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特許7442654基板エッジを洗浄し、基板キャリアヘッドの間隙を洗浄する、装置及び方法
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  • 特許-基板エッジを洗浄し、基板キャリアヘッドの間隙を洗浄する、装置及び方法 図1
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  • 特許-基板エッジを洗浄し、基板キャリアヘッドの間隙を洗浄する、装置及び方法 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】基板エッジを洗浄し、基板キャリアヘッドの間隙を洗浄する、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
H01L21/304 643C
H01L21/304 643A
H01L21/304 647Z
H01L21/304 645B
H01L21/304 648A
H01L21/304 643Z
H01L21/304 622Q
H01L21/304 643D
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022544300
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 US2021053907
(87)【国際公開番号】W WO2022098469
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】17/091,105
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ジミン
(72)【発明者】
【氏名】タン, チエンショー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ブライアン ジェー.
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0234995(US,A1)
【文献】特開2016-043442(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0331113(US,A1)
【文献】特開2018-133512(JP,A)
【文献】米国特許第07044832(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/677
H01L 21/683
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロードカップであって、
基板を受容するよう構成された環状の基板ステーションと、
前記ロードカップ内に配置され、前記環状の基板ステーションによって取り囲まれたネブライザと、を備え、前記ネブライザが、前記ネブライザの上面上の、前記環状の基板ステーションと前記ネブライザとの間の界面の近隣に配置された、付勢流体ノズルのセットを備え、前記付勢流体ノズルのセットが、前記上面に対して上向きの角度で付勢流体を放出するよう構成され、前記ロードカップはさらに流体の噴霧を供給するよう構成された噴霧ノズルのセットを更に含み、各噴霧ノズルが、対応する各付勢流体ノズルの近位に配置され、前記付勢流体ノズルの各々が、フラットファンジェットに流体を導くよう構成され、前記フラットファンジェットの平坦部分が、前記環状の基板ステーションの内周が形成する平面に平行であり、前記付勢流体ノズルの先端を中心点とする、前記フラットファンジェットの第1エッジから第2エッジまでのジェット角度が、約30度から約50度である、ロードカップ。
【請求項2】
前記付勢流体がスチームであり、前記流体の噴霧が脱イオン(DI)水である、請求項に記載のロードカップ。
【請求項3】
前記噴霧ノズルからの流体が霧状になるように、前記噴霧ノズルのセットの各々がアトマイザに連結される、請求項に記載のロードカップ。
【請求項4】
前記付勢流体の前記上向きの角度が、前記ネブライザの前記上面に対して約90度である、請求項1に記載のロードカップ。
【請求項5】
前記付勢流体ノズルのセットが、前記ネブライザの外側部分の前記上面に沿って1つまたは等間隔で配置された2つから5つの付勢流体ノズルを含む、請求項1に記載のロードカップ。
【請求項6】
化学機械研磨システムを洗浄する方法であって、
ロードカップの付勢流体ノズルのセットからキャリアヘッド内に配置された基板のエッジに、付勢流体を導くことであって、前記キャリアヘッドが、前記キャリアヘッドの膜の下に前記基板を保持するための保持リングを備える、付勢流体を導くことと、
前記キャリアヘッドから前記基板をアンローディングすることと、
前記付勢流体ノズルのセットから、前記膜の外側エッジと前記保持リングの内周との間に形成された間隙へ、前記付勢流体を導くことと
前記付勢流体ノズルの各々が、付勢流体をフラットファンジェットに導くことであって、噴霧ノズルのセットの各々が、対応する付勢流体ノズルの近位に配置され、前記フラットファンジェットの平坦部分は、前記保持リングの内周の一部分が形成する平面に平行であり、前記付勢流体ノズルの先端を中心点とする、前記フラットファンジェットの第1エッジから第2エッジまでのジェット角度が、約30度から約50度である、付勢流体をフラットファンジェットに導くこととを含む、
方法。
【請求項7】
前記付勢流体ノズルのセットがスチーム源に連結され、前記付勢流体ノズルのセットからの前記付勢流体は、前記スチーム源からのスチームの飽和圧力及び飽和温度を上回るよう設定される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記付勢流体は、約40psiから約50psiの圧力で、前記付勢流体ノズルの各々から噴霧される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記基板が、約60℃から約70℃の温度に維持される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記付勢流体ノズルのセットから前記基板の前記エッジに付勢流体を導くのと同時に、噴霧ノズルから前記基板の前記エッジに水を噴霧することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記水が約10℃から約40℃の脱イオン水である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記噴霧ノズルの各々から水を噴霧すること、及び前記付勢流体ノズルの各々から付勢流体を導くことで、チューニング可能なジェットが形成され、前記噴霧ノズルの各々からの前記水の流量、前記付勢流体ノズルからの前記付勢流体の各々の圧力、又はこれらの組み合わせを制御することによって、前記チューニング可能なジェットの温度、圧力、及び形状が制御される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記付勢流体ノズルのセットから前記間隙へと前記付勢流体を導くことで、前記間隙から残留物が除去される、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記付勢流体が、スチーム、脱イオン水と窒素ガス、脱イオン水と清浄乾燥空気(CDA)、二酸化炭素氷、水氷、超音波脱イオン水、メガソニック脱イオン水、及びこれらの一又は複数の組み合わせ、からなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記付勢流体が前記キャリアヘッド内に配置された前記基板の前記エッジに導かれている間、前記基板は、前記キャリアヘッドの前記膜に印加された真空圧力のもとで前記キャリアヘッドに固定されている。請求項に記載の方法。
【請求項16】
キャリアヘッドであって、前記キャリアヘッドの膜の下に基板を保持するための保持リングを備えるキャリアヘッドと、
ロードカップであって、前記ロードカップの外側部分の上面上に配置された付勢流体ノズルのセットを備えるロードカップと
噴霧ノズルのセットであって、前記噴霧ノズルの各々は、対応する付勢流体ノズルの近位に配置され、前記付勢流体ノズルの各々が、付勢流体をフラットファンジェットに導くよう構成され、前記フラットファンジェットの平坦部分が、前記保持リングの内周の一部分が形成する平面に平行であり、前記付勢流体ノズルの先端を中心点とする、前記フラットファンジェットの第1エッジから第2エッジまでのジェット角度が、約30度から約50度である、噴霧ノズルのセットとを備える、化学機械研磨システムであって、前記付勢流体ノズルのセットは、前記膜の外側エッジと前記保持リングの内周との間の間隙に付勢流体を導くよう構成される、化学機械研磨システム。
【請求項17】
前記膜が疎水性であり、前記膜の外側エッジと前記保持リングの前記内周との間に形成された前記間隙が約0.5mmから約2mmである、請求項16に記載の化学機械研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
技術分野
[0001]本開示の実施形態は、概して基板処理に関し、より具体的には、基板処理のツール及びその方法に関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]集積回路は、典型的には、シリコン基板上に導電層、半導電層、又は絶縁層を順次堆積させることによって、基板上に形成される。製造は、非平面の表面の上に充填層を堆積させることと、この非平面の表面が露出するまで充填層を平坦化することとを、含む。パターニングされた絶縁層上に、この絶縁層内のトレンチ又は孔を充填するために、導電性充填層が堆積されうる。充填層は次いで、絶縁層の隆起パターンが露出するまで研磨される。平坦化の後、導電層の、絶縁層の隆起パターン間に残っている部分が、基板上の薄膜回路間に導電経路を提供するビア、プラグ、及びラインを形成する。加えて、フォトリソグラフィのために、基板表面の誘電体層を平坦化するための平坦化が必要でありうる。
【0003】
[0003]化学機械研磨(CMP)は、許容されている1つの平坦化方法である。この平坦化方法は、CMP装置のキャリアヘッド又は研磨ヘッドに基板を装着することを含む。基板の露出面は、回転研磨ディスクパッド又はベルトパッドに当接して配置される。キャリアヘッドは、基板のデバイス側を研磨パッドに向けて付勢するよう、基板に制御可能な荷重を与える。少なくとも1つの化学反応剤を含む研磨スラリ(及び、標準的なパッドが使用される場合には研磨粒子)が、研磨パッドの表面に供給される。
【0004】
[0004]基板は、典型的には、保持リング内の膜に当接するように、キャリアヘッドの下に保持される。更に、基板がキャリアヘッド内にある時、基板の外側エッジと保持リングの内周との間には間隙が存在する。加えて、膜の外側エッジと保持リングの内周との間にも間隙が存在する。基板の外側エッジの近位の、かかる間隙及びその他の領域には、処理中に、研磨スラリ及び有機残留物が蓄積しうる。かかる残留物は、処理中に基板エッジ上に残留し、かつ/又は変位(dislodge)して、基板に不具合を引き起こし、CMP装置の効率に影響を与えうる。ゆえに、基板エッジから残留物を除去し、基板を取り囲むキャリアヘッド内の間隙から残留物を除去する方法が、必要とされている。基板がキャリアヘッドから移される前に基板エッジから残留物を除去するため、及び、キャリアヘッドの膜を取り囲む間隙から残留物を除去するための装置も、必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]一実施形態では、ロードカップが提供され、このロードカップは、基板を受容するよう構成された環状の基板ステーションと、ロードカップ内に配置され、かつ環状の基板ステーションによって取り囲まれたネブライザとを有する。ネブライザは、ネブライザの上面上の、環状の基板ステーションとネブライザとの間の界面の近隣に配置された、付勢(energized)流体ノズルのセットを有する。付勢流体ノズルのセットは、上面に対して上向きの角度で付勢流体を放出するよう構成される。
【0006】
[0006]別の実施形態では、化学機械研磨システムを洗浄する方法が提供され、この方法は、ロードカップの付勢流体ノズルのセットから、キャリアヘッド内に配置された基板のエッジに付勢流体を導くことを含む。キャリアヘッドは、キャリアヘッドの膜の下に基板を保持するための保持リングを有する。方法は、キャリアヘッドから基板をアンローディングすることと、付勢流体ノズルのセットから、膜の外側エッジと保持リングの内周との間に形成された間隙へと、付勢流体を導くことと、を含む。
【0007】
[0007]別の実施形態では、化学機械研磨システムは、キャリアヘッドであって、キャリアヘッドの膜の下に基板を保持するための保持リングを有するキャリアヘッドと、ロードカップであって、ロードカップの外側部分の上面に配置された付勢流体ノズルのセットを有するロードカップと、を含む。付勢流体ノズルのセットは、膜の外側エッジと保持リングの内周との間の間隙に付勢流体を導くよう構成される。
【0008】
[0008]本開示の上述の特徴が詳しく理解されうるように、上記で簡単に要約した本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られる。一部の実施形態は付随する図面に示されている。しかし、付随する図面は例示的な実施形態を示しているに過ぎず、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではなく、本開示は他の同等に有効な実施形態をも許容しうることに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0009]一実施形態による化学機械研磨(CMP)システムの上平面図を示す。
図2A】[0010]一実施形態による研磨装置の部分側面図を示す。
図2B】[0011]一実施形態による研磨装置の底面図を示す。
図3A】[0012]一実施形態によるロードカップの上平面図を示す。
図3B】[0013]一実施形態によるノズルの噴霧パターンの概略側面図を示す。
図4】[0014]一実施形態による、基板を処理するための方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0015]理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号が使用されている。一実施形態の構成要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうると想定される。
【0011】
[0016]本開示は、付勢流体ノズルを伴って構成されるロードカップに関し、この付勢流体ノズルは、基板を過熱することなく、キャリアヘッド内に配置された基板がキャリアヘッドからアンローディングされる前にこの基板のエッジを洗浄するために、チューニング可能な付勢流体ジェットを放出する。付勢流体ノズルから放出された付勢流体ジェットは、キャリアヘッドにおける、疎水性膜とキャリアヘッドの保持リングの内周との間の狭小間隙に侵入し、かかる間隙を有効に洗浄する上で、好ましい特性を有する。本開示の一又は複数の実施形態によると、迅速でより良好な洗浄のために、付勢流体ジェットのある種の特性(例えば、フラットファン形状、高圧、高温、気相流、ソリッド性(solid)、ボンバード用溶融性粒子、音波生成、及びこれらの組み合わせ、のうちの一又は複数)が有利に使用されうることが、見いだされている。付勢流体ノズルの各々は、制御(温度制御など)の向上のために、対応する流体噴霧ノズル(例えば脱イオン水噴霧ノズル)と組み合わせて使用されうることも、分かっている。
【0012】
[0017]図1は、本書で開示している一実施形態による、化学機械研磨(CMP)システム100の上平面図を示している。CMPシステムを、図1に図示し、本書で説明しているが、本書で開示している概念は、他の基板処理デバイスにも適用されうる。CMPシステム100は、基板108を処理する(例えば洗いかつ/又は研磨する)、研磨セクション102及び洗浄・乾燥セクション104を含む。CMPシステム100は、基板108に対してその他のプロセスを実施する、他のセクションも含む。本書で使用される場合、基板(substrates)とは、電子デバイス又は回路構成要素を作るために使用される物品を含む。基板は半導体基板(例えばシリコン含有基板、パターニングされた又はパターニングされていない基板、ガラスプレート、マスクなど)を含む。パススルー110は、基板108の移送に適応している、研磨セクション102と洗浄・乾燥セクション104との間の開口である。
【0013】
[0018]研磨セクション102は、一又は複数の研磨ステーション114(例えば個別の研磨ステーション114A~114D)を含む。研磨ステーション114の各々は、研磨パッド(例えば個別の研磨パッド116A~116D)を含む。様々な研磨プロセスを実施するために、研磨パッドは基板108の表面に当接して回転する。基板を処理するために、基板108と研磨パッド116A~116Dの間に、一又は複数のスラリ(図示せず)が付与される。
【0014】
[0019]研磨セクション102は、研磨中に研磨パッド116A~116Dに当接させて基板108を維持する、複数のキャリアヘッド120を含む。研磨ステーション114A~114Dの各々は、単一のヘッド(例えば個別のキャリアヘッド120A~120D)を含みうる。キャリアヘッド120A~120Dは、キャリアヘッド120A~120Dが研磨ステーション114A~114Dを出入りするように搬送される際に、キャリアヘッド内に基板108を固定する。例えば、キャリアヘッド120A~120Dは、キャリアヘッド120A~120Dが荷重カップ124(例えば個別の荷重カップ124A、124B)と研磨ステーション114A~114Dとの間で搬送される際に、キャリアヘッド内に基板108を固定する。ロードカップ124A、124Bは、キャリアヘッド120A~120Dと基板交換器130(例えば個別の交換器130A、130B)との間で基板108を搬送する。第1基板交換器130Aは第1方向132Aに回転し、第2交換器130Bは、第2方向132B(第1方向132Aと反対であっても同じであってもよい)に回転する。
【0015】
[0020]洗浄・乾燥セクション104はロボット136を含み、ロボット136は、パススルー110を通じて、様々なアクセス場所172A、172Bにおいて基板交換器130A、130Bとの間で基板108を移送する。ロボット136は、洗浄・乾燥セクション104内のステーション(図示せず)と基板交換器130A、130Bとの間でも、基板108を移送する。
【0016】
[0021]図2A及び図2Bは、一部の実施形態による、キャリアヘッド120(図1のキャリアヘッド120A~120Dのいずれかでありうる)の側面図及び底面図を示している。キャリアヘッド120は、膜204の下に基板108を保持するための保持リング206を含む。膜204は可撓性の疎水性膜204である。膜の外周205は保持リング206の内周207によって取り囲まれている。保持リング206の内周207と膜204の外周205との間に、間隙216が形成される。一部の実施形態では、間隙216は約0.5mmから約3mm(例えば約1mmから約2mm)である。キャリアヘッド120は、膜204によって画定される、個別に制御可能な一又は複数の加圧可能チャンバ(例えば202A、202B、202C、202D)を含む。加圧可能チャンバの各々は、関連する圧力(P、P、P、及びP)を有し、Pは、処理中に保持リング206に加わる圧力のことである。処理中、キャリアヘッド120が基板108を回転させつつ研磨パッド(例えば116A~116D)に押し付けている時に、研磨スラリ、デブリ、及び残留物が、基板108のエッジ、基板の斜面エリア、及びその他の場所(間隙216内など)に蓄積しうる。
【0017】
[0022]理論に束縛されるものではないが、膜204は疎水性であるので、膜204の外周205の周囲の毛細管力及び/又はメニスカス力により、従来的なリンス水(例えば脱イオン(DI)水)の上記の間隙及びフィーチャ(特徴部)への容易な侵入が妨げられると、考えられている。残留物及び粒子は、経時的に蓄積し、処理中に放出されて、基板108のスクラッチの原因になる可能性がある。1つの解決策は、膜204が上に向いている状態で膜204をすすぐことでありうるが、このプロセスは、少なくとも、スループットに影響を与え、水をビーズアップ(bead up)させるので、産業界では従来的に使用されていない。膜204が下に向いている状態でのすすぎプロセスでは、疎水性膜表面を濡らすことができず、洗浄の有効性が限定的になる。高圧スチームの使用は、運動エネルギーと熱エネルギーの両方を使用することによりスラリ残留物及び粒子を変位させることが、見いだされている。一部の実施形態では、基板108が定位置にない場合と、基板108がキャリアヘッド120内に保持されている場合の両方において、キャリアヘッド120内の間隙を洗浄するのにはスチームが有効である。
【0018】
[0023]図3Aは、一実施形態によるロードカップ124(例えば124A又は124B)の上平面図を示している。ロードカップ124は、環形状を有する基板ステーション350を含む。基板ステーション350は、基板を基板交換器130(例えば130A、130B)のブレード334上に配置し、ブレード334から基板108を取り除くために、垂直方向に動く。ブレード334は、ロボット136(図1)によって基板108をローディングし、アンローディングするためのアクセス場所172A、172Bへと回転可能である。
【0019】
[0024]基板ステーション350は、ブレード334を受容するためのノッチ(例えば352A、352B、352C)を含む。ノッチ352B及び352Cによってブレードの遠位端344が受容される。ブレード334の近位端は、ノッチ352Aによって受容される。基板108は、基板ステーション350の隆起フィーチャ上に載置される。基板ステーション350が上方向に動いてブレード334から基板108を取り除く際に、基板108は、基板108をセンタリングするためのポケットを作り出す複数のピン354の内側に位置付けられる。
【0020】
[0025]ロードカップ124は、様々な複数のノズル(例えば358A、358B、358C、358D)を有するネブライザ356を含み、かかる複数のノズルは、ブレード334、ブレード334上の基板108(図3Aには図示せず)、キャリアヘッド120に取り付けられた基板、及び/又はロードカップ124の上に配置されたキャリアヘッド120(図3Aには図示せず)に、流体(例えば脱イオン水)を噴霧するよう構成される。ネブライザ356は、例えば、基板108がロードカップ124の上に位置付けられている時に基板108をすすぐための、ネブライザ356の外側部分に沿って配置された第1ノズル358Aのセットと、例えば、キャリアヘッド120がロードカップ124の上に位置付けられている時にキャリアヘッド120の膜204をすすぐための、ネブライザ356の直径に沿ったアレイに配置された第2ノズル358Bのセットとを含む。ネブライザ356は、ネブライザ356の外側部分に第3ノズル358Cのセットも含み、第3ノズル358Cのセットは、キャリアヘッド120が(基板108の有無にかかわらず)ロードカップ124の上に位置付けられている時に、キャリアヘッド120の部分(例えば、膜204の外周205と保持リング206の内周207との間の間隙216)に噴霧を行うよう構成される。第3ノズル358C(例えば噴霧ノズル)は、基板108がキャリアヘッド120内に保持されている間に、基板108の外側エッジに(例えば、基板108の外側エッジと保持リング206の内周207との間の間隙に)噴霧を行うようにも構成される。第3ノズル358Cは、室温(例えば約10℃から約40℃)のすすぎ液(例えば脱イオン水)に連結される。第3ノズル358Cの各々はアトマイザに連結される。
【0021】
[0026]ネブライザ356は、第4ノズル358D(例えば付勢流体ノズル)のセットを含む。第4ノズル358Dの各々は、ネブライザ356の上面の外側部分の、各第3ノズル358Cの近位に配置される。一部の実施形態では、付勢流体は、脱イオン水(DIW)、DIWと窒素、DIWと清浄乾燥空気(CDA)、水氷粒子と窒素、水氷粒子とCDA、二酸化炭素氷、超音波生成装置若しくはメガソニック生成装置で付勢されたDIW、又はこれらの組み合わせ(複数可)、である。理論に束縛されるものではないが、小さなボイド及び間隙内のデブリをボンバードし、変位させるために、氷粒子を含むある種の混合物が使用されうると考えられている。付勢流体は、気相流体及び/又は混合相流体(例えば蒸気及び/又はスチーム)である。付勢流体(スチームなど)の温度は、約80℃から約150℃(例えば約100℃から約120℃)であり、例えば、流体の飽和温度以上の温度である。流体を付勢するために印加される圧力は、約30psiから約140psi(例えば約40psiから約50psi)である。例えば、ドライアイス及びその他の付勢流体に関しては、他の圧力及び温度も想定される。
【0022】
[0027]一部の実施形態では、流体は、流体を加圧することによって付勢されるか、(例えば音響キャビテーションを介して)音響により付勢されるか、(例えば、加圧ガスと混合された液体を使用して)空気圧により支援されるか、又はこれらの組合せ(複数可)である。その他の方法及び組み合わせも実行可能である。音響キャビテーションは、残留物及びデブリを変位させるために、超音波又はメガソニックによって流体を付勢することを含む。音響によって流体を付勢することには、低超音波範囲(例えば約20KHz)から高メガソニック範囲(例えば約2MHz)までの周波数範囲内で稼働する、圧電トランスデューサ(PZT)が使用される。その他の周波数範囲も使用されうる。好適な音響エネルギー源生成装置(例えばPZT)の形状は矩形である。音響源生成装置は第4ノズル358Dに連結される。
【0023】
[0028]第4流体ノズル358Dは、ネブライザ356の上面に対して垂直に(例えば約90度に)上向きに配向される。ネブライザ356の上面に対して約45度から約100度といった他の角度も想定されるが、ここで45度とは、ネブライザ356に対して径方向外向きに配向された角度である。加えて、第4流体ノズル358Dの各々は、(図3Bに示している360のような)フラットファンジェットに流体を導くよう構成される。図3Bは、一部の実施形態による、第3ノズル358C及び/又は第4ノズル358Dのフラットファンジェット360の噴霧パターンの概略側面図を示している。フラットファンジェットは、環状の基板ステーション350の内周の一部分に実質的に平行であり、第4流体ノズル358Dの先端を中心点とする、フラットファンジェットの第1エッジから第2エッジまでのジェット角度αは、約30度から約50度(例えば約40度)である。一部の実施形態では、ネブライザ356は、約1つから約5つの第4流動ノズル358D(例えば2つ、3つ、又は4つの第4流動ノズル358D)を含む。第4流体ノズル358Dの各々は、ネブライザ356の外側部分に沿って等間隔に配置される。一部の実施形態では、ネブライザ356は、約1つから約5つの第3ノズル358Cを含み、第4流体ノズル358Dの各々は、対応する第3ノズル358Cの近位に配置される。
【0024】
[0029]図4は基板を処理するための方法のフロー図を含む。方法400は、ロードカップ(例えば124)の付勢流体ノズル(例えば358D)のセットから、キャリアヘッド(例えば120)内に配置された基板(例えば108)のエッジに付勢流体を導く、工程402を含む。キャリアヘッド120は、キャリアヘッド120の膜204の下に基板108を保持するための保持リング206を含む。基板108のエッジは、キャリアヘッド120の外部から測定して約60℃から約70℃の温度に維持される。一部の実施形態では、基板108は、研磨セクション102内で研磨された後、すすぎ及び/又は研磨セクション102からの取り出しの間に、室温(例えば約20℃から約40℃)まで冷却される。基板108を低温に維持することで、基板移送中の腐食の可能性が低減すると考えられている。本書に記載の方法は、例えば付勢流体を基板のエッジエリアに局限することによって、洗浄中の基板温度を制御する。一部の実施形態では、基板108のエッジに噴霧ノズル(例えば358C)からのDI水が噴霧されるのと同時に、付勢流体(例えばスチーム)が基板108のエッジに導かれる。一部の実施形態では、DI水は、付勢流体が基板108のエッジに導かれた直後に噴霧される。DI水と付勢流体の複合ジェットは、付勢流体の圧力及び噴霧される水量を調整することによって制御される。詳細には、この複合ジェットの温度は、基板108の温度を約70℃未満に維持するよう制御される。基板108の温度を約70℃未満に維持することで、基板108に対する望ましくない影響が低減すると考えられている。基板と基板キャリアヘッド120の部分(例えば保持リング206)とを過熱することなく、残留物及びデブリが基板108のエッジから変位させられる。温度を管理することで、基板108及びキャリアヘッド120の材料劣化のリスクが低減する。水の噴霧は、変位した残留物及びデブリをすすぎ流すようにも作用する。一部の実施形態では、付勢流体は、基板108がキャリアヘッド120内にあり、キャリアヘッドとともに回転している間に、基板エッジへと導かれる。膜に真空圧を印加することによって、基板108がキャリアヘッド120に固定される。膜の内周と基板エッジとの間のクリアランスが狭いことが、膜の疎水性特性と組み合わされると、従来型の方法を使用して基板のエッジ及びベベルエリアを洗浄することが困難になる。本書に記載の方法は付勢流体を提供する。この付勢流体は、洗浄を向上させるために、基板がキャリアヘッド120に固定されている間に付勢流体を基板エッジに導く、ファンジェットの形状及び角度を有する。
【0025】
[0030]工程404において、例えば、基板交換器(例えば130A、130B)上に基板108をローディングし、この基板交換器を回転させることによって、基板108がキャリアヘッド120からアンローディングされる。基板108がキャリアヘッドから取り除かれた後、ロードカップ124は、キャリアヘッド120の近位の位置に戻り、工程406において、付勢流体が、空のキャリアヘッド120の、膜204の外周205と保持リング206の内周207との間に形成された間隙216に導かれる。一部の実施形態では、変位した残留物及びデブリがあればそれをすすぎ流すために、付勢流体の直後にDI水が噴霧される。
【0026】
[0031]ゆえに、本開示は、付勢流体ノズルを伴って構成されるロードカップに関し、付勢流体ノズルは、キャリアヘッド内に配置された基板がキャリアヘッドからアンローディングされる前に、基板を過熱することなく基板のエッジを洗浄するために、チューニング可能な付勢流体ジェットを放出する。付勢流体ノズルから放出される付勢流体ジェットは、キャリアヘッドの疎水性膜と保持リングの内周との間の、キャリアヘッド内の狭小間隙に侵入し、これを有効に洗浄する上で好ましい、特性を有する。付勢流体ノズルの各々は、制御(温度制御など)を向上させるために、対応する流体噴霧ノズル(例えば脱イオン水噴霧ノズル)と組み合わされて使用されうる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4