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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】光変調デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20240228BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20240228BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20240228BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1339 500
G02F1/13363
G02F1/1335 510
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022509185
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(86)【国際出願番号】 KR2020014538
(87)【国際公開番号】W WO2021080361
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0133731
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギム、ミン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ベルヤエフ、セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジュン スン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チョル オク
(72)【発明者】
【氏名】オー、ドン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、チョル ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン ホン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ウン
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/203809(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/199720(WO,A1)
【文献】特開2004-240102(JP,A)
【文献】国際公開第2018/199716(WO,A1)
【文献】特表2018-507443(JP,A)
【文献】特開2014-235405(JP,A)
【文献】特表2006-513459(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0168778(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1339
G02F 1/13363
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面に接着剤層または粘着剤層が形成されている第1高分子フィルム基板、第1表面に液晶配向膜が形成されている第2高分子フィルム基板、液晶化合物を含む光変調層、前記第1高分子フィルム基板の第2表面に付着された第1偏光層、および前記第2高分子フィルム基板の第2表面に付着された第2偏光層を含み、
前記第1高分子フィルム基板および前記第2高分子フィルム基板は相互の第1表面が対向するように配置されており、
前記対向配置された前記第1高分子フィルム基板および前記第2高分子フィルム基板の間に前記光変調層が存在し、
前記基板の前記第1表面とは前記基板の主表面とその反対側表面のうちいずれか一つの表面を意味し、前記第2表面とは基板の主表面とその反対側表面のうち他の一つの表面を意味し、
前記光変調層と前記第1高分子フィルム基板の間または前記光変調層と前記第2高分子フィルム基板の間のうち少なくとも一つに-Cプレートを含み、
前記-Cプレートが前記接着剤層または前記粘着剤層よりも前記光変調層に近いものは除外され、
前記接着剤層または前記粘着剤層と前記第1高分子フィルム基板の間と前記液晶配向膜と前記第2高分子フィルム基板の間にはそれぞれ導電層が形成されている、
光変調デバイス。
【請求項2】
-Cプレートの厚さ方向位相差の絶対値(C)は下記の条件1を満足し、前記-Cプレートの厚さ方向位相差は負数値であり、
[条件1]
C≦D×1.2
前記条件1において、Dは光変調層の垂直配向状態での厚さ方向位相差×(光変調層に含まれる液晶化合物の平均屈折率/-Cプレートの平均屈折率)で定められる値である、請求項1に記載の光変調デバイス。
【請求項3】
前記第1高分子フィルム基板および前記第2高分子フィルム基板はそれぞれ550nm波長に対する面上位相差が500nm以上である、請求項1または2に記載の光変調デバイス。
【請求項4】
前記第1高分子フィルム基板および前記第2高分子フィルム基板の間隔が隔壁形状のスペーサーで維持されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項5】
スペーサーは四角形、三角形またはハニカム隔壁形状である、請求項4に記載の光変調デバイス。
【請求項6】
スペーサーは硬化性樹脂を含む、請求項4または5に記載の光変調デバイス。
【請求項7】
前記第1偏光層および前記第2偏光層の吸収軸は互いに垂直である、請求項1から6のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項8】
第1高分子フィルム基板および前記第2高分子フィルム基板の遅相軸は互いに水平である、請求項1から7のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項9】
前記第1高分子フィルム基板および前記第2高分子フィルム基板の遅相軸は互いに水平であり、前記遅相軸と前記第1偏光層または前記第2偏光層の吸収軸がなす角度は垂直または水平である、請求項7に記載の光変調デバイス。
【請求項10】
前記光変調層内の前記液晶化合物は初期配向が垂直配向である、請求項1から9のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項11】
垂直配向状態が外部信号の印加によって水平配向状態に変更され得る、請求項10に記載の光変調デバイス。
【請求項12】
前記光変調層はキラルドーパントを追加で含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項13】
前記光変調層の厚さ(d)および前記キラルドーパントによって形成されるキラルピッチ(p)の比率(d/p)が1未満である、請求項12に記載の光変調デバイス。
【請求項14】
前記粘着剤層の粘着剤または前記接着剤層の接着剤はシリコーン粘着剤または接着剤である、請求項1から13のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項15】
前記第1高分子フィルム基板には液晶配向膜が形成されていない、請求項1から14のいずれか一項に記載の光変調デバイス。
【請求項16】
一つ以上の開口部が形成されている車体、および前記開口部に装着された請求項1から15のいずれか一項に記載の光変調デバイスを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は光変調デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光変調デバイスは少なくとも2つ以上の異なる状態の間をスイッチングできるデバイスを意味する。このようなデバイスは例えば、メガネまたはサングラスなどのアイウェア(eyewear)、モバイル機器、仮想現実(VR:Virtual Reality)用機器、拡張現実(AR:Augmented Reality)用機器のようなウェアラブル(wearable)デバイスまたは車両のサンルーフなどに使われるなど、その用途が次第に拡大している。
【0003】
光変調デバイスは一般的に光変調フィルム層および前記光変調フィルム層の一面または両面に配置された偏光層を含む構造を有し、光変調フィルム層は、対向配置された2層の基板とその基板の間に位置する光変調層を含むことができる。
【0004】
従来には基板としてガラス基板のような無機基板が適用されてきたが、最近では前述した多様な用途への適用を考慮して基板として高分子フィルムを適用しようとする試みがある。しかし、等方性高分子フィルムは、その製造過程上フィルムの機械的強度が弱く、クラックの発生や熱による収縮も容易に発生する問題点がある。
【0005】
これに伴い、非等方性高分子フィルムを基板として適用して前記問題点を解決しようとする試みがある。ところが、非等方性高分子フィルムは、前記フィルムの位相差によってデバイスの駆動性能、例えば、光変調デバイスの側面で光が漏洩する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は光変調デバイスに関する。本出願は、透過率可変特性などの光学特性が優秀でありながらも、遮断モードなどで全方位の光漏洩が制御され、機械的物性などが優秀であり、クラックなどの発生も防止されるため、多様な用途で適用可能な光変調デバイスを提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で定義する角度は製造誤差(error)または偏差(variation)等の誤差を勘案して理解されるべきである。例えば、本明細書で用語「垂直、平行、直交、水平または任意の数値」などは、目的と効果を損傷させない範囲での実質的な垂直、平行、直交、水平または任意の数値を意味し、例えば、前記それぞれの場合は約±10度以内の誤差、約±5度以内の誤差、約±3度以内の誤差、約±2度以内の誤差、約±1度以内の誤差または約±0.5度以内の誤差を含むことができる。
【0008】
本明細書で言及する物性の中で測定温度が該当物性に影響を及ぼす場合、特に別途に規定しない限り、前記物性は常温で測定した物性である。
【0009】
本明細書で用語常温は、特に加温または減温されていない状態での温度であり、約10℃~30℃の範囲内のいずれか一つの温度、例えば、約15℃以上、18℃以上、20℃以上または約23℃以上であり、約27℃以下の温度を意味し得る。また、特に別途に規定しない限り、本明細書で言及する温度の単位は℃である。
【0010】
本明細書で面上位相差(Rin)は下記の数式1で計算された値を意味し得、厚さ方向位相差(Rth)は下記の数式2で計算された値を意味し得る。
【0011】
[数式1]
【0012】
in=d×(n-n
【0013】
[数式2]
【0014】
th=d×(n-n
【0015】
数式1および数式2において、Rinは面上位相差であり得、Rthは厚さ方向位相差であり得、dは層の厚さであり得、nは層の遅相軸方向の屈折率であり得、nは層の進相軸方向の屈折率であって、前記遅相軸方向と直交する面上方向の屈折率であり得、nは層の厚さ方向の屈折率であり得る。
【0016】
前記で用語「層」は、面上位相差および/または厚さ方向位相差測定対象層である。例えば、前記層は偏光層、高分子フィルム基板、光変調層、-Cプレート、接着剤層(または粘着剤層)または液晶配向膜などであり得る。
【0017】
本明細書で言及する用語「傾斜角」は、特に別途に規定しない限り次のように定義される。図6でx軸とy軸によって形成される平面を基準面(例えば、基準面は光変調デバイスの偏光層、高分子フィルム基板、光変調層、-Cプレート、接着剤層(または粘着剤層)または液晶配向膜などの表面であり得る)とする時、その基準面の法線であるz軸に対して図6のように形成される角度を傾斜角と定義する(図6でP地点での傾斜角はΘ)。図6でx軸とy軸によって形成される平面を基準面(例えば、基準面は光変調デバイスの偏光層、高分子フィルム基板、光変調層、-Cプレート、接着剤層(または粘着剤層)または液晶配向膜などの表面であり得る)とする時、その基準面のx軸を0度にしたときに該当x軸に対して図6のように形成される角度を動径角と定義する(図6でP地点での動径角はΦ)。前記で基準面のx軸は例えば、基準面の横方向の軸を意味し得る。
【0018】
本明細書で言及する位相差、屈折率および屈折率異方性などは、特に別途に規定しない限り約550nm波長の光に対する物理量である。
【0019】
特に別途に規定しない限り、本明細書で言及するある2つの方向がなす角度は前記二つの方向がなす鋭角または鈍角のうち鋭角であるか、または時計回り方向および反時計回り方向に測定された角度のうち小さい角度であり得る。したがって、特に別途に規定しない限り、本明細書で言及する角度は正数である。ただし、場合によって時計回り方向または反時計回り方向に測定された角度間の測定方向を表示するために、前記時計回り方向に測定された角度を正数で表示し、反時計回り方向に測定された角度を負数で表記することもできる。
【0020】
本出願の光変調デバイスは、第1基板、光変調層および第2基板が順次形成された光変調フィルム層を含むことができる。例えば、前記第1基板は第1表面に接着剤層または粘着剤層が形成されている第1高分子フィルム基板であり、前記第2基板は第1表面に液晶配向膜が形成されている第2高分子フィルム基板であり得る。前記第1基板の第2表面および/または第2基板の第2表面には偏光層が付着していてもよい。
【0021】
本明細書では便宜上、第1基板の第2表面に付着され得る偏光層は第1偏光層と呼称し、第2基板の第2表面に付着され得る偏光層は第2偏光層と呼称することができる。
【0022】
本明細書で基板の第1表面は基板の主表面とその反対側表面のうちいずれか一つの表面を意味し、第2表面は基板の主表面とその反対側表面のうち他の一つの表面を意味する。
【0023】
前記第1および第2高分子フィルム基板は相互の第1表面が対向するように配置されていてもよい。
【0024】
本出願の光変調デバイスは、例えば、前記光変調層と第1高分子フィルムの間および/または前記光変調層と前記第2高分子フィルム基板の間のうち少なくとも一つに-Cプレートを含むことができる。具体的には、前記粘着剤層または接着剤層と第1高分子フィルム基板の間、前記粘着剤層または接着剤層と光変調層の間、前記液晶配向膜と第2高分子フィルム基板の間、前記液晶配向膜と光変調層の間に前記-Cプレートが存在することができる。-Cプレートは前記言及した位置のうちいずれか一つにのみ存在するか、あるいは2つ以上の位置に存在することができる。本明細書で用語「-Cプレート」は厚さ方向(z軸)に異なる屈折率を有するフィルムであり、nx=ny>nzまたはnx>ny>nzの屈折率の関係を満足する層を意味する。前記でnxは層の遅相軸方向の屈折率であり、nyは進相軸方向の屈折率であり、nzは遅相軸と進相軸によって形成される平面の法線方向の屈折率である。-Cプレートがnx>ny>nzの関係を満足する場合、その面上位相差は約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、約10nm以下、約5nm以下、約4nm以下、約3nm以下、約2nm以下または約1nm以下であるか、または0nm超過であり得る。
【0025】
一つの例示において、本出願の光変調デバイスは、図1のように第1偏光層101、第1高分子フィルム基板102、-Cプレート600および粘着剤層または接着剤層103が順次形成されている第1基板100、光変調層300および液晶配向膜203、第2高分子フィルム基板202および第2偏光層201が順次形成されている第2基板200を含むことができる。
【0026】
他の例示において、本出願の光変調デバイスは、図2のように第1偏光層101、第1高分子フィルム基板102および粘着剤層または接着剤層103が順次形成されている第1基板100、光変調層300および液晶配向膜203、-Cプレート600、第2高分子フィルム基板202および第2偏光層201が順次形成されている第2基板200を含むことができる。
【0027】
さらに他の例示において、本出願の光変調デバイスは、図3のように第1偏光層101、第1高分子フィルム基板102、-Cプレート600および粘着剤層または接着剤層103が順次形成されている第1基板100、光変調層300および液晶配向膜203、-Cプレート600、第2高分子フィルム基板202および第2偏光層201が順次形成されている第2基板200を含むことができる。
【0028】
図1図3の構造において、第1偏光層101および第2偏光層201のうちいずれか一つの偏光層は省略されてもよい。
【0029】
本発明者らは、前記のように第1基板および/または第2基板に補償フィルム、例えば-Cプレートを前述した位置に適切に配置させ、後述する特性を制御することによって、光変調デバイスで発生し得る側面観察時の光漏洩を防止できることを確認した。
【0030】
本出願で前記-Cプレートは例えば、その厚さ方向位相差の絶対値(C)が下記の条件1を満足することができる。前記で-Cプレートの厚さ方向位相差は負数の値であり得る。
【0031】
[条件1]
【0032】
C≦D×1.2
【0033】
条件1において、Dは光変調層の垂直配向時の厚さ方向位相差×(光変調層に含まれる液晶化合物の平均屈折率/-Cプレートの平均屈折率)の値を意味し得る。ここで前記条件1は例えば、本出願の光変調デバイスを傾斜角で眺める時、光変調層の位相差が発現しながら光漏洩が発生する問題を解決するために、補償フィルム、例えば、-Cプレートが前記光変調層の位相差などを相殺できるように-Cプレートの特性を制御することに関するものであり得る。前記条件1のCは他の例示において、D×1.19以下、D×1.18以下、D×1.17以下、D×1.16以下、D×1.15以下、D×1.14以下、D×1.13以下、D×1.12以下、D×1.11以下、D×1.10以下、D×1.09以下、D×1.08以下、D×1.07以下、D×1.06以下、D×1.05以下、D×1.04以下、D×1.03以下、D×1.02以下またはD×1.01以下であるか、D×0.1以上、D×0.2以上、D×0.3以上、D×0.4以上、D×0.5以上、D×0.6以上、D×0.7以上、D×0.8以上またはD×0.9以上であり得る。-Cプレートおよび光変調層の前記特性は例えば、遮断モードでの光漏洩および/または透過モードでの傾斜角カラー変動などを考慮して前記条件1を満足するように設計され得る。
【0034】
前記で光変調層の垂直配向は、後述するように光変調層の初期配向であり得る。また、前記で光変調層に含まれる液晶化合物の平均屈折率は下記の評価例4の方法で測定することができる。
【0035】
前記条件1のCである-Cプレートの厚さ方向位相差の絶対値(C)は、例えば、100nm~950nmの範囲内であり得る。前記範囲は他の例示において、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上、450nm以上,500nm以上、550nm以上、600nm以上、650nm以上または700nm以上であるか、900nm以下、850nm以下、800nm以下、750nm以下、700nm以下、650nm以下、600nm以下または550nm以下程度であってもよい。条件1のCは、-Cプレートが図1または図2のように一層導入された場合、その一層の-Cプレートの厚さ方向位相差の絶対値であり、図3のように2層が導入されたり、または3層以上導入された場合、全体の-Cプレートの厚さ方向位相差を合計した絶対値を意味し得る。
【0036】
本出願で前記-Cプレートは例えば、ポリアミドを溶媒に配合して形成できるが、前述した特性を有する限り制限なく使うことができる。前記ポリアミドは一つの例示において、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-5,5'-ビフェニルジアミンをイソフタル酸および/またはテレフタル酸と重合して形成することができる。また、前記溶媒は、一つの例示でジメチルアセトアミドであり得る。前記ポリアミドは例えば、前記溶媒に対して略4重量%~10重量%の範囲内で含まれ得、他の例示において、4.5重量%以上または5重量%以上であるか、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下または5.5重量%以下で含まれ得る。
【0037】
一つの例示において、ポリアミドを溶媒に配合して形成した前記溶液を高分子フィルム基板または導電層上に塗布してコーティングすることができ、例えば、バーコーティング方式によってコーティングすることができる。前記コーティングによって形成された-Cプレート層は熱硬化または紫外線硬化などによって硬化され得る。
【0038】
本出願で前記-Cプレートは硬化後の厚さが例えば、1μm~15μmの範囲内であり得る。他の例示において、2μm以上、3μm以上、4μm以上または5μm以上であるか、14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下または7μm以下であり得る。
【0039】
前記光変調層の厚さ方向位相差(Rth)は前述したように、数式2によって導き出すことができる。
【0040】
[数式2]
【0041】
th=d×(n-n
【0042】
数式2において、Rthは厚さ方向位相差であり得、dは層の厚さであり得、nは層の進相軸方向の屈折率であり得、nは層の厚さ方向の屈折率であり得る。前記でdは例えば、光変調層の厚さであり得、これは通常的にスペーサーの高さと略一致し得る。前記スペーサーの高さは測定装備(Optical profiler、Nano system社、Nano View-E1000)を使って確認することができる。
【0043】
本出願で前記光変調層の厚さ方向位相差値は例えば、略500nm~900nmの範囲内であり得る。他の例示において、略550nm以上、略600nm以上、略650nm以上、略700nm以上または略750nm以上であるか、略850nm以下または略800nm以下であり得る。
【0044】
前記光変調層に含まれる液晶化合物の平均屈折率および前記-Cプレートの平均屈折率はAbbe屈折計を利用して確認することができるが、その具体的な方式は下記の評価例4に開示された方法によって確認することができる。
【0045】
本出願で前記光変調層に含まれる液晶化合物の平均屈折率は例えば、0.5~3.5の範囲内であり得る。他の例示において、1以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上または1.5以上であるか、3以下、2.5以下、2以下、1.9以下、1.8以下、1.7以下または1.6以下であり得る。
【0046】
本出願で前記-Cプレートの平均屈折率は例えば、0.5~3.5の範囲内であり得る。他の例示において、1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上または1.6以上であるか、3以下、2.5以下、2以下、1.9以下、1.8以下または1.7以下であり得る。
【0047】
本出願は、前記のような特性を有する-Cプレートを適切な位置に配置することによって、第1および第2高分子フィルム基板として後述する非等方性フィルム基板を適用する場合にも、側面での光漏洩を制御しながらも前記非等方性フィルム基板の光の性質によって補償効果が歪曲される問題を解決することができる。
【0048】
本出願で前記第1および/または第2高分子フィルム基板は非等方性であり得る。例えば、前記第1および/または第2高分子フィルム基板はそれぞれ550nm波長に対する面上位相差が500nm以上であり得る。他の例示において、1000nm以上、2000nm以上、3000nm以上、4000nm以上,5000nm以上、6000nm以上、7000nm以上、8000nm以上、9000nm以上または10000nm以上であるか,50000nm以下、40000nm以下、30000nm以下、20000nm以下または15000nm以下であり得るが、これに制限されるものではない。
【0049】
前記のように高い位相差を有するフィルムは業界で公知になっており、このようなフィルムは光学的に大きな非等方性はもちろん、製造過程での高延伸などによって機械的物性も大きな非対称性を示す。業界で公知になっている前記位相差フィルムの代表的な例としては、PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムなどのようなポリエステルフィルムなどがあり得る。
【0050】
本出願で前記のような非等方性フィルム基板と共に前述した-Cプレートを適切に導入することによる側面光漏洩防止効果は、後述する本出願の光変調デバイスの内容によりさらに改善され得る。
【0051】
本出願の光変調デバイスで、前記第1および第2高分子フィルム基板は例えば、前記第1および第2高分子フィルム基板の遅相軸が特定の位置関係を有するようにデバイス内に含まれ得る。一例示において、前記第1および第2高分子フィルム基板は遅相軸が互いに水平であり得る。
【0052】
前記のような面上位相差を有する第1および第2高分子フィルム基板を、前記高分子フィルム基板の遅相軸が前記のような範囲を有するように配置することによって、前述した-Cプレートなどとの組み合わせを通じて優秀な透過率可変効果を示しながらも、遮断モードでの全方位光漏洩が効果的に制御された光変調デバイスを提供することができる。
【0053】
本出願の第1および/または第2高分子フィルム基板は例えば、前記高分子フィルム基板の一面にそれぞれ第1および/または第2偏光層を含むことができる。本明細書で偏光層は自然光または非偏光を偏光に変化させる素子を意味し得る。一つの例示において、前記偏光層は線偏光層であり得る。本明細書で線偏光層は選択的に透過する光がいずれか一方向に振動する線偏光であり、選択的に吸収または反射する光が前記線偏光の振動方向と直交する方向に振動する線偏光である場合を意味する。すなわち、前記線偏光層は面方向に直交する透過軸および吸収軸または反射軸を有することができる。
【0054】
前記偏光層は吸収型偏光層または反射型偏光層であり得る。前記吸収型偏光層としては、例えば、PVA(本明細書でPVAはpolyvinyl alcoholを意味する)延伸フィルムなどのような高分子延伸フィルムにヨウ素を染着した偏光層または配向された状態で重合された液晶をホストとし、前記液晶の配向に沿って配列された異方性染料をゲストとするゲスト-ホスト型偏光層を使うことができるが、これに制限されるものではない。前記反射型偏光層としては、例えば、いわゆるDBEF(Dual Brightness Enhancement Film)として公知になっている反射型偏光層やLLC(Lyotropic liquid crystal)のような液晶化合物をコーティングして形成される反射型偏光層を使うことができるが、これに制限されるものではない。
【0055】
一つの例示において、前記第1偏光層および第2偏光層の吸収軸が互いに垂直となるように配置され得る。本出願の光変調デバイスはこのような配置を通じて、特に遮断モードの時に全方位光漏洩が制御され、暗状態を効果的に具現しながらも優秀な透過率可変効果を示す光変調デバイスを提供することができる。
【0056】
また、偏光層が含まれる場合、その吸収軸は前記高分子フィルム基板の遅相軸と垂直であるか水平であり得る。
【0057】
一つの例示において、本出願の光変調デバイスは、遮断モードである時の正面透過率が60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下または0.3%以下であり得る。遮断モードでは正面透過率が低いほど有利であるため、遮断モード状態の正面透過率の下限は特に制限されず、一例示で前記透過モード状態の透過率の上限は約100%であり、遮断モード状態での正面透過率の下限は約0%であり得る。
【0058】
本出願の光変調デバイスは一例示において、透過モードである時の正面透過率が20%以上であり得、他の例示において、21%以上、22%以上、23%以上、24%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上または80%以上程度であり得る。透過モードでの正面透過率は高いほど有利であるため透過モード状態の正面透過率の上限は特に制限されず、一例示で前記透過モード状態での正面透過率の上限は約100%であり得る。
【0059】
本出願の光変調デバイスは一例示において、前記透過モードと遮断モード状態での正面透過率の差が、15%以上、16%以上、17%以上、18%以上、19%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上または40%以上であることもあったり、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、50%以下または45%以下であり得る。
【0060】
前記正面透過率は、例えば、直進光透過率であり得る。直進光透過率は、前記光変調デバイスに入射した光に対して前記入射方向と同一方向に透過した光の比率の百分率であり得る。例えば、前記デバイスがフィルムまたはシート状であれば、前記フィルムまたはシート表面の法線方向であるz軸方向と並んでいる方向に入射した光のうち、同様に前記法線方向と並んでいる方向に前記デバイスを透過した光の百分率を前記正面透過率と定義することができる。
【0061】
前記正面透過率または反射率は、それぞれ可視光領域、例えば、約400nm~700nmまたは約380nm~780nm範囲内のいずれか一つの波長に対する正面透過率または反射率であるか、前記可視光領域全体に対する正面透過率または反射率であるか、前記可視光領域全体に対する正面透過率または反射率のうち最大または最小正面透過率または反射率であるか、前記可視光領域内の正面透過率の平均値または反射率の平均値であり得る。また、他の例示において、前記正面透過率は約550nm波長の光に対する正面透過率であり得る。
【0062】
本出願の光変調デバイスは一例示において、遮断モードであるときの透過率の最大値が10%未満であり得る。本明細書で傾斜角透過率は、測定対象の基準面(例えば、基準面は光変調デバイスの偏光層、高分子フィルム基板、光変調層、-Cプレート、接着剤層(または粘着剤層)または液晶配向膜などの表面であり得る)の法線方向であるz軸方向からの傾斜角がΘとなる軸の方向と平行となるように測定対象を透過する光の透過率であり得、傾斜角透過率の最大値は、傾斜角Θの光に対する透過率を、動径角Φを0度~360度に変えながら測定した透過率のうち最も大きい値を意味し得る。前記傾斜角Θおよび動径角Φは図6と同一であってもよい。他の例示において、9%未満、8%未満または7%未満であるか、0%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上または6%以上であり得るが、これに制限されるものではない。
【0063】
本出願で前記対向配置された第1および第2高分子フィルム基板の間隔が隔壁形態のスペーサーで維持されていてもよい。一つの例示において、図4のように第1偏光層101、第1高分子フィルム基板102、-Cプレート600、粘着剤層または接着剤層103、光変調層300、液晶配向膜203、第2高分子フィルム基板202および第2偏光層201が順次形成されており、かつ前記第1および第2高分子フィルム基板の間隔Gを前記隔壁形態のスペーサー500で維持していてもよい。この時、光変調層300はスペーサー500が存在しない領域内に存在することができる。
【0064】
本出願で前記スペーサーの形状および配列方式は例えば、第2基板と第1基板間に一定の間隔を維持できるようにする範囲内で適切に設計され得る。
【0065】
本出願の前記スペーサーは隔壁の形状で区画をなすように存在するかまたは2つ以上の柱の形状が離隔して存在してもよいが、これに制限されるものではない。一つの例示において、前記スペーサーは四角形、三角形またはハニカム(Honeycomb)の隔壁形状であり得る。遮断モードでの傾斜角光漏洩を効果的に制御する側面で四角形の隔壁形状が適切であり、正四角形または長方形形態の隔壁形状が適切であり得るが、これに制限されるものではない。
【0066】
本出願で前記スペーサーの配列方式、例えば、ピッチ、線間幅、高さおよび上部または第2基板での面積比率などは、本出願の目的を損傷させない範囲内で適切に選択され得る。前記で面積比率は、第2基板の第1表面の全体面積対比スペーサーが形成された面積の百分率を意味する。
【0067】
本明細書で用語ピッチ(Pitch)は、前記スペーサーを上部から観察した時に確認される互いに向き合う辺間の間隔または互いに向き合う頂点と辺間の間隔を意味する。本明細書でスペーサーを上部から観察するとは、スペーサーと形成された高分子フィルム基板の面の法線方向と平行となるように前記スペーサーを観察することを意味する。一例示において、前記スペーサーが三角形の隔壁形状の場合、用語ピッチは三角形の一頂点と前記頂点が向かい合う辺間の垂直距離を意味し得る。他の例示において、四角形の隔壁形状の場合、用語ピッチは四角形の各辺の長さを意味し得、四角形の各辺の長さがすべて同一である場合(すなわち、角形が正四角形である場合)には、その同一の辺の長さがピッチとして規定され、各辺の長さが同一でない場合(例えば、四角形が長方形である場合)、すべての辺の長さの算術平均が前記ピッチとして規定され得る。他の例示において、前記スペーサーがハニカム(六角形である場合)の隔壁形状の場合、用語ピッチは前記六角形の向かい合う辺の間隔を意味し得、前記向かい合う辺の間隔がすべて同一の場合にはその同一の辺の間隔の長さがピッチとして規定され、前記それぞれの辺の間隔が同一でない場合にはすべての辺の間隔の長さの算術平均が前記ピッチとして規定され得る。
【0068】
本出願で前記スペーサーのピッチは例えば、50μm~500μmであり得、他の例示において、100μm以上、150μm以上、200μm以上、250μm以上、300μm以上または350μm以上であるか、450μm以下、400μm以下または350μm以下であり得る。
【0069】
本明細書で用語線間幅(line width)は前記スペーサーを上部から観察した時の前記隔壁の長さ方向と垂直な方向に確認される寸法を意味する。前記スペーサーの線間幅は例えば、1μm~50μmであり得、他の例示において、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、10μm以上、11μm以上、12μm以上、13μm以上、14μm以上、15μm以上または16μm以上であるか、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、19μm以下、18μm以下、17μm以下または16μm以下であり得る。
【0070】
また、用語スペーサーの高さは、通常前記光変調層の厚さ(cell gap)と略一致し、前記言及した高分子フィルム基板の面の法線方向に測定されるスペーサーの寸法を意味する。本出願で前記スペーサーの高さは第1基板と第2基板間の間隔を考慮して調節され得る。例えば、前記スペーサーの高さは1μm~20μmであり得、他の例示において、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上または8μm以上であるか、19μm以下、18μm以下、17μm以下、16μm以下、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下または6μm以下であり得る。一つの例示において、前記スペーサーの高さは光変調層の厚さと略同一であってもよい。
【0071】
本明細書で用語「面積比率」は、高分子フィルム基板の面積をAとし、スペーサーが形成された面積をBとする時、高分子フィルム基板の面積Aのうちスペーサーが形成された面積Bの比率に100をかけた値、すなわち、100×B/Aを意味する。本出願でスペーサーの面積比率は前記第1または第2高分子フィルム基板に対して約0.1%~50%であり得る。本出願で前記スペーサーの面積比率が大きいほど第1および第2高分子フィルム基板の接着力(または粘着力)が増加し得る。他の例示において、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上または9%以上であるか、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または9%以下であり得る。
【0072】
本出願で前記スペーサーは例えば、硬化性樹脂を含むことができる。硬化性樹脂は、例えば、加熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂、例えば、紫外線硬化性樹脂であり得るが、これに制限されるものではない。前記加熱硬化性樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、ケイ素樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂またはメラミン樹脂などであり得るが、これに制限されるものではない。前記紫外線硬化性樹脂は代表的にアクリル重合体、例えば、ポリエステルアクリレート重合体、ポリスチレンアクリレート重合体、エポキシアクリレート重合体、ポリウレタンアクリレート重合体、ポリブタジエンアクリレート重合体、シリコーンアクリレート重合体またはアルキルアクリレート重合体などを使うことができるが、これに制限されるものではない。一例示において、前記スペーサーはアクリル重合体、より具体的には、ポリエーテル系アクリレート重合体を使って形成され得るがこれに制限されるものではなく、他の例示において、シリコーン重合体を使って形成されてもよい。スペーサーをシリコーン重合体を使って形成する場合、スペーサーの凹んだ領域に残存するシリコーン重合体が垂直配向膜の役割を遂行できるため、後述するようにスペーサーが存在する基板に追加の垂直配向膜を使わなくてもよい。シリコーン重合体としては例えば、ケイ素と酸素の結合(Si-O-Si)を主軸とする公知の重合体、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS、Polydimethylsiloxane)を使うことができるが、これに制限されるものではない。
【0073】
本出願はスペーサーの形態および/または配列方式を前記のように制御することによってセルギャップが適切に維持され、上下のフィルム基板の接着力(または粘着力)が優秀であり、遮断モードでの光漏洩も適切に制御された光変調デバイスを提供することができる。
【0074】
本出願で前記光変調層は少なくとも液晶化合物を含む層であって、前記液晶化合物の配向状態を外部信号の印加等を通して制御できる液晶層を意味し得る。前記液晶化合物は、例えば、ネマティック(nematic)液晶化合物、スメクチック(smectic)液晶化合物またはコレステリック(cholesteric)液晶化合物などであり得、外部信号の印加によってその配向方向が変更され得るものであれば制限されない。一例示において、前記液晶化合物は外部信号の印加によってその配向方向が変更され得るように例えば、重合性基または架橋性基を有さない化合物であるか、有しても重合または架橋されていない化合物であり得る。
【0075】
本出願の光変調層は、例えば、前記液晶化合物と共に二色性染料を追加で含むことができる。本明細書で用語「染料」とは、可視光領域、例えば、400nm~700nm波長範囲内で少なくとも一部または全体範囲内の光を集中的に吸収および/または変形させ得る物質を意味し得、用語「二色性染料」は前記可視光領域の少なくとも一部または全体範囲で光の異方性吸収が可能な物質を意味し得る。このような染料としては、例えば、アゾ染料またはアントラキノン染料などが公知になっているが、これに制限されるものではない。
【0076】
一つの例示において、前記光変調層は液晶化合物および二色性染料を含む液晶層であって、いわゆるゲストホスト液晶層(Guest Host Liquid Crystal cell)であり得る。用語「GHLC層」は、液晶の配列によって二色性染料が共に配列されて二色性染料の整列方向と前記整列方向の垂直な方向に対してそれぞれ非等方性光吸収特性を示す機能性層を意味し得る。例えば、二色性染料は光の吸収率が偏光方向によって変わる物質であり、長軸方向に偏光された光の吸収率が大きいとp型染料と呼称し、短軸方向に偏光された光の吸収率が大きいとn型染料と呼称し得る。一つの例示において、p型染料が使われる場合、染料の長軸方向に振動する偏光は吸収され、染料の短軸方向に振動する偏光は吸収が少ないため透過させることができる。以下、特に言及しない限り、二色性染料はp型染料であると仮定する。
【0077】
本出願は、例えば、前記光変調層内の液晶化合物の配列を調節して、初期配向が垂直配向であり、前記垂直配向状態が外部信号の印加によって水平配向状態に変更されるように設計された光変調デバイスに対するものであり得る。前記で初期配向とは、光変調層に外部信号が印加されていない時の配向状態である。
【0078】
本明細書で用語「垂直配向」は、前記光変調層の方向子または前記光変調層内の液晶化合物の方向子が前記光変調層の平面に対して略垂直に配列された状態であり、例えば、前記光変調層の表面の法線であるz軸と前記方向子がなす角度は約80度~100度または85度~95度の範囲内であるか約90度程度であり得る。また、用語「水平配向」は、前記光変調層の方向子または前記光変調層内の液晶化合物の方向子が前記光変調層の基準面に略平行となるように配列された状態を意味し得、例えば、前記方向子と前記光変調層の基準面がなす角度は約0度~10度または約0度~5度の範囲内であるか約0度程度であり得る。
【0079】
本明細書で用語光変調層の方向子または液晶化合物の方向子は前記光変調層の光軸(Optical axis)または遅相軸(Slow axis)を意味し得る。例えば、前記光軸または遅相軸は、液晶分子が棒(rod)の形状である場合には長軸方向を意味し得、液晶分子が円板(discotic)の形状である場合には円板の平面の法線方向の軸を意味し得、前記光変調層内に互いに方向子が異なる複数の液晶化合物が含まれている場合には前記液晶化合物の方向子のベクトルの和を意味し得る。
【0080】
一つの例示において、前記光変調層はツイスト配向モードを具現できるように設計され得る。このために、前記光変調層は前記液晶化合物と共にキラルドーパントを含むことができる。本明細書で用語「ツイスト配向モード」は前記液晶化合物の方向子が仮想の螺旋軸に沿って撚られながら層をなして配向した螺旋状構造を意味し得る。前記ツイスト配向モードは、前述した垂直および/または水平配向モードで具現され得る。例えば、垂直ツイスト配向モードは、個々の液晶化合物が垂直配向された状態で螺旋軸に沿って撚られながら層をなす状態であり、水平ツイスト配向モードは個々の液晶化合物が水平配向された状態で螺旋軸に沿って撚られながら層をなす状態を意味し得る。
【0081】
前記ツイスト配向モードで、前記光変調層の厚さ(d、cell gap)とピッチpの比率(d/p)は例えば、1以下であり得る。前記比率(d/p)が1を超過するとフィンガードメイン(finger domain)等の問題が発生し得るため、できるだけ前記範囲で調節され得る。前記比率(d/p)は他の例示において、約0.95以下、約0.9以下、約0.85以下、約0.8以下、約0.75以下、約0.7以下、約0.65以下、約0.6以下、約0.55以下、約0.5以下、約0.45以下、約0.4以下または約0.35以下であるか、約0.1以上、約1.15以上、約0.2以上、約0.25以上、約0.3以上または約0.35以上程度であってもよい。前記で光変調層の厚さdは光変調デバイス内のセルギャップ(Cell Gap)と同じ意味であり得る。
【0082】
ツイスト配向モードの光変調層のピッチpはWedge cellを利用した計測方法で測定することができ、具体的には、D.PodolskyyなどのSimple method for accurate measurements of the cholesteric pitch using a stripe-wedge Grandjean-Cano cell(Liquid Crystals、Vol.35、No.7、July 8/2008、789-791)に記載された方式で測定することができる。
【0083】
前記光変調層がツイストモードを具現できるように、前記光変調層はいわゆるキラルドーパントを追加で含むことができる。
【0084】
光変調層に含まれ得るキラルドーパント(Chiral dopant)としては、液晶性、例えば、ネマティック規則性を損傷させずに目的とする回転(twisting)を誘導できるものであれば特に制限なく使われ得る。液晶分子に回転を誘導するためのキラルドーパントは分子構造の中にキラリティー(chirality)を少なくとも含む必要がある。キラルドーパントは、例えば、1個または2個以上の非対称炭素(asymmetric carbon)を有する化合物、キラルアミンまたはキラルスルホキシドなどのヘテロ原子上に非対称点(asymmetric point)がある化合物またはクムレン(cumulene)またはビナフトール(binaphthol)等の軸不斉を有する光学活性である部位(axially asymmetric、optically active site)を有する化合物が例示され得る。キラルドーパントは例えば、分子量が1,500以下である低分子化合物であり得る。キラルドーパントとしては、市販のキラルネマティック液晶、例えば、Merck社で市販のキラルドーパント液晶S811またはBASF社のLC756等が適用され得る。
【0085】
キラルドーパントの適用比率は、目的とする前記比率(d/p)を達成できるのであれば特に制限されない。一般的にキラルドーパントの含量(重量%)は、100/(HTP(Helixcal Twisting power)×ピッチ(nm)の数式で計算され、目的とするピッチpを考慮して適正割合で選択され得る。
【0086】
前記光変調層は誘電率異方性が負数である液晶化合物を含むか、あるいは前記光変調層は前記言及された誘電率異方性を示し得る。誘電率異方性の絶対値は本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。用語「誘電率異方性(△ε)」は水平誘電率(ε//)と垂直誘電率(ε⊥)の差(ε//-ε⊥)を意味し得る。本明細書で用語「水平誘電率(ε//)」は液晶分子の方向子と印加電圧による電場の方向が実質的に水平となるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率値を意味し、「垂直誘電率(ε⊥)」は液晶分子の方向子と印加電圧による電場の方向が実質的に垂直となるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率値を意味する。
【0087】
前記液晶層は屈折率異方性(△n)が約0.04~0.15の範囲内である液晶化合物を含むか、前記液晶層が前記言及された屈折率異方性を示し得る。本出願での屈折率異方性(△n)は異常屈折率(ne、extraordinary refractive index)および正常屈折率(no、ordinary refractive index)の差(ne-no)であり、これはAbbe屈折計を利用して確認することができるが、その具体的な方式は下記の評価例4に開示された方法に従う。前記屈折率異方性(△n)は他の例示において、約0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下または0.1以下であるか、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上または0.09以上であり得る。
【0088】
本明細書での用語「屈折率異方性(△n)」は異常屈折率(ne、extraordinary refractive index)および正常屈折率(no、ordinary refractive index)の差(ne-no)であり、これはAbbe屈折計を利用して確認することができるが、その具体的な方式は下記の実施形態に開示された方法に従う。
【0089】
本出願の光変調層の厚さは本出願の目的を考慮して適切に選択され得る。一例示において、前記光変調層の厚さは、約15μm以下であり得る。このように厚さを制御することで、透過モードおよび遮断モードでの透過率差が大きいデバイス、すなわち、透過率可変特性が優秀なデバイスを具現することができる。前記厚さは他の例示において、約14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下または7μm以下であるか、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上または7μm以上であり得るがこれに制限されるものではない。
【0090】
前記のように厚さを制御することによって、透過モードおよび遮断モードでの正面透過率差が大きいデバイス、すなわち、透過率可変特性が優秀なデバイスを具現することができる。
【0091】
本出願の光変調デバイスは、例えば、前記第1高分子フィルム基板の一面に接着剤層または粘着剤層が形成されていてもよい。一つの例示において、前記接着剤層または粘着剤層は垂直配向力を有する接着剤または粘着剤を含むことができる。本明細書で用語垂直配向力を有する接着剤または粘着剤は液晶分子に対する垂直配向力および接着力(または粘着力)をともに有する物質を意味し得る。
【0092】
一つの例示において、垂直配向力を有する接着剤または粘着剤は、第1高分子フィルム基板の表面および第2高分子フィルム基板の表面のうち少なくとも一つの表面に形成されていてもよい。本出願の一実施形態によると、第1高分子フィルム基板の一面に垂直配向力を有する接着剤または粘着剤が存在し、第2高分子フィルム基板の一面に液晶配向膜が形成されていてもよい。
【0093】
本出願で垂直配向力を有する接着剤または粘着剤としては、例えば、シリコーン(Silicone)接着剤または粘着剤を使うことができる。前記シリコーン接着剤または粘着剤としては硬化性シリコーン化合物を含む組成物の硬化物を使うことができる。硬化性シリコーン化合物の種類は特に制限されず、例えば加熱硬化性シリコーン化合物または紫外線硬化性シリコーン化合物を使うことができる。
【0094】
一つの例示において、前記硬化性シリコーン組成物は付加硬化性シリコーン組成物であって、(1)分子中に2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンおよび(2)分子中に2個以上のケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサンを含むことができる。前記のようなシリコーン化合物は、例えば、白金触媒などの触媒の存在下で、付加反応によって硬化物を形成することができる。
【0095】
前記(1)オルガノポリシロキサンは、シリコーン硬化物を構成する主成分として、1分子のうち少なくとも2個のアルケニル基を含む。この時、アルケニル基の具体的な例には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基またはヘプテニル基などが含まれ、このうちビニル基が通常適用されるが、これに制限されるものではない。前記(1)オルガノポリシロキサンで、前述したアルケニル基の結合位置は特に限定されない。例えば、前記アルケニル基は分子鎖の末端および/または分子鎖の側鎖に結合されていてもよい。また、前記(1)オルガノポリシロキサンで、前述したアルケニルの他に含まれ得る置換基の種類としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはペネンティル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、このうちメチル基またはフェニル基が通常適用されるが、これに制限されるものではない。
【0096】
前記(1)オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分枝状、環状、網状または一部が分枝状をなす直鎖状などのように、いかなる形状を有してもよい。通常前記のような分子構造のうち特に直鎖状の分子構造を有するものが適用されるが、これに制限されるものではない。
【0097】
前記(1)オルガノポリシロキサンのより具体的な例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、R SiO2/2で表示されるシロキサン単位とR SiO1/2で表示されるシロキサン単位とSiO4/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R SiO1/2で表示されるシロキサン単位とSiO4/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、RSiO2/2で表示されるシロキサン単位とRSiO3/2で表示されるシロキサン単位またはRSiO3/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体および前記のうち2以上の混合物を挙げることができるが、これに制限されるものではない。前記で、Rはアルケニル基以外の炭化水素基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはペネンティル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などであり得る。また、前記でRはアルケニル基であって、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基またはヘプテニル基などであり得る。
【0098】
前記付加硬化性シリコーン組成物で、(2)オルガノポリシロキサンは前記(1)オルガノポリシロキサンを架橋させる役割を遂行することができる。前記(2)オルガノポリシロキサンで、水素原子の結合位置は特に限定されず、例えば、分子鎖の末端および/または側鎖に結合されていてもよい。また、前記(2)オルガノポリシロキサンで、前記ケイ素結合水素原子の他に含まれ得る置換基の種類は特に限定されず、例えば、(1)オルガノポリシロキサンで言及したような、アルキル基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、このうち通常メチル基またはフェニル基が適用されるが、これに制限されるものではない。
【0099】
前記(2)オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分枝状、環状、網状または一部が分枝状をなす直鎖状などのように、いかなる形状を有してもよい。前記のような分子構造のうち通常直鎖状の分子構造を有するものが適用されるが、これに制限されるものではない。
【0100】
前記(2)オルガノポリシロキサンのより具体的な例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、R SiO1/2で表示されるシロキサン単位とR HSiO1/2で表示されるシロキサン単位とSiO4/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、R HSiO1/2で表示されるシロキサン単位とSiO4/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体、RHSiO2/2で表示されるシロキサン単位とRSiO3/2で表示されるシロキサン単位またはHSiO3/2で表示されるシロキサン単位を含むオルガノポリシロキサン共重合体および前記のうち2以上の混合物を挙げることができるが、これに制限されるものではない。前記で、Rはアルケニル基以外の炭化水素基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはペネンティル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などであり得る。
【0101】
前記(2)オルガノポリシロキサンの含量は、適切な硬化がなされ得る程度に含まれるのであれば特に限定されない。例えば、前記(2)オルガノポリシロキサンは、前述した(1)オルガノポリシロキサンに含まれるアルケニル基一つに対して、ケイ素結合水素原子が0.5~10個となる量で含まれ得る。このような範囲で硬化を充分に進行させ、耐熱性を確保することができる。
【0102】
前記付加硬化性シリコーン組成物は硬化のための触媒であって、白金または白金化合物を追加で含むことができる。このような、白金または白金化合物の具体的な種類は特に制限されない。触媒の比率も適切な硬化がなされ得る水準に調節されれば良い。
【0103】
前記付加硬化性シリコーン組成物は、保存安定性、取り扱い性および作業性向上の観点で必要な適切な添加剤を適正割合で更には含むこともできる。
【0104】
他の例示において、前記シリコーン組成物は縮合硬化性シリコーン組成物であって、例えば(a)アルコキシ基含有シロキサンポリマー;および(b)水酸基含有シロキサンポリマーを含むことができる。
【0105】
前記(a)シロキサンポリマーは、例えば、下記の化学式1で表示される化合物であり得る。
【0106】
[化学式1]
【0107】
SiO(OR
【0108】
化学式1でRおよびRは、それぞれ独立的に、水素原子または置換または非置換された1価炭化水素基を表し、Rはアルキル基を表し、R、RおよびRがそれぞれ複数個存在する場合には互いに同一または異なり得、aおよびbはそれぞれ独立的に0以上、1未満の数を表し、a+bは0超過、2未満の数を表し、cは0超過、2未満の数を表し、dは0超過、4未満の数を表し、a+b+c×2+dは4である。
【0109】
化学式1の定義で、1価炭化水素基は、例えば、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基、ベンジル基またはトリル基などであり得、このとき炭素数1~8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基またはオクチル基などであり得る。また、化学式1の定義で、1価炭化水素基は、例えば、ハロゲン、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシジル基、グリシドキシ基またはウレイド基などの公知の置換基で置換されていてもよい。
【0110】
化学式1の定義で、Rのアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基などが挙げられる。アルキル基のうちメチル基またはエチル基などが通常適用されるが、これに制限されるものではない。
【0111】
化学式1のポリマーのうち、分枝状のまたは3次架橋されたシロキサンポリマーを使うことができる。また、この(a)シロキサンポリマーには、目的を損傷させない範囲内で、具体的には、脱アルコール反応を阻害しない範囲内で水酸基が残存していてもよい。
【0112】
前記(a)シロキサンポリマーは、例えば、多官能のアルコキシシランまたは多官能クロロシランなどを加水分解および縮合させることによって製造することができる。この分野の平均的な技術者は、目的とする(a)シロキサンポリマーに応じて適切な多官能アルコキシシランまたはクロロシランを容易に選択することができ、それを使った加水分解および縮合反応の条件も容易に制御することができる。一方、前記(a)シロキサンポリマーの製造時には、目的に応じて、適切な1官能のアルコキシシランを併用してもよい。
【0113】
前記(a)シロキサンポリマーとしては、例えば、信越シリコーン社のX40-9220またはX40-9225、GE東レシリコーン社のXR31-B1410、XR31-B0270またはXR31-B2733などのような、市販されているオルガノシロキサンポリマーを使うことができる。
【0114】
前記縮合硬化性シリコーン組成物に含まれる、(b)水酸基含有シロキサンポリマーとしては、例えば、下記の化学式2で表示される化合物を使うことができる。
【0115】
[化学式2]
【0116】
【化1】
【0117】
化学式2で、RおよびRはそれぞれ独立的に、水素原子または置換または非置換された1価の炭化水素基を表し、R4およびR5がそれぞれ複数存在する場合には、前記は互いに同一または異なり得、nは5~2,000の整数を表す。
【0118】
化学式2の定義で、1価炭化水素基の具体的な種類としては、例えば、前記化学式1の場合と同一の炭化水素基を挙げることができる。
【0119】
前記(b)シロキサンポリマーは、例えば、ジアルコキシシランおよび/またはジクロロシランなどを加水分解および縮合させることによって製造することができる。この分野の平均的な技術者は、目的とする(b)シロキサンポリマーに応じて適切なジアルコキシシランまたはジクロロシランを容易に選択することができ、それを使った加水分解および縮合反応の条件も容易に制御することができる。前記のような(b)シロキサンポリマーとしては、例えば、GE東レシリコーン社のXC96-723、YF-3800、YF-3804などのような、市販されている2官能オルガノシロキサンポリマーを使うことができる。
【0120】
前述した付加硬化型あるいは縮合硬化型シリコーン組成物は本出願で適用されるシリコーン粘着剤または接着剤を形成するための材料の一つの例示である。すなわち、基本的に業界でOCAまたはOCRなどで知らされたシリコーン粘着剤または接着剤がすべて本出願で適用され得る。
【0121】
前記粘着剤または接着剤あるいはそれを形成する硬化性組成物の類型は特に制限されず、目的とする用途に応じて適切に選択され得る。例えば、固相、半固相または液相の粘着剤または接着剤または硬化性組成物が使われ得る。固相または半固相の粘着剤または接着剤または硬化性組成物は接着(または粘着)対象が合着される前に硬化され得る。液相の粘着剤または接着剤または硬化性組成物は、いわゆる光学透明レジン(OCR;Optical Clear Resin)と呼称され、接着または粘着対象が合着された後に硬化され得る。一例示によると、前記粘着剤または接着剤または硬化性組成物としては、いわゆるポリジメチルシロキサン系(Polydimethyl siloxane-based)粘着剤または接着剤または硬化性組成物またはポリメチルビニルシロキサン系(Polymethylvinyl siloxane-based)粘着剤または接着剤または硬化性組成物またはアルコキシシリコーン系(Alkoxy silicone-based)粘着剤または接着剤または硬化性組成物などを使うことができるが、これに制限されるものではない。
【0122】
前記粘着剤層または接着剤層の厚さは特に制限されず、目的とする接着力または粘着力の確保のための適正な範囲で選択され得る。前記厚さは略1μm~50μmの範囲内であり得る。前記厚さは他の例示において、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上または10μm以上であるか、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下または10μm以下程度であってもよい。
【0123】
前記のような配置下で、前記のような接着剤層または粘着剤層を含むことによって優秀な接着力(または粘着力)を有しながらも、特に遮断モードでの光漏洩が制御されて優秀な光学特性を示すことができる光変調デバイスを提供することができる。
【0124】
このように、公知の垂直配向膜と垂直配向能を有する接着剤または粘着剤によって形成される液晶化合物の配向および/または前述した-Cプレートなどとの組み合わせによって、液晶化合物の垂直配向時には側面光漏洩を効果的に抑制し、水平配向時には正面光の吸収を最小化するようにすることができる。
【0125】
本出願の一つの例示において、前記のように垂直配向力を有する接着剤層または粘着剤層が第1高分子フィルム基板の一面に形成されている場合、前記第1高分子フィルム基板には液晶配向膜が形成されていなくてもよい。
【0126】
本出願の光変調デバイスは、本出願の効果を妨害しない限り、前記第1および第2高分子フィルム基板の一面にそれぞれ導電層を追加で含むことができる。例えば、接着剤層または粘着剤層と第1高分子フィルム基板の間および液晶配向膜と第2高分子フィルム基板の間にそれぞれ導電層が形成されていてもよい。導電層が形成される場合、-Cプレートは前記第1高分子フィルム基板と導電層間または前記導電層と粘着剤層(または接着剤層)の間または前記粘着剤層(または接着剤層)と前記光変調層間に配置されていてもよく、および/または前記第2高分子フィルム基板と前記導電層間、前記導電層と液晶配向膜の間または前記液晶配向膜と前記光変調層間に配置されていてもよい。
【0127】
本出願の光変調デバイスは、一つの例示において、図5のように第1偏光層101、第1高分子フィルム基板102、導電層400a、-Cプレート600、接着剤層または粘着剤層103が順次形成された第1基板100、光変調層300および液晶配向膜203、導電層400b、第2高分子フィルム基板202および第2偏光層201が順次形成された第2基板200を含む構造を有するか、前記-Cプレート600が例えば、前記第1高分子フィルム基板102および前記導電層400aの間に配置されるかまたは前記第2高分子フィルム基板202と前記導電層400bの間に配置されてもよいがこれに制限されるものではない。
【0128】
前記導電層は光変調層の液晶化合物の整列状態を転換できるように光変調層に適切な電界を印加することができる。前記電界の方向は垂直または水平方向、例えば、光変調層の厚さ方向または面方向であり得る。
【0129】
前記導電層は例えば、透明伝導性層であり得、前記透明伝導性層は例えば、伝導性高分子、伝導性金属、伝導性ナノワイヤーまたはITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物などを蒸着して形成され得る。その他にも透明伝導性層を形成できる多様な素材および形成方法が公知になっており、これを制限なく適用することができる。
【0130】
前記のような光変調デバイスは多様な用途で適用され得る。光変調デバイスが適用され得る用途には、ウインドウまたはサンルーフなどのような建物、容器または車両などを含む密閉された空間の開口部やアイウェア(eyewear)等や建具用、OLED(organic light emitting device)の遮光板などが例示され得る。前記でアイウェアの範囲には、一般的なメガネ、サングラス、スポーツ用ゴーグルまたははヘルメットまたは仮想現実または増強現実体験用機器などのようなウェアラブル機器など、観察者がレンズを通じて外部を観察できるように形成されたすべてのアイウェアが含まれ得る。
【0131】
本出願の光変調デバイスが適用され得る代表的な用途には車両用サンルーフがあり得る。
【0132】
一つの例示において、前記光変調デバイスは、それ自体として車両用サンルーフであり得る。例えば、少なくとも一つ以上の開口部が形成されている車体を含む自動車において、前記開口部に装着された前記光変調デバイスまたは車両用サンルーフを装着して使われ得る。
【0133】
サンルーフは、車両の天井に存在する固定されたまたは作動(ベンティングまたはスライディング)する開口部(opening)であって、光または新鮮な空気が車両の内部に流入するようにする機能をすることができる装置を通称する意味であり得る。本出願でサンルーフの作動方式は特に制限されず、例えば、手動で作動したりまたはモータで駆動することができ、サンルーフの形状、大きさまたはスタイルは目的とする用途に応じて適切に選択され得る。例えば、サンルーフは作動方式によりポップアップタイプサンルーフ、スポイラー(tile & slide)タイプサンルーフ、インビルトタイプサンルーフ、フォールディングタイプサンルーフ、トップマウントタイプサンルーフ、パノラミックループシステムタイプサンルーフ、除去可能なループパネル(t-topsまたはtarga roofts)タイプサンルーフまたはソーラータイプサンルーフなどが例示され得るがこれに制限されるものではない。
【0134】
本出願の例示的なサンルーフは本出願の前記光変調デバイスを含むことができ、この場合、光変調デバイスに対する具体的な事項は前記光変調デバイスの項目で記述した内容が同一に適用され得る。
【発明の効果】
【0135】
本出願は光変調デバイスに関する。本出願は補償フィルムの特性制御、適切な配置等を通して、透過率可変特性をはじめとする光学特性が優秀であり、遮断モードで傾斜角光漏洩が制御されて多様な用途で適用可能な光変調デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
図1】本出願の例示的な光変調デバイスの模式図である。
図2】本出願の例示的な光変調デバイスの模式図である。
図3】本出願の例示的な光変調デバイスの模式図である。
図4】本出願の例示的な光変調デバイスの模式図である。
図5】本出願の例示的な光変調デバイスの模式図である。
【0137】
図6】傾斜角と動径角を説明するための模式図である。
【0138】
図7】屈折率異方性を評価するための方法を示す図面である。
【0139】
図8】実施形態1の光変調デバイスに対して、遮断モードでの正面および傾斜角透過率を測定した結果を示したグラフである。
図9】実施形態2の光変調デバイスに対して、遮断モードでの正面および傾斜角透過率を測定した結果を示したグラフである。
図10】実施形態3の光変調デバイスに対して、遮断モードでの正面および傾斜角透過率を測定した結果を示したグラフである。
図11】実施形態4の光変調デバイスに対して、遮断モードでの正面および傾斜角透過率を測定した結果を示したグラフである。
【0140】
図12】比較例1の光変調デバイスに対して、遮断モードでの正面および傾斜角透過率を測定した結果を示したグラフである。
図13】比較例2の光変調デバイスに対して、遮断モードでの正面および傾斜角透過率を測定した結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0141】
以下、実施形態を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲は下記の実施形態によって制限されるものではない。
【0142】
評価例1.遮断モードのときに傾斜角(正面を含む)透過率の最大値の測定
【0143】
遮断モード(電圧未印加、0V)の時の傾斜角(正面を含む)透過率をヘイズメーター(NDH5000SP、セコス社)を用いて、ASTM D1003規格に沿って測定した。
【0144】
具体的には、積分球内の測定対象に380nm~780nm波長の光を入射させると、入射した光は測定対象によって拡散光(DT、拡散して出光したすべての光の和)と直進光(PT、拡散光を排除した正面方向の出光)に分離される。前記拡散光と直進光を積分球内で受光素子に集光させてそれぞれ測定することができる。すなわち、前記過程によって全体の透過光TTは前記拡散光DTと直進光PTの総和(DT+PT)で規定され得る。前記全体の透過光は全体の透過率を意味する。
【0145】
実施形態および比較例の光変調デバイスに対する遮断モード(0V)での傾斜角(正面を含む)透過率の最大値は、光変調デバイスに電圧を印加していない状態で正面および傾斜角に対して全方位透過率を測定した値のうち最も大きい値とした。測定対象の基準面(例えば、基準面は光変調デバイスの偏光層、高分子フィルム基板、光変調層、-Cプレート、接着剤層(または粘着剤層)または液晶配向膜などの表面であり得る)の法線方向であるz軸方向を0度として、-60度、-45度、-30度、-15度、0度(正面)、15度、30度、45度および60度それぞれ(図6の傾斜角Θ)に対して図6の動径角Φを0度、30度、60度、90度、120度、150度、180度、210度、240度、270度、300度および330度に異ならせながら測定した結果を図8図11に図示(横軸は動径角Φ、縦軸は透過率(%)を意味し、各グラフの線は特定の傾斜角Θで測定した値を表す)し、そのうち最も大きい値を表1に示した。
【0146】
評価例2.高分子フィルム基板の面上位相差の評価
【0147】
高分子フィルムの面上位相差(Rin)はAgilent社のUV/VIS spectroscope 8453装備を利用して測定した(550nm波長基準)。UV/VIS spectroscopeに2枚の偏光子を透過軸が互いに直交するように設置し、前記2枚の偏光子間に高分子フィルムをその遅相軸が2枚の偏光子の透過軸とそれぞれ45度をなすように位置させた後、波長による透過度を測定した。波長による透過度グラフで各ピーク(peak)の位相遅延次数(Phase retardation order)を求めた。具体的には、波長による透過度グラフで波形は下記の数式Aを満足し、サイン(Sine)波形で最大ピーク(Tmax)条件は下記の数式Bを満足する。数式Aでλmaxである場合、数式AのTと数式BのTは同一であるため数式を展開する。n+1、n+2およびn+3に対しても数式を展開し、nとn+1数式を整理してRを消去してnをλnおよびλn+1数式に整理すると、下記の数式Cが導き出される。数式AのTと数式BのTが同一であることに基づいてnとλが分かるため、各λn、λn+1、λn+2およびλn+3に対してRを求める。4ポイントに対して波長によるR値の直線趨勢線を求めて数式550nmに対するR値を算定する。直線趨勢線の関数はY=ax+bであり、aおよびbは定数である。前記関数のxに550nmを代入した時のY値が550nm波長の光に対するRin値である。
【0148】
[数式A]
【0149】
T=sin2[(2πR/λ)]
【0150】
[数式B]
【0151】
T=sin2[((2n+1)π/2)]
【0152】
[数式C]
【0153】
n=(λn-3λn+1)/(2λn+1+1-2λn)
【0154】
前記でRは面上位相差(Rin)を意味し、λは波長を意味し、nはサイン波形の頂点の次数を意味する。
【0155】
評価例3.光変調層の厚さ
【0156】
光変調層の厚さはスペーサーの高さと一致し、前記スペーサーの高さは測定装備(Optical profiler、Nano system社、Nano View-E1000)を使って確認した。
【0157】
評価例4.光変調層(液晶層)または-Cプレートの屈折率異方性および平均屈折率の評価
【0158】
光変調層または-Cプレートの屈折率異方性(△n)および平均屈折率はAbbe屈折計を使って次の方式で評価する。光変調層の場合、Abbe屈折計のMeasuring Prismとillumination Prismの面に垂直配向膜をコーティングし、測定しようとする液晶化合物をMeasuring Prismに塗布した後にillumination Prismで覆うと、垂直配向力により液晶化合物は垂直配向される。前記過程で適用される液晶化合物は、二色性染料などの他の物質と混合されていない光変調層に適用される液晶化合物のみである。また、-Cプレートの場合、Abbe屈折計のMeasuring Prismとillumination Prismの面に-Cプレート材料を塗布または付着した後にillumination Prismで覆って測定する。
【0159】
その後、図7に示した通り、接眼レンズ側(grounded部)に線形偏光板を適用して光(light)を照射して観測すると、図7に示されたようなθおよびθを求めることができ、Measuring prismの屈折率(n)と前記角度(θおよびθ)を通じて異常屈折率(n=nsinθ)と正常屈折率(n=nsinθ)を求めることができる。ここで、その差(n-n)が屈折率異方性として規定され得、その平均値((n+n)/2)が平均屈折率として規定され得る。前記測定時の基準波長は略550nmである。
【0160】
実施形態1.
【0161】
第1および第2高分子フィルム基板として、延伸PET(Polyethylene terephthalate)フィルム基板(厚さ:145μm、メーカー:SKC)を使ってデバイスを製造した。前記PETフィルム基板は550nm波長の光に対する面上位相差が約10,000nm~15,000nmの範囲内であった。
【0162】
第1PETフィルム基板の一面にまずITO(Indium Tin Oxide)膜(導電層)を蒸着し、前記ITO膜上に-Cプレート材料をバーコーティングした後、約100℃で20分間硬化させて約6μm厚さの-Cプレートを形成した。前記-Cプレートの厚さ方向位相差は550nm波長の光に対して略-720nm程度であり、平均屈折率は1.65であった。ここで-Cプレート材料はテレフタル酸、イソフタル酸および2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ビフェニルジアミンを重合したポリアミドをジメチルアセトアミド溶液に対して略5.3重量%で配合して準備した。
【0163】
引き続き、前記-Cプレート上にシリコーン粘着剤(Shinetsu社、KR3700)をバーコーティングした後、約100℃で100分間硬化させて約10μm厚さの粘着剤層を形成した(第1基板)。
【0164】
前記第2PETフィルム基板の一面にまずITO(Indium Tin Oxide)膜(導電層)を蒸着し、前記ITO膜上にセルギャップ(Cell gap)維持のための正四角形の隔壁形態のスペーサー(ピッチ:350μm、高さ:8μm、線間幅:16μm、面積比率:9%)を形成した。その後、光変調層(液晶層)の初期配向制御のために略100nm厚さのポリイミド系垂直配向膜(SE-5661LB3、Nissan社)を形成した後、ラビング布でラビング処理した。この時、ラビング方向は下部PETフィルム基板の遅相軸に水平となるようにした(第2基板)。
【0165】
引き続き、前記第1基板の粘着剤層と第2基板の配向膜が対向するように配置し(Cell gap:8μm)、その内部に液晶物質を注入した後にラミネーション工程を通じてデバイスを製作した。前記液晶物質としては、屈折率異方性(△n)が略0.094である負の誘電率異方性を有し、平均屈折率が1.58である液晶化合物(SHN-7002XX T12、JNC社)にキラルドーパント(S811、Merck社)を配合した組成物を使った。この時、前記キラルドーパントは前記液晶化合物100重量部に対して約0.5重量部配合して、キラルピッチ(chiral pitch)が略20μm程度となるようにした。また、このように形成された光変調層の厚さ方向位相差は550nm波長の光に対して略752nm程度であった。
【0166】
引き続き、前記第1PETフィルム基板のITO膜(導電層)が形成されていない面に第1偏光層を付着し、前記第2PETフィルム基板のITO膜(導電層)が形成されていない面に第2偏光層を付着した。前記第1および第2偏光層としてはPVAフィルムにヨウ素を吸着させて高温/延伸を通じて製作した一般的なPVA偏光層を使った。
【0167】
前記配置時には第1および第2PETフィルム基板の遅相軸方向および第1偏光層の吸収軸が互いに平行となるようにし、前記第2偏光層の吸収軸は前記第1偏光層の吸収軸に対して垂直となるように配置した。
【0168】
その結果、第1偏光層/第1PETフィルム基板/ITO膜/-Cプレート/接着剤層/光変調層(液晶層)/配向膜/ITO膜/第2PETフィルム基板/第2偏光層の構造を有する光変調デバイスが形成された。
【0169】
実施形態2
【0170】
第1基板の製造時、第1PETフィルム基板の一面に-Cプレート、ITO膜および接着剤層を順に形成したことを除いては実施形態1と同一にして光変調デバイスを製造した。その結果、第1偏光層/第1PETフィルム基板/-Cプレート/ITO膜/接着剤層/光変調層(液晶層)/配向膜/ITO膜/第2PETフィルム基板/第2偏光層の構造を有する光変調デバイスが形成された。
【0171】
実施形態3
【0172】
-Cプレートを第1基板のITO膜および接着剤層間に形成せず、第2基板の第2高分子基板およびITO膜間に形成したことを除いては実施形態1と同一にして光変調デバイスを製造した。その結果、第1偏光層/第1PETフィルム基板/ITO膜/接着剤層/光変調層(液晶層)/配向膜/ITO膜/-Cプレート/第2PETフィルム基板/第2偏光層の構造を有する光変調デバイスが形成された。
【0173】
実施形態4
【0174】
第1基板の粘着剤層と第2基板の配向膜が対向するように配置する時、Cell gapが6μmとなるように配置(スペーサーの高さも6μm)し、光変調層の厚さ方向位相差が550nm波長の光に対して略564nmであり、-Cプレートの厚さ方向位相差が550nm波長の光に対して略-540nm程度であることを除いては実施形態2と同一にして光変調デバイスを製造した。その結果、第1偏光層/第1PETフィルム基板/-Cプレート/ITO膜/接着剤層/光変調層(液晶層)/配向膜/ITO膜/第2PETフィルム基板/第2偏光層の構造を有する光変調デバイスが形成された。
【0175】
比較例1.
【0176】
-C plateを導入しなかったことを除いては実施形態1と同一にして光変調デバイスを製造した。
【0177】
その結果、第1偏光層/第1PETフィルム基板/ITO膜/接着剤層/光変調層(液晶層)/配向膜/ITO膜/第2PETフィルム基板/第2偏光層の構造を有する光変調デバイスが形成された。
【0178】
比較例2.
【0179】
-C plateが第1偏光層と第1PETフィルム基板の間に配置されたことを除いては実施形態1と同一にして光変調デバイスを製造した。
【0180】
その結果、第1偏光層/-Cプレート/第1PETフィルム基板/ITO膜/接着剤層/光変調層(液晶層)/配向膜/ITO膜/第2PETフィルム基板/第2偏光層の構造を有する光変調デバイスが形成された。
【0181】
【表1】
【0182】
前記[表1]で遮断モード(0V)での傾斜角(正面を含む)透過率の最大値は、光変調デバイスに電圧を印加していない状態で、測定対象の基準面(例えば、基準面は光変調デバイスの偏光層、高分子フィルム基板、光変調層、-Cプレート、接着剤層(または粘着剤層)または液晶配向膜などの表面であり得る)の法線方向であるz軸方向を0度として、-60度、-45度、-30度、-15度、0度(正面)、15度、30度、45度および60度(図6の傾斜角Θ)それぞれに対して図6の動径角Φを0度、30度、60度、90度、120度、150度、180度、210度、240度、270度、300度および330度に異ならせながら測定した透過率のうち最も大きい値を示したものである。その結果、実施形態1~4の光変調デバイスの遮断モードのときに傾斜角(正面を含む)光漏洩が比較例1および2の光変調デバイスのそれと対比して小さいことを確認することができた。
【符号の説明】
【0183】
100:第1基板
101:第1偏光層
102:第1高分子フィルム基板
103:接着剤層または粘着剤層
200:第2基板
201:第2偏光層
202:第2高分子フィルム基板
203:液晶配向膜
300:光変調層
400a、400b:導電層
500:スペーサー
600:-Cプレート
G:セルギャップ
図1
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