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特許7443430リアルタイムの力および膜応力制御を備えた基板支持体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-26
(45)【発行日】2024-03-05
(54)【発明の名称】リアルタイムの力および膜応力制御を備えた基板支持体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240227BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240227BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240227BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240227BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20240227BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L21/205
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
C23C14/50 Z
C23C16/458
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022116938
(22)【出願日】2022-07-22
(62)【分割の表示】P 2021075947の分割
【原出願日】2016-08-01
(65)【公開番号】P2022159321
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】14/852,485
(32)【優先日】2015-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ボイド ウェンデル グレン ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ラジ ゴヴィンダ
(72)【発明者】
【氏名】ブッシェ マシュー ジェイムズ
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-283608(JP,A)
【文献】特表2008-539598(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0048676(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/3065
C23C 14/50
C23C 16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持体上に配置された基板を処理する方法であって、
基板を基板支持体にチャッキングすることと、
前記基板支持体の裏側ガス孔内に配置されたセンサを用いて前記基板に加わるチャッキング力を監視することであって、前記センサが、
前記ガス孔内に配置されている、かつ加工品支持面に配置された加工品の撓みを示す測定値を検出するように構成されているセンサアセンブリであって、前記ガス孔内に位置するときに、ガスが前記センサアセンブリを通り越して流れることができるように構成される、センサアセンブリを含む、ことと、
前記裏側ガス孔を通して前記センサを通り越してガスを流すことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記センサアセンブリが、
多孔性センサハウジングと、
前記センサハウジング内に配置されたセンサと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサを用いて、前記基板支持体上に配置された前記基板の撓みを測定することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板の前記測定された撓みに基づいて、前記基板に加わる前記チャッキング力を調整することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基板に加わる前記チャッキング力を調整することが、クランプ電圧を調整することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基板に加わる前記チャッキング力を調整することが、クランプ圧を調整することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記撓みが、前記基板に加わる目標クランプ力を維持するようにリアルタイムで測定される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記裏側ガス孔を通して前記ガスを流すことが、前記センサアセンブリ内の1つまたは複数の孔を通してガスを流すことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記チャッキングされた基板に対してプロセスを実行することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
基板支持体上に配置された基板に加わるクランプ力を調整する方法であって、
基板支持体上に配置された基板に加わるチャッキング力を監視することであって、前記チャッキング力が、前記基板支持体の裏側ガス供給孔内に配置されたセンサを用いて監視される、ことと、
前記センサを用いて、前記基板支持体上に配置された前記基板の撓みをリアルタイムで測定することと、
前記基板の前記測定された撓みに基づいて、前記基板に加わる前記チャッキング力を調整することと
を含む、方法。
【請求項11】
前記基板に加わる前記チャッキング力を調整することが、クランプ電圧を調整することによって前記クランプ力を調整することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基板に加わる前記チャッキング力を調整することが、クランプ真空圧を調整することによって前記クランプ力を調整することを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は一般に、超小型電子デバイスを製作するための処理チャンバ内で使用される基板支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
高精度の製造、たとえば半導体製造においては、均一品質を向上し欠陥を減らすために、製造作業中に加工品が固定具によって正確に保持される必要がある。一部の製造作業においては、加工品を支持構造体に押し当てて保持するための固定具として基板支持体が使用されることがある。静電力もしくは他の力(クランプ力)がしばしば、1つまたは複数の製造作業中に加工品を基板支持体の加工品支持面に正確に保持するために使用される。
高精度の製造作業において加工品は、欠陥を減らすために可能な限り小さいクランプ力によって保持され、加工品支持面との接触が最小限でなければならない。しかし、加工品に施される、チャッキング力を変えることのある表面処理、基板支持体の支持面の摩耗および汚染などの製造変動性の故に、また他の環境的影響の故に、製造要員はしばしば、上述の変動性、およびこれらの変動性のチャッキング力に対する影響を阻止するために、ある安全係数を得るための目標クランプ力を増加させて十分なクランプ力が加わることを確保することになる。
半導体製造業界で使用される大多数の基板支持体では、必要とされるよりも大きいクランプ力をかけること、すなわちオーバチャッキングが多い。オーバチャッキングにより、たとえば、加工品の裏側に穴が生じる、基板支持体の部品が加工品にめり込む、加工品における膜応力が増加する、かつ/または加工品の処理面の品質問題を引き起こすおそれのある微粒子が生じることによって、加工品が損傷することになる。加えて、加工品の振動と共に、加工品の異なるゾーンにおける不均衡なチャッキング力により、不定の歩留まりに関連した問題が生じる。
オーバチャッキング問題を減少させるための従来の手法には、クランプ力がかけられる前に、クランプ力に影響を及ぼし得る加工品の電位を測定することが含まれる。その場合、従来の手法では、測定された電位を、クランプ中の加工品の電位を補償するためのアルゴリズムに利用して、最小限のクランプ力を決定し、加える。しかし、従来手法の方法を用いても、加工品はなおしばしばオーバチャックされることがあり、その結果なお損傷を受ける。製造許容値がますます厳しくなり、コストを低減する必要性がより重要になるにつれて、より広い範囲の製造変動性に対処するためのより一定の、予測可能なクランプ力が得られる新規の手法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、基板支持体の改善が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示された実施形態は、センサアセンブリを有する基板支持体と、センサアセンブリを有する処理チャンバとを含む。一実施形態では、基板支持体がパックを有する。パックは、加工品支持面と、加工品支持面を出るガス孔とを有する。センサアセンブリが、ガス孔内に配置されると共に、加工品支持面に配置された加工品の撓みを示すメトリックを検出するように構成され、このセンサアセンブリは、ガス孔内に位置するときに、ガスがセンサアセンブリを通り越して流れることができるように構成される。
別の実施形態では、処理チャンバが内部チャンバ容積を有する。基板支持体が、この内部チャンバ容積内に配置される。基板支持体はパックを有する。パックは、加工品支持面と、加工品支持面を出るガス孔とを有する。センサアセンブリが、ガス孔内に配置されると共に、加工品支持面に配置された加工品の撓みを示すメトリックを検出するように構成され、このセンサアセンブリは、ガス孔内に位置するときに、ガスがセンサアセンブリを通り越して流れることができるように構成される。
【0005】
さらに別の実施形態では、基板支持体がパックを有する。パックは、加工品支持面と、パック内に配置されたリフトピンとを有する。センサアセンブリが、リフトピン内に配置されると共に、加工品支持面に配置された加工品の撓みを示すメトリックを検出するように構成される。
さらなる特徴および利点が、以下の「発明を実施するための形態」で論述され、一部は、その説明により当業者には容易に明らかになり、あるいは、以下の「発明を実施するための形態」、特許請求の範囲、および添付の図面を含めて、本明細書に記載の実施形態を実践することによって理解されよう。
上記の一般的な説明も以下の詳細な説明も、例示的なものにすぎず、特許請求の範囲の性質および特性を理解するための概要または枠組みを与えるものであることを理解されたい。添付の図面は、さらなる理解が得られるように含まれており、また本明細書に組み込まれ、その一部を構成している。図面は1つまたは複数の実施形態を示し、明細書と共に様々な実施形態の原理および動作を説明する役割を果たす。
【0006】
本発明の実施形態の上記に列挙された特徴が細部にわたり理解できるように、上で簡潔に要約された本発明の実施形態について、添付の図面にその一部が示されている実施形態を参照することによって、より具体的な説明が得られよう。しかし、本発明の実施形態では、その他の同様に効果的な実施形態も認めることができるので、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を示すにすぎず、したがって、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきでないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】基板支持体が組み込まれている例示的なプラズマ処理チャンバの概略側面図である。
図2】センサアセンブリが裏側ガス貫通孔内に取り付けられている基板支持体の部分断面等角図である。
図3】裏側ガス貫通孔内のセンサアセンブリと制御システムの間の垂直連結部を描く断面等角図である。
図4A】センサハウジングの分割プレートの等角図である。
図4B】分割プレートの平面図である。
図5】センサハウジングの取付けヘッドの断面斜視図である。
図6】加工品が上に配置されている基板支持体の部分断面図である。
図7A】センサアセンブリの様々な場所を示す基板支持体の上面図である。
図7B】センサアセンブリの様々な場所を示す基板支持体の上面図である。
図7C】センサアセンブリの様々な場所を示す基板支持体の上面図である。
図7D】センサアセンブリの様々な場所を示す基板支持体の上面図である。
図8】センサアセンブリがリフトピン内に取り付けられている基板支持体の部分断面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、添付の図面にその例が図示されている実施形態を詳細に参照する。図面には、実施形態の全部ではなく一部が示されている。実のところ、その概念は多くの異なる形で具現化することができ、本明細書において限定するものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が当該の法的要件を満たすように提示されている。可能なときにはいつも、同様の参照番号が同様の構成要素または部品を指示するのに使用される。
本明細書で開示される実施形態には、1つまたは複数のセンサハウジングおよび撓みセンサを含むセンサアセンブリが含まれる。このセンサアセンブリは、静電チャック、台座、真空チャック、ヒータ、または他の、処理中に加工品を処理チャンバ内で保持するのに適しているアセンブリなどの基板支持アセンブリ内に配置されるように構成される。たとえば、センサアセンブリは、基板支持アセンブリの既存の裏側ガス送出孔の中に配置することができる。撓みセンサは、基板支持アセンブリ上に配置された、加工品にかかるクランプ力または他の力によって撓む加工品、すなわち半導体ウエハまたは基板などの、撓みのリアルタイム測定値を提供することができる。撓みセンサを使用して基板支持アセンブリ上の加工品の撓みを決定することによって、制御システムが、その測定された加工品の撓みを用いて、加工品にかかる力を決定することができる。制御システムは、撓みセンサからの情報を利用して加工品にかかるクランプ力を修正し、目標クランプ力を維持する。こうして、このクランプ力により加工品が基板支持アセンブリに固定され、製造作業中の過剰なクランプ力による加工品の不要な過度の撓みから生じる基板損傷が防止され得る。
【0009】
図1は、センサアセンブリ190の一実施形態を示す。図1は、基板支持アセンブリ170が組み込まれている例示的なプラズマ処理チャンバ100の概略図を示す。基板支持アセンブリ170は、その中にセンサアセンブリ190が配置されている。一実施形態では、プラズマ処理チャンバ100は、スパッタエッチ処理チャンバまたはプラズマエッチシステムである。しかし、物理的気相成長(すなわち、スパッタリング)チャンバ、化学的気相成長チャンバ、または他の真空処理チャンバなど、他のタイプの処理チャンバもまた、本明細書に記載の実施形態を実践するのに使用されてよい。
処理チャンバ100は、たとえばシリコンウエハである基板などの加工品101の処理中に、チャンバ内部容積120内の減圧を維持するように適切に適合させることができる真空チャンバである。処理チャンバ100は、底面126を有するチャンバ本体106を含み、チャンバ内部容積120を密閉する蓋104によって覆われる。チャンバ本体106および蓋104は、アルミニウムなどの金属、または他の適切な材料で作ることができる。
【0010】
処理チャンバ100は、処理チャンバ100をポンプダウンし排気するために使用されるスロットルバルブ(図示せず)、および真空ポンプ(図示せず)を含む真空システム114と結合され、流体連結している。処理チャンバ100の内部の圧力は、スロットルバルブおよび/または真空ポンプを調整することによって調節することができる。処理チャンバ100はまた、アルゴン、酸素、塩素、または他の、加工品101を処理するのに適切なガスなど、1つまたは複数の処理ガスを処理チャンバ100へ供給できる処理ガス供給源118と結合され、流体連結している。
【0011】
RFプラズマ電源117は、プロセスガスにエネルギーを与えて、加工品101を処理するためのプラズマ102を維持することができる。基板支持アセンブリ170は、加工品101を偏らせて、そこにイオンをプラズマ102から引き寄せてもよい。塩素などの処理ガスは、処理ガス供給源118から処理チャンバ100の中に導入され、ガス圧は、プラズマ点火のプリセット値に調整される。プラズマ102は、RF電力が送出されると容量性結合によってチャンバ内部容積120内で点火される。RF整合部(図示せず)を調整またはプリセットして、RFプラズマ電源117からプラズマ102への電力伝達の効率を改善することができる。
【0012】
チャンバ内部容積120内に、基板支持アセンブリ170が配置される。基板支持アセンブリ170は加工品支持面172を有し、その上には加工品101が処理の間中載っている。基板支持アセンブリ170は、真空チャック、静電チャック、サセプタ、ヒータ、または他の、処理中に加工品101を処理チャンバ100内に支持するのに適している、基板支持体を含むことができる。
一実施形態では、基板支持アセンブリ170は静電チャック122を含む。基板支持アセンブリ170はさらに、冷却プレート151および支持ベース152を含むことができる。支持ベース152は、支持体ハウジング149、ベローズアセンブリ110、および支持軸112を含むことができる。支持軸112は、図示の上方の処理位置と下方の加工品移送位置(図示せず)の間で基板支持アセンブリ170の垂直移動を行うことができるリフト機構113と結合することができる。ベローズアセンブリ110は、支持軸112のまわりに配置することができ、支持ベース152と処理チャンバ100の底面126との間に結合されて、処理チャンバ100の内部から真空が失われることを防止しながら基板支持アセンブリ170の垂直の動きを可能にする可撓性シールを提供することができる。
基板支持アセンブリ170上に配置された加工品101の温度調節が、冷却プレート151内に配置されている複数の冷却チャネル160によって容易になり得る。冷却チャネル160は流体供給源142と結合され、流体連結しており、この流体供給源は、水などの冷媒流体を供給するが、任意の適切な、ガスまたは液体である冷媒流体が使用されてよい。
【0013】
基板支持アセンブリ170は、ロボット(図示せず)により処理チャンバ100に出し入れする移送の間中、加工品101を加工品支持面172の上に間隔をあけて支持するための基板リフト130を含むことができる。基板リフト130は、軸111に連結されたプラットフォーム108と整合されたリフトピン109を含むことができる。一実施形態では、リフトピン109は、図8に示された細長い中空本体を有する。基板支持アセンブリ170は、リフトピン109が持ち上げられた位置にあるときに、たとえば加工品101を支持しているときに、リフトピン109を受け入れて通すための貫通孔(図示せず)を含むことができる。基板リフト130は、加工品101のロボット移送を容易にするためにリフトピン109を貫通孔から延ばして加工品支持面172の上方の位置に加工品101を支持する、第2のリフト機構132に結合される。基板リフト130はさらに、リフトピン109を加工品支持面172の下に降下させて、加工品101を加工品支持面172に置く。
【0014】
静電チャック122はパック150を含む。パック150は、加熱素子を含むことができる。パック150、冷却プレート151、および/または静電チャック122の他の構成要素の温度は、1つまたは複数の温度監視装置に結合された熱電対などの1つまたは複数の温度センサ(図示せず)を使用して監視することができる。一例では、パック150は、温度監視用の少なくとも1つの熱電対に結合される。
【0015】
パック150は、加工品101を支持しチャッキングする、すなわちクランプ力(Fc)を加工品101にかける。パック150は、クランプ力(Fc)を発生させるために電極134が中に埋め込まれている、電気絶縁用パックベース162を含むことができる。電極134は、DC電源などのチャック電源140に電気的に接続される。電極134は、加工品101をパック150の加工品支持面172にチャッキングするためのクランプ力(Fc)を提供する。電極134は、金属または金属合金などの任意の適切な導電性材料で作ることができる。電極134への電力は、チャック電源140に結合された制御システム194によって制御することができる。一例では、パック150は、加工品101をチャッキングするための1つの電極134を含む。電極134は、パックベース162の中に配置された薄い円板または細い線でよい。別の例では、パック150は、加工品101をチャッキングするための2つ以上の電極134を含む。電極134はそれぞれ、互いに独立して動作できる薄い半円形または「D」形のプレートでよい。しかし、1つまたは複数の電極134は、環、くさび、細片などを含んでよい、任意の適切な形状を有することができる。
【0016】
メサ168および凹部164が、パックベース162の加工品支持面172に配置される。加工品支持面172はさらに、1つまたは複数の溝およびチャネル、または他の幾何形状を含むことができる。加工品101は、メサ168の上に支持し、凹部164の上方に持ち上げることができる。凹部164は、ガス供給源141と流体連結して、裏側ガスなどの流体を各メサ168の間に供給することができる。裏側ガスは、ガス供給源141から凹部164まで、パック150に形成された1つまたは複数の裏側ガス送出孔198を通して送出することができる。裏側ガスは、パック150と加工品101の間の熱伝達速度を調節する助けとするために、加工品101とパック150の間に流れることができる。一例では、裏側ガスは、アルゴンなどの不活性ガスを含むことができる。
【0017】
センサアセンブリ190は、パック150の中に形成された、裏側ガス送出孔198などの貫通孔の中に配置されてよい。あるいは、図8に示されるように、細長い本体832を有するリフトピン809が、細長い本体832の空洞820内に配置されたセンサアセンブリ896を有することができる。リフトピン809はヘッド834を有し、このヘッドは、その上の基板に接触し、それを支持するように構成される。センサアセンブリ896は、リフトピン809のヘッド834の近くに配置される。空洞820は、細長い本体832の全長に延びることができる。あるいは、空洞820は、センサアセンブリ190がヘッド834から突出してヘッド834上に配置された基板に接触することなく、センサアセンブリ190を空洞820内に支持するのに十分な距離だけ、ヘッド834から細長い本体に沿って延びることができる。センサアセンブリ896は、実質的にセンサアセンブリ190と類似しており、センサ280を含み、センサアセンブリ190の1つまたは複数の他の構成要素をさらに含むこともできる。さらに別の実施形態では、センサアセンブリ190は、凹部164の中、または他の適切な場所に取り付けられてよい。センサアセンブリ190は、多孔性であり、裏側ガスなどの流体が横切って通り抜けることができる。たとえば、センサアセンブリ190は、流体がセンサアセンブリ190を通過できるようにする通路を有することができる。
【0018】
センサアセンブリ190は、制御システム194と通信することができる。センサアセンブリ190は、加工品支持面172上の加工品101の撓みを測定する。コントローラ192は、センサアセンブリ190によって測定された撓みに基づいて、加工品101にかかっているクランプ力Fcを決定する。こうして、コントローラ192は、チャック電源140から電極134に供給されるクランプ電圧Vcを調整することによって、所望のクランプ力Fcを維持するようにクランプ力Fcを調整することができる。実際のクランプ力の(センサアセンブリ190を介した)リアルタイム監視、および電極134に供給される電力のリアルタイム調整により所望のクランプ力Fcを維持することによって、静電チャック122から受ける加工品101の損傷を従来のチャッキング技法と比較して減らすことができる。
【0019】
センサアセンブリ190は、図1のパック150の中に取り付けられて示されているが、有利なことに、センサアセンブリ190を取り付けるための同様の構成は、部材の撓みをナノメートル単位で、またはマイクロメートルレベルで測定することが必要とされる他の製品に拡張することができる。しかし、センサアセンブリ190およびその利点についての以下の議論では、上述のパック150に関して論じる。たとえば、パック150の動作パラメータは、センサアセンブリ190から供給されるデータに依拠するフィードバックループを用いて有利に制御することができる。センサアセンブリ190による撓みの測定は、膜応力を緩和し加工品101の平面を維持して、処理中に加工品101上に形成される膜層のばらつきおよび欠陥を減らすために、加工品101に作用する振動および力をさらに計算することに拡張することができる。
【0020】
図2は、センサアセンブリ190が裏側ガス送出孔198の中に取り付けられている図1に示された静電チャック122の部分断面図である。加工品支持面172に垂直な垂直線298が与えられている。垂直線298は説明的なものにすぎず、裏側ガス送出孔198、またはパック150内の他の孔には必ずしも存在しない。パック150内でセンサアセンブリが中に取り付けられる孔の形状は、円形孔に限定されない。孔は、レーザドリルまたは機械加工であける、または別の方法で形成することができる。
裏側ガス通路218は、裏側ガス送出孔198と、裏側ガスをパック150の加工品支持面172へ供給するために裏側ガス送出孔に連結された移行導管210とを含むことができる。裏側ガス送出孔198内に配置されたセンサアセンブリ190が制御システム194に配線される実施形態では、センサアセンブリ190と制御システム194の間の通信結線284が、裏側ガス通路218を少なくとも一部は通って横切っていくことができる。図8に示される、センサアセンブリ896がリフトピン809の空洞820内に配置され、制御システム194に配線される実施形態では、センサアセンブリ896と制御システム194の間の通信結線884が、静電チャック122内のリフトピン孔を少なくとも一部は通って横切っていくことができる。
【0021】
図3を簡単に参照すると、図3は、裏側ガス送出孔198内のセンサアセンブリ190とコントローラ192の間の垂直連結部300を描く断面図である。移行導管210は、T字形連結部310と結合することができる。あるいは、かなりの大きさの導管、または裏側ガス通路218を維持するための他の適切な手段が、移行導管210とT字形連結部310の間に結合されてよい。T字形連結部は、水平通路320の1つの開口322(第3の開口)、および垂直通路330の2つの開口332、334(それぞれ第1の開口および第2の開口)と共に示されているが、T字形連結部310は、第2の開口が水平通路にあり、また1つだけの開口が垂直通路にあるように、90度ほど回転できることが考えられる。他の実施形態では、T字形連結部310は、別の適切なガスコネクタと置き換えることができる。たとえば、T字形連結部310は、4つなど複数の開口を有することができる。T字形連結部310は、移行導管210に流体結合された第1の開口を有することができる。第2および第3の開口は、流体供給源と流体結合することができる。最後に、第4および最終の開口は、コントロールシステム194と結合することができる。
【0022】
図3の実施形態では、T字形連結部310の第1の開口332は移行導管210と結合される。しかし、上で論じたように、センサアセンブリ190を経由するガス送出を可能にしながらセンサアセンブリ190を制御システム194に連結する他の構成が考えられる。一実施形態では、第2の開口334はコネクタ336と結合することができる。コネクタ336は、配線通過固定具(wiring thru-fitting)340と整合するように適合される。配線通過固定具340は、通信結線284と整合するように構成されたチャネル342を有する。配線通過固定具340は、通信結線284が通信信号を伝達することを可能にしながら、流体が失われないようにコネクタ336を封止する。一実施形態では、チャネル342は、配線通過固定具340と通信結線284の間の封止を行うガスケット材に形成される。別の実施形態では、チャネル342は、通信結線284を差し込むことができるピンコネクタなどのコネクタとすることができる。
【0023】
裏側ガスは、第3の開口322を通ってT字形連結部310に入る。ガス供給部141は、第1の開口332と流体結合している。裏側ガスは、開口322を通ってT字形連結部310に入り、静電チャック122の裏側ガス送出孔198に連結されている第1の開口332を通ってT字形連結部310を出る。
別の実施形態では、裏側ガスは、第2の開口334を通ってT字形連結部310に入る。配線通過固定具340は、第3の開口322に取り付けられて、センサアセンブリ190と制御システム194の間の通信を可能にしながら、第3の開口322を流体封止する。さらに他の実施形態では、T字形連結部310は、裏側ガスの流体供給源、および制御システム194への連通をパック150の裏側ガス送出孔198から分離する。
【0024】
図2に戻ると、センサアセンブリ190はセンサ280およびセンサハウジング220を含む。センサ280は、ファブリペローセンサ(FPS)または干渉計、または他の、小さい撓みを測定するのに適しているセンサなど、光ファイバベースのセンサでよい。一実施形態では、センサ280はFPSである。センサ280は、制御システム194と通信する。一実施形態では、センサ280は、制御システム194内のコントローラ192に配線された通信接続部284を有することができる。別の実施形態では、センサアセンブリ190は、制御システム194と無線で通信することができる。センサ280は、パック150上に配置された加工品(図示せず)までの距離を示すメトリックを測定し、そのメトリックを制御システム194に、制御システム194または他の適切なデバイスによる分析のために、リアルタイムで提供することができる。
【0025】
センサ280は、センサヘッド282を有することができる。センサヘッド282は、距離測定を行うための信号を放出および受信することができる。センサ280は、センサヘッド282と加工品(図示せず)などの任意の対象物との間の距離をリアルタイムで測定して相対変位をナノメートル精度で決定できるように、パック150内に精密取り付けすることができる。センサ280は、裏側ガス通路218の移行導管210の中に精密に取り付けることができる。センサハウジング220は、センサ280を裏側ガス通路218内に保持する。センサヘッド282は、垂直線298の±3度以内で、言い換えれば、加工品支持面172の垂線から±3度以内に位置合わせすることができる。センサヘッド282の距離は、パック150の中のセンサハウジング220の位置を調整することによって、メサ168の上部より概ね5mm未満からメサ168の上部より約300mmまで精密に調整することができる。
【0026】
センサ280は、放射を放出する放射放出器と、加工品101によって反射された放射の一部を測定する放射検出器とを含むことができる。放射または信号は、たとえば、波長が約600ナノメートルから約1700ナノメートルの間の電磁放射でよい。センサ280内の放射検出器は、放出された放射信号の復路を測定する。したがって、センサ280の角度および位置は、測定に影響を及ぼす可能性がある。センサハウジング220は、正確な測定を容易にするために、センサ280を精密な位置および配向に保持する。
センサハウジング220は、分割プレート222および取付けヘッド224を含むことができる。分割プレート222および取付けヘッド224について、ここで図4A図4Bおよび図5をさらに参照して論じる。図4Aは、センサアセンブリ190の分割プレート222の斜視図である。センサ280の自己整合が、六角形分割プレート222と共に円錐形取付けヘッド224を用いて実現され得る。図4Bは、分割プレート222の平面図である。図5は、センサアセンブリ190の取付けヘッド224の断面図である。
【0027】
取付けヘッド224および分割プレート222は両方とも、低温動作に適しているポリマーから形成することができる。あるいは、取付けヘッド224および分割プレート222は、高温用途か低温用途かに適しているセラミックまたは金属材料から形成することができる。取付けヘッド224および分割プレート222は、ステンレス鋼(SST)、チタン、アルミニウム、タングステン、ニッケル、または他の合金などの金属で作ることができる。あるいは、取付けヘッド224および分割プレート222は、アルミナもしくは窒化アルミニウム、または石英などのセラミック材料で作ることができる。取付けヘッド224および分割プレート222はまた、金属材料かセラミック材料かで3D印刷することもできる。
【0028】
センサハウジング220は、ガスがセンサアセンブリ190を通って流れることができるように構成される。センサハウジング220は多孔性とすることができる。取付けヘッド224および分割プレート222は、両方とも多孔性にすることができ、加えて、または別法として、裏側ガスが通り抜けて流れることができるように多数の孔またはスロットを有することができる。たとえば、図5に示されるように、取付けヘッド224は、ガスがセンサアセンブリ190を通過できるようにするための孔526、564を有する。加えて、図4Aおよび図4Bに示されるように、分割プレート222は複数の孔464を有する。分割プレート222の孔464は、取付けヘッド224の孔564と整合して、流体がセンサアセンブリ190を通って流れることを促進する。孔526、564は、取付けヘッド224を貫通して延びることができる。取付けヘッド224および分割プレート222は、裏側ガスがセンサアセンブリ190を通って流れるようにするための、周辺に沿った4つ以上などの孔526、564、464と共に、精密機械加工することができる。あるいは、複数の孔526は、3D印刷などの付加的な製造プロセス中に、取付けヘッド224および分割プレート222の中に形成することができる。孔526、564、464の数は、孔を通って流れる流体のコンダクタンスを調整するために、約1個から約100個以上の範囲としてよい。あるいは、センサハウジング220は、センサ280が裏側ガス送出孔198または他の貫通孔の中に取り付けられる場合に、裏側ガス流をさらに改善するために多孔性セラミックなどの多孔性材料から形成されてよい。
【0029】
図4Aおよび図4Bを簡単に参照すると、取付けヘッド224は本体401を有する。本体401は環形とすることができる。本体401は側面開口430を有してもよい。本体410は中心開口450を有する。一実施形態では、本体401は六角形環であり、側面開口430を形成するために六角形の一面を欠いている。別の実施形態では、本体401は円環形を有することができ、側面開口430を効果的に形成するために本体401の一部分を欠いている。
中心開口450は内周部402を有することができる。中心開口450は、内周部402から中心開口450の中へ延びる内側張出部420を有することができる。内側張出部420は内周部432を有することができる。中心開口450の内周部402は、センサ280を通せるように寸法設定される。内側張出部420の内周部432は、中心開口450の内周部402よりも小さい。内側張出部420の内周部432はまた、センサ280を内側張出部420によって支持できるように、センサ280の幅よりも小さい。こうして、取付けヘッド224内のセンサ280の位置は、裏側ガス送出孔198の中にセンサ280が精密に配置されるように構成することができる。
【0030】
取付けヘッド224の本体401は複数の孔464を有する。孔464は、上面409から底面408まで延びる。一実施形態では、取付けヘッド224は4つの孔464を有する。別の実施形態では、取付けヘッドは6つ以上の孔464を有する。孔464は、センサアセンブリ190が裏側ガス送出孔198の中に取り付けられたときに流体が取付けヘッド224の本体401を通り越して流れることができるように構成される。有利なことに、センサアセンブリ190は、従来の静電チャック内の既存の流体送出孔の内側に取り付けることができ、したがって、既存の静電チャックの改良を可能にすることができ、センサアセンブリ190を収容する孔の中を通る流体の流れにセンサアセンブリ190が干渉することがない。
【0031】
取付けヘッド224の本体401はさらに、1つまたは複数のピン474を有する。ピン474は、上面409から底面408を通り越えて延びる。一実施形態では、取付けヘッド224は、分割プレート222の取付けヘッド224と整合し、これを設置するための3つのピン474を有する。
図5を簡単に参照すると、分割プレート222は複数の受け孔574を有する。分割プレート222の受け孔574は、取付けヘッド224からのピン474を受け入れる。したがって、分割プレート222は、あらかじめ定められたように取付けヘッド224と整合することができる。
【0032】
分割プレート222は本体501を有する。本体501は、底面507および上面508を有することができる。本体501は環形とすることができ、また底面507から上面508まで延びる内部開口575を有することができる。複数のフィン570が上面508の上方に延びることができる。フィン570は、分割プレート222と取付けヘッド224の間の接合部に安定性をもたらす。加えて、フィン570は、取付けヘッド224のピン474を分割プレート222の受け孔574に整合させる助けとなり得る。
本体501は、本体501を貫通して延びる複数の通路560、すなわち孔526、564を有することができる。通路560は、取付けヘッド224の孔464と整合することができる。したがって、通路560と孔464の組合せにより、流体がセンサハウジング220を越えて、すなわちセンサアセンブリ190を通り抜けて流れるための連続導管が得られる。一例では、流体が分割プレート222の底面507の内部開口575に入る。この流体は、分割プレート222を通り抜けて上方に、上面508に向かって移動する。流体は、分割プレート222内に形成された通路560に入り、取付けヘッド224の孔464の中に導かれ通過する。流体は、取付けヘッド424の上面409で孔464を出てから、パック150の加工品支持面172まで裏側ガス送出孔198を上昇し続ける。すなわち、通路560と孔464が一緒の組合せは、流体がセンサアセンブリ190を通過できるようにする。
【0033】
分割プレート222の本体501は、裏側ガス通路218を流れる流体に干渉することなく裏側ガス通路218の移行導管210に整合するように構成される。本体501は、底面507において内径544を有する。内径544は、上方の上面508に向かって広がる。内径544は、傾斜内面530に対し角度532で推移する。傾斜内面530は、内径544から角度532で上面508に向かって外向きに広がることができる。角度532および傾斜内面530は、流体のコンダクタンス、圧力または速度などの流体流の特性をもたらすように構成することができる。
【0034】
本体501はさらに、外面577に面取り部550を有することができる。面取り部550は、分割プレート222と移行導管210の間にプレスフィットを形成するように角度を付けることができる。面取り部550は、上面508から規定の距離552とすることができる。距離552は、必要に応じて任意の大きさにすることができる。たとえば、距離552は、面取り部550と上面508の間の長いまたは短いある距離552で本体501を形成することによって寸法設定することができる。あるいは、本体501は、第1の部分が上面508を含み第2の部分が面取り部550を含む、2つの部分で形成することができる。これらの部分は、段と踊り場の組合せを使用して、または距離552を修正できる別の適切な方法を使用して、各部分を一緒にねじ留めするなどの方法で一緒に結合することができる。有利には、図2に示されるセンサヘッド282は、加工品支持面172の上方に向けてまたはそこから下方に、加工品支持面172の最上部より概ね5mm未満から約30mmまで精密に調整することができる。センサヘッド282の加工品支持面172までの距離の調整は、異なる厚さの分割プレート222を使用することによって、または面取り部550の上面508からの距離552を変えることによって修正することができる。
【0035】
図6は、加工品101が上に配置されている静電チャック122の部分断面図である。図6は、パック150と、裏側ガス送出孔198に近接している静電チャック122のメサ168とを示す。メサ168は、交差する1つまたは複数の凹部164の間に配置されている。メサ168は、加工品101を支持するためにパック150から上に延びる、様々なサイズの正方形もしくは長方形ブロック、円錐、くさび、ピラミッド、柱、円筒形隆起、もしくは他の突起、またはこれらの組合せを含むことができる。加工品101は、上で論じたように、クランプ力Fcで静電チャック122に固定することができる。
【0036】
隣り合うメサ168は、各中心の間隔を距離660とすることができる。一実施形態では、距離660は約0.3インチから約0.5インチの範囲とすることができる。隣り合うメサ168はそれぞれ、約50マイクロメートルから約700マイクロメートルの高さを有することができる。隣り合うメサ168はそれぞれ、約500マイクロメートルから約5000マイクロメートルの範囲の幅を有することができる。凹部164は、約2ミリメートルから約10ミリメートルの幅を有することができる。メサ168および凹部164は、静電チャック122が加工品101を支持することを、加工品101の熱管理も行いながら可能にする。
【0037】
メサ168は、加工品101を支持する上面642を有する。上面642は一般に、静電チャック122からのクランプ力Fcがかかっていないときに加工品101が載っている基準面620を規定する。一実施形態では、基準面620はある場所となる。基準面620は、加工品101の撓みをセンサ280によってそこから測定できる参照点として機能することができる。
加工品101は、クランプ力Fcがかかると静電チャック122に固定され得る。クランプ力Fcは、加工品101をメサ168に向けて引き寄せ、メサ168との接触と相俟って、加工品101が静電チャック122に対して動かないようにする。クランプ力Fcは、静電チャック122の加工品支持面172の全体にわたって同じではなく、実質的に類似もしていないことさえあり得る。クランプ力Fcのばらつきは、特に、材料の堆積によるパック150の変化、洗浄およびエッチングによる腐食、ならびに摩耗に原因があると考えられる。加えて、クランプ力Fcは、区域に分けられた静電チャック構成などにおいて、加工品支持面172の全体にわたって意図的に差異化することもできる。
【0038】
センサ280は、基準面620に対する加工品101の撓みを測定する。クランプ力Fcを制御するために、クランプ電圧が静電チャック内の電極134に印加される。クランプ電圧は、センサ280によって測定された加工品101の撓みに応じて変えることができる。クランプ力Fcをかけると、加工品101は、凹部164の幾何学的平面610と整合することができる。許容可能な撓みを表す範囲と測定された撓みとを比較することができ、クランプ電圧は、測定された撓みが所定の範囲に入るまで調整することができる。たとえば、許容可能な撓みの所定の範囲は、30マイクロメートルから約70マイクロメートルの間とすることができる。測定された撓みが約70マイクロメートルよりも大きい場合、クランプ電圧は、撓みが30マイクロメートルから約70マイクロメートルの間にあることをセンサがリアルタイムで決定するまで、低減させることができる。撓みは、2つ以上の位置に配置されたセンサアセンブリ190を用いて測定することができ、それによってクランプ電圧の精密な調整が可能になる。
【0039】
センサ280は、加工品101の撓みの変化を短い時間間隔で測定することができる。制御システム194は、センサ280からの撓みのリアルタイム測定値を使用して加工品101の振動を検出することができ得る。制御システム194は、センサ280からの撓みデータをクランプ電圧のどんな変化とも同じ時間間隔で比較することができる。静クランプ電圧の場合、撓み測定値の許容範囲外の変動は、加工品101の動き、すなわち振動を示していることがある。制御システム194が、基板が動いていると決定すると、制御システム194はクランプ電圧を調整すると共に、撓みの変化をセンサ280によって監視することができる。多数のセンサ280が加工品101の撓みを監視し、静電チャック122に多数のクランプゾーンが備えられる実施形態では、制御システム194は、別々のクランプゾーンに設置された個々のセンサ280からのデータを使用して、その特定のクランプゾーンにおけるクランプを制御することができる。有利なことに、制御システム194は、加工品101の膜応力を最小限にすることができる。
【0040】
静電チャック122は、多数のクランプゾーンを備えることができ、センサ280を有する多数のセンサアセンブリ190を使用して各クランプゾーンを監視することができる。図7A~7Dは、静電チャック122などの基板支持体の上面図であり、センサアセンブリ190の様々な位置を示す。センサアセンブリ190は、静電チャック122に設けられた既存の孔の中に設置することができる。たとえば、センサアセンブリ190は、裏側ガス送出孔198の中に設置することができる。センサアセンブリ190はさらに、リフトピン109の空洞に設置することもできる。あるいは、センサアセンブリ190を中に設置するのに適している孔が、静電チャック122の製造中または製造後に、静電チャック122内に形成されてもよい。センサアセンブリ190の位置は、静電チャック122のパック150の既存の構成に基づいて決定することができる。
【0041】
図7Aは、裏側ガス送出孔198およびリフトピン孔709を有するパック150の加工品支持面172の中心にセンサアセンブリ190が設置されている一実施形態を示す。センサアセンブリ190は、静電チャックの中心の裏側ガス送出孔198内に設置することができる。あるいは、静電チャック122の中心に位置する別の適切な孔がセンサアセンブリ190を設置するのに利用されてもよい。有利なことに、このセンサアセンブリ190の配置により、加工品101についての過度のチャッキングの防止および振動検出のためのデータが得られる。このデータを利用して膜応力を減らし、加工品101の欠陥を最小限にすることができる。加えて、センサアセンブリ190をパック150に形成された既存の孔の中に設置することは費用がかからず、既存の静電チャックの改良を可能にする。
【0042】
図7Bは、裏側ガス送出孔198およびリフトピン孔709を有するパック150の加工品支持面172に沿って2つ以上のセンサアセンブリ791が遠心に設置されている第2の実施形態を示す。3つのセンサアセンブリ791がリフトピン孔709の中に設置されている。センサアセンブリ791はリフトピン(図1の要素109)の内側にあってよい。あるいは、センサアセンブリ791はリフトピンを囲むことができる。さらに別の代替形態では、センサアセンブリを中に入れるのに適切な孔をパック150内に形成することができる。いくつかの実施形態では、2つ以上のセンサアセンブリ791は、図1に示された中心センサアセンブリ190をさらに含むことができる。有利なことに、遠心に設置されたこの3つのセンサアセンブリ791の配置により、加工品全体にわたって、加工品101に作用するクランプ力をよりよく制御するための撓みデータが得られる。加えて、遠心に設置されたこのセンサアセンブリ791の配置は、静電チャック122の未修整パック150に設けることができ、したがって、静電チャック122の改良が可能であり、実施コストがほんのわずかである。
【0043】
図7Cは、裏側ガス送出孔198およびリフトピン孔709を有するパック150の加工品支持面172に沿って多数のセンサアセンブリ711、712、713、714が遠心に設置されている第3の実施形態を示す。4つのセンサアセンブリ711、712、713、714が適切な孔の中に設置されている。これら適切な孔とは、裏側ガス孔、リフトピン孔、またはパック150に形成された他の孔であってよい。センサアセンブリ711、712、713、714は、チャッキング力のばらつき、または加工品の振動をパック150上の4つの四分円にわたって検出することができる。いくつかの実施形態では、多数のセンサアセンブリ711、712、713、714は、図1に示された中心センサアセンブリ190をさらに含むことができる。有利なことに、このセンサアセンブリ711、712、713、714の配置により、加工品101に作用するクランプ力を精密に制御するための、加工品101の4つの四分円についての測定値が得られる。したがって、各四分円内のクランプ力Fcはリアルタイムで監視および調整することができ、それによって、過度のクランピングを防止すること、および加工品101の振動を容易に検出することが可能になり得る。
【0044】
図7Dは、裏側ガス送出孔198およびリフトピン孔709を有するパック150の加工品支持面172の全体にわたって多数のセンサアセンブリ721~728、190が設置されている第4の実施形態を示す。センサアセンブリ721~728、190は、同心の列に、および/またはチャック電極の配置に対応するパック150の領域に、置くことができる。たとえば、静電チャック122は、同心に配置された複数の個別チャック電極を有することができる。センサアセンブリ721~728は、内環群730および外環群740として配置することができる。センサアセンブリ721~728は、チャッキング力の小さいばらつき、または加工品の振動をパック150のチャック電極に沿って検出することができる。いくつかの実施形態では、多数のセンサアセンブリ721~728は、図7Aに示された中心センサアセンブリ190、および/または図7Bに示されたセンサアセンブリ790~793をさらに含むことができる。有利なことに、このセンサアセンブリ721~728の配置により、過度のチャッキングからの保護の強化のための、加工品101の全体についての個別撓み測定値を得ることができる。
【0045】
有利なことに、本明細書に記載のセンサアセンブリは、静電チャック上に配置された加工品の過度のチャッキングを防止する助けになる。過度のチャッキングを防止することはまた、製造中に膜応力を低減させる助けにもなる。1つまたは複数のセンサアセンブリの配置を用いて、異なるゾーンにおけるアンバランスなチャッキング力を防止することができ、加工品振動に対処することが可能である。上述の実施形態は、静電チャック上の加工品の過度のチャッキングを測定するための容易かつ費用対効果の高い解決策を提供する。静電チャックを修正なしで使用することは、より広範囲のチャック製造ばらつきに対応するためのより一定で予測可能なクランプ力を与えながら、既存のプロセス機器が1つまたは複数のセンサアセンブリを組み込んで高い費用対効果で改良されることを可能にする。
【0046】
本明細書に論述されていない多くの修正および他の実施形態が、上記の説明および添付の図面において提示された教示の利益を受けてその実施形態に関係する当業者には想起されよう。したがって、本明細書および特許請求の範囲が、開示された特定の実施形態に限定されないこと、ならびに修正および他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれるものであることを理解されたい。諸実施形態は、その実施形態の修正形態および変形形態を、これらが添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲に入るのであれば、包含するものである。特定の用語が本明細書に使用されているが、これらは一般的および説明的な意味で使用されているにすぎず、限定を目的とするものではない。
【0047】
上記は本開示の諸実施形態を対象としているが、本発明のその他のさらなる実施形態を本発明の基本的な範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は添付の特許請求の範囲によって決まる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8