(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】低密度の硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 75/04 20060101AFI20240226BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240226BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240226BHJP
C08K 7/22 20060101ALI20240226BHJP
C08K 7/28 20060101ALI20240226BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20240226BHJP
C08G 18/83 20060101ALI20240226BHJP
C09D 7/43 20180101ALI20240226BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20240226BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20240226BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20240226BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240226BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20240226BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
C08L75/04
C08K3/013
C08K3/04
C08K7/22
C08K7/28
C08G18/10
C08G18/83 070
C09D7/43
C09D7/61
C09D175/04
C09J11/04
C09J11/06
C09J175/04
C09K3/10 D
C09K3/10 G
(21)【出願番号】P 2021517749
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(86)【国際出願番号】 EP2019076740
(87)【国際公開番号】W WO2020070207
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-27
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】クラース メンネッケ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエレ ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】ザーラ シュタウバー-フェディアー
(72)【発明者】
【氏名】ベルツァート ドゥルミク
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-017175(JP,A)
【文献】特開平11-035923(JP,A)
【文献】国際公開第2017/121540(WO,A1)
【文献】特表2019-508529(JP,A)
【文献】特開昭63-270726(JP,A)
【文献】国際公開第2018/015552(WO,A1)
【文献】特表2019-527750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08K
C08G
C09J 175/
C09J 11/
C09D 175/
C09D 7/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む湿気硬化型組成物であって:
(a)前記全組成物を基準として10重量%~60重量%の割合の少なくとも一つの湿気反応性ポリマーP、
(b)前記全組成物を基準として少なくとも9重量%の割合の少なくとも一つの無機充填材F、
(c)前記全組成物を基準として3重量%~25重量%の少なくとも一つのタイプの中空微小球H、
ここで、
前記湿気反応性ポリマーPは、シラン基を含有するポリウレタンポリマーPUである少なくとも一つのシラン官能性ポリマーSTPを含み、前記シラン官能性ポリマーSTPは、下記の式(II):
【化1】
(式中、
R
14
は、1~5個の炭素原子を有する線状又は分岐状の一価ヒドロカルビル基であり;R
15
は、1~8個の炭素原子を有する線状又は分岐状の一価ヒドロカルビル基であり;
xは、0、又は1、又は2の値を有し;
R
16
は、環状及び/又は芳香族部分並びに任意選択的に1個以上のヘテロ原子、とりわけ1個以上の窒素原子を任意選択的に有する、1~12個の炭素原子を有する線状又は分岐状の二価ヒドロカルビル基あり;かつ
Tは、-O-、-S-、-N(R
17
)-、-O-CO-N(R
17
)-、-N(R
17
)-CO-O-、及び-N(R
17
)-CO-N(R
17
)-から選択される二価の基であり、ここで、R
17
は、水素、又は、環状部分を任意選択的に有し、かつアルコキシシラン、エーテル若しくはカルボン酸エステル基を任意選択的に有する、1~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状ヒドロカルビル基である)
の末端基を有し、
前記組成物は、1.20kg/L未
満の密度を有し、かつ
前記中空微小球Hは、少なくとも2.5MP
aの、ASTM D3102-72に従って測定される圧縮強度を有し、かつ前記中空微小球Hは、100μm未満の、コールターカウンターで測定される体積ベースの粒径D90を有することを特徴とする、
湿気硬化型組成物。
【請求項2】
前記中空微小球Hは、110μm以下の直径を有する中空ガラス球であることを特徴とする、請求項1に記載の湿気硬化型組成物。
【請求項3】
前記少なくとも一つの無機充填材Fは、沈澱した若しくはすり潰したチョーク、沈澱若しくはヒュームドシリカ、二酸化チタン、又は前記充填材の組み合わせからなるリストから選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の湿気硬化型組成物。
【請求項4】
少なくとも一つの添加剤をさらに含み、前記添加剤は、可塑剤、硬化触媒、安定剤、チキソトロープ剤、接着促進剤、及び乾燥剤からなるリストから選択されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物。
【請求項5】
前記全組成物を基準として少なくとも25重量%の無機充填材Fを含有することを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物。
【請求項6】
前記全組成物を基準として1重量%~25重量%のカーボンブラックをさらに含有することを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物。
【請求項7】
前記全組成物を基準として9重量%~15重量%の無機充填材F、及び前記全組成物を基準として5重量%~15重量%の中空微小球Hを含むことを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物。
【請求項8】
防音及び/又は断熱のための接着剤、シーラント、又はコーティングとしての、請求項1~
7のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物の使用。
【請求項9】
難燃特性を有する接着剤、シーラント、又はコーティングとしての、請求項1~
7のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物の使用であって、前記組成物は、硬化後、DIN EN 13501-1に定義されるとおりの難燃性クラスC(s2、d0)を達成する、使用。
【請求項10】
減量のための接着剤、シーラント、又はコーティングとしての、請求項1~
7のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物の使用。
【請求項11】
請求項
10に記載の接着剤、シーラント、又はコーティングで、接合、シール、又はコートされている建造物又は製造品。
【請求項12】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の
湿気硬化型組成物を硬化することによって得られる硬化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低密度の湿気硬化型組成物と、接着剤及びシーラント並びにまたコーティングとしてのその使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
湿気硬化型組成物は、多くの工業的用途において、例えば一液型又は二液型接着剤、シーラント又はコーティングとして重要な役割を果たしている。それらの硬化は、遊離又は潜在的反応基、例えばイソシアネート基又はシラン基によって水の影響下で進行する架橋反応によってもたらされ、ここで、これらは、主として、空気からの又は第2の混合物成分中の水の形態における湿気との接触によってそれら自体又は互いに反応し、それによって組成物中に存在する構成成分を共有結合で連結してポリマー網状構造を形成する。
【0003】
用途の分野に応じて、用途の広い個別の特性を有する非常に広範囲の生成物を湿気硬化型組成物の分野で配合することができる。重要な役割は、ここでは、特に調合物の特性、例えば接着、メカニクス及び加工性に相当な影響を及ぼす充填材、可塑剤、添加剤及び接着促進剤などの混合剤によって果たされる。これらの湿気硬化型組成物のほとんどは、主に1.20kg/L以上の領域の比較的高い密度を有する。密度は、1.00kg/Lを上回るより高い密度を有する、湿気反応性ポリマー、可塑剤及び接着促進剤添加物などの重要な構成成分だけでなく、特に充填材にも基づく。そのような湿気硬化型組成物中の充填材は、一般に、不可欠である。それらは、調合物コストを大幅に低くするのに役立つのみならず、それらは、組成物の機械的特性及び加工特性にも大きく貢献する。残念ながら、チョークなどの一般的な充填材は、組成物の全体密度を大幅に増加させる2.00kg/L超の領域の密度を典型的に有する。しかしながら、軽量建造物の発達及び輸送費を削減する必要性は、低密度を有する接着剤及びシーラントに対する需要が建築業界及び産業界においてさらにより緊急になりつつあることを意味する。1.00kg/L又はさらにそれを下回る密度が特に望ましい。この必要性を満たすために、中空微小球が湿気反応性組成物中の混合剤として当面使用されてきた。これらの中空球は、500μm以下の直径を有し、且つ例えばガラス、シリケート又はプラスチックでできた殻を有する、本質的に球形のガス充填粒子である。これらの中空微小球は、湿気硬化型組成物中に混ぜ合わされた場合、ときに1.00kg/Lを十分に下回る密度を有し、その結果として生じる全体密度を実質的に低下させることができる。低密度に加えて、断熱又は防音などの有利な特性もそれによって達成することができ、それは、例えば、動力車建造物又は床接着剤において望ましい。
【0004】
しかしながら、密度低下のためのそのような中空微小球の使用は、重大な欠点も有する。破断点伸び及び特に引張強度などの機械的特性は、そのような中空微小球の使用によってかなり格下げされる。これは、優れた機械的特性が絶対的に不可欠である構造用接着剤の場合に特に問題である。これを阻止するために、充填材としての大量の強化カーボンブラックの混合が使用され始めている。それにより、許容できる機械的特性及び低下密度を達成することが可能であるが、組成物は、極めて粘性となり、高性能ポンプ及び加熱を用いてのみ塗布することできる。さらに、この方法では、着色することができず、且つしたがって美的観点から非常に限定された範囲の用途のみを有する濃い黒色の組成物のみを製造することが可能である。
【0005】
ポリマー殻を有する中空微小球、例えば商品名Expancelで市場に出されているものの使用も広範囲に及んでいる。これらは、組成物の他の構成成分と非常に良好な相溶性を示し、且つある程度まで減量した組成物の機械的特性の保存をもたらすが、これらの中空球は、圧力下で可逆的に変形可能、すなわち圧縮可能である。これは、例えば、カートリッジから組成物を搾り出した後、組成物がアプリケーターから流出し続けることを意味し、それは、ユーザーにとって望ましくなく且つ極めて厄介である。
【0006】
中空微小球を含む低密度湿気硬化型組成物は、一般に、不十分なポンパビリティーを有し、多くの場合、密度は、ポンピング操作後に不可逆的に増加する。さらに、これらの組成物のほとんどは、経時的に安定せず且つ長期貯蔵時に不可逆的に増加する低下密度を有する。この理由としては、例えば、かなりの割合の中空球の破壊又はその中空空洞中への物質の移行が挙げられる。
【0007】
したがって、先行技術の上述の欠点を有さず、且つ改善された機械的特性、特に引張強度、低い圧出力での良好なポンパビリティー並びにポンピング及び長期貯蔵後でも安定した低下粘度を有する、1.20kg/L未満、好ましくは1.10kg/L未満、特に1.00kg/L未満の密度を有する湿気硬化型組成物が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、良好な破断点伸びと共に改善された引張強度を有する、容易に塗布し且つ室温でポンピングすることができ、ポンピング後又は長期貯蔵時に粘度の有意で不可逆的な増加を示さず、且つ使用後にアプリケーターから流出し続けない、1.20kg/L未満、好ましくは1.10kg/L未満、特に1.00kg/L未満の密度を有する湿気硬化型組成物を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、意外にも、請求項1に記載されるような湿気硬化型組成物によって達成される。特定のサイズ及び圧縮強度の中空微小球と組み合わせた無機充填材及び組成物の規定量の全構成成分の使用により、本発明の目的を達成する低密度の湿気硬化型組成物を製造することが可能である。
【0010】
好ましい実施形態において、したがって、例えば床のための建設用接着剤のみならず、防音及び断熱特性又は火災低減特性を有する、比較的容易に塗布される構造用接着剤又はシーラントも製造することが可能である。
【0011】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、以下を含む湿気硬化型組成物であって:
(a)全組成物を基準として10重量%~60重量%の割合の少なくとも一の湿気反応性ポリマーP、
(b)全組成物を基準として少なくとも9重量%の割合の少なくとも一つの無機充填材F、
(c)全組成物を基準として3重量%~25重量%の少なくとも一つのタイプの中空微小球H、
ここで、この組成物は、1.20kg/L未満、好ましくは1.10kg/L未満の密度を有し、かつ
中空微小球Hは、少なくとも2.5MPa、好ましくは少なくとも5MPaの、ASTM D3102-72に従って測定される圧縮強度を有し、かつ
中空微小球Hは、100μm未満の、コールターカウンターで測定される体積ベースの粒径D90を有することを特徴とする、
湿気硬化型組成物を提供する。
【0013】
用語「シラン基」は、有機基に付着され、且つ1~3個、とりわけ2個又は3個の加水分解性置換基をケイ素原子上に有するシリル基を指す。特に一般的な加水分解性置換基は、アルコキシ基である。これらのシラン基は、「アルコキシシラン基」とも呼ばれる。シラン基は、部分的又は完全に加水分解した形態でもあり得る。
【0014】
「ヒドロキシシラン」、「イソシアナトシラン」、「アミノシラン」及び「メルカプトシラン」は、それぞれ1個以上のヒドロキシル、イソシアナト、アミノ又はメルカプト基をシラン基に加えて有機基上に有する有機アルコキシシランを指す。
【0015】
ポリオール又はポリイソシアネートなどの「ポリ」で始まる物質名は、1分子当たり2個以上の、それらの名称中に現れる官能基を形式上含有する物質を指す。
【0016】
用語「有機ポリマー」は、ポリ反応(重合、重付加、重縮合)によって生成されており、ポリマー骨格中に大部分の炭素原子を有する、化学的に均質であるが、その重合度、モル質量及び鎖長において異なる高分子の集団及びまた高分子のそのような集団の反応生成物を包含する。
【0017】
用語「ポリウレタンポリマー」は、いわゆるジイソシアネート重付加プロセスに従って製造される全てのポリマーを包含する。これは、ウレタン基を実質的に又は完全に含まないポリマーも含む。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレア、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアンヌレート及びポリカルボジイミドである。
【0018】
シラン基を含有するポリマーは、ここで、シリコーンポリマー(ポリジオルガノシロキサンポリマー)のみならず、特に、典型的に且つ本明細書で特に同意語として「シラン官能性ポリマー」、「シラン変性ポリマー」(SMP)又は「シラン末端ポリマー」(STP)とも言われる、シラン基を含有する有機ポリマーも意味する。その架橋は、シラノール基の縮合によって進行してシロキサン結合を形成し、特にジアルキルスズ(IV)カルボキシレ-トなどの有機スズ化合物によって通常触媒される。
【0019】
用語「シラン基を含有するポリエーテル」は、ポリエーテル単位に加えて、ウレタン基、ウレア基又はチオウレタン基も含有し得る、シラン基を含有する有機ポリマーを包含する。シラン基を含有するそのようなポリエーテルは、「シラン基を含有するポリウレタン」とも言われ得る。
【0020】
「分子量」は、本明細書書では、分子又は「基(ラジカル)」とも言われる、分子の一部のモル質量(グラム/モル単位)を意味するとして理解される。「平均分子量」は、分子又は基(ラジカル)のオリゴマー又はポリマー混合物の数平均分子量Mnを指し、それは、標準としてのポリスチレンに対してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて典型的に測定される。
【0021】
物質又は組成物は、貯蔵が、その使用にとって適切である程度までその適用特性又は使用特性、特に粘度及び架橋速度のいかなる変化ももたらすことなく、長期間、典型的には少なくとも3ヶ月~6ヶ月以上まで好適な容器中において室温で貯蔵できる場合、「貯蔵安定」又は「貯蔵可能」と言われる。
【0022】
それぞれの場合、本明細書における式中の破線は、置換基と、関連する分子ラジカルとの間の結合を表す。
【0023】
「室温」は、約23℃の温度を指す。
【0024】
本明細書において述べられる全ての業界標準及び規範は、最初の出願の日付において正当なバージョンを指す。
【0025】
用語「質量」及び「重量」は、本明細書では同意語として用いられる。したがって、「重量百分率」(重量%)は、特に明記しない限り、全組成物又は文脈に応じて全体分子の質量(重量)を指す百分率質量分率である。
【0026】
湿気硬化型組成物は、本明細書の目的のために、特に以下のとおりである。
- 例えば接着剤、被覆剤、埋込み用樹脂、シーリングジョイント、成形品若しくはスラブ材フォームのために用いられるようなポリウレタン組成物、特にポリオールとイソシアネートとの反応によって架橋を受ける二液型系又は例えば粉体塗装、コイル塗装、電気塗装材料若しくは液体ペイントに使用されるような、ブロックト(潜在的な)イソシアネート基若しくはブロックト(潜在的な)アミノ基を有する一液型系;又は
- シラン官能性ポリマー(シラン基を含有するポリマー)をベースとする組成物。シラン官能性ポリマーをベースとする組成物は、比較的低い触媒濃度でも迅速に硬化し、さらにプライマーの使用なしでも多くの基材上で良好な接着挙動を示す。それらは、イソシアネートの不在という理由で毒物学的にも有利である。
【0027】
したがって、本発明の目的のための湿気反応性ポリマーPとして好適なものは、好ましくは、遊離又は潜在的イソシアネートを有するポリウレタンポリマーPU及びシラン官能性ポリマーSTPである。
【0028】
本発明による組成物は、全組成物を基準として10重量%~60重量%、好ましくは15重量%~50重量%の割合の少なくとも1つの湿気反応性ポリマーを含有する。
【0029】
一実施形態において、湿気反応性ポリマーPは、遊離又は潜在的イソシアネート基を有する少なくとも1つのポリウレタンポリマーを含む。本発明による組成物を製造するための好適なイソシアネート含有ポリウレタンポリマーPUは、例えば、少なくとも1つのポリオールと、少なくとも1つのポリイソシアネート、特にジイソシアネートとの反応によって得られるポリマーである。この反応は、慣習的方法を用いて、例えば50℃~100℃の温度で任意選択的に好適な触媒を同時に使用して、ポリイソシアネートに含有されるイソシアネート基がポリオールのヒドロキシル基に関して化学量論的過剰に存在するようにポリイソシアネートが投与される状態でポリオールとポリイソシアネートとを反応させることによって実施され得る。
【0030】
特に、ポリイソシアネートの選択される過剰は、ポリオール中の全てのヒドロキシル基の反応後、結果として生じるウレタンポリエーテルが全ポリマーを基準として0.1重量%~5重量%、好ましくは0.2重量%~3重量%、より好ましくは0.3重量%~2.5重量%の残存含量の遊離イソシアネート基を有するようなものである。
【0031】
ポリウレタンポリマーPUは、可塑剤を同時に使用して任意選択的に製造され得、ここで、用いられる可塑剤は、イソシアネート反応基を含有しない。
【0032】
1.3:1~4:1、特に1.5:1~3:1、特に好ましくは1.7:1~2.5:1のNCO:OH比でのジイソシアネートと高分子量ジオールとの反応から得られる、列挙された含量の遊離イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーが好ましい。
【0033】
イソシアネート含有ポリウレタンポリマーの製造のための好適なポリオールは、特に、ポリエーテルポリオール、スチレン-アクリロニトリルグラフト化ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオール、ポリヒドロキシ官能性油脂又はポリ炭化水素ポリオール及びまた前記ポリオールの混合物である。
【0034】
ポリオキシアルキレンポリオール又はオリゴエーテルオールとしても知られる好適なポリエーテルポリオールは、特に、水、アンモニア又は複数のOH若しくはNH基を有する化合物、例えばエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール及び-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール、異性体のブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、シクロヘキサン-1,3-ジメタノール及び-1,4-ジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン並びにまた列挙された化合物の混合物など、2個以上の活性水素原子を有する出発分子を用いて場合により重合されたエチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-若しくは2,3-ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン又はそれらの混合物の重合生成物であるものである。例えば、いわゆる二重金属シアニド錯体触媒(DMC触媒)を使用して製造される、低い不飽和度(ASTM D-2849-69に従って測定され、ポリオールの1グラム当たりの不飽和のミリ当量単位(ミリ当量/g)で表される)を有するポリオキシアルキレンポリオール及び例えばNaOH、KOH、CsOH又はアルカリ金属アルコキシドなどのアニオン性触媒を使用して製造される、比較的高い不飽和度を有するポリオキシアルキレンポリオールが両方とも使用可能である。
【0035】
ポリオキシエチレンポリオール及びポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレントリオール及びポリオキシプロピレントリオールが特に好適である。
【0036】
400~20,000g/モルの分子量を有するポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレンジオール及びポリオキシプロピレントリオールであるような、0.02ミリ当量/gよりも低い不飽和度を有し、且つ1000~30,000g/モルの範囲内の分子量を有するポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオールがとりわけ好適である。
【0037】
いわゆるエチレンオキシド末端(「EO-エンドキャップド」、エチレンオキシド-エンドキャップド)ポリオキシプロピレンポリオールが同様に特に好適である。後者は、例えば、純ポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシプロピレンジオール及びトリオールがポリプロポキシル化反応の終了時にエチレンオキシドでさらにアルコキシル化される場合に得られ、したがって第一級ヒドロキシル基を有する特別なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールである。この場合、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンジオール及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオールが好ましい。
【0038】
好適なポリエステルポリオールには、特に、少なくとも2個のヒドロキシル基を有し、且つ公知の方法、特にヒドロキシカルボン酸の重縮合又は脂肪族及び/若しくは芳香族ポリカルボン酸と二価若しくは多価アルコールとの重縮合によって製造されるポリエステルが含まれる。
【0039】
ε-カプロラクトンなどのラクトンから形成されるポリエステルポリオールであるような、エタン-1,2-ジオール、ジエチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、ジプロピレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン又は上述のアルコールの混合物などの二価~三価アルコールと、有機ジカルボン酸又はその酸無水物若しくはエステル、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、二量体脂肪酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸及びトリメリット酸無水物又は上述の酸の混合物とから製造されるポリエステルポリオールがとりわけ好適である。
【0040】
ポリエステルジオール、特にジカルボン酸としてのアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、二量体脂肪酸、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸又はε-カプロラクトンなどのラクトン並びに二価アルコールとしてのエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、二量体脂肪酸ジオール及びシクロヘキサン-1,4-ジメタノールから製造されるものが特に好適である。
【0041】
好適なポリカーボネートポリオールには、特に、例えばポリエステルポリオールを形成するために使用される上述のアルコールと、ジメチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート又はホスゲンとの反応によって得られるものが含まれる。ポリカーボネートジオール、特に非晶質ポリカーボネートジオールが特に好適である。
【0042】
さらなる好適なポリオールは、ポリ(メタ)アクリレートポリオールである。
【0043】
ポリヒドロキシ官能性油脂、例えば天然油脂、特にヒマシ油又は天然油脂の化学修飾によって得られるいわゆる油脂化学ポリオール、例えば不飽和油のエポキシ化及びその後のそれぞれカルボン酸若しくはアルコールでの開環によって得られるエポキシポリエステル若しくはエポキシポリエーテル又は不飽和油のヒドロホルミル化及び水素化によって得られるポリオールも好適である。アルコール分解又はオゾン分解などの分解プロセスと、例えばこのようにして得られた分解生成物又はその誘導体の、エステル交換又は二量化によるその後の化学結合とによって天然油脂から得られるポリオールも好適である。天然油脂の好適な分解生成物は、特に、脂肪酸及び脂肪アルコール並びにまた脂肪酸エステル、特にメチルエステル(FAME)であり、それらは、例えば、ヒドロホルミル化及び水素化により、ヒドロキシ脂肪酸エステルに誘導体化することができる。
【0044】
例えば、Kraton Polymers,USAによって製造されるものなど、オリゴヒドロカルボノールとしても知られるポリ炭化水素ポリオール、例えばポリヒドロキシ官能性エチレン-プロピレン、エチレン-ブチレン若しくはエチレン-プロピレン-ジエンコポリマー又は1,3-ブタジエンなどのジエン若しくはジエン混合物と、スチレン、アクリロニトリル若しくはイソブチレンなどのビニルモノマーとのポリヒドロキシ官能性コポリマー又はポリヒドロキシ官能性ポリブタジエンポリオール、例えばポリブタジエンの酸化若しくは1,3-ブタンジオールとアリルアルコールとの共重合によって製造され且つまた水素化され得るものも同様に好適である。
【0045】
例えば、エポキシド又はアミノアルコールから製造することができるものなど、ポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタンジエンコポリマー及びEmerald Performance Materials,LLC,USAから名称Hypro(登録商標)CTBNで市販されているカルボキシル末端アクリロニトリル/ブタンジエンコポリマーも好適である。
【0046】
これらの列挙されたポリオールは、250~30,000g/モル、特に1000~20,000g/モルの平均分子量及び1.6~3の範囲内の平均OH官能性を好ましくは有する。
【0047】
特に好適なポリオールは、ポリエーテルポリオール、特にポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオール、好ましくはポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンジオール及びポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオールである。
【0048】
末端イソシアネート含有ポリウレタンポリマーの製造において、これらの列挙されたポリオールと一緒に、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール及び-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール、異性体のブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、シクロヘキサン-1,3-ジメタノール及び-1,4-ジメタノール、水素化ビスフェノールA、二量体脂肪アルコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール又はマンニトールなどの糖アルコール、スクロースなどの糖、他のより高い多価アルコール、上述の二価及び多価アルコールの低分子量アルコキシル化生成物並びに上述のアルコールの混合物などの少量の低分子量二価又は多価アルコールを使用することも可能である。
【0049】
ポリウレタンポリマーの製造のために使用され得るポリイソシアネートには、市販のポリイソシアネート、特にジイソシアネートが含まれる。
【0050】
好適なジイソシアネートの例としては、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2,2,4-及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(TMDI)、ドデカメチレン1,12-ジイソシアネート、リジン及びリジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソシアネートホロンジイソシアネート、すなわちIPDI)、パーヒドロ-2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びパーヒドロ-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-XDI)、m-及びp-テトラメチル-1,3-キシリレンジイソシアネート、m-及びp-テトラメチル-1,4-キシリレンジイソシアネート、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、トリレン2,4-ジイソシアネート及び2,6-ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、2,4’-ジイソシアネート及び2,2’-ジイソシアネート(MDI)、フェニレン1,3-ジイソシアネート及び1,4-ジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル(TODI)、上述のイソシアネートのオリゴマー及びポリマー並びにまた上述のイソシアネートの所望の混合物が挙げられ、MDI及びTDIが特に好ましい。
【0051】
本発明による組成物中において、イソシアネート含有ポリウレタンポリマーPUは、好ましくは、全組成物を基準として10重量%~60重量%の量、特に15重量%から50重量%の量で存在する。
【0052】
イソシアネート含有ポリウレタンポリマーPUを含む一成分組成物において、容器中での時期尚早の反応の防止によって貯蔵安定性を増加させるために、イソシアネート基をブロックする、したがって潜在的にすることが有利であり得る。
【0053】
イソシアネート基と熱可逆反応を受けることができる適切なブロッキング剤によってブロックト又は潜在的イソシアネート基を製造するためのイソシアネート基のブロッキングは、当技術分野における一般的な手段であり、当業者は、前記ブロッキングを容易に行うことができる。当業者は、多数の好適なブロッキング剤/ブロッキング基、例えば本明細書によって言及されるDouglas A.Wick in Progress in Organic Coatings 36(1999),148-172による総説及びProgress in Organic Coatings 41(2001),1-83におけるものをよく知っている。
【0054】
一成分ポリウレタン組成物を安定させるための別の、いくつかの場合にはその上より有利な方法は、潜在的硬化剤の使用である。これらは、ブロックト(潜在的)ポリアミンであり、それらは、例えば、水の影響下でそれらのブロッキング基を失い、反応して、架橋をもたらす速い反応でイソシアネートと反応する遊離アミンを形成する。
【0055】
潜在的硬化剤としてのそのようなブロックトアミンは、当業者に同様に非常によく知られており、当業者は、潜在的アミンを製造及び使用するための多くの選択肢を先行技術において見出すであろう。例は、本明細書によって言及される米国特許第4,469,831号明細書、米国特許第4,853,454号明細書及び米国特許第5,087,661号明細書並びにまた欧州特許出願公開第1772447号明細書に記載されている。
【0056】
さらなる実施形態において、湿気反応性ポリマーPは、少なくとも1つのシラン官能性ポリマーSTPを含む。
【0057】
その一実施形態において、シラン官能性ポリマーは、ポリジオルガノシロキサンポリマーである。本組成物は、したがって、反応性シラン末端基、例えばアルコキシ-、アセトキシ-若しくはオキシムシラン末端基を有するシラン官能性ポリマー及び/又はシラノール末端基を有するシラン官能性ポリマーを含むシリコーン組成物であり、ここで、特に後者の場合、シリコーン架橋剤も組成物中に存在することが必要である。この種のシリコーン系は、当業者に長く知られている。例えば、本発明に好適なものなどのそのようなシリコーン系、特に関連するシラン官能性ポリマー及び架橋剤は、国際公開第2018/033563 A1号パンフレットに記載されている。
【0058】
シラン官能性ポリマーSTPは、好ましくは、シラン基を含有する有機ポリマー、特にポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート若しくはポリエーテル又は前記ポリの混合形態であり、それらのそれぞれは、1個又は好ましくは2個以上のシラン基を有する。シラン基は、鎖におけるペンダント位又は末端位にあり得、炭素原子を介して有機ポリマーに結合している。
【0059】
シラン基を含有する有機ポリマーは、特に好ましくは、シラン基を含有するポリウレタン、若しくはシラン基を含有するポリオレフィン、若しくはシラン基を含有するポリエステル、若しくはシラン基を含有するポリ(メタ)アクリレート、若しくはシラン基を含有するポリエーテル又は前記ポリマーの混合形態である。
【0060】
シラン基を含有する有機ポリマーは、最も好ましくは、シラン基を含有するポリエーテル又はシラン基を含有するポリウレタンであり、それは、好ましくは、ポリエーテルポリオールから形成される。
【0061】
シラン基を含有する有機ポリマー中において、シラン基は、好ましくは、アルコキシシラン基、特に式(I)
【化1】
(式中、
R
14は、1~5個の炭素原子を有する線状又は分岐状の一価ヒドロカルビル基、とりわけメチル、又はエチル、又はイソプロピルであり;
R
15は、1~8個の炭素原子を有する線状又は分岐状の一価ヒドロカルビル基、とりわけメチル又はエチルであり;及び
xは、0、又は1、又は2、好ましくは0又は1、とりわけ0の値を有する)
のアルコキシシラン基である。
【0062】
R14は、特に好ましくは、メチル又はエチルである。
【0063】
トリメトキシシラン基、ジメトキシメチルシラン基又はトリエトキシシラン基が特に好ましい。
【0064】
メトキシシラン基は、ここで、特に反応性であるという利点を有し、エトキシシラン基は、毒物学的に有利であり、且つ特に貯蔵安定性であるという利点を有する。
【0065】
シラン基を含有する有機ポリマーは、1分子当たり平均で好ましくは1.3~4個、とりわけ1.5~3個、特に好ましくは1.7~2.8個のシラン基を有する。シラン基は、好ましくは、末端にある。
【0066】
シラン基を含有する有機ポリマーSTPは、好ましくは、1000~30000g/モル、とりわけ2000~20000g/モルの範囲内の平均分子量を有する。シラン基を含有する有機ポリマーは、好ましくは、300~25000g/当量、特に500~15000g/当量のシラン当量を有する。
【0067】
シラン基を含有する有機ポリマーSTPは、室温で固体又は液体であり得る。それは、好ましくは、室温で液体である。
【0068】
シラン基を含有する有機ポリマーSTPは、最も好ましくは、室温で液体であるシラン基を含有するポリエーテルであり、ここで、シラン基は、とりわけ、ジアルコキシシラン基及び/又はトリアルコキシシラン基、特に好ましくはトリメトキシシラン基又はトリエトキシシラン基である。
【0069】
シラン基を含有するポリエーテルを生成する方法は、当業者に公知である。
【0070】
好ましい方法において、シラン基を含有するポリエーテルは、任意選択的に、例えばジイソシアネートを使用する鎖延長ありで、アリル基を含有するポリエーテルとヒドロシランとの反応から得られる。
【0071】
さらなる好ましい方法において、シラン基を含有するポリエーテルは、任意選択的に、例えばジイソシアネートを使用する鎖延長ありで、アルキレンオキシドとエポキシシランとの共重合から得られる。
【0072】
さらなる好ましい方法において、シラン基を含有するポリエーテルは、任意選択的に、ジイソシアネートを使用する鎖延長ありで、ポリエーテルポリオールとイソシアナトシランとの反応から得られる。
【0073】
さらなる好ましい方法において、シラン基を含有するポリエーテルは、イソシアネート基を含有するポリエーテル、- 特にポリエーテルポリオールと超化学量論量のポリイソシアネートとの反応からのNCO末端ウレタンポリエーテル - と、アミノシラン、ヒドロキシシラン又はメルカプトシランとの反応から得られる。この方法からのシラン基を含有するポリエーテルが特に好ましい。この方法は、多数の商業的に容易に入手可能である安価な出発原料の使用を可能にし、それらを用いて様々なポリマー特性、例えば高い伸展性、高い強度、低い弾性率、低いガラス転移温度又は高い耐候性を得ることができる。
【0074】
シラン基を含有するポリウレタンは、特に好ましくは、NCO末端ウレタンポリマーとアミノシラン又はヒドロキシシランとの反応から得られる。好適なNCO末端ウレタンポリエーテルは、ポリエーテルポリオール、特にポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレンチオール、好ましくはポリオキシプロピレンジオール又はポリオキシプロピレントリオールと、超化学量論量のポリイソシアネート、特にジイソシアネートとの反応から得られる。
【0075】
ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとの間の反応は、好ましくは、任意選択的に好適な触媒の存在下において、50℃~160℃の温度で水分を排除して行われ、ポリイソシアネートは、それに含有されるイソシアネート基がポリオールのヒドロキシル基に関して化学量論的過剰に存在するように投与される。特に、ポリイソシアネートの選択される過剰は、全てのヒドロキシル基の反応後、結果として生じるウレタンポリエーテルが全ポリマーに基づいて0.1重量%~5重量%、好ましくは0.2重量%~4重量%、より好ましくは0.3重量%~3重量%の残留含量の遊離イソシアネート基を有するようなものである。
【0076】
好ましいジイソシアネートは、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、すなわちIPDI)、トリレン2,4-ジイソシアネート及び2,6-ジイソシアネート並びにこれらの異性体の任意の所望の混合物(TDI)と、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、2,4’-ジイソシアネート及び2,2’-ジイソシアネート並びにこれらの異性体の任意の所望の混合物(MDI)とからなる群から選択される。IPDI又はTDIが特に好ましい。IPDIが最も好ましい。これは、シラン基を含有し、且つ特に良好な光堅牢度を有するポリエーテルを得ることを可能にする。
【0077】
0.02ミリ当量/gよりも低い、特に0.01ミリ当量/gよりも低い不飽和度及び400~25000g/モル、特に1000~20000g/モルの範囲内の平均分子量を有するポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオールがポリエーテルポリオールとしてとりわけ好適である。
【0078】
ポリエーテルポリオールに加えて、他のポリオール、特にポリアクリレートポリオール及びまた低分子量ジオール又はトリオールの割合を使用することも可能である。
【0079】
NCO末端ウレタンポリエーテルとの反応に好適なアミノシランは、第一級及び第二級アミノシランである。3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3-メチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、N-ブチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、第一級アミノ-シラン、例えば3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシ-メチルシラン又はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランなどと、マイケル受容体、例えばアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸又はフマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル又はイタコン酸ジエステルなどとから形成される付加体、特にN-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミノコハク酸ジメチル又はジエチルが好ましい。ケイ素上のメトキシ基の代わりにエトキシ又はイソプロポキシ基を有する列挙されたアミノシランの類似体も同様に好適である。
【0080】
NCO末端ウレタンポリエーテルとの反応に好適なヒドロキシシランは、ラクトン、又は環状カーボネート、又はラクチドへのアミノシランの付加から特に得られる。
【0081】
この目的に好適なアミノシランは、特に、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、4-アミノブチルトリメトキシシラン、4-アミノブチルトリエトキシシラン、4-アミノ-3-メチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3-メチルブチルトリエトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリエトキシシラン、2-アミノエチルトリメトキシシラン又は2-アミノエチルトリエトキシシランである。3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン又は4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリエトキシシランが特に好ましい。
【0082】
好適なラクトンは、特に、γ-バレロラクトン、γ-オクタラクトン、δ-デカラクトン及びε-デカラクトン、特にγ-バレロラクトンである。
【0083】
好適な環状カーボネートは、特に、4,5-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-エチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン又は4-(フェノキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オンである。
【0084】
好適なラクチドは、特に、1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(2-ヒドロキシ酢酸から形成されるラクチド、「グリコリド」とも呼ばれる)、3,6-ジメチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(乳酸から形成されるラクチド、「ラクチド」とも呼ばれる)及び3,6-ジフェニル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(マンデル酸から形成されるラクチド)である。
【0085】
このようにして得られる好ましいヒドロキシシランは、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-2-ヒドロキシプロパンアミド、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-2-ヒドロキシプロパンアミド、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシペンタンアミド、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシオクタンアミド、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-5-ヒドロキシデカンアミド及びN-(3-トリエトキシシリルプロピル)-2-ヒドロキシプロピルカルバメートである。
【0086】
好適なヒドロキシシランは、エポキシドへのアミノシランの付加又はエポキシシランへのアミンの付加からもさらに得られる。
【0087】
このようにして得られる好ましいヒドロキシシランは、2-モルホリノ-4(5)-(2-トリメトキシシリルエチル)シクロヘキサン-1-オール、2-モルホリノ-4(5)-(2-トリエトキシシリル-エチル)シクロヘキサン-1-オール又は1-モルホリノ-3-(3-(トリエトキシシリル)プロポキシ)プロパン-2-オールである。
【0088】
シラン基を含有するポリエーテル又はポリウレタンとしてまた好適なものは、商業的に入手可能な製品、特に次のものである:MS PolymerTM(株式会社カネカ製;特にS203H、S303H、S227、S810、MA903及びS943製品);MS PolymerTM又はSilylTM(株式会社カネカ製;特にSAT010、SAT030、SAT200、SAX350、SAX400、SAX725、MAX450、MAX951製品);Excestar(登録商標)(旭硝子株式会社製;特にS2410、S2420、S3430、S3630製品);SPUR+*(Momentive Performance Materials製;特に1010LM、1015LM、1050MM製品);VorasilTM(Dow Chemical Co.製;特に602及び604製品);Desmoseal(登録商標)(Bayer MaterialScience AG製;特にS XP 2458、S XP 2636、S XP 2749、S XP 2774及びS XP 2821製品)、TEGOPAC(登録商標)(Evonik Industries AG製;特にSeal 100、Bond 150、Bond 250製品)、Polymer ST(Hanse Chemie AG/Evonik Industries AG製、特に47、48、61、61LV、77、80、81製品);Geniosil(登録商標)STP(Wacker Chemie AG製;特にE10、E15、E30、E35製品)。
【0089】
シラン基を含有する特に好ましい有機ポリマーは、式(II)
【化2】
(式中、
R
16は、環状及び/又は芳香族部分並びに任意選択的に1個以上のヘテロ原子、とりわけ1個以上の窒素原子を任意選択的に有する、1~12個の炭素原子を有する線状又は分岐状の二価のヒドロカルビル基であり;
Tは、-O-、-S-、-N(R
17)-、-O-CO-N(R
17)-、-N(R
17)-CO-O-及び-N(R
17)-CO-N(R
17)-から選択される二価の基であり、ここで、R
17は、水素、又は環状部分を任意選択的に有し、且つアルコキシシラン、エーテル若しくはカルボン酸エステル基を任意選択的に有する、1~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状ヒドロカルビル基であり;及び
R
14、R
15及びxは、上に定義されたとおりである)
の末端基を有する。
【0090】
R16は、好ましくは、1,3-プロピレン又は1,4-ブチレン(ここで、ブチレンは、1個又は2個のメチル基で置換され得る)である。
【0091】
R16は、特に好ましくは、1,3-プロピレンである。
【0092】
本発明による湿気硬化型組成物の好ましい実施形態において、湿気反応性ポリマーPは、少なくとも1つのポリウレタンポリマーPUを含み、ポリウレタンポリマーPUは、遊離又は潜在的イソシアネート基を有し、及び組成物は、加えて、イソシアネート基のための潜在的硬化剤を任意選択的に含む。
【0093】
本発明による湿気硬化型組成物のさらなる好ましい実施形態において、その湿気反応性ポリマーPは、少なくとも1つのシラン官能性ポリマーSTPを含む。
【0094】
本発明による組成物において、シラン官能性ポリマーSTPは、好ましくは、全組成物を基準として10重量%~60重量%の量、特に15重量%~50重量%の量で存在する。
【0095】
本発明による組成物は、全組成物を基準として3重量%~25重量%、好ましくは4重量%~20重量%の少なくとも1つのタイプの中空微小球Hをさらに含む。
【0096】
使用される中空微小球Hは、少なくとも2.5MPa、好ましくは少なくとも5MPaの、ASTM D3102-72に従って測定される圧縮強度を有する。
【0097】
圧縮強度は、ASTM D3102-72に従って測定することができる。この業界標準に基づく好ましい中空微小球Hの詳細な測定方法は、国際公開第2012/033810号パンフレット、p.15、第2段落に見出すことができる。
【0098】
2.5MPa未満の圧縮強度を有する中空微小球Hが使用される場合、これは、ポンパビリティー及びポンピング後の密度の安定性に悪影響を及ぼすのみならず、それはまた、意外にも、低い引張強度及びより不十分な塗布特性を有する材料をもたらす。したがって、少なくとも2.5MPaの圧縮強度を有する中空微小球Hが使用されることが本発明にとって不可欠である。
【0099】
本発明の要件を満たすために、中空微小球Hは、100μm未満の、コールターカウンターで測定される体積ベースの粒径D90をさらに有さなければならない。ふるい分け分析又は動的光散乱などの他の方法を用いて粒径を測定することも可能であるが、方法に関連するいかなる測定誤差も異なる方法を比較する場合に考慮に入れられることが(例えば、比較測定によって)確実にされなければならない。コールターカウンターは、中空微小球H、特にガラスでできたものの測定のための正確な再現性のある方法であることを証明している。好適な測定機器を含めて、このタイプの測定は、米国特許第8,261,577号明細書(列8、行7~12)に記載されている。
【0100】
他の測定方法と比較された、このサイズの粒子のコールターカウンターを用いる粒子測定の正確さは、例えば、Journal of Geophysical Research,vol.115,C08024,2010,pp.1-19に記載されている。
【0101】
粒径D90は、試料中の粒子の90%がそれ未満である値を表す。換言すれば、中空微小球Hの粒子の90%が100μm未満の粒径を有する。
【0102】
中空微小球Hは、好ましくは、15~65μmの体積ベースの中央粒径D50及び5~30μmの体積ベースの粒径D10を有する。
【0103】
中央粒径D50は、試料の粒子の半分が、その値を上回るサイズを有し、粒子の半分が、その値未満のサイズを有する値を表す。粒径D10は、試料の粒子の10%がその値未満のサイズを依然として有する値を表す。
【0104】
中空微小球Hは、5%以下、好ましくは1%以下の、110μm超の粒径を有する粒子を好ましくは含む。特に、中空微小球Hは、測定可能な含量の、110μm超の粒径を有する粒子を好ましくは有さない。
【0105】
中空微小球Hは、殻と内部空洞中のガスとを含む本質的に球形の物体である。ガスは、例えば、空気、CO2、窒素、酸素、水素、希ガス又は前記ガスの混合物であり得る。殻は、例えば、ガラス、特にホウケイ酸ガラス、シリケート、特にアルミノシリケート又はポリマー、特に熱可塑性ポリマーから作られ得る。
【0106】
中空微小球Hは、好ましくは、ガラス、特にホウケイ酸ガラスでできている。ガラスでできた好適な中空微小球H及びその製造は、例えば、米国特許第8,261,577号明細書及び国際公開第2012/033810号パンフレットに教示されている。
【0107】
ガラスでできた好ましい好適な市販の中空微小球Hは、3M Deutschland GmbHから入手可能な3MTM Glass Bubblesである。K20、K25、K32、K37及びS28HS製品が特に好ましい。
【0108】
本発明による湿気硬化型組成物の好ましい実施形態において、中空微小球Hは、110μm以下の直径を有する中空ガラス球、特にホウケイ酸ガラス球である。
【0109】
本発明による組成物は、全組成物を基準として少なくとも9重量%の割合の少なくとも1つの無機充填材Fをさらに含む。組成物は、全組成物を基準として50重量%以下、特に40重量%以下の無機充填材Fを好ましくは含有する。
【0110】
中空微小球Hと組み合わせた少なくとも9重量%の含量の無機充填材Fは、硬化組成物の機械的特性及び塗布特性にとって不可欠である。しかしながら、50重量%超の過度に高い充填材含量は、1.20kg/L未満の十分に低い密度への適応を困難にする。
【0111】
好適な無機充填材Fの例としては、特に天然のチョーク、脂肪酸、特にステアリン酸で任意選択的にコートされた、すり潰された又は沈澱された炭酸カルシウム、バライト(重晶石)、タルク、石英粉末、石英砂、ドロマイト、すり潰されたセメント、ウォラストナイト、カオリン、か焼カオリン、マイカ(ケイ酸カリウムアルミニウム)などのシリケート、モレキュラーシーブ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、熱分解プロセスからの微粉化されたシリカを含む沈澱又はヒュームドシリカ、アルミニウム、銅、鉄、銀又はスチールなどの金属粉及び二酸化チタンなどの金属酸化物が挙げられる。
【0112】
好ましい充填材Fは、脂肪酸、特にステアリン酸で任意選択的にコートされた、天然の、すり潰された又は沈澱された炭酸カルシウム、及びまた熱分解プロセスからの微粉化されたシリカを含む沈澱又はヒュームドシリカ、及びまた二酸化チタンなどの金属酸化物、及びまたアルミニウム三水和物並びに前記充填材の混合物である。
【0113】
γ-Al(OH)3とも言われ、鉱物ギプサイト(ハイドラーギライト)として知られるアルミニウム三水和物(ATH)は、当業者に公知の難燃性充填材である。
【0114】
全ての充填材Fは、表面コートされた、特に疎水化された形態でも存在し得る。表面コーティングとしての脂肪酸、シリカ充填材の場合にはアルキルシランベースのコ-ティングが好ましい。これらは、粒子の周りに疎水性殻を形成する。コーティングのための特に好ましい脂肪酸の例は、ステアリン酸である。
【0115】
本発明による湿気硬化型組成物の好ましい実施形態において、組成物は、全組成物を基準として少なくとも25重量%及び好ましくは40重量%以下の無機充填材Fを含有する。この実施形態は、比較的低い密度及び良好な圧出性と共に特に高い引張強度を有し、且つ接着剤又は弾性シーラントとしての非常に良好な好適性を有する。この実施形態は、白色又は着色形態にさらに適応可能である。その特に好ましい実施形態は、全組成物を基準として25重量%~40重量%の無機充填材F及びまた全組成物を基準として4重量%~20重量%の中空微小球Hを含む。
【0116】
本発明による湿気硬化型組成物のさらに好ましい実施形態において、組成物は、全組成物を基準として少なくとも9重量%、好ましくは15重量%以下の無機充填材Fを含む。この実施形態は、良好な引張強度、良好な圧出性と共に特に低い密度を有し、且つ寄木張り床用接着剤又はジョイントシーラントとしての非常に良好な好適性を有する。この実施形態は、白色又は着色形態にさらに適応可能である。その特に好ましい実施形態は、全組成物を基準として9重量%~15重量%の無機充填材F及びまた全組成物を基準として5重量%~15重量%の中空微小球Hを含む。
【0117】
本発明による湿気硬化型組成物のさらに好ましい実施形態において、組成物は、全組成物を基準として好ましくは1重量%~25重量%の少なくとも1つのカーボンブラック、特に5重量%~20重量%のカーボンブラックもさらに含む。
【0118】
カーボンブラックの使用は、比較的低い圧出力と結び付いた特に良好な機械的値、特に引張強度を達成でき、それは、特に構造用接着剤としてのこれらの実施形態の使用を可能にするという利点を有する。そのようなカーボンブラック含有組成物の特に好ましい実施形態は、全組成物を基準として9重量%~15重量%の無機充填材F及びまた全組成物を基準として4重量%~15重量%の中空微小球Hを含む。
【0119】
好適なカーボンブラックは、全ての一般的な工業用カーボンブラック、特に乾燥カーボンブラックである。好適な乾燥カーボンブラックには、全ての一般的な工業用カーボンブラック、例えばCabotから入手可能なMonarch(登録商標)570が含まれる。
【0120】
有機充填材、例えばPVC粉末又は黒鉛などのさらなる充填材を使用することがさらに可能である。膨張作用を有する膨張性黒鉛が好ましい。全ての市販のタイプ、例えばNyacol Nano Technologiesから入手可能なNyagraph(登録商標)250又はAsbury Carbons製の膨張性黒鉛が同様に好適である。
【0121】
本発明の好ましい実施形態は、硬化後、DIN EN 13501-1に定義されるような難燃性クラスC(s2、d0)を達成する。
【0122】
組成物は、湿気架橋性ポリマーPを架橋させるための、特にシラン基を架橋させるための且つ/又はイソシアネート基をアミン若しくはアルコールで架橋させるための少なくとも1つの触媒を好ましくは含む。好適な触媒には、特に金属化合物及び/又は塩基性窒素若しくはリン化合物が含まれる。
【0123】
好適な金属化合物は、特に、スズ、チタン、ジルコニウム、アルミニウム又は亜鉛の化合物、特にジ有機スズ(IV)化合物、例えば特にジブチルスズ(IV)ジアセテート、ジブチルスズ(IV)ジラウレート、ジブチルスズ(IV)ジネオデカノエート又はジブチルスズ(IV)ビス(アセチルアセトネート)及びジオクチルスズ(IV)ジラウレート並びにまた特にアルコキシ、カルボキシレート、1,3-ジケトネート、1,3-ケトエステレート又は1,3-ケトアミデート配位子を有するチタン(IV)、又はジルコニウム(IV)、又はアルミニウム(III)、又は亜鉛(II)錯体である。
【0124】
好適なオルガノチタネートは、特にチアン(IV)錯体である。
【0125】
市販の製品Tyzor(登録商標)AA、GBA、GBO、AA-75、AA-65、AA-105、DC、BEAT、BTP、TE、TnBT、KTM、TOT、TPT又はIBAY(全てDorf Ketal製);Tytan PBT、TET、X85、TAA、ET、S2、S4又はS6(全てBorica Company Ltd.製)及びKen-React(登録商標)KR(登録商標)TTS、7、9QS、12、26S、33DS、38S、39DS、44、134S、138S、133DS、158FS又はLICA(登録商標)44(全てKenrich Petrochemicals製)がとりわけ好適である。
【0126】
好適な塩基性窒素又はリン化合物は、特に、イミダゾール類、ピリジン類、ホスファゼン塩基又は好ましくはアミン、ヘキサヒドロトリアジン、ビグアニド、グアニジン類若しくはアミジンである。
【0127】
好適なアミンは、特にアルキル、シクロアルキル若しくはアラルキルアミン;例えば商品名Versamid(登録商標)(Cognis製)、Aradur(登録商標)(Huntsman製)、Euretek(登録商標)(Huntsman製)若しくはBeckopox(登録商標)(Cytec製)で商業的に入手可能なものなど、アミド含有ポリアミン、いわゆるポリアミドアミン;又は特に3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-N’-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン又はケイ素上にメトキシ基の代わりにエトキシ基を有するそれらの類似体などのアミノシランである。
【0128】
好適なヘキサヒドロトリアジンは、特に、1,3,5-ヘキサヒドロトリアジン又は1,3,5-トリス(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ヘキサヒドロトリアジンである。
【0129】
好適なビグアニドは、特に、ビグアニド、1-ブチルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1-ブチルビグアニド、1-フェニルビグアニド又は1-(o-トリル)ビグアニド(OTBG)である。
【0130】
好適なグアニジンは、特に、1-ブチルグアニジン、1,1-ジメチルグアニジン、1,3-ジメチルグアニジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)、2-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2-(3-(メチルジメトキシシリル)プロピル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、2-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ-[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-シクロヘキシル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン(OTG)、1,3-ジフェニルグアニジン、1,3-ジ(o-トリル)グアニジン又は2-グアニジノベンズイミダゾールである。
【0131】
好適なアミジンは、特に、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、N,N’-ジ-n-ヘキシルアセトアミジン(DHA)、2-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、2,5,5-トリメチル-1,4,5,6-テトラヒドロ-ピリミジン、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール又はN-(3-トリエトキシ-シリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾールである。
【0132】
加えて、組成物は、触媒として、酸、特にカルボン酸を含み得る。脂肪族カルボン酸、例えばギ酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、2-エチル-2,5-ジメチルカプロン酸、2-エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸など、天然脂肪及び油の鹸化からの脂肪酸混合物又はジ-及びポリカルボン酸、特にポリ(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0133】
組成物は、さらなる構成成分、特に以下の助剤及び混合剤を含み得る:
- 接着促進剤及び/又は架橋剤、特に3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(2-アミノエチル)-N’-[3-(トリメトキシシリル)-プロピル]エチレンジアミン又はメトキシ基の代わりにエトキシ基を有するそれらの類似体及びまたN-フェニル-、N-シクロヘキシル若しくはN-アルキルアミノシラン、メルカプトシラン、エポキシシラン、(メタ)アクリロシラン、アンヒドリドシラン、カルバマトシラン、アルキルシラン又はイミノシラン、これらのシランのオリゴマー形態、第一級アミノシランとエポキシシラン又は(メタ)アクリロシラン又はアンヒドリドシランとから形成される付加体、アミノ官能性アルキルシルセスキオキサン、特にアミノ官能性メチルシルセスキオキサン又はアミノ官能性プロピルシルセスキオキサンなどの特にアミノシラン。3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン若しくは3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン又はこれらのシランのオリゴマー形態がとりわけ好適である;
- 乾燥剤、特にテトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン又はシラン基のα位に官能基を有するオルガノアルコキシシラン、特にN-(メチルジメトキシシリルメチル)-O-メチルカルバメート、(メタクリルオキシメチル)シラン、メトキシメチルシラン、オルトギ酸エステル、酸化カルシウム又はモレキュラーシーブ、特にビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシラン;
- 可塑剤、特にフタル酸エステル、特にフタル酸ジオクチル、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、フタル酸ビス(3-プロピルヘプチル)、フタル酸ジイソノニル若しくはフタル酸ジイソデシル、オルトシクロヘキサンジカルボン酸のジエステル、特にシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジイソノニル、アジピン酸エステル、特にアジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アゼライン酸エステル、特にアゼライン酸ビス(2-エチルヘキシル)、セバシン酸エステル、特にセバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)若しくはセバシン酸ジイソノニル、ポリオール、特にポリオキシアルキレンポリオール若しくはポリエステルポリオール、グリコールエーテル、グリコールエステル、有機リン酸若しくはスルホン酸エステル、スルホンアミド、ポリブテン又は天然油脂から誘導され、且つまた「バイオディーゼル」としても知られる脂肪酸メチル若しくはエチルエステル;
- 溶媒;
- 有機充填材、特に黒鉛、セルロース、ポリマー粉末、特にPVC粉末;
- 繊維、特にガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維又はポリマー繊維、例えばポリアミド繊維又はポリエチレン繊維など;
- 染料及び顔料;
- レオロジー調整剤、特に増粘剤、特にベントナイトなどのフィロシリケート、ヒマシ油の誘導体、水素化ヒマシ油、ポリアミト、ポリウレタン、ウレア化合物、ヒュームドシリカ、セルロースエーテル又は疎水的変性ポリオキシエチレン;
- 酸化、熱、光又はUV放射線に対する安定剤;
- 天然樹脂、脂肪又は油、例えばロジン、セラック、アマニ油、ヒマシ油又は大豆油など;
- 非反応性ポリマー、例えば特にエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル又はアルキル(メタ)アクリレートからなる群からの不飽和モノマーのホモポリマー又はコポリマー、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)又はアタクチックポリ-α-オレフィン(APAO)など;
- 界面活性物質、特に湿潤剤、均展剤、脱気剤又は消泡剤;
- 殺生物剤、特に殺藻剤、殺真菌剤又は真菌増殖を阻害する物質
並びに硬化性組成物に習慣的に使用される他の物質。ある種の構成成分を組成物に混ぜ込む前にそれらを化学的又は物理的乾燥にかけることが推奨され得る。
【0134】
好ましい実施形態において、組成物は、少なくとも1つの添加剤を含み、添加剤は、可塑剤、硬化触媒、安定剤、チキソトロープ剤、接着促進剤及び乾燥剤からなるリストから選択される。
【0135】
特に好ましい実施形態において、組成物は、少なくとも1つの乾燥剤と少なくとも1つの接着促進剤とを含む。
【0136】
組成物は、好ましくは、水分を排除して製造及び貯蔵される。水分が排除されると、それは、典型的には、好適なパッケージング又はアセンブリ、例えば特にボトル、小型の缶、ポウチ、バケツ、ドラム又はカートリッジなどの中で貯蔵安定性である。
【0137】
組成物は、1成分組成物の形態又は多成分、特に2成分組成物の形態であり得る。
【0138】
本明細書において、「1成分」は、組成物の全ての構成成分が同じ容器内で一緒に混合されて貯蔵され、且つ水分で硬化性である組成物を指す。
【0139】
本明細書において、「2成分」は、組成物の構成成分が2つの異なる成分中に存在し、別個の容器に貯蔵される組成物を指す。2つの成分は、組成物の塗布の直前又は塗布中まで互いに混合されず、その時点において、混合された組成物は、任意選択的に水分の作用下で硬化する。
【0140】
任意の第2の又は任意選択的にさらなる成分は、特に静的ミキサー又は動的ミキサーにより、塗布前又は塗布中に第1の成分と混合される。
【0141】
組成物は、特に、暖かい環境、好ましくは0℃~45℃、特に5℃~35℃の温度範囲内で塗布され、且つまたこれらの条件下で硬化する。
【0142】
シラン官能性ポリマーSTPが使用されているときの塗布の場合、シラン基の架橋反応は、湿気の影響下で任意選択的に始まる。存在するシラン基は、存在するシラノール基と縮合してシロキサン基(Si-O-Si基)を形成することができる。存在するシラン基は、水分と接触すると、シラノール基(Si-OH基)への加水分解を受け、その後の縮合反応によってシロキサン基(Si-O-Si基)を形成することもできる。これらの反応の結果として、組成物は、最終的に硬化する。
【0143】
硬化のために水が必要とされる場合、これは、空気(大気湿度)に由来し得るか、或いは組成物は、例えば平滑剤を用いて、例えば塗装若しくは噴霧によって水含有成分と接触され得るか、又は水若しくは水含有成分は、例えば水含有若しくは水放出液体若しくはペーストの形態で塗布中に組成物に添加され得るかのいずれかである。特に組成物自体がペーストの形態である場合、ペーストが好適である。
【0144】
大気湿度による硬化の場合、組成物は、外側から内側へ硬化し、最初に組成物の表面上にスキンを形成する。いわゆるスキン時間は、組成物の硬化速度の尺度である。硬化の速度は、一般に、様々な因子、例えば水の利用可能性、温度などによって決定される。
【0145】
組成物は、特に繊維複合材の製造のための樹脂として、剛性フォーム、可撓性フォーム、成形品、エラストマー、繊維、フィルム又は膜として、ポッティング配合材、シーラント、接着剤、被覆剤、建設及び工業用途向けのコーティング若しくは塗料として、例えば継ぎ目シール、空洞シール、電気絶縁配合材、パテ状補修剤配合材、目地材、溶接若しくは捲縮継ぎ目シーラント、組立接着剤、車体接着剤、窓ガラス接着剤、サンドイッチ要素接着剤、貼合せ用接着剤、ラミネート接着剤、包装接着剤、木材接着剤、寄木張り接着剤、固着接着剤、床の敷物、床コーティング、バルコニーコーティング、屋根コーティング、コンクリート保護コーティング、立体駐車場コーティング、シール、パイプコーティング、防食コーティング、織物コーティング、減衰要素、シーリング要素又はパテ状補修剤配合材として多くの用途に好適である。
【0146】
組成物は、建造物及び工業的用途において特にジョイントシーリング及び弾性接着接合のための、接着剤及び/又はシーラントとして且つ特に例えば屋根、床、バルコニー、立体駐車場若しくはコンクリートパイプの保護及び/又はシーリングのための、クラックブリッジング特性を有する弾性コーティングとして且つまた鉄道輸送車両、道路輸送車両、航空機及び船舶などの輸送手段の製造、修理及び装備における接着剤及び/又はシーラントとして特に好適である。
【0147】
組成物は、したがって、好ましくは、接着剤又はシーラント又はコーティングである。
【0148】
この種の組成物は、典型的には、可塑剤、充填材、接着促進剤及び/又は架橋剤並びに乾燥剤、並びに任意選択的にさらなる助剤及び添加剤を含む。
【0149】
本発明による組成物は、1.20kg/L未満、好ましくは1.10kg/Lの密度を有する。特に好ましい実施形態において、本発明による組成物は、1.00kg/L未満、特に0.90kg/L未満の密度を有する。
【0150】
密度は、密度計、好ましくは比重瓶を使用して又は水置換(アルキメデス原理による体積測定)によって測定することができる。
【0151】
当業者は、所定の試験により、請求項1に記載の本発明による組成物の構成成分の量及び種類を変えることによって組成物の所望の密度を容易に調整することができる。
【0152】
接着剤又はシーラントとしての使用のために、組成物は、好ましくは、構造的に粘性の特性を有するペースト状稠度を有する。この種のペースト状シーラント又は接着剤は、特に、圧縮空気又は一組の装置により、手動で運転される標準的カートリッジから、又は吐出ポンプ若しくは押出機により、任意選択的に塗布ロボットによりドラム若しくはホブボックから基材に塗布される。
【0153】
コーティングとしての使用のために、組成物は、好ましくは、自己レベリング性を有する室温で液体稠度を有する。コーティングが直ちに流れ去ることなく傾斜~垂直表面に塗布できるように、それは、わずかにチキソトロピックであり得る。それは、とりわけ、ローラー若しくはブラシを用いて、又は例えばローラー、スクレーパー若しくは刻み目のあるこてを用いた注ぎ出し及び分配によって塗布される。
【0154】
塗布中、組成物は、好ましくは、少なくとも1つの基材に塗布される。
【0155】
好適な基材は、特に、
- ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、煉瓦、タイル、石膏及び天然石、例えば石灰石、花崗岩又は大理石など;
- 金属及び合金、例えばアルミニウム、鉄、鋼又は非鉄金属など、及びまた表面仕上げ金属又は合金、例えば亜鉛めっき金属又はクロムめっき金属など;
- 皮革、織物、紙、木材、樹脂、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂又はエポキシ樹脂で接合された木材ベースの材料、樹脂-織物複合材及び他のいわゆるポリマー複合材;
- プラスチック、例えばポリ塩化ビニル(硬質及び軟質PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、エポキシ樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PE)若しくはポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレンコポリマー(EPM)若しくはエチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)など、又は繊維強化プラスチック、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFP)及びシートモールディングコンパウンド(SMC)など、ここで、プラスチックは、好ましくは、プラズマ、コロナ又は火炎によって表面処理され得る;
- 被覆基材、例えば粉末被覆金属又は合金など;
- 塗料又はワニス、とりわけ自動車トップコート
である。
【0156】
基材は、必要に応じて、特に物理的及び/若しくは化学的クリーニング法により、又は接着促進剤、接着促進剤溶液若しくはプライマーの塗布により、組成物の塗布前に前処理することができる。
【0157】
2つの同一の又は2つの異なる基材、とりわけ上述の基材を接合又はシールすることが可能である。
【0158】
水、特に大気湿度の形態の水による組成物の硬化後に硬化組成物が得られる。
【0159】
本組成物の使用は、本組成物で特に接合、シール又はコートされた物品を提供する。物品は、特に、建造物、特に地上若しくは地下建造物、工業的に製造された品目若しくは消費財、特に窓、家庭用電気器具又は輸送手段、例えば特に自動車、バス、トラック、鉄道車両、船、航空機若しくはヘリコプターなどであるか、又は物品は、それらの設置可能な構成部品であり得る。
【0160】
本発明のさらなる態様は、防音及び/又は断熱のための接着剤、シーラント又はコーティングとしての、上記のような湿気硬化型組成物の使用である。
【0161】
本発明のさらなる態様は、難燃特性を有する接着剤、シーラント又はコーティングとしての、上記のような湿気硬化型組成物の使用であって、前記組成物は、硬化後、DIN EN 13501-1に定義されるような難燃性クラスC(s2、d0)を達成する、使用である。
【0162】
本発明のさらなる態様は、減量のための接着剤、シーラント又はコーティングとしての、上記のような湿気硬化型組成物の使用である。
【0163】
本発明のさらなる態様は、上記のような接着剤、シーラント又はコーティングで接合、シール又はコートされている建造物又は製造品である。
【0164】
本発明のさらなる態様は、上記のような硬化組成物である。
【実施例】
【0165】
記載される本発明をさらに明らかにすることを意図する実施例が本明細書で以下に提示される。本発明は、当然のことながら、これらの記載される実施例に限定されない。
【0166】
「標準気候条件」は、23±1℃の温度及び50±5%の相対大気湿度を指す。
【0167】
引張強度及び破断点伸びは、23℃及び50%相対大気湿度で7日間硬化させた2mmの膜厚さの膜に関してDIN 53504(引張速度200mm/分)に従って測定した。
【0168】
圧出力の測定のために、内部被覆アルミニウムカートリッジ(外径46.9mm、内径46.2mm、長さ215mm、開口部15-M)に組成物を満たし、Novelis Deutschland GmbH製のポリエチレンストッパー(直径46.1mm)で気密密封した。23℃で24時間順化させた後、カートリッジを開け、内容物を圧出デバイスによって圧出した。このために、3mm内径のオリフィスを有するノズルをカートリッジのねじ山にねじ込んだ。圧出デバイス(Zwick/Roell Z005)を用いて、60mm/分の圧出速度で組成物を圧出するために必要とされる力を測定した。報告値は、22mm、24mm、26mm及び28mmの圧出距離後に測定された力の平均である。30mmの圧出距離後に測定を止めた。
【0169】
試料の密度は、23℃で熱平衡した100mLの容積の比重瓶で測定した。
【0170】
調合物の理論密度は、原材料の割合及び密度データに基づいて計算した。
【0171】
ポンピングに対する抵抗の測定のために、試験調合物の密度を、製造後に新たにまず、次に二度目に同一試料を30バールの圧力(計量供給ストロークでの圧力ピーク)でドラムポンプによってポンピングした後に測定した。2つの密度測定値の5%以下の差は、ポンピングに対する満足できる抵抗を示す。
【0172】
mm単位での糸形成は、塗布ガンからのシーラントの塗布後、塗布されたシーラントビーズからノズルを持ち上げた後に残るシーラント糸の長さを指す。比較的短い糸が好ましい。
【0173】
ポリマーPの及びチキソトロープ剤1の製造
シラン官能性ポリマーSTP-1の製造
1000gのAcclaim(登録商標)12200ポリオール(Covestro製;低モノオールポリオキシプロピレンジオール、OH価 11.0mg KOH/g、含水量 約0.02重量%)、43.6gのイソホロンジイソシアネート(Evonik Industries製のVestanat(登録商標)IPDI)、126.4gのトリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)(Eastman Chem.製のSolusolv(登録商標)2075)及び0.12gのジブチルスズジラウレートを、湿気を排除し、連続的に撹拌しながら90℃に加熱し、滴定法で測定されるような遊離イソシアネート基の含量が0.63重量%の値に達するまでこの温度に維持した。62.3gのN-(3-トリメトキシシリルプロピル)アミノコハク酸ジエチル(3-アミノプロピルトリメトキシシランとマレイン酸ジエチルとの付加体;米国特許第5,364,955号明細書に記載されるように製造された)を次に混ぜ入れ、遊離イソシアネートがFT-IR分光法によってもはや検出できなくなるまで混合物を90℃で撹拌した。シラン官能性ポリマーを室温に冷却し、湿気を排除して貯蔵した。
【0174】
チキソトロープ剤1の製造
真空ミキサーに1000gの水素化フタル酸ジイソノニル(Hexamol(登録商標)DINCH,BASF)及び160gのジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート(Desmodur(登録商標)44 MC L,Bayer MaterialScience AG,Deutschland)を装入し、内容物を徐々に加熱した。90gのモノブチルアミンを次に激しく撹拌しながらゆっくり滴加した。結果として生じた白色ペーストを冷却しながら減圧下でさらに1時間撹拌した。チキソトロープ剤1は、20重量部のこの反応生成物と80重量部のフタル酸ジイソデシルとを含有する。
【0175】
湿気硬化型組成物の製造
比較例は、表2~5では「(ref)」と表示する。使用される原材料を表1に記載する。
【0176】
使用される原材料
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
STP組成物Z-1~Z-18の製造
シラン官能性ポリマーSTP-1、可塑剤及び乾燥剤を、表2~5に示される重量部で真空ミキサーにおいて5分間十分に混合した。それぞれの充填材、中空微小球及びチキソトロープ剤を次に15分間60℃で混練した。加熱のスイッチを切り、接着促進剤、触媒及び任意選択的に安定剤を次に添加し、混合物を10分間減圧下で処理して均質ペーストにした。ペーストを次に内部被覆アルミニウムアプリケーターガンカートリッジに移し、貯蔵後、試験検体のためにさらに使用した。それぞれの実験のための個別の原材料の正確な量(各場合に全組成物を基準とする重量%単位での)を表2~5に示す。
【0183】
表2~5の試験結果は、本発明による組成物が同じ低密度を有する一方、高い引張強度、低い圧出力、低い糸形成、ポンピングへの安定性に関して非発明実施例よりも優れていることを明らかに示す。
本開示に係る発明は、下記の態様を含む:
<態様1>
以下を含む湿気硬化型組成物であって:
(a)前記全組成物を基準として10重量%~60重量%の割合の少なくとも一つの湿気反応性ポリマーP、
(b)前記全組成物を基準として少なくとも9重量%の割合の少なくとも一つの無機充填材F、
(c)前記全組成物を基準として3重量%~25重量%の少なくとも一つのタイプの中空微小球H、
ここで、前記組成物は、1.20kg/L未満、好ましくは1.10kg/L未満の密度を有し、かつ
前記中空微小球Hは、少なくとも2.5MPa、好ましくは少なくとも5MPaの、ASTM D3102-72に従って測定される圧縮強度を有し、かつ前記中空微小球Hは、100μm未満の、コールターカウンターで測定される体積ベースの粒径D90を有することを特徴とする、
湿気硬化型組成物。
<態様2>
前記中空微小球Hは、110μm以下の直径を有する中空ガラス球であることを特徴とする、態様1に記載の湿気硬化型組成物。
<態様3>
前記少なくとも一つの無機充填材Fは、沈澱した若しくはすり潰したチョーク、沈澱若しくはヒュームドシリカ、二酸化チタン、又は前記充填材の組み合わせからなるリストから選択されることを特徴とする、態様1又は2に記載の湿気硬化型組成物。
<態様4>
前記湿気反応性ポリマーPは、少なくとも一つのポリウレタンポリマーPUを含み、前記ポリウレタンポリマーPUは、遊離又は潜在的イソシアネート基を有し、かつ前記組成物は、加えて、イソシアネート基のための潜在的硬化剤を任意選択的に含むことを特徴とする、態様1~3のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物。
<態様5>
前記湿気反応性ポリマーPは、少なくとも一つのシラン官能性ポリマーSTPを含むことを特徴とする、態様1~3のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物。
<態様6>
前記シラン官能性ポリマーSTPは、下記の式(II)の末端基を有することを特徴とする、態様5に記載の湿気硬化型組成物:
【化1】
(式中、
R
14
は、1~5個の炭素原子を有する線状又は分岐状の一価ヒドロカルビル基であり;R
15
は、1~8個の炭素原子を有する線状又は分岐状の一価ヒドロカルビル基であり;
xは、0、又は1、又は2の値を有し;
R
16
は、環状及び/又は芳香族部分並びに任意選択的に1個以上のヘテロ原子、とりわけ1個以上の窒素原子を任意選択的に有する、1~12個の炭素原子を有する線状又は分岐状の二価ヒドロカルビル基あり;かつ
Tは、-O-、-S-、-N(R
17
)-、-O-CO-N(R
17
)-、-N(R
17
)-CO-O-、及び-N(R
17
)-CO-N(R
17
)-から選択される二価の基であり、ここで、R
17
は、水素、又は環状部分を任意選択的に有し、かつアルコキシシラン、エーテル若しくはカルボン酸エステル基を任意選択的に有する、1~20個の炭素原子を有する線状若しくは分岐状ヒドロカルビル基である)。
<態様7>
少なくとも一つの添加剤をさらに含み、前記添加剤は、可塑剤、硬化触媒、安定剤、チキソトロープ剤、接着促進剤、及び乾燥剤からなるリストから選択されることを特徴とする、態様1~6のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物。
<態様8>
前記全組成物を基準として少なくとも25重量%の無機充填材Fを含有することを特徴とする、態様1~7のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物。
<態様9>
前記全組成物を基準として1重量%~25重量%のカーボンブラックをさらに含有することを特徴とする、態様1~7のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物。
<態様10>
前記全組成物を基準として9重量%~15重量%の無機充填材F、及び前記全組成物を基準として5重量%~15重量%の中空微小球Hを含むことを特徴とする、態様1~7のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物。
<態様11>
防音及び/又は断熱のための接着剤、シーラント、又はコーティングとしての、態様1~10のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物の使用。
<態様12>
難燃特性を有する接着剤、シーラント、又はコーティングとしての、態様1~10のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物の使用であって、前記組成物は、硬化後、DIN EN 13501-1に定義されるとおりの難燃性クラスC(s2、d0)を達成する、使用。
<態様13>
減量のための接着剤、シーラント、又はコーティングとしての、態様1~10のいずれか一項に記載の湿気硬化型組成物の使用。
<態様14>
態様13に記載の接着剤、シーラント、又はコーティングで、接合、シール、又はコートされている建造物又は製造品。
<態様15>
態様1~10のいずれか一項に記載の硬化組成物。