(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】複素環化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 405/14 20060101AFI20240227BHJP
C07D 407/12 20060101ALI20240227BHJP
C07D 407/14 20060101ALI20240227BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20240227BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/351 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/4155 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/4192 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/422 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/427 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/4433 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/501 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240227BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20240227BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C07D405/14
C07D407/12 CSP
C07D407/14
C07D413/14
C07D417/14
A61K31/351
A61K31/4155
A61K31/4192
A61K31/422
A61K31/427
A61K31/4433
A61K31/4439
A61K31/501
A61K31/506
A61P1/10
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2020549453
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2019038229
(87)【国際公開番号】W WO2020067456
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2018184969
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 忍
(72)【発明者】
【氏名】浅野 恭臣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼見 和明
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】安藤 春陽
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/208775(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/084368(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/163485(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/159554(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/190564(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/155816(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/069173(WO,A1)
【文献】国際公開第98/047481(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
R
1は
、C
1-6アルキル
基を示し;
環Aは、
(1) (a) ハロゲン原子、
(b) (i) C
3-10
シクロアルキル基、および
(ii) 1ないし3個のC
1-6
アルキル基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいカルバモイル基、
(c) スルファモイル基、
(d) (i) ハロゲン原子、
(ii) C
1-6
アルコキシ基、
(iii) C
3-10
シクロアルキル基、
(iv) 3ないし14員非芳香族複素環基、および
(v) モノ-またはジ-C
1-6
アルキル-カルバモイル基
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C
1-6
アルキル-カルバモイル基、および
(e) 1ないし3個のC
1-6
アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) (a) C
1-6
アルコキシ基、
(b) モノ-またはジ-C
1-6
アルキル-カルバモイル基、および
(c) 1ないし3個のC
1-6
アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環
を示す。]
で表される化合物またはその塩。
【請求項2】
R
1が、C
1-6アルキル基であり;
環Aが、
(1) (a) ハロゲン原子、
(b) (i) ハロゲン原子、
(ii) C
1-6アルコキシ基、
(iii) C
3-10シクロアルキル基、
(iv) 3ないし14員非芳香族複素環基、および
(v) モノ-またはジ-C
1-6アルキル-カルバモイル基
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C
1-6アルキル-カルバモイル基、
(c) 1ないし3個のC
1-6アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基、および
(d) 1または2個のC
3-10シクロアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) (a) モノ-またはジ-C
1-6アルキル-カルバモイル基、および
(b) 1ないし3個のC
1-6アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環
である、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
R
1が、C
1-6アルキル基であり;
環Aが、
(a) ハロゲン原子、
(b) (i) C
1-6アルコキシ基、
(ii) 3ないし14員非芳香族複素環基、および
(iii) モノ-またはジ-C
1-6アルキル-カルバモイル基
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C
1-6アルキル-カルバモイル基、および
(c) 1ないし3個のC
1-6アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環である、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
環Aが、
【化2】
であり;
R
5Aが、
(a) (i) C
1-6アルコキシ基、
(ii) 3ないし14員非芳香族複素環基、および
(iii) モノ-またはジ-C
1-6アルキル-カルバモイル基
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C
1-6アルキル-カルバモイル基、または
(b) (i) C
3-10シクロアルキル基、および
(ii) 1ないし3個のC
1-6アルキル基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいカルバモイル基
であり;
Yが、CR
6A
であり;
R
6Aが、水素原子またはハロゲン原子
である、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
環Aが、
【化3】
であり;
R
5Aが、1ないし3個のC
1-6アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基であ
り;
Yが、CR
6AまたはNであり;
R
6Aが、水素原子またはハロゲン原子
である、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-5-(4-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド、またはその塩。
【請求項7】
5-(3-フルオロ-4-((2-メトキシエチル)カルバモイル)ベンジル)-N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド、またはその塩。
【請求項8】
5-(4-((2-(ジメチルアミノ)-2-オキソエチル)カルバモイル)-3-フルオロベンジル)-N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド、またはその塩。
【請求項9】
5-(3-フルオロ-4-((((R)-テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)カルバモイル)ベンジル)-N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド、またはその塩。
【請求項10】
請求項1
~9のいずれか1項に記載の化合物またはその塩を含有する医薬。
【請求項11】
コリン作動性ムスカリンM1受容体ポジティブアロステリックモジュレーターである請求項
10記載の医薬。
【請求項12】
便秘の予防または治療剤である請求項
10記載の医薬。
【請求項13】
便秘の予防または治療剤を製造するための、請求項1
~9のいずれか1項に記載の化合物またはその塩の使用。
【請求項14】
便秘の予防または治療に使用するための、請求項1
~9のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コリン作動性ムスカリンM1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター活性を有し得、便秘等の予防または治療剤等の医薬として有用であり得る複素環化合物に関する。ここにおいて、ポジティブアロステリックモジュレーター活性とは、内因性活性化物質(当該受容体においてはアセチルコリン)とは異なる部位に結合して受容体機能を増強する作用をさす。
【0002】
(発明の背景)
アセチルコリンは、中枢神経系および神経筋接合部(副交感神経、運動神経)でシグナル伝達を誘発する神経伝達物質である。消化管では、筋間神経叢ならびに粘膜下神経叢などにより、神経ネットワークが形成されており、消化管機能を調節している。中でもアセチルコリンは、消化管機能において主要な神経伝達物質であり、消化管運動における中心的な役割を担っている。
アセチルコリン受容体はリガンド依存性イオンチャンネル(コリン作動性ニコチン受容体)とGタンパク質共役型受容体(コリン作動性ムスカリン受容体)に分類される。コリン作動性ムスカリン受容体は、興奮性の神経伝達物質アセチルコリンに対する受容体の1種であり、ムスカリンが当該受容体を選択的に活性化することに基づいて命名された。ムスカリン受容体はさらに細かくM1~M5のサブタイプで分類され、M1受容体は主に脳に広く分布することが知られている。一方で、M1受容体は消化管神経叢にもその発現が知られており、消化管の機能を調節する役割が指摘されている(非特許文献1)。近年の研究から、コリン作動性M1受容体作動薬が消化管運動を亢進することも報告されている。
一般に、消化管における蠕動運動は、隣接する部位における協調された収縮と弛緩により成り立っている。コリン作動性M1受容体は、消化管神経叢における興奮性神経および抑制性神経のいずれにも発現していることも知られている(非特許文献1)。
【0003】
WO2011/084368(特許文献1)には、コリン作動性ムスカリンM1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター(M1PAM)活性を有し、アルツハイマー病、統合失調症等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0004】
【0005】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0006】
WO2011/159554(特許文献2)には、M1PAM活性を有し、アルツハイマー病、統合失調症等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0007】
【0008】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0009】
WO2012/158474(特許文献3)には、M1PAM活性を有し、アルツハイマー病、統合失調症等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0010】
【0011】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0012】
WO2013/129622(特許文献4)には、M1PAM活性を有し、アルツハイマー病、統合失調症、痛み、睡眠障害等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0013】
【0014】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0015】
WO2014/077401(特許文献5)には、M1PAM活性を有し、アルツハイマー病、統合失調症、痛み、睡眠障害等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0016】
【0017】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0018】
WO2015/174534(特許文献6)には、M1PAM活性を有し、アルツハイマー病、統合失調症、痛み、睡眠障害、認知症を伴うパーキンソン病、レヴィー小体型認知症等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0019】
【0020】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0021】
WO2015/163485(特許文献7)には、M1PAM活性を有し、アルツハイマー病、統合失調症、痛み、睡眠障害、認知症を伴うパーキンソン病、レヴィー小体型認知症等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0022】
【0023】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0024】
WO2016/208775(特許文献8)には、M1PAM活性を有し、アルツハイマー病、統合失調症、痛み、睡眠障害、認知症を伴うパーキンソン病、レヴィー小体型認知症等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0025】
【0026】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0027】
WO2015/190564(特許文献9)には、M1PAM活性を有し、アルツハイマー病、統合失調症、痛み、睡眠障害、認知症を伴うパーキンソン病、レヴィー小体型認知症等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0028】
【0029】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0030】
WO2017/069173(特許文献10)には、M1PAM活性を有し、アルツハイマー病、統合失調症、痛み、睡眠障害、認知症を伴うパーキンソン病、レヴィー小体型認知症等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0031】
【0032】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0033】
WO2017/143041(特許文献11)には、M1PAM活性を有し、神経障害、精神障害等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0034】
【0035】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0036】
WO2017/155050(特許文献12)には、M1PAM活性を有し、アルツハイマー病、統合失調症、痛み、睡眠障害、認知症を伴うパーキンソン病、レヴィー小体型認知症等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0037】
【0038】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0039】
WO2018/042362(特許文献13)には、M1PAM活性を有し、アルツハイマー病等のM1受容体介在疾患の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0040】
【0041】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【0042】
WO2018/063552(特許文献14)には、M1PAM活性を有し、神経障害、精神障害等の治療に有用な化合物として、下記化合物が開示されている。
【0043】
【0044】
[式中、各記号は当該文献で定義されている通り。]
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【文献】WO2011/084368
【文献】WO2011/159554
【文献】WO2012/158474
【文献】WO2013/129622
【文献】WO2014/077401
【文献】WO2015/174534
【文献】WO2015/163485
【文献】WO2016/208775
【文献】WO2015/190564
【文献】WO2017/069173
【文献】WO2017/143041
【文献】WO2017/155050
【文献】WO2018/042362
【文献】WO2018/063552
【非特許文献】
【0046】
【文献】Journal of Chemical Neuroanatomy, 2007 Jul, 33(4), 193-201
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
コリン作動性ムスカリンM1受容体(M1受容体)ポジティブアロステリックモジュレーター活性を有し、便秘、例えば、神経疾患(例、パーキンソン病、脊髄損傷、多発性硬化症)に伴う便秘、特発性便秘、加齢に伴う便秘、オピオイド誘発便秘等の予防または治療剤として有用な化合物の開発が望まれている。ここにおいて、ポジティブアロステリックモジュレーター活性とは、内因性活性化物質(当該受容体においてはアセチルコリン)とは異なる部位に結合して受容体機能を増強する作用をさす。
【課題を解決するための手段】
【0048】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、下記式(I)で表される化合物が、コリン作動性ムスカリンM1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター活性を有し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0049】
即ち、本発明は、以下に関する。
[1] 式(I):
【0050】
【0051】
[式中、
R1は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、または置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示し;
環Aは、さらに置換されていてもよい環を示す。]
で表される化合物またはその塩。
[2] R1が、置換されていてもよいC1-6アルキル基であり;
環Aが、さらに置換されていてもよいベンゼン環、またはさらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環
である、前記[1]記載の化合物またはその塩。
[3] R1が、C1-6アルキル基であり;
環Aが、
(1) (a) ハロゲン原子、
(b) (i) C3-10シクロアルキル基、および
(ii) 1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいカルバモイル基、
(c) スルファモイル基、
(d) (i) ハロゲン原子、
(ii) C1-6アルコキシ基、
(iii) C3-10シクロアルキル基、
(iv) 3ないし14員非芳香族複素環基、および
(v) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、および
(e) 1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) (a) C1-6アルコキシ基、
(b) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、および
(c) 1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環
である、前記[1]記載の化合物またはその塩。
[4] R1が、C1-6アルキル基であり;
環Aが、
(1) (a) ハロゲン原子、
(b) (i) ハロゲン原子、
(ii) C1-6アルコキシ基、
(iii) C3-10シクロアルキル基、
(iv) 3ないし14員非芳香族複素環基、および
(v) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、
(c) 1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基、および
(d) 1または2個のC3-10シクロアルキル基で置換されていてもよいカルバモイル基
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) (a) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、および
(b) 1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環
である、前記[1]記載の化合物またはその塩。
[5] R1が、C1-6アルキル基であり;
環Aが、
(a) ハロゲン原子、
(b) (i) C1-6アルコキシ基、
(ii) 3ないし14員非芳香族複素環基、および
(iii) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、および
(c) 1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環である、前記[1]記載の化合物またはその塩。
[6] 環Aが、
【0052】
【0053】
であり;
R5Aが、
(a)(i) C1-6アルコキシ基、
(ii) 3ないし14員非芳香族複素環基、および
(iii) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、または
(b) (i) C3-10シクロアルキル基、および
(ii) 1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいカルバモイル基
であり;
Yが、CR6AまたはNであり;
R6Aが、水素原子またはハロゲン原子
である、前記[1]記載の化合物またはその塩。
[7] 環Aが、
【0054】
【0055】
であり;
R5Aが、1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基である;
Yが、CR6AまたはNであり;
R6Aが、水素原子またはハロゲン原子
である、前記[1]記載の化合物またはその塩。
[8] N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-5-(4-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド、またはその塩。
[9] 5-(3-フルオロ-4-((2-メトキシエチル)カルバモイル)ベンジル)-N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド、またはその塩。
[10] 5-(4-((2-(ジメチルアミノ)-2-オキソエチル)カルバモイル)-3-フルオロベンジル)-N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド、またはその塩。
[11] 5-(3-フルオロ-4-((((R)-テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)カルバモイル)ベンジル)-N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド、またはその塩。
[12] 前記[1]記載の化合物またはその塩を含有する医薬。
[13] コリン作動性ムスカリンM1受容体ポジティブアロステリックモジュレーターである前記[12]記載の医薬。
[14] 便秘の予防または治療剤である前記[12]記載の医薬。
[15] 前記[1]記載の化合物またはその塩を哺乳動物に有効量投与することを特徴とする、該哺乳動物におけるコリン作動性ムスカリンM1受容体ポジティブアロステリックモジュレート方法。
[16] 前記[1]記載の化合物またはその塩を哺乳動物に有効量投与することを特徴とする、該哺乳動物における便秘の予防または治療方法。
[17] 便秘の予防または治療剤を製造するための、前記[1]記載の化合物またはその塩の使用。
[18] 便秘の予防または治療に使用するための、前記[1]記載の化合物またはその塩。
【発明の効果】
【0056】
本発明の化合物は、コリン作動性ムスカリンM1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター活性を有し得、例えば、便秘、例えば、神経疾患(例、パーキンソン病、脊髄損傷、多発性硬化症)に伴う便秘、特発性便秘、加齢に伴う便秘、オピオイド誘発便秘等の予防または治療剤等の医薬として有用であり得る。
【0057】
(発明の詳細な説明)
以下、本明細書中で用いられる各置換基の定義について詳述する。特記しない限り各置換基は以下の定義を有する。
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2-ブロモエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、2,2―ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4-トリフルオロブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5-トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6-トリフルオロヘキシルが挙げられる。
本明細書中、「C2-6アルケニル基」としては、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニルが挙げられる。
本明細書中、「C2-6アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、4-メチル-2-ペンチニルが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC3-10シクロアルキル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC3-10シクロアルキル基が挙げられる。具体例としては、シクロプロピル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロプロピル、シクロブチル、ジフルオロシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリール基」としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリルが挙げられる。
本明細書中、「C7-16アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、フェニルプロピルが挙げられる。
【0058】
本明細書中、「C1-6アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルコキシ基が挙げられる。具体例としては、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、4,4,4-トリフルオロブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルキルオキシ基」としては、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキルチオ基が挙げられる。具体例としては、メチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、4,4,4-トリフルオロブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキル-カルボニル基」としては、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2-メチルプロパノイル、ペンタノイル、3-メチルブタノイル、2-メチルブタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル-カルボニル基が挙げられる。具体例としては、アセチル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイルが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルコキシ-カルボニル基」としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリール-カルボニル基」としては、例えば、ベンゾイル、1-ナフトイル、2-ナフトイルが挙げられる。
本明細書中、「C7-16アラルキル-カルボニル基」としては、例えば、フェニルアセチル、フェニルプロピオニルが挙げられる。
本明細書中、「5ないし14員芳香族複素環カルボニル基」としては、例えば、ニコチノイル、イソニコチノイル、テノイル、フロイルが挙げられる。
本明細書中、「3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基」としては、例えば、モルホリニルカルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピロリジニルカルボニルが挙げられる。
【0059】
本明細書中、「モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基」としては、例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルが挙げられる。
本明細書中、「モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基」としては、例えば、ベンジルカルバモイル、フェネチルカルバモイルが挙げられる。
本明細書中、「C1-6アルキルスルホニル基」としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニルが挙げられる。
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基」としては、例えば、1ないし7個、好ましくは1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキルスルホニル基が挙げられる。具体例としては、メチルスルホニル、ジフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、4,4,4-トリフルオロブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニルが挙げられる。
本明細書中、「C6-14アリールスルホニル基」としては、例えば、フェニルスルホニル、1-ナフチルスルホニル、2-ナフチルスルホニルが挙げられる。
【0060】
本明細書中、「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、アシル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいチオカルバモイル基、置換されていてもよいスルファモイル基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいスルファニル(SH)基、置換されていてもよいシリル基が挙げられる。
本明細書中、「炭化水素基」(「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」を含む)としては、例えば、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基が挙げられる。
【0061】
本明細書中、「置換されていてもよい炭化水素基」としては、例えば、下記の置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい炭化水素基が挙げられる。
[置換基群A]
(1)ハロゲン原子、
(2)ニトロ基、
(3)シアノ基、
(4)オキソ基、
(5)ヒドロキシ基、
(6)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、
(7)C6-14アリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフトキシ)、
(8)C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ)、
(9)5ないし14員芳香族複素環オキシ基(例、ピリジルオキシ)、
(10)3ないし14員非芳香族複素環オキシ基(例、モルホリニルオキシ、ピペリジニルオキシ)、
(11)C1-6アルキル-カルボニルオキシ基(例、アセトキシ、プロパノイルオキシ)、
(12)C6-14アリール-カルボニルオキシ基(例、ベンゾイルオキシ、1-ナフトイルオキシ、2-ナフトイルオキシ)、
(13)C1-6アルコキシ-カルボニルオキシ基(例、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ)、
(14)モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ、ジメチルカルバモイルオキシ、ジエチルカルバモイルオキシ)、
(15)C6-14アリール-カルバモイルオキシ基(例、フェニルカルバモイルオキシ、ナフチルカルバモイルオキシ)、
(16)5ないし14員芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ニコチノイルオキシ)、
(17)3ないし14員非芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、モルホリニルカルボニルオキシ、ピペリジニルカルボニルオキシ)、
(18)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ)、
(19)C1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリールスルホニルオキシ基(例、フェニルスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、
(20)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ基、
(21)5ないし14員芳香族複素環基、
(22)3ないし14員非芳香族複素環基、
(23)ホルミル基、
(24)カルボキシ基、
(25)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基、
(26)C6-14アリール-カルボニル基、
(27)5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、
(28)3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、
(29)C1-6アルコキシ-カルボニル基、
(30)C6-14アリールオキシ-カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、1-ナフチルオキシカルボニル、2-ナフチルオキシカルボニル)、
(31)C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、
(32)カルバモイル基、
(33)チオカルバモイル基、
(34)モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、
(35)C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、
(36)5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル、チエニルカルバモイル)、
(37)3ないし14員非芳香族複素環カルバモイル基(例、モルホリニルカルバモイル、ピペリジニルカルバモイル)、
(38)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基、
(39)C6-14アリールスルホニル基、
(40)5ないし14員芳香族複素環スルホニル基(例、ピリジルスルホニル、チエニルスルホニル)、
(41)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルフィニル基、
(42)C6-14アリールスルフィニル基(例、フェニルスルフィニル、1-ナフチルスルフィニル、2-ナフチルスルフィニル)、
(43)5ないし14員芳香族複素環スルフィニル基(例、ピリジルスルフィニル、チエニルスルフィニル)、
(44)アミノ基、
(45)モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ)、
(46)モノ-またはジ-C6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、
(47)5ないし14員芳香族複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ)、
(48)C7-16アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ)、
(49)ホルミルアミノ基、
(50)C1-6アルキル-カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロパノイルアミノ、ブタノイルアミノ)、
(51)(C1-6アルキル)(C1-6アルキル-カルボニル)アミノ基(例、N-アセチル-N-メチルアミノ)、
(52)C6-14アリール-カルボニルアミノ基(例、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ)、
(53)C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基(例、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ、tert-ブトキシカルボニルアミノ)、
(54)C7-16アラルキルオキシ-カルボニルアミノ基(例、ベンジルオキシカルボニルアミノ)、
(55)C1-6アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、
(56)C1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ)、
(57)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基、
(58)C2-6アルケニル基、
(59)C2-6アルキニル基、
(60)C3-10シクロアルキル基、
(61)C3-10シクロアルケニル基、及び
(62)C6-14アリール基。
【0062】
「置換されていてもよい炭化水素基」における上記置換基の数は、例えば、1ないし5個、好ましくは1ないし3個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書中、「複素環基」(「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、(i)芳香族複素環基、(ii)非芳香族複素環基および(iii)7ないし10員複素架橋環基が挙げられる。
【0063】
本明細書中、「芳香族複素環基」(「5ないし14員芳香族複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環基が挙げられる。
該「芳香族複素環基」の好適な例としては、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニルなどの5ないし6員単環式芳香族複素環基;
ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、フロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、ピラゾロトリアジニル、ナフト[2,3-b]チエニル、フェノキサチイニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどの8ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環基が挙げられる。
【0064】
本明細書中、「非芳香族複素環基」(「3ないし14員非芳香族複素環基」を含む)としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する3ないし14員(好ましくは4ないし10員)の非芳香族複素環基が挙げられる。
該「非芳香族複素環基」の好適な例としては、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロイソチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロイソオキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリダジニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゼピニル、オキセパニル、アゾカニル、ジアゾカニルなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環基;
ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ジヒドロベンゾイソチアゾリル、ジヒドロナフト[2,3-b]チエニル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、4H-キノリジニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、テトラヒドロベンゾアゼピニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロフェナントリジニル、ヘキサヒドロフェノチアジニル、ヘキサヒドロフェノキサジニル、テトラヒドロフタラジニル、テトラヒドロナフチリジニル、テトラヒドロキナゾリニル、テトラヒドロシンノリニル、テトラヒドロカルバゾリル、テトラヒドロ-β-カルボリニル、テトラヒドロアクリジニル、テトラヒドロフェナジニル、テトラヒドロチオキサンテニル、オクタヒドロイソキノリルなどの9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環基が挙げられる。
【0065】
本明細書中、「7ないし10員複素架橋環基」の好適な例としては、キヌクリジニル、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルが挙げられる。
本明細書中、「含窒素複素環基」としては、「複素環基」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有するものが挙げられる。
本明細書中、「置換されていてもよい複素環基」としては、例えば、前記した置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。
「置換されていてもよい複素環基」における置換基の数は、例えば、1ないし3個である。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0066】
本明細書中、「アシル基」としては、例えば、「ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基およびカルバモイル基から選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、5ないし14員芳香族複素環基および3ないし14員非芳香族複素環基から選ばれる1または2個の置換基」をそれぞれ有していてもよい、ホルミル基、カルボキシ基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、ホスホノ基が挙げられる。
また、「アシル基」としては、炭化水素-スルホニル基、複素環-スルホニル基、炭化水素-スルフィニル基、複素環-スルフィニル基も挙げられる。
ここで、炭化水素-スルホニル基とは、炭化水素基が結合したスルホニル基を、複素環-スルホニル基とは、複素環基が結合したスルホニル基を、炭化水素-スルフィニル基とは、炭化水素基が結合したスルフィニル基を、複素環-スルフィニル基とは、複素環基が結合したスルフィニル基を、それぞれ意味する。
「アシル基」の好適な例としては、ホルミル基、カルボキシ基、C1-6アルキル-カルボニル基、C2-6アルケニル-カルボニル基(例、クロトノイル)、C3-10シクロアルキル-カルボニル基(例、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘプタンカルボニル)、C3-10シクロアルケニル-カルボニル基(例、2-シクロヘキセンカルボニル)、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、C6-14アリールオキシ-カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-カルバモイル基(例、ジアリルカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル)、チオカルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-チオカルバモイル基(例、メチルチオカルバモイル、N-エチル-N-メチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-チオカルバモイル基(例、ジアリルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-チオカルバモイル基(例、シクロプロピルチオカルバモイル、シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-チオカルバモイル基(例、フェニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-チオカルバモイル基(例、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環チオカルバモイル基(例、ピリジルチオカルバモイル)、スルフィノ基、C1-6アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル)、スルホ基、C1-6アルキルスルホニル基、C6-14アリールスルホニル基、ホスホノ基、モノ-またはジ-C1-6アルキルホスホノ基(例、ジメチルホスホノ、ジエチルホスホノ、ジイソプロピルホスホノ、ジブチルホスホノ)が挙げられる。
【0067】
本明細書中、「置換されていてもよいアミノ基」としては、例えば、置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、C1-6アルキルスルホニル基およびC6-14アリールスルホニル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいアミノ基が挙げられる。
置換されていてもよいアミノ基の好適な例としては、アミノ基、モノ-またはジ-(ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル)アミノ基(例、メチルアミノ、トリフルオロメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、ジブチルアミノ)、モノ-またはジ-C2-6アルケニルアミノ基(例、ジアリルアミノ)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキルアミノ基(例、シクロプロピルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、モノ-またはジ-C6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、モノ-またはジ-C7-16アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ)、モノ-またはジ-(ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル)-カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニルアミノ基(例、ベンゾイルアミノ)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルボニルアミノ基(例、ベンジルカルボニルアミノ)、モノ-またはジ-5ないし14員芳香族複素環カルボニルアミノ基(例、ニコチノイルアミノ、イソニコチノイルアミノ)、モノ-またはジ-3ないし14員非芳香族複素環カルボニルアミノ基(例、ピペリジニルカルボニルアミノ)、モノ-またはジ-C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基(例、tert-ブトキシカルボニルアミノ)、5ないし14員芳香族複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ)、カルバモイルアミノ基、(モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル)アミノ基(例、メチルカルバモイルアミノ)、(モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル)アミノ基(例、ベンジルカルバモイルアミノ)、C1-6アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、C6-14アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ)、(C1-6アルキル)(C1-6アルキル-カルボニル)アミノ基(例、N-アセチル-N-メチルアミノ)、(C1-6アルキル)(C6-14アリール-カルボニル)アミノ基(例、N-ベンゾイル-N-メチルアミノ)が挙げられる。
【0068】
本明細書中、「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいカルバモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいカルバモイル基の好適な例としては、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-カルバモイル基(例、ジアリルカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-カルバモイル基(例、アセチルカルバモイル、プロピオニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-カルバモイル基(例、ベンゾイルカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル)が挙げられる。
【0069】
本明細書中、「置換されていてもよいチオカルバモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいチオカルバモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいチオカルバモイル基の好適な例としては、チオカルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-チオカルバモイル基(例、メチルチオカルバモイル、エチルチオカルバモイル、ジメチルチオカルバモイル、ジエチルチオカルバモイル、N-エチル-N-メチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-チオカルバモイル基(例、ジアリルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-チオカルバモイル基(例、シクロプロピルチオカルバモイル、シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-チオカルバモイル基(例、フェニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-チオカルバモイル基(例、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-チオカルバモイル基(例、アセチルチオカルバモイル、プロピオニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-チオカルバモイル基(例、ベンゾイルチオカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環チオカルバモイル基(例、ピリジルチオカルバモイル)が挙げられる。
【0070】
本明細書中、「置換されていてもよいスルファモイル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基」を有していてもよいスルファモイル基が挙げられる。
置換されていてもよいスルファモイル基の好適な例としては、スルファモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-スルファモイル基(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、N-エチル-N-メチルスルファモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-スルファモイル基(例、ジアリルスルファモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-スルファモイル基(例、シクロプロピルスルファモイル、シクロヘキシルスルファモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-スルファモイル基(例、フェニルスルファモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-スルファモイル基(例、ベンジルスルファモイル、フェネチルスルファモイル)、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-スルファモイル基(例、アセチルスルファモイル、プロピオニルスルファモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-スルファモイル基(例、ベンゾイルスルファモイル)、5ないし14員芳香族複素環スルファモイル基(例、ピリジルスルファモイル)が挙げられる。
【0071】
本明細書中、「置換されていてもよいヒドロキシ基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、C1-6アルキルスルホニル基およびC6-14アリールスルホニル基から選ばれる置換基」を有していてもよいヒドロキシ基が挙げられる。
置換されていてもよいヒドロキシ基の好適な例としては、ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基(例、アリルオキシ、2-ブテニルオキシ、2-ペンテニルオキシ、3-ヘキセニルオキシ)、C3-10シクロアルキルオキシ基(例、シクロヘキシルオキシ)、C6-14アリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフチルオキシ)、C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ)、C1-6アルキル-カルボニルオキシ基(例、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、ピバロイルオキシ)、C6-14アリール-カルボニルオキシ基(例、ベンゾイルオキシ)、C7-16アラルキル-カルボニルオキシ基(例、ベンジルカルボニルオキシ)、5ないし14員芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ニコチノイルオキシ)、3ないし14員非芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ピペリジニルカルボニルオキシ)、C1-6アルコキシ-カルボニルオキシ基(例、tert-ブトキシカルボニルオキシ)、5ないし14員芳香族複素環オキシ基(例、ピリジルオキシ)、カルバモイルオキシ基、C1-6アルキル-カルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ)、C7-16アラルキル-カルバモイルオキシ基(例、ベンジルカルバモイルオキシ)、C1-6アルキルスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ)、C6-14アリールスルホニルオキシ基(例、フェニルスルホニルオキシ)が挙げられる。
【0072】
本明細書中、「置換されていてもよいスルファニル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基および5ないし14員芳香族複素環基から選ばれる置換基」を有していてもよいスルファニル基、ハロゲン化されたスルファニル基が挙げられる。
置換されていてもよいスルファニル基の好適な例としては、スルファニル(-SH)基、C1-6アルキルチオ基、C2-6アルケニルチオ基(例、アリルチオ、2-ブテニルチオ、2-ペンテニルチオ、3-ヘキセニルチオ)、C3-10シクロアルキルチオ基(例、シクロヘキシルチオ)、C6-14アリールチオ基(例、フェニルチオ、ナフチルチオ)、C7-16アラルキルチオ基(例、ベンジルチオ、フェネチルチオ)、C1-6アルキル-カルボニルチオ基(例、アセチルチオ、プロピオニルチオ、ブチリルチオ、イソブチリルチオ、ピバロイルチオ)、C6-14アリール-カルボニルチオ基(例、ベンゾイルチオ)、5ないし14員芳香族複素環チオ基(例、ピリジルチオ)、ハロゲン化チオ基(例、ペンタフルオロチオ)が挙げられる。
【0073】
本明細書中、「置換されていてもよいシリル基」としては、例えば、「置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基およびC7-16アラルキル基から選ばれる1ないし3個の置換基」を有していてもよいシリル基が挙げられる。
置換されていてもよいシリル基の好適な例としては、トリ-C1-6アルキルシリル基(例、トリメチルシリル、tert-ブチル(ジメチル)シリル)が挙げられる。
【0074】
本明細書中、「炭化水素環」としては、例えば、C6-14芳香族炭化水素環、C3-10シクロアルカン、C3-10シクロアルケンが挙げられる。
本明細書中、「C6-14芳香族炭化水素環」としては、例えば、ベンゼン、ナフタレンが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルカン」としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンが挙げられる。
本明細書中、「C3-10シクロアルケン」としては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンが挙げられる。
本明細書中、「複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、芳香族複素環および非芳香族複素環が挙げられる。
【0075】
本明細書中、「芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環が挙げられる。該「芳香族複素環」の好適な例としては、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジンなどの5ないし6員単環式芳香族複素環;
ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、チエノピリジン、フロピリジン、ピロロピリジン、ピラゾロピリジン、オキサゾロピリジン、チアゾロピリジン、イミダゾピラジン、イミダゾピリミジン、チエノピリミジン、フロピリミジン、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、オキサゾロピリミジン、チアゾロピリミジン、ピラゾロピリミジン、ピラゾロトリアジン、ナフト[2,3-b]チオフェン、フェノキサチイン、インド-ル、イソインドール、1H-インダゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、カルバゾール、β-カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジンなどの8ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)芳香族複素環が挙げられる。
【0076】
本明細書中、「非芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する3ないし14員(好ましくは4ないし10員)の非芳香族複素環が挙げられる。該「非芳香族複素環」の好適な例としては、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、チアゾリン、チアゾリジン、テトラヒドロイソチアゾール、テトラヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロピリミジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、モルホリン、チオモルホリン、アゼパニン、ジアゼパン、アゼピン、アゾカン、ジアゾカン、オキセパンなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環;
ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイソチアゾール、ジヒドロナフト[2,3-b]チオフェン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、4H-キノリジン、インドリン、イソインドリン、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジン、テトラヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロキノキサリン、テトラヒドロフェナントリジン、ヘキサヒドロフェノチアジン、ヘキサヒドロフェノキサジン、テトラヒドロフタラジン、テトラヒドロナフチリジン、テトラヒドロキナゾリン、テトラヒドロシンノリン、テトラヒドロカルバゾール、テトラヒドロ-β-カルボリン、テトラヒドロアクリジン、テトラヒドロフェナジン、テトラヒドロチオキサンテン、オクタヒドロイソキノリンなどの9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環が挙げられる。
本明細書中、「含窒素複素環」としては、「複素環」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有するものが挙げられる。
【0077】
以下、式(I)の各記号について説明する。
【0078】
R1は、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、または置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を示す。
R1で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
【0079】
R1で示される「置換されていてもよいC1-6アルキル基」の置換基としては、(1)シアノ基、(2)ハロゲン原子、(3)カルボキシ基、(4)置換されていてもよいヒドロキシ基、(5)置換されていてもよいスルファニル(SH)基、(6)置換されていてもよいカルバモイル基、(7)置換されていてもよいアミノ基、(8)置換されていてもよい複素環基および(9)置換されていてもよい炭化水素基から選ばれる1ないし3個の置換基が挙げられる。
【0080】
R1で示される「置換されていてもよいC1-6アルコキシ基」の置換基としては、(1)シアノ基、(2)ハロゲン原子、(3)カルボキシ基、(4)置換されていてもよいヒドロキシ基、(5)置換されていてもよいスルファニル(SH)基、(6)置換されていてもよいカルバモイル基、(7)置換されていてもよいアミノ基、(8)置換されていてもよい複素環基および(9)置換されていてもよい炭化水素基から選ばれる1ないし3個の置換基が挙げられる。
【0081】
R1は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子(例、フッ素原子)、ヒドロキシ基、C1-6アルキル基(例、メチル)またはC1-6アルコキシ基(例、メトキシ)であり、より好ましくは、C1-6アルキル基(例、メチル)である。
【0082】
環Aは、さらに置換されていてもよい環を示す。
環Aで示される「さらに置換されていてもよい環」としては、さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式炭化水素環、さらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環、さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式非芳香族複素環、さらに置換されていてもよい9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環が挙げられる。
【0083】
環Aで示される「さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式炭化水素環」の「4ないし6員単環式炭化水素環」としては、ベンゼン環、C4-6シクロアルカン環(例、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環)、C4-6シクロアルケン環(例、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環)が挙げられる。「4ないし6員単環式炭化水素環」としては、好ましくは、ベンゼン環が挙げられる。
環Aで示される「さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式炭化水素環」の置換基としては、(1)シアノ基、(2)ハロゲン原子、(3)カルボキシ基、(4)置換されていてもよいヒドロキシ基、(5)置換されていてもよいカルバモイル基、(6)置換されていてもよいアミノ基、(7)置換されていてもよい複素環基および(8)置換されていてもよい炭化水素基から選ばれる1ないし3個の置換基が挙げられる。
【0084】
環Aで示される「さらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環」の「5ないし6員単環式芳香族複素環」としては、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし6員単環式芳香族複素環(例、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,2,4-オキサジアゾール環、1,3,4-オキサジアゾール環、1,2,4-チアジアゾール環、1,3,4-チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、トリアジン環)が挙げられる。「5ないし6員単環式芳香族複素環」としては、好ましくは、ピリジン環が挙げられる。
環Aで示される「さらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環」の置換基としては、(1)シアノ基、(2)ハロゲン原子、(3)カルボキシ基、(4)置換されていてもよいヒドロキシ基、(5)置換されていてもよいカルバモイル基、(6)置換されていてもよいアミノ基、(7)置換されていてもよい複素環基および(8)置換されていてもよい炭化水素基から選ばれる1ないし3個の置換基が挙げられる。
【0085】
環Aで示される「さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式非芳香族複素環」の「4ないし6員単環式非芳香族複素環」としては、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する4ないし6員単環式非芳香族複素環(例、アゼチジン環、オキセタン環、チエタン環、テトラヒドロチオフェン環、テトラヒドロフラン環、ピロリン環、ピロリジン環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、オキサゾリン環、オキサゾリジン環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、チアゾリン環、チアゾリジン環、テトラヒドロイソチアゾール環、テトラヒドロイソオキサゾール環、ピペリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、ジヒドロピリジン環、ジヒドロチオピラン環、テトラヒドロピリミジン環、テトラヒドロピリダジン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロチオピラン環、モルホリン環、チオモルホリン環)が挙げられる。「4ないし6員単環式非芳香族複素環」としては、好ましくは、ジヒドロピリジン環が挙げられる。
環Aで示される「さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式非芳香族複素環」の置換基としては、(1)シアノ基、(2)ハロゲン原子、(3)カルボキシ基、(4)置換されていてもよいヒドロキシ基、(5)置換されていてもよいカルバモイル基、(6)置換されていてもよいアミノ基、(7)置換されていてもよい複素環基、(8)置換されていてもよい炭化水素基および(9)オキソ基から選ばれる1ないし3個の置換基が挙げられる。
【0086】
環Aで示される「さらに置換されていてもよい9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環」の「9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環」としては、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環(例、ジヒドロベンゾフラン環、ジヒドロベンゾイミダゾール環、ジヒドロベンゾオキサゾール環、ジヒドロベンゾチアゾール環、ジヒドロベンゾイソチアゾール環、ジヒドロナフト[2,3-b]チオフェン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロキノリン環、4H-キノリジン環、インドリン環、イソインドリン環、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジン環、テトラヒドロベンゾアゼピン環、テトラヒドロキノキサリン環、テトラヒドロフェナントリジン環、ヘキサヒドロフェノチアジン環、ヘキサヒドロフェノキサジン環、テトラヒドロフタラジン環、テトラヒドロナフチリジン環、テトラヒドロキナゾリン環、テトラヒドロシンノリン環、テトラヒドロカルバゾール環、テトラヒドロ-β-カルボリン環、テトラヒドロアクリジン環、テトラヒドロフェナジン環、テトラヒドロチオキサンテン環、オクタヒドロイソキノリン環)が挙げられる。「9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環」としては、好ましくは、イソインドリン環が挙げられる。
環Aで示される「さらに置換されていてもよい9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環」の置換基としては、(1)シアノ基、(2)ハロゲン原子、(3)カルボキシ基、(4)置換されていてもよいヒドロキシ基、(5)置換されていてもよいカルバモイル基、(6)置換されていてもよいアミノ基、(7)置換されていてもよい複素環基、(8)置換されていてもよい炭化水素基および(9)オキソ基から選ばれる1ないし3個の置換基が挙げられる。
【0087】
環Aにおいて、「さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式炭化水素環」、「さらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環」、「さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式非芳香族複素環」または「さらに置換されていてもよい9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環」の置換基である「置換されていてもよいヒドロキシ基」としては、C1-6アルコキシ基が好ましい。
環Aにおいて、「さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式炭化水素環」、「さらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環」、「さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式非芳香族複素環」または「さらに置換されていてもよい9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環」の置換基である「置換されていてもよいカルバモイル基」としては、それぞれ置換されていてもよい、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-カルバモイル基、またはC6-14アリール-カルバモイル基が好ましい。
環Aにおいて、「さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式炭化水素環」、「さらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環」、「さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式非芳香族複素環」または「さらに置換されていてもよい9ないし14員縮合多環式(好ましくは2または3環式)非芳香族複素環」の置換基である「置換されていてもよい複素環基」としては、1ないし3個のC1-6アルキル基で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル)が好ましい。
【0088】
環Aは、好ましくは、
(1) さらに置換されていてもよいベンゼン環、
(2) さらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環、
(3) さらに置換されていてもよい4ないし6員単環式非芳香族複素環、または
(4) さらに置換されていてもよい9ないし14員縮合多環式非芳香族複素環である。
【0089】
環Aは、より好ましくは、
(1) (a) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b) (i) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、および
(ii) 1ないし3個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(例、オキセタニル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいカルバモイル基、
(c) スルファモイル基、
(d) (i) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(ii) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(iii) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(iv) 3ないし14員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフラニル、オキセタ
ニル)、および
(v) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、および
(e) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) (a) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(b) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル)、および
(c) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環(例、ピリジン環)である。
【0090】
環Aは、さらに好ましくは、
(1) (a) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b) (i) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(ii) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(iii) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(iv) 3ないし14員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフラニル)、および
(v) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、
(c) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)、および
(d) 1または2個(好ましくは1個)のC3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)で置換されていてもよいカルバモイル基
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) (a) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル)、および
(b) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環(例、ピリジン環)である。
【0091】
環Aは、さらにより好ましくは、
(a) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b) (i) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(ii) 3ないし14員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフラニル)、および
(iii) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、および
(c) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環である。
【0092】
本発明の好ましい実施態様において、環Aは、
【0093】
【0094】
であり;
R5Aが、
(a) (i) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(ii) 3ないし14員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフラニル)、および
(iii) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、または
(b) (i) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、および
(ii) 1ないし3個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(例、オキセタニル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいカルバモイル基
であり;
Yが、CR6AまたはNであり;
R6Aが、水素原子またはハロゲン原子(例、フッ素原子)である。
【0095】
本発明の別の好ましい実施態様において、環Aは、
【0096】
【0097】
であり;
R5Aが、1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)であり;
Yが、CR6AまたはNであり;
R6Aが、水素原子またはハロゲン原子(例、フッ素原子)である。
【0098】
化合物(I)の好ましい態様としては、以下の化合物が挙げられる。
[化合物I-1-A]
R1が、C1-6アルキル基(例、メチル)であり;
環Aが、
(1) (a) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b) (i) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、および
(ii) 1ないし3個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(例、オキセタニル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいカルバモイル基、
(c) スルファモイル基、
(d) (i) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(ii) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(iii) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(iv) 3ないし14員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフラニル、オキセタニル)、および
(v) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、および
(e) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) (a) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(b) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル)、および
(c) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環(例、ピリジン環)である、
化合物(I)。
【0099】
[化合物I-1-B]
R1が、C1-6アルキル基(例、メチル)であり;
環Aが、
(1) (a) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b) カルバモイル基、
(c) スルファモイル基、
(d) (i) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(ii) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(iii) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(iv) 3ないし14員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフラニル、オキセタニル)、および
(v) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、および
(e) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) (a) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(b) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル)、および
(c) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環(例、ピリジン環)である、
化合物(I)。
【0100】
[化合物I-2-A]
R1が、C1-6アルキル基(例、メチル)であり;
環Aが、
(1) (a) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b) (i) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(ii) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(iii) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(iv) 3ないし14員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフラニル)、および
(v) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル)、および
(d) 1または2個(好ましくは1個)のC3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)で置換されていてもよいカルバモイル基
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、および
(c) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) (a) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル)、および
(b) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環(例、ピリジン環)である、
化合物(I)。
【0101】
[化合物I-2-B]
R1が、C1-6アルキル基(例、メチル)であり;
環Aが、
(1) (a) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b) (i) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(ii) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(iii) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、
(iv) 3ないし14員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフラニル)、および
(v) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、および
(c) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、または
(2) (a) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル)、および
(b) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよい5ないし6員単環式芳香族複素環(例、ピリジン環)である、
化合物(I)。
【0102】
[化合物I-3]
R1が、C1-6アルキル基(例、メチル)であり;
環Aが、
(a) ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b) (i) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(ii) 3ないし14員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフラニル)、および
(iii) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、および
(c) 1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)
から選ばれる1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環である、
化合物(I)。
【0103】
[化合物I-4-A]
R1が、C1-6アルキル基(例、メチル)であり;
環Aが、
【0104】
【0105】
であり;
R5Aが、
(a) (i) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(ii) 3ないし14員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフラニル)、および
(iii) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)、または
(b) (i) C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)、および
(ii) 1ないし3個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(例、オキセタニル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいカルバモイル基
であり;
Yが、CR6AまたはNであり;
R6Aが、水素原子またはハロゲン原子(例、フッ素原子)である、
化合物(I)。
【0106】
[化合物I-4-B]
R1が、C1-6アルキル基(例、メチル)であり;
環Aが、
【0107】
【0108】
であり;
R5Aが、
(i) C1-6アルコキシ基(例、メトキシ)、
(ii) 3ないし14員非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフラニル)、および
(iii) モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、ジメチルカルバモイル)
から選ばれる1または2個(好ましくは1個)の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル)であり;
Yが、CR6AまたはNであり;
R6Aが、水素原子またはハロゲン原子(例、フッ素原子)である、
化合物(I)。
【0109】
[化合物I-5]
R1が、C1-6アルキル基(例、メチル)であり;
環Aが、
【0110】
【0111】
であり;
R5Aが、1ないし3個(好ましくは1または2個、より好ましくは1個)のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよい5ないし14員芳香族複素環基(例、ピラゾリル、トリアゾリル)であり;
Yが、CR6AまたはNであり;
R6Aが、水素原子またはハロゲン原子(例、フッ素原子)である、
化合物(I)。
【0112】
式(I)で表される化合物の好適な具体例としては、実施例1~36の化合物またはその塩が挙げられる。
【0113】
化合物(I)が塩である場合、このような塩としては、例えば、無機塩基との塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
【0114】
無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩などが挙げられる。
【0115】
有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
【0116】
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
【0117】
有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
【0118】
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
【0119】
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
【0120】
これらの塩のなかでも、薬学的に許容し得る塩が好ましい。薬学的に許容し得る好ましい塩としては、化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩、または酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。また、化合物内に酸性官能基を有する場合には、アルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)等の無機塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0121】
化合物(I)は、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても化合物(I)に包含される。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
化合物(I)は、薬学的に許容され得る共結晶または共結晶塩であってもよい。ここで、共結晶または共結晶塩とは、各々が異なる物理的特性(例えば、構造、融点、融解熱、吸湿性、溶解性および安定性等)を持つ、室温で二種またはそれ以上の独特な固体から構成される結晶性物質を意味する。共結晶または共結晶塩は、自体公知の共結晶化法に従い製造することができる。
化合物(I)は溶媒和物(例えば、水和物)および無溶媒和物をその範囲内に包含する。また、化合物(I)は、同位元素(例、2H、3H、11C、14C、18F、35S、125Iなど)などで標識または置換された化合物であってもよく、同位元素で標識または置換された化合物は、例えば、陽電子断層法(Positron Emission Tomography,PET)において使用するトレーサー(PETトレーサー)として用いることができ、医療診断などの分野において有用である。
【0122】
本発明による化合物(I)が不斉中心を有する場合、エナンチオマーあるいはジアステレオマーなどの異性体が存在しうる。このような異性体およびそれらの混合物はすべて本発明の範囲内に包含される。また、コンホメーションあるいは互変異性による異性体が生成する場合があるが、このような異性体あるいはその混合物も本発明の化合物(I)に含まれる。
【0123】
本発明化合物の製造法について以下に説明する。
【0124】
以下の製造方法における各工程で用いられた原料や試薬、ならびに得られた化合物は、それぞれ塩を形成していてもよい。このような塩としては、例えば、前述の本発明化合物の塩と同様のもの等が挙げられる。
【0125】
各工程で得られた化合物が遊離化合物である場合には、自体公知の方法により、目的とする塩に変換することができる。逆に各工程で得られた化合物が塩である場合には、自体公知の方法により、遊離体または目的とする他の種類の塩に変換することができる。
【0126】
各工程で得られた化合物は反応液のままか、または粗生成物として得た後に、次反応に用いることもできる。あるいは、各工程で得られた化合物を、常法に従って、反応混合物から濃縮、晶出、再結晶、蒸留、溶媒抽出、分溜、クロマトグラフィーなどの分離手段により単離および/または精製することができる。
【0127】
各工程の原料や試薬の化合物が市販されている場合には、市販品をそのまま用いることができる。
【0128】
各工程の反応において、反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載の無い場合、通常1分~48時間、好ましくは10分~8時間である。
【0129】
各工程の反応において、反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載が無い場合、通常-78℃~300℃、好ましくは-78℃~150℃である。
【0130】
各工程の反応において、圧力は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載が無い場合、通常1気圧~20気圧、好ましくは1気圧~3気圧である。
【0131】
各工程の反応において、例えば、Biotage社製InitiatorなどのMicrowave合成装置を用いることがある。反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載がない場合、通常室温~300℃、好ましくは50℃~250℃である。反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特に記載の無い場合、通常1分~48時間、好ましくは1分~8時間である。
【0132】
各工程の反応において、試薬は、特に記載が無い場合、基質に対して0.5当量~20当量、好ましくは0.8当量~5当量が用いられる。試薬を触媒として使用する場合、試薬は基質に対して0.001当量~1当量、好ましくは0.01当量~0.2当量が用いられる。試薬が反応溶媒を兼ねる場合、試薬は溶媒量が用いられる。
【0133】
各工程の反応において、特に記載が無い場合、これらの反応は、無溶媒、あるいは適当な溶媒に溶解または懸濁して行われる。溶媒の具体例としては、実施例に記載されている溶媒、あるいは以下が挙げられる。
アルコール類:メタノール、エタノール、tert-ブチルアルコール、2-メトキシエタノールなど;
エーテル類:ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタンなど;
芳香族炭化水素類:クロロベンゼン、トルエン、キシレンなど;
飽和炭化水素類:シクロヘキサン、ヘキサンなど;
アミド類:N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンなど;
ハロゲン化炭化水素類:ジクロロメタン、四塩化炭素など;
ニトリル類:アセトニトリルなど;
スルホキシド類:ジメチルスルホキシドなど;
芳香族有機塩基類:ピリジンなど;
酸無水物類:無水酢酸など;
有機酸類:ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸など;
無機酸類:塩酸、硫酸など;
エステル類:酢酸エチルなど;
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトンなど;
水。
上記溶媒は、二種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0134】
各工程の反応において塩基を用いる場合、例えば、以下に示す塩基、あるいは実施例に記載されている塩基が用いられる。
無機塩基類:水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなど;
有機塩基類:トリエチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、イミダゾール、ピペリジンなど;
金属アルコキシド類:ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシドなど;
アルカリ金属水素化物類:水素化ナトリウムなど;
金属アミド類:ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなど;
有機リチウム類:n-ブチルリチウムなど。
【0135】
各工程の反応において酸または酸性触媒を用いる場合、例えば、以下に示す酸や酸性触媒、あるいは実施例に記載されている酸や酸性触媒が用いられる。
無機酸類:塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸など;
有機酸類:酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸、10-カンファースルホン酸など;
ルイス酸:三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、ヨウ化亜鉛、無水塩化アルミニウム、無水塩化亜鉛、無水塩化鉄など。
【0136】
各工程の反応は、特に記載の無い限り、自体公知の方法、例えば、第5版実験化学講座、13巻~19巻(日本化学会編);新実験化学講座、14巻~15巻(日本化学会編);精密有機化学 改訂第2版(L. F. Tietze,Th. Eicher、南江堂);改訂 有機人名反応 そのしくみとポイント(東郷秀雄著、講談社);ORGANIC SYNTHESES Collective Volume I~VII(John Wiley & SonsInc);Modern Organic Synthesis in the Laboratory A Collection of Standard Experimental Procedures(Jie Jack Li著、OXFORD UNIVERSITY出版);Comprehensive Heterocyclic Chemistry III、Vol.1~Vol.14(エルゼビア・ジャパン株式会社);人名反応に学ぶ有機合成戦略(富岡清監訳、化学同人発行);コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(VCH Publishers Inc.)1989年刊などに記載された方法、あるいは実施例に記載された方法に準じて行われる。
【0137】
各工程において、官能基の保護または脱保護反応は、自体公知の方法、例えば、Wiley-Interscience社2007年刊「Protective Groups in Organic Synthesis, 4th Ed.」(Theodora W. Greene, Peter G. M. Wuts著);Thieme社2004年刊「Protecting Groups 3rd Ed.」(P.J.Kocienski著)などに記載された方法、あるいは実施例に記載された方法に準じて行われる。
アルコールなどの水酸基やフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、メトキシメチルエーテル、ベンジルエーテル、tert-ブチルジメチルシリルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテルなどのエーテル型保護基;酢酸エステルなどのカルボン酸エステル型保護基;メタンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステル型保護基;tert-ブチルカルボネートなどの炭酸エステル型保護基などが挙げられる。
アルデヒドのカルボニル基の保護基としては、例えば、ジメチルアセタールなどのアセタール型保護基;1,3-ジオキサンなどの環状アセタール型保護基などが挙げられる。
ケトンのカルボニル基の保護基としては、例えば、ジメチルケタールなどのケタール型保護基;1,3-ジオキサンなどの環状ケタール型保護基;O-メチルオキシムなどのオキシム型保護基;N,N-ジメチルヒドラゾンなどのヒドラゾン型保護基などが挙げられる。
カルボキシル基の保護基としては、例えば、メチルエステルなどのエステル型保護基;N,N-ジメチルアミドなどのアミド型保護基などが挙げられる。
チオールの保護基としては、例えば、ベンジルチオエーテルなどのエーテル型保護基;チオ酢酸エステル、チオカルボネート、チオカルバメートなどのエステル型保護基などが挙げられる。
アミノ基や、イミダゾール、ピロール、インドールなどの芳香族ヘテロ環の保護基としては、例えば、ベンジルカルバメートなどのカルバメート型保護基;アセトアミドなどのアミド型保護基;N-トリフェニルメチルアミンなどのアルキルアミン型保護基、メタンスルホンアミドなどのスルホンアミド型保護基などが挙げられる。
保護基の除去は、自体公知の方法、例えば、酸、塩基、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N-メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウム、トリアルキルシリルハライド(例えば、トリメチルシリルヨージド、トリメチルシリルブロミド)を使用する方法や還元法などを用いて行うことができる。
【0138】
各工程において、還元反応を行う場合、使用される還元剤としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素テトラメチルアンモニウムなどの金属水素化物類;ボランテトラヒドロフラン錯体などのボラン類;ラネーニッケル;ラネーコバルト;水素;ギ酸;トリエチルシランなどが挙げられる。炭素-炭素二重結合あるいは三重結合を還元する場合は、パラジウム-カーボンやLindlar触媒などの触媒を用いる方法がある。
【0139】
各工程において、酸化反応を行う場合、使用される酸化剤としては、m-クロロ過安息香酸(mCPBA)、過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシドなどの過酸類;過塩素酸テトラブチルアンモニウムなどの過塩素酸塩類;塩素酸ナトリウムなどの塩素酸塩類;亜塩素酸ナトリウムなどの亜塩素酸塩類;過ヨウ素酸ナトリウムなどの過ヨウ素酸類;ヨードシルベンゼンなどの高原子価ヨウ素試薬;二酸化マンガン、過マンガン酸カリウムなどのマンガンを有する試薬;四酢酸鉛などの鉛類;クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、ジョーンズ試薬などのクロムを有する試薬;N-ブロモスクシンイミド(NBS)などのハロゲン化合物類;酸素;オゾン;三酸化硫黄・ピリジン錯体;四酸化オスミウム;二酸化セレン;2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)などが挙げられる。
【0140】
各工程において、ラジカル環化反応を行う場合、使用されるラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などのアゾ化合物;4-4’-アゾビス-4-シアノペンタン酸(ACPA)などの水溶性ラジカル開始剤;空気あるいは酸素存在下でのトリエチルホウ素;過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。また、使用されるラジカル反応試剤としては、トリブチルスタナン、トリストリメチルシリルシラン、1,1,2,2-テトラフェニルジシラン、ジフェニルシラン、ヨウ化サマリウムなどが挙げられる。
【0141】
各工程において、Wittig反応を行う場合、使用されるWittig試薬としては、アルキリデンホスホラン類などが挙げられる。アルキリデンホスホラン類は、自体公知の方法、例えば、ホスホニウム塩と強塩基を反応させることで調製することができる。
【0142】
各工程において、Horner-Emmons反応を行う場合、使用される試薬としては、ジメチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチルなどのホスホノ酢酸エステル類;アルカリ金属水素化物類、有機リチウム類などの塩基が挙げられる。
【0143】
各工程において、Friedel-Crafts反応を行う場合、使用される試薬としては、ルイス酸と酸クロリドとの組み合せ、あるいはルイス酸とアルキル化剤(例、ハロゲン化アルキル類、アルコール、オレフィン類など)との組み合わせが挙げられる。あるいは、ルイス酸の代わりに、有機酸や無機酸を用いることもでき、酸クロリドの代わりに、無水酢酸などの酸無水物を用いることもできる。
【0144】
各工程において、芳香族求核置換反応を行う場合、試薬としては、求核剤(例、アミン類、イミダゾールなど)と塩基(例、有機塩基類など)が用いられる。
【0145】
各工程において、カルボアニオンによる求核付加反応、カルボアニオンによる求核1,4-付加反応(Michael付加反応)、あるいはカルボアニオンによる求核置換反応を行う場合、カルボアニオンを発生するために用いる塩基としては、有機リチウム類、金属アルコキシド類、無機塩基類、有機塩基類などが挙げられる。
【0146】
各工程において、Grignard反応を行う場合、Grignard試薬としては、フェニルマグネシウムブロミドなどのアリールマグネシウムハライド類;メチルマグネシウムブロミドなどのアルキルマグネシウムハライド類が挙げられる。Grignard試薬は、自体公知の方法、例えばエーテルあるいはテトラヒドロフランを溶媒として、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリールと、金属マグネシウムとを反応させることにより調製することができる。
【0147】
各工程において、Knoevenagel縮合反応を行う場合、試薬としては、二つの電子求引基に挟まれた活性メチレン化合物(例、マロン酸、マロン酸ジエチル、マロノニトリルなど)および塩基(例、有機塩基類、金属アルコキシド類、無機塩基類)が用いられる。
【0148】
各工程において、Vilsmeier-Haack反応を行う場合、試薬としては、塩化ホスホリルとアミド誘導体(例、N,N-ジメチルホルムアミドなど)が用いられる。
【0149】
各工程において、アルコール類、アルキルハライド類、スルホン酸エステル類のアジド化反応を行う場合、使用されるアジド化剤としては、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、トリメチルシリルアジド、アジ化ナトリウムなどが挙げられる。例えば、アルコール類をアジド化する場合、ジフェニルホスホリルアジドと1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)を用いる方法やトリメチルシリルアジドとルイス酸を用いる方法などがある。
【0150】
各工程において、還元的アミノ化反応を行う場合、使用される還元剤としては、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素、ギ酸などが挙げられる。基質がアミン化合物の場合は、使用されるカルボニル化合物としては、パラホルムアルデヒドの他、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、シクロヘキサノンなどのケトン類が挙げられる。基質がカルボニル化合物の場合は、使用されるアミン類としては、アンモニア、メチルアミンなどの1級アミン;ジメチルアミンなどの2級アミンなどが挙げられる。
【0151】
各工程において、光延反応を行う場合、試薬としては、アゾジカルボン酸エステル類(例、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)など)およびトリフェニルホスフィンが用いられる。
【0152】
各工程において、エステル化反応、アミド化反応、あるいはウレア化反応を行う場合、使用される試薬としては、酸クロリド、酸ブロミドなどのハロゲン化アシル体;酸無水物、活性エステル体、硫酸エステル体など活性化されたカルボン酸類が挙げられる。カルボン酸の活性化剤としては、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSCD)などのカルボジイミド系縮合剤;4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロライド-n-ハイドレート(DMT-MM)などのトリアジン系縮合剤;1,1-カルボニルジイミダゾール(CDI)などの炭酸エステル系縮合剤;ジフェニルリン酸アジド(DPPA);ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム塩(BOP試薬);
ヨウ化2-クロロ-1-メチル-ピリジニウム(向山試薬);塩化チオニル;クロロギ酸エチルなどのハロギ酸低級アルキル;O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸塩(HATU);
硫酸;あるいはこれらの組み合わせなどが挙げられる。カルボジイミド系縮合剤を用いる場合、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N-ヒドロキシコハク酸イミド(HOSu)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの添加剤をさらに反応に加えてもよい。
【0153】
各工程において、カップリング反応を行う場合、使用される金属触媒としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、塩化1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)などのパラジウム化合物;テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)などのニッケル化合物;塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(III)などのロジウム化合物;コバルト化合物;酸化銅、ヨウ化銅(I)などの銅化合物;白金化合物などが挙げられる。さらに反応に塩基を加えてもよく、このような塩基としては、無機塩基類などが挙げられる。
【0154】
各工程において、チオカルボニル化反応を行う場合、チオカルボニル化剤としては、代表的には五硫化二リンが用いられるが、五硫化二リンの他に、2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3,2,4-ジチアジホスフェタン-2,4-ジスルフィド(Lawesson試薬)などの1,3,2,4-ジチアジホスフェタン-2,4-ジスルフィド構造を持つ試薬を用いてもよい。
【0155】
各工程において、Wohl-Ziegler反応を行う場合、使用されるハロゲン化剤としては、N-ヨードコハク酸イミド、N-ブロモコハク酸イミド(NBS)、N-クロロコハク酸イミド(NCS)、臭素、塩化スルフリルなどが挙げられる。さらに、熱、光、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤を反応に加えることで、反応を加速させることができる。
【0156】
各工程において、ヒドロキシ基のハロゲン化反応を行う場合、使用されるハロゲン化剤としては、ハロゲン化水素酸と無機酸の酸ハロゲン化物、具体的には、塩素化では、塩酸、塩化チオニル、オキシ塩化リンなど、臭素化では、48%臭化水素酸などが挙げられる。また、トリフェニルホスフィンと四塩化炭素または四臭化炭素などとの作用により、アルコールからハロゲン化アルキル体を得る方法を用いてもよい。あるいは、アルコールをスルホン酸エステルに変換の後、臭化リチウム、塩化リチウムまたはヨウ化ナトリウムと反応させるような2段階の反応を経てハロゲン化アルキル体を合成する方法を用いてもよい。
【0157】
各工程において、Arbuzov反応を行う場合、使用される試薬としては、ブロモ酢酸エチルなどのハロゲン化アルキル類;トリエチルホスファイトやトリ(イソプロピル)ホスファイトなどのホスファイト類が挙げられる。
【0158】
各工程において、スルホン酸エステル化反応を行う場合、使用されるスルホニル化剤としては、メタンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。
【0159】
各工程において、加水分解反応を行う場合、試薬としては、酸または塩基が用いられる。また、tert-ブチルエステルの酸加水分解反応を行う場合、副生するtert-ブチルカチオンを還元的にトラップするためにギ酸やトリエチルシランなどを加えることがある。
【0160】
各工程において、脱水反応を行う場合、使用される脱水剤としては、硫酸、五酸化二リン、オキシ塩化リン、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、アルミナ、ポリリン酸などが挙げられる。
【0161】
各工程において、ハロゲン化反応を行う場合、使用されるハロゲン化剤としては、塩素化では、N-クロロコハク酸イミド(NCS)、塩化スルフリルなど、臭素化では、N-ブロモコハク酸イミド(NBS)、臭素など、ヨウ素化ではN-ヨードコハク酸イミド(NIS)、ヨウ素などが挙げられる。
各工程において、アルキル化反応を行う場合、使用される塩基としては、炭酸カリウム、リン酸三カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド、水素化ナトリウム、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、n-ブチルリチウム等が挙げられる。また、必要に応じて、例えば、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム等の添加物を加えることができる。
【0162】
化合物(I)および(II)は、以下のスキームに示す方法またはこれに準ずる方法もしくは実施例に記載の方法で製造することができる。
【0163】
化合物(I)は、化合物(1)より以下の方法で製造することができる。
【0164】
【0165】
反応式中のR7はC1-6アルキル基であり、R8およびR9はそれぞれハロゲン原子であり、R1および環Aは前記と同じ意味を持つ。
化合物(3)は、化合物(1)と2-ブロモ-1,1-ジメトキシエタン(2)のアルキル化反応により製造することができる。
化合物(4)は、化合物(3)のポリリン酸などのリン酸系化合物の存在下での環化反応により製造することができる。
化合物(5)は、化合物(4)の還元反応により製造することができる。
化合物(6)は、化合物(5)のNBSおよびNISなどのハロゲン化剤によるハロゲン化により製造することができる。
化合物(7)は、化合物(6)の保護基であるR7の脱保護反応により製造することができる。
化合物(9)は、化合物(7)と化合物(8)のアミド化反応により製造することができる。
化合物(10)は、化合物(9)とビス(ピナコラト)ジボロンの金属触媒存在下でのカップリング反応により製造することができる。
化合物(I)は、化合物(10)と化合物(11)の金属触媒存在下でのカップリング反応により製造することができる。
【0166】
化合物(I)のうち、環Aに置換されていてもよいカルバモイル基を有する化合物(II)は、化合物(10)より以下の方法で製造することができる。
【0167】
【0168】
反応式中のYはCR6AまたはNであり、R11はC1-6アルキル基であり、R10はハロゲン原子であり、R2、R3、R4、R5およびR6Aは、それぞれ独立して、水素原子または置換基であり、R1は前記と同じ意味を持つ。
化合物(13)は、化合物(10)と化合物(12)の金属触媒存在下でのカップリング反応により製造することができる。
化合物(14)は、化合物(13)の保護基であるR11の脱保護反応により製造することができる。
化合物(II)は、化合物(14)と化合物(15)のアミド化反応により製造することができる。
【0169】
化合物(I)および(II)を製造する際に、原料として用いられる化合物(1)、化合物(2)、化合物(8)、化合物(11)、化合物(12)、化合物(15)、NBS、NIS、ビス(ピナコラト)ジボロン、ポリリン酸は市販品として入手できるか、自体公知の方法に従って製造することができる。
【0170】
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体を含有する場合には、これらも化合物(I)として含有されるとともに、自体公知の合成手法、分離手法によりそれぞれを単品として得ることができる。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、該化合物から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。
【0171】
光学異性体は自体公知の方法により製造することができる。具体的には、光学活性な合成中間体を用いる、または、最終物のラセミ体を常法に従って光学分割することにより光学異性体を得る。
【0172】
光学分割法としては、自体公知の方法、例えば、分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法等が用いられる。
1)分別再結晶法
ラセミ体と光学活性な化合物(例えば、(+)-マンデル酸、(-)-マンデル酸、(+)-酒石酸、(-)-酒石酸、(+)-1-フェネチルアミン、(-)-1-フェネチルアミン、シンコニン、(-)-シンコニジン、ブルシンなど)と塩を形成させ、これを分別再結晶法によって分離し、所望により、中和工程を経てフリーの光学異性体を得る方法。
【0173】
2)キラルカラム法
ラセミ体またはその塩を光学異性体分離用カラム(キラルカラム)にかけて分離する方法。例えば液体クロマトグラフィーの場合、ENANTIO-OVM(トーソー社製)あるいは、ダイセル社製 CHIRALシリーズなどのキラルカラムに光学異性体の混合物を添加し、水、種々の緩衝液(例、リン酸緩衝液)、有機溶媒(例、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、トリフルオロ酢酸、ジエチルアミンなど)を単独あるいは混合した溶液として展開させることにより、光学異性体を分離する。
【0174】
3)ジアステレオマー法
ラセミ体の混合物を光学活性な試薬と化学反応によってジアステレオマーの混合物とし、これを通常の分離手段(例えば、分別再結晶法、クロマトグラフィー法等)などを経て単一物質とした後、加水分解反応などの化学的な処理により光学活性な試薬部位を切り離すことにより光学異性体を得る方法。例えば、化合物(I)が分子内に水酸基または1、2級アミノ基を有する場合、該化合物と光学活性な有機酸(例えば、MTPA〔α-メトキシ-α-(トリフルオロメチル)フェニル酢酸〕、(-)-メントキシ酢酸等)などとを縮合反応に付すことにより、それぞれエステル体またはアミド体のジアステレオマーが得られる。一方、化合物(I)がカルボン酸基を有する場合、該化合物と光学活性アミンまたはアルコール試薬とを縮合反応に付すことにより、それぞれアミド体またはエステル体のジアステレオマーが得られる。分離されたジアステレオマーは、酸加水分解あるいは塩基性加水分解反応に付すことにより、元の化合物の光学異性体に変換される。
【0175】
化合物(I)が遊離化合物として得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法によって、目的とする塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法により、遊離体または目的とする他の塩に変換することができる。
【0176】
化合物(I)はプロドラッグとして用いてもよい。化合物(I)のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素、胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。
【0177】
化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例、化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、t-ブチル化された化合物等);化合物(I)のヒドロキシ基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例、化合物(I)のヒドロキシ基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);化合物(I)のカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例、化合物(I)のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。
また、化合物(I)のプロドラッグは、医薬品の開発,第7巻(分子設計),163-198頁(広川書店)に記載されているような生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
【0178】
化合物(I)は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対して、例えば、
(1)便秘、例えば、神経因性便秘(パーキンソン病、多発性硬化症、脊髄損傷、アルツハイマー病、ヒルシュスプルング症候群、シャーガス病、などの疾患に伴う便秘)、特発性便秘、機能性便秘、弛緩性便秘、便秘型過敏性腸症候群、他の疾患において併発しうる便秘(パーキンソン病、脊髄損傷、多発性硬化症、等)、加齢に伴う便秘、各種薬剤誘発性便秘(オピオイド作動薬誘発便秘など)、原発性慢性便秘、薬剤性便秘(オピオイド、抗コリン剤、カルシウム拮抗薬、抗がん剤、重金属中毒、など)、内分泌疾患や代謝異常(脳下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症、褐色細胞腫、など)、筋異常性疾患(家族性内臓骨格筋萎縮症、強皮症、アミロイドーシス、進行性全身性硬化症、など)、代謝性疾患(糖尿病、ポルフィリン症、尿毒症、低カリウム血症、高カルシウム血症、など)などの基礎疾患に伴う便秘等、
(2)消化器疾患 [例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃麻痺等の胃運動不全、術後胃腸麻痺、上部消化管運動麻痺および不快感、吐気、嘔吐、逆流性食道炎、抗炎症薬(非ステロイド性抗炎症薬)誘発消化管障害、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ストレス性胃腸障害、下痢、術後イレウス]、
(3)精神疾患[例、うつ病、大うつ病、双極性うつ病、気分変調障害、情動障害(季節性情動障害など)、再発性うつ病、産後うつ病、ストレス性障害、うつ症状、躁病、全般性不安障害、不安症候群、パニック障害、恐怖症、社会性恐怖症、社会性不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス症候群、外傷後ストレス障害、トゥレット症候群、自閉症、自閉症スペクトラム症候群、脆弱X症候群、レット症候群、適応障害、双極性障害、神経症、統合失調症(例、陽性症状、陰性症状、認知症状)、統合失調症に伴う認知機能障害、慢性疲労症候群、不安神経症、強迫神経症、てんかん、不安症状、不快精神状態、情緒異常、感情循環気質、神経過敏症、失神、耽溺、性欲低下、注意欠陥多動性障害(ADHD)、精神病性大うつ病、難治性大うつ病、治療抵抗性うつ病]、
(4)神経変性疾患[例、アルツハイマー病、アルツハイマー型老人性認知症、パーキンソン病、認知症を伴うパーキンソン病、ハンチントン病、多発脳梗塞性認知症、前頭側頭認知症、パーキンソン型前頭側頭認知症、進行性核上麻痺、ピック症候群、ニーマン-ピック症候群、大脳皮質基底核変成症、ダウン症、血管性認知症、脳炎後のパーキンソン病、レヴィー小体型認知症、HIV性認知症、筋萎縮性脊髄側索硬化症(ALS)、運動神経原性疾患(MND)、クロイツフェルト・ヤコブ病又はプリオン病、脳性麻痺、多発性硬化症]、
(5)加齢に伴う認知・記憶障害[例、加齢性記憶障害、老人性認知症]、
(6)睡眠障害[例、内在因性睡眠障害(例、精神生理性不眠など)、外在因性睡眠障害、概日リズム障害(例、時間帯域変化症候群(時差ボケ)、交代勤務睡眠障害、不規則型睡眠覚醒パターン、睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、非24時間睡眠覚醒など)、睡眠時随伴症、内科又は精神科障害(例、慢性閉塞性肺疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳血管性認知症、統合失調症、うつ病、不安神経症)に伴う睡眠障害、ストレス性不眠症、不眠症、不眠性神経症、睡眠時無呼吸症候群]、
(7)麻酔薬、外傷性疾患又は神経変性疾患などに起因する呼吸抑制、
(8)外傷性脳損傷、脳卒中、神経性食欲不振、摂食障害、神経性無食欲症、過食症、その他の摂食障害、アルコール依存症、アルコール乱用、アルコール性健忘症、アルコール妄想症、アルコール嗜好性、アルコール離脱、アルコール性精神病、アルコール中毒、アルコール性嫉妬、アルコール性躁病、アルコール依存性精神障害、アルコール精神病、薬物嗜好、薬物恐怖症、薬物狂、薬物離脱、偏頭痛、ストレス性頭痛、緊張性頭痛、糖尿病性ニューロパシー、肥満、糖尿病、筋肉痙攣、メニエール病、自律神経失調症、脱毛症、緑内障、高血圧、心臓病、頻脈、うっ血性心不全、過呼吸、気管支喘息、無呼吸、乳幼児突然死症候群、炎症性疾患、アレルギー疾患、インポテンス、更年期障害、不妊症、癌、HIV感染による免疫不全症候群、ストレスによる免疫不全症候群、脳脊髄膜炎、末端肥大症、メタボリック・シンドローム、骨粗しょう症、失禁、排尿障害、膀胱機能不全、
(9)痛み
等の疾患の予防または治療に用い得る。特に好ましくは、神経因性便秘(パーキンソン病、多発性硬化症、脊髄損傷、アルツハイマー病、ヒルシュスプルング症候群、シャーガス病、などの疾患に伴う便秘)、特発性便秘、機能性便秘、弛緩性便秘、便秘型過敏性腸症候群、他の疾患において併発しうる便秘(パーキンソン病、脊髄損傷、多発性硬化症、等)、加齢に伴う便秘、各種薬剤誘発性便秘(オピオイド作動薬誘発便秘など)、原発性慢性便秘、薬剤性便秘(オピオイド、抗コリン剤、カルシウム拮抗薬、抗がん剤、重金属中毒、など)、内分泌疾患や代謝異常(脳下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症、褐色細胞腫、など)、筋異常性疾患(家族性内臓骨格筋萎縮症、強皮症、アミロイドーシス、進行性全身性硬化症、など)、代謝性疾患(糖尿病、ポルフィリン症、尿毒症、低カリウム血症、高カルシウム血症、など)などの基礎疾患に伴う便秘、等の予防・治療に用い得る。
【0179】
化合物(I)は、コリン作動性ムスカリンM1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター活性を有し得るので、上記疾患に対して優れた予防・治療効果が期待できる。
【0180】
一般に、便秘治療薬は投与後速やかに効果を発揮し、その後、速やかに効果が消失することが望ましい。化合物(I)は、便秘治療薬として優れた薬物動態を示すことが期待され、例えば、投与後3時間以内、好ましくは投与後2時間以内、さらに好ましくは投与後1時間以内に効果を発揮し、その後速やかに効果を消失することが期待できる。
【0181】
また、コリン作動性ムスカリンM1受容体は脳および消化管神経叢に発現していることが知られているところ、化合物(I)は、中枢移行性が低く、末梢において効率的に機能し、便秘治療薬として優れた効果を示すことが期待される。中枢移行性に関しては、例えば、MDR1膜透過性試験におけるMDR1の排出輸送比(Corrected efflux ratio)が、2.0以上であることが好ましく、3.0以上であることがより好ましく、5.0以上であることがさらにより好ましい。
【0182】
化合物(I)は、水、日本薬局方溶出試験第2液、または日本薬局方崩壊試験第2液に対する溶解性に優れること、体内動態(例、血中薬物半減期、代謝安定性、CYP阻害)に優れること、毒性が低いこと(例えば、急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、生殖毒性、心毒性、薬物相互作用、癌原性、光毒性等の点から医薬として、より優れていること)が期待でき、かつ副作用も少ない等の医薬品として優れた性質も有し得るので、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対して、経口的、又は非経口的に安全に投与し得る。「非経口」には、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内、腫瘍内部、腫瘍の近位などへの投与及び直接的な病巣への投与を含む。
【0183】
化合物(I)を含有してなる医薬(本明細書中、「本発明の医薬」と略記する場合がある)は、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、口腔内崩壊フィルムなどの固形製剤、シロップ剤、乳剤、注射剤などの液剤のいずれの形態(製剤の形態)であってもよい。
【0184】
本発明の医薬は、製剤の形態に応じて、例えば、混和、混練、造粒、打錠、コーティング、滅菌処理、乳化などの慣用の方法で製造し得る。なお、製剤の製造に関して、例えば日本薬局方製剤総則の各項などを参照できる。また本発明の医薬は、有効成分と生体内分解性高分子化合物とを含む徐放剤に成形してもよい。該徐放剤の調製は、特開平9-263545号公報に記載の方法に準ずることができる。
【0185】
本発明の医薬において、化合物(I)の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常、製剤全体(医薬全体)に対する化合物(I)の量として0.01~100重量%、好ましくは0.1~50重量%、さらに好ましくは0.5~20重量%程度である。
【0186】
化合物(I)は、そのまま、或いは適宜の薬理学的に許容される担体、例えば、賦形剤(例えば、デンプン、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなど)、結合剤(例えば、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなど)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルクなど)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、タルクなど)、希釈剤(例えば、注射用水、生理食塩水など)、必要に応じて添加剤(例えば、安定剤、保存剤、着色剤、香料、溶解助剤、乳化剤、緩衝剤、等張化剤など)などと常法により混合し、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの固形剤または注射剤などの液剤の形態で経口的または非経口的に投与し得る。また、化合物(I)は局所投与製剤に成形して投与すると関節疾患の患部に直接投与し得る。この場合は、注射剤とするのが好ましい。化合物(I)は局所投与用の非経口剤(例、筋肉内、皮下、臓器、関節部位などへの注射剤、埋め込み剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤、懸濁剤等の液剤、軟膏剤等)などとして投与し得る。
【0187】
例えば、注射剤とするには、化合物(I)を分散剤(例、Tween 80、HCO-60等の界面活性剤、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸等の多糖類、ポリソルベート等)、保存剤(例、メチルパラベン、プロピルパラベン等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖等)、緩衝剤(例、炭酸カルシウム等)、pH調整剤(例、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等)等と共に水性懸濁剤とすることにより実用的な注射用製剤が得られる。また、ゴマ油、コーン油などの植物油あるいはこれにレシチンなどのリン脂質を混合したもの、あるいは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例、ミグリオール812等)と共に分散して油性懸濁剤として実際に使用し得る注射剤とする。
【0188】
化合物(I)の投与量は、投与対象、投与ルート、症状によっても異なり、特に限定されないが、例えば便秘の成人患者(成人、体重40~80kg、例えば60kg)に経口投与する場合、化合物(I)として、例えば1日0.001~1000mg/kg体重、好ましくは1日0.01~100mg/kg体重、さらに好ましくは1日0.1~10mg/kg体重であり得る。この量を1日1回~3回に分けて投与し得る。
【0189】
本発明の医薬は、医薬製剤の製造法として自体公知の方法(例、日本薬局方記載の方法等)に従って、化合物(I)を単独で、又は化合物(I)と薬理学的に許容される担体とを混合した医薬組成物として使用し得る。本発明のる医薬は、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠、舌下錠、口腔内崩壊錠、バッカル錠等を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、トローチ剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁剤、放出制御製剤(例、速放性製剤、徐放性製剤、徐放性マイクロカプセル剤)、エアゾール剤、フィルム剤(例、口腔内崩壊フィルム、口腔粘膜貼付フィルム)、注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、点滴剤、経皮吸収型製剤、軟膏剤、ローション剤、貼付剤、坐剤(例、肛門坐剤、膣坐剤)、ペレット、経鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤等の医薬組成物として、経口的又は非経口的(例、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内、病巣等)に安全に投与し得る。
【0190】
前記の「薬理学的に許容される担体」としては、製剤素材(starting material)として慣用されている各種の有機あるいは無機担体を用い得る。例えば、固形製剤においては、賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤等を用い得る。液状製剤においては、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、及び無痛化剤等を用い得る。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用い得る。
【0191】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
【0192】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
【0193】
結合剤としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
【0194】
崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L-ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0195】
溶剤としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
【0196】
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0197】
懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
【0198】
等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、D-ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトール等が挙げられる。
【0199】
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
【0200】
無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0201】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
【0202】
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α-トコフェロール等が挙げられる。
【0203】
医薬組成物は、剤型、投与方法、担体などにより異なるが、化合物(I)を製剤全量に対して通常0.01~100%(w/w)、好ましくは0.1~95%(w/w)の割合で添加することにより、常法に従って製造し得る。
【0204】
化合物(I)は、他の活性成分(以下、併用薬物と略記する)と併用し得る。
【0205】
併用薬物としては、例えば、以下が挙げられる。
消化管運動改善薬(コリンエステラーゼ阻害薬(ネオスチグミン、フィゾスチグミン等)、5-HT4作動薬、グレリン作動薬(カプロモレリン等)、モチリン受容体作動薬(カミシナル、エリスロマイシン等)、オピオイド拮抗薬(ナルトレキソン、ナロキセゴール等))、消化管水分泌亢進薬(グアニレートサイクラーゼC作動薬(リナクロチド等)、クロライドチャンネル2開口薬(ルビプロストン等)、ナトリウムプロトン交換輸送体3阻害薬(テナパノール等))、抗便秘薬(センノシド、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ビサコジル、ポリカルボフィルカルシウム、糖類下剤(ラクツロース等)、ラキソベロン、抗便秘作用を有する生薬(オオバコ等)等)、ベンゾジアゼピン(クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、クロラゼプ酸カリウム、ロラゼパム、クロナゼパム、アルプラゾラム等)、L-型カルシウムチャネル阻害薬(プレガバリン等)、三環性又は四環性抗うつ薬(塩酸イミプラミン、塩酸アミトリプチリン、塩酸デシプラミン、塩酸クロミプラミン等)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(マレイン酸フルボキサミン、塩酸フロキセチン、臭酸シタロプラム、塩酸セルトラリン、塩酸パロキセチン、シュウ酸エスシタロプラム等)、セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(塩酸ベンラファキシン、塩酸デュロキセチン、塩酸デスベンラファキシン等)、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(メシル酸レボキセチン等)、ノルアドレナリン-ドパミン再取り込み阻害薬(塩酸ブプロピオン等)、ミルタザピン、塩酸トラゾドン、塩酸ネファゾドン、塩酸ブプロピオン、マレイン酸セチプチリン、5-HT1A作動薬(塩酸ブスピロン、クエン酸タンドスピロン、塩酸オセモゾタン等)、5-HT3拮抗薬(シアメマジン等)、心臓選択的ではないβ阻害薬(塩酸プロプラノロール、塩酸オキシプレノロール等)、ヒスタミンH1拮抗薬(塩酸ヒドロキシジン等)、統合失調症治療薬(クロルプロマジン、ハロペリドール、スルピリド、クロザピン、塩酸トリフルオペラジン、塩酸フルフェナジン、オランザピン、フマル酸クエチアピン、リスペリドン、アリピプラゾール等)、CRF拮抗薬、その他の抗不安薬(メプロバメート等)、タキキニン拮抗薬(アプレピタント、サレデュタント等)、代謝型グルタミン酸受容体に作用する薬剤、CCK拮抗薬、β3アドレナリン拮抗薬(塩酸アミベグロン等)、GAT-1阻害薬(塩酸チアガビン等)、N-型カルシウムチャネル阻害薬、2型炭酸脱水素酵素阻害薬、NMDAグリシン部位作動薬、NMDA拮抗薬(メマンチン等)、末梢性ベンゾジアゼピン受容体作動薬、バソプレッシン拮抗薬、バソプレッシンV1b拮抗薬、バソプレッシンV1a拮抗薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、オピオイド作動薬、ウリジン、ニコチン酸受容体作動薬、チロイドホルモン(T3、T4)、TSH、TRH、MAO阻害薬(硫酸フェネルジン、硫酸トラニルシプロミン、モクロベミド等)、5-HT2A拮抗薬、5-HT2A逆作動薬、COMT阻害薬(エンタカポン等)、双極性障害治療薬(炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリジン、リルゾール、フェルバメート等)、カンナビノイドCB1拮抗薬(リモナバント等)、FAAH阻害薬、ナトリウムチャネル阻害薬、抗ADHD薬(塩酸メチルフェニデート、塩酸メタンフェタミン等)、アルコール依存症治療薬、自閉症治療薬、慢性疲労症候群治療薬、痙攣治療薬、線維筋痛症治療薬、頭痛治療薬、不眠症治療薬(エチゾラム、ゾピクロン、トリアゾラム、ゾルピデム、ラメルテオン、インジプロン等)、禁煙のための治療薬、重症筋無力症治療薬、脳梗塞治療薬、躁病治療薬、過眠症治療薬、疼痛治療薬、気分変調症治療薬、自律神経失調症治療薬、男性及び女性の性機能障害治療薬、偏頭痛治療薬、病的賭博治療薬、下肢静止不能症候群治療薬、物質依存症治療薬、アルコール関連症の治療薬、過敏性腸症候群治療薬、アルツハイマー病治療薬(ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン等)、パーキンソン病治療薬(レボドパ、カルビドパ、ベンセラジド、セレギリン、ラサギリン、ゾニサミド、エンタカポン、アマンタジン、タリペキソール、プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチン、アポモルフィン、カベルゴリン、ペルゴリド、ブロモクリプチン、イストラデフィリン、トリヘキシフェニジル、ビペリテン、ピロヘプチン、プロフェナミン、プロメタジン、ドロキシドパ、これらの薬剤の組み合わせ等)、認知症を伴うパーキンソン病治療薬(リバスチグミン)、レヴィー小体型認知症治療薬(ドネペジル)、ALS治療薬(リルゾール、神経栄養因子等)、コレステロール低下薬のような脂質異常症治療薬(スタチンシリーズ(プラバスタチンナトリウム、アトルバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン等)、フィブレート(クロフィブレート等)、スクワレン合成阻害薬)、異常行動治療薬又は認知症による放浪癖の抑制薬(鎮静薬、抗不安薬等)、アポトーシス阻害薬、抗肥満薬、糖尿病治療薬、高血圧治療薬、低血圧治療薬、リューマチ治療薬(DMARD)、抗癌剤、副甲状腺機能低下症治療薬(PTH)、カルシウム受容体拮抗薬、性ホルモン又はその誘導体(プロゲステロン、エストラジオール、安息香酸エストラジオール等)、神経分化促進薬、神経再生促進薬、非ステロイド系抗炎症薬(メロキシカム、テノキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、アスピリン等)、ステロイド(デキサメタゾン、酢酸コルチゾン等)、抗サイトカイン薬(TNF阻害薬、MAPカイネース阻害薬等)、抗体医薬、核酸又は核酸誘導体、アプタマー薬、オピオイド(例、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、ペチジン、コデイン、ジヒドロコデイン、トラマドール、ブプレノルフィン、ペンタゾシン、エプタゾシン、メサドン、タペンタドール、ロペラミド等)など。
【0206】
化合物(I)と併用薬物とを組み合わせることにより、
(1)化合物(I)又は併用薬物を単独で投与する場合に比べて、その投与量を軽減し得る、
(2)患者の症状(軽症、重症など)に応じて、本発明の化合物(I)と併用する薬物を選択し得る、
(3)化合物(I)と作用機序が異なる併用薬物を選択することにより、治療期間を長く設定し得る、
(4)化合物(I)と作用機序が異なる併用薬物を選択することにより、治療効果の持続を図り得る、
(5)化合物(I)と併用薬物とを併用することにより、相乗効果が得られる、等の優れた効果を得られ得る。
【0207】
以下、化合物(I)と併用薬物を併用して使用することを「本発明の併用剤」と称する。
【0208】
本発明の併用剤の使用に際しては、化合物(I)と併用薬物の投与時期は限定されず、化合物(I)又はその医薬組成物と併用薬物又はその医薬組成物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
【0209】
本発明の併用剤の投与形態は、特に限定されず、投与時に、化合物(I)と併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)化合物(I)と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)化合物(I)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)化合物(I)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)化合物(I)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)化合物(I)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、化合物(I);併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。
【0210】
本発明の併用剤は、毒性が低いことが期待でき、例えば、化合物(I)又は(及び)上記併用薬物を公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等として、経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与し得る。注射剤は、静脈内、筋肉内、皮下又は臓器内投与あるいは直接病巣に投与し得る。
【0211】
本発明の併用剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質を用い得る。例えば、固形製剤では、賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤を用い得る。液状製剤では、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等を用い得る。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用い得る。
【0212】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
【0213】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
【0214】
結合剤としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
【0215】
崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L-ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0216】
溶剤としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
【0217】
溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0218】
懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
【0219】
等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、D-ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトール等が挙げられる。
【0220】
緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
【0221】
無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0222】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
【0223】
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α-トコフェロール等が挙げられる。
【0224】
本発明の併用剤における化合物(I)と併用薬物との配合比は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択することができる。
【0225】
例えば、本発明の併用剤における化合物(I)の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01~100重量%、好ましくは約0.1~50重量%、さらに好ましくは約0.5~20重量%程度である。
【0226】
本発明の併用剤における併用薬物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01~100重量%、好ましくは約0.1~50重量%、さらに好ましくは約0.5~20重量%程度である。
【0227】
本発明の併用剤における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1~99.99重量%、好ましくは約10~90重量%程度である。
【0228】
また、化合物(I)及び併用薬物をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
【実施例】
【0229】
本発明は、更に以下の実施例、試験例および製剤例によって詳しく説明されるが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
以下の実施例中の「室温」は通常約10℃ないし約35℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出は、特に言及しない限り、TLC(Thin Layer Chromatography,薄層クロマトグラフィー)による観察下に行った。TLC観察においては、TLCプレートとしてメルク(Merck)社製の60 F254を用い、展開溶媒として、カラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いた溶媒を用いた。また、検出にはUV検出器を採用した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおいて、NHと記載した場合はアミノプロピルシラン結合シリカゲルを、Diolと記載した場合は3-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)プロピルシラン結合シリカゲルを用いた。分取HPLC(高速液体クロマトグラフィー)において、C18と記載した場合はオクタデシル結合シリカゲルを用いた。溶出溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。
1H NMRの解析にはACD/SpecManager(商品名)ソフトウエアなどを用いた。水酸基やアミノ基などのプロトンピークが非常に緩やかなピークについては記載していないことがある。
MSは、LC/MSにより測定した。イオン化法としては、ESI法、または、APCI法を用いた。データは実測値(found)を示す。通常、分子イオンピークが観測されるがフラグメントイオンとして観測されることがある。塩の場合は、通常、フリー体の分子イオンピークもしくはフラグメントイオンピークが観測される。
旋光度([α]D)における試料濃度(c)の単位はg/100 mLである。
元素分析値(Anal.)は計算値(Calcd)と実測値(Found)として示す。
実施例の粉末X線回折によるピークは、線源としてCu Kα線を用い、Ultima IV(Rigaku Corporation,Japan)を使って室温において測定されるピークを意味する。測定条件は以下のとおりである。
Electric pressure/Electric current:40 kV/50 mA
Scan speed:6 degree/min
Scan range of 2 Theta:2-35 degree
実施例の粉末X線回折による結晶化度はHermans法により算出した。
【0230】
以下の実施例においては下記の略号を使用する。
mp:融点
MS:マススペクトル
M:モル濃度
N:規定度
CDCl3:重クロロホルム
DMSO-d6:重ジメチルスルホキシド
1H NMR:プロトン核磁気共鳴
LC/MS:液体クロマトグラフ質量分析計
ESI:electrospray ionization、エレクトロスプレーイオン化
APCI:atmospheric pressure chemical ionization、大気圧化学イオン化
AIBN:2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)
DCM:ジクロロメタン
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DME:1,2-ジメトキシエタン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EtOH:エタノール
HATU:O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸塩
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
MeOH:メタノール
NBS:N-ブロモスクシンイミド
Pd(PPh3)4:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
PdCl2(dppf):[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドPdCl2(dppf)・DCM:[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン錯体
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
WSC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
【0231】
実施例1
1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-[(4-メチル-5-{[4-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル]メチル}-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル)アミノ]-L-threo-ペンチトール
(別名) N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-5-(4-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド
【0232】
A) メチル 2-(2,2-ジメトキシエトキシ)-4-メチルベンゾアート
メチル 2-ヒドロキシ-4-メチルベンゾアート (100.0 g)、2-ブロモ-1,1-ジメトキシエタン (152.5 g)、炭酸カリウム (166.0 g)およびDMF (1 L)の混合物を、100℃で終夜撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル)で精製し、標題化合物 (105 g)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.36 (3H, s), 3.50 (6H, s), 3.86 (3H, s), 4.05 (2H, d, J = 4.88 Hz), 4.75 (1H, t, J = 5.19 Hz), 6.77 (1H, s), 6.80-6.82 (1H, m), 7.72 (1H, d, J = 7.63 Hz).
【0233】
B) メチル 4-メチル-1-ベンゾフラン-7-カルボキシラート
メチル 2-(2,2-ジメトキシエトキシ)-4-メチルベンゾアート (105.0 g)とトルエン (2 L)の混合物にポリリン酸 (48.2 g)を室温で加えた。混合物を120℃で終夜撹拌後、反応液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル)で精製し、標題化合物 (40.0 g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.55 (3H, s), 3.99 (3H, s), 6.82 (1H, d, J = 2.0 Hz), 7.08 (1H, dd, J = 7.6, 0.8 Hz), 7.74 (1H, d, J = 2.0 Hz), 7.87 (1H, d, J = 7.6 Hz).
【0234】
C) メチル 4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボキシラート
メチル 4-メチル-1-ベンゾフラン-7-カルボキシラート(40.0 g)、パラジウム-炭素 (5.6 g)およびMeOH (1120 mL)の混合物を、40 psiの水素雰囲気下、室温で終夜撹拌した。触媒を濾去し、濾液を減圧下濃縮し、標題化合物 (32.0 g)を得た。これ以上の精製は行わず、次の工程に使用した。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.28 (3H, s), 3.13 (2H, t, J = 8.85 Hz), 3.89 (3H, s), 4.73 (2H, t, J = 8.85 Hz), 6.70 (1H, d, J = 7.93 Hz), 7.65 (1H, d, J = 8.24 Hz).
【0235】
D) メチル 5-ブロモ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボキシラート
メチル 4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボキシラート(9.0 g)とアセトニトリル (230 mL)の混合物にNBS (8.66 g)を0℃で加えた。室温で5時間撹拌後、混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を分離し、飽和炭酸ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮し標題化合物 (11 g)を得た。これ以上の精製は行わず、次の工程に使用した。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 2.33 (3H, s), 3.19 (2H, t, J = 8.85 Hz), 3.89 (3H, s), 4.75 (2H, t, J = 8.85 Hz), 7.91 (1H, s).
【0236】
E) 5-ブロモ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボン酸
メチル 5-ブロモ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボキシラート (10.0 g)およびTHF/MeOH (1/1、220 mL)の混合物に、水酸化ナトリウム (2.95 g)および水(37.5 mL)の混合物を加え、室温で1時間撹拌した。混合物を70℃で終夜撹拌後、反応液を減圧下濃縮した。残渣に2M塩酸を加えて酸性にし、0℃で1時間撹拌した。析出した固体を濾取し、水で洗浄後、減圧下で乾燥して標題化合物(7.48 g)を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 2.28 (3H, s), 3.20 (2H, t, J = 8.85 Hz), 4.65 (2H, t, J = 9.00 Hz), 7.70 (1H, s), 12.80 (1H, brs).
【0237】
F) 1,5-アンヒドロ-3-[(5-ブロモ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル)アミノ]-2,3-ジデオキシ-L-threo-ペンチトール
5-ブロモ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボン酸 (8.0 g)およびDMF (80 mL)の混合物に、DIPEA (16.3 mL)およびHATU (17.81 g)を加え、混合物を室温で10分間撹拌した。(3R,4S)-4-アミノテトラヒドロ-2H-ピラン-3-オール 塩酸塩(5.28 g)を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物に氷水を加えて15分間撹拌し、析出物を濾取し、水で洗浄した後、減圧下乾燥した。得られた固体をジエチルエーテルで洗浄後、減圧下乾燥して、標題化合物 (8.0 g)を得た。
MS: [M+H]+ 356.32.
【0238】
G) 1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-{[4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル]アミノ}-L-threo-ペンチトール
1,5-アンヒドロ-3-[(5-ブロモ-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル)アミノ]-2,3-ジデオキシ-L-threo-ペンチトール (8.0 g)と1,4-ジオキサン (80 mL)の混合物にビス(ピナコラト)ジボロン (14.3 g)、酢酸カリウム (6.62 g)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(1.58 g)を加えた。混合物を窒素雰囲気下、90℃で6時間撹拌した。反応液をセライト濾過し、酢酸エチルおよび水で洗浄した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製し、標題化合物 (7.0 g)を得た。
MS: [M+H]+ 404.52.
【0239】
H) 1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-[(4-メチル-5-{[4-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)フェニル]メチル}-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル)アミノ]-L-threo-ペンチトール
(別名) N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-5-(4-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド
1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-{[4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル]アミノ}-L-threo-ペンチトール (130 mg)、4-[4-(ブロモメチル)フェニル]-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール(106 mg)、2M炭酸ナトリウム水溶液 (0.484 mL)、DME (4 mL)およびPdCl2(dppf) (23.59 mg)の混合物を110℃で1時間マイクロウェーブ照射した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(0.1% TFA含有系))で精製した。得られた画分をStratoSpheres SPE (PL-HCO3 MP-Resin)で濾過した後、減圧下濃縮した。得られた固体を酢酸エチル/ヘキサンから結晶化し、標題化合物 (40 mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.46 (1H, dd, J = 12.8, 4.2 Hz), 1.98-2.09 (1H, m), 2.13 (3H, s), 3.06 (1H, dd, J = 10.8, 9.6 Hz), 3.17 (2H, t, J = 8.5 Hz), 3.33-3.38 (1H, m), 3.40-3.48 (1H, m), 3.71-3.84 (3H, m), 3.97 (2H, s), 4.07 (3H, s), 4.73 (2H, t, J = 8.9 Hz), 4.83-5.27 (1H, m), 7.18 (2H, d, J = 7.5 Hz), 7.50 (1H, s), 7.63 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.72 (2H, d, J = 8.3 Hz), 8.44 (1H, s).
【0240】
実施例27
1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-{[5-({3-フルオロ-4-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]フェニル}メチル)-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル]アミノ}-L-threo-ペンチトール
(別名) 5-(3-フルオロ-4-((2-メトキシエチル)カルバモイル)ベンジル)-N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド
【0241】
A) エチル 2-フルオロ-4-メチルベンゾアート
2-フルオロ-4-メチル安息香酸 (15.0 g)とEtOH (250 mL)の混合物に濃硫酸 (15 mL)を室温で加えた。混合物を85℃で 3時間撹拌後、反応液を濃縮した。得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄し、標題化合物 (15.0 g)を得た。
MS: [M+H]+ 183.2.
【0242】
B) エチル 4-(ブロモメチル)-2-フルオロベンゾアート
エチル 2-フルオロ-4-メチルベンゾアート (10.0 g)およびDCM (500 mL)の混合物にNBS (12.7 g)およびAIBN (0.9 g)を室温で加えた。混合物を50℃で16時間撹拌した後、室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル)で精製し、標題化合物 (10.0 g)を得た。
MS: [M+H]+ 261.19.
【0243】
C) 1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-[(5-{[4-(エトキシカルボニル)-3-フルオロフェニル]メチル}-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル)アミノ]-L-threo-ペンチトール
1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-{[4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル]アミノ}-L-threo-ペンチトール (7.0 g)とDME (100 mL)の混合物にエチル 4-(ブロモメチル)-2-フルオロベンゾアート (7.67 g)とPd(PPh3)4(4.0 g)を室温で加えた。混合物を15分間脱気し、脱気した2M炭酸ナトリウム水溶液 (7 mL)を加え、100℃で6時間撹拌した。不溶物をセライト濾過し、酢酸エチルと水で洗浄した。濾液の有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2%DCM/酢酸エチル)で精製し、標題化合物 (5.0 g)を得た。
MS: [M+H]+ 458.52.
【0244】
D) 1,5-アンヒドロ-3-({5-[(4-カルボキシ-3-フルオロフェニル)メチル]-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-L-threo-ペンチトール
1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-[(5-{[4-(エトキシカルボニル)-3-フルオロフェニル]メチル}-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル)アミノ]-L-threo-ペンチトール (5.0 g)、THF (20 mL)およびMeOH (20 mL)の混合物に、2M水酸化ナトリウム水溶液 (5 mL)を加え、室温で4時間撹拌した。反応液を濃縮した後、残渣を1M塩酸で中和し、2%DCM/酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた固体をジエチルエーテルで洗浄し、減圧下乾燥し、標題化合物 (4.0 g)を得た。
MS: [M+H]+ 430.37.
【0245】
E) 1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-{[5-({3-フルオロ-4-[(2-メトキシエチル)カルバモイル]フェニル}メチル)-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル]アミノ}-L-threo-ペンチトール
(別名) 5-(3-フルオロ-4-((2-メトキシエチル)カルバモイル)ベンジル)-N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド
1,5-アンヒドロ-3-({5-[(4-カルボキシ-3-フルオロフェニル)メチル]-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-L-threo-ペンチトール(0.4 g)およびDMF (2 mL)の混合物に、DIPEA (0.5 mL)およびHATU (0.53 g)を加え、反応混合物を室温で10分間撹拌した。2-メトキシエタンアミン (0.21 g)を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物に氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルから結晶化し、更にHPLC(移動相:水/アセトニトリル(5 mM 重炭酸アンモニウム系))で精製し標題化合物 (0.119 g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.44-1.48 (1H, m), 1.98-2.03 (1H, m), 2.11 (3H, s), 3.06 (1H, t, J = 10.2 Hz), 3.17 (2H, t, J = 8.80 Hz), 3.27 (3H, s), 3.34-3.45 (6H, m), 3.75-3.81 (3H, m), 4.01 (2H, s), 4.73 (2H, t, J = 9.05 Hz), 5.06 (1H, d, J = 5.38 Hz), 6.97-7.00 (2H, m), 7.49-7.55 (2H, m), 7.63 (1H, d, J = 6.85 Hz), 8.18 (1H, d, J = 2.93 Hz).
【0246】
実施例28
1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-({5-[(4-{[2-(ジメチルアミノ)-2-オキソエチル]カルバモイル}-3-フルオロフェニル)メチル]-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル}アミノ)-L-threo-ペンチトール
(別名) 5-(4-((2-(ジメチルアミノ)-2-オキソエチル)カルバモイル)-3-フルオロベンジル)-N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド
1,5-アンヒドロ-3-({5-[(4-カルボキシ-3-フルオロフェニル)メチル]-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-L-threo-ペンチトール (0.4 g)およびDMF (2 mL)の混合物に、DIPEA (0.5 mL)およびHATU (0.53 g)を加え、反応混合物を室温で10分間撹拌した。N,N-ジメチルグリシンアミド (0.29 g)を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物に氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をTHFから結晶化し、濾取した結晶をペンタンで洗浄し、減圧下で乾燥して標題化合物(0.220 g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δ1.41-1.51 (1H, m), 1.99-2.03 (1H, m), 2.11 (3H, s), 2.86 (3H, s), 2.98 (3H, s), 3.06 (1H, t, J = 10.2 Hz), 3.17 (2H, t, J = 8.8 Hz), 3.35-3.44 (2H, m), 3.74-3.82 (3H, m), 4.03 (2H, s), 4.12 (2H, s), 4.73 (2H, t, J = 9.05 Hz), 5.07 (1H, brs), 7.01-7.05 (2H, m), 7.50 (1H, brs), 7.63-7.70 (2H, m), 8.09-8.13 (1H, m).
【0247】
実施例29
1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-[(5-{[3-フルオロ-4-({[(2R)-オキソラン-2-イル]メチル}カルバモイル)フェニル]メチル}-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル)アミノ]-L-threo-ペンチトール
(別名) 5-(3-フルオロ-4-((((R)-テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)カルバモイル)ベンジル)-N-((3R,4S)-3-ヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-メチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド
1,5-アンヒドロ-3-({5-[(4-カルボキシ-3-フルオロフェニル)メチル]-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-L-threo-ペンチトール (500 mg)、1-((2R)-テトラヒドロフラン-2-イル)メタンアミン (177 mg)、HOBt (236 mg)およびDMF (10 mL)の混合物にWSC (0.306 mL)を0℃で加え、室温で終夜撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をEtOH/水から結晶化し、標題化合物 (426 mg)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.38-1.52 (1H, m), 1.52-1.63 (1H, m), 1.72-1.94 (3H, m), 1.96-2.05 (1H, m), 2.11 (3H, s), 3.06 (1H, dd, J = 11.0, 9.5 Hz), 3.17 (2H, t, J = 8.7 Hz), 3.23-3.46 (5H, m), 3.54-3.67 (1H, m), 3.70-3.83 (4H, m), 3.94 (1H, quin, J = 6.2 Hz), 4.01 (2H, s), 4.73 (2H, t, J = 9.0 Hz), 5.05 (1H, d, J = 5.9 Hz), 6.93-7.03 (2H, m), 7.47-7.56 (2H, m), 7.63 (1H, d, J = 7.1 Hz), 8.08-8.26 (1H, m).
【0248】
実施例30
1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-[(5-{[3-フルオロ-4-({[(2S)-オキソラン-2-イル]メチル}カルバモイル)フェニル]メチル}-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル)アミノ]-L-threo-ペンチトール
1,5-アンヒドロ-3-({5-[(4-カルボキシ-3-フルオロフェニル)メチル]-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-L-threo-ペンチトール (400 mg)およびDMF (2 mL)の混合物に、DIPEA (0.5 mL)およびHATU (0.53 g)を加え、反応混合物を室温で10分間撹拌した。1-[(2S)-オキソラン-2-イル]メタンアミン (0.38 g)を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物に氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルから結晶化し、濾取した結晶を酢酸エチルおよびペンタンで洗浄し、減圧下で乾燥して標題化合物 (205 mg)を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 1.40-1.50 (1H, m), 1.53-1.62 (1H, m), 1.80-1.82 (3H, m), 1.99-2.04 (1H, m), 2.11 (3H, s), 3.06 (1H, t, J = 10.2 Hz), 3.17 (2H, t, J = 8.70 Hz), 3.27-3.28 (2H, m), 3.34-3.35 (1H, m), 3.41-3.42 (1H, m), 3.61-3.62 (1H, m), 3.74-3.81 (4H, m), 3.93-3.95 (1H, m), 4.01 (2H, s), 4.73 (2H, t, J = 9.31 Hz), 5.06 (1H, d, J = 5.80 Hz), 6.97-7.00 (2H, m), 7.49-7.54 (2H, m), 7.63 (1H, d, J = 7.32 Hz), 8.18-8.19 (1H, m).
【0249】
実施例36
1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-[(4-メチル-5-{[6-(メチルカルバモイル)ピリジン-3-イル]メチル}-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル)アミノ]-L-threo-ペンチトール
【0250】
A) 1,5-アンヒドロ-3-({5-[(6-カルボキシピリジン-3-イル)メチル]-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-L-threo-ペンチトール
1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-{[4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル]アミノ}-L-threo-ペンチトール (2.3 g)と1,4-ジオキサン (50 mL)の混合物にメチル5-(ブロモメチル)ピリジン-2-カルボキシラート (1.45 g)とPdCl2(dppf)・DCM (0.23 g)を加えた。混合物を15分間脱気し、脱気した炭酸ナトリウム(1.73 g)および水 (5 mL)の混合物を加え、120℃で16時間撹拌した。不溶物をセライト濾過し、酢酸エチルと水で洗浄した。濾液の水層を分離し、1M塩酸を加えて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH,10%MeOH/酢酸エチル)で精製し、更にHPLC(L-Column 2 ODS, 移動相:水/アセトニトリル(10 mM 重炭酸アンモニウム系))で精製し、凍結乾燥することにより標題化合物(0.573 g)を得た。
MS: [M+H]+ 413.3.
【0251】
B) 1,5-アンヒドロ-2,3-ジデオキシ-3-[(4-メチル-5-{[6-(メチルカルバモイル)ピリジン-3-イル]メチル}-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル)アミノ]-L-threo-ペンチトール
1,5-アンヒドロ-3-({5-[(6-カルボキシピリジン-3-イル)メチル]-4-メチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-カルボニル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-L-threo-ペンチトール (0.4 g)およびDMF (2 mL)の混合物に、DIPEA (0.55 mL)およびHATU (0.55 g)を加え、反応混合物を室温で10分間撹拌した。2MメチルアミンTHF溶液 (1.45 mL)を加え、室温で16時間撹拌した。反応混合物に氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル)で精製し、得られた固体をジエチルエーテル中で5分間撹拌し、濾取した結晶をジエチルエーテルおよびヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥して標題化合物 (0.114 g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 1.44-1.47 (1H, m), 1.98-2.02 (1H, m), 2.12 (3H, s), 2.80 (3H, d, J = 4.89 Hz), 3.06 (1H, t, J = 10.2 Hz), 3.17 (2H, t, J = 8.56 Hz), 3.34-3.42 (2H, m), 3.74-3.81 (3H, m), 4.07 (2H, s), 4.73 (2H, t, J = 8.80 Hz), 5.05 (1H, d, J = 5.38 Hz), 7.49 (1H, s), 7.59-7.63 (2H, m), 7.93 (1H, d, J = 7.83 Hz), 8.48 (1H, d, J = 1.47 Hz), 8.66-8.68 (1H, m).
【0252】
実施例化合物を以下の表に示す。表中のMSは実測値を示す。上記の実施例に示した方法またはそれらに準じた方法に従って、以下の表中の実施例2~26、31~35の化合物を製造した。
【0253】
【0254】
【0255】
【0256】
【0257】
【0258】
【0259】
【0260】
【0261】
製剤例1
(1)実施例1で得られた化合物 10.0 g
(2)乳糖 60.0 g
(3)コーンスターチ 35.0 g
(4)ゼラチン 3.0 g
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0 g
実施例1で得られた化合物10.0 gと乳糖60.0 gおよびコーンスターチ35.0 gの混合物を、10重量%ゼラチン水溶液30 mL(ゼラチンとして3.0 g)を用い、1 mmメッシュの篩を通して顆粒化した後、40℃で乾燥し再び篩過する。得られた顆粒をステアリン酸マグネシウム2.0 gと混合し、圧縮する。得られた中心錠を、蔗糖、二酸化チタン、タルクおよびアラビアゴムの水懸濁液による糖衣でコーティングする。コーティングが施された錠剤をミツロウで艶出して1000錠のコート錠を得る。
【0262】
製剤例2
(1)実施例1で得られた化合物 10.0 g
(2)乳糖 70.0 g
(3)コーンスターチ 50.0 g
(4)可溶性デンプン 7.0 g
(5)ステアリン酸マグネシウム 3.0 g
実施例1で得られた化合物10.0 gとステアリン酸マグネシウム3.0 gを可溶性デンプンの水溶液70 mL(可溶性デンプンとして7.0 g)で顆粒化した後、乾燥し、乳糖70.0 gおよびコーンスターチ50.0 gと混合する。混合物を圧縮して1000錠の錠剤を得る。
【0263】
試験例1
M1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター(M1PAM)活性の測定
最大活性の約20%の作用を与えるEC20濃度のアセチルコリン存在下での被検化合物の活性をPAM活性として測定した。その方法は以下のとおりである。384ウェル白色プレート(グライナー)に、80nM アセチルコリンを含む0.1%脂肪酸不含BSAを含むIP1 Stimulation buffer(CisBio)で希釈した被検化合物を4μL添加した。ヒトM1受容体(hCHRM1)を安定発現させたCHO-K1細胞のフリーズストックを0.1%脂肪酸不含BSAを含むIP1 Stimulation buffer(CisBio)で調製し、4μL (10,000個/ウェル)添加し、37℃、5% CO2インキュベーター内で1時間培養した。4μL のIP1-d2およびAnti-IP1-cryptate Tb conjugateを含む溶液(CisBio)を添加し、室温で1時間インキュベートし、Envisionプレートリーダー(パーキンエルマー)で時間分解蛍光シグナルを測定した。最終濃度が20 μMのアセチルコリンを添加した際の値を100%、アセチルコリン無添加条件下で被検化合物の代わりにDMSOを添加した場合の値を0%と定義して被検化合物の活性(%)を算出し、被検化合物の濃度依存曲線の50%の値としてのEC50値を算出した。結果を表2に示す。
【0264】
【0265】
試験例2
ラット排便実験
雄性SDラット(5-6週令)を約1週間の馴化期間後、使用した。0.5%メチルセルロース溶液に懸濁した被検薬物(1 mg/kgもしくは3 mg/kg)を5 mL/kgの容量で経口投与し、2時間後の排便数をカウントした。なお、溶媒投与群には、0.5%メチルセルロースのみを投与した。
結果を表3に示す。結果は、平均値±標準誤差として表記した。
【0266】
【0267】
試験例3
ラットPK試験
ラットは8 週齢の雄性SDラット(日本エスエルシー)を使用した。食餌は固形の市販食(CE-2、日本クレア)を、飲水は水道水を、自由摂取とした。ラットの静脈内投与液は被験化合物を秤量し、ジメチルアセトアミド(DMA)(和光純薬工業)に溶解後、同容量の1,3-ブタンジオール(和光純薬工業)を加えて攪拌および混合し、DMA:1,3-ブタンジオール(1:1、v/v)溶液となるように調製した。経口投与液は被験化合物を秤量し、メノウ乳鉢で粉砕後、0.5 w/v%メチルセルロース水溶液を徐々に加えながら、懸濁液として調製した。静脈内投与は、ラットには0.1 mg/0.5 mL/kg(塩はフリー体に換算)を大腿静脈内に行った。経口投与は、ラットには1 mg/5 mL/kg(塩はフリー体に換算)を投与した。両投与経路共に、カセットドージング法を用いて、下記の要領で被検化合物を投与した。
実施例1の化合物(静脈内:10化合物カセット投与、経口:5化合物カセット投与)
実施例27の化合物(静脈内:10化合物カセット投与、経口:5化合物カセット投与)
実施例28の化合物(静脈内:10化合物カセット投与、経口:5化合物カセット投与)
実施例29の化合物(静脈内:10化合物カセット投与、経口:5化合物カセット投与)
静脈内投与時の採血は、投与後5、10、15、30分、1、2、4、8時間に尾静脈より行い、ヘパリンナトリウム(清水製薬)抗凝固処理し、遠心分離後に血漿を採取し、薬物濃度測定に供した。経口投与時の採血は、投与後15、30 分、1、2、4、8時間に尾静脈より行い、ヘパリンナトリウム抗凝固処理し遠心分離後に血漿を採取し、薬物濃度測定に供した。
すべての薬物濃度測定は、LC-MS/MSによる分析を行った。薬物動態試験時の血漿は、その50 μL をチューブにとり、内標準溶液入りアセトニトリル150 μLを加え、ボルテックスミキサーで混合した。その後、遠心分離(5000 rpm、5 min、4℃)した。予め添加した10 mmol/L ギ酸アンモニウム160 μLに、遠心分離後の上清60 μLを添加して混合する。このサンプルをLC/MS/MS に注入した。HPLC システムはShimadzu LC-20A(島津製作所)を用い、カラムはUnison UK-C18 HT (3.0 μm, 2.0 × 20 mm、Imtakt)を50℃にて使用し、移動相Aとして10 mmol/L ギ酸アンモニウム、0.2% ギ酸、移動相Bとしてアセトニトリル、0.2% ギ酸を流速1.2 mL/min でグラジエント条件(B濃度:0min→0.1min、5%、0.1→0.75min、5-99%、0.75→1.15min、99%、1.15→1.16min、5%、1.16→1.5min、5%)で送液した。MS/MS はAB Sciex TQ5500-MPX (Applied Biosystems)を使用した。
結果を表4に示す。
Tmax:最高血中濃度到達時間
MRT:平均滞留時間
iv:静脈内投与
CL total:全身クリアランス
【0268】
【0269】
試験例4
MDR1膜透過性試験
極性細胞であるLLC-PK1細胞にMDR1を過剰に発現させると、MDR1は頂側膜(A)に局在することにより基底膜側(B)からA方向への経細胞輸送が促進される。その反対方向の経細胞輸送との比をとり、さらにmock vectorを導入したコントロール細胞との比をとると、単純拡散に対するMDR1の排出輸送比(corrected efflux ratio)が計算される。同様に、Mdr1(-/-)マウスでの脳/血漿濃度比を野生型マウスでの脳/血漿濃度比で除すと、血液脳関門(Blood-brain barrier: BBB)での単純拡散に対するMdr1による排出輸送比(Kp,brain ratio、高値を示すほど、中枢移行性は低くなる)が計算される。Adachi Y.ら(参考文献1)はcorrected efflux ratioとKp,brain ratio(Fig. 5(C))、単にMDR1発現細胞でのefflux ratioとKp,brain ratio(Fig. 5(B))の間に正の相関を示すことを報告している。つまり、vitroでのMDR1の排出輸送比が高いほど中枢移行性は低くなることを示している。
【0270】
本発明化合物の中枢移行性を確認するために、以下の方法によりMDR1膜透過性試験を行った。
Digoxin、およびlucifer yellow (LY) はSigma-Aldrichより、Diclofenac、colchicine、およびalprenololは和光純薬工業より購入し、その他の試薬は特級グレードの市販品を使用した。
ヒトMDR1発現LLC-PK1細胞の培養は竹内らの報告(参考文献2)に従って実施した。ヒトMDR1発現LLC-PK1細胞は10% fetal bovine serum (Invitrogen)、500 μg/ml G418 (Invitrogen)、150 ng/ml colchicineが含有されたM199培地(Invitrogen)で5% CO2条件下、37℃で培養した。
経細胞輸送は杉本らの報告(参考文献3)に従って実施した。細胞は3.45 × 104cells/wellで播種したpolyethylene terephthalate membraneを有したHTS Transwell(登録商標) 96 well permeable support (pore size 0.4 μm, 0.143 cm2surface area, Corning Life Sciences)上で3日間培養した。M199培地(10 mmol/L HEPES、1% BSA含有、pH 7.4)で30分プレーンキュベーションした後に、M199培地に溶解した薬液(10 μmol/L digoxin、200 μmol/L LY、10 μmol/L被検化合物)をTranswellのapical側あるいはbasolateral側に各々75あるいは250 μL添加し5% CO2条件下37℃で培養した。1時間後に薬液を添加した反対側から試料を採取し、被検化合物濃度をLC-MS/MSを用いて測定した。内部標準物質として100 ng/mL alprenololおよびdiclofenacを用いた。分析条件は下記の通りである。
LC: UFLC LC-20 (Shimadzu)
MS/MS: API4000 (AB Sciex Instruments)
LC条件: グラジエント法
【0271】
【0272】
カラム: Unison UK-C18 HT (3.0 μm, 2.0 × 20 mm)
カラム温度: 50℃
流速: 0.7 mL/min (for 1.5 min run), 1.0 mL/min (for 1.0 min run)
移動相A: 50 mM CH3COONH4:MeCN:water = 1:1:8
移動相B: 50 mM CH3COONH4:MeCN = 1:9
注入量: 1-20 μL
【0273】
LYは蛍光プレートリーダー(Fluoroskan Ascent FL)を用いて測定した。
Papp,AtoBならびにPapp,BtoA(見かけの透過速度)は式(1)より算出し、efflux ratio(排出比、ER)は式(2)より算出した。
【0274】
【0275】
Amount:輸送されたdigoxinの量/well
Area:細胞monolayerの表面積(0.143 cm2)
C0:添加した薬液の濃度
Time:インキュベート時間
【0276】
【0277】
結果を表6に示す。
【0278】
【0279】
試験例5
マウス排便実験
雄性ICRマウス(6-7週令)を約1週間の馴化期間後、使用した。0.5%メチルセルロース溶液に懸濁した被検薬物(1 mg/kgまたは3 mg/kg)を10 mL/kgの容量で経口投与し、2時間後の排便数をカウントした。なお、溶媒投与群には、0.5%メチルセルロースのみを投与した。
結果を表7に示す。結果は、平均値±標準誤差として表記した。
【0280】
【0281】
参考文献
1. Adachi Y. et al., Comparative studies on in vitro methods for evaluating in vivo function of MDR1 P-glycoprotein, Pharm. Res. 18:1660-1668, 2001
2. Takeuchi T., Yoshitomi S., Higuchi T., Ikemoto K., Niwa S., Ebihara T., Katoh M., Yokoi T. and Asahi S., Establishment and characterization of the transformants stably-expressing MDR1 derived from various animal species in LLC-PK1, Pharm. Res., 23(7):1460-1472, 2006
3. Sugimoto H., Hirabayashi H., Kimura Y., Furuta A., Amano N. and Moriwaki T., Quantitative investigation of the impact of P-glycoprotein inhibition on drug transport across blood-brain barrier in rats, Drug Metab. Dispos., 39(1):8-14, 2011
【産業上の利用可能性】
【0282】
本発明の化合物は、コリン作動性ムスカリンM1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター活性を有し得、便秘等の予防または治療剤等の医薬として有用であり得る。
【0283】
本出願は、日本で出願された特願2018-184969を基礎としており、その内容は参照により本明細書にすべて包含されるものである。