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特許7442584顔料分散液、これを含む感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、カラーフィルターおよびディスプレイ装置、ならびに顔料分散液セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】顔料分散液、これを含む感光性樹脂組成物、感光性樹脂膜、カラーフィルターおよびディスプレイ装置、ならびに顔料分散液セット
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240226BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240226BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20240226BHJP
   C09C 3/10 20060101ALI20240226BHJP
   C09D 11/037 20140101ALI20240226BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G03F7/004 504
C09D17/00
C09C3/10
C09D11/037
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022114742
(22)【出願日】2022-07-19
(65)【公開番号】P2023015021
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0094193
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朴 洙 衍
(72)【発明者】
【氏名】權 革 伸
(72)【発明者】
【氏名】盧 遠 亞
(72)【発明者】
【氏名】朴 ウンビ
【審査官】中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-144057(JP,A)
【文献】特開2017-137483(JP,A)
【文献】特開2021-152145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
G03F 7/004
C09D 17/00
C09C 3/10
C09D 11/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性樹脂組成物であって、
前記感光性樹脂組成物は、緑色顔料分散液(G)と、黄色顔料分散液(Y)と、バインダー樹脂と、光重合性単量体と、光重合開始剤と、溶媒と、を混合することを含む方法によって製造され、
顔料分散液は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して50質量%~90質量%で前記感光性樹脂組成物中に含まれ、前記顔料分散液は、前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)のみからなり、
前記緑色顔料分散液(G)は、8000g/mol~12000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/g~140mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂と、緑色顔料とを含み、
前記黄色顔料分散液(Y)は、8000g/mol~12000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/g未満の酸価を有する第2分散樹脂と、黄色顔料とを含み、
前記緑色顔料は、ハロゲンで置換された亜鉛フタロシアニン顔料またはハロゲンで置換された銅フタロシアニン顔料であり、
前記黄色顔料は、イソインドリン系顔料である、
感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記第1分散樹脂および前記第2分散樹脂は、それぞれ独立して、アクリル系樹脂である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)は、前記緑色顔料分散液(G):前記黄色顔料分散液(Y)=1.41:1~2.46:1の質量比を有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)は、それぞれ独立して、分散剤および溶媒をさらに含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記感光性樹脂組成物は、前記バインダー樹脂、前記光重合性単量体、前記光重合開始剤および前記溶媒を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して、
前記バインダー樹脂0.1質量%~5質量%;
前記光重合性単量体0.5質量%~10質量%;
前記光重合開始剤0.01質量%~5質量%;および
前記溶
含む、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、シラン系カップリング剤、レベリング剤、フッ素系界面活性剤、ラジカル重合開始剤またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含む、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を
塗布、乾燥、露光および現像をしてなる、または
塗布、乾燥、露光および現像をし、加熱、硬化もしくはこれらの組み合わせをさらにしてなる、
感光性樹脂膜。
【請求項9】
請求項8に記載の感光性樹脂膜を含むカラーフィルター。
【請求項10】
請求項9に記載のカラーフィルターを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散液、これを含む感光性樹脂組成物、前記感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターおよび前記カラーフィルターを含むディスプレイ装置、ならびに顔料分散液セットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、平面ディスプレイ市場は需要に対応することが難しいほど成長しており、その中心にはプラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)、有機発光ディスプレイ(OLED)、固体撮像素子(CCD、CMOSなど)、そしてこれを活用したタッチディスプレイ市場などがある。特に、LCDは、平面ディスプレイ市場の主要製品であり、カラーフィルター、薄膜トランジスターおよび液晶などからなる。カラー液晶表示装置や撮像素子などに使用されるカラーフィルターは、通常、ブラックマトリックスがパターン形成された基板上に、赤色、緑色および青色の各色に相当する顔料を含有する感光性樹脂組成物をスピンコーティングにより均一に塗布した後、加熱乾燥して形成された塗膜を露光、現像し、必要に応じてさらに加熱硬化する操作を、色ごとに繰り返して各色の画素を形成することによって、製造されている。
【0003】
前記感光性樹脂組成物は、カラーフィルター、液晶表示装置(LCD)、有機発光ディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、固体撮像素子(CCD、CMOSなど)などの平面ディスプレイパネルの材料に必須の材料であるところ、感光性樹脂組成物の組成によりカラーフィルターの品質が変わるようになる。従来はバインダー樹脂、顔料などの着色剤、光重合性単量体などを改良する方向に感光性樹脂組成物に対する研究が進行されてきたが、このような研究方向が最近になっては限界に直面している。したがって、感光性樹脂組成物を構成する他の組成、例えば顔料を分散させる分散樹脂などを改良して感光性樹脂組成物の物性を向上させようとする努力が続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一態様は、パターン性に優れた感光性樹脂膜、および当該感光性樹脂膜を形成可能な感光性樹脂組成物を形成可能な、顔料分散液を提供することにその目的がある。
【0005】
本発明の他の一態様は、前記顔料分散液を含み、パターン性に優れた感光性樹脂膜を形成可能な、感光性樹脂組成物を提供することにその目的がある。
【0006】
本発明のさらなる他の一態様は、前記感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜を提供することにその目的がある。
【0007】
本発明のさらなる他の一態様は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供することにその目的がある。
【0008】
本発明のさらなる他の一態様は、前記カラーフィルターを含むディスプレイ装置を提供することにその目的がある。
【0009】
本発明のさらなる他の一態様は、パターン性に優れた感光性樹脂膜、および当該感光性樹脂膜を形成可能な感光性樹脂組成物を形成可能な、顔料分散液セットを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、8000g/mol~12000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/g~140mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂と、緑色顔料とを含む緑色顔料分散液(G);および8000g/mol~12000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/g未満の酸価を有する第2分散樹脂と、黄色顔料とを含む黄色顔料分散液(Y)を含む顔料分散液を提供する。
【0011】
前記第1分散樹脂および前記第2分散樹脂は、それぞれ独立して、アクリル系樹脂であり得る。
【0012】
前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)は、1.41:1~2.46:1の質量比を有することができる。
【0013】
前記顔料分散液は、分散剤および溶媒をさらに含むことができる。
【0014】
本発明の他の一態様は、前記顔料分散液を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0015】
前記顔料分散液は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して50質量%~90質量%で含まれ得る。
【0016】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤および溶媒をさらに含むことができる。
【0017】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して、前記バインダー樹脂0.1質量%~5質量%;前記光重合性単量体0.5質量%~10質量%;前記光重合開始剤0.01質量%~5質量%;前記顔料分散液50質量%~90質量%;および前記溶媒残部量を含むことができる。
【0018】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、シラン系カップリング剤、レベリング剤、フッ素系界面活性剤、ラジカル重合開始剤またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0019】
本発明のさらなる他の一態様は、前記感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0020】
本発明のさらなる他の一態様は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供する。
【0021】
本発明のさらなる他の一態様は、前記カラーフィルターを含むディスプレイ装置を提供する。
【0022】
本発明のさらなる他の一態様は、8000g/mol~12000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/g~140mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂と、緑色顔料とを含む緑色顔料分散液(G);および8000g/mol~12000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/g未満の酸価を有する第2分散樹脂と、黄色顔料とを含む黄色顔料分散液(Y)を備える、顔料分散液セットを提供する。
【0023】
その他、本発明の各側面(各態様)の具体的な事項は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る顔料分散液は、特定色を有する固形の顔料に最適化した分散樹脂を含むため、これを含む感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜はパターン性に優れ、前記感光性樹脂組成物が前記顔料分散液を高含有量で含んでいる場合であっても、前記感光性樹脂膜のパターン性を維持することが可能となり得る。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0026】
本明細書中の数値範囲の記載において、「X~Y」は、X以上Y以下(X≦、そして、≦Y)を意味する。
【0027】
本明細書で特別な言及がない限り、「アルキル基」とは、C1~C20(炭素数1以上20以下)のアルキル基を意味し、「アルケニル基」とは、C2~C20(炭素数2以上20以下)のアルケニル基を意味し、「シクロアルケニル基」とは、C3~C20(炭素数3以上20以下)のシクロアルケニル基を意味し、「ヘテロシクロアルケニル基」とは、C3~C20(炭素数3以上20以下))のヘテロシクロアルケニル基を意味し、「アリール基」とは、C6~C20(炭素数6以上20以下)のアリール基を意味し、「アリールアルキル基」とは、C6~C20のアリールアルキル基を意味し、「アルキレン基」とは、C1~C20(炭素数1以上20以下)のアルキレン基を意味し、「アリーレン基」とは、C6~C20(炭素数6以上20以下)のアリーレン基を意味し、「アルキルアリーレン基」とは、C6~C20(炭素数6以上20以下)(好ましくはC7~C20(炭素数7以上20以下))のアルキルアリーレン基を意味し、「ヘテロアリーレン基」とは、C3~C20(炭素数3以上20以下)のヘテロアリーレン基を意味し、「アルコキシレン基」とは、C1~C20(炭素数1以上20以下)のアルコキシレン基を意味する。
【0028】
本明細書では、特別な言及がない限り、「置換」とは、少なくとも一つの水素原子がハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、C1~C20(炭素数1以上20以下)のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸またはその塩、C1~C20(炭素数1以上20以下)のアルキル基、C2~C20(炭素数2以上20以下)のアルケニル基、C2~C20(炭素数2以上20以下)のアルキニル基、C6~C20(炭素数6以上20以下)のアリール基、C3~C20(炭素数3以上20以下)のシクロアルキル基、C3~C20(炭素数3以上20以下)のシクロアルケニル基、C3~C20(炭素数3以上20以下)のシクロアルキニル基、C2~C20(炭素数2以上20以下)のヘテロシクロアルキル基、C2~C20(炭素数2以上20以下)のヘテロシクロアルケニル基、C2~C20(炭素数2以上20以下)のヘテロシクロアルキニル基、C3~C20(炭素数3以上20以下)のヘテロアリール基またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたことを意味する。
【0029】
また本明細書で特別な言及がない限り、「ヘテロ」とは、化学式内にN、O、SおよびPのうちの少なくとも一つのヘテロ原子が少なくとも一つ含まれたことを意味する。
【0030】
また本明細書で特別な言及がない限り、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方共に可能であること(アクリレートおよび/またはメタクリレート)を意味し、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリル酸」の両方共に可能であること(アクリル酸および/またはメタクリル酸)を意味する。
【0031】
本明細書で特別な言及がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。
【0032】
本明細書で特別な言及がない限り、不飽和結合は、炭素-炭素原子間の多重結合だけでなく、カルボニル結合、アゾ結合などのように他の分子を含むことも含む。
【0033】
また、本明細書で別途の定義がない限り、「*」は同一または異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0034】
本発明の一態様に係る顔料分散液は、緑色顔料分散液(G)および黄色顔料分散液(Y)を含み、前記緑色顔料分散液(G)は、8000g/mol~12000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/g~140mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂と、緑色顔料とを含み、前記黄色顔料分散液(Y)は、8000g/mol~12000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/g未満の酸価を有する第2分散樹脂と、黄色顔料とを含む。
【0035】
従来のカラーフィルター内の感光性樹脂膜の製造に使用される感光性樹脂組成物は、優れた感光性樹脂膜のパターン性などを実現するように、バインダー樹脂や固形の顔料などを改質して使用されていた。しかしながら、バインダー樹脂や固形の顔料などの改質だけでは感光性樹脂膜のパターン性の向上に根本的な限界があるという問題があった。
【0036】
具体的には、カラーフィルターを薄膜化することによってクロストーク(光の混色)が軽減されるが、分光の形態は維持したまま薄膜化が要求されるため、固形分中の顔料濃度を大幅に上げることが要求される。そのため、感光性樹脂組成物では相対的にリソグラフィに必要な成分の含有量が少なくなり、パターン形成が困難になる傾向がある。
【0037】
本発明者らは、パターン形成が困難になることは、リソグラフィに必要な成分の含有量が相対的に減少するためであることを正確に認知した。そして、従来にパターン性を向上させるために感光性樹脂組成物を構成するバインダー樹脂や固形の顔料を改質する方法に変えて、リソグラフィに必要な成分の含有量を確保するために、顔料分散液内の分散樹脂によって必要物性を確保するための試みを行った。その結果、緑色顔料分散液(G)および黄色顔料分散液(Y)の混合顔料分散液において、前述したそれぞれの顔料分散液を構成する分散樹脂の重量平均分子量と、酸価とを特定範囲に限定することによって、本発明者らは、感光性樹脂膜のパターン性の向上を図ることができることを確認して、本発明を完成させた。
【0038】
本発明の好ましい一実施形態では、さらに、顔料分散液内の分散樹脂の重量平均分子量と、酸価とを限定することによって、二重結合の数を調節して硬化度を高めて感光性樹脂膜の残膜率を向上させ、さらには感光性樹脂膜の現像性も確保することができる。
【0039】
本発明の一態様に係る顔料分散液は、緑色顔料分散液(G)および黄色顔料分散液(Y)を含み、前記緑色顔料分散液(G)は、8000g/mol~12000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/g~140mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂と、緑色顔料とを含み、前記黄色顔料分散液(Y)は、8000g/mol~12000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/g未満の酸価を有する第2分散樹脂と、黄色顔料とを含む。
【0040】
前記緑色顔料に対する分散樹脂である第1分散樹脂の重量平均分子量および酸価と、前記黄色顔料に対する分散樹脂である第2分散樹脂の重量平均分子量および酸価とを前記のように限定することによって、感光性樹脂膜のパターン性の向上を図ることができる。また、同時に、感光性樹脂膜の残膜率と、感光性樹脂膜の現像性との向上の効果も期待することができる。具体的には、前記緑色顔料分散液(G)を構成する第1分散樹脂の重量平均分子量が8000g/mol~12000g/molの範囲を有しても、酸価が100mgKOH/g~140mgKOH/gの範囲を満たさない場合、感光性樹脂膜の、パターン性、硬化度、残膜率、現像性などを同時に向上させることができない。同様に、前記第1分散樹脂の酸価が100mgKOH/g~140mgKOH/gの範囲を満たしても、重量平均分子量が8000g/mol~12000g/molの範囲を満たさない場合にも、感光性樹脂膜の、パターン性、硬化度、残膜率、現像性などを同時に向上させることができない。また、前記黄色顔料分散液(Y)を構成する第2分散樹脂の重量平均分子量が8000g/mol~12000g/molの範囲を有しても、酸価が100mgKOH/g以上である場合、感光性樹脂膜の、パターン性、硬化度、残膜率、現像性などを同時に向上させることができない。同様に、前記第2分散樹脂の酸価が100mgKOH/g未満であっても、重量平均分子量が8000g/mol~12000g/molの範囲を満たさない場合にも、感光性樹脂膜の、パターン性、硬化度、残膜率、現像性などを同時に向上させることができない。つまり、本発明の一態様に係る顔料分散液は、緑色顔料分散液(G)と黄色顔料分散液(Y)が混合された形態で存在することができ、さらには前記緑色顔料分散液(G)を構成する第1分散樹脂およびと前記黄色顔料分散液(Y)を構成する第2分散樹脂の重量平均分子量および酸価が同時に細密に制御されてこそ、感光性樹脂膜の、パターン性、硬化度、残膜率、現像性などを同時に向上させることができる。
【0041】
前記第1分散樹脂および前記第2分散樹脂は、特に制限されないが、例えば、それぞれ独立して、アクリル系樹脂、またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記第1分散樹脂および前記第2分散樹脂は、それぞれ独立して、アクリル系樹脂であり得る。
【0042】
前記アクリル系樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0043】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、前記アクリル系樹脂総量に対して5質量%~50質量%、例えば10質量%~40質量%で含まれ得る。
【0045】
前記第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0046】
前記アクリル系樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるのではなく、これらを単独または2種以上混合して使用することもできる。
【0047】
前記緑色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.緑色顔料59、C.I.緑色顔料58、C.I.緑色顔料36、C.I.緑色顔料7などのようなハロゲンで置換された亜鉛フタロシアニン顔料またはハロゲンで置換された銅フタロシアニン顔料などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、これに必ずしも限定されるのではない。前記緑色顔料の市販品の例としては、ENF社製のC.I.pigment green 58等が挙げられる。
【0048】
前記黄色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.黄色顔料139、C.I.黄色顔料185などのようなイソインドリン系顔料、C.I.黄色顔料138などのようなキノフタロン系顔料、C.I.黄色顔料150などのようなニッケルコンプレックス顔料、C.I.黄色顔料100などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、これに必ずしも限定されるのではない。前記黄色顔料の市販品の例としては、ENF社製のC.I.pigment yellow 185等が挙げられる。
【0049】
本発明の一実施形態に係る顔料分散液は、赤色顔料、青色顔料などをさらに含むことができ、この時、前記赤色顔料および/または前記青色顔料を分散させることができる他の分散樹脂を、前記赤色顔料および/または青色顔料と共に含むこともできる。
【0050】
前記赤色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.赤色顔料179、C.I.赤色顔料254、C.I.赤色顔料255、C.I.赤色顔料264、C.I.赤色顔料270、C.I.赤色顔料272、C.I.赤色顔料177、C.I.赤色顔料89などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、これに必ずしも限定されるのではない。
【0051】
前記青色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.青色顔料15:6、C.I.青色顔料15:0、C.I.青色顔料15:1、C.I.青色顔料15:2、C.I.青色顔料15:3、C.I.青色顔料15:4、C.I.青色顔料15:5、C.I.青色顔料15:6、C.I.青色顔料16などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、これに必ずしも限定されるのではない。
【0052】
例えば、前記緑色顔料分散液(G)は、前記黄色顔料分散液(Y)より多い含有量で含まれ得る。
【0053】
例えば、前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)は、1.30:1~2.60:1(前記緑色顔料分散液(G):前記黄色顔料分散液(Y)=1.30:1~2.60:1)の質量比、好ましくは、1.41:1~2.46:1(前記緑色顔料分散液(G):前記黄色顔料分散液(Y)=1.41:1~2.46:1)の質量比を有することができる。前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)が上記の範囲の質量比を有する場合、感光性樹脂膜のパターン性を大幅に向上させることができる。
【0054】
例えば、前記顔料分散液は、分散剤、溶媒、顔料誘導体またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。例えば、前記顔料分散液は、分散剤および溶媒をさらに含むことが好ましい。例えば、前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)は、それぞれ独立して、分散剤、溶媒、顔料誘導体またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)は、それぞれ独立して、分散剤および溶媒をさらに含むことが好ましい。
【0055】
つまり、前記顔料を分散させるために、分散樹脂以外に、分散剤を共に使用することもできる。具体的には、前記顔料を分散剤に予め表面処理して使用したり、組成物製造時に顔料と共に分散剤を添加して使用することができる。一方、顔料分散液を構成する溶媒の種類は後述するとおりである。
【0056】
前記分散剤としては、非イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、陽イオン性分散剤などを使用することができる。前記分散剤の具体的な例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどが挙げられ、これらを単独または二つ以上混合して使用することができる。
【0057】
前記分散剤の市販される製品を例に挙げれば、BYK社製のDISPERBYK-101、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-160、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-165、DISPERBYK-166、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-182、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001など;EFKAケミカル社製のEFKA-47、EFKA-47EA、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-100、EFKA-400、EFKA-450など;Zeneka社製のSolsperse5000、Solsperse12000、Solsperse13240、Solsperse13940、Solsperse17000、Solsperse20000、Solsperse24000GR、Solsperse27000、Solsperse28000など;またはAjinomoto社製のPB711、PB821などがある。
【0058】
前記分散剤は、感光性樹脂組成物の総量に対して0.1質量%~15質量%で含まれ得る。分散剤がこの範囲内に含まれる場合、組成物の分散性に優れていることによってカラーフィルター製造時、感光性樹脂膜の、安定性、現像性およびパターン性に優れている。
【0059】
前記顔料は、水溶性無機塩および湿潤剤を利用して前処理して使用することもできる。前記顔料を前記前処理して使用する場合、顔料の平均粒径を微細化することができる。
【0060】
前記前処理は、前記顔料を水溶性無機塩および湿潤剤と共にニーディング(kneading)する段階、そして前記ニーディング段階で得られた顔料をろ過および水洗する段階を経て行うことができる。
【0061】
前記ニーディングは、40℃~100℃の温度で行うことができ、前記ろ過および水洗は水などを用いて無機塩を水洗した後、ろ過して行うことができる。
【0062】
前記水溶性無機塩の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。前記湿潤剤は、前記顔料および前記水溶性無機塩が均一に混合されて顔料が容易に粉砕され得る媒介体の役割を果たし、その例としてはエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのようなアルキレングリコールモノアルキルエーテル;エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンポリエチレングリコールなどのようなアルコールなどが挙げられ、これらを単独または二つ以上混合して使用することができる。
【0063】
前記ニーディング段階を経た顔料は、5nm~200nm、例えば5nm~150nmの平均粒径を有することができる。顔料の平均粒径がこれらの範囲内である場合、顔料分散液での安定性に優れ、ピクセルの解像性低下の虞がない。
【0064】
前記顔料分散液は、固形分の顔料、分散樹脂と共に、前記分散剤および溶媒を含むことが好ましい。前記顔料分散液の溶媒としては、特に制限されないが、例えば、後述する溶媒の説明と同様のものが挙げられる。
【0065】
前記固形分の顔料は、前記顔料分散液の総量に対して、好ましくは5質量%~20質量%、例えば8質量%~15質量%で含まれ得る。
【0066】
前記顔料分散液は、例えば、前記緑色顔料分散液(G)と、前記黄色顔料分散液(Y)とを混合することで製造することができる。また、前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)の混合比は、特に制限されないが、前記緑色顔料分散液(G)は、前記黄色顔料分散液(Y)より多いことが好ましい。前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)の混合比は、特に制限されないが、前述の上記の顔料分散液に含まれる前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)の質量比と同様である。顔料分散液の製造において、前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)以外にも、添加剤および/または他の分散液をさらに混合してもよい。前記添加剤または前記他の分散液中の添加剤としては、特に制限されないが、例えば、前記分散剤、前記溶媒、前記顔料誘導体等が挙げられる。
【0067】
本発明の他の一態様は、前記顔料分散液(上記の態様に係る顔料分散液)を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0068】
前記顔料分散液は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して、例えば、50質量%~90質量%で含まれ得て、また、例えば、50質量%~60質量%で含まれ得る。一般に、感光性樹脂組成物を利用して高色再現をするためには、着色剤の含有量を高含有量で、例えば、感光性樹脂組成物の総量に対して、例えば、50質量%~90質量%、50質量%~80質量%、50質量%~75質量%、50質量%~60質量%等で使用するが、この場合、前述のように、感光性樹脂膜の、パターン性が崩れる問題点が発生することがある。しかしながら、上記の態様に係る顔料分散液は、前述のように特定色の顔料と、これを分散させることができる、重量平均分子量および酸価を制御した分散樹脂とを含む顔料分散液について、互いに異なる色の顔料分散液を混合使用することによって、このような高含有量にもかかわらず、優れた感光性樹脂膜のパターン性の維持が可能になり得る。
【0069】
例えば、前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、溶媒またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。例えば、前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤および溶媒をさらに含むことができる。
【0070】
(バインダー樹脂)
前記バインダー樹脂は、特に制限されないが、例えば、カルド系バインダー樹脂、アクリル系バインダー樹脂またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記カルド系樹脂は、通常の硬化性樹脂(または感光性樹脂)組成物に使用されるものを使用することができ、例えば韓国公開特許第10-2018-0067243号公報に提示されたものを使用することができるが、これに限定されるのではない。
【0071】
例えば、前記バインダー樹脂は、単独または互いに異なる2種以上のアクリル系バインダー樹脂を含むことができる。
【0072】
前記アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量は、例えば、3,000g/mol~150,000g/molであり得て、例えば、5,000g/mol~50,000g/molであり得て、例えば、20,000g/mol~30,000g/molであり得る。前記アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量が上記の範囲内である場合、前記感光性樹脂組成物の物理的および化学的物性に優れ、粘度が適切であり、カラーフィルター製造時の基板との密着性に優れる。
【0073】
前記アクリル系バインダー樹脂の酸価は、例えば、15mgKOH/g~60mgKOH/gであり得て、例えば、20mgKOH/g~50mgKOH/gであり得る。前記アクリル系バインダー樹脂の酸価が上記の範囲内である場合、ピクセルパターンの解像度に優れる。
【0074】
前記重量平均分子量および前記酸価以外に前記アクリル系バインダー樹脂に関するものは、前記顔料分散液を構成する分散樹脂に対して記述したものと同一であり得る。
【0075】
前記アクリル系バインダー樹脂の市販品の例としては、Showadenko社製のSP-RY16等が挙げられる。
【0076】
前記バインダー樹脂がアクリル系バインダー樹脂と共にカルド系バインダー樹脂をさらに含む場合、低反射特性の実現および解像度の改善に効果的になり得る。
【0077】
例えば、前記バインダー樹脂がアクリル系バインダー樹脂およびカルド系バインダー樹脂を含む場合、前記カルド系バインダー樹脂は、前記アクリル系バインダー樹脂の含有量より多い含有量で含まれ得る。前記カルド系バインダー樹脂が前記アクリル系バインダー樹脂よりも多い含有量で含まれる場合、低反射特性および優れた解像度を同時に実現することに一層有利になり得る。また、現像性および工程マージンの向上にも有利になり得る。
【0078】
前記バインダー樹脂は、前記カルド系バインダー樹脂および前記アクリル系バインダー樹脂以外に、ポリイミド系バインダー樹脂、ポリウレタン系バインダー樹脂またはこれらの組み合わせの樹脂をさらに含むことができる。
【0079】
前記カルド系バインダー樹脂の重量平均分子量は、例えば、1,000g/mol~50,000g/molであり得て、例えば、3,000g/mol~35,000g/molであり得る。
【0080】
前記カルド系バインダー樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、カラーフィルター製造時に、優れた感光性樹脂膜の、パターン性および現像性を得ることができる。
【0081】
前記バインダー樹脂は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して、例えば、0.1質量%~5質量%で含まれ得て、例えば、0.1質量%~3質量%で含まれ得る。前記バインダー樹脂が前記範囲内に含まれる場合、粘度が適切に維持されてカラーフィルター製造時に、感光性樹脂膜の、パターン性、加工性および現像性に優れる。
【0082】
(光重合性単量体)
前記光重合性単量体は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを使用することができる。
【0083】
前記光重合性単量体は、前記エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こして耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れた感光性樹脂膜のパターンを形成することができる。
【0084】
前記光重合性単量体は、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートまたはこれらの組み合わせであり得る。
【0085】
前記光重合性単量体の市販される製品を例に挙げれば次のとおりである。前記(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックスM-101(登録商標)、同M-111(登録商標)、同M-114(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TC-110S(登録商標)、同TC-120S(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-158(登録商標)、V-2311(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックスM-210(登録商標)、同M-240(登録商標)、同M-6200(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD HDDA(登録商標)、同HX-220(登録商標)、同R-604(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-260(登録商標)、V-312(登録商標)、V-335HP(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックスM-309(登録商標)、同M-400(登録商標)、同M-405(登録商標)、同M-450(登録商標)、同M-7100(登録商標)、同M-8030(登録商標)、同M-8060(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TMPTA(登録商標)、同DPCA-20(登録商標)、同-30(登録商標)、同-60(登録商標)、同-120(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-295(登録商標)、同-300(登録商標)、同-360(登録商標)、同-GPT(登録商標)、同-3PA(登録商標)、同-400(登録商標)などが挙げられる。また、日本化薬株式会社製のDPHA、味元スペシャルティ社製のM2100などが挙げられる。前記製品を単独使用または2種以上共に使用することができる。
【0086】
前記光重合性単量体は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0087】
前記光重合性単量体は、感光性樹脂組成物総量に対して、例えば、0.5質量%~10質量%で含まれ得て、例えば、0.5質量%~5質量%で含まれ得る。前記光重合性単量体が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて信頼性に優れ、パターンの耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れ、解像度および密着性にも優れる。
【0088】
(光重合開始剤)
前記光重合開始剤は、オキシム系開始剤(化合物)、アセトフェノン系開始剤(化合物)、またはこれらの組み合わせを含むことが好ましい。前記光重合開始剤は、オキシム系開始剤(化合物)およびアセトフェノン系開始剤(化合物)を含むことがより好ましい。前記2種類の光重合開始剤の混合物は、前述した着色剤の構成と共に使用されて、低いテーパ角度の実現が可能な感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0089】
前記アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0090】
前記オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。前記オキシム系開始剤の市販品の例としては、BASF社製のOXE01、OXE02などが挙げられる。
【0091】
例えば、前記オキシム系開始剤は、前記アセトフェノン系開始剤の含有量と同一の、またはより多い含有量で含まれ得る。
【0092】
例えば、前記オキシム系開始剤は、前記アセトフェノン系開始剤含有量の9倍以下の含有量で含まれ得る。
【0093】
前記オキシム系開始剤およびアセトフェノン系開始剤間の含有量が上記のような関係を満たす場合、感光性樹脂膜内のパターンのテーパ角度をより低めることができる。
【0094】
前記光重合開始剤は、前記化合物以外にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを含むことができる。
【0095】
前記光重合開始剤は、前記例示した化合物を単独で含むこともでき、2種以上の化合物の組み合わせを含むこともできる。
【0096】
前記光重合開始剤は、光を吸収して浮き立った状態になった後、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用されることもできる。
【0097】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0098】
前記光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して、例えば、0.01質量%~5質量%で含まれ得て、例えば、0.01質量%~3質量%で含まれ得る。光重合開始剤が上記の範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れ、解像度および密着性にも優れ、未反応開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0099】
(溶媒)
前記溶媒としては、前記顔料分散液、前記光重合開始剤、前記光重合性単量体および前記バインダー樹脂との相溶性を有するが、これらと反応しない物質を使用することができる。
【0100】
前記溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(EDM)などのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0101】
これらのうち、好ましくは相溶性および反応性を考慮して、シクロヘキサノンなどのケトン類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類を使用することができる。
【0102】
前記溶媒の市販品の例としては、sigma-aldrich社のPGMEAなどが挙げられる。
【0103】
前記溶媒は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して、残部量、例えば、20質量%~70質量%で含まれ得て、例えば、20質量%~60質量%で含まれ得て、例えば、25質量%~55質量%で含まれ得る。前記溶媒が上記の範囲内に含まれる場合、前記感光性樹脂組成物が適切な粘度を有することによってカラーフィルター製造時の加工性に優れる。
【0104】
例えば、前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して、前記バインダー樹脂0.1質量%~5質量%;前記光重合性単量体0.5質量%~10質量%;前記光重合開始剤0.01質量%~5質量%;前記顔料分散液50質量%~90質量%;および前記溶媒残部量を含むことが好ましい。前記記バインダー樹脂、前記光重合性単量体、前記光重合開始剤、前記顔料分散液;および前記溶媒残部量の含有量のさらなる好ましい実施形態は、上記で説明した通りである。
【0105】
(その他添加剤)
前記感光性樹脂組成物は、多価カルボン酸(好ましくはジカルボン酸)、ヒドロキシル基を有する有機アミン化合物(好ましくはアルカノールアミン)、カップリング剤、界面活性剤、重合開始剤またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。ジカルボン酸としては、特に制限されないが、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。アルカノールアミンとしては、特に制限されないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタン等が挙げられる。前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、シラン系カップリング剤、レベリング剤、フッ素系界面活性剤、ラジカル重合開始剤またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0106】
前記シラン系カップリング剤は、基板との密着性などを改善するために、ビニル基、カルボキシル基、メタクリルオキシ基(別名:メタクリロイルオキシ基、メタクリロキシ基)、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有することができる。これらの反応性置換基は、単独または2種以上有していてもよい。
【0107】
前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(別名:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0108】
シラン系カップリング剤の市販品の例としては、ShinEtsu社製のKBM-503等が挙げられる。
【0109】
前記シラン系カップリング剤は、感光性樹脂組成物100質量部に対して、例えば、0.01質量部~10質量部で含まれ得て、0.03質量部~1質量部で含まれ得て、0.05質量部~0.5質量部で含まれ得る。前記シラン系カップリング剤がこれらの範囲内に含まれる場合、密着性、保存性などに優れる。
【0110】
また前記感光性樹脂組成物は、必要に応じてコーティング性向上および欠点生成防止効果のために界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0111】
前記フッ素系界面活性剤としては、BM Chemie社製のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など;DIC株式会社(旧社名:大日本インキ化学工業株式会社)製のメガファックF142D(登録商標)、同F172(登録商標)、同F173(登録商標)、同F183(登録商標)、同F554(登録商標)など;住友スリーエム株式会社製のフロラードFC-135(登録商標)、同FC-170C(登録商標)、同FC-430(登録商標)、同FC-431(登録商標)など;AGCセイミケミカル株式会社製のサーフロンS-112(登録商標)、同S-113(登録商標)、同S-131(登録商標)、同S-141(登録商標)、同S-145(登録商標)など;東レシリコン株式会社製のSH-28PA(登録商標)、同-190(登録商標)、同-193(登録商標)、SZ-6032(登録商標)、SF-8428(登録商標)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
【0112】
前記フッ素系界面活性剤は、感光性樹脂組成物100質量部に対して0.001質量部~5質量部で含まれ得て、0.01質量部~1質量部で含まれ得て、0.05質量部~0.5質量部で含まれ得る。前記界面活性剤がこれらの範囲内に含まれる場合、コーティング均一性が確保され、染みが発生せず、IZO基板またはガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れる。
【0113】
前記感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で、酸化防止剤、安定剤などのその他添加剤が一定量添加されることもできる。
【0114】
本発明のさらなる他の一態様は、前記顔料分散液と、前記バインダー樹脂と、前記光重合性単量体と、前記光重合開始剤と、前記溶媒と、必要に応じて前記その他添加剤(好ましくは、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、シラン系カップリング剤、レベリング剤、フッ素系界面活性剤、ラジカル重合開始剤、またはこれらの組み合わせの添加剤)と、を混合することを含む、感光性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0115】
本発明のさらなる他の一態様は、前記緑色顔料分散液(G)と、前記黄色顔料分散液(Y)と、前記バインダー樹脂と、前記光重合性単量体と、前記光重合開始剤と、前記溶媒と、必要に応じて前記その他添加剤(好ましくは、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、シラン系カップリング剤、レベリング剤、フッ素系界面活性剤、ラジカル重合開始剤、またはこれらの組み合わせの添加剤)と、を混合することを含む、感光性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0116】
本発明のさらなる他の一態様は、前記感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜を提供する。本発明の一実施形態としては、前記感光性樹脂組成物を塗布および乾燥してなる感光性樹脂膜が挙げられる。本発明の一実施形態としては、前記感光性樹脂組成物を塗布、乾燥、露光、現像、および必要に応じてさらに加熱および/または硬化してなる感光性樹脂膜が挙げられる。なお、硬化後の前記感光性樹脂組成物は、完全に硬化されていなくてもよいものとする。
【0117】
本願明細書において、「感光性樹脂膜」は、露光前、および露光後のいずれの状態であってもよいものとする。また、「感光性樹脂膜」が露光後の状態である場合、「感光性樹脂膜」は、例えば、現像、加熱および/または硬化等のさらなる処理の後の状態であってもよいものとする。本明細書において、硬化は、加熱硬化であってもよく、加熱以外の方法による硬化(例えば、光硬化など)であってもよい。
【0118】
本発明の一実施形態は、前述した感光性樹脂組成物を塗布し、露光、現像および硬化して製造された感光性樹脂膜を提供する。このようにして製造された前記感光性樹脂膜としては、例えば、パターン状の感光性樹脂膜が挙げられる。
【0119】
前記感光性樹脂膜のパターン形成方法は、特に制限されないが、一例としては、次のとおりである。
【0120】
(1)塗布および塗膜形成段階
前記感光性樹脂組成物を、所定の前処理をしたガラス基板またはIZO基板などの基板上に、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケータ法などの方法を使用して所望する厚さに塗布し、その後、VCD工程などを経て70℃~100℃で1分~10分間加熱して溶剤を除去することによって感光性樹脂膜を形成する。
【0121】
(2)露光段階
前記得られた感光性樹脂膜に対して、必要なパターンの形成のために、ブラックマトリックスパターンを実現するハーフトーン(Half tone)部分と、カラムスペーサパターンを実現するフルトーン(Full tone)部分とで混合構成されたマスクを介在させた後、200nm~500nmの活性線を照射する。照射に使用される光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザなどを使用することができ、場合によってX線、電子線なども利用することができる。
【0122】
露光量は、使用する前記感光性組成物の各成分の種類、配合量および乾燥膜の厚さにより異なるが、高圧水銀ランプを使用する場合には、例えば、500mJ/cm(365nmセンサーによる)以下とすることができる。
【0123】
(3)現像段階
現像方法としては、前記露光段階に続きアルカリ性水溶液を現像液で利用して、不必要な部分を溶解、除去することによって、露光部分のみを残存させて、パターンを形成させる。
【0124】
(4)後処理段階
前記現像段階で現像により得られた画像パターンについて、耐熱性、耐光性、密着性、耐クラック性、耐薬品性、高強度および保存安定性などの面で優れたパターンを得るために後加熱を行う、後加熱工程等が挙げられる。
【0125】
本発明のさらなる他の一態様は、前記感光性樹脂組成物の塗膜を形成することと、パターンを形成するために前記塗膜を露光することと、前記露光後の前記塗膜を現像してパターンを形成することと、を含む、パターン状の感光性樹脂膜の製造方法に関する。本発明の一実施形態において、前記感光性樹脂組成物の塗膜は、前記感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させることを含む方法によって形成することが好ましい。本発明の一実施形態において、パターン状の感光性樹脂膜の製造方法は、前記現像後に、前記後処理段階に記載の後処理をさらに行うことが好ましい。
【0126】
本発明のさらなる他の一態様は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供する。前記感光性樹脂膜としては、例えば、パターン状の感光性樹脂膜等が挙げられる。本発明のさらなる他の一態様は、カラーフィルターの製造方法であって、前記感光性樹脂膜を前記カラーフィルターの一部または全部として使用することを含む、製造方法を提供する。
【0127】
本発明のさらなる他の一態様は、前記カラーフィルターを含むディスプレイ装置を提供する。本発明のさらなる他の一態様は、ディスプレイ装置の製造方法であって、前記カラーフィルターをディスプレイ装置の一部として組み込むことを含む、製造方法を提供する。
【0128】
前記ディスプレイ装置は、例えば、有機LED素子(OLED)、液晶表示素子(LCD)、固体撮像素子などであり得るが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0129】
本発明のさらなる他の一態様は、前記緑色顔料分散液(G);および前記黄色顔料分散液(Y)を備える、顔料分散液セットを提供する。前記顔料分散液セットにおいて、緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)は、それぞれ別々に存在する。前記顔料分散液セットにおいて、緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)の質量比は、特に制限されないが、前記緑色顔料分散液(G)は、前記黄色顔料分散液(Y)より多いことが好ましい。前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)の質量比は、特に制限されないが、前述の上記の顔料分散液に含まれる前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)の質量比と同様である。顔料分散液セットは、前記緑色顔料分散液(G)および前記黄色顔料分散液(Y)以外にも、他の色の顔料分散液をさらに備えていてもよい。
【実施例
【0130】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。ただし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例により限定されるのではない。
【0131】
(緑色顔料分散液(G)の製造)
(製造例1-1)
分散剤(BYK社)の存在下で、8000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂(昭和電工株式会社)と、C.I.pigment green 58(C.I.緑色顔料58、ENF社)を混合して、ビーズミルなどの分散装置を利用して分散工程を行うことで、緑色顔料分散液(G)を製造した。前記分散工程は、必要に応じて、溶剤(例えば、後述する(E)と同じものなど)および/または顔料誘導体をさらに添加して行うことができる。
【0132】
(製造例1-2)
8000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂の代わりに8000g/molの重量平均分子量を有し、140mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂(昭和電工株式会社)を使用したことを除き、製造例1-1と同様に行った。
【0133】
(製造例1-3)
8000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂の代わりに12000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂(昭和電工株式会社)を使用したことを除き、製造例1-1と同様に行った。
【0134】
(製造例1-4)
8000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂の代わりに12000g/molの重量平均分子量を有し、140mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂(昭和電工株式会社)を使用したことを除き、製造例1-1と同様に行った。
【0135】
(比較製造例C-1)
8000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂の代わりに8000g/molの重量平均分子量を有し、90mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂(昭和電工株式会社)を使用したことを除き、製造例1-1と同様に行った。
【0136】
(比較製造例C-2)
8000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂の代わりに12000g/molの重量平均分子量を有し、150mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂(昭和電工株式会社)を使用したことを除き、製造例1-1と同様に行った。
【0137】
(比較製造例C-3)
8000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂の代わりに7000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂(昭和電工株式会社)を使用したことを除き、製造例1-1と同様に行った。
【0138】
(比較製造例C-4)
8000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂の代わりに13000g/molの重量平均分子量を有し、140mgKOH/gの酸価を有する第1分散樹脂(昭和電工株式会社)を使用したことを除き、製造例1-1と同様に行った。
【0139】
(黄色顔料分散液(Y)の製造)
(製造例2-1)
分散剤(BYK社)の存在下で、8000g/molの重量平均分子量を有し、95mgKOH/gの酸価を有する第2分散樹脂(昭和電工株式会社)と、C.I.pigment yellow 185(C.I.黄色顔料185、ENF社)を混合して、ビーズミルなどの分散装置を利用して分散工程を行うことで、黄色顔料分散液(Y)を製造した。前記分散工程は、必要に応じて、溶剤(例えば、後述する(E)と同じものなど)および/または顔料誘導体をさらに添加して行うことができる。
【0140】
(製造例2-2)
8000g/molの重量平均分子量を有し、95mgKOH/gの酸価を有する第2分散樹脂の代わりに12000g/molの重量平均分子量を有し、95mgKOH/gの酸価を有する第2分散樹脂(昭和電工株式会社)を使用したことを除き、製造例2-1と同様に行った。
【0141】
(比較製造例C-5)
8000g/molの重量平均分子量を有し、95mgKOH/gの酸価を有する第2分散樹脂の代わりに7000g/molの重量平均分子量を有し、95mgKOH/gの酸価を有する第2分散樹脂(昭和電工株式会社)を使用したことを除き、製造例2-1と同様に行った。
【0142】
(比較製造例C-6)
8000g/molの重量平均分子量を有し、95mgKOH/gの酸価を有する第2分散樹脂の代わりに13000g/molの重量平均分子量を有し、95mgKOH/gの酸価を有する第2分散樹脂(昭和電工株式会社)を使用したことを除き、製造例2-1と同様に行った。
【0143】
(比較製造例C-7)
8000g/molの重量平均分子量を有し、95mgKOH/gの酸価を有する第2分散樹脂の代わりに10000g/molの重量平均分子量を有し、100mgKOH/gの酸価を有する第2分散樹脂(昭和電工株式会社)を使用したことを除き、製造例2-1と同様に行った。
【0144】
(感光性樹脂組成物の製造)
(実施例1~実施例6および比較例1~比較例4)
下記表1に記載された組成で、溶媒に光重合開始剤を入れて、常温で1時間攪拌して溶解した。次に、バインダー樹脂および光重合性単量体を添加し、常温で1時間攪拌した。ここに、その他添加剤を添加して、常温で1時間攪拌した。ここに、顔料分散液を添加して、常温で2時間攪拌した後、前記溶液に対して3回にかけてろ過を行って不純物を除去して、実施例1~実施例6および比較例1~比較例4による感光性樹脂組成物を製造した。前記感光性樹脂組成物の製造時に使用された成分は以下のとおりである。
【0145】
(A)アクリル系バインダー樹脂
アクリル系バインダー樹脂(SP-RY16、Showadenko社)
(B)光重合性単量体
(B-1)DPHA(Nippon KAYAKU社)
(B-2)M2100(味元スペシャルティ(Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd))
(C)光重合開始剤
(C-1)OXE01(BASF社)
(C-2)OXE02(BASF社)
(D)顔料分散液
(D-1)製造例1-1
(D-2)製造例1-2
(D-3)製造例1-3
(D-4)製造例1-4
(D-5)製造例2-1
(D-6)製造例2-2
(D-7)比較製造例C-1
(D-8)比較製造例C-2
(D-9)比較製造例C-3
(D-10)比較製造例C-4
(D-11)比較製造例C-5
(D-13)比較製造例C-7
(E)溶媒
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、sigma-aldrich社)
(F)その他添加剤
(F-1)フッ素系界面活性剤(メガファック(登録商標)F-554、DIC株式会社(DIC社))
(F-2)カップリング剤(シラン系カップリング剤)(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、KBM-503、信越化学工業株式会社(ShinEtsu社))。
【0146】
(重要平均分子量の測定方法)
分子量はwaters社の2414 Modelを使用して測定した。
【0147】
(酸価の測定方法)
1gのサンプルを平らなビーカーに滴定し、その滴定量(V0)を表示した後、THFで溶解(THFはサンプルの20倍程度、例えば、20gを使用)させた。マグネチックスターラー(stirrer)を用いてよく混ぜた後、0.1NのKOH溶液をビュレットを用いて滴定した。滴定中、色が紫色に変わり、5~10秒程度とどまる区間の滴定量(V1)を表示した後、下記式に代入し、酸価を求めた。
【0148】
【数1】
【0149】
【表1】
【0150】
(評価1:パターン性の評価)
MIKASA社のコーティング機器を使用して前記実施例1~前記実施例6および前記比較例1~前記比較例4で製造された感光性樹脂組成物を、試片ごとに一定の厚さ(3μm)を示すことができるrpmでコーティングを行った。その後、90℃の熱板(hot plate)でプリベーキングを行い、露光器にDose:40mJおよびGap:200μmの露光条件でパターン露光を行い、パターンを示すための現像を行った。現像液はNaCO溶解液を希釈して使用し、これによるパターンが示される時間(秒)(BP)を測定した。この時、BPは最小40秒以下にならなければならない。現像が完了したパターン基板を、オーブン条件230℃で20分間ベーキングを行い、パターン形成を完了した。完了したパターンについて、光学顕微鏡を通じて500倍光学ズームして確認されたパターンの幅(wide)を測定した。確認するパターンは幅(wide)100μm基準で光学顕微鏡で上記パターンのサイズ(size)を測定して行い、肉眼で評価した結果を下記表2に示した。
【0151】
【表2】
【0152】
残渣水準評価基準
◎:非常に優勢
○:優勢
△:劣勢
X:非常に劣勢。
【0153】
残渣とは、パターン完了後、パターンの表面に残留するかすを意味し、残渣水準に優れているほどパターン性も優れており、パターン性に優れているということはパターンのサイズが100μmに近接していることを意味し、残渣水準の評価基準は以下の通りである。
【0154】
◎:非常に優勢(光学顕微鏡でパターンを観察した際、パターン表面にかすが見えない)
○:優勢(光学顕微鏡でパターンを観察した際、パターン表面にかすが少し観察された)
△:劣勢(光学顕微鏡でパターンを観察した際、パターン表面にかすが多く観察された)
X:非常に劣勢(光学顕微鏡でパターンを観察した際、パターン表面にかすが非常に多く観察された。
【0155】
(評価2:残膜率の評価)
前記実施例1~前記実施例6および前記比較例1~前記比較例4による感光性樹脂組成物をガラス基板上にスピンコ-ティング機(Mikasa社、Opticoat MS-A150)を使用してそれぞれ3μm厚さにコーティングした。その後、熱板(hot-plate)を利用して80℃で120秒間ソフトベーキング(soft-baking)を行い、露光器(Ushio社、ghi broadband)を利用して60mJの出力(power)で露光した。次に、現像機(SVS社、SSP-200)を使用して0.2質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液で現像した。この後、コンベクションオーブン(convection oven)で、それぞれ180℃で30分間ハードベーキング(Hard-baking)を行った。前記現像後のパターンの厚さ(T)と、ハードベーキング後のパターンの厚さ(T)を測定して、下記数式1により残膜率を計算し、その結果を下記表3に示した。パターンの厚さは、パターン厚さ測定器(KLA,P-16+)を用いて測定した。
【0156】
【数2】
【0157】
【表3】
【0158】
前記表2および前記表3を通じて、本発明による感光性樹脂組成物に関して、顔料分散液を構成する分散樹脂の重量平均分子量と、酸価とを、特定色に応じた顔料分散液について制御することによって、パターン性に優れ、これに加えて残膜率にも優れる感光性樹脂膜を実現可能な、感光性樹脂組成物が得られることを確認できる。
【0159】
また、本発明による感光性樹脂組成物およびこれを利用して製造される感光性樹脂膜は、高色(高色実現)を実現することも確認した。
【0160】
なお、前記緑色顔料分散液および黄色顔料分散液が1.41:1~2.46:1の質量比を有する場合、感光性樹脂膜のパターン性向上の効果を極大化できることも確認できる。
【0161】
本発明は、前記実施例に限定されるのではなく、互いに異なる多様な形態で製造することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるはずである。したがって、以上で記述した一実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないことに理解しなければならない。