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特許7442459カーボンハードマスクのプラズマ強化化学気相堆積
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  • 特許-カーボンハードマスクのプラズマ強化化学気相堆積 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】カーボンハードマスクのプラズマ強化化学気相堆積
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/26 20060101AFI20240226BHJP
   C23C 16/505 20060101ALI20240226BHJP
   H01L 21/314 20060101ALI20240226BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
C23C16/26
C23C16/505
H01L21/314 A
H01L21/31 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020558627
(86)(22)【出願日】2019-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019023306
(87)【国際公開番号】W WO2019209433
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】62/662,093
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クォン, ビョン ソク
(72)【発明者】
【氏名】クルシュレシャータ, パラシャント クマール
(72)【発明者】
【氏名】リー, クァンドゥック ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】アフザル, ブシュラ
(72)【発明者】
【氏名】ハー, スンウォン
(72)【発明者】
【氏名】プラバカール, ビネイ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】カルセカール, ヴィレン
(72)【発明者】
【氏名】トカチチュ, サティヤ
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド, エドワード ピー., ザ フォース
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0099147(US,A1)
【文献】特開2015-070270(JP,A)
【文献】特表2012-506151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062218(US,A1)
【文献】特開2012-019211(JP,A)
【文献】特開2006-156539(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107587121(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
H01L 21/00-21/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバ内に含まれた基板を摂氏100度から摂氏700度の範囲内の温度に加熱すること、
3kWを超えるRF電力を放出する発電機を用いてプラズマを生成すること、
前記プロセスチャンバ内において前記プラズマの中に炭化水素前駆体を流入させること、及び
5,000Å/分を超える速度で前記基板上にカーボンハードマスク層を形成することを含み、
前記カーボンハードマスク層が、2.5μmより厚く10μmまでの厚さで形成される、方法。
【請求項2】
前記RF電力が、3kWより大きく7kWまでである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カーボンハードマスク層が、5,000Å/分より速く10,000Å/分までの速度で前記基板上に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アルゴン、ヘリウム、窒素、水素、酸素、それらのラジカル、又はそれらの任意の組み合わせを含む、キャリアガスを前記プロセスチャンバの中に流入させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記炭化水素前駆体が、C1~C8アルキル、C2~C8アルケン、C2~C8アルキン、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記炭化水素前駆体が、プロピレン、アセチレン、エチレン、メタン、プロパン、ヘキサン、ベンゼン、イソプレン、ブタジエン、それらの異性体、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プロセスチャンバ内において、前記プラズマの中に、窒素含有前駆体、硫黄含有前駆体、ホウ素含有前駆体、又はそれらの任意の組み合わせを含む、ドーパント前駆体を流入させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ドーパント前駆体が、前記窒素含有前駆体を含み、前記窒素含有前駆体が、ピロール、ピリジン、脂肪族アミン、芳香族アミン、ニトリル、それらの塩、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ドーパント前駆体が、前記硫黄含有前駆体を含み、前記硫黄含有前駆体が、チオフェン、二硫化炭素、チオール、それらの塩、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ドーパント前駆体が、前記ホウ素含有前駆体を含み、前記ホウ素含有前駆体が、ジボラン、トリボラン、トリアルキルボラン、トリアリルボラン、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセスチャンバが、3Torrから20Torrの範囲内の圧力にあり、前記温度が、摂氏500度から摂氏700度の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記カーボンハードマスク層が、96ビットアーキテクチャ又は128ビットアーキテクチャを有するデバイス上に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
プロセスチャンバ内に含まれた基板を摂氏300度から摂氏700度の範囲内の温度に加熱すること、
3kWより大きく7kWまでのRF電力を放出する発電機を用いてプラズマを生成すること、
前記プロセスチャンバ内において前記プラズマの中に炭化水素前駆体を流入させること、及び
5,000Å/分より速く10,000Å/分までの速度で前記基板上にカーボンハードマスク層を形成することを含み、
前記カーボンハードマスク層が、2.5μmより厚く10μmまでの厚さで形成される、方法。
【請求項14】
前記RF電力が、3kWより大きく5kWまでであり、前記カーボンハードマスク層が、5,000Å/分より速く7,000Å/分までの速度で前記基板上に形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記炭化水素前駆体が、C1~C8アルキル、C2~C8アルケン、C2~C8アルキン、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記プロセスチャンバが、3Torrから20Torrの範囲内の圧力にあり、前記温度が、摂氏500度から摂氏700度の範囲内にある、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記カーボンハードマスク層が、96ビットアーキテクチャ又は128ビットアーキテクチャを有するデバイス上に形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
プロセスチャンバ内に含まれた基板を摂氏100度から摂氏700度の範囲内の温度に加熱すること、
3kWを超えるRF電力を放出する発電機を用いてプラズマを生成すること、
前記プロセスチャンバ内において前記プラズマの中に炭化水素前駆体を流入させること、
前記プロセスチャンバ内において、前記プラズマの中に、窒素含有前駆体、硫黄含有前駆体、ホウ素含有前駆体、又はそれらの任意の組み合わせを含む、ドーパント前駆体を流入させること、及び
5,000Å/分より速く10,000Å/分までの速度で前記基板上にカーボンハードマスク層を形成することを含み、
前記カーボンハードマスク層が、2.5μmより厚く10μmまでの厚さで形成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] カーボン化学気相堆積(CVD)プロセスは、半導体デバイス製造用のハードマスク用途向けにますます普及している。半導体デバイスは、メモリ密度の向上やマルチスタック構造(例えば、3D V-NAND、3D ReRAM)の厚化が求められ始めるにつれて、長いエッチング時間に耐え得るカーボンハードマスク膜を開発する能力が必要となってきている。このような目標を達成するために、2つのアプローチが存在する。すなわち、1)より長いエッチング時間を補償するために堆積膜厚を増加させる。2)低堆積速度にもかかわらず高温でよりエッチング選択性が高いカーボンハードマスクを開発する。両方のアプローチについての欠点は、1)より厚い膜及び/又は2)より遅い堆積速度のための、より長いプロセス時間に起因する著しいスループットの減少である。このスループットの大幅な低下は、製造業者の所有コスト、床面積、及び生産性にとって有害である。従来のCVDシステムでは、スループットに適合させるために、より多くのツールが必要とされることがある。しかし、床面積が限られているため、スループットの改善が必要である。加えて、現行のCVDプロセスは、局所的な電荷蓄積及び一貫性のない電荷消散経路のための不十分な厚さ余裕(一般的に2μm未満)を有し、主に2μmを超える膜厚での瞬間放電による破局的な故障の潜在的な危険性につながる。推定スループットが極端に低こと(50%未満)、及び一貫性のない電荷散逸による故障率の増大により、96x又は128x ONの積層を有する将来のデバイスは実現不可能であり、高温カーボンハードマスクの拡張性を制限する。
【0002】
[0002] したがって、以前のプロセスに比べて、より厚く、スループットの低下が緩和された、CVDによるカーボンハードマスクを堆積させる方法が必要とされている。
【0003】
[0003] 上述の本開示の特徴を詳細に理解し得るように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態を示しているに過ぎず、したがって、その範囲を限定するものとみなされるべきではなく、本開示は他の同等に有効な実施形態を許容し得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】[0004] 本明細書の1以上の実施形態において議論され説明されるように、カーボンハードマスク層及び他の材料を堆積させるために使用され得る、プラズマ強化化学気相堆積システムの概略図を描いている。
図2】[0005] 図2及び図3は、本明細書の1以上の実施形態において議論され説明されるように、PECVDプロセス中にカーボンハードマスクを堆積させる際の、RF発電機からの供給RF電力、反射RF電力、及びアークカウントデータと、面板バイアスデータとを描くグラフである。
図3図2及び図3は、本明細書の1以上の実施形態において議論され説明されるように、PECVDプロセス中にカーボンハードマスクを堆積させる際の、RF発電機からの供給RF電力、反射RF電力、及びアークカウントデータと、面板バイアスデータとを描くグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0006] 理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられている。
【0006】
[0007] 1以上の実施形態では、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)によってカーボンハードマスク材料を堆積させるための方法が、プロセスチャンバ内に含まれた基板を摂氏約100度から摂氏約700度の範囲内の温度に加熱すること、及び3kWを超えるRF電力を放出する発電機を用いてプラズマを生成することを含む。幾つかの実施例では、温度が、摂氏約300度から摂氏約700度の範囲内にあり、RF電力が、3kWより大きく約7kWまでである。該方法は、プロセスチャンバ内においてプラズマの中に炭化水素前駆体を流入させること、及び、5,000Å/分より速く、約10,000Å/分までなどの、又はそれより速い速度で基板上にカーボンハードマスク層を形成することを含む。
【0007】
[0008] 他の実施形態では、PECVDによってカーボンハードマスク材料を堆積させるための方法が、プロセスチャンバ内に含まれた基板を摂氏約100度から摂氏約700度の範囲内の温度に加熱すること、及び3kWを超えるRF電力を放出する発電機を用いてプラズマを生成することを含む。該方法はまた、プロセスチャンバ内においてプラズマの中に炭化水素前駆体及びドーパント前駆体を流入させること、及び5,000Å/分より速く約10,000Å/分までの速度で基板上にカーボンハードマスク層を形成することも含む。ドーパント前駆体は、1以上の窒素含有前駆体、1以上の硫黄含有前駆体、1以上のホウ素含有前駆体、又はそれらの任意の組み合わせであってよく又はそれらを含んでよいが、これらに限定されるものではない。
【0008】
詳細な説明
[0009] 本明細書で議論され説明される実施形態は、基板の表面上にカーボンハードマスク層などのカーボン材料を堆積させるための方法及びシステムを提供する。1以上の実施形態では、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)によってカーボンハードマスク材料を堆積させるための方法が、提供され以下で説明される。1以上の基板が、プロセスチャンバ内に位置決めされ又はさもなければ配置されてよく、所定のプロセス温度まで加熱されてよい。
【0009】
[0010] 1以上のキャリアガス及び/又は1以上の反応種ガスが、RF電力を放出する発電機によって点火されて、プラズマを生成する。1以上の炭化水素前駆体、及び任意選択的に1以上のドーパント前駆体が、プロセスチャンバ内での堆積プロセス中に、プラズマを通して流されてよく又はさもなければプラズマに暴露されてよい。プラズマによって活性化されると、炭化水素前駆体は、反応、分解、又は化学的に還元されてカーボンハードマスク層を生成し、これが基板上に堆積され又はさもなければ基板上に形成される。代替的な一実施形態では、1以上のドーパント前駆体が、プロセスチャンバの中に流入され又はさもなければ導入されて、プラズマに暴露され、及び、反応、分解、又は化学的に還元されて、ドープされたカーボンハードマスク層を生成する。
【0010】
[0011] カーボンハードマスク層は、シリコンウエハなどの任意の種類の基板上に堆積されてよく又はさもなければ形成されてよい。基板は、その上に配置された1以上のデバイスを含んでよい。1以上の実施形態では、カーボンハードマスク層が、32ビットアーキテクチャ(32x ON)、64ビットアーキテクチャ(64x ON)、96ビットアーキテクチャ(96x ON)、又は128ビットアーキテクチャ(128x ON)を有する1以上のデバイス上に堆積され又はさもなければ形成される。
【0011】
[0012] 1以上の実施形態では、プラズマが、約2.4kW以上のRF電力を放出する発電機から点火され又はさもなければ生成される。例えば、RF電力は、約2.4kW、約2.5kW、約2.8kW、約3kW、約3.5kW、約4kW、約4.5kW、約5kW、若しくは約5.5kWから約6kW、約6.5kW、約7kW、約8kW、約9kW、約10kW、約12kW、約15kW、又はそれより上であってよい。ある実施例では、RF電力が、約2.4kWから約15kW、約2.4kWから約12kW、約2.4kWから約10kW、約2.4kWから約7kW、約2.4kWから約5kW、約3kWから約15kW、約3kWから約12kW、約3kWから約10kW、約3kWから約7kW、約3kWから約5kW、約3.5kWから約12kW、約3.5kWから約10kW、約3.5kWから約7kW、約3.5kWから約5kW、約3.5kWから約4kW、4kWから約12kW、約4kWから約10kW、約4kWから約7kW、約4kWから約5kW、約5kWから約12kW、約5kWから約10kW、約5kWから約7kWであってよい。
【0012】
[0013] 他の実施形態では、プラズマが、3kWより大きいRF電力を放出する発電機から点火され又はさもなければ生成される。例えば、RF電力は、3kWより大きく、例えば、約3.5kW、約4kW、約4.5kW、約5kW、若しくは約5.5kWから約6kW、約6.5kW、約7kW、約8kW、約9kW、約10kW、約12kW、約15kW、又はそれより上であってよい。ある実施例では、RF電力が、3kWより大きく約15kWまで、3kWより大きく約12kWまで、3kWより大きく約10kWまで、3kWより大きく約8kWまで、3kWより大きく約7kWまで、3kWより大きく約5kWまで、約3.5kWから約12kW、約3.5kWから約10kW、約3.5kWから約7kW、約3.5kWから約5kW、約4kWから約12kW、約4kWから約10kW、約4kWから約7kW、約4kWから約5kW、約4kWから約4.5kW、約5kWから約12kW、約5kWから約10kW、又は約5kWから約7kWであってよい。
【0013】
[0014] カーボンハードマスク層は、約5,000Å/分より速い速度、例えば、約5,500Å/分、約6,000Å/分、約6,500Å/分、約7,000Å/分、若しくは約7,500Å/分から約8,000Å/分、約8,500Å/分、約9,000Å/分、約9,500Å/分、約10,000Å/分、約12,000Å/分、約15,000Å/分、約18,000Å/分、約20,000Å/分、又はそれより上の速度で堆積又は形成される。例えば、カーボンハードマスク層は、5,000Å/分より速く約20,000Å/分まで、5,000Å/分より速く約15,000Å/分まで、5,000Å/分より速く約10,000Å/分まで、5,000Å/分より速く約8,000Å/分まで、5,000Å/分より速く約7,000Å/分まで、約5,500Å/分から約15,000Å/分、約5,500Å/分から約10,000Å/分、約5,500Å/分から約8,000Å/分、約5,500Å/分から約7,000Å/分、約7,000Å/分から約15,000Å/分、約7,000Å/分から約10,000Å/分、約7,000Å/分から約9,000Å/分、又は約7,000Å/分から約8,000Å/分の速度で堆積又は形成される。
【0014】
[0015] カーボンハードマスク層は、2μmより厚い、2.2μmより厚い、2.5μmより厚い、若しくは2.7μmより厚い、例えば、約2.8μm、約3μm、約3.5μm、約4μm、若しくは約5μmから約5.5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約12μm、約15μm、約18μm、約20μm、約25μm、又はそれより上の厚さで形成される。例えば、カーボンハードマスク層は、2μmより厚く約20μmまで、2μmより厚く約15μmまで、2μmより厚く約10μmまで、2μmより厚く約7μmまで、2.5μmより厚く約20μmまで、2.5μmより厚く約15μmまで、2.5μmより厚く約10μmまで、2.5μmより厚く約7μmまで、3μmより厚く約20μmまで、3μmより厚く約15μmまで、3μmより厚く約10μmまで、又は3μmより厚く約7μmまでの厚さで形成される。
【0015】
[0016] 基板のプロセス温度は、摂氏約100度、摂氏約150度、摂氏約200度、摂氏約250度、若しくは摂氏約300度から摂氏約350度、摂氏約400度、摂氏約450度、摂氏約500度、摂氏約550度、摂氏約600度、摂氏約650度、摂氏約700度、又はそれより上であってよい。例えば、基板のプロセス温度は、摂氏約100度から摂氏約700度、摂氏約100度から摂氏約650度、摂氏約100度から摂氏約600度、摂氏約100度から摂氏約500度、摂氏約100度から摂氏約400度、摂氏約300度から摂氏約700度、摂氏約300度から摂氏約650度、摂氏約300度から摂氏約600度、摂氏約300度から摂氏約550度、摂氏約300度から摂氏約500度、摂氏約500度から摂氏約700度、摂氏約500度から摂氏約650度、摂氏約500度から摂氏約600度、摂氏約500度から摂氏約550度、又は摂氏約550度から摂氏約650度であってよい。
【0016】
[0017] プロセスチャンバ内の圧力は、約1Torr、約2Torr、約3Torr、約4Torr、若しくは約5Torrから約6Torr、約8Torr、約10Torr、約15Torr、約20Torr、約30Torr、約50Torr、又はそれより上であってよい。例えば、プロセスチャンバ内の圧力は、約1Torrから約30Torr、約1Torrから約20Torr、約1Torrから約15Torr、約1Torrから約10Torr、約1Torrから約8Torr、約1Torrから約5Torr、約3Torrから約30Torr、約3Torrから約20Torr、約3Torrから約15Torr、約3Torrから約10Torr、約3Torrから約8Torr、約3Torrから約5Torr、約5Torrから約30Torr、約5Torrから約20Torr、約5Torrから約15Torr、約5Torrから約10Torr、又は約5Torrから約8Torrであってよい。
【0017】
[0018] 1以上の実施形態では、1以上のキャリアガス及び/又は1以上の反応種ガスが、プラズマの中に流入され又はプラズマを通過させられる。キャリアガス及び/又は反応種ガスは、水素、酸素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、クリプトン、テトラフルオロメタン、窒素、それらのラジカル、又はそれらの任意の組み合わせであってよく或いはこれらを含んでよいが、それらに限定されるものではない。キャリアガス及び/又は反応種ガスの流量は、約100sccm、約500sccm、約1,000sccm、約2,000sccm、約3,000sccm、若しくは約4,000sccmから約5,000sccm、約6,000sccm、約8,000sccm、約10,000sccm、約12,000sccm、約15,000sccm、約18,000sccm、約20,000sccm、約22,000sccm、約25,000sccm、又はそれより上であってよい。例えば、キャリアガス及び/又は反応種ガスの流量は、約100sccmから約25,000sccm、約1,000sccmから約23,000sccm、約1,000sccmから約20,000sccm、約1,000sccmから約15,000sccm、約1,000sccmから約10,000sccm、約1,000sccmから約5,000sccm、約2,000sccmから約20,000sccm、約2,000sccmから約15,000sccm、約2,000sccmから約10,000sccm、約2,000sccmから約5,000sccm、約3,000sccmから約20,000sccm、約3,000sccmから約15,000sccm、約3,000sccmから約10,000sccm、約3,000sccmから約5,000sccm、約4,000sccmから約20,000sccm、約4,000sccmから約15,000sccm、約4,000sccmから約10,000sccm、又は約4,000sccmから約5,000sccmであってよい。
【0018】
[0019] 1以上の実施形態では、炭化水素前駆体が、1以上のC1~C8アルキル、1以上のC2~C8アルケン、1以上のC2~C8アルキン、1以上のC1~C8アルコール、1以上のC1~C8エーテル、又はそれらの任意の組み合わせであってよく又はそれらを含んでよいが、これらに限定されるものではない。幾つかの実施例では、炭化水素前駆体が、プロピレン、アセチレン、エチレン、メタン、プロパン、ヘキサン、ベンゼン、イソプレン、ブタジエン、それらの異性体、若しくはそれらの任意の組み合わせであってよく又はそれらを含んでよいが、これらに限定されるものではない。
【0019】
[0020] 炭化水素前駆体の流量は、約100sccm、約200sccm、約300sccm、約500sccm、約800sccm、若しくは約1,000sccmから約1,500sccm、約2,000sccm、約3,000sccm、約4,000sccm、約5,000sccm、又はそれより上であってよい。例えば、炭化水素前駆体の流量は、約100sccmから約5,000sccm、約100sccmから約4,000sccm、約100sccmから約3,000sccm、約100sccmから約2,000sccm、約100sccmから約1,000sccm、約100sccmから約500sccm、約200sccmから約5,000sccm、約200sccmから約4,000sccm、約200sccmから約3,000sccm、約200sccmから約2,000sccm、約200sccmから約1,000sccm、約200sccmから約500sccm、約500sccmから約5,000sccm、約500sccmから約4,000sccm、約500sccmから約3,000sccm、約500sccmから約2,000sccm、又は約500sccmから約1,000sccmであってよい。
【0020】
[0021] 実施形態では、ドーパント前駆体を使用して、ドープされたカーボンハードマスク材料又は層を生成し、ドーパント前駆体は、窒素含有前駆体、硫黄含有前駆体、ホウ素含有前駆体、若しくはそれらの任意の組み合わせのうちの1以上であってよく又はこれらを含んでよいが、それらに限定されるものではない。窒素含有前駆体は、ピロール、ピリジン、1以上の脂肪族アミン、1以上の芳香族アミン、1以上のニトリル、それらの塩、若しくはそれらの任意の組み合わせであってよく又はこれらを含んでよいが、それらに限定されるものではない。硫黄含有前駆体は、チオフェン、二硫化炭素、1以上のチオール、それらの塩、若しくはそれらの任意の組み合わせであってよく又はこれらを含んでよいが、それらに限定されるものではない。ホウ素含有前駆体は、ジボラン、トリボラン、トリアルキルボラン(例えば、トリエチルボラン)、トリアリルボラン、若しくはそれらの任意の組み合わせのうちの1以上であってよく又はこれらを含んでよいが、それらに限定されるものではない。
【0021】
[0022] ドーパント前駆体の流量は、約100sccm、約200sccm、約300sccm、約500sccm、約800sccm、若しくは約1,000sccmから約1,500sccm、約2,000sccm、約3,000sccm、約4,000sccm、約5,000sccm、又はそれより上であってよい。例えば、ドーパント前駆体の流量は、約100sccmから約5,000sccm、約100sccmから約4,000sccm、約100sccmから約3,000sccm、約100sccmから約2,000sccm、約100sccmから約1,000sccm、約100sccmから約500sccm、約200sccmから約5,000sccm、約200sccmから約4,000sccm、約200sccmから約3,000sccm、約200sccmから約2,000sccm、約200sccmから約1,000sccm、約200sccmから約500sccm、約500sccmから約5,000sccm、約500sccmから約4,000sccm、約500sccmから約3,000sccm、約500sccmから約2,000sccm、又は約500sccmから約1,000sccmであってよい。
【0022】
[0023] 図1は、カーボンハードマスク層及び他の材料を堆積させるために使用され得る、PECVDシステム100の概略を描いている。PECVDシステム100は、基板支持体104を含むプロセスチャンバ102を含む。基板支持体104は、基板支持体104及びその上に配置された任意の基板の温度を調節し制御するために使用される1以上のヒータを含んでよい。
【0023】
[0024] PECVDシステム100はまた、ACボックス110によって電力供給されるRF発電機112も含む。RF発電機112は、HNケーブル114を介してデュアルマッチ(dual match)116に接続され流体連通している。1以上の実施例では、RF発電機112が、約5kW、約7kW、約10kW、又はそれ以上などの、3kWを超えるRF電力を放出するように定格されている。同様に、HNケーブル114も、RF発電機112から放出される指定されたRF電力を取り扱うように電力定格されている。デュアルマッチ116は、RFストラップ118に接続され流体連通している。
【0024】
[0025] PECVDシステム100は、ガスボックス120、ブロッカプレート122、及び面板124も含む。面板124は、面板RFフィルタ128とACボックス130とに接続された1以上の熱ヒータ126を更に含む。PECVDシステム100の下部は、ACボックス134によって電力供給されるRFフィルタ132と、静電チャック(ESC)140及び静電チャック140とRFストラップ136との間に存在するESCフィルタ142に接続されたRFストラップ136を含む。
【0025】
[0026] 図2は、RF発電機からの供給RF電力、反射RF電力、及びアークカウントデータと、面板バイアスデータとを描くグラフである。それらは、約35,000Å(約3.5μm)の厚さを有するカーボンハードマスクを堆積させるために、約3.8kWのRF電力を使用するPECVDプロセスの安定性を示している。
【0026】
[0027] 図3は、RF発電機からの供給RF電力、反射RF電力、及びアークカウントデータと、面板バイアスデータとを描くグラフである。それらは、約35,000Å(約3.5μm)の厚さを有するカーボンハードマスクを堆積させるために、約4.4kWのRF電力を使用するPECVDプロセスの安定性を示している。
【0027】
[0028] 幾つかの実施形態では、高温(摂氏600度を超える)カーボンCVDプロセスが、プラズマ不安定性によって引き起こされる約0.3%から約0.5%の不良率を維持しながら、従来のプラズマ強化CVD(PECVD)カーボンプロセス(摂氏約480度)と比較して、その高いエッチング選択性(1.5倍を超える)のため、半導体デバイス製造向けのハードマスクパターニングで使用され得る。高いエッチング選択性のために、現行のデバイスノード(64x ON)は、充分な厚さとして2μm未満の高温カーボン膜しか必要としない。しかし、次世代デバイスは、より厚いマルチスタック構造(例えば、96x ON、128x ON)を必要とするので、より厚いカーボンハードマスク堆積の能力が必要とされる。しかし、現行の高温PECVDカーボンプロセスでは、堆積速度が2倍を超えて長いので、スループットは50%未満に低下する。加えて、現行のプロセスは、局所的な電荷蓄積及び一貫性のない電荷消散経路のための不十分な厚さ余裕(一般的に2μm未満)を有し、主に2μmを超える膜厚での瞬間放電による破局的な故障の潜在的な危険性につながる。推定スループットが極端に低いこと(50%未満)、及び一貫性のない電荷散逸による故障率の増大により、96x又は128x ON積層を有する将来のデバイスは従来知られているプロセスによっては実現不可能であり、したがって、高温カーボンハードマスクの拡張性を制限する。
【0028】
[0029] 本開示の実施形態は、以下の段落のうちの任意の1以上に更に関する。
【0029】
[0030] 1.プロセスチャンバ内に含まれた基板を摂氏約100度から摂氏約700度の範囲内の温度に加熱すること、3kWを超えるRF電力を放出する発電機を用いてプラズマを生成すること、プロセスチャンバ内においてプラズマの中に炭化水素前駆体を流入させること、及び5,000Å/分を超える速度で基板上にカーボンハードマスク層を形成することを含む、方法。
【0030】
[0031] 2.プロセスチャンバ内に含まれた基板を摂氏約300度から摂氏約700度の範囲内の温度に加熱すること、3kWより大きく約7kWまでのRF電力を放出する発電機を用いてプラズマを生成すること、プロセスチャンバ内においてプラズマの中に炭化水素前駆体を流入させること、及び5,000Å/分より速く約10,000Å/分までの速度で基板上にカーボンハードマスク層を形成することを含む、方法。
【0031】
[0032] 3.プロセスチャンバ内に含まれた基板を摂氏約100度から摂氏約700度の範囲内の温度に加熱すること、3kWを超えるRF電力を放出する発電機を用いてプラズマを生成すること、プロセスチャンバ内においてプラズマの中に炭化水素前駆体を流入させること、プロセスチャンバ内において、プラズマの中に、窒素含有前駆体、硫黄含有前駆体、ホウ素含有前駆体、又はそれらの任意の組み合わせを含む、ドーパント前駆体を流入させること、及び5,000Å/分より速く約10,000Å/分までの速度で基板上にカーボンハードマスク層を形成することを含む、方法。
【0032】
[0033] 4.RF電力が、3kWより大きく約7kWまでである、段落1から3のいずれか一つに記載の方法。
【0033】
[0034] 5.カーボンハードマスク層が、5,000Å/分より速く約10,000Å/分までの速度で基板上に形成される、段落1から4のいずれか一つに記載の方法。
【0034】
[0035] 6.RF電力が、3kWより大きく約5Wまでであり、カーボンハードマスク層が、5,000Å/分より速く約7,000Å/分までの速度で基板上に形成される、段落1から5のいずれか一つに記載の方法。
【0035】
[0036] 7.カーボンハードマスク層が、2.5μmより厚く約10μmまでの厚さで形成される、段落1から6のいずれか一つに記載の方法。
【0036】
[0037] 8.アルゴン、ヘリウム、窒素、水素、酸素、それらのラジカル、又はそれらの任意の組み合わせを含む、キャリアガスをプロセスチャンバの中に流入させることを更に含む、段落1から段落7のいずれか一つに記載の方法。
【0037】
[0038] 9.炭化水素前駆体が、C1~C8アルキル、C2~C8アルケン、C2~C8アルキン、又はそれらの任意の組み合わせを含む、段落1から8のいずれか一つに記載の方法。
【0038】
[0039] 10.炭化水素前駆体が、プロピレン、アセチレン、エチレン、メタン、プロパン、ヘキサン、ベンゼン、イソプレン、ブタジエン、それらの異性体、又はそれらの任意の組み合わせを含む、段落1から9のいずれか一つに記載の方法。
【0039】
[0040] 11.プロセスチャンバ内において、プラズマの中に、窒素含有前駆体、硫黄含有前駆体、ホウ素含有前駆体、又はそれらの任意の組み合わせを含む、ドーパント前駆体を流入させることを更に含む、段落1から10のいずれか一つに記載の方法。
【0040】
[0041] 12.ドーパント前駆体が、窒素含有前駆体を含み、窒素含有前駆体が、ピロール、ピリジン、脂肪族アミン、芳香族アミン、ニトリル、それらの塩、又はそれらの任意の組み合わせを含む、段落11に記載の方法。
【0041】
[0042] 13.ドーパント前駆体が、硫黄含有前駆体を含み、硫黄含有前駆体が、チオフェン、二硫化炭素、チオール、それらの塩、又はそれらの任意の組み合わせを含む、段落11に記載の方法。
【0042】
[0043] 14.ドーパント前駆体が、ホウ素含有前駆体を含み、ホウ素含有前駆体が、ジボラン、トリボラン、トリアルキルボラン、トリアリルボラン、又はそれらの任意の組み合わせを含む、段落11に記載の方法。
【0043】
[0044] 15.プロセスチャンバが、約3Torrから約20Torrの範囲内の圧力にあり、温度が、摂氏約500度から摂氏約700度の範囲内にある、段落1から14のいずれか一つに記載の方法。
【0044】
[0045] 16.カーボンハードマスク層が、96ビットアーキテクチャ又は128ビットアーキテクチャを有するデバイス上に形成される、段落1から15のいずれか一つに記載の方法。
【0045】
[0046] 17.段落1から16のいずれか一つに記載の方法によって製造された、組成物、物品、材料、基板、層、又は膜。
【0046】
[0047] 以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱せずに本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。本明細書で説明される全ての文書は、参照されることによって本明細書に組み込まれる。その文書は、任意の優先権書類、及び/又は、このテキストと矛盾しない範囲内での試験手順を含む。以上の一般的な説明と具体的な実施形態から明らかなように、本開示の複数の形態が図示され説明されてきたが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなしに、様々な変形が行われ得る。したがって、それによって本開示が限定されることは意図していない。同様に、「備える、含む(comprising)」という用語は、米国法の目的のために、「含む(including)」という用語と同義であると考えられる。同様に、組成、要素、又は複数の要素の群の前に「備える、含む(comprising)」という移行フレーズが付いている場合には、常に、組成、要素、又は複数の要素の前に「本質的に~から成る(consisting essentially of)」、「~から成る(consisting of)」、「~から成る群から選択される(selected from the group of consisting of)」、又は「である(is)」という移行フレーズを有する、同じ組成又は複数の要素の群も考慮されていると理解され、逆もまた同様である。
【0047】
[0048] 特定の実施形態及び特徴が、一組の数値上限と一組の数値下限を使用して説明された。別段の指定がない限り、任意の2つの値の組み合わせ、例えば、任意の下側値と任意の上側値の組み合わせ、任意の2つの下側値の組み合わせ、及び/又は任意の2つの上側値の組み合わせが、考慮されていると理解されたい。特定の下限、上限、及び範囲は、以下の1以上の請求項内で現れる。
図1
図2
図3