(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】配管用加熱装置
(51)【国際特許分類】
F16L 53/35 20180101AFI20240227BHJP
F16L 59/02 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
F16L53/35
F16L59/02
(21)【出願番号】P 2020079059
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 悠
(72)【発明者】
【氏名】入江 智芳
(72)【発明者】
【氏名】大保 忠司
(72)【発明者】
【氏名】新井 貴暁
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-124489(JP,U)
【文献】特公昭44-003312(JP,B1)
【文献】特開平08-303978(JP,A)
【文献】特開平03-084287(JP,A)
【文献】実開昭55-028111(JP,U)
【文献】特表2013-500451(JP,A)
【文献】実開昭58-189888(JP,U)
【文献】特開2007-292199(JP,A)
【文献】特開平09-273698(JP,A)
【文献】特開2007-002986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0373954(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 53/35
F16L 59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管用の加熱装置であって、
前記配管の外面に沿った形状の内面をそれぞれ有する
半円筒形状の第1金属板および第2金属板と、
前記第1金属板および前記第2金属板の外面にそれぞれ接触する半円筒形状の第1ヒーターおよび第2ヒーターと、
前記第1ヒーターおよび前記第2ヒーターの外面にそれぞれ接触する第1断熱材および第2断熱
材を備えて
おり、
前記第1ヒーターの外面の全体、および前記第1金属板と前記第1ヒーターの両側面は、前記第1断熱材によって覆われており、
前記第2ヒーターの外面の全体、および前記第2金属板と前記第2ヒーターの両側面は、前記第2断熱材によって覆われている、加熱装置。
【請求項2】
前記第1金属板の内側に配置された第1金属繊維と、
前記第2金属板の内側に配置された第2金属繊維をさらに備えている、請求項
1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記第1金属板の縁部から外側に突出する第1つばと、
前記第2金属板の縁部から外側に突出する第2つばをさらに備えている、請求項1
または2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記第1つばおよび前記第2つばの幅は、前記第1断熱材および前記第2断熱材の厚さよりも小さい、請求項
3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記第1断熱材および前記第2断熱材のそれぞれは、少なくとも2種類の断熱材の組み合わせを備えている、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記少なくとも2種類の断熱材のうちの1つは、発泡樹脂である、請求項
5に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記発泡樹脂は、フェノール樹脂発泡材である、請求項
6に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記第1断熱材および前記第2断熱材の両側端面に固定された第1断熱側板および第2断熱側板をさらに備えている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を加熱するための加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、液晶パネル、LED、太陽電池等を製造する製造プロセスにおいては、プロセスガスをプロセスチャンバ内に導入してエッチング処理やCVD処理等の各種処理を行っている。プロセスチャンバに導入されたプロセスガスは、真空ポンプ装置によって排気され、ガス種によっては排ガス処理装置まで移送される。
【0003】
プロセスチャンバ内のプロセスガスは、複数ガスの反応により昇華温度の高い副生成物となることがある。プロセスチャンバから真空ポンプ装置、または真空ポンプ装置から排ガス処理装置に延びる配管の温度が低いと、副生成物は配管内で固体化し、配管を閉塞させることがある。さらに、固体化した副生成物が真空ポンプ装置に侵入すると、ポンプロータの回転を阻害し、ポンプロータの速度低下や、最悪の場合には真空ポンプ装置の運転停止を引き起こしてしまう。そこで、配管内での副生成物の固体化を防止するために、配管にヒーターを取り付けて配管を加熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、従来のジャケット型ヒーターを開示している。特許文献1に示すように、このタイプのヒーターは、テフロン(登録商標)クロス等で包装されたジャケット内に、ヒーター線、断熱材、温度センサー等が一体で組み込まれた構造を有している。ジャケット型ヒーターを配管に取り付けるために、断熱材は、配管の外面に沿って変形できる必要がある。このため、断熱材として使用できる材料の種類は限定されてしまう。また、ヒーターは、包装を介して配管に熱を伝えるため、ヒーターから配管への熱移動が低下してしまう。
【0006】
そこで、ヒーターから配管への熱伝達効率を向上させることができる加熱装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、配管用の加熱装置であって、前記配管の外面に沿った形状の内面をそれぞれ有する第1金属板および第2金属板と、前記第1金属板および前記第2金属板の外側にそれぞれ配置された第1断熱材および第2断熱材と、前記第1金属板および前記第2金属板にそれぞれ取り付けられた第1ヒーターおよび第2ヒーターを備えている、加熱装置が提供される。
【0008】
一態様では、前記第1ヒーターは、前記第1金属板と前記第1断熱材との間に配置されており、前記第2ヒーターは、前記第2金属板と前記第2断熱材との間に配置されている。
一態様では、前記加熱装置は、前記第1金属板の内側に配置された第1金属繊維と、前記第2金属板の内側に配置された第2金属繊維をさらに備えている。
【0009】
一態様では、前記第1ヒーターは、前記第1金属板の内側に配置されており、前記第2ヒーターは、前記第2金属板の内側に配置されている。
一態様では、前記加熱装置は、前記第1ヒーターの内側に配置された第1金属繊維と、前記第2ヒーターの内側に配置された第2金属繊維をさらに備えている。
【0010】
一態様では、前記加熱装置は、前記第1金属板の縁部から外側に突出する第1つばと、前記第2金属板の縁部から外側に突出する第2つばをさらに備えている。
一態様では、前記第1つばおよび前記第2つばの幅は、前記第1断熱材および前記第2断熱材の厚さよりも小さい。
【0011】
一態様では、前記第1断熱材および前記第2断熱材のそれぞれは、少なくとも2種類の断熱材の組み合わせを備えている。
一態様では、前記少なくとも2種類の断熱材のうちの1つは、発泡樹脂である。
一態様では、前記発泡樹脂は、フェノール樹脂発泡材である。
一態様では、前記第1金属板および前記第1ヒーターの長さは、前記第1断熱材の長さよりも小さく、前記第2金属板および前記第2ヒーターの長さは、前記第2断熱材の長さよりも小さい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1ヒーターおよび第2ヒーターの熱を、ジャケットの包装材を介さずに配管に伝えることができる。さらに、第1断熱材および第2断熱材は、変形可能な材料に限定されることなく、種々の材料を第1断熱材および第2断熱材に使用することができる。例えば、低い熱伝導率を有するフェノール樹脂発泡材を第1断熱材および第2断熱材に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】配管用の加熱装置の一実施形態を示す断面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図1に示す加熱装置の長手方向に沿った断面図であり、
図3(b)は、他の実施形態に係る加熱装置の長手方向に沿った断面図である。
【
図4】加熱装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図5】加熱装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【
図6】加熱装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、配管用の加熱装置の一実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、加熱装置は、配管100の外面に沿った形状の内面1a,2aをそれぞれ有する第1金属板1および第2金属板2と、第1金属板1および第2金属板2の外側にそれぞれ配置された第1断熱材5および第2断熱材6と、第1金属板1および第2金属板2にそれぞれ取り付けられた第1ヒーター7および第2ヒーター8を備えている。
【0015】
第1ヒーター7および第2ヒーター8は、ニクロム線などの電熱線(図示せず)を有する電気式ヒーターである。第1ヒーター7および第2ヒーター8の具体的構成は特に限定されないが、第1ヒーター7および第2ヒーター8の例としては、ラバーヒーター、シートヒーターなどが挙げられる。一実施形態では、第1ヒーター7および第2ヒーター8は、接着テープにより第1金属板1および第2金属板2の外面に直接取り付けられた電熱線(例えば絶縁被覆付きニクロム線)を備えてもよい。接着テープには、耐熱性を有するアルミテープなどの金属箔テープを用いることができる。
【0016】
第1ヒーター7は、第1金属板1と第1断熱材5との間に配置されている。より具体的には、第1ヒーター7は、第1金属板1の外面に、耐熱接着剤、両面テープなどの接合部材(図示せず)によって固定されている。第2ヒーター8は、第2金属板2と第2断熱材6との間に配置されている。より具体的には、第2ヒーター8は、第2金属板2の外面に、耐熱接着剤、両面テープなどの接合部材(図示せず)によって固定されている。耐熱接着剤および両面テープは、市販のものを使用することができる。例えば、両面テープには、耐熱性を有する両面アルミテープなどの両面金属箔テープを用いることができる。
【0017】
第1金属板1および第2金属板2は、配管100の外面に接触可能な形状の内面1a,2aをそれぞれ有している。本実施形態では、第1金属板1および第2金属板2は、それぞれ半円筒形状を有している。加熱装置の動作中は、第1金属板1および第2金属板2の内面1a,2aの全体は、配管100の外面に接触している。
【0018】
第1金属板1および第2金属板2は、アルミニウム、ステンレス鋼などの熱伝導率の高い金属から構成されている。本実施形態では、第1金属板1および第2金属板2は、アルミニウムから構成されている。第1金属板1および第2金属板2の製造方法は特に限定されない。例えば、プレス成形を用いて第1金属板1および第2金属板2を製造してもよい。
【0019】
第1断熱材5は、2種類の断熱材の組み合わせを備えている。すなわち、第1断熱材5は、第1内側断熱材5Aと、第1外側断熱材5Bを備えている。第1外側断熱材5Bは、第1内側断熱材5Aの外側に位置している。第1内側断熱材5Aは、第1ヒーター7に接触している。第1外側断熱材5Bは第1内側断熱材5Aの外面に接着剤、粘着テープなどの接合材(図示せず)によって固定されている。
【0020】
第1内側断熱材5Aは、第1外側断熱材5Bよりも高い耐熱温度を有する。より具体的には、第1内側断熱材5Aは、第1ヒーター7の加熱温度よりも高い耐熱温度を有する。第1内側断熱材5Aの例としては、ロックウール、ガラスウールなどの繊維状断熱材が挙げられる。第1内側断熱材5Aは、第1ヒーター7の熱が第1外側断熱材5Bに伝わることを防止し、第1外側断熱材5Bのダメージを防ぐことができる。
【0021】
第1外側断熱材5Bは、発泡樹脂から構成されている。本実施形態では、第1外側断熱材5Bはフェノール樹脂発泡材から構成されている。フェノール樹脂発泡材は、フェノールを含む発泡ポリマー樹脂であり、低い熱伝導率を有する。本実施形態では、第1外側断熱材5Bは、熱伝導率0.05W/(m・K)以下、好ましくは0.03W/(m・K)以下のフェノール樹脂発泡材から構成されている。第1外側断熱材5Bを保護するために、第1外側断熱材5Bの外面をガラス繊維状の外被材で覆ってもよい。第1断熱材5は、3種類以上の断熱材の組み合わせを備えてもよい。
【0022】
同様に、第2断熱材6は、2種類の断熱材の組み合わせを備えている。すなわち、第2断熱材6は、第2内側断熱材6Aと、第2外側断熱材6Bを備えている。第2外側断熱材6Bは、第2内側断熱材6Aの外側に位置している。第2内側断熱材6Aは、第2ヒーター8に接触している。第2外側断熱材6Bは第2内側断熱材6Aの外面に接着剤、粘着テープなどの接合材(図示せず)によって固定されている。
【0023】
第2内側断熱材6Aは、第2外側断熱材6Bよりも高い耐熱温度を有する。より具体的には、第2内側断熱材6Aは、第2ヒーター8の加熱温度よりも高い耐熱温度を有する。第2内側断熱材6Aの例としては、ロックウール、ガラスウールなどの繊維状断熱材が挙げられる。第2内側断熱材6Aは、第2ヒーター8の熱が第2外側断熱材6Bに伝わることを防止し、第2外側断熱材6Bのダメージを防ぐことができる。
【0024】
第2外側断熱材6Bは、発泡樹脂から構成されている。本実施形態では、第2外側断熱材6Bはフェノール樹脂発泡材から構成されている。フェノール樹脂発泡材は、フェノールを含む発泡ポリマー樹脂であり、低い熱伝導率を有する。本実施形態では、第2外側断熱材6Bは、熱伝導率0.05W/(m・K)以下、好ましくは0.03W/(m・K)以下のフェノール樹脂発泡材から構成されている。第2外側断熱材6Bを保護するために、第2外側断熱材6Bの外面をガラス繊維状の外被材で覆ってもよい。第2断熱材6は、3種類以上の断熱材の組み合わせを備えてもよい。
【0025】
第1金属板1の両方の縁部には、第1金属板1(および配管100)の長手方向に延びる第1つば11が接続されている。第1つば11は、第1金属板1の縁部から外側に突出している。同様に、第2金属板2の両方の縁部には、第2金属板2(および配管100)の長手方向に延びる第2つば12が接続されている。第2つば12は、第2金属板2の縁部から外側に突出している。
【0026】
第1つば11および第2つば12は、互いに接触している。したがって、第1金属板1および第2金属板2の相対位置は、第1つば11および第2つば12によって固定される。第1つば11および第2つば12の幅は、第1断熱材5および第2断熱材6の厚さよりも小さい。特に、第1つば11および第2つば12の幅は、第1内側断熱材5Aおよび第2内側断熱材6Aの厚さよりも小さい。したがって、第1つば11および第2つば12の全体は、第1断熱材5および第2断熱材6によってそれぞれ覆われている。このような構成によれば、第1断熱材5および第2断熱材6は、第1ヒーター7および第2ヒーター8の熱が周囲に放散されること防止することができる。
【0027】
第1金属板1、第1つば11、第1ヒーター7、および第1断熱材5は、一体化されており、第1組立体16を構成する。同様に、第2金属板2、第2つば11、第2ヒーター8、および第2断熱材6は、一体化されており、第2組立体17を構成する。
【0028】
図2に示すように、加熱装置は、第1断熱材5および第2断熱材6の外面を囲む結束部材15をさらに備えている。この結束部材15は、着脱可能に第1断熱材5および第2断熱材6の外面に取り付けられる。結束部材15は、第1および第2金属板1,2、第1および第2ヒーター7,8、第1および第2断熱材5,6の相対位置を固定し、これらが配管100から脱落することを防ぐ役割を持つ。結束部材15を第1断熱材5および第2断熱材6から取り外すと、第1および第2金属板1,2、第1および第2ヒーター7,8、第1および第2断熱材5,6を配管100から取り外すことができる。このように、加熱装置は、配管100の外面に着脱可能に取り付けられる。
【0029】
結束部材15の具体的構成は、第1断熱材5および第2断熱材6の外面に着脱可能に取り付けられるものであれば、特に限定されない。例えば、結束部材15は、ファスナ付きバンド、ベルト、紐、ヒンジおよびパチン錠付き結束具、ねじ止め式結束具などである。バンド、ベルト、紐は、伸縮可能であることが好ましい。
【0030】
本実施形態によれば、第1ヒーター7および第2ヒーター8の熱は、第1金属板1および第2金属板2を通じて配管100に伝わり、配管100を加熱することができる。特に、ジャケット型ヒーターとは異なり、第1ヒーター7および第2ヒーター8の熱を、ジャケットの包装材を介さずに配管100に伝えることができる。さらに、第1断熱材5および第2断熱材6は、変形可能な材料に限定されることなく、種々の材料を第1断熱材5および第2断熱材6に使用することができる。例えば、低い熱伝導率を有するフェノール樹脂発泡材を第1断熱材5および第2断熱材6に使用することができる。
【0031】
図3(a)は、
図1に示す加熱装置の長手方向に沿った断面図である。
図3(a)では結束部材15の図示は省略されている。
図3(a)に示すように、第1金属板1および第1ヒーター7の長さは、第1断熱材5の長さよりも小さい。したがって、第1金属板1および第1ヒーター7の全体は、第1断熱材5によって覆われており、第1金属板1および第1ヒーター7は外部に露出しない。より具体的には、第1ヒーター7の外面の全体、および第1金属板1と第1ヒーター7の両側面は、第1内側断熱材5Aによって覆われている。
【0032】
同様に、第2金属板2および第2ヒーター8の長さは、第2断熱材6の長さよりも小さい。したがって、第2金属板2および第2ヒーター8の全体は、第2断熱材6によって覆われており、第2金属板2および第2ヒーター8は外部に露出しない。より具体的には、第2ヒーター8の外面の全体、および第2金属板2と第2ヒーター8の両側面は、第2内側断熱材6Aによって覆われている。
【0033】
このような構成によれば、第1ヒーター7および第2ヒーター8の熱は、周囲の大気中にはほとんど放散されず、配管100に伝えられる。結果として、熱伝達効率を向上させることができる。
【0034】
図3(b)は、他の実施形態に係る加熱装置の長手方向に沿った断面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図3(a)を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図3(b)に示すように、第1ヒーター7および第2ヒーター8の熱が周囲の大気中に放散されることをより確実に防止するために、加熱装置は、第1断熱材5および第2断熱材6の両側端面に固定された第1断熱側板21および第2断熱側板22をさらに備えている。第1断熱側板21および第2断熱側板22の材料は特に限定されないが、ロックウール、ガラスウールなどの繊維状断熱材、またはガラスクロスなどが使用される。
【0035】
図4は、加熱装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図1乃至
図3を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、加熱装置は、第1金属板1の内側に配置された第1金属繊維31と、第2金属板2の内側に配置された第2金属繊維32をさらに備えている。
【0036】
第1金属繊維31および第2金属繊維32は、繊維状の金属(ステンレス鋼、ニッケル、チタン、銅、アルミニウムなど)である。第1金属繊維31は、第1金属板1の内面1aの全体に接触し、第2金属繊維32は、第2金属板2の内面2aの全体に接触している。加熱装置が配管100に取り付けられたとき、第1金属繊維31および第2金属繊維32は配管100の外面に接触する。第1金属繊維31および第2金属繊維32は、配管100と、第1および第2金属板1,2との間の隙間を埋めることができるので、第1ヒーター7および第2ヒーター8の熱を配管100に効率よく伝えることができる。
【0037】
図5は、加熱装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、
図1乃至
図4を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態では、第1ヒーター7は、第1金属板1の内側に配置されており、第2ヒーター8は、第2金属板2の内側に配置されている。第1断熱材5および第2断熱材6は、第1金属板1および第2金属板2の外面に接触している。
【0038】
第1ヒーター7は、第1金属板1の内面1aに、耐熱接着剤、両面テープなどの接合部材によって固定されている。第2ヒーター8は、第2金属板2の内面2aに、耐熱接着剤、両面テープなどの接合部材によって固定されている。耐熱接着剤および両面テープは、市販のものを使用することができる。例えば、両面テープには、耐熱性を有する両面アルミテープなどの両面金属箔テープを用いることができる。
【0039】
第1金属板1および第2金属板2は、アルミニウムによりも熱伝導率の低いステンレス鋼から構成されている。加熱装置が配管100に取り付けられたとき、第1ヒーター7および第2ヒーター8は、配管100の外面に接触する。本実施形態によれば、第1ヒーター7および第2ヒーター8の熱は、配管100に直接伝えられるので、熱伝達効率が向上できる。
【0040】
図6に示すように、加熱装置は、第1ヒーター7の内側に配置された第1金属繊維31と、第2ヒーター8の内側に配置された第2金属繊維32をさらに備えてもよい。加熱装置が配管100に取り付けられたとき、第1金属繊維31および第2金属繊維32は配管100の外面に接触する。第1金属繊維31および第2金属繊維32は、配管100と、第1および第2ヒーター7,8との間の隙間を埋めることができるので、第1ヒーター7および第2ヒーター8の熱を配管100に効率よく伝えることができる。
【0041】
上述した各実施形態では、加熱装置は、配管100の全周を覆う2組の金属板1,2、ヒーター7,8、断熱材5,6を備えているが、一実施形態では、加熱装置は、配管100の全周を覆う3組以上の金属板、ヒーター、断熱材を備えてもよい。加熱装置は、図示したような直管からなる配管100に限らず、エルボ管、ベンド管などにも適用することができる。また、配管100の断面は真円でなくてもよい。
【0042】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0043】
1 第1金属板
2 第2金属板
5 第1断熱材
5A 第1内側断熱材
5B 第1外側断熱材
6 第2断熱材
7 第1ヒーター
8 第2ヒーター
11 第1つば
12 第2つば
15 結束部材
16 第1組立体
17 第2組立体
21 第1断熱側板
22 第2断熱側板
31 第1金属繊維
32 第2金属繊維
100 配管