特徴は、明確に反対の意味で説明していない限り、追加の実施形態に組み込まれる。
【0015】
様々な実施形態によれば、ペルフルオロイオノマー粒子は、非導電性フルオロポリマーと混合されて、非導電性フルオロポリマーマトリックスと非導電性フルオロポリマーマトリックス内に分布するペルフルオロイオノマーの領域とを含む複合材料を形成する。非導電性フルオロポリマーマトリックス内のペルフルオロイオノマーの領域によって、複合材料に静電気放電特性が付与される。静電気放電材料は、1×10Ω/□以上1×1012Ω/□未満の表面抵抗率、または1×10Ωcm以上1×1011Ωcm未満の体積抵抗率を有する。静電気放電材料は「帯電防止」に分類される。これは、半導体製造産業で使用される流体供給および貯蔵システムでは望ましくない、静電気の蓄積を防ぐ材料を表すために使用される。
【0016】
様々な実施形態による静電気放電複合材料を形成するために使用される例示的な非導電性フルオロポリマーには、ペルフルオロアルコキシアルカンポリマー(PFA)、エチレンおよびテトラフルオロエチレンポリマー(ETFE)、エチレン、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンポリマー(EFEP)、フッ素化エチレンプロピレンポリマー(FEP)のようなフルオロポリマーが含まれるが、これらに限定されない。尚、これらはすべて溶融加工可能である。非腐食性で不活性な構造を提供することに加えて、PFAなどの多くのフルオロポリマーは、射出成形可能であり、押出成形可能である。一実施形態では、非導電性フルオロポリマーは、ペルフルオロアルコキシアルカンポリマー(PFA)である。他の実施形態では、非導電性フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはテトラフルオロエチレンポリマー(PTFE)または変性テトラフルオロエチレンポリマー(TFM)であり、これらは溶融加工可能ではないが、圧縮成形可能である。
【0017】
ペルフルオロイオノマー粒子は、複合材料に静電気放電特性を与えるのに効果的な量で、PFAなどの非導電性フルオロポリマーと混合される。一般に、ペルフルオロイオノマーは、テトラフルオロエチレン主鎖と、イオン交換基で終端するビニルエーテル側鎖とを含む。イオン交換基は、スルホン酸基(スルホン酸塩)またはカルボン酸基(カルボン酸塩)である。場合によっては、ペルフルオロイオノマーは、スルホン酸基とカルボン酸基との混合物を含むことができる。イオン交換基が存在するため、ペルフルオロイオノマーはプロトンを伝導することができ、プロトン伝導性を有している。ただし、ペルフルオロイオノマーは陰イオンや電子を伝導しない。
【0018】
様々な実施形態によれば、ペルフルオロイオノマーは、ペルフルオロスルホン酸コポリマーである。静電気放電複合材料の使用に適した例示的なペルフルオロスルホン酸コポリマーは、スルホン酸基で終端するペルフルオロエーテルペンダント側鎖と共にポリ(テトラフルオロエチレン)主鎖を有するペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーである。スルホン酸基で終端するペルフルオロエーテルペンダント側鎖と共にポリ(テトラフルオロエチレン)主鎖を有するペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーの1つの例は、NAFIONTMである。NAFIONTMは、The Chemous Companyの商標である。スルホン酸基で終端するペルフルオロエーテルペンダント側鎖と共にポリ(テトラフルオロエチレン)主鎖を有するペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーの更に別の例として、FLEMION(登録商標)(旭硝子)、ACIPLEX(旭化成)、およびFUMION F(FuMA-Tech)がある。
【0019】
一実施形態では、ペルフルオロイオノマー粒子は、その酸(H+)形態のペルフルオロスルホン酸コポリマーの粒子である。NAFIONTM粒子は、本明細書に記載されているように、静電気放電複合材料を形成するために使用することができる酸性形態のペルフルオロスルホン酸コポリマーの粒子の一例である。ペルフルオロスルホン酸コポリマー粒子は、100nm~1000nm、100nm~500nm、又は100nm~200nmの平均ビーズ径を有するビーズとして提供される。一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸コポリマー粒子は、約200nmの平均ビーズ径を有する。場合によっては、ペルフルオロイオノマー粒子は溶媒中の懸濁液として利用可能である。その他の場合、ペルフルオロイオノマー粒子は乾燥樹脂ビーズとして入手可能である。
【0020】
ペルフルオロスルホン酸コポリマー粒子は、複合材料の表面抵抗率が1×10Ω/□よりも大きく1×1012Ω/□未満であるように、より具体的には、1×10Ω/□~1×10Ω/□の範囲内になるような有効量で、非導電性フルオロポリマー内に分散される。複合材料はシートに成形され、ASTM F1711に従って表面抵抗率が測定される。いくつかの実施形態では、複合材料を形成するため、ペルフルオロスルホン酸コポリマー粒子を非導電性フルオロポリマーと混合して非導電性フルオロポリマーマトリックス内に分布するペルフルオロスルホン酸コポリマーの領域を含む複合材料を形成するのを助けるために、ペルフルオロスルホン酸コポリマー粒子を最初に水酸化アンモニアや水酸化ナトリウムなどの強塩基と接触させて、その粒子をコポリマーの酸(H+)形態からコポリマーの中和形態または非イオン性の形態に変換する。ペルフルオロスルホン酸コポリマーは、混合した材料を塩酸などの強酸と接触させることによって、混合した後に、その酸性形態に戻すことができる。一実施形態では、複合材料におけるペルフルオロスルホン酸コポリマーの量は、複合材料の総重量の0.01wt%~10wt%の範囲である。別の実施形態では、複合材料におけるペルフルオロスルホン酸コポリマーの量は、0.01wt%~5wt%の範囲である。さらに別の実施形態では、ペルフルオロスルホン酸コポリマーの量は、1wt%~5wt%の範囲である。さらに別の実施形態では、ペルフルオロスルホン酸コポリマーの量は、2wt%~5wt%の範囲である。いくつかの実施形態において、ペルフルオロスルホン酸コポリマーは、最終的な複合材料において酸性形態である。
【0021】
1つの非限定的な例では、静電気放電複合材料は、0.01wt%~5wt%の範囲の量で酸性形態のNAFIONTMの領域を有するPFAを含み、複合材料は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との表面抵抗率を有する。別の非限定的な例では、静電気放電複合材料は、2wt%~5wt%の範囲の量で酸性形態のNAFIONTMの領域を有するPFAを含み、複合材料は、1×10Ω/□と1×10Ω/□との間の表面抵抗率を有する。複合材料はシートに成形され、ASTM F1711に従って複合材料の表面抵抗率が測定される。
【0022】
図1は、本明細書に記載されるように、様々な実施形態による静電気放電複合材料を形成する方法を説明するフローチャートである。最初のステップでは、ペルフルオロスルホン酸コポリマー粒子を、例えば、水酸化アンモニウムなどの強塩基と接触させて、ペルフルオロスルホン酸コポリマー粒子をそれらの非イオン性形態または中和形態に変換する(ブロック4)。場合によっては、ペルフルオロスルホン酸コポリマー粒子が、溶媒中の懸濁液として提供される。理論に拘束されることを望まないが、ペルフルオロスルホン酸コポリマー粒子が懸濁液として提供される場合、懸濁液は、非導電性フルオロポリマーのビーズまたはペレット上にコーティングされる。次に、溶媒を蒸発させて、フルオロポリマーのビーズまたはペレット上に、ペルフルオロスルホン酸コポリマーのコーティングを残す。他の場合には、ペルフルオロスルホン酸コポリマー粒子を乾燥粉末の形態で得て、非導電性フルオロポリマーのビーズまたはペレットと混合し、出発物質を形成する。ペルフルオロスルホン酸コポリマー粒子を非導電性フルオロポリマーと組み合わせる方法が何であれ、材料をさらに処理して(例えば、溶融処理、圧縮成形、共押出しなど)、フルオロポリマー内に分布する中和形態で、ペルフルオロイオノマーの領域を含む複合材料を形成する(ブロック6)。次に、複合材料をペレットにしてから(ブロック8)、後述するように、さらに処理して、物品または物品の一部を形成する。場合によっては、フルオロポリマーに応じて、複合材料から形成されたペレットを、押出成形、射出成形、回転成形、ブロー成形、または圧縮成形して、物品または物品の一部を形成する。一実施形態では、複合材料から形成されたペレットを押し出して、管部分または管部分の1つまたは複数の層を形成する(ブロック10)。いくつかの実施形態では、複合材料から少なくとも一部が形成された物品を、例えば塩酸などの強酸と接触させて、複合材料におけるペルフルオロスルホン酸コポリマーを酸性形態に戻す(ブロック12)。酸またはプロトン化(H+)形態に変換されるコポリマー中のイオン交換基の数は、得られる物品の表面抵抗率に影響を与える。場合によっては、物品は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の表面抵抗率を有し、より具体的には、1×10Ω/□と1×10Ω/□との間の表面抵抗率を有する。物品の表面抵抗率は、ASTM F1711に従って測定される。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のように、管部分は、静電気放電複合材料を含み、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の表面抵抗率を有し、より具体的には、1×10Ω/□と1×10Ω/□との間の表面抵抗率を有している。静電気放電材料を管部分に組み込むことにより、管部分を流れる流体の結果として、管部分の外面上での静電荷の蓄積を低減することができる。さらに、静電荷が管部分の外面に蓄積する程度まで、静電気放電複合材料を管部分に組み込むことで、管部分の外面上に蓄積された電荷が、よりゆっくりと接地へと流れるようになる。静電荷の蓄積の低減と接地への電荷のゆっくりとした移動とにより、流体の供給および貯蔵システムにおける静電放電事象を防ぐことができる。
【0024】
図2は、本開示の様々な実施形態による管部分の斜視図である。図2に示されるように、管部分10は、一般に、管本体14を含み、管本体14はその第1の端部22から第2の端部24までの流路18を規定する。様々な実施形態によれば、管本体14は、本明細書に記載されるように、静電気放電複合材料を組み込むように構成されている。特定の実施形態では、管部分を形成する管本体14は、本明細書に記載されるように、全体的に静電気放電複合材料から構成されている。管本体14に使用される静電気放電複合材料は、管部分10に静電気放電特性を付与し、これにより、管部分10の外面上への静電荷の蓄積を低減し、静電気放電を軽減することができる。いくつかの実施形態では、管部分10は、より大きな流体供給システム内で流体を搬送するために使用される、ある長さの管を形成する。管部分10は、用途、ならびに流体供給および貯蔵システム内で搬送される流体の性質および量に応じて、様々な直径および長さを有する。場合によっては、管部分が押し出される。
【0025】
管本体14に使用される静電気放電複合材料は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の表面抵抗率を有するように、マトリックスの全体に分布するペルフルオロスルホン酸コポリマーの領域を有するPFAマトリックスを含む。一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸コポリマーはNAFIONTMである。ペルフルオロスルホン酸コポリマーは、最終製品において酸性形態である。内層38に使用される静電複合材料におけるペルフルオロスルホン酸コポリマーの量は、複合材料の総重量の0.01wt%~10wt%の範囲であり、複合材料の総重量の0.01wt%~5wt%の範囲であり、複合材料の総重量の1wt%~5wt%の範囲であり、より具体的には、複合材料の総重量の2wt%~5wt%の範囲である。管本体14は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間、より具体的には、1×10Ω/□と1×10Ω/□との間の表面抵抗率を有することができる。管本体36の表面抵抗率は、ASTM F1711に従って測定することができる。
【0026】
図3は、本開示の一実施形態による管部分30の断面図である。図3に示されるように、管部分30は、管本体36の外層34を形成する第1の部分と、管本体36の内層38を形成する第2の部分とを含む。外層34は、内層38の外面上に内層38と接触した状態で配置されている。内層38は、管本体36の内面42を規定する。管本体36の内面42は、管本体36内に形成された流路44を流れる流体に接触し、晒されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、管本体36の外層34を形成する第1の部分は、非導電性フルオロポリマーから形成される。外層に使用される適切な非導電性フルオロポリマーには、ペルフルオロアルコキシアルカンポリマー(PFA)、エチレンおよびテトラフルオロエチレンポリマー(ETFE)、エチレン、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンポリマー(EFEP)、フッ素化エチレンプロピレンポリマー(FEP)のようなフルオロポリマーが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、外層34を形成する第1の部分は、PFAから形成される。
【0028】
管本体36の内面42を規定する内層38を形成する第2の部分は、マトリックスの全体に分布するペルフルオロイオノマーの領域を有する非導電性フルオロポリマーマトリックスを含む静電気放電複合材料から形成されている。いくつかの実施形態では、静電気放電複合材料は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の表面抵抗率を有するように、マトリックスの全体に分布するペルフルオロスルホン酸コポリマーの領域を有するPFAマトリックスを含む。一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸コポリマーはNAFIONTMである。ペルフルオロスルホン酸コポリマーは、最終製品において酸性形態である。内層38に使用される静電複合材料におけるペルフルオロスルホン酸コポリマーの量は、複合材料の総重量の0.01wt%~10wt%の範囲であり、複合材料の総重量の0.01wt%~5wt%の範囲であり、複合材料の総重量の1wt%~5wt%の範囲であり、より具体的には、複合材料の総重量の2wt%~5wt%の範囲である。管本体36は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間、より具体的には、1×10Ω/□と1×10Ω/□との間の表面抵抗率を有することができる。管本体36の表面抵抗率は、ASTM F1711に従って測定することができる。
【0029】
一実施形態では、外層34を内層38と共押出して、管本体36を形成することができる。別の実施形態では、内層38は、最初に押し出しによって形成することができる。次に、外層34を内層38上に押し出して、管本体36を形成することができる。
【0030】
図4は、本開示の別の実施形態による管部分40の断面図である。図4に示されるように、管部分40は、管本体46の外層44を形成する第1の部分と、管本体46の内層48を形成する第2の部分とを含む。外層44は、内層48の外面上に内層48と接触した状態で配置されている。内層48は、管本体46の内面52を規定する。管本体46の内面52は、管本体46内に形成された流路54を流れる流体に接触し、晒されている。
【0031】
管本体46の外層44を形成する第1の部分は、本明細書に記載されるように、ペルフルオロイオノマー粒子に混合されたフルオロポリマーを含む静電気放電複合材料から形成される。いくつかの実施形態では、静電気放電複合材料は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の表面抵抗率を有するように、マトリックスの全体に分布するペルフルオロスルホン酸コポリマーの領域を有するPFAマトリックスを含む。一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸コポリマーはNAFIONTMである。ペルフルオロスルホン酸コポリマーは、最終製品において酸性形態である。内層38に使用される静電複合材料におけるペルフルオロスルホン酸コポリマーの量は、複合材料の総重量の0.01wt%~10wt%の範囲であり、複合材料の総重量の0.01wt%~5wt%の範囲であり、複合材料の総重量の1wt%~5wt%の範囲であり、より具体的には、複合材料の総重量の2wt%~5wt%の範囲である。管本体は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間、より具体的には、1×10Ω/□と1×10Ω/□との間の表面抵抗率を有することができる。管本体の表面抵抗率は、ASTM F1711に従って測定される。
【0032】
管本体46の内層48を形成する第2の部分は、非導電性フルオロポリマーから形成することができる。内層に使用される適切な非導電性フルオロポリマーには、ペルフルオロアルコキシアルカンポリマー(PFA)、エチレンおよびテトラフルオロエチレンポリマー(ETFE)、エチレン、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンポリマー(EFEP)、フッ素化エチレンプロピレンポリマー(FEP)のようなフルオロポリマーが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、内層48を形成する第2の部分は、PFAから形成される。
【0033】
一実施形態では、外層44を内層48と共押出して、管本体46を形成することができる。別の実施形態では、内層48は、最初に押し出しによって形成することができる。次に、外層44を内層48上に押し出して、管本体46を形成することができる。
【0034】
図5Aおよび図5Bは、本開示のさらに他の実施形態による管部分100の断面図を示す。図5Aに示されるように、管部分100は、管本体104の外層102を形成する第1の部分と、管本体104の内層106を形成する第2の部分とを含む。図5Aに示されるように、外層102を形成する第1の部分は、第1の非導電性部分108と、少なくとも1つの第2の導電性部分とを含む。第2の導電性部分は、第1の非導電性部分108上またはその内部にて軸方向に延びる導電性材料のストライプ110として形成される。図5Aに示す実施形態では、外層102の少なくとも一部を形成する第1の非導電性部分108(図5A)は、本明細書に記載のような非導電性フルオロポリマーから形成される。また、導電性材料の1つまたは複数のストライプ110は、導電性材料が付与されたフルオロポリマーから形成される。導電性材料が付与されたフルオロポリマーの非限定的な例の1つは、炭素が充填されたPFAである。
【0035】
他の実施形態では、図5Bに示されるように、第2の導電性部分は、非導電性部分108と内層106との間に配置された中間導電性層116として提供される。図5Bに示されるように、非導電性部分108は、外層102全体を形成すると共に、本明細書に記載されるように非導電性フルオロポリマーから形成される。中間導電層116は、炭素含有PFAなどの導電性材料が含む充填されたフルオロポリマーから形成することができる。これは一例に過ぎない。他の導電性含有ポリマー、特に、フルオロポリマーを使用して中間導電層116を形成できることを理解すべきである。
【0036】
図5Aおよび図5Bに示される管本体104の内層106を形成する第2の部分は、本明細書に記載されるように、ペルフルオロイオノマー粒子に混合されたフルオロポリマーを含む静電気放電複合材料から形成される。いくつかの実施形態では、静電気放電複合材料は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の表面抵抗率を有するように、マトリックスの全体に分布するペルフルオロスルホン酸コポリマーの領域を有するPFAマトリックスを含む。一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸コポリマーはNAFIONTMである。ペルフルオロスルホン酸コポリマーは、最終製品において酸性形態である。内層38に使用される静電複合材料におけるペルフルオロスルホン酸コポリマーの量は、複合材料の総重量の0.01wt%~10wt%の範囲であり、複合材料の総重量の0.01wt%~5wt%の範囲であり、複合材料の総重量の1wt%~5wt%の範囲であり、より具体的には、複合材料の総重量の2wt%~5wt%の範囲である。管本体104は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間、より具体的には、1×10Ω/□と1×10Ω/□との間の表面抵抗率を有することができる。管本体の表面抵抗率は、ASTM F1711に従って測定される。
【0037】
管本体104に静電気放電特性を付与することに加え、静電気放電複合材料から形成された内層106の存在は、管本体106内に規定された流路114を流れる流体と接触する不活性な内面112を提供すると共に、導電性ストライプ110からの汚染物質が流体に含まれるのを防ぐこともできる。
【0038】
図6は、別の例示的な実施形態による管部分200の端部断面図を示し、管部分200は管本体202を有し、管本体202は、第1の部分204と、第1の部分204上またはその内部で軸方向に延びる1つまたは複数のストライプ208として形成された第2の部分206とを含む。また、第1の部分204および第2の部分206は、管本体202の内面210を規定する。管本体202の内面210は、管本体202内に形成された流路214を流れる流体に接触し、晒されている。ストライプ208の数は変更可能である。いくつかの実施形態では、管本体202は、図6に示されるよりも少ないか多い数のストライプ208を含むことができる。
【0039】
管本体202の第1の部分204は、非導電性フルオロポリマーから形成することができる。外層に使用される適切な非導電性フルオロポリマーには、ペルフルオロアルコキシアルカンポリマー(PFA)、エチレンおよびテトラフルオロエチレンポリマー(ETFE)、エチレン、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンポリマー(EFEP)、フッ素化エチレンプロピレンポリマー(FEP)のようなフルオロポリマーが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、第1の部分202は、PFAから形成される。
【0040】
管本体202の第2の部分206は、本明細書に記載されるように、ペルフルオロイオノマー粒子に混合されたフルオロポリマーを含む静電気放電複合材料から形成される。いくつかの実施形態では、静電気放電複合材料は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の表面抵抗率を有するように、マトリックスの全体に分布するペルフルオロスルホン酸コポリマーの領域を有するPFAマトリックスを含む。一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸コポリマーはNAFIONTMである。ペルフルオロスルホン酸コポリマーは、最終製品において酸性形態である。内層38に使用される静電複合材料におけるペルフルオロスルホン酸コポリマーの量は、複合材料の総重量の0.01wt%~10wt%の範囲であり、複合材料の総重量の0.01wt%~5wt%の範囲であり、複合材料の総重量の1wt%~5wt%の範囲であり、より具体的には、複合材料の総重量の2wt%~5wt%の範囲である。管本体202は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間、より具体的には、1×10Ω/□と1×10Ω/□との間の表面抵抗率を有することができる。管本体の表面抵抗率は、ASTM F1711に従って測定される。
【0041】
図7は、別の例示的な実施形態による管部分300の端部断面図を示し、管部分300は管本体302を有し、管本体302は、第1の部分304と、管本体302の長さに沿って第1の部分304内で軸方向に延びる1つまたは複数のストライプ308として形成された第2の部分306とを含む。管本体302の長さに沿って第1の部分304内で軸方向に延びることに加えて、1つまたは複数のストライプ308は、管本体302の外面310から内面312にまで第1の部分304を貫通して延びる厚さを有する。また、第1の部分304、および第2の部分306を形成する1つまたは複数のストライプ308は、管本体302の内面312を規定する。管本体302の内面312は、管本体302内に形成された流路314を流れる流体に接触し、晒されている。ストライプ308の数は変更可能である。いくつかの実施形態では、管本体302は、図7に示されるよりも少ないか多い数のストライプ308を含むことができる。ストライプ308の幅Wも変更可能である。
【0042】
管本体302の第1の部分304は、非導電性フルオロポリマーから形成することができる。外層に使用される適切な非導電性フルオロポリマーには、ペルフルオロアルコキシアルカンポリマー(PFA)、エチレンおよびテトラフルオロエチレンポリマー(ETFE)、エチレン、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンポリマー(EFEP)、フッ素化エチレンプロピレンポリマー(FEP)のようなフルオロポリマーが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、第1の部分304は、PFAから形成される。
【0043】
管本体302の第2の部分306を形成するストライプ308は、本明細書に記載されるように、ペルフルオロイオノマー粒子に混合されたフルオロポリマーを含む静電気放電複合材料から形成される。複合材料に使用されるフルオロポリマーは、管本体302の第1の部分304に使用されるものと同じフルオロポリマーであるが、必須ではない。いくつかの実施形態では、静電気放電複合材料は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間の表面抵抗率を有するように、マトリックスの全体に分布するペルフルオロスルホン酸コポリマーの領域を有するPFAマトリックスを含む。一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸コポリマーはNAFIONTMである。ペルフルオロスルホン酸コポリマーは、最終製品において酸性形態である。内層38に使用される静電複合材料におけるペルフルオロスルホン酸コポリマーの量は、複合材料の総重量の0.01wt%~10wt%の範囲であり、複合材料の総重量の0.01wt%~5wt%の範囲であり、複合材料の総重量の1wt%~5wt%の範囲であり、より具体的には、複合材料の総重量の2wt%~5wt%の範囲である。管本体302は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間、より具体的には、1×10Ω/□と1×10Ω/□との間の表面抵抗率を有することができる。管本体の表面抵抗率は、ASTM F1711に従って測定される。
【0044】
管部分に加えて、流体供給および貯蔵システムの様々な他の操作部品の少なくとも一部は、様々な実施形態に従って本明細書に開示されるように、静電気放電複合材料から形成される。本開示において本明細書で使用される「操作部品」は、流体が入力し出力される部分を有しかつ流体の流れを方向付けたり提供したりする管部分と接続する任意の部品または装置である。また、「操作部品」は、例えば、バルブ、ポンプダイアフラムまたはブレークシールなど、流体に接触するか晒される部品の操作部分を含む。操作部品の例には、継ぎ手本体、バルブ本体、バルブダイアフラム、フィルタハウジング、熱交換器ハウジング、センサハウジング、ポンプ本体、ダイアフラム、ブレークシール、ディスペンスヘッド、スプレーノズル、ミキサ、コンテナ、コンテナライナ、貯蔵ドラムなどが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、操作部品は、バルブ本体またはポンプ本体である。別の実施形態では、操作部品は、バルブダイアフラムまたはポンプダイアフラムである。場合によっては、操作部品のすべてではないにしても、少なくとも一部を複合材料から圧縮成形することができる。
【0045】
図8および図9は、本開示の1つまたは複数の実施形態による操作部品310A、310Bの例を示す。図8は、継ぎ手314である操作部品310Aを示し、より具体的には、「T」形状(例えば、T字型継ぎ手)の三方コネクタである。図9は、バルブ318を示す。T字型継ぎ手314は、本体部322と、本体部322から外向きに延びる3つのコネクタ継ぎ手326とを含む。特定の実施形態では、コネクタ継ぎ手の外面は、構造面370を含む。バルブ318は、本体部330と、本体部330から外向きに延びる2つのコネクタ継手327とを含む。特定の実施形態では、コネクタ継ぎ手の外面は、構造面270を含む。
【0046】
様々な実施形態において、コネクタ継ぎ手326および327は、実質的に同じである。上記のように、様々な実施形態において、本体部322、330は、本明細書に記載されるように、静電気放電複合材料を使用して形成される。例えば、本体部322または330の少なくとも一部は、マトリックスの全体に分散する混合されたペルフルオロスルホン酸コポリマーの領域を有するPFAマトリックスを含む静電気放電複合材料から形成される。一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸コポリマーはNAFIONTMである。ペルフルオロスルホン酸コポリマーは、最終製品において酸性形態である。本体部322または330の少なくとも一部に使用される静電複合材料におけるペルフルオロスルホン酸コポリマーの量は、複合材料の総重量の0.01wt%~10wt%の範囲であり、複合材料の総重量の0.01wt%~5wt%の範囲であり、複合材料の総重量の1wt%~5wt%の範囲であり、より具体的には、複合材料の総重量の2wt%~5wt%の範囲である。複合材料からなる操作部品は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間、より具体的には、1×10Ω/□と1×10Ω/□との間の表面抵抗率を有することができる。表面抵抗率は、ASTM F1711に従って測定される。
【0047】
図10は、さらに別の操作部品400を示し、その少なくとも一部は、本明細書に記載されるような静電気放電複合材料から形成することができる。図10は、2つの管部分を接続するためのストレートコネクタ継ぎ手400を示す。コネクタ継ぎ手400は、肩領域402、ねじ領域406a、およびニップル部分406bを含む。肩領域402は、操作部品の本体部404に隣接すると共に、外向きに延在してネック領域406を形成する。様々な実施形態によれば、本明細書に記載されるように、管部分は、例えば、PRIMELOCK(登録商標)継ぎ手として構成されるニップル部分406bによって支持される。PRIMELOCK(登録商標)は、インテグリス社の登録商標である。特定の実施形態では、コネクタ継ぎ手400は、アタッチメント408を含む。アタッチメント408は、本明細書に記載されるような静電気放電複合材料から形成されると共に、外部の電気接点及び接地との接続のために本体部分404に接続されている。例えば、アタッチメント408は、操作部品としてのコネクタ継ぎ手400をESD(静電放電)軽減用に構成するため、接地された電気接点に接続することができる。例えば、アタッチメント408およびまたは本体部404は、マトリックスの全体に分散する混合されたペルフルオロスルホン酸コポリマーの領域を有するPFAマトリックスを含む静電気放電複合材料から形成することができる。一実施形態では、ペルフルオロスルホン酸コポリマーはNAFIONTMである。ペルフルオロスルホン酸コポリマーは、最終製品において酸性形態である。最終製品の少なくとも一部に使用される静電複合材料におけるペルフルオロスルホン酸コポリマーの量は、複合材料の総重量の0.01wt%~10wt%の範囲であり、複合材料の総重量の0.01wt%~5wt%の範囲であり、複合材料の総重量の1wt%~5wt%の範囲であり、より具体的には、複合材料の総重量の2wt%~5wt%の範囲である。複合材料からなるアタッチメント408およびまたは本体部404は、1×10Ω/□と1×1012Ω/□との間、より具体的には、1×10Ω/□と1×10Ω/□との間の表面抵抗率を有することができる。表面抵抗率は、ASTM F1711に従って測定される。
【0048】
このように本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書に添付した特許請求の範囲内で、更に別の実施形態が形成され使用されることを容易に理解するであろう。この文書によってカバーされる開示の多くの利点は、前述した。しかしながら、この開示は多くの点で例示にすぎないことを理解すべきである。開示の範囲を超えることなく、特に形状や大きさ部品の配置等の詳細について変更を加えてもよい。もちろん、開示の範囲は、添付のクレームが表現されている言語で定義される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10