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特許7442499改善されたチャンバ整合のためのハイブリッド流量計測
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】改善されたチャンバ整合のためのハイブリッド流量計測
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240226BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021506499
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019044148
(87)【国際公開番号】W WO2020033188
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】16/056,980
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スピロプーロス・エバンゲロス・ティー.
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル・ピユシュ
(72)【発明者】
【氏名】レオン・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ハシェミ・ゲルメッジ・セイエド・ホセイン
(72)【発明者】
【氏名】シャリーフ・イクバル
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-032983(JP,A)
【文献】特開2016-090387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムのためのガス流量計測システムであって、
それぞれN個のガス源からガスを選択的に流すN個の一次弁であって、Nは、整数であるN個の一次弁と、
それぞれ前記N個の一次弁に接続され、それぞれ前記N個のガス源からN種のガスを流すN個のマスフローコントローラと、
それぞれ前記N個のマスフローコントローラからガスを選択的に流すN個の二次弁と、
前記N個の二次弁を、前記N個の二次弁から遠隔に設置される流量計測システムに接続するガス流路であって、前記ガス流路は、ガスラインを含むガス流路と、
前記N個のマスフローコントローラの1つから所望の流量で流される選択ガスに対して第1の流量計測を実施するように構成されたコントローラであって、前記第1の流量計測を
前記ガス流路を排気すること、
前記ガス流路内の初期圧力を測定すること、
前記ガス流路内の初期質量を決定すること、
あらかじめ定められた期間中に前記N個のマスフローコントローラの前記1つから前記所望の流量で前記選択ガスを流すこと、
前記ガス流路内の最終圧力を測定すること、
前記ガス流路内の最終質量を決定すること、ならびに
前記初期質量、前記最終質量、および前記あらかじめ定められた期間に基づいて実際の流量を決定すること
によって実施するように構成されるコントローラと
を備える、ガス流量計測システム。
【請求項2】
請求項1に記載のガス流量計測システムであって、
前記コントローラは、前記選択ガスおよび前記所望の流量に対する前記ガス流路の有効容積を決定するようにさらに構成される、ガス流量計測システム。
【請求項3】
請求項2に記載のガス流量計測システムであって、
前記コントローラは、さらに前記有効容積に基づいて前記実際の流量を決定するようにさらに構成される、ガス流量計測システム。
【請求項4】
請求項1に記載のガス流量計測システムであって、
前記ガス流路は、マニホールドと、弁とをさらに備える、ガス流量計測システム。
【請求項5】
基板処理システムのためのガス流量計測システムであって、
それぞれN個のガス源からガスを選択的に流すN個の一次弁であって、Nは、整数であるN個の一次弁と、
それぞれ前記N個の一次弁に接続され、それぞれ前記N個のガス源からN種のガスを流すN個のマスフローコントローラと、
それぞれ前記N個のマスフローコントローラからガスを選択的に流すN個の二次弁と、
前記N個の二次弁を、前記N個の二次弁から遠隔に設置される流量計測システムに接続するガス流路であって、前記ガス流路は、ガスラインを含むガス流路と、
前記N個のマスフローコントローラの1つから所望の流量で流される選択ガスに対して第1の流量計測を実施するように構成されたコントローラであって、前記第1の流量計測を
前記ガス流路を排気すること、
前記ガス流路内の初期圧力を測定すること、
前記ガス流路内の初期質量を決定すること、
あらかじめ定められた期間中に前記N個のマスフローコントローラの前記1つから前記所望の流量で前記選択ガスを流すこと、
前記ガス流路内の最終圧力を測定すること、
前記ガス流路内の最終質量を決定すること、ならびに
前記初期質量、前記最終質量、および前記あらかじめ定められた期間に基づいて実際の流量を決定すること
によって実施するように構成されるコントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記所望の流量があらかじめ定められた流量未満である場合、前記実際の流量を決定する際に前記第1の流量計測を使用するように構成される、ガス流量計測システム。
【請求項6】
請求項5に記載のガス流量計測システムであって、
前記あらかじめ定められた流量は、5sccm~15sccmの範囲にある、ガス流量計測システム。
【請求項7】
請求項5に記載のガス流量計測システムであって、
前記コントローラは、前記所望の流量が前記あらかじめ定められた流量を超える場合、前記第1の流量計測とは異なる第2の流量計測を使用して前記実際の流量を決定するように構成される、ガス流量計測システム。
【請求項8】
請求項7に記載のガス流量計測システムであって、
前記あらかじめ定められた流量は、5sccm~15sccmの範囲にある、ガス流量計測システム。
【請求項9】
請求項7に記載のガス流量計測システムであって、
前記第2の流量計測は、オリフィス式の計測を含む、ガス流量計測システム。
【請求項10】
請求項5に記載のガス流量計測システムであって、
オリフィスと、
前記オリフィスの出口に接続された弁と、
前記オリフィスの入口における圧力を検知する圧力センサと
をさらに備え、
前記コントローラは、前記所望の流量が前記あらかじめ定められた流量を超える場合、前記弁、前記圧力センサ、および前記オリフィスを使用して前記実際の流量を決定するように構成される、
ガス流量計測システム。
【請求項11】
請求項1に記載のガス流量計測システムであって、
前記コントローラは、前記ガス流路を排気した後、前記ガス流路内の前記初期圧力を測定する前に、第1のあらかじめ定められた静定期間待機するように構成される、ガス流量計測システム。
【請求項12】
請求項1に記載のガス流量計測システムであって、
前記コントローラは、前記あらかじめ定められた期間中に前記N個のマスフローコントローラの前記1つから前記所望の流量で前記選択ガスを流した後、前記ガス流路内の前記最終圧力を測定する前に、第2のあらかじめ定められた静定期間待機するように構成される、ガス流量計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月7日に出願された米国特許出願第16/056,980号の優先権を主張する。上記で参照された出願の全体の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板処理システムのための流量計測に関し、より具体的には、基板処理システムのためのハイブリッド流量計測に関する。
【背景技術】
【0003】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として他の点でみなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0004】
基板処理システムは、半導体ウエハなどの基板のエッチング、堆積、および/または他の処理を実施するために使用され得る。基板上で実施することができるプロセスの例には、限定はしないが、エッチング、堆積、および洗浄プロセスが挙げられる。処理中、基板は、基板処理システムの処理チャンバ内の台座、静電チャック(ESC)などの基板支持体上に配置される。ガス送給システムが、基板を処理するためにガス混合物を処理チャンバに供給する。処理チャンバ内の化学反応を強化するために、プラズマが打たれる場合がある。また、イオンエネルギーを制御するために、RFバイアスを基板支持体に供給することもできる。
【0005】
品質を改善し、欠陥を低減するために、1つまたは複数の計測システムを使用して処理チャンバの動作を検証することができる。例えば、流量計測システムを使用して、ガス混合物を供給するガス送給システムの流量を検証することができる。複数の基板処理チャンバが基板処理ツール内に配置されている場合、ガスラインを使用して、各処理チャンバのガス送給システムを多重化流量計測システムに接続する。
【0006】
流量計測システムは、オリフィス式の定常状態の流量測定装置を含み得る。ガス送給システムは、典型的には、10~3000sccmの流量を校正および供給することが要求される。低流量でガスラインに流入するガスは、流量計測装置に到達して測定に十分な圧力を蓄積するのに長い時間がかかり、ツール起動時の測定時間に悪影響を及ぼす。言い換えれば、10~数百sccmの流量の校正には、長い時間がかかる。最近では、プロセスレシピも0.1~10sccmの流量の校正および供給を必要とする。理解され得るように、オリフィス式の方法を使用した0.1~10sccmという低流量の校正またはチャンバ整合中に、許容できない時間遅延が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
基板処理システムのための計測システムは、それぞれN個のガス源からガスを選択的に流すN個の一次弁を含み、Nは、整数である。N個のマスフローコントローラが、それぞれN個の一次弁に接続され、それぞれN個のガス源からN種のガスを流す。N個の二次弁が、それぞれN個のマスフローコントローラからガスを選択的に流す。ガス流路が、N個の二次弁をこれらN個の二次弁から遠隔に設置される流量計測システムに接続する。ガス流路は、ガスラインを含む。コントローラが、N個のマスフローコントローラの1つから所望の流量で流される選択ガスに対する第1の流量計測を実施するように構成され、第1の流量計測を、ガス流路を排気すること;ガス流路内の初期圧力を測定すること;ガス流路内の初期質量を決定すること;あらかじめ定められた期間中にN個のマスフローコントローラの1つから所望の流量で選択ガスを流すこと;ガス流路内の最終圧力を測定すること;ガス流路内の最終質量を決定すること;ならびに初期質量、最終質量、およびあらかじめ定められた期間に基づいて実際の流量を決定することによって実施するように構成される。
【0008】
他の特徴において、コントローラは、選択ガスおよび所望の流量に対するガス流路の有効容積を決定するようにさらに構成される。コントローラは、さらに有効容積に基づいて流量を決定するようにさらに構成される。ガス流路は、マニホールドと、弁とをさらに備える。コントローラは、所望の流量があらかじめ定められた流量未満である場合、実際の流量を決定する際に、第1の流量計測を使用するように構成される。あらかじめ定められた流量は、5sccm~15sccmの範囲にある。
【0009】
他の特徴において、コントローラは、所望の流量があらかじめ定められた流量を超える場合、第1の流量計測とは異なる第2の流量計測を使用して実際の流量を決定するように構成される。あらかじめ定められた流量は、5sccm~15sccmの範囲にある。
【0010】
他の特徴において、第2の流量計測は、オリフィス式の計測を含む。弁が、オリフィスの出口に接続される。圧力センサが、オリフィスの入口における圧力を検知する。コントローラは、所望の流量があらかじめ定められた流量を超える場合、弁、圧力センサ、およびオリフィスを使用して実際の流量を決定するように構成される。
【0011】
他の特徴において、コントローラは、ガス流路を排気した後、ガス流路内の初期圧力を測定する前に、第1のあらかじめ定められた静定期間待機するように構成される。コントローラは、あらかじめ定められた期間中にN個のマスフローコントローラの1つから所望の流量で選択ガスを流した後、ガス流路内の最終圧力を測定する前に、第2のあらかじめ定められた静定期間待機するように構成される。
【0012】
基板処理システムのガス送給システムは、N個のガス源からのガスの流れをそれぞれ制御するN個のマスフローコントローラを含むガスボックスを含み、Nは、整数である。ガス流路は、ガスボックスと流体連通する。ハイブリッド流量計測システムは、ガス流路と流体連通し、第1の流量計測を実施するように構成されたコントローラを含む。第1の流量計測は、N個のマスフローコントローラの少なくとも1つによって供給されるガスに対する所望の流量があらかじめ定められた流量未満である場合、あらかじめ定められた期間Δt中にガスボックスと流量計測システムとの間のガス流路内のガスの質量差に基づいてN個のマスフローコントローラの少なくとも1つを校正するものである。コントローラは、N個のマスフローコントローラの少なくとも1つに対する所望の流量があらかじめ定められた流量を超える場合、N個のマスフローコントローラの少なくとも1つを校正する第2の流量計測を実施するように構成される。
【0013】
他の特徴において、第1の流量計測および第2の流量計測は、所望の流量におけるガスに対するガス流路の有効容積を決定するために使用される。第1の流量計測は、所望の流量におけるガスに対するガス流路の有効容積に基づいて質量差をさらに決定する。第2の流量計測は、オリフィス式の方法である。
【0014】
他の特徴において、ハイブリッド流量計測システムは、選択ガスおよび選択流量に対するガス流路の有効容積を決定するように構成されたコントローラを含む。コントローラは、さらに有効容積に基づいて流量を決定するようにさらに構成される。ガス流路は、マニホールドと、弁とをさらに備える。あらかじめ定められた流量は、5sccm~15sccmの範囲にある。
【0015】
他の特徴において、弁が、オリフィスの出口に接続される。圧力センサが、オリフィスの入口における圧力を検知する。コントローラは、所望の流量があらかじめ定められた流量を超える場合、弁、圧力センサ、およびオリフィスを使用して実際の流量を決定するように構成される。
【0016】
他の特徴において、コントローラは、ガス流路を排気すること、ガス流路内の初期圧力を測定すること、ガス流路内の初期質量を決定すること、あらかじめ定められた期間中にN個のマスフローコントローラの1つから所望の流量で選択ガスを流すこと、ガス流路内の最終圧力を測定すること、ガス流路内の最終質量を決定すること、ならびに初期質量、最終質量、およびあらかじめ定められた期間に基づいて実際の流量を決定することによって、第1の流量計測を実施するように構成される。
【0017】
他の特徴において、コントローラは、ガス流路を排気した後、ガス流路内の初期圧力を測定する前に、第1のあらかじめ定められた静定期間待機するように構成される。コントローラは、あらかじめ定められた期間中にN個のマスフローコントローラの1つから所望の流量で選択ガスを流した後、ガス流路内の最終圧力を測定する前に、第2のあらかじめ定められた静定期間待機するように構成される。
【0018】
基板処理システム内でガス流量計測を実施する方法は、N個のガス源からのガスの流れをそれぞれ制御するN個のマスフローコントローラを含むガスボックスを設けることであって、Nは、整数であること、およびガスボックスと流体連通するガス流路を設けることを含む。この方法は、N個のマスフローコントローラの少なくとも1つによって供給されるガスに対する所望の流量があらかじめ定められた流量未満である場合、第1の流量計測を使用して、あらかじめ定められた期間中にガスボックスと流量計測システムとの間のガス流路内のガスの質量差に基づいてN個のマスフローコントローラの少なくとも1つを校正することを含む。この方法は、N個のマスフローコントローラの少なくとも1つに対する所望の流量があらかじめ定められた流量を超える場合、第2の流量計測を使用して、N個のマスフローコントローラの少なくとも1つを校正することを含む。
【0019】
他の特徴において、第1の流量計測および第2の流量計測は、所望の流量におけるガスに対するガス流路の有効容積を決定するために使用される。
【0020】
他の特徴において、第1の流量計測は、所望の流量におけるガスに対するガス流路の有効容積に基づいて質量差をさらに決定する。
【0021】
他の特徴において、第2の流量計測は、オリフィス式の方法である。あらかじめ定められた流量は、5sccm~15sccmの範囲にある。
【0022】
他の特徴において、第1の流量計測は、ガス流路を排気すること、ガス流路内の初期圧力を測定すること、ガス流路内の初期質量を決定すること、あらかじめ定められた期間中にN個のマスフローコントローラの1つから所望の流量で選択ガスを流すこと、ガス流路内の最終圧力を測定すること、ガス流路内の最終質量を決定すること、ならびに初期質量、最終質量、およびあらかじめ定められた期間に基づいて実際の流量を決定することを含む。
【0023】
他の特徴において、この方法は、ガス流路を排気した後、ガス流路内の初期圧力を測定する前に、第1のあらかじめ定められた静定期間待機することを含む。この方法は、あらかじめ定められた期間中にN個のマスフローコントローラの1つから所望の流量で選択ガスを流した後、ガス流路内の最終圧力を測定する前に、第2のあらかじめ定められた静定期間待機することを含む。
【0024】
本開示を適用可能な他の分野は、詳細な説明、特許請求の範囲および図面から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示は、詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【0026】
図1図1は、基板処理システムの一例の機能ブロック図である。
【0027】
図2図2は、基板処理ツールの一例の機能ブロック図である。
【0028】
図3図3は、図1および図2のシステムで使用することができる本開示によるガス送給システムの機能ブロック図である。
【0029】
図4図4は、本開示によるガスボックスの一例の機能ブロック図である。
【0030】
図5図5は、本開示によるハイブリッド流量計測システムの一例の機能ブロック図である。
【0031】
図6図6は、本開示によるハイブリッド流量計測コントローラの一例の機能ブロック図である。
【0032】
図7A図7Aは、本開示によるハイブリッド流量計測を実施する方法の一例を示すフローチャートである。
図7B図7Bは、本開示によるハイブリッド流量計測を実施する方法の一例を示すフローチャートである。
【0033】
図8図8は、本開示による質量差法の一例を示すフローチャートである。
【0034】
図9図9は、本開示による質量差法における時間の関数としての圧力を示すグラフである。
【0035】
図10図10は、本開示による追加の計測チェックとして、所与のガスに対する有効容積計算についての経時的変化を使用する方法の一例を示すフローチャートである。
【0036】
これらの図面において、参照番号は、類似の要素および/または同一の要素を指すために再度利用されることがある。
【発明を実施するための形態】
【0037】
絶対流量検証(AFV)などのオリフィス式の流量計測システムでは、マスフローコントローラ(MFC)からオリフィスバンクを通してガスをポンプに供給する。オリフィスバンクは、対応する弁を使用して選択することができる複数の精密オリフィスを含む。圧力は、選択された1つのオリフィスの上流に蓄積し、圧力計などの圧力センサによって監視される。圧力値は、ガスごとにオリフィス圧力をガス流量に関連付ける経験的に開発されたガステーブルに基づいて流量を決定するために使用される。温度変化を考慮し、MFCの実際のガス流量を決定するために、温度補正を適用することも可能である。
【0038】
AFVのための測定時間は、MFCの下流および選択されたオリフィスの上流のガス流路を充填して加圧する時間が必要であるため、低流量時に大幅に長くなる。ガス流路は、典型的には、ガス供給ライン、マニホールド、弁など(ガスボックスと流量計測システムとの間に位置する)を含む。校正期間が長いと、初期設定中およびその後のチャンバ整合中にガス流量校正を実施するために必要なダウンタイムが長くなる。超低流量時、かつガス供給ラインが長くなるほど、オリフィスの流量がいつ安定したのか(そして定常状態の圧力が得られたのか)を検出することが困難である。ガスラインの容積が増加するため、圧力上昇における小さな変化を検出することが困難である。
【0039】
本開示によるハイブリッド流量計測システムおよび方法は、あらかじめ定められた流量未満の流量に対して質量差測定(DMM)法を使用し、あらかじめ定められた流量を超える流量に対して別の流量計測法を使用する。いくつかの例では、あらかじめ定められた流量は10sccmであるが、他の流量値を使用することも可能である。いくつかの例では、あらかじめ定められた流量を超える流量に対してオリフィス式の流量計測が使用されるが、他の流量計測法を使用することも可能である。
【0040】
以下でさらに説明するように、DMM法は、ガスボックスと流量計測システムとの間のガスライン、弁、マニホールドなどにおけるガス容積を充填する。いくつかの例では、ガス容積が排気され、静定期間の後に初期圧力が測定される。初期質量は、ガスボックスと流量計測システムとの間に位置するガスライン、マニホールド、弁、および/または他の容積を通る流路の初期圧力および有効容積に基づいて決定される。
【0041】
初期質量の決定後、弁が開かれ、MFCは、あらかじめ定められた期間Δtの間、(校正されるべき)所望の流量でガスを流す。ガスボックスと流量計測システムとの間のガス容積内の圧力は、定常的に増加する。あらかじめ定められた期間Δtの後、弁が閉じられ、最終圧力が測定される。最終質量は、最終圧力に基づいて計算される。流量は、最終質量と初期質量との間の差をΔtで割ることによって計算される。
【0042】
DMM法はチャンバROR(rate of rise:チャンバの圧力上昇率から流量を測定する方法)に似ているが、DMM法は、質量流量の計算にチャンバ/タンクの容積ではなく、ガスライン、弁、マニホールドなどの容積を使用する。RORでは、質量流量を算出するための支配方程式は、状態方程式の時間微分をとった後に得られる。RORタンクでのガス圧縮中に過渡圧力および過渡温度が経時的にサンプリングされ、圧力/温度の変化率が算出される。
【0043】
より具体的には、低流量に対してDMM法を実施するとき、MFCガス流を使用して、あらかじめ定められた期間Δt中に既知の容積Vのエンクロージャを加圧する。エンクロージャ内の初期および最終のガス圧力および温度は、以下のガスの状態方程式に基づいてエンクロージャに供給される正味ガス質量を算出するために使用される:
【数1】
式中、Pは圧力、Vは容積、mは質量、MWは分子量、Rはユニバーサルガス定数、Zは条件(p、T)でのガス圧縮率である。
【0044】
絶対ガス流量Qについての方程式は、次の通りである:
【数2】
式中、下付き文字1および2は、それぞれ初期状態および最終状態を示す。
【0045】
圧縮率の影響は、多原子ガスの場合に限り、圧力および温度が大気圧(ATM)条件に近づくにつれて重要になる。ただし、多原子ガスの場合であっても、MFCの下流圧力は大気圧よりも低く、DMM法でガス容積を加圧するときにATM圧力よりも1桁低く維持することができるため、圧縮率の影響は無視することができる。したがって、流量方程式は、次のように単純化される:
【数3】
【0046】
いくつかの例では、pとTの初期値および最終値を測定する前に、エンクロージャ内のガスをあらかじめ定められた静定期間、静止させる。この静定期間は、ガスの運動エネルギーの影響を小さくして、ガス流量による圧力勾配を排除する。また、この静定期間は、ガス温度を環境と共に安定させる。言い換えれば、ガスは周囲のエンクロージャ(壁温度Tw)によって加熱または冷却されて、それぞれガスの膨張または圧縮による影響を排除する。
【0047】
ガス膨張現象は、計測校正の開始時に、(前回の測定からの)ガスの残留物を除去するためエンクロージャが排気されるときに発生する。ガスがエンクロージャ内に供給されると、ガスは圧縮加熱され、温度が上昇する。ガス経路内で高速温度センサを使用することは現実的ではないため(腐食性ガスへの曝露による潜在的なセンサ損傷のリスクがあるため)、直接ガス温度を正確に測定することは不可能である。
【0048】
静定期間中にガスが安定化される場合、初期ガス温度および最終ガス温度は、それぞれ初期壁温度TW1および最終壁温度TW2と同じになる。同様に、初期圧力および最終圧力(p1およびp2)は、ガス供給ラインの長さに沿った圧力勾配の排除およびガス温度の変化により、それぞれ
および
に調整される。その結果、流量方程式は、次のように単純化される:
【数4】
【0049】
上述のように、DMM法でのエンクロージャ(ガスライン、弁、マニホールドなどの内部容積)は、RORでのエンクロージャとは異なる挙動をする。ROR法では、有効容積 eff は、タンクの実際の容積と同じである。しかし、DMM法でのエンクロージャ(ガスライン、弁、マニホールドなど)の実験テストでは、誤差が発生した。言い換えれば、(既知の流量を使用して計算される)有効容積Veffは、予想される内部容積とは大幅に異なる。
【0050】
容積の差の一部は、幾何学的な製造公差の変動に起因する。また、校正後の有効容積Veffはガスおよび流量によって異なる場合があることが、実験により示されている。これらの差は、他の様々な要因に起因する可能性がある。例えば、これらの差は、ガス供給ラインの容積が比較的小さいことに起因する可能性がある(これは、ガスライン、内部弁、および/または基板の容積の製造公差の変動によって、さらに大きく影響される)。また、差は、ROR法で使用されるタンクが単純で均一な幾何学的形状であることと比較して、供給容積アセンブリが全体的に複雑な幾何学的形状(内部弁を備えた長い管状の形状)であることに起因する可能性もある。
【0051】
ROR法は、ガス供給ラインを含むガス流路と比較して、容積がはるかに大きいタンクを使用する。ガス流の粘性効果によるガス供給ライン内の圧力勾配は相当な影響を及ぼすものであり、適切に考慮されていない場合、質量流量の計算が不正確になる。したがって、ROR法は、エンクロージャとしてガスラインの容積を使用し、圧力測定点を一点とする場合には適用することができない。
【0052】
しかし、この問題は、各ガスおよび/または流量に対して(理論上の実際の容積ではなく)校正後の有効容積Veffを使用することによって経験的に解決することができる。以下でさらに説明するように、オリフィス技術または別の流量計測法を採用して、校正後の有効容積を算出することができる。
【0053】
より具体的には、有効容積 eff は、方程式4を使用して計算することができる。最初に、対応するMFCを複数の低流量設定点の1つに設定し、DMM法を実施する。DMM法の実施中に、初期および最終の圧力および温度を測定する。MFCは、オリフィス法を使用して、同じ流量設定点で(同じガスを用いて)動作する。オリフィス法によって、MFCの絶対流量(真の流量)Qが得られる。有効容積 eff は、方程式4、絶対流量Q、ならびに初期および最終の圧力および温度を使用して決定される。
【0054】
有効容積の計算は、ツールの初回起動時に1回だけ、低流量のガスに対してのみ要求される。この1回限りの校正では、チャンバ流量整合のためにツールごとのガス供給ラインの製造公差の変動も考慮される。したがって、チャンバ整合は、ハイブリッド法を使用するとより迅速に実施することができる。さらに、(低流量に使用される)DMM法を(高流量に使用される)オリフィス技術法で校正することにより、2つの方法を切り替えるときに流量合流点での不一致または重複をなくすことができる。また、提案されたハイブリッド流量計測には、追加のシステムヘルスチェックとして流量合流点での計算を追跡および監視し、精度の経時的なドリフトをなくすことができるという別の利点もある。
【0055】
AFVについては、本発明の譲受人に譲渡された2010年10月26日登録の米国特許第7,822,570号、発明の名称「Methods for Performing Actual Flow Verification」にさらに詳細に説明されており、上記文献の全体が参照により本明細書に組み込まれる。RORについては、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第9,778,083号にさらに詳細に説明されている。
【0056】
ここで、例示的な基板処理システム120を示す図1を参照する。図示されているのは容量結合プラズマ(CCP)を使用したエッチング、化学気相堆積、または原子層堆積(ALD)用の処理チャンバの一例であるが、本明細書に記載の流量計測システムおよび方法は、任意の他のタイプのシステムまたは基板処理システムで使用することができる。例えば、本明細書に記載の流量計測システムおよび方法は、リモートプラズマまたは誘導結合プラズマ(ICP)を使用する基板処理システムで使用することができる。加えて、本明細書に記載のシステムおよび方法は、正確な流量計測を必要とする任意の他の半導体装置で使用することができる。
【0057】
基板処理システム120は、基板処理システム120の他の構成要素を取り囲み、RFプラズマ(使用される場合)を収容する処理チャンバ122を含む。基板処理システム120は、上部電極124と、静電チャック(ESC)などの基板支持体126とを含む。動作中には、基板128が基板支持体126上に配置される。
【0058】
単なる例として、上部電極124は、プロセスガスを導入し分配するシャワーヘッドなどのガス分配装置129を含み得る。ガス分配装置129は、一端が処理チャンバの上面に接続されたステム部分を含むことができる。ベース部分は略円筒形であり、処理チャンバの上面から離間した場所で、ステム部分の他端から半径方向外側に延設されている。シャワーヘッドのベース部分の基板対向面またはフェースプレートは、前駆体、反応物、エッチングガス、不活性ガス、キャリアガス、他のプロセスガスまたはパージガスが流れる複数の穴を含む。あるいは、上部電極124は導電性プレートを含んでもよく、プロセスガスを別の方式で導入してもよい。
【0059】
基板支持体126は、下部電極として作用するベースプレート130を含む。ベースプレート130は加熱プレート132を支持しており、この加熱プレート132はセラミックマルチゾーン加熱プレートに対応する場合がある。加熱プレート132とベースプレート130との間には、熱抵抗層134を配置することができる。ベースプレート130には、ベースプレート130を通して冷却剤を流すための1つまたは複数のチャネル136を含めることができる。
【0060】
プラズマが使用される場合、RF生成システム140が、RF電圧を生成し、上部電極124および下部電極(例えば、ESC126のベースプレート130)のいずれか一方に出力する。上部電極124およびベースプレート130のもう一方は、DC接地、AC接地、またはフローティングさせてもよい。単なる例として、RF生成システム140は、整合および分配ネットワーク144によって上部電極124またはベースプレート130に供給されるRF電力を生成するRF発生器142を含むことができる。他の例では、プラズマは、誘導的または遠隔的に生成されてもよい。
【0061】
典型的なガス送給システム150は、1つまたは複数のガス源152-1、152-2、…、および152-N(総称してガス源152)を含み、Nはゼロよりも大きい整数である。ガス源152は、弁154-1、154-2、…、および154-N(総称して弁154)ならびにMFC156-1、156-2、…、および156-N(総称してMFC156)によってマニホールド160に接続される。MFC156とマニホールド160との間に二次弁を用いてもよい。図には1つのガス送給システム150が示されているが、2つ以上のガス送給システムを使用してもよい。
【0062】
温度コントローラ163を、加熱プレート132内に配置された複数の熱制御素子(TCE)164に接続してもよい。温度コントローラ163を使用して複数のTCE164を制御し、基板支持体126および基板128の温度を制御することができる。温度コントローラ163は、冷却剤アセンブリ166と連通し、チャネル136を通る冷却剤の流れを制御することができる。例えば、冷却剤アセンブリ166は、冷却剤ポンプ、リザーバ、および/または1つもしくは複数の温度センサを含むことができる。温度コントローラ163は、冷却剤アセンブリ166を動作させ、チャネル136を通して冷却剤を選択的に流して基板支持体126を冷却する。弁170およびポンプ172を使用して、処理チャンバ122から反応物を排出することができる。システムコントローラ180を使用して、基板処理システム120の構成要素を制御してもよい。
【0063】
ここで図2を参照すると、本明細書に記載の流量計測システムおよび方法は、1つまたは複数の基板処理ツール210に供給されるガスの流量計測を提供してコストを削減するために使用することができる。図示されているのは基板処理ツール210の一例であるが、他の基板処理ツールが使用されてもよい。
【0064】
基板処理ツール210は、中央位置に配置されたロボット212を含む。ロボット212は、真空または大気圧で動作することができる。基板処理ツール210は、ロボット212の周りに配置された複数のステーション(または基板処理チャンバ)216-1、216-2、…、および216-S(総称してステーション216)(Sは1よりも大きい整数)を含む。ステーション216は、均一または不規則な角度オフセットで基板処理ツール210の中心の周りに配置することができる。ステーション216の例としては、堆積、エッチング、前洗浄、後洗浄、スピン洗浄などの1つまたは複数を挙げることができる。
【0065】
基板は、最初はカセット234内に置くことができる。全体を238で示すロボットおよびロードロックを使用して、基板をカセット234から基板処理ツール210に移動させることができる。処理が完了すると、ロボットおよびロードロック238は、基板をカセット234および/または別のカセット239に戻すことができる。以下でさらに説明するように、ガス送給システムはガスをステーションに供給し、流量計測システムはガス流量を校正する。
【0066】
ここで図3を参照すると、図示されるガス送給システム300は、複数のガスボックス310-1、310-2、…310-10(総称してガスボックス310)を含んでいる。図には10個のガスボックスが示されているが、ガス送給システム300に含まれるガスボックスの数はこれより多くても少なくてもよい。ガスボックス310-1、310-2、…310-10は、第1のガスライン312-1、312-2、…312-10(総称して第1のガスライン312)によってハイブリッド流量計測システム320に接続される。第1のガスライン312は、マニホールド313を経由してからハイブリッド流量計測システム320に接続されてもよい。ハイブリッド流量計測システム320からの戻りガスは、第2のガスライン314-1、314-2、…314-10(総称して第2のガスライン314)によってガスボックス310-1、310-2、…310-10に接続される。第2のガスライン314は、ハイブリッド流量計測システム320からマニホールド315に流出し、ガスボックス310-1、310-2、…310-10に接続された個々のラインに分離される。
【0067】
ガスライン316-1、316-2、…316-10(総称してガスライン316)は、ガスボックス310-1、310-2、…310-10の出力を処理チャンバに接続する。いくつかの例では、清浄乾燥空気(CDA)供給源330もガスボックス310-1、310-2、…310-10に接続される。理解され得るように、ハイブリッド流量計測システム320は、ガスボックス310-1、310-2、…310-10によって共有または時分割多重化され、これによりコストが削減される。
【0068】
ここで、ガスボックス310の1つを示す図4を参照する。ガス源410-1、410-2、…、および410-G(総称してガス源410)が、一次弁420-1、420-2、…、および420-G(Gは1よりも大きい整数)(総称して一次弁420)、マスフローコントローラ(MFC)430-1、430-2、…、430-G(総称してMFC430)、および二次弁434-1、434-2、…、および434-G(総称して二次弁434)を含む流量制御装置に接続される。二次弁434の出力は、混合マニホールド435に接続され、弁440、442、および448に入力される。弁440、442は、ハイブリッド流量計測システム320に接続される。弁442は、ガスライン312を通ってハイブリッド流量計測システム320に流れるガスに関連付けられている。弁440は、ガスライン314を通ってハイブリッド流量計測システム320から戻るガスに関連付けられている。弁448は、ガスライン316を通ってガスボックス310に関連する処理チャンバに流れるガスに関連付けられている。1つまたは複数の温度センサ480を使用して、ガスラインの温度を検知することができる。いくつかの例では、ガスラインの一部が抵抗ヒータ(図示せず)によって加熱される。
【0069】
ここで、ハイブリッド流量計測システムの一部を示す図5を参照する。ハイブリッド流量計測システム320への入口Bは、弁510に接続される。ガスボックスGB2、GB4、GB6、GB8、およびGB10に関連する入口B’は、弁511に接続される。弁510および511の出口は、マニホールド513によって複数のガスライン518-1、518-2、…、および518-O(Oは1以上の整数)(総称してガスライン518)に接続される。ガスライン518は、精密オリフィス520-1、520-2、…、および520-O(総称して精密オリフィス520)に接続される。
【0070】
いくつかの例では、精密オリフィス520は、様々なオリフィスサイズを有する。精密オリフィス520は、オリフィスがあらかじめ定められた既知のサイズおよび形状を有し、遮るものがない場合に「精密」であるとみなされる。精密オリフィスがチョーク流れ状態で動作しているとき、1つまたは複数の圧力センサ530が精密オリフィス520から上流の圧力を検知する。チョーク流れ状態は、ガスが音速で精密オリフィスを出るときに発生する。精密オリフィスの1つは、校正されるべき流量に基づいて選択される。
【0071】
圧力センサ530は、弁510および511の出口ならびに精密オリフィス520の入口に接続される。例えば、第1の圧力センサ530は、第1の圧力範囲で動作し、第2の圧力センサ530は、第1の圧力範囲と同じまたは異なる第2の圧力範囲で動作する。例えば、第1の圧力センサ530は最大50Tの圧力を測定し、第2の圧力センサ530は最大500Tの圧力を測定するが、他の圧力範囲が使用されてもよい。精密オリフィス520は、弁524-1、524-2、…、および524-O(総称して弁524)の入口に接続される。弁524の出口はまとめて接続され、ポンプ540に出力される。
【0072】
ここで、ハイブリッド流量計測コントローラ610を示す図6を参照する。いくつかの例では、ハイブリッド流量計測コントローラ610は、AFVテーブル620と、Veffテーブル622と、Veff推定モジュール624とを含む。AFVテーブル620は、ガスごとにオリフィス圧力を流量に関連付ける経験的に開発されたテーブルである。Veffテーブル622は、校正され、ガスおよび/または所望の流量によって指標付けされるVeff値を含む。
【0073】
ハイブリッド流量計測コントローラ610は、弁634、マスフローコントローラ636、圧力センサ530、および温度センサ480と連通する。ハイブリッド流量計測コントローラ610は、以下でさらに説明するように、温度センサ480および圧力センサ530からのフィードバックに基づいて弁634を制御する。いくつかの例では、Veff推定モジュール624は、補間、式、または他の技術を使用して、校正後の他のVeff値に基づいてVeffを推定するために使用されてもよい。
【0074】
ここで、ハイブリッド流量計測を実施する方法を示す図7Aおよび図7Bを参照する。図7Aでは、低流量ガスに対する校正後の有効容積を決定する方法700が実施される。言い換えれば、校正後の有効容積は、DMM法が使用されるあらかじめ定められた流量未満の流量で供給されるガスについてのみ決定する必要がある。さらに、使用される流量およびガスの各々に対して校正を実施してもよい。あるいは、1つまたは複数のガスおよび1つまたは複数の流量に対して、1つまたは複数の校正を実施してもよい。その他のガスおよび/または(あらかじめ定められた流量未満の)その他の流量に対して、個別に校正を行わずに補間、式、もしくは他の補償を使用して流量を決定してもよい。
【0075】
710において、有効容積の校正を行うガスおよび流量を選択する。714において、第1および第2の流量計測法を使用して、選択ガスに対して選択流量における有効容積を決定する。
【0076】
いくつかの例では、有効容積Vは、方程式4を使用して計算することができる。最初に、対応するMFCを複数の低流量設定点の1つに設定し、DMM法を実施する。DMM法の実施中に、初期および最終の圧力および温度を測定する。MFCは、オリフィス法を使用して、同じ流量設定点で(同じガスを用いて)動作する。オリフィス法によって、MFCの絶対流量(真の流量)Qが得られる。有効容積Vは、方程式4、絶対流量Q、ならびに初期および最終の圧力および温度を使用して決定される。
【0077】
追加のサンプルが必要な場合、方法は718に進み、選択ガスについて別の流量を校正する。選択ガスについてすべての流量が校正されると、方法は722に進み、別のガスを校正するかどうかを決定する。722が真の場合、方法は710に戻る。真ではない場合、方法を終了する。
【0078】
図7Bには、本開示によるハイブリッド流量計測システムを動作させる方法750が示されている。760において、流量計測を実施するかどうかを決定する。760が真の場合、校正されるべき所望の流量が第1の流量閾値TH1以下であるかどうかを決定する。764が真の場合、DMM法を使用し、選択ガスおよび/または選択流量に対応する校正後の有効容積を使用する。764が偽の場合、第2の流量計測法を使用する。いくつかの例では、第2の流量計測法は、オリフィス式の方法を含む。
【0079】
ここで、流量計測を実施する方法800を示す図8を参照する。810において、ガスラインをガスボックスからオリフィスまでポンプにより排気する。814において、弁を閉じ、MFCの出口からオリフィスまでガスラインを隔離する。816において、静定期間待機して、運動エネルギーを沈静化させ、ガスラインを壁温度に到達させる。いくつかの例では、静定期間は10秒~60秒の範囲にある。820において、圧力センサのノイズをフィルタリングし、圧力を測定し、測定圧力に基づいて初期質量を決定する。824において、MFCの二次弁を開き、所望の流量で流れを供給する。あらかじめ定められた期間Δt中に、MFCによって出力される所望の流量で、ガスライン、マニホールド、および他の構造を充填する。830において、MFCの二次弁を閉じ、流れを停止する。834において、静定期間待機する。838において、圧力センサのノイズをフィルタリングし、圧力を測定し、測定圧力および有効容積(選択ガスおよび/または選択流量に対するもの)に基づいて最終質量を決定する。842において、最終質量、初期質量、およびΔtに基づいて流量を決定する。
【0080】
ここで、DMM法の一例について測定圧力を時間の関数として示す図9を参照する。ガスラインを排気した後、ガスを静止させ、ガスラインの内壁などの表面との平衡温度(TW2)に到達させる。その結果、初期圧力p1がわずかに上昇する。続いて、MFCは、期間Δtの間、校正されるべき所望の流量に設定される。期間Δtの後、ガスを静止させ、ガス供給ラインに沿った圧力勾配を排除し、ガスラインの内壁などの表面との平衡温度(Tw2)に到達させる。その結果、最終圧力p2がわずかに変化する。
【0081】
ここで、MFCの校正に関して追加のチェックを行う方法1000を示す図10を参照する。いくつかの例では、動作中、第1の流量計測システムおよび第2の流量計測システムは、あらかじめ定められた範囲内で、比較可能な1つまたは複数の流量が重複することになる。例えば、第1の流量計測システムが10sccm以下の流量を校正するものであり、第2の流量計測システムが10sccm以上の流量を校正するために使用される場合がある。いくつかの例では、MFCの同じ所望の流量を校正するために第1の流量計測システムと第2の流量計測システムの両方を使用してもよい。例えば、10sccmの校正を行うために両方の計測システムを使用してもよい。
【0082】
第1の流量計測システムと第2の流量計測システムを使用した校正の結果を比較することができる。比較結果があらかじめ定められた許容範囲内にある場合、第1および第2の流量計測システムは、正しく機能している。比較結果があらかじめ定められた許容範囲内にない場合、システムは通知を送信し、警告メッセージを生成し、警告灯をオンにし、かつ/または他のアクションを実行する。
【0083】
1010において、MFCは、あらかじめ定められた流量範囲内の所望の流量で選択ガスを流すように設定される。いくつかの例では、あらかじめ定められた流量範囲は、第1の計測システムと第2の計測システムを切り替えるあらかじめ定められた流量に近い。例えば、MFCの所望の流量を、5sccm~15sccmの範囲にすることができる。
【0084】
1020において、第1の計測システムを使用して第1の流量MFR1を測定する。1030において、第2の計測システムを使用して第2の流量MFR2を測定する。1040において、第1の流量MFR1と第2の流量MFR2を比較する。1050において、システムは、第1の流量MFR1と第2の流量MFR2との間の差があらかじめ定められた値未満であるか、またはあらかじめ定められた許容範囲内であるかどうかを決定する。1050が真の場合、方法を終了する。真ではない場合、システムは、1052において通知を送信し、警告メッセージを生成し、警告灯をオンにし、または他のアクションを実行する。
【0085】
前述の説明は、本質的に単に例示的であり、本開示、その適用、または使用を限定する意図は全くない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施することができる。したがって、本開示は具体的な例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すると他の変更態様が明白となるので、本開示の真の範囲はそのような例に限定されるべきでない。方法における1つまたは複数の工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行してもよいことを理解されたい。さらに、各実施形態は特定の特徴を有するものとして上記に説明されているが、本開示のいずれかの実施形態に関して説明したこれらの特徴のいずれか1つまたは複数を、他の実施形態において実施すること、および/または、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることが(たとえそのような組み合わせが明示的に説明されていないとしても)可能である。言い換えれば、説明された実施形態は相互に排他的ではなく、1つまたは複数の実施形態を互いに入れ替えることは本開示の範囲に含まれる。
【0086】
要素同士(例えば、モジュール同士、回路要素同士、半導体層同士など)の空間的および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接した」、「隣に」、「上に」、「上方に」、「下方に」、および「配置された」などの様々な用語を使用して説明される。また、上記開示において第1の要素と第2の要素との間の関係が説明されるとき、「直接」であると明示的に説明されない限り、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係の可能性があるが、第1の要素と第2の要素との間に1つまたは複数の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的な関係の可能性もある。本明細書で使用する場合、A、B、およびCの少なくとも1つという表現は、非排他的論理ORを使用した論理(AまたはBまたはC)の意味で解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つ」の意味で解釈されるべきではない。
【0087】
いくつかの実施態様では、コントローラはシステムの一部であり、そのようなシステムは上述した例の一部であってもよい。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理装置を備えることができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステム動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ツールに対するウエハの搬入と搬出、ならびに、特定のシステムに接続または連動する他の搬送ツールおよび/またはロードロックに対するウエハの搬入と搬出が含まれる。
【0088】
広義には、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0089】
コントローラは、いくつかの実施態様では、システムと統合されるか、システムに結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であってもよく、またはそのようなコンピュータに結合されてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ファブホストコンピュータシステムのすべてもしくは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供することができる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実施される各処理ステップのためのパラメータを特定するものである。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラが連動または制御するように構成されるツールのタイプに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書に記載のプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを備えることによって分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられるであろう。
【0090】
例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか使用されてもよい任意の他の半導体処理システムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0091】
上述のように、ツールによって実施される1つまたは複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10