(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】オリゴマーの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 2/08 20060101AFI20240227BHJP
C07C 11/02 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C07C2/08
C07C11/02
(21)【出願番号】P 2022555687
(86)(22)【出願日】2022-01-10
(86)【国際出願番号】 KR2022000346
(87)【国際公開番号】W WO2022154398
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0006655
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ソグ・ユク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・フン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ホ・スン
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・ソク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ムン・スブ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ソク・イ
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-502088(JP,A)
【文献】特開2018-080301(JP,A)
【文献】特開2016-065051(JP,A)
【文献】特開平07-149677(JP,A)
【文献】特開2006-007208(JP,A)
【文献】高分子,1972年,Vol.21,No.11,p586-591,doi:10.1295/kobunshi.21.11_586
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単量体ストリームおよび溶媒ストリームを反応器に供給し、オリゴマー化反応させて反応生成物を製造するステップと、
前記反応生成物を含む反応器の排出ストリームを分離装置に供給し、分離装置の下部排出ストリームは沈殿槽に供給するステップと、
前記沈殿槽に有機系凝集剤を投入して高分子を沈殿させて除去し、高分子が除去された分離装置の下部排出ストリームを高沸点分離塔に供給するステップと、
前記高沸点分離塔で下部排出ストリームから高沸点物質を除去し、オリゴマーを含む上部排出ストリームは溶媒分離塔に供給するステップと、を含
み、
前記単量体ストリームはエチレン単量体を含み、オリゴマーはアルファオレフィンを含み、高分子はポリエチレンを含み、
前記溶媒は、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、シクロオクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、キシレン、1,3,5-トリメチルベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンおよび卜リクロロベンゼンからなる群から選択される1種以上を含み、
前記有機系凝集剤は、ポリアクリルアミドである、オリゴマーの製造方法。
【請求項2】
前記高分子の重量平均分子量(Mw)は、8万~15万g/molである、請求項
1に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項3】
前記沈殿槽の稼働時間は、1時間以下である、請求項1
または2に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項4】
前記沈殿槽の稼働時間は、40分以下である、請求項1から
3のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項5】
前記沈殿槽の稼働温度は10℃~90℃であり、稼働圧力は0.1kg/cm
2~3kg/cm
2である、請求項1から
4のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項6】
前記沈殿槽では、分離装置の下部排出ストリームを、溶媒を含む上層液と、オリゴマーを含む下層液とに層分離し、上層液ストリームは溶媒分離塔に供給し、下層液ストリームは高沸点分離塔に供給する、請求項1から
5のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項7】
前記溶媒分離塔から連結されて沈殿槽内の上層液が形成された領域まで延びて備えられた溶媒抽出ラインをさらに含み、
前記溶媒抽出ラインを介して溶媒を含む沈殿槽の上層液ストリームを溶媒分離塔に供給する、請求項
6に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項8】
前記沈殿槽の上層液内の溶媒の含量は、90重量%以上である、請求項
6または
7に記載のオリゴマーの製造方法。
【請求項9】
前記溶媒分離塔で溶媒が分離されたオリゴマーを取得する、請求項1から
8のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年1月18日付けの韓国特許出願第10-2021-0006655号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、オリゴマーの製造方法に関し、より詳細には、エチレンのオリゴマー化反応生成物からポリエチレンを効率的に除去し、溶媒の再使用時にエネルギーコストを低減することができるオリゴマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アルファオレフィン(alpha-olefin)は、共単量体、洗浄剤、潤滑剤、可塑剤などに使用される重要な物質として商業的に広く使用され、特に、1-ヘキセンと1-オクテンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造時に、ポリエチレンの密度を調節するための共単量体として多く使用されている。
【0004】
前記アルファオレフィンは、代表的に、エチレンのオリゴマー化反応により製造されている。前記エチレンのオリゴマー化反応が行われる反応器の形態として、気相のエチレンを反応物として使用して触媒を含む液相の反応媒体を含む反応領域との接触により、エチレンのオリゴマー化反応(三量体化反応または四量体化反応)を行う気泡塔反応器(bubble column reactor)が使用されている。
【0005】
前記気泡塔反応器は、反応器の下部に設置された多孔分散板を介して気相反応物が液相の反応媒体を含む反応領域に流入されると同時に分散され、分散された気体の力によって渦流(turbulence)が発生して自然的な混合が行われることで、反応が行われる。
【0006】
前記オリゴマー化反応の結果として、0.1~5重量%程度の高分子、例えば、ポリエチレンが副生成物として少量生成されて液相の反応媒体の中に浮遊するが、時間が経つにつれて反応器の内壁および多孔分散板に、ファウリング(fouling)現象によって蓄積され、全工程の運転を中断(shut down)し洗浄しなければならないという問題が発生する。
【0007】
一方、オリゴマー化反応生成物から前記高分子を除去してオリゴマーおよび溶媒を回収するために反応器の後段に高沸点分離塔と溶媒分離塔を運営しなければならないが、前記高沸点分離塔と溶媒分離塔に供給される流量が増加するほど、反応生成物にポリエチレンが多量含まれるほど、分離のためのエネルギーコストと時間が増加する問題がある。また、反応器から後段の高沸点分離塔または溶媒分離塔にオリゴマー化反応生成物を供給する過程で、ポリエチレンによるポンプのファウリング現象が発生する問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上記発明の背景技術で言及した問題を解決するために、オリゴマーを製造する過程で反応生成物内に浮遊する高分子を除去し、溶媒を回収して再使用し、オリゴマーを高純度で分離する際、エネルギーコストを低減し、分離時間を短縮するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、単量体ストリームおよび溶媒ストリームを反応器に供給し、オリゴマー化反応させて反応生成物を製造するステップと、前記反応生成物を含む反応器の排出ストリームを分離装置に供給し、分離装置の下部排出ストリームは沈殿槽に供給するステップと、前記沈殿槽に有機系凝集剤を投入して高分子を沈殿させて除去し、高分子が除去された分離装置の下部排出ストリームを高沸点分離塔に供給するステップと、前記高沸点分離塔で下部排出ストリームから高沸点物質を除去し、オリゴマーを含む上部排出ストリームは溶媒分離塔に供給するステップと、を含むオリゴマーの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、オリゴマー化反応生成物から高分子物質および溶媒を分離する高沸点分離塔および溶媒分離塔の前段に沈殿槽を導入することで、前記高沸点分離塔および溶媒分離塔に供給される反応生成物の流量および高分子の含量を最小化することで、前記高沸点分離塔および溶媒分離塔において分離のための時間およびエネルギー使用量を低減することができる。
【0011】
また、本発明は、前記沈殿槽に有機系凝集剤を投入することで、沈殿槽で高沸点物質を沈殿させて除去するのにかかる時間を短縮し、これにより、オリゴマー化反応生成物から溶媒および副生成物を除去し、高純度のオリゴマーを取得する全工程にかかる時間を短縮することができる。
【0012】
また、本発明は、前記沈殿槽で溶媒の含量が高い上層液ストリームを高沸点分離塔を経ることなくすぐ溶媒分離塔に供給することで、高沸点分離塔に供給されるストリームの流量を減少させて前記高沸点分離塔でのエネルギー使用量をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】それぞれ本発明の一実施形態によるオリゴマーの製造方法に対する工程フローチャートである。
【
図2】それぞれ本発明の一実施形態によるオリゴマーの製造方法に対する工程フローチャートである。
【
図3】それぞれ比較例によるオリゴマーの製造方法に対する工程フローチャートである。
【
図4】それぞれ比較例によるオリゴマーの製造方法に対する工程フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の説明および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0015】
本発明において、用語「上部」は、容器内の装置の全高から50%以上の高さに該当する部分を意味し、「下部」は、容器もしくは装置の全高から50%未満の高さに該当する部分を意味し得る。
【0016】
本発明において、用語「ストリーム(stream)」は、工程内の流体(fluid)の流れを意味し得、また、移動ライン(配管)内で流れる流体自体を意味し得る。具体的には、前記「ストリーム」は、各装置を連結する配管内で流れる流体自体および流体の流れを同時に意味し得る。また、前記流体は、気体(gas)、液体(liquid)および固体(solid)のいずれか一つ以上が含まれたものを意味し得る。
【0017】
本発明において「#」が正の整数である「C#」という用語は、#個の炭素原子を有するすべての炭化水素を示すものである。したがって、「C10」という用語は、10個の炭素原子を有する炭化水素化合物を示すものである。また、「C#+」という用語は、#個以上の炭素原子を有するすべての炭化水素分子を示すものである。したがって、「C10+」という用語は、10個以上の炭素原子を有する炭化水素の混合物を示すものである。
【0018】
以下、本発明に関する理解を容易にするために、下記
図1および
図2を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0019】
本発明の一実施形態によると、オリゴマーの製造方法が提供される。前記オリゴマーの製造方法は、単量体ストリームおよび溶媒ストリームを反応器100に供給してオリゴマー化反応させて反応生成物を製造するステップと、前記反応生成物を含む反応器100の排出ストリームを分離装置200に供給し、分離装置200の下部排出ストリームは沈殿槽300に供給するステップと、前記沈殿槽300に有機系凝集剤を投入して高分子を沈殿させて除去し、高分子が除去された分離装置の下部排出ストリームを高沸点分離塔400に供給するステップと、前記高沸点分離塔で下部排出ストリームから高沸点物質を除去し、オリゴマーを含む上部排出ストリームは溶媒分離塔500に供給するステップと、を含むことができる。
【0020】
本発明の一実施形態によると、単量体ストリームおよび溶媒ストリームを反応器100に供給してオリゴマー化反応させて反応生成物を製造することができる。
【0021】
前記反応器100は、触媒および溶媒の存在下で、単量体をオリゴマー化反応させてオリゴマーを製造するためのものであることができる。例えば、前記反応器100は、連続工程に適する反応器であることができ、連続攪拌槽型反応器(continuous stirred-tank reactor)、プラグ流反応器(plug flow reactor)および気泡塔反応器(bubble column reactor)からなる群から選択される1種以上の反応器を含むことができる。これにより、連続してオリゴマー生成物を製造することができる。
【0022】
また、前記単量体は、エチレンを含むことができる。具体的には、エチレン単量体を含む単量体ストリームが反応器100に供給されて、オリゴマー化反応を経て目的とするオリゴマーであるアルファオレフィンを製造することができる。この際、前記オリゴマー化反応は、反応器100の下部もしくは中部領域の反応媒体で行われ、触媒および助触媒の存在下で、溶媒に溶解された液体状態で単量体のオリゴマー化反応が行われることができる。前記オリゴマー化反応は、単量体が小重合される反応を意味し得る。重合される単量体の個数に応じて、三量化(trimerization)、四量化(tetramerization)と称し、これをまとめて多量化(multimerization)と言う。
【0023】
前記アルファオレフィンは、共単量体、洗浄剤、潤滑剤、可塑剤などに使用される重要な物質として商業的に広く使用され、特に、1-ヘキセンと1-オクテンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造時に、ポリエチレンの密度を調節するための共単量体として多く使用される。前記1-ヘキセンおよび1-オクテンのようなアルファオレフィンは、例えば、エチレンの三量体化反応または四量体化反応により製造することができる。
【0024】
前記単量体のオリゴマー化反応は、前記反応システムと通常の接触技術を応用して溶媒の存在または不在下で、均質液相反応、触媒が一部溶解されないか全部溶解されない形態であるスラリー反応、2相液体/液体反応、または生成物が主媒質として作用するバルク相反応またはガス相反応として行われることができる。
【0025】
前記触媒は、遷移金属供給源を含むことができる。前記遷移金属供給源は、例えば、クロム(III)アセチルアセトネート、クロム(III)クロライドテトラヒドロフラン、クロム(III)2-エチルヘキサノエート、クロム(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)、クロム(III)ベンゾイルアセトネート、クロム(III)ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオネート、クロム(III)アセテートヒドロキシド、クロム(III)アセテート、クロム(III)ブチレート、クロム(III)ペンタノエート、クロム(III)ラウレートおよびクロム(III)ステアレートからなる群から選択される1種以上を含む化合物であることができる。
【0026】
前記助触媒は、例えば、トリメチルアルミニウム(trimethyl aluminium)、トリエチルアルミニウム(triethyl aluminium)、トリイソプロピルアルミニウム(triisopropyl aluminium)、トリイソブチルアルミニウム(triisobutyl aluminium)、エチルアルミニウムセスキクロライド(ethylaluminium sesquichloride)、ジエチルアルミニウムクロライド(diethylaluminium chloride)、エチルアルミニウムジクロライド(ethyl aluminium dichloride)、メチルアルミノキサン(methylaluminoxane)、修飾メチルアルミノキサン(modified methylaluminoxane)およびボレート(Borate)からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0027】
このように、触媒および溶媒の存在下で単量体をオリゴマー化させる過程では、オリゴマー生成物の他に、副生成物として、ポリエチレンのような高分子が生成されることができる。前記高分子は、反応器内の液相の反応媒体に浮遊するが、時間が経つにつれて反応器の内壁および多孔板にファウリング現象によって蓄積されて、所定の厚さで蓄積される問題が発生する。この場合、反応器の運転を中断(shut down)しなければならないため、運転時間の減少に伴う生産量の減少だけではなく、洗浄過程で必要となるコストが増加する問題があった。
【0028】
また、前記反応生成物内の高分子を除去し、反応物に対して多量が使用される溶媒を回収して再使用するために、高沸点分離塔400と溶媒分離塔500を備えなければならない。この際、前記高沸点分離塔400と溶媒分離塔500に供給されるストリーム流量および高分子の含量が高いほど、分離のためのエネルギーコストと時間が増加する問題がある。
【0029】
これに対して、本発明では、前記反応生成物内の高分子を除去するために、高沸点分離塔400と溶媒分離塔500の前段に沈殿槽300を備えることで、高沸点分離塔400と溶媒分離塔500で分離のために使用されるエネルギーコストを低減し、時間を短縮することで、前記のような問題を解決した。
【0030】
また、前記沈殿槽300で有機系凝集剤(flocculant)を投入して高分子を沈殿させて除去することで、沈殿槽300で高沸点物質を沈殿させて除去するのにかかる時間を短縮し、これにより、オリゴマー化反応生成物から溶媒および副生成物を除去し、高純度のオリゴマーを取得する全工程にかかる時間を短縮することができる。例えば、前記有機系凝集剤は、前記沈殿槽300で連結されて備えられた別の凝集剤供給ライン310を介して沈殿槽300の内部に供給されることができる。
【0031】
これとともに、前記沈殿槽300で溶媒の含量が高い上層液ストリームを高沸点分離塔400を経ることなくすぐ溶媒分離塔500に供給することで、高沸点分離塔400に供給される流量を低減し、高沸点分離塔400でのエネルギー使用量をより低減することができる。
【0032】
前記単量体ストリームは、反応器100の下部に備えられた単量体ストリーム供給ラインを介して反応器100に供給されることができる。この際、前記単量体は、気体状態で反応器100に供給されることができる。具体的には、気相の単量体を含む単量体ストリームは、反応器100に供給されることができ、前記気相の単量体は、反応器100に供給される溶媒に溶解されて液相でオリゴマー化反応が行われることができる。
【0033】
前記単量体ストリームは、ナフサ熱分解工程(Naphtha Cracking Center、NCC)で供給されることができる。前記ナフサ熱分解工程は、ナフサ、C2およびC3炭化水素化合物およびプロパンなどをそれぞれ供給原料として投入し、それぞれの熱分解炉で熱分解を実施するステップと、それぞれの熱分解炉で熱分解されて水素、C1、C2およびC3以上の炭化水素化合物を含む熱分解ガスを冷却するステップと、冷却した熱分解ガスを圧縮するステップと、水素、C1、C2およびC3以上の炭化水素化合物を含む熱分解圧縮ストリームを精製するステップとを含んで実施されることができる。この際、前記単量体ストリームは、ナフサ熱分解から分離されるエチレン(C2)を含むストリームであることができる。
【0034】
前記溶媒ストリームは、反応器100の下部側面に備えられた溶媒ストリーム供給ラインを介して反応器100に供給されることができる。前記溶媒は、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、シクロオクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、キシレン、1,3,5-トリメチルベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンおよび卜リクロロベンゼンからなる群から選択される1種以上を含むことができる。前記溶媒は、場合に応じて、2種を混合して使用することができる。これにより、より高い温度で気相のエチレン単量体を液化することができ、気相のエチレン単量体が溶媒に溶解される溶解率を向上させることができる。
【0035】
前記反応器100において、単量体ストリームおよび溶媒ストリームが供給されて行われるオリゴマー化反応は、10℃~180℃、30℃~150℃または50℃~120℃の温度下で行われることができる。また、前記オリゴマー化反応は、10bar.g~70bar.gの圧力下で行われることができる。例えば、前記オリゴマー化反応は、10bar.g~70bar.g、20bar.g~65bar.gまたは20bar.g~40bar.gの圧力下で行われることができる。前記温度範囲および圧力範囲内でエチレンをオリゴマー化反応させる時に、所望のアルファオレフィンに対して優れた選択度を有することができ、副生成物の量が低減することができ、連続工程の運用上効率を上昇させ、コストダウンを図ることができる。
【0036】
前記反応器100において、オリゴマー化反応時に発生する副生成物、例えば、高分子は、前記反応器100の排出ストリーム内に0.1重量%~5重量%、0.1重量%~4重量%または1重量%~3重量%の含量で含まれ得る。
【0037】
前記反応器100の排出ストリームは、液相の第1ストリームおよび気相の第2ストリームを含むことができる。例えば、前記反応器100において、オリゴマー化反応により目的とするオリゴマー生成物が含まれた液相の反応生成物は、第1ストリームとして反応器100の下部側面、例えば、前記溶媒供給ラインが形成される反応器100の下部側面と対向する方向に離隔して備えられた生成物排出ラインを介して排出されることができる。例えば、前記生成物排出ラインは、溶媒供給ラインと同じ高さに形成されることができる。また、前記生成物排出ラインは、反応器100から分離装置200に連結されて反応生成物を分離装置200に移送することができる。
【0038】
また、前記反応器100において、溶媒に溶解されず、オリゴマー化反応に参加することができなかった気相の未反応単量体を含む第2ストリームは、反応器100の上部に備えられた未反応単量体排出ラインを介して排出されることができる。例えば、前記気相の第2ストリームは凝縮器110を経て液相に凝縮され、第1ストリームとともに分離装置200に供給されることができる。この際、前記第1ストリームと第2ストリームは、別のラインで分離装置200に供給されるか、一つのラインで合流させてから分離装置200に供給されることができる。
【0039】
本発明の一実施形態によると、前記反応器100の排出ストリームは、分離装置200に供給され、反応生成物内の未反応単量体および二量体を分離することができる。具体的には、前記分離装置200では、供給される反応生成物を含む反応器100の排出ストリームから未反応単量体および二量体を上部排出ストリームとして分離し、反応器100に循環させて再使用することができる。この際、前記分離装置200の上部排出ストリームは、反応器100への流動性を確保するために、圧縮機210を経た後、反応器100に循環することができる。また、前記分離装置200の下部排出ストリームは、未反応単量体がほぼ除去された反応生成物として沈殿槽300に供給されることができる。
【0040】
前記分離装置200は、上部に単量体および二量体を含む低沸点物質を選択的に分離するために、運転温度および運転圧力が制御されることができる。例えば、前記分離装置200の運転温度は、20℃~250℃、30℃~200℃または40℃~160℃であることができ、運転圧力は、10bar.g~30bar.g、10bar.g~25bar.gまたは10bar.g~20bar.gであることができる。
【0041】
本発明の一実施形態によると、前記分離装置200の下部排出ストリームは、沈殿槽300に供給され、前記沈殿槽300で反応生成物内の高分子を除去することができる。具体的には、前記沈殿槽300では、反応生成物内に浮遊する高分子を凝集体として沈殿させ、前記沈殿槽300の下部に排出させて廃棄処理するか、様々なルートで再使用することができる。
【0042】
前記沈殿槽300には、有機系凝集剤(flocculant)が投入されることができる。具体的には、前記沈殿槽300で反応生成物内の高分子を沈殿させて除去する過程は、有機系凝集剤の存在下で行われることができる。これにより、沈殿槽300で高沸点物質を沈殿させて除去するのにかかる時間を短縮し、これにより、オリゴマー化反応生成物から溶媒および副生成物を除去し、高純度のオリゴマーを取得する全工程にかかる時間を短縮することができる。また、前記沈殿槽300において上層液内の溶媒外高分子の含量が最小化し、後述する溶媒抽出ライン320を介して溶媒分離塔500に高純度の溶媒を含む上層液ストリームを供給することができ、溶媒分離塔500で分離のために使用されるエネルギーコストをより低減することができる。
【0043】
前記有機系凝集剤(flocculant)は、例えば、ポリアクリルアミドを含むことができる。前記ポリアクリルアミドは、非イオン性凝集剤であり、液体の中に懸濁されている固体粒子の表面と前記凝集剤との間の物理的または化学的な吸着による架橋作用により、前記固体粒子の粗大化、すなわち、凝集を誘導することができる。このように、前記固体粒子が凝集されて形成された凝集体は、液体内で沈殿速度が速くなることで沈殿を促進することができる。すなわち、本発明によると、前記ポリアクリルアミドは、前記反応生成物内に分散されたポリエチレンの固体粒子を凝集させて凝集体を形成することで、沈殿を促進する効果に優れることができる。
【0044】
具体的には、前記有機系凝集剤を投入する条件下で、前記沈殿槽300を稼働して反応生成物内の高分子を沈殿させて除去することで、前記沈殿槽300の稼働時間を短縮することができる。例えば、前記沈殿槽300の稼働時間は、1時間以下、40分以下または1分~10分であることができる。
【0045】
前記沈殿槽300は、前記反応生成物内の高分子を沈殿させて除去するために、稼働温度および稼働圧力を制御することができる。例えば、前記沈殿槽300の稼働温度は、10℃~90℃、10℃~85℃または20℃~80℃に制御し、稼働圧力は、0.1kg/cm2~3kg/cm2、0.5kg/cm2~2kg/cm2または0.5kg/cm2~1.5kg/cm2に制御することができる。この際、前記沈殿槽300の稼働圧力は、不活性気体を用いて制御することができる。前記不活性気体は、例えば、窒素(N2)およびアルゴン(Ar)からなる群から選択される1種以上を含むことができ、具体的な例として、前記不活性気体は、窒素(N2)であることができる。
【0046】
このように、前記沈殿槽300においてポリアクリルアミドを有機系凝集剤として使用するとともに、稼働温度および稼働圧力を前記のように制御することで、分離装置200の下部排出ストリーム内に含まれた高分子の凝集および沈殿効果を極大化することができる。具体的な例として、前記高分子は、重量平均分子量が8万~15万g/mol、9万~13万g/mol、または9万~12万g/molであることができる。前記範囲内の重量平均分子量を有する高分子に対してポリアクリルアミドを有機系凝集剤として使用し、稼働温度および稼働圧力を前記のように制御する場合、凝集および沈殿効果を向上させて、沈殿槽300稼働時間を最大限に短縮することができる。
【0047】
これとともに、前記沈殿槽300で反応生成物内の高分子を除去する過程で、沈殿槽300内では、溶媒の含量が高い上層液と、オリゴマーの含量が高い下層液とに層分離されることができる。前記沈殿槽300で分離された上層液は、溶媒の含量が高く、溶媒以外の不純物をほとんど含まないものであり、高沸点分離塔400に供給されず、すぐ溶媒分離塔500に供給されることができる。この際、前記沈殿槽300の上層液内の溶媒の含量は、90重量%以上、90重量%~100%または95重量%~100重量%であることができる。このように、沈殿槽300で高分子を除去するとともに溶媒外不純物がほとんど含まれない上層液を高沸点分離塔400を経ることなく溶媒分離塔500にすぐ供給することで、高沸点分離塔400に供給される流量が減少し、これに伴い、高沸点分離塔400で分離のためのエネルギーコストが低減されることができる。
【0048】
前記沈殿槽300で層分離される上層液と下層液は、分離装置200の下部排出ストリーム内に含まれた溶媒およびオリゴマーの含量に応じて相違することができ、前記沈殿槽300の上層液ストリームを溶媒分離塔500に供給するために、溶媒分離塔500から連結されて沈殿槽300内に上層液が形成された領域まで延びて備えられた溶媒抽出ライン320をさらに備えることができる。この際、前記溶媒抽出ライン320の任意の領域には、ポンプ330が設置されて、沈殿槽300の上層液ストリームを溶媒分離塔500に移送することができる。
【0049】
また、前記沈殿槽300の下層液ストリームは、オリゴマーの含量が高いものであり、高沸点分離塔400に供給されることができる。この際、前記沈殿槽300の下層液ストリーム内の高分子の含量は、10重量%以下、0.1重量%~5重量%または0.1重量%~3重量%であることができる。また、前記反応器100の排出ストリーム内の高分子含量に対する前記沈殿槽300の下層液ストリーム内の高分子の含量比は、1:0.01~1:0.05、1:0.01~1:0.04または1:0.01~1:0.03であることができる。これは、前記反応器100の排出ストリーム内に含まれた高分子の95%以上が沈殿槽300で除去されたことを意味し得、これにより、高沸点分離塔400とともに溶媒分離塔500で分離時に求められるエネルギーコストを低減し、時間を短縮することができることが分かる。
【0050】
本発明の一実施形態によると、前記沈殿槽300の下層液ストリームを高沸点分離塔400に供給し、前記高沸点分離塔400で沈殿槽300の下層液ストリーム内の含まれた高沸点物質を蒸留により除去することができる。この際、前記沈殿槽300の下層液のみを高沸点分離塔400に供給することから高沸点分離塔400に供給される流量が減少し、前記下層液内の高分子の含量が少ないことから高沸点分離塔400での分離のためのエネルギーコストが低減され、分離時間が短縮されることができる。
【0051】
また、前記高沸点分離塔400において高沸点物質は、下部排出ストリームから除去し、残りの成分、すなわち、オリゴマーの含量が高い上部排出ストリームは、溶媒分離塔500に供給してオリゴマーを精製することができる。
【0052】
本発明の一実施形態によると、前記溶媒分離塔500では、溶媒とオリゴマーの沸点の差により溶媒とオリゴマーを分離することができる。具体的には、前記沈殿槽300の上層液ストリームと高沸点分離塔400の上部排出ストリームは、溶媒分離塔500に供給され、前記溶媒分離塔500で溶媒とオリゴマーを分離することができる。この際、前記オリゴマーが沸点が異なる2種以上のオリゴマーを含む場合、前記溶媒分離塔500は、2機以上で備えられることができる。例えば、沸点が異なる2種以上のオリゴマーを含む場合、第1溶媒分離塔で高沸点オリゴマーを分離し、第2溶媒分離塔で溶媒と低沸点オリゴマーを分離することができる。
【0053】
前記溶媒分離塔500で分離された溶媒ストリームは、溶媒分離塔500の下部に排出され、これは、反応器100に循環させて再使用することができる。これにより、原料コストを低減してオリゴマー生成物のコストダウンを図り、競争力を確保することができる。
【0054】
本発明の一実施形態によると、オリゴマーの製造方法では、必要な場合、蒸留カラム、コンデンサ、リボイラ、バルブ、ポンプ、分離器および混合器などの装置をさらに設置することができる。
【0055】
以上、本発明によるオリゴマーの製造方法について記載および図面に図示しているが、前記の記載および図面の図示は、本発明を理解するための核心的な構成のみを記載および図示したものであって、前記記載および図面に図示した工程および装置以外に、別に記載および図示していない工程および装置は、本発明によるオリゴマーの製造方法を実施するために適切に応用され用いられることができる。
【0056】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇および技術思想の範囲内で様々な変更および修正が可能であることは、通常の技術者にとって明白であり、これらのみに本発明の範囲が限定されるものではない。
【0057】
実施例
実施例1
図1に図示されている工程フローチャートにしたがって、アルファオレフィンを製造した。
【0058】
具体的には、反応器100の下部に気相のエチレン単量体ストリームを113kg/hrで供給し、下部側面にメチルシクロヘキサンを7kg/hrで供給し、触媒および助触媒を供給してエチレン単量体をオリゴマー化反応させてオリゴマーであるアルファオレフィンを含む反応生成物を製造した。この際、前記反応生成物内に含まれた高分子の含量は1.9重量%と確認され、前記反応器100の温度を70℃、圧力を40bar.gに設定した。
【0059】
前記反応器100の排出ストリームは、分離装置200に供給した。具体的には、気相の第2ストリームは凝縮器110を介して液相に凝縮させた後、分離装置200に供給し、液相の第1ストリームはすぐ分離装置200に供給した。
【0060】
前記分離装置200で気相の未反応単量体を含む上部排出ストリームは、圧縮機210を通過して反応器100に供給し、下部排出ストリームは、沈殿槽300に供給した。
【0061】
前記沈殿槽300に供給された分離装置200の下部排出ストリームを凝集剤供給ライン310を介して投入されたポリアクリルアミド(PAA)の量は0.1kg、稼働温度は20℃、稼働圧力は1kg/cm2に制御した状態で20分間滞留させて層分離した。この際、沈殿された高分子は下部に排出させて除去した後、上層液と下層液は、6.5kg/hrの流量で高沸点分離塔400に供給した。この際、上層液内の溶媒の含量は99重量%であり、下層液内の高分子の含量は0.25重量%であることを確認した。
【0062】
前記高沸点分離塔400では、下部に高沸点物質を除去し、上部排出ストリームは、溶媒分離塔500に供給し、前記溶媒分離塔500では、側部にオリゴマーであるアルファオレフィンを回収し、下部排出ストリームは反応器100に循環させた。
【0063】
実施例2
図2に図示されている工程フローチャートにしたがって、アルファオレフィンを製造した。
【0064】
具体的には、前記実施例1で、沈殿槽300で沈殿された高分子は、下部に排出させて除去した後、溶媒の含量が99重量%である上層液は、3.0kg/hrの流量で溶媒抽出ライン320を介してポンプ330を用いて溶媒分離塔500に供給し、高分子の含量が0.25重量%である下層液は、3.5kg/hrの流量で高沸点分離塔400に供給した以外は、実施例1と同じ方法で行った。
【0065】
実施例3
前記実施例2で、前記沈殿槽300の稼働温度を40℃に制御し、40分間稼働させて層分離させた以外は、前記実施例2と同じ方法で行った。
【0066】
この際、前記沈殿槽300で沈殿された高分子は、下部に排出させて除去し、溶媒の含量が98重量%である上層液は、3.0kg/hrの流量で溶媒抽出ライン320を介してポンプ330を用いて溶媒分離塔500に供給し、高分子の含量が0.34重量%である下層液は、3.5kg/hrの流量で高沸点分離塔400に供給した。
【0067】
実施例4
前記実施例3で、前記沈殿槽300にポリアクリルアミド(PAA)を0.5kgで投入して10分間稼働させて層分離させた以外は、前記実施例3と同じ方法で行った。
【0068】
この際、前記沈殿槽300で沈殿された高分子は、下部に排出させて除去し、溶媒の含量が99重量%である上層液は、3.0kg/hrの流量で溶媒抽出ライン320を介してポンプ330を用いて溶媒分離塔500に供給し、高分子の含量が0.22重量%である下層液は、3.5kg/hrの流量で高沸点分離塔400に供給した。
【0069】
実施例5
前記実施例3で、前記沈殿槽300にポリアクリルアミド(PAA)を1.0kgで投入し、6分間稼働させて層分離させた以外は、前記実施例3と同じ方法で行った。
【0070】
この際、前記沈殿槽300で沈殿された高分子は、下部に排出させて除去し、溶媒の含量が99重量%である上層液は、3.0kg/hrの流量で溶媒抽出ライン320を介してポンプ330を用いて溶媒分離塔500に供給し、高分子の含量が0.21重量%である下層液は、3.5kg/hrの流量で高沸点分離塔400に供給した。
【0071】
実施例6
前記実施例2で、前記沈殿槽300の稼働温度を80℃に制御し、38分間稼働させて層分離させた以外は、前記実施例2と同じ方法で行った。
【0072】
この際、前記沈殿槽300で沈殿された高分子は、下部に排出させて除去し、溶媒の含量が98重量%である上層液は、3.0kg/hrの流量で溶媒抽出ライン320を介してポンプ330を用いて溶媒分離塔500に供給し、高分子の含量が0.36重量%である下層液は、3.5kg/hrの流量で高沸点分離塔400に供給した。
【0073】
前記実施例1~6を参照すると、沈殿槽300で有機系凝集剤としてポリアクリルアミドを投入してオリゴマー化反応生成物内の高分子を除去することで、短時間で後段工程に移送されるストリームの高分子含量を最小化した。これにより、後段装置である高沸点分離塔400および溶媒分離塔500で分離のための時間およびエネルギーが低減されたことが分かる。
【0074】
特に、沈殿槽300で溶媒の含量が高い上層液を別の溶媒抽出ライン320を用いて溶媒分離塔500に移送し、下層液を高沸点分離塔400に移送した実施例2~6の場合、高沸点分離塔400に移送される流量が減少し、高沸点分離塔400で分離のための時間およびエネルギーがより低減されたことが分かる。
【0075】
比較例
比較例1
下記
図3に図示されている工程フローチャートにしたがって、アルファオレフィンを製造した。
【0076】
具体的には、反応器100の下部に気相のエチレン単量体ストリームを113kg/hrで供給し、下部側面にメチルシクロヘキサンを7kg/hrで供給し、触媒および助触媒を供給してエチレン単量体をオリゴマー化反応させてオリゴマーであるアルファオレフィンを含む反応生成物を製造した。この際、前記反応生成物内に含まれた高分子の含量は1.9重量%と確認され、前記反応器100の温度を70℃、圧力を40bar.gに設定した。
【0077】
前記反応器100の排出ストリームは、分離装置200に供給した。具体的には、気相の第2ストリームは、凝縮器110を介して液相に凝縮させた後、分離装置200に供給し、液相の第1ストリームはすぐ分離装置200に供給した。
【0078】
前記分離装置200で気相の未反応単量体を含む上部排出ストリームは、圧縮機210を通過して反応器100に供給し、高分子の含量が2.2重量%である下部排出ストリームは、10kg/hrの流量で高沸点分離塔400に供給した。
【0079】
前記高沸点分離塔400では、下部に高沸点物質を除去し、上部排出ストリームは溶媒分離塔500に供給し、前記溶媒分離塔500では、側部にオリゴマーであるアルファオレフィンを回収し、下部排出ストリームは、反応器100に循環させた。
【0080】
比較例2
図4に図示されている工程フローチャートにしたがって、アルファオレフィンを製造した。
【0081】
具体的には、反応器100の下部に気相のエチレン単量体ストリームを113kg/hrで供給し、下部側面にメチルシクロヘキサンを7kg/hrで供給し、触媒および助触媒を供給してエチレン単量体をオリゴマー化反応させてオリゴマーであるアルファオレフィンを含む反応生成物を製造した。この際、前記反応生成物内に含まれた高分子の含量は1.9重量%と確認され、前記反応器100の温度を70℃、圧力を40bar.gに設定した。
【0082】
前記反応器100の排出ストリームは、分離装置200に供給した。具体的には、気相の第2ストリームは凝縮器110を介して液相に凝縮させた後、分離装置200に供給し、液相の第1ストリームはすぐ分離装置200に供給した。
【0083】
前記分離装置200で気相の未反応単量体を含む上部排出ストリームは、圧縮機210を通過して反応器100に供給し、下部排出ストリームは、沈殿槽300に供給した。
【0084】
前記沈殿槽300では、分離装置200の下部排出ストリームを稼働温度20℃、稼働圧力1kg/cm2の条件で2時間稼働させて層分離させた。この際、沈殿された高分子は、下部に排出させて除去した後、上層液と下層液は6.5kg/hrの流量で高沸点分離塔400に供給した。この際、上層液内の溶媒の含量は97重量%であり、下層液内の高分子の含量は1.4重量%であることを確認した。
【0085】
前記高沸点分離塔400では、下部に高沸点物質を除去し、上部排出ストリームは溶媒分離塔500に供給し、前記溶媒分離塔500では、側部にオリゴマーであるアルファオレフィンを回収し、溶媒を含む下部排出ストリームは反応器100に循環させた。
【0086】
比較例3
前記比較例2で、前記沈殿槽300の稼働温度を40℃に制御して2時間稼働させて層分離させた以外は、前記比較例2と同じ方法で行った。
【0087】
この際、前記沈殿槽300で、上層液内の溶媒の含量は95重量%であり、下層液内の高分子の含量は1.9重量%であることを確認した。
【0088】
比較例4
前記比較例2で、前記沈殿槽300の稼働温度を80℃に制御して2時間稼働させて層分離させた以外は、前記比較例2と同じ方法で行った。
【0089】
この際、前記沈殿槽300で、上層液内の溶媒の含量は92重量%であり、下層液内の高分子の含量は2.3重量%であることを確認した。
【0090】
比較例5
前記比較例2で、前記沈殿槽300を20分間稼働させて層分離させた以外は、前記比較例2と同じ方法で行った。
【0091】
この際、前記沈殿槽300で、上層液内の溶媒の含量は73重量%であり、下層液内の高分子の含量は8.1重量%であることを確認した。
【0092】
前記比較例1は、沈殿槽を備えずオリゴマーを製造したものであり、前記実施例1~6および比較例2~5に比べて、高沸点分離塔400に供給されるストリームの流量および高分子含量が増加し、高沸点分離塔400および溶媒分離塔500で分離のための時間およびエネルギーが非常に増加したことが分かる。
【0093】
前記比較例2~5を参照すると、沈殿槽300で有機系凝集剤を投入しなかった場合、2時間層分離をしてもオリゴマー化反応生成物内の高分子を実施例のように効果的に除去することが困難であることを確認した。これにより、後段装置である高沸点分離塔400および溶媒分離塔500で分離のための時間およびエネルギーが増加したことが分かる。特に、実施例1のように沈殿槽を20分間稼働した比較例4の場合、上層液の溶媒純度が著しく低く、下層液の高分子含量が非常に高いことを確認することができた。したがって、比較例1~4によっては、実施例で得られる後段装置での分離のための稼働時間の短縮およびエネルギー低減の効果を期待することが難しかった。
【0094】
さらに、沈殿槽300で高分子の除去および層分離が充分に行われていない状態で、沈殿槽300上層液を別の溶媒抽出ライン320を用いて溶媒分離塔500に移送する場合、上層液内に不純物が多量含まれ、下層液内の高分子の含量が高く、高沸点分離塔400および溶媒分離塔500で分離のための稼働時間の短縮およびエネルギー使用量の低減効果が得られないだけでなく、オリゴマーの品質に悪影響を及ぼし得る。